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特開2023-75297腫瘍を治療するための抗PD-L1組み合わせ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075297
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】腫瘍を治療するための抗PD-L1組み合わせ
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4745 20060101AFI20230523BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20230523BHJP
   A61K 39/395 20060101ALI20230523BHJP
   C07K 16/28 20060101ALN20230523BHJP
【FI】
A61K31/4745 ZNA
A61P35/00
A61K39/395 T
A61K39/395 E
C07K16/28
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023041774
(22)【出願日】2023-03-16
(62)【分割の表示】P 2020147949の分割
【原出願日】2015-07-08
(31)【優先権主張番号】201410325480.9
(32)【優先日】2014-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201410440824.0
(32)【優先日】2014-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】517071025
【氏名又は名称】バーディー バイオファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【弁理士】
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(72)【発明者】
【氏名】リ、リシン
(57)【要約】
【課題】療法剤の組み合わせ及び併用療法を用いた癌を治療する方法の提供。
【解決手段】(i)1)有効量の抗PD-1抗体と、2)1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤と、の混合物を含む、医薬組成物、及び(ii)1)ヒト形質細胞様樹状細胞、骨髄系樹状細胞、もしくはNK細胞、またはそれらの組み合わせを活性化し得る有効量の免疫療法剤(immunotherapeutic)と、2)1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤と、の混合物からなる、医薬組成物、を含み、前記免疫療法剤は、4-アミノ-2-(エトキシメチル)-a,a-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール(レシキモド)である組み合わせ。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1)有効量の抗PD-1抗体と、2)1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤と、の混合物を含む、医薬組成物、及び
(ii)1)ヒト形質細胞様樹状細胞、骨髄系樹状細胞、もしくはNK細胞、またはそれらの組み合わせを活性化し得る有効量の免疫療法剤(immunotherapeutic)と、2)1つ以上の薬学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤と、の混合物からなる、医薬組成物、
を含み、
前記免疫療法剤は、4-アミノ-2-(エトキシメチル)-a,a-ジメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール(レシキモド)であり、
前記(i)の抗PD-1抗体及び前記(ii)の免疫療法剤は、互いに連結しておらず、
疾患状態の治療を必要とする対象の当該疾患状態の治療において使用され、
前記疾患状態は、腫瘍または癌細胞の増殖である、
組み合わせ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2014年7月9日に出願された中国特許出願第20140325480.9号明細書、及び2014年9月1日に出願された中国特許出願201410440824.0号明細書の利益、及び同出願に対する優先権を主張し、これらの出願の全開示は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
発明の分野
本発明は、併用療法を用いて癌を治療する療法剤の組み合わせおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
治療抗体は、20年以上にわたり臨床用途において使用されている。現在、15種の抗腫瘍抗体薬が臨床において存在し、それには、Rituxan(1997)、Herceptin(1998)、Mylotarg(2000)、Campath(2001)、Zevalin(2002)、Bexxer(2003)、Avastin(2004)、Erbitux(2004)、Vectibix(2006)、Arzerra(2009);Benlysta(2011);Yervoy(2011)、Adcetris(2011)、Perjeta(2012)、及びKadcyla(2013)が含まれる。これらの抗体は、主に4つの分子:EGFR、Her2、CD20及びVEGFを標的する。
【0004】
一般に、治療抗体は、3つの機構を介して腫瘍細胞を死滅させる(非特許文献1):(1)直接的な抗体作用、すなわち、リガンド/受容体シグナル伝達の遮断または作動薬活性、アポトーシスの誘発、及び薬物または細胞障害性薬物の送達。抗体受容体活性化の活性は、直接的な腫瘍細胞死滅効果を生成することができる。例えば、いくつかの抗体は、腫瘍細胞の表面上の受容体に結合し、受容体を活性化させ、(例えば、ミトコンドリアにおいて)アポトーシスをもたらすことができる。抗体は、受容体拮抗活性により腫瘍細胞死滅を仲介することもできる。例えば、ある特定の抗体は、細胞表面受容体に結合し、二量体化、キナーゼ活性化、及び下流シグナル伝達を遮断し、それにより増殖を阻害し、アポトーシスを促進することができる。酵素への抗体の結合は、中和、シグナル抑止、及び細胞死をもたらすことができる。(2)補体依存性細胞障害(CDC)、抗体依存性細胞介在性細胞障害(ADCC)、T細胞機能調節等を含む免疫介在性細胞死滅機構による。腫瘍細胞の免疫介在性死滅は、以下の方法により達成することができる:貪食作用の誘発、補体活性化、抗体依存性細胞介在性細胞障害、一本鎖可変断片(scFv)により腫瘍に対して標的化された遺伝子改変T細胞、樹状細胞への抗体介在性抗原交差提示によるT細胞の活性化、細胞障害性Tリンパ球関連抗原4(CTLA4)などのT細胞阻害性受容体の阻害。これらのうち、抗体特徴のFc部分が、CDC及びADCCが仲介する腫瘍細胞死滅効果のために特に重要である。(3)血管受容体拮抗剤またはリガンドの捕捉を通して、間質細胞阻害、間質細胞への毒素の送達、及び血管系への毒素の送達を含む、血管及び間質細胞の除去(ablation)を誘発することを介する、腫瘍血管系及びマトリックスに対する抗体の特異的な効果(非特許文献1)。
【0005】
治療モノクローナル抗体薬は、抗癌薬の研究及び開発を前進させている。しかしながら、抗体免疫原性、腫瘍標的の長期使用の耐容性、及びシグナル伝達経路の単純な単一遮断の長期効果などの、いくつかの問題を解決するために依然としてさらなる研究が必要である。要約すると、過半数の抗体は、腫瘍細胞の長期の有効な阻害及び死滅を達成することが困難である。
【0006】
抗体-薬物複合体は、標的化機能を、特定の薬物動態を有する小分子薬と組み合わせる。抗体-薬物複合体の構造は、標的化機能を有するモノクローナル抗体の、特定の薬理学的特性を有する化合物への付着である。この技術は、標的に結合特異性を有する治療抗体が、治療効果または細胞毒素などの他の機能を有する分子と結合されることを必要とする。結合抗体のエンドサイトーシス、結合の安定性、及び毒素の放出及び死滅活性などの多くの要因が、この種の抗体の効果に影響を与える。
【0007】
抗体-薬物複合体は、直接的及び間接的な抗癌効果を有する。抗体は、リガンド/受容体シグナル伝達を遮断または活性化し、アポトーシスを誘発し、同時にペイロード薬物(payload drug)(例えば、薬物、毒素、小型干渉RNAまたは放射性同位体)を腫瘍細胞へと直接的または間接的に提示または送達することができる。治療抗体薬物複合体は、抗体と結合薬物の二重特性を利用し、第1は、標的分子に特異的に結合する結合機能であり、第2は、抗体自体の腫瘍細胞死滅機能であり、第3は、複合薬の特定の効果である。現行の抗体-薬物複合体薬は、どのように腫瘍細胞を直接的に死滅させるかに限定されている。しかしながら、抗体、リンカー分子、毒素分子、及び複合体化における技術の厳しい要件、ならびに腫瘍微小環境分子内に毒素を運び込むことに対する制限のため、実際の臨床研究において依然としていくつかの困難が存在する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Scott AM,Wolchok JD,Old LJ.Antibody therapy of cancer.Nat Rev Cancer.(2012),12:278-87
【非特許文献2】Scott AM,Wolchok JD,Old LJ.Antibody therapy of cancer.Nat Rev Cancer.2012,12(4):278-87
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様では、本発明は、(i)有効量のPD-L/PD-1 Axis拮抗剤、及び(ii)ヒト形質細胞様樹状細胞、骨髄系樹状細胞、もしくはNK細胞、またはそれらの組み合わせを活性化し得る有効量の免疫療法剤(immunotherapeutic)を含む、組み合わせを提供する。
【0010】
いくつかの実施形態では、PD-L/PD-1 Axis拮抗剤は、PD-1結合拮抗剤、PD-L1結合拮抗剤及びPD-L2結合拮抗剤からなる群より選択される。
【0011】
いくつかの実施形態では、PD-L/PD-1 Axis拮抗剤は、PD-1結合拮抗剤である。
【0012】
いくつかの実施形態では、PD-1結合拮抗剤は、PD-1のリガンド結合パートナーへのPD-1の結合を阻害する。
【0013】
いくつかの実施形態では、PD-1結合拮抗剤は、PD-L1へのPD-1の結合を阻害する。
【0014】
いくつかの実施形態では、PD-1結合拮抗剤は、PD-L2へのPD-1の結合を阻害する。
【0015】
いくつかの実施形態では、PD-1結合拮抗剤は、PD-L1及びPD-L2の両方へのPD-1の結合を阻害する。
【0016】
いくつかの実施形態では、PD-1結合拮抗剤は、MDX-1106、Merck 3745、CT-011、AMP-224またはAMP-514のような抗体である。
【0017】
いくつかの実施形態では、PD-L/PD-1 Axis拮抗剤は、PD-L1結合拮抗剤である。
【0018】
いくつかの実施形態では、PD-L1結合拮抗剤は、PD-1へのPD-L1の結合を阻害する。
【0019】
いくつかの実施形態では、PD-L1結合拮抗剤は、B7-1へのPD-L1の結合を阻害する。
【0020】
いくつかの実施形態では、PD-L1結合拮抗剤は、PD-1及びB7-1の両方へのPD-L1の結合を阻害する。
【0021】
いくつかの実施形態では、PD-L1結合拮抗剤は、YW243.55.S70、MPDL3280A、MDX-1105、MEDI-4736、及びMSB0010718Cからなる群より選択される1つのような抗体である。
【0022】
いくつかの実施形態では、PD-L/PD-1 Axis拮抗剤は、PD-L2結合拮抗剤である。
【0023】
いくつかの実施形態では、PD-L2結合拮抗剤は、抗体である。
【0024】
いくつかの実施形態では、PD-L2結合拮抗剤は、イムノアドヘシンである。
【0025】
いくつかの実施形態では、治療は、治療停止後に個体に持続性の応答をもたらす。
【0026】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、連続して、断続的に投与される。
【0027】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、PD-L/PD-1 Axis拮抗剤前に投与される。
【0028】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、PD-L/PD-1 Axis拮抗剤と同時に投与される。
【0029】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、PD-L/PD-1 Axis拮抗剤後に投与される。
【0030】
いくつかの実施形態では、個体は、結腸直腸癌、メラノーマ、非小細胞肺癌、卵巣癌、乳癌、膵臓癌、血液悪性腫瘍または腎細胞癌腫を有する。
【0031】
いくつかの実施形態では、PD-L/PD-1 Axis拮抗剤は、静脈内に、筋肉内に、皮下に、局所的に、経口的に、経皮的に、腹腔内に、胸腔内に、移植により、吸入により、くも膜下腔内に、脳室内にまたは鼻腔内に投与される。
【0032】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、ヒトTLR7及び/またはTLR8に特異的に結合し得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、(a)一本鎖RNA(ssRNA)、好ましくはORN02、ORN06、ssPoly(U)、ssRNA40、ssRNA41、ssRNA-DR、もしくはPoly(dT)、または(b)受容体リガンド類似体、好ましくはCL075、CL097、CL264、CL307、ガルジキモド(Gardiquimod)、ロキソリビン(Loxoribine)、イミキモド、もしくはレシキモドを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、式(I)から(XIXb)のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【0035】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、式(I)の構造を有し、
【化1】
式中、破線は結合または結合の不在を表し、
Xは、Sまたは-NRであり、Rは-W―W―W―W―Wであり、
は、結合、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、または-アルキル-S-アルキル--であり、
は、結合、--O--、または--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、結合、--O--、--C(O)--、--C(S)--、または-S(O)―であり、
は、結合、--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--S-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、--NO、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり、
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--O-C(O)-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり、
Rは、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--C(O)-NH-R、--C(O)-NR、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--O-C(O)-R、--S-R、--C(O)-S-R、--S-C(O)-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり、
nは、0、1、2、3、または4であり、
Yは、-NR、-CR、または-アルキル-NHであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、--NH、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、
式中、R、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり、ここで、Rは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり、ならびに
X及びZは一緒になって、任意選択的に(5~9)員環を形成し得る。
【0036】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、2-プロピルチアゾロ[4,5-c]キノリン-4-アミン、1-(2-メチルプロピル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、4-アミノ-2-(エトキシメチル)-a,a-ジ-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール、1-(4-アミノ-2-エチルアミノメチルイミダゾ-[4,5-c]キノリン-1-イル)-2-メチルプロパン-2-オール、N-[4-(4-アミノ-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル-]メタンスルホンアミド、4-アミノ-2-エトキシメチル-aa-ジメチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール、4-アミノ-aa-ジメチル-2-メトキシエチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール、1-{2-[3-(ベンジルオキシ)プロポキシ]エチル}-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、N-[4-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-1-イル)ブチル]-n’-ブチル尿素、N1-[2-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-1-イル)エチル]-2-アミノ-4-メチルペンタンアミド、N-(2-{2-[4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]エトキシ}エチル)-n’-フェニル尿素、1-(2-アミノ-2-メチルプロピル)-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、1-{4-[(3,5-ジクロロフェニル)スルホニル]ブチル}-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、N-(2-{2-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]エトキシ}エチル)-n’-シクロヘキシル尿素、N-{3-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]プロピル}-n’-(3-シアノフェニル)チオ尿素、N-[3-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-2,2-ジメチルプロピル]ベンズアミド、2-ブチル-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、N-{2-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-1,1-ジメチルエチル}-2-エトキシアセトアミド、1-[4-アミノ-2-エトキシメチル-7-(ピリジン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、1-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-7-(ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、N-{3-[4-アミノ-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-(メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-7-イル]フェニル}メタンスルホンアミド、1-[4-アミノ-7-(5-ヒドロキシメチルピリジン-3-イル)-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、3-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-7-(ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]プロパン-1,2-ジオール、1-[2-(4-アミノ-2-エトキシメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-1,1-ジメチルエチル]-3-プロピル尿素、1-[2-(4-アミノ-2-エトキシメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-1,1-ジメチルエチル]-3-シクロペンチル尿素、1-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]-2-(エトキシメチル)-7-(4-ヒドロキシメチルフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、4-[4-アミノ-2-エトキシメチル-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-7-イル]-N-メトキシ-N-メチルベンズアミド、2-エトキシメチル-N1-イソプロピル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1,4-ジアミン、1-[4-アミノ-2-エチル-7-(ピリジン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、N-[4-(4-アミノ-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル]メタンスルホンアミド、及びN-[4-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-1-イル)ブチル]-n’-シクロヘキシル尿素からなる群より選択される化合物である。
【0037】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、式(II)の構造を有し、
【化2】
式中、Vは、-NRであり、ここで、R及びRのそれぞれは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり、
10及びR11は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールである。
【0038】
いくつかの実施形態では、本発明の療法剤の組み合わせまたは医薬組成物は、抗癌剤のような有効量の追加の治療剤をさらに含む。
【0039】
いくつかの実施形態では、抗癌剤が、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼI及びIIの阻害剤、アルキル化剤、微小管阻害剤、抗アンドロゲン剤、GNRhモジュレータまたはそれらの混合物である。
【0040】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、イマタニブ(imatanib)、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン(minosine)、ゲムシタビン、シタラビン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、ゲムシタビン、エポチロン、ビノレルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン、アクチノマイシンD、ミトキサントロン、アクリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、またはイダルビシンからなる群より選択される化学治療剤である。
【0041】
別の態様では、本発明は、疾患状態の処置を必要とする対象内の疾患状態を処置するための方法であって、本明細書で提供される療法剤の組み合わせまたは医薬組成物を該対象に投与することを含む方法を提供する。
【0042】
いくつかの実施形態では、疾患状態は腫瘍である。いくつかの実施形態では、疾患状態は異常細胞増殖を含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、異常細胞増殖は、前癌性病変を含む。いくつかの実施形態では、異常細胞増殖は、癌細胞のものである。
【0044】
いくつかの実施形態では、癌は、乳癌、結腸直腸癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、子宮内膜癌、濾胞性リンパ腫、胃癌、神経膠芽腫、頭頸部癌、肝細胞癌、肺癌、メラノーマ、多発性骨髄腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、及び腎細胞癌からなる群より選択される。
【0045】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤の量は、
(1)濃縮したヒト血液DCにIFN-αを誘発すること、
(2)濃縮したヒト血液DCにTNF-αを誘発すること、及び/または
(3)濃縮したヒト血液DCにIL-12-αを誘発すること
をし得る量のものである。
【0046】
いくつかの実施形態では、方法は、週に2回、約0.0005mg/kg、0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kgまたは0.01mg/kgから約0.02mg/kgまでの間の用量で免疫療法剤(例えば、R848及びその類似体)を含む経口製剤を対象に投与することを含む。
【0047】
いくつかの実施形態では、方法は、週に2回、約0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kgまたは0.01mg/kg以下の用量の免疫療法剤(例えば、R848及びその類似体)を含む経口製剤を対象に投与することを含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、方法は、毎週、約0.0005mg/kg、0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、または0.006mg/kgから約0.015mg/kgまでの間の用量で前記免疫療法剤(例えば、R848及びその類似体)を含む静脈内製剤を前記対象に投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、毎週、約0.0008mg/kgから約0.0067mg/kgまでの間の用量で前記免疫療法剤(例えば、R848及びその類似体)を含む静脈内製剤を前記対象に投与することを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、方法は、毎週、約0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、または0.006mg/kg以下から約0.007mg/kgまでの用量で前記免疫療法剤を含む静脈内製剤を前記対象に投与することを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、対象における免疫療法剤は、約0.005μg/mlから約12μg/mlまでの間の局所濃度を有する。
【0051】
いくつかの実施形態では、対象における免疫療法剤は、約0.05μg/ml、0.1μg/ml、0.15μg/ml、0.2μg/ml、0.3μg/ml、または0.4μg/mlから約0.5μg/mlまでの間の局所濃度を有する。
【0052】
さらなる態様では、本発明は、本明細書で提供される療法剤の組み合わせ、および任意選択的に指示書を含むキットを提供する。
【0053】
本発明の新規特徴は、添付の特許請求の範囲で具体的に記載される。本発明の特長い及び利点のより良好な理解は、本発明の原理を活用する例示的な実施形態を記載する以下の発明を実施するための形態、及び添付図面を参照することによって得られるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、SCCVII腫瘍成長に対する抗PDL1 mAb治療の影響を示す。SCCVII腫瘍は、材料及び方法に記載のように接種された。腫瘍接種されたマウスは、週3回、対照ラット免疫グロブリンまたはTLRLと組み合わせた抗PDL1 mAb(200μg/マウス)の腹腔内の注射を受けた。平均腫瘍体積±標準偏差は、5~8匹のマウスの各グループにおいて決定された。
図2図2は、CT26腫瘍成長に対する抗PDL1 mAb治療の効果を示す。CT26腫瘍は、材料及び方法に記載のように接種された。腫瘍接種されたマウスは、週3回、対照ラット免疫グロブリンまたはTLRLと組み合わせた抗PDL1 mAb(200μg/マウス)の腹腔内の注射を受けた。平均腫瘍体積±標準偏差は、5~8匹のマウスの各グループにおいて決定された。
図3A図3Aは、3人の健康的な提供者からの濃縮ヒトDCによるサイトカインの分析を示す。濃縮ヒトDCは、96ウエルプレートに移植され、同種未処理(培地)または処理済みの異なる濃度のTLRLとともに37℃のインキュベーターで20から22時間直接培養された。上清を収集し、ヒトIFN-α、IL-20(p70)及びTNF-αをELISAにより分析した。データを三重培養物の平均±標準偏差として得る。3人の健常な提供者からの3つの独立した実験が行われた。A:TLRLは、提供者1からの濃縮ヒト血液DC(CD3+/CD19+/CD14+/CD16+)にIFN-α発現を誘発した。
図3B図3Bは、3人の健康的な提供者からの濃縮ヒトDCによるサイトカインの分析を示す。濃縮ヒトDCは、96ウエルプレートに移植され、同種未処理(培地)または処理済みの異なる濃度のTLRLとともに37℃のインキュベーターで20から22時間直接培養された。上清を収集し、ヒトIFN-α、IL-20(p70)及びTNF-αをELISAにより分析した。データを三重培養物の平均±標準偏差として得る。3人の健常な提供者からの3つの独立した実験が行われた。B:TLRLは、提供者2からの実験#2において濃縮ヒト血液DCにIFN-α発現を誘発した。
図3C図3Cは、3人の健康的な提供者からの濃縮ヒトDCによるサイトカインの分析を示す。濃縮ヒトDCは、96ウエルプレートに移植され、同種未処理(培地)または処理済みの異なる濃度のTLRLとともに37℃のインキュベーターで20から22時間直接培養された。上清を収集し、ヒトIFN-α、IL-20(p70)及びTNF-αをELISAにより分析した。データを三重培養物の平均±標準偏差として得る。3人の健常な提供者からの3つの独立した実験が行われた。C:TLRLは、提供者2からの実験#2において濃縮ヒト血液DCにTNF-α発現を誘発した。
図3D図3Dは、3人の健康的な提供者からの濃縮ヒトDCによるサイトカインの分析を示す。濃縮ヒトDCは、96ウエルプレートに移植され、同種未処理(培地)または処理済みの異なる濃度のTLRLとともに37℃のインキュベーターで20から22時間直接培養された。上清を収集し、ヒトIFN-α、IL-20(p70)及びTNF-αをELISAにより分析した。データを三重培養物の平均±標準偏差として得る。3人の健常な提供者からの3つの独立した実験が行われた。D:TLRLは、提供者2からの実験#2において濃縮ヒト血液DCにIL-12発現を誘発した。
図3E図3Eは、3人の健康的な提供者からの濃縮ヒトDCによるサイトカインの分析を示す。濃縮ヒトDCは、96ウエルプレートに移植され、同種未処理(培地)または処理済みの異なる濃度のTLRLとともに37℃のインキュベーターで20から22時間直接培養された。上清を収集し、ヒトIFN-α、IL-20(p70)及びTNF-αをELISAにより分析した。データを三重培養物の平均±標準偏差として得る。3人の健常な提供者からの3つの独立した実験が行われた。E:TLRLは、提供者3からの実験#3において濃縮ヒト血液DCにIFN-α発現を誘発した。
図3F図3Fは、3人の健康的な提供者からの濃縮ヒトDCによるサイトカインの分析を示す。濃縮ヒトDCは、96ウエルプレートに移植され、同種未処理(培地)または処理済みの異なる濃度のTLRLとともに37℃のインキュベーターで20から22時間直接培養された。上清を収集し、ヒトIFN-α、IL-20(p70)及びTNF-αをELISAにより分析した。データを三重培養物の平均±標準偏差として得る。3人の健常な提供者からの3つの独立した実験が行われた。F:TLRLは、提供者3からの実験#3において濃縮ヒト血液DCにTNF-α発現を誘発した。
図3G図3Gは、3人の健康的な提供者からの濃縮ヒトDCによるサイトカインの分析を示す。濃縮ヒトDCは、96ウエルプレートに移植され、同種未処理(培地)または処理済みの異なる濃度のTLRLとともに37℃のインキュベーターで20から22時間直接培養された。上清を収集し、ヒトIFN-α、IL-20(p70)及びTNF-αをELISAにより分析した。データを三重培養物の平均±標準偏差として得る。3人の健常な提供者からの3つの独立した実験が行われた。G:TLRLは、提供者3からの実験#3において濃縮ヒト血液DCにIL-12発現を誘発した。
図4A図4Aは、TRLR注入後のマウスPBMCにおけるIFN誘発性遺伝子の発現を示す。RNAは、可変時間点でTRIzol試薬で冷凍保存されたPBMCから単離され、IFN誘発性遺伝子の相対発現は、定量的RT-PCRにより決定された。MX2遺伝子は、TLRL注入後5時間(4A)の時間経路にわたり検出された。値は、ハウスキーピング遺伝子アクチンに対して示されたIFN誘発性遺伝子のmRNA発現を示す。棒グラフは、3個体動物からのデータを表す。**P<0.01、***P<0.001である。
