(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075242
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】再発型の多発性硬化症を治療するための方法
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230523BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20230523BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230523BHJP
C07K 16/46 20060101ALN20230523BHJP
C07K 16/18 20060101ALN20230523BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P25/00 ZNA
A61K39/395 D
A61K45/00
C07K16/46
C07K16/18
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037197
(22)【出願日】2023-03-10
(62)【分割の表示】P 2021133865の分割
【原出願日】2016-09-09
(31)【優先権主張番号】62/344,024
(32)【優先日】2016-06-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/362,931
(32)【優先日】2016-07-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/217,672
(32)【優先日】2015-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/381,322
(32)【優先日】2016-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BRIJ
(71)【出願人】
【識別番号】512212195
【氏名又は名称】アッヴィ・インコーポレイテッド
(71)【出願人】
【識別番号】513144626
【氏名又は名称】アッヴィ・ドイチュラント・ゲー・エム・ベー・ハー・ウント・コー・カー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン・ジェイ・グリーンバーグ
(72)【発明者】
【氏名】ベルンハルト・カー・ミュラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ポップ
(72)【発明者】
【氏名】マシュー・アール・ローズブロー
(72)【発明者】
【氏名】ジョージ・エム・ヘイグ
(72)【発明者】
【氏名】シャオ-リー・リン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】再発型の多発性硬化症を含む多発性硬化症を治療するための方法を提供する。
【解決手段】再発性寛解型多発性硬化症または再発性二次性進行型多発性硬化症のような再発型の多発性硬化症を含む多発性硬化症を治療するための抗RGMa抗体およびこれらの抗体を使用する方法が開示される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療を必要とする対象における再発型の多発性硬化症を治療するための方法であって、反発性誘導分子(Repulsive Guidance Molecule)A(RGMa)に特異的に結合する治療有効量の抗体またはこの抗原結合性断片を投与することを含み、抗体または抗原結合性断片は、
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含む相補性決定領域(CDR)-1、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-2、および配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-3を含む可変重鎖;ならびに
(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-1、配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-3を含む可変軽鎖
を含む、方法。
【請求項2】
抗体またはこの抗原結合性断片が、約50mgから約4000mgの量で、または約50mgから約2500mgの量で対象に投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
抗体またはこの抗原結合性断片が、約50mg、100mg、150mg、300mg、450mg、600mg、1000mg、1200mg、1600mg、1800mg、2400mgまたは3600mgの量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
抗体またはこの抗原結合性断片が、約50mg、75mg、100mg、120mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mgまたは500mgの量で投与される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
抗体またはこの抗原結合性断片が静脈内(IV)投与される、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
抗体またはこの抗原結合性断片が皮下に投与される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
可変重鎖が配列番号13のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖が配列番号14のアミノ酸配列を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
抗体が、ヒト抗体、免疫グロブリン分子、ジスルフィド結合Fv、モノクローナル抗体、親和性成熟抗体、scFv、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、ヒト化抗体、多重特異性抗体、Fab、二重特異性(dual specific)抗体、DVD、Fab’、二重特異性(bispecific)抗体、F(ab’)2およびFvからなる群から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
抗体がヒト抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
抗体がモノクローナル抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
抗体が親和性成熟抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
抗体がキメラ抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項13】
抗体がヒト化抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
抗体がFab、Fab’、F(ab’)2またはFvである、請求項8に記載の方法。
【請求項15】
抗体が二重特異性(dual specific)抗体、DVDまたは二重特異性(bispecific)抗体である、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
配列番号12の定常配列をさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項17】
追加の治療剤を投与することをさらに含む、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
追加の治療剤が、免疫抑制剤または多発性硬化症に伴う1つ以上の症状を治療する薬剤である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
追加の治療剤が、ベータインターフェロン、グラチラマー(コパキソン(Copaxone))、フィンゴリモド(ギレンヤ(Gilenya))、ナタリズマブ(チサブリ(Tysabri))、ミトキサントロン(ノバントロン(Novantrone))、テリフルニミド(アウバジオ(Aubagio))、BG-12(テクフィデラ(Tecfidera))、アレムツズマブ(レムトラダ(Lemtrada))、ダクリズマブ(ジンブリタ(Zinbryta))、オクレリズマブ(オクレブス(Ocrevus))、アマンタジン(シンメトレル(Symmetrel))、アミトリプチリン(エラヴィル(Elavil))、ノルトリプチリン、モダフィニル(プロビジル(Provigil))、ダルファムピリジン(アムピラ(Ampyra))、認知促進薬、免疫調節薬または神経保護薬を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
認知促進薬が、アセチルコリン受容体アゴニスト、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、ブチリルコリンエステラーゼ阻害剤、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト、活性依存性神経保護タンパク質(ADNP)アゴニスト、セロトニン5-HT1A受容体アゴニスト、5-HT4受容体アゴニスト、5-HT6受容体アンタゴニスト、セロトニン1A受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト、カルパイン阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)タンパク質もしくはアゴニスト、栄養成長因子、抗アポトーシス化合物、AMPA型グルタミン酸受容体活性化因子、L型もしくはN型カルシウムチャネル遮断薬もしくは調節因子、カリウムチャネル遮断薬、低酸素誘導因子(HIF)活性化因子、HIFプロリル4-ヒドロキシラーゼ阻害剤、抗炎症剤、アミロイドAβペプチドもしくはアミロイドプラークの阻害剤、タウ過剰リン酸化の阻害剤、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、ホスホジエステラーゼ4阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、これらの医薬として許容される塩、またはこれらの組合せを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
認知促進薬が、ドネペジル(アリセプト(Aricept)(登録商標))、リバスチグミン(イクセロン(Exelon)(登録商標))、ガランタミン(レミニル(Reminyl)(登録商標))、メマンチン(ナメンダ(Namenda)(登録商標))またはこれらの組合せを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
再発型の多発性硬化症が、再発性寛解型多発性硬化症(RRMS)または再発性二次性進行型多発性硬化症(SPMS)である、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
抗体またはこの抗原結合性断片が、複数可変投薬レジメンに従って投与される、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
複数可変投薬レジメンが、負荷用量および負荷用量よりも低い治療用量を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
負荷用量が、100mg、300mg、1200mgおよび3600mgからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
治療用量が、50mg、150mg、600mgおよび1800mgからなる群から選択される、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
負荷用量と第1の治療用量の間の時間間隔が、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1カ月、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも2カ月、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間または少なくとも12週間である、請求項24に記載の方法。
【請求項28】
抗体またはこの抗原結合性断片が、週に1回、1週間おきに1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、2カ月に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回または12週間に1回投与される、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2015年9月11日に出願された米国特許出願第62/217,672号、2016年6月1日に出願された米国特許出願第62/344,024号、2016年7月15日に出願された米国特許出願第62/362,931号および2016年8月30日に出願された米国特許出願第62/381,322号の利益を主張する。上記出願の各々の内容は、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる。
配列表
本出願は、EFS-Webを介してASCIIフォーマットで提出された配列表を含み、参照によりこの全体を本明細書に組み込む。2016年9月9日に作製されたこのASCIIコピーは、ABV12225WOO1_SEQ-LIST.txtという名称であり、サイズは27,242バイトである。
【0002】
本発明は、抗RGMa抗体および再発性寛解型多発性硬化症または再発性二次性進行型多発性硬化症のような再発型の多発性硬化症を含む多発性硬化症を治療するためのこれらの抗体の使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
多発性硬化症(MS)は、炎症、脱髄、軸索切断および神経細胞喪失を特徴とする中枢神経系(CNS)の慢性自己免疫および神経変性障害である。世界中で約250万人が罹患しており、若年成人の神経障害の最も一般的な原因である。通常、20-40歳の年齢で診断され、男性の2倍の女性が罹患している。
【0004】
MS患者の約85%が、最初に再発性寛解型MS(RRMS)と診断される。RRMS患者は、多年にわたって断続的に起こる、各々が数日から数週間持続する神経学的機能不全の別個のエピソード(再発、憎悪または発作と呼ばれる。)を経験し、相対的な安定期間によって分離された神経機能の喪失を特徴とする。再発後の神経機能的回復は可変であるが、回復は経時的に不完全である傾向であり、再発の推定42-57%は神経学的欠損の後遺症と関連している。臨床症状は可変であり、運動、感覚、視覚、膀胱および腸の機能不全および不均衡を伴う。脳萎縮は、軸索およびミエリンの喪失を象徴し、認知機能の喪失と一致して、早期に起こり、臨床経過を通じて進行性である。RRMS患者の大部分は、最終的に、臨床的に異なる再発とは無関係に障害が進行する二次性進行型MS(SPMS)を発症する。再発は、特にRRMSからSPMSへの移行中およびSPMSの早期経過中(再発性SPMS)にSPMS患者において生じ得、T1加重磁気共鳴画像法(MRI)におけるガドリニウム増強によって検出される急性炎症性病変と関連する可能性がある。したがって、再発型MS(RFMS)という用語は、RRMSまたは再発性SPMSを有する患者を指す。しかしながら、経時的に、再発は頻度が非常に少なくなり、MRIで検出された急性炎症性病変(非再発性SPMS)に応じた減少と並行して生じる可能性がある。
【0005】
MS患者における不可逆性障害の主な原因は、経時的な、累積的軸索/ニューロンおよびミエリン/希突起膠腫の損傷によるものである。軸索の切断を含む軸索損傷は、MSの初期に始まり、炎症活動と相関するが、炎症の徴候がほとんどないまたは全くない領域で生じ得る。いくつかのメカニズムは、軸索喪失、例えば、炎症性分泌、希突起膠腫由来の支持の喪失、軸索イオン濃度の乱れ、エネルギー不全およびカルシウム蓄積をもたらす。免疫系の先天性と適応性アームはともに、自己または交差反応性の微生物病原体による免疫細胞の活性化後のミエリン鞘および希突起膠細胞に関連するいくつかの抗原に対する異常応答に関与する。T細胞(特にCD4+Th1細胞)上の細胞マーカーが関与しているが、CNSの外側と内側の両方で作用する、様々な他の細胞型(CD8+T細胞、B細胞、マクロファージおよびミクログリア)および可溶性産物(プロテアーゼ、サイトカインおよび一酸化窒素)によって促進される。死後研究において報告された軸索切断および軸索喪失は、再ミエリン化および神経再生を阻害する因子と関連していることが示されている。さらに、脳および脊髄の萎縮は、MS患者の顕著な特徴であり、末期疾患で脊髄病変における軸索の総喪失の推定は70%に達する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、より頑強な免疫調節性の抗炎症薬の開発において過去20年間にわたり主要な治療上の進歩があったにもかかわらず、これらの治療様式は、MS患者の永続的な神経学的障害の主要な原因を示す、軸索変性症および希突起膠細胞アポトーシスの神経変性成分の予防および改善においてあまり効果的でないという認識が高まっている。したがって、軸索変性症および希突起膠細胞アポトーシスの神経変性成分の予防、改善および回復において効果的である、MS患者を治療する新しい方法が当該技術分野において必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(要旨)
一態様において、本開示は、治療を必要とする対象における再発型の多発性硬化症を治療するための方法を提供する。本方法は、反発性誘導分子(Repulsive Guidance Molecule)A(RGMa)に特異的に結合する治療有効量の抗体またはこの抗原結合性断片を投与することを含み、抗体または抗原結合性断片は、
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含む相補性決定領域(CDR)-1、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-2、および配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-3を含む可変重鎖;ならびに
(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-1、配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-3を含む可変軽鎖
を含む。
【0008】
上記の方法に従って治療される再発型の多発性硬化症は、再発性寛解型多発性硬化症(RRMS)または再発性二次性進行型多発性硬化症(SPMS)であり得る。
【0009】
上記の方法において、抗体またはこの抗原結合性断片は、約50mgから約4000mgの量で、または約50mgから約2500mgの量で対象に投与することができる。
【0010】
より具体的には、抗体またはこの抗原結合性断片は、約50mg、75mg、100mg、120mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、600mg、1000mg、1200mg、1600mg、1800mg、2400mgまたは3600mgの量で対象に投与することができる。
【0011】
このような抗体または抗原結合性断片は、対象に静脈内投与され得る。あるいは、このような抗体または抗原結合性断片は、対象に皮下投与され得る。
【0012】
上記の方法において使用される抗体または抗原結合性断片は、配列番号13のアミノ酸配列を含む可変重鎖および配列番号14のアミノ酸配列を含む可変軽鎖を有する。さらに、抗体は、ヒト抗体、免疫グロブリン分子、ジスルフィド結合Fv、モノクローナル抗体、親和性成熟抗体、scFv、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、ヒト化抗体、多重特異性抗体、Fab、二重特異性(dual specific)抗体、DVD、Fab’、二重特異性(bispecific)抗体、F(ab’)2およびFvからなる群から選択され得る。一態様において、抗体はヒト抗体であり得る。別の態様において、抗体はモノクローナル抗体であり得る。さらに別の態様において、抗体は親和性成熟抗体であり得る。なおさらに別の態様において、抗体はキメラ抗体であり得る。なおさらなる態様において、抗体はヒト化抗体である。さらに別の態様において、抗体はFab、Fab’、F(ab’)2またはFvである。なおさらなる態様において、抗体は二重特異性(dual specific)抗体、DVDまたは二重特異性(bispecific)抗体である。
【0013】
さらに、上記の方法において使用される抗体は、配列番号12の定常配列をさらに含むことができる。
【0014】
ある特定の態様において、本明細書に開示されている方法は、複数可変投薬レジメンを含み、レジメンは少なくとも2つの相を含む。例えば、複数可変投薬レジメンは、抗体またはこの抗原結合性断片の少なくとも1つの負荷用量を投与することを含む第1の相を含み、続いて、該負荷用量よりも少ない少なくとも1つの治療用量を投与することを含むその後の相を含み得る。治療用量は、負荷用量より、少なくとも10%少ない量、少なくとも20%少ない量、少なくとも30%少ない量、少なくとも40%少ない量、少なくとも50%少ない量、少なくとも60%少ない量、少なくとも70%少ない量、少なくとも80%少ない量、少なくとも90%少ない量である量であり得る。
【0015】
別の態様において、本明細書に開示されている方法は、追加の治療剤を対象に投与することをさらに含む。追加の治療剤は、免疫抑制剤または多発性硬化症に伴う1つ以上の症状を治療する薬剤であり得る。例えば、追加の治療剤は、アルファもしくはベータインターフェロン(例えば、アボネックス(Avonex)もしくはベタセロン(Betaseron))、メチルプレドニゾロン(ソル-メドロール(Solu-Medrol))もしくはプレドニゾン(デルタゾン(Deltasone))のような全身性コルチコステロイド、グラチラマー(コパキソン(Copaxone))、フィンゴリモド(ギレンヤ(Gilenya))、ナタリズマブ(チサブリ(Tysabri))、ミトキサントロン(ノバントロン(Novantrone))、テリフルニミド(アウバジオ(Aubagio))、BG-12(テクフィデラ(Tecfidera))、アレムツズマブ(レムトラダ(Lemtrada))、ダクリズマブ(ジンブリタ(Zinbryta))、オクレリズマブ(オクレブス(Ocrevus))、アマンタジン(シンメトレル(Symmetrel))、アミトリプチリン(エラヴィル(Elavil))、ノルトリプチリン、モダフィニル(プロビジル(Provigil))、ダルファムピリジン(アムピラ(Ampyra))、認知促進薬、免疫調節薬または神経保護薬を含み得る。認知促進薬は、アセチルコリン受容体アゴニスト、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、ブチリルコリンエステラーゼ阻害剤、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト、活性依存性神経保護タンパク質(ADNP)アゴニスト、セロトニン5-HT1A受容体アゴニスト、5-HT4受容体アゴニスト、5-HT6受容体アンタゴニスト、セロトニン1A受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト、カルパイン阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)タンパク質もしくはアゴニスト、栄養成長因子、抗アポトーシス化合物、AMPA型グルタミン酸受容体活性化因子、L型もしくはN型カルシウムチャネル遮断薬もしくは調節因子、カリウムチャネル遮断薬、低酸素誘導因子(HIF)活性化因子、HIFプロリル4-ヒドロキシラーゼ阻害剤、抗炎症剤、アミロイドAβペプチドもしくはアミロイドプラークの阻害剤、タウ過剰リン酸化の阻害剤、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、ホスホジエステラーゼ4阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、これらの医薬として許容される塩、またはこれらの組合せを含み得る。例えば、認知促進薬は、ドネペジル(アリセプト(Aricept)(登録商標))、リバスチグミン(イクセロン(Exelon)(登録商標))、ガランタミン(レミニル(Reminyl)(登録商標))、メマンチン(ナメンダ(Namenda)(登録商標))またはこれらの組合せを含み得る。AE-12-1-Y-QLおよび本明細書に開示されている他の抗RGMa抗体は、追加の治療剤と組み合わせて使用されてもよい。AE-12-1-Y-QLのような完全ヒトモノクローナル抗体を含む、本明細書に開示されている抗RGMa抗体は、前述の追加の治療剤からの特異的な別個の新規な作用メカニズムを有する新規な分子実体を表す。さらに、AE-12-1-Y-QLはシトクロム酵素活性を誘導せず、したがって、薬物-薬物相互作用の可能性は低い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】指示された量でおよび指示された経路による単回投薬後のAE-12-1-Y-QLの平均(+SD)(標準偏差)濃度-時間プロファイルを示す図である。左パネルはリニアスケールであり、右パネルはログスケールである。
【
図2】静脈内(IV)経路または皮下(SC)経路のいずれかによって投与された単回投薬後の150mgのAE-12-1-Y-QLの平均(+SD)濃度-時間プロファイルを示す図である。左パネルはリニアスケールであり、右パネルはログスケールである。
【
図3】AE-12-1-Y-QLの単回投薬後の平均(±SD)用量標準化CmaxおよびAUC
∞(時間0から無限時間までの曲線下面積)を示す。
【
図4】指示された量でAE-12-1-Y-QLの単回投薬の投与後7日目の血清(μg/mL)および脳脊髄液(ng/mL)中のAE-12-1-Y-QL濃度を示す図である。
【
図5】指示された量でおよび指示された経路によるAE-12-1-Y-QLの単回投薬の投与後のベースラインおよび7日目の結合したRGMaレベル(ng/mL)を示す図である。
【
図6】指示された量でおよび指示された経路によるAE-12-1-Y-QLの単回投薬の投与後のベースラインおよび7日目の遊離RGMaレベル(ng/mL)を示す図である。
【
図7】指示された量でおよび指示された経路によるAE-12-1-Y-QLの単回投薬の投与後のベースラインおよび7日目の全RGMaレベル(ng/mL)を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本明細書において、それを必要とする患者に治療有効量の1つ以上の抗RGMa抗体を投与することにより、多発性硬化症、特に再発型の多発性硬化症(例えば、再発性寛解型多発性硬化症および再発性二次性進行型多発性硬化症)を治療する方法が提供される。
【0018】
1.定義
他に定義されない限り、本明細書において使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。対立する場合は、定義を含めて本明細書が優先される。好ましい方法および材料は後述されるが、本明細書に記載されている方法および材料と同様または同等のものは本発明の実施または試験において使用することができる。本明細書において言及される全ての出版物、特許出願、特許および他の参考文献は参照によりそれらの全体を組み込む。本明細書において開示されている材料、方法および実施例は例として挙げたにすぎず、限定を意図したものではない。
【0019】
用語「含む」、「含む」、「有すること」、「有する」、「できる」、「含有する」およびこれらの派生語は、本明細書において使用するとき、作業または構造を追加する可能性を排除することのない、オープンエンドな移行句、用語または単語であることが意図される。単数形である「1つの(a)」、「および(and)」および「その(the)」は、文脈が明確に他に指示をしていなければ、複数参照を含む。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書において提示されている実施形態または要素「を含む」、「からなる」および「から本質的になる」他の実施形態を考慮している。
【0020】
「約」とは、本明細書において使用するとき、記述された値からおよそ±10%の変動を指すことができる。このような変動は、具体的な言及がなされているか否かにかかわらず、本明細書において提供される任意の所与の値に常に含まれることが理解されるべきである。
【0021】
「親和性成熟抗体」は、改変(複数可)を有しない親抗体と比較して、標的抗原に対する抗体の親和性(すなわち、KD、kdまたはka)の改善をもたらす、1つ以上のCDRにおける1つ以上の改変を有する抗体を指すために本明細書において使用される。例示的な親和性成熟抗体は、標的抗原に対してナノモルまたはさらにはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体を生産するための様々な手段が当該技術分野において知られ、バイオディスプレイを用いて生産されているコンビナトリー抗体ライブラリーのスクリーニングを含む。例えば、Marksら、BioTechnology、10巻:779-783頁(1992年)は、VHおよびVLドメインシャッフリングによる親和性成熟について記載している。CDRおよび/またはフレームワーク残基のランダム突然変異誘発は、Barbasら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA、91巻:3809-3813頁(1994年);Schierら、Gene、169巻:147-155頁(1995年);Yeltonら、J.Immunol.、155巻:1994-2004頁(1995年);Jacksonら、J.Immunol.、154巻(7号):3310-3319頁(1995年);およびHawkinsら、J.Mol.Biol.、226巻:889-896頁(1992年)に記載されている。選択的突然変異誘発部位および活性増強アミノ酸残基との接触部位または超突然変異部位での選択的突然変異は、米国特許第6,914,128号に記載されている。
【0022】
「抗体」および「抗体(複数)」とは、本明細書において使用するとき、モノクローナル抗体、多重特異性抗体、ヒト抗体、(完全にまたは部分的にヒト化された)ヒト化抗体、鳥類(例えば、アヒルまたはガチョウ)、サメ、クジラおよび哺乳動物、例えば非霊長類(例えば、ウシ、ブタ、ラクダ、ラマ、ウマ、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ハムスター、モルモット、ネコ、イヌ、ラット、マウスなど)もしくは非ヒト霊長類(例えば、サル、チンパンジーなど)を含むが、これらに限定されない、動物抗体、組換え抗体、キメラ抗体、一本鎖Fvs(「scFv」)、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、Fab断片、F(ab’)断片、F(ab’)2断片、ジスルフィド結合Fvs(「sdFv」)および抗イディオタイプ抗体(「抗Id」)、二重ドメイン抗体、二重可変ドメイン(DVD)抗体または三重可変ドメイン(TVD)抗体(二重可変ドメイン免疫グロブリンおよびこれらを製造する方法は、Wu,C.ら、Nature Biotechnology、25巻(11号):1290-1297頁(2007年)およびPCT国際出願公開第WO2001/058956号に記載されており、それぞれの文献の内容は、参照により本明細書に組み込む。)ならびに上述されたいずれかの機能的に活性なエピトープ結合断片を指す。特に、抗体は、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な断片、すなわち、分析物結合部位を含有する分子を含む。免疫グロブリン分子は、任意のタイプ(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであり得る。簡単にするために、分析物に対する抗体は、本明細書においてしばしば「抗分析物抗体」または単に「分析物抗体」(例えば、抗RGMa抗体またはRGMa抗体)と称される。
【0023】
「抗体断片」とは、本明細書において使用するとき、抗原-結合部位または可変領域を含む完全な抗体の一部を指す。一部は、完全な抗体のFc領域の定常重鎖ドメイン(すなわち、抗体アイソタイプに応じたCH2、CH3またはCH4)を含まない。抗体断片の例としては、限定されないが、Fab断片、Fab’断片、Fab’-SH断片、F(ab’)2断片、Fd断片、Fv断片、ダイアボディ、一本鎖Fv(scFv)分子、ただ1つの軽鎖可変ドメインを含有する一本鎖ポリペプチド、軽鎖可変ドメインの3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチド、ただ1つの重鎖可変領域を含有する一本鎖ポリペプチドおよび重鎖可変領域の3つのCDRを含有する一本鎖ポリペプチドが挙げられる。
【0024】
「二重特異性(bispecific)抗体」は、クアドローマ(quadroma)技術(Milsteinら、Nature、305巻(5934号):537-540頁(1983年)を参照されたい)により、2つの異なるモノクローナル抗体の化学的結合(Staerzら、Nature、314巻(6012号):628-631頁(1985年)を参照されたい)によりまたはノブイントゥーホール(knob-into-hole)もしくは1つだけが機能的な二重特異性抗体である多数の異なる免疫グロブリン種をもたらすFc領域に突然変異を導入する類似したアプローチ(Holligerら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90巻(14号):6444-6448頁(1993年)を参照されたい)により作製される完全長抗体を指すために本明細書において使用される。二重特異性抗体は、2つの結合アーム(1対のHC/LC)のうちの1つにおいて1つの抗原(またはエピトープ)を結合させ、第2のアーム(別の1対のHC/LC)において異なる抗原(またはエピトープ)を結合させる。この定義によって、二重特異性抗体は、2つの異なる抗原結合性アーム(特異性とCDR配列の両方において)を有し、それが結合する各抗原に対して一価である。
【0025】
「CDR」は、抗体可変配列内の「相補性決定領域」を指すために本明細書において使用される。重鎖および軽鎖のそれぞれの可変領域において3つのCDRがあり、それぞれの可変領域に対して「CDR1」、「CDR2」、および「CDR3」と称される。用語「CDRセット」とは、本明細書において使用するとき、抗原を結合させる単一の可変領域に存在する3つのCDRのグループを指す。これらのCDRの正確な境界は、異なるシステムに従って、異なって画定されている。Kabatにより報告されているシステム(Kabatら、Sequences of Proteins of Immunological Interest(National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1987年)および(1991年))は、抗体の任意の可変領域に適用可能な一義的に残基を番号付けするシステムをもたらすだけでなく、3つのCDRを画定する正確な残基の境界ももたらす。これらのCDRは「Kabat CDR」と呼ばれる場合がある。Chothiaおよび共同研究者ら(ChothiaおよびLesk、J.Mol.Biol.、196巻:901-917頁(1987年);およびChothiaら、Nature、342巻:877-883頁(1989年))は、アミノ酸配列のレベルで非常に多様であるにもかかわらず、Kabat CDR内の特定の小部分がほぼ同一のペプチド骨格構造をとることを見出した。これらの小部分は、「L1」、「L2」および「L3」、または「H1」、「H2」および「H3」と称され、この場合、「L」および「H」は軽鎖および重鎖の領域をそれぞれ称する。これらの領域は、「Chothia CDR」と呼ばれる場合があり、Kabat CDRと重複する境界を有する。Kabat CDRと重複するCDRを画定する他の境界は、Padlan、FASEB J.、9巻:133-139頁(1995年);およびMacCallum,J.、Mol.Biol.、262巻(5号):732-745頁(1996年)によって報告されている。さらに他のCDR境界の画定は、本明細書の1つのシステムに厳密には従わないが、それでもなおKabat CDRと重複する。ただし、特定の残基もしくは残基のグループまたはさらにCDR全体が抗原結合に有意な影響を与えないという予想または実験的見解を考慮すると、これらは短くされまたは長くされ得る。ある特定の実施形態がKabatまたはChothiaで画定されたCDRを使用するが、本明細書において使用される方法は、これらのシステムのいずれかに従って画定されたCDRを利用することができる。
【0026】
抗体の「誘導体」とは、本明細書において使用するとき、真正または親の抗体と比較した場合、アミノ酸配列に対する1つ以上の修飾を有する抗体を指し、改変されたドメイン構造を示し得る。この誘導体は、依然として、天然の抗体に見られる典型的なドメイン構成および標的(抗原)に特異的に結合することができるアミノ酸配列を採用することができる。抗体誘導体の典型的な例は、他のポリペプチドに連結された抗体、再構成された抗体ドメインまたは抗体の断片である。誘導体はまた、少なくとも1つのさらなる化合物、例えば、タンパク質ドメインを含み得、上記タンパク質ドメインは、共有結合または非共有結合によって連結されている。この連結は、当該技術分野において公知の方法に従って遺伝子融合に基づくことができる。本発明により使用される抗体を含む融合タンパク質中に存在するさらなるドメインは、好ましくは可動性リンカー、有利にはペプチドリンカーによって連結されてもよく、ここで、上記ペプチドリンカーは、さらなるタンパク質ドメインのC末端と抗体のN末端の間の距離またはその反対にまたがるのに十分な長さの複数の親水性ペプチド結合したアミノ酸を含む。抗体は、生物学的活性または、例えば、固体支持体、生物学的に活性な物質(例えば、サイトカインもしくは成長ホルモン)、化学物質、ペプチド、タンパク質もしくは薬物への選択的結合に適した構造を有するエフェクター分子に連結され得る。
【0027】
「二重特異性抗体」は、それぞれの2つの結合アーム(1対のHC/LC)において2つの異なる抗原(またはエピトープ)を結合することができる完全長抗体を指すために本明細書において使用される(PCT出願公開第WO02/02773号を参照されたい。)。したがって、二重特異性結合タンパク質は、同一の特異性および同一のCDR配列を有する、2つの同一の抗原結合性アームを有し、結合する各抗原に対して二価である。
【0028】
「二重可変ドメイン」は、結合タンパク質における2つ以上の抗原結合部位を指すために本明細書において使用され、結合タンパク質は、二価(2つの抗原結合部位)結合タンパク質、四価(4つの抗原結合部位)結合タンパク質または多価結合タンパク質であり得る。DVDは、単一特異的、すなわち、1つの抗原(または1つの特異的エピトープ)を結合させることが可能であり得、または多重特異的、すなわち、2つ以上の抗原(すなわち、同じ標的抗原分子の2つ以上のエピトープまたは異なる標的抗原の2つ以上のエピトープ)を結合させることが可能であり得る。好ましいDVD結合タンパク質は、2つの重鎖DVDポリペプチドおよび2つの軽鎖DVDポリペプチドを含み、「DVD免疫グロブリン」または「DVD-Ig」と称される。したがって、このようなDVD-Ig結合タンパク質は、四量体であり、IgG分子を連想させるが、IgG分子よりも多くの抗原結合部位を提供する。したがって、四量体DVD-Ig分子の各半分は、IgG分子の半分を連想させ、重鎖DVDポリペプチドおよび軽鎖DVDポリペプチドを含むが、単一の抗原結合ドメインを提供するIgG分子の1対の重鎖および軽鎖と異なり、DVD-Igの1対の重鎖および軽鎖は、2つ以上の抗原結合部位を提供する。
【0029】
DVD-Ig結合タンパク質の各抗原結合部位は、ドナーの(「親の」)モノクローナル抗体に由来し得、したがって、抗原結合部位ごとに抗原結合に関与する計6つのCDRを有する重鎖可変ドメイン(VH)および軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。したがって、2つの異なるエピトープ(すなわち、2つの異なる抗原分子の2つの異なるエピトープまたは同じ抗原分子の2つの異なるエピトープ)を結合させるDVD-Ig結合タンパク質は、第1の親モノクローナル抗体に由来する抗原結合部位および第2の親モノクローナル抗体の抗原結合部位を含む。
【0030】
DVD-Ig結合分子の設計、発現および特徴付けの記載は、PCT出願公開第WO2007/024715号、米国特許第7,612,181号、およびWuら、Nature Biotech.、25巻:1290-1297頁(2007年)において提供されている。このようなDVD-Ig分子の好ましい例は、構造式VD1-(X1)n-VD2-C-(X2)n(式中、VD1は、第1の重鎖可変ドメインであり、VD2は、第2の重鎖可変ドメインであり、Cは、重鎖定常ドメインであり、X1は、CH1ではないという条件でリンカーであり、X2は、Fc領域であり、nは0または1であるが、好ましくは1である。)を含む重鎖を含み;構造式VD1-(X1)n-VD2-C-(X2)n(式中、VD1は、第1の軽鎖可変ドメインであり、VD2は、第2の軽鎖可変ドメインであり、Cは、軽鎖定常ドメインであり、X1は、CH1ではないという条件でリンカーであり、X2は、Fc領域を含まず、nは、0または1であるが、好ましくは1である。)を含む軽鎖を含む。このようなDVD-Igは、2つのこのような重鎖および2つのこのような軽鎖を含み得、各鎖は、可変領域間に定常領域を挟むことなく、タンデムに連結された可変ドメインを含み、ここで、重鎖および軽鎖は、結合して、タンデムな機能的抗原結合部位を形成し、1対の重鎖および軽鎖は、別の1対の重鎖および軽鎖と結合して、4つの機能的抗原結合部位を有する四量体結合タンパク質を形成し得る。別の例において、DVD-Ig分子は、重鎖および軽鎖を含み得、重鎖および軽鎖のそれぞれは、可変ドメイン間に定常領域を挟むことなく、タンデムに連結された3の可変ドメイン(VD1、VD2、VD3)を含み、ここで、1対の重鎖および軽鎖は、結合して、3つの抗原結合部位を形成し得、1対の重鎖および軽鎖は、別の1対の重鎖および軽鎖と結合して、6つの抗原結合部位を有する四量体結合タンパク質を形成し得る。
【0031】
一実施形態において、本発明によるDVD-Ig結合タンパク質は、この親モノクローナル抗体が結合する同じ標的分子を結合させるだけでなく、1つ以上のこの親モノクローナル抗体の1つ以上の望ましい特性も有する。例えば、このような追加的特性は、1つ以上の親モノクローナル抗体の抗体パラメーターである。1つ以上のこの親モノクローナル抗体からのDVD-Ig結合タンパク質に寄与し得る抗体パラメーターは、限定されないが、抗原特異性、抗原親和性、有効性、生物学的機能、エピトープ認識、タンパク質安定性、タンパク質可溶性、生産効率、免疫原性、薬物動態、生物学的利用能、組織交差反応性およびオルソロガスな抗原の結合を含む。
【0032】
DVD-Ig結合タンパク質は、RGMaの少なくとも1つのエピトープを結合させる。DVD-Ig結合タンパク質の非制限的な例としては、RGMaの1つ以上のエピトープを結合させるDVD-Ig結合タンパク質、ヒトRGMaのエピトープおよび別の種(例えば、マウス)のRGMaペプチドのエピトープを結合させるDVD-Ig結合タンパク質ならびにヒトRGMaのエピトープおよび別の標的分子(VEGFR2またはVEGFR1)のエピトープを結合させるDVD-Ig結合タンパク質が挙げられる。
【0033】
「エピトープ」または「エピトープ(複数)」または「目的のエピトープ」は、認識され、特異的結合パートナーにおける相補的部位(複数可)に結合し得る任意の分子における部位(複数可)を指す。分子および特異的結合パートナーは、特異的な結合の対の一部である。例えば、エピトープは、ポリペプチド、タンパク質、ハプテン、糖鎖抗原(例えば、限定されないが、糖脂質、糖タンパク質もしくはリボ多糖)または多糖であり得る。この特異的結合パートナーは、限定されないが、抗体であり得る。
【0034】
「フレームワーク」(FR)または「フレームワーク配列」とは、本明細書において使用するとき、CDRを除いた可変領域の残りの配列を意味し得る。CDR配列の正確な画定は、異なるシステムによって決定することができるため(例えば、上記を参照されたい)、フレームワーク配列の意味は、それに応じて異なる解釈を受ける。6つのCDR(軽鎖のCDR-L1、-L2および-L3ならびに重鎖のCDR-H1、-H2および-H3)はまた、軽鎖および重鎖のフレームワーク領域を、各鎖において4つのサブ領域(FR1、FR2、FR3およびFR4)に分割し、CDR1はFR1とFR2の間に位置し、CDR2はFR2とFR3の間に位置しおよびCDR3はFR3とFR4の間に位置する。FR1、FR2、FR3またはFR4として具体的なサブ領域を特定するものではないが、他に言及されるように、フレームワーク領域は、単一の、天然に存在する免疫グロブリン鎖の可変領域内の組み合わせられたFRを表す。本明細書において使用するとき、FRは、4つのサブ領域のうちの1つを表し、FR(複数)は、フレームワーク領域を構成する4つのサブ領域のうちの2つ以上を表す。
