(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075235
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】防爆区域を備え、清掃ロボットを備えるダクトシステム
(51)【国際特許分類】
F24F 13/02 20060101AFI20230523BHJP
F24F 7/08 20060101ALI20230523BHJP
F21V 8/00 20060101ALI20230523BHJP
B08B 9/049 20060101ALI20230523BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20230523BHJP
【FI】
F24F13/02 A
F24F7/08 Z
F24F13/02 Z
F21V8/00 357
B08B9/049
F21Y115:10
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023036150
(22)【出願日】2023-03-09
(62)【分割の表示】P 2018109193の分割
【原出願日】2018-06-07
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390003193
【氏名又は名称】東洋鋼鈑株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】大山 能永
(72)【発明者】
【氏名】田口 英幸
(72)【発明者】
【氏名】田村 洋二
(57)【要約】
【課題】防爆区域への光と調和空気を有効適切に搬送する装置を提供する
【解決手段】防爆区域7と非防爆区域8とを有する建築物において、非防爆区域8に設置した照明光供給部及び調和空気供給部と、前記防爆区域7と非防爆区域8との間に設けられ、前記照明光供給部からの光及び前記調和空気供給部からの調和空気を前記防爆区域に導くダクト10とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防爆区域と非防爆区域とを有する建築物において、
非防爆区域に設置した照明光供給部及び調和空気供給部と、
前記防爆区域と非防爆区域との間に設けられ、前記照明光供給部からの光及び前記調和空気供給部からの調和空気を前記防爆区域に導くダクトと、
前記非防爆区域に対して前記防爆区域内を負圧にする排気装置と、
光や空気を運ぶダクト内の塵埃類を除去する自走可能な清掃ロボットと、
前記ロボットを待機させるロボット基地と、
前記ロボットへの充電装置と、
を備えてなることを特徴とする防爆区域への光・調和空気搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、防爆区域への光・調和空気搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
防爆区域、すなわち可燃物や爆発物等の引火性のある危険物の貯蔵庫等に照明装置、空調装置を設ける場合には、これら装置について防爆仕様のものを設ける必要があり、装置のコストがかさむばかりでなく、選択できる装置が限られるために設計の自由度が低いという問題がある。
【0003】
従来、例えば防爆区域へ照明を行う手段として、特許文献1に示されたように、複数個のランプなどの人工光源より成る光源手段と、この光源手段の前方に配置される平板プリズム等より成る光方向制御手段とを配置し、光方向制御手段を透過した光を導光ダクトまたは光ファイバ等の導光手段を介して照明場所に搬送するようにしたものが提案されている。
【0004】
また、特許文献2においては、空気と光とを搬送する照明兼用換気ダクトが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7-239417号公報
【特許文献2】特許第4995486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の構成では、平板プリズムを用いるものであって、あくまで光のみを搬送することを目的とするものであり、空気の搬送を全く考慮していない。
また、特許文献2に記載のものは、通常の建物内において光と空気を搬送するものであり、防爆区域に適用するものではなく、何等防爆対策を講じたものではない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、防爆区域への光と調和空気を有効適切に搬送する装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、防爆区域と非防爆区域とを有する建築物において、非防爆区域に設置した照明光供給部及び調和空気供給部と、前記防爆区域と非防爆区域との間に設けられ、前記照明光供給部からの光及び前記調和空気供給部からの調和空気を前記防爆区域に導くダクトとを備えてなることを特徴とする。
