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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075255
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】自動車の用途のためのアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 7/116 20060101AFI20230523BHJP
   F16H 55/08 20060101ALI20230523BHJP
   F16H 55/06 20060101ALI20230523BHJP
   F16H 1/08 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
H02K7/116
F16H55/08 Z
F16H55/06
F16H1/08
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023038467
(22)【出願日】2023-03-13
(62)【分割の表示】P 2020524309の分割
【原出願日】2018-10-17
(31)【優先権主張番号】102017125819.1
(32)【優先日】2017-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510222604
【氏名又は名称】キーケルト アクツィーエンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】テップァー, クラウス
(72)【発明者】
【氏名】スクラブス, ウィンフライド
(72)【発明者】
【氏名】ゾンネンシャイン, ティム
(72)【発明者】
【氏名】デジェドヴィク, ベンジャミン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンパクトで高い伝達比が達成される自動車の用途のためのアクチュエータを提供する。
【解決手段】電動モータ(1)と、電動モータ(1)が直接またはパワートレイン(2、3、4)を介して間接的に作用する作動要素(5)と、を有する。パワートレイン(2、3、4)には、少なくとも1つのエボロイド噛合い部(2、3)が設けられる。本発明によれば、電動モータ(1)の駆動シャフト(1’)には、パワートレイン(2、3、4)の入力においてエボロイド出力ギヤ(3)と噛み合うエボロイドピニオン(2)が備えられ、これにより、エボロイド噛合い部(2、3)を直接形成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータ(1)と、パワートレイン(2、3、4)を介して前記電動モータ(1)によって間接的または直接的に作用する作動要素(5)とを備える、自動車の用途のためのアクチュエータ、特に自動車の閉鎖装置用のアクチュエータであって、
少なくとも1つのエボロイド噛合い部が前記パワートレイン(2、3、4)に設けられたアクチュエータにおいて、
前記電動モータ(1)の駆動シャフト(1’)に、前記パワートレイン(2、3、4)の入力部においてエボロイド出力ギヤ(3)と噛み合うエボロイドピニオン(2)が備えられ、これにより、前記エボロイド噛合い部(2、3)を直接形成していることを特徴とする、アクチュエータ。
【請求項2】
前記エボロイドピニオン(2)がスピゴットに形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記スピゴットまたは前記エボロイドピニオン(2)が、全体として、前記電動モータ(1)の前記駆動シャフト(1’)に嵌合されていることを特徴とする、請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記エボロイド噛合い部(2、3)の変形比が少なくとも5.0、好ましくは10.0以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記エボロイドピニオン(2)が3つの歯を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記電動モータ(1)の前記駆動シャフト(1’)と前記作動要素とが互いに平行に延びていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記パワートレイン(2、3、4)が、前記パワートレイン(2、3、4)の入力部において、前記エボロイド噛合い部(2、3)に加えて、補助的な変速機(6、7;8、9)を有することを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記変速機(6、7;8、9)が1つまたは複数のさらなるエボロイド噛合い部(6、7)を備えることを特徴とする、請求項7に記載のアクチュエータ。
【請求項9】