図4B図4Bは、TRLR注入後のマウスPBMCにおけるIFN誘発性遺伝子の発現を示す。RNAは、可変時間点でTRIzol試薬で冷凍保存されたPBMCから単離され、IFN誘発性遺伝子の相対発現は、定量的RT-PCRにより決定された。MX2およびISG15遺伝子は、注入後2時間(4B)でTLRLのさまざまな用量で測定された。値は、ハウスキーピング遺伝子アクチンに対して示されたIFN誘発性遺伝子のmRNA発現を示す。棒グラフは、3個体動物からのデータを表す。**P<0.01、***P<0.001である。
図4C図4Cは、TRLR注入後のマウスPBMCにおけるIFN誘発性遺伝子の発現を示す。RNAは、可変時間点でTRIzol試薬で冷凍保存されたPBMCから単離され、IFN誘発性遺伝子の相対発現は、定量的RT-PCRにより決定された。値は、ハウスキーピング遺伝子アクチンに対して示されたIFN誘発性遺伝子のmRNA発現を示す。棒グラフは、3個体動物からのデータを表す。**P<0.01、***P<0.001である。
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明のいくつかの態様を、例示のために適用例を参照しながら以下に記載する。多くの特定の詳細、関係性、及び方法が、本発明の完全な理解を提供するために記載されることを理解されたい。しかしながら、当業者は、本発明が1つまたは複数の特定の詳細を用いることなく、または他の方法を用いて実施され得ることを、容易に認識するだろう。本発明は、作用または事象の例示された順番に限定されず、いくつかの作用は、他の作用または事象と異なる順番で、及び/または同時に生じ得る。
【0056】
さらに、全ての例示された作用または事象が、本発明に係る手法を実施するために必要とされるわけではない。
【0057】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態を記載することのみを目的とし、本発明を限定することを意図しない。本明細書で用いるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈による明白な別段の指示がない限り、複数形を含むことも意図される。さらに、「含む(including)」、「含む(includes)」、「有する(having)」、「有する(has)」、「伴う(with)」という用語、またはこれらの変形が、発明を実施するための形態及び/または特許請求の範囲のいずれかに使用される限り、そのような用語は、「含む(comprising)」という用語と類似の様式で包括的であることが意図される。
【0058】
「約」または「おおよそ」という用語は、当業者により決定される特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味し、これは、部分的には、値がどのように測定または決定されたか、すなわち測定系の制限に依存するだろう。例えば「約」は、当該分野の実践にしたがって、1以内または1を越える標準偏差を意味することができる。あるいは、「約」は、所定の値の20%まで、好ましくは10%まで、より好ましくは5%まで、及びより好ましくはさらに1%までの範囲を意味することができる。あるいは、特に生物系または過程に関して、該用語は、値の桁数の範囲内、好ましくは5倍以内、より好ましくは2倍以内を意味することができる。特定の値が出願及び特許請求の範囲に記載される場合、別段の記述のない限り、特定の値の許容可能な誤差範囲内を意味する「約」が、想定されるべきである。
【0059】
I.定義及び略語
別段の定義のない限り、本明細書において使用される全ての技術用語及び科学用語は、一般に、本発明が属する当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有する。一般に、本明細書、及び細胞培養、分子遺伝学、有機化学、及び核酸化学及びハイブリダイゼーションにおける実験室手順に使用される命名法は、当該分野において周知であり、一般的に用いられているものである。標準的な技術が、核酸及びペプチド合成に使用される。技術及び手順は、当該分野における従来の方法、及びこの文書の全体を通して提供される種々の一般的な参照に従って一般に実施される。本明細書、及び分析化学における実験室手順、及び下記に記載されている有機合成に使用される命名法は、当該分野において周知のものであり、一般的に用いられるものである。標準的な技術またはそれらの修正が、化学合成及び化学分析に使用される。
【0060】
「アルキル」という用語は、それ自体または別の置換基の一部として、別段の記述のない限り、直鎖または分岐鎖または環状の炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを意味し、これらは、完全飽和、単または多不飽和であり得、指定された数の炭素原子を有する(すなわち、C~C10は1~10個の炭素を意味する)二価及び多価ラジカルを含むことができる。飽和炭化水素ラジカルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソブチル、sec-ブチル、シクロヘキシル、(シクロヘキシル)メチル、シクロプロピルメチルなどの基、例えばn-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルの相同体及び異性体などが挙げられるが、これらに限定されない。不飽和アルキル基は1つまたは複数の二重結合または三重結合を有する基である。不飽和アルキル基の例には、ビニル、2-プロペニル、クロチル、2-イソペンテニル、2-(ブタジエニル)、2,4-ペンタジエニル、3-(1,4-ペンタジエニル)、エチニル、1-及び3-プロピニル、3-ブチニル、及びより高次の相同体及び異性体が挙げられるが、これらに限定されない。「アルキル」という用語は、別段に示されない限り、「ヘテロアルキル」のように、下記により詳細に定義されるアルキルの誘導体を含むことも意図される。炭化水素基に限定されるアルキル基は、「ホモアルキル」と称する。
【0061】
「アルキレン」という用語は、それ自体または別の置換基の一部として、-CHCHCHCH-により例示されるが、これに限定されないアルカンから誘導される二価ラジカルを意味し、下記に「ヘテロアルキレン」と記載される基をさらに含む。典型的には、アルキル(またはアルキレン)基は、1~24個の炭素原子を有し、10個以下の炭素原子を有するこれらの基が本発明に好ましい。「低級アルキル」または「低級アルキレン」は、一般に8個以下の炭素原子を有する短鎖アルキルまたはアルキレン基である。
【0062】
「アルコキシ」、「アルキルアミノ」、及び「アルキルチオ」(またはチオアルコキシ)という用語は、その従来の意味で使用され、それぞれ、酸素原子、アミノ基、または硫黄原子を介して分子の残りの部分に付着しているアルキル基を意味する。
【0063】
「ヘテロアルキル」は、それ自体または別の用語と組み合わされて、別段の記述のない限り、記述された数の炭素原子、及びO、N、Si、及びSからなる群より選択される少なくとも1個のヘテロ原子から構成され、窒素及び硫黄原子は任意選択的に酸化されてもよく、窒素ヘテロ原子が、任意選択的に四級化されていてもよい、安定した直鎖または分岐鎖または環状炭化水素ラジカル、またはそれらの組み合わせを意味する。ヘテロ原子(複数可)のO、N、及びS、及びSiは、ヘテロアルキル基の任意の内部位置、またはアルキル基が分子の残りの部分に付着する位置に配置され得る。例には、-CH-CH-O-CH、-CH-CH-NH-CH、-CH-CH-N(CH)-CH、-CH-S-CH-CH、-CH-CH、-S(O)-CH、-CH-CH-S(O)-CH、-CH=CH-O-CH、-Si(CH、-CH-CH=N-OCH、及び-CH=CH-N(CH)-CHが挙げられるが、これらに限定されない。2個までのヘテロ原子は、例えば-CH-NH-OCH及び-CH-O-Si(CHのように連続的であり得る。同様に、「ヘテロアルキレン」という用語は、それ自体または別の置換基の一部として、-CH-CH-S-CH-CH-及び-CH-S-CH-CH-NH-CH-により例示されるが、これらに限定されないヘテロアルキルから誘導される二価ラジカルを意味する。ヘテロアルキレン基について、ヘテロ原子は、鎖末端のいずれか、または両方を占有することもできる(例えば、アルキレンオキシ、アルキレンジオキシ、アルキレンアミノ、アルキレンジアミノなど)。またさらに、アルキレン及びヘテロアルキレン連結基について、連結基の向きは、連結基の式が記載される方向により示されない。例えば、式:-C(O)R’-は、-C(O)R’-及び-R’C(O)-の両方を表す。
【0064】
一般に、「アシル置換基」も、上に記載した基から選択される。本明細書で用いるとき、「アシル置換基」は、付着して、本発明の化合物の多環式核に直接的または間接的に付着したカルボニル炭素の原子価を満たす基を意味する。
【0065】
「シクロアルキル」及び「ヘテロシクロアルキル」という用語は、それら自体または他の用語と組み合わされて、別段の記述のない限り、それぞれ「アルキル」及び「ヘテロアルキル」の環状型を表す。加えて、ヘテロシクロアルキルについて、ヘテロ原子は、そのヘテロ環が分子の残りの部分に付加される位置を占有することができる。シクロアルキルの例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、1-シクロへキセニル、3-シクロヘキセニル、シクロヘプチルなどが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロシクロアルキルの例には、1-(1,2,5,6-テトラヒドロピリジル)、1-ピペリジニル、2-ピペリジニル、3-ピペリジニル、4-モルホリニル、3-モルホリニル、テトラヒドロフラン-2-イル、テトラヒドロフラン-3-イル、テトラヒドロチエン-2-イル、テトラヒドロチエン-3-イル、1-ピペラジニル、2-ピペラジニルなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、それら自体または別の置換基の一部として、別段の記述のない限り、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素原子を意味する。加えて、「ハロアルキル」などの用語は、モノハロアルキル及びポリハロアルキルを含むことが意図される。例えば、「ハロ(C~C)アルキル」という用語は、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピルなどを含むが、これらに限定されないことが意図される。
【0067】
本明細書で用いるとき、「ハロアルキル」という用語は、1つまたは複数の本明細書に記載のハロ基により置換される、本明細書に定義するアルキルを指す。好ましくは、ハロアルキルは、モノハロアルキル、ジハロアルキル、またはペルハロアルキル(perハロアルキル)を含むポリハロアルキルであることができる。モノハロアルキルは、アルキル基内に1つのヨード、ブロモ、クロロまたはフルオロを有することができる。ジハロアルキル及びポリハロアルキル基は、アルキル基内に2個またはそれより多い同じハロ原子または異なるハロ基の組み合わせを有することができる。好ましくは、ポリハロアルキルは、12まで、10、または8、または6、または4、または3、または2個のハロ基を含有する。ハロアルキルの非限定的な例には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル(dichioromethyl)、トリクロロメチル(trichioromethyl)、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ジフルオロクロロメチル(difluorochioromethyl)、ジクロロフルオロメチル(dichiorofluoromethyl)、ジフルオロエチル、ジフルオロプロピル、ジクロロエチル及びジクロロプロピルが含まれる。ペルハロアルキルは、全ての水素原子がハロ原子に置き換えられたアルキルを指す。
【0068】
本明細書で用いるとき、「ヘテロアリール」という用語は、N、O、SまたはSeから選択された1から8個のヘテロ原子を有する、5~14員単環または二環または融合多環系を指す。好ましくは、ヘテロアリールは5~10員環系である。典型的なヘテロアリール基には、2-または3-チエニル、2-または3-フリル、2-または3-ピロリル、2-、4-、または5-イミダゾリル、3-、4-、または5-ピラゾリル、2-、4-、または5-チアゾリル、3-、4-、または5-イソチアゾリル、2-、4-、または5-オキサゾリル、3-、4-、または5-イソオキサゾリル、3-または5-1,2,4-トリアゾリル、4-または5-1,2,3-トリアゾリル、テトラゾリル、2-、3-、または4-ピリジル、3-または4-ピリダジニル、3-、4-、または5-ピラジニル、2-ピラジニル、2-、4-、または5-ピリミジニルが含まれる。
【0069】
「ヘテロアリール」という用語は、ヘテロ芳香族環が1つまたは複数のアリール、環状脂肪族、またはヘテロシクロアルキル環に融合された基も指し、ここでラジカルまたは付着点はヘテロ芳香族環上である。非限定的な例には、1-、2-、3-、5-、6-、7-、または8-インドリジニル、1-、3-、4-、5-、6-、または7-イソインドリル、2-、3-、4-、5-、6-、または7-インドリル、2-、3-、4-、5-、6-、または7-インダゾリル、2-、4-、5-、6-、7-、または8-プリニル、1-、2-、3-、4-、6-、7-、8-、または9-キノリジニル、2-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-キノリル(quinoliyl)、1-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-イソキノリル(isoquinoliyl)、1-、4-、5-、6-、7-、または8-フタラジニル、2-、3-、4-、5-、または6-ナフチリジニル、2-、3-、5-、6-、7-、または8-キナゾリニル、3-、4-、5-、6-、7-、または8-シンノリニル、2-、4-、6-、または7-プテリジニル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-4aHカルバゾリル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-カルバゾリル、1-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、または9-カルボリニル、1-、2-、3-、4-、6-、7-、8-、9-、または10-フェナントリジニル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、または9-アクリジニル、1-、2-、4-、5-、6-、7-、8-、または9-ペリミジニル、2-、3-、4-、5-、6-、8-、9-、または10-フェナントロリニル、1-、2-、3-、4-、6-、7-、8-、または9-フェナジニル、1-、2-、3-、4-、6-、7-、8-、9-、または10-フェノチアジニル、1-、2-、3-、4-、6-、7-、8-、9-、または10-フェノキサジニル、2-、3-、4-、5-、6-、または1-、3-、4-、5-、6-、7-、8-、9-、または10-ベンゾイソキノリニル、2-、3-、4-、または5-チエノ[2,3-b]フラニル、2-、3-、5-、6-、7-、8-、9-、10-、または11-7H-ピラジノ[2,3-c]カルバゾリル、2-、3-、5-、6-、または7-2H-フロ[3,2-b]-ピラニル、2-、3-、4-、5-、7-、または8-5H-ピリド[2,3-d]-o-オキサジニル、1-、3-、または5-1H-ピラゾロ[4,3-d]-オキサゾリル、2-、4-、または54H-イミダゾ[4,5-d]チアゾリル、3-、5-、または8-ピラジノ[2,3-d]ピリダジニル、2-、3-、5-、または6-イミダゾ[2,1-b]チアゾリル、1-、3-、6-、7-、8-、または9-フロ[3,4-c]シンノリニル、1-、2-、3-、4-、5-、6-、8-、9-、10、または11-4H-ピリド[2,3-c]カルバゾリル、2-、3-、6-、または7-イミダゾ[1,2-b][1,2,4]トリアジニル、7-ベンゾ[b]チエニル、2-、4-、5-、6-、または7-ベンゾオキサゾリル、2-、4-、5-、6-、または7-ベンゾイミダゾリル、2-、4-、4-、5-、6-、または7-ベンゾチアゾリル、1-、2-、4-、5-、6-、7-、8-、または9-ベンゾオキサピニル、2-、4-、5-、6-、7-、または8-ベンゾオキサジニル、1-、2-、3-、5-、6-、7-、8-、9-、10-、または11-1H-ピロロ[1,2-b][2]ベンゾアザピニル(benzazapinyl)が含まれるが、これらに限定されない。典型的な融合ヘテロアリール基には、2-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-キノリニル、1-、3-、4-、5-、6-、7-、または8-イソキノリニル、2-、3-、4-、5-、6-、または7-インドリル、2-、3-、4-、5-、6-、または7-ベンゾ[b]チエニル、2-、4-、5-、6-、または7-ベンゾオキサゾリル、2-、4-、5-、6-、または7-ベンゾイミダゾリル、2-、4-、5-、6-、または7-ベンゾチアゾリルが含まれるが、これらに限定されない。
【0070】
本明細書で用いるとき、「ヘテロシクリル」または「ヘテロシクロ」という用語は、任意に置換された、完全飽和または不飽和、芳香族または非芳香族環基を指し、例えば、それは4から7員単環、7から12員二環または10から15員三環式の環系であり、それは少なくとも1つのヘテロ原子を少なくとも1つの炭素原子含有環内に有する。ヘテロ原子を含有する複素環基の各環は、窒素原子、酸素原子及び硫黄原子から選択された1、2または3個のヘテロ原子を有し得、ここで窒素及び硫黄ヘテロ原子は任意選択的に酸化もされ得る。複素環基はヘテロ原子または炭素原子において付着され得る。
【0071】
例示的な単環式複素環基には、ピロリジニル、ピロリル、ピラゾリル、オキセタニル、ピラゾリニル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、トリアゾリル、オキサゾリル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリニル、イソオキサゾリル、チアゾリル、チアジアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、イソチアゾリジニル、フリル、テトラヒドロフリル、チエニル、オキサジアゾリル、ピペリジニル、ピペラジニル、2-オキソピペラジニル、2-オキソピペリジニル、2-オキソピロロジニル、2-オキソアゼピニル、アゼピニル、4-ピペリドニル(piperidonyl)、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、テトラヒドロピラニル、モルホリニル、チアモルホリニル、チアモルホリニルスルホキシド、チアモルホリニルスルホン、1,3-ジオキソラン及びテトラヒドロ-1,1-ジオキソチエニル、1,1,4-トリオキソ-1,2,5-チアジアゾリジン-2-イルなどが含まれる。
【0072】
例示的な二環式複素環基には、インドリル、ジヒドロインドリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾオキサジニル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチエニル、ベンゾチアジニル、キヌクリジニル、キノリニル、テトラヒドロキノリニル、デカヒドロキノリル、イソキノリニル、テトラヒドロイソキノリル、デカヒドロイソキノリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾピラニル、インドリジニル、ベンゾフリル、クロモニル、クマリニル、ベンゾピラニル、シンノリニル、キノキサリニル、インダゾリル、ピロロピリジル、フロピリジニル(例えば、フロ[2,3-c]ピリジニル、フロ[3,2-b]-ピリジニル]またはフロ[2,3-b]ピリジニル)、ジヒドロイソインドリル、1,3-ジオキソ-1,3-ジヒドロイソインドール-2-イル、ジヒドロキナゾリニル(例えば、3,4-ジヒドロ-4-オキソ-キナゾリニル)、フタラジニルなどが含まれる。
【0073】
例示的な三環式複素環基には、カルバゾリル、ジベンゾアゼピニル、ジチエノアゼピニル、ベンズインドリル、フェナントロリニル、アクリジニル、フェナントリジニル、フェノキサジニル、フェノチアジニル、キサンテニル、カルボリニルなどが含まれる。
【0074】
「ヘテロシクリル」は、以下からなる群より選択された1、2または3つの置換基で置換された本明細書に定義する複素環基をさらに指す:
(a)アルキル、
(b)ヒドロキシ(または保護されたヒドロキシ)、
(c)ハロ、
(d)オキソ、すなわち、=O、
(e)アミノ、アルキルアミノまたはジアルキルアミノ、
(f)アルコキシ、
(g)シクロアルキル、
(h)カルボキシ、
(i)ヘテロシクロオキシ、ここでヘテロシクロオキシは酸素架橋を通して結合された複素環基を示す、
(j)アルキル-O-C(O)--、
(k)メルカプト、
(l)ニトロ、
(m)シアノ、
(n)スルファモイルまたはスルホンアミド、
(o)アリール、
(p)アルキル-C(O)-O--、
(q)アリール-C(O)-O--、
(r)アリール-S--、
(s)アリールオキシ、
(t)アルキル-S--、
(u)ホルミル、すなわち、HC(O)--、
(v)カルバモイル、
(w)アリール-アルキル--、及び
(x)アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシ、アミノ、アルキル-C(O)-NH--、アルキルアミノ、ジアルキルアミノまたはハロゲンで置換されたアリール。
【0075】
本明細書で用いるとき、「アルケニル」という用語は、2から20個の炭素原子を有し、少なくとも1つの2重結合を含有する直鎖または分岐鎖状の炭化水素基を指す。アルケニル基は好ましくは約2から8個の炭素原子を有する。
【0076】
「アリール」という用語は、別段の記述のない限り、多不飽和、芳香族、炭化水素置換基を意味し、これは単環または多環式(好ましくは、1~3環)であり得、これらは共に融合している、または共有結合している。「ヘテロアリール」という用語は、N、O、及びSから選択される1~4個のヘテロ原子を含有するアリール基(または環)を意味し、ここで窒素及び硫黄原子は、任意選択的に酸化され、窒素原子(複数可)は、任意選択的に四級化される。ヘテロアリール基は、ヘテロ原子を介して、分子の残りの部分に付着することができる。アリール及びヘテロアリール基の非限定的な例には、フェニル、1-ナフチル、2-ナフチル、4-ビフェニル、1-ピロリル、2-ピロリル、3-ピロリル、3-ピラゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、ピラジニル、2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、2-フェニル-4-オキサゾリル、5-オキサゾリル、3-イソキサゾリル、4-イソキサゾリル、5-イソキサゾリル、2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル、2-フリル、3-フリル、2-チエニル、3-チエニル、2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル、2-ピリミジル、4-ピリミジル、5-ベンゾチアゾリル、プリニル、2-ベンズイミダゾリル、5-インドリル、1-イソキノリル、5-イソキノリル、2-キノキサリニル、5-キノキサリニル、3-キノリル、及び6-キノリルが含まれる。上記に示したアリール及びヘテロアリール環系のそれぞれについての置換基は、下に記載する許容可能な置換基の群より選択される。
【0077】
簡潔さのため、「アリール」という用語は、他の用語(例えば、アリールオキシ、アリールチオキシ、アリールアルキル)と組み合わせて使用されたとき、上で定義したアリール及びヘテロアリール環の両方を含む。ゆえに、「アリールアルキル」という用語は、炭素原子(例えば、メチレン基)が例えば酸素原子に置き換えられたアルキル基(例えば、フェノキシメチル、2-ピリジルオキシメチル、3-(1-ナフチルオキシ)プロピルなど)を含むアルキル基にアリール基が付着したラジカル(例えば、ベンジル、フェネチル、ピリジルメチルなど)を含むことが意図される。
【0078】
上記の用語(例えば、「アルキル」、「ヘテロアルキル」、「アリール」、及び「ヘテロアリール」)のそれぞれは、示されたラジカルの置換及び非置換形態の両方を含む。それぞれの種類のラジカルの好ましい置換基を、下記に提供する。
【0079】
アルキル及びヘテロアルキルラジカル(アルキレン、アルケニル、ヘテロアルキレン、ヘテロアルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、及びヘテロシクロアルケニルと、多くの場合に呼ばれる基を含む)の置換基は、一般に、それぞれ「アルキル置換基」及び「ヘテロアルキル置換基」と呼ばれ、これらは、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NR-C(NR’R’’R’’’)=NR’’’’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-CN、及び-NOから選択されるが、これらに限定されない1つまたは複数の様々な基であることができ、ここで数はゼロから(2m’+1)の範囲であり、m’は、そのようなラジカルの炭素原子の総数である。R’、R’’、R’’’、及びR’’’’は、それぞれ好ましくは独立して、水素、置換または非置換ヘテロアルキル、置換または非置換アリール、例えば1~3つのハロゲンで置換されるアリール、置換または非置換アルキル、アルコキシ、またはチオアルコキシ基、またはアリールアルキル基を指す。本発明の化合物が1つを越えるR基を含む場合、例えば、それぞれのR基は独立して選択され、各R’、R’’、R’’’、及びR’’’’も、1つを越えるこれらの基が存在する場合、同様である。R’及びR’’が同じ窒素原子に付着している場合、これらは窒素原子と組み合わされて、5員、6員、または7員環を形成することができる。例えば、これらに限定されないが-NR’R’’は1-ピロリジニル及び4-モルホリニルを含むことが意図される。置換基の上記考察から、当業者は、「アルキル」という用語が、ハロアルキル(例えば、-CF及び-CHCF)、及びアシル(例えば、-C(O)CH、-C(O)CF、-C(O)CHOCHなど)などの、水素基以外の基に結合する炭素原子を含む基を含むことが意図されることを理解するだろう。
【0080】
アルキルラジカルについて記載した置換基と同様に、アリール置換基及びヘテロアリール置換基は、一般に、それぞれ「アリール置換基」及び「ヘテロアリール置換基」と呼ばれ、様々であり、例えば:ハロゲン、-OR’、=O、=NR’、=N-OR’、-NR’R’’、-SR’、-ハロゲン、-SiR’R’’R’’’、-OC(O)R’、-C(O)R’、-COR’、-CONR’R’’、-OC(O)NR’R’’、-NR’’C(O)R’、-NR’-C(O)NR’’R’’’、-NR’’C(O)R’、-NR-C(NR’R’’)=NR’’’、-S(O)R’、-S(O)R’、-S(O)NR’R’’、-NRSOR’、-CN及び-NO、-R’、-N、-CH(Ph)、フルオロ(C~C)アルコキシ及びフルオロ(C~C)アルキルから選択され、ここで数はゼロから芳香族環系の空原子価(open valence)の総数の範囲であり、R’、R’’、R’’’、及びR’’’’は、好ましくは、水素、(C~C)アルキル及びヘテロアルキル、非置換アリール及びヘテロアリール、(非置換アリール)-(C~C)アルキル、及び(非置換アリール)オキシ-(C~C)アルキルから独立して選択される。本発明の化合物が1つを越えるR基を含む場合、例えば、それぞれのR基は独立して選択され、各R’、R’’、R’’’、及びR’’’’基も、1つを越えるこれらの基が存在する場合、同様である。
【0081】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上のアリール置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-T-C(O)-(CRR’)-U-の置換基に置き換えられてよく、式中、T及びUは独立して、-NR-、-O-、-CRR’-、または単結合であり、qは、0から3の整数である。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-A-(CH-B-の置換基に置き換えられてよく、式中、A及びBは独立して、-CRR’-、-O-、-NR-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、-S(O)NR’-、または単結合であり、rは、1から4の整数である。そのように形成された新規環の単結合のうちの1つは、任意選択的に二重結合と置き換えられてよい。あるいは、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基のうちの2つは、任意選択的に、式-(CRR’)-X-(CR’’R’’’)-の置換基に置き換えられてよく、式中、s及びdは、独立して0~3の整数であり、Xは、-O-、-NR’-、-S-、-S(O)-、-S(O)-、または-S(O)NR’-である。置換基R、R’、R’’、及びR’’’は、好ましくは独立して、水素または置換または非置換(C~C)アルキルから選択される。
【0082】
本明細書で用いるとき、「ヘテロ原子」という用語は、酸素(O)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)、及びケイ素(Si)を含む。
【0083】
本明細書で用いるとき、「アリールオキシ」という用語は、-O-アリール及び-O-ヘテロアリール基の両方を指し、ここでアリール及びヘテロアリールは本明細書に定義される。
【0084】
本明細書で用いるとき、「薬学的に許容され得る塩」という用語は、本発明の化合物の生物学的有効性及び特性を保持する塩を指し、これは生物学的またはその他において望ましくないものではない。多くの場合、本発明の化合物は、アミノ及び/またはカルボキシル基またはそれらに類似の基(例えば、フェノールまたはヒドロキサム酸)の存在によって、酸及び/または塩基塩を形成することができる。薬学的に許容され得る酸付加塩は、無機酸及び有機酸を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機酸としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、などが挙げられる。塩を誘導することができる有機酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、サリチル酸などが挙げられる。薬学的に許容され得る塩基付加塩は、無機及び有機塩基を用いて形成することができる。塩を誘導することができる無機塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、アルミニウムなどが挙げられ;特に好ましいのは、アンモニウム、カリウム、ナトリウム、カルシウム及びマグネシウム塩である。塩を誘導することができる有機塩基としては、例えば、第一、第二、及び第三級アミン、天然に生じる置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、塩基性イオン交換樹脂など、具体的には例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、及びエタノールアミンが挙げられる。本発明の薬学的に許容され得る塩は、従来の化学的方法により、親化合物、塩基性または酸性部分から合成されることができる。一般に、そのような塩は、これらの化合物の遊離酸形態を化学量論量の適切な塩基(例えば、Na、Ca、Mg、またはK水酸化物、カーボネート、バイカーボネート、など)と反応させることにより、またはこれらの化合物の遊離塩基形態を化学量論量の適切な酸と反応させることにより調製することができる。そのような反応は、典型的には、水中または有機溶媒中、またはこの2つの混合物中で実行される。一般に、実行可能な場合、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水性媒体が好ましい。追加の好適な塩のリストは、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第20版,Mack Publishing Company,ペンシルベニア州イーストン(1985)に見出すことができ、これは参照により本明細書に組み込まれる。
【0085】
本明細書で用いるとき、「薬学的に許容され得る担体/賦形剤」という用語は、任意及び全ての溶媒、分散媒、被覆剤、界面活性剤、抗酸化剤、保存剤(例えば、抗菌剤、抗真菌剤)、等張剤、吸収遅延剤、塩、薬物、薬物安定化剤、結合剤、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、甘味剤、香味剤、色素、そのような素材及びそれらの組み合わせを含み、これらは当業者に周知であるだろう(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版.Mack Printing Company,1990,pp.1289-1329を参照されたい)。任意の従来の担体が活性成分と不適合でない場合を除き、療法剤または医薬組成物におけるその使用が企図される。
【0086】
本明細書で用いるとき、「対象」という用語は動物を指す。好ましくは、動物は哺乳類である。対象は、例えば、霊長類(例えば、ヒト)、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウス、魚類、鳥類なども指す。好ましい実施形態では、対象はヒトである。
【0087】
