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特開2023-75243手動又は自動で培地を交換するための3D細胞培養容器
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075243
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】手動又は自動で培地を交換するための3D細胞培養容器
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/24 20060101AFI20230523BHJP
   C12M 3/00 20060101ALI20230523BHJP
   C12N 1/00 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
C12M1/24
C12M3/00 Z
C12N1/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023037430
(22)【出願日】2023-03-10
(62)【分割の表示】P 2020501566の分割
【原出願日】2018-07-13
(31)【優先権主張番号】62/532,639
(32)【優先日】2017-07-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100175042
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 秀明
(72)【発明者】
【氏名】ヴァシリー ニコラエヴィチ ゴラール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】細胞培養容器及び細胞を培養する方法を提供する。
【解決手段】細胞培養容器400は、第1の方向及び垂直な第2の方向に拡がる平面を画成するベース405、上下に積み重ねられた複数の細胞培養チャンバ200であって、各細胞培養チャンバが上部、底部201、及び側壁を有しており、上部、底部、及び側壁の各々が内面を有している、複数の細胞培養チャンバを含んでおり、ここで、少なくとも底面は、スフェロイドとしての細胞の培養を支持するマイクロキャビティ420のアレイを有しており、各底面は、容器が置かれるテーブル又は表面の平面に対してある角度にある。液体は入口210を介して各細胞培養チャンバに流入し、出口215を介して各細胞培養チャンバから流出する。角度の付いた細胞培養表面は、細胞培養チャンバを灌流可能にし、マイクロキャビティからスフェロイドを移動させずに培地交換を可能にする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞培養容器において、
底部、上部、及び側壁を有する少なくとも1つの細胞培養チャンバ;
第1の方向及び前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に拡がる支持面を画成するベースであって;
前記底部、前記上部及び前記側壁が各々、前記細胞培養チャンバの内側に面する表面を有し;
少なくとも前記細胞培養チャンバの前記底部の表面がマイクロキャビティのアレイを含む、
ベース;
前記容器の一方の側に前記細胞培養チャンバへのアクセスを提供する前記容器の上部の入口;
前記容器の反対の側に各細胞培養チャンバへのアクセスを提供する前記容器の底部の出口;を含み、
前記細胞培養チャンバの前記底部の表面が、基板平面であって、該基板平面の前記第1の方向において第1の角度をなし、該基板平面の前記第2の方向において第2の角度をなす、基板平面を画成し;かつ
前記第1の角度及び前記第2の角度のうちの少なくとも一方の絶対値が1°~30°である、細胞培養容器。
【請求項2】
前記第1の角度及び前記第2の角度の絶対値が1°~30°である、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項3】
前記第1の平面角の絶対値が5°であり、前記第2の平面角の絶対値が5°であり、あるいは前記第1の平面角及び前記第2の平面角の両方の絶対値が5°である、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項4】
前記入口が前記容器の上部隅部にある、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項5】
前記出口が、前記入口の上部隅部と反対側の前記容器の底部隅部にある、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項6】
一方が他方の上に積み重ねられた少なくとも2つの細胞培養チャンバを含む、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項7】
前記入口が入口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記入口マニホルドとの間に入口開口部を有する、請求項6に記載の細胞培養容器。
【請求項8】
前記出口が出口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記出口マニホルドとの間に出口開口部を有する、請求項6に記載の細胞培養容器。
【請求項9】
各細胞培養チャンバの前記底部が、ガス透過性かつ液体不透過性の材料を含む、請求項6に記載の細胞培養容器。
【請求項10】
各細胞培養チャンバが、気管スペースによってそのすぐ隣にある細胞培養チャンバから分離されている、請求項9に記載の細胞培養容器。
【請求項11】
請求項1に記載の細胞培養容器内で細胞を培養する方法であって、
前記入口を介して前記細胞培養チャンバ内に細胞及び培地を含む液体を導入すること;
重力によって細胞を前記マイクロキャビティ内に定着させること;及び、
細胞を培養すること
を含む、方法。
【請求項12】
前記細胞を培養する間、液体を、前記入口を介して前記容器内に流し、前記細胞培養チャンバを通し、前記出口を介して前記容器から流出させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ベースの前記支持面の前記第1の方向が、前記入口と前記出口の間の前記軸に沿っており、前記ベースの前記支持面の前記第2の方向が、前記入口と前記出口の間の前記軸に直交している、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項14】
一方が他方の上に積み重ねられた少なくとも2つの細胞培養チャンバを含み、前記入口が入口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記入口マニホルドとの間に入口開口部を有し、前記出口が出口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記出口マニホルドとの間に出口開口部を有する、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項15】
一方が他方の上に積み重ねられた少なくとも2つの細胞培養チャンバを含み、前記入口が入口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記入口マニホルドとの間に入口開口部を有し、前記出口が出口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記出口マニホルドとの間に出口開口部を有する、請求項3に記載の細胞培養容器。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、その内容が依拠され、その全体がここに参照することによって本願に援用される、「細胞培養容器及び細胞培養方法(Cell Culture Containers and Methods of Culturing Cells)」と題された2017年7月14日出願の米国仮特許出願第62/532,639号の優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、概して、細胞培養容器及び細胞培養方法に関し、より詳細には、培地の交換を含む、三次元細胞培養を収容し、ベースとするための細胞培養容器、並びに、該細胞培養容器を使用した三次元細胞の培養方法及び培地の交換方法に関する。
【背景技術】
【0003】
細胞培養容器に三次元細胞を収容することが知られている。細胞培養容器内で三次元細胞を培養することもまた知られている。
【発明の概要】
【0004】
詳細な説明に記載される幾つかの例示的な実施形態の基本的な理解をもたらすために、本開示の簡略化された概要を以下に提示する。
【0005】
細胞培養容器(例えば、フラスコ)は、細胞を培養するための無菌のマイクロキャビティを提供することができる。幾つかの実施形態では、細胞の培養は、疾患及び毒物学の研究、薬物療法及び治療の有効性、腫瘍の特性、生物、遺伝学、並びに細胞及びそれに関連する他の科学的、生物学的、及び化学的原理に関する情報を提供することができる。細胞培養容器は、培養中に細胞を収容するための無菌の液体不透過性マイクロキャビティを提供する。
【0006】
マイクロキャビティ又は細胞増殖チャンバは、底面、上面、及び表面を有する側壁を含みうる。これらの表面の少なくとも1つは、細胞増殖に適合させることができる。例えば、スフェロイド細胞の培養のベースとするために、細胞増殖表面は、例えばアレイに配置された複数のマイクロキャビティ(例えば、マイクロメートルサイズのウェル、サブミリメートルサイズのウェル)を含みうる。細胞増殖表面は、フラスコと一体化していてもよいし、細胞増殖チャンバに配置又は固定された別個の基板であってもよい。上面、底面、1つ以上の側面又はこれらの組合せは、マイクロキャビティをアレイで含みうる。マイクロキャビティは、例えば、丸い上部及び丸い底部を有するマイクロキャビティ又はマイクロウェルを形成する波状又は正弦波状に形成されうる。幾つかの実施形態では、フラスコは、三次元細胞培養(例えば、細胞凝集体、スフェロイド)の増殖を促進する材料(例えば、培地、固体、液体、気体)で満たすことができる。例えば、液体に懸濁された細胞を含む培地を細胞培養チャンバに加えてもよい。懸濁細胞は、複数のマイクロキャビティ内に集合することができ、細胞の群化又はクラスターへと形成(例えば増殖)することができる。群化又はクラスター化された細胞は三次元で増殖し、スフェロイド又はオルガノイドとしても知られる3Dの細胞を形成する。単一のマイクロキャビティ内に、細胞の単一のクラスター又はスフェロイドが形成される。よって、マイクロキャビティのアレイを有する細胞培養表面を有する細胞培養チャンバを使用して、それぞれがそれ自体のマイクロキャビティ内にある、多くのスフェロイドを培養することができる。
