(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075341
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】コールドプラズマ生成デバイス、システム、および方法
(51)【国際特許分類】
A61N 1/44 20060101AFI20230523BHJP
A61B 18/04 20060101ALI20230523BHJP
H05H 1/24 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A61N1/44
A61B18/04
H05H1/24
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023045775
(22)【出願日】2023-03-22
(62)【分割の表示】P 2021505213の分割
【原出願日】2019-07-30
(31)【優先権主張番号】62/712,812
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/712,849
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/712,860
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/712,873
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/712,876
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
2.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】391023932
【氏名又は名称】ロレアル
【氏名又は名称原語表記】L’OREAL
【住所又は居所原語表記】14 Rue Royale,75008 PARIS,France
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133086
【弁理士】
【氏名又は名称】堀江 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】ジェフリー・ディーン
(72)【発明者】
【氏名】オズギュル・エメク・イルディリム
(72)【発明者】
【氏名】ティ・ホン・リエン・プラナール-ルオン
(72)【発明者】
【氏名】マチュー・ジェイコブ
(57)【要約】
【課題】コールド大気プラズマを使用する生体表面の部位の美容処理のためのシステムおよび方法が提示される。
【解決手段】一実施形態では、生体表面の部位をコールドプラズマで処理する方法は、処理後用製剤物を選択するステップと、処理後用製剤物をコールドプラズマによって前に処理された部位に塗布するステップとを含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体表面の部位を処理するためのコールドプラズマシステムであって、
電極、および
前記電極に面する第1の面および前記電極から離れて面する第2の面を有する誘電障壁
を含むプラズマ処理デバイスと、
コールドプラズマ、前記システムの周りの周囲環境、および前記生体表面のうちの少なくとも1つの特性を測定するように構成された少なくとも1つのセンサと、
前記プラズマ処理デバイスおよび前記少なくとも1つのセンサに動作可能に結合されたコントローラとを含み、前記コントローラが、
前記少なくとも1つのセンサから入力を受信することと、
前記プラズマ処理デバイスに対する制御データを決定することと、
制御データを前記プラズマ処理デバイスに送ることとを行うように構成される、コールドプラズマシステム。
【請求項2】
前記少なくとも1つのセンサが、動きセンサ、周囲空気の湿度を測定するように構成された湿度センサ、反応性酸素種センサ、反応性窒素種センサ、光センサ、プラズマ伝導度センサ、表面温度センサ、距離センサ、およびイオン濃度センサから成るグループから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記コントローラが、
前記少なくとも1つのセンサからの前記入力に基づいて、前記プラズマ処理デバイスの有効性を決定することと、
前記少なくとも1つのセンサからの前記入力に基づいて、安全なプラズマ処理に対する時間の長さを決定することとを行うようにさらに構成される、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
前記部位の上の前記コールドプラズマの効果を強化するように構成された少なくとも1つの補助処理デバイスをさらに含み、前記補助処理デバイスが、(i)振動デバイス、(ii)超音波源、(iii)前記部位を照明するように構成された光源、(iv)前記部位に向けられた空気源、および(v)前記部位に向けられた熱源から成るグループから選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記システムが、
前記少なくとも1つのセンサからプラズマパラメータを決定することと、
機械学習用に構成された製剤エンジンによって処理前用製剤物および処理後用製剤物のうちの少なくとも一方を最適化することとを行うように構成されたクラウド記憶システムに動作可能に結合される、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2018年7月31日に出願された米国仮出願第62/712,812号、2018年7月31日に出願された米国仮出願第62/712,849号、2018年7月31日に出願された米国仮出願第62/712,860号、2018年7月31日に出願された米国仮出願第62/712,873号、2018年7月31日に出願された米国仮出願第62/712,876号の利益を主張するものであり、それらの出願の各々は、それらの全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
この概要は、以下の発明を実施するための形態においてさらに説明する選択された概念を、簡略化された形で導入するために提供される。この概要は、特許請求される主題の主要な特徴を特定することを意図するものではなく、特許請求される主題の範囲を判定するのを支援するものとして使用されることも意図していない。
【0003】
現在利用可能なコールド大気プラズマ(追加として「コールドプラズマ」または「プラズマ」と呼ばれる)を組み込む携帯用化粧品デバイスが、処理の限定的モダリティを実装する。部位の処理のための手段として、人の皮膚の部位に近接してプラズマを生成することにのみ、大半の焦点を当てる。そのような手法は、多モードの処理の治療的利点および便益を活用せず、単独での個々の処理モダリティの効果を超える相乗的治療効果を生じない。本技術のいくつかの実施形態では、多モードコールドプラズマデバイスは、コールドプラズマを生成することに加えて、1つまたは複数の補助的および付加的メカニズム(振動、熱など)を含む。
【0004】
相乗的処理効果を利用する多モードプラズマデバイスは、単モードプラズマデバイスに対して、短縮された処理期間および低減された電力需要に関して強化された結果を達成する。さらには、多モードデバイスは、プラズマ生成種の浸透性を強化することによって、または効能をプラズマ生成種に頼らない二次処理を提供することによって、酸化種または反応性ラジカルなど、プラズマの中で生成される潜在的に有害な種に過剰に暴露することの潜在的リスクを軽減する。
【0005】
染みは、複数の理由で発症し、理由のうちのいくつかは、有害バクテリア、塞がった毛穴、炎症、水分またはオイルの不均衡などを含む。一般的に、染みは、一日の内に、しばしば新しい染みを最初に感知してから数時間以内に、容易に処理可能な初期段階から痛みを伴う困難な状態まで発展する。理論に拘束されることなく、コールド大気プラズマおよびその中で生成された種に暴露することで、染みが効率的に処理されるものと信じられる。さらに、染みが検出されると直ちにその部位を急速処理することで、永久に傷跡を残す可能性がある見苦しい染みの成長が防止されるものと信じられる。
【0006】
長期間の使用に十分な内部電源を組み込む、皮膚の大きい部位を処理するように設計されたコールドプラズマデバイスは、定期的に便利に搬送するには、大きすぎかつ重すぎる。家庭で生じる化粧ルーチンに好適ではあるが、それらのサイズおよび重量によって、それらのデバイスは、外出時に発見される染みまたはニキビの痛みの発症に速やかに応じるには、あまり適さないものになる。「スポット処理」とも呼ばれる、個々の染みの急速処理用に設計された小面積プラズマデバイスは、染みを、その初期段階で効果的に処理し、かつ携帯可能で便利であるものと信じられる。
【0007】
生体表面の部位をコールド大気プラズマに直接暴露することは、治療法(「製剤物」または「治療製剤物」とも呼ばれる)によって補完される場合がある。たとえば、紫外光子または反応性酸素種などのプラズマ生成種は、生体表面に損傷を与える場合がある。それゆえ、治療製剤物は、生体表面に対する損傷を防止または最小化するために使用される場合がある。
【0008】
一実施形態では、処理前用製剤物(pre-treatment formulation)は、潜在的に有害なプラズマ生成種に対して部位を保護する。別の実施形態では、処理後用製剤物(post-treatment formulation)は、処理後に生体表面を損傷することがあるプラズマが生成した酸を中和する。一実施形態では、プラズマ活性化培地は、プラズマに直接暴露されない部位に塗布されるとき、効果的な治療を提供する。理論に拘束されることなく、コールド大気プラズマは、プラズマへの暴露後に液体培地の中に留まる反応種および二次反応生成物を作成するものと信じられる。
【0009】