本明細書で用いるとき、「療法剤(therapeutic)の組み合わせ」または「組み合わせ」と言う用語は、1つまたは複数の活性薬物質、つまり治療的有用性を有する化合物の組み合わせを指す。典型的には、本発明の療法剤の組み合わせにおける各そのような化合物は、その化合物および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物に存在するだろう。本発明の療法剤の組み合わせにおける化合物は、レジメンの一部として、同時にまたは別々に投与され得る。
【0088】
II.組成物
概して、本発明は、療法剤の組み合わせ、医薬組成物、および組み合わせ治療を用いて癌を治療する方法を提供する。より具体的には、免疫療法剤(例えば、先天免疫におけるDCを活性化するおよび適応免疫と連結するトール様受容体リガンド「TLRL」を用いて)ならびに標的療法(例えば、PD-L/PD-1 Axis拮抗剤)の組み合わせが、胃癌および肺癌のような癌を治療するために用いられる。
【0089】
1つの態様では、本発明は、(i)有効量のPD-L/PD-1 Axis拮抗剤、(ii)ヒト樹状細胞、NK細胞、単球、マクロファージ、もしくは腫瘍細胞、またはそれらの組み合わせを活性化し得る有効量の免疫療法剤、及び任意選択的に(iii)1つまたは複数の薬学的に許容される担体を含む、療法剤の組み合わせ、または医薬組成物を提供する。
【0090】
療法剤の組み合わせは、標的療法剤および免疫療法剤の両方が一緒に投与され得るように単一の医薬組成物に提供され得る。代わりの実施形態では、療法剤の組み合わせは、2つ以上の医薬組成物を用いて提供され得る。そのような実施形態では、標的療法剤は、1つの医薬組成物に提供され、免疫療法剤は第2の医薬組成物に提供されて、2つの化合物が、例えば、異なる時間に投与される、異なる投与経路により投与される等のように、別々に投与され得る。従って、異なる投与レジメンにおける標的療法剤および免疫療法剤を提供することも可能になり得る。
【0091】
特に示さない限り、化合物への参照は、任意の異性体(例えば、ジアステレオマーまたはエナンチオマー)、塩、溶媒和物、多形体等を含む任意の薬学的に許容される形態の化合物を含む。特に、化合物が光学活性の場合、化合物への参照は、化合物のエナンチオマーのそれぞれおよび該エナンチオマーのラセミ体混合物を含む。
【0092】
一般的に、標的療法剤および免疫療法剤は、例えば共有結合性リンカーにより、互いに連結していない。
【0093】
A.PD-L/PD-1 Axis拮抗剤
一般的に、本明細書で提供される組み合わせは、PD-L1、PD-L2またはPD-1のような特定の標的と特異的に結合し得るPD-L/PD-1 Axis拮抗剤のような実体を含む。実体は、非標的と比べて特異的または優先的にPD-L1、PD-L2、またはPD-1と結合し得る。
【0094】
本明細書において「特異的に結合する」または「優先的に結合する」とは、2つの結合パートナー間(例えば、標的部分とその結合パートナー間)の結合が、2つの結合パートナーに対して選択的であり、望ましくないまたは非特異的な相互作用と区別され得ることを意味する。例えば、特定の抗原決定基に結合するための抗原結合部分の能力は、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)または、当業者に周知の他の技術、例えば、表面プラズモン共鳴技術(BIAcore機器により分析)(Liljebladら、Glyco J 17,323-329(2000))、及び伝統的な結合アッセイ(Heeley,Endocr Res 28,217-229(2002))のいずれかを通して測定することができる。「抗-[抗原]抗体」及び「[抗原]に結合する抗体」という用語は、抗体が抗原を標的する診断剤及び/または治療剤として有用であるように、十分な親和性を伴ってそれぞれの抗原に結合することができる抗体を意味する。いくつかの実施形態では、無関係のタンパク質への抗-[抗原]抗体の結合の程度が、例えばラジオイムノアッセイ(RIA)により測定して、抗原への抗体の結合の約10%未満である。いくつかの実施形態では、[抗原]に結合する抗体は、1μΜ未満、100nΜ未満、10nΜ未満、1nΜ未満、0.1nΜ未満、0.01nΜ未満、または0.001nΜ未満(例えば、10-8M以下、例えば10-8M~10-13M、例えば10-9M~10-13M)の解離定数(KD)を有する。上記の定義は、抗原に結合する抗原結合部分にも適用可能であることが理解されたい。
【0095】
本明細書において「PD-L/PD-1 Axis拮抗剤」とは、T細胞機能(例えば、増殖、サイトカイン産生、標的細胞死滅)を回復または増強することとなる、PD-L/PD-1シグナル伝達axis上のシグナル伝達からもたらされるT細胞機能障害を除去するように、1つまたは複数のPD-L/PD-1 axisの結合パートナーのいずれかとのPD-L/PD-1 axis結合パートナーの相互作用を阻害する分子を意味する。本明細書に記載されるように、PD-L/PD-1 Axis拮抗剤は、PD-1結合拮抗剤、PD-L1結合拮抗剤及びPD-L2結合拮抗剤を含む。
【0096】
本明細書において「PD-1結合拮抗剤」とは、PD-L1、PD-L2のような、1つまたは複数のPD-1結合パートナーとのPD-1の相互作用からもたらされるシグナル伝達を低減する、遮蔽する、阻害する、破棄する、または妨害する分子を意味する。いくつかの実施形態では、PD-1結合拮抗剤は、PD-1の結合パートナーとのPD-1の結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-1結合拮抗剤は、PD-1のPD-L1及び/またはPD-L2への結合を阻害する。例えば、PD-1結合拮抗剤は、PD-L1及び/またはPD-L2とのPD-1の相互作用からもたらされるシグナル伝達を低減する、遮蔽する、阻害する、破棄する、または妨害する抗PD-1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチドおよび他の分子を含む。1つの実施形態では、PD-1結合拮抗剤は、機能障害T細胞をより少ない機能障害状態にする(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増大する)ように、PD-1を介したTリンパ球仲介シグナル伝達に発現する細胞表面タンパク質によりまたはそれを介して仲介される陰性同時刺激シグナル伝達を低減する。いくつかの実施形態では、PD-1結合拮抗剤は、抗PD-1抗体である。特定の態様では、PD-1結合拮抗剤は、本明細書に記載のMDX-1106である。別の特定の態様では、PD-1結合拮抗剤は、本明細書に記載のMerck 3745である。別の特定の態様では、PD-1結合拮抗剤は、本明細書に記載のCT-011である。
【0097】
本明細書に記載の「PD-L1結合拮抗剤」とは、PD-1、B7-1のような、1つまたは複数のPD-L1の結合パートナーのいずれかとのPD-L1の相互作用からもたらされるシグナル伝達を低減する、遮蔽する、阻害する、破棄する、または妨害する分子を意味する。いくつかの実施形態では、PD-L1結合拮抗剤は、PD-L1のその結合パートナーとの結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L1結合拮抗剤は、PD-1及び/またはB7-1へのPD-L1の結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD-L1結合拮抗剤は、PD-1、B7-1のような、1つまたは複数のPD-L1の結合パートナーとのPD-L1の相互作用からもたらされるシグナル伝達を低減する、遮蔽する、阻害する、破棄する、または妨害する抗PD-L1抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド及び他の分子を含む。1つの実施形態では、PD-L1結合拮抗剤は、機能障害T細胞をより少ない機能障害状態にする(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増大する)ように、PD-L1を介したTリンパ球仲介シグナル伝達に発現する細胞表面タンパク質によりまたはそれを介して仲介される陰性同時刺激シグナル伝達を低減する。いくつかの実施形態では、PD-L1結合拮抗剤は、抗PD-L1抗体である。いくつかの特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のYW243.55.S70である。別の特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のMDX-1105である。さらに別の特定の態様では、抗PD-L1抗体は、本明細書に記載のMPDL3280Aである。
【0098】
本明細書における「PD-L2結合拮抗剤」とは、PD-1のような、1つまたは複数のPD-L2の結合パートナーとのPD-L2の相互作用からもたらされるシグナル伝達を低減する、遮蔽する、阻害する、破棄する、または妨害する分子を意味する。いくつかの実施形態では、PD-L2結合拮抗剤は、PD-L2の結合パートナーとのPD-L2の結合を阻害する分子である。特定の態様では、PD-L2結合拮抗剤は、PD-1へのPD-L2の結合を阻害する。いくつかの実施形態では、PD-L2拮抗剤は、PD-1のような、1つまたは複数のPD-L2の結合パートナーとのPD-L2の相互作用からもたらされるシグナル伝達を低減する、遮蔽する、阻害する、破棄する、または妨害する抗PD-L2抗体、その抗原結合断片、イムノアドヘシン、融合タンパク質、オリゴペプチド及び他の分子を含む。1つの実施形態では、PD-L2結合拮抗剤は、機能障害T細胞をより少ない機能障害(例えば、抗原認識へのエフェクター応答を増大する)するように、PD-L2を介したTリンパ球仲介シグナル伝達に発現する細胞表面タンパク質によりまたはそれを介して仲介される陰性同時刺激シグナル伝達を低減する。いくつかの実施形態では、PD-L2結合拮抗剤は、イムノアドヘシンである。
【0099】
抗体
いくつかの実施形態では、標的療法剤は、抗体、またはその機能性断片を含む。
【0100】
本明細書において「免疫グロブリン」または「抗体」とは、完全長(すなわち、天然に生じる、または正常な免疫グロブリン遺伝子断片組み換えプロセスにより形成される)免疫グロブリン分子(例えば、IgG抗体)、または抗体断片のような免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な(すなわち、特異的に結合する)部分を意味する。抗体または抗体断片は、特許請求する主題の範囲内でコンジュゲートされ得るか、別様に誘導体化され得る。そのような抗体には、IgG1、lgG2a、IgG3、IgG4(及びIgG4サブフォーム)、ならびにIgAアイソタイプが含まれる。
【0101】
本明細書における「抗体」いう用語は、最も広い意味で使用され、それらが所望の抗原結合活性を呈し、Fc領域または免疫グロブリンのFc領域に等しい領域を含む限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、多特異的抗体(例えば、二重特異的抗体)、及び抗体断片を含むが、これらに限定されない様々な抗体構造を包含する。「完全長抗体」、「インタクト抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書において互換可能に使用され、未変性抗体構造と実質的に類似した構造を有する、または本明細書に定義するFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指す。
【0102】
本明細書において「未変性抗体」とは、様々な構造を有する天然に生じる免疫グロブリン分子を意味する。例えば、未変性IgG抗体は、ジスルフィド結合している2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖から構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。NからC末端まで、各重鎖は、可変重鎖ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、重鎖定常領域とも呼ばれる3つの定常ドメイン(CHI、CH2、及びCH3)がその後に続く。同様に、NからC末端まで、各軽鎖は、可変軽鎖ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、軽鎖定常領域とも呼ばれる定常軽鎖(CL)ドメインがその後に続く。抗体の軽鎖を、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの型のうちの1つに割り当ててよい。
【0103】
本明細書において「抗体断片」とは、インタクト抗体が結合する抗原を結合するインタクト抗体の一部を含むインタクト抗体以外の分子を意味する。抗体断片の例には、Fv、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、ダイアボディ、線状抗体、一本鎖抗体分子(例えば、scFv)、単一ドメイン抗体、及び抗体断片から形成される多特異的抗体が含まれるが、これらに限定されない。ある特定の抗体断片の概説には、例えば、Hudsonら、Nat Med 9,129-134(2003)を参照されたい。scFv断片の概説には、例えば、Pliickthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,第113版,Rosenburg and Moore編,Springer-Verlag,NewYork,pp.269-315(1994)を参照されたく;また国際公開第93/16185号;及び米国特許第5,571,894号明細書及び同第5,587,458号明細書も参照されたい。再利用受容体結合エピトープ残基を含み、増加したインビボ半減期を有するFab及びF(ab’)2断片の考察には、米国特許第5,869,046号明細書を参照されたい。ダイアボディは、二価または二重特異的であり得る2つの抗原結合部位を伴う抗体断片である。例えば、欧州特許第404,097号明細書;国際公開第1993/01161;Hudsonら、Nat Med 9,129-134(2003);及びHollingerら、Proc Natl Acad Sci USA 90,6444-6448(1993)を参照されたい。トリアボディ及びテトラボディも、Hudsonら、Nat Med 9,129-134(2003)に記載されている。単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てまたは一部、または軽鎖可変ドメインの全てまたは一部を含む抗体断片である。ある特定の実施形態では、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,マサチューセッツ州ウォルサム;例えば米国特許第6,248,516B1号明細書を参照されたい)。抗体断片は、本明細書に記載されているように、インタクト抗体のタンパク質分解性消化、ならびに組み換え宿主細胞(例えば、大腸菌またはファージ)による産生を含むが、これらに限定されない様々な技術により作製することができる。
【0104】
本明細書において「抗原結合ドメイン」とは、抗原の一部または全てに特異的に結合し、相補的である領域を含む抗体の部分を意味する。抗原結合ドメインは、例えば、1つまたは複数の抗体可変ドメイン(抗体可変領域とも呼ばれる)により提供され得る。具体的には、抗原結合ドメインは、抗体軽鎖可変領域(VL)及び抗体重鎖可変領域(VH)を含む。
【0105】
本明細書において「可変領域」または「可変ドメイン」とは、抗体の抗原への結合に関与する抗体重鎖または軽鎖のドメインを意味する。未変性抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は、一般に同様の構造を有し、各ドメインは、4つの保存フレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む。例えば、Kindtら、Kuby Immunology,第6版,W.H.Freeman and Co.,page 91(2007)を参照されたい。単一のVHまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。
【0106】
本明細書において「超可変領域」または「HVR」とは、配列において超可変である及び/または構造的に規定されたループ(「超可変ループ」)を形成する、抗体可変ドメインのそれぞれの領域を意味する。一般に、未変性4鎖抗体は、6つのHVR、すなわちVHにおいて3つ(HI、H2、H3)、及びVLにおいて3つ(LI、L2、L3)を含む。HVRは、一般に、超可変ループ由来及び/または相補性決定領域(CDR)由来のアミノ酸残基を含み、後者は、配列可変性が一番高いものである及び/または抗原認識に関与する。VHにおけるCDR1を除いて、CDRは、一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。超可変領域(HVR)は、「相補性決定領域」(CDR)とも呼ばれ、これらの用語は、抗原結合領域を形成する可変領域の部分の参照に際し、本明細書において互換可能に使用される。この特定の領域は、Kabatら、U.S.Dept.of Health and Human Services,Sequences of Proteins of Immunological Interest(1983)及びChothiaら、J Mol Biol 196:901-917(1987)により記載されており、定義には、互いに比較したときの、アミノ酸残基の重複またはサブセットが含まれる。いずれにしても、抗体またはその変異体のCDRを参照するいずれかの定義の適用は、本明細書において定義及び使用される用語の範囲内であることが意図される。特定のCDRを包含する正確な残基数は、CDRの配列及びサイズに応じて変わるだろう。当業者は、抗体の可変領域アミノ酸配列を考慮して、どの残基が特定のCDRを含むかについて日常的に決定することができる。
【0107】
本発明の抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、または抗体融合タンパク質であることができる。
【0108】
本明細書において「キメラ抗体」とは、1つの種から誘導された抗体、好ましくは齧歯類抗体、より好ましくはネズミ抗体の相補性決定領域(CDR)を含み、一方で、抗体分子の定常ドメインは、ヒト抗体のものから誘導される、重及び軽抗体鎖の両方の可変ドメインを含有する組み換えタンパク質を意味する。獣医用途では、キメラ抗体の定常ドメインは、類人霊長類、ネコ、またはイヌなどの他の種のものから誘導され得る。
【0109】
本明細書において「ヒト化抗体」とは、1つの種からの抗体、例えば齧歯類抗体由来のCDRが、齧歯類抗体の重及び軽可変鎖からヒト重及び軽可変ドメインに移される、組み換えタンパク質を意味する。抗体分子の定常ドメインは、ヒト抗体のものから誘導される。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体のフレームワーク領域の特定の残基、特に、CDR配列に接触するまたは近いものは、改変され得、例えば元の齧歯類、類人霊長類、または他の抗体由来の対応する残基に置き換えられ得る。
【0110】
本明細書において「ヒト抗体」とは、例えば、抗原攻撃に応答して特定のヒト抗体を産生するように「操作」されているトランスジェニックマウスから得た抗体を意味する。この技術では、ヒト重鎖及び軽鎖座の要素を、内在性重鎖及び軽鎖座の標的破壊を含有する胚性幹細胞株に由来するマウスの系統に導入する。トランスジェニックマウスは、ヒト抗原に特異的なヒト抗体を合成することができ、該マウスを使用して、ヒト抗体分泌ハイブリドーマを産生することができる。トランスジェニックマウスからヒト抗体を取得する方法は、Greenら、Nature Genet.7:13(1994),Lonbergら、Nature 368:856(1994)、及びTaylorら、Int.Immun.6:579(1994)に記載されている。完全なヒト抗体も、遺伝子または染色体形質移入法、ならびにファージディスプレー技術により構築することができ、これらは全て当該分野で既知である。免疫化されていないドナー由来の免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーからの、インビトロでのヒト抗体及びその断片の産生について、例えば、McCaffertyら、Nature 348:552-553(1990)を参照されたい。この技術において、抗体可変ドメイン遺伝子は、繊維状バクテリオファージの主要外殻タンパク質遺伝子または非主要外殻タンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングされ、機能的抗体断片としてファージ粒子の表面に提示される。繊維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能特性に基づく選択はまた、それらの特性を呈する抗体をコードする遺伝子を選択する結果となる。このように、ファージは、B細胞の特性のいくつかを模倣する。ファージディスプレーは、様々な形式で行なうことができ、これらの概説には、例えばJohnson and Chiswell,Current Opinion in Structural Biology 3:5564-571(1993)を参照されたい。ヒト抗体は、インビトロ活性化B細胞によっても生成され得る。その全体において参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第5,567,610号明細書及び同第5,229,275号明細書を参照されたい。
【0111】
本明細書において「抗体融合タンパク質」とは、2つ以上の同じまたは異なる自然抗体、一本鎖抗体、または同じまたは異なる特異性を有する抗体断片セグメントが結合している、組み換え的に産生された抗原結合分子を意味する。融合タンパク質は、少なくとも1つの特異的結合部位を含む。融合タンパク質の原子価は、抗原(複数可)またはエピトープ(複数可)に対して、融合タンパク質が有する結合アームまたは部位の総数を示し、すなわち、一価、二価、三価、または多価である。抗体融合タンパク質の多価性は、抗原への結合において複数の相互作用を利用することができ、したがって抗原または異なる抗原への結合の結合活性を増加させることを意味する。特異性は、抗体融合タンパク質がいくつの異なる種類の抗原またはエピトープに結合できるか、すなわち、単一特異性、二重特異性、三重特異性、多重特異性を示す。これらの定義を使用すると、自然抗体、例えばIgGは、2つの結合アームを有するので二価であるが、1種類の抗原またはエピトープに結合するので単一特異性である。単一特異性の多価融合タンパク質は、同じ抗原またはエピトープに対して1つを越える結合部位を有する。例えば、単一特異性ダイアボディは、同じ抗原に反応する2つの結合部位を有する融合タンパク質である。融合タンパク質は、異なる抗体成分または同じ抗体成分の複数コピーの多価または多重特異性の組み合わせを含み得る。融合タンパク質は、追加的に治療剤を含み得る。
【0112】
いくつかの実施形態では、標的部分は、それらの全体において参照により本明細書に組み込まれる、米国特許第8,518,404号明細書、同第8,513,390号明細書、及び米国特許出願公開第2012/0237977号明細書、同第2012/0149061号明細書、同第2013/0150558号明細書に記載のものなどのプロ抗体(probody)を含む。
【0113】
プロ抗体は、癌微小環境内で選択的に活性化されるモノクローナル抗体であり、治療抗体の活性を腫瘍に集中させ、健常組織を温存する。
【0114】
一般に、プロ抗体(porbody)は、標的と特異的に結合することができる、少なくとも抗体またはその抗体断片(まとめて「AB」と呼ばれる)を含み、ここでABはマスキング部分(MM)により改変される。ABがMMで改変され、標的の存在下にあるとき、その標的へのABの特異的結合は、該標的へのMMで改変されていないABの特異的結合または親ABの特異的結合と比べて、低減されるかまたは阻害される。ABに対するMMの解離定数(Kd)は、概して標的に対するABのKdより大きい。ABがMMで改変されており標的の存在下にあるとき、その標的へのABの特異的結合は、該標的へのMMで改変されていないABの特異的結合または親ABの特異的結合と比べて低減されるまたは阻害され得る。ABがMMに結合またはMMにより改変されているとき、MMは、その標的へのABの特異的結合を「マスクする」または低減する、または阻害することができる。ABがMMに結合またはMMにより改変されているとき、そのような結合または改変は、その標的に特異的に結合するABの能力を低減するまたは阻害する構造変化に影響することができる。
【0115】
いくつかの実施形態では、プロ抗体は、MMにより改変されたABが1つまたは複数の切断可能部分(CM)をさらに含むことができる、活性化可能抗体(AA)である。そのようなAAは、ABの標的に活性化可能/切り替え可能な結合を呈する。AAは、マスキング部分(MM)により改変されたまたはMMに結合している抗体または抗体断片(AB)及び改変可能または切断可能部分(CM)を一般に含む。いくつかの実施形態では、CMは対象となるプロテアーゼの基質として役割を果たすアミノ酸配列を含有する。他の実施形態では、CMは、還元により切断可能なシステイン-システインジスルフィド結合を提供する。さらに他の実施形態では、CMは、光分解によって活性化可能な光分解基質を提供する。
【0116】
AAのCM及びABは、ABが、対象となる標的の結合部分を表し、CMが対象内の処置部位で標的と共局在化するプロテアーゼの基質を表すように選択され得る。あるいはまたは加えて、CMは、このジスルフィド結合の還元の結果として切断可能なシステイン-システインジスルフィド結合である。AAは、プロテアーゼ-切断可能CMまたはシステイン-システインジスルフィド結合の少なくとも1つを含有し、いくつかの実施形態では両種類のCMを含む。AAは、あるいはまたはさらに、光源により活性化可能な感光性基質を含むことができる。本明細書に開示のAAは、例えば、CM内の部位を切断することができるプロテアーゼが、非処置部位内(例えば健常組織内)の組織よりも、比較的高レベルで、処置部位の標的含有組織内(例えば患部組織、例えば、治療的処置または診断的処置用)に存在する場合に、特定の用途を見出す。本明細書に開示のAAは、例えば、CM内の部位を還元することができる還元剤が、非処置非診断部位の組織内よりも、比較的高レベルで、処置または診断部位の標的含有組織内に存在する場合にも、特定の用途を見出す。本明細書に開示のAAは、CM内の部位を光分解することができる、例えば、レーザーによる、例えば、光源が、処置または診断部位の標的含有組織へと導入される場合にも、特定の用途を見出す。
【0117】
いくつかの実施形態では、AAは、ABがマスクされなかったら、あるいはその標的を結合することから阻害されなかったら、非処置部位でのABの結合から生じ得る毒性及び/または有害副作用の低減を提供することができる。AAが、ジスルフィド結合の還元を促進する還元剤により切断可能なCMを含有する場合、そのようなAAのABは、環境が例えば非処置部位の環境よりも高い還元電位であるように、上昇した還元剤のレベルを特徴とする所望の処置部位に対象となる標的が存在し得る場合に、ABの活性化を活用するように選択され得る。
【0118】
一般に、AAは、構造的に拘束されたときに、MMがABのマスキングまたはその標的へのABの結合の還元を提供するように、対象となるABを選択すること及びAAの残りを構築することにより設計されることができる。この機能的特性を提供するために考慮すべき構造的設計要件。
【0119】
抗PD-1抗体
いくつかの実施形態では、TMは、モノクローナル抗PD-1抗体である。
【0120】
プログラム死-1(「PD-1」)は、PD-L1の受容体である(CD274、B7-H1またはB7-DCとしても知られている)。PD-1は、T細胞レギュレータの拡張されたCD28/CTLA4ファミリーのメンバーである、おおよそ31kD型1膜タンパク質である(Ishida, Y. ら (1992) EMBO J. 11:3887-3895、米国特許出願公開第2007/0202100号明細書、同第2008/0311117号明細書、同第2009/00110667号明細書、米国特許第6,808,710号明細書、同第7,101,550号明細書、同第7,488,802号明細書、同第7,635,757号明細書、7,722,868号明細書、国際公開第01/14557号)。CTLA4と比較すると、PD-1は、免疫応答をより広く負にレギュレートする。
【0121】
PD-1は、活性化されたT細胞、B細胞、及び単球に発現される (Agata, Y.ら. (1996) Int. Immunol. 8(5):765-772;Yamazaki, T.ら. (2002 J. Immunol. 169:5538-5545) and at low levels in natural killer (NK) T cells (Nishimura, H.ら. (2000) J. Exp. Med. 191:891-898;Martin-Orozco, N.ら. (2007), Semin. Cancer Biol. 17(4):288-298)。
【0122】
PD-1の細胞外領域は、CTLA4における等価なドメインと23%同一な単一免疫グロブリン(Ig)Vドメインからなる(Martin-Orozco, N. ら. (2007) Semin. Cancer Biol. 17(4):288-298)。細胞外のIgVドメインは、膜貫通領域及び細胞内尾の前にある。細胞内尾は、免疫受容体チロシン系阻害モチーフ及び免疫受容体チロシン系スイッチモチーフに位置する2つのリン酸化部位を含み、このことはPD-1がTCRシグナルを負にレギュレートすることを示唆する(Ishida, Y.ら. (1992 EMBO J. 11:3887-3895;Blank, C.ら. (Epub 2006 Dec. 29) Immunol. Immunother. 56(5):739-745)。
【0123】
マウスPD-1に免疫特異的に結合することができる抗体が報告されている (例えば、Agata, T.ら. (1996) Int. Immunol. 8(5):765-772を参照)。
【0124】
抗PD-1抗体はPD-1に結合し、T細胞機能を増強して細胞性仲介免疫応答をアップレギュレートし、例えば腫瘍免疫のようなT細胞機能障害疾患の治療に用いる。
【0125】
いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、MK-3475(以前はランブロリズマブ、Merck)、AMP-514、AMP-224(MedImmune / AstraZeneca)、BMS-936558(MDX-1106、Bristol-Myers Squibb)、またはCT-011(Curetech)である。
【0126】
ペンブロリズマブ(MK-3475)は、抗腫瘍免疫を再活性化するように設計されたヒト化モノクローナル抗PD-1抗体である。ペンブロリズマブは、PD-1のそのリガンドPD-L1およびPD-L2とのT細胞上のPD-1の相互作用を阻害することによって、PD-1経路の二重リガンド遮断に影響を与える。
【0127】
いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、米国特許第8,354,509号明細書および米国特許第8,168,757号明細書に開示されている抗体の1つであり、その開示の全体が参照をもって組み込まれる。
【0128】
ニボルマブ(BMS-936558またはMDX1106としても知られている)は、癌の治療のためにBristol-Myers Squibbによって開発された完全ヒトIgG4モノクローナル抗体である。
【0129】
いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、国際公開第2004/056875号、米国特許第7,488,802号明細書および米国特許第8,008,449号明細書に開示されている抗体の1つであり、その開示の全体が参照もって組み込まれる。
【0130】
AMP-514およびAMP-224は、MedImmuneによって買収されたAmplimmuneによって開発された抗プログラム細胞死1(PD-1)モノクローナル抗体(mAb)である。
【0131】
いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、米国特許出願公開第2014/0044738号明細書に開示されている抗体の1つであり、その開示の全体が参照をもって組み込まれる。
【0132】
いくつかの実施形態では、6つのCDRは、(A)抗PD-1抗体1E3の3つの軽鎖および3つの重鎖CDR;(B)抗PD-1抗体1E8の3つの軽鎖および3つの重鎖CDR;または(C)抗PD-1抗体1H3の3つの軽鎖および3つの重鎖CDRである。
【0133】
ピジリズマブ(CT-011)は、イスラエルに拠点を置くCuretech Ltd.によって開発された抗PD-1モノクローナル抗体である。
【0134】
いくつかの実施形態では、抗PD-1抗体は、米国特許出願公開第2008/0025980号明細書および同第2013/0022595号明細書に記載されている抗体の1つであり、その開示全体が参照をもって組み込まれる。
【0135】
抗PD-L1抗体
いくつかの実施形態では、TMはモノクローナル抗PD-L1抗体である。
【0136】
プログラム細胞死1リガンド1(PD-L1、CD274およびB7-H1としても知られている)は、活性化T細胞、B細胞、骨髄細胞およびマクロファージに見られるPD-1のリガンドである。PD-1のために、PD-L1およびPD-L2の2つの内因性リガンドが存在するが、抗腫瘍療法剤は抗PD-L1抗体に重点が置かれている。PD-1とPD-L1の複合体は、CD8 + T細胞の増殖を阻害し、免疫応答を低減させる(Topalianら、2012、N Engl J Med 366:2443-54;Brahmerら、2012、N Eng J Med、366:2455-65)。抗PD-L1抗体は、非小細胞肺癌、メラノーマ、結腸直腸癌、腎細胞癌、膵臓癌、胃癌、卵巣癌、乳癌および血液悪性腫瘍の治療に使用されている(Brahmer ら、N Eng J Med 366:2455-65;Ottら、2013、Clin Cancer Res 19:5300-9;Radvanyiら、2013、Clin Cancer Res 19:5541;Menzies&Long、2013、Ther Adv Med Oncol 5:278-85;Bergerら、2008、Clin Cancer Res 14:13044-51)。PD-L1は、APCおよび活性化T細胞を含む多くの細胞種で発現されるB7ファミリーのメンバーである(Yamazakiら(2002)J.Immunol.169:5538).PD-L1はPD-1 およびB7-1の両方に結合する。PD-L1によるT細胞発現B7-1の結合およびB7-1によるT細胞発現PD-L1の結合の両方は、T細胞阻害を生じる(Butteら(2007)Immunity 27: 111)。また、他のB7ファミリーのメンバーと同様に、PD-L1もT細胞に共刺激シグナルを与えることができる(Subudhiら(2004)J. Clin. Invest. 113:694;Tamuraら(2001) Blood 97:1809)。