【0035】
ヒト重鎖および軽鎖FR配列は、当該技術分野において公知の技術を用いて、非ヒト抗体をヒト化するための重鎖および軽鎖「アクセプター」フレームワーク配列(または単に「アクセプター」配列)として使用され得ると、当該技術分野において公知である。一実施形態において、ヒト重鎖および軽鎖アクセプター配列は、V-ベースのような公衆に利用可能なデータベースにおいてまたは国際ImMunoGeneTics(登録商標)(IMGT(登録商標))情報システムにおいて列挙されたフレームワーク配列から選択される。
【0036】
「機能的抗原結合部位」とは、本明細書において使用するとき、標的抗原に結合することができる結合タンパク質(例えば、抗体)上の部位を意味し得る。抗原結合部位の抗原結合親和性は、抗原結合部位が由来する親結合タンパク質、例えば親抗体ほど強力でなくてもよいが、抗原に結合する能力が、抗原に結合するタンパク質、例えば抗体について評価するために公知の様々な方法のうちのいずれか1つを用いて測定可能であり得る。さらに、多価タンパク質、例えば多価抗体の各抗原結合部位の抗原結合親和性は、本明細書において定量的に同じである必要はない。
【0037】
「ヒト抗体」は、本明細書において使用するとき、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列に由来する可変領域および定常領域を有する抗体を含み得る。本明細書に記載されているヒト抗体は、ヒト生殖細胞系列免疫グロブリン配列によってコードされないアミノ酸残基(例えば、インビトロでランダムもしくは部位特異的な突然変異によって導入された突然変異、またはインビボで体細胞突然変異により導入された突然変異)を含み得る。しかしながら、用語「ヒト抗体」は、本明細書において使用するとき、マウスのような別の哺乳動物種の生殖細胞系列に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列に移植されている抗体を含むことを意図していない。
【0038】
「ヒト化抗体」は、非ヒト種(例えば、マウス)からの重鎖および軽鎖の可変領域配列を含むが、VHおよび/またはVL配列のうちの少なくとも一部が、より「ヒトのような」、すなわち、ヒト生殖細胞系列可変配列により類似するように改変されている抗体を記載するために本明細書において使用される。「ヒト化抗体」は、抗体またはこの変異体、誘導体、類似体もしくは断片であり、免疫特異的に目的の抗原に結合し、ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有するフレームワーク(FR)領域ならびに非ヒト抗体のアミノ酸配列を実質的に有する相補性決定領域(CDR)を含む。本明細書において使用するとき、CDRとの関連において用語「実質的に」とは、非ヒト抗体CDRのアミノ酸配列と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%または少なくとも99%同一のアミノ酸配列を有するCDRを指す。ヒト化抗体は、少なくとも1つの、典型的には2つの可変ドメイン(Fab、Fab’、F(ab’)2、FabC、Fv)の実質的に全てを含み、ここで、全てまたは実質的に全てのCDR領域は、非ヒト免疫グロブリン(すなわち、ドナー抗体)のCDR領域に対応し、全てまたは実質的に全てのフレームワーク領域は、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のフレームワーク領域である。一実施形態において、ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部も含む。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、軽鎖に加えて、重鎖の少なくとも可変ドメインも含有する。抗体はまた、重鎖のCH1、ヒンジ、CH2、CH3およびCH4領域を含み得る。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト化軽鎖だけを含有する。一部の実施形態において、ヒト化抗体は、ヒト化重鎖だけを含有する。特定の実施形態において、ヒト化抗体は、軽鎖のヒト化可変ドメインおよび/またはヒト化重鎖だけを含有する。
【0039】
ヒト化抗体は、IgM、IgG、IgD、IgAおよびIgEを含む任意のクラスの免疫グロブリンならびに限定されないが、IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4を含む任意のアイソタイプから選択され得る。ヒト化抗体は、1つを超えるクラスまたはアイソタイプからの配列を含み得、特定の定常ドメインは、当該技術分野において周知の技術を用いて、望ましいエフェクター機能を最適化するために選択され得る。
【0040】
ヒト化抗体のフレームワーク領域およびCDRは、親配列に正確に対応する必要はなく、例えば、その部位におけるCDRまたはフレームワーク残基が、ドナー抗体またはコンセンサスフレームワークのいずれかに対応しないように、ドナー抗体CDRまたはコンセンサスフレームワークが、少なくとも1つのアミノ酸残基の置換、挿入および/または欠失によって突然変異させられ得る。しかしながら、好ましい実施形態において、このような突然変異は広範囲なものではない。通常、少なくとも80%、好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%のヒト化抗体残基は、親FRおよびCDR配列のヒト化抗体残基に対応する。本明細書において使用するとき、用語「コンセンサスフレームワーク」とは、免疫グロブリンコンセンサス配列におけるフレームワーク領域を指す。本明細書において使用するとき、用語「免疫グロブリンコンセンサス配列」とは、関連する免疫グロブリン配列のファミリー(例えば、Winnaker、From Genes to Clones(Verlagsgesellschaft、Weinheim、1987)を参照されたい)において最も頻繁に現れるアミノ酸(またはヌクレオチド)から形成された配列を指す。したがって、「免疫グロブリンコンセンサス配列」は、「コンセンサスフレームワーク領域(複数可)」および/または「コンセンサスCDR(複数可)」を含み得る。免疫グロブリンのファミリーにおいて、コンセンサス配列における各位置は、ファミリーにおいてこの位置に最も頻繁に現れるアミノ酸によって占有される。2つのアミノ酸が同等の頻度で現れる場合、いずれかがコンセンサス配列に含まれ得る。
【0041】
「連結配列」または「連結ペプチド配列」とは、目的の1つ以上のポリペプチド配列(例えば、全長、断片など)に接続された天然または人工のポリペプチド配列を指す。用語「接続された」とは、目的のポリペプチド配列への連結配列の接続を指す。このようなポリペプチド配列は、好ましくは、1つ以上のペプチド結合によって接続される。連結配列は、約4から約50アミノ酸の長さを有し得る。好ましくは、連結配列の長さは、約6から約30アミノ酸である。天然の連結配列は、アミノ酸の置換、付加または欠失によって改変され、人工の連結配列を作ることができる。例示的な連結配列としては、限定されないが、以下のものが挙げられる:(i)アミノ酸配列HHHHHH(配列番号15)を有する6×Hisタグ(配列番号15)のようなヒスチジン(His)タグは、目的のポリペプチドおよび抗体の単離および精製を容易にするために連結配列として有用である;(ii)Hisタグのようなエンテロキナーゼ切断部位は、目的のタンパク質および抗体の単離および精製に使用される。多くの場合、エンテロキナーゼ切断部位は、目的のタンパク質および抗体の単離および精製において、Hisタグとともに使用される。種々のエンテロキナーゼ切断部位が、当該技術分野において公知である。エンテロキナーゼ切断部位の例としては、限定されないが、アミノ酸配列DDDDK(配列番号16)およびこの誘導体(例えば、ADDDDK(配列番号17)など)が挙げられる;(iii)一本鎖可変領域断片の軽鎖可変領域および/または重鎖可変領域を連結または接続するために、種々の配列を使用することができる。他の連結配列の例は、Birdら、Science 242巻:423-426頁(1988年);Hustonら、PNAS USA 85巻:5879-5883頁(1988年);およびMcCaffertyら、Nature 348巻:552-554頁(1990年)に見出すことができる。また、薬物の結合または固体支持体への結合のようなさらなる機能のために、連結配列が改変され得る。本開示との関連では、モノクローナル抗体は、例えば、Hisタグ、エンテロキナーゼ切断部位またはこの両方のような連結配列を含有し得る。
【0042】
「複数可変投薬レジメン」とは、治療の過程を通して様々な時点で異なる用量の抗RGMa抗体またはこの抗原結合性断片の投与を含む治療スケジュールまたはレジメンを指す。例えば、複数可変投薬レジメンは、最初に投与される負荷用量およびこの後に投与される1つ以上の治療用量を含み得る。一実施形態において、負荷用量は、その後の治療用量(複数可)よりも高い用量である。
【0043】
「負荷用量」とは、本明細書において使用するとき、対象における再発型の多発性硬化症を治療するために最初に使用される抗RGMa抗体またはこの抗原結合性断片の第1の用量(複数可)を指す。負荷用量は、その後の治療用量と比較して大きくてもよい。負荷用量は、単回用量であってもよく、あるいは一組の用量であってもよい。例えば、3600mg用量は、1回の3600mg用量として、それぞれ1800mgの2回用量として、またはそれぞれ900mgの4回用量として投与することができる。一実施形態において、負荷用量の後には、より少ない用量、例えば治療用量(複数可)の投与が続く。
【0044】
「治療用量」とは、本明細書において使用するとき、負荷用量の後に対象に投与される抗RGMa抗体またはこの抗原結合性断片のその後の用量を指す。治療用量は、所望の治療効果を維持または継続するために対象に投与される。治療用量は、単回用量であってもよく、あるいは一組の用量であってもよい。一実施形態において、治療用量(複数可)は、負荷用量(複数可)よりも小さく、各治療用量は、連続して投与される場合、互いに等しくてもよい。
【0045】
用語「コロンビア自殺重症度評価尺度」または「C-SSRS」とは、本明細書において交換可能に使用するとき、治療研究を通じて自殺有害事象を追跡するために開発された体系的に管理された手段を指す。この手段は、自殺行動と自殺念慮を評価し、試みの致死性だけでなく自殺の全ての事象を追跡および評価するように設計されている。評価される追加の特徴は、頻度、持続時間、制御性、念慮の理由および抑止力を含む。C-SSRSは、実施に要する時間が5分未満のため、負担の軽い手段とみなされる。
【0046】
用語「拡張障害状態尺度(EDSS)」または「EDSS」とは、本明細書において交換可能に使用するとき、ヒト評価を必要とする順序付けられた(序数)評価尺度を使用する標準化された評価尺度を指す。EDSSは、8つの機能システム(FS):錐体、小脳、脳幹、感覚、腸および膀胱、視覚、脳ならびにその他における障害を定量化する。EDSSにより、神経科医はこれらのそれぞれの機能システムスコア(FSS)を割り当てることができる。
【0047】
用語「多発性硬化症機能性複合(Multiple Sclerosis Functional Composite)」または「MFSC」とは、本明細書において交換可能に使用するとき、ヒト機能を試験するための標準化された手順を用いる性能尺度を指し、時限25フィート歩行(T25FW;Timed 25 Foot Walk);9ホールペグ試験(9HPT;9 Hole Peg Test);および定速聴覚的連続加算試験(PASAT;Paced Auditory Serial Arithmetic )からなる。特定のMSFC制限、すなわち、要約スコアの抽象的であり無次元な性質、多数の臨床家がzスコアに慣れていないという事実のため、ならびに参照集団が成分の絶対値および加重に影響を与えるため、MSFCスコアは、臨床的に容易に解釈されないまたは研究を通して比較されない。代替的な分析手法は、悪化を、成分試験のいずれかにおいて予め指定された量だけスコアが上昇することとして定義するために使用され、確実に決定することができ、臨床的関連性(例えば、20%)を有し、2つの連続した時点で同じ成分において悪化を実証することができる。
【0048】
用語「多発性硬化症の影響スケール、身体」、「MSIS-29 PHYS」または「MSIS-29」とは、本明細書において交換可能に使用するとき、MSの身体的および心理的影響を評価するために使用される疾患特異的な患者による報告の評価項目を指す。MSIS-29は、20項目の身体的影響サブスケール(MSIS-29 PHYS)および9項目の心理的影響サブスケール(MSIS-29 PSYCH)を含む。MSIS-29 PHYSのベースラインからの≧7.5ポイントの悪化は、臨床研究集団において臨床的に意味があることが示されている。患者が報告したMSの身体的影響が臨床的に意味のある悪化を伴う患者の比率(MSIS-29 PHYSで≧7.5ポイントの悪化)は、研究の経過とともに連続した時点で評価される。
【0049】
用語「多発性硬化症の生活の質-54」または「MSQOL-54」とは、本明細書において交換可能に使用するとき、一般的な項目およびMS特異的な項目の両方を単一の手段に組み合わせた、多次元健康関連の生活の質尺度を指す。54項目の手段は、2つの要約スコアおよび2つの追加の単一項目尺度とともに12個のサブスケールを生成する。サブスケールは、身体機能、役割制限-身体、役割制限-感情、痛み、感情的健康、エネルギー、健康知覚、社会機能、認知機能、健康苦痛、全体的な生活の質および性機能である。要約スコアは、身体的健康複合要約および精神的健康複合要約である。単一項目尺度は、性機能および健康の変化に対する満足度である。
【0050】
「多発性硬化症」(MS)とは、ミエリンの進行性破壊を特徴とする中枢神経系の慢性疾患を指し、しばしば機能不全疾患を指す。MSの4つの国際的に認められた形態があり、すなわち、原発性進行型多発性硬化症(PPMS)、再発性寛解型多発性硬化症(RRMS)、二次性進行型多発性硬化症(SPMS)および再発性二次性進行型多発性硬化症(RSPMS)である。再発型のMSは、再発性寛解型多発性硬化症および再発性二次性進行型多発性硬化症を含む。
【0051】
「再発性寛解型多発性硬化症」または「RRMS」は、完全な回復または疾患の進行がないことを特徴とする疾患の再発の間の回復期間に後遺症および残存する欠損を伴う、明確な疾患再発(または憎悪としても知られている)を特徴とする再発型の多発性硬化症である。RRMSの定義要素は、神経機能の急激な悪化、その後の様々な程度の回復、発作間の安定した経過というエピソードである(Lublin,F.D.およびReingold,S.O.,Neurology(46巻)907-911頁(1996年))。再発は、数日間、数週間または数ヶ月間続く可能性があり、回復は遅い、漸進的またはほとんど瞬間的である可能性がある。MSを提示している対象の大多数は、最初にRRMSと診断される。これは、典型的には、彼らが20代または30代にあるときであるが、非常に早くまたは遅く生じる診断が公知である。このサブタイプのMSを伴っている男性の2倍が女性である。再発の間、ミエリン、中枢神経系(CNS)の白質領域の神経線維(ニューロン)周囲の保護絶縁鞘は、身体自身の免疫系による炎症反応において損傷を受ける可能性がある。これは、CNSのどの領域が損傷しているかに応じてかなり異なる様々な神経学的症状を引き起こす。再発の直後に、炎症反応が消失し、CNSの特殊なグリア細胞(稀突起神経膠細胞と呼ばれる)が再ミエリン化を促進し、このプロセスにより軸索周囲のミエリン鞘が修復される。寛解に関与し得るのはこの再ミエリン化である。
【0052】
「原発性進行型多発性硬化症」または「PPMS」は、再発性寛解型疾患経過(RRMS)後に生じる。最初にRRMSと診断された人々の85%のうち、ほとんどが最終的にSPMSに移行する。これは、再発と寛解を経験した期間後、疾患が、いずれの再発の有無にかかわらず(発作または憎悪とも呼ばれる)、より着実に(必ずしもより迅速である必要はないが)進行し始めることを意味する。どの時点においても、SPMSは、多発性硬化症を有する全ての対象の約30%を占める。MSの自然経過は、RRMSと診断された対象の50%が10年以内に二次性進行型MS(SPMS)に移行し、90%が25年以内に移行することを示す。
【0053】
RRMSからSPMSへの顕著な移行は、再発とは無関係に、神経機能の漸進的な悪化がある場合に起こる。SPMSにおいて、人々は炎症によって引き起こされた再発を経験し続ける場合もあるしまたは経験し続けない場合もある;疾患は、RRMSに見られる炎症過程から、神経の損傷または喪失を特徴とするより着実に進行する段階に変化する。「再発性二次性進行型多発性硬化症」または「再発性SPMS」は、脳または脊髄MRIの新規なT1ガドリニウム増強病変または新規なもしくは新規拡大T2病変としてニューロイメージング研究に関して文書化されているように、再発活性および炎症の特徴を依然として示すSPMSへの移行後の初期段階中の対象を含む。
【0054】
「多価結合タンパク質」は、2つ以上の抗原結合部位(本明細書において「抗原結合ドメイン」とも称される)を含む結合タンパク質を指すために本明細書において使用される。多価結合タンパク質は、好ましくは、3つ以上の抗原結合部位を有するように遺伝子操作され、一般的に天然に存在する抗体ではない。用語「多特異的結合タンパク質」とは、同じ標的分子の2つ以上の異なるエピトープに結合することができる結合タンパク質を含む、2つ以上の関連するまたは無関係の標的に結合することができる結合タンパク質を指す。
【0055】
「組換え抗体」および「組換え抗体(複数)」とは、組換え技術により適切な発現ベクターに1つ以上のモノクローナル抗体の全部または一部をコードする核酸配列をクローニングし、この後、適切な宿主細胞において抗体を発現させることを含む、1つ以上の工程により調製された抗体を指す。これらの用語は、限定されないが、組換え的に生成されたモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体(完全にまたは部分的にヒト化されている)、抗体断片から形成された多重特異性または多価構造、二官能性抗体、ヘテロコンジュゲートAb、DVD-Igおよび本明細書において(i)に記載されている他の抗体を含む。(二重可変ドメイン免疫グロブリンおよびそれらを作製する方法は、Wu,C.ら、Nature Biotechnology、25巻:1290-1297頁(2007年)に記載されている。)用語「二官能性抗体」とは、本明細書において使用するとき、1つの抗原部位に特異性を有する第1のアームおよび異なる抗原部位に特異性を有する第2のアームを含む抗体を指し、すなわち、二官能性抗体は二重特異性を有する。
【0056】
「特異的結合」または「特異的に結合する」とは、本明細書において使用するとき、抗体、タンパク質またはペプチドと第2の化学種との相互作用を指し得、ここで、相互作用は、化学種の特定の構造(例えば、抗原性決定基またはエピトープ)の存在に依存する;例えば、抗体は、一般的には、タンパク質というよりはむしろ特定のタンパク質構造を認識し、結合する。抗体がエピトープ「A」に特異的である場合、エピトープA(または遊離の標識されていないA)を含有する分子の存在は、標識された「A」および抗体を含む反応において、抗体に結合した標識されたAの量を減少させる。
【0057】
「治療する」、「治療すること」または「治療」は、それぞれ、このような用語が適用される疾患またはこのような疾患の1つ以上の症状を改善し、緩和し、またはこの進行を阻害することを記載するために、本明細書において交換可能に使用される。治療は、急性または慢性のいずれかの方法で行うことができる。この用語はまた、疾患により苦痛になる前にこのような疾患に関連する疾患または症状の重症度を低下させることを指す。苦痛になる前の疾患の重症度のこのような低下は、疾患により苦痛になった投与の時点ではない対象に、本明細書に記載されている抗体または医薬組成物を投与することを指す。「治療」および「治療的に」とは、上記で定義された「治療すること」と同様に、治療する行為を指す。
【0058】
「変異体」は、アミノ酸の挿入、欠失または保存的置換によってアミノ酸配列が異なるが、少なくとも1つの生物学的活性を保持するペプチドまたはポリペプチドを記載するために本明細書において使用される。「生物学的活性」の代表例には、特異的抗体に結合する能力または免疫応答を促進する能力が含まれる。変異体はまた、少なくとも1つの生物学的活性を保持するアミノ酸配列を有する参照タンパク質と実質的に同一であるアミノ酸配列を有するタンパク質を記載するために本明細書において使用される。アミノ酸の保存的置換、すなわち、アミノ酸を類似の特性(例えば、親水性、程度および荷電領域の分布)の異なるアミノ酸で置換することは、典型的には軽微な変化を伴うものとして当該技術分野において認識されている。これらの軽微な変化は、当該技術分野で理解されているように、部分的には、アミノ酸の疎水性指数を考慮することによって同定することができる。Kyteら、J.Mol.Biol.、157巻:105-132頁(1982年)。アミノ酸の疎水性指数は、疎水性および電荷の考慮に基づく。類似の疎水性指数のアミノ酸が置換され、なおもタンパク質機能を保持することができることは当該技術分野において公知である。一態様において、±2の疎水性指数を有するアミノ酸が置換される。また、アミノ酸の親水性は、生物学的機能を保持するタンパク質をもたらす置換を明らかにするために使用され得る。ペプチドとの関連においてアミノ酸の親水性の考慮は、ペプチドの最大の局所平均親水性の計算を可能にし、これは抗原性および免疫原性と十分に相関すると報告されている有用な手段である。参照により本明細書に組み込む米国特許第4,554,101号。類似した親水性値を有するアミノ酸の置換は、当該技術分野において理解されるように、生物学的活性、例えば免疫原性を保持するペプチドをもたらすことができる。置換は、互いに±2以内の親水性値を有するアミノ酸で行うことができる。アミノ酸の疎水性指数と親水性値はともに、このアミノ酸の特定の側鎖により影響を受ける。この観察と一致して、生物学的機能に適合するアミノ酸置換は、疎水性、親水性、電荷、サイズおよび他の特性によって明らかにされるように、アミノ酸の相対的類似性、特にそれらのアミノ酸の側鎖の相対的類似性に依存すると理解される。「変異体」はまた、アミノ酸配列中の抗RGMa抗体の対応する断片とは異なるが、なおも抗原的に反応性である抗RGMa抗体の抗原的反応性断片を指すために使用することができ、RGMaと結合するための抗RGMa抗体の対応する断片と競合し得る。「変異体」はまた、例えばタンパク質分解、リン酸化または他の翻訳後修飾などによって差異的にプロセシングされたが、抗原反応性を保持しているポリペプチドまたはこの断片を記載するために使用することができる。
【0059】
本明細書における数値範囲の列挙のために、同じ程度の正確さを有するその間の各介在数字が明示的に考慮される。例えば、6-9の範囲については、6と9に加えて7と8の数値が考慮され、6.0-7.0の範囲については、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9および7.0の数値が明示的に考慮される。
【0060】
2.抗RGMa抗体
本明細書において、それを必要とする患者に1つ以上の抗RGMa抗体を投与することにより、多発性硬化症、特に再発型の多発性硬化症(例えば、再発性寛解型多発性硬化症および再発性二次性進行型多発性硬化症)を治療する方法が提供される。本明細書に記載されている方法において使用するための抗RGMa抗体は、反発性誘導分子c(「RGMc」)との反応性を最小化または排除しながら、RGMaに結合する。RGMaに対して産生された抗体はRGMcとしばしば交差反応し、高い静脈内用量では肝細胞に鉄分の蓄積をもたらすため、本明細書に記載されているRGMaに対する抗体の特異的結合は治療上の利益をもたらす。さらに、これらの抗体の高い選択性は、治療のために大きな治療用量ウィンドウまたは範囲を与える。
【0061】
RGMaは、膜結合型および可溶性型で存在する。RGMaは、神経管の発生において役割を果たし、さらに、ともに初期の形態発生事象に影響を及ぼす、細胞接着、細胞移動、細胞極性および細胞分化において役割を果たす。RGMaはまた、神経再生を阻害する。RGMa(膜結合型と可溶性型の両方)の作用は、ネオゲニンおよび/または骨形成タンパク質(BMP)受容体によって媒介され得る。例えば、RGMa-BMP相互作用は、(例えば、ニューロンBMP受容体を介して)神経突起成長阻害を増強し、(例えば、グリアBMP受容体を介して)再ミエリン化を阻害し得る。別の例として、RGMa-ネオゲニン相互作用は、軸索成長を阻害し得る。
【0062】
ある特定の実施形態において、本明細書において提供される抗RGMa抗体は、ヒトRGMaに結合して中和することができる。ある特定の実施形態において、本明細書において提供される抗RGMa抗体は、神経再生特性および神経回復特性の独特の組合せを有し、動物モデルにおける軸索再生、神経保護および再ミエリン化を実証する。RGMaの多面的な役割の観点から、哺乳動物、特にヒトにおいて、抗RGMa抗体との安全性の範囲を確立することが望ましい。
【0063】
a.RGMa認識抗体
多発性硬化症、特に再発型の多発性硬化症(例えば、再発性寛解型多発性硬化症および再発性二次性進行型多発性硬化症)の患者を治療するために使用できる抗体は、RGMa、この断片または変異体に結合する抗体である。抗体は、抗RGMa抗体の断片またはこの変異体もしくは誘導体であってもよい。抗体は、ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であってもよい。抗体は、キメラ抗体、一本鎖抗体、親和性成熟抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、完全ヒト抗体またはFab断片のような抗体断片またはこれらの混合物であってもよい。抗体断片または誘導体は、F(ab’)2、FvまたはscFv断片を含み得る。抗体誘導体は、ペプチド模倣薬によって生成することができる。さらに、一本鎖抗体の生成に関して報告されている技術は、一本鎖抗体を生成するように適合させることができる。
【0064】
ヒト抗体は、ファージディスプレイ技術またはヒト免疫グロブリン遺伝子を発現するトランスジェニックマウスに由来し得る。ヒト抗体は、ヒトのインビボでの免疫応答の結果として生成され、単離され得る。例えば、Funaroら、BMC Biotechnology、2008年(8巻):85頁を参照されたい。したがって、抗体は動物のレパートリーではなくヒトの生成物であり得る。これはヒト起源であるため、自己抗原に対する反応性のリスクを最小限にすることができる。あるいは、標準的な酵母ディスプレイライブラリーおよびディスプレイ技術は、ヒト抗RGMa抗体を選択および単離するために使用することができる。例えば、ナイーブなヒト一本鎖可変断片(scFv)のライブラリーは、ヒト抗RGMa抗体を選択するために使用することができる。トランスジェニック動物は、ヒト抗体を発現させるために使用することができる。
【0065】
ヒト化抗体は、非ヒト種由来の1つ以上の相補性決定領域(CDR)およびヒト免疫グロブリン分子由来のフレームワーク領域を有する、所望の抗原に結合する非ヒト種抗体由来の抗体分子であり得る。
【0066】
抗体は、RGMaに特異的に結合することができる。RGMa特異的RGMa抗体は、配列番号2-4および6-8、配列番号13-14または配列番号2-4、6-8および13-14を含み得る。抗体は、配列番号18、配列番号19、配列番号20またはこの断片もしくは変異体に結合することができる。抗体は、RGMaポリペプチドまたは上記変異体に存在するエピトープを認識し、特異的に結合し得る。エピトープは、配列番号18(全長ヒトRGMa)、配列番号19(配列番号18のアミノ酸47-168に対応するヒトRGMa断片)、配列番号20(ヒトRGMa断片)またはこの変異体であり、それらの配列は以下に提供される。
【0067】
【0068】
【0069】
【0070】
(1)抗体構造
(a)重鎖および軽鎖CDR
抗体は、RGMa(配列番号18)、配列番号19、配列番号20、この断片またはこの変異体に免疫特異的に結合し、表1に示される可変重鎖および/または可変軽鎖を含み得る。抗体は、RGMa、この断片、誘導体または変異体に免疫特異的に結合し、表1にも示される1つ以上の重鎖または軽鎖CDR配列を含み得る。抗体の軽鎖は、カッパ鎖またはラムダ鎖であり得る。例えば、表1を参照されたい。表1に示される抗体を作製するための方法は、WO2013/112922に記載されており、その内容は参照により本明細書に組み込む。
【0071】
【0072】
抗体またはこの変異体もしくは誘導体は、配列番号1-8または13-14の1つ以上と95%超、90%超、85%超、80%超、75%超、70%超、65%超、60%超、55%超または50%超の同一性である1つ以上のアミノ酸配列を含有し得る。抗体またはこの変異体もしくは誘導体は、配列番号1-8または13-14の1つ以上と95%超、90%超、85%超、80%超、75%超、70%超、65%超、60%超、55%超または50%超の同一性である1つ以上の核酸配列によってコードされ得る。ポリペプチドの同一性および相同性は、例えば、報告書のWilbur,W.J.およびLipman,D.J.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、80巻、726-730頁(1983年)に記載されているアルゴリズムによって決定することができる。
【0073】
抗体は、IgG、IgE、IgM、IgD、IgAおよびIgY分子クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2)またはサブクラスであってもよい。例えば、抗体は、以下の定常領域配列を有するIgG1分子であってもよい。
【0074】
【0075】
配列番号9の上記定常領域は、234位および235位の野生型定常領域配列の二(2)つの突然変異を含有する。特に、これらの突然変異は、234位および235位のそれぞれにおけるロイシンからアラニンへの変化である(これは「LLAA」突然変異と称される。)。これらの突然変異は、上記で太字および下線で示されている。これらの突然変異の目的は、エフェクター機能を排除することである。
【0076】
あるいは、IgG1分子は、1つ以上の突然変異を含有する上記定常領域配列(配列番号9)を有することができる。例えば、配列番号9の定常領域配列は、以下の表2に示されるように、スレオニンがグルタミンで置換されているアミノ酸250での突然変異(配列番号10)、メチオニンがロイシンで置換されているアミノ酸428での突然変異(配列番号11)またはスレオニンがグルタミンで置換されているアミノ酸250での突然変異とメチオニンがロイシンで置換されているアミノ酸428での突然変異(配列番号12)を含有してもよい。
【0077】
【0078】
あるいは、IgG1分子は、以下の表3に示されるように、AE12-1(VH)CDR-H1(配列番号2)、AE12-1(VH)CDR-H2(配列番号3)、AE12-1(VH)CDR-H3(配列番号4)を含む重鎖ならびにAE12-1(VL)CDR-L1(配列番号6)、AE12-1(VL)CDR-L2(配列番号7)およびAE12-1-Y(VL)CDR-L3(配列番号8)を含む軽鎖、ならびに配列番号12の定常配列を含有することができる(この抗体はAE12-1-Y-QLと称され、配列番号13の軽鎖配列および配列番号14の重鎖配列を有する。)。
【0079】
【0080】
3.医薬組成物
抗体は、医薬組成物中の成分であり得る。医薬組成物はまた、医薬として許容される担体を含有し得る。本明細書に記載されている抗体を含む医薬組成物は、多発性硬化症、特に(再発性寛解型多発性硬化症および再発性二次性進行型多発性硬化症のような)再発型の多発性硬化症の治療に使用するためのものである。特定の実施形態において、組成物は、本明細書に記載されている1つ以上の抗体を含む。別の実施形態において、医薬組成物は、多発性硬化症、特に、(再発寛解型多発性硬化症および再発性二次性進行型多発性硬化症のような)再発型の多発性硬化症を治療するための、本明細書に記載されている1つ以上の抗体および本明細書に記載されている抗体以外の1つ以上の予防剤または治療剤を含む。さらなる実施形態において、予防剤または治療剤は、多発性硬化症またはこの1つ以上の症状の予防、治療、管理または改善において有用であり、使用されていてまたは現在使用されていることが公知である。これらの実施形態によれば、組成物は、担体、希釈剤または賦形剤をさらに含むことができる。
【0081】
本明細書に記載されている抗体は、対象への投与に適した医薬組成物に組み込むことができる。典型的には、医薬組成物は、本明細書に記載されている(例えば、AE-12-1-Y-QLのような)抗体および医薬として許容される担体を含む。本明細書で使用するとき、「医薬として許容される担体」は、生理学的に適合する任意のおよび全ての溶媒、分散媒、コーティング剤、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などを含む。医薬として許容される担体の例は、水、生理食塩水、リン酸緩衝化生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなどの1つ以上、およびこれらの組合せを含む。多くの場合、等張剤、例えば糖類、マンニトール、ソルビトールのようなポリアルコール、または塩化ナトリウムを組成物中に含むことが好ましい。医薬として許容される担体は、抗体の貯蔵寿命または有効性を高める、少量の湿潤剤もしくは乳化剤、保存剤または緩衝剤のような補助物質をさらに含み得る。
【0082】
さらなる実施形態において、医薬組成物は、本明細書に記載されている多発性硬化症、特に(再発性寛解型多発性硬化症および再発性二次性進行型多発性硬化症のような)再発型の多発性硬化症を治療するための少なくとも1つの追加の治療剤を含む。
【0083】
様々な送達システム、例えば、リポソームにおけるカプセル化、微小粒子、マイクロカプセル、抗体または抗体断片を発現することができる組換え細胞、受容体を介した飲食作用(例えば、WuおよびWu、J.Biol.Chem.262:4429-4432頁(1987年)を参照されたい)、レトロウイルスベクターまたは他のベクターの一部としての核酸の構築などは公知であり、本明細書に記載されている1つ以上の抗体、または本明細書に記載されている1つ以上の抗体および(再発性寛解型多発性硬化症および再発性二次性進行型多発性硬化症のような)再発型の多発性硬化症のような多発性硬化症もしくはこの1つ以上の症状の予防、管理、治療または改善に有用な予防剤もしくは治療剤の組合せを投与するために使用され得る。予防剤または治療剤を投与する方法は、限定されないが、非経口投与(例えば、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、髄腔内および皮下)、硬膜外投与、腫瘍内投与および粘膜投与(例えば、鼻腔内および経口経路)を含む。さらに、肺投与は、例えば、吸入器またはネブライザー、およびエアロゾル化剤を含む製剤の使用によって、採用され得る。例えば、米国特許第6,019,968号;第5,985,320号;第5,985,309号;第5,934,272号;第5,874,064号;第5,855,913号;第5,290,540号;および第4,880,078号;ならびにPCT出願公開番号第WO92/19244号;第WO97/32572号;第WO97/44013号;第WO98/31346号;および第WO99/66903号を参照されたい。これらの各々は、参照によりそれらの全体を本明細書に組み込む。一実施形態において、本明細書に記載されている抗体、本明細書に記載されている併用療法または組成物は、Alkermes AIR(登録商標)肺疾患薬送達技術(Alkermes.Inc.、Cambridge、Mass.)を使用して投与される。特定の実施形態において、本明細書に記載されている抗体の予防剤または治療剤は、筋肉内、静脈内、腫瘍内、経口、鼻腔内、肺内または皮下に投与される。予防剤または治療剤は、いかなる利便性のある経路により投与されてもよく、例えば、注入またはボーラス注射によって、上皮または皮膚粘膜の内膜(例えば、口腔粘膜、直腸(rectal)および腸粘膜など)を通した吸収によって投与され得、他の生物学的活性剤とともに投与され得る。投与は、全身性または局所性であり得る。
【0084】
特定の実施形態において、治療を必要とする領域に本明細書に記載されている抗体を局所的に投与することが望ましい場合がある;このことは、例えば、限定する目的ではないが、局所注入によって、注射によって、またはシアラスト膜、ポリマー、繊維性マトリックス(例えば、Tissuel(登録商標))もしくはコラーゲンマトリックスのようなメンブレンおよびマトリックスを含む多孔質もしくは無孔の物質であるインプラントを用いて、成し遂げられ得る。一実施形態において、有効量の本明細書に記載されている1つ以上の抗体は、障害またはこの症状を予防、治療、管理および/または改善するために対象に対して患部へ局所的に投与される。別の実施形態において、有効量の本明細書に記載されている抗体は、障害またはこの1つ以上の症状を予防、治療、管理および/または改善するために対象に、本明細書に記載されている抗体以外の有効量の1つ以上の治療薬(例えば、1つ以上の予防剤または治療剤)と組み合わせて患部に局所的に投与される。
【0085】
別の実施形態において、抗体は、放出制御システムまたは持続放出システムにおいて送達され得る。一実施形態において、ポンプは、放出制御または持続放出を成し遂げるために使用され得る(Langer、上述;Sefton、1987年、CRC Crit.Ref.Biomed.Eng.、14巻:20頁;Buchwaldら、1980年、Surgery 88巻:507頁;Saudekら、1989年、N.Engl.、J.Med.、321巻:574頁を参照されたい。)。別の実施形態において、ポリマー材料は、本明細書に記載されている治療薬の放出制御または持続放出を成し遂げるために使用され得る(例えば、Medical Applications of Controlled Release、LangerおよびWise(編)、CRC Pres.、Boca Raton、Fla.(1974年);Controlled Drug Bioavailability、Drug Product Design and Performance、SmolenおよびBall(編)、Wiley、New York(1984年);RangerおよびPeppas、1983年、J.Macromol.Sci.Rev.Macromol.Chem.、23巻:61頁を参照されたい。また、Levyら、1985年、Science、228巻:190頁;Duringら、1989年、Ann.Neurol.、25巻:351頁;Howardら、1989年、J.Neurosurg.、71巻:105頁を参照されたい。);米国特許第5,679,377号;第5,916,597号;第5,912,015号;第5,989,463号;第5,128,326号;PCT出願公開第WO99/15154号;およびPCT出願公開第WO99/20253号。持続放出性製剤において使用されるポリマーの例としては、限定されないが、ポリ(2-ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)、ポリ(メタクリル酸)、ポリグリコリド(PLG)、ポリ無水物、ポリ(N-ビニルピロリドン)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリアクリルアミド、ポリ(エチレングリコール)、ポリラクチド(PLA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド(PLGA)およびポリオルトエステルが挙げられる。特定の実施形態において、持続放出性製剤に使用されるポリマーは、不活性であり、浸出し得る不純物がなく、保存において安定であり、滅菌されており、生分解性である。さらに別の実施形態において、放出制御システムまたは持続放出システムは、予防標的または治療標的に近接して設置され、したがって、わずかな全身用量だけを必要とする(例えば、Goodson、Medical Applications of Controlled Release、上述、2巻、115-138頁(1984年)を参照されたい。)。
【0086】
放出制御システムは、Langerによる総説(1990年、Science、249巻:1527-1533頁)において説明されている。当業者に公知である任意の技術は、本明細書に記載されている1つ以上の抗体を含む持続放出性製剤を製造するために使用し得る。例えば、米国特許第4,526,938号、PCT出願公開第WO91/05548号、PCT出願公開第WO96/20698号、Ningら、1996年、「Intratumoral Radioimmunotheraphy of a Human Colon Cancer Xenograft Using a Sustained-Release Gel」、Radiotherapy & Oncology、39巻:179-189頁;Songら、1995年、「Antibody Mediated Lung Targeting of Long-Circulating Emulsions」、PDA Journal of Pharmaceutical Science & Technology、50巻:372-397頁;Cleekら、1997年、「Biodegradable Polymeric Carriers for a bFGF Antibody for Cardiovascular Application」、Pro.Int’l.Symp.Control.Rel.Bioact.Mater.、24巻:853-854頁;Lamら、1997年、「Microencapsulation of Recombinant Humanized Monoclonal Antibody for Local Delivery」、Proc.Int’l.Symp.Control Rel.Bioact.Mater.、24巻:759-760頁を参照されたい。それぞれは、それらの全体を参照によって本明細書に組み込む。)。
【0087】
医薬組成物は、意図された投与経路に適合するように製剤化される。投与経路の例には、限定されないが、非経口、例えば、静脈内、髄腔内、皮内、皮下、経口、鼻腔内(例えば、吸入)、経皮(例えば、局所)、経粘膜および直腸投与が挙げられる。特定の実施形態において、組成物は、ヒトへの静脈内、皮下、筋肉内、経口、鼻腔内または局所投与に適合した医薬組成物として、日常的な手順に従って製剤化される。典型的には、静脈内投与のための組成物は、滅菌等張水性緩衝液中の溶液である。必要に応じて、組成物はまた、注射部位での痛みを緩和するために、可溶化剤およびリグノカインのような局所麻酔剤を含み得る。
【0088】
本明細書に記載されている方法は、注射による(例えば、ボーラス注射または連続注入による)非経口投与のために製剤化された組成物の投与を含み得る。注射用の製剤は、追加された防腐剤とともに、単位用量剤形で(例えば、アンプルでまたは複数回投薬容器で)提示され得る。組成物は、油性または水性ビヒクルにおいて懸濁液、溶液または乳濁剤のような形態をとり得、懸濁化剤、安定化剤および/または分散剤のような製剤化剤(formulatory agent)を含み得る。あるいは、有効成分は、適切なビヒクル(例えば、滅菌された発熱物質不含水)とともに使用前に構成するための粉体形態であり得る。本明細書に記載されている方法は、デポー製剤として製剤化された組成物の投与を追加的に含み得る。このような長期作用する製剤は、埋め込みによって(例えば、皮下に、髄腔内または筋肉内に)または筋肉注射によって投与され得る。したがって、例えば、組成物は、適切なポリマー材料もしくは疎水性材料(例えば、許容される油における乳濁剤として)またはイオン交換レジンを用いて、または難溶解性誘導体として(例えば、難溶解性塩として)製剤化され得る。
【0089】
本明細書に記載されている方法は、中性または塩形態として製剤化された組成物の投与を包含する。医薬として許容される塩としては、塩酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、酒石酸などに由来するもののような陰イオンとともに形成される塩、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、カルシウム、水酸化鉄、イソプロピルアミン、トリエチルアミン、2-エチルアミノエタノール、ヒスチジン、プロカインなどに由来するもののような陽イオンとともに形成される塩が挙げられる。
【0090】
一般的に、組成物の成分は、例えば、活性薬剤の量を示すアンプルまたはサシェ(sachette)のような密閉された密封容器において凍結乾燥された粉末または水を含まない濃縮物として、単位用量剤形において別々にまたはともに混合して提供される。投与の様式は注入である場合、組成物は、医薬品グレードの滅菌された水または生理食塩水を含有する注入ボトルで分注され得る。投与の様式が注射による場合、成分が投与前に混合され得るように、注射用滅菌水または生理食塩水のためのアンプルが提供され得る。
【0091】