前記パワートレイン(2、3、4)および/またはオプションの変速機(6、7;8、9)が、少なくとも部分的にプラスチックギヤからなることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のアクチュエータ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車の用途のためのアクチュエータ、特に自動車の閉鎖装置のためのアクチュエータに関し、電動モータと、パワートレインを介して電動モータによって間接的または直接的に作用する作動要素とを備え、少なくとも1つのエボロイド噛合い部(Evoloidverzahnung)がパワートレインに設けられているアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車の用途のためのアクチュエータは、例えば、外部ミラーの調整、シート調整の確認、ヘッドランプ調整の実行、またはフロントガラスのワイパの設定または調整に使用される。さらに、原理上、例えばテールゲート、トランクリッド、自動車ドア、エンジンフードなどのフラップ要素は、そのようなアクチュエータによって作用し得る。
【0003】
これらのアクチュエータの一般的な自動車の用途に加えて、これらのアクチュエータはまた、自動車の閉鎖装置に関連して使用され、実施されている。このような自動車の閉鎖装置は、例えば、自動車のドアまたはテールゲートの閉鎖駆動装置である。さらに、いわゆるサーボラッチホルダも、同様に自動車のドアを閉じるために、そのようなアクチュエータによって動かすことができる。さらに、例えば個々のラッチ部材が、例えばロック部材または中央ロック部材に作用するように、自動車ドアラッチの内部での用途が考えられる。さらに、とりわけ、電気自動車の場合、燃料フィラーフラップまたは充電ソケットも、アクチュエータによってロックすることができる。
【0004】
そのようなアクチュエータについて当該技術分野で知られているすべての応用分野は、設置条件が限定されているため、アクチュエータのコンパクトな設計を必要とすることが多い。したがって、一般的な独国特許第102010003044号明細書では、自動車の構成要素を調整するための多段変速装置が記載されている。構成要素は、座席調整器、外部ミラー調整器、またはヘッドランプ調整器であってもよく、また原理上、自動車内または自動車上のウィンドウコントローラまたは他の要素であってもよい。公知の多段変速装置は、ウォームと、ウォームと噛み合うスパーギヤ(平歯車)またはウォームギヤとからなる第1のギヤ段で動作する。さらに、第2のギヤ段が実装されている。
【0005】
第2のギヤ段は、エボロイドピニオンと、エボロイドピニオンと噛み合う出力ギヤとで構成されている。ウォームに係合するスパーギヤまたはウォームギヤは、エボロイドピニオンに連結されている。エボロイドピニオンはプラスチックピニオンであってもよい。このようにして、コンパクトな変速装置が提供され、それにより高いトルクも伝達することができる。
【0006】
国際公開第2013/045104号によるさらなる従来技術では、自動車の調整要素の電動式調整のためのスピンドルドライブが記載されている。これに関連して、回転可能な太陽ギヤを備えた遊星ギヤ伝動装置、およびそれと同軸に、回転可能な遊星ギヤ支持部も実装されている。太陽ギヤと遊星ギヤ支持部の少なくとも1つの遊星ギヤとの間の係合は、エボロイド噛合い部として構成される。このようにして、必要な設置スペース全体を駆動装置の長手方向軸線の方向に減らす必要がある。
【0007】
最後に、欧州特許第1363809号明細書による従来技術は、これも関連しており、自動車の外部ミラー調整用のアクチュエータに関する。この目的のために、パワートレインを介して電動モータに連結されたミラー調整部材が実装されている。パワートレインは、ミラー調整部材の近くのパワートレインに設けられたメインギヤを有する。メインギヤはピニオンを介してエボロイド噛合い部に接続されている。
【0008】
その結果、従来技術は、パワートレインに少なくとも1つのエボロイド噛合い部を提供する自動車の用途のための非常に一般的なアクチュエータを示している。これに関連して、エボロイド噛合い部は、一般に、そのようなエボロイド噛合い部によってパワートレインの出力でより高い伝達比をもたらすために、パワートレインの中央または作動要素に隣接して実装される。一方、従来技術では、その入力部におけるパワートレインは、通常、ウォームギヤで動作する。これが本発明の起因である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の根底にある技術的問題は、従来技術と比較して、さらにコンパクトな設計が達成され、特に高い伝達比が単一のギヤ段のみでもたらされるような自動車の用途のためのアクチュエータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この技術的問題を解決するために、本発明の内容において、自動車の用途のための包括的なアクチュエータは、電動モータの駆動シャフトにエボロイド出力ギヤと噛み合うエボロイドピニオンが設けられ、パワートレインの入力部においてエボロイド噛合い部を直接作ることを特徴とする。
【0011】