【0137】
本明細書において「PD-L1」とは、特に明記しない限り、完全長ポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を有する細胞及び/またはその断片によって自然に発現される任意の変異体もしくは異性体を含むことを意味する。さらに、「PD-L1」という用語は、PD-L1(Freemanら(2000)J.Exp. Med.29:1027)および細胞によって自然に発現される任意の変異体もしくは異性体、及び/または完全長ポリペプチドの少なくとも1つの生物学的活性を有するそれらの断片を含む。例えば、ヒトを含む異なる種からのPD-L1配列は、当技術分野において周知である(例えば,参照をもって全体が本明細書に組み込まれる、ヒトおよびマウスのPD-L1の配列を開示している、Chen ら, 米国特許第6,803,192号明細書;ヒトPD-L1配列を開示している、Woodら., 米国特許第7,105,328号明細書を参照。
【0138】
抗PD-L1抗体はPD-L1に結合し、T細胞機能を増強して細胞性免疫応答をアップレギュレートし、腫瘍免疫などのT細胞機能障害疾患の治療に用いる。
【0139】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、MPDL3280AおよびYW243.55.S70(Genentech / Roche)、MEDI-4736(MedImmune / AstraZeneca)、BMS-936559(MDX-1105、Bristol-Myers Squibb)、ならびにMSB0010718C(EMD Serono/Merck KGaA)である。
【0140】
MPDL3280A(Genentech)は、腫瘍細胞および腫瘍浸潤免疫細胞上に発現されたPD-L1を標的とするように設計された操作された抗PD-L1抗体である。MPDL3280Aは、PD-L1がPD-1およびB7.1に結合するのを防止するように設計されている。PD-L1のこの遮断は、T細胞の活性化を可能にし、腫瘍細胞を検出して攻撃するそれらの能力を回復させる。MPDL3280Aは、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を最小限に抑えて有効性と安全性を最適化するように設計された、操作された断片結晶化可能(Fc)ドメインを含む。
【0141】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、米国特許第7,943,743号明細書に開示されている抗体の1つであり、その開示の全体が参照をもって組み込まれる。
【0142】
BMS-936559(MDX-1105、Bristol-Myers Squibb)は、PD-1およびCD80の両方へのPD-L1リガンドの結合を阻害する完全ヒトIgG4抗PD-L1 mAbである。
【0143】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、米国特許第7,943,743号明細書に開示されている抗体の1つであり、その開示の全体が参照をもって組み込まれる。
【0144】
MSB0010718C(Merck KGaA EMD Serono)は、PD-L1に結合する完全ヒトIgG1モノクローナル抗体である。
【0145】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、国際公開第2013/079174号に開示されている抗体の1つであり、その開示の全体が参照をもって組み込まれる。
【0146】
MEDI4736(MedImmune / AstraZeneca)は、PD-L1に特異的に結合し、PD-1およびCD80への結合を妨げるヒトIgG1抗体である。
【0147】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、国際公開第2011/066389号および米国特許第8,779,108号明細書に開示されている抗体の1つであり、その開示全体が参照をもって組み込まれる。
【0148】
いくつかの実施形態では、抗PD-L1抗体は、米国特許第8,552,154号明細書に開示されている抗体の1つであり、その開示の全体が参照をもって組み込まれる。
【0149】
いくつかの実施形態では、標的部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、単一ドメイン抗体、T及びAb二量体、Fv、scFv、dsFv、ds-scFv、Fd、線状抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異的抗体断片、バイボディ、トリボディ、sc-ダイアボディ、カッパ(ラムダ)体、BiTE、DVD-Ig、SIP、SMIP、DART、または1つまたは複数のCDRを含む抗体類似体を含む。
【0150】
標的部分を含むPD-L/PD-1 Axis拮抗剤
いくつかの態様では、PD-L/PD-1 Axis拮抗剤は、ADCのような標的部分を含む標的療法剤である。
【0151】
本明細書における「標的部分(TM)」または「標的剤」は、概して「標的」または「マーカー」として称され且つこれらはさらに本明細書で論じられる、標的分子、細胞、粒子、組織もしくは凝集体に特異的または選択的に結合する分子、複合体または凝集体を意味する。
【0152】
いくつかの実施形態では、標的部分は、免疫グロブリン、タンパク質、ペプチド、小分子、ナノ粒子、または核酸を含む。
【0153】
抗体(例えば、キメラ、ヒト化、及びヒト)、受容体のリガンド、レクチン、及び多糖類、及びある特定の酵素の基質などの例示的な標的剤が、当該分野において認識されており、本発明の実施において制限されることなく有用である。他の標的剤は、特定の分子認識モチーフを含まず、活性化部分に分子量を付加するナノ粒子、ポリ(エチレングリコール)のような巨大分子、多糖、及びポリアミノ酸を含む部類の化合物を含む。付加分子量は、活性化部分の薬物動態、例えば血清半減期に影響する。
【0154】
いくつかの実施形態では、標的部分は、抗体、抗体断片、二重特異的抗体、または他の抗体に基づいた分子または化合物である。しかしながら、標的部分の他の例が当該分野において知られており、例えば、アプタマー、アビマー(avimer)、受容体結合リガンド、核酸、ビオチン-アビジン結合対、結合ペプチド、またはタンパク質などを使用し得る。「標的部分」及び「結合部分」という用語は、本明細書において同義的に使用される。
【0155】
本明細書において「標的」または「マーカー」とは、特定の標的部分に特異的に結合することができる任意の実体を意味する。いくつかの実施形態では、標的は、1つまたは複数の特定の細胞または組織型と特異的に会合する。いくつかの実施形態では、標的は、1つまたは複数の特定の疾患状態と特異的に会合する。いくつかの実施形態では、標的は、1つまたは複数の特定の発生段階と特異的に会合する。例えば、細胞型特異的マーカーは、典型的には、細胞の基準集団よりもその細胞型において少なくとも2倍大きいレベルで発現する。いくつかの実施形態では、細胞型特異的マーカーは、基準集団におけるその平均発現よりも、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、または少なくとも1,000倍大きいレベルで存在する。細胞型特異的マーカーの検出または測定は、対象となる細胞型(複数可)を多くの、大半の、または全ての他の型の細胞から区別することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、標的は、本明細書に記載のように、タンパク質、炭水化物、脂質、及び/または核酸を含むことができる。
【0156】
物質は、それが核酸標的部分に特異的に結合する場合に、本明細書に記載の目的のために「標的」されると考えられる。いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、ストリンジェントな条件下で標的に特異的に結合する。標的部分を含む本発明の複合体または化合物は、標的部分が標的に特異的に結合して、それにより複合体または化合物組成物全体を特定の臓器、組織、細胞、細胞外マトリックス成分、及び/または細胞内区画に送達する場合に、「標的」されると考えられる。いくつかの実施形態では、標的は、本明細書に記載のように、タンパク質、炭水化物、脂質、及び/または核酸を含むことができる。
【0157】
ある特定の実施形態では、本発明に係る化合物は、臓器、組織、細胞、細胞外マトリックス成分、及び/または細胞内区画と会合する1つまたは複数の標的(例えば、抗原)に特異的に結合する標的部分を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、特定の臓器または臓器系と会合する標的に特異的に結合する標的部分を含む。いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物は、1つまたは複数の細胞内標的(例えば、細胞小器官、細胞内タンパク質)に特異的に結合する核標的部分を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、罹患した臓器、組織、細胞、細胞外マトリックス成分、及び/または細胞内区画と会合する標的に特異的に結合する標的部分を含む。いくつかの実施形態では、化合物は、特定の細胞型(例えば、内皮細胞、癌細胞、悪性細胞、前立腺癌細胞、等)と会合する標的に特異的に結合する標的部分を含む。
【0158】
いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物は、1つまたは複数の特定の組織型(例えば、肝臓組織対前立腺組織)に特異的である標的に結合する標的部分を含む。いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物は、1つまたは複数の特定の細胞型(例えば、T細胞対B細胞)に特異的である標的に結合する標的部分を含む。いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物は、1つまたは複数の特定の疾患状態(例えば、腫瘍細胞対健常細胞)に特異的である標的に結合する標的部分を含む。いくつかの実施形態では、本発明に係る化合物は、1つまたは複数の特定の発生段階(例えば、肝細胞対分化細胞)に特異的である標的に結合する標的部分を含む。
【0159】
いくつかの実施形態では、標的は、1つまたはいくつかの細胞型と、1つまたはいくつかの疾患と、及び/または1つまたはいくつかの発生段階と排他的または一次的に会合するマーカーであり得る。細胞型特異的マーカーは、典型的には、例えば、ほぼ等しい量の複数(例えば、5~10またはそれ以上)の異なる組織または臓器由来の細胞を含有する混合物からなり得る細胞の基準集団よりも、その細胞型において少なくとも2倍大きなレベルで発現する。いくつかの実施形態では、細胞型特異的マーカーは、基準集団におけるその平均発現よりも、少なくとも3倍、少なくとも4倍、少なくとも5倍、少なくとも6倍、少なくとも7倍、少なくとも8倍、少なくとも9倍、少なくとも10倍、少なくとも50倍、少なくとも100倍、または少なくとも1,000倍大きいレベルで存在する。細胞型特異的マーカーの検出または測定は、対象となる細胞型(複数可)を、多くの、大半の、または全ての他の型の細胞から区別することを可能にし得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、標的は、タンパク質、炭水化物、脂質、及び/または核酸を含む。いくつかの実施形態では、標的は、腫瘍マーカー、インテグリン、細胞表面受容体、膜貫通タンパク質、細胞間タンパク質、イオンチャンネル、膜輸送体タンパク質、酵素、抗体、キメラタンパク質、糖タンパク質などのようなタンパク質及び/またはその特徴的な部分を含む。いくつかの実施形態では、標的は、糖タンパク質、糖(例えば、単糖、二糖、多糖)、糖衣(すなわち、大部分の真核細胞の外側表面の炭水化物豊富辺縁帯)などのような、炭水化物及び/またはその特徴的な部分を含む。いくつかの実施形態では、標的は、油、脂肪酸、グリセリド、ホルモン、ステロイド(例えば、コレステロール、胆汁酸)、ビタミン(例えば、ビタミンE)、リン脂質、スフィンゴ脂質、リポタンパク質などのような脂質及び/またはその特徴的な部分を含む。いくつかの実施形態では、標的は、DNA核酸;RNA核酸;修飾DNA核酸;修飾RNA核酸;DNA、RNA、修飾DNA、及び修飾RNAの任意の組み合わせを含む核酸のような、核酸及び/またはその特徴的な部分を含む。
【0161】
多くのマーカーが当該分野で知られている。典型的なマーカーには、細胞表面タンパク質、例えば、受容体が含まれる。例示的な受容体には、トランスフェリン受容体;LDL受容体;成長因子受容体、例えば上皮成長因子受容体ファミリーメンバー(例えば、EGFR、Her2、Her3、Her4)または血管内皮成長因子受容体、サイトカイン受容体、細胞接着分子、インテグリン、セレクチン、及びCD分子が含まれるが、これらに限定されない。マーカーは、悪性細胞上に排他的にまたはより高い量で存在する分子、例えば腫瘍抗原であることができる。
【0162】
いくつかの実施形態では、標的部分は、非腫瘍細胞と比較して特異的または優先的に腫瘍細胞に結合する。
【0163】
腫瘍細胞への標的部分の結合は、当該分野において既知のアッセイを使用して測定することができる。
【0164】
いくつかの実施形態では、腫瘍細胞は、癌腫、肉腫、リンパ腫、骨髄腫、または中枢神経系癌のものである。
【0165】
いくつかの実施形態では、標的部分は、非腫瘍抗原と比較して特異的にまたは優先的腫瘍抗原に結合することができる。
【0166】
ある特定の実施形態では、標的は腫瘍マーカーである。いくつかの実施形態では、腫瘍マーカーは、正常な臓器、組織、及び/または細胞に存在しない、腫瘍に存在する抗原である。いくつかの実施形態では、腫瘍マーカーは、正常な臓器、組織、及び/または細胞よりも腫瘍において多く見られる抗原である。いくつかの実施形態では、腫瘍マーカーは、正常な細胞よりも悪性癌細胞において多く見られる抗原である。
【0167】
いくつかの実施形態では、標的部分は、葉酸またはその誘導体を含む。
【0168】
近年では、葉酸の研究は大きく前進している。葉酸は、細胞分裂に必要な小分子ビタミンである。腫瘍細胞は異常に分裂し、細胞分裂を支持するのに十分な葉酸を捕捉するために、腫瘍細胞表面に葉酸受容体(FR)を多く発現する。
【0169】
データは、腫瘍細胞におけるFR発現が正常細胞より20~200倍多いことを示す。様々な悪性腫瘍におけるFRの発現率は、卵巣癌では82%、非小細胞肺癌では66%、腎臓癌では64%、結腸癌では34%、乳癌では29%である(Xia W,Low PS.Late-targeted therapies for cancer.J Med Chem.2010;14;53(19):6811-24)。FAの発現率、及び上皮腫瘍浸潤及び転移の悪性度は、正相関する。FAは、FR仲介エンドサイトーシスを通して細胞に侵入し、FAは、そのカルボキシル基を通して、細胞に侵入する薬物とFA複合体を形成する。酸性条件下(pH値5)では、FRはFAから分離し、FAは薬物を細胞質内に放出する。
【0170】
臨床的には、この系を使用して、腫瘍細胞を選択的に攻撃する薬物を送達することができる。葉酸は、小分子量を有し、非免疫原性及び高い安定性を有し、合成するのに安価である。さらに重要なことは、薬物と担体と間の化学結合は単純であり、そのように、薬物送達系を構築するために、FAを標的部分として使用することは、癌処置研究の活発な分野となっている。現在、臨床試験中のEC145(FA化学療法薬物コンジュゲート化合物)は、癌細胞を有効に攻撃することができる(Pribble P and Edelman MJ.EC145:a novel targeted agent for adenocarcinoma of the lung.Expert Opin.Investig.Drugs(2012)21:755-761)。
【0171】
いくつかの実施形態では、標的部分は、PD-1、PDL-1、CTLA4、CD47、BTLA、KIR、TIM3、4-1BB、及びLAG3、表面リガンドアンフィレギュリンの一部の完全長、ベータセルリン、EGF、エフリン、エピジェン(epigen)、エピレギュリン、IGF、ニューレグリン、TGF、TRAIL、またはVEGFの細胞外ドメイン(ECD)または可溶形態を含む。
【0172】
いくつかの実施形態では、標的部分は、Fab、Fab’、F(ab’)2、単一ドメイン抗体、T及びAb二量体、Fv、scFv、dsFv、ds-scFv、Fd、線状抗体、ミニボディ、ダイアボディ、二重特異的抗体断片、バイボディ、トリボディ、sc-ダイアボディ、カッパ(ラムダ)体、BiTE、DVD-Ig、SIP、SMIP、DART、または1つもしくは複数のCDRを含む抗体類似体を含む。
【0173】
いくつかの実施形態では、標的部分は、対象となる標的細胞または標的部位上で発現された抗原に対するその特異性に基づいて選択される、抗体、または抗体断片である。多種多様な腫瘍特異的または他の疾患特異的抗原が同定されており、これらの抗原に対する抗体は、そのような腫瘍または他の疾患の処置に使用されてきた、または使用することが提案されてきた。当該分野に既知の抗体を、本発明の化合物に、特に、標的抗原が関連する疾患の処置に使用することができる。本発明の抗体リンカー薬物コンジュゲートが標的することができる標的抗原(及びそれらの関連疾患)の例には、CD2、CD19、CD20、CD22、CD27、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD47、CD52、CD56、CD70、CD79、CD137、4-1BB、5T4、AGS-5、AGS-16、アンジオポエチン2、B7.1、B7.2、B7DC、B7H1、B7H2、B7H3、BT-062、BTLA、CAIX、癌胎児性抗原、CTLA4、クリプト、ED-B、ErbB1、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EGFL7、EpCAM、EphA2、EphA3、EphB2、FAP、フィブロネクチン、葉酸受容体、ガングリオシドGM3、GD2、グルココルチコイド誘発性腫瘍壊死因子受容体(GITR)、gp100、gpA33、GPNMB、ICOS、IGF1R、インテグリンαν、インテグリンανβ、KIR、LAG-3、ルイスY、メソテリン、c-MET、MN炭酸脱水酵素IX、MUC1、MUC16、ネクチン-4、NKGD2、NOTCH、OX40、OX40L、PD-1、PDL1、PSCA、PSMA、RANKL、ROR1、ROR2、SLC44A4、シンデカン-1、TACI、TAG-72、テネイシン、TIM3、TRAILR1、TRAILR2、VEGFR-1、VEGFR-2、VEGFR-3を挙げることができる。
【0174】
いくつかの実施形態では、標的部分は、粒子(標的粒子)、好ましくはナノ粒子、任意選択的に、標的に特異的または優先的に結合することができる標的分子に付着する標的化ナノ粒子を含む。いくつかの実施形態では、標的粒子はそれ自体、本発明の化合物を(例えば、腫瘍細胞または組織における濃縮によって)導き、そこにおいて付着している追加の標的分子はない。
【0175】
本明細書において「ナノ粒子」とは、1000nm未満の直径を有する任意の粒子を意味する。いくつかの実施形態では、治療剤及び/または標的分子は、ポリマーマトリックスと会合することができる。いくつかの実施形態では、標的分子は、ポリマーマトリックスの表面と共有結合的に会合することができる。いくつかの実施形態では、共有結合的会合はリンカーにより仲介される。いくつかの実施形態では、治療剤は、ポリマーマトリックスの表面と会合することができる、ポリマーマトリックス内に封入されることができる、ポリマーマトリックスに囲まれることができる、及び/またはポリマーマトリックスの全体にわたって分散されることができる。その全体において組み込まれる、米国特許第8,246,968号明細書。
【0176】
一般に、本発明のナノ粒子は、任意の種類の粒子を含む。任意の粒子を本発明に従って使用することができる。いくつかの実施形態では、粒子は生分解性及び生体適合性である。一般に、生体適合性物質は、細胞に対して毒性ではない。いくつかの実施形態では、物質は、細胞へのその付加が、ある特定の閾値未満の細胞死を結果生じる場合に生体適合性であるとみなされる。いくつかの実施形態では、物質は、細胞へのその付加が、有害な作用を誘発しない場合に生体適合性であるとみなされる。一般に、生分解性物質は、生理学的条件下で治療的に関連する期間(例えば、数週間、数か月間、または数年間)にわたって分解を受けるものである。いくつかの実施形態では、生分解性物質は、細胞機構により分解されることができる物質である。いくつかの実施形態では、生分解性物質は、化学的プロセスにより分解されることができる物質である。いくつかの実施形態では、粒子は、生体適合性及び生分解性の両方である物質である。いくつかの実施形態では、粒子は、生体適合性であるが、生分解性ではない物質である。いくつかの実施形態では、粒子は、生分解性であるが、生体適合性ではない物質である。
【0177】
いくつかの実施形態では、粒子は、腎排泄限界より大きなサイズである(例えば、6nmを越える直径を有する粒子)。いくつかの実施形態では、粒子は、肝臓による血流からの粒子のクリアランスを避けるのに十分に小さい(例えば、1000nm未満の直径を有する粒子)。一般に、粒子の生理化学的特徴は、腎排泄及び肝臓クリアランスを減少させることにより、標的化粒子を血漿中でより長く循環させることができるべきである。
【0178】
各粒子が同様の特性を有するように、サイズ、形状、及び/または組成が比較的均一である粒子の集団を使用することが、しばしば望ましい。例えば、少なくとも80%、少なくとも90%、または少なくとも95%の粒子が、平均直径または最大寸法の5%、10%、または20%の範囲内にある直径または最大寸法を有し得る。いくつかの実施形態では、粒子の集団は、サイズ、形状、及び/または組成に関して不均一であり得る。
【0179】
ゼータ電位は、粒子の表面電位の測定値である。いくつかの実施形態では、粒子は、-50mVから+50mVの間の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、-25mVから+25mVの間の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、-10mVから+10mVの間の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、-5mVから+5mVの間の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、0mVから+50mVの間の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、0mVから+25mVの間の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、0mVから+10mVの間の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、0mVから+5mVの間の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、-50mVから0mVの間の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、-25mVから0mVの間の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、-10mVから0mVの間の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、-5mVから0mVの間の範囲のゼータ電位を有する。いくつかの実施形態では、粒子は、実質的に中性のゼータ電位(つまり、おおよそ0mV)を有する。
【0180】
様々な異なる粒子を本発明に従って使用することができる。いくつかの実施形態では、粒子は球形または球状である。いくつかの実施形態では、粒子は球形または球状である。いくつかの実施形態では、粒子は平坦または平板形状である。いくつかの実施形態では、粒子は立方体または立方形である。いくつかの実施形態では、粒子は長円形または楕円形である。いくつかの実施形態では、粒子は円柱形、円錐形、または角錐形である。
【0181】
いくつかの実施形態では、粒子は微粒子(例えば、ミクロスフェア)である。一般に、「微粒子」は、1000μm未満の直径を有する任意の粒子を指す。いくつかの実施形態では、粒子はピコ粒子(例えば、ピコスフェア(picospheres))である。一般に、「ピコ粒子」は、1nm未満の直径を有する任意の粒子を意味する。いくつかの実施形態では、粒子はリポソームである。いくつかの実施形態では、粒子はミセルである。
【0182】
粒子は、中実または中空であり得、1つまたは複数の層を含むことができる(例えば、ナノシェル、ナノリング)。いくつかの実施形態では、各層は、他の層(複数可)と比べて独自の組成及び独自の特性を有する。例えば、粒子は、コア/シェル構造を有し得、ここでコアは第1の層であり、シェルは第2の層である。粒子は、複数の異なる層を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の層は実質的に架橋され得、第2の層は実質的に架橋されていない、などである。いくつかの実施形態では、1つ、いくつか、または全ての異なる層が、送達される1つまたは複数の治療または診断剤を含み得る。いくつかの実施形態では、第1の層は送達される薬剤を含み、第2の層は送達される薬剤を含まない、などである。いくつかの実施形態では、各個別の層は、送達される異なる薬剤または薬剤のセットを含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、粒子は多孔質であり、これは粒子が、典型的には粒子のサイズと比較して小さい穴またはチャンネルを含有することを意味する。例えば、粒子は多孔質シリカ粒子、例えばメソ多孔質シリカナノ粒子であり得るか、またはメソ多孔質シリカの被覆を有し得る(Linら、2005,J.Am.Chem.Soc.,17:4570)。粒子は、約1nmから約50nmの直径、例えば約1から20nmの直径の範囲の孔を有し得る。粒子の体積の約10%から95%が孔またはチャンネル内で空洞を構成し得る。
【0184】
粒子は、被覆層を有し得る。生体適合被覆層の使用は、例えば粒子が細胞に毒性を有する材料を含有する場合に有益であることができる。好適な被覆材料には、ウシ血清アルブミン(BSA)などの自然タンパク質、生体適合親水性ポリマー、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)またはPEG誘導体、リン脂質-(PEG)、シリカ、脂質、ポリマー、デキストランなどの炭水化物、本発明のナノ粒子と会合することができる他のナノ粒子などが含まれるが、これらに限定されない。被覆は、浸漬、交互吸着技術の使用、自己組織化、コンジュゲーションなどの様々な方法により適用または組織化され得る。自己組織化は、高次構造(例えば、分子)への成分の互いの自然誘引に依存する高次構造への自発的組織化のプロセスを指す。典型的には、分子の無作為な移動、及びサイズ、形状、組成、または化学的特性に基づいた結合の形成を通して生じる。
【0185】
ポリマーの例には、ポリアルキレン(例えば、ポリエチレン)、ポリカーボネート(例えば、ポリ(1,3-ジオキサン-2オン))、ポリ無水物(例えば、ポリ(セバシン酸無水物))、ポリヒドロキシ酸(例えば、ポリ(β-ヒドロキシアルカノエート))、ポリフマレート、ポリカプロラクトン、ポリアミド(例えば、ポリカプロラクタム)、ポリアセタール、ポリエーテル、ポリエステル(例えば、ポリラクチド、ポリグリコリド)、ポリ(オルトエステル)、ポリビニルアルコール、ポリウレタン、ポリホスファゼン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリシアノアクリレート、ポリ尿素、ポリスチレン、及びポリアミンが挙げられる。いくつかの実施形態では、本発明に係るポリマーには、米国食品医薬品局(FDA)の21C.F.R.§177.2600によってヒトにおける使用が承認されているポリマーが含まれ、それには、ポリエステル(例えば、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリ(乳酸-コ-グリコール酸)、ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(1,3-ジオキサン-2オン));ポリ無水物(例えば、ポリ(セバシン酸無水物));ポリエーテル(例えば、ポリエチレングリコール);ポリウレタン;ポリメタクリレート;ポリアクリレート;及びポリシアノアクリレートが含まれるが、これらに限定されない。
【0186】
いくつかの実施形態では、粒子は、非ポリマー粒子(例えば、金属粒子、量子ドット、セラミック粒子、無機材料を含むポリマー、骨由来材料、骨代用物、ウイルス粒子など)であることができる。いくつかの実施形態では、送達される治療または診断剤は、そのような非ポリマー粒子の表面と会合することができる。いくつかの実施形態では、非ポリマー粒子は、金属原子(例えば、金原子)の凝集体などの非ポリマー成分の凝集体である。いくつかの実施形態では、送達される治療または診断剤は、非ポリマー成分の凝集体の表面と会合することができる、及び/または非ポリマー成分の凝集体内に封入されることができる、非ポリマー成分の凝集体に囲まれることができる、及び/または非ポリマー成分の凝集体の全体にわたって分散されることができる。
【0187】
粒子(例えば、ナノ粒子、微粒子)は、当該分野に既知の任意の方法を使用して調製され得る。例えば、粒子状製剤は、ナノ沈殿、流動集束流体チャンネル(flow focusing fluidic channel)、噴霧乾燥、単一及び二重乳剤溶媒蒸発(single and double emulsion solvent evaporation)、溶媒抽出、相分離、微粉砕、マイクロエマルション処理、微細加工、ナノ加工、犠牲層、単純及び複合コアセルベーションなどの方法、及び当業者に周知の他の方法により形成されることができる。あるいはまたはさらに、単分散半導体、導電性、磁性、有機及び他のナノ粒子の水性及び有機溶媒合成が記載されている(Pellegrinoら、2005,Small,1:48;Murrayら、2000,Ann.Rev.Mat.Sci.,30:545;及びTrindadeら、2001,Chem.Mat.,13:3843)。
【0188】
封入された薬剤を送達するための微粒子を作製する方法は、文献に記載されている(例えば、Doubrow編,“Microcapsules and Nanoparticles in Medicine and Pharmacy,”CRC Press,Boca Raton,1992;Mathiowitzら、1987,J.Control.Release,5:13;Mathiowitzら、1987,Reactive Polymers,δ:275,及びMathiowitzら、1988,J.Appl.Polymer Sci.,35:755を参照されたい)。
【0189】
いくつかの実施形態では、標的部分は核酸標的部分を含む。
【0190】
一般に、核酸標的部分は、臓器、組織、細胞、細胞外マトリックス成分、及び/または細胞内区画(標的)と関連する成分に結合する任意のポリヌクレオチドである。
【0191】
いくつかの実施形態では、核酸標的部分はアプタマーである。
【0192】
アプタマーは、典型的には、特定の臓器、組織、細胞、細胞外マトリックス成分、及び/または細胞内区画と関連する特定の標的構造に結合するポリヌクレオチドである。一般に、アプタマーの標的機能は、アプタマーの三次元構造に基づく。いくつかの実施形態では、アプタマーの標的への結合は、典型的には、アプタマー及び標的の両方の二次元及び/または三次元構造間の相互作用により仲介される。いくつかの実施形態では、アプタマーの標的への結合は、アプタマーの一次配列のみに基づくものではなく、アプタマー及び/または標的の三次元構造(複数可)に依存する。いくつかの実施形態では、アプタマーは、塩基対形成を破損する構造(例えば、ヘアピンループ)により干渉される、相補的なワトソン-クリック塩基対形成を介してそれらの標的に結合する。
【0193】
いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、スピーゲルマー(spiegelmer)である(PCT公報国際公開第98/08856号、国際公開第02/100442号、及び国際公開第06/117217号)。一般に、スピーゲルマーは、標的に特異的に結合することができる合成鏡像核酸(すなわち、鏡像アプタマー)である。スピーゲルマーは、エキソ及びエンドヌクレアーゼに対して感受性でなくする構造的特徴により特徴付けられる。
【0194】
当業者は、標的に特異的に結合することができる任意の核酸標的部分(例えば、アプタマーまたはスピーゲルマー)を、本発明に従って使用できることを認識するだろう。いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される核酸標的部分は、疾患、障害、及び/または状態と関連するマーカーを標的し得る。いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される核酸標的部分は、癌関連標的を標的し得る。いくつかの実施形態では、本発明に従って使用される核酸標的部分は、腫瘍マーカーを標的し得る。任意の種類の癌及び/または任意の腫瘍マーカーを、本発明に従って核酸標的部分を使用して標的し得る。いくつかの例を挙げると、核酸標的部分は、前立腺癌、肺癌、乳癌、結腸直腸癌、膀胱癌、膵癌、子宮内膜癌、卵巣癌、骨癌、食道癌、肝癌、胃癌、脳腫瘍、皮膚メラノーマ、及び/または白血病と関連するマーカーを標的し得る。