特に、本明細書に記載されている方法はまた、本明細書に記載されている1つ以上の抗体または医薬組成物が、抗体の量を示すアンプルまたはサシェのような密閉された密封容器においてパッケージされることを考慮する。一実施形態において、本明細書に記載されている1つ以上の抗体または医薬組成物は、乾燥滅菌の凍結乾燥粉末または水が含まれていない濃縮物として、密閉された密封容器において提供され、対象への投与のための適切な濃度に(例えば、水または生理食塩水を用いて)再構成され得る。一実施形態において、本明細書に記載されている1つ以上の抗体または医薬組成物は、少なくとも5mg、例えば少なくとも10mg、少なくとも15mg、少なくとも25mg、少なくとも35mg、少なくとも45mg、少なくとも50mg、少なくとも75mgまたは少なくとも100mgの単位用量において密閉された密封容器において乾燥滅菌の凍結乾燥粉末として提供される。本明細書に記載されている凍結乾燥抗体または医薬組成物は、2℃および8℃の間でこの元の容器に保管される必要があり、本明細書に記載されている抗体または医薬組成物は、再構成された後、1週間以内、例えば5日以内、72時間以内、48時間以内、24時間以内、12時間以内、6時間以内、5時間以内、3時間以内または1時間以内に投与される必要がある。代替の実施形態において、本明細書に記載されている1つ以上の抗体または医薬組成物は、抗体の量および濃度を示す密閉された密封容器において液体剤形で提供される。さらなる実施形態において、投与された組成物の液体剤形は、少なくとも0.25mg/ml、例えば少なくとも0.5mg/ml、少なくとも1mg/ml、少なくとも2.5mg/ml、少なくとも5mg/ml、少なくとも8mg/ml、少なくとも10mg/ml、少なくとも15mg/ml、少なくとも25mg/ml、少なくとも50mg/ml、少なくとも75mg/mlまたは少なくとも100mg/mlで、密閉された密封容器において提供される。液体剤形は、2℃および8℃の間でこの元の容器に保存される必要がある。
【0092】
本明細書に記載されている抗体は、非経口投与に適した医薬組成物に組み込まれ得る。一態様において、抗体は、0.1-500mg/ml抗体を含有する注射溶液として調製される。注射溶液は、フリントまたはアンバーバイアル、アンプルまたはプレフィルドシリンジにおいて液体または凍結乾燥された剤形のいずれかで構成され得る。緩衝剤は、L-ヒスチジン(1-50mM)、最適には5-10mM、pH5.0-7.0(最適にはpH6.0)であり得る。他の適切な緩衝剤としては、限定されないが、コハク酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウムまたはリン酸カリウムが挙げられる。塩化ナトリウムは、0-300mM(最適には液体剤形用に150mM)の濃度で溶液の張性を調節するために使用され得る。抗凍結剤、主に0-10%スクロース(最適には0.5-1.0%)は、凍結乾燥された剤形のために含められ得る。他の適切な抗凍結剤としては、トレハロースおよびラクトースが挙げられる。充填剤、主に1-10%マンニトール(最適には2-4%)は、凍結乾燥された剤形のために含められ得る。安定化剤、主に1-50mM L-メチオニン(最適には5-10mM)は、液体および凍結乾燥された剤形の両方において使用され得る。他の適切な充填剤としては、グリシン、アルギニンが挙げられ、0-0.05%ポリソルベート-80(最適には0.005-0.01%)として含められ得る。追加的な界面活性剤としては、限定されないが、ポリソルベート20およびBRIJ界面活性剤が挙げられる。非経口投与用に注射溶液として調製された本明細書に記載されている抗体を含む医薬組成物は、抗体の吸収または分散を増加させるために使用されるもののような、アジュバントとして有用な薬剤をさらに含み得る。特に有用なアジュバントは、Hylenex(登録商標)(組換えヒトヒアルロニダーゼ)のようなヒアルロニダーゼである。注射溶液におけるヒアルロニダーゼの添加は、非経口投与、特に皮下投与後の生物学的利用能を向上させる。また、より少ない痛みおよび不快症状、ならびに注射部位反応の最少の発生率で、注射部位体積をより大きくする(すなわち、1mlより大きい)ことが可能である。(参照により本明細書に組み込む国際出願公開第WO04/078140号および米国特許出願公開第2006/104968号を参照されたい。)
【0093】
本明細書に記載されている組成物は、様々な形態であり得る。これらとしては、例えば、液体溶液(例えば、注射可能および注入可能な溶液)、分散剤または懸濁剤、錠剤、丸薬、粉末、リポソームおよび坐剤のような液体、半固体および固体の剤形が挙げられる。好ましい形態は、意図された投与の様式および治療的適用に依存する。組成物は、他の抗体とともに、ヒトの受動免疫化のために使用されるものと同様の組成物のような注射可能または注入可能な溶液の形態であり得る。一実施形態において、抗体は、静脈内注入または注射によって投与され得る。別の実施形態において、抗体は、筋肉内または皮下注射によって投与される。
【0094】
治療組成物は、製造および保存条件下では、典型的には、滅菌され、安定である必要がある。組成物は、高い薬物濃度に適した、溶液、マイクロエマルション、分散剤、リポソームまたは他の規則正しい構造体として製剤化され得る。滅菌注射溶液は、活性化合物(すなわち、結合タンパク質、例えば、本明細書に記載されている抗体)を必要な量において、上に列挙された1つの成分または成分の組合せとともに、適切な溶媒に包含させ、必要に応じて、続いてろ過滅菌を行うことにより調製され得る。一般的に、分散剤は、基本分散媒および上に列挙されたものからの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに活性化合物を包含させることにより調製される。滅菌注射溶液を調製するために滅菌され凍結乾燥された粉末の場合には、調製方法は、任意の追加的な望ましい成分を以前に滅菌ろ過されたその溶液から加えた、有効成分の粉末を生じさせる真空乾燥および噴霧乾燥を含む。溶液の適切な流動性は、例えば、レシチンのようなコーティングの使用により、分散剤の場合には必要な粒子サイズを維持することにより、および界面活性剤の使用により維持され得る。注射可能な組成物の持続的吸収は、組成物に、吸収を遅延する薬剤、例えば、モノステアリン酸塩およびゼラチンを含めることによってもたらされ得る。
【0095】
本明細書に記載されている抗体は、当該技術分野において公知の様々な方法によって投与され得る。例えば、投与の経路/様式は、皮下注射、静脈注射または注入であり得る。当業者によって理解されるように、投与の経路および/または様式は、望ましい結果に応じて様々である。ある特定の実施形態において、活性化合物は、インプラント、経皮パッチおよびマイクロカプセル化した送達システムを含む放出制御製剤のような、急速な放出に対して化合物を保護する担体を用いて調製され得る。エチレン酢酸ビニル、ポリ無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステルおよびポリ乳酸のような生分解性の生体適合性ポリマーが使用され得る。このような製剤を調製するための多数の方法が、特許されており、または一般的に、当業者に公知である。例えば、Sustained and Controlled Release Drug Delivery Systems、J.R.Robinson編、Marcel Dekker,Inc.、New York、1978年を参照されたい。
【0096】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている抗体は、例えば、不活性な希釈剤または吸収可能な可食担体を用いて、経口投与され得る。抗体(および、必要に応じて、他の成分)はまた、硬殻もしくは軟殻のゼラチンカプセルに封入され、錠剤に圧搾されまたは対象の規定食に直接組み込まれ得る。経口治療的投与のために、抗体は、賦形剤とともに組み込まれ、摂取可能な錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハースなどの形態で使用され得る。非経口投与以外によって本明細書に記載されている抗体を投与するために、この不活性化を防止するための物質を用いて抗体を被覆し、またはこれと抗体を同時投与することが必要であり得る。
【0097】
補充活性化合物はまた組成物に組み込むことができる。ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている抗体は、本明細書に記載されている障害または疾患の治療に有用な1つ以上の追加の治療剤と同時に製剤化および/または同時に投与される。例えば、本明細書に記載されている抗RGMa抗体は、他の標的(例えば、他の可溶性抗原に結合する抗体または細胞表面分子に結合する抗体)に結合する1つ以上の追加の抗体と同時に製剤化および/または同時に投与され得る。さらに、本明細書に記載されている1つ以上の抗体は、2つ以上の上記治療剤と組み合わせて使用され得る。このような併用療法は、投与された治療剤のより低い投薬量を有利に利用し、したがって様々な単独療法に関連した可能性のある毒性または合併症を回避することができる。
【0098】
ある特定の実施形態において、本明細書に記載されている抗体は、当該技術分野において公知の半減期延長ビヒクルに結合される。このようなビヒクルとしては、限定されないが、Fcドメイン、ポリエチレングリコールおよびデキストランが挙げられる。このようなビヒクルは、例えば、米国特許出願第09/428,082号および公開されたPCT出願公開第WO99/25044号に記載されている。これらは、任意の目的のために参照により本明細書に組み込む。
【0099】
本明細書に記載されている抗体は、単独で、または1つ以上の追加の薬剤、例えば治療剤(例えば、小分子または生物学的製剤)と組み合わせて使用することができ、上記追加の薬剤は、意図された目的で当業者により選択される。例えば、追加の治療剤は、免疫抑制剤または多発性硬化症に関連する1つ以上の症状を治療する薬剤であり得る。追加の薬剤は、アルファまたはベータインターフェロンであり得る。アボネックス、ベタセロン、エクスタビア(Extavia)およびレビフ(Rebif)のようなアルファまたはベータインターフェロンは、多発性硬化症の症状が経時的に悪化する速度を遅くする可能性がある。追加の薬剤は、メチルプレドニゾロン(ソル-メドロール)またはプレドニゾン(デルタゾン)のようなコルチコステロイドであり得る。追加の薬剤は、ミエリンに対する免疫系の攻撃を遮断し得るグラチラマー(コパキソン)であり得る。追加の薬剤は、リンパ節における免疫細胞を捕捉し得るフィンゴリモド(ギレンヤ)であり得る。追加の薬剤は、血流から脳および脊髄への潜在的に有害な免疫細胞の移動を妨害し得るナタリズマブ(チサブリ)であり得る。追加の薬剤は、免疫抑制剤であるミトキサントロン(ノバントロン)であり得る。追加の薬剤は、テフルニミド(アウバジオ)であり得る。追加の薬剤は、BG-12(テクフィデラ)であり得る。追加の薬剤は、アレムツズマブ(レムトラダ)であり得る。追加の薬剤は、インターロイキン-2受容体遮断抗体であるダクリズマブ(ジンブリタ)であり得る。追加の薬剤は、抗CD20抗体であるオクレリズマブ(オクレブス)であり得る。追加の薬剤は、アマンタジン(シンメトレル)であり得る。追加の薬剤は、アミトリプチリン(エラヴィル)であり得る。追加の薬剤は、ノルトリプチリン、モダフィニル(プロビジル)であり得る。追加の薬剤は、ダルファムピリジン(アムピラ)であり得る。
【0100】
追加の治療剤は、脳のヒト認知能力(すなわち、思考、学習および記憶)の障害を改善する薬物である「認知促進薬」であり得る。認知促進薬は、神経化学物質(例えば、神経伝達物質、酵素およびホルモン)の利用可能性を変更することにより、酸素供給を改善することにより、神経成長を刺激することによりまたは神経損傷を阻害することにより作用する。認知促進薬の例は、アセチルコリンの活性を増加させる化合物を含み、限定されないが、アセチルコリン受容体アゴニスト(例えば、ニコチン性α-7受容体アゴニストまたはアロステリック調節因子、α4β2ニコチン性受容体アゴニストまたはアロステリック調節因子)、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤(例えば、ドネペジル、リバスチグミンおよびガランタミン)、ブチリルコリンエステラーゼ阻害剤、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト(例えば、メマンチン)、活性依存性神経保護タンパク質(ADNP)アゴニスト、セロトニン5-HT1A受容体アゴニスト(例えば、キサリプロデン)、5-HT4受容体アゴニスト、5-HT6受容体アンタゴニスト、セロトニン1A受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト、カルパイン阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)タンパク質もしくはアゴニスト、栄養成長因子、抗アポトーシス化合物、AMPA型グルタミン酸受容体活性化因子、L型もしくはN型カルシウムチャネル遮断薬もしくは調節因子、カリウムチャネル遮断薬、低酸素誘導因子(HIF)活性化因子、HIFプロリル4-ヒドロキシラーゼ阻害剤、抗炎症薬、アミロイドAβペプチドもしくはアミロイドプラークの阻害剤、タウ過剰リン酸化の阻害剤、ホスホジエステラーゼ5阻害剤(例えば、タダラフィル、シルデナフィル)、ホスホジエステラーゼ4阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤またはこれらの医薬として許容される塩が挙げられる。このような認知促進薬の具体例は、限定されないが、ドネペジル(アリセプト(登録商標))、リバスチグミン(イクセロン(登録商標))、ガランタミン(レミニル(登録商標))のようなコリンエステラーゼ阻害剤、メマンチン(ナメンダ(登録商標))のようなN-メチル-D-アスパラギン酸アンタゴニストを含む。少なくとも1つの認知促進薬は、本明細書に記載されている抗体と同時に、または本明細書に記載されている抗体と連続して(任意の順序で)投与され得、これは、本明細書に記載されている抗体によって治療される疾患または状態を治療するのに有用であるものとして、現在認識されているまたは将来的に認識される薬剤を含む。さらに、本明細書に記載されている組合せは、上記の治療に使用される場合、相加的または相乗的な効果を有し得ると考えられる。追加の薬剤はまた、治療用組成物に有益な特性を付与する薬剤、例えば組成物の粘度に影響を与える薬剤であり得る。
【0101】
組合せは、それらの意図された目的に有用な組合せであることがさらに理解されるべきである。上記の薬剤は、説明のためのものであり、限定することを意図したものではない。組合せは、抗体および以下のリストから選択される少なくとも1つの追加の薬剤を含むことができる。組合せはまた、形成された組成物が意図された機能を果たすことができるような組合せであれば、1つを超える追加の薬剤、例えば2つまたは3つの追加の薬剤を含むことができる。
【0102】
医薬組成物は、「治療有効量」または「予防有効量」の抗体を含み得る。「治療有効量」とは、望ましい治療結果を達成するために必要とされる用量および期間での有効な量を指す。抗体の治療有効量は、当業者によって決定され得、個体の疾患状態、年齢、性別および体重、ならびに個体において望ましい応答を引き出す抗体の能力のような因子により様々であり得る。治療有効量はまた、抗体の有毒作用または有害作用がもしあれば、これを治療上の有益な効果が上回るものである。ある特定の実施形態において、治療有効量は、RGMaを中和する量である。ある特定の実施形態において、治療有効量は、神経再生におけるRGMaの阻害効果を低下させる量である。「予防有効量」とは、望ましい予防結果を達成するために必要とされる用量および期間での有効な量を指す。典型的には、予防用量が、疾患の初期段階より前または初期段階に対象において使用されるため、予防有効量は治療有効量よりも少ない。
【0103】
治療目的のために、抗体は、医薬として許容される担体中に治療有効量で患者に投与される。ある特定の実施形態において、「治療有効量」は、生理学的に重要なものである。抗体の存在がレシピエント患者の生理学における検出可能な変化をもたらす場合、抗体は生理学的に重要である。本文脈において、抗体の存在が、例えばCD4+T細胞からのインターフェロン-γ(INF-γ)、インターロイキン-2(IL-2)、IL-4および/またはIL-17の分泌を低下させる場合、抗体は生理学的に重要であり得る。薬剤の存在が、例えば末梢血単核細胞(PBMC)における増殖応答の低下および/または炎症誘発性サイトカインの発現をもたらす場合、薬剤は生理学的に重要である。ある特定の実施形態において、抗RGMa抗体の量が、CSF中の遊離RGMaレベルの低下のような遊離RGMaレベルの低下をもたらす場合、抗RGMa抗体の量は生理学的に重要である。
【0104】
投薬レジメンは、最適な所望の応答(例えば、治療応答または予防応答)を提供するように調整され得る。例えば、単一のボーラスは投与され得、いくつかの分割用量は経時的に投与され得、または治療状況の緊急性によって示されるように、用量は比例して減少もしくは増加され得る。投与の容易さおよび投薬量の均一性のために、投薬単位形態で非経口組成物を製剤化することが特に有利である。投薬単位形態とは、本明細書において使用されるとき、治療される哺乳動物対象のための単位投薬量として適した物理的に別個の単位を指す;各単位は、必要とされる医薬としての担体に関連して所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含有する。投薬単位形態の仕様は、(a)活性化合物に特有の特性および達成されるべき特定の治療効果または予防効果ならびに(b)個体における治療感受性のために、このような活性化合物を配合する当該技術分野に固有の限界によって決定され、それらに直接依存する。
【0105】
4.再発型の多発性硬化症を治療、予防、調節または軽減する方法
a.再発性寛解型多発性硬化症(RRMS)
多発性硬化症と診断された患者において、対象が再発性寛解型多発性硬化症を有するか否かについて評価を行うことができる。評価は、予防療法、維持療法または調節療法のような適切な治療過程を示し得る。したがって、本明細書において、治療有効量の本明細書に記載されている1つ以上の(例えば、抗体AE12-1-Y-QLのような)抗体を、それを必要とする患者に投与することによる、再発性寛解型の多発性硬化症を治療、予防、調節または軽減する方法が提供される。
【0106】
一実施形態において、固定用量の本明細書に記載されている1つ以上の抗体は対象に投与され得る。治療有効量または予防有効量の本明細書に記載されている抗体または抗体部分の例示的であり非限定的な範囲は、約50mgから約4000mg、約50mgから約3900mg、約50mgから約3800mg、約50mgから約3700mg、約50mgから約3600mg、約50mgから約3500mg、約50mgから約3400mg、約50mgから約3300mg、約50mgから約3200mg、約50mgから約3100mg、約50mgから約3000mg、約50mgから約2900mg、約50mgから約2800mg、約50mgから約2700mg、約50mgから約2600mg、約50mgから約2500mg、約50mgから約2400mg、約50mgから約2300mg、約50mgから約2200mg、約50mgから約2100mg、約50mgから約2000mg、約50mgから約1900mg、約50mgから約1800mg、約50mgから約1700mg、約50mgから約1600mg、約50mgから約1500mg、約50mgから約1400mg、約50mgから約1300mg、約50mgから約1200mg、約50mgから約1100mg、約50mgから約1000mg、約50mgから約900mg、約50mgから約800mg、約50mgから約700mg、約50mgから約600mg、約50mgから約500mg、約50mgから約400mg、約50mgから約300mg、約100mgから約4000mg、約100mgから約3900mg、約100mgから約3800mg、約100mgから約3700mg、約100mgから約3600mg、約100mgから約3500mg、約100mgから約3400mg、約100mgから約3300mg、約100mgから約3200mg、約100mgから約3100mg、約100mgから約3000mg、約100mgから約2900mg、約100mgから約2800mg、約100mgから約2700mg、約100mgから約2600mg、約100mgから約2500mg、約100mgから約2400mg、約100mgから約2300mg、約100mgから約2200mg、約100mgから約2100mg、約100mgから約2000mg、約100mgから約1900mg、約100mgから約1800mg、約100mgから約1700mg、約100mgから約1600mg、約100mgから約1500mg、約100mgから約1400mg、約100mgから約1300mg、約100mgから約1200mg、約100mgから約1100mg、約100mgから約1000mg、約100mgから約900mg、約100mgから約800mg、約100mgから約700mg、約100mgから約600mg、約100mgから約500mg、約100mgから約400mg、約100mgから約300mg、約150mgから約4000mg、約150mgから約3900mg、約150mgから約3800mg、約150mgから約3700mg、約150mgから約3600mg、約150mgから約3500mg、約150mgから約3400mg、約150mgから約3300mg、約150mgから約3200mg、約150mgから約3100mg、約150mgから約3000mg、約150mgから約2900mg、約150mgから約2800mg、約150mgから約2700mg、約150mgから約2600mg、約150mgから約2500mg、約150mgから約2400mg、約150mgから約2300mg、約150mgから約2200mg、約150mgから約2100mg、約150mgから約2000mg、約150mgから約1900mg、約150mgから約1800mg、約150mgから約1700mg、約150mgから約1600mg、約150mgから約1500mg、約150mgから約1400mg、約150mgから約1300mg、約150mgから約1200mg、約150mgから約1100mg、約150mgから約1000mg、約150mgから約900mg、約150mgから約800mg、約150mgから約700mg、約150mgから約600mg、約150mgから約500mg、約150mgから約400mg、約150mgから約300mg、約200mgから約4000mg、約200mgから約3900mg、約200mgから約3800mg、約200mgから約3700mg、約200mgから約3600mg、約200mgから約3500mg、約200mgから約3400mg、約200mgから約3300mg、約200mgから約3200mg、約200mgから約3100mg、約200mgから約3000mg、約200mgから約2900mg、約200mgから約2800mg、約200mgから約2700mg、約200mgから約2600mg、約200mgから約2500mg、約200mgから約2400mg、約200mgから約2300mg、約200mgから約2200mg、約200mgから約2100mg、約200mgから約2000mg、約200mgから約1900mg、約200mgから約1800mg、約200mgから約1700mg、約200mgから約1600mg、約200mgから約1500mg、約200mgから約1400mg、約200mgから約1300mg、約200mgから約1200mg、約200mgから約1100mg、約200mgから約1000mg、約200mgから約900mg、約200mgから約800mg、約200mgから約700mg、約200mgから約600mg、約200mgから約500mg、約200mgから約400mg、約200mgから約300mg、約250mgから約4000mg、約250mgから約3900mg、約250mgから約3800mg、約250mgから約3700mg、約250mgから約3600mg、約250mgから約3500mg、約250mgから約3400mg、約250mgから約3300mg、約250mgから約3200mg、約250mgから約3100mg、約250mgから約3000mg、約250mgから約2900mg、約250mgから約2800mg、約250mgから約2700mg、約250mgから約2600mg、約250mgから約2500mg、約250mgから約2400mg、約250mgから約2300mg、約250mgから約2200mg、約250mgから約2100mg、約250mgから約2000mg、約250mgから約1900mg、約250mgから約1800mg、約250mgから約1700mg、約250mgから約1600mg、約250mgから約1500mg、約250mgから約1400mg、約250mgから約1300mg、約250mgから約1200mg、約250mgから約1100mg、約250mgから約1000mg、約250mgから約900mg、約250mgから約800mg、約250mgから約700mg、約250mgから約600mg、約250mgから約500mg、約250mgから約400mg、約250mgから約300mg、約300mgから約4000mg、約300mgから約3900mg、約300mgから約3800mg、約300mgから約3700mg、約300mgから約3600mg、約300mgから約3500mg、約300mgから約3400mg、約300mgから約3300mg、約300mgから約3200mg、約300mgから約3100mg、約300mgから約3000mg、約300mgから約2900mg、約300mgから約2800mg、約300mgから約2700mg、約300mgから約2600mg、約300mgから約2500mg、約300mgから約2400mg、約300mgから約2300mg、約300mgから約2200mg、約300mgから約2100mg、約300mgから約2000mg、約300mgから約1900mg、約300mgから約1800mg、約300mgから約1700mg、約300mgから約1600mg、約300mgから約1500mg、約300mgから約1400mg、約300mgから約1300mg、約300mgから約1200mg、約300mgから約1100mg、約300mgから約1000mg、約300mgから約900mg、約300mgから約800mg、約300mgから約700mg、約300mgから約600mg、約300mgから約500mg、約300mgから約400mg、約350mgから約4000mg、約350mgから約3900mg、約350mgから約3800mg、約350mgから約3700mg、約350mgから約3600mg、約350mgから約3500mg、約350mgから約3400mg、約350mgから約3300mg、約350mgから約3200mg、約350mgから約3100mg、約350mgから約3000mg、約350mgから約2900mg、約350mgから約2800mg、約350mgから約2700mg、約350mgから約2600mg、約350mgから約2500mg、約350mgから約2400mg、約350mgから約2300mg、約350mgから約2200mg、約350mgから約2100mg、約350mgから約2000mg、約350mgから約1900mg、約350mgから約1800mg、約350mgから約1700mg、約350mgから約1600mg、約350mgから約1500mg、約350mgから約1400mg、約350mgから約1300mg、約350mgから約1200mg、約350mgから約1100mg、約350mgから約1000mg、約350mgから約900mg、約350mgから約800mg、約350mgから約700mg、約350mgから約600mg、約350mgから約500mg、約350mgから約400mg、約400mgから約4000mg、約400mgから約3900mg、約400mgから約3800mg、約400mgから約3700mg、約400mgから約3600mg、約400mgから約3500mg、約400mgから約3400mg、約400mgから約3300mg、約400mgから約3200mg、約400mgから約3100mg、約400mgから約3000mg、約400mgから約2900mg、約400mgから約2800mg、約400mgから約2700mg、約400mgから約2600mg、約400mgから約2500mg、約400mgから約2400mg、約400mgから約2300mg、約400mgから約2200mg、約400mgから約2100mg、約400mgから約2000mg、約400mgから約1900mg、約400mgから約1800mg、約400mgから約1700mg、約400mgから約1600mg、約400mgから約1500mg、約400mgから約1400mg、約400mgから約1300mg、約400mgから約1200mg、約400mgから約1100mg、約400mgから約1000mg、約400mgから約900mg、約400mgから約800mg、約400mgから約700mg、約400mgから約600mg、約400mgから約500mg、約450mgから約4000mg、約450mgから約3900mg、約450mgから約3800mg、約450mgから約3700mg、約450mgから約3600mg、約450mgから約3500mg、約450mgから約3400mg、約450mgから約3300mg、約450mgから約3200mg、約450mgから約3100mg、約450mgから約3000mg、約450mgから約2900mg、約450mgから約2800mg、約450mgから約2700mg、約450mgから約2600mg、約450mgから約2500mg、約450mgから約2400mg、約450mgから約2300mg、約450mgから約2200mg、約450mgから約2
100mg、約450mgから約2000mg、約450mgから約1900mg、約450mgから約1800mg、約450mgから約1700mg、約450mgから約1600mg、約450mgから約1500mg、約450mgから約1400mg、約450mgから約1300mg、約450mgから約1200mg、約450mgから約1100mg、約450mgから約1000mg、約450mgから約900mg、約450mgから約800mg、約450mgから約700mg、約450mgから約600mgまたは約450mgから約500mgである。
【0107】
具体的には、対象は50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mg、1525mg、1550mg、1575mg、1600mg、1625mg、1650mg、1675mg、1700mg、1725mg、1750mg、1775mg、1800mg、1825mg、1850mg、1875mg、1900mg、1925mg、1950mg、1975mg、2000mg、2025mg、2050mg、2075mg、2100mg、2125mg、2150mg、2175mg、2200mg、2225mg、2250mg、2275mg、2300mg、2325mg、2350mg、2375mg、2400mg、2425mg、2450mg、2475mg、2500mg、2525mg、2550mg、2575mg、2600mg、2625mg、2650mg、2675mg、2700mg、2725mg、2750mg、2775mg、2800mg、2825mg、2850mg、2875mg、2900mg、2925mg、2950mg、2975mg、3000mg、3025mg、3050mg、3075mg、3100mg、3125mg、3150mg、3175mg、3200mg、3225mg、3250mg、3275mg、3300mg、3325mg、3350mg、3375mg、3400mg、3425mg、3450mg、3475mg、3500mg、3525mg、3550mg、3575mg、3600mg、3625mg、3650mg、3675mg、3700mg、3725mg、3750mg、3775mg、3800mg、3825mg、3850mg、3875mg、3900mg、3925mg、3950mg、3975mg、または4000mgを投与され得る。
【0108】
本明細書に記載されている抗体または抗体部分の用量は、個体の必要により、組成物を投与する者または組成物の投与を指揮する者の専門的な判断により、週に1回、1週間おきに1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、2カ月に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回または12週間に1回投与され得、本明細書に記載されている用量範囲は単なる例示であり、特許請求される組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではない。
【0109】
一実施形態において、固定用量の本明細書に記載されている1つ以上の抗体は、対象に投与され得る。治療有効量または予防有効量の本明細書に記載されている抗体または抗体部分の例示的であり非限定的な量は、最大約200mg/kg、最大約190mg/kg、最大約180mg/kg、最大約170mg/kg、最大約160mg/kg、最大約150mg/kg、最大約140mg/kg、最大約130mg/kg、最大約120mg/kg、最大約110mg/kg、最大約100mg/kg、最大約90mg/kg、最大約80mg/kg、最大約70mg/kg、最大約60mg/kg、最大約50mg/kg、最大約40mg/kg、最大約30mg/kg、最大約20mg/kg、最大約10mg/kg、最大約5mg/kgまたは最大約2.5mg/kgを含む。
【0110】
患者への抗体の投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、胸腔内、髄腔内、眼内、硝子体内、局所カテーテルによる灌流または直接的な病巣内注射であり得る。注射による治療用タンパク質を投与する場合、投与は、連続注入または単回もしくは複数回のボーラスによるものであり得る。静脈内注射は、急速に分布する抗体中の循環の徹底により有用な投与の様式を提供する。抗体は、例えば、不活性希釈剤または同化可能な食用担体とともに経口投与され得る。所望により、抗体および他の成分は、硬殻または軟殻ゼラチンカプセルに封入され、錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハースなどに圧搾されてもよい。
【0111】
一実施形態において、本明細書に記載されている1つ以上の抗体が固定用量として患者に静脈内投与される場合、投与され得る抗体または抗体部分の治療有効量または予防有効量は、約50mgから4000mg、約50mgから約3900mg、約50mgから約3800mg、約50mgから約3700mg、約50mgから約3600mg、約50mgから約3500mg、約50mgから約3400mg、約50mgから約3300mg、約50mgから約3200mg、約50mgから約3100mg、約50mgから約3000mg、約50mgから約2900mg、約50mgから約2800mg、約50mgから約2700mg、約50mgから約2600mg、約50mgから約2500mg、約50mgから約2400mg、約50mgから約2300mg、約50mgから約2200mg、約50mgから約2100mg、約50mgから約2000mg、約50mgから約1900mg、約50mgから約1800mg、約50mgから約1700mg、約50mgから約1600mg、約50mgから約1500mg、約50mgから約1400mg、約50mgから約1300mg、約50mgから約1200mg、約50mgから約1100mg、約50mgから約1000mg、約50mgから約900mg、約50mgから約800mg、約50mgから約700mg、約50mgから約600mg、約50mgから約500mg、約50mgから約400mg、約50mgから約300mg、約100mgから約4000mg、約100mgから約3900mg、約100mgから約3800mg、約100mgから約3700mg、約100mgから約3600mg、約100mgから約3500mg、約100mgから約3400mg、約100mgから約3300mg、約100mgから約3200mg、約100mgから約3100mg、約100mgから約3000mg、約100mgから約2900mg、約100mgから約2800mg、約100mgから約2700mg、約100mgから約2600mg、約100mgから約2500mg、約100mgから約2400mg、約100mgから約2300mg、約100mgから約2200mg、約100mgから約2100mg、約100mgから約2000mg、約100mgから約1900mg、約100mgから約1800mg、約100mgから約1700mg、約100mgから約1600mg、約100mgから約1500mg、約100mgから約1400mg、約100mgから約1300mg、約100mgから約1200mg、約100mgから約1100mg、約100mgから約1000mg、約100mgから約900mg、約100mgから約800mg、約100mgから約700mg、約100mgから約600mg、約100mgから約500mg、約100mgから約400mg、約100mgから約300mg、約150mgから約4000mg、約150mgから約3900mg、約150mgから約3800mg、約150mgから約3700mg、約150mgから約3600mg、約150mgから約3500mg、約150mgから約3400mg、約150mgから約3300mg、約150mgから約3200mg、約150mgから約3100mg、約150mgから約3000mg、約150mgから約2900mg、約150mgから約2800mg、約150mgから約2700mg、約150mgから約2600mg、約150mgから約2500mg、約150mgから約2400mg、約150mgから約2300mg、約150mgから約2200mg、約150mgから約2100mg、約150mgから約2000mg、約150mgから約1900mg、約150mgから約1800mg、約150mgから約1700mg、約150mgから約1600mg、約150mgから約1500mg、約150mgから約1400mg、約150mgから約1300mg、約150mgから約1200mg、約150mgから約1100mg、約150mgから約1000mg、約150mgから約900mg、約150mgから約800mg、約150mgから約700mg、約150mgから約600mg、約150mgから約500mg、約150mgから約400mg、約150mgから約300mg、約200mgから約4000mg、約200mgから約3900mg、約200mgから約3800mg、約200mgから約3700mg、約200mgから約3600mg、約200mgから約3500mg、約200mgから約3400mg、約200mgから約3300mg、約200mgから約3200mg、約200mgから約3100mg、約200mgから約3000mg、約200mgから約2900mg、約200mgから約2800mg、約200mgから約2700mg、約200mgから約2600mg、約200mgから約2500mg、約200mgから約2400mg、約200mgから約2300mg、約200mgから約2200mg、約200mgから約2100mg、約200mgから約2000mg、約200mgから約1900mg、約200mgから約1800mg、約200mgから約1700mg、約200mgから約1600mg、約200mgから約1500mg、約200mgから約1400mg、約200mgから約1300mg、約200mgから約1200mg、約200mgから約1100mg、約200mgから約1000mg、約200mgから約900mg、約200mgから約800mg、約200mgから約700mg、約200mgから約600mg、約200mgから約500mg、約200mgから約400mg、約200mgから約300mg、約250mgから約4000mg、約250mgから約3900mg、約250mgから約3800mg、約250mgから約3700mg、約250mgから約3600mg、約250mgから約3500mg、約250mgから約3400mg、約250mgから約3300mg、約250mgから約3200mg、約250mgから約3100mg、約250mgから約3000mg、約250mgから約2900mg、約250mgから約2800mg、約250mgから約2700mg、約250mgから約2600mg、約250mgから約2500mg、約250mgから約2400mg、約250mgから約2300mg、約250mgから約2200mg、約250mgから約2100mg、約250mgから約2000mg、約250mgから約1900mg、約250mgから約1800mg、約250mgから約1700mg、約250mgから約1600mg、約250mgから約1500mg、約250mgから約1400mg、約250mgから約1300mg、約250mgから約1200mg、約250mgから約1100mg、約250mgから約1000mg、約250mgから約900mg、約250mgから約800mg、約250mgから約700mg、約250mgから約600mg、約250mgから約500mg、約250mgから約400mg、約250mgから約300mg、約300mgから約4000mg、約300mgから約3900mg、約300mgから約3800mg、約300mgから約3700mg、約300mgから約3600mg、約300mgから約3500mg、約300mgから約3400mg、約300mgから約3300mg、約300mgから約3200mg、約300mgから約3100mg、約300mgから約3000mg、約300mgから約2900mg、約300mgから約2800mg、約300mgから約2700mg、約300mgから約2600mg、約300mgから約2500mg、約300mgから約2400mg、約300mgから約2300mg、約300mgから約2200mg、約300mgから約2100mg、約300mgから約1900mg、約300mgから約1800mg、約300mgから約1700mg、約300mgから約1600mg、約300mgから約1500mg、約300mgから約1400mg、約300mgから約1300mg、約300mgから約1200mg、約300mgから約1100mg、約300mgから約1000mg、約300mgから約900mg、約300mgから約800mg、約300mgから約700mg、約300mgから約600mg、約300mgから約500mg、約300mgから約400mg、約350mgから約4000mg、約350mgから約3900mg、約350mgから約3800mg、約350mgから約3700mg、約350mgから約3600mg、約350mgから約3500mg、約350mgから約3400mg、約350mgから約3300mg、約350mgから約3200mg、約350mgから約3100mg、約350mgから約3000mg、約350mgから約2900mg、約350mgから約2800mg、約350mgから約2700mg、約350mgから約2600mg、約350mgから約2500mg、約350mgから約2400mg、約350mgから約2300mg、約350mgから約2200mg、約350mgから約2100mg、約350mgから約2000mg、約350mgから約1900mg、約350mgから約1800mg、約350mgから約1700mg、約350mgから約1600mg、約350mgから約1500mg、約350mgから約1400mg、約350mgから約1300mg、約350mgから約1200mg、約350mgから約1100mg、約350mgから約1000mg、約350mgから約900mg、約350mgから約800mg、約350mgから約700mg、約350mgから約600mg、約350mgから約500mg、約350mgから約400mg、約400mgから約4000mg、約400mgから約3900mg、約400mgから約3800mg、約400mgから約3700mg、約400mgから約3600mg、約400mgから約3500mg、約400mgから約3400mg、約400mgから約3300mg、約400mgから約3200mg、約400mgから約3100mg、約400mgから約3000mg、約400mgから約2900mg、約400mgから約2800mg、約400mgから約2700mg、約400mgから約2600mg、約400mgから約2500mg、約400mgから約2400mg、約400mgから約2300mg、約400mgから約2200mg、約400mgから約2100mg、約400mgから約2000mg、約400mgから約1900mg、約400mgから約1800mg、約400mgから約1700mg、約400mgから約1600mg、約400mgから約1500mg、約400mgから約1400mg、約400mgから約1300mg、約400mgから約1200mg、約400mgから約1100mg、約400mgから約1000mg、約400mgから約900mg、約400mgから約800mg、約400mgから約700mg、約400mgから約600mg、約400mgから約500mg、約450mgから約4000mg、約450mgから約3900mg、約450mgから約3800mg、約450mgから約3700mg、約450mgから約3600mg、約450mgから約3500mg、約450mgから約3400mg、約450mgから約3300mg、約450mgから約3200mg、約450mgから約3100mg、約450mgから約3000mg、約450mgから約2900mg、約450mgから約2800mg、約450mgから約2700mg、約450mgから約2600mg、約450mgから約2500mg、約450mgから約2400mg、約450mgから約2300mg、約450mgから約2200mg、約450mgから約2100mg、約450mgから約2000mg、約450mgから約
1900mg、約450mgから約1800mg、約450mgから約1700mg、約450mgから約1600mg、約450mgから約1500mg、約450mgから約1400mg、約450mgから約1300mg、約450mgから約1200mg、約450mgから約1100mg、約450mgから約1000mg、約450mgから約900mg、約450mgから約800mg、約450mgから約700mg、約450mgから約600mgまたは約450mgから約500mgである。