【0007】
例えば、幾つかの実施形態では、複数のマイクロキャビティの各マイクロキャビティ内に単一のスフェロイドが形成されうる。細胞は重力によってマイクロキャビティ内に定着する。液体培地に懸濁された1つ以上の細胞は、該液体を通じて落下し、各マイクロキャビティ内に定着する。マイクロキャビティの形状(例えば、ウェルを画成する凹面)、及び細胞が表面に付着するのを防ぐマイクロキャビティの表面コーティングもまた、細胞の三次元形態への増殖を促進し、各マイクロキャビティ内にスフェロイドを形成する。
【0008】
培養中、スフェロイドは培地(例えば、食物、栄養素)を消費し、副産物として代謝産物(例えば、老廃物)を生成しうる。よって、幾つかの実施形態では、培養中に培地の形態をした食物を細胞培養チャンバに加えることができ、培養中に細胞培養チャンバから廃培地を除去することができる。培地を交換して細胞に栄養を与え、老廃物を除去するこの能力は、細胞の長期培養を促進する。しかしながら、培地を添加及び除去することにより、マイクロキャビティ内にあるスフェロイドが移動する可能性がある。これは、細胞がマイクロキャビティ表面に付着するのを防ぐために、マイクロキャビティが低結合コーティングでコーティングされている場合に特に当てはまる。この開示では、マイクロキャビティからスフェロイドが移動するリスクを低減し、したがってスフェロイドの長期培養を促進する構造が開示される。二次元細胞培養と比較して、幾つかの実施形態では、三次元細胞培養は、実験室でシミュレートした条件と比較して、より生理学的に正確で、現実の用途で細胞が存在及び増殖できる環境をより現実的に表す多細胞構造を生成することができる。例えば、三次元細胞培養は、「インビボ」での(すなわち、実際の生活環境での)細胞増殖をシミュレートする現実的な環境をより注意深く提供することがわかっており;一方、二次元の細胞培養は、実験室の外で生じる実際の環境をあまり表していない「インビトロ」での(すなわち、実験室環境のガラス内での)細胞増殖をシミュレートする環境を提供することがわかっている。三次元細胞培養の特性及び挙動を相互作用させて観察することにより、例えば疾患及び毒物学の研究、薬物療法及び治療の有効性、腫瘍の特性、生物、遺伝学、並びに、細胞及びそれに関する他の科学的、生物学的、及び化学的原理などに関連する細胞の理解の進歩を実現することができる。
【0009】
幾つかの実施形態では、疾患及び毒物学、薬物療法及び治療の有効性、腫瘍の特性、生物、遺伝学、並びに細胞及びそれに関する他の科学的、生物学的、及び化学的原理の研究中にシグナルを増幅するためには、多数のスフェロイドを長期間培養することが望ましい。例えば、薬物の代謝物を試験することが望ましい場合、代謝物が測定可能になるのに十分な量で薬物を代謝するのに十分な時間を培養細胞に与えるために、細胞を長時間培養する必要がありうる。幾つかの実施形態では、細胞培養中のインキュベータのスペースを節約するために、できるだけ小さい物理的スペースで多数のスフェロイドを増殖させることも望ましい。フラスコを含む単層細胞培養装置が当技術分野で知られている。ユーザーがインキュベータ空間の1立方インチあたり、より多くの細胞を培養できるようにする多層細胞培養装置も知られている(例えば、すべてCorning Incorporatedに譲渡された米国特許第7,745,209号、同第8,273,572号、同第8,470,589号、同第8,846,399号、同第9,045,721号、同第9,845,451号、及び同第8,178,345号の各明細書を参照)。図1は、米国特許第8,178,345号明細書によるものであり、従来技術の例示として提供されている。スフェロイド細胞を増殖させるように構成及び配置された多層デバイスが開示されている(例えば、これもCorning Incorporatedに譲渡された、国際公開第2016/069885号及び同第2016/069892号参照)。引用された参考文献はすべて、参照することにより本明細書に組み込まれる。本開示は、培地交換中に、マイクロキャビティ内にあるスフェロイドが移動するリスクを低減するように適合された単層又は多層細胞培養容器を提供する。
【0010】
実施形態では、細胞培養容器は、第1の方向及び該第1の方向に対して垂直な第2の方向に拡がるベース平面を画成するベースを含む。実施形態では、細胞培養容器は上下に積み重ねられた複数の細胞培養チャンバを有し、各細胞培養チャンバは、細胞培養チャンバを形成するように上部、底部、及び側壁を有している。上部、底部、及び側壁の各々は、細胞培養チャンバの内側に面する内面を有している。実施形態では、少なくとも底面は、スフェロイドとしての細胞の培養のベースとなるマイクロキャビティのアレイを有している。実施形態では、各細胞培養チャンバの各底面は、ベース平面に対してある角度を有している。さらには、液体は入口を介して各細胞培養チャンバ内に流入し、出口を介して各細胞培養チャンバから流出することができる。角度の付いた細胞培養表面は、培地交換中にスフェロイドが移動するのを防ぐ。
【0011】
実施形態では、細胞培養容器は1つ以上の細胞培養チャンバを含みうる。各細胞培養チャンバ(上部、側壁、及び底部によって画成される)は、少なくとも底面を有しており、該底面は、該細胞培養チャンバ内で細胞を3D又はスフェロイドの構造で増殖させるためのマイクロキャビティのアレイを有している。加えて、容器は、重力の方向に対して垂直なテーブル平面を有しており、該平面は、第1の方向及び該第1の方向に対して垂直な第2の方向に拡がっている。テーブル平面は、容器が置かれる表面の平面に対して平行である。テーブル平面は、例えば、容器が置かれるテーブル又はワークスペースの平坦な面である。各細胞培養チャンバの底面は、テーブル平面の第1の方向に対して第1の角度かつテーブル平面の第2の方向に対して第2の角度で配向されうる。実施形態では、第1の角度及び第2の角度のうちの少なくとも一方の絶対値はゼロより大きくなりうる。幾つかの実施形態では、方法は、細胞培養容器で細胞を培養することを含みうる。
【0012】
幾つかの実施形態では、細胞培養方法は、容器のベース平面が重力の方向に対して垂直に配向されている間に、複数の細胞培養チャンバに液体を導入することを含みうる。ベース平面は、第1の方向及び該第1の方向に対して垂直な第2の方向に拡がりうる。本方法は、少なくとも1つのチャンバに液体を導入した後、少なくとも1つの細胞培養チャンバで細胞を培養し、少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養している間、基板平面に平行な流れ方向に液体を流すことを含みうる。
【0013】
上記の実施形態は例示であり、本開示の範囲から逸脱することなく、単独で、又は本明細書で提供される任意の1つ以上の実施形態との任意の組合せで、提供することができる。さらには、前述の概要及び後述する詳細な説明はいずれも、本開示の実施形態を提示しており、説明及び特許請求される本実施形態の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することが意図されていることが理解されるべきである。添付の図面は、実施形態のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれて、その一部を構成する。図面は本開示のさまざまな実施形態を例証しており、その説明とともに、それらの原理及び動作を説明する役割を担う。
【0014】
本開示のこれら及び他の特徴、実施形態、及び利点は、添付の図面を参照して読む場合に、さらに理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】先行技術を表す、多層細胞培養容器の切り取り図
図2】本開示の実施形態における灌流システムの概略図
図3】本開示の実施形態における多層細胞培養容器の概略的な断面図
図4】本開示の実施形態による、ベース平面及びテーブル平面を含む細胞培養容器の実施形態の平面図
図5】本開示の実施形態による、線5-5に沿ったベース平面及びテーブル平面を含む細胞培養容器の実施形態の正面図
図6】本開示の実施形態による、図4の線6-6に沿ったベース平面及びテーブル平面を含む細胞培養容器の実施形態の側面図
図7】本開示の実施形態による、図4の線7-7に沿ったベース平面及びテーブル平面を含む細胞培養容器の断面図の例示的な実施形態を示す図
図8】本開示の実施形態による、より厚い部分及びより薄い部分を含むベースを備えた、図7のビュー8による細胞培養容器の一部の別の例示的な実施形態を示す図
図9】本開示の実施形態による、ベースを備えた、図7のビュー8による細胞培養容器の一部の別の例示的な実施形態を示す図
図10】本開示の実施形態による、図5の線10-10に沿ったベース平面及びテーブル平面を含む細胞培養容器の底面図
図11】本開示の実施形態による、複数の細胞培養チャンバを含む基板を備えた、図7のビュー5-5による細胞培養容器の一部の例示的な実施形態の拡大概略図
図12】本開示の実施形態による、図11の線12-12に沿った複数のマイクロキャビティを含む細胞培養表面を備えた細胞培養容器の一部の平面図
図13】本開示の実施形態による、流路に沿って液体を流す方法を含む、図11の細胞培養容器の一部の別の例示的な実施形態を示す図
図14】本開示の実施形態による、細胞培養チャンバの底面の複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティにおける細胞培養方法を含む、図11の細胞培養容器の一部の別の例示的な実施形態を示す図
図15】本開示の実施形態による、流路に沿って液体及びガスを流しつつ、細胞培養チャンバの底面の複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養する方法を含む、図11の細胞培養容器の一部の別の例示的な実施形態を示す図