基本的プラズマ処理は、生体システムに有益な影響を及ぼすと考えられるが、過剰な暴露または不注意による損傷のリスクは無視できない。したがって、従来のプラズマデバイスは、特別注文の処理を実施するための消費者の能力を制限している。これらの処理リスクは、求められる特定の治療結果に対してプラズマをカスタマイズすることによって軽減され得る。いくつかの実施形態では、目標の処理エリアのサイズが、選択可能である。他の実施形態では、化学的手段(chemical intermediary)が、プラズマの中で生成される潜在的に有害な種の濃度を修正し得る。
【0010】
実際には、表面状態とプラズマパラメータとが結合され、一方における変動が、他方における変化を誘発する。たとえば、表面水分の突然のシフトが、表面の電気伝導率に影響を及ぼし、プラズマ強度の増加をもたらす場合がある。逆に、プラズマ強度の突然の増加が、水分を表面から蒸発させて、プラズマの特性を変化させる場合がある。この変動および多重パラメータ結合は、プラズマ処理デバイスの制御を余儀なくさせる。
【0011】
プラズマからの光放射、プラズマ生成種、および生体表面に固有の生体化学物質(biological chemicals)の間の複雑な相互作用は、コールドプラズマ治療をさらに複雑にする。場合によっては、プラズマ生成種は、生体表面を酸性化し、それにより、たとえば、光放射によって、または創傷治療を促進するか、もしくは場合によっては、生体表面に存在する有害な細菌を変性させるプラズマ生成種に暴露することによって、既往歴を悪化させ、プラズマ処理の有益な効果を超えてしまう場合がある。しかしながら、生体表面の上のプラズマ処理の測定は、プラズマの変調を可能にし、それゆえ、処理をより効果的で安全にし得る。
【0012】
処理中のコールドプラズマの均一で安定した適用は、いくつかの理由で望ましい。非限定的な例には、プラズマ生成種の予測可能な投与量を生体表面に与えること、生体表面の状態が変動しても一貫した処理結果を与えること、生体表面の部位にわたってコールドプラズマに対する均一な暴露を維持することなどが含まれる。
【0013】
コールドプラズマ治療デバイス
非熱的「コールド」大気プラズマは、治療処理の間に複数の方法で生体組織および細胞と相互作用することができる。可能な用途の中でも、コールド大気プラズマは、滅菌、消毒、除染、およびプラズマ媒介創傷治療のために生物学および医学において使用され得る。
【0014】
いくつかの商品化されたデバイスが、現時点で、医療処理に対して認定されている。これらのデバイスは、消費者による家庭での使用のために設計されていない。代わりに、それらは、熟達した医療技術者による使用のため、および医療処理技法の訓練のために設計されている。そのようなデバイスの一例は、局所皮膚科的処理のためのプラズマジェットツールであるRhytec Portrait(登録商標)である。このデバイスは、無線周波数電源を使用して厳密に調整されたパラメータを有する複合電源を特色とする。加えて、Bovie J-Plasma(登録商標)、Canady Helios Cold Plasma、およびHybrid Plasma(商標) Scalpelは、すべて、医療処理デバイスとして使用するために利用可能である。ドイツでは、同じくプラズマジェットデバイスであるkINPen(登録商標)と、誘電障壁放電(DBD:dielectric barrier discharge)であるPlasmaDerm(登録商標)の両方は、最近になって市場に導入された、認定された医療処理デバイスである。これらのデバイスは、PlasmaDerm(登録商標)におけるように外面的に、または内面的に、人の組織の医療を目的とする。医学的用途のためのプラズマデバイスとは対照的に、化粧用途のためのデバイスは、消費者による概して直観的使用に向けて作られており、十分に制御されて認定可能な治療効果とは対照的に、化粧用ケアおよび心地良い刺激をもたらす。
【0015】
図1は、従来技術によるプラズマ生成器10の概略図である。
図1に示すように、コールドプラズマ18は、プラズマガスのより巨大な中心部での場のより軽度の励起効果に対して、電界によるプラズマガスの中の、異なる電子の励起を介して生じる。コールドプラズマ18は、活性電極14が電源12によって接地電極15に対して電圧を加えられるとき、活性電極14と対向電極とも呼ばれる接地電極15との間に形成される。電源12は、交流電源または振幅変調される直流源である。コールドプラズマ18は、プラズマ生成器10が、活性電極14に対して置かれた誘電障壁16を含む場合は誘電障壁放電である。コールドプラズマ18は、高温電子19と低温イオン19の両方と中性種とを含有する。従来のシステムでは、プラズマガスは、ヘリウムまたはアルゴンのような希ガスと、同じく、反応性酸素および窒素種(RONS)を形成するための酸素および窒素を含有するガスとを含む。場合によっては、PlasmaDerm(登録商標)のように、プラズマは、直接空気中に生じる。
【0016】
図2は、従来技術による、動作中の誘電障壁放電20の画像である。
図2は、透明電極を通る平面図として取得された。プラズマ18は、電極間を移動するためにイオンおよび電子19に対する導電性ブリッジを個別に形成する複数の離散フィラメント状放電として生じる。
【0017】
局所処理に対して、いくつかの形態のプラズマが使用される。第1は、変動する距離にわたって、一般的に数ミリメートルよりも大きい距離において目標に向けることができるイオンおよび反応種のジェットをもたらすガスジェットプラズマである。前段落で説明した医療用プラズマは、一般的に、ガスジェットプラズマを特色とする。第2の形態は、標的基質(しばしば人体)がフローティング接地電極として働くフローティング電極誘電障壁放電(FE-DBD:Floating Electrode Dielectric Barrier Discharge)デバイスである。第3の形態はDBDプラズマワンドであり、誘電障壁が、活性電極ではなくフローティング接地に対して置かれ、蛍光灯の形態を取る場合がある。第4の形態は、協調する複数の誘電障壁放電源である。そのような構成では、いくつかの大気FE-DBDプラズマ源は、ハンドヘルドデバイスまたはフレキシブルデバイスに組み込まれ、それは、その結果、1つまたは複数の解剖領域を処理するために使用される。
【0018】
図3Aおよび
図3Bは、従来技術によるコールドプラズマシステムの2つの図である。皮膚処理デバイス30は、ヘッド31および本体34を含む単一構造を介してコールドプラズマ18を作成する。デバイスは、プラズマ電源スイッチ32および光スイッチ33を含む1つまたは複数のユーザ制御を含む。ヘッド31は、1つまたは複数の発光ダイオード35(LED)を含む。皮膚処理デバイス30は、プラズマパルス制御37が押されている間、ヘッド31においてプラズマ18を生成するように構成されるプラズマパルス制御37をさらに含む。皮膚処理デバイス30は、内蔵バッテリを充電するための充電ポート36を含む。皮膚処理デバイス30は、プラズマ18を駆動する内部電子部品を含む。
【0019】
図4は、従来技術によるコールドプラズマシステムのブロック図である。電子部品40は、DBDヘッド47および本体42を有する単一構造を含む。コールドプラズマ18は、処理部位としての役目を果たすDBDヘッド47の中に含まれる電極間に作成される。DBDヘッド47は、DBDヘッド47に電力を供給する高電圧ユニット45に電気的に接続される。プラズマ18を駆動するために必要な電力は、本体42の中に封入された充電式バッテリパック43によって供給される。システムは、主PCボードおよび制御回路44を介してシステムに接続される1つまたは複数のLED46を含む。主PCボードおよび制御回路44は、LED46および高電圧ユニット45への電気の流れを制御し、1つまたは複数のユーザ制御48および充電式バッテリパック43を充電するための外部電源入力49からの入力を受ける。
【0020】
理論に拘束されることなく、コールド大気プラズマ治療の効果は、RONSと生体システムとの間の相互作用にある程度まで起因するものと信じられる。RONSの非網羅的リストは、ヒドロキシル基(OH)、原子酸素(O)、一重項デルタ酸素(O2(1Δ))、超酸化物(O2
-)、過酸化水素(H2O2)、および一酸化窒素(NO)を含む。ヒドロキシルラジカルアタックは、細胞膜脂質の過酸化をもたらし、続いて細胞間相互作用、膜-タンパク質発現の調節性、および多くの他の細胞過程に影響を及ぼすものと信じられる。過酸化水素は、強力な酸化剤であり、生体システムに有害な影響を有するものと信じられる。一酸化窒素は、細胞間シグナル伝達および生体調節の役割を果たすものと信じられる。細胞レベルにおいて、一酸化窒素は、免疫不全の調節性、細胞増殖、食作用、コラーゲン合成、および血管形成に影響を及ぼすものと信じられる。システムレベルにおいて、一酸化窒素は強力な血管拡張剤である。
【0021】
コールド大気プラズマはまた、1~10kV/cm程度の電界に生体表面を暴露する。細胞は、そのような場に対して膜貫通毛穴(trans-membrane pore)を開くことによって応答するものと信じられる。そのような電界誘発細胞電気穿孔法は、細胞膜を横切る分子の注入(transfusion of molecules)の役割を果たすものと信じられる。理論に拘束されることなく、処理の効能は、空気プラズマ中で、コールド大気プラズマ源の動作パラメータに特有の濃度における多様なRONSとなる、長寿命プラズマ生成種に少なくとも部分的に起因するものと信じられる。
【0022】
コールド大気プラズマはまた、高電力および高強度で動作されるとき、非常に短時間に組織を除去するためまたは処理をもたらすために使用され得るが、そのような処理は、周囲の組織に害を及ぼし、処理されるエリアをはるかに超えて浸透するものと信じられる。理論に拘束されることなく、低強度におけるコールド大気プラズマ処理は、細胞に損害を与えることを回避するものと信じられる。
【0023】
理論に拘束されることなく、直接的コールド大気プラズマ処理とプラズマ処理培地を使用する間接的処理の両方のための重要なパラメータが、処理面に与えられるプラズマ種の投与量であるものと信じられる。一般に、これは、単位時間にわたって処理面の単位面積に与えられるコールド大気プラズマ源によって作成される所与のプラズマ種の濃度として表される。
【0024】