【0112】
具体的には、患者は50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mg、1525mg、1550mg、1575mg、1600mg、1625mg、1650mg、1675mg、1700mg、1725mg、1750mg、1775mg、1800mg、1825mg、1850mg、1875mg、1900mg、1925mg、1950mg、1975mg、2000mg、2025mg、2050mg、2075mg、2100mg、2125mg、2150mg、2175mg、2200mg、2225mg、2250mg、2275mg、2300mg、2325mg、2350mg、2375mg、2400mg、2425mg、2450mg、2475mg、2500mg、2525mg、2550mg、2575mg、2600mg、2625mg、2650mg、2675mg、2700mg、2725mg、2750mg、2775mg、2800mg、2825mg、2850mg、2875mg、2900mg、2925mg、2950mg、2975mg、3000mg、3025mg、3050mg、3075mg、3100mg、3125mg、3150mg、3175mg、3200mg、3225mg、3250mg、3275mg、3300mg、3325mg、3350mg、3375mg、3400mg、3425mg、3450mg、3475mg、3500mg、3525mg、3550mg、3575mg、3600mg、3625mg、3650mg、3675mg、3700mg、3725mg、3750mg、3775mg、3800mg、3825mg、3850mg、3875mg、3900mg、3925mg、3950mg、3975mg、または4000mgを投与され得る。
【0113】
本明細書に記載されている抗体または抗体部分の用量は、個体の必要により、組成物を投与する者または組成物の投与を指揮する者の専門的な判断により、週に1回、1週間おきに1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、2カ月に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回または12週間に1回投与され得、本明細書に記載されている用量範囲は単なる例示であり、特許請求される組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではない。
【0114】
別の実施形態において、本明細書に記載されている1つ以上の抗体が固定用量として患者に皮下投与される場合、投与され得る抗体または抗体部分の治療有効量または予防有効量は、約50mgから約500mg、50mgから約400mg、約50mgから約300mg、約50mgから約200mg、約50mgから約100mg、約75mgから約500mg、75mgから約400mg、約75mgから約300mg、約75mgから約200mg、約75mgから約100mg、約100mgから約500mg、約100mgから約400mg、約100mgから約300mg、約100mgから約200mg、約125mgから約500mg、125mgから約400mg、約125mgから約300mg、約125mgから約200mg、約150mgから約500mg、150mgから約400mg、約150mgから約300mg、約150mgから約200mg、約175mgから約500mg、175mgから約400mg、約175mgから約300mg、約175mgから約200mg、約200mgから約500mg、200mgから約400mgまたは約200mgから約300mgである。具体的には、対象は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、40mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mgまたは500mgを投与され得る。
【0115】
本明細書に記載されている抗体または抗体部分の用量は、個体の必要により、組成物を投与する者または組成物の投与を指揮する者の専門的な判断により、週に1回、1週間おきに1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、2カ月に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回または12週間に1回投与され得、本明細書に記載されている用量範囲は単なる例示であり、特許請求される組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではない。
【0116】
一実施形態において、本明細書に記載されている1つ以上の抗体の治療レジメンは、対象に投与され得る。例示的であり非限定的なレジメンは、複数可変投薬レジメンである。例えば、複数可変投薬レジメンは、負荷用量、続いて負荷用量より少ない少なくとも1つの治療用量を含み得る。
【0117】
抗RGMa抗体は、標的媒介性の体内動態を介した排除を受ける場合がある。ある特定の実施形態において、負荷用量は、標的媒介性の体内動態を克服するのに有効である。
【0118】
ある特定の実施形態において、本方法は、抗RGMa抗体の負荷用量、続いてより少量の抗体のその後の用量を提供することによって、抗体の定常状態レベルの早期到達を含む。
【0119】
ある特定の実施形態において、本方法は、抗RGMa抗体の負荷用量、続いてより少量の抗体のその後の用量を提供することによって、有効な標的トラフ血清濃度の早期到達を含む。
【0120】
ある特定の実施形態において、本方法は、抗RGMa抗体の負荷用量、続いてより少量の抗体のその後の用量を提供することによって、臨床効果の早期達成を含む。
【0121】
例えば、定常状態レベル、有効な標的トラフ血清濃度および/または臨床効果は、4週間以内に、好ましくは3週間以内に、より好ましくは2週間以内に、最も好ましくは1週間以内に、例えば6日以内、5日以内に、4日以内に、3日以内に、2日以内にまたは1日以内に到達される。この後、定常状態レベルは、治療レジメンの残りの期間または疾患症状の抑制が達成されるまで、より少量の維持用量の投与により維持される。
【0122】
一実施形態において、治療用量は、負荷用量よりも少なくとも10%少ない量、少なくとも20%少ない量、少なくとも30%少ない量、少なくとも40%少ない量、少なくとも50%少ない量、少なくとも60%少ない量、少なくとも70%少ない量、少なくとも80%少ない量、少なくとも90%少ない量である。あるいは、治療用量は、負荷用量の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%または約90%であり得る。
【0123】
一実施形態において、負荷用量は、約100mgから約4000mg、約100mgから約3900mg、約100mgから約3800mg、約100mgから約3700mg、約100mgから約3600mg、約100mgから約3500mg、約100mgから約3400mg、約100mgから約3300mg、約100mgから約3200mg、約100mgから約3100mg、約100mgから約3000mg、約100mgから約2900mg、約100mgから約2800mg、約100mgから約2700mg、約100mgから約2600mg、約100mgから約2500mg、約100mgから約2400mg、約100mgから約2300mg、約100mgから約2200mg、約100mgから約2100mg、約100mgから約2000mg、約100mgから約1900mg、約100mgから約1800mg、約100mgから約1700mg、約100mgから約1600mg、約100mgから約1500mg、約100mgから約1400mg、約100mgから約1300mg、約100mgから約1200mg、約100mgから約1100mg、約100mgから約1000mg、約100mgから約900mg、約100mgから約800mg、約100mgから約700mg、約100mgから約600mg、約100mgから約500mg、約100mgから約400mg、約100mgから約300mg、約150mgから約4000mg、約150mgから約3900mg、約150mgから約3800mg、約150mgから約3700mg、約150mgから約3600mg、約150mgから約3500mg、約150mgから約3400mg、約150mgから約3300mg、約150mgから約3200mg、約150mgから約3100mg、約150mgから約3000mg、約150mgから約2900mg、約150mgから約2800mg、約150mgから約2700mg、約150mgから約2600mg、約150mgから約2500mg、約150mgから約2400mg、約150mgから約2300mg、約150mgから約2200mg、約150mgから約2100mg、約150mgから約2000mg、約150mgから約1900mg、約150mgから約1800mg、約150mgから約1700mg、約150mgから約1600mg、約150mgから約1500mg、約150mgから約1400mg、約150mgから約1300mg、約150mgから約1200mg、約150mgから約1100mg、約150mgから約1000mg、約150mgから約900mg、約150mgから約800mg、約150mgから約700mg、約150mgから約600mg、約150mgから約500mg、約150mgから約400mg、約150mgから約300mg、約200mgから約4000mg、約200mgから約3900mg、約200mgから約3800mg、約200mgから約3700mg、約200mgから約3600mg、約200mgから約3500mg、約200mgから約3400mg、約200mgから約3300mg、約200mgから約3200mg、約200mgから約3100mg、約200mgから約3000mg、約200mgから約2900mg、約200mgから約2800mg、約200mgから約2700mg、約200mgから約2600mg、約200mgから約2500mg、約200mgから約2400mg、約200mgから約2300mg、約200mgから約2200mg、約200mgから約2100mg、約200mgから約2000mg、約200mgから約1900mg、約200mgから約1800mg、約200mgから約1700mg、約200mgから約1600mg、約200mgから約1500mg、約200mgから約1400mg、約200mgから約1300mg、約200mgから約1200mg、約200mgから約1100mg、約200mgから約1000mg、約200mgから約900mg、約200mgから約800mg、約200mgから約700mg、約200mgから約600mg、約200mgから約500mg、約200mgから約400mg、約200mgから約300mg、約250mgから約4000mg、約250mgから約3900mg、約250mgから約3800mg、約250mgから約3700mg、約250mgから約3600mg、約250mgから約3500mg、約250mgから約3400mg、約250mgから約3300mg、約250mgから約3200mg、約250mgから約3100mg、約250mgから約3000mg、約250mgから約2900mg、約250mgから約2800mg、約250mgから約2700mg、約250mgから約2600mg、約250mgから約2500mg、約250mgから約2400mg、約250mgから約2300mg、約250mgから約2200mg、約250mgから約2100mg、約250mgから約2000mg、約250mgから約1900mg、約250mgから約1800mg、約250mgから約1700mg、約250mgから約1600mg、約250mgから約1500mg、約250mgから約1400mg、約250mgから約1300mg、約250mgから約1200mg、約250mgから約1100mg、約250mgから約1000mg、約250mgから約900mg、約250mgから約800mg、約250mgから約700mg、約250mgから約600mg、約250mgから約500mg、約250mgから約400mg、約250mgから約300mg、約300mgから約2500mg、約300mgから約2400mg、約300mgから約2300mg、約300mgから約2200mg、約300mgから約2100mg、約300mgから約2000mg、約300mgから約1900mg、約300mgから約1800mg、約300mgから約1700mg、約300mgから約1600mg、約300mgから約1500mg、約300mgから約1400mg、約300mgから約1300mg、約300mgから約1200mg、約300mgから約1100mg、約300mgから約1000mg、約300mgから約900mg、約300mgから約800mg、約300mgから約700mg、約300mgから約600mg、約300mgから約500mg、約300mgから約400mg、約350mgから約4000mg、約350mgから約3900mg、約350mgから約3800mg、約350mgから約3700mg、約350mgから約3600mg、約350mgから約3500mg、約350mgから約3400mg、約350mgから約3300mg、約350mgから約3200mg、約350mgから約3100mg、約350mgから約3000mg、約350mgから約2900mg、約350mgから約2800mg、約350mgから約2700mg、約350mgから約2600mg、約350mgから約2500mg、約350mgから約2400mg、約350mgから約2300mg、約350mgから約2200mg、約350mgから約2100mg、約350mgから約2000mg、約350mgから約1900mg、約350mgから約1800mg、約350mgから約1700mg、約350mgから約1600mg、約350mgから約1500mg、約350mgから約1400mg、約350mgから約1300mg、約350mgから約1200mg、約350mgから約1100mg、約350mgから約1000mg、約350mgから約900mg、約350mgから約800mg、約350mgから約700mg、約350mgから約600mg、約350mgから約500mg、約350mgから約400mg、約400mgから約4000mg、約400mgから約3900mg、約400mgから約3800mg、約400mgから約3700mg、約400mgから約3600mg、約400mgから約3500mg、約400mgから約3400mg、約400mgから約3300mg、約400mgから約3200mg、約400mgから約3100mg、約400mgから約3000mg、約400mgから約2900mg、約400mgから約2800mg、約400mgから約2700mg、約400mgから約2600mg、約400mgから約2500mg、約400mgから約2400mg、約400mgから約2300mg、約400mgから約2200mg、約400mgから約2100mg、約400mgから約2000mg、約400mgから約1900mg、約400mgから約1800mg、約400mgから約1700mg、約400mgから約1600mg、約400mgから約1500mg、約400mgから約1400mg、約400mgから約1300mg、約400mgから約1200mg、約400mgから約1100mg、約400mgから約1000mg、約400mgから約900mg、約400mgから約800mg、約400mgから約700mg、約400mgから約600mg、約400mgから約500mg、約450mgから約4000mg、約450mgから約3900mg、約450mgから約3800mg、約450mgから約3700mg、約450mgから約3600mg、約450mgから約3500mg、約450mgから約3400mg、約450mgから約3300mg、約450mgから約3200mg、約450mgから約3100mg、約450mgから約3000mg、約450mgから約2900mg、約450mgから約2800mg、約450mgから約2700mg、約450mgから約2600mg、約450mgから約2500mg、約450mgから約2400mg、約450mgから約2300mg、約450mgから約2200mg、約450mgから約2100mg、約450mgから約2000mg、約450mgから約1900mg、約450mgから約1800mg、約450mgから約1700mg、約450mgから約1600mg、約450mgから約1500mg、約450mgから約1400mg、約450mgから約1300mg、約450mgから約1200mg、約450mgから約1100mg、約450mgから約1000mg、約450mgから約900mg、約450mgから約800mg、約450mgから約700mg、約450mgから約600mgまたは約450mgから約500mgである。
【0124】
具体的には、対象は100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mg、1525mg、1550mg、1575mg、1600mg、1625mg、1650mg、1675mg、1700mg、1725mg、1750mg、1775mg、1800mg、1825mg、1850mg、1875mg、1900mg、1925mg、1950mg、1975mg、2000mg、2025mg、2050mg、2075mg、2100mg、2125mg、2150mg、2175mg、2200mg、2225mg、2250mg、2275mg、2300mg、2325mg、2350mg、2375mg、2400mg、2425mg、2450mg、2475mg、2500mg、2525mg、2550mg、2575mg、2600mg、2625mg、2650mg、2675mg、2700mg、2725mg、2750mg、2775mg、2800mg、2825mg、2850mg、2875mg、2900mg、2925mg、2950mg、2975mg、3000mg、3025mg、3050mg、3075mg、3300mg、3325mg、3350mg、3375mg、3200mg、3225mg、3250mg、3275mg、3300mg、3325mg、3350mg、3375mg、3400mg、3425mg、3450mg、3475mg、3500mg、3525mg、3550mg、3575mg、3600mg、3625mg、3650mg、3675mg、3700mg、3725mg、3750mg、3775mg、3800mg、3825mg、3850mg、3875mg、3900mg、3925mg、3950mg、3975mg、または4000mgの負荷用量を投与され得る。
【0125】
ある特定の実施形態において、負荷用量は1回以上の用量を含み、これは1日以上にわたって投与され得る。ある特定の実施形態において、負荷用量は2回以上の用量を含み、各用量は別々の日に投与される。したがって、負荷用量は、1回、2回またはそれ以上の用量として投与され得、各用量は、負荷用量段階中に投与される。負荷用量段階は、約14日、約13日、約12日、約11日、約10日、約9日、約8日、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日または約1日を含み得る。例えば、負荷用量は、連続2日間に2回用量として投与され得る。ある特定の実施形態において、負荷用量は、約1800mgの第1の用量および約1800mgの第2の用量を含み、任意選択的に負荷用量段階中に1日以上あけて投与される。特定の他の実施形態において、負荷用量は、約100mg、約300mgまたは約1200mgの単回用量のような単回用量を含む。
【0126】
ある特定の実施形態において、1回を超える負荷用量が投与される。例えば、第1の負荷用量は、第1の時点で(1日以上にわたって)投与され得、その後の負荷用量は、その後の時点で(1日以上にわたって)投与され得る。ある特定の実施形態において、第1の時点とその後の時点の間の間隔は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間または少なくとも12週間である。特定の実施形態において、第1の時点とその後の時点の間の間隔は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間または約12週間である。
【0127】
一実施形態において、治療用量は、約50mgから約2500mg、約50mgから約2400mg、約50mgから約2300mg、約50mgから約2200mg、約50mgから約2100mg、約50mgから約2000mg、約50mgから約1900mg、約50mgから約1800mg、約50mgから約1700mg、約50mgから約1600mg、約50mgから約1500mg、約50mgから約1400mg、約50mgから約1300mg、約50mgから約1200mg、約50mgから約1100mg、約50mgから約1000mg、約50mgから約900mg、約50mgから約800mg、約50mgから約700mg、約50mgから約600mg、約50mgから約500mg、約50mgから約400mg、約50mgから約300mg、100mgから約2500mg、約100mgから約2400mg、約100mgから約2300mg、約100mgから約2200mg、約100mgから約2100mg、約100mgから約2000mg、約100mgから約1900mg、約100mgから約1800mg、約100mgから約1700mg、約100mgから約1600mg、約100mgから約1500mg、約100mgから約1400mg、約100mgから約1300mg、約100mgから約1200mg、約100mgから約1100mg、約100mgから約1000mg、約100mgから約900mg、約100mgから約800mg、約100mgから約700mg、約100mgから約600mg、約100mgから約500mg、約100mgから約400mg、約100mgから約300mg、約150mgから約2500mg、約150mgから約2400mg、約150mgから約2300mg、約150mgから約2200mg、約150mgから約2100mg、約150mgから約2000mg、約150mgから約1900mg、約150mgから約1800mg、約150mgから約1700mg、約150mgから約1600mg、約150mgから約1500mg、約150mgから約1400mg、約150mgから約1300mg、約150mgから約1200mg、約150mgから約1100mg、約150mgから約1000mg、約150mgから約900mg、約150mgから約800mg、約150mgから約700mg、約150mgから約600mg、約150mgから約500mg、約150mgから約400mg、約150mgから約300mg、約200mgから約2500mg、約200mgから約2400mg、約200mgから約2300mg、約200mgから約2200mg、約200mgから約2100mg、約200mgから約2000mg、約200mgから約1900mg、約200mgから約1800mg、約200mgから約1700mg、約200mgから約1600mg、約200mgから約1500mg、約200mgから約1400mg、約200mgから約1300mg、約200mgから約1200mg、約200mgから約1100mg、約200mgから約1000mg、約200mgから約900mg、約200mgから約800mg、約200mgから約700mg、約200mgから約600mg、約200mgから約500mg、約200mgから約400mg、約200mgから約300mg、約250mgから約2500mg、約250mgから約2400mg、約250mgから約2300mg、約250mgから約2200mg、約250mgから約2100mg、約250mgから約2000mg、約250mgから約1900mg、約250mgから約1800mg、約250mgから約1700mg、約250mgから約1600mg、約250mgから約1500mg、約250mgから約1400mg、約250mgから約1300mg、約250mgから約1200mg、約250mgから約1100mg、約250mgから約1000mg、約250mgから約900mg、約250mgから約800mg、約250mgから約700mg、約250mgから約600mg、約250mgから約500mg、約250mgから約400mg、約250mgから約300mg、約300mgから約2500mg、約300mgから約2400mg、約300mgから約2300mg、約300mgから約2200mg、約300mgから約2100mg、約300mgから約2000mg、約300mgから約1900mg、約300mgから約1800mg、約300mgから約1700mg、約300mgから約1600mg、約300mgから約1500mg、約300mgから約1400mg、約300mgから約1300mg、約300mgから約1200mg、約300mgから約1100mg、約300mgから約1000mg、約300mgから約900mg、約300mgから約800mg、約300mgから約700mg、約300mgから約600mg、約300mgから約500mg、約300mgから約400mg、約350mgから約4000mg、約350mgから約3900mg、約350mgから約3800mg、約350mgから約3700mg、約350mgから約3600mg、約350mgから約3500mg、約350mgから約3400mg、約350mgから約3300mg、約350mgから約3200mg、約350mgから約3100mg、約350mgから約3000mg、約350mgから約2900mg、約350mgから約2800mg、約350mgから約2700mg、約350mgから約2600mg、約350mgから約2500mg、約350mgから約2400mg、約350mgから約2300mg、約350mgから約2200mg、約350mgから約2100mg、約350mgから約2000mg、約350mgから約1900mg、約350mgから約1800mg、約350mgから約1700mg、約350mgから約1600mg、約350mgから約1500mg、約350mgから約1400mg、約350mgから約1300mg、約350mgから約1200mg、約350mgから約1100mg、約350mgから約1000mg、約350mgから約900mg、約350mgから約800mg、約350mgから約700mg、約350mgから約600mg、約350mgから約500mg、約350mgから約400mg、約400mgから約4000mg、約400mgから約3900mg、約400mgから約3800mg、約400mgから約3700mg、約400mgから約3600mg、約400mgから約3500mg、約400mgから約3400mg、約400mgから約3300mg、約400mgから約3200mg、約400mgから約3100mg、約400mgから約3000mg、約400mgから約2900mg、約400mgから約2800mg、約400mgから約2700mg、約400mgから約2600mg、約400mgから約2500mg、約400mgから約2400mg、約400mgから約2300mg、約400mgから約2200mg、約400mgから約2100mg、約400mgから約2000mg、約400mgから約1900mg、約400mgから約1800mg、約400mgから約1700mg、約400mgから約1600mg、約400mgから約1500mg、約400mgから約1400mg、約400mgから約1300mg、約400mgから約1200mg、約400mgから約1100mg、約400mgから約1000mg、約400mgから約900mg、約400mgから約800mg、約400mgから約700mg、約400mgから約600mg、約400mgから約500mg、約450mgから約4000mg、約450mgから約3900mg、約450mgから約3800mg、約450mgから約3700mg、約450mgから約3600mg、約450mgから約3500mg、約450mgから約3400mg、約450mgから約3300mg、約450mgから約3200mg、約450mgから約3100mg、約450mgから約3000mg、約450mgから約2900mg、約450mgから約2800mg、約450mgから約2700mg、約450mgから約2600mg、約450mgから約2500mg、約450mgから約2400mg、約450mgから約2300mg、約450mgから約2200mg、約450mgから約2100mg、約450mgから約2000mg、約450mgから約1900mg、約450mgから約1800mg、約450mgから約1700mg、約450mgから約1600mg、約450mgから約1500mg、約450mgから約1400mg、約450mgから約1300mg、約450mgから約1200mg、約450mgから約1100mg、約450mgから約1000mg、約450mgから約900mg、約450mgから約800mg、約450mgから約700mg、約450mgから約600mgまたは約450mgから約500mgである。
【0128】
具体的には、対象は50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mg、1525mg、1550mg、1575mg、1600mg、1625mg、1650mg、1675mg、1700mg、1725mg、1750mg、1775mg、1800mg、1825mg、1850mg、1875mg、1900mg、1925mg、1950mg、1975mg、2000mg、2025mg、2050mg、2075mg、2100mg、2125mg、2150mg、2175mg、2200mg、2225mg、2250mg、2275mg、2300mg、2325mg、2350mg、2375mg、2400mg、2425mg、2450mg、2475mg、または2500mgの治療用量を投与され得る。
【0129】
一実施形態において、負荷用量は、治療用量の2倍である。例えば、負荷用量は、100mgの抗体またはこの抗原結合性断片であり得、その後の治療用量は50mgであり得る。別の例として、負荷用量は、300mgの抗体またはこの抗原結合性断片であり得、その後の治療用量は150mgであり得る。さらに別の例として、負荷用量は、1200mgの抗体またはこの抗原結合性断片であり得、その後の治療用量は600mgであり得る。さらに別の例として、負荷用量は、3600mgの抗体またはこの抗原結合性断片であり得、その後の治療用量は1800mgであり得る。
【0130】
本明細書に記載されている抗体または抗体部分の治療用量は、個体の必要により、組成物を投与する者または組成物の投与を指揮する者の専門的な判断により、週に1回、1週間おきに1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、2カ月に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回または12週間に1回投与され得、本明細書に記載されている用量範囲は単なる例示であり、特許請求される組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではない。
【0131】
特定の例示的な実施形態において、本方法は、約150mgから約1000mgの抗体を28日ごとに1回投与することを含む。
【0132】
特定の例示的な実施形態において、本方法は、毎月約300mgから約1200mgの抗体を投与することを含む。例えば、本方法は毎月約450mgの抗体を投与することを含み得る。
【0133】
特定の例示的な実施形態において、本方法は、抗体またはこの抗原結合性断片の負荷用量を投与し、続いて、抗体またはこの抗原結性断片の少なくとも1つの治療用量を投与することを含む。
【0134】
一部のこのような実施形態において、負荷用量は、この全体が1日に与えられる。他のこのような実施形態において、負荷用量は、複数日にわたって分割される(例えば、2日にわたって分割される。)。例えば、負荷用量は、2日以上にわたって2回以上の用量として投与され得る。
【0135】
一部のこのような実施形態において、治療用量は、負荷用量の投与の少なくとも1週間後に投与される。例えば、治療用量は、負荷用量の投与の1週間後、負荷用量の投与の2週間後、負荷用量の投与の3週間後、負荷用量の投与の4週間後、負荷用量の投与の5週間後、負荷用量の投与の6週間後、負荷用量の投与の7週間後、負荷用量の投与の8週間後、負荷用量の投与の9週間後、負荷用量の投与の10週間後、負荷用量の投与の11週間後または負荷用量の投与の12週間後に投与され得る。
【0136】
一部のこのような実施形態において、本方法は、1つ以上の治療用量を投与することを含む。例えば、本方法は、負荷用量を投与し、続いて1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20回のその後の治療用量を投与することを含み得る。特定の実施形態において、本方法は、負荷用量を投与し、続いて3回の治療用量により合計4回投与することを含み得る。負荷用量と第1の治療用量の間の間隔は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間または少なくとも12週間であり得る。特に、負荷用量と第1の治療用量の間の間隔は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間または約12週間であり得る。1つ以上の治療用量は、個体の必要により、組成物を投与する者または組成物の投与を指揮する者の専門的な判断により、週に1回、1週間おきに1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、2カ月に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回または12週間に1回投与され得、本明細書に記載されている用量範囲は単なる例示であり、特許請求される組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではない。
【0137】
抗体は、単独で投与されてもよくまたはリポソームにコンジュゲートされてもよく、医薬として有用な組成物を調製するための公知の方法に従って製剤化され得、これにより、抗体は、医薬として許容される担体と混合して組み合わせられる。「医薬として許容される担体」はレシピエント患者によって容認され得る。滅菌リン酸緩衝生理食塩水は、医薬として許容される担体の一例である。他の適切な担体は、当業者に周知である。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第19版(1995年)を参照されたい。
【0138】
さらなる治療方法は、治療的適用における抗体の作用の持続時間を制御するために使用されてもよい。放出制御調製物は、ポリマーを使用して抗体を複合体化または吸着することによって調製することができる。例えば、生体適合性ポリマーには、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)のマトリックスおよびステアリン酸二量体とセバシン酸のポリ酸無水物コポリマーのマトリックスを含む。Sherwoodら、Bio/Technology、10巻:1446頁(1992年)。このようなマトリックスからの抗体の放出速度は、タンパク質の分子量、マトリックス内の抗体の量および分散した粒子のサイズに依存する。Saltzmanら、Biophys.J.、55巻:163頁(1989年);Sherwoodら、上述。他の固体剤形は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第19版(1995年)に記載されている。
【0139】
b.二次性進行型多発性硬化症(SPMS)
多発性硬化症と診断された患者において、対象が二次性進行型多発性硬化症を有するか否かについて評価を行うことができる。評価は、予防療法、維持療法または調節療法のような適切な治療過程を示し得る。したがって、本明細書において、治療有効量の本明細書に記載されている1つ以上の(例えば、抗体AE12-1-Y-QLのような)抗体を、それを必要とする患者に投与することによる、二次進行型多発性硬化症を治療、予防、調節または軽減する方法が提供される。
【0140】
一実施形態において、固定用量の本明細書に記載されている1つ以上の抗体は、対象に投与され得る。治療有効量または予防有効量の本明細書に記載されている抗体または抗体部分の例示的であり非限定的な範囲は、約50mgから約4000mg、約50mgから約3900mg、約50mgから約3800mg、約50mgから約3700mg、約50mgから約3600mg、約50mgから約3500mg、約50mgから約3400mg、約50mgから約3300mg、約50mgから約3200mg、約50mgから約3100mg、約50mgから約3000mg、約50mgから約2900mg、約50mgから約2800mg、約50mgから約2700mg、約50mgから約2600mg、約50mgから約2500mg、約50mgから約2400mg、約50mgから約2300mg、約50mgから約2200mg、約50mgから約2100mg、約50mgから約2000mg、約50mgから約1900mg、約50mgから約1800mg、約50mgから約1700mg、約50mgから約1600mg、約50mgから約1500mg、約50mgから約1400mg、約50mgから約1300mg、約50mgから約1200mg、約50mgから約1100mg、約50mgから約1000mg、約50mgから約900mg、約50mgから約800mg、約50mgから約700mg、約50mgから約600mg、約50mgから約500mg、約50mgから約400mg、約50mgから約300mg、約100mgから約4000mg、約100mgから約3900mg、約100mgから約3800mg、約100mgから約3700mg、約100mgから約3600mg、約100mgから約3500mg、約100mgから約3400mg、約100mgから約3300mg、約100mgから約3200mg、約100mgから約3100mg、約100mgから約3000mg、約100mgから約2900mg、約100mgから約2800mg、約100mgから約2700mg、約100mgから約2600mg、約100mgから約2500mg、約100mgから約2400mg、約100mgから約2300mg、約100mgから約2200mg、約100mgから約2100mg、約100mgから約2000mg、約100mgから約1900mg、約100mgから約1800mg、約100mgから約1700mg、約100mgから約1600mg、約100mgから約1500mg、約100mgから約1400mg、約100mgから約1300mg、約100mgから約1200mg、約100mgから約1100mg、約100mgから約1000mg、約100mgから約900mg、約100mgから約800mg、約100mgから約700mg、約100mgから約600mg、約100mgから約500mg、約100mgから約400mg、約100mgから約300mg、約150mgから約4000mg、約150mgから約3900mg、約150mgから約3800mg、約150mgから約3700mg、約150mgから約3600mg、約150mgから約3500mg、約150mgから約3400mg、約150mgから約3300mg、約150mgから約3200mg、約150mgから約3100mg、約150mgから約3000mg、約150mgから約2900mg、約150mgから約2800mg、約150mgから約2700mg、約150mgから約2600mg、約150mgから約2500mg、約150mgから約2400mg、約150mgから約2300mg、約150mgから約2200mg、約150mgから約2100mg、約150mgから約2000mg、約150mgから約1900mg、約150mgから約1800mg、約150mgから約1700mg、約150mgから約1600mg、約150mgから約1500mg、約150mgから約1400mg、約150mgから約1300mg、約150mgから約1200mg、約150mgから約1100mg、約150mgから約1000mg、約150mgから約900mg、約150mgから約800mg、約150mgから約700mg、約150mgから約600mg、約150mgから約500mg、約150mgから約400mg、約150mgから約300mg、約200mgから約4000mg、約200mgから約3900mg、約200mgから約3800mg、約200mgから約3700mg、約200mgから約3600mg、約200mgから約3500mg、約200mgから約3400mg、約200mgから約3300mg、約200mgから約3200mg、約200mgから約3100mg、約200mgから約3000mg、約200mgから約2900mg、約200mgから約2800mg、約200mgから約2700mg、約200mgから約2600mg、約200mgから約2500mg、約200mgから約2400mg、約200mgから約2300mg、約200mgから約2200mg、約200mgから約2100mg、約200mgから約2000mg、約200mgから約1900mg、約200mgから約1800mg、約200mgから約1700mg、約200mgから約1600mg、約200mgから約1500mg、約200mgから約1400mg、約200mgから約1300mg、約200mgから約1200mg、約200mgから約1100mg、約200mgから約1000mg、約200mgから約900mg、約200mgから約800mg、約200mgから約700mg、約200mgから約600mg、約200mgから約500mg、約200mgから約400mg、約200mgから約300mg、約250mgから約4000mg、約250mgから約3900mg、約250mgから約3800mg、約250mgから約3700mg、約250mgから約3600mg、約250mgから約3500mg、約250mgから約3400mg、約250mgから約3300mg、約250mgから約3200mg、約250mgから約3100mg、約250mgから約3000mg、約250mgから約2900mg、約250mgから約2800mg、約250mgから約2700mg、約250mgから約2600mg、約250mgから約2500mg、約250mgから約2400mg、約250mgから約2300mg、約250mgから約2200mg、約250mgから約2100mg、約250mgから約2000mg、約250mgから約1900mg、約250mgから約1800mg、約250mgから約1700mg、約250mgから約1600mg、約250mgから約1500mg、約250mgから約1400mg、約250mgから約1300mg、約250mgから約1200mg、約250mgから約1100mg、約250mgから約1000mg、約250mgから約900mg、約250mgから約800mg、約250mgから約700mg、約250mgから約600mg、約250mgから約500mg、約250mgから約400mg、約250mgから約300mg、約300mgから約4000mg、約300mgから約3900mg、約300mgから約3800mg、約300mgから約3700mg、約300mgから約3600mg、約300mgから約3500mg、約300mgから約3400mg、約300mgから約3300mg、約300mgから約3200mg、約300mgから約3100mg、約300mgから約3000mg、約300mgから約2900mg、約300mgから約2800mg、約300mgから約2700mg、約300mgから約2600mg、約300mgから約2500mg、約300mgから約2400mg、約300mgから約2300mg、約300mgから約2200mg、約300mgから約2100mg、約300mgから約2000mg、約300mgから約1900mg、約300mgから約1800mg、約300mgから約1700mg、約300mgから約1600mg、約300mgから約1500mg、約300mgから約1400mg、約300mgから約1300mg、約300mgから約1200mg、約300mgから約1100mg、約300mgから約1000mg、約300mgから約900mg、約300mgから約800mg、約300mgから約700mg、約300mgから約600mg、約300mgから約500mg、約300mgから約400mg、約350mgから約4000mg、約350mgから約3900mg、約350mgから約3800mg、約350mgから約3700mg、約350mgから約3600mg、約350mgから約3500mg、約350mgから約3400mg、約350mgから約3300mg、約350mgから約3200mg、約350mgから約3100mg、約350mgから約3000mg、約350mgから約2900mg、約350mgから約2800mg、約350mgから約2700mg、約350mgから約2600mg、約350mgから約2500mg、約350mgから約2400mg、約350mgから約2300mg、約350mgから約2200mg、約350mgから約2100mg、約350mgから約2000mg、約350mgから約1900mg、約350mgから約1800mg、約350mgから約1700mg、約350mgから約1600mg、約350mgから約1500mg、約350mgから約1400mg、約350mgから約1300mg、約350mgから約1200mg、約350mgから約1100mg、約350mgから約1000mg、約350mgから約900mg、約350mgから約800mg、約350mgから約700mg、約350mgから約600mg、約350mgから約500mg、約350mgから約400mg、約400mgから約4000mg、約400mgから約3900mg、約400mgから約3800mg、約400mgから約3700mg、約400mgから約3600mg、約400mgから約3500mg、約400mgから約3400mg、約400mgから約3300mg、約400mgから約3200mg、約400mgから約3100mg、約400mgから約3000mg、約400mgから約2900mg、約400mgから約2800mg、約400mgから約2700mg、約400mgから約2600mg、約400mgから約2500mg、約400mgから約2400mg、約400mgから約2300mg、約400mgから約2200mg、約400mgから約2100mg、約400mgから約2000mg、約400mgから約1900mg、約400mgから約1800mg、約400mgから約1700mg、約400mgから約1600mg、約400mgから約1500mg、約400mgから約1400mg、約400mgから約1300mg、約400mgから約1200mg、約400mgから約1100mg、約400mgから約1000mg、約400mgから約900mg、約400mgから約800mg、約400mgから約700mg、約400mgから約600mg、約400mgから約500mg、約450mgから約4000mg、約450mgから約3900mg、約450mgから約3800mg、約450mgから約3700mg、約450mgから約3600mg、約450mgから約3500mg、約450mgから約3400mg、約450mgから約3300mg、約450mgから約3200mg、約450mgから約3100mg、約450mgから約3000mg、約450mgから約2900mg、約450mgから約2800mg、約450mgから約2700mg、約450mgから約2600mg、約450mgから約2500mg、約450mgから約2400mg、約450mgから約2300mg、約450mgから約2200mg、約450mgから約