【0195】
本発明の核酸(下記にさらに詳細に記載される、核酸核酸標的部分及び/または送達される機能性RNA、例えば、RNAi誘発性実体、リボザイム、tRNAなどを含む)は、化学合成、酵素合成、より長い前駆体の酵素または化学切断などを含むが、これらに限定されない任意の利用可能な技術に従って調製され得る。RNAを合成する方法は、当該分野において知られている(例えば、Gait、M.J.(編)Oligonucleotide synthesis:a practical approach,Oxford[Oxfordshire],Washington,D.C.:IRL Press,1984,及びHerdewijn,P.(編)Oligonucleotide synthesis:methods and applications,Methods in molecular biology,v.288(ニュージャージー州クリフトン)Totowa,N.J.:Humana Press,2005を参照されたい)。
【0196】
核酸標的部分を形成する核酸は、天然に生じるヌクレオシド、修飾ヌクレオシド、1つまたは複数のヌクレオシドの間に挿入された炭化水素リンカー(例えば、アルキレン)またはポリエーテルリンカー(例えば、PEGリンカー)を有する天然に生じるヌクレオシド、1つまたは複数のヌクレオシドの間に挿入された炭化水素またはPEGリンカーを有する修飾ヌクレオシド、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態では、核酸核酸標的部分のヌクチオシドまたは修飾ヌクレオチドは、炭化水素リンカーまたはポリエーテルリンカーで置き換えられ得るが、それは核酸核酸標的部分の結合親和性及び選択性が、置換により実質的に低減されないことが条件である(例えば、標的に対する核酸核酸標的部分の解離定数は、約1×10-3Mを越えるべきではない)。
【0197】
本発明に係る核酸は、天然に生じる核酸において見出される種類のみのヌクレオチドを含み得る、または代わりに、1つまたは複数のヌクレオチド類似体を含み得る、または天然に生じる核酸の構造と他の点で異なる構造を有し得ることが当業者により理解されるだろう。米国特許第6,403,779号明細書、同第6,399,754号明細書、同第6,225,460号明細書、同第6,127,533号明細書、同第6,031,086号明細書、同第6,005,087号明細書、同第5,977,089号明細書、及びこれらにおける参考文献は、使用され得る多種多様な特定のヌクレオチド類似体及び修飾形態を開示する。Crooke,S.(編)Antisense Drug Technology:Principles,Strategies,and Applications(第1編)Marcel Dekker;ISBN:0824705661;第1編(2001)及びこれにおける参考文献を参照されたい。例えば、2’修飾には、ハロ、アルコキシ、及びアリルオキシ基が含まれる。いくつかの実施形態では、2’-OH基は、H、OR、R、ハロ、SH、SR、NH2、NHR、NR2、またはCNから選択される基により置き換えられ、ここでRは、C1~C6アルキル、アルケニル、またはアルキニルであり、ハロは、F、Cl、Br、またはIである。修飾結合の例には、ホスホロチオエート及び5’-N-ホスホラミダイト結合が挙げられる。
【0198】
様々な異なるヌクレオチド類似体、修飾骨格、または非天然型ヌクレオシド間結合を含む核酸を、本発明に従って活用することができる。本発明の核酸は、天然ヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、及びデオキシシチジン)、または修飾ヌクレオシドを含み得る。修飾ヌクレオチドの例には、塩基修飾ヌクレオシド(例えば、アラシチジン、イノシン、イソグアノシン、ネブラリン、プソイドウリジン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノプリン、2-チオチミジン、3-デアザ-5-アザシチジン、2’-デオキシウリジン、3-ニトルピロール、4-メチルインドール、4-チオウリジン、4-チオチミジン、2-アミノアデノシン、2-チオチミジン、2-チオウリジン、5-ブロモシチジン、5-ヨードウリジン、イノシン、6-アザウリジン、6-クロロプリン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-アザアデノシン、8-アジドアデノシン、ベンゾイミダゾール、M1-メチルアデノシン、ピロロ-ピリミジン、2-アミノ-6-クロロプリン、3-メチルアデノシン、5-プロピニルシチジン、5-プロピニルウリジン、5-ブロモウリジン、5-フルオロウリジン、5-メチルシチジン、7-デアザアデノシン、7-デアザグアノシン、8-オキソアデノシン、8-オキソグアノシン、O(6)-メチルグアニン、及び2-チオシチジン)、化学的または生物学的に修飾された塩基(例えば、メチル化塩基)、修飾糖(例えば、2’-フルオロリボース、2’-アミノリボース、2’-アジドリボース、2’-O-メチルリボース、L-エナンチオメル酸ヌクレオシドアラビノース、及びヘキソース)、修飾ホスフェート基(例えば、ホスホロチオエート及び5’-N-ホスホラミダイト結合)、及びそれらの組み合わせが挙げられる。核酸の化学合成のための天然及び修飾ヌクレオチドモノマーは、容易に入手可能である。いくつかの場合では、そのような修飾形態を含む核酸は、天然に生じるヌクレオチドのみからなる核酸と比べて改善された特性を示す。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の核酸修飾形態を活用して、ヌクレアーゼ(例えば、エキソヌクレアーゼ、エンドヌクレアーゼなど)による消化を低減及び/または防止する。例えば、核酸の構造は、消化を低減するため、一方または両方の鎖の3’末端にヌクレオチド類似体を含めることにより安定化され得る。
【0199】
修飾核酸は、分子の長さ全体に沿って均一に修飾されている必要はない。異なるヌクレオチド修飾形態及び/または骨格構造が、核酸の様々な位置に存在し得る。当業者は、ヌクレオチド類似体または他の修飾形態(複数可)が、核酸の機能が実質的に影響を受けないように、核酸の任意の位置(複数可)に配置され得ることを理解するだろう。一例のみを挙げると、修飾形態は、標的に特異的に結合する核酸標的部分の能力が実質的に影響を受けないように、核酸標的部分の任意の位置に配置され得る。修飾領域は、一方または両方の鎖の5’末端及び/または3’末端であり得る。例えば、両方の鎖のいずれかの5’末端及び/または3’末端でのおおよそ1~5つの残基がヌクレオチド類似体である、及び/または骨格修飾を有する修飾核酸標的部分が、用いられている。修飾は、5’または3’末端修飾であり得る。一方または両方の核酸鎖は、少なくとも50%の非修飾ヌクレオチド、少なくとも80%の非修飾ヌクレオチド、少なくとも90%の非修飾ヌクレオチド、または100%の非修飾ヌクレオチドを含み得る。
【0200】
本発明に係る核酸は、例えば、米国特許出願公開第2003/0175950号明細書、同第2004/0192626号明細書、同第2004/0092470号明細書、同第2005/0020525号明細書、及び同第2005/0032733号明細書に記載されているものなどの、糖、ヌクレオシド、またはヌクレオシド間結合への修飾を含み得る。本発明は、それらに記載の任意の1つまたは複数の修飾を有する任意の核酸の使用を包含する。例えば、多くの末端コンジュゲート、例えば、コレステロール、リトコール酸、アルル酸(aluric acid)、または長鎖アルキル分岐鎖などの脂質が、細胞取り込みを改善すると報告されている。類似体及び修飾形態は、例えば、当該分野に既知の任意の適切なアッセイを使用して、例えば、治療または診断剤の送達の改善、標的への核酸標的部分の特異的結合の改善などをもたらすものを選択するために試験され得る。いくつかの実施形態では、本発明に係る核酸は、1つまたは複数の非天然ヌクレオシド結合を含み得る。いくつかの実施形態では、核酸標的部分の3’末端、5’末端、または3’末端と5’末端の両方での1つまたは複数の内部ヌクレオチドを反転させて、3’-3’結合または5’-5’結合などの結合を得る。
【0201】
いくつかの実施形態では、本発明に係る核酸は、合成ではなく、その天然環境から単離されている天然に生じる実体である。
【0202】
任意の方法を使用して、新規核酸標的部分を設計することができる(例えば、米国特許第6,716,583号明細書、同第6,465,189号明細書、同第6,482,594号明細書、同第6,458,543号明細書、同第6,458,539号明細書、同第6,376,190号明細書、同第6,344,318号明細書、同第6,242,246号明細書、同第6,184,364号明細書、同第6,001,577号明細書、同第5,958,691号明細書、同第5,874,218号明細書、同第5,853,984号明細書、同第5,843,732号明細書、同第5,843,653号明細書、同第5,817,785号明細書、同第5,789,163号明細書、同第5,763,177号明細書、同第5,696,249号明細書、同第5,660,985号明細書、同第5,595,877号明細書、同第5,567,588号明細書、及び同第5,270,163号明細書、及び米国特許出願公開第2005/0069910号明細書、同第2004/0072234号明細書、同第2004/0043923号明細書、同第2003/0087301号明細書、同第2003/0054360号明細書、及び同第2002/0064780号明細書を参照されたい)。本発明は、新規核酸標的部分を設計するための方法を提供する。本発明は、候補核酸標的部分の混合物から新規核酸標的部分を単離または同定するための方法をさらに提供する。
【0203】
タンパク質、炭水化物、脂質、及び/または核酸に結合する核酸標的部分を、設計及び/または同定することができる。いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、腫瘍マーカー、インテグリン、細胞表面受容体、膜貫通タンパク質、細胞間タンパク質、イオンチャンネル、膜輸送タンパク質、酵素、抗体、キメラタンパク質などの、タンパク質及び/またはその特徴的な部分に結合する本発明の複合体に使用されるように設計及び/または同定されることができる。いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、糖タンパク質、糖(例えば、単糖、二糖、及び多糖)、糖衣(すなわち、大部分の真核細胞の外側表面上の炭水化物豊富辺縁帯)などの、炭水化物及び/またはその特徴的な部分に結合する本発明の複合体に使用されるように設計及び/または同定されることができる。いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、油、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、グリセリド、ホルモン、ステロイド(例えば、コレステロール、胆汁酸)、ビタミン(例えば、ビタミンE)、リン脂質、スフィンゴ脂質、リポタンパク質などの、脂質及び/またはその特徴的な部分に結合する本発明の複合体に使用されるように設計及び/または同定されることができる。いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、DNA核酸;RNA核酸;修飾DNA核酸;修飾RNA核酸;DNA、RNA、修飾DNA、及び修飾RNAの任意の組み合わせを含む核酸などの、核酸及び/またはその特徴的な部分に結合する本発明の複合体に使用されるように設計及び/または同定されることができる。
【0204】
核酸標的部分(例えば、アプタマーまたはスピーゲルマー)は、任意の利用可能な方法を使用して設計及び/または同定され得る。いくつかの実施形態では、核酸標的部分は、核酸の候補混合物から核酸標的部分を同定することにより設計及び/または同定される。試験管内進化法(SELEX)またはその変形は、核酸の候補混合物から、標的に結合する核酸標的部分を同定する一般に使用される方法である。
【0205】
任意の標的に選択的に結合する核酸標的部分は、SELEXプロセスまたはその変形により単離されることができるが、それには、標的をSELEXプロセスにおいて標的として使用できることが条件である。
【0206】
B.免疫療法剤
一般的に、本発明の組み合わせ及び組成物は、免疫療法剤を含む。
【0207】
本明細書における「免疫療法剤」とは、身体の免疫系または腫瘍細胞を刺激または増強することができる、化合物、分子または薬剤を意味する。免疫療法剤は、免疫応答を誘発する、増強する、または抑圧することにより疾患の治療のために用いられる。本発明の免疫療法剤は、免疫応答を抑圧するよりもむしろ、免疫応答を引き出すまたは増大するように概して設計される。
【0208】
一般的に、本発明の免疫療法剤は、トール様受容体、ヌクレオチド-オリゴマー化ドメイン様受容体、RIG-I様受容体、c型レクチン受容体、もしくは細胞質DNAセンサー、またはそれらの組み合わせに対して直接的または間接的に作用する。特に、本発明の免疫療法剤は、ヒト形質細胞様樹状細胞、骨髄系樹状細胞、NK細胞もしくは腫瘍細胞、またはそれらの組み合わせを活性化し得る。
【0209】
いくつかの実施形態では、本発明の免疫療法剤は、樹状細胞、マクロファージ、単球、骨髄由来抑制細胞、NK細胞、B細胞、T細胞もしくは腫瘍細胞、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されないヒト免疫細胞を活性化させる。
【0210】
樹状細胞は、最も強力な抗原提示細胞である。樹状細胞は、先天及び適応免疫応答の両方の開始に重要な役割を果たす。樹状細胞は、免疫寛容の誘発及び維持において主要な役割も果たす。
【0211】
本明細書において「樹状細胞」(DC)とは、2つの主なサブタイプ、すなわち骨髄DC(mDC)及び形質細胞様DC(pDC)を含む異種細胞集団を意味する(Steinmanら、1979,J.Exp.Med.,149,1-16)。これらの2つの血液DCサブセットは、それらのCD11c(インテグン相補体受容体)及びCD123(IL-3Rα)の発現により元々区別されていた。pDC及びmDC集団のそれぞれは、ヒトにおけるPBMC集団の約0.2~約0.6%間を成す。
【0212】
本明細書において「pDC」とは、形質細胞様樹状細胞を意味し、血液及び末梢リンパ器官において見出される樹状細胞のサブタイプを表す。これらの細胞は、表面マーカーCD123、BDCA-2(CD303)、及びBDCA-4(CD304)、及びHLA-DRを発現するが、CD11c、CD14、CD3、CD20、またはCD56を発現せず、このことにより従来の樹状細胞、単球、T細胞、B細胞、及びNK細胞から区別される。先天免疫系の構成要素として、これらの細胞は、細胞内トール様受容体7及び9を発現し、これらはssRNAまたはCpG DNAモチーフなどの、ウイルス及び細菌の核酸の検出を可能にする。刺激及びそれに続く活性化の際に、これらの細胞は大量のI型インターフェロン(主に、IFN-α及びIFN-β)及びIII型インターフェロン(例えば、IFN-λ)を産生し、これらは、広範囲の効果を仲介する重要な多面的抗ウイルス化合物である。多数のI型インターフェロン、サイトカイン及びケモカインを生成することによって、形質細胞様樹状細胞は、身体の先天及び適応免疫応答に広範囲に関与する。これらは、免疫応答強度、持続期間、及び応答様式に関与するNK細胞、T細胞、B細胞、及び他の細胞を調節することができ、したがって、腫瘍、感染、及び自己免疫性疾患において非常に重要な機能を担う(Liu YJ.IPC:professional type 1 interferon-producing cells and plasmacytoid dendritic cell precursors.Annu Rev Immunol.2005;23:275-306.Gilliet M,Cao W,Liu YJ.Plasmacytoid dendritic cells:sensing nucleic acids in viral infection and autoimmune diseases.Nat Rev Immunol.2008 Aug;8(8):594-606)。
【0213】
本明細書において「mDC」とは、骨髄樹状細胞を意味し、血液及び末梢リンパ器官において見出される循環樹状細胞のサブタイプを表す。これらの細胞は、表面マーカーCD11c、CD1a、HLA-DR、及びBDCA-1(CD1c)またはBDCA-3(CD141)のいずれかを発現する。これらはBDCA-2またはCD123を発現せず、このことによりpDCから区別される。またmDCも、CD3、CD20、またはCD56を発現しない。先天免疫系の構成要素として、mDCは、TLR2、3、4、5、6、及び8を含むトール様受容体(TLR)を発現し、これらは細菌及びウイルス成分の検出を可能にする。刺激及びそれに続く活性化により、これらの細胞は、抗原特異的CD4ならびにCD8T細胞を活性化する、最も強力な抗原提示細胞である。加えて、mDCは、大量のIL-12及びIL23を産生する能力を有し、このことは、Th1仲介またはTh17細胞仲介免疫の誘発にとって重要である。
【0214】
研究は、乳癌、頭頸部癌、卵巣癌などの多くの固形腫瘍がpDC浸潤を有すること(Treilleux I,Blay JY,Bendriss-Vermare Nら、Dendritic cell infiltration and prognosis of early stage breast cancer.Clin Cancer Res 2004;10:7466-7474.Hartmann E,Wollenberg B,Rothenfusser Sら、Identification and functional analysis of tumor-infiltrating plasmacytoid dendritic cells in head and neck cancer.Cancer Res 2003;63:6478-6487.Zou WP,Machelon V,Coulomb-L’Hermin Aら、Stromal-derived factor-1 in human tumors recruits and alters the function of plasmacytoid precursor dendritic cells.Nat Med2001;7:1339-1346)及び腫瘍細胞により分泌された因子がDC成熟を阻害する(Gabrilovich DI,Corak J,Ciernik IFら、Decreased antigen presentation by dendritic cells in patients with breast cancer.Clin Cancer Res 1997;3:483-490.Bell D,Chomarat P,Broyles Dら、In breast carcinoma tissue,immature dendritic cells reside within the tumor,whereas mature dendritic cells are located in peritumoral areas.J Exp Med 1999;190:1417-1425.Menetrier-Caux C,Montmain G,Dieu MCら、Inhibition of the differentiation of dendritic cells from CD34(+)progenitors by tumor cells:role of interleukin-6 and macrophage colony-stimulating factor.Blood 1998;92:4778-4791)ことを見出した。これらの未成熟DC細胞は、抗腫瘍免疫の促進において役割を果たさなかった。対照的に、腫瘍微小環境内のDCは、抗腫瘍免疫を阻害し、血管新生を促進することによって、腫瘍成長を促進する。 トール様受容体7作動薬イミキモド及びトール様受容体9作動薬CpG薬は、腫瘍微小環境内のpDCを刺激して、腫瘍発達を阻害することができる証拠がある(Dummer R,Urosevic M,Kempf Wら、Imiquimod in basal cell carcinoma:how does it work? Br J Dermatol 2003;149:57-58.Miller RL,Gerster JF,Owens MLら、Imiquimod applied topically:a novel immune response modifier and new class of drug.Int J Immunopharmacol 1999;21:1-14.Hofmann MA,Kors C, Audring Hら、Phase 1 evaluation of intralesionally injected TLR9-agonist PF-3512676 in patients with basal cell carcinoma or metastatic melanoma.J Immunother 2008;31:520-527)。
【0215】
ナチュラルキラー(NK)細胞は、免疫系の主な構成要素を成す1種の細胞障害性リンパ球である。NK細胞は、CD56またはCD16の発現、及びT細胞受容体(CD3)の不在により定義される末梢血リンパ球のサブセットである。これらは、MHC非制限様式で初回刺激することなく、形質転換細胞系を認識し、死滅させる。NK細胞は、腫瘍及びウイルスに感染した細胞の拒絶に主要な役割を果たす。NK細胞が標的細胞を認識し、十分なシグナルを送達して、標的溶解を引き起こすプロセスは、細胞表面上の一連の阻害性及び活性化受容体によって決定される。変更された自己からの自己のNK識別は、MHC-I分子及び非MHCリガンド様CD48及びClr-1bの阻害性受容体認識が関与する。感染または損傷細胞(変更された自己)のNK認識は、NKG2D、Ly49H、及びNKp46/Ncr1を含む様々な活性化受容体により認識されるストレス誘発性リガンド(例えば、MICA、MICB、Rae1、H60、Mult1)、またはウイルスコードリガンド(例えば、m157、ヘマグルチニン)によって調整される。
【0216】
NK細胞は、同種または自家幹細胞移植後に、数か月にわたって末梢血において優性なリンパ球細胞を提示し、この期間における病原体に対する免疫において主な役割を有する(Reittieら、(1989)Blood 73:1351-1358;Lowdellら、(1998)Bone Marrow Transplant 21:679-686)。生着、移植片対宿主疾患、抗白血病活性、及び移植後感染におけるNK細胞の役割は、Lowdell(2003)Transfusion Medicine 13:399-404において概説されている。
【0217】
ヒトNK細胞は、天然の細胞障害及び抗体依存性細胞障害(ADCC)を介して腫瘍細胞及びウイルス感染細胞の溶解を仲介する。
【0218】
ヒトNK細胞は、正及び負の細胞溶解シグナルにより制御される。負(阻害性)のシグナルは、受容体CD94/NKG2Aを含有するC-レクチンドメインにより、及びいくつかのキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)により伝達される。阻害シグナルによるNK溶解の調節は、標的細胞表面上に発現した特定のHLAクラスI対立遺伝子がNK細胞の阻害性受容体をライゲートする、「自己性の喪失」仮説として知られている。腫瘍細胞及びいくつかのウイルス感染細胞(例えば、CMV)上のHLA分子のダウンレギュレーションは、この阻害を標的閾値未満に下げ、標的細胞がNK初回刺激及び活性化分子も有する場合、標的細胞は、NK細胞仲介溶解に敏感になり得る。TLR7、TLR8、またはTLR9作動薬は、mDC及びpDCの両方を活性化して、I型IFNを産生し、GITR-リガンドなどの同時刺激分子を発現し、これは続いてNK細胞を活性化して、IFN-gを産生し、強力にNK細胞の死滅機能を促進することができる。
【0219】
阻害性受容体は2つの群、すなわちキラー免疫グロブリン様受容体(KIR)と呼ばれるIgスーパーファミリーの群、及び細胞表面でCD94と二量体を形成する、レクチンファミリーのNKG2の群に分けられる。KIRは、2または3ドメイン細胞外構造を有し、HLA-A、-B、または-Cに結合する。NKG2/CD94複合体は、HLA-Eをライゲートする。
【0220】
阻害性KIRは、ITIMを含有する細胞内ドメインを4つまで有し、最も特徴づけられるものは、KIR2DL1、KIR2DL2、及びKIR2DL3であり、これらはHLA-C分子を結合することが知られている。KIR2DL2及びKIR2DL3は、群1のHLA-C対立遺伝子を結合し、一方、KIR2DL1は、群2の対立遺伝子に結合する。ある特定の白血病/リンパ腫細胞は、群1及び2の両方のHLA-C対立遺伝子を発現し、NK仲介細胞溶解に抵抗性であることが知られている。
【0221】
正の活性化シグナルに関して、ADCCは、CD16を介して仲介されると考えられ、CD2、CD38、CD69、NKRP-I、CD40、B7-2、NK-TR、NKp46、NKp30、及びNKp44を含む、天然の細胞障害性の原因となる多数の引き金受容体が同定されている。加えて、短い細胞質内尾部を有するいくつかのKIR分子も、刺激性である。これらのKIR(KIR2DS1、KIR2DS2、及びKIR2DS4)は、HLA-Cに結合することが知られており;これらの細胞外ドメインはその関連する阻害性KIRと同一である。活性化KIRは、ITIMを欠いており、代わりに、DAP12と会合し、NK細胞活性化をもたらす。阻害性KIR対活性化KIRの発現制御の機構は、依然として不明である。
【0222】
いくつかの報告が、マウスまたはヒト癌または癌細胞系におけるTLRの発現を記載している。例えば、TLR1~TLR6は、結腸、肺、前立腺、及びメラノーママウス腫瘍細胞系により発現され(Huang B,ら、Toll-like receptors on tumor cells facilitate evasion of immune surveillance.Cancer Res.2005;65(12):5009-5014)、TLR3は、ヒト乳癌細胞において発現され(Salaun B,Coste I,Rissoan MC,Lebecque SJ,Renno T.TLR3 can directly trigger apoptosis in human cancer cells.J Immunol.2006;176(8):4894-4901)、肝細胞癌及び胃癌腫細胞は、TLR2及びTLR4を発現し(Huang B,ら、Listeria monocytogenes promotes tumor growth via tumor cell toll-like receptor 2 signaling.Cancer Res.2007;67(9):4346-4352)、TLR9(Droemann Dら、Human lung cancer cells express functionally active Toll-like receptor 9.Respir Res.2005;6:1)及びTLR4(He W,Liu Q,Wang L,Chen W,Li N,Cao X.TLR4 signaling promotes immune escape of human lung cancer cells by inducing immunosuppressive cytokines and apoptosis resistance.Mol Immunol.2007;44(11):2850-2859)は、ヒト肺癌細胞により発現される。TLR7及びTLR8は、ヒト肺癌の腫瘍細胞において見出される(Cherfils-Vicini J,Platonova S,Gillard M,Laurans L,Validire P, Caliandro R,Magdeleinat P,Mami-Chouaib F,Dieu-Nosjean MC,Fridman WH,Damotte D,Sautes-Fridman C,Cremer I.J.Clin Invest.2010;120(4):1285-1297)。
【0223】
TLRは、微生物産物を感知する、及び/または適応免疫応答を開始する、タンパク質のファミリーである。TLRは樹状細胞(DC)を活性化する。TLRは、ロイシン豊富反復の外部ドメイン、膜貫通ドメイン、及び細胞内TIR(トール/インターロイキン受容体)ドメインを含有する、保存膜貫通分子(conserved membrane spanning molecule)である。TLRは、多くの場合に「PAMP」(病原体関連分子パターン)と呼ばれる、微生物内の特有の構造を認識する。TLRに結合するリガンドは、炎症及び免疫に関与する因子の産生を誘発する細胞内シグナル伝達経路のカスケードを引き起こす。
【0224】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、TLR7及び/またはTLR8作動薬である。TLR7及びTLR8は、系統的及び構造的に関連する。TLR7は、ヒトpDC及びB細胞により選択的に発現される。TLR8は、mDC、単球、マクロファージ、及び骨髄抑制細胞において優位に発現される。TLR7特異的作動薬は、形質細胞様DC(pDC)を活性化して、大量の1型IFNを産生し、T細胞、NK細胞、B細胞、及びmDCの活性化を促進する同時刺激分子を高いレベルで発現する。TLR8特異的作動薬は、骨髄DC、単球、マクロファージ、または骨髄由来抑制細胞を活性化して、大量の1型IFN、IL-12、及びIL-23を産生し、抗原特異的CD4及びCD8+T細胞の活性化を促進するMHCクラスI、MHCクラスII、及び同時刺激分子を高いレベルで発現する。
【0225】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、式(I)の構造により表されるTLR7及び/またはTLR8作動薬、または、薬学的に許容される塩もしくはその溶媒和物である。
である。
【化3】
式中、破線は結合または結合の不在を表し、
Xは、Sまたは-NRであり、Rは-W―W―W―W―Wであり、
は、結合、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、または-アルキル-S-アルキル--であり、
は、結合、--O--、または--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、結合、--O--、--C(O)--、--C(S)--、または-S(O)-であり、
は、結合、--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--S-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、--NO、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり、
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--O-C(O)-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり、
Rは、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--C(O)-NH-R、--C(O)-NR、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--O-C(O)-R、--S-R、--C(O)-S-R、--S-C(O)-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり、
nは、0、1、2、3、または4であり、
Yは、-NR、-CR、または-アルキル-NHであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、--NH、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、 ここでR、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり、
X及びZは一緒になって、任意選択的に(5~9)員環を形成し得る。
【0226】
いくつかの実施形態では、式(I)のXはSである。
【0227】
いくつかの実施形態では、式(I)のXは、-NRであり、Rは、アルキル、--アルキル-W、-アルキル-O-W、--アルキル-NH-C(O)-W、--アルコキシ-NH-C(O)-W、--アルキル-NH-C(O)-NH-W、--アルコキシ-NH-C(O)-NH-W、--アルキル-S(O)-W、または--アルキル-NH-C(S)-Wであり、ここでWは上で定義した通りである。
【0228】
いくつかの実施形態では、式(I)のZは、水素、アルキル、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ハロアルキルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、シアノ、--アルコキシ-アルキル、ニトロ、及び-N(Rからなる群より選択される1から3つの置換基により任意選択的に置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールである。
【0229】
いくつかの実施形態では、式(I)のYは、-NH、--アルキル-NHであり、そのそれぞれはアルキル、アルコキシ、アルケニル、及びアルキニルからなる群より選択される1から3つの置換基により任意選択的に置換される。
【0230】
いくつかの実施形態では、式(I)のnは、1または2である。
【0231】
いくつかの実施形態では、式(I)のRは、アリールまたはヘテロアリールであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--C(O)-NH-R、--C(O)-NR、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--O-C(O)-R、--S-R、--C(O)-S-R、-S-C(O)-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、-NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、及び-SHからなる群より選択される1から3つの置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルである。