代替的に、投与量は、処理が決定されており、コールド大気プラズマ源の挙動が十分に理解されている場合、単純な時間の長さとして表され得る。たとえば、安定なコールド大気プラズマ源および均一な表面に対して、所与のRONSの特定の投与量は、コールド大気プラズマが所与の時間の長さの間に均一な表面を処理した後に達成される。実際には、表面状態とプラズマ特性とが結合され、一方における変動が、他方における変化を誘発する。たとえば、表面の水分の突然のシフトが、表面の伝導率に影響を及ぼし、プラズマ強度の増加をもたらす場合がある。逆に、プラズマ強度の突然の増加が、水分を表面から蒸発させ、RONSおよび表面の変化を作成する場合がある。この変動は、以下でより詳細に説明するように、プラズマ処理デバイスの制御を余儀なくさせる。
【0025】
理論に拘束されることなく、コールド大気プラズマ処理は、電気穿孔法、プラズマ生成種の浸透性、および細胞間シグナル伝達の相乗効果を介して処理面に透過するものと信じられる。いわゆる「バイスタンダー効果」が、処理面から離れてその下のボリュームまで、プラズマが誘発する細胞変化を伝搬する役割を果たすものと考えられる。バイスタンダー効果は、処理のインパクトの大きさを潜在的に増幅する、生物学的活性化学物質の導入に応答して細胞間で伝えられる化学信号を介して発生するものと信じられる。
【0026】
実験では、RONSは、異なる方法で多様な生体表面と相互作用するものと信じられる反応性窒素種(RNS)および反応性酸素種(ROS)を含むことが示された。たとえば、アガロース膜では、RONSは、膜の下のボリュームを透過するが、生体組織では、RNSだけが、組織の下のボリュームを透過する。しかしながら、ROSは、ゼラチンおよび他の液体の中を透過する。過酸化水素に関して前に説明したように、RNSよりも反応性が高いROSは、より短寿命であり、いくつかの環境において、生体表面に対する攻撃的なまたは有害な影響と関連するものと信じられる。
【0027】
追加の処理デバイスを用いるコールドプラズマ処理
いくつかの実施形態では、生体表面の部位を処理するためのコールドプラズマシステムは、電極と、電極に面する第1の面および電極から離れて面する第2の面を有する誘電障壁とを含むプラズマ処理デバイスを含む。システムは、部位の上のコールドプラズマの効果を強化するように構成された補助処理デバイスを含み得る。一態様では、補助処理デバイスは、振動デバイス、部位を照明するように構成された光源、および部位に向けられた空気源から成るグループから選択される。
【0028】
一態様では、振動デバイスは、多軸偏心質量加振器を含む。振動デバイスは、圧電アクチュエータを含み得る。
【0029】
一態様では、光源は、400~500nmの範囲の波長を有する光を部位に向けるように構成された1つまたは複数の発光ダイオードを含む。
【0030】
一態様では、空気源は、空気流を部位に向けるように構成された導管と、導管の中に配置されたエアムーバと、空気流の温度を調節するように構成された1つまたは複数の温度制御要素とを含む。エアムーバは、ファンを含み得る。温度制御要素は、熱抵抗加熱コイルおよびペルチェ冷却器のうちの少なくとも1つを含み得る。
【0031】
一態様では、プラズマ処理デバイスは、部位の中の生体表面をピンと張って緩めることを反復するように構成された、1つまたは複数の作動部材をさらに含む。
【0032】
一態様では、プラズマ処理デバイスは、誘電障壁の上に置かれたカバーをさらに含み、カバーは、誘電障壁を接触損傷または汚染から保護するように構成される。カバーは、ガラス、プラスチック、または石英を含み得る。
【0033】
一態様では、生体表面は、皮膚、髪、および指の爪のうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
一態様では、プラズマは、生体表面の中に少なくとも部分的に放電される。
【0035】
いくつかの実施形態では、生体表面の部位をコールドプラズマシステムで処理する方法は、プラズマ生成器を含むプラズマ処理デバイスによってプラズマを生成するステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、プラズマを生体表面に適用するステップと、補助処理デバイスを活性化するステップと、生体表面を補助処理デバイスで処理するステップと、プラズマをオフにするステップとを含む。
【0036】
一態様では、生体表面を補助処理デバイスで処理するステップは、プラズマ処理デバイスを振動させるステップを含む。
【0037】
一態様では、生体表面を補助処理デバイスで処理するステップは、生体表面を部位かまたはその近くで振動させるステップを含む。
【0038】
一態様では、生体表面を補助処理デバイスで処理するステップは、プラズマ処理デバイスの上に配置された光源からの光で部位を照射するステップを含む。光源は、可視光を放射し得る。光源は、赤外光を放射し得る。
【0039】
一態様では、生体表面を第2の処理デバイスで処理するステップは、プラズマ処理デバイスの中に配置された導管および導管の中に配置されたエアムーバを介して気流の流れを部位に与えるステップを含む。一態様では、方法は、導管の中に構成された1つまたは複数の温度制御要素で、気流の流れを冷却または加熱するステップを含む。
【0040】
外部支援デバイスを用いるコールドプラズマ処理システム
いくつかの実施形態では、生体表面の部位を処理するためのコールドプラズマシステムは、電極と、電極に面する第1の面および電極から離れて面する第2の面を有する誘電障壁とを含むプラズマ処理デバイスを含む。一態様では、プラズマ処理デバイスは、電極に電気的に接続され、充電リンクを介してパワーセルに動作可能に結合される充電式バッテリをさらに含む。
【0041】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理システムは、プラズマ処理デバイスの外部の支援デバイスをさらに含む。いくつかの実施形態では、支援デバイスは、プラズマ処理デバイスに電気的に接続されたパワーセルと、パワーセルおよびプラズマ処理デバイスに動作可能に結合されたコントローラとを含む。一態様では、支援デバイスは、プラズマ処理デバイスにワイヤレスに接続される。一態様では、支援デバイスは、取り外し可能ケーブルを介してプラズマ処理デバイスに電気的に接続される。
【0042】
一態様では、誘電障壁および電極が、格納可能支持物の上に配置され、格納可能支持物の延長部が、部位の処理のための誘電障壁の第2の面を位置づけ、格納可能支持物は、筐体の中に配置される。一態様では、プラズマ処理デバイスは、リップスティックサイズのデバイスである。
【0043】
一態様では、支持デバイスは、スマートデバイスである。スマートデバイスは、スマートフォン、タブレット、ラップトップ、電子ヘアスタイリングデバイス、および充電ドックを含むプラズマデバイスから成るグループから選択され得る。
【0044】
一態様では、プラズマは、生体表面の中に少なくとも部分的に放電される。
【0045】
一態様では、生体表面は、皮膚、髪、または指の爪のうちの少なくとも1つを含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、生体表面の部位を処理するためのコールド大気プラズマシステムは、プラズマ処理デバイスを含む。プラズマ処理デバイスは、電極と、電極に面する第1の面および電極から離れて面する第2の面を有する誘電障壁とを含み得る。いくつかの実施形態では、誘電障壁および電極は、格納可能支持物の上に配置され、格納可能支持物の延長部は、部位の処理のための誘電障壁の第2の面を位置づけ、格納可能支持物は、筐体の中に配置される。いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイスは、電極に電気的に接続されたバッテリと、バッテリおよび電極に動作可能に結合され、データを受信して制御入力を送るように構成されたコントローラとを含む。システムは、リップスティックサイズのシステムであり得る。
【0047】
いくつかの態様では、バッテリは、デバイスの中に封入された充電式バッテリである。
【0048】
いくつかの態様では、プラズマ処理デバイスは、取り外し可能ケーブルを介してプラズマ処理デバイスの外部の支援デバイスに接続するように構成される。支援デバイスは、電力および制御入力をプラズマ処理デバイスに与えるように構成され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、生体表面の部位をコールド大気プラズマシステムで処理する方法は、取り外し可能ケーブルをプラズマシステムに取り付けるステップと、電力および制御入力を取り外し可能ケーブルを介して支援デバイスからプラズマシステムに転送するステップとを含む。いくつかの実施形態では、方法は、プラズマシステムと部位との間でコールド大気プラズマを生成するステップと、コールド大気プラズマをオフにするステップと、取り外し可能ケーブルをプラズマシステムから取り外すステップとをさらに含む。
【0050】
いくつかの態様では、方法は、電極および誘電障壁を担持する格納可能支持物を延ばすステップを含み、支持物は、プラズマ処理デバイスの中に配置され、延ばされると、誘電障壁を適所に置いて、部位の近傍にコールド大気プラズマを生成する。方法は、格納可能支持物を格納するステップを含み得る。
【0051】
いくつかの態様では、方法は、電力をプラズマシステムにワイヤレスに転送するステップを含み、プラズマシステムは充電式バッテリを含む。
【0052】
製剤物施用を伴うコールドプラズマ処理システム
生体表面の部位を処理するためのコールドプラズマシステムのいくつかの実施形態では、システムは、プラズマ生成器および処理前用製剤物を含む。いくつかの実施形態では、コールドプラズマシステムは、電極と、電極に面する第1の面および電極から離れて面する第2の面を有する誘電障壁とを含む。一態様では、システムは、生体表面の部位の上に塗布するように構成された処理後用製剤物をさらに含む。
【0053】
処理前用製剤物は、生体表面の部位の上に塗布するように構成され得る。一態様では、処理前用製剤物は、プラズマ処理種(plasma treated species)を含む。一態様では、処理前用製剤物は、香料、エッセンシャルオイル、色素、および活性成分のうちの1つまたは複数を含む。