図16】本開示の実施形態による、細胞培養チャンバの底面の複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養する方法を含む、図11の細胞培養容器の一部の別の例示的な実施形態を示す図
図17】本開示の実施形態による、流路に沿って液体及びガスを流しつつ、基板の複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養する方法を含む、図11の細胞培養容器の一部の別の例示的な実施形態を示す図
図18】本開示の実施形態による、基板の複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養する方法を含む、図11の細胞培養容器の一部の別の例示的な実施形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
これより、本開示の例示的な実施形態が示される添付の図面を参照して、特徴をより詳細に説明する。可能な場合はいつでも、同一又は類似した部分についての言及には、図面全体を通して同じ参照番号が用いられる。しかしながら、本開示は、多くの異なる形態で具体化することができ、本明細書に記載される実施形態に限定されると解釈されるべきではない。
【0017】
図1は先行技術を表しており、多層細胞培養容器100の切り取り図を示している。この先行技術の装置に示されるように、上面102、底面104、キャップ112を備えたネック付き開口部110、及び側壁120を有する多層細胞培養容器が示されている。複数の細胞培養チャンバ114が存在する。細胞培養チャンバ114の底面116は、気管スペース124に隣接するガス透過性かつ液体不透過性の材料で構成されている。この容器を満たすために、使用では、流体をネック開口部に導入し、マニホルド108を介して液体を各細胞培養チャンバに分配する。この容器では灌流は不可能である。
【0018】
図2は、本開示の実施形態における灌流システムの概略図である。図2は多層細胞培養容器400を示している。容器400は上面102及び底面482を有する。多層細胞培養容器の各層は、個別の細胞培養チャンバ200である。各細胞培養チャンバは、ともに細胞培養チャンバ200を画成する底部201、上部202、及び側壁203(図2には示されていない)を有している。底部201、上部202、及び側壁203の各々は、細胞チャンバ200に面する内面を有している。実施形態では、それぞれが底部、上部、及び側壁を有する、上下に積み重ねられた少なくとも2つの細胞培養チャンバが存在する。実施形態では、これらの表面の少なくとも1つは、マイクロキャビティ420を有している。実施形態では、少なくとも底面はマイクロキャビティ420を有している。実施形態では、マイクロキャビティ420は、マイクロキャビティのアレイで提供される。図2は、5層の細胞培養チャンバ200を有する実施形態を示しており、各細胞培養チャンバ200はマイクロキャビティ420のアレイを有する底部201を有している。本明細書で用いられる場合、「アレイ」とは、単に、複数のマイクロキャビティ420を意味する。
【0019】
これらのマイクロキャビティ420は、培養細胞のベースを提供して三次元構造又はスフェロイドを形成するように構造化され、配置される。すなわち、マイクロキャビティ420は非結合コーティングでコーティングされており、細胞が基板に付着して細胞の単層を形成するのを防ぎ、さらに、これらのマイクロキャビティは、細胞がともにクラスター化し、培養でスフェロイドを形成するように促す適切な幾何学形状を有している。一実施形態では、図11及び図13~18に示すように、これらのマイクロキャビティ420は正弦波の形状をしている。すなわち、マイクロキャビティ420は、丸い上部と丸い底部を有する。しかしながら、マイクロキャビティ420は、培養中のスフェロイドの形成と一致する任意の形状又は幾何学形状とすることができる。
【0020】
図3は、本開示の実施形態における多層細胞培養容器400の概略的な断面図である。図3は、容器の一方の側に沿った容器の上部の入口210と、容器の他方の側に沿った容器の底部の出口215とを示している。実施形態では、出口215は、容器の入口210とは反対側にある。入口210は、入口マニホルド216を介して各細胞培養チャンバ200と流体連通している。出口215は、出口マニホルド217を介して各細胞培養チャンバ200と流体連通している。各細胞培養チャンバは、細胞培養チャンバ200と入口マニホルド216との間の入口開口部218と、細胞培養チャンバ200と出口マニホルド217との間の出口開口部219とを有している。実施形態では、図3に示すように、液体を容器に流すのにポンプは不要であり、流体は重力によって流れ、テーブル平面406と比べてある角度で細胞培養チャンバの底面を流れる。
【0021】
再び図2を参照すると、液体(培地など)は、入口210に入り、入口マニホルド216を通り、入口開口部218を介して各細胞培養チャンバ200に流れ、出口開口部219を介して細胞培養チャンバ200の外へ出て、出口マニホルド217を通り、出口215を介して容器から流出することができる。実施形態では、液体の流れは、ポンプ209又は重力によって達成されうる。実施形態では、入口210に液体を提供するため(213)、及び出口215から液体を回収するために(211)、液体リザーバが設けられている。実施形態では、新鮮培地リザーバ213から及び老廃物又は回収リザーバ211への流れを制御するために、弁212が存在しうる。実施形態では、管により、入口をポンプ(図示せず)に接続して、液体を入口210に圧送することができる。
【0022】
実施形態では、液体は、出口215から容器400を満たすことができる。例えば、液体は、ポンプ209によって容器400に圧送されることにより、出口215に入ることができる。このように容器400を満たす場合には、液体は出口から容器に入り、出口マニホルド217に流入し、出口開口部219を介して各細胞培養チャンバ200に入ることができ、各細胞培養チャンバ200を満たし、次に、入口開口部218を介して入口マニホルドを満たすことができる。これにより、容器が充填されているときに、空気が入口210を通って容器から出ることができるようになる。この方法で装置を充填すると、容器から空気が排出されやすくなり、充填プロセス中の気泡の形成を低減することができる。
【0023】
図3は、各細胞培養チャンバ200の底部201に隣接する内部気管スペース204を有する多層細胞培養容器も示している。実施形態では、各細胞培養チャンバの底部201は、ガス透過性かつ液体不透過性の材料でできている。この材料を使用すると、気管又はガススペース220から気体透過性かつ液体不透過性の材料を介して、スフェロイドを含むマイクロキャビティ420へのガス交換が増加する。このガス透過性材料により、容器の用途が広がる。例えば、非灌流モードで使用する場合、細胞は灌流培地なしで酸素にアクセスすることができる。しかしながら、灌流システムが作動している場合には、循環培地に溶存する酸素を細胞に送給することができる。このようにして、容器は灌流システムと静的システムの両方として使用することができる。しかしながら、灌流システムでは、細胞培養チャンバ200を循環する酸素化培地を介してスフェロイドに酸素が供給されることから、このガス透過性材料は必要ではない場合がある。
【0024】
図3に示すように、容器は角度が付けられたベース405を有する。すなわち、ベース405は、容器の入口側405aの方が容器の出口側405bよりも厚い。ベースは入口側405aが出口側405bよりも厚いことから、ベースの平面(ベース平面407)はテーブルの平面406とは異なっている。テーブル平面406は、テーブルトップ又はインキュベータ棚を表す、重力に対して垂直な平面に平行になることが意図されている。テーブル平面406は、容器400が載置される表面に対して平行である。積み重ねられた細胞培養チャンバ200は、ベース405の上に積み重ねられ、ベース平面407に対して平行である。したがって、積み重ねられた細胞培養チャンバ200の各々は、テーブル平面406に比べて、ある角度を有している(例えば、図5の417i参照)。
【0025】
加えて、細胞培養容器400が正方形又は長方形の場合、入口は容器の対角隅部に存在しうる(例えば図5に示される)。この場合、ベース405は、容器400の1つの平面に沿って、ある角度を有してもよく、あるいはベース405は、容器400の2つの平面に沿ってある角度を有していてもよい。すなわち、ベースは、「X」軸に沿った(XZ角、例えば図5の417iを参照)、「Y」軸に沿った(YZ角、例えば図6の角度418iを参照)、又は「X」軸と「Y」軸の両方に沿った、ある角度を有しうる。すなわち、細胞培養チャンバは、液体を容器400の出口壁480に導くように配向することができ(図5参照)、あるいは細胞培養チャンバは、液体を容器の出口隅部481に導くように配向されてもよい(例えば、図4参照)。あるいは、別の言い方をすれば、第1の角度と第2の角度の少なくとも一方の絶対値がゼロより大きい。
【0026】
ベース405は、第1の方向「X」と該第1の方向に対して垂直な第2の方向「Y」に拡がるベース平面407を画成する。各細胞培養チャンバ200の底面201は、ベース平面407に対して平行である。実施形態では、各細胞培養チャンバ200の底面201は、ベース平面405の第1の方向「X」に対して第1の角度(図5の417i参照)かつテーブル平面の第2の方向「Y」に対して第2の角度(図6の418i参照)を有しており;第1の角度と第2の角度の少なくとも一方の絶対値がゼロより大きい。図3は断面図であるため、図3には第2の角度は示されていないが、以下の図4~18を参照されたい。
【0027】
第1の方向「X」、第2の方向「Y」、及び第3の方向「Z」を含む3次元デカルト座標系(各方向が他の方向に対して垂直である)が図3~18に示されており、第1の方向「X」、第2の方向「Y」、及び第3の方向「Z」に対する容器400の特定の空間的配向を示している。しかしながら、特に明記しない限り、図面に示されている容器400の特定の空間的配向は、例示的な配向を提供しているのであって、容器400の特徴の範囲を限定することを意図していないことが理解されるべきである。したがって、幾つかの実施形態では、容器400の1つ以上の特徴は、本開示の範囲から逸脱することなく、図面に示される特定の配向とは異なる配向で提供されてもよい。概して、第3の方向「Z」は重力の方向と平行な方向を示している。