2100mg、約450mgから約2000mg、約450mgから約1900mg、約450mgから約1800mg、約450mgから約1700mg、約450mgから約1600mg、約450mgから約1500mg、約450mgから約1400mg、約450mgから約1300mg、約450mgから約1200mg、約450mgから約1100mg、約450mgから約1000mg、約450mgから約900mg、約450mgから約800mg、約450mgから約700mg、約450mgから約600mgまたは約450mgから約500mgである。
【0141】
具体的には、対象は、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mg、1525mg、1550mg、1575mg、1600mg、1625mg、1650mg、1675mg、1700mg、1725mg、1750mg、1775mg、1800mg、1825mg、1850mg、1875mg、1900mg、1925mg、1950mg、1975mg、2000mg、2025mg、2050mg、2075mg、2100mg、2125mg、2150mg、2175mg、2200mg、2225mg、2250mg、2275mg、2300mg、2325mg、2350mg、2375mg、2400mg、2425mg、2450mg、2475mg、2500mg、2525mg、2550mg、2575mg、2600mg、2625mg、2650mg、2675mg、2700mg、2725mg、2750mg、2775mg、2800mg、2825mg、2850mg、2875mg、2900mg、2925mg、2950mg、2975mg、3000mg、3025mg、3050mg、3075mg、3100mg、3125mg、3150mg、3175mg、3200mg、3225mg、3250mg、3275mg、3300mg、3325mg、3350mg、3375mg、3400mg、3425mg、3450mg、3475mg、3500mg、3525mg、3550mg、3575mg、3600mg、3625mg、3650mg、3675mg、3700mg、3725mg、3750mg、3775mg、3800mg、3825mg、3850mg、3875mg、3900mg、3925mg、3950mg、3975mg、または4000mgを投与され得る。
【0142】
本明細書に記載されている抗体または抗体部分の用量は、個体の必要により、組成物を投与する者または組成物の投与を指揮する者の専門的な判断により、週に1回、1週間おきに1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、2カ月に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回または12週間に1回投与され得、本明細書に記載されている用量範囲は単なる例示であり、特許請求される組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではない。
【0143】
一実施形態において、固定用量の本明細書に記載されている1つ以上の抗体は、対象に投与され得る。治療有効量または予防有効量の本明細書に記載されている抗体または抗体部分の例示的であり非限定的な量は、最大約200mg/kg、最大約190mg/kg、最大約180mg/kg、最大約170mg/kg、最大約160mg/kg、最大約150mg/kg、最大約140mg/kg、最大約130mg/kg、最大約120mg/kg、最大約110mg/kg、最大約100mg/kg、最大約90mg/kg、最大約80mg/kg、最大約70mg/kg、最大約60mg/kg、最大約50mg/kg、最大約40mg/kg、最大約30mg/kg、最大約20mg/kg、最大約10mg/kg、最大約5mg/kgまたは最大約2.5mg/kgを含む。
【0144】
患者への抗体の投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、胸腔内、髄腔内、眼内、硝子体内、局所カテーテルによる灌流または直接的な病巣内注射であり得る。注射による治療用タンパク質を投与する場合、投与は、連続注入または単回もしくは複数回のボーラスによるものであり得る。静脈内注射は、急速に分布する抗体中の循環の徹底により有用な投与の様式を提供する。抗体は、例えば、不活性希釈剤または同化可能な食用担体とともに経口投与され得る。所望により、抗体および他の成分は、硬殻または軟殻ゼラチンカプセルに封入され、錠剤、口腔錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁剤、シロップ剤、ウエハースなどに圧搾されてもよい。
【0145】
一実施形態において、本明細書に記載されている1つ以上の抗体が固定用量として患者に静脈内投与される場合、投与され得る抗体または抗体部分の治療有効量または予防有効量は、約50mgから約4000mg、約50mgから約3900mg、約50mgから約3800mg、約50mgから約3700mg、約50mgから約3600mg、約50mgから約3500mg、約50mgから約3400mg、約50mgから約3300mg、約50mgから約3200mg、約50mgから約3100mg、約50mgから約3000mg、約50mgから約2900mg、約50mgから約2800mg、約50mgから約2700mg、約50mgから約2600mg、約50mgから約2500mg、約50mgから約2400mg、約50mgから約2300mg、約50mgから約2200mg、約50mgから約2100mg、約50mgから約2000mg、約50mgから約1900mg、約50mgから約1800mg、約50mgから約1700mg、約50mgから約1600mg、約50mgから約1500mg、約50mgから約1400mg、約50mgから約1300mg、約50mgから約1200mg、約50mgから約1100mg、約50mgから約1000mg、約50mgから約900mg、約50mgから約800mg、約50mgから約700mg、約50mgから約600mg、約50mgから約500mg、約50mgから約400mg、約50mgから約300mg、約100mgから約4000mg、約100mgから約3900mg、約100mgから約3800mg、約100mgから約3700mg、約100mgから約3600mg、約100mgから約3500mg、約100mgから約3400mg、約100mgから約3300mg、約100mgから約3200mg、約100mgから約3100mg、約100mgから約3000mg、約100mgから約2900mg、約100mgから約2800mg、約100mgから約2700mg、約100mgから約2600mg、約100mgから約2500mg、約100mgから約2400mg、約100mgから約2300mg、約100mgから約2200mg、約100mgから約2100mg、約100mgから約2000mg、約100mgから約1900mg、約100mgから約1800mg、約100mgから約1700mg、約100mgから約1600mg、約100mgから約1500mg、約100mgから約1400mg、約100mgから約1300mg、約100mgから約1200mg、約100mgから約1100mg、約100mgから約1000mg、約100mgから約900mg、約100mgから約800mg、約100mgから約700mg、約100mgから約600mg、約100mgから約500mg、約100mgから約400mg、約100mgから約300mg、約150mgから約4000mg、約150mgから約3900mg、約150mgから約3800mg、約150mgから約3700mg、約150mgから約3600mg、約150mgから約3500mg、約150mgから約3400mg、約150mgから約3300mg、約150mgから約3200mg、約150mgから約3100mg、約150mgから約3000mg、約150mgから約2900mg、約150mgから約2800mg、約150mgから約2700mg、約150mgから約2600mg、約150mgから約2500mg、約150mgから約2400mg、約150mgから約2300mg、約150mgから約2200mg、約150mgから約2100mg、約150mgから約2000mg、約150mgから約1900mg、約150mgから約1800mg、約150mgから約1700mg、約150mgから約1600mg、約150mgから約1500mg、約150mgから約1400mg、約150mgから約1300mg、約150mgから約1200mg、約150mgから約1100mg、約150mgから約1000mg、約150mgから約900mg、約150mgから約800mg、約150mgから約700mg、約150mgから約600mg、約150mgから約500mg、約150mgから約400mg、約150mgから約300mg、約200mgから約4000mg、約200mgから約3900mg、約200mgから約3800mg、約200mgから約3700mg、約200mgから約3600mg、約200mgから約3500mg、約200mgから約3400mg、約200mgから約3300mg、約200mgから約3200mg、約200mgから約3100mg、約200mgから約3000mg、約200mgから約2900mg、約200mgから約2800mg、約200mgから約2700mg、約200mgから約2600mg、約200mgから約2500mg、約200mgから約2400mg、約200mgから約2300mg、約200mgから約2200mg、約200mgから約2100mg、約200mgから約2000mg、約200mgから約1900mg、約200mgから約1800mg、約200mgから約1700mg、約200mgから約1600mg、約200mgから約1500mg、約200mgから約1400mg、約200mgから約1300mg、約200mgから約1200mg、約200mgから約1100mg、約200mgから約1000mg、約200mgから約900mg、約200mgから約800mg、約200mgから約700mg、約200mgから約600mg、約200mgから約500mg、約200mgから約400mg、約200mgから約300mg、約250mgから約4000mg、約250mgから約3900mg、約250mgから約3800mg、約250mgから約3700mg、約250mgから約3600mg、約250mgから約3500mg、約250mgから約3400mg、約250mgから約3300mg、約250mgから約3200mg、約250mgから約3100mg、約250mgから約3000mg、約250mgから約2900mg、約250mgから約2800mg、約250mgから約2700mg、約250mgから約2600mg、約250mgから約2500mg、約250mgから約2400mg、約250mgから約2300mg、約250mgから約2200mg、約250mgから約2100mg、約250mgから約2000mg、約250mgから約1900mg、約250mgから約1800mg、約250mgから約1700mg、約250mgから約1600mg、約250mgから約1500mg、約250mgから約1400mg、約250mgから約1300mg、約250mgから約1200mg、約250mgから約1100mg、約250mgから約1000mg、約250mgから約900mg、約250mgから約800mg、約250mgから約700mg、約250mgから約600mg、約250mgから約500mg、約250mgから約400mg、約250mgから約300mg、約300mgから約4000mg、約300mgから約3900mg、約300mgから約3800mg、約300mgから約3700mg、約300mgから約3600mg、約300mgから約3500mg、約300mgから約3400mg、約300mgから約3300mg、約300mgから約3200mg、約300mgから約3100mg、約300mgから約3000mg、約300mgから約2900mg、約300mgから約2800mg、約300mgから約2700mg、約300mgから約2600mg、約300mgから約2500mg、約300mgから約2400mg、約300mgから約2300mg、約300mgから約2200mg、約300mgから約2100mg、約300mgから約2000mg、約300mgから約1900mg、約300mgから約1800mg、約300mgから約1700mg、約300mgから約1600mg、約300mgから約1500mg、約300mgから約1400mg、約300mgから約1300mg、約300mgから約1200mg、約300mgから約1100mg、約300mgから約1000mg、約300mgから約900mg、約300mgから約800mg、約300mgから約700mg、約300mgから約600mg、約300mgから約500mg、約300mgから約400mg、約350mgから約4000mg、約350mgから約3900mg、約350mgから約3800mg、約350mgから約3700mg、約350mgから約3600mg、約350mgから約3500mg、約350mgから約3400mg、約350mgから約3300mg、約350mgから約3200mg、約350mgから約3100mg、約350mgから約3000mg、約350mgから約2900mg、約350mgから約2800mg、約350mgから約2700mg、約350mgから約2600mg、約350mgから約2500mg、約350mgから約2400mg、約350mgから約2300mg、約350mgから約2200mg、約350mgから約2100mg、約350mgから約2000mg、約350mgから約1900mg、約350mgから約1800mg、約350mgから約1700mg、約350mgから約1600mg、約350mgから約1500mg、約350mgから約1400mg、約350mgから約1300mg、約350mgから約1200mg、約350mgから約1100mg、約350mgから約1000mg、約350mgから約900mg、約350mgから約800mg、約350mgから約700mg、約350mgから約600mg、約350mgから約500mg、約350mgから約400mg、約400mgから約4000mg、約400mgから約3900mg、約400mgから約3800mg、約400mgから約3700mg、約400mgから約3600mg、約400mgから約3500mg、約400mgから約3400mg、約400mgから約3300mg、約400mgから約3200mg、約400mgから約3100mg、約400mgから約3000mg、約400mgから約2900mg、約400mgから約2800mg、約400mgから約2700mg、約400mgから約2600mg、約400mgから約2500mg、約400mgから約2400mg、約400mgから約2300mg、約400mgから約2200mg、約400mgから約2100mg、約400mgから約2000mg、約400mgから約1900mg、約400mgから約1800mg、約400mgから約1700mg、約400mgから約1600mg、約400mgから約1500mg、約400mgから約1400mg、約400mgから約1300mg、約400mgから約1200mg、約400mgから約1100mg、約400mgから約1000mg、約400mgから約900mg、約400mgから約800mg、約400mgから約700mg、約400mgから約600mg、約400mgから約500mg、約450mgから約4000mg、約450mgから約3900mg、約450mgから約3800mg、約450mgから約3700mg、約450mgから約3600mg、約450mgから約3500mg、約450mgから約3400mg、約450mgから約3300mg、約450mgから約3200mg、約450mgから約3100mg、約450mgから約3000mg、約450mgから約2900mg、約450mgから約2800mg、約450mgから約2700mg、約450mgから約2600mg、約450mgから約2500mg、約450mgから約2400mg、約450mgから約2300mg、約450mgから約2200mg、約450mgから約2100mg、約450mgから
約2000mg、約450mgから約1900mg、約450mgから約1800mg、約450mgから約1700mg、約450mgから約1600mg、約450mgから約1500mg、約450mgから約1400mg、約450mgから約1300mg、約450mgから約1200mg、約450mgから約1100mg、約450mgから約1000mg、約450mgから約900mg、約450mgから約800mg、約450mgから約700mg、約450mgから約600mgまたは約450mgから約500mgである。
【0146】
具体的には、患者は、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mg、1525mg、1550mg、1575mg、1600mg、1625mg、1650mg、1675mg、1700mg、1725mg、1750mg、1775mg、1800mg、1825mg、1850mg、1875mg、1900mg、1925mg、1950mg、1975mg、2000mg、2025mg、2050mg、2075mg、2100mg、2125mg、2150mg、2175mg、2200mg、2225mg、2250mg、2275mg、2300mg、2325mg、2350mg、2375mg、2400mg、2425mg、2450mg、2475mg、2500mg、2525mg、2550mg、2575mg、2600mg、2625mg、2650mg、2675mg、2700mg、2725mg、2750mg、2775mg、2800mg、2825mg、2850mg、2875mg、2900mg、2925mg、2950mg、2975mg、3000mg、3025mg、3050mg、3075mg、3100mg、3125mg、3150mg、3175mg、3200mg、3225mg、3250mg、3275mg、3300mg、3325mg、3350mg、3375mg、3400mg、3425mg、3450mg、3475mg、3500mg、3525mg、3550mg、3575mg、3600mg、3625mg、3650mg、3675mg、3700mg、3725mg、3750mg、3775mg、3800mg、3825mg、3850mg、3875mg、3900mg、3925mg、3950mg、3975mg、または4000mgを投与され得る。
【0147】
本明細書に記載されている抗体または抗体部分の用量は、個体の必要により、組成物を投与する者または組成物の投与を指揮する者の専門的な判断により、週に1回、1週間おきに1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、2カ月に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回または12週間に1回投与され得、本明細書に記載されている用量範囲は単なる例示であり、特許請求される組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではない。
【0148】
別の実施形態において、本明細書に記載されている1つ以上の抗体が固定用量として患者に皮下投与される場合、投与され得る抗体または抗体部分の治療有効量または予防有効量は、約50mgから約500mg、50mgから約400mg、約50mgから約300mg、約50mgから約200mg、約50mgから約100mg、約75mgから約500mg、75mgから約400mg、約75mgから約300mg、約75mgから約200mg、約75mgから約100mg、約100mgから約500mg、約100mgから約400mg、約100mgから約300mg、約100mgから約200mg、約125mgから約500mg、125mgから約400mg、約125mgから約300mg、約125mgから約200mg、約150mgから約500mg、150mgから約400mg、約150mgから約300mg、約150mgから約200mg、約175mgから約500mg、175mgから約400mg、約175mgから約300mg、約175mgから約200mg、約200mgから約500mg、200mgから約400mgまたは約200mgから約300mgである。具体的には、対象は、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、40mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mgまたは500mgを投与され得る。
【0149】
本明細書に記載されている抗体または抗体部分の用量は、個体の必要により、組成物を投与する者または組成物の投与を指揮する者の専門的な判断により、週に1回、1週間おきに1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、2カ月に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回または12週間に1回投与され得、本明細書に記載されている用量範囲は単なる例示であり、特許請求される組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではない。
【0150】
一実施形態において、本明細書に記載されている1つ以上の抗体の治療レジメンは、対象に投与され得る。例示的であり非限定的なレジメンは、複数可変投薬レジメンである。例えば、複数可変投薬レジメンは、負荷用量、続いて負荷用量より少ない少なくとも1つの治療用量を含み得る。
【0151】
抗RGMa抗体は、標的媒介性の体内動態を介した排除を受ける場合がある。ある特定の実施形態において、負荷用量は、標的媒介性の体内動態を克服するのに有効である。
【0152】
ある特定の実施形態において、本方法は、抗RGMa抗体の負荷用量、続いてより少量の抗体のその後の用量を提供することによって、抗体の定常状態レベルの早期到達を含む。
【0153】
ある特定の実施形態において、本方法は、抗RGMa抗体の負荷用量、続いてより少量の抗体のその後の用量を提供することによって、有効な標的トラフ血清濃度の早期到達を含む。
【0154】
ある特定の実施形態において、本方法は、抗RGMa抗体の負荷用量、続いてより少量の抗体のその後の用量を提供することによって、臨床効果の早期達成を含む。
【0155】
例えば、定常状態レベル、有効な標的トラフ血清濃度および/または臨床効果は、4週間以内に、好ましくは3週間以内に、より好ましくは2週間以内に、最も好ましくは1週間以内に、例えば6日以内、5日以内に、4日以内に、3日以内に、2日以内にまたは1日以内に到達される。この後、定常状態レベルは、治療レジメンの残りの期間または疾患症状の抑制が達成されるまで、より少量の維持用量の投与により維持される。
【0156】
一実施形態において、治療用量は、負荷用量よりも少なくとも10%少ない量、少なくとも20%少ない量、少なくとも30%少ない量、少なくとも40%少ない量、少なくとも50%少ない量、少なくとも60%少ない量、少なくとも70%少ない量、少なくとも80%少ない量、少なくとも90%少ない量である。あるいは、治療用量は、負荷用量の約10%、約20%、約30%、約40%、約50%、約60%、約70%、約80%または約90%であり得る。
【0157】
一実施形態において、負荷用量は、約100mgから約4000mg、約100mgから約3900mg、約100mgから約3800mg、約100mgから約3700mg、約100mgから約3600mg、約100mgから約3500mg、約100mgから約3400mg、約100mgから約3300mg、約100mgから約3200mg、約100mgから約3100mg、約100mgから約3000mg、約100mgから約2900mg、約100mgから約2800mg、約100mgから約2700mg、約100mgから約2600mg、約100mgから約2500mg、約100mgから約2400mg、約100mgから約2300mg、約100mgから約2200mg、約100mgから約2100mg、約100mgから約2000mg、約100mgから約1900mg、約100mgから約1800mg、約100mgから約1700mg、約100mgから約1600mg、約100mgから約1500mg、約100mgから約1400mg、約100mgから約1300mg、約100mgから約1200mg、約100mgから約1100mg、約100mgから約1000mg、約100mgから約900mg、約100mgから約800mg、約100mgから約700mg、約100mgから約600mg、約100mgから約500mg、約100mgから約400mg、約100mgから約300mg、約150mgから約4000mg、約150mgから約3900mg、約150mgから約3800mg、約150mgから約3700mg、約150mgから約3600mg、約150mgから約3500mg、約150mgから約3400mg、約150mgから約3300mg、約150mgから約3200mg、約150mgから約3100mg、約150mgから約3000mg、約150mgから約2900mg、約150mgから約2800mg、約150mgから約2700mg、約150mgから約2600mg、約150mgから約2500mg、約150mgから約2400mg、約150mgから約2300mg、約150mgから約2200mg、約150mgから約2100mg、約150mgから約2000mg、約150mgから約1900mg、約150mgから約1800mg、約150mgから約1700mg、約150mgから約1600mg、約150mgから約1500mg、約150mgから約1400mg、約150mgから約1300mg、約150mgから約1200mg、約150mgから約1100mg、約150mgから約1000mg、約150mgから約900mg、約150mgから約800mg、約150mgから約700mg、約150mgから約600mg、約150mgから約500mg、約150mgから約400mg、約150mgから約300mg、約200mgから約4000mg、約200mgから約3900mg、約200mgから約3800mg、約200mgから約3700mg、約200mgから約3600mg、約200mgから約3400mg、約200mgから約3300mg、約200mgから約3200mg、約200mgから約3100mg、約200mgから約3000mg、約200mgから約2900mg、約200mgから約2800mg、約200mgから約2700mg、約200mgから約2600mg、約200mgから約2500mg、約200mgから約2400mg、約200mgから約2300mg、約200mgから約2200mg、約200mgから約2100mg、約200mgから約2000mg、約200mgから約1900mg、約200mgから約1800mg、約200mgから約1700mg、約200mgから約1600mg、約200mgから約1500mg、約200mgから約1400mg、約200mgから約1300mg、約200mgから約1200mg、約200mgから約1100mg、約200mgから約1000mg、約200mgから約900mg、約200mgから約800mg、約200mgから約700mg、約200mgから約600mg、約200mgから約500mg、約200mgから約400mg、約200mgから約300mg、約250mgから約4000mg、約250mgから約3900mg、約250mgから約3800mg、約250mgから約3700mg、約250mgから約3600mg、約250mgから約3500mg、約250mgから約3400mg、約250mgから約3300mg、約250mgから約3200mg、約250mgから約3100mg、約250mgから約3000mg、約250mgから約2900mg、約250mgから約2800mg、約250mgから約2700mg、約250mgから約2600mg、約250mgから約2500mg、約250mgから約2400mg、約250mgから約2300mg、約250mgから約2200mg、約250mgから約2100mg、約250mgから約2000mg、約250mgから約1900mg、約250mgから約1800mg、約250mgから約1700mg、約250mgから約1600mg、約250mgから約1500mg、約250mgから約1400mg、約250mgから約1300mg、約250mgから約1200mg、約250mgから約1100mg、約250mgから約1000mg、約250mgから約900mg、約250mgから約800mg、約250mgから約700mg、約250mgから約600mg、約250mgから約500mg、約250mgから約400mg、約250mgから約300mg、約300mgから約2500mg、約300mgから約2400mg、約300mgから約2300mg、約300mgから約2200mg、約300mgから約2100mg、約300mgから約2000mg、約300mgから約1900mg、約300mgから約1800mg、約300mgから約1700mg、約300mgから約1600mg、約300mgから約1500mg、約300mgから約1400mg、約300mgから約1300mg、約300mgから約1200mg、約300mgから約1100mg、約300mgから約1000mg、約300mgから約900mg、約300mgから約800mg、約300mgから約700mg、約300mgから約600mg、約300mgから約500mg、約300mgから約400mg、約350mgから約4000mg、約350mgから約3900mg、約350mgから約3800mg、約350mgから約3700mg、約350mgから約3600mg、約350mgから約3500mg、約350mgから約3400mg、約350mgから約3300mg、約350mgから約3200mg、約350mgから約3100mg、約350mgから約3000mg、約350mgから約2900mg、約350mgから約2800mg、約350mgから約2700mg、約350mgから約2600mg、約350mgから約2500mg、約350mgから約2400mg、約350mgから約2300mg、約350mgから約2200mg、約350mgから約2100mg、約350mgから約2000mg、約350mgから約1900mg、約350mgから約1800mg、約350mgから約1700mg、約350mgから約1600mg、約350mgから約1500mg、約350mgから約1400mg、約350mgから約1300mg、約350mgから約1200mg、約350mgから約1100mg、約350mgから約1000mg、約350mgから約900mg、約350mgから約800mg、約350mgから約700mg、約350mgから約600mg、約350mgから約500mg、約350mgから約400mg、約400mgから約4000mg、約400mgから約3900mg、約400mgから約3800mg、約400mgから約3700mg、約400mgから約3600mg、約400mgから約3500mg、約400mgから約3400mg、約400mgから約3300mg、約400mgから約3200mg、約400mgから約3100mg、約400mgから約3000mg、約400mgから約2900mg、約400mgから約2800mg、約400mgから約2700mg、約400mgから約2600mg、約400mgから約2500mg、約400mgから約2400mg、約400mgから約2300mg、約400mgから約2200mg、約400mgから約2100mg、約400mgから約2000mg、約400mgから約1900mg、約400mgから約1800mg、約400mgから約1700mg、約400mgから約1600mg、約400mgから約1500mg、約400mgから約1400mg、約400mgから約1300mg、約400mgから約1200mg、約400mgから約1100mg、約400mgから約1000mg、約400mgから約900mg、約400mgから約800mg、約400mgから約700mg、約400mgから約600mg、約400mgから約500mg、約450mgから約4000mg、約450mgから約3900mg、約450mgから約3800mg、約450mgから約3700mg、約450mgから約3600mg、約450mgから約3500mg、約450mgから約3400mg、約450mgから約3300mg、約450mgから約3200mg、約450mgから約3100mg、約450mgから約3000mg、約450mgから約2900mg、約450mgから約2800mg、約450mgから約2700mg、約450mgから約2600mg、約450mgから約2500mg、約450mgから約2400mg、約450mgから約2300mg、約450mgから約2200mg、約450mgから約2100mg、約450mgから約2000mg、約450mgから約1900mg、約450mgから約1800mg、約450mgから約1700mg、約450mgから約1600mg、約450mgから約1500mg、約450mgから約1400mg、約450mgから約1300mg、約450mgから約1200mg、約450mgから約1100mg、約450mgから約1000mg、約450mgから約900mg、約450mgから約800mg、約450mgから約700mg、約450mgから約600mgまたは約450mgから約500mgである。
【0158】
具体的には、対象は、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mg、1525mg、1550mg、1575mg、1600mg、1625mg、1650mg、1675mg、1700mg、1725mg、1750mg、1775mg、1800mg、1825mg、1850mg、1875mg、1900mg、1925mg、1950mg、1975mg、2000mg、2025mg、2050mg、2075mg、2100mg、2125mg、2150mg、2175mg、2200mg、2225mg、2250mg、2275mg、2300mg、2325mg、2350mg、2375mg、2400mg、2425mg、2450mg、2475mg、2500mg、2525mg、2550mg、2575mg、2600mg、2625mg、2650mg、2675mg、2700mg、2725mg、2750mg、2775mg、2800mg、2825mg、2850mg、2875mg、2900mg、2925mg、2950mg、2975mg、3000mg、3025mg、3050mg、3075mg、3300mg、3325mg、3350mg、3375mg、3200mg、3225mg、3250mg、3275mg、3300mg、3325mg、3350mg、3375mg、3400mg、3425mg、3450mg、3475mg、3500mg、3525mg、3550mg、3575mg、3600mg、3625mg、3650mg、3675mg、3700mg、3725mg、3750mg、3775mg、3800mg、3825mg、3850mg、3875mg、3900mg、3925mg、3950mg、3975mg、または4000mgの負荷用量を投与され得る。
【0159】
ある特定の実施形態において、負荷用量は1回以上の用量を含み、これは1日以上にわたって投与され得る。ある特定の実施形態において、負荷用量は2回以上の用量を含み、各用量は別々の日に投与される。したがって、負荷用量は、1回、2回またはそれ以上の用量として投与され得、各用量は、負荷用量段階中に投与される。負荷用量段階は、約14日、約13日、約12日、約11日、約10日、約9日、約8日、約7日、約6日、約5日、約4日、約3日、約2日または約1日を含み得る。例えば、負荷用量は、連続2日間に2回用量として投与され得る。ある特定の実施形態において、負荷用量は、約1800mgの第1の用量および約1800mgの第2の用量を含み、任意選択的に負荷用量段階中に1日以上あけて投与される。特定の他の実施形態において、負荷用量は、約100mg、約300mgまたは約1200mgの単回用量のような単回用量を含む。
【0160】
ある特定の実施形態において、1回を超える負荷用量が投与される。例えば、第1の負荷用量は、第1の時点で(1日以上にわたって)投与され得、その後の負荷用量は、その後の時点で(1日以上にわたって)投与され得る。ある特定の実施形態において、第1の時点とその後の時点の間の間隔は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間または少なくとも12週間である。特定の実施形態において、第1の時点とその後の時点の間の間隔は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間または約12週間である。
【0161】
一実施形態において、治療用量は、約50mgから約2500mg、約50mgから約2400mg、約50mgから約2300mg、約50mgから約2200mg、約50mgから約2100mg、約50mgから約2000mg、約50mgから約1900mg、約50mgから約1800mg、約50mgから約1700mg、約50mgから約1600mg、約50mgから約1500mg、約50mgから約1400mg、約50mgから約1300mg、約50mgから約1200mg、約50mgから約1100mg、約50mgから約1000mg、約50mgから約900mg、約50mgから約800mg、約50mgから約700mg、約50mgから約600mg、約50mgから約500mg、約50mgから約400mg、約50mgから約300mg、100mgから約2500mg、約100mgから約2400mg、約100mgから約2300mg、約100mgから約2200mg、約100mgから約2100mg、約100mgから約2000mg、約100mgから約1900mg、約100mgから約1800mg、約100mgから約1700mg、約100mgから約1600mg、約100mgから約1500mg、約100mgから約1400mg、約100mgから約1300mg、約100mgから約1200mg、約100mgから約1100mg、約100mgから約1000mg、約100mgから約900mg、約100mgから約800mg、約100mgから約700mg、約100mgから約600mg、約100mgから約500mg、約100mgから約400mg、約100mgから約300mg、約150mgから約2500mg、約150mgから約2400mg、約150mgから約2300mg、約150mgから約2200mg、約150mgから約2100mg、約150mgから約2000mg、約150mgから約1900mg、約150mgから約1800mg、約150mgから約1700mg、約150mgから約1600mg、約150mgから約1500mg、約150mgから約1400mg、約150mgから約1300mg、約150mgから約1200mg、約150mgから約1100mg、約150mgから約1000mg、約150mgから約900mg、約150mgから約800mg、約150mgから約700mg、約150mgから約600mg、約150mgから約500mg、約150mgから約400mg、約150mgから約300mg、約200mgから約2500mg、約200mgから約2400mg、約200mgから約2300mg、約200mgから約2200mg、約200mgから約2100mg、約200mgから約2000mg、約200mgから約1900mg、約200mgから約1800mg、約200mgから約1700mg、約200mgから約1600mg、約200mgから約1500mg、約200mgから約1400mg、約200mgから約1300mg、約200mgから約1200mg、約200mgから約1100mg、約200mgから約1000mg、約200mgから約900mg、約200mgから約800mg、約200mgから約700mg、約200mgから約600mg、約200mgから約500mg、約200mgから約400mg、約200mgから約300mg、約250mgから約2500mg、約250mgから約2400mg、約250mgから約2300mg、約250mgから約2200mg、約250mgから約2100mg、約250mgから約2000mg、約250mgから約1900mg、約250mgから約1800mg、約250mgから約1700mg、約250mgから約1600mg、約250mgから約1500mg、約250mgから約1400mg、約250mgから約1300mg、約250mgから約1200mg、約250mgから約1100mg、約250mgから約1000mg、約250mgから約900mg、約250mgから約800mg、約250mgから約700mg、約250mgから約600mg、約250mgから約500mg、約250mgから約400mg、約250mgから約300mg、約300mgから約2500mg、約300mgから約2400mg、約300mgから約2300mg、約300mgから約2200mg、約300mgから約2100mg、約300mgから約2000mg、約300mgから約1900mg、約300mgから約1800mg、約300mgから約1700mg、約300mgから約1600mg、約300mgから約1500mg、約300mgから約1400mg、約300mgから約1300mg、約300mgから約1200mg、約300mgから約1100mg、約300mgから約1000mg、約300mgから約900mg、約300mgから約800mg、約300mgから約700mg、約300mgから約600mg、約300mgから約500mg、約300mgから約400mg、約350mgから約4000mg、約350mgから約3900mg、約350mgから約3800mg、約350mgから約3700mg、約350mgから約3600mg、約350mgから約3500mg、約350mgから約3400mg、約350mgから約3300mg、約350mgから約3200mg、約350mgから約3100mg、約350mgから約3000mg、約350mgから約2900mg、約350mgから約2800mg、約350mgから約2700mg、約350mgから約2600mg、約350mgから約2500mg、約350mgから約2400mg、約350mgから約2300mg、約350mgから約2200mg、約350mgから約2100mg、約350mgから約2000mg、約350mgから約1900mg、約350mgから約1800mg、約350mgから約1700mg、約350mgから約1600mg、約350mgから約1500mg、約350mgから約1400mg、約350mgから約1300mg、約350mgから約1200mg、約350mgから約1100mg、約350mgから約1000mg、約350mgから約900mg、約350mgから約800mg、約350mgから約700mg、約350mgから約600mg、約350mgから約500mg、約350mgから約400mg、約400mgから約4000mg、約400mgから約3900mg、約400mgから約3800mg、約400mgから約3700mg、約400mgから約3600mg、約400mgから約3500mg、約400mgから約3400mg、約400mgから約3300mg、約400mgから約3200mg、約400mgから約3100mg、約400mgから約3000mg、約400mgから約2900mg、約400mgから約2800mg、約400mgから約2700mg、約400mgから約2600mg、約400mgから約2500mg、約400mgから約2400mg、約400mgから約2300mg、約400mgから約2200mg、約400mgから約2100mg、約400mgから約2000mg、約400mgから約1900mg、約400mgから約1800mg、約400mgから約1700mg、約400mgから約1600mg、約400mgから約1500mg、約400mgから約1400mg、約400mgから約1300mg、約400mgから約1200mg、約400mgから約1100mg、約400mgから約1000mg、約400mgから約900mg、約400mgから約800mg、約400mgから約700mg、約400mgから約600mg、約400mgから約500mg、約450mgから約4000mg、約450mgから約3900mg、約450mgから約3800mg、約450mgから約3700mg、約450mgから約3600mg、約450mgから約3500mg、約450mgから約3400mg、約450mgから約3300mg、約450mgから約3200mg、約450mgから約3100mg、約450mgから約3000mg、約450mgから約2900mg、約450mgから約2800mg、約450mgから約2700mg、約450mgから約2600mg、約450mgから約2500mg、約450mgから約2400mg、約450mgから約2300mg、約450mgから約2200mg、約450mgから約2100mg、約450mgから約2000mg、約450mgから約1900mg、約450mgから約1800mg、約450mgから約1700mg、約450mgから約1600mg、約450mgから約1500mg、約450mgから約1400mg、約450mgから約1300mg、約450mgから約1200mg、約450mgから約1100mg、約450mgから約1000mg、約450mgから約900mg、約450mgから約800mg、約450mgから約700mg、約450mgから約600mgまたは約450mgから約500mgである。