【0054】
一態様では、生体表面は、皮膚、髪、および指の爪のうちの少なくとも1つを含む。
【0055】
一態様では、プラズマは、処理前用製剤物の中に少なくとも部分的に放電される。
【0056】
いくつかの実施形態では、生体表面の部位をコールドプラズマで処理する方法は、処理前用製剤物を選択するステップと、処理前用製剤物を部位に塗布するステップと、プラズマ処理デバイスと処理前用製剤物との間にコールドプラズマを生成するステップと、コールドプラズマをオフにするステップとを含む。
【0057】
一態様では、方法は、処理前用製剤物を部位から除去するステップを含む。方法は、処理前用製剤物を部位に塗布する前に、コールドプラズマを処理前用製剤物の中に放電することによって処理前用製剤物を処理するステップを含み得る。
【0058】
一態様では、方法は、処理後用製剤物を選択するステップと、コールドプラズマをオフにした後、処理後用製剤物を部位に塗布するステップとを含む。
【0059】
一態様では、方法は、処理後用製剤物を部位から除去するステップを含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、生体表面の部位をコールドプラズマで処理された製剤物で処理する方法は、製剤物を選択するステップと、コールドプラズマを製剤物に適用するステップと、コールドプラズマをオフにするステップと、製剤物を部位に塗布するステップとを含む。
【0061】
一態様では、方法は、製剤物を除去するステップを含む。
【0062】
一態様では、方法は、製剤物を部位に塗布した後、コールドプラズマを製剤物の中に放電するステップを含む。
【0063】
一態様では、方法は、処理後用製剤物を選択するステップと、製剤物を選択した後、処理後用製剤物を部位に塗布するステップとを含む。方法は、処理後用製剤物を部位から除去するステップを含み得る。
【0064】
モジュール式システムを伴うコールドプラズマ処理
いくつかの実施形態では、生体表面の部位を処理するためのモジュール式コールド大気プラズマシステムは、プラズマ生成器本体と、プラズマ生成器本体に着脱可能に取り付けられたヘッドとを含む。ヘッドは、生成器本体に面する搭載面と、生体表面に面するように構成された塗布面とを有し得る。ヘッドの塗布面は、電極と、電極に面する第1の面および電極から離れて面する第2の面を有する誘電障壁とを担持し得る。
【0065】
いくつかの態様では、プラズマは、生体表面の中に少なくとも部分的に放電される。
【0066】
いくつかの態様では、生体表面は、皮膚、髪、または指の爪のうちの少なくとも1つを含む。
【0067】
いくつかの態様では、ヘッドは、搭載面における第1の寸法から塗布面における第2の寸法まで先細りである。第2の寸法、は第1の寸法よりも小さくてよい。いくつかの態様では、第2の寸法は第1の寸法よりも大きく、電極および誘電障壁は、塗布面のサイズに対して、生体表面の上の処理部位の拡大された部分にわたってコールド大気プラズマを作成するように構成される。
【0068】
いくつかの態様では、ヘッドは、液体調合物のための容器と、1つまたは複数の導管を介して容器に接続された浸出面とを含む調合物(formula)塗布ヘッドであり、浸出面は、液体調合物を部位の上に与えるように構成される。
【0069】
いくつかの態様では、ヘッドは、ヘッドの塗布面における柔軟なスカートを含み、柔軟なスカートは、生体表面とヘッドとの間に柔軟なスカートを押し付けることによって生体表面に適合するように構成される。柔軟なスカートは、ヘッドの塗布面と生体表面との間の柔軟なスカートの押しつけを制限する硬いスペーサを含み得る。
【0070】
いくつかの態様では、ヘッドは、誘電障壁と部位との間に置かれたプラズマフィルタを含む。プラズマフィルタは、化学フィルタと、紫外光子の伝送を阻止するように構成された紫外フィルタと、陰イオン、陽イオンおよび自由電子を中和するように構成された導電面を含む荷電種フィルタとのうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの態様では、化学フィルタは、活性炭、グラフェン、触媒、およびラジカル消去材料(radical-scavenging material)のうちの少なくとも1つを含む。プラズマフィルタは、生体表面の部位の上を少なくとも部分的にカバーするように構成され得る。
【0071】
いくつかの態様では、ヘッドの塗布面は、誘電障壁材料を少なくとも部分的に取り囲む適合可能な材料を含み、適合可能材料は、部位の起伏(contours)に適合可能である。電極および誘電障壁は、部位の起伏に適合可能であり得る。
【0072】
いくつかの態様では、ヘッドは、ヘッドの塗布面の上に、誘電障壁の周りに気流のクッションを与えるように構成された1つまたは複数の空気出口と、空気クッションヘッドの中に封入され、気流を空気出口に供給するように構成されたエアムーバとを含む。
【0073】
いくつかの態様では、電極は、コールドプラズマを生成することができる個々に活性化されたエリアの中に画素化される。システムは、電極の活性化エリアにエネルギーを与えるように構成されたコントローラを含み得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、生体表面の部位をモジュール式コールド大気プラズマシステムで処理する方法は、複数の着脱可能に取り付け可能なヘッドからヘッドを選択するステップと、ヘッドを生成器本体に取り付けるステップと、プラズマシステムと部位との間にコールドプラズマを生成するステップと、コールドプラズマをオフにするステップとを含む。
【0075】
いくつかの態様では、方法は、ヘッドが、生成器本体の搭載面における第1の寸法からヘッドの塗布面における第2の寸法まで先細りであることを含む。
【0076】
いくつかの態様では、ヘッドは調合物を担持し、方法は、調合物を浸出開口を介してヘッドの塗布面において与えるステップと、液体調合物を生体表面の部位に塗布するステップとをさらに含む。
【0077】
いくつかの態様では、ヘッドは、プラズマをフィルタ処理するように構成され、方法は、プラズマフィルタを通してコールドプラズマを生成するステップと、フィルタを通して生体表面の部位の上にコールドプラズマを適用するステップとをさらに含む。
【0078】
いくつかの態様では、方法は、生体表面の部位に塗布される液体調合物を介してプラズマをフィルタ処理するステップを含む。
【0079】
いくつかの態様では、ヘッドは、空気クッションヘッドであり、方法は、ヘッドの中に配置されたエアムーバを活性化するステップと、ヘッドの誘電障壁の周りに気流のクッションを設けるステップとを含む。
【0080】
いくつかの態様では、ヘッドは、部位における生体表面に適合可能な柔軟なヘッドである。
【0081】
いくつかの態様では、プラズマシステムと部位との間にコールド大気プラズマを生成するステップは、部位に対する柔軟なスカートを適用するステップであって、柔軟なスカートはヘッドの誘電障壁を取り囲む、ステップと、部位、柔軟なスカートおよびヘッドの間の空間の中にコールド大気プラズマを含有するステップとを含む。
【0082】
センサおよび制御されたプラズマ生成を伴うコールドプラズマ処理
いくつかの実施形態では、生体表面の部位を処理するためのコールドプラズマシステムは、電極と、電極に面する第1の面および電極から離れて面する第2の面を有する誘電障壁とを含むプラズマ処理デバイスを含む。システムは、1つまたは複数のセンサを含み得る。センサは、コールドプラズマ、システムの周りの周囲環境、および生体表面のうちの少なくとも1つの特性を測定し得る。システムは、プラズマ処理デバイスおよびセンサのうちの少なくとも1つに動作可能に結合されたコントローラを含み得る。コントローラは、センサから入力を受信してプラズマ処理デバイスに対する制御データを決定し、制御データをプラズマ処理デバイスに送り得る。
【0083】
一態様では、電極は、コントローラによって個々にアドレス可能な複数のエリアに画素化される。
【0084】
一態様では、1つまたは複数のセンサは、生体表面の部位の上または近くに置かれたセンサを含む。
【0085】
一態様では、1つまたは複数のセンサは、1つまたは複数の動きセンサを含む。一態様では、1つまたは複数のセンサは、周囲空気の湿度を測定するように構成された湿度センサを含む。一態様では、1つまたは複数のセンサは、反応性酸素センサを含む。一態様では、1つまたは複数のセンサは、光センサを含む。一態様では、1つまたは複数のセンサは、プラズマ伝導度センサを含む。一態様では、1つまたは複数のセンサは、表面温度センサを含む。一態様では、1つまたは複数のセンサは、距離センサを含む。一態様では、1つまたは複数のセンサは、イオン濃度センサを含む。
【0086】
一態様では、プラズマは、生体表面の中に少なくとも部分的に放電される。
【0087】
一態様では、生体表面は、皮膚、髪、および指の爪のうちの少なくとも1つを含む。
【0088】
一態様では、コールドプラズマシステムは、電極に接続された安定器回路をさらに含む。
【0089】
一態様では、コールドプラズマシステムは、コンピュータ実行可能命令を記憶した非一時的コンピュータ可読媒体をさらに含み、コンピュータ実行可能命令は、コンピューティングデバイスの1つまたは複数のプロセッサによる実行に応答して、コンピューティングデバイスに、時間の関数としてプラズマの均一性を決定することと、1つまたは複数のプラズマ生成種の投与量を決定することと、均一性および投与量を制御するために時間の関数としてプラズマを変調することとを含む動きを実行させる。
【0090】
一態様では、コールドプラズマシステムは、プラズマの目標投与量と適用投与量を与えるために必要なプラズマパラメータのセットとをコントローラと通信しながら決定する製剤エンジンと、適用投与量に関連するデータを記憶するデータ記憶システムとをさらに含む。
【0091】