【0028】
例えば、図4は、細胞培養容器400の一実施形態の平面図(上面図)を概略的に示しており、図5は、図4の線5-5に沿った容器400の正面図を示しており、図6は、図4の線6-6に沿った容器400の側面図を示している。作図では、容器400は透き通った(例えば透明な)材料から製造されているものとして示されている;しかしながら、幾つかの実施形態では、容器400は、代替的に、本開示の範囲から逸脱することなく、半透明、半不透明、又は不透明の材料のうちの1つ以上から製造することができる。図4~18に示される実施形態は、説明を簡単にするために単層細胞培養容器を示している。しかしながら、装置は、図2及び図3に示すように、多層構成でありうることが理解されるべきである。図4~18に示される実施形態では、容器壁401は、容器の底部482、上部202、及び側壁203を形成する。
【0029】
図4に示すように、幾つかの実施形態では、細胞培養容器400は、第1の方向「X」及び第2の方向「Y」に拡がるテーブル平面406と平行な底面482を有するベース405を含むことができ、ここで、第1の方向「X」と第2の方向「Y」とは垂直である。さらに、容器400は、細胞培養チャンバ403と流体連通した壁401を通って延びる第2の開口432(図2に入口210として示される)又は第1の開口431(上面図である図4の上部に示され、図2には出口215として示される)、及び第2の開口、又は細胞培養チャンバ403と流体連通した壁を通って延びる入口432を含みうる。図4は、上部202及び側壁203を有する容器を示している。そこから第2の開口431が延びる側壁は、容器400の出口側480である。そこから第2の開口431が延びる隅部は、容器の出口隅部481である。
【0030】
図5及び図6に示すように、幾つかの実施形態では、第2の開口432は、寸法「dz」によって表されるように、テーブル平面406から離れてテーブル平面406に対して垂直に延びる外側方向(例えば、第3の方向「Z」)に沿って第1の開口431から離間されうる。さらには、図4及び図5に示すように、幾つかの実施形態では、第1の開口431は、寸法「dx」によって表されるように、第2の開口432から第1の方向「X」に離間されうる。同様に、図4及び図6に示すように、幾つかの実施形態では、第1の開口431は、寸法「dy」によって表されるように、第2の開口432から第2の方向「Y」に離間されうる。図の説明を支援するために、図のデカルト座標に留意されたい。実施形態では、第1の開口431及び第2の開口432の入口及び出口は、容器400の対向する壁にある。第1の開口431(出口)が延びる壁は、出口壁480である。第1の開口431(出口)を含む隅部は、出口隅部481である。図5及び6は、細胞培養チャンバ403を画成する上部202、側壁203、及び底部405を有する容器を示している。
【0031】
図7のビュー11による拡大図を示す図11並びに図11の線12-12に沿った部分図を示す図12に示されるように、幾つかの実施形態では、容器400は、細胞培養チャンバ403の底面又は基板415にマイクロキャビティのアレイ420を含みうる。幾つかの実施形態では、マイクロキャビティ420は、細胞培養チャンバ内に配置される又は細胞培養チャンバに取り付けられる基板415に形成される。他の実施形態では、マイクロキャビティ420は、細胞培養チャンバ又は複数のチャンバの底面に直接形成される。基板に形成されるか、細胞培養チャンバの底面に直接形成されるかにかかわらず、細胞培養チャンバの底面415は複数のマイクロキャビティ420を含むことができ、複数のマイクロキャビティ420の各マイクロキャビティ420a、420b、420cは、マイクロキャビティ422a、422b、422cのウェルを画成する底の丸い凹面421a、421b、421c、及びウェル422a、422b、422c内への経路を画成する開口部423a、423b、423cを含みうる。細胞培養チャンバ又は基板415の底面は、ベース平面407と平行であり、かつ、その上に複数のマイクロキャビティ420の各マイクロキャビティ420a、420b、420cの開口部423a、423b、423cが位置するテーブル平面406iに対してある角度をなす、基板平面416iを画成することができる。明確にするために、基板415は、例えば図4~18には示されていない。むしろ、細胞培養チャンバの底面又は基板平面416iは、その上に基板415の複数のマイクロキャビティ420の各マイクロキャビティ420a、420b、420cの開口部423a、423b、423cが位置する平面を表しており、細胞培養チャンバ403内の細胞培養表面又は基板415の存在を概略的に表しているという理解の下で、ベース平面407と平行かつテーブル平面406iに対してある角度をなす基板平面416iが、図4~18に概略的に示されている。
【0032】
図7に示すように、幾つかの実施形態では、容器400は、対応する複数の基板平面416a、416b、416c、416dを画成する複数の細胞培養チャンバ200を含みうる。4つの基板平面416a、416b、416c、416dが提供されているが、幾つかの実施形態では、本開示の範囲から逸脱することなく、1つの基板平面(例えば、基板平面416i)が提供されてもよく、あるいは、1つより多い(例えば、2つ、3つ…7つ、8つ、10など)基板平面が提供されてもよいことが理解されるべきである。同様に、明確にするために、基板平面416a、416b、416c、416dに対して、対応する複数のテーブル平面406a、406b、406c、406dが、テーブル平面406に対する基板平面416a、416b、416c、416dの配向の例示的な図を概略的に提供するために示されている。すなわち、幾つかの実施形態では、基板平面416a、416b、416c、416dの各々は、テーブル平面406と交差してもよい。よって、テーブル平面406に平行な対応するテーブル平面406a、406b、406c、406dは、テーブル平面406に対する各基板平面416a、416b、416c、416dの配向の概略図を提供する。よって、幾つかの実施形態では、基板平面416iは、複数の基板平面416a、416b、416c、416dのうちの任意の1つ以上の特徴を代表し、含むことができるという理解の下で示されており、基板はマイクロキャビティのアレイを有する細胞培養表面である。同様に、幾つかの実施形態では、テーブル平面406iは、該テーブル平面406iが、テーブル平面406に対する基板平面416iのそれぞれの配向を概略的に示すために明確にする目的で提供されるテーブル平面406に平行な対応する平面を表しうるという理解とともに、示されている。
【0033】
さらには、幾つかの実施形態では、対応するテーブル平面406iによって表されるように、テーブル平面406に対するベース平面又は基板平面416iの配向に対し、それぞれの第1の角度417i(「XY」平面上)、それぞれの第2の角度418i(「YZ」平面)、及びそれぞれの平面角419i(第1の角度417i、第2の角度418i、又はその両方を含みうる)が提供されうる。例えば、図5に示すように、幾つかの実施形態では、ベース平面416iは、第1の方向「X」に対して第1の角度417iで配向されうる。同様に、図6に示すように、幾つかの実施形態では、ベース平面416iは、第2の方向「Y」に対して第2の角度418iで配向されうる。幾つかの実施形態では、第1の角度417i及び第2の角度418iのうちの少なくとも一方の絶対値はゼロより大きくなりうる。例えば、幾つかの実施形態では、第1の角度417iの絶対値はゼロより大きくてもよく、また、第2の角度418iの絶対値はゼロより大きくなりうる。図7に示すように、幾つかの実施形態では、テーブル平面406a、406b、406c、406dと基板平面416a、416b、416c、416dとの間のベース平面角419a、419b、419c、419dの絶対値は、約1°~約30°でありうる。例えば、幾つかの実施形態では、少なくとも、テーブル平面406に対する(例えば、第1の角度417iを画成する第1の方向「X」に対する、及び第2の角度418iiを画成する第2の方向「Y」に対する)ベース平面416iの配向に基づいて、平面角419a、419b、419c、419dの絶対値は約1°~約30°でありうる。例えば、幾つかの実施形態では、平面角419a、419b、419c、419dの絶対値は約5°でありうる。
【0034】
図8及び図9は、図7のビュー8による容器400の部分断面図の例示的な実施形態を示している。例えば、図8に示すように、幾つかの実施形態では、ベース平面407を画成するベース405は、ベース405のより薄い部分405bに対してベース405のより厚い部分405aを含みうる。加えて又は代替的に、図9に示すように、幾つかの実施形態では、容器400の少なくとも一部を上昇させるために、容器400は、ベース405に対して位置決めされたステップ405cを含みうる。ステップ405c及びベース405は、ベース平面407を画成しうる。例えば、幾つかの実施形態では、ステップ405cは、容器400を上昇させ、重力の方向に対して垂直な水平面に対してある角度で容器400のベース405を提供するように、ベース405の隅部の下に位置づけることができる。
【0035】
加えて又は代替的に、図5の線10-10に沿った容器400の底面図を示す図10に示されるように、幾つかの実施形態では、テーブル平面406は、容器400のベース405の底面側に位置する3つの点P1、P2、P3に基づいて画成することができる。例えば、ベース405の底部側の3つの点P1、P2、P3を選択(例えば特定)することにより、テーブル平面406を表す平面を画成することができる。幾つかの実施形態では、点P1、P2、P3の1つ以上は、ベース405に取り付けられる(例えば、一体化、接着)又はベース40とは別の突起及びベースを含むがこれらに限定されない、ベース405の1つ以上の構造的特徴を含むことができる。
【0036】