本発明によれば、照明光供給部からの光と調和空気供給部からの調和空気がダクトを通して防爆区域に供給され、防爆区域内に照明器具、空調装置を設置することなく照明、空調を行うことができる。
【0008】
本発明の一態様では、前記非防爆区域に対して前記防爆区域内を負圧にする排気装置と、前記排気装置の駆動の有無を検出するセンサーと、該センサーが前記排気装置の駆動停止を検出したときに前記照明光供給部の電源を遮断する第1の制御部を備えてなることを特徴とする。
この一態様において、排気装置の駆動停止に連動させて照明光供給部の電源を遮断することにより、照明光供給部への可燃性ガスを含む空気の到達を防ぐことができる。
【0009】
また、本発明の一態様では、前記ダクト内に配置され、該ダクト内の塵埃類を除去する自走可能な清掃ロボットと、前記ダクトに連設され、前記ロボットを待機させるロボット基地と、前記ロボットへの充電装置と、を備えてなることを特徴とする。
この一態様によれば、前記ダクト内に自走可能な清掃ロボットを配置したので、該清掃ロボットにより、ダクト内の塵埃類を除去することができ、防爆区域内へ供給する光について光量の低下を抑えることができる。
【0010】
また本発明の一態様では、前記照明光供給部は、電力により発光する照明器具と、太陽光を採光してこの光を供給する太陽光供給部とを備え、前記ダクトへの前記照明器具と前記太陽光供給部との光供給量を制御する第2の制御部を備えてなることを特徴とする。
この位置様態においては、太陽光の採光量に応じて照明器具の光量を制御することができ、省エネ化を図ることができる。
【0011】
また本発明の一態様では、前記非防爆区域内に位置する前記ダクトの開口端部が光透過板により密閉され、該開口端部に対向させて前記光透過板を通して前記ダクト内に光を照射するように前記照明光供給部が配置されていることを特徴とする。
この一態様においては、前記透明版により可燃性ガスを含む空気が照明光供給部へ到達するのをより確実に防止することができる。
【0012】
また本発明の一態様では、前記ダクトは、上板部、下板部、及び左右の側板部を備えて断面矩形状に形成されると共にその内部は鏡面仕上げされ、前記防爆区域内に位置する前記ダクトの前記側板部には、供給された調和空気を防爆区域に排出する空気排出部が設けられ、該空気排出部は、前記ダクトに形成された開口部に、該ダクトの終端方向に対して仰角をなすように複数の羽根を間隔を空けて設けた構成とされ、該複数の羽根のダクト内面側は鏡面仕上げされていること特徴とする。
この一態様においては、ダクト内を進行する光の漏洩を防止したうえで、調和空気を良好に防爆区域内へ供給することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、防爆区域に照明器具、空調装置を設置することなく、防爆区域内の照明、空調を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の第1の実施形態である光・調和空気搬送装置を備えた建築物の概略構成を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示す防火ダンパー部分の拡大縦断面図である。
【
図3】
図1に示すロボット基地部分の拡大平断面図である。
【
図4】
図3に示す清掃ロボットを示す図であって、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【
図5】
図1に示すダクトの断面形状を示す図である。
【
図7】
図1に示す第1の実施形態の変形例を示す図であって、光放出部の縦断面図である。
【
図8】
図1に示す第1の実施形態の別の変形例を示す図であって、照明光供給部及び空気排出部の縦断面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態である光・調和空気搬送装置を備えた建築物の概略構成を示す縦断面図である。
【
図10】(a)は
図9に示す太陽光供給部の平断面図であり、(b)は
図10(a)のA-A’線で視た縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態を示す図であって、本発明による防爆区域への光・調和空気搬送装置を備えた建築物の概略構成を示す断面図である。
【0017】
図1に示す建築物1は、工場、事業場などに供されるものであって、スラブ2、3、内壁4により空間5が形成され、空間5が内壁6によって、空間7、8に仕切られている。
空間7は例えば可燃物、爆発物等の引火の恐れのある危険物を貯蔵する空間であり、防爆区域を構成している。
空間8は、防爆対策不要の空間であり、非防爆区域を構成している。
【0018】
内壁6の上部には、開口部9が形成されており、この開口部9にはダクト10が挿入されている。