【0232】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、表2から選択されるTLR7及び/またはTLR8作動薬である 表2の化合物は、米国特許第4,689,338号明細書、米国特許第5,389,640号明細書、米国特許第5,226,575号明細書、米国特許第6,110,929明細書、米国特許第6,194,425号明細書、米国特許第5,352,784号明細書、米国特許第6,331,539号明細書、米国特許第5,482,936号明細書、米国特許第6,451810号明細書、国際公開第2002/46192号、国際公開第2002/46193号、国際公開第2002/46194号、米国特許出願公開第2004/0014779号明細書及び米国特許出願公開第2004/0162309号明細書においてより詳細に記載され特徴付けられている。
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
【表2-4】
【表2-5】
【表2-6】
【表2-7】
【表2-8】
【表2-9】
【0233】
いくつかの実施形態では好ましくは、免疫療法剤はレシキモドまたはイミキモドである。
【0234】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、式(II)の構造により表されるTLRモジュレータ(例えば、TLR7及び/またはTLR8作動薬)または、その薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である。
【化4】
式中、Vは、-NRであり、R及びRのそれぞれは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり、
10及びR11は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールである。
【0235】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、式(III)の構造により表されるTLRモジュレータ(例えば、TLR7及び/またはTLR8作動薬)である。
【化5】
式中、
【化6】
は二重結合または単結合であり、R及びRは、Hおよび低級アルキルから独立して選択され、または、R及びRは、3~7員環を有する飽和カルボシクリルを形成するために連結し、R及びRは、
【化7】
であり、ならびに他は水素であり、Rは、-NRもしくは-OR10であり、R及びRは、低級アルキルであり、ここでアルキルは任意選択的に1つまたは複数の-OHで置換され、R10は、アルキルであり、ここでアルキルは任意選択的に、1つまたは複数の-OHで置換され、Zは、Cであり、且つ
【化8】
は、二重結合であり、または、Zは、Nであり、且つ
【化9】
は、単結合であり、RおよびRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニルおよびRからなる群より独立して選択され、ここで、アルキルは、任意選択的に、1つまたは複数の-OR10またはRで置換され、Rは、-NH、-NH(アルキル)、及び-N(アルキル)から選択される、
【化10】
が二重結合の場合、Rは存在せず、または
【化11】
が単結合の場合、N-RとRまたはRの1方とは、5~7員環を有する飽和、部分不飽和、または不飽和ヘテロシクリルを形成するように連結し、RまたはRの他方は、必要に応じ環不飽和を受け入れるために、水素または不在であり、および次のA-Dの少なくとも1つを適用する。A)Rは、水素ではなく、B)Rは水素ではなく且つR及びRの少なくとも1つは、水素ではない、C)Zは、Nであり、またはd)N-RとRまたはRの1方とは、5~7員環を有する飽和、部分不飽和、または不飽和ヘテロシクリルを形成するように連結する。米国特許出願公開第2014/0088085号明細書は、その開示の全体を参照をもって組み込む。
【0236】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物のRは、
【化12】
である。さらに、R及びRの少なくとも1つは、式(III)の化合物において水素ではない、または、例えば、R及びRの1方は、アルキルであり、且つR及びRの他方は、水素である。さらに、式(III)のアルキルはRで置換される。異なる実施形態では、R及びRの両方は、アルキルであり、またはR及びRの1方は、Rであり、且つR及びRの他方は、水素である。例えば、式(III)のRは、水素ではない。
【0237】
いくつかの代替的な実施形態では、式(III)のNとRまたはRの1方とは、5~7員環を有する飽和、部分不飽和、または不飽和ヘテロシクリルを形成するように連結し、且つRまたはRの他方は、必要に応じ環不飽和を受け入れるために水素、または不在であり、ここで環は、5員環、または例えば環は、
【化13】
である。
【0238】
いくつかの実施形態では、式(III)の化合物におけるR及びRの少なくとも1つは、水素ではなく、または、例えばR及びRは、飽和カルボシクリルを形成するように連結され、ここで飽和カルボシクリルは、シクロプロピルである。代わりに、Zは、式(III)の化合物においてNである。
【0239】
いくつかの実施形態では、TLR作動薬またはモジュレータは、式(IV)の構造を有する。
【化14】
式中、Rは、-NRおよび-OR10から選択され、RおよびRは、低級アルキルであり、ここでアルキルは、1つまたは複数の-OHで任意選択的に置換され、R10は、アルキルであり、ここでアルキルは1つまたは複数の-OHで任意選択的に置換され、R及びRは、低級アルキルであり、または、R及びRは、それらが結合する窒素原子とともに4~6員環を有する飽和ヘテロシクリル環を形成する。例えば、式(IV)の化合物におけるR及びRは、それらが結合する窒素原子とともに飽和ヘテロシクリル環を形成し、ここでヘテロシクリル環は、ピロリジンである。
【0240】
いくつかの実施形態では、式(III)または式(IV)のいずれかのRは、-OR10であり、ここでR10は、アルキルまたはエチルである。いくつかの実施形態では、式(III)または式(IV)のいずれかのRは、-NRであり、ここで両方はアルキルまたは両方はプロピルである。さらに、特定の実施形態では、RまたはRの少なくとも1つは、1つの-OHで置換されたアルキルであり、R及びRの少なくとも1つは、
【化15】
であり、残りのRまたはRは、プロピルである。
【0241】
いくつかの代替的な実施形態では、TLRは、
【化16】
から選択される化合物である。代わりに、化合物は、
【化17】
から選択される。
【0242】
いくつかの代替的な実施形態では、TLR作動薬は、
【化18】
である。
【0243】
いくつかの代替的な実施形態では、TLR作動薬は、
【化19】
から選択される化合物である。
【0244】
いくつかの代替的な実施形態では、TLR作動薬は、
【化20】
である。
【0245】
いくつかの代替的な実施形態では、TLR作動薬は、
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
から選択される化合物である。
【0246】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、式(V)の構造により表されるTLRモジュレータ(例えば、TLR7及び/またはTLR8作動薬)、及びその代謝物質、溶媒和物、互変異性体ならびにプロドラッグであり、
【化29】
式中、
Yは、CFCF、CFCF、またはアリールもしくはヘテロアリール環であり、前記アリールおよびヘテロアリール環は、アルケニル、アルキニル、Br、CN、OH、NR、C(=O)R、NRSO、(C~Cアルキル)アミノ、ROC(=O)CH=CH-、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で置換され、ここで、アリールおよびヘテロアリール環は、任意選択的にF、Cl、CF、CFO-、HCFO-、アルキル、ヘテロアルキル及びArO-から独立して選択される1つまたは複数の基でさらに置換される、
、R及びRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立して選択され、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、ClBr、I、CN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROC(^O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換され、
または、R及びRは、それらが結合する原子とともに飽和または部分不飽和カルボシクリル環を形成し、ここでカルボシクリル環は、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、Br、I、CN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、0C(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROC(=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換され、
及びRは、H、OR6、NR、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、BrI、CN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(^O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROC(=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換され、
5a、R5b及びR5cは、独立してH、F、Cl、Br、IOMeCH、CHCHFまたはCFであり、ならびに
及びRは、Hアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、Br、I、CN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROC(^O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換される、
またはR及びRは、それらが結合する原子とともに飽和もしくは部分不飽和ヘテロシクリル環を形成し、ここで、ヘテロシクリル環は、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、Br、I、CN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROC(=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換される。特定の実施形態では、R、R及びRは、それぞれ水素である。特定の実施形態では、R5a、R5b及びR5cは、それぞれ水素である。国際公開第2007/024612号は、その開示の全体が参照をもって組み込まれる。
【0247】
式(V)の化合物のいくつかの実施形態では、RはORである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、例えば(1~4C)アルキルである。特定の実施形態では、Rは、エチルである。
【0248】
式(V)の化合物のいくつかの実施形態では、RはNRである。いくつかの実施形態では、R及びRは、独立して、H、アルキル、例えば、(1~6C)アルキル、またはヘテロアルキル、例えば、(l~4C)アルコキシ(2~4C)アルキルである。特定の実施形態では、R及びRは、独立してH、エチル、プロピル、またはCHCHOCHである。式Vの化合物のいくつかの実施形態では、Yはアリール、例えばフェニルである。いくつかの実施形態では、アリールは、C(=O)R、例えば、パラ-RC(=O)フェニルで置換される。いくつかの実施形態では、Rは、OR、NRまたはヘテロシクロアルキルである。いくつかの実施形態では、R及びRは、独立してHまたはアルキル、例えば(1~6C)アルキルである。いくつかの他の実施形態では、R及びRは、それらが結合する窒素原子とともに4~6員環アザシクロアルキル環、例えばピロリジニルを形成する。いくつかの実施形態では、Yはである。
【化30】
【0249】
式(V)の化合物のいくつかの実施形態では、YはCFCFである。
【0250】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、式(VI)の構造で表されるTLRモジュレータ(例えば、TLR8作動薬)、並びにその代謝物質、溶媒和物、互変異性体、薬学的に許容されるプロドラッグ及び塩であり、
【化31】
式中、
Zは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ORまたはNRであり、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、ClBr、I、CN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROCC=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから任意選択的に選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換され、
、R、R及びRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、Br、ICN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROCC=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSO、から独立して選択される1つまたは複数の基から任意選択的に置換され、
またはR及びRは、それらが結合する原子とともに飽和または部分不飽和カルボシクリル環を形成し、ここで、カルボシクリル環は、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、Br、I、CN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROC(=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換され、
またはR及びRは、ともにオキソであり、
各Rは、H、F、Cl、Br、I、OMe、CH、CHF、CHF、CF及びCFCFから独立して選択され、
及びRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、Br、I、CN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROC(=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換され、
またはR及びRは、それらが結合する原子とともに飽和または部分的不飽和ヘテロシクリル環を形成し、ここで、ヘテロシクリル環は、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、Br、I、CN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROC(=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換され、ならびにnは、0、1、2、3または4である。国際公開第2007/048402号の全体を参照をもって組み込む。
【0251】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、式(VI)の構造で表されるTLRモジュレータ(例えば、TLR8作動薬)、並びにその代謝物質、溶媒和物、互変異性体、薬学的に許容される塩及びプロドラッグであり、
【化32】
式中、
Zは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ORまたはNRであり、ここでアルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールは、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、Br、I、CN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROCC=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換され、
、R、R及びRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール及びヘテロアリールから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、Br、ICN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROCC=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSO、から独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換され、
またはR及びRは、それらが結合する原子とともに飽和または部分不飽和カルボシクリル環を形成し、ここで、カルボシクリル環は、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、Br、ICN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROC(=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換され、
またはR及びRは、ともにオキソであり、
は、H、F、Cl、Br、I、OMe、CH、CHF、CHF、CFまたはCFCFであり、
及びRは、H、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールから独立して選択され、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、ヘテロアルキル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘテロシクロアルキル、アリール、及びヘテロアリールは、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、Br、I、CN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノCHOCHO-、ROC(=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換され、
またはR及びRは、それらが結合する原子とともに飽和または部分的不飽和ヘテロシクリル環を形成し、ここで、ヘテロシクリル環は、アルキル、アルケニル、アルキニル、F、Cl、Br、I、CN、OR、NR、C(=O)R、C(=O)OR、OC(=O)R、C(=O)NR、(C~Cアルキル)アミノ、CHOCHO-、ROC(=O)CH=CH-、NRSO、SR及びSOから独立して選択される1つまたは複数の基で任意選択的に置換され、ならびに
nは、0、1、2、3または4である。
【0252】
いくつかの実施形態では、ZはORである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキル、例えば(1~6C)アルキルである。特定の実施形態では、Rは、エチル、プロピル、イソプロピルまたはイソブチルである。
【0253】
いくつかの実施形態では、Zは、NRである。いくつかの実施形態では、R及びRは、独立してHまたはアルキル、例えば(1~6C)アルキルである。いくつかの実施形態では、R及びRは、エチルである。いくつかの実施形態では、nは、0または1である。
【0254】
いくつかの実施形態では、Rは、CFCFである。特定の実施形態では、Rは、Hまたはアルキル、例えば(l~4C)アルキルであり、Rは、Hである。特定の実施形態では、Rは、アルキル、例えば(l~4C)アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。他の特定の実施形態では、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、Hまたはアルキル、例えば(l~4C)アルキルであり、Rは、Hである。いくつかの実施形態では、Rは、アルキルである。いくつかの実施形態では、Rは、メチルである。いくつかの特定の実施形態では、Rは、Hである。
【0255】
いくつかの実施形態では、活性化部分は、式(XV)の構造で表されるTLR7及び/またはTLR8作動薬であり、
【化33】
式中、環Aは、6~10員環芳香カルボシクリル環または5~10員環ヘテロ芳香環を表し、
Rは、ハロゲン原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシアルコキシ基、ハロアルコキシ基、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、または1~2個の窒素原子及び任意選択的に0~1個の酸素原子または0~1個の硫黄原子から選択される環1~2ヘテロ原子を含有する4~7員環シクリル基を表し、
nは、0~2の整数を表し、nが2の場合、Rsは、同じまたは異なり得、
は、置換もしくは非置換のアルキレン基または置換もしくは非置換のシクロアルキレン基、
は、酸素原子、硫黄原子、SO、NR、CO、CONR、NRCO、SONR、NRSO、NRCONRまたはNRCSNR(ここでRおよびRは、それぞれ独立して水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、または置換もしくは非置換のシクロアルキル基)を表し、
、Y及びYは、それぞれ独立して単結合またはアルキレン基を表し、
は、酸素原子、硫黄原子、SO、NR(ここで、Rは、水素原子もしくはアルキル基であり)または単結合を表し、
は、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアルキニル基または置換もしくは非置換のシクロアルキル基を表し、ならびに
は、水素原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基または置換もしくは非置換のシクロアルキル基を表す。リンカーは、作動薬の結合可能部の1つ、例えば-NHと結合される。
【0256】
いくつかの実施形態では、Rは、水素、ヒドロキシル、またはC~Cアルコキシ、C~Cアルコキシカルボニル、C~Cハロアルキル、C~Cハロアルコキシ、C~C10アリール、C~C10ヘテロアリールまたはC~Cシクロアルキル基であり、各基は、ハロゲン、ヒドロキシル、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、C~Cアルコキシカルボニル、アミノ(NH)、(モノ)-C~Cアルキルアミノ及び(ジ)-C~Cアルキルアミノ基から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、
は、単結合またはC~Cアルキレンを表し、
は、単結合、酸素、硫黄原子、スルホニル(SO)またはNRを表し、
は、C~CアルキレンまたはC~Cシクロアルキレン基を表し、各基は、少なくとも1つのヒドロキシルにより任意選択的に置換され、
は、NRを表し、
は、単結合またはC~Cアルキレンを表し、
は、単結合またはC~Cアルキレンを表し、
nは、0、1または2の整数であり、
Rは、ハロゲンもしくはC~Cアルキル、C~Cヒドロキシアルキル、C~Cハロアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cヒドロキシアルコキシ、C~Cハロアルコキシ、アミノ(NH)、(モノ)-C~Cアルキルアミノ、(ジ)-C~Cアルキルアミノ基、または環窒素原子ならびに任意選択的に窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1つまたは複数のさらなるヘテロ原子を含むC~C飽和ヘテロシクリル環であって、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルカルボニル及びC~Cアルコキシカルボニルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換される、ヘテロシクリル環を表し、
は、水素またはC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~CアルキニルもしくはC~Cシクロアルキル基を表し、各基は、ハロゲン、ヒドロキシルまたはC~Cアルコキシ、C~C10アシルオキシ、Cアルキルカルボニルオキシ基、C~Cアルケニルカルボニルオキシ基、C~Cアルキニルカルボニルオキシ基、C~Cアリールカルボニルオキシ基及びC~Cヘテロアリールカルボニルオキシ基から選択される基から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、そのそれぞれのアシルオキシ基は、アシルオキシ基の炭素原子の全数が10を超えない条件でハロゲン、ヒドロキシル、C~Cアルコキシ及びフェニル、アミノ(NH)、(モノ)-C~Cアルキルアミノ、(ジ)-C~Cアルキルアミノ基、ならびに環窒素原子及び任意選択的に窒素、酸素及び硫黄から独立して選択される1つまたは複数のさらなるヘテロ原子を含むC~C飽和ヘテロシクリル環であって、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、C~Cアルキル、C~Cアルコキシ、C~Cアルキルカルボニル及びC~Cアルコキシカルボニル基から独立して選択される1つまたは複数の置換基で順に任意選択的に置換される、ヘテロシクリル環から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され得、
は、水素またはC~Cアルキルを表し、
は、CO、SO、COR、SONR及びCONRを表し、
は、独立して
(i)環基NR、S(O)もしくは酸素から選択される1もしくは2個のヘテロ原子を含む3-から8-員環のヘテロシクリル環であり、該3-から8-員環のヘテロシクリル環は、ハロゲン、ヒドロキシルもしくはC~Cアルキル及びC~Cアルコキシ基から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、または
(ii)C~C10アリールもしくはC~C10ヘテロアリール基であり、そのそれぞれは、ハロゲン、シアノ、C~Cアルキル、C~Cハロアルキル、カルボキシル、S(O)、OR10、CO10、SONR1011、CONR1011、NR1011、NR10SO、NR10CO、NR10CORから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され得、または
(iii)C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~CアルキニルもしくはC~Cシクロアルキル基であり、そのそれぞれは、ハロゲン、CN、C~Cシクロアルキル、S(O)12、OR13、COR13、CO13、SONR1314、CONR1314、NR1314、NR13SO12、NR13CO12、NR13COR12、NR13SO12またはC~C10アリールもしくはC~C10ヘテロアリール基もしくはヘテロシクリル環から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され得、後から3つの基は、C~Cアルキル(ヒドロキシ、C~Cアルコキシ、C~Cアルコキシカルボニル、アミノ、C~Cアルキルアミノ、ジ-C~Cアルキルアミノ、NHC(O)-、C~CアルキルNHC(O)、ジ-C~CアルキルNC(O)、-OCHCHOH、ピロリジニル、ピロリジニルカルボニル、フラニル、ピペリジニル、メチルピペリジニルもしくはフェニルで任意選択的に置換される)、C~Cアルケニル(フェニルで任意選択的に置換される)、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、アミノ、C~Cアルキルアミノ、ジ-C~Cアルキルアミノ、NHC(O)-、C~CアルキルNHC(O)-、ジ-C~CアルキルNC(O)、C~Cアルコキシカルボニル、C~Cアルキルスルホニル、C~Cアルキルカルボニルアミノ、C~Cアルキルカルボニルメチルアミノ、フェニル(ヒドロキシ、フルオロもしくはメチルで任意選択的に置換される)、ピロリジニル、ピリジル、ピペリジニル、ベンゾチアゾリルもしくはピリミジニルから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され得、
は、水素またはC~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル基もしくはヘテロシクリル環を表し、そのそれぞれは、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、C~Cシクロアルキル、OR15、S(O)15、CO16、COR16、NR1617、CONR1617、NR16COR17、NR16CO15、SONR1617、NR16SO15、もしくはC~C10アリールもしくはC~C10ヘテロアリール基もしくはヘテロシクリル環から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され得、後から3つの基は、C~Cアルキル、C~Cシクロアルキル、ハロゲン、S(O)15、CO16、COR16、ヒドロキシもしくはシアノから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、ならびに
は、水素、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~Cアルキニル、もしくはC~Cシクロアルキル基であり、各基は、ハロゲン、C~Cシクロアルキル、C~C10アリールもしくはC~C10ヘテロアリール基、カルボキシ、シアノ、OR15、ヒドロキシもしくはNR1819から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され得、または
及びRは、それらが結合する窒素原子とともに、窒素、S(O)もしくは酸素から選択されるヘテロ原子もしくはヘテロ基を任意選択的にさらに含む3-から8-員環の飽和もしくは部分飽和ヘテロシクリル環を形成し、該ヘテロシクリル環は、ハロゲン、ヒドロキシル、カルボキシル、シアノ、OR20、NR2122、S(O)23、COR24、CO24、NR2425、CONR2425、NR24COR25、NR24CO23、SONR2425、NR24SO23、C~C10アリール、C~C10ヘテロアリール基、ヘテロシクリル環、C~Cアルキル、C~Cアルケニル、C~CアルキニルもしくはC~Cシクロアルキル基から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され得、後から7つの基は、ハロゲン、ヒドロキシル、オキソ、シアノ、OR20、S(O)23、COR24、CO24、NR2425、CONR2425、NR24CO23、NR24COR25、SONR2425、NR24SO23、ヘテロシクリル環もしくはC~C10アリールもしくはC~C10ヘテロアリール基から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、後から3つの基は、C~Cアルキル、ハロゲン、ヒドロキシもしくはシアノから独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、
は、水素、CO26、COR26、SO26、C~CアルキルもしくはC~Cシクロアルキル基を表し、各基は、ハロゲン、ヒドロキシル、及びNR2728から独立して選択される1つまたは複数の置換基で任意選択的に置換され、
10、R11、R16、R17、R18、R19、R21、R22、R26、R27もしくはR28はそれぞれ、水素、及びC~CアルキルもしくはC~Cシクロアルキル基を独立して表し、
24及びR25はそれぞれ、水素、及びC~CアルキルもしくはC~Cシクロアルキル基を独立して表し、または
24およびR25は、それらが結合する窒素原子とともに、窒素、S(O)もしくは酸素から選択されるヘテロ原子もしくはヘテロ基を任意選択的にさらに含む3-から8-員環の飽和もしくは部分飽和ヘテロシクリル環を形成し、
、R12、R15及びR23は、C~CアルキルもしくはC~Cシクロアルキルを表し、
13及びR14は、それぞれR及びRとして規定され、
20は、ハロゲン、ヒドロキシルもしくはOR23から独立して選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されたC~Cアルキルを表し、
m、p、q及びrはそれぞれ、0、1もしくは2の整数を独立して表し、ならびに
Aは、C~C10アリールもしくはC~C12ヘテロアリール基を表す。国際公開第2008/004948号、米国特許第8,138,172号明細書、及び米国特許第8,575,180号明細書を参照し、その開示を参照をもって組み込む。
【0257】
いくつかの実施形態では、活性化部分は、以下の構造を有するTLR7及び/またはTLR8作動薬である。
【化34】
式中、RはMeまたはHである。
【0258】
いくつかの実施形態では、活性化部分は、以下の構造を有するTLR7及び/またはTLR8作動薬である。
【化35】
【化36】
【化37】
【0259】
いくつかの実施形態では、活性化部分は、式(XVI)の構造を有するTLR7及び/またはTLR8作動薬である。
【化38】
式中、Rは独立して、H、-C(O)R、またはラセミ体、L-、もしくはD-アミノ酸基-C(O)CHNHであり、ここでRは、置換もしくは非置換アルキルであり、Rは、H、または置換もしくは非置換アルキルであり、
は、H、O、OR、またはN(Rであり、ここで、Rは独立して、Hまたはアルキルであり、Rは独立して、H、置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、または窒素と一緒に置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル環を形成し、ならびにRが、-OHである場合、該R基の少なくとも1つがラセミ体、L-、もしくはD-アミノ酸基-C(O)CHNHである。米国特許第6,924,271号明細書を参照し、その開示の全体を参照をもって組み込む。