【0162】
具体的には、対象は、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、800mg、825mg、850mg、875mg、900mg、925mg、950mg、975mg、1000mg、1025mg、1050mg、1075mg、1100mg、1125mg、1150mg、1175mg、1200mg、1225mg、1250mg、1275mg、1300mg、1325mg、1350mg、1375mg、1400mg、1425mg、1450mg、1475mg、1500mg、1525mg、1550mg、1575mg、1600mg、1625mg、1650mg、1675mg、1700mg、1725mg、1750mg、1775mg、1800mg、1825mg、1850mg、1875mg、1900mg、1925mg、1950mg、1975mg、2000mg、2025mg、2050mg、2075mg、2100mg、2125mg、2150mg、2175mg、2200mg、2225mg、2250mg、2275mg、2300mg、2325mg、2350mg、2375mg、2400mg、2425mg、2450mg、2475mg、または2500mgの治療用量を投与され得る。
【0163】
一実施形態において、負荷用量は、治療用量の2倍である。例えば、負荷用量は、100mgの抗体またはこの抗原結合性断片であり得、その後の治療用量は50mgであり得る。別の例として、負荷用量は、300mgの抗体またはこの抗原結合性断片であり得、その後の治療用量は150mgであり得る。さらに別の例として、負荷用量は、1200mgの抗体またはこの抗原結合性断片であり得、その後の治療用量は600mgであり得る。さらに別の例として、負荷用量は、3600mgの抗体またはこの抗原結合性断片であり得、その後の治療用量は1800mgであり得る。
【0164】
本明細書に記載されている抗体または抗体部分の治療用量は、個体の必要により、組成物を投与する者または組成物の投与を指揮する者の専門的な判断により、週に1回、1週間おきに1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、2カ月に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回または12週間に1回投与され得、本明細書に記載されている用量範囲は単なる例示であり、特許請求される組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではない。
【0165】
特定の例示的な実施形態において、本方法は、約150mgから約1000mgの抗体を28日ごとに1回投与することを含む。
【0166】
特定の例示的な実施形態において、本方法は、毎月約300mgから約1200mgの抗体を投与することを含む。例えば、本方法は毎月約450mgの抗体を投与することを含み得る。
【0167】
特定の例示的な実施形態において、本方法は、抗体またはこの抗原結合性断片の負荷用量を投与し、続いて、抗体またはこの抗原結性断片の少なくとも1つの治療用量を投与することを含む。
【0168】
一部のこのような実施形態において、負荷用量は、この全体が1日に与えられる。他のこのような実施形態において、負荷用量は、複数日にわたって分割される(例えば、2日にわたって分割される。)。例えば、負荷用量は、2日以上にわたって2回以上の用量として投与され得る。
【0169】
一部のこのような実施形態において、治療用量は、負荷用量の投与の少なくとも1週間後に投与される。例えば、治療用量は、負荷用量の投与の1週間後、負荷用量の投与の2週間後、負荷用量の投与の3週間後、負荷用量の投与の4週間後、負荷用量の投与の5週間後、負荷用量の投与の6週間後、負荷用量の投与の7週間後、負荷用量の投与の8週間後、負荷用量の投与の9週間後、負荷用量の投与の10週間後、負荷用量の投与の11週間後または負荷用量の投与の12週間後に投与され得る。
【0170】
一部のこのような実施形態において、本方法は、1つ以上の治療用量を投与することを含む。例えば、本方法は、負荷用量を投与し、続いて1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20回のその後の治療用量を投与することを含み得る。特定の実施形態において、本方法は、負荷用量を投与し、続いて3回の治療用量により合計4回投与することを含み得る。負荷用量と第1の治療用量の間の間隔は、少なくとも1週間、少なくとも2週間、少なくとも3週間、少なくとも4週間、少なくとも1ヶ月、少なくとも5週間、少なくとも6週間、少なくとも7週間、少なくとも8週間、少なくとも2ヶ月、少なくとも9週間、少なくとも10週間、少なくとも11週間または少なくとも12週間であり得る。特に、負荷用量と第1の治療用量の間の間隔は、約1週間、約2週間、約3週間、約4週間、約5週間、約6週間、約7週間、約8週間、約9週間、約10週間、約11週間または約12週間であり得る。1つ以上の治療用量は、個体の必要により、組成物を投与する者または組成物の投与を指揮する者の専門的な判断により、週に1回、1週間おきに1回、2週間に1回、3週間に1回、4週間に1回、1カ月に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、2カ月に1回、9週間に1回、10週間に1回、11週間に1回または12週間に1回投与され得、本明細書に記載されている用量範囲は単なる例示であり、特許請求される組成物の範囲または実施を限定することを意図するものではない。
【0171】
抗体は、単独で投与されてもよくまたはリポソームにコンジュゲートされてもよく、医薬として有用な組成物を調製するための公知の方法に従って製剤化され得、これにより、抗体は、医薬として許容される担体と混合して組み合わせられる。「医薬として許容される担体」はレシピエント患者によって容認され得る。滅菌リン酸緩衝生理食塩水は、医薬として許容される担体の一例である。他の適切な担体は、当業者に周知である。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第19版(1995年)を参照されたい。
【0172】
さらなる治療方法は、治療的適用における抗体の作用の持続時間を制御するために使用されてもよい。放出制御調製物は、ポリマーを使用して抗体を複合体化または吸着することによって調製することができる。例えば、生体適合性ポリマーには、ポリ(エチレン-co-酢酸ビニル)のマトリックスおよびステアリン酸二量体とセバシン酸のポリ酸無水物コポリマーのマトリックスを含む。Sherwoodら、Bio/Technology、10巻:1446頁(1992年)。このようなマトリックスからの抗体の放出速度は、タンパク質の分子量、マトリックス内の抗体の量および分散した粒子のサイズに依存する。Saltzmanら、Biophys.J.、55巻:163頁(1989年);Sherwoodら、上述。他の固体剤形は、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES、第19版(1995年)に記載されている。
【実施例0173】
本発明は、以下の非限定的な例によって例示される複数の態様を有する。
【0174】
[実施例1]
健常者におけるAE12-1-Y-QLの安全性、忍容性、薬物動態、および免疫原性を評価する単回投与研究
研究の設計:これは単回投与、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、単一施設研究である。最大56人の通常健康な男性および女性対象がこの研究に登録される。研究の目的は、健常者、すなわち通常健康な成人男性および女性対象におけるAE12-1-Y-QLの単回静脈内投与および皮下投与の安全性、忍容性、薬物動態および免疫原性を評価することであった。
【0175】
方法論:各群8人の対象からなる、7つの投与群がある。8人の対象の各群では、6人の対象が無作為に割り当てられ、AE12-1-Y-QLの単回投与を受け、2人の対象がプラセボを受ける。群1から6における投与は、静脈内注入(IV)によって投与される。群7における投与は、皮下注射(SC)によって投与される。投与される用量は表4に示される。
【0176】
【0177】
各群において、用量は1日目の午前中に投与される。1つの群における投与は、次の群の投与まで少なくとも5週間間隔をあけられる。低用量で得られた安全性、忍容性、および薬物動態のデータが検討および評価された後にのみ、高用量が投与される。群1から7において、1日目に、1人の対象には実薬、1人の対象にはプラセボが投与され、後日、追加で6人の対象のうち、5人に実薬、1人にプラセボを分けて投与する。各群において、1日あたり最大2人の対象が投与される。補充の遅延がないと想定して、投与は連日行われる。群2の投与が完了した5週間後すぐに群7における投与を開始することができる。
【0178】
AE12-1-Y-QL濃度の決定のため、一連の血液試料は以下のように静脈穿刺により採取される:投与前(0時間)、投与後2、4、6、10、14、24、48、72、96、120、144、および168時間、ならびに14、28、42、56、70、84、112、および140日目。抗薬物抗体の決定のための血液試料は、1日目の投与前(0時間)、ならびに投与後8、14、28、42、56、および84日目に採取される。
【0179】
対象は、2つの磁気共鳴画像法(MRI)スキャン:ベースラインのスキャンは投与前およびベースラインの腰椎穿刺前に実施される。
【0180】
AE12-1-Y-QL濃度の決定のためおよびバイオマーカー分析のため、2回の腰椎穿刺が実施され、CSFが採取される。1回目の腰椎穿刺(ベースライン)は投与前に実施され、2回目の腰椎穿刺は7日目に、ベースラインの腰椎穿刺とほぼ同時に実施される。
【0181】
選択/除外のための診断および主要基準:
主要選択基準:以下の基準を満たす場合、対象は研究参加に適格である:
1.男性または女性、スクリーニング時の年齢は、その年齢も含めて18歳から55歳の間である。
【0182】
2.女性の場合、対象は:
・妊娠の可能性がないことが以下により確かである;
・対象が閉経後である(少なくとも1年間月経がなく、該当する年齢である)。
・対象が外科的に不妊であり、両側卵巣摘出および/または子宮摘出と確認され、またはスクリーニングの少なくとも3カ月前から卵管閉塞(結紮および閉塞法、例えばEssure(登録商標)など)を有している。
【0183】
3.女性は、尿検体のスクリーニング時およびチェックインした日に得られた血清試料への投与前に妊娠試験の結果が陰性でなければならない。
【0184】
4.男性の場合、対象は外科的に不妊(精管切除)である、または最初の研究薬投与から研究薬の最終投与後140日まで、以下の避妊方法の少なくとも1つを実行することに同意しなければならない:
・対象の好ましいライフスタイルとして性交の完全節制;自然家族計画は許容されない;
・パートナーはIUDを使用する;
・パートナーはホルモン避妊薬の経口、注射、または埋め込み方法を使用する;
・対象および/またはパートナーは二重バリア法(男性コンドームおよび閉塞キャップ[ペッサリーまたは子宮頚部キャップ]または避妊用スポンジ[全て殺精子ゼリーまたはクリームと併用])を使用する。
【0185】
5.肥満度指数(BMI)は、その値を含めて18.0から29.9である。BMIはメートルで測定された身長mの2乗でkgで示された体重を割って計算される。
【0186】
6.病歴、身体検査、バイタルサイン、実験プロファイル、神経学的検査、および12誘導心電図(ECG)の結果に基づいて通常健康な状態。
【0187】
主要除外基準:以下の基準のいずれかを満たす場合、対象は研究参加に適格ではない:
1.定期的に任意の市販薬および/または処方箋医薬品、ビタミンおよび/またはハーブサプリメントを必要とする。
2.AbbVie研究指定医師からの事前承認が得られていない限り、研究薬投与前14日間以内またはそれぞれの医薬品の10半減期以内、どちらか長い方での任意の医薬品(処方箋または市販)、ビタミンおよび/またはハーブサプリメントの使用。
3.研究薬投与前30日以内に注射により任意のデポー薬を受ける。
4.分かっている場合、10半減期に等しい期間内または研究薬投与前6週間以内、どちらか長い方で臨床試験用医薬品を受ける。
5.薬物の乱用、アルコールまたはコチニンの尿スクリーニングが陽性。
6.研究薬投与前72時間以内にアルコール消費。
7.悪性腫瘍歴;ただし、基底細胞癌の切除もしくは処置歴または3以下の扁平上皮細胞癌がある対象は、この研究への参加に適格である。
8.研究薬またはそれらの賦形剤に過敏性であることが分かっている。
9.研究薬投与前2年以内に、薬物またはアルコール乱用歴。
10.重症アレルギーまたはアナフィラキシー反応歴。
11.発作性疾患もしくは原因不明の失神歴、または6カ月以内の発作歴。
12.スクリーニング時に完了するコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)の自殺念慮部分の質問4または5に「はい」と回答すること、または任意の自殺行動歴によって証明されるように、研究薬投与前1カ月以内に、自殺念慮歴または臨床的に重症なうつ病エピソード。
13.A型肝炎ウイルス免疫グロブリンM(HAV-IgM)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)もしくはC型肝炎ウイルス抗体(HCV Ab)またはHIV抗体(HIV Ab)の試験結果が陽性。陰性のHIV状態はスクリーニング時に確認され、結果は研究施設に秘密裏に管理される。
14.スクリーニング前6週間以内に水痘もしくは帯状疱疹ウイルス感染、または任意の重症ウイルス感染。
15.スクリーニング前21日以内に水痘帯状疱疹ウイルスに曝露。
16.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または他の免疫不全状態歴。
17.限定はされないが、はしか/おたふく風邪/風疹ワクチン、水痘帯状疱疹ウイルスワクチン、経口ポリオワクチン、および鼻インフルエンザワクチンを含む、任意の型の生ウイルスワクチンを投与4週間前から受ける。
18.投与前8週間以内に入院または抗生物質の静脈注射(IV)を必要とする感染(ウイルス、真菌、細菌)。
19.無作為化の2週間前からまたは研究の終わりまでに計画された待機手術の実施。
20.治験責任医師の考えでは、任意の重症心疾患、内分泌疾患、血液疾患、肝疾患、免疫疾患、代謝疾患、泌尿器疾患、肺疾患、胃腸疾患、皮膚病、精神疾患、腎疾患、神経疾患、および/または他の主な疾患を示す異常な実験結果歴。
21.スクリーニング時に以下の異常な血液試験のいずれかである:
・ヘモグロビン≦10.0g/dL
・血小板<150×109/L
・リンパ球≦1.0×109/L
・好中球≦1.5×109/L
・アラニンアミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(ALT/SGPT)、またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)>1×基準値上限(ULN)
・血清クレアチニン≧1×ULN
・血清鉄、フェリチン、トランスフェリン飽和度>1×ULN
22.腰椎穿刺の禁忌(例えば、腰の脊椎側弯症、凝固障害、針穿刺部位の感染した皮膚)または腰椎穿刺の14日以内に、非ステロイド系の抗炎症剤(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン)、クロピドグレル、ワルファリン、ヘパリン(またはヘパリン類似物質)、フォンダパリヌクス(または関連化合物)、またはトロンビン阻害剤(ダビガトラン)および第Xa因子阻害剤(リバーロキサバンおよびアピキサバン)を含む血液希釈化合物の使用。
23.MRIが禁忌の対象(すなわち、動脈瘤クリップ、金属片、人工内耳、脊髄刺激装置またはペースメーカーのような体内電動装置)は、ガドリニウムにアレルギー性であり、または閉所恐怖症である。
24.ベースラインの脳のMRIスキャンが、頭蓋内腫瘤の存在、または対象が腰椎穿刺を受けることを妨げる他の証拠を示す。
25.450mL以上の血液量の輸血または喪失(血漿交換を含む)または研究薬投与前8週間以内に任意の血液製剤の輸注を受ける。
26.妊娠または授乳中の女性。
【0188】
薬物動態変数:以下のAE12-1-Y-QLの薬物動態パラメーターは、ノンコンパートメント法を使用して決定される。観察された最大血清濃度(Cmax)、Cmax到達時間(ピーク時間、Tmax)、終末期消失速度定数(β)、終末期消失半減期(T1/2)、時間0から最終測定可能な濃度の時間までの血漿濃度-時間曲線下面積(AUC)(AUCt)、時間0から無限時間までのAUC(AUC∞)、およびクリアランス(IV投与のCLおよびSC投与のCL/F)が決定される。さらに、SC投与後の絶対バイオアベイラビリティー(Fabs)が推定される。抗薬物抗体価は、免疫原性の評価のために決定される。データの解釈に有用な場合、追加のパラメーターが算出され得る。
【0189】
遺伝薬理学変数:「PG-DNA血液」と標識されたDNA試料は、AE12-1-Y-QL、または他の研究の処置への対象の応答に寄与する遺伝因子について、薬物動態、薬力学、忍容性、および安全性に関して分析され得る。そのような遺伝因子は、薬物代謝酵素、薬物輸送タンパク質の遺伝子、標的経路内の遺伝子、または薬物応答に関連すると考えられる他の遺伝子を含み得る。現在までに特徴付けが不十分なまたは未知のいくつかの遺伝子は、分析時に重要であると理解され得る。試料は、AE12-1-Y-QLまたはこのクラスの薬物への応答に含まれる遺伝因子の多面的研究評価の一部として分析され得る。試料は、AE12-1-Y-QL(またはこのクラスの薬物)に関連する診断試験の開発にも使用され得る。遺伝薬理学的分析の結果は研究の要約と共に報告されない。
【0190】
「PGDM-DNA血液」と標識されたDNA試料は、薬物代謝酵素または薬物輸送タンパク質の遺伝子、標的経路内の遺伝子、または任意の医薬品への薬物応答に関連すると考えられる他の遺伝子を特徴付けるために分析される。遺伝薬理学変数に関する試料の分析は、非優良実験所基準(GLP)実験所によって実施され得る。
【0191】
安全性:安全性評価は以下を含む:有害事象モニタリング、バイタルサイン、身体検査、神経学的検査、心電図、実験的試験、コロンビア自殺重症度評価尺度、および脳のMRI。MRIは、ベースラインと投与の28日後に実施される。以下のMRIシーケンスが実施される:T1強調;T2強調FLAIR;ガドリニウムによるT1;T2強調;拡散強調;およびグラディエントエコー(GRE)。
【0192】
有害事象は、医薬品規制用語集(MedDRA)によってコードされる。処置-緊急有害事象を報告する対象の数および割合は、MedDRA優先用語および経路および投与レベルによる分類での器官別大分類(SOC)によって作表される。作表は、有害事象(MedDRA用語)を報告する対象の数が、さらに程度(軽度、中程度、または重度)および研究薬と関係する可能性があるかどうかによって分類されても提供される。死、他の深刻な有害事象、および他の重大な有害事象は別に同定される。先に定義した基準に従って、臨床的に重大な可能性のあるバイタルサインおよび定量的ECG変数の実験的試験値ならびに測定値が同定される。
【0193】
[実施例2]
健常者におけるAE12-1-Y-QLの安全性、忍容性、薬物動態、および免疫原性を評価する単回投与研究
【0194】
研究の設計:これは単回投与、無作為化、二重盲検、プラセボ対照、単一施設研究であった。47人の通常健康な男性および女性対象がこの研究に登録された。研究の目的は、健常者、すなわち通常健康な成人男性および女性対象におけるAE12-1-Y-QLの単回静脈内投与および皮下投与の安全性、忍容性、薬物動態および免疫原性を評価することであった。
【0195】
方法論:各群7または8人の対象からなる、6つの投与群があった。群1から5のそれぞれは8人の対象を含んだ;6人の対象が無作為に割り当てられ、AE12-1-Y-QLの単回投与を受け、2人の対象がプラセボを受けた。群1から5における投与は、静脈内注入(IV)によって投与された。群7は7人の対象を含んだ;5人の対象が無作為に割り当てられ、AE12-1-Y-QLの単回投与を受け、2人の対象がプラセボを受けた。群7における投与は、皮下注射(SC)によって投与された。投与される用量は表5に示される。
【0196】
【0197】
各群において、用量は1日目の午前中に投与された。1つの群における投与は、次の群における投与まで少なくとも5週間間隔をあけられた。低用量で得られた安全性、忍容性、および薬物動態のデータが検討および評価された後にのみ、高用量が投与された。1日目に、1人の実薬対象、1人のプラセボ対象が投与され、後日、6人のさらなる対象が5人は実薬、1人はプラセボに分けて投与された。各群において、1日あたり最大2人の対象が投与された。投与は連日行われた。群2の投与が完了した5週間後すぐに群7の投与を開始した。
【0198】
群1-3、および7では、AE12-1-Y-QL濃度の決定のため一連の血液試料は以下のように静脈穿刺により採取された:投与前(0時間)、投与後2、4、6、10、14、24、48、72、96、120、144、および168時間、ならびに14、28、42、56、70、84、112、および140日目。群4では、AE12-1-Y-QL濃度の決定のため一連の血液試料は以下のように静脈穿刺により採取された:投与前(0時間)、投与後2、4、6、10、14、24、48、72、96、120、144、および168時間、ならびに14、28、42、56、70、84、112、140、および>196日目。群5では、AE12-1-Y-QL濃度の決定のため一連の血液試料は以下のように静脈穿刺により採取された:投与前(0時間)、投与後2、4、6、10、14、24、48、72、96、120、144、および168時間、ならびに14、28、42、56、70、84、112、140、168、および196日目。抗薬物抗体の決定のための血液試料は、1日目の投与前(0時間)、ならびに投与後8、14、28、42、56、および84日目に採取された。
【0199】
対象は、2つの磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを有した:ベースラインのスキャンは投与前およびベースラインの腰椎穿刺前に実施された。
【0200】
AE12-1-Y-QL濃度;総sRGMaレベル(
図7参照)、遊離sRGMaレベル(
図6参照)、および結合sRGMaレベル(
図5参照)の決定のためおよびバイオマーカー分析のため、2回の腰椎穿刺が実施され、CSFが採取された。1回目の腰椎穿刺(ベースライン)は投与前に実施され(ベースラインの腰椎穿刺)、2回目の腰椎穿刺は7日目に、ベースラインの腰椎穿刺とほぼ同時に実施された。
【0201】
選択/除外のための診断および主要基準:
主要選択基準:以下の基準を満たす場合、対象は研究参加に適格であった:
1.男性または女性、スクリーニング時の年齢は、その年齢を含めて18歳から55歳の間である。
【0202】
2.女性の場合、対象は:
・妊娠の可能性がないことが以下により確かである;
・対象が閉経後(少なくとも1年間月経がなく、該当する年齢である)である。
・対象が外科的に不妊であり、両側卵巣摘出および/または子宮摘出と確認され、またはスクリーニングの少なくとも3カ月前から卵管閉塞(Essure(登録商標)のような結紮および閉塞法を含む)を有している。
【0203】
3.女性は、尿検体のスクリーニング時およびチェックインした日に得られた血清試料への投与前に妊娠試験の結果が陰性でなければならない。
【0204】
4.男性の場合、対象は外科的に不妊(精管切除)である、または最初の研究薬投与から研究薬の最終投与後140日まで、以下の避妊方法の少なくとも1つを実行することに同意しなければならない:
・対象の好ましいライフスタイルとして性交の完全節制;自然家族計画は許容されない;
・パートナーはIUDを使用する;
・パートナーはホルモン避妊薬の経口、注射、または埋め込み方法を使用する;
・対象および/またはパートナーは二重バリア法(男性コンドームおよび閉塞キャップ[ペッサリーまたは子宮頚部キャップ]または避妊用スポンジ[全て殺精子ゼリーまたはクリームと併用])を使用する。
【0205】
5.肥満度指数(BMI)は、その値を含めて18.0から29.9である。BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割って計算される。
【0206】
6.病歴、身体検査、バイタルサイン、実験プロファイル、神経学的検査、および12誘導心電図(ECG)の結果に基づいて通常健康な状態。
【0207】
主要除外基準:以下の基準のいずれかを満たす場合、対象は研究参加に適格ではなかった:
1.定期的に任意の市販薬および/または処方箋医薬品、ビタミンおよび/またはハーブサプリメントを必要とする。
2.AbbVie研究指定医師からの事前承認が得られていない限り、研究薬投与前14日間以内またはそれぞれの医薬品の10半減期以内、どちらか長い方での任意の医薬品(処方箋または市販)、ビタミンおよび/またはハーブサプリメントの使用。
3.研究薬投与前30日以内に注射により任意のデポー薬を受ける。
4.分かっている場合、10半減期に等しい期間内または研究薬投与前6週間以内、どちらか長い方で臨床試験用医薬品を受ける。
5.薬物の乱用、アルコールまたはコチニンの尿スクリーニングが陽性。
6.研究薬投与前72時間以内にアルコール消費。
7.悪性腫瘍歴;ただし、基底細胞癌の切除もしくは処置歴または3以下の扁平上皮細胞癌がある対象は、この研究への参加に適格である。
8.研究薬またはそれらの賦形剤に過敏性であることが分かっている。
9.研究薬投与前2年以内に、薬物またはアルコール乱用歴。
10.重症アレルギーまたはアナフィラキシー反応歴。
11.発作性疾患もしくは原因不明の失神歴、または6カ月以内の発作歴。
12.スクリーニング時に完了するコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)の自殺念慮部分の質問4または5に「はい」と回答すること、または任意の自殺行動歴によって証明されるように、研究薬投与前1カ月以内に、自殺念慮歴または臨床的に重症なうつ病エピソード。
13.A型肝炎ウイルス免疫グロブリンM(HAV-IgM)、B型肝炎表面抗原(HBsAg)もしくはC型肝炎ウイルス抗体(HCV Ab)またはHIV抗体(HIV Ab)の試験結果が陽性。陰性のHIV状態はスクリーニング時に確認され、結果は研究の場に秘密裏に管理される。
14.スクリーニング前6週間以内に水痘もしくは帯状疱疹ウイルス感染、または任意の重症ウイルス感染。
15.スクリーニング前21日以内に水痘帯状疱疹ウイルスに曝露。
16.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または他の免疫不全状態歴。
17.限定はされないが、はしか/おたふく風邪/風疹ワクチン、水痘帯状疱疹ウイルスワクチン、経口ポリオワクチン、および鼻インフルエンザワクチンを含む、任意の型の生ウイルスワクチンを投与4週間前から受ける。
18.投与前8週間以内に入院または抗生物質の静脈注射(IV)を必要とする感染(ウイルス、真菌、細菌)。
19.無作為化の2週間前からまたは研究の終わりまでに計画された待機手術の実施。
20.治験責任医師の考えでは、任意の重症心疾患、内分泌疾患、血液疾患、肝疾患、免疫疾患、代謝疾患、泌尿器疾患、肺疾患、胃腸疾患、皮膚病、精神疾患、腎疾患、神経疾患、および/または他の主な疾患を示す異常な実験結果歴。
21.スクリーニング時に以下の異常な血液試験のいずれかである:
・ヘモグロビン≦10.0g/dL
・血小板<150×109/L
・リンパ球≦1.0×109/L
・好中球≦1.5×109/L
・アラニンアミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(ALT/SGPT)、またはアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)>1×基準値上限(ULN)
・血清クレアチニン≧1×ULN
・血清鉄、フェリチン、トランスフェリン飽和度>1×ULN
22.腰椎穿刺の禁忌(例えば、腰の脊椎側弯症、凝固障害、針穿刺部位の感染した皮膚)または腰椎穿刺の14日以内に、非ステロイド系の抗炎症剤(例えば、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン)、クロピドグレル、ワルファリン、ヘパリン(またはヘパリン類似物質)、フォンダパリヌクス(または関連化合物)、またはトロンビン阻害剤(ダビガトラン)および第Xa因子阻害剤(リバーロキサバンおよびアピキサバン)を含む血液希釈化合物の使用。
23.MRIが禁忌の対象(すなわち、動脈瘤クリップ、金属片、人工内耳、脊髄刺激装置またはペースメーカーのような体内電動装置)は、ガドリニウムにアレルギー性であり、または閉所恐怖症である。
24.ベースラインの脳のMRIスキャンが、頭蓋内腫瘤の存在、または対象が腰椎穿刺を受けることを妨げる他の証拠を示す。
25.450mL以上の血液量の輸血または喪失(血漿交換を含む)または研究薬投与前8週間以内に任意の血液製剤の輸注を受ける。
26.妊娠または授乳中の女性。
【0208】
薬物動態変数:以下のAE12-1-Y-QLの薬物動態パラメーターは、ノンコンパートメント法を使用して決定される。観察された最大血清濃度(Cmax)、Cmax到達時間(ピーク時間、Tmax)、終末期消失速度定数(β)、終末期消失半減期(T1/2)、時間0から最終測定可能な濃度の時間までの血漿濃度-時間曲線下面積(AUC)(AUCt)、時間0から無限時間までのAUC(AUC∞)、%で表す変動係数(%CV)およびクリアランス(IV投与のCLおよびSC投与のCL/F)が決定された。さらに、SC投与後の絶対バイオアベイラビリティー(Fabs)が推定された。抗薬物抗体価は、免疫原性の評価のために決定された。データの解釈に有用な場合、追加のパラメーターが算出され得る。
【0209】
予備的結果:AE12-1-Y-QLの予備的平均(%CV)薬物動態パラメーターが表6に示される。
【0210】
【0211】
a.IV投与;b.SC投与;c.調和平均(偽性CV);d.N=5に基づく推定。
【0212】
Cmax値は用量に比例して増加したが、AUC値は最大1600mgまで比例して用量よりも多く増加し、非線形PKを示す。調和平均半減期は19から50日の範囲であり、50から1600mgの用量範囲にわたり、より高い値は1000mgおよび1600mg用量である。AE12-1-Y-QL曝露の変動性は、CmaxおよびAUCに基づいて低い(15-22%CV)。
【0213】
AE12-1-Y-QLの予備平均(+SD)濃度-時間プロファイルは、
図1に示される。
【0214】
AE12-1-Y-QL 150mgの予備平均(+SD)濃度-時間プロファイルは
図2に示される。AE12-1-Y-QL 150mgの単回SC投与後の相対的バイオアベイラビリティーは、150mgのIVとSC投与群両方の曝露に基づいておよそ65%である。
【0215】
予備平均(±SD)用量で正規化したC
maxおよびAUC
∞対AE12-1-Y-QL用量が
図3に示される。
【0216】
CSFおよび血清試料は、7日目のAE12-1-Y-QLレベルについてアッセイされた。アッセイの検出限界は16.3ng/mLである。AE12-1-Y-QLの単回投与後のAE12-1-Y-QL曝露が表7に示される。血清およびCSF中の7日目のAE12-1-Y-QL濃度は
図4に示される。投与後7日目のAE12-1-Y-QLの全CSF曝露は、血清曝露のおよそ0.2%であった。
【0217】
【0218】
血清濃度に対するCSFの変動性は、群3-5では低く(CV<35%)、群2は変動性を非常に大きくする外れ値を有する。CSF中のAE12-1-Y-QL濃度は用量によって増加し続ける(増加は用量比例より少ない)が、血清に対するCSFの比は用量の増加により増加する。
【0219】
ベースラインおよび7日目に、CSF試料は、結合、遊離、および総RGMaについてアッセイされた。CSF試料からの結合RGMaは、
図5に示される。CSF試料からの遊離RGMaは、
図6に示される。CSF試料からの総RGMaは、
図7に示される。
【0220】
AE12-1-Y-QLは、50から1600mgの用量範囲で、投与7日後に健常ボランティアからのCSF中の遊離RGMa濃度において統計的に有意な用量依存的な減少をもたらす。AE12-1-Y-QLは、50から1600mgの用量範囲で、投与7日後に健常ボランティアからのCSF中の抗体結合RGMa濃度において統計的に有意な用量依存的な増加をもたらす。総RGMaの全体の濃度における効果の兆候はなかった。これらの結果は、AE12-1-Y-QLによってCSF中の遊離RGMaの濃度を減少することを示す。
【0221】
安全性:安全性評価は以下を含む:包括的な血液化学ならびに全血球数および差異、CSFパラメーター、および脳のMRIを含む、有害事象(AE)モニタリング、バイタルサインの逐次評価、身体検査、神経学的検査、コロンビア自殺重症度評価尺度を使用する心理評価、心電図、実験的試験。MRIは、ベースラインおよび投与後28日目に実施される。
【0222】
プラセボで処置した12人の対象のうち4人(33%)およびAE12-1-Y-QLで処置した35人の対象のうち25人(71%)は、各用量漸増群によるAEの頻度に傾向が見られない少なくとも1つのAEを有していた。AE12-1-Y-QL処置対象に関して最も頻繁に報告されたAEは、頭痛、処置痛、処置頭痛、および吐き気であった。有害事象の要約は表8に示される。
【0223】
【0224】
治験責任医師によって評価されたほとんどの処置関連AEは、重症度が低く(軽度から中程度)、処置せずに自然に回復した。主要な用量関連の生化学的および血液学的変化はなかった。処置関連AEによる中断はなかった。
【0225】
SAEを起こした2人の対象は死に、2人ともAE12-1-Y-QLとは関係がないと判断された。両ケースにおいて、剖検および毒物学報告は、死はAE12-1-Y-QLと関係がない他の原因によると結論付けた。各SAEは、AE12-1-Y-QLの全体的なリスク/ベネフィットプロファイルに影響を及ぼさないと考えられた。
【0226】
結論。AE12-1-Y-QLは、健常者において1600mgまで忍容性であった。最も頻繁に報告されたAEは、腰椎穿刺に伴った。PKの結果は、用量比例的によりも多く増加した血清曝露および他のモノクローナル抗体と類似の血清に対するCSFの比を示した。現在推定されるAE12-1-Y-QLの半減期から、月に1回の投与で有効な曝露を達成すると予想される。安全性プロファイルおよび血清/CSF PKデータは、再発型の多発性硬化症の治療剤としてのAE12-1-Y-QLの使用を支持する。
【0227】
[実施例3]
再発型の多発性硬化症の対象におけるAE12-1-Y-QLの投与研究
この研究の第1の目的は、酢酸グラチラマー(GA)処置で管理されている再発型の多発性硬化症(RFMS)の対象におけるAE12-1-Y-QLの安全性、忍容性、薬物動態、および免疫原性を評価することである。第2の目的は、多発性硬化症(MS)疾患活動性の臨床および神経画像パラメーターへのAE12-1-Y-QLの効果を評価することである。
【0228】
研究集団:GA処置で管理されているRFMSの成人男性および女性対象。
【0229】
方法論:これは、二重盲検、プラセボ対照、無作為化、漸増複数回投与研究である。およそ48-56人の対象が、この研究に参加する。4つの処置群がある。群1および2はそれぞれ8人の対象からなり、現在GAを受けている。8人の対象の各群において、6人の対象が無作為に割り当てられ、現投与量のGAと同時投与される4用量のAE12-1-Y-QLを受け、2人の対象が現投与量のGAと同時投与される相当するプラセボを受ける。群3aは、最少で8人の対象から最大で16人の対象を含み、6から最大で12人の対象が無作為に割り当てられ、現投与量のGAと同時投与される4用量のAE12-1-Y-QLを受け、2から最大で4人の対象が現投与量のGAと同時投与される相当するプラセボを受ける。群3bは、無作為に割り当てられ、現投与量のGAと同時投与される4用量のAE12-1-Y-QLを受けるおよそ12人の対象、および現投与量のGAと同時投与される相当するプラセボを受ける12人の対象からなる。
【0230】
群1から3aの対象には、研究のベースラインならびに57日目、112日目、および175日目に従来型のMRIを実施し、疾患活動性および安全性をモニターする。群1から3aの対象において実施した従来型のMRIは、T1強調(ガドリニウムコントラストありおよびなし)、T2強調、T2強調水抑制反転回復法(FLAIR)、プロトン密度(PD)強調、T2*/磁化率強調、および拡散強調画像を含む。群3bに登録された総数は、112日目までに完了する各処置群において12人の対象を提供するために増加され得る。
【0231】
群3bの対象には、群1-3aについて記載したように、研究のベースラインならびに57日目、112日目、および175日目に従来型のMRIを実施し、疾患活動性および安全性をモニターする。さらに、群3bの対象には、研究のベースラインおよび112日目に非従来型のMRIシーケンスも実施し、脳白質の病態生理へのAE12-1-Y-QLの効果を評価する。群3bの各処置群の最大12人の対象が、利用可能なMRIデータと共に112日目の訪問を完了するように十分な数の対象が登録される。非従来型のMRIは、磁化移動および拡散テンソル画像を含む。
【0232】
非従来型のMRI分析。非従来型の脳のMRIは、このMAD研究に組み込まれ、RFMSの患者における再ミエリン化および軸索再生へのAE12-1-Y-QLの潜在的な効果を探求する。
【0233】
AE12-1-Y-QL 1200mg(n=12)またはプラセボ(n=12)を受ける群3bにおいて処置されたGA管理されている患者は、再ミエリン化および軸索再生(従来型のMRIに加えて)に感受性の定量的MRI評価項目による評価を受ける。患者は、スタンドード大学およびカリフォルニア大学(UCSF)、サンフランシスコ治験サイト由来である。ベースラインおよび投与後112日目の定量的MRIは、UCSFの1つの治験サイトにおいて3T MRIで実施された。主要評価項目は、ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における磁化移動比(MTR)および放射拡散(RD)である。
【0234】
プラセボと比較してAE12-1-Y-QL処置された対象における既存の病変内のMTRの増加およびRDの減少は、軸索およびミエリンの病態生理においてAE12-1-Y-QLに関連する改善の証拠として解釈される。群あたり12人のRFMS患者は、α=0.05(片側)での80%パワーによるプラセボ対照並行群間研究のベースライン調整分析においてT2病変MTRにおける5%の増加の検出を可能にする。
【0235】
主要MRIエンドポイント:
・ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における、ベースラインおよび112日目の磁化移動比(MTR)
・ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における、ベースラインおよび112日目の放射拡散(RD)(軸方拡散率(AD))も実行される。
【0236】
各評価項目について、各AE12-1-Y-QLレジメンのベースラインに合わせたプラセボからの平均の差は、ANCOVAフレームワークに基づいて表される。第一次統計的推測は、有意水準0.05での効果の推定において実施される。
【0237】
検出力分析のための仮定は、試験群間でのMTRの変化を追跡するベースラインの片側比較(ANCOVA)のため、RRMS患者由来のT2病変におけるMTRに基づいた(Altmann DRら、2013年)。T2病変におけるベースライン平均は30.3である。母標準偏差は、ベースライン測定と投与後測定の両方について同じである。T2病変における標準偏差は1.91である。ベースラインと投与後測定の間の相関係数は0.70である(Altmann DRら、2013年からのデータ)。
【0238】
AE12-1-Y-QLの全ての用量は、午前中に静脈内(IV)注入によって投与される。対象は、GAの現投与レジメン、すなわち1日1回皮下に投与されるコパキソン(登録商標)20mg、または1週間に3回皮下に投与されるコパキソン(登録商標)40mg、または1日1回皮下に投与されるジェネリックのGA 20mgを続ける。対象は、無作為化される前に少なくとも2週間、コパキソン(登録商標)を受けている必要があり、研究の間中同じレジメンを維持しなければならない。各群について、対象は合計4回の投与を受け、各投与は4週間間隔をあける。低用量で得られた安全性、忍容性、および薬物動態のデータが治験医師との協議において治験依頼者によって検討および評価された後にのみ、高用量が投与される。
【0239】
投与される用量は表9に示される。
【0240】
【0241】
AE12-1-Y-QLの決定のための一連の血清試料は、投与の開始後175日目までに採取される。抗薬物抗体の決定のための一連の血清試料は、投与の開始後112日目までに採取される。
【0242】
2回の腰椎穿刺が実施され、以下のためにCSFを採取する:細胞数および差異、グルコース、総タンパク質、アルブミン、免疫グロブリンからなる日常的実験的試験;AE12-1-Y-QL濃度の決定;総、遊離、および結合sRGMaレベル;レポーター遺伝子アッセイを使用する膜結合BMP受容体との相互作用のためのAE12-1-Y-QLの利用可能性;ならびにバイオマーカー分析。1回目の腰椎穿刺は、1回目の投与(ベースライン)前だが、ベースラインの脳のMRI後に実施される;2回目の腰椎穿刺は4回目の投与後27日目に実施される。
【0243】
スクリーニング訪問の成功裏の完了後、適格な対象はベースラインの脳の磁気共鳴画像法(MRI)を受ける。ベースラインのMRIは、スクリーニング訪問後および監禁開始(-10日目)の少なくとも7日前いつでも行うことができる。最新のMRI(スクリーニング前6週間以内)が、スクリーニング時に対象の病歴から入手できない場合、ベースラインのMRIが対象の適正を決定するために使用される。脳のMRIが明白な血管の病変、腫瘤、腫瘤効果、またはMSに適合するもの以外の他の異常の証拠を示す対象は除外される。全ての対象は、ベースライン、57日目、112日目、および175日目にMRIを受ける。
【0244】
安全性および忍容性は研究を通して評価される。これは有害事象収集、実験的試験、神経学的検査、バイタルサインおよび心電図(ECG)の測定、およびMRIスキャンを含む。必要であれば、予定外の再発評価訪問が、臨床的再発の発症を示し得る任意の新しい神経学的症状の発症から72時間以内に発生する。これらの訪問は、神経学的検査、総合障害度評価尺度(EDSS)、バイタルサイン、血液化学および血液学、ならびに尿検査からなる。MS再発の疑いを経験した対象は、IVメチルプレドニゾロン1000mg/日により3から5日間処置され得る。
【0245】
多発性硬化症疾患活動性は、計画的な一連の外来訪問の間、および必要な場合の予定外の訪問時にモニターされる。捕捉および記録される臨床事象は、総合障害度評価尺度(EDSS)および多発性硬化症機能評価(MSFC)ならびにMSFCの個々のドメイン、時限25フィート歩行(T25FW)、9ホールペグ検査(9HPT)、および定速聴覚的連続加算検査(PASAT)において測定された再発および障害の進行を含む。さらに患者は、手段、多発性硬化症評価尺度(MSIS-29)および多発性硬化症の生活の質-54(MSQOL-54)を使用して得られる評価項目を記録した。
【0246】
年間再発率(ARR)および無再発の患者の割合に関する公式な比較による統計解析は行われず、結果は、処置群および訪問による記述統計として要約される。障害の進行は、定期的な訪問時のプロトコール定義された評価スケジュールに従って得られたEDSSスコアからのみ確かめられ得る。対象が、12週間続くベースラインEDSS≧1.0からEDSSの少なくとも1.0ポイント増加を経験する場合、治療を行う看護師は治療を行う神経学者に知らせなければならない。対象は、身体障害の悪化を経験していることを知らされなければならない。
【0247】
選択/除外のための診断および主要基準:
主要選択基準:この研究に適格であるためには、候補者は、無作為化前または下に列挙した個々の基準において特定された時点で、以下の適格性基準を満たさなければならない:
1.男性または女性、年齢は、その年齢を含めて18歳から60歳の間である。
【0248】
2.対象は現在、MSの処置のため、無作為化される前に少なくとも2週間、1日1回皮下に投与されるコパキソン(登録商標)20mg、または1週間に3回皮下に投与されるコパキソン(登録商標)40mg、または1日1回皮下に投与されるジェネリックの酢酸グラチラマー20mgを受けている。
【0249】
3.女性の場合、対象は:
・妊娠の可能性がない[外科的に不妊(卵巣摘出、完全子宮摘出、卵管結紮術)、少なくとも2年間閉経後(ホルモン補充療法が許容される)]、または
・妊娠の可能性がある場合、対象の好ましいライフスタイルとして性交の完全節制を実施しなければならない;自然家族計画は許容されない;研究の少なくとも6カ月前に精管切除される男性夫婦の性交相手を持つまたは処置および追跡期間全体の間、有効な避妊法(銅またはホルモンの子宮内避妊器具(IUD)、経口ホルモン避妊、または二重バリア保護法)の利用に同意しなければならない。
【0250】
4.女性は研究薬投与前に妊娠試験の結果が陰性でなければならない。
【0251】
5.男性の場合、対象は、
・男性避妊外科手術、例えば精管切除を受けている診断書を有していなければならない、または
・性欲が弱いことに同意する、または研究薬の最終投与後90日まで、バリア式避妊法の使用、または対象の好ましいライフスタイルとして性交の完全節制に同意していなければならない;自然家族計画は許容されない。
【0252】
6.再発型のMS(RFMS)として公知の再発性寛解型MS(RRMS)または二次性進行型MS(SPMS)の診断。
【0253】
7.RRMSの対象は、改訂されたMcDonald診断基準に従って確定診断を受けていなければならず、RFMSの対象は、以下によって証明されるように進行中の疾患活動性の証拠がなければならない。
【0254】
・MSと一致する病変を示す頭部MRIを伴う、無作為化前12カ月以内に少なくとも1回の再発(スクリーニング前6カ月以内に実施されたスキャンが対象の病歴から入手可能な場合、現在のスキャンを得る必要がなく、対象の病歴からスキャンが入手できない場合、ベースラインのスキャンが使用され得る。)。再発は、少なくとも24時間続く熱または感染を伴わない新規のまたは再発型の神経学的症状として定義され、検査する神経学者による検査時に新しい他覚的な神経学的所見を伴う。対象は、事象を確かめる神経学者の検査の検査時に他覚的兆候を有していなければならない。再発からの時間は、再発開始時間から測定されるべきである、または
・無作為化前6カ月以内に実施されたMRIにおいて脳のGd増強病変の証拠を示す(スキャンが対象の病歴から入手可能ではない場合、ベースラインのスキャンが使用され得る。)。
【0255】
8.スクリーニング訪問時に、治験責任医師の判断において神経学的に安定であり、スクリーニング訪問の30日前に最近の再発を経験または回復しない。
【0256】
9.ベースラインEDSSが、その値を含めて1.0から6.0の間でなければならない。
【0257】
10.肥満度指数(BMI)は、その値を含めて18.0から32.0である。BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割って計算される。
【0258】
11.放射線科医によって解釈される、対象がCSF採取のための腰椎穿刺/脊椎穿刺を受けることを妨げる明白な血管の病変、腫瘤、腫瘤効果、またはMSに適合するもの以外の他の異常の証拠を示さない脳のMRIスキャンを有する。監禁の少なくとも7日前に、放射線科医によって解釈されるベースラインのMRIスキャンが使用され得る。
【0259】
12.MSを除いて、病歴、身体検査、バイタルサイン、実験プロファイル、神経学的検査、および12誘導心電図(ECG)の結果に基づいて通常健康な状態。
【0260】
除外基準:以下の基準のいずれかを満たす場合、対象は研究参加に適格ではない:
病歴:
1.一次性進行型MSの診断。
2.治験責任医師の考えでは、任意の重症心疾患、内分泌疾患、血液疾患、肝疾患、免疫疾患、代謝疾患、泌尿器疾患、肺疾患、胃腸疾患、皮膚病、精神疾患、腎疾患、神経疾患(MS以外)、および/またはAE12-1-Y-QLまたはGAの投与を不可能にする他の主な疾患を示す異常な検査結果歴。
3.無作為化前30日以内に生じたMS再発および/または対象が無作為化前の以前の再発から安定されていない。
4.MRIが禁忌の対象(すなわち、動脈瘤クリップ、金属片、人工内耳、脊髄刺激装置またはペースメーカーのような体内電動装置)は、ガドリニウムが禁忌であるまたはガドリニウムにアレルギー性である(腎臓機能障害、eGFR異常、腎性全身性線維症であると以前に診断されている、およびアレルギーを含む)、医療により管理できない、または画像検査法のために1時間以上横たわることができない閉所恐怖症である。
5.研究薬投与前30日以内に注射により任意のデポー薬を受ける。
6.分かっている場合、10半減期に等しい期間内または研究薬投与前6週間以内に、臨床試験用医薬品を受ける。
7.スクリーニング時または-3日目に検出されたように、薬物の乱用、アルコールのスクリーニングが陽性。
8.悪性腫瘍歴;ただし、基底細胞癌の切除もしくは処置歴または3以下の扁平上皮細胞癌がある対象は、この研究への参加に適格である。
9.研究薬またはそれらの賦形剤に過敏性であることが分かっている。
10.研究薬投与前2年以内に、薬物またはアルコール乱用歴。
11.重症アレルギーまたはアナフィラキシー反応歴。
12.発作性疾患もしくは原因不明の失神歴、または6カ月以内の発作歴。
13.スクリーニング時に完了するコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)の自殺念慮部分の質問4または5に「はい」と回答すること、または任意の自殺行動歴によって証明されるように、研究薬投与前1カ月以内に、自殺念慮歴または臨床的に重症なうつ病エピソード。
14.C型肝炎ウイルスまたはB型肝炎ウイルス歴が分かっている、またはスクリーニング試験結果が陽性。
15.スクリーニング前6週間以内に水痘もしくは帯状疱疹ウイルス感染、または任意の重症ウイルス感染。
16.スクリーニング前21日以内に水痘帯状疱疹ウイルスに曝露。
17.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または他の免疫不全状態歴。
18.無作為化前の4週間未満に、限定はされないが、はしか/おたふく風邪/風疹ワクチン、水痘帯状疱疹ウイルスワクチン、経口ポリオワクチン、および鼻インフルエンザワクチンを含む、任意の型の生ウイルスワクチン。
19.無作為化前8週間以内に入院または抗生物質の静脈注射(IV)を必要とする感染(ウイルス、真菌、細菌)。
20.無作為化の2週間前からまたは研究の終わりまでに計画された待機手術の実施。
21.脳のMRIスキャンにおける所見が、MS以外の臨床的に重大な脳の異常を示す。
22.スクリーニング時に以下の異常な血液試験のいずれかである:
・ヘモグロビン≦10.0g/dL
・血小板≦100×109/L
・リンパ球≦1.0×109/L
・好中球≦1.5×109/L
・アラニンアミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(ALT/SGPT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)、またはガンマグルタミル-トランスフェラーゼ≧基準値上限(ULN)の2倍
・血清鉄、フェリチン、トランスフェリン飽和度>ULN
・血清クレアチニン≧ULN
23.腰椎穿刺の禁忌(例えば、腰の脊椎側弯症、凝固障害、または凝固低下医薬品、針穿刺部位の感染した皮膚)。
24.550mL以上の血液量の輸血または喪失(血漿交換を含む)または研究薬投与前8週間以内に任意の血液製剤の輸注を受ける。
【0261】
治療歴
25.以下のいずれかによる事前処置:
・全身リンパ節照射法
・クラドリビンまたはミトキサントロン
・T細胞またはT細胞受容体ワクチン接種
26.無作為化前1年以内にシクロフォスファミドまたはアレムツズマブによる事前処置。
27.無作為化前6カ月以内に以下の投薬または手順のいずれかによる事前処置:
・ナタリズマブ
・リツキシマブ
・ダクリズマブ
・シクロスポリン
・アザチオプリン
・メトトレキサート
・ミコフェノール酸モフェチル
・静注用免疫グロブリン(IVIg)
・血漿交換法または細胞吸着除去法
28.無作為化前30日以内に以下の投薬のいずれかによる処置:
・IVコルチコステロイド処置
・経口コルチコステロイド処置
・ベータインターフェロン
・フィンゴリモド
・フマル酸ジメチル
・テリフルノミド
29.最終90日以内に処置の開始または市販のファムプリジン-SRの用量調整。患者が無作為化前にファムプリジン-SRの安定用量をすでに受けている場合、ならびに研究中この用量およびレジメンを維持する計画である場合は許容される。
【0262】
薬物動態:薬物動態パラメーターの以下の値は、ノンコンパートメント法を使用して推定される。観察された最大血清濃度(Cmax)、Cmax到達時間(ピーク時間、Tmax)、時間0から最終測定可能な濃度の時間までの濃度-時間曲線下面積(AUC)(AUCt)は1回目と4回目の投与後に推定される。投与前の観察された血清濃度(Cthrough)、終末期消失速度定数(β)、終末期消失半減期(t1/2)、および明らかなクリアランス(CL/F)は、4回目の投与後に推定される。抗薬物抗体は免疫原性の評価のために決定される。データの解釈に有用な場合、追加のパラメーターが算出され得る。
【0263】
CSFバイオマーカー:促進性炎症および抗炎症、神経再生/神経保護、神経変性、および/または再ミエリン化のマーカーを表すバイオマーカーのパネルが評価される。
【0264】
薬力学:脳のMRI診査の結果(群3b)
研究は、脳における軸索およびミエリンの病態生理、および疾患活動性における変化に感受性のMRIの評価項目を、診査のエンドポイントとして含む。以下の評価項目が評価される:
主要MRIエンドポイント:
・ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における、ベースラインおよび112日目の磁化移動比(MTR)
・ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における、ベースラインおよび112日目の放射拡散(RD)
・57日目から112日目にわたる、新しいガドリニウム増強T1病変の総数
・112日目の、新しいまたは新たに拡大するT2高強度病変の総数
・112日目の、新しいまたは新たに拡大するT2高強度病変の総病変体積
二次MRIエンドポイント:
ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における、ベースラインおよび112日目の異方性度(FA)および軸方拡散率(AD)
ベースラインおよび112日目に、ベースラインのMRIで確定された正常に見える灰白質(NAGM)におけるMTR
ベースラインおよび112日目に、ベースラインのMRIで確定された正常に見える白質(NAWM)におけるMTRおよびFA
【0265】
安全性:安全変数は以下を含む:有害事象モニタリング、バイタルサイン、身体検査、神経学的検査、心電図、実験的試験評価、ならびにC-SSRSおよびMRIスキャン。必要であれば、予定外の再発評価訪問が臨床的再発の発症を示し得る任意の新しい神経学的症状の発症から72時間以内に発生する。これらの訪問は、神経学的検査、EDSS、バイタルサイン、血液化学および血液学、尿検査、ならびに必要であればMRIからなる。MS再発の疑いを経験する対象、または57日目の安全性MRIにおいて重要なエリアに少なくとも2つの新しいT1ガドリニウム増強病変、もしくは1つの新しいT1ガドリニウム増強病変を有することが見出される対象は、IVメチルプレドニゾロン1000mg/日により3から5日間処置され得る。
【0266】
有害事象は、医薬品規制用語集(MedDRA)によってコードされる。個々の群それぞれに関して、処置-緊急有害事象を報告する対象の数および割合は、MedDRA優先用語および器官別大分類によって作表される。作表は、有害事象(MedDRA用語)を報告する対象の数が、さらに程度(軽度、中程度、または重度)および研究薬と関係する可能性があるかどうかによって分類されても提供される。死、他の深刻な有害事象、および他の重大な有害事象は別に同定される。先に定義した基準に従って、臨床的に重大な可能性のある臨床検査値およびバイタルサインの測定値が同定される。
【0267】
[実施例4]
再発型の多発性硬化症の対象における、中枢神経系炎症へのAE12-1-Y-QLの効果を評価するための[11C]-PBR28ポジトロン放射断層撮影研究
研究の設計:再発型の多発性硬化症の対象の中枢神経系における、輸送タンパク質発現(TSPO)へのAE12-1-Y-QLの効果を調べる非盲検ポジトロン放射断層撮影である。安定している疾患を伴う再発型の多発性硬化症のおよそ24人の対象が、この研究に登録される。この研究の目的は、再発型の多発性硬化症(RFMS)の対象の脳における、輸送タンパク質(TSPO)への[11C]-PBR28放射性リガンド結合へのAE12-1-Y-QLの単回投与の効果を調べること、ならびにこの対象集団におけるAE12-1-Y-QLの単回投与の安全性および忍容性を評価することである。
【0268】
PET画像法の背景および原理:18キロダルトンの輸送タンパク質(TSPO)はミトコンドリアタンパク質であり、まず様々なベンゾジアゼピン薬を結合するその能力について記載され、したがって末梢型ベンゾジアゼピン受容体(PBR)としても以前から公知である。TSPO発現は、身体およびCNSの至る所に存在し、ミクログリア、マクロファージ、および末梢に動員された(単球由来マクロファージ)ミエロイド細胞において比較的高い。MS脳においてCNS炎症の焦点領域は、正常で健康な脳組織と比較してTSPOの増加した発現を伴う活性化ミクログリアおよびマクロファージ免疫細胞の密度が増加していることが明らかである。MS脳のこれらの焦点病変におけるTSPO密度の大きさは、ミクログリアおよびマクロファージ免疫細胞の密度、およびMS疾患の重症度と密接に関連していることが実証されている。このため、[11C]-PK11195、[11C]-PBR28、[18F]-PBR111のようなTSPO標的化ポジトロン放射断層撮影(PET)放射性リガンドが適用され、MSのようなミクログリア活性化またはマクロファージの動員を含む疾患過程が研究され、CNS疾患の患者の脳における自然免疫系への新規の治療剤の効果が調べられた。
【0269】
[11C]-PBR28は、TSPOに対して選択的および結合親和性の高いPET放射性リガンドである。[11C]-PBR28の線量測定および全身分布測定はヒト対象において完了しており、ヒトでの使用に許容される有効放射線照射量6.6μSv/MBqを実証した。[11C]-PBR28は最適なPET放射線リガンドの特徴を有し、健常ボランティアおよび多発性硬化症、アルツハイマー病、およびパーキンソン病の患者においてTSPOレベルの変化を定量するために成功裏に使用されており、したがって臨床研究におけるこの放射線リガンドの使用を支持している。脳における結合を検出するために比較的低用量が必要であり、個々の対象において実施される良好な画像品質の複数の脳PETスキャンが可能である。健常ボランティアにおけるテスト-再テスト研究により、脳のほとんどの領域で0.9よりも大きな平衡体積分布(VT)の級内相関を実証した。
【0270】
選択的な高親和性TSPO放射線リガンド[11C]-PBR28を用いるこの非盲検PET研究は、再発型の多発性硬化症の対象の中枢神経系(CNS)におけるTSPO発現レベルへのAE12-1-Y-QLの効果を決定するために設計される。この研究からの所見により、CNSにおいてAE12-1-Y-QLが免疫調節効果を有するかどうか実証することができ、MS患者における単剤治療として、AE12-1-Y-QLの安全性および忍容性についての情報を提供する。
【0271】
方法論:これは、選択的な高親和性輸送タンパク質(TSPO)放射線リガンド[11C]-PBR28を使用する非盲検ポジトロン放射断層撮影(PET)研究であり、再発型の多発性硬化症(RFMS)の対象の中枢神経系におけるTSPO発現へのAE12-1-Y-QLの効果を調べる。安定している疾患を伴うRFMSのおよそ24人の対象が、少なくとも18人の対象が全ての研究訪問を完了し、全ての時点(パートIにおいて4回およびパートIIにおいて14回)の評価可能な画像データを有することを確実にする選択基準に従って研究に登録される。研究のパートIに参加する対象は、研究のパートIIへの参加に適格ではない。研究は、以下に示すように2つのパートに分けられる。
【0272】
パートI(テスト-再テスト評価):パートIでは、15+/-5日間の間隔にわたって測定する[11C]-PBR28 PETの主要項目の対象内でのテスト-再テスト変動性を調べた。対象は、AE12-1-Y-QLを投与されなかった。RFMSの4人の対象が全ての研究訪問を完了し、パートIの全ての時点での評価可能な画像データを有した。評価可能な対象は、各時点で治験依頼者によって決定されたように、利用可能な質のMRI、PET画像、および動脈データによる、ベースラインの磁気共鳴画像法(MRI)および2回の計画的なPET画像セッションを完了する対象として定義される。対象は、以下のように4回の訪問コースにわたり、動脈の試料採取による脳のダイナミックPETスキャンを2回および脳のMRIスキャンを1回完了した。
【0273】
・訪問1:スクリーニング
・訪問2:ベースラインのMRIスキャン
・訪問3:ベースラインのPETスキャン
・訪問4:追跡のPETスキャン
【0274】
パートII(AE12-1-Y-QL処置群):パートIIはパートIの完了後に開始し、RFMSの対象の中枢神経系におけるTSPO発現へのAE12-1-Y-QLの単回静脈内投与の効果を調べる。得られた情報に基づき、1600mgのAE12-1-Y-QL用量がこの研究のために選択された。今回の研究の用量は、実施例1から得られた安全性および薬物動態の情報に基づいて2400mgまで下げられまたは上げられ得る。用量は、今回の研究における全ての前述の対象から得られた安全性および薬力学の結果にも基づき調整され得る。少なくとも14人のRFMSの対象が全ての研究訪問を完了し、パートIIの全ての時点での評価可能な画像データを有する。対象は、以下のように6回の訪問コースにわたり、動脈の試料採取による脳のダイナミックPETスキャンを2回および脳のMRIスキャンを2回完了する。
【0275】
・訪問1:スクリーニング
・訪問2:ベースラインのMRI
・訪問3:ベースラインのPETスキャン
・訪問4:AE12-1-Y-QL投与
・訪問5:追跡のPETスキャン
・訪問6:MRIを含む追跡の臨床および安全性評価
【0276】
スクリーニング:パートIとパートII両方において、対象の適格性は、訪問3前30日以内に発生する訪問1において評価される。訪問2は、スクリーニング(訪問1)後いつでもおよびPETスキャン(訪問3)の少なくとも7日前に行うことができる。
【0277】
以下の手順は研究への対象の適格性を決定するために実施される:病歴、身体検査(身長、体重、およびBMIを含む)、神経学的検査、コロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)、臨床実験評価(標準血液学、臨床化学、および尿検査)、肝炎のスクリーニング、HIV、薬物乱用およびアルコールスクリーニングのための尿検査、12誘導ECG、バイタルサイン(血圧、心拍数)、併用医薬品の検討、妊娠試験、アレン試験およびTSPOの遺伝的多型を決定するための採血。
【0278】
磁気共鳴画像法(MRI)。スクリーニング(訪問1)の成功裏の完了後、全ての適格な対象はベースラインの脳のMRIを受ける(訪問2)。訪問2は、スクリーニング(訪問1)後いつでもおよびPETスキャン(訪問3)の少なくとも7日前に行うことができる。全ての計画的なMRIは、Imanova画像センターにおいて3テスラシステムで実施される。脳のMRIが明白な血管の病変、腫瘤、腫瘤効果、またはMSに対応するもの以外の他の異常の証拠を示す対象は除外される。ベースラインのMRIは、個々のPET画像に関して脱髄性病変および解剖学的な関心領域(ROI)を描写するためにさらに使用される。MRI画像のため、静脈内カテーテル(ガドリニウム造影剤注入のため)が全ての対象に標準的な臨床診療に従って挿入される。以下の画像シーケンスタイプが、訪問2(パートI)において全ての適格な対象に実施される;訪問2および訪問6(パートII):
・T1強調
・拡散強調画像
・T2強調FLAIR
・PD強調
・T2強調
・ガドリニウムによるT1強調
さらなる画像シーケンスが含まれ得る。全画像セッションは、持続時間およそ60分であり、90分は超えないと予想される。詳細なスキャンパラメーター、シーケンス、結像面、および取得が実施される必要があるオーダーは研究画像マニュアルに提供される。
【0279】
動脈内カテーテル設置およびモニタリング:Imanova画像センターにおいて、計画的なPETスキャンの前に、採血のための橈骨動脈カテーテルが全ての対象に挿入される。手順は、麻酔専門医または適切に訓練を受けた医師によって実施され、研究の間中正看護師によってモニターされるべきである。橈骨動脈カニューレ挿入のリスクは、経験を積んだ医師によって手順が実施されることによって最小限にされる。局所麻酔を使用することによって痛みは最小限にされる。カテーテル除去後最低10分間、局所圧力または圧迫包帯を適用することにより出血が防がれる。動脈カニューレ挿入後、対象は、彼らの手および指の血液供給を調べた後、再びカテーテル除去される。また、対象は、アスピリン、非ステロイド系の抗炎症薬(NSAIDS)または抗凝固剤の使用を避けるように求められる。対象は、手順後に、痛み、蒼白、しびれ、刺痛、寒気、または手首もしくは手の任意の他の異常な症状、発熱、悪寒または血管穿刺部位からのドレナージに遭遇した場合に電話する24時間救急医の電話番号を提供される。対象は、気を付ける問題およびそのような問題が生じたときに従うべき手順に関して口頭で指導される。感染は、血管内へのライン挿入前に皮膚の十分な洗浄によって避けられるべきである。
【0280】
カニューレ挿入部位は、手順を実施する麻酔専門医または医師の判断に基づいて、その後のPETスキャン訪問の間に2つの手首に交互にしてよい。患者において同じ部位の再カニューレ挿入は、手順の間隔が少なくとも1週間あけられた場合に実施され得る。
【0281】
ポジトロン放射断層撮影(PET)。パートIでは、対象はAE12-1-Y-QLを投与されず、テストおよび再テストスキャンのため、2時点(訪問3および訪問4)でのPET画像セッションを受けた。訪問4は訪問3後、15+/-5日であった。
【0282】
パートIIでは、対象はAE12-1-Y-QLを投与され、2時点でPET画像セッションを受ける:1回はベースライン(訪問3)、もう1回のスキャン(訪問5)はAE12-1-Y-QL投与(訪問4)後15+/-5日。パートIIの訪問4と5の間隔は、実施例1の単回の上昇する用量から得られた薬物動態の情報および今回の研究において以前にスキャンした対象から得られた薬力学の結果に基づいて治験依頼者によって調整され得る。
【0283】
PET画像について、静脈内カテーテル(放射線リガンド注入のため)および橈骨動脈カテーテル(放射線リガンド測定のため)は、全ての対象における標準的な臨床診療に従って挿入される。
【0284】
低用量コンピューター断層撮影(CT)スキャンは、ポジトロン放射シグナルの減衰を補正するために得られる。CTスキャンの完了後、対象は、400MBq以下の[11C]-PBR28のIVボーラス注射(およそ20秒の期間にわたり注入される)を受ける。投与される[11C]-PBR28の正確な量は、投与直前に決定されるが、10μgを超えない。ダイナミック脳PETデータの取得は、放射線リガンドの投与と同時に始まり、およそ90分間続く。
【0285】
[11C]-PBR28の薬物動態アッセイの一連の血液試料は、動脈入力関数による推定、放射線代謝物分析および血漿遊離画分による推定のため、動脈カテーテルから収集される。
【0286】
[11C]-PBR28投薬および投与:パートIおよびパートIIの対象は、それぞれPET放射線リガンド[11C]-PBR28の2回投与を受け、1回は各PETスキャンの直前である。炭素11の比較的短い半減期(およそ20分)により、[11C]-PBR28は、投与直前にImanova画像センター現地で調整される。
【0287】
各対象は、彼らの各PETスキャンにおいて最大放射線量400MBqの[11C]-PBR28に曝露される。さらに、1回の頭の低用量CTスキャンが各PET訪問時に得られ、減衰補正が推定される。各対象のためのこの研究からの有効用量は、組み合わされる2回の[11C]-PBR28投与から最大5.28mSvと組み合わされる低用量CTスキャンからの0.72mSvにより、全部で6mSvをもたらす。機器故障または使用できないデータの稀な事象において、対象は最大3回のPET/CT画像セッションを行うことができ、この研究からの最大有効用量は、組み合わされる3回の[11C]-PBR28投与から最大7.92mSvと組み合わされる3回の低用量CTスキャンからの1.08mSvにより、全部で9mSvをもたらす。したがって、この研究は、国際放射線防護委員会(ICRP)のカテゴリーIIbに入る:この研究からの用量を含む、ここ3年における自然のバックグラウンド放射線に加えて10mSvより少ない。
【0288】
画像解析およびPET薬物動態モデリング:PET画像は、散乱補正および減弱補正により再構築され、フレーム対フレームの位置合わせにより体動が自動補正される。PET画像は、個々の構造的MRI画像と共位置合わせされる。解剖学的な関心領域(ROI)は、MRIデータに基づいて描写され、個々のダイナミックPETデータに適用され、局所的な時間放射能曲線を作成する。各ROIに関して、体積分布(Vt)の推定は、親動脈血漿入力関数により適切な薬物動態モデルを使用して得られる。一次解析のため、最適な薬物動態モデリング手法(2つの組織コンパートメントモデルまたはグラフィックモデル)はパートIから決定され、パートIIに適用される。2つの組織コンパートメントモデルは、一次解析に好まれる。しかしながら、適合度が悪い場合またはモデルが特定できない場合には、グラフィックモデル手法が推し進められる。全ての時点での全対象からのデータは、単一解析手法に供される。先に特定された感受性解析のように、適切な代替えの薬物動態モデリング手法(特に、2つの組織コンパートメントモデル対グラフィックモデル)が、パートIおよびパートIIのデータに適用される。各ROIの体積分布比(DVR)は、血液中の変動を説明するために偽参照領域の選択に基づいても推定される。
【0289】
パートIおよびパートII両方のPET画像が、全ての対象間で適切な参照領域を同定するために調べられる。参照領域は以下の基準に基づいて選択される:
・全ての対象間で一致している
・灰白質または正常に見える白質内で確定される
・2つのPETスキャン間で安定なVT値
・2つのPETスキャン間の平均の差が統計的に有意でない、および
・全ての対象間で2つのPETスキャン間の平均絶対変動が<20%
であり、絶対変動が
【0290】
【0291】
パートIIにおいて全ての対象は、臨床および安全性評価のため、AE12-1-Y-QLの投与後70+/-5日目に研究施設を訪問する。以下の手順が行われる:身体検査、神経学的検査、C-SSRS(パートIIのみ)、臨床実験評価(標準血液学、臨床化学、および尿検査)、12誘導ECG、バイタルサイン(血圧、心拍数)、MRI、および妊娠試験。
【0292】
安全性:安全性は研究を通して評価される。必要であれば、予定外の再発評価訪問が、可能な場合臨床的再発の発症を示し得る任意の新しい神経学的症状の発症から72時間以内に発生する。これは、有害事象収集、実験的試験、身体検査、神経学的検査、バイタルサインおよびECGの測定を含む。
【0293】
選択/除外のための診断および主要基準:
主要選択基準:以下の基準を満たす場合、対象は研究参加に適格である:
1.男性または女性、スクリーニング時の年齢は、その年齢を含めて18歳から60歳の間である。
【0294】
2.女性の場合:
・妊娠の可能性がない(外科的に不妊[卵巣摘出、完全子宮摘出、卵管結紮術]、少なくとも2年間閉経後[ホルモン補充療法が許容される]、または
・妊娠の可能性がある:
・スクリーニング時、各[11C]-PBR28投与前、および研究薬の投与24時間以内に妊娠試験で陰性を示す;および
・対象の好ましいライフスタイルとして性交の完全節制を実施しなければならない;(自然家族計画は許容されない;または研究の少なくとも6カ月前に精管切除される男性夫婦の性交相手を持つ;または処置および追跡期間全体の間、有効な避妊法(銅またはホルモンの子宮内避妊器具[IUD])の利用に同意する。
【0295】
3.男性の場合、男性避妊外科手術、例えば精管切除を受けている診断書を有していなければならない、または性欲が弱いことに同意する、または研究薬の投与後90日まで、バリア式避妊法の使用に同意する。
【0296】
4.再発型のMS(RFMS)として公知の再発性寛解型MS(RRMS)または再発性二次性進行型MS(SPMS)の診断。RRMSの患者は、改訂されたMcDonald診断基準に従って確定診断を受けていなければならず、RFMS患者は、以下によって証明されるように進行中の疾患活動性の証拠がなければならない:
・MSと一致する病変を示す頭部MRIを伴う、無作為化前12カ月以内に少なくとも1回の再発を経験している(スクリーニング前6カ月以内に実施された事前のMRIスキャンが対象の病歴から入手可能な場合、現在のスキャンを得る必要がない。)。選択のため、再発は、診療記録において神経学者によって確認された神経学的兆候および/または症状として定義され、治験責任医師または処置する神経学者によって決定される少なくとも24時間のものである。再発からの時間は、再発開始時間から測定されるべきである、または
・スクリーニング前6カ月以内に実施されたMRIにおいて脳のガドリニウム(Gd)増強病変の証拠を示す。
【0297】
5.スクリーニング訪問時に、治験責任医師の判断において神経学的に安定であり、スクリーニング訪問の30日前に最近の再発を経験または回復しない。
【0298】
6.Kurtzke総合障害度評価尺度(EDSS)のスコアが、スクリーニング訪問時に、その値を含めて1.0から6.0である。
【0299】
7.スクリーニング時にrs6971多型遺伝子型決定によって決定されるように、TSPOの高または混合親和性結合剤。
【0300】
8.スクリーニング時に、肥満度指数(BMI)は、その値を含めて18.0から35.0である。
【0301】
9.MSを除いて、対象は、病歴、身体検査、バイタルサイン、実験プロファイル、および12誘導心電図の結果に基づいて通常健康である。
【0302】
主要除外基準:以下の基準のいずれかを満たす場合、対象は研究参加に適格ではない:
1.一次性進行型または無再発性二次性進行型MSの診断。
2.研究薬投与前30日以内に注射により任意のデポー薬(避妊薬を除く)を受ける。
3.分かっている場合、10半減期に等しい期間内または研究薬投与前6週間以内に、臨床試験用医薬品を受ける。
4.薬物の乱用、アルコールのスクリーニングが陽性。
5.1日あたり10本より多くのたばこを服用、またはニコチンパッチの使用。
6.悪性腫瘍歴;ただし、基底細胞癌の切除もしくは処置歴または3以下の扁平上皮細胞癌がある対象は、この研究への参加に適格である。
7.研究薬またはそれらの賦形剤に過敏性であることが分かっている。
8.研究薬投与前2年以内に、薬物またはアルコール乱用歴。
9.重症アレルギーまたはアナフィラキシー反応歴。
10.発作性疾患もしくは原因不明の失神歴、またはスクリーニング前6カ月以内の発作歴。
11.スクリーニング時に完了するコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)の自殺念慮部分の質問4または5に「はい」と回答すること、または任意の自殺行動歴によって証明されるように、研究薬投与前1カ月以内に、自殺念慮歴または臨床的に重症なうつ病エピソード。
12.B型肝炎ウイルスまたはC型肝炎ウイルス歴が分かっている、またはスクリーニング試験結果が陽性。
13.スクリーニング前6週間以内に水痘もしくは帯状疱疹ウイルス感染、または任意の重症ウイルス感染。
14.スクリーニング前21日以内に水痘帯状疱疹ウイルスに曝露。
15.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または他の免疫不全状態歴。
16.訪問2の4週間前から、限定はされないが、はしか/おたふく風邪/風疹ワクチン、水痘帯状疱疹ウイルスワクチン、経口ポリオワクチン、および鼻インフルエンザワクチンを含む、任意の型の生ウイルスワクチン。
17.訪問2前8週間以内に入院または抗生物質の静脈注射(IV)を必要とする感染(ウイルス、真菌、細菌)。
18.訪問2の14日前からまたは研究の終わりまでに計画された待機手術の実施。
19.治験責任医師の考えでは、任意の重症心疾患、内分泌疾患、血液疾患、肝疾患、免疫疾患、代謝疾患、泌尿器疾患、肺疾患、胃腸疾患、皮膚病、精神疾患、腎疾患、神経疾患(MS以外)、および/またはAE12-1-Y-QLの投与を不可能にする他の主な疾患を示す異常な実験結果歴。
20.スクリーニング時に以下の異常な血液試験のいずれかである:
・ヘモグロビン≦10.0g/dL
・血小板≦100×109/L
・リンパ球≦1.0×109/L
・好中球≦1.5×109/L
・アラニンアミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(ALT/SGPT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)、またはガンマグルタミル-トランスフェラーゼ≧基準値上限(ULN)の2倍
・血清クレアチニン≧ULN
・APTT≧ULN
・INR≧ULN
・eGFR≦30mL/分/1.73m2
21.550mL以上の血液量の輸血または喪失(血漿交換を含む)または研究薬投与前8週間以内に任意の血液製剤の輸注を受ける。
22.スクリーニング前30日以内に生じたMS再発および/または対象がスクリーニング前の以前の再発から安定されていない。
23.MRIまたはPET手順を受けることができないまたは望まない対象。
24.対象が、スクリーニング時のアレン試験異常または凝固異常プロファイルによって決定された動脈ライン挿入の禁忌を有する。
25.MRIが禁忌の対象(すなわち、動脈瘤クリップ、金属片、人工内耳、脊髄刺激装置またはペースメーカーのような体内電動装置)は、ガドリニウムが禁忌であるまたはガドリニウムにアレルギー性である(腎臓機能障害、eGFR異常、腎性全身性線維症であると以前に診断されている、およびアレルギーを含む)、医療により管理できない、または画像検査法のために1時間以上横たわることができない閉所恐怖症である。
26.この研究への参加により、年間の放射線曝露の国際放射線防護委員会(ICRP)/放射性薬調査委員会(RDRC)限度を上回る、研究目的のための、この1年以内の事前放射線曝露歴がある対象。このガイドラインは1年当たり受けられる10mSvの有効線量である。
27.脳のMRIスキャンにおける所見が、MS以外の任意の臨床的に重大な脳の異常を示す。
28.対象が脳血管疾患または脈管炎の過去の病歴を有する。
29.スクリーニング時のTSPO遺伝子型解析(TSPO遺伝子のエクソン4におけるrs6971 SNPのAla147Thr多型)による低親和性結合型のTSPOとホモ接合性。
30.PET画像セッション前5半減期での高用量ジアゼパムの使用。
31.以下のいずれかによる事前処置:
・全身リンパ節照射法
・クラドリビンまたはミトキサントロン
・T細胞またはT細胞受容体ワクチン接種
32.訪問2前1年以内にシクロフォスファミドまたはアレムツズマブによる事前処置。
33.訪問2前6カ月以内に以下の投薬または手順のいずれかによる事前処置:
・ナタリズマブ
・リツキシマブ
・ダクリズマブ
・シクロスポリン
・アザチオプリン
・メトトレキサート
・ミコフェノール酸モフェチル
・静注用免疫グロブリン(IVIg)
・血漿交換法または細胞吸着除去法
34.訪問2前30日以内に以下の投薬のいずれかによる処置:
・IVコルチコステロイド処置
・経口コルチコステロイド処置
・酢酸グラチラマー
・フィンゴリモド
・フマル酸ジメチル
・テリフルノミド
・ベータインターフェロン
35.スクリーニング前少なくとも90日以内に処置の開始および市販のファムプリジン-SRの用量調整(90日以上、市販のファムプリジン-SRを安定投与されている対象は除外されない。4-アミノピリジンの調合されたまたは他の製剤の使用は除外される)。
36.研究中に妊娠すると考えられる女性対象。
37.現在妊娠中または授乳中の女性対象。
【0303】
安全性および忍容性:有害事象モニタリング、バイタルサイン(血圧、心拍数、ECG)、臨床実験評価、神経学的評価、C-SSRS(パートIIのみ)、および脳のMRI。
【0304】
薬物動態(パートIIのみ):AE12-1-Y-QLおよび抗薬物抗体の血清濃度が採取した試料から決定される。
【0305】
[11C]-PBR28 PET薬物動態モデリングのための血液試料。各計画的なPET画像セッションの前に、動脈血採血のための橈骨動脈カテーテルが全ての対象に挿入される。連続的な採血系が、各スキャンの最初の15分間、秒ごとに全血の活性を測定するために使用される。およそ75mLの全血が連続的な採血の間の各スキャンのために採血される。さらに、全部でおよそ60mLの不連続な血液試料が、スキャンの開始後、パートIおよびパートIIにおいて以下の時点で全血および血漿活性の測定を容易にするために採血される:5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、および90分。5、10、15、20、30、50、70、および90分の時点で回収された試料はHPLCを使用して解析され、動脈血漿における親放射能の画分が決定される。さらに、血漿における親[11C]-PBR28の遊離画分(タンパク質に結合しない)の推定のため2つの試料(各試料につき最大7mL)が[11C]-PBR28注射の前に採血される。
【0306】
薬力学:平衡体積分布(VT)は、以下で同定した組織領域において決定される。VTは、関心組織領域における放射線リガンド濃度と血漿中で観察される放射線リガンド濃度の比として定義される。各組織領域の相当する体積分布比(DVR)も決定され得る。DVRは、組織関心領域におけるVTと適切に選択された参照組織におけるVTの比として定義される。パートIおよびパートII両方のPET画像が、全ての対象にわたり適切である参照領域を同定する試みにおいて調べられる。適切な参照領域が同定されると、DVRの値が報告される。
【0307】
1次変数:
・ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変および周辺関心病変領域におけるVT
2次変数:
・皮質および皮質下灰白質関心領域におけるVT
・ベースラインのMRIで確定された正常に見える白質関心領域におけるVT
・ベースラインのMRIで確定されたGd増強病変および周辺病変関心領域におけるVT
・適切な偽参照領域が同定される場合、VT変数のDVRが報告される。
【0308】
安全性:安全変数は以下を含む:有害事象モニタリング、バイタルサイン、身体検査、神経学的検査、心電図、実験的試験評価、ならびにコロンビア自殺重症度評価尺度(パートIIのみ)およびMRIスキャン。研究中いつでもMS再発が起きた場合、予定外の再発評価訪問が臨床的再発の発症を示し得る任意の新しい神経学的症状の発症から72時間以内に発生する。これらの訪問は、神経学的検査、EDSS、バイタルサイン、血液化学および血液学、尿検査、ならびに必要であればMRIからなる。MS再発の疑いを経験する対象は、IVメチルプレドニゾロン1000mg/日により3から5日間処置され得る。確かなMS再発を経験する対象または上述のように新しいT1ガドリニウム増強病変を有する対象は、継続される研究参加に再同意する必要がある。パートIIにおける訪問5の後、研究中にMS再発の疑いを経験する対象、または重要なエリアに少なくとも2つの新しいT1ガドリニウム増強病変、もしくは1つの新しいT1ガドリニウム増強病変を有することが見出される対象は、研究期間中に非盲検の代替えの、認可されたMS療法を開始され得る。
【0309】
TSPO遺伝的多型のための血液試料:1つの5mLの全血試料が、TSPO遺伝子のエクソン4におけるrs6971 SNPの多型に関する遺伝子型分析のためのスクリーニング時に採取される。
【0310】
パートIからの一次結果。病変および周辺病変の体積分布(VT)の対象内変動係数は15%と推定された。
【0311】
[実施例5]
再発型の多発性硬化症の対象におけるAE12-1-Y-QLの投与研究
この研究の第1の目的は、酢酸グラチラマー(GA)処置で管理されている再発型の多発性硬化症(RFMS)の対象におけるAE12-1-Y-QLの安全性、忍容性、薬物動態、および免疫原性を評価することである。第2の目的は、多発性硬化症(MS)疾患活動性の臨床および神経画像パラメーターへのAE12-1-Y-QLの効果を評価することである。
【0312】
研究集団:GA処置で管理されているRFMSの成人男性および女性対象。
【0313】
方法論:これは、2パート、二重盲検、プラセボ対照、無作為化、漸増複数回投与研究である。最大56人の対象が、この研究に参加する。パート1は、最大4つの処置群(群1-4)からなり、パート2は、1つの処置群(群5)からなる。群1-4はそれぞれ8人の対象からなり、現在GAを受けている。8人の対象の各群において、6人の対象が無作為に割り当てられ、現投与量のGAと同時投与される4用量のAE12-1-Y-QLを受け、2人の対象が現投与量のGAと同時投与される相当するプラセボを受ける。群5は、無作為に割り当てられ、現投与量のGAと同時投与される4用量のAE12-1-Y-QLを受けるおよそ12人の対象、および現投与量のGAと同時投与される相当するプラセボを受ける12人の対象からなる。
【0314】
群1から5の対象には、研究のベースラインならびに57日目、113日目、および176日目に従来型のMRIを実施し、疾患活動性および安全性をモニターした。群1から4の対象において実施した従来型のMRIは、T1強調(ガドリニウムコントラストありおよびなし)、T2強調、T2強調水抑制反転回復法(FLAIR)、プロトン密度(PD)強調、T2*/磁化率強調、および拡散強調画像を含む。群5に登録された総数は、113日目までに完了する各処置群において12人の対象を提供するために増加され得る。
【0315】
群5の対象には、群1-4について記載したように、研究のベースラインならびに57日目、113日目、および176日目に従来型のMRIを実施し、疾患活動性および安全性をモニターする。さらに、群5の対象には、研究のベースラインおよび113日目に非従来型のMRIシーケンスも実施し、脳白質の病態生理へのAE12-1-Y-QLの効果を評価する。群5の各処置群の最大12人の対象が、使用可能なMRIデータと共に113日目の訪問を完了するように十分な数の対象が登録される。非従来型のMRIは、磁化移動および拡散テンソル画像を含む。
【0316】
非従来型のMRI分析。非従来型の脳のMRIは、このMAD研究に組み込まれ、RFMSの患者における再ミエリン化および軸索再生へのAE12-1-Y-QLの潜在的な効果を探求する。
【0317】
3600mgの負荷用量のAE12-1-Y-QL(2日に分ける)およびその後3回1200mgの治療用量(n=12)またはプラセボ(n=12)を受ける群5において処置されたGA管理されている患者は、再ミエリン化および軸索再生(従来型のMRIに加えて)に感受性の定量的MRI評価項目による評価を受ける。単一の治験依頼者が決定した画像センターにおいて、この研究のために選択された3T MRIスキャナーでパート2の全ての対象に非従来型のMRIが実施される。
【0318】
主要評価項目は、ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における磁化移動比(MTR)、異方性度(FA)、および放射拡散(RD)である。軸索密度、ミエリン含量、およびMTR間の強い相関が、死後MS組織および動物モデルにおいて観察されており、MS患者において軸索およびミエリンの病態生理を評価するためのこの尺度の使用を支持している。
【0319】
プラセボと比較してAE12-1-Y-QL処置した対象における既存の病変内のMTRの増加、FAの増加、および/またはRDの減少は、軸索およびミエリンの病態生理においてAE12-1-Y-QLに関連する改善の証拠として解釈される。群あたり12人のRFMS患者は、α=0.05(片側)での82%パワーによるプラセボ対照並行群間研究のベースライン調整分析においてT2病変MTRにおける5%の増加の検出を可能にする。
【0320】
群5の主要MRIエンドポイントは、以下を含む:
・ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における、ベースラインおよび113日目の磁化移動比(MTR);
・ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における、ベースラインおよび113日目の異方性度(FA);および
・ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における、ベースラインおよび113日目の放射拡散(RD)。
【0321】
各評価項目について、各AE12-1-Y-QLレジメンのベースラインに合わせたプラセボからの平均の差は、ANCOVAフレームワークに基づいて表される。第一次統計的推測は、有意水準0.05での効果の推定において実施される。
【0322】
検出力分析のための仮定は、試験群間でのMTRの変化を追跡するベースラインの片側比較(ANCOVA)のため、RRMS患者由来のT2病変におけるMTRに基づいた(Altmann DRら、2013年)。ベースラインと113日目両方の母標準偏差は1.91であり、113日目とベースラインにおける測定の間の相関係数は0.70であると想定された。
【0323】
群1-5について、指定された治療用量の2倍の負荷用量が最初の投与で投与される。その後の用量は4週間間隔をあけて投与される。群1-3については、負荷用量は1日目に投与される(例えば、50mg治療用量に100mg;150mg治療用量に300mg;600mg治療用量に1200mg)。1800mgの治療用量を受ける群4および群5について、負荷用量は1日目および2日目に均等に分けた用量で投与される。