本発明の内容において、電動モータが、その駆動シャフトによって、その上に配設されたエボロイドピニオンを介して、その一部が作動要素に作用するエボロイド出力ギヤと直接噛み合うように、設計を選択および実装することができる。言い換えれば、本発明によれば、エボロイド噛合い部を使用して単一段変速機設計を実施することができる。この目的のために、エボロイド噛合い部がパワートレインの入力部に設けられる。パワートレインの出力部では、パワートレインが作動要素に作用し、作動要素が必要な作動動作を実行する。これらの作動動作は、回転作動動作および並進作動動作の両方であってもよく、そして原理上、それらの組み合わせであってもよい。
【0012】
さらに、その入力部におけるエボロイド噛合い部に加えて、パワートレインが補助的な変速機を有するか、または有することができることは、本発明の内容の範囲内である。補助的な変速機には、1つまたは複数のさらなるエボロイド噛合い部が設けられ得る。補助的な変速機は、エボロイド噛合い部に加えて、またはエボロイド噛合い部の代わりに、スパーギヤ噛合い部または斜歯噛合い部を備えたギヤ段を有することもできる。
【0013】
このようにして、本発明によるアクチュエータの特にコンパクトな実施形態が一般に提供される。使用するエボロイド噛合い部に基づいて、1つまたは複数のギヤ段を省略することができる。その結果、さらに、本発明によるアクチュエータは、小さい寸法を有するか、または有することができる。さらに、その結果、アクチュエータの総重量を減らすことができる。
【0014】
さらに、このようなエボロイド噛合い部は、直線的な噛合い部よりも駆動シャフトからエボロイド出力ギヤへの駆動力の伝達に優れた効果がある。さらに、エボロイド噛合い部は、直線的な噛合い部を備えるスパーギヤよりも動作音が少なく、優れた音響特性を備えているため、騒音レベルにも大きな影響を与える。これとはかなり異なり、このようなエボロイド噛合い部は通常、セルフロック式に設計されていないため、必要に応じて手動で動かし、特に手動でリセットすることができる。
【0015】
これは、特にアクチュエータが故障し、作動要素がそれに作用して、例示的な場合には手動で必要な作動動作を実行するか、実行しなければならない場合に必要であり、かつ望ましい。このような手動操作の動きの場合、アクチュエータ、したがってパワートレインを含む電動モータも一緒に動かされなければならないので、本発明によっては認められないセルフロックのいかなる例も特別な役割を果たす。
【0016】
エボロイドピニオンは、3つの歯を有することが好ましい。しかしながら、原理上、異なる数の歯、例えば2つだけ、または1つだけの単一の歯または4つもしくは6つの歯も可能である。さらに、エボロイドピニオンのいわゆる法線弾性率は0.5以上である。ギヤの弾性率は、一般に、歯のサイズの尺度であると理解されるべきである。弾性率は通常、関連するギヤの直径と歯の数の比率を明確に示す。エボロイドピニオンの場合、法線弾性率は、法線セクション、つまり、噛合い部のフランクラインに垂直な領域の弾性率として定義される。ここで、本発明は、少なくとも0.5の比較的小さい法線弾性率を利用する。その結果、高トルクが伝達され、エボロイドピニオンに過度に大きな力のピークが観察されないため、この点でプラスチックを実際に実装することができる。
【0017】
言い換えれば、パワートレインは少なくとも部分的にプラスチックギヤで構成することができる。パワートレインにオプションで装備されている変速機も同様である。エボロイドピニオンは、好ましくはプラスチックピニオンとして設計されている。これに関連して、また他の点でも、関連するエボロイドピニオンがスピゴット上に形成されるかどうかは、一般的に証明されている。その結果、エボロイドピニオン付きのスピゴットを電動モータの駆動シャフトに取り付けることができる。その結果として、組み立ては特に簡単である。この場合、エボロイドピニオンを備えたスピゴットは、電動モータの関連する駆動シャフトに解放可能に、または解放不可能にさえ連結することができる。さらに、プラスチックピニオンまたはプラスチックギヤは、金属製で同じ寸法のピニオンまたはギヤの場合よりも、非常にスムーズに走行する。
【0018】
通常と同様、エボロイド噛合い部は一般に、少なくとも30°の非常に大きなピッチ角を持つ斜インボリュート噛合い部と称される。エボロイド噛合い部または斜インボリュート噛合い部は、段で大きな伝達比を生成するのに役立ち、関連するギヤの軸線は、それに平行に追加される。このようにして、本発明によれば、電動モータの駆動シャフトは、作動要素の駆動シャフトと平行に走行するように配向することができる。さらに、その結果、ギヤ段の減少が最小限に抑えられる。原理上、本発明は実際には1つの単一ギヤ段、すなわちエボロイド噛合い部で動作するが、パワートレインは、説明したように、依然として補助的な変速機を装備することができる。
【0019】
ここに記載された本発明によるアクチュエータは、前述のすべての自動車の用途に使用することができる。しかしながら、特に、自動車の閉鎖装置に関連する実施形態が好適に実施される。これらは、閉鎖駆動装置、開放駆動装置、サーボラッチホルダなどを含むことができる。さらに、記載されたアクチュエータにより、例えば燃料フィラーフラップのロックなどのフラップのロック、あるいは電気自動車またはハイブリッド車両の場合には充電ソケットのロックを実施することが可能である。
【0020】