【0260】
いくつかの実施形態では、R基の少なくとも1つは、ラセミ体、L-、もしくはD-アミノ酸基-C(O)CHNHであり、ここでRは、置換もしくは非置換アルキル、且つ残りのR基はHであり、Rは、ORもしくはN(Rであり、ここで、Rは、Hもしくはアルキルから独立して選択され、Rは独立して、H、置換もしくは非置換アルキル、シクロアルキル、または窒素とともに置換もしくは非置換ヘテロシクロアルキル環を形成する。
【0261】
いくつかの実施形態では、R基の少なくとも1つは、L-アミノ酸基-C(O)CHNHであり、式中Rは、置換もしくは非置換アルキルであり、且つ残りのR基はHであり、Rは、ORもしくはN(Rであり、ここで、Rは、置換アルキルであり、Rは独立して、Hまたは置換もしくは非置換アルキルである。
【0262】
いくつかの実施形態では、R基の少なくとも1つは、L-アミノ酸基-C(O)CHNHRであり、式中Rは、-CH(CHであり、且つ残りのR基はHであり、Rは、OHである。
【0263】
いくつかの実施形態では、TLR7及び/または作動薬は、
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
からなる群より選択される。
【0264】
いくつかの実施形態では、活性化部分は、以下の構造を有するTLR7及び/またはTLR8であり、
【化43】
【化44】
式中、
各Rは、H、または1つまたは複数のO、S、もしくはNヘテロ原子が割り込み得る、置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、またはアルキニル、または置換もしくは非置換アリールもしくはヘテロアリールであり、
は、H、OH、SH、ハロ、または1つまたは複数のO、S、もしくはNヘテロ原子が割り込み得る、置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、またはアルキニル、または置換もしくは非置換-O-(アルキル)、-O-(アリール)、-O-(ヘテロアリール)、-S-(アルキル)、-S-(アリール)、-S-(ヘテロアリール)、アリール、またはヘテロアリールであり、
は、H、OH、またはSH、または置換もしくは非置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、-O-(アルキル)、-O-(アリール)、-O-(ヘテロアリール)、-S-(アルキル)、-S-(アリール)、-S-(ヘテロアリール)、-NH(アルキル)、-NH(アリール)、-NH(ヘテロアリール)、-NH(R)(アルキル)、-NH(R)(アリール)、または-NH(R)(ヘテロアリール)であり、ここでRは、置換もしくは非置換アルキルであり、
Xは、OまたはSであり、
Yは、H、ハロ、OH、OR、SH、SR、または置換もしくは非置換アルキルまたはアリールであり、ならびに
Zは、H、ハロ、OH、OR、SH、またはSRである。米国特許第7,576,068号明細書を参照し、その開示の全体を参照をもって組み込む。
【0265】
いくつかの実施形態では、活性化部分は、式(XVIII)の構造を有するTLR7及び/またはTLR8作動薬であり:
【化45】
式中、
Y-Zは、-CR-、-CR-CR-、-C(O)CR-、-CRC(O)-、-NRC(O)-、-C(O)NR-、-CRS(O)-、または-CR-CR-であり、
は、-NR-、-O-、-S-、-N(R)C(O)-、-S(O)-、-S(O)-C(O)N(R)-、-N(R)S(O)-、-S(O)N(R)-または共有結合であり、
は、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、または置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルであり、
は、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、アルケニレン、置換アルケニレン、アルキニレン、置換アルキニレン、カルボシクリレン、置換カルボシクリレン、ヘテロシクリレン、置換ヘテロシクリレン、-NR-、-O-、-C(O)-、-S(O)-、S(O)-、または結合であり、
Dは、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルであり、ここで、カルボシクリル、置換カルボシクリル、ヘテロシクリルまたは置換ヘテロシクリルは、1または2の-L-NRで置換され、または
Dは、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールであり、ここで、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロアリールまたは置換ヘテロアリールは、1から4の窒素原子を含み、
各Lは独立して、アルキレン、置換アルキレン、ヘテロアルキレン、置換ヘテロアルキレン、または共有結合であり、
各Rは独立して、ハロゲン、シアノ、アジド、ニトロ、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシル、アミノ、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロアルコキシ、-CHO、-C(O)OR、-S(O)R、-S(O)、-C(O)NR10、-N(R)C(O)R、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、-S(O)NR10、-N(R)S(O)、-N(R)S(O)OR10、-OS(O)NR10であり、
nは、0、1、2、3、4または5であり、
及びRはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキル、シアノ、アジド、OR、-C(O)H、-C(O)R、-S(O)R、-S(O)、-C(O)OR、または-C(O)NR10であり、または
及びRは、それら両方が結合する炭素とともにカルボシクル、置換カルボシクル、ヘテロシクルまたは置換ヘテロシクルを形成し、または
及びRは、同じ炭素原子上で、それらが結合する炭素と一緒になっている場合、-C(O)-または-C(NR)-であり、または
隣接する炭素原子上の2つのRまたは2つのRは、それらが結合する炭素とともに3から6員環カルボシクル、置換カルボシクル、ヘテロシクルまたは置換ヘテロシクルを形成し、
及びRはそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキル、-C(O)H、-C(O)R、-S(O)R、-S(O)、-C(O)OR、または-C(O)NR10、S(O)NR10であり、または
及びRは、それらがともに結合する窒素とともに、N、O、P、またはSから選択される1つまたは複数のさらなるヘテロ原子を含み得る置換または非置換ヘテロシクルを形成し、または
は、L、およびそれらがともに結合するNとともに、N、O、S、またはPから選択される1つまたは複数のさらなるヘテロ原子を含み得る置換または非置換の3から8員環ヘテロシクルを形成し、
は、H、アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルであり、ならびに
及びR10はそれぞれ独立して、H、アルキル、置換アルキル、アルケニル、置換アルケニル、アルキニル、置換アルキニル、ハロアルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、カルボシクリル、置換カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、置換カルボシクリルアルキル、ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、アリールアルキル、置換アリールアルキル、ヘテロアリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、カルボシクリルヘテロアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、アリールヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、ヘテロアリールヘテロアルキル、または置換ヘテロアリールヘテロアルキルであり、または
及びR10は、それらがともに結合する窒素ととともに、置換または非置換ヘテロシクルを形成し、
ここで、各置換アルキル、置換アルケニル、置換アルキニル、置換ヘテロアルキル、置換カルボシクリル、置換カルボシクリルアルキル、置換ヘテロシクリル、置換ヘテロシクリルアルキル、置換アリールアルキル、置換ヘテロアリールアルキル、置換カルボシクリルヘテロアルキル、置換ヘテロシクリルヘテロアルキル、置換アリールヘテロアルキル、置換ヘテロアリールヘテロアルキル、置換アルキレン、置換ヘテロアルキレン、置換アルケニレン、置換アルキニレン、置換カルボシクリレン、または置換ヘテロシクリレンは独立して、-ハロゲン、-R、-O、=O、-OR、-SR、-S、-NR、-N(+)R、=NR、-C(ハロゲン)、-CR(ハロゲン)、-CR(ハロゲン)、-CN、-OCN、-SCN、-N=C=O、-NCS、-NO、-NO、=N、-N、-NRC(=O)R、-NRC(=O)OR、-NRC(=O)NRR、-C(=O)NRR、-C(=O)OR、-OC(=O)NRR、-OC(=O)OR、-C(=O)R、-S(=O)OR、-S(=O)R、-OS(=O)OR、-S(=O)NR、-S(=O)R、-NRS(=O)R、-NRS(=O)NRR、-NRS(=O)OR、-OP(=O)(OR)、-P(=O)(OR)、-P(O)(OR)(O)R、-C(=O)R、-C(=S)R、-C(=O)OR、-C(=S)OR、-C(=O)SR、-C(=S)SR、-C(=O)NRR、-C(=S)NRR、-C(=NR)NRR、及び-NRC(=NR)NRRからなる群より選択される1から4つの置換基で独立して置換され、各Rは独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはヘテロシクリルである。米国特許出願公開第20100143301号明細書を参照し、その開示の全体を参照をもって組み込む。
【0266】
いくつかの実施形態では、活性化部分は、以下の構造を有するTLR7及び/またはTLR8作動薬である。
【化46】
式中、
は、-NH-または-O-であり、
は、アルキル、置換アルキル、ヘテロアルキル、置換ヘテロアルキル、ヘテロシクリルアルキル、置換ヘテロシクリルアルキル、カルボシクリルアルキルまたは置換カルボシクリルアルキルであり、
各R及びRは独立して、HもしくはC~Cアルキル、またはそれらが結合する炭素と一緒になったR及びRは、-C(O)-であり、
は、C~Cアルキレン、C~CヘテロアルキレンまたはC~C置換ヘテロアルキレンであり、
Dは、フェニル、ビフェニルまたはピリジニルであり、ここで、フェニル、ビフェニルまたはピリジニルは、-L-NRで置換され、または
Dは、ピリジニル、ピペリジニル、ピペラジニルまたは1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリニルであり、
nは、0または1であり、
は、ハロゲン、シアノ、アルキル、カルボシクリル、カルボシクリルアルキル、ハロアルキル、-C(O)OR、-C(O)NR10または-CHOであり、
は、C~Cアルキレンまたは共有結合であり、
各R及びRは独立して、H、アルキル、またはヘテロアリール、または
それらが結合する窒素と一緒になったR及びRは、N、OまたはSから選択される0から2つのヘテロ原子を含む置換または非置換4~6員環ヘテロシクルを形成する。
【0267】
いくつかの実施形態では、活性化部分は、下記の構造を有するTLR7及び/またはTLR8作動薬である。
【化47】
【0268】
C.療法剤の組み合わせにおける免疫療法剤の量
別の態様では、本発明は、腫瘍及び癌のような疾患の治療処置組み合わせに適切な量で標的療法剤及び免疫療法剤を含む療法剤の組み合わせを提供する。
【0269】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、以下をし得る量である:(1)濃縮したヒト血液DCにおいてIFN-αを誘発すること、(2)濃縮したヒト血液DCにおいてTNF-αを誘発すること、及び/または(3)濃縮したヒト血液DCにおいてIL-12-αを誘発すること。
【0270】
免疫療法剤の活性を測定する方法は、1)免疫療法剤により刺激されたヒト樹状細胞から放出されたサイトカインを測定するアッセイ、2)免疫療法剤により増強された抗体依存性細胞介在性細胞障害を検出するアッセイ、及び3)免疫療法剤により治療される腫瘍モデルの有効性試験である。
【0271】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤(例えば、レシキモドまたはその類似体)は、免疫療法剤の局所濃度(例えば、固形腫瘍の腫瘍部付近または固形腫瘍の腫瘍部で)が、約0.005μg/mlから約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、または12μg/ml(全ての値を含む)までの間であるような量で、経口製剤または静脈製剤を用いて経口的または静脈内に投与される。
【0272】
免疫療法剤の局所濃度(例えば、固形腫瘍の腫瘍部付近または固形腫瘍の腫瘍部で)は、例えば、組織またはリンパ液濃度を測定するような、本分野で知られている方法を用いて測定され得る。治療剤の局所有効濃度は、経路、組織分布及び代謝プロセスからのその吸収に依存し、薬剤及び組織濃度の血漿薬物動態学は、本分野で知られている方法を用いて日常的に測定され得る。
【0273】
いくつかの実施形態では、免疫療法剤は、免疫療法剤の局所濃度(例えば、固形腫瘍の腫瘍部付近または固形腫瘍の腫瘍部で)が、約0.05μg/ml、0.1μg/ml、0.15μg/ml、0.2μg/ml、0.3μg/ml、または0.4μg/ml、から約0.5μg/ml(全ての値を含む)までの間であるような量で投与される。
【0274】
いくつかの実施形態では、対象に、週に2回、約0.0005mg/kg、0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、または0.015mg/kg、から約0.02mg/kg(全ての値を含む)までの間の用量で免疫療法剤(例えば、レシキモドまたはその類似体)を含む経口製剤が投与される。いくつかの実施形態では、対象に、週に2回、約0.0005mg/kg、から約0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、または0.02mg/kg(全ての値を含む)までの間の用量で免疫療法剤(例えば、レシキモドまたはその類似体)を含む経口製剤が投与される。
【0275】
いくつかの実施形態では、対象に、週に2回、約0.0005mg/kg、0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg,0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg以下の用量で免疫療法剤(例えば、レシキモドまたはその類似体)を含む経口製剤が投与される。
【0276】
いくつかの実施形態では、対象に、毎週、約0.0005mg/kg、0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、または約0.015mg/kg、から約0.02mg/kgまで(全ての値を含む)の間の用量で免疫療法剤(例えば、レシキモドまたはその類似体)を含む静脈製剤が投与される。いくつかの実施形態では、対象に、毎週、約0.0005mg/kg、から約0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、0.01mg/kg、0.015mg/kg、または0.02mg/kg(全ての値を含む)の間の用量で免疫療法剤(例えば、レシキモドまたはその類似体)を含む静脈製剤が投与される。
【0277】
いくつかの実施形態では、方法は、毎週、約0.0008mg/kgから約0.0133mg/kgの間の用量で前記免疫療法剤(例えば、レシキモドまたはその類似体)を含む静脈製剤を前記対象に投与することを含む。
【0278】
いくつかの実施形態では、毎週、約0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、または0.006mg/kg以下から約0.007mg/kgまでの用量で免疫療法剤(例えば、レシキモドまたはその類似体)を含む静脈製剤を対象に投与することを含む。免疫療法剤の安全な投薬量に関する参照文献に関し、Jurkら、Nature Immunology、Vol. 4、No. 6”499 (2002)、and Pockrosら、J. Hepatology、47:174-182 (2007),を参照し、その開示の全体を参照をもって組み込む。
【0279】
III.医薬製剤及び投与
本発明は、本発明の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、及び1つまたは複数の薬学的に許容され得る担体を含む、医薬製剤にさらに関する。
【0280】
付加塩またはその水和物などの薬学的に許容され得る担体を含む本明細書に記載の化合物は、多種多様な投与経路または投与様式を使用して患者に送達することができる。好適な投与経路には、吸入、経皮、経口、直腸内、経粘膜、腸内、ならびに筋肉内、皮下、及び静脈内注射を含む非経口投与が含まれる。好ましくは、標的部分として抗体または抗体断片を含む本発明の化合物は、非経口、より好ましくは静脈内投与される。
【0281】
本明細書で用いるとき、「投与する」または「投与」という用語は、化合物をその意図される作用部位へ直接的及び間接的に送達する全ての方法を包含することが意図される。
【0282】
本明細書に記載の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩及び/または水和物は、単独で、本発明の他の化合物と組み合わされて、及び/または他の治療剤と組み合わされたカクテルにて投与され得る。当然のことながら、本発明の化合物と同時投与することができる治療剤の選択は、部分的には、処置される状態に依存するだろう。
【0283】
例えば、自己誘発剤に依存する生物により引き起こされる疾患状態に罹患している患者に投与する場合、本発明の化合物は、疼痛、感染、並びに疾患に共通して関連する他の症状及び副作用を処置するために使用する薬剤を含有するカクテルにて投与することができる。そのような薬剤には、例えば、鎮痛薬、抗生物質などが含まれる。
【0284】
癌処置を受けている患者に投与されるとき、化合物は、抗癌剤及び/または補助増強剤を含有するカクテルにて投与され得る。化合物は、また、制吐薬、放射線保護剤などの、放射線療法の副作用を処置する薬剤を含有するカクテルにて投与され得る。
【0285】
本発明の化合物と同時投与することができる補助増強剤には、例えば、三環系抗うつ剤(例えば、イミプラミン、デシプラミン、アミトリプチリン、クロミプラミン、トリミプラミン、ドキセピン、ノルトリプチリン、プロトリプチリン、アモキサピン、及びマプロチリン);非三環系抗うつ剤(例えば、セルトラリン、トラゾドン、及びシタロプラム);Ca+2拮抗剤(例えば、ベラパミル、ニフェジピン、ニトレンジピン、及びカロベリン)、;アンホテリシン;トリパラノール類似体(例えば、タモキシフェン);抗不整脈薬(例えば、キニジン);降圧薬(例えば、レセルピン);チオール枯渇薬(例えば、ブチオニン、及びスルホキシイミン);及びカルシウムロイコボリンが含まれる。
【0286】
本発明の活性化合物(複数可)は、それ自体で、または活性化合物(複数可)が1つまたは複数の薬学的に許容され得る担体、賦形剤、または希釈剤と混合される医薬組成物の形態で投与される。本発明に従って使用するための医薬組成物は、活性化合物を薬学的に使用できる調製物に加工することを促進する賦形剤及び佐剤を含む1つまたは複数の生理学的に許容され得る担体を使用する、従来の方法で典型的に製剤化される。適切な製剤化は、選択される投与経路に依存する。
【0287】
経粘膜投与については、透過される関門に適する浸透剤が製剤内に使用される。そのような浸透剤は、当該分野において一般に知られている。
【0288】
経口投与については、化合物は、活性化合物(複数可)を当該分野で周知の薬学的に許容され得る担体と組み合わせることによって、容易に製剤化され得る。そのような担体は、本発明の化合物が、錠剤、丸剤、糖衣錠、カプセル剤、液剤、ゲル剤、シロップ剤、スラリー剤、懸濁剤として、処置される患者による経口摂取用に製剤化されることを可能にする。経口使用のための医薬調製物は、固体の賦形剤を、結果得られた混合物を任意選択的に粉砕し、錠剤または糖衣剤コアを得るために望ましい場合、好適な佐剤を加えた後、顆粒の混合物を加工して得ることができる。好適な賦形剤は、特に、ラクトース、スクロース、マンニトール、またはソルビトールを含む糖類などの充填剤;例えばトウモロコシデンプン、コムギデンプン、コメデンプン、ジャガイモデンプン、ゼラチン、トラガカントゴム、メチルセルロール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、及び/またはポリビニルピロリドン(PVP)などのセルロース調製物である。望ましい場合、崩壊剤、例えば、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などを添加することができる。
【0289】
糖衣錠コアは好適な被覆と共に提供される。この目的のために、糖濃縮液が使用され得、これは任意選択的にアラビアゴム、タルク、ポリビニルピロリドン、カーボポールゲル、ポリエチレングリコール、及び/または二酸化チタン、ラッカー溶液、及び好適な有機溶媒または溶媒混合物を含有し得る。染料または顔料を、同定のため、または活性化合物用量の異なる組み合わせを特徴付けるために、錠剤または糖衣剤被覆に添加してもよい。
【0290】
経口的に使用できる医薬調製物には、ゼラチンから作られる押し込み式カプセル剤、ならびに、ゼラチン及びグリセロールまたはソルビトールなどの可塑剤から作られる軟質密閉カプセル剤が含まれる。押し込み式カプセルは、ラクトース等の充填剤、デンプン等の結合剤、及び/またはタルクまたはステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤、及び任意選択的に安定化剤との混合物内に活性成分を含有することができる。軟質カプセル剤では、活性化合物は、脂肪油、流動パラフィン、または液体ポリエチレングリコールなどの好適な液体中に溶解または懸濁され得る。加えて、安定化剤を添加してもよい。経口投与用の全ての製剤は、そのような投与に好適な投与量であるべきである。
【0291】
口腔内投与については、組成物は従来の方法により製剤化された錠剤またはロゼンジ剤の形態をとり得る。
【0292】
吸入による投与については、本発明に従って使用するための化合物は、好適な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、または他の好適なガスの使用を伴い、加圧パックまたは噴霧器からのエアロゾルスプレー状の形態で好都合に送達される。加圧エアロゾルの場合、用量単位は、計量した量を送出するための弁を提供することにより決定され得る。例えば吸入器または注入器で使用するためのゼラチンのカプセル剤及びカートリッジ剤は、化合物と、ラクトースまたはデンプンなどの好適な粉末基剤との粉末混合物を含有して、製剤化され得る。
【0293】
化合物は、注射による、例えばボーラス注射または持続注入による非経口投与用に製剤化され得る。注射は、本発明の組成物の好ましい投与方法である。注射用製剤は、単位剤形、例えば、アンプルまたは多用量容器に存在し得、防腐剤の添加を伴う。組成物は、懸濁剤、液剤、または油性または水性ビヒクル中の乳剤などの形態をとってよく、懸濁剤、安定化剤、及び/または分散剤などの製剤化剤を含有してもよく、架橋ポリビニルピロリドン、寒天、またはアルギン酸、またはアルギン酸ナトリウムなどのその塩などを添加してもよい。
【0294】
非経口投与用の医薬製剤には、水溶性形態の活性化合物の水溶液が含まれる。加えて、活性化合物の懸濁剤は、適切な油性注射用懸濁剤として調製され得る。好適な親油性溶媒またはビヒクルには、ゴマ油などの脂肪油、またはオレイン酸エチルまたはトリグリセリドなどの合成脂肪酸エステル、またはリポソームが含まれる。水性注射用懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール、またはデキストランなどの懸濁剤の粘度を増加させる物質を含有し得る。任意選択的に、懸濁剤は、好適な安定化剤、または高濃度の溶液の調製を可能にするための化合物の可溶性を増加させる薬剤を含有し得る。注射については、本発明の薬剤は、水溶液に、好ましくはハンクス溶液、リンゲル溶液または生理食塩水緩衝液などの生理学的に混合可能な緩衝液に製剤化され得る。
【0295】
あるいは、活性成分は、使用前に、好適なビヒクル、例えば無パイロジェン滅菌水との構成のための粉末形態であり得る。
【0296】
化合物は、また、例えばカカオバターまたは他のグリセリドなどの従来の坐剤基剤を含有する、坐剤または停留浣腸などの直腸用組成物にも製剤化され得る。
【0297】
前述の製剤に加えて、化合物は、デポー調製物としても製剤化され得る。そのような長期作用製剤は、埋め込みまたは経皮送達(例えば、皮下または筋肉内)、筋肉内注射、または経皮パッチにより投与され得る。したがって、例えば化合物は、好適なポリマーまたは疎水性材料(例えば、許容され得る油中の乳剤として)、またはイオン交換樹脂を伴って、またはやや難溶性の誘導体として、例えばやや難溶性の塩として製剤化され得る。
【0298】
医薬組成物は、好適な固体またはゲル相の担体または賦形剤も含み得る。そのような担体または賦形剤の例には、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、様々な糖、デンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、及びポリエチレングリコールなどのポリマーが含まれるが、これらに限定されない。
【0299】
好ましい医薬組成物は、静脈内注射などの注射用に製剤化された組成物であり、総医薬組成物の100重量%に基づいて、約0.01重量%~約100重量%の本発明の化合物を含む。薬物-リガンドコンジュゲートは、抗体が特定の癌を標的するように選択されている抗体-細胞毒素コンジュゲートであり得る。
【0300】
いくつかの実施形態では、本発明の医薬組成物は追加の治療剤をさらに含む。
【0301】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は抗癌剤である。
【0302】
いくつかの実施形態では、追加の抗癌剤は、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼI及びIIの阻害剤、アルキル化剤、微小管阻害剤、抗アンドロゲン剤、GNRhモジュレータまたはそれらの混合物から選択される。
【0303】
いくつかの実施形態では、追加の治療剤は化学治療剤である。
【0304】
本明細書において「化学治療剤」は、癌の処置に有用な化学化合物を意味する。例には、ゲムシタビン、イリノテカン、ドキソルビシン、5-フルオロウラシル、シトシンアラビノシド(「Ara-C」)、シクロホスファミド、チオテパ、ブスルファン、サイトキシン、TAXOL、メトトレキセート、シスプラチン、メルファラン、ビンブラスチン、及びカルボプラチンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0305】
いくつかの実施形態では、第二の化学治療剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、イマタニブ、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン、ゲムシタビン、シタラビン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシドエトポシド、ゲムシタビン、エポチロン、ビノレルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン、アクチノマイシンD、ミトキサントロン、アクリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、またはイダルビシンからなる群より選択される。
【0306】
IV.キット
別の態様では、本発明は、本明細書で提供される療法剤の組み合わせ及び療法剤の組み合わせを用いるための説明書を含むキットを提供する。キットは、容器、及び任意選択的に1つまたは複数のバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、またはシリンジも含み得る。キットの他の形式は、当業者に明白であり得、本発明の範囲内である。
【0307】
V.医療用途
別の態様では、本発明は、疾患状態の処置を必要とする対象内の疾患状態を処置するための方法であって、治療有効量の本発明の化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、及び薬学的に許容され得る担体を含む療法剤の組み合わせまたは医薬組成物を対象に投与することを含む、前記方法を提供する。
【0308】
上記の組成物及び構築物に加えて、本発明は、本発明の組み合わせの多数の用途も提供する。本発明の組み合わせの用途には、腫瘍細胞または癌細胞の死滅または成長、増殖または複製の阻害、癌の処置、前癌性状態の処置、腫瘍細胞または癌細胞の分裂による増殖の防止、癌の予防、自己免疫性抗体を発現する細胞の分裂による増殖の防止が含まれる。これらの用途は、有効量の本発明の化合物を、それを必要とする哺乳動物またはヒトなどの動物に投与することを含む。
【0309】
本発明の組み合わせは、ヒトなどの対象において癌などの疾患を処置するのに有用である。組成物を薬学的に許容され得る様式で、本発明の薬学的に有効な量の組成物を対象に提供することにより腫瘍を処置するための組み合わせ及び用途を提供する。
【0310】
本明細書において「癌」とは、無秩序な細胞増殖により特徴付けられる、ヒトにおける病理状態を意味する。例には、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫、及び白血病が挙げられるが、これらに限定されない。癌のより具体的な例には、肺(小細胞及び非小細胞)、乳房、前立腺、カルチノイド、膀胱、胃、膵臓、肝臓(肝細胞)、肝芽腫、直腸結腸、頭頸部扁平上皮癌、食道、卵巣、子宮頸部、子宮内膜、中皮腫、メラノーマ、肉腫、骨肉腫、脂肪肉腫、甲状腺、デスモイド、慢性骨髄性白血病(AML)、及び慢性骨髄性白血病(CML)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0311】
本明細書において「阻害する」または「処置する」または「処置」は、低減、治療処置、及び予防また防止処置を意味し、ここでの目的は狙った病理障害または状態を低減または防止することである。一例では、本発明の化合物を投与した後、癌患者は、腫瘍サイズの低減を経験し得る。「処置」または「処置する」には、(1)疾患の病理または症状を経験または示している対象において該疾患を阻害すること、(2)疾患の病理または症状を経験または示している対象において該疾患を改善すること、及び/または(3)疾患の病理または症状を経験または示している対象において該疾患の任意の測定可能な減少をもたらすこと、が含まれる。本発明の化合物が癌細胞の成長を防止する及び/または死滅させ得る限り、それは細胞増殖抑制的及び/または細胞障害的であり得る。
【0312】
本明細書において「治療有効量」とは、対象または哺乳動物において障害を「処置する」のに有効な、本明細書に提供される化合物の量を意味する。癌の場合では、治療有効量の薬物は、癌細胞の数を低減する、腫瘍サイズを低減する、末梢臓器への癌細胞の浸潤を阻害する、腫瘍転移を阻害する、腫瘍成長をある程度まで阻害する、及び/または癌に関連する1つまたは複数の症状をある程度まで軽減する、のいずれかをなし得る。
【0313】
1つまたは複数のさらなる治療剤と「組み合わせて」投与することは、同時(同時発生的)及び任意の順番での逐次投与を含む。本明細書で用いるとき、「薬学的な組み合わせ」という用語は、活性成分を混合または組み合わせることにより得られる生成物を指し、活性成分の固定された及び固定されない組み合わせの両方を含む。「固定された組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば式(1)の化合物及び共薬剤が、両方とも、単一実体または投与量の形態において同時に患者に投与されることを意味する。「固定されない組み合わせ」という用語は、活性成分、例えば式(1)の化合物及び共薬剤が、両方とも、別々の実体として、同時に、同時発生的に、または連続的に特定の時間制限なしで患者に投与されることを意味し、そのような投与は、患者の身体内に治療有効レベルの活性成分を提供する。後者は、カクテル療法、例えば3つ以上の活性成分の投与にも適用される。
【0314】
いくつかの実施形態では、疾患状態は腫瘍または癌である。いくつかの実施形態では、癌または腫瘍は、胃、結腸、直腸、肝臓、膵臓、肺、乳房、子宮頸部、子宮体部、卵巣、精巣、膀胱、腎、脳/CNS、頭頸部、喉、ホジキン病、非ホジキンリンパ腫、多発性骨髄腫、白血病、メラノーマ、非メラノーマ皮膚癌、急性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、ユーイング肉腫、小細胞肺癌、絨毛がん、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、神経芽細胞腫、毛髪様細胞白血病、口腔/咽頭、食道、喉頭、腎臓癌またはリンパ腫から選択される。
【0315】
いくつかの実施形態では、疾患状態は、前癌性病変などの異常細胞増殖を含む。
【0316】