いくつかの実施形態では、生体表面の部位をコールドプラズマで処理する方法は、プラズマ源と部位との間にコールドプラズマを生成するステップと、1つまたは複数の処理パラメータを1つまたは複数のセンサで測定するステップとを含む。いくつかの実施形態では、方法は、処理パラメータからプラズマ投与量を決定するステップと、プラズマ投与量を調整するために処理パラメータのうちの1つまたは複数を調節するステップと、コールドプラズマをオフにするステップとを含む。
【0092】
一態様では、方法は、プラズマ源によって担持される少なくとも1つのセンサを含む。
【0093】
一態様では、方法は、生体表面によって担持される少なくとも1つのセンサを含む。
【0094】
一態様では、方法は、プラズマ源がコールドプラズマを生成している間にプラズマ源を移動させるステップを含む。
【0095】
一態様では、方法は、プラズマ投与量が安全範囲または有効範囲の外にあるとき、知覚可能な信号を与えるステップを含む。
【0096】
一態様では、方法は、時間の関数として放電電圧を決定するステップと、時間の関数として放電電流を決定するステップと、時間の関数としてプラズマ温度を決定するステップと、時間の関数として部位の近くの気体温度を決定するステップとを含む。
【0097】
一態様では、方法は、プラズマを生成する前に、センサのうちの少なくとも1つを部位かもしくはその近くの生体表面の上に置くステップと、少なくとも1つのセンサをプラズマに暴露するステップと、プラズマを生成した後、少なくとも1つのセンサを除去するステップとを含む。
【0098】
一態様では、方法は、データ記憶システムと通信している製剤エンジンを介して処理投与量を決定することによって処理投与量の決定を自動化するステップと、部位の処理の間に処理投与量を達成するためのプラズマパラメータのセットを決定するステップと、処理投与量およびプラズマパラメータのセットをプラズマ源に与えるステップとを含む。
【0099】
一態様では、方法は、コールドプラズマ処理の間にプラズマパラメータを再測定することによって、処理投与量を間欠的に再規定するステップを含む。
【0100】
一態様では、方法は、プラズマの均一性のインジケータを決定するステップと、インジケータの変化に応答してプラズマパラメータのうちの1つまたは複数を調節するステップとを含む。
【0101】
一態様では、方法は、放電のために供給される電流、駆動周波数、電圧波形、ピークトゥピーク電圧、二乗平均電圧、プラズマ温度、気体温度、およびプラズマからの光放射を含むグループからプラズマパラメータを測定するステップを含む。
【0102】
一態様では、方法は、行列に配列された複数の画素化電極によってプラズマを生成するステップと、所与の画素化電極に対する放電電力を決定するステップとを含む。一態様では、方法は、プラズマが所与の画素化電極に局在化した場合、所与の画素化電極に対する放電電力を調節するステップを含む。
【0103】
本発明の技術についての上記の態様および利点は、以下の発明を実施するための形態の参照を、添付の図面とともに行うことによってより良く理解されるので、より容易に諒解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【
図1】従来技術によるプラズマ生成器の概略図である。
【
図2】従来技術による、動作中の誘電障壁放電面の画像である。
【
図3A】従来技術によるコールドプラズマシステムの図である。
【
図3B】従来技術によるコールドプラズマシステムの図である。
【
図4】従来技術によるコールドプラズマシステムのブロック図である。
【
図5】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。
【
図5A】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である;
【
図6】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。
【
図7】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。
【
図8】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。
【
図9】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。
【
図9A】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。
【
図10】本開示によるコールドプラズマ処理の方法のフローチャートである。
【
図11】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。
【
図11A】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。
【
図11B】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。
【
図11C】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。
【
図11D】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。
【
図12】本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。
【
図13】本開示によるコールドプラズマ電極システムの概略図である。
【
図14】本開示によるコールドプラズマ処理の方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0105】
いくつかの実施形態が図示され、説明されたが、様々な変更が、本発明の技術の趣旨および範囲から逸脱することなく、それらの実施形態において行われ得ることが諒解されよう。
【0106】
追加の処理デバイスを伴うコールドプラズマシステム
図5は、本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図を提示する。いくつかの実施形態では、コールドプラズマ処理システムは、消費者200の生体表面210の部位の美容処理を提供する。いくつかの実施形態では、システムは、電極114および誘電障壁116を有するプラズマ生成器を含むコールド大気プラズマ処理デバイス100を含む。
【0107】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100は、振動デバイス130を含む。理論に拘束されることなく、振動デバイス130の作動は、消費者200に向上した処理体験を与え、部位の上のプラズマ118の非均一性を軽減することによって処理の効能を改善するものと信じられる。いくつかの実施形態では、振動デバイス130は、超音波振動を発し得る。動作中、超音波は、活性プラズマ種を組織の中に(または、拡散障壁全体にわたって)搬送することを強化し、それゆえ、コールドプラズマ処理の効能を増大させ得る。
【0108】
振動デバイス130は、処理デバイス100を振動させ、それにより、誘電障壁116の第2の面と生体表面210との間の距離Lに影響を及ぼし得る。いくつかの実施形態では、振動デバイス130は、複数の軸において同時に処理デバイス100を振動させる。他の実施形態では、振動デバイス130は、1つだけの軸に沿って処理デバイス100を振動させる。振動デバイス130は、プラズマ118が、1軸または2軸において生体表面210に平行に移動するように、処理デバイス100を振動させ得る。そのような動きは、部位にわたってプラズマ118を分散させ、それにより、プラズマ118の均一性を改善するものと信じられる。振動デバイス130は、圧電アクチュエータまたは多軸偏心質量加振器など、1つまたは複数の振動源を含み得る。
【0109】
図5Aは、本開示によるコールドプラズマ処理システムを示す。いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100は、1つまたは複数の作動部材120によって生体表面210を直接活性化させる。理論に拘束されることなく、生体表面210の引っ張りと圧縮を繰り返すことで、プラズマ生成種の透過性と消費者200の処理の体験との相乗効果を刺激することによって、多様な処理の効能が向上するものと信じられる。作動部材120は、部位かまたはその近くで生体表面210と直接接触し得る。いくつかの実施形態では、作動部材120(複数)は、生体表面210に平行に、互いに反対方向に移動する。作動部材120は、互いに向かって移動して、生体表面210を圧縮して解放する。作動部材120は、互いに離れて移動して、生体表面210を引っ張って解放する。いくつかの実施形態では、作動部材120は、互いに向かう方向と離れる方向の両方に移動し、したがって生体表面210の引っ張りと圧縮の両方を行う。いくつかの実施形態では、プラズマ118は、作動部材120が生体表面210を作動させている間に、部位に向けて生成される。
【0110】
活性化は、振動デバイス130によって放射された超音波の形態であり得る。異なる実施形態では、超音波は、超音波を生成することができる作動部材120を介して目標の生体表面210に伝送され得る。いくつかの実施形態では、作動部材120は環状の形状を形成し、電極114および誘電障壁116は、環状の形状の中に含有される。他の実施形態では、超音波源は、コールドプラズマを生体表面210に向けるための複数の開口を含み得る。動作中、音響結合媒体が、超音波源(たとえば、作動部材120)と生体表面210とを結合し得る。そのような結合媒体のうちのいくつかの非排他的な例は、ヒドロゲル、固体ゲルパッドなどである。結合媒体は、プラズマによって活性化されかつ/またはプラズマとともに働き得る前駆体および成分、香料など、体験を向上させるための追加の成分および特性を有するように編成され得る。いくつかの実施形態では、結合ゲルは使用されず、超音波源は、結合媒体がなくても十分なエネルギーを生体表面に結合する。
【0111】
作動部材120は、プラズマ118の暴露なしに表面を作動させ、それにより、触覚体験を消費者200に与え得る。
【0112】