ダクト10は、空間7、8間に亘って水平方向に延在するように設置されており、長さ方向の複数箇所が図示しない保持部材により建築物1側に支持されている。
この実施形態においては、ダクト10が、空間7、8間に亘って水平方向に延在するように説明するが、これに限定されず、防爆区域(空間7)と非防爆区域(空間8)を亘るいかなる形態も本願発明に含まれる。
【0019】
このダクト10は、不燃性の基材による筒状体で、内側に光反射層を設けたものであり、上板部10a、下板部10b及び左右の側板部10c、10cからなっている。さらに、粉塵の堆積抑制のためには、反射層への導電性付与が望ましい。
【0020】
このダクト10は、所定の長さを有する筒状体を複数連結したものである。ダクト10の具体例としては、例えば内面に高反射材を内貼りした鉄板を断面矩形の筒状体に形成し、筒状体の端部に外方へ張り出すフランジを設けて、各筒状体をフランジ部分で連結する構造を挙げることができ、一般的なビルの空調設備に用いるダクトの内面を高反射処理等して転用することができる。
【0021】
ダクト10は、その内部が光・調和空気の通路となるため、上記のように内面に高反射材を内貼り処理することにより鏡面仕上げとし、光の反射率を高めることにより光を効率よく進行させることができ、かつまた反射材が導電性であれば帯電防止効果も得られるので塵埃類の付着を防止して光の反射率の低下を抑えることができる。
【0022】
ダクト10が開口部9を貫通する部分は防火ダンパー21を構成しており、空間7、又は8で火災が発生したときに、空間7、8間での炎、煙を含む空気が遮断されるようになっている。
【0023】
図2は、防火ダンパー21の拡大縦断面図である。防火ダンパー21の枠体22はダクト10の一部を構成しており、上板部22a、下板部22b及び左右の側板部22c、22cからなっている。上板部22a、下板部22b及び左右の側板部22cの内面は高反射仕上げ例えば白色塗装となっている。枠体22の外面と内壁6との間は、開口部9内に充填される不燃材例えばモルタル6aにより密閉構造とされている。
【0024】
枠体22内には回転軸23に固定された羽根24が配置されている。回転軸23は枠体22の左右の側板部22c、22cに回転自在に支持されており、羽根24は矢印方向に回転自在である。羽根24は、図示しないバネ等により矢印P1方向へ回転習性を与えられており、常時は図示しないロック機構により実線で示す位置におかれている。なお、羽根24は、矢印P1方向に回転したときに、枠体22の上板部22aに設けられたストッパ25に当接し、枠体22内の光・調和空気の通路26を遮断するようになっている。
【0025】
図1に示す空間7は、排気装置27により大気中及び空間8に対して常に負圧に保たれるようになっている。
【0026】
排気装置27は、排気管28とファン29とを備えている。排気管28は、端部が空間7内に開口し、内壁4の内面に沿って配置された配管28aと、この配管28aの上端から内壁4の上部を貫通し、更にスラブを貫通して建築物1の外部へ引き出された配管28bとからなっている。ファン29は、図示しない支持体により建築物1の外側に支持されており、排気管28を介して空間7内の空気を外部へ排気し、空間7内を負圧に保つ。
【0027】
ファン29の起動停止は、制御装置30の第1の制御部30aにより制御されるようになっており、制御装置30の第1の制御部30aは、定常時においてファン29を駆動状態とし、ファン29が故障などにより停止したときに、これをセンサー30sにより検出して後述する照明光供給部の電源を遮断するようになっている。
【0028】
図1に示すように、空間8内におけるダクト10の開口端部31には光透過板32が設けられている。光透過板32は、開口端部31を密閉しており、ダクト10内において空間7側から可燃性ガスを含む空気が空間8側へ流れても、この空気が開口端部31から空間8内へ放出されないようになっている。光透過板32は、不燃性材料からなる透明な板体であり、帯電防止処理が施されたものである。
【0029】
開口端部31の近傍には、開口端部31に対向させて、光透過板32を通してダクト10内に光を照射する照明光供給部を構成する照明器具33が配置されている。照明器具33は、光源として、例えばLED等の赤外線や紫外線の発生が抑えられたものが使用され、かつダクト10内により多くの光が照射され、ダクト10内に入った光がダクト内面で反射される際に、反射位置がより遠くなるように配光を狭角としたものが用いられている。
【0030】
この照明器具33は、前記ファン29が停止して空間7内の負圧状態が崩れたときに、これを、センサー30sが検出して制御装置30の第1の制御部30aにより電源が遮断されるようになっている。
【0031】
空間8内におけるダクト10の上面あるいは側面には、搬送空気導入口34が形成されており、空間8内の空気がダクト10内に導入できるようになっている。搬送空気導入口34にはフィルタ35が設けられており、ダクト10内への塵埃類の進入を防止する構造となっている。