本発明について、以下、2つの例示的な実施形態を示す図面を参照してより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明によるアクチュエータの第1の例示的な実施形態の概略図である。
図2】実装されたエボロイド噛合い部の斜視図である。
図3】本発明によるアクチュエータの第1の例示的な実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図面は、自動車の用途のためのアクチュエータを示している。自動車の用途は、前に詳細に説明したように、特に自動車の閉鎖装置に関連した、および自動車の閉鎖装置のための用途である。この目的のために、アクチュエータの基本設計は、電動モータ1と作動要素5を含む。
【0023】
図1による例示的な実施形態を参照すると、自動車は、電動モータ1と、パワートレイン2、3、4を介して間接的または直接的に作用する作動要素5とを有することが分かる。図1による例示的な実施形態は、マイクロドライブとして設計されたアクチュエータを示す。例示的な実施形態では、パワートレイン2、3、4には、電動モータ1の駆動シャフト1’の回転運動を伝達するための1つのエボロイド噛合い部2、3のみが設けられているため、作動要素5は、パワートレイン2、3、4によって直接作動される。
【0024】
この場合、エボロイド噛合い部2、3は、エボロイドピニオン2とエボロイド出力ギヤ3との間に設けられている。ねじ付きスピンドル4は、エボロイド出力ギヤ3に回転可能に固定されるように連結されている。図1による変形例の内容では、作動要素5に組み込まれるか、または作動要素5の構成要素を構成するスピンドルナットは、ねじ付きスピンドル4に収容される。このようにして、ねじ付きスピンドル4の回転は、作動要素5が図1に示す直線運動または二重矢印の方向の並進運動を実行することができるようになる。
【0025】
電動モータ1の出力の駆動シャフト1’は、エボロイドピニオン2を備えていることが認識されるであろう。この目的のために、エボロイドピニオン2はスピゴットとして設計されている。スピゴットまたはエボロイドピニオン2は、全体として電動モータ1の駆動シャフト1’に嵌合され、この目的のために中空の穴を有する。さらに、スピゴット2は、電動モータ1の駆動シャフト1’にさらに固定されてもよい。
【0026】
エボロイドピニオン2およびエボロイド出力ギヤ3を備えたエボロイド噛合い部2、3は、それぞれの場合に互いに平行に延びる回転軸線を有することが認識されよう。このようにして、特にコンパクトな設計が提供される。回転軸線は、互いに対して間隔Aで向きが定められている。さらに、結果として、この設計は、電動モータ1の駆動シャフト1’および作動要素5が全体として同様に互いに平行に延びるようなものであってもよい。これは、作動要素5またはスピンドルナットが、エボロイド出力ギヤ3の回転軸線と一致するねじ付きスピンドル4の回転軸線に沿ってその長手方向に移動するためである。したがって、同じ間隔Aが、作動要素5またはその長手方向軸線と要素1の駆動シャフト1’との間に見られ得る。
【0027】
エボロイド噛合い部2、3の詳細を図2に示す。例示的な実施形態におけるエボロイドピニオン2は、合計4つの歯を備えていることが認識されよう。一般に、エボロイドピニオン2の歯数を減らして動作することもできる。図示する例示的な実施形態では、エボロイドピニオン2は3つの歯を有する。さらに、例示的な場合の設計は、エボロイドピニオン2の個々の歯が少なくとも0.4の法線弾性率を有するようなものである。一方、例示的な実施形態による斜歯のエボロイド出力ギヤ3は、合計40個の歯を有する。エボロイド出力ギヤ3の弾性率または法線弾性率は、同様に少なくとも0.4である。一方ではエボロイドピニオン2、他方ではエボロイド出力ギヤ3の記載された歯数のために、例示的な実施形態では、このようにして得られたエボロイド噛合い部2、3の伝達比はこの時点で図3に示すように、10.0または1~10である。
【0028】
換言すれば、エボロイド出力ギヤ3の1回転は、エボロイドピニオン2の10回転に対応する。一般に、この時点で他の伝達比を実施することができる。エボロイド噛合い部2、3は通常、少なくとも5.0、好ましくは10.0以上の伝達比を有する。
【0029】
図1による例示的な実施形態では、電動モータ1の出力シャフトの回転は、回転可能に固定されるようにねじ付きスピンドル4に連結されたエボロイド出力ギヤ3を介して作動要素5に直接伝達される。代替設計では、1つまたは複数の中間シャフトを設けることができ、これは、エボロイドギヤ段として設計されるか、従来はスパーギヤ段としても設計され、エボロイド出力ギヤ3とねじ付きスピンドル4との間にある。
【0030】
図3による第2の例示的な実施形態は、図1による変形例に対応するパワートレイン2、3、4が、その入力部においてエボロイド噛合い部2、3に加えて補助的な変速機6、7;8、9を備えることができることを明らかにする。変速機6、7;8、9は、第1のギヤ段6、7および第2のギヤ段8、9で構成される。図3は、電気自動車の充電ソケットをロックするために提供される充電ソケットアクチュエータとして設計されたアクチュエータを示している。
【0031】