再び図8を参照すると、幾つかの実施形態では、ベース405の内面402aは、より厚い部分405aからより薄い部分405bまで延びる傾斜面402aを含みうる。幾つかの実施形態では、傾斜面402aは、テーブル平面416iに平行でありうる。同様に、図9に示すように、幾つかの実施形態では、少なくとも容器400の一部の高さに基づいて、ステップ405cは、ベース405の内面402を、傾斜面402aを含むように方向付けることができる。幾つかの実施形態では、傾斜面402aは、テーブル平面416iに平行でありうる。幾つかの実施形態では、第1の開口431は、重力方向に対して第2の開口432よりも低い高さに位置づけることができる。よって、幾つかの実施形態では、少なくとも重力に基づいて、細胞培養チャンバ403内の液体は、第1の開口431の方へと自然に排出されうる。さらに、幾つかの実施形態では、壁401の内面402の傾斜面402aは、液体を第1の開口431の方へ自然に排出させることができる。幾つかの実施形態では、第1の開口431の方へと容器400から排出させることにより、容器400内で細胞を培養する前又は後に、細胞培養チャンバ403の洗浄を支援することができる。
【0037】
図11~18は、細胞培養容器400内で細胞を培養する方法に関する、図11の基板415を含む容器400の一部の例示的な実施形態を示している。例えば、幾つかの実施形態では、図13に示すように、本方法は、複数のマイクロキャビティ420の少なくとも1つのマイクロキャビティ420a、420b、420cに液体470を堆積することを含みうる。図14に示すように、幾つかの実施形態では、本方法は、マイクロキャビティ420a、420b、420c内に液体470を堆積させた後に、マイクロキャビティ420a、420b、420c内で細胞450(例えば、スフェロイド450a、スフェロイド450b、スフェロイド450c)を培養することを含みうる。幾つかの実施形態では、テーブル平面406(例えば、406i)は、少なくとも1つのマイクロキャビティ420a、420b、420c内で細胞450を培養している間、重力方向「g」に対して垂直でありうる。
【0038】
さらに、幾つかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つのマイクロキャビティ420a、420b、420c内で細胞450を培養している間、基板平面416iに対して平行な流れ方向460に材料を流すことを含みうる。例えば、図7に示すように、幾つかの実施形態では、矢印461で表されるように、本方法は、液体470を第1の開口431を介して容器400の外側から細胞培養チャンバ403に通すこと、及び(図13に矢印461で示すように)液体470を、基板平面416iに平行な流れ方向460に沿って細胞培養チャンバ403内に流すことを含みうる。同様に、幾つかの実施形態では、図13に矢印462で示すように、本方法は、液体470を流れ方向460に沿って細胞培養チャンバ403内に流しつつ、ガス471を細胞培養チャンバ403から第2の開口432(図7に矢印462で示す)を介して容器400の外側に過させることを含みうる。幾つかの実施形態では、本方法は、流れ方向460に沿って細胞培養チャンバ403内に液体470を流しつつ、複数のマイクロキャビティ420の少なくとも1つのマイクロキャビティ420a、420b、420c内で細胞450を培養することを含みうる。例えば、幾つかの実施形態では、本方法は、液体470を、第1開口部431を介して容器400の外側から細胞培養チャンバ403に通し(矢印461)、第2の開口432を介して細胞培養チャンバ403からガス471を容器400の外側に通しつつ(矢印462)、複数のマイクロキャビティ420の少なくとも1つのマイクロキャビティ420a、420b、420c内で細胞450を培養することを含みうる。
【0039】
図15に示すように、幾つかの実施形態では、本方法は、基板平面416iに平行な流れ方向460に沿って液体470を細胞培養チャンバ403内に流すこと、及び(矢印464で表されるように)細胞培養チャンバ403から第1の開口431を介して液体470を容器400の外側に通すこと(図7に矢印464で示すように)を含みうる。加えて、矢印463で示すように、本方法は、流れ方向460に沿って細胞培養チャンバ403内に液体470を流しつつ、第2の開口432を介して容器400の外側からガス473を細胞培養チャンバ403に通すこと(図7に矢印463で示すように)を含みうる。図16に示すように、幾つかの実施形態では、本方法は、流れ方向460に沿って細胞培養チャンバ403内に液体470を流しつつ、複数のマイクロキャビティ420の少なくとも1つのマイクロキャビティ420a、420b、420c内で細胞450を培養することを含みうる。幾つかの実施形態では、少なくともガス473を細胞培養チャンバ403に通すことに基づいて(矢印463)、液体470を細胞培養チャンバ403から除去することができ、幾つかの実施形態では、各マイクロキャビティ420a、420b、420cは、液体470a、470b、470cのそれぞれの部分を含みうる。例えば、幾つかの実施形態では、本方法は、第2の開口部432を介して容器400の外側からガス473を細胞培養チャンバ403に通すこと(矢印463)、及び第1の開口431を介して細胞培養チャンバ403から液体470を容器400の外側に通すこと(矢印464)のいずれかの間に、少なくとも1つのマイクロキャビティ420a、420b、420c内で細胞450を培養することを含みうる。
【0040】
図17及び図18に示すように、幾つかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つのマイクロキャビティ420a、420b、420c内で細胞450を培養している間、基板平面416iに対して平行な流れ方向460に材料を流すことを含みうる。例えば、図7に示すように、幾つかの実施形態では、矢印461で表されるように、本方法は、液体474(例えば、液体470とは異なる液体)を第1の開口431を介して容器400の外側から細胞培養チャンバ403に通すこと、及び(図7に矢印461で示すように)基板平面416iに平行な流れ方向460に沿って細胞培養チャンバ403内に液体474を流すことを含みうる。幾つかの実施形態では、液体474は、各マイクロキャビティ420a、420b、420c内の液体470a、470b、470cを、例えば、細胞450の培養を支援する新しい液体474で置き換えることができる。同様に、幾つかの実施形態では、図17に矢印462で示すように、本方法は、流れ方向460に沿って細胞培養チャンバ403内に液体470を流しつつ、ガス473を第2の開口432を介して(図7に矢印462で示す)細胞培養チャンバ403から細胞培養チャンバ403から容器400の外側に通過させることを含みうる。幾つかの実施形態では、本方法は、流れ方向460に沿って細胞培養チャンバ403内に液体470を流しつつ、複数のマイクロキャビティ420の少なくとも1つのマイクロキャビティ420a、420b、420c内で細胞450を培養することを含みうる。例えば、幾つかの実施形態では、本方法は、第1開口部431を介して容器400の外側から細胞培養チャンバ403に液体474を通し(矢印461)、第2の開口432を介して細胞培養チャンバ403から容器400の外側にガス473を通しつつ(矢印462)、少なくとも1つのマイクロキャビティ420a、420b、420c内で細胞450を培養することを含みうる。
【0041】
幾つかの実施形態では、第1の開口431及び第2の開口432の内外への液体及びガスの通過は、例えば、第1の開口431及び第2の開口432の内外への液体及びガスの自動的な通過を促進する、第1の開口431及び第2の開口432の少なくとも一方に接続されたポンプ、リザーバ、管などを含むシステムの動作に基づいて、自動的に達成することができる。したがって、幾つかの実施形態では、例えば細胞450の長期間の培養中に、材料(例えば、栄養素及び老廃物)の培地交換(例えば、交換、補充、除去)が、例えば、人間の相互作用なしに、システムの動作に基づいて自動的に行うことができる。同様に、培地交換は、容器400の物理的操作なしに行うことができる。例えば、培養中に細胞培養チャンバ403内の培地を交換するために傾けたり、逆さにしたり、回転したりされうる他の容器とは異なり、容器400は、細胞培養プロセス全体にわたり、静止したまま(例えば、相対運動なし)であってよく、それにもかかわらず、培地は、本開示の特徴に基づいて交換することができる。
【0042】
さらには、テーブル平面406に対して基板平面416iをある角度(例えば、第1の角度417i、第2の角度418i、平面角419i)で提供することにより、幾つかの利点を提供することができる。例えば、幾つかの実施形態では、例えばテーブル平面406が重力の方向「g」に対して実質的に垂直である場合に、テーブル平面406に対して基板415を約1°~約30°の平面角419iの絶対値を有する配向で提供することにより、細胞450のより良い培養をもたらす配向で基板415を提供することができる。例えば、理論に縛られることは意図していないが、幾つかの実施形態では、1°未満の平面角419iの絶対値での基板平面416iの配向は、2つ以上の基板415間及び/又は1つ以上のマイクロキャビティ420a、420b、420c内にガスを閉じ込めること(例えば、エアポケット)なく、流れ方向460に沿った液体の流れを供給するには不十分であると考えられる。加えて、幾つかの実施形態では、基板平面416iが1°未満の基板平面角419iの絶対値で配向されているときに、流れ方向460に沿って液体を流すために、流れの速度を、細胞に対する負の効果及びマイクロキャビティ420a、420b、420c内の細胞スフェロイドの保持に対する負の効果を伴って、増加させることができる。すなわち、例えば、基板平面角が1°未満、5°未満、又は30°未満の場合には、培地の効率的な交換を行うために必要な流量は、マイクロキャビティ内にあるスフェロイドを乱す可能性のある乱流を引き起こしうる。よって、テーブル平面406に対して約1°~約30°の平面角419iの絶対値を有する配向で基板415を提供することにより、液体が各マイクロキャビティ420a、420b、420cに徐々に入ることができ、したがって、ガスがマイクロキャビティ420a、420b、420c内に閉じ込められる可能性を低減又は防止し、マイクロキャビティ420a、420b、420c内で培養されている細胞を破壊する可能性を低減又は防止することができる。
【0043】