図6は、本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。プラズマ118による処理に加えて、プラズマ処理デバイス100は、特徴的寸法(characteristic dimension)Tによって示されるエリアの中の部位を光152で照明するように構成された光源150を含み得る。前に説明したように、400~500nmの範囲の波長を有する光で生体表面210を照射することで、染みの美容処理のために望ましい治療結果がもたらされるものと信じられる。いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100は、複数の光源を含む。光源150は、目標範囲内の波長を有する光を個々に放射する、1つまたは複数の発光ダイオードを含み得る。
【0113】
光源150は、放射加熱を生体表面210に与える赤外光素子を含み得る。理論に拘束されることなく、生体表面の放射加熱は、生体表面210のプラズマ生成種に対する応答を誘発することによって、および向上した体験を消費者200に与えることによって、プラズマ処理の治療効果を向上させるものと信じられる。
【0114】
プラズマ処理デバイス100は、誘電障壁116に接してまたはその上方に配置されたカバー117を含み得る。非排他的に、カバー117は、プラスチック、ガラスまたは石英を含んでよく、プラズマ生成種が生体表面210に到達するのを阻止し得る。理論に拘束されることなく、プラズマ118は、いくつかの条件のもとで紫外光子を放射し得るものと信じられる。したがって、カバー117を使用して紫外光子の伝送を阻止することが望ましい場合がある。
【0115】
図7は、本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100は、特徴的寸法Tによって示されるエリアの中の部位に気流162を向ける空気源を含む。空気源は、部位の表面において気流162を供給するように成形された空気導管164の中に配置された、ファンまたはブロワなどのエアムーバ160を含み得る。いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100の中に配置された1つまたは複数の温度制御要素168が、空気の温度を調整する。温度制御要素168の非限定的な例には、ペルチェ冷却器を含む熱電冷却要素、抵抗加熱コイルを含む電気加熱要素などが含まれる。いくつかの実施形態では、エアムーバ160が作動しているときにオイルが部位に心地良い香りを与えるように、香料を含有する揮発性オイルが、空気導管164の中に配置される。
【0116】
小型デバイス
図8は、本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図を提示する。いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100は、パワーセル310およびコントローラ320を有する外部デバイス300に電気的に接続される。いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100は、ケーブル111を介して外部デバイスに電気的に接続される。いくつかの実施形態では、ケーブル111は、制御入力と電力とをプラズマ処理デバイス100に搬送する。いくつかの実施形態では、ケーブル111は、プラズマ処理デバイス100、外部デバイス300、または両方から取り外し可能である。パワーセル310は、たとえばリチウムイオン電池を含む充電式バッテリであり得る。コントローラ320は、データを受信して制御信号をプラズマ処理デバイス100に送ることが可能であり得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100は、電極114に電気的に接続されたバッテリ119を含む。バッテリ119は、ケーブル111をプラズマ処理デバイス100と電源とに接続することによって充電される充電式であり得る。そのような電源のうちのいくつかの非限定的な例は、外部デバイス300、電気を供給する標準的な壁コンセントに接続されるアダプタ、太陽電池などである。いくつかの実施形態では、バッテリ119は、ワイヤレス330に充電する。いくつかの実施形態では、バッテリ119は、Aシリーズタイプ(「A」、「AA」または「AAA」)のうちの1つのバッテリなどの市販のバッテリである。
【0118】
いくつかの実施形態では、外部デバイス300は、スマートフォンである。いくつかの実施形態では、外部デバイス300は、プラズマ処理デバイス100に適合して、電力および制御入力を外部デバイス300に供給するように構成されたラップトップまたはタブレットである。いくつかの実施形態では、外部デバイス300は、限定はしないが、電子髭そり器、ヘアアイロン、ヘアドライヤー、電子脱毛器などを含む化粧用品である。外部デバイス300は、プラズマ処理デバイス100に電気的に接続するための充電ドックをさらに含む、上記で説明した大面積プラズマ処理デバイスであり得る。いくつかの実施形態では、充電ドックは、プラズマ処理デバイス100を受け入れるように構成され、充電ドックは、コンパクトな充電およびプラズマ生成器としての動作のために大面積のデバイスの中に動作可能に搭載され得る。
【0119】
いくつかの実施形態では、電極114および誘電障壁116は、カバー117の後ろに配置される。カバー117は着脱可能であり得る。カバー117は、プラズマ処理デバイス100が使用されないとき、誘電障壁116のための保護を提供し得る。
【0120】
いくつかの実施形態では、電極114および誘電障壁116は、プラズマ処理デバイス100の中に封入された格納可能支持物の上に配置される。格納可能支持物は、格納されると、誘電障壁116および電極114は、視野から隠されてプラズマ処理デバイス100が活性化され得ないように構成され得る。格納可能支持物は、誘電障壁116に対向するプラズマ処理デバイス100の端部に配置される機構の動きを介して回転し得、それにより、リップスティックに類似する方式で、誘電障壁116が、プラズマ処理デバイス100の対向端部から現れる。プラズマ処理デバイス100は、格納可能なリップスティックのチューブと同様のまたは同等の形状因子を有し得、それにより、プラズマ処理デバイス100は、非活動のときにリップスティックのチューブに類似する。いくつかの実施形態では、格納可能支持物は、使用しないときに電極114および誘電障壁116をシールド119の後ろに滑動させるように構成された直線的スライドである。
【0121】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100は、外部デバイス300の中のユーザインターフェースを介して制御される。いくつかの実施形態では、外部デバイス300は、バッテリと、汎用コンピュータと、命令が記憶されたコンピュータ可読メモリとを含む任意のタイプのデバイスであり、命令は、コンピュータによって実行されたときに、コールド大気プラズマによって生体表面の部位を処理する方法を実施する。
【0122】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100は、限定はしないが、電源スイッチ、プラズマ強度選択器、および安全スイッチを含む1つまたは複数のユーザ制御を含む。プラズマ処理デバイス100は、プラズマ処理デバイス100の上に配置された電源スイッチを使用してオンおよびオフにされ得、プラズマ118は、プラズマ処理デバイス100がオンである間に生成される。いくつかの実施形態では、安全スイッチは、安全スイッチが切られるまで、プラズマ処理デバイス100がオンに切り替わるのを防止する。いくつかの実施形態では、安全スイッチは、指紋リーダーである。いくつかの実施形態では、プラズマ強度選択器は、電極114に供給される電力に関して、プラズマの強度を円滑にかつ連続的に調節することを可能にする。いくつかの実施形態では、プラズマ強度選択器は、電極114に供給される電力の逐次的段階におけるいくつかの離散的強度設定のうちの1つに、プラズマ処理デバイス100を制限する。
【0123】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100は、生体表面210に治療光を与える1つまたは複数の発光ダイオード(図示せず)を含む。いくつかの実施形態では、発光ダイオードは、400~500nmの範囲の青色光を供給する。
【0124】
製剤物施用を伴うコールドプラズマ
図9は、本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図を提示する。いくつかの実施形態では、誘電障壁116および電極114を含むプラズマ処理デバイス100は、プラズマ118を製剤物410を介して生体表面210の中に放電する。製剤物410は、限定はしないが、抗酸化剤、ラジカル消去化合物、紫外吸収化合物、活性化化合物(rejuvenating compounds)などを含む、1つまたは複数の活性成分を含み得る。いくつかの実施形態では、ラジカル消去化合物は、アスコルビン酸およびアスコルビルグルコシドを有する無水、シリコーン中グリコール型調合物(anhydrous, glycol-in-silicone formula)である。いくつかの実施形態では、ラジカル消去化合物は、水溶性活性成分を組み込む大きい内部水相を有するシリコーン中水型エマルションである。理論に拘束されることなく、水相は、活性成分を含有するカプセル封入を形成するものと信じられる。活性化化合物は、コラーゲン、エラスチンなどを含み得る。製剤物は、染料、色素、香料、エッセンシャルオイル、乳化剤、粘度調整剤などの非活性成分を含み得る。いくつかの実施形態では、染料は、化学反応性が高く、プラズマ118への暴露によって誘発されるpHの変化に応答し得る。
【0125】