本発明は、動物における、癌の処置に対して及び腫瘍細胞または癌細胞の分裂増殖の阻害に対して特に有用である。癌または前癌性状態は、腫瘍、転移、または無秩序な細胞成長により特徴付けられる任意の疾患または障害を含み、本発明の薬物-リガンド複合体の投与により処置または予防することができる。化合物は、活性化部分を腫瘍細胞または癌細胞に送達する。いくつかの実施形態では、標的部分は、癌細胞または腫瘍細胞関連抗原に特異的に結合または会合する。リガンドに対するその近接性のため、内部移行した後、活性化部分は、例えば受容体媒介エンドサイトーシスを通して腫瘍細胞または癌細胞内に取り込まれることができる。抗原は、腫瘍細胞または癌細胞に付着することができる、または腫瘍細胞または癌細胞と会合する細胞外マトリックスタンパク質であり得る。いったん細胞内に入ると、リンカーは、腫瘍細胞または癌細胞関連プロテアーゼにより加水分解的または酵素的に切断され、それによって活性化部分を放出する。次いで、放出された活性化部分は、自由に拡散し、免疫細胞または腫瘍細胞の免疫活性を誘発または増強する。代替的な実施形態では、活性化部分は、化合物の腫瘍微小環境から切断され、続いて薬物が細胞に浸透する。
【0317】
本発明の化合物により標的され得る前癌性状態の代表例には、化生、過形成、異形成、結腸直腸ポリープ、光線性角化症、光線性口唇炎、ヒトパピローマウイルス、白斑症、扁平苔癬、及びボーエン病が含まれる。
【0318】
本発明の化合物により標的され得る癌または腫瘍の代表例には、肺癌、大腸癌、前立腺癌、リンパ腫、メラノーマ、乳癌、卵巣癌、精巣癌、CNS癌、腎癌、腎臓癌、膵癌、胃癌、口腔癌、鼻腔癌、子宮頸部癌、及び白血病が挙げられる。化合物内で使用される特定の標的部分は、薬物を用いて処置される腫瘍組織に対する活性化部分を標的するように選択されることができる(すなわち、腫瘍特異的抗原に特異的な標的剤が選択される)ことが、当業者には容易に理解されるだろう。そのような標的部分の例は、当該分野において周知であり、その例には、乳癌の処置のための抗Her2、リンパ腫の処置のための抗CD20、前立腺癌の処置のための抗PSMA、及び非ホジキンリンパ腫を含むリンパ腫の処置のための抗CD30が挙げられる。
【0319】
いくつかの実施形態では、異常増殖は癌細胞のものである。
【0320】
いくつかの実施形態では、癌は、乳癌、結腸直腸癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、子宮内膜癌、濾胞性リンパ腫、胃癌、神経膠芽腫、頭頸部癌、肝細胞癌、肺癌、メラノーマ、多発性骨髄腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、及び腎細胞癌からなる群より選択される。
【0321】
いくつかの実施形態では、本発明は、細胞の死滅に使用するための化合物を提供する。化合物は、細胞に、前記細胞を死滅させるのに十分な量で投与される。例示的な実施形態では、化合物は、細胞を有する対象に投与される。さらなる例示的な実施形態では、投与は、細胞(例えば、細胞は腫瘍細胞であり得る)を含む腫瘍の成長を遅延または停止させる役割を果たす。成長を遅延させるための投与について、細胞の成長の速度は、投与前の成長の速度より少なくとも10%下回るべきである。好ましくは、成長の速度は、少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%遅延される、または完全に停止される。
【0322】
加えて、本発明は、医薬品として使用するための本発明の化合物または医薬組成物を提供する。本発明は、腫瘍または癌細胞を死滅させる、腫瘍または癌細胞の増殖を阻害するまたは遅らせるため、またはTLR7及び/またはTLR8が関係する疾患を処置するための化合物または医薬組成物も提供する。
【0323】
有効投与量
本発明での使用に好適な医薬組成物には、活性成分が治療有効量、すなわち、その意図される目的を達成するのに有効な量で含有される組成物が含まれる。特定の用途のための実際の有効量は、とりわけ、処置される状態に依存するだろう。有効量の決定は、特に本明細書の詳細な開示を考慮すると、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0324】
本明細書に記載の任意の化合物について、治療有効量は、細胞培養アッセイから最初に決定することができる。目標血漿濃度は、細胞成長または分裂を阻害することができる活性化合物(複数可)の濃度であるだろう。好ましい実施形態では、細胞活性は、少なくとも25%阻害される。少なくとも約30%、50%、75%、またはさらに90%、またはそれより高い細胞活性の阻害を誘発することができる活性化合物(複数可)の目標血漿濃度が、本発明において好ましい。患者における細胞活性の阻害率(%)をモニターして、達成される血漿薬物濃度の適切さを評価することができ、投与量を上方または下方調整して、所望の阻害率(%)を達成することができる。
【0325】
当該分野で周知であるように、ヒトにおいて使用するための治療有効量は、動物モデルからも決定することができる。例えば、ヒトに対する用量は、動物において有効であると見出されている循環濃度を達成するように製剤化することができる。ヒトにおける投与量は、上記のように、細胞阻害をモニターすること及び投与量を上方または下方調整することによって調整することができる。
【0326】
治療有効用量は、同様の薬理学的活性を呈することが知られている化合物についてのヒトデータからも決定することができる。適用される用量は、既知の化合物と比較した、投与化合物の相対的バイオアベイラビリティ及び効力に基づいて調整することができる。
【0327】
上記の方法及び当該分野に周知の他の方法に基づいて、ヒトにおいて最大有効性を達成するように用量を調整することは、十分に当業者の能力の範囲内である。
【0328】
局所投与の場合では、投与化合物の全身循環濃度は、特に重要ではないだろう。そのような場合には、化合物は、意図される結果を達成するのに有効な局所領域である濃度を達成するように投与される。
【0329】
本明細書に記載される特定の抗体の治療量も、免疫療法剤で、単一混合形態または分離して、組み合わせの構成要素として、投与され得る。いくつかの実施形態では、治療量は、患者の腫瘍負担を排除もしくは低減する、または転移性細胞の増殖を抑制もしくは低減する量である。用量は、腫瘍の性質、患者病歴、患者の状態、他の腫瘍溶解性薬剤の同時使用の可能性、及び投与方法を含む多くのパラメーターに依存するだろう。投与の方法は、注射(例えば、非経口、皮下、静脈、腹腔等)を含み、そのために、抗体が、水、塩水、リンガー溶液、ぶどう糖溶液、5%ヒトリンパ液アルブミン、固定油、オレイン酸エチルまたは、リポソームのような非毒性の薬学的に許容される担体に提供される。典型的な用量は、約0.01から約20mg/kg、例えば約0.1から約10mg/kgの範囲であり得る。投与の他の有効的な方法及び用量は、日常的な実験により決定され得、且つ本発明の範囲内である。
【0330】
投与される薬剤(本明細書に開示される)の治療有効量は、併用療法剤に用いられる場合、所望の効果および治療される対象に依存して変化し得る。例えば、対象は、各抗体薬剤の少なくとも1mg/kg(例えば、1mg/kgから20mg/kg、2.5mg/kgから10mg/kg、または3.75mg/kgから5mg/kg)を静脈内で受け取り得る。用量は、分けた用量(例えば、1日あたり2、3、または4つに分けた用量)、または単一用量で投与され得る。
【0331】
組み合わせた投与についての方法において、薬剤は、本発明で使用される抗体と共に同時に投与され得、または薬剤は、本発明で使用される抗体の投与前もしくは後で投与され得る。
【0332】
投与の他の様式については、投与量及び間隔を個別に調整して、処置される特定の臨床適応症に有効な投与化合物の血漿レベルを提供することができる。例えば、一実施形態では、本発明に係る化合物を比較的高濃度で1日あたり複数回投与することができる。あるいは、本発明の化合物を最小有効濃度で投与すること、及び少ない頻度の投与レジメンを使用することが、より望ましくあり得る。このことは、個体の疾患の重篤度に応じた治療レジメンを提供するだろう。
【0333】
本明細書に提供する教示を活用して、実質的な毒性を引き起こさないが、特定の患者が示す臨床症状を処置するのに完全に有効である、有効治療処置レジメンを計画することができる。この計画は、化合物の効力、相対的バイオアベイラビリティ、患者の体重、有害副作用の有無及び重篤度、投与の好ましい様式、及び選択された薬剤の毒性プロファイルなどの要因を考慮することによって、活性化合物を注意深く選択することを必然的に含むべきである。
【0334】
本発明の好ましい実施形態を本明細書において示し記載したが、かかる実施形態は例としてのみ提供されることが、当業者には明白であるだろう。多くの変形、変更、及び置換が本発明から逸脱することなく当業者に想定されるであろう。本明細書に記載の本発明の実施形態に対する種々の代替が、本発明の実施において採用され得ることを理解されたい。以下の特許請求の範囲が本発明の範囲を定義し、これらの特許請求の範囲に含まれる方法及び構造、及びそれらの等価物がそれにより包含されると意図される。
【実施例0335】
本発明を、本発明の化合物の調製を例示する以下及び実施例により、さらに例示するがこれらに制限されない。
【0336】
実施例1
接種された腫瘍及び腫瘍成長の評価
【0337】
マウス:雌6週齢のBALB/cおよびC3H/HeN(C3H)マウスを日本SLC(浜松、日本)から購入した。東京医科歯科大学の動物実験委員会(Institutional Animal Care and Use Committee)により全ての手続きが審査され承認された。SCCVII(C3H由来、3×10)またはColon26(BALB/c由来、5×10)の親細胞を、同系マウスのシェービングされた右側腹部に皮下注射され(s.c.)、腫瘍体積を評価した。TLRLを伴う抗PDL1(MIH5)mAbの効果を調べる実験では、腫瘍接種後1週間に3回、200μgの抗PDL1 mAbもしくは200μgの抗PDL1 mAb混合物をTLRLまたは対照ラットIgGとともに腹腔注射した。腫瘍体積を3つの直交軸(x、y、z)に沿って測定し、腫瘍体積=(xyz)/2として計算し、マウスが体重の20%超を失うか、または非常に病気で十分な食物または水を摂取できない場合、それは研究から除外され、安楽死される。(図1及び2)
【0338】
実施例2
PBMCからのヒト樹状細胞(DC)の濃縮
【0339】
ヒトPBMCを、Ficoll遠心分離により、健常な志願提供者から得たバフィーコートから調製した。樹状細胞を、ヒトPBMCからの抗CD3、CD19、CD20、CD14、及びCD16抗体の混合物を伴う磁気ビーズ(Miltenyi Biotec)を用いる陰性枯渇を使用することにより濃縮した。DCの濃縮を、ヤギ抗マウスFITC(系列)、HLA-DR-APCCy7、CD123-BV421及びCD11C-APCで染色した。染色された細胞をBDLSR Fortessa(BD Biosciences)により分析した。抗CD3、CD4、CD11C、CD19、CD14、CD16、CD123モノクローナル抗体は、BD Biosciences, CAまたはBiolgend, San Diego, CAから購入した。
【0340】
濃縮したヒトDCの刺激及びサイトカイン発現
【0341】
1~2×10濃縮DCを、96ウエルプレート、100μLの培地に播種し、TLRLを含む100μLの希釈刺激薬をプレートに加え、37℃のインキュベーター中で20~22時間培養した。上清を採取し、ヒトIFN-α、IL-12(p70)、及びTNF-αをELISA(Mabtech AB, Sweden)により分析した。
【0342】
図3A~3Gは、3人の健康な提供者からヒトDCを濃縮することによるサイトカイン産生の分析を示す。濃縮したヒトDCは、96ウエルプレートに播種され、同種未処理(培地)または、TLRLの処理された異なる濃度で20~22時間37℃のインキュベーターで直接培養された。上清は、収集され、ヒトIFN-α、IL-12(p70)及びTNF-αは、ELISAにより分析された。データを三重培養物の平均±標準偏差として得る。3人の健康な提供者からの3つの独立した実験が行われた(提供者1:図3A、提供者2:図3B~D、提供者3:図3E~G)。
【0343】
実施例3
TLRLによるマウスPBMCにおけるIFN誘発性遺伝子発現での全身免疫活性化の検出
【0344】
Vital Riverから購入した、6~8週齢、雌、Balb/cマウスに、示された時点でTLRLで静脈内注射され、マウスは血を採られ、qPCRによりIFN誘発性遺伝子が試験された。発現する選択時間毎にIFN誘発性遺伝子が決定され、別々の実験がTLRLの様々な用量で行われた。示された時点で、マウスは血を採られ、IFN誘発性遺伝子が試験された。定量的リアルタイムPCRが行われ、遺伝子発現データが2つのハウスキーピング遺伝子(アクチン)の幾何平均に対して標準化された。
マウスアクチン F:CATTGCTGACAGGATGCAGAAGG (配列番号:1)、
マウスアクチン R:TGCTGGAAGGTGGACAGTGAGG (配列番号:2)、
マウス Inf-b: F: CTCCAGCACTGGGTGGAATG (配列番号:3)、
マウス Inf-b R: AGTGGAGAGCAGTTGAGGAC (配列番号:4)、
マウス Mx2: F; GTGGCAGAGGGAGAATGTCG (配列番号:5)、
マウス Mx2 R:TAAAACAGCATAACCTTTTGCGA (配列番号:6)、
マウス Ifn-a: F: CCTGAGAGAGAAGAAACACAGCC (配列番号:7)、
マウス Ifn-a R: GGCTCTCCAGACTTCTGCTCTG (配列番号:8)、
マウス ISG15: F: CAGCAATGGCCTGGGACCTAA (配列番号:9)、
マウス ISG15R: GGAAAGCCGGCACACCAATC (配列番号:10)。
【0345】
図4A~4Cは、TLRL注射後のマウスPBMCにおけるIFN誘発性遺伝子の発現を示す。RNAは、様々な時点でTRIzol試薬で冷凍保存されたPBMCから単離され、IFN誘発性遺伝子の相対発現が定量的RT-PCRにより決定された。MX2遺伝子は、TLRL注射後5時間の時間経過にわたり検出され(図4A)、MX2及びISG15遺伝子は、注射後2時間の時点でTLRLの様々な用量で測定された(図4B及び図4C)。値は、ハウスキーピング遺伝子アクチンに対して示されたIFN誘発性遺伝子のmRNA発現を示す。棒グラフは、3つの個々の動物からのデータを表す。**P<0.01、***P<0.001である。
【0346】
統計分析
【0347】
全ての比較の有意性は、モックと試料群との間の不等分散を推定し、スチューデント両側t検定を使用して算出され、結果は、p<0.05の場合に有意であるとした。パラメーター間の相関関係は、スピアマンの順位相関検定を使用して評価し、P値<0.05を統計学的に有意であるとした。
【0348】
(付記)
(付記1)
(i)有効量のPD-L/PD-1 Axis拮抗剤、及び
(ii)ヒト形質細胞様樹状細胞、骨髄系樹状細胞、もしくはNK細胞、またはそれらの組み合わせを活性化し得る有効量の免疫療法剤(immunotherapeutic)、
を含む、組み合わせ。
【0349】
(付記2)
前記PD-L/PD-1 Axis拮抗剤は、PD-1結合拮抗剤、PD-L1結合拮抗剤及びPD-L2結合拮抗剤からなる群より選択される、付記1に記載の組み合わせ。
【0350】
(付記3)
前記PD-L/PD-1 Axis拮抗剤は、PD-1結合拮抗剤である、付記2に記載の組み合わせ。
【0351】
(付記4)
前記PD-1結合拮抗剤は、PD-1のリガンド結合パートナーへのPD-1の結合を阻害する、付記3に記載の組み合わせ。
【0352】
(付記5)
前記PD-1結合拮抗剤は、PD-L1へのPD-1の結合を阻害する、付記3に記載の組み合わせ。
【0353】
(付記6)
前記PD-1結合拮抗剤は、PD-L2へのPD-1の結合を阻害する、付記3に記載の組み合わせ。
【0354】
(付記7)
前記PD-1結合拮抗剤は、PD-L1及びPD-L2の両方へのPD-1の結合を阻害する、付記3に記載の組み合わせ。
【0355】
(付記8)
前記PD-1結合拮抗剤は、抗体である、付記3に記載の組み合わせ。
【0356】
(付記9)
前記PD-1結合拮抗剤は、MDX-1106、Merck 3745、CT-011、AMP-224またはAMP-514である、付記8に記載の組み合わせ。
【0357】
(付記10)
前記PD-L/PD-1 Axis拮抗剤は、PD-L1結合拮抗剤である、付記2に記載の組み合わせ。
【0358】
(付記11)
前記PD-L1結合拮抗剤は、PD-1へのPD-L1の結合を阻害する、付記10に記載の組み合わせ。
【0359】
(付記12)
前記PD-L1結合拮抗剤は、B7-1へのPD-L1の結合を阻害する、付記10に記載の組み合わせ。
【0360】
(付記13)
前記PD-L1結合拮抗剤は、PD-1及びB7-1の両方へのPD-L1の結合を阻害する、付記10に記載の組み合わせ。
【0361】
(付記14)
前記PD-L1結合拮抗剤は、抗体である、付記10に記載の組み合わせ。
【0362】
(付記15)
前記PD-L1結合拮抗剤は、YW243.55.S70、MPDL3280A、MDX-1105、MEDI-4736、及びMSB0010718Cからなる群より選択される、付記14に記載の組み合わせ。
【0363】
(付記16)
前記PD-L/PD-1 Axis拮抗剤は、PD-L2結合拮抗剤である、付記2に記載の組み合わせ。
【0364】
(付記17)
前記PD-L2結合拮抗剤は、抗体である、付記16に記載の組み合わせ。
【0365】
(付記18)
前記PD-L2結合拮抗剤は、イムノアドヘシンである、付記16に記載の組み合わせ。
【0366】
(付記19)
前記免疫療法剤は、式(I)から(XIXb)のいずれか1つの化合物、またはその薬学的に許容される塩もしくは溶媒和物である、付記1から18のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0367】
(付記20)
前記免疫療法剤は、式(I)の構造を有し、
【化48】
式中、破線は結合または結合の不在を表し、
Xは、Sまたは-NRであり、Rは-W―W―W―W―Wであり、
は、結合、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、または-アルキル-S-アルキル--であり、
は、結合、--O--、または--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、結合、--O--、--C(O)--、--C(S)--、または-S(O)―であり、
は、結合、--NR--であり、ここでRは、水素、アルキルまたはアルケニルであり、
は、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、またはヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--S-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R4、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、--NO、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり、
Zは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--O-C(O)-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり、
Rは、水素、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、ハロゲン、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、--NH、ニトロ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-アリール、--アルキル-ヘテロアリール、--アルキル-ヘテロシクリル、--O-R、--O-アルキル-R、--アルキル-O-R、--C(O)-R、--C(O)-NH-R、--C(O)-NR、--アルキル-C(O)-R、--アルキル-C(O)-O-R、--C(O)-O-R、--O-C(O)-R、--S-R、--C(O)-S-R、--S-C(O)-R、--S(O)-R、--NH-S(O)-R、--アルキル-S-R、--アルキル-S(O)-R、--NHR、--NR、--NH-アルキル-R、ハロゲン、--CN、及び-SHからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここでRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、--アルキル-ヒドロキシル、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはハロアルキルであり、
nは、0、1、2、3、または4であり、
Yは、-NR、-CR、または-アルキル-NHであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、--NH、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換されることができ、
式中、R、R及びRは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールであり、ここで、Rは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり、
X及びZは一緒になって、任意選択的に(5~9)員環を形成し得る、
付記1から18のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0368】
(付記21)
前記免疫療法剤は、2-プロピルチアゾロ[4,5-c]キノリン-4-アミン、1-(2-メチルプロピル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、4-アミノ-2-(エトキシメチル)-a,a-ジ-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール、1-(4-アミノ-2-エチルアミノメチルイミダゾ-[4,5-c]キノリン-1-イル)-2-メチルプロパン-2-オール、N-[4-(4-アミノ-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル-]メタンスルホンアミド、4-アミノ-2-エトキシメチル-aa-ジメチル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール、4-アミノ-aa-ジメチル-2-メトキシエチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-エタノール、1-{2-[3-(ベンジルオキシ)プロポキシ]エチル}-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、N-[4-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-1-イル)ブチル]-n’-ブチル尿素、N1-[2-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-1-イル)エチル]-2-アミノ-4-メチルペンタンアミド、N-(2-{2-[4-アミノ-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]エトキシ}エチル)-n’-フェニル尿素、1-(2-アミノ-2-メチルプロピル)-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、1-{4-[(3,5-ジクロロフェニル)スルホニル]ブチル}-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、N-(2-{2-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]エトキシ}エチル)-n’-シクロヘキシル尿素、N-{3-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]プロピル}-n’-(3-シアノフェニル)チオ尿素、N-[3-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-2,2-ジメチルプロピル]ベンズアミド、2-ブチル-1-[3-(メチルスルホニル)プロピル]-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、N-{2-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-1,1-ジメチルエチル}-2-エトキシアセトアミド、1-[4-アミノ-2-エトキシメチル-7-(ピリジン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、1-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-7-(ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、N-{3-[4-アミノ-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-2-(メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-7-イル]フェニル}メタンスルホンアミド、1-[4-アミノ-7-(5-ヒドロキシメチルピリジン-3-イル)-2-(2-メトキシエチル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、3-[4-アミノ-2-(エトキシメチル)-7-(ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]プロパン-1,2-ジオール、1-[2-(4-アミノ-2-エトキシメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-1,1-ジメチルエチル]-3-プロピル尿素、1-[2-(4-アミノ-2-エトキシメチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)-1,1-ジメチルエチル]-3-シクロペンチル尿素、1-[(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル]-2-(エトキシメチル)-7-(4-ヒドロキシメチルフェニル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-4-アミン、4-[4-アミノ-2-エトキシメチル-1-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-7-イル]-N-メトキシ-N-メチルベンズアミド、2-エトキシメチル-N1-イソプロピル-6,7,8,9-テトラヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1,4-ジアミン、1-[4-アミノ-2-エチル-7-(ピリジン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル]-2-メチルプロパン-2-オール、N-[4-(4-アミノ-2-エチル-1H-イミダゾ[4,5-c]キノリン-1-イル)ブチル]メタンスルホンアミド、及びN-[4-(4-アミノ-2-ブチル-1H-イミダゾ[4,5-c][1,5]ナフチリジン-1-イル)ブチル]-n’-シクロヘキシル尿素からなる群より選択される化合物である、
付記20に記載の組み合わせ。
【0369】
(付記22)
前記免疫療法剤は、式(II)の構造を有し、
【化49】
式中、Vは、-NRであり、ここで、R及びRのそれぞれは独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルチオ、アリールチオ、--アルキル-ヒドロキシル、--アルキル-C(O)-O-R、--アルキル-C(O)-R、または-アルキル-O-C(O)-Rであり、ここでRは、水素、アルキル、アルケニル、ハロゲン、またはハロアルキルであり、
10及びR11は独立して、水素、アルキル、アルケニル、アリール、ハロアルキル、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキルであり、そのそれぞれは、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、--N(R、--アルコキシ-アルキル、--アルコキシ-アルケニル、--C(O)-アルキル、--C(O)-O-アルキル、--C(O)-N(R、アリール、ヘテロアリール、--CO-アリール、及び-CO-ヘテロアリールからなる群より選択される1つまたは複数の置換基により任意選択的に置換され、ここで各Rは独立して、水素、アルキル、ハロアルキル、--アルキル-アリール、または-アルキル-ヘテロアリールである、
付記1から18のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0370】
(付記23)
有効量の追加の治療剤をさらに含む、付記1から22のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0371】
(付記24)
前記追加の治療剤は、抗癌剤である、付記23に記載の組み合わせ。
【0372】
(付記25)
前記抗癌剤が、代謝拮抗剤、トポイソメラーゼI及びIIの阻害剤、アルキル化剤、微小管阻害剤、抗アンドロゲン剤、GNRhモジュレータまたはそれらの混合物である、付記24に記載の組み合わせ。
【0373】
(付記26)
前記追加の治療剤は、タモキシフェン、ラロキシフェン、アナストロゾール、エキセメスタン、レトロゾール、イマタニブ(imatanib)、パクリタキセル、シクロホスファミド、ロバスタチン、ミノシン(minosine)、ゲムシタビン、シタラビン、5-フルオロウラシル、メトトレキサート、ドセタキセル、ゴセレリン、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ノコダゾール、テニポシド、エトポシド、ゲムシタビン、エポチロン、ビノレルビン、カンプトテシン、ダウノルビシン、アクチノマイシンD、ミトキサントロン、アクリジン、ドキソルビシン、エピルビシン、またはイダルビシンからなる群より選択される化学治療剤である、付記23に記載の組み合わせ。
【0374】
(付記27)
前記免疫療法剤の量は、
(1)濃縮したヒト血液DCにIFN-αを誘発すること、
(2)濃縮したヒト血液DCにTNF-αを誘発すること、及び/または
(3)濃縮したヒト血液DCにIL-12-αを誘発すること、
をし得る量である、付記1から26のいずれか1つに記載の組み合わせ。
【0375】
(付記28)
付記1から27のいずれか1つに記載の組み合わせを疾患状態の治療を必要とする対象に投与することを含む、当該対象における疾患状態を治療する方法。
【0376】
(付記29)
前記疾患状態は、腫瘍である、付記28に記載の方法。
【0377】
(付記30)
前記疾患状態は、異常細胞増殖を含む、付記28に記載の方法。
【0378】
(付記31)
前記異常細胞増殖は、前癌性病変を含む、付記30に記載の方法。
【0379】
(付記32)
前記異常細胞増殖は、癌細胞のものである、付記30に記載の方法。
【0380】
(付記33)
前記癌は、乳癌、結腸直腸癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、子宮内膜癌、濾胞性リンパ腫、胃癌、神経膠芽腫、頭頸部癌、肝細胞癌、肺癌、メラノーマ、多発性骨髄腫、卵巣癌、膵癌、前立腺癌、及び腎細胞癌からなる群より選択される、付記31に記載の方法。
【0381】
(付記34)
週に2回、約0.0005mg/kg、0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、または0.01mg/kgから約0.02mg/kgまで間の全ての値を含む用量で前記免疫療法剤を含む経口製剤を前記対象に投与することを含む、付記28から33のいずれか1つに記載の方法。
【0382】
(付記35)
週に2回、約0.0005mg/kg、0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg,0.005mg/kg、0.006mg/kg、0.007mg/kg、0.008mg/kg、0.009mg/kg、または0.01mg/kg以下の用量で前記免疫療法剤を含む経口製剤を前記対象に投与することを含む、付記28から33のいずれか1つに記載の方法。
【0383】
(付記36)
毎週、約0.0005mg/kg、0.0006mg/kg、0.0007mg/kg、0.0008mg/kg、0.0009mg/kg、0.001mg/kg、0.002mg/kg、0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、または0.006mg/kgから約0.015mg/kgまでの間の全ての値を含む用量で前記免疫療法剤を含む静脈製剤を前記対象に投与することを含む、付記28から33のいずれか1つに記載の方法。
【0384】
(付記37)
毎週、約0.003mg/kg、0.004mg/kg、0.005mg/kg、または0.006mg/kg以下から約0.01mg/kgまでの用量で前記免疫療法剤を含む静脈製剤を前記対象に投与することを含む、付記28から33のいずれか1つに記載の方法。
【0385】
(付記38)
前記対象における前記免疫療法剤は、約0.005μg/mlから約12μg/mlまでの間の局所濃度を有する、付記28から37のいずれか1つに記載の方法。
【0386】
(付記39)
前記対象における前記免疫療法剤は、約0.05μg/ml、0.1μg/ml、0.15μg/ml、0.2μg/ml、0.3μg/ml、または0.4μg/mlから約0.5μg/mlまでの間の局所濃度を有する、付記28から38のいずれか1つに記載の方法。
【0387】
(付記40)
付記1から27のいずれか1つに記載の組み合わせを含む、キット。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図3F
図3G
図4A
図4B
図4C
【配列表】
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