【0032】
また、空間8内におけるダクト10には、
図3に示す清掃ロボット36を待機させるロボット基地37が設けられている。
図3は、ロボット基地37の拡大平断面図であって、この図に示すようにロボット基地37は、ダクト10の下板部10b、側板部10c、10cに連設されたものであり、ダクト10の下板部10bと同一平面上に位置する床板部37a、ダクト10の側板部10cに連設された側壁部37b、37c、37d、ダクト10の側板部10cに連設された図示しない天板部を備えている。床板部37a、側壁部37b~37d及び天板部は、その内部に清掃ロボットを36待機させる室を形成しており、ダクト10内に開口する開口部40には扉41が設けられている。側板部37cには清掃ロボット36に対して充電を行う充電装置38の接続器39が設けられている。扉41は、清掃ロボット36の清掃開始、清掃終了動作に連動して図示しない駆動機構によって上下方向(左右方向に移動させるように構成してもよい。)に移動し、開口部40を開閉する。扉41のダクト10内面側は、ダクト10の内面と同様に鏡面仕上げとなっている。
なお、このロボット基地37は、清掃ロボット36の保守、点検、整備、その他
図4(b)に示すクロス44(詳細は後述する)の交換などのために、適宜壁部を開放して清掃ロボット36の出し入れができるようになっている。
【0033】
清掃ロボット36は、拭き機能を有する清掃ロボットである。
この清掃ロボット36は、
図4(a)(b)に示すように、走行車輪42を有する車体部43に拭き掃除用のクロス44、図示しない走行駆動用の二次電池、方向探知センサー、タイマー、制御装置などを搭載したもので、自走機能を有し、
図3に示す扉41の開閉機構を駆動した、定期的にダクト10内を清掃する機能を有する。
クロス44は、クリーニングパッド45に巻き付けた状態で車体部43に着脱可能である。
この清掃ロボット36は、タイマーによって定期的にダクト10内を清掃する一方、清掃を終えた後はロボット基地37に戻って充電装置38により充電を行う。
【0034】
清掃ロボット36は、上記のように自走してダクト10内を清掃するものであるが、この清掃ロボット36がダクト10内でよりスムーズに移動できるようにするには、ダクト10の断面形状を、例えば
図5に示すように逆台形とし、下板部10bと側板部10cとの角度θ1を95°~105°の鈍角とすることが好ましい。ダクト10をこのように構成することにより、清掃ロボット36の車体部43が側板部10cに接触することを回避することができ、清掃ロボット36をよりスムーズに走行させることができる。
また、ダクト10内の底面は、清掃ロボット36をスムーズに走行させるために、ダクトの連結部などに凹凸を形成することなく、可及的に平坦面とすることが好ましい。
【0035】
図1に示す空間7内におけるダクト10の端部近傍には、空気排出部50が設けられている。
図6は空気排出部50の拡大平断面図であり、この図に示すように空気排出部50は、ダクト10の側板部10cに設けられている。ダクト10の側板部10cには開口部51が形成されており、この開口部51には、ダクト10の終端方向に対して仰角をなすように羽根52、53が設けられている。羽根52、53は、それぞれダクト10の側板部10cからダクト10の内方へ向けて斜めに進出しており、ダクト10の内方側先端には側板部10cと平行に位置するように羽根54、55が連設されている。
【0036】
羽根53と54の間には間隙56が形成され羽根55と側板部10cとの間には間隙57が形成されている。
羽根52~55は、それぞれダクト10の内面側が鏡面仕上げとされている。
【0037】
この空気排出部50の設けられたダクト10の内部においては、光はダクト10の終端方向へ直進する一方、ダクト10の内面及び羽根52~55の内面に反射してダクト10の終端方向へ向う。またダクト10内に供給された調和空気は、間隙56、57を通って空間7内に放出される。
【0038】
空間7内におけるダクト10の端部には光放出部61が設けられている。
光放出部61は、ダクト10を通過してきた光を下方へ反射させる反射板64と、開口部62を塞ぎ下方への光を透過させる光透過板63とを備えている。
光透過板63は、不燃性材料からなる透明な板体で、帯電防止処理を施したものである。
この構成の下に、ダクト10内に導入された光は、ダクト10端部において反射板64で下方へ反射して光透過板63を通過し、空間7内を照射する。
【0039】
上記のように構成された光・調和空気搬送装置を備えた建築物1においては、通常時制御装置30の第1の制御部30aの指令によりファン29が運転状態に置かれ、空間8及び大気中に対し空間7内が負圧状態に置かれる。これにより空間8内の空気が搬送空気導入口34からダクト10内に導入される。この際フィルタ35によって塵埃類が除去され、ダクト10内を矢印70のように進行し、空気排出部50から調和空気として空間7内に放出される。この場合、ダクト10内の空気は、