【0324】
AE12-1-Y-QLの全ての用量は、午前中に静脈内(IV)注入によって投与される。対象は、GAの現投与レジメン(すなわち1日1回皮下に投与されるコパキソン(登録商標)20mg、または1週間に3回皮下に投与されるコパキソン(登録商標)40mg、または1日1回皮下に投与されるジェネリックのGA 20mg)を続ける。対象は、無作為化される前に少なくとも2週間、コパキソン(登録商標)を受けている必要があり、研究の間中同じレジメンを維持しなければならない。負荷用量を含む合計で4用量が投与される(負荷用量は2日間に分けられ、1回の用量として見なされる。)。低用量で得られた安全性、忍容性、および薬物動態のデータが治験医師との協議において治験依頼者によって検討および評価された後にのみ、高用量が投与される。
【0325】
投与される用量は表10に示される。
【0326】
【0327】
AE12-1-Y-QLおよびバイオマーカーの濃度の決定のための一連の血清試料は、投与の開始後113日目までに全ての群において採取される。抗薬物抗体の決定のための一連の血清試料は、投与の開始後176日目までに全ての群において採取される。
【0328】
パート1の対象は2回の腰椎穿刺が実施され、以下のためにCSFを採取する:細胞数および差異、グルコース、総タンパク質、アルブミン、免疫グロブリンからなる日常的実験的試験;AE12-1-Y-QL濃度の決定;総、遊離、および結合sRGMaレベル;レポーター遺伝子アッセイを使用する膜結合BMP受容体との相互作用のためのAE12-1-Y-QLの利用可能性;ならびにバイオマーカー分析。1回目の腰椎穿刺は、1回目の投与(ベースライン)前だが、ベースラインの脳のMRI後に実施される;2回目の腰椎穿刺は4回目の投与後28日目に実施される。
【0329】
スクリーニング訪問の成功裏の完了後、適格な対象はベースラインの脳の磁気共鳴画像法(MRI)を受ける。パート1の対象については、スクリーニングMRIをスクリーニング訪問後および監禁開始(-10日目)前にいつでも行うことができる。パート2の対象については、スクリーニングMRIをスクリーニング訪問後および-1日目より前にいつでも行うことができる。脳のMRIが明白な血管の病変、腫瘤、腫瘤効果、またはMSに適合するもの以外の他の異常の証拠を示す対象は除外される。全ての対象は、ベースライン、57日目、113日目、および176日目にMRIを受ける。
【0330】
安全性および忍容性は研究を通して評価される。これは有害事象収集、実験的試験、神経学的検査、バイタルサインおよび心電図(ECG)の測定、およびMRIスキャンを含む。必要であれば、予定外の再発評価訪問が、臨床的再発の発症を示し得る任意の新しい神経学的症状の発症から72時間以内に発生する。これらの訪問は、機能状態尺度(FSS)および総合障害度評価尺度(EDSS)の評価を伴う神経学的検査、バイタルサイン、血液化学および血液学、ならびに尿検査からなる。MS再発の疑いを経験する対象は、IVメチルプレドニゾロン1000mg/日により1から5日間連続で処置され得る。
【0331】
多発性硬化症疾患活動性は、計画的な一連の外来訪問の間、および必要な場合の予定外の訪問時にモニターされる。捕捉および記録される臨床事象は、総合障害度評価尺度(EDSS)および多発性硬化症機能評価(MSFC)ならびにMSFCの個々のドメイン、時限25フィート歩行(T25FW)、9ホールペグ検査(9HPT)、および定速聴覚的連続加算検査(PASAT)において測定された再発および障害の進行を含む。さらに患者は、手段、多発性硬化症評価尺度(MSIS-29)および多発性硬化症の生活の質-54(MSQOL-54)を使用して得られる評価項目を記録した。
【0332】
障害の進行は、定期的な訪問時のプロトコール定義された評価スケジュールに従って得られたEDSSスコアからのみ確かめられ得る。対象が、12週間続くベースラインEDSS≧1.0からEDSSの少なくとも1.0ポイント増加を経験する場合、治療を行う看護師は治療を行う神経学者に知らせなければならない。対象は、身体障害の悪化を経験していることを知らされなければならない。
【0333】
選択/除外のための診断および主要基準:
主要選択基準:この研究に適格であるためには、候補者は、無作為化前または下に列挙した個々の基準において特定された時点で、以下の適格性基準を満たさなければならない:
1.男性または女性、年齢は、その年齢を含めて18歳から60歳の間である。
【0334】
2.対象は現在、MSの処置のため、1日1回皮下に投与されるコパキソン(登録商標)20mg、または1週間に3回皮下に投与されるコパキソン(登録商標)40mg、または1日1回皮下に投与されるジェネリックの酢酸グラチラマー20mgを受けており、少なくとも3カ月間コパキソン(登録商標)またはGA管理処置を受けた。対象をコパキソン(登録商標)またはGAの1つの製剤から別の製剤に移行するために、対象は、無作為化される前に少なくとも2週間新しい製剤を受けていなければならない。
【0335】
3.女性の場合、対象は:
・妊娠の可能性がない[外科的に不妊(卵巣摘出、完全子宮摘出、卵管結紮術)、少なくとも2年間閉経後(ホルモン補充療法が許容される)]、または
・妊娠の可能性がある場合、対象の好ましいライフスタイルとして性交の完全節制を実施しなければならない;自然家族計画は許容されない;研究の少なくとも6カ月前に精管切除される男性夫婦の性交相手を持つまたは処置および追跡期間全体の間、有効な避妊法(銅またはホルモンの子宮内避妊器具(IUD)、経口ホルモン避妊、または二重バリア保護法)の利用に同意しなければならない。
【0336】
4.妊娠の可能性がある女性は、研究薬投与前および研究参加の全期間中に、妊娠試験の結果が陰性でなければならない。
【0337】
5.男性の場合、対象は、
・男性避妊外科手術、例えば精管切除を受けている診断書を有していなければならない、または
・性欲が弱いことに同意する、または研究薬の最終投与後90日まで、バリア式避妊法の使用、または対象の好ましいライフスタイルとして性交の完全節制に同意していなければならない;自然家族計画は許容されない。
【0338】
6.再発型のMS(RFMS)として公知の再発性寛解型MS(RRMS)または二次性進行型MS(SPMS)の診断。
【0339】
7.対象は、改訂されたMcDonald診断基準に従ってRFMSの確定診断を受けていなければならず、MSと一致する病変を示す頭部MRIを有していなければならない。RFMSに加えて、パート1の対象は、以下によって証明されるように進行中の疾患活動性の証拠がなければならない:
・無作為化前12カ月以内に少なくとも1回の再発を経験している。選択のため、再発は、熱または感染を伴わず、少なくとも24時間続き、治験責任医師によって判定される、診療記録において確認された新しいまたは再発の神経学的症状として定義される。再発からの時間は、再発開始時間から測定されるべきである、または
・無作為化前6カ月以内に実施されたMRIにおいて脳のガドリニウム(Gd)増強(Gd+)病変の証拠を示す(T1 Gd+病変活動性の存在を示す事前のMRIスキャンが、スクリーニング前6カ月にわたり対象の病歴から入手できない場合、ベースラインの脳のMRIスキャンが使用され得る。)。
【0340】
8.スクリーニング訪問時に、治験責任医師の判断において神経学的に安定であり、スクリーニング訪問の30日前に最近の再発を経験または回復しない。
【0341】
9.ベースラインEDSSが、その値を含めて1.0から6.0の間でなければならない。
【0342】
10.肥満度指数(BMI)は、その値を含めて18.0から32.0である。BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割って計算される。
【0343】
11.放射線科医によって解釈される、対象がCSF採取のための腰椎穿刺/脊椎穿刺を受けることを妨げる明白な血管の病変、腫瘤、腫瘤効果、またはMSに適合するもの以外の他の異常の証拠を示さないスクリーニング時の脳のMRIスキャンを有する。
【0344】
12.MSを除いて、病歴、身体検査、バイタルサイン、実験プロファイル、神経学的検査、および12誘導心電図(ECG)の結果に基づいて通常健康な状態。
【0345】
任意のスクリーニングまたは研究特異的手順の開始前に、医療機関内倫理委員会(IEC;Independent Ethics Committee)/施設内治験審査委員会(IRB;Institutional Review Board)によって認可された、各インフォームドコンセントに、自由意思によりサインおよび日付を入れなければならない。
【0346】
除外基準:以下の基準のいずれかを満たす場合、対象は研究参加に適格ではない:
病歴:
1.一次性進行型MSの診断。
2.治験責任医師の考えでは、任意の重症心疾患、内分泌疾患、血液疾患、肝疾患、免疫疾患、代謝疾患、泌尿器疾患、肺疾患、胃腸疾患、皮膚病、精神疾患、腎疾患、神経疾患(MS以外)、および/またはAE12-1-Y-QLまたはGAの投与を不可能にする他の主な疾患を示す異常な実験結果歴。
3.無作為化前30日以内に生じたMS再発および/または対象が無作為化前の以前の再発から安定されていない。
4.MRIが禁忌の対象(すなわち、動脈瘤クリップ、金属片、人工内耳、脊髄刺激装置またはペースメーカーのような体内電動装置)は、ガドリニウムが禁忌であるまたはガドリニウムにアレルギー性である(腎臓機能障害、推算糸球体濾過量(eGFR)異常、腎性全身性線維症であると以前に診断されている、およびアレルギーを含む)、医療により管理できない、または画像検査法のために1時間以上横たわることができない閉所恐怖症である。
5.研究薬投与前30日以内に注射により任意のデポー薬(避妊薬を除く)を受ける。
6.分かっている場合、10半減期に等しい期間内または研究薬投与前6週間以内に、臨床試験用医薬品を受ける。
7.スクリーニング時または-2日目に検出されたように、薬物の乱用、アルコールのスクリーニングが陽性。
8.悪性腫瘍歴;ただし、基底細胞癌の切除もしくは処置歴または3以下の扁平上皮細胞癌がある対象は、この研究への参加に適格である。
9.研究薬またはそれらの賦形剤に過敏性であることが分かっている。
10.対象が、研究薬投与前2年以内に、快楽を得るための薬物使用、薬物乱用、誤用、または処方箋医薬品もしくは市販薬の非医学的な使用に関与した歴がある、または最終追跡訪問まで研究に参加する間に快楽を得るための薬物を使用する計画がある。
11.重症アレルギーまたはアナフィラキシー反応歴。
12.発作性疾患もしくは原因不明の失神歴、または6カ月以内の発作歴。
13.スクリーニング時に完了するコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)の自殺念慮部分の質問4または5に「はい」と回答すること、または任意の自殺行動歴によって証明されるように、研究薬投与前1カ月以内に、自殺念慮歴または臨床的に重症なうつ病エピソード。
14.C型肝炎ウイルスまたはB型肝炎ウイルス歴が分かっている、またはスクリーニング試験結果が陽性。
15.スクリーニング前6週間以内に水痘もしくは帯状疱疹ウイルス感染、または任意の重症ウイルス感染。
16.スクリーニング前21日以内に活性水痘帯状疱疹ウイルス感染の個人に曝露。
17.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または他の免疫不全状態歴。
18.無作為化前の4週間未満に、限定はされないが、はしか/おたふく風邪/風疹ワクチン、水痘帯状疱疹ウイルスワクチン、経口ポリオワクチン、および鼻インフルエンザワクチンを含む、任意の型の生ウイルスワクチン。
19.無作為化前8週間以内に入院または抗生物質の静脈注射(IV)を必要とする感染(ウイルス、真菌、細菌)。
20.無作為化の2週間前からまたは研究の終わりまでに計画された待機手術の実施。
21.脳のMRIスキャンにおける所見が、MS以外の臨床的に重大な脳の異常を示す。
22.スクリーニング時に以下の異常な血液試験のいずれかである:
・ヘモグロビン≦10.0g/dL
・血小板≦100×109/L
・リンパ球≦1.0×109/L
・好中球≦1.5×109/L
・アラニンアミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(ALT/SGPT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)、またはガンマグルタミル-トランスフェラーゼ≧基準値上限(ULN)の2倍
・血清鉄、フェリチン、トランスフェリン飽和度>ULN
・血清クレアチニン≧ULN
23.パート1のみに無作為化される可能性をスクリーニングされる対象について、腰椎穿刺の禁忌(例えば腰の脊椎側弯症、凝固障害、または凝固低下医薬品、針穿刺部位の感染した皮膚)。
24.550mL以上の血液量の輸血または喪失(血漿交換を含む)または研究薬投与前8週間以内に任意の血液製剤の輸注を受ける。
25.以下のいずれかによる事前処置:
・全身リンパ節照射法
・クラドリビンまたはミトキサントロン
・T細胞またはT細胞受容体ワクチン接種
26.無作為化前1年以内にシクロフォスファミドまたはアレムツズマブによる事前処置。
27.無作為化前6カ月以内に以下の投薬または手順のいずれかによる事前処置:
・ナタリズマブ
・リツキシマブ
・ダクリズマブ
・シクロスポリン
・アザチオプリン
・メトトレキサート
・ミコフェノール酸モフェチル
・静注用免疫グロブリン(IVIg)
・血漿交換法または細胞吸着除去法
28.無作為化前30日以内に以下の投薬のいずれかによる処置:
・IVコルチコステロイド処置
・経口コルチコステロイド処置
・ベータインターフェロン
・フィンゴリモド
・フマル酸ジメチル
・テリフルノミド
29.最終90日以内に処置の開始または市販のファムプリジン-持続放出(SR)の用量調整。患者が無作為化前にファムプリジン-SRの安定用量をすでに受けている場合、ならびに研究中この用量およびレジメンを維持する計画である場合は許容される。
30.研究参加中に妊娠するもしくは妊娠すると考えられる、または授乳中である女性。
31.現在別の臨床研究に登録されているまたはこの研究に以前に登録されている。
32.任意の理由のため、対象はAE12-1-Y-QLを受けるのに不適格な候補であると治験責任医師が判断。
【0347】
薬物動態:薬物動態パラメーターの以下の値は、ノンコンパートメント法を使用して推定される。観察された最大血清濃度(Cmax)、Cmax到達時間(ピーク時間、Tmax)、および濃度-時間曲線下面積(AUC)は1回目と4回目の投与後に推定される。投与前の観察された血清濃度(Cthrough)は、29日目、57日目、85日目、および113日目に測定される。終末期消失速度定数(β)、終末期消失半減期(t1/2)、および明らかなクリアランス(CL/F)は、4回目の投与後に推定される。抗薬物抗体(ADA)価は免疫原性の評価のために決定される。データの解釈に有用な場合、追加のパラメーターが算出され得る。
【0348】
CSFバイオマーカー:CSFバイオマーカーについての分析はパート1においてのみ行われる。促進性炎症および抗炎症、神経再生/神経保護、神経変性、および/または再ミエリン化のマーカーを表すバイオマーカーのパネルが評価される。
【0349】
薬力学:脳のMRI診査の結果(パート2)
研究は、脳における軸索およびミエリンの病態生理、および疾患活動性における変化に感受性のMRIの評価項目を、診査のエンドポイントとして含む。
【0350】
ベースラインならびに57日目、113日目、および176日目に、全ての対象に従来型のMRI評価が実施される。この研究の目的のために選択されたMRIスキャナーがある画像センターにおいて、パート2には、ベースラインおよび113日目に非従来型のMRI評価が実施される。
【0351】
以下の評価項目が評価される:
主要MRIエンドポイント:
・ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における、ベースラインおよび113日目の磁化移動比(MTR)(パート2のみ)
・ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における、ベースラインおよび113日目の異方性度(FA)(パート2のみ)
・ベースラインT2/FLAIR MRIで確定された病変における、ベースラインおよび113日目の放射拡散(RD)(パート2のみ)
・113日目の、新しいGd+T1病変の数(全ての対象)
【0352】
二次MRIエンドポイント:
・ベースラインおよび113日目に、ベースラインのMRIで確定された正常に見える灰白質(NAGM)におけるMTRおよびFA(パート2のみ)
ベースラインおよび113日目に、ベースラインのMRIで確定された正常に見える白質(NAWM)におけるMTRおよびFA(パート2のみ)
・ベースラインおよび113日目における、脊髄の灰白色領域、全脊髄領域(パート2のみ)
・57日目および113日目にわたる、新しいGd+T1病変の数(全ての対象)
・113日目の、新しいまたは新たに拡大するT2高強度病変の数(全ての対象)
・113日目の、新しいまたは新たに拡大するT2高強度病変の病変体積(全ての対象)
【0353】
安全性:安全変数は以下を含む:有害事象モニタリング、バイタルサイン、身体検査、神経学的検査、心電図、実験的試験評価、ならびにC-SSRSおよびMRIスキャン。必要であれば、可能な場合、予定外の再発評価訪問が臨床的再発の発症を示し得る任意の新しい神経学的症状の発症から7日以内に発生する。これらの訪問は、機能状態尺度(FSS)および総合障害度評価尺度(EDSS)の評価を伴う神経学的検査、バイタルサイン、血液化学および血液学、ならびに尿検査からなる。MS再発の疑いを経験する対象は、IVメチルプレドニゾロン1000mg/日により1から5日間連続で処置され得る。
【0354】
有害事象は、医薬品規制用語集(MedDRA)によってコードされる。有害事象データは、研究のパート1およびパート2について別にまとめられる。処置-緊急有害事象を報告する対象の数および割合は、用量レベルによる分類とMedDRA優先用語および器官別大分類によって作表される。作表は、有害事象(MedDRA用語)を報告する対象の数が、さらに程度(軽度、中程度、または重度)および研究薬と関係する可能性があるかどうかによって分類されても提供される。死、他の深刻な有害事象、および他の重大な有害事象は別に同定される。先に定義した基準に従って、臨床的に重大な可能性のある実験的試験値およびバイタルサインの測定値が同定される。
【0355】
[実施例6]
再発型の多発性硬化症の対象におけるAE12-1-Y-QLの投与研究
この研究の第1の目的は、酢酸グラチラマー(GA)処置で管理されている再発型の多発性硬化症(RFMS)の対象におけるAE12-1-Y-QLの安全性、忍容性、薬物動態、および免疫原性を評価することである。第2の目的は、多発性硬化症(MS)疾患活動性の臨床および神経画像パラメーター、ならびに脳脊髄液(CSF)および血液バイオマーカーのレベルの変化へのAE12-1-Y-QLの効果を評価することである。
【0356】
研究集団:GA処置で管理されているRFMSの成人男性および女性対象。
【0357】
方法論:これは、多施設共同第1相、二重盲検、プラセボ対照、無作為化、漸増複数回投与研究である。およそ21から28人までの対象が、この研究に参加する。
【0358】
研究は3つの群からなる(群1-3)。各群には、7人の対象が含まれる。GAレジメン管理に加えて、7人の対象の各群において、5人の対象がAE12-1-Y-QLによる処置に無作為に割り当てられ、2人の対象が相当するプラセボによる処置に無作為に割り当てられる。任意選択の群4(毎月AE12-1-Y-QL 50mgまたはプラセボ)は、群1-3からのデータの検討後に加えられ得る。
【0359】
群1および2について、指定された治療用量の2倍の負荷用量が最初の投与で投与される;その後の治療用量は4週間間隔をあけて投与される。群1および2については、負荷用量は1日目に投与される(例えば、群1において150mg治療用量に300mg)。群3について、負荷用量は1日目および2日目に2回に均等に分けた量(全部で3600mg)で投与される。研究薬レジメンは、全部で4回の投与からなり、最初の投与と見なされる負荷用量から4週間間隔をあける。AE12-1-Y-QLまたは相当するプラセボの全ての投与は、2時間の間隔にわたり一定の速さでIV注入によって投与される。
【0360】
安全性、薬物動態、およびバイオマーカーデータの検討は、群1-3の全ての対象が投与された後に計画される。AE12-1-Y-QL 50mgまたはプラセボ(負荷用量100mg)からなる任意選択の群4は、登録され、投与され得る。
【0361】
対象には、研究のベースラインならびに57日目、113日目、および176日目に従来型のMRIを実施し、疾患活動性および安全性を評価する。MRIは、T1強調(ガドリニウムコントラストありおよびなし)、T2強調、T2強調水抑制反転回復法(FLAIR)、プロトン密度(PD)強調、T2*/磁化率強調、および拡散強調画像の全てまたはサブセットを含む。
【0362】
指定された治療用量の2倍の負荷用量が最初の投与で投与される;その後の用量は4週間間隔をあけて投与される。群1および2については、負荷用量は1日目に投与される(例えば、150mg治療用量に300mg;600mg治療用量に1200mg)。1800mgの治療用量を受ける群3について、3600mgの負荷用量は1日目および2日目に均等に分けた用量で投与される。
【0363】
投与は群1から開始し、群2および3に続く。群1および2の対象は、投与群間で中断することなく連続して登録する。群3における投与は群2の全ての対象が少なくとも2回投与を受けた後に、得られたータの検討に基づいて開始する。100mgの負荷用量(群4)による毎月50mgの任意選択の投与群は、群1-3の得られたデータの検討後に登録され得る。
【0364】
AE12-1-Y-QLの全ての用量は、午前中に静脈内(IV)注入によって投与される。対象は、GAの現投与レジメン(すなわち1日1回皮下に投与されるコパキソン(登録商標)20mg、または1週間に3回皮下に投与されるコパキソン(登録商標)40mg、または1日1回皮下に投与されるジェネリックのGA 20mg)を続ける。対象をコパキソン(登録商標)またはGAの1つの製剤から別の製剤に移行するために、対象は、無作為化される前に少なくとも2週間新しい製剤を受けていなければならず、研究の間中同じ投与レジメンを維持しなければならない。
【0365】
投与される用量は表11に示される。
【0366】
【0367】
AE12-1-Y-QL、抗薬物抗体、およびバイオマーカーの濃度の決定のための一連の血液試料は、投与の開始後176日目までに全ての群において採取される。
【0368】
対象は3回の腰椎穿刺が実施され、以下のためにCSFを採取する:細胞数および差異、グルコース、IgGインデックス、オリゴクローナルバンド、およびミエリン塩基性タンパク質からなる日常的実験的試験;AE12-1-Y-QL濃度の決定;総、遊離、および結合可溶性RGMa(sRGMa)レベル;レポーター遺伝子アッセイを使用する膜結合BMP受容体との相互作用のためのAE12-1-Y-QLの利用可能性;ならびにバイオマーカー分析。
【0369】
1回目の腰椎穿刺は、1回目の投与(ベースライン)前だが、ベースラインの脳のMRI後に実施される;2回目の腰椎穿刺は最初の投与後およそ28日目に実施され、最後の腰椎穿刺は4回目の投与後およそ28日目に実施される。
【0370】
スクリーニング訪問の成功裏の完了後、適格な対象はベースラインの脳の磁気共鳴画像法(MRI)を受ける。スクリーニングMRIは、スクリーニング訪問後および監禁開始(-10日目)前いつでも行うことができる。脳のMRIが明白な血管の病変、腫瘤、腫瘤効果、またはMSに適合するもの以外の他の異常の証拠を示す対象は除外される。全ての対象は、スクリーニング時(ベースラインのMRI)、57日目、113日目、および176日目にMRIを受ける。
【0371】
安全性および忍容性は研究を通して評価される。これは有害事象収集、実験的試験、神経学的検査、バイタルサインおよび心電図(ECG)の測定、およびMRIスキャンを含む。必要であれば、予定外の再発評価訪問が、臨床的再発の発症を示し得る任意の新しい神経学的症状の発症から7日以内に発生する。これらの訪問は、機能状態尺度(FSS)および総合障害度評価尺度(EDSS)の評価を伴う神経学的検査、バイタルサイン、血液化学および血液学、ならびに尿検査からなる。MS再発の疑いを経験する対象は、IVメチルプレドニゾロン1000mg/日により1から5日間連続で処置され得る。
【0372】
多発性硬化症疾患活動性は、計画的な一連の外来訪問の間、および必要な場合の予定外の訪問時にモニターされる。捕捉および記録される臨床事象は、総合障害度評価尺度(EDSS)において測定された再発および障害の進行を含む。さらに患者は、手段、多発性硬化症評価尺度(MSIS-29)および多発性硬化症の生活の質-54(MSQOL-54)を使用して得られる評価項目を記録した。
【0373】
障害の進行は、定期的な訪問時のプロトコール定義された評価スケジュールに従って得られたEDSSスコアからのみ確かめられ得る。対象が、12週間続くベースラインEDSS≧1.0からEDSSの少なくとも1.0ポイント増加を経験する場合、研究コーディネーターは治療を行う神経学者に知らせなければならない。対象は、身体障害の悪化を経験していることを知らされなければならない。
【0374】
選択/除外のための診断および主要基準:
主要選択基準:この研究に適格であるためには、候補者は、無作為化前または下に列挙した個々の基準において特定された時点で、以下の適格性基準を満たさなければならない:
1.男性または女性、年齢は、その年齢を含めて18歳から60歳の間である。
【0375】
2.対象は現在、MSの処置のため、1日1回皮下に投与されるコパキソン(登録商標)20mg、または1週間に3回皮下に投与されるコパキソン(登録商標)40mg、または1日1回皮下に投与されるジェネリックの酢酸グラチラマー20mgを受けており、少なくとも3カ月間コパキソン(登録商標)またはGA管理処置を受けた。対象をコパキソン(登録商標)またはGAの1つの製剤から別の製剤に移行するために、対象は、無作為化される前に少なくとも2週間新しい製剤を受けていなければならない。
【0376】
3.女性の場合、対象は:
・妊娠の可能性がない[外科的に不妊(卵巣摘出、完全子宮摘出、卵管結紮術)、少なくとも2年間閉経後(ホルモン補充療法が許容される)]、または
・妊娠の可能性がある場合、対象の好ましいライフスタイルとして性交の完全節制を実施しなければならない;自然家族計画は許容されない;研究の少なくとも6カ月前に精管切除される男性夫婦の性交相手を持つまたは処置および追跡期間全体の間、有効な避妊法(銅またはホルモンの子宮内避妊器具(IUD)、経口ホルモン避妊、または二重バリア保護法)の利用に同意しなければならない。
【0377】
4.妊娠の可能性がある女性は、研究薬投与前および研究参加の全期間中に、妊娠試験の結果が陰性でなければならない。
【0378】
5.男性の場合、対象は、
・男性避妊外科手術、例えば精管切除を受けている診断書を有していなければならない、または
・性欲が弱いことに同意する、または研究薬の最終投与後90日まで、バリア式避妊法の使用、または対象の好ましいライフスタイルとして性交の完全節制に同意していなければならない;自然家族計画は許容されない。
【0379】
6.再発型のMS(RFMS)として公知の再発性寛解型MS(RRMS)または二次性進行型MS(SPMS)の診断。
【0380】
7.対象は、改訂されたMcDonald診断基準に従ってRFMSの確定診断を受けていなければならず、MSと一致する病変を示す頭部MRIを有していなければならない。
【0381】
8.スクリーニング訪問時に、治験責任医師の判断において神経学的に安定であり、スクリーニング訪問の30日前に最近の再発を経験または回復しない。
【0382】
9.ベースラインEDSSが、その値を含めて1.0から6.0の間でなければならない。
【0383】
10.肥満度指数(BMI)は、その値を含めて18.0から32.0である。BMIは体重(kg)を身長(m)の2乗で割って計算される。
【0384】
11.放射線科医によって解釈される、対象がCSF採取のための腰椎穿刺/脊椎穿刺を受けることを妨げる明白な血管の病変、腫瘤、腫瘤効果、またはMSに適合するもの以外の他の異常の証拠を示さないスクリーニング時の脳のMRIスキャンを有する。
【0385】
12.MSを除いて、病歴、身体検査、バイタルサイン、実験プロファイル、神経学的検査、および12誘導心電図(ECG)の結果に基づいて通常健康な状態。
【0386】
13.任意のスクリーニングまたは研究特異的手順の開始前に、医療機関内倫理委員会(IEC)/施設内治験審査委員会(IRB)によって認可された、各インフォームドコンセントに、自由意思によりサインおよび日付を入れなければならない。
【0387】
除外基準:以下の基準のいずれかを満たす場合、対象は研究参加に適格ではない:
病歴:
1.一次性進行型MSの診断。
2.治験責任医師の考えでは、任意の重症心疾患、内分泌疾患、血液疾患、肝疾患、免疫疾患、代謝疾患、泌尿器疾患、肺疾患、胃腸疾患、皮膚病、精神疾患、腎疾患、神経疾患(MS以外)、および/またはAE12-1-Y-QLまたはGAの投与を不可能にする他の主な疾患を示す異常な実験結果歴。
3.無作為化前30日以内に生じたMS再発および/または対象が無作為化前の以前の再発から安定されていない。
4.MRIが禁忌の対象(すなわち、動脈瘤クリップ、金属片、人工内耳、脊髄刺激装置またはペースメーカーのような体内電動装置)は、ガドリニウムが禁忌であるまたはガドリニウムにアレルギー性である(腎臓機能障害、推算糸球体濾過量(eGFR)異常、腎性全身性線維症であると以前に診断されている、およびアレルギーを含む)、医療により管理できない、または画像検査法のために1時間以上横たわることができない閉所恐怖症である。
5.研究薬投与前30日以内に注射により任意のデポー薬(避妊薬を除く)を受ける。
6.分かっている場合、10半減期に等しい期間内または研究薬投与前6週間以内に、臨床試験用医薬品を受ける。
7.スクリーニング時または-2日目に検出されたように、薬物の乱用、アルコールのスクリーニングが陽性。
8.悪性腫瘍歴;ただし、基底細胞癌の切除もしくは処置歴または3以下の扁平上皮細胞癌がある対象は、この研究への参加に適格である。
9.研究薬またはそれらの賦形剤に過敏性であることが分かっている。
10.対象が、研究薬投与前2年以内に、快楽を得るための薬物使用、薬物乱用、誤用、または処方箋医薬品もしくは市販薬の非医学的な使用に関与した歴がある、または最終追跡訪問まで研究に参加する間に快楽を得るための薬物を使用する計画がある。
11.重症アレルギーまたはアナフィラキシー反応歴。
12.発作性疾患もしくは原因不明の失神歴、または6カ月以内の発作歴。
13.スクリーニング時に完了するコロンビア自殺重症度評価尺度(C-SSRS)の自殺念慮部分の質問4または5に「はい」と回答すること、または任意の自殺行動歴によって証明されるように、研究薬投与前1カ月以内に、自殺念慮歴または臨床的に重症なうつ病エピソード。
14.C型肝炎ウイルスまたはB型肝炎ウイルス歴が分かっている、またはスクリーニング試験結果が陽性。
15.スクリーニング前6週間以内に水痘もしくは帯状疱疹ウイルス感染、または任意の重症ウイルス感染。
16.スクリーニング前21日以内に活性水痘帯状疱疹ウイルス感染の個人に曝露。
17.ヒト免疫不全ウイルス(HIV)または他の免疫不全状態歴。
18.無作為化前の4週間未満に、限定はされないが、はしか/おたふく風邪/風疹ワクチン、水痘帯状疱疹ウイルスワクチン、経口ポリオワクチン、および鼻インフルエンザワクチンを含む、任意の型の生ウイルスワクチン。
19.無作為化前8週間以内に入院または抗生物質の静脈注射(IV)を必要とする感染(ウイルス、真菌、細菌)。
20.無作為化の2週間前からまたは研究の終わりまでに計画された待機手術の実施。
21.脳のMRIスキャンにおける所見が、MS以外の臨床的に重大な脳の異常を示す。
22.スクリーニング時に以下の異常な血液試験のいずれかである:
・ヘモグロビン≦10.0g/dL
・血小板≦100×109/L
・リンパ球≦1.0×109/L
・好中球≦1.5×109/L
・アラニンアミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸ピルビン酸トランスアミナーゼ(ALT/SGPT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/血清グルタミン酸オキサロ酢酸トランスアミナーゼ(AST/SGOT)、またはガンマグルタミル-トランスフェラーゼ≧基準値上限(ULN)の2倍
・血清鉄、フェリチン、トランスフェリン飽和度>ULN
・血清クレアチニン≧ULN
23.腰椎穿刺の禁忌(例えば、腰の脊椎側弯症、凝固障害、または凝固低下医薬品、針穿刺部位の感染した皮膚)。
24.550mL以上の血液量の輸血または喪失(血漿交換を含む)または研究薬投与前8週間以内に任意の血液製剤の輸注を受ける。
25.以下のいずれかによる事前処置:
・全身リンパ節照射法
・クラドリビンまたはミトキサントロン
・T細胞またはT細胞受容体ワクチン接種
26.無作為化前1年以内にシクロフォスファミドまたはアレムツズマブによる事前処置。
27.無作為化前6カ月以内に以下の投薬または手順のいずれかによる事前処置:
・ナタリズマブ
・リツキシマブ
・ダクリズマブ
・シクロスポリン
・アザチオプリン
・メトトレキサート
・ミコフェノール酸モフェチル
・静注用免疫グロブリン(IVIg)
・血漿交換法または細胞吸着除去法
28.無作為化前30日以内に以下の投薬のいずれかによる処置:
・IVコルチコステロイド処置
・経口コルチコステロイド処置
・ベータインターフェロン
・フィンゴリモド
・フマル酸ジメチル
・テリフルノミド
29.最終90日以内に処置の開始または市販のファムプリジン-持続放出(SR)の用量調整。患者が無作為化前にファムプリジン-SRの安定用量をすでに受けている場合、ならびに研究中この用量およびレジメンを維持する計画である場合は許容される。
30.研究参加中に妊娠するもしくは妊娠すると考えられる、または授乳中である女性。
31.現在別の臨床研究に登録されているまたはこの研究に以前に登録されている。
32.任意の理由のため、対象はAE12-1-Y-QLを受けるのに不適格な候補であると治験責任医師が判断。
【0388】
薬物動態:薬物動態パラメーターの以下の値は、ノンコンパートメント法を使用して推定される。観察された最大血清濃度(Cmax)、Cmax到達時間(ピーク時間、Tmax)、および濃度-時間曲線下面積(AUC)は最初と最後の投与間隔で推定される。投与間隔の最後に観察された最後の血清濃度(Cthrough)は、29日目、57日目、85日目、および113日目に測定される。終末期消失速度定数(β)、終末期消失半減期(t1/2)、および明らかなクリアランス(CL/F)は、最後の投与後に推定される。抗薬物抗体(ADA)価は免疫原性の評価のために決定される。データの解釈に有用な場合、追加のパラメーターが算出され得る。
【0389】
薬力学:
標的結合:
AE12-1-Y-QLに結合する可溶性反発性ガイダンス分子A(sRGMA)のCSF濃度は、標的結合の尺度として決定される。
【0390】
脳のMRI結果
・113日目の、新しいGd+T1病変の数
・57日目から113日目にわたる、新しいGd+T1病変の数
・113日目の、新しいまたは新たに拡大するT2高強度病変の数
・113日目の、新しいまたは新たに拡大するT2高強度病変の病変体積
CSFおよび血液探索的バイオマーカー:
・CSF AE12-1-Y-QLの薬力学活性は、膜結合RGMaの阻害の程度を測定するエクスビボレポーター遺伝子アッセイを使用して評価され得る。さらに、膜結合RGMaへのAE12-1-Y-QLの結合およびCDプロファイリングは、血液およびCSFの単球集団において評価され得る。プロファイルされたCDリガンドは、限定はされないが、CD11b、CD163、CD206、CD68、CD80、CD86、CD40およびCD279を含む。最後に、ベースラインおよび要約統計量の変更は、免疫修飾、炎症、および再ミエリン化を反映する探索CSFおよび血液バイオマーカーのために実施され得る。現在のバイオマーカーは、限定はされないが、IL-6、IL-10、IL-17、神経フィラメント軽鎖および重鎖(NfL、NfH)、グリア細胞線維性酸性タンパク質(GFAP)、オステオポンチン、MCP-1、sCD27、MMP9、Bリンパ球走化性因子(CXCL13)、インターフェロンガンマ、TNFアルファ、およびIL12(p70)を含み得る。
【0391】
安全性:安全変数は以下を含む:有害事象モニタリング、バイタルサイン、身体検査、神経学的検査、心電図、実験的試験評価、ならびにC-SSRSおよびMRIスキャン。必要であれば、可能な場合、予定外の再発評価訪問が臨床的再発の発症を示し得る任意の新しい神経学的症状の発症から7日以内に発生する。これらの訪問は、機能状態尺度(FSS)および総合障害度評価尺度(EDSS)の評価を伴う神経学的検査、バイタルサイン、血液化学および血液学、ならびに尿検査からなる。MS再発の疑いを経験する対象は、IVメチルプレドニゾロン1000mg/日により1から5日間連続で処置され得る。
【0392】
有害事象は、医薬品規制用語集(MedDRA)によってコードされる。処置-緊急有害事象を報告する対象の数および割合は、用量レベルによる分類とMedDRA優先用語および器官別大分類によって作表される。作表は、有害事象(MedDRA用語)を報告する対象の数が、さらに程度(軽度、中程度、または重度)および研究薬と関係する可能性があるかどうかによって分類されても提供される。死、他の深刻な有害事象、および他の重大な有害事象は別に同定される。先に定義した基準に従って、臨床的に重大な可能性のある臨床検査値およびバイタルサインの測定値が同定される。
【0393】
[実施例7]
項1.治療を必要とする対象における再発型の多発性硬化症を治療するための方法であって、反発性誘導分子A(RGMa)に特異的に結合する治療有効量の抗体またはこの抗原結合性断片を投与することを含み、抗体または抗原結合性断片は、
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含む相補性決定領域(CDR)-1、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-2、および配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-3を含む可変重鎖;ならびに
(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-1、配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-3を含む可変軽鎖
を含む、方法。
【0394】
項2.抗体またはこの抗原結合性断片が、約50mgから約4000mgの量で、または約50mgから約2500mgの量で対象に投与される、項1に記載の方法。
【0395】
項3.抗体またはこの抗原結合性断片が、約50mg、100mg、150mg、300mg、450mg、600mg、1000mg、1200mg、1600mg、1800mg、2400mgまたは3600mgの量で投与される、項1または2に記載の方法。
【0396】
項4.抗体またはこの抗原結合性断片が、約50mg、75mg、100mg、120mg、125mg、150mg、175mg、200mg、250mg、300mg、325mg、350mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mgまたは500mgの量で投与される、項1または2に記載の方法。
【0397】
項5.抗体またはこの抗原結合性断片が静脈内(IV)投与される、項3に記載の方法。
【0398】
項6.抗体またはこの抗原結合性断片が皮下に投与される、項4に記載の方法。
【0399】
項7.可変重鎖が配列番号13のアミノ酸配列を含み、可変軽鎖が配列番号14のアミノ酸配列を含む、項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【0400】
項8.抗体が、ヒト抗体、免疫グロブリン分子、ジスルフィド結合Fv、モノクローナル抗体、親和性成熟抗体、scFv、キメラ抗体、CDR移植抗体、ダイアボディ、ヒト化抗体、多重特異性抗体、Fab、二重特異性(dual specific)抗体、DVD、Fab’、二重特異性(bispecific)抗体、F(ab’)2およびFvからなる群から選択される、項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【0401】
項9.抗体がヒト抗体である、項8に記載の方法。
【0402】
項10.抗体がモノクローナル抗体である、項8に記載の方法。
【0403】
項11.抗体が親和性成熟抗体である、項8に記載の方法。
【0404】
項12.抗体がキメラ抗体である、項8に記載の方法。
【0405】
項13.抗体がヒト化抗体である、項8に記載の方法。
【0406】
項14.抗体がFab、Fab’、F(ab’)2またはFvである、項8に記載の方法。
【0407】
項15.抗体が二重特異性(dual specific)抗体、DVDまたは二重特異性(bispecific)抗体である、項8に記載の方法。
【0408】
項16.配列番号12の定常配列をさらに含む、項7に記載の方法。
【0409】
項17.追加の治療剤を投与することをさらに含む、項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【0410】
項18.追加の治療剤が、免疫抑制剤または多発性硬化症に伴う1つ以上の症状を治療する薬剤である、項17に記載の方法。
【0411】
項19.追加の治療剤が、ベータインターフェロン、グラチラマー(コパキソン)、フィンゴリモド(ギレンヤ)、ナタリズマブ(チサブリ)、ミトキサントロン(ノバントロン)、または認知促進薬を含む、項18に記載の方法。
【0412】
項20.認知促進薬が、アセチルコリン受容体アゴニスト、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤、ブチリルコリンエステラーゼ阻害剤、N-メチル-D-アスパラギン酸(NMDA)受容体アンタゴニスト、活性依存性神経保護タンパク質(ADNP)アゴニスト、セロトニン5-HT1A受容体アゴニスト、5-HT4受容体アゴニスト、5-HT6受容体アンタゴニスト、セロトニン1A受容体アンタゴニスト、ヒスタミンH3受容体アンタゴニスト、カルパイン阻害剤、血管内皮増殖因子(VEGF)タンパク質もしくはアゴニスト、栄養成長因子、抗アポトーシス化合物、AMPA型グルタミン酸受容体活性化因子、L型もしくはN型カルシウムチャネル遮断薬もしくは調節因子、カリウムチャネル遮断薬、低酸素誘導因子(HIF)活性化因子、HIFプロリル4-ヒドロキシラーゼ阻害剤、抗炎症剤、アミロイドAβペプチドもしくはアミロイドプラークの阻害剤、タウ過剰リン酸化の阻害剤、ホスホジエステラーゼ5阻害剤、ホスホジエステラーゼ4阻害剤、モノアミンオキシダーゼ阻害剤、これらの医薬として許容される塩、またはこれらの組合せを含む、項19に記載の方法。
【0413】
項21.認知促進薬が、ドネペジル(アリセプト(Aricept)(登録商標))、リバスチグミン(イクセロン(Exelon)(登録商標))、ガランタミン(レミニル(Reminyl)(登録商標))、メマンチン(ナメンダ(Namenda)(登録商標))またはこれらの組合せを含む、項20に記載の方法。
【0414】
項22.再発型の多発性硬化症が、再発性寛解型多発性硬化症(RRMS)または再発性二次性進行型多発性硬化症(SPMS)である、項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【0415】
項23.抗体またはこの抗原結合性断片が、複数可変投薬レジメンに従って投与される、項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【0416】
項24.複数可変投薬レジメンが、負荷用量および負荷用量よりも低い治療用量を含む、項23に記載の方法。
【0417】
項25.負荷用量が、100mg、300mg、1200mgおよび3600mgからなる群から選択される、項24に記載の方法。
【0418】
項26.治療用量が、50mg、150mg、600mgおよび1800mgからなる群から選択される、項24に記載の方法。
【0419】
前述の詳細な説明および添付の実施例は単に例示であり、本発明の範囲を制限するものではなく、添付の請求項およびそれらの等価物によってのみ定義されることが理解される。
【0420】
開示された実施形態への様々な変更および修正は、当業者に明らかである。そのような変更および修飾は、制限されないが、化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成物、組成物、製剤、または本発明の使用方法に関連する物を含み、本発明の精神および範囲を逸脱することなくなされ得る。
治療を必要とする対象における再発型の多発性硬化症を治療するための方法であって、反発性誘導分子(Repulsive Guidance Molecule)A(RGMa)に特異的に結合する治療有効量の抗体またはこの抗原結合性断片を投与することを含み、抗体または抗原結合性断片は、
(a)配列番号2のアミノ酸配列を含む相補性決定領域(CDR)-1、配列番号3のアミノ酸配列を含むCDR-2、および配列番号4のアミノ酸配列を含むCDR-3を含む可変重鎖;ならびに
(b)配列番号6のアミノ酸配列を含むCDR-1、配列番号7のアミノ酸配列を含むCDR-2、および配列番号8のアミノ酸配列を含むCDR-3を含む可変軽鎖
を含む、方法。