図9Aに示すように、いくつかの実施形態では、プラズマ118は、部位かまたはその近くの生体表面210に適用する前に、容器415の中の製剤物410の中に放電される。理論に拘束されることなく、プラズマ118は、プラズマの中に、イオン、ラジカル、および長寿命RONSを含む有益な種を生成するものと信じられる。プラズマ処理デバイス100は、製剤物410が容器415の中にある間にプラズマ処理デバイス100を製剤物410の暴露面の近くに置くことによって、製剤物410の近傍にプラズマを生成し得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、処理前用製剤物は、RONSを生成するための試薬化合物を含むことによってプラズマ118に暴露する効果を向上する。いくつかの実施形態では、処理後用製剤物は、長引くプラズマ生成種への暴露による潜在的に有害な効果を低減する。たとえば、処理後用製剤物は、バッファ化合物を含めることによって、プラズマ生成種に暴露した後の部位のpHシフトを制御し得る。
【0127】
図10は、プラズマ処理デバイス100と少なくとも1つの製剤物410を含む生体表面210との間にプラズマ118を生成するためにプラズマ処理デバイス100を使用する処理の方法500を示す。いくつかの実施形態では、方法は、追加のステップを含んでよく、またはフローチャートに示す全ステップをなくして実行されてもよい。
【0128】
方法はブロック510において開始し、ブロック520に示す製剤物を選択するステップと、ブロック530に示す製剤物を部位に塗布するステップとを含む処理前段階に進む。前に説明したように、製剤物410は、プラズマ118に暴露した後に治療結果を改善する、保護特性または強化特性を有し得る。いくつかの実施形態では、製剤物410は、プラズマの中で作成される紫外光子への部位の暴露を低減すること、RONSの作成を強化すること、などのために選択される。
【0129】
いくつかの実施形態では、処理前用製剤物は、プラズマ118に暴露する前に部位に塗布される。次いで、方法は、プラズマ118を生成するステップを含むブロック540に進む。プラズマ処理デバイス100は、部位の近傍でプラズマ118を生成し得る。ブロック540におけるプラズマ処理は、プラズマ118がオフになるまで継続し得る。いくつかの実施形態では、方法は、次いで、処理後用製剤物が選択されるブロック550に進む。処理後用製剤物は、プラズマ118に暴露した後に部位に塗布され得る。処理前用製剤物および処理後用製剤物は、同一でも異なってもよく、異なる効果を部位に与えるように選択されてもよい。方法は、ブロック570において終了する。いくつかの実施形態では、方法は、プラズマ処理540の後に処理前用製剤物を除去するステップを含む。いくつかの実施形態では、方法は、処理後用製剤物を塗布した560後に処理後用製剤物を除去するステップを含む。
【0130】
モジュール式コールドプラズマ生成デバイス
図11は、本開示によるコールドプラズマ処理システム100の概略図である。いくつかの実施形態では、システムは、処理デバイス本体100と、処理デバイス本体100に着脱可能に取り付けられたヘッド110とを含む。図示のヘッド110は、処理デバイス本体100に面する搭載面と、電極114を担持する塗布面とを有し、誘電障壁116は、電極114に面する第1の面と電極114から離れて面する第2の面とを有する。コールドプラズマシステム100は、生体表面210の部位の上の美容処理のための複数の取り付け可能ヘッド110を含み得る。生体表面210は、限定はしないが、皮膚、髪、指の爪などを含む。
【0131】
いくつかの実施形態では、ヘッド110-xは、特定の処理を行うためにコールドプラズマ118を作成するように選択される。たとえば、生体表面210の上の比較的小さい部位を処理するとき、プラズマ118のサイズは、生体表面210の目標でない部分をプラズマ生成種に暴露することを回避するように選択され得る。ここで、「プラズマのサイズ」という用語は、プラズマの特徴的または記述的寸法を指す。たとえば、丸い電極114によって生成されるプラズマに対して、プラズマの特徴的寸法は、電極114の直径に関連する。
【0132】
図11Aに示すように、ヘッド110aが選択されて、処理デバイス本体100に取り付けられ得る。ヘッド110aは、搭載面におけるより大きいサイズから塗布面におけるより小さいサイズまで先細になる。それゆえ、図示のヘッド110aは、ヘッド110aの搭載面の直径とは異なる特徴的サイズを有するプラズマ118を生成する。
図11Aは、取り付け面よりも小さい塗布面を有するヘッド110aを示すが、その逆も可能であることを理解されたい。たとえば、ヘッド110aは、生体表面210の部位の上に低強度の処理を生じるために、取り付け面よりも大きいその塗布面を有し得る。
【0133】
図11Bに示すように、ヘッド110bは、ヘッド110bの塗布面の上に、調合物容器180と浸出面186とを含み得る。浸出面186は、1つまたは複数の導管184を介して調合物容器180に接続され得る。いくつかの実施形態では、調合物浸出面186は、ヘッド110bの塗布面の上に1つまたは複数のノズルを含む。いくつかの実施形態では、調合物浸出面186は、調合物浸出面からの調合物の流れを和らげるための、空隙容量を有する多孔質材料である。多孔質材料は、硬化ゲル(cured gel)、軟質プラスチックフォーム、硬質プラスチックフォーム、軽石などの天然多孔質材料などを含み得る。いくつかの実施形態では、調合物浸出面186は、1つまたは複数のグリルで塞がれた通気口、ワイヤメッシュスクリーン、パターン穿孔スクリーン(patterned perforated screen)などを含み得る。
【0134】
いくつかの実施形態では、調合物容器180は、ヘッド110bの塗布面が生体表面210に適用されるとき、圧力によって圧縮される。いくつかの実施形態では、調合物容器180は、限定はしないが、電気アクチュエータ、サーボ、手動作動レバー、ローラー、ローラーのペアなどを含む、ヘッド110bの中に封入された機構によって圧縮される。いくつかの実施形態では、調合物容器180は、着脱可能でかつ交換可能であり、所望の治療結果または美容結果のために特別に準備された調合物を含有する。
【0135】
いくつかの実施形態では、調合物は、1つまたは複数の化粧成分を含む。化粧成分は、香料、色素、クリーム、オイル、天然抽出物、保湿剤などを含み得る。いくつかの実施形態では、調合物は、1つまたは複数の薬剤、たとえば、収斂剤、薬学的活性化合物、酸中和クリーム、抗酸化剤などを含む。いくつかの実施形態では、調合物は、プラズマ118への暴露の潜在的に有害な効果から生体表面を保護するための、1つまたは複数の保護化合物を含む。そのような保護化合物のいくつかの非限定的な例は、抗酸化剤、保湿剤、クラリファイイングクリーム、酸性緩衝(acidity buffering)クリームなどである。
【0136】
一実施形態では、ヘッド110bは、ヘッド110bの塗布面において柔軟なスカート170を含む。いくつかの実施形態では、柔軟なスカート170は、波型のプラスチックまたは軟質ゴムから成り、ヘッド110bの塗布面に取り付けられる。いくつかの実施形態では、柔軟なスカート170は、生体表面210に接触することによって圧縮される。いくつかの実施形態では、柔軟なスカート170は、スカート170の圧縮を制限し、それによりヘッド110bと生体表面210との間の最小間隔を画定する、硬いスペーサ174を含む。いくつかの実施形態では、柔軟なスカート170は気体を通さず、圧縮されると、プラズマ118がその中に存在する包含された環境を生成する。硬いスペーサ174は、柔軟なスカート170によって封入されてよく、またはその外にあってよく、追加されてもまたは除去されてもよい。いくつかの実施形態では、硬いスペーサ174は、限定はしないが、金属を含む導電材料を含む。いくつかの実施形態では、導電材料を含む硬いスペーサ174は、ゼロ以上の電圧にバイアスされる。理論に拘束されることなく、そのようにバイアスされる硬いスペーサ174は、プラズマがヘッド110bと硬いスペーサ174との間に生じ、それにより生体表面210に向けられるイオンおよび電子の投与量を低減することを可能にし得るものと信じられる。いくつかの実施形態では、硬いスペーサ174の中に放電するプラズマ118は、柔軟なスカート170によって画定されるボリュームの中に含有されるRONSを作成する。
【0137】
一実施形態では、ヘッド110bは、プラズマ118をフィルタ処理するためのフィルタ190を含む。フィルタ190は、ヘッド110bと生体表面210との間に、たとえば、生体表面に適用されるプラズマ118の経路の上に置かれてよい。
【0138】
いくつかの実施形態では、フィルタ190は、プラズマ118から生体表面210への紫外光子の経路を少なくとも部分的に阻止するために置かれる紫外フィルタである。いくつかの実施形態では、フィルタ190は紫外光子を阻止する。なぜならば、フィルタは、限定はしないが、UV阻止膜で処理されたプラスチック、ガラス、または石英などを含む、UV吸収材料またはUV散乱材料から成るからである。
【0139】
いくつかの実施形態では、フィルタ190は、場合によっては生体表面210に到達する1つまたは複数のプラズマ生成種を隔離または変換するように設計された化学フィルタである。いくつかの実施形態では、フィルタ190は、炭素質材料を含み、その非限定的な例には、グラフェン、カーボンナノチューブ、活性炭紙、炭素繊維などが含まれる。別の実施形態では、フィルタ190は触媒材料を含み、その非限定的な例には、多孔質基質の中に埋め込まれた金属粒子が含まれる。いくつかの実施形態では、フィルタ190は、ラジカル消去材料、たとえば、カタラーゼ、グルタチオンペルオキシダーゼ、 スーパーオキシドディスムターゼ(SOD)、α-トコフェロール(ビタミンE)、アスコルビン酸(ビタミンC)、β-カロチン(ビタミンA)、セレンなどを含む抗酸化剤を含む。いくつかの実施形態では、フィルタは、その多孔性、表面特性、寸法などを変更することによって、プロトン濃度の変化に応答するpH感応性ポリマーを含む。そのようなpH感応性ポリマーのうちのいくつかの非限定的な例には、ポリ酸およびポリ塩基、キトサン、ヒアルロン酸、ならびにデキストランが含まれる。いくつかの実施形態では、フィルタは、孔を開いて前に説明したラジカル消去材料の1つまたは複数を解放することによって、pHの変化に応答する。
【0140】