すなわち、幾つかの実施形態では、少なくとも一部には重力に基づいて、液体は、細胞450の培養を移動又は妨害することなく細胞450を培養しつつ、基板415に沿って自然に流れることができる。代替的に、1°未満の平面角419iの絶対値で基板平面416iを配向すると、重力の影響が軽減されて、液体は基板415に沿って流れ方向460に自然に流れうるが、この場合、細胞450を移動又は妨害する可能性のある、増加した流速が用いられうる。同様に、幾つかの実施形態では、30°を超える平面角419iの絶対値で基板平面416iを配向することにより、培養中に、マイクロキャビティ420a、420b、420c内の細胞450が該マイクロキャビティ420a、420b、420cから落下する(例えば、外れる、移動する)可能性がある。したがって、幾つかの実施形態では、基板平面416iを約1°~約30°(例えば、約5°~約30°、約5°~約25°、約5°~約20°、約5°~約15°、約5°~約10°、約10°~約20°、約10°~約30°、約1°~約10°、約1°~約5°、約3°、約5°、約7°)の平面角419iの絶対値で配向することにより、約1°~約30°の範囲外の異なる配向で提供される基板を備えた細胞培養容器では得ることができない幾つかの利点を提供することができる。
【0044】
本開示を通して、「材料」、「液体」、及び「気体/ガス」という用語は、例えば、細胞培養容器で細胞を培養するときに用いられる材料の特性を説明するために使用することができる。特に明記しない限り、本開示の目的では、「材料」は、流体材料(例えば、液体又は気体)を含みうる。加えて、材料は、液体に懸濁された固体粒子(例えば、細胞)を含む液体を含む培養液又は培地を含みうる。特に明記しない限り、本開示の目的では、「液体」は、洗浄液又はすすぎ液、水溶液、若しくは、例えば、細胞培養チャンバの洗浄、基板及び容器の1つ以上の特徴の滅菌、細胞増殖用の基板の調製、及び液体の他の使用のために容器に追加又は容器から除去することができる他の液体を含みうる。加えて、液体は、該液体に懸濁された固体粒子(例えば、細胞)を含む液体を含む、培養溶液又は培地を含みうる。特に明記しない限り、本開示の目的では、「ガス」には、空気、ろ過又は処理された空気、若しくは他のガスが含まれうる。
【0045】
本開示全体にわたって、「非透過性」、「ガス透過性」、および「多孔性」という用語は、基板の1つ以上の特徴の特性(例えば、材料の特性、特徴、パラメータ)を説明するために使用することができる。
【0046】
特に明記しない限り、本開示の目的では、「非透過性」基板(例えば、非透過性基板の材料)は、通常の条件下では(例えば、圧力及び力を含むがこれに限定されない外部影響なしに)固体、液体、及び気体に対して不透過性であるとみなされ、したがって、通常の条件下では、非透過性基板内へ、該基板を通じた、又は該基板から外への、固体、液体、又は気体の移動は許されない。幾つかの実施形態では、非透過性基板は、容器の壁の一部を形成することができる。加えて、細菌は非透過性基板を通過できないことから、非透過性基板が容器の壁の一部を形成する場合、容器の細胞培養チャンバは無菌であると見なされる。しかしながら、基板の複数のマイクロキャビティに材料を充填する場合、ガスが、液体の表面張力に基づいて非透過性基板のマイクロキャビティ内に閉じ込められる可能性があり、それにより、幾つかの実施形態では、材料がマイクロキャビティを満たし、スフェロイドの増殖を妨げることを防止することができる。
【0047】
特に明記しない限り、本開示の目的では、「ガス透過性」基板(例えば、ガス透過性基板の材料)は、通常の条件下で、固体及び液体に対して不透過性であり、ガスに対して透過性であると見なされる。したがって、ガス透過性基板は、ガス透過性基板の内、中、又は外への固体及び液体の移動を許さず、ガス透過性基板の内、中、又は外へのガスの移動を可能にする。幾つかの実施形態では、ガス透過性基板は容器の壁の一部を形成することができる。加えて、細菌は例えばガス透過性基板を合理的に通過できないことから、ガス透過性基板が容器の壁の一部を形成する場合、容器の細胞培養チャンバは無菌であると見なされる。しかしながら、基板はガス透過性であるが、ガス透過性基板を通るガス透過速度は、通常の動作条件下でキャビティからガスを移動させるのに必要な速度よりも遅くなる可能性があり、したがって、基板を透過するのに許容できないほど長い時間がかかる可能性があることから、ガスは材料の充填中にマイクロキャビティ内に閉じ込められる可能性がある。したがって、幾つかの実施形態では、マイクロキャビティにゆっくりと充填することにより、液体の先端が各マイクロキャビティにある角度で入ることができるようになり、それによって、液体をマイクロキャビティに充填するときにガスが移動する。幾つかの実施形態では、キャビティを液体で満たした後、ガスはガス透過性基板を(ゆっくりと)透過しうる。
【0048】
特に明記しない限り、本開示の目的では、「多孔性」基板(例えば、多孔性基板の材料)は、固体に対して不透過性であり、通常の条件下で液体及びガスに対して透過性であると見なされる。したがって、多孔性基板は、多孔性基板の内、中、又は外への固体の移動を許さず、多孔性基板の内、中、又は外への液体及びガスの移動を可能にする。細菌は多孔性基板を通過することができ、したがって細胞培養チャンバ内で無菌性の問題が生じることから、多孔性基板は容器の一部を形成することができない。よって、多孔性基板を使用する場合、基板は容器の無菌細胞培養チャンバ内に封入(完全に封入)する必要がある。しかしながら、マイクロキャビティに材料を充填する間、多孔性基板を通じてガスを逃がす(例えば、通過させる)ことができる。よって、マイクロキャビティへのガスの閉じ込めを懸念することなく、マイクロキャビティの充填を迅速に行うことができる。幾つかの実施形態では、液体は、圧力又は物理的接触が加えられ、乱された状態の多孔質基板のみ、通過することができる。よって、幾つかの実施形態では、基板が追加の圧力又は物理的接触及び乱れにさらされない限り、液体を含む材料は、基板のマイクロキャビティ内に含まれうる。例えば、幾つかの実施形態では、充填中及び培養中にガスが基板を通過でき、かつ、加圧又は物理的接触及び外力(例えば、細胞培養チャンバ外)による乱れから基板を隔離することができるように、多孔性基板を細胞培養チャンバに配置することができる。
【0049】
細胞培養容器及び細胞培養方法の多くの態様が本明細書に開示されている。選択した幾つかの態様の概要を以下に提示する。
【0050】
第1の態様では、細胞培養容器は、第1の方向及び該第1の方向に対して垂直な第2の方向に拡がるベース平面を画成するベース;容器の細胞培養チャンバを画成する内面を含む壁;並びに、細胞培養チャンバの底面を含む。細胞培養チャンバの底面は、細胞培養チャンバ内に挿入された別個の基板であっても、細胞培養チャンバの壁であってもよい。基板又は底面は、複数のマイクロキャビティを含み、該複数のマイクロキャビティの各マイクロキャビティは、ウェルを画成する凹面と、ウェルへの経路を画成する開口部とを含む。基板は、複数のマイクロキャビティの各マイクロキャビティの開口部が位置する基板平面を画成し、該基板平面は、第1の方向に対して第1の角度かつ第2の方向に対して第2の角度で配向されており、第1の角度と第2の角度の少なくとも一方の絶対値がゼロより大きい。
【0051】
第2の態様は、第1の角度の絶対値がゼロより大きく、第2の角度の絶対値がゼロより大きい、第1の態様に記載の細胞培養容器である。
【0052】
第3の態様は、ベース平面と基板平面との間の平面角の絶対値が約1°~約30°である、態様1又は態様2に記載の細胞培養容器である。
【0053】
第4の態様は、平面角の絶対値が約5°である、態様3に記載の細胞培養容器である。
【0054】
第5の態様は、細胞培養チャンバと流体連通した壁を通って延びる第1の開口と、細胞培養チャンバと流体連通した壁を通って延びる第2の開口とを含み、第2の開口が、ベース平面から離れてベース平面に対して垂直に延びる外側方向に沿って第1の開口から離間している、態様1~4のいずれかに記載の細胞培養容器である。
【0055】
第6の態様は、第1の開口が第2の開口から第1の方向に離間している、態様5に記載の細胞培養容器である。
【0056】
第7の態様は、第1の開口が第2の開口から第2の方向に離間している、態様5又は態様6に記載の細胞培養容器である。
【0057】
第8の態様では、態様1~7のいずれかに記載の細胞培養容器内で細胞を培養する方法は、複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティに液体を堆積させること、及び、少なくとも1つのマイクロキャビティ内に液体を堆積させた後、該少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養することを含む。
【0058】
第9の態様は、ベース平面が、少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養している間、重力の方向に対して垂直である、態様8に記載の細胞培養方法である。
【0059】
第10の態様は、少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養している間、基板平面に対して平行な流れ方向に材料を流すことを含む、態様8又は態様9に記載の細胞培養方法である。
【0060】
第11の態様では、態様5~7のいずれかに記載の細胞培養容器内で細胞を培養する方法は、容器の外側から第1の開口を介して液体を細胞培養チャンバに通すこと、及び基板平面に対して平行な流れ方向に沿って細胞培養チャンバ内に液体を流すことを含む。
【0061】
第12の態様は、流れ方向に沿って細胞培養チャンバ内に液体を流している間、細胞培養チャンバから第2の開口を介してガスを容器の外側に通すことを含む、態様11に記載の細胞培養方法である。
【0062】
第13の態様は、流れ方向に沿って細胞培養チャンバ内に液体を流している間、複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養することを含む、態様11又は態様12に記載の細胞培養方法である。
【0063】
第14の態様は、ベース平面が、少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養している間、重力の方向に対して垂直である、態様13に記載の細胞培養方法である。