図6に示すようにダクト10内から羽根53、54間の間隙56、羽根55、側板部10c間の間隙57を通して空間7に放出される。
【0040】
また、制御装置30の第1の制御部30aによって照明器具33が点灯し、この光が光透過板32を通してダクト10内に照射される。照射された光は矢印71のように進行して反射板64で反射して、光透過板63を通過し、空間7内に照射される。
【0041】
ダクト10内を進行する光は矢印71のように直進すると共に、
図6に示すようにダクト10の内面で反射しながら進行する。この場合、ダクト10の内面が鏡面仕上げされているので、光の減衰が抑えられ、光が効率よく進行する。
【0042】
空気排出部50においては、羽根52、53がダクト10の終端方向に対して仰角をなすように配置されており、かつ羽根52~55のダクト10の内面側が鏡面仕上げとされているので、この部分においても光が効率よく光放出部61の方向へ進行する。
【0043】
図3に示す清掃ロボット36は、タイマーによって定期的に起動し、ダクト10の下板部10b上の塵埃類の清掃を行う。ロボット基地37に内に位置する清掃ロボット36が起動すると、この起動に連動して扉41が開き、開口部40がダクト10内へ開口する。掃除ロボット36は、ダクト10内を自走し、クロス44によりダクト10内の底面に存在する塵埃類を拭き取る。
【0044】
この場合清掃ロボット36は、制御装置の指令に従ってダクト10内の底面を走行し、ダクト10内の全域に亘って拭き清掃を行う。
また制御装置は、予定の走行距離に必要な電池の消費量と二次電池の充電残量とを比較する等して充電切れの生じないうちにロボット基地37に戻る。
【0045】
上記の清掃ロボット36の動作において、清掃ロボット36が
図2に示す防火ダンパー21を通過する際には、防火ダンパー21の羽根24が実線で示す水平位置にあるので、清掃ロボット36が羽根24の下方を通過し、羽根24が清掃ロボット36の走行に対して邪魔になることはない。
【0046】
また
図1において、ファン29が故障などにより停止した場合には、センサー30sがこれを検出し、制御装置30の第1の制御部30aが前記検出結果に基づいて照明器具33の電源を遮断する。
この実施の形態においては、空間7側においてダクト10の開口端部31は光透過板32で閉塞されている。したがって、空間8側の負圧状態が崩れてダクト10内に可燃性ガスを含む空気が流入してもこの空気が空間8側に流出することはない。
しかし、ダクト10の開口端部31付近は、照明器具33が高温となっているので、空間7内の負圧状態が崩れた場合には照明器具33の電源を遮断することが望ましい。
よって、本実施の形態においては、ファン29が停止した場合、高温化した照明器具33からの輻射熱による可燃性ガスを含む空気の発火を防ぐことができる。
【0047】
また、この実施の形態において、空間7または空間8内で火災が発生した場合には、防火ダンパー21が作動して両空間の空気の流通を遮断し、空間7、8相互間の延焼を防止することができる。
【0048】
かくして、
図1に示す光・調和空気搬送装置によれば、防爆区域である空間7内に照明器具、空調装置を設けることなく、空間7内を照明し、空間7内に調和空気を供給することができる。
【0049】
図7(a)(b)は、上記の第1の実施形態の変形例を示す図であって、第1図に示す光放出部の別の例を示す図である。
【0050】
図7(a)に示す例は、ダクト10の開口端部62Aを塞ぐ光透過板63と、ダクト10内から光透過板63を透過した光を下方へ反射させる反射板64とを備えている。
この例は、透過板63で塞がれたダクトの内部空間の外側に、反射板64を、ダクト10の上板部10aの先端から下方へ傾斜するように配置したものである。この構成により、ダクト10の下板部10bと開口端部62を塞ぐ光透過板63との角度を鈍角にすることができるので、ロボットによるダクト内の清掃を容易にすることができる。
図7(b)に示す例は、ダクト10の端部に設ける反射板72を、ダクト10の上板部10aから下方へ傾斜する反射板部72aと、反射板部72aの下端部から折り返された反射板部72bとで構成し、反射板部72bの下端部をダクト10の下板部10bの端部との間の開口部に光透過板73を設置したものである。この構成において、反射板部72bと光透過板73との間には鈍角である角度θ2(95°~105°)が形成されている。またダクト10の下板部10bと光透過版73の各上面は面一状態にある。なお、光透過板73は不燃性材料からなる透明な板体であり、帯電防止処理が施されている。
【0051】
この例において、ダクト10内の光は反射板72で反射して下方へ導かれ、光透過板73を通って空間7内に照射される。この例においては、清掃ロボット36による清掃時に、清掃ロボット36が光透過板73の上面まで移動できるので、光透過板73の上面の塵埃類も除去することができる。この際、反射板72の反射板部72bと光透過板73との間が鈍角とされているので、清掃ロボット36が光透過板73上において反射板72の近傍まで進出でき、光透過板73の全域を清浄にすることができる。