第1のギヤ段6、7では、エボロイドピニオン6が再び使用され、これは、斜めに歯が付けられたエボロイド出力ギヤ7と噛み合う。この時点で、図3に示すように、3.6または1~3.6の伝達比が観察される。第1のギヤ段6、7のエボロイドピニオン6は、パワートレイン2、3、4、または2、3の入力部で、エボロイド噛合い部2、3のエボロイド出力ギヤ3に回転可能に固定されるように連結されている。
【0032】
第2のギヤ段8、9のエボロイド出力ギヤ9と部分的に噛み合う第2のギヤ段8、9の入力ギヤ8は、第1のギヤ段6、7のエボロイド出力ギヤ7に回転可能に固定されるように連結されている。第2のギヤ段8、9の2つのギヤ8、9は、直線歯のスパーギヤとして設計されている。一方、第1のギヤ段6、7のスパーギヤ6、7と同様に、エボロイド噛合い部2、3のスパーギヤ2、3は、いずれの場合も、入力端にすでに説明したエボロイドピニオン2または6を有し、排出端に斜めに歯のあるエボロイド出力ギヤ3または7を有する。代替構成では、第1のギヤ段6、7および第2のギヤ段8、9の両方が、エボロイドギヤ段またはスパーギヤ段として構成され得る。
【0033】
図3による例示的な実施形態によれば、パワートレイン2、3、4、または2、3の入力部にあるエボロイド噛合い部2、3は、下流に連結された変速機6、7;8、9とともに、全体的に約86.4または1~86.4(10×3.6×2.4)の伝達比をもたらすので、同時にコンパクトな設計で実質的な伝達比を実現できることが認識されよう。さらに、変速機6、7;8、9と同様に、パワートレイン2、3、4または2、3を少なくとも部分的にプラスチックギヤで設計する可能性がある。例示的な実施形態によれば、少なくともエボロイドピニオン2およびエボロイド出力ギヤ3は、プラスチックで製造される。下流に連結されたオプションの変速機6、7;8、9のさらなるギヤ6、7;8、9もプラスチックで製造することができる。全体として、図3による変形例では、そこに示されている作動要素5は、パワートレイン2、3、4を介して、すなわち変速機6、7;8、9の介在により、電動モータ1によって間接的に作用する。さらに、この変形例では、ねじ付きスピンドル4が省略されているが、それは、この場合、作動要素5が、第2のギヤ段8、9の出力において、エボロイド出力ギヤ9によって作用されるからである。

図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動モータ(1)と、パワートレイン(2、3、4)を介して前記電動モータ(1)によって間接的または直接的に作用する作動要素(5)とを備える、自動車の燃料フィラーフラップまたは充電ソケットのためのアクチュエータであって、
前記電動モータ(1)の駆動シャフト(1’)は前記作動要素(5)の駆動シャフトと平行に走行するように配向され、
少なくとも1つのエボロイド噛合い部が前記パワートレイン(2、3、4)に設けられたアクチュエータにおいて、
前記電動モータ(1)の駆動シャフト(1’)に、前記パワートレイン(2、3、4)の入力部において互いに平行に延びる回転軸線を有するエボロイド出力ギヤ(3)と噛み合うエボロイドピニオン(2)が備えられ、これにより、前記エボロイド噛合い部(2、3)を直接形成し、
前記パワートレイン(2,3,4)は、スピンドルナットである作動要素(5)を収容するねじ付きスピンドル(4)を含み、前記ねじ付きスピンドル(4)は、前記エボロイド出力ギヤ(3)に回転可能に固定されるように連結され、
前記スピンドルナットが、前記エボロイド出力ギヤ(3)の回転軸線と一致する前記ねじ付きスピンドル(4)の回転軸線に沿って長手方向に移動する、アクチュエータ。
【請求項2】
前記エボロイドピニオン(2)がスピゴットに形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記スピゴットまたは前記エボロイドピニオン(2)が、全体として、前記電動モータ(1)の前記駆動シャフト(1’)に嵌合されていることを特徴とする、請求項2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記エボロイド噛合い部(2、3)の伝達比が少なくとも5.0、好ましくは10.0以上であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記エボロイドピニオン(2)が3つの歯を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記電動モータ(1)の前記駆動シャフト(1’)と前記作動要素とが互いに平行に延びていることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記変速機(6、7;8、9)が1つまたは複数のさらなるエボロイド噛合い部(6、7)を備えることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【請求項8】
前記パワートレイン(2、3、4)および/または変速機(6、7;8、9)が、少なくとも部分的にプラスチックギヤからなることを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【外国語明細書】