【0064】
第15の態様では、態様5~7のいずれかに記載の細胞培養容器内で細胞を培養する方法は、基板平面に対して平行な流れ方向に沿って細胞培養チャンバ内に液体を流すこと、及び細胞培養チャンバから第1の開口を介して液体を容器の外側に通すことを含む。
【0065】
第16の態様は、流れ方向に沿って細胞培養チャンバ内に液体を流している間、容器の外側から第2の開口を介してガスを細胞培養チャンバに通すことを含む、態様15に記載の細胞培養方法である。
【0066】
第17の態様は、流れ方向に沿って細胞培養チャンバ内に液体を流している間、複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養することを含む、態様15又は態様16に記載の細胞培養方法である。
【0067】
第18の態様は、ベース平面が、少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養している間、重力の方向に対して垂直である、態様17に記載の細胞培養方法である。
【0068】
第19の態様では、細胞培養方法は、容器のベース平面が重力の方向に対して垂直に配向されている間に、容器の細胞培養チャンバ内に位置づけられた基板の複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティに液体を堆積させることであって、該ベース平面は第1の方向及び該第1の方向に対して垂直な第2の方向に拡がっており、複数のマイクロキャビティの各マイクロキャビティがウェルを画成する凹面とウェルへの経路を画成する開口部とを含み、基板が複数のマイクロキャビティの各マイクロキャビティの開口部が位置する基板平面を画成しており、基板平面が、第1の方向に対して第1の角度かつ第2の方向に対して第2の角度で配向されており、第1の角度と第2の角度の少なくとも一方の絶対値がゼロより大きい、堆積させること;少なくとも1つのマイクロキャビティ内に液体を堆積させた後、該少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養すること;並びに、少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養している間、基板平面に対して平行な流れ方向に材料を流すことを含む。
【0069】
第20の態様は、第1の角度の絶対値がゼロより大きく、第2の角度の絶対値がゼロより大きい、態様19に記載の細胞培養方法である。
【0070】
第21の態様は、ベース平面と基板平面との間の平面角の絶対値が約1°~約30°である、態様19又は態様20に記載の細胞培養方法である。
【0071】
第22の態様は、平面角の絶対値が約5°である、態様21に記載の細胞培養方法である。
【0072】
第23の態様は、容器の外側から容器の壁の第1の開口を介して液体を細胞培養チャンバに通すこと、及び細胞培養チャンバから容器の壁の第2の開口を介してガスを容器の外側に通すことを含む、態様19~22のいずれかに記載の細胞培養方法である。
【0073】
第24の態様は、容器の外側から第2の開口を介してガスを細胞培養チャンバに通すこと、及び細胞培養チャンバから第1の開口を介して液体を容器の外側に通すことを含む、態様23に記載の細胞培養方法である。
【0074】
第25の態様は、第1の開口が、重力の方向に対して第2の開口より低い高さに位置づけられている、態様23又は態様24に記載の細胞培養方法である。
【0075】
第26の態様では、細胞培養容器は、複数のマイクロキャビティを含む基板;容器の細胞培養チャンバを画成する、壁、基板、及び壁の内面;細胞培養チャンバと流体連通する壁を通って延びる開口;容器の軸に沿って開口の反対側に位置づけられた内面の第1の部分であって、基板が容器の軸に沿って延びる細胞培養チャンバの長さにわたる、第1の部分;開口から基板まで延びる内面の第2の部分;並びに、第1の部分から基板まで延びる内面の第3の部分を含む。
【0076】
第27の態様は、複数のマイクロキャビティの各マイクロキャビティが、ウェルを画成する凹面と、細胞培養チャンバからウェルまで経路を画成する開口部とを含む、第26の態様に記載の細胞培養容器である。
【0077】
第28の態様は、第1の部分が容器の軸に対して実質的に垂直である、態様26又は態様27に記載の細胞培養容器である。
【0078】
第29の態様は、第1の部分及び第3の部分が細胞培養チャンバの非平面境界部分を画成する、態様26~28のいずれかに記載の細胞培養容器である。
【0079】
第30の態様は、第3の部分が階段状のプロファイルを含む、態様26~29のいずれかに記載の細胞培養容器である。
【0080】
第31の態様は、第3の部分が傾斜プロファイルを含む、態様26~29のいずれかに記載の細胞培養容器である。
【0081】
第32の態様は、内面の第2の部分から延びるバッフルをさらに含み、該バッフルが開口と基板との間に画成される経路を遮る主面を含む、態様26~31のいずれかに記載の細胞培養容器である。
【0082】
第33の態様では、態様26~32のいずれかに記載の細胞培養容器内で細胞を培養する方法は、容器の外側から開口を通して液体を細胞培養チャンバに通し、それによって細胞培養チャンバに所定の量の液体を供給することを含む。
【0083】
第34の態様は、所定の量の液体の液体が複数のマイクロキャビティの1つ以上のマイクロキャビティに接触することなく、細胞培養チャンバの領域に所定の量の液体を収容することを含む、態様33に記載の細胞培養方法である。
【0084】
第35の態様は、所定の量の液体の液体が複数のマイクロキャビティの1つ以上のマイクロキャビティに接触することなく、細胞培養チャンバの領域に所定の量の液体を収容している間、該所定の量の液体の液体が第1の部分及び第3の部分に接触する、態様34に記載の細胞培養方法である。
【0085】
第36の態様は、所定の量の液体の液体が複数のマイクロキャビティの1つ以上のマイクロキャビティに接触することなく、細胞培養チャンバの領域に所定の量の液体を収容している間、容器の軸が重力の方向に実質的に延びる、態様34又は態様35に記載の細胞培養方法である。
【0086】
第37の態様は、所定の量の液体の液体が複数のマイクロキャビティの1つ以上のマイクロキャビティに接触することなく、細胞培養チャンバの領域に所定の量の液体を収容した後に容器を動かして、所定の量の液体の少なくとも一部を基板上の領域から流出させること、及び複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティに堆積させることを含む、態様34~36のいずれかに記載の細胞培養方法である。
【0087】
第38の態様は、所定の量の液体の少なくとも一部を少なくとも1つのマイクロキャビティ内に堆積させた後、複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養することを含む、態様37に記載の細胞培養方法である。
【0088】
第39の態様は、複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養する間、容器の軸が重力の方向に対して実質的に垂直である、態様38に記載の細胞培養方法である。
【0089】
第40の態様では、細胞培養方法は、容器の外側から容器の壁の開口を介して液体を壁の内面と複数のマイクロキャビティを含む基板とによって画成される容器の細胞培養チャンバに通し、それによって細胞培養チャンバの領域に所定の量の液体を供給すること;及び、該所定の量の液体の液体が複数のマイクロキャビティの1つ以上のマイクロキャビティに接触することなく、細胞培養チャンバの領域に所定の量の液体を収容することを含む。
【0090】
第41の態様は、容器を動かして、所定の量の液体の少なくとも一部を基板上の領域から流出させること、及び複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティに堆積させることを含む、態様40に記載の細胞培養方法である。
【0091】
第42の態様は、所定の量の液体の少なくとも一部を少なくとも1つのマイクロキャビティ内に堆積させた後、複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養することを含む、態様41に記載の細胞培養方法である。
【0092】
第43の態様では、細胞培養容器は、複数のマイクロキャビティを含む基板;容器の細胞培養チャンバを画成する、壁、基板、及び壁の内面;細胞培養チャンバと流体連通する壁を通って延びる開口;容器の軸に沿って開口の反対側に位置づけられた内面の第1の部分であって、該基板が容器の軸に沿って延びる細胞培養チャンバの長さにわたる、第1の部分;開口から基板まで延びる内面の第2の部分;並びに、第2の部分から延びるバッフルであって、開口と基板との間に画成される経路を遮る主面を含むバッフルを含む。
【0093】
第44の態様は、複数のマイクロキャビティの各マイクロキャビティがウェルを画成する凹面と、細胞培養チャンバからウェルまで経路を画成する開口部とを含む、態様43に記載の細胞培養容器である。
【0094】
第45の態様は、バッフルの主面が容器の軸に対して実質的に垂直である、態様43又は態様44に記載の細胞培養容器である。
【0095】
第46の態様は、バッフルの主面が凸状プロファイルを含む、態様43又は態様44に記載の細胞培養容器である。
【0096】
第47の態様は、バッフルの主面が凹状プロファイルを含む、態様43又は態様44に記載の細胞培養容器である。
【0097】
第48の態様は、バッフルの自由端の少なくとも一部が壁の内面から距離を置いて配置されている、態様43~47のいずれかに記載の細胞培養容器である。
【0098】
第49の態様では、態様43~48のいずれかに記載の細胞培養容器内で細胞を培養する方法は、分配ポートを開口に挿入することにより材料を細胞培養チャンバに加えること、及びその後、分配ポートから細胞培養チャンバに材料を分配することを含む。
【0099】
第50の態様は、分配ポートから細胞培養チャンバに材料を分配しつつ、複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養することを含む、態様49に記載の細胞培養方法である。
【0100】