【0052】
図8は、上記第1の実施形態の別の変形例を示す図である。
図1に示す例では、照明器具33がダクト10の外部に設けられているが、
図8の例では、照明器具33がダクト10の内部に設けられている。この例では、ダクト10の開口端部に光透過板を設けることなく、照明器具33をダクト10内に光を照射するように設けている。照明器具33の外側は熱伝導率の高い材料からなる放熱板74により覆われている。放熱板74は、その外面に放熱部を構成する複数のフィン(図示せず)を備えており、照明器具33で生じた熱を外部へ拡散させる。
【0053】
この例では、防爆区域とされた空間7内からダクト10内に可燃性ガスを含んだ空気が侵入しないように、空気排出部50の構成をチャッキダンパーのように、空気がダクト10内から空間7内には流れるが、その逆の流れが生じない構成とすることが望ましい。この例においては、照明器具33の前方に光透過板を設けていないので、光透過板の光の搬送ロスを防ぐことができる。
この例においても、
図1に示すようなファン29が故障などにより停止したときに、これをセンサー30sにより検出して制御装置30の第1制御部30aにより照明器具33の電源を遮断する構成を採用する。しかしながら、上記の空気排出部50の構成を採用した場合は、空間7からダクト10内へ空気が流れないため、照明器具33の電源を遮断する構成が不要になる。
【0054】
(第2の実施形態)
図9、
図10(a)、(b)は、この発明の第2の実施形態を示す図である。この実施形態が
図1に示す実施形態と異なる点は、ダクト10へ光を照射する構成として、照明器具33に加えて太陽光を導入する構成を加えた点であり、照明器具33の光と太陽光とを切り替えてダクト10内に導入したり、照明器具33の光と太陽光とを適切な割合でダクト10内に導入するようにしたものである。
【0055】
図9、
図10(a)、(b)に示すように、空間8側におけるダクト10内の端部80には、ダクト10内に連通するように光ダクト81が連接されている。光ダクト81は、
図10(b)に示すように、ダクト10の側板部10cに形成した開口部82に開口しており、側板部10cの開口部82の周囲からダクト10の側方に延びる水平部81aと、水平部81aの先端から上方に立上る垂直部81bとからなっており、垂直部81bの上端は建築物の屋根板83から上方に突出している。
【0056】
垂直部81bの上端に形成した開口部84は、紫外線を吸収し、かつ光ダクト内に雨水、塵埃類が入り込むのを防止するために、紫外線吸収作用を高めたガラス85により封止されている。光ダクト81は、ダクト10と同様にその内面が鏡面仕上げとなっている。
【0057】
ダクト10の開口部82に臨む光ダクト81の端部には、開口部82を開閉する扉86が配置されている。扉86は光ダクト81の端部に設けた開口部87から移動したときに開口部87を開口し、元の位置へ移動したときに開口部87を閉塞する。扉86に外部の塵埃類が付着するのを防止するためにカバー88が設けられている。
【0058】
この扉86は、開口部87を閉じたときにダクト10の内方を向く面が鏡面仕上げとなっている。この実施形態では、ダクト10内に太陽光を導入するため、ガラス85の他、ダクト10の内面、光放出部に設ける光透過板等を特に紫外線吸収作用の強いガラスで構成することが望ましい。日中、上記の扉86を上方に移動させて開口部87を開放した時には、太陽光が利用可能となる。上記光ダクト81、扉86は太陽光供給部を構成しており、この太陽光供給部と照明器具33とは照明光供給部を構成している。扉86による開口部87の開閉動作は、制御装置30の第2の制御部30bによってされる。第2の制御部30bは、図示しないセンサーにより太陽光の有無、照度の程度等に応じて、ダクト10内に導入される光を照明器具33の光から太陽光に切替えたり、また照明器具33の光と太陽光との割合を制御してダクト10内へ導入される光の量を調節する。なお、開口部87を開閉させる扉86は上方へ移動したときにカバー88に覆われるので塵埃類をダクト10内に持ち込むことがない。
【0059】
この実施の形態によれば、ダクト10内へ導入する光を照明器具33の光と太陽光のいずれか一方または双方としたので、省エネ化を図ることができる。
【符号の説明】
【0060】
1 建築物
7 防爆区域
8 非防爆区域
10、81 ダクト
10a、22a 上板部
10b、22b 下板部
10c、22c、37c 側板部
27 排気装置
30a 第1の制御部
30b 第2の制御部
30s センサー
31、62A 開口端部
32、63、73 光透過板
33 照明器具
36 清掃ロボット
37 ロボット基地
38 充電装置
50 空気排出部
9、40、51、62、82、84、87 開口部
52~55 羽根