第51の態様は、回収ポートを開口部に挿入することにより細胞培養チャンバから材料を除去すること、及び次に、回収ポートで細胞培養チャンバから材料を回収することを含む、態様49又は態様25に記載の細胞培養方法である。
【0101】
第52の態様は、回収ポートで細胞培養チャンバから材料を回収しつつ、複数のマイクロキャビティの少なくとも1つのマイクロキャビティ内で細胞を培養することを含む、態様51に記載の細胞培養方法である。
【0102】
第53の態様では、細胞培養方法は、容器の壁の開口に分配ポートを挿入すること;該分配ポートから材料を分配することにより、壁の内面と複数のマイクロキャビティを含む基板とによって画成される容器の細胞培養チャンバの第1の流路に沿って材料を流し、それによって容器の外側から材料を細胞培養チャンバに加えること;及び、第1の流路に沿った材料の流れを遮ることを含む。
【0103】
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
【0104】
実施形態1
細胞培養容器において、
底部、上部、及び側壁を有する少なくとも1つの細胞培養チャンバ;
第1の方向及び前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に拡がるベース平面を画成する上面を有するベースであって;
前記底部、前記上部及び前記側壁の各々が前記細胞培養チャンバの内側に面する表面を有し;
少なくとも前記細胞培養チャンバの前記底面がマイクロキャビティのアレイを含む
ベース;
前記容器の一方の側に前記細胞培養チャンバへのアクセスを提供する前記容器の上部の入口;
前記容器の反対の側に各細胞培養チャンバへのアクセスを提供する前記容器の底部の出口;
を含み、
前記細胞培養チャンバの前記底面が、前記ベース平面の前記第1の方向に対して第1の角度、かつ、前記ベース平かつ面の前記第2の方向に対して第2の角度であるテーブル平面を画成し;かつ、
前記第1の角度及び前記第2の角度のうちの少なくとも一方の絶対値がゼロより大きい、
細胞培養容器。
【0105】
実施形態2
前記第1の角度又は前記第2の角度若しくはその両方の絶対値が約1°~約30°である、実施形態1に記載の細胞培養容器。
【0106】
実施形態3
前記第1の平面角の絶対値が約5°であり、前記第2の平面角の絶対値が約5°であり、あるいは前記第1の平面角及び前記第2の平面角の両方の絶対値が約5°である、実施形態1に記載の細胞培養容器。
【0107】
実施形態4
前記入口が前記容器の上部隅部にある、実施形態1~3のいずれかに記載の細胞培養容器。
【0108】
実施形態5
前記出口が、前記入口の上部隅部と反対側の前記容器の底部隅部にある、実施形態4に記載の細胞培養容器。
【0109】
実施形態6
一方が他方の上に積み重ねられた少なくとも2つの細胞培養チャンバを含む、実施形態1~5のいずれかに記載の細胞培養容器。
【0110】
実施形態7
前記入口が入口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記入口マニホルドとの間に入口開口部を有する、実施形態6に記載の細胞培養容器。
【0111】
実施形態8
前記出口が出口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、及び各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記出口マニホルドとの間に出口開口部を有する、実施形態6又は7に記載の細胞培養容器。
【0112】
実施形態9
各細胞培養チャンバの前記底部が、ガス透過性かつ液体不透過性の材料を含む、実施形態6~8のいずれかに記載の細胞培養容器。
【0113】
実施形態10
各細胞培養チャンバが、気管スペースによってそのすぐ隣にある細胞培養チャンバから分離されている、実施形態9に記載の細胞培養容器。
【0114】
実施形態11
実施形態1~10のいずれかに記載の細胞培養容器内で細胞を培養する方法であって、
前記入口を介して前記細胞培養チャンバ内に細胞及び培地を含む液体を導入すること;
重力によって細胞を前記マイクロキャビティ内に定着させること;及び、
細胞を培養すること
を含む、実施形態1~10のいずれかに記載の細胞培養容器内で細胞を培養する方法。
【0115】
実施形態12
前記細胞を培養する間、前記入口を介して前記容器内に液体を流し、前記細胞培養チャンバを通し、前記出口を介して前記容器から流出させることをさらに含む、実施形態11に記載の方法。
【符号の説明】
【0116】
100 多層細胞培養容器
102 上面
104 底面
108 マニホルド
110 ネック付き開口部
112 キャップ
114 細胞培養チャンバ
116 底面
120 側壁
124 気管スペース
200 細胞培養チャンバ
201 底部
202 上部
203 側壁
210 入口
211 回収リザーバ
212 弁
213 新鮮培地リザーバ
215 出口
216 入口マニホルド
217 出口マニホルド
218 入口開口部
219 出口開口部
400 多層細胞培養容器
403 細胞培養チャンバ
405 ベース/底部
406 テーブル平面
407 ベース平面
416 基板平面
417 第1の角度
418 第2の角度
419 平面角
420,422 マイクロキャビティ/ウェル
421 底の丸い凹面
423 開口部
431 第1の開口
432 第2の開口
480 出口壁
481 出口隅部
482 底面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
【手続補正書】
【提出日】2023-04-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞培養容器において、
底部、上部、及び側壁を有する少なくとも1つの細胞培養チャンバ;
第1の方向及び前記第1の方向に対して垂直な第2の方向に拡がる支持面を画成するベースであって;
前記底部、前記上部及び前記側壁が各々、前記細胞培養チャンバの内側に面する表面を有し;
少なくとも前記細胞培養チャンバの前記底部の表面がマイクロキャビティのアレイを含む、
ベース;
前記容器の一方の側に前記細胞培養チャンバへのアクセスを提供する前記容器の上部の入口;
前記容器の反対の側に各細胞培養チャンバへのアクセスを提供する前記容器の底部の出口;を含み、
前記細胞培養チャンバの前記底部の表面が、基板平面であって、前記支持面の前記第1の方向において第1の角度をなし、前記支持面の前記第2の方向において第2の角度をなす、基板平面を画成し;かつ
前記第1の角度及び前記第2の角度のうちの少なくとも一方の絶対値が1°~30°である、細胞培養容器。
【請求項2】
前記第1の角度及び前記第2の角度の絶対値が1°~30°である、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項3】
前記第1の角度の絶対値が5°であり、前記第2の角度の絶対値が5°であり、あるいは前記第1の角度及び前記第2の角度の両方の絶対値が5°である、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項4】
前記入口が前記容器の上部隅部にある、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項5】
前記出口が、前記入口の上部隅部と反対側の前記容器の底部隅部にある、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項6】
一方が他方の上に積み重ねられた少なくとも2つの細胞培養チャンバを含む、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項7】
前記入口が入口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記入口マニホルドとの間に入口開口部を有する、請求項6に記載の細胞培養容器。
【請求項8】
前記出口が出口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記出口マニホルドとの間に出口開口部を有する、請求項6に記載の細胞培養容器。
【請求項9】
各細胞培養チャンバの前記底部が、ガス透過性かつ液体不透過性の材料を含む、請求項6に記載の細胞培養容器。
【請求項10】
各細胞培養チャンバが、気管スペースによってそのすぐ隣にある細胞培養チャンバから分離されている、請求項9に記載の細胞培養容器。
【請求項11】
請求項1に記載の細胞培養容器内で細胞を培養する方法であって、
前記入口を介して前記細胞培養チャンバ内に細胞及び培地を含む液体を導入すること;
重力によって細胞を前記マイクロキャビティ内に定着させること;及び、
細胞を培養すること
を含む、方法。
【請求項12】
前記細胞を培養する間、液体を、前記入口を介して前記容器内に流し、前記細胞培養チャンバを通し、前記出口を介して前記容器から流出させることをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ベースの前記支持面の前記第1の方向が、前記入口と前記出口の間の前記軸に沿っており、前記ベースの前記支持面の前記第2の方向が、前記入口と前記出口の間の前記軸に直交している、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項14】
一方が他方の上に積み重ねられた少なくとも2つの細胞培養チャンバを含み、前記入口が入口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記入口マニホルドとの間に入口開口部を有し、前記出口が出口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記出口マニホルドとの間に出口開口部を有する、請求項1に記載の細胞培養容器。
【請求項15】
一方が他方の上に積み重ねられた少なくとも2つの細胞培養チャンバを含み、前記入口が入口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記入口マニホルドとの間に入口開口部を有し、前記出口が出口マニホルドを介して各細胞培養チャンバに流体接続されており、かつ各細胞培養チャンバが前記細胞培養チャンバと前記出口マニホルドとの間に出口開口部を有する、請求項3に記載の細胞培養容器。