いくつかの実施形態では、フィルタ190は、接触時に生体表面210に塗布される液体調合物を含む。液体調合物は、限定はしないが、クリームまたはオイルを含む液体エマルションの中に担持される、前述のフィルタ材料のいずれかを含み得る。いくつかの実施形態では、液体調合物フィルタ190は、化粧成分、医療成分などの追加の材料を含む。いくつかの実施形態では、液体調合物は、プラズマ生成種への暴露の比色指示薬を提供する指示薬材料を含む。いくつかの実施形態では、指示薬材料は、染料の分子構造を変えるのに十分なプラズマ生成酸性化種またはアルカリ化種の濃度に生体表面210が暴露されたときに、色を変化させるpH感応性染料である。pH感応性染料の非限定的な例には、ゲンチアナバイオレット、メチルイエロー、メチルレッド、クレゾールフタレイン、インジゴカルミンなどが含まれる。
【0141】
いくつかの実施形態では、フィルタ190は、プラズマ118と、プラズマ118の中に存在する荷電粒子をひきつけて中和する生体表面210との間に置かれた荷電粒子フィルタを含む。いくつかの実施形態では、荷電粒子フィルタは、非ゼロ電圧に個々にバイアスされた1つまたは複数の導電素子を含む。導電素子の非限定的な例には、ヘッド110bの塗布面の上の誘電体材料116の近くまたは周囲に置かれた、金属スクリーン、金属プローブ、金属リングなどが含まれる。いくつかの実施形態では、荷電粒子フィルタは、負極性を有することによって陽イオンを選択的にろ過して除き、それゆえ、フィルタ190の表面に接近する陽イオンを中和する。いくつかの実施形態では、荷電粒子フィルタは、複数の導電素子、たとえば、負極性を担持する少なくとも1つの導電素子と正極性を担持する少なくとも1つの導電素子とを組み合わせることによってすべての荷電粒子をろ過して除く。
【0142】
図11Cに示すように、生体表面210は、部位のプラズマ118への暴露の均一性に影響を及ぼし得る起伏を含む。起伏のある生体表面210の非限定的な例には、限定はしないが、頬骨、下顎、眉毛、鼻、顎、指関節、足関節、肘、膝などの凸面を含む、顔および体の上の部位が含まれる。同様に、起伏のある生体表面210は、顎の下、耳周り、首沿いなどのエリアの中のように、凹面を含み得る。いくつかの実施形態では、ヘッド110cは、塗布面の上に適合可能な材料を含む。適合可能な材料は、部位の起伏と反対に適合するように構成される。適合可能な材料の非限定的な例には、ゲル、硬化フォーム、ゴム、プラスチックなどが含まれる。いくつかの実施形態では、ヘッド110cの上に適合可能な材料は、消耗材料、たとえば、乾燥固体、保湿ゲル、水溶性クリームなどを含む。
【0143】
いくつかの実施形態では、ヘッド110cの塗布面は、生体表面210に対して反対に適合可能である。いくつかの実施形態では、誘電障壁116は、限定はしないが、ガラス布、セラミック布など、織られた誘電体布を含む柔軟な表面を含む。いくつかの実施形態では、電極114は、織られた金属布、銅メッシュ、ステンレススチールメッシュなど、柔軟な導電性表面を含む。いくつかの実施形態では、誘電障壁116の中に含まれる柔軟な表面は、プラズマ処理の間に生体表面210から剥がれ落ちた材料の蓄積を防止するために封止される。柔軟な表面は、限定はしないが、テフロン(登録商標)、SiOx膜、グラフェンなどを含む被膜で封止され得る。
【0144】
図11Dに示すように、ヘッド110dは、ヘッド110dと生体表面210との間に空気クッションを設け得る。いくつかの実施形態では、ヘッド110dは、電極114および誘電障壁116を少なくとも部分的に取り囲む複数の空気導管164を含む。動作中、エアムーバ160は、偏向された気流(vectored flow of air)をヘッド110dから離れて方向づける空気導管164(たとえば、ノズル、ベントなど)に空気を供給する。気流は、ヘッド110dと生体表面210との間の接触を防止するかまたは少なくとも最小化する空気クッションを生成し得る。いくつかの実施形態では、エアムーバ160は、ヘッド110dの中に位置する電気ファンである。エアムーバは、電極114から独立して動作し、プラズマ118の状態を変えることなくオンオフされ得る。
【0145】
センサを有するコールドプラズマデバイス
図12は、本開示によるコールドプラズマ処理システムの概略図である。いくつかの実施形態では、コールドプラズマ処理デバイス100は、プラズマパラメータを測定するために1つまたは複数のセンサ140を含む。測定されたプラズマパラメータに基づいて、コントローラ142は、コールド大気プラズマ118を制御し、生体表面210の部位の上で所定の美容処理を維持し得る。
【0146】
前に説明したように、いくつかの実施形態では、コールド大気プラズマ118は、生体表面210をフローティング基準電極として使用して形成される。理論に拘束されることなく、そのような配列は、生体表面210の上の水およびイオンの濃度の不均一な分布に敏感であるものと信じられる。汗腺などのイオンが比較的豊富な局在化領域は、プラズマ生成荷電種のために望ましい導電経路を提供し得、コールド大気プラズマ118は、生体表面210の上のそのような場所に選択的に生じ得るものと信じられる。次に、生体表面210の上の別の特定のロケーションに対するプラズマの選好性は、十分に制御されない処理の不均一と、プラズマ118によって処理される部位へのプラズマ投与量の変動とをもたらす。均一性は、コールド大気プラズマ源の動作における重要な基準であるものと信じられる。それゆえ、少なくともいくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100の設計は、表面210の特性における変動に対するコールド大気プラズマ118の感度を考慮に入れる。
【0147】
プラズマ118の均一性は、1つまたは複数のプラズマパラメータ、たとえば、放電電力、放電ボリューム、プラズマ生成種の濃度などの変動に関して規定される。たとえば、まったく異なる特性の多くの離散的な下位領域を処理部位が含有する、非常に変わりやすいシステムでは、プラズマ処理デバイス100が、表面210のイオンが多い下位領域とイオンが少ない下位領域との間を平行移動するとき、プラズマ処理デバイス100は、放電電流または放電電圧における不連続性を示す場合がある。理論に拘束されることなく、導電性の下位領域の上を通過するプラズマ源は、放電電流のスパイクと、対応する放電電圧のドロップとを示す場合があるものと信じられる。
【0148】
いくつかの実施形態では、コントローラ142は、電極114に接続された電子安定器回路を作動させる。理論に拘束されることなく、電子安定器回路は、コントローラ142が電極114への電流を調整することを可能にし、それにより、生体表面210の上の1つまたは複数の局在化スポットにおけるプラズマ118の熱暴走およびプラズマ118の収縮を防止するものと信じられる。
【0149】
本発明の技術の一実施形態を示す
図12に示すように、プラズマ源100は、コールド大気プラズマ118および生体表面210のパラメータを測定するために1つまたは複数のセンサ140を組み込む。いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100は、プラズマパラメータを測定するセンサ140を含む。プラズマパラメータは、生体表面210の中に放電された電流と、誘電障壁116と表面210との間の電圧ドロップとの測定値を含み得る。プラズマパラメータは、プラズマ118によって放射された光のスペクトル、プラズマ118の中のイオン密度、または不均一な表面の処理を示す前述のパラメータの時間における変動など、プラズマ118のエネルギー密度を示す1つまたは複数のパラメータを含み得る。理論に拘束されることなく、放電電圧または放電電流における1つまたは複数の短寿命の不連続性が、表面の上の1つまたは複数の高度に局在化されたイオンが豊富な部位に対するコールド大気プラズマ118の選好の形態で不均一性を示すものと信じられる。
【0150】
いくつかの実施形態では、処理部位かまたはその近くの表面210の上に置かれた1つまたは複数のセンサ140は、プラズマ118または生体表面210のパラメータを測定する。たとえば、プラズマ処理デバイス100は、pHセンサまたは塩化物センサなどのイオンセンサ、光センサ、反応性酸素センサ、表面温度センサ、距離センサ、湿度センサなどを含み得る。
【0151】
いくつかの実施形態では、表面210またはプラズマ処理デバイス100のいずれかの上に置かれたセンサ140は、周囲環境を測定する。そのようなセンサ140は、イオンセンサ、光センサ、反応性酸素センサ、温度センサ、湿度センサなどを含み得る。
【0152】
いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100の上に置かれた位置基準センサは、生体表面210の上の距離センサに動作可能に結合される。位置基準センサは、誘電障壁116の表面210からの距離を決定し得る。いくつかの実施形態では、プラズマ処理デバイス100の中に含まれるレーザー測距器などの距離センサは、誘電障壁116から表面210までの距離を測定する。
【0153】
いくつかの実施形態では、センサ140は、プラズマ源100の一部としてコントローラ142と通信する。コントローラ140は、プラズマ処理デバイス100に動作可能に結合され、センサ140から入力を受信し、その入力を処理してプラズマ処理デバイス100に対する制御データを決定し得る。いくつかの実施形態では、制御データは、限定はしないが、電極114に与えられた電流または電圧を調節するためにプラズマ処理デバイス100の電子構成要素に送られた信号と、知覚可能な信号を作成するためにプラズマ処理デバイス100の他の構成要素に送られた信号とを含む。いくつかの実施形態では、知覚可能な信号は、触覚フィードバックまたは可聴もしくは可視インジケータである。いくつかの実施形態では、コントローラ142は、プラズマ118によって作成されたエネルギーまたは反応種の危険な投与量に応答して制御データを送る。
【0154】
前に説明したように、理論に拘束されることなく、プラズマ投与量は、反応化学種、イオンおよび電子を含むエネルギー種、光子など、1つまたは複数のプラズマ生成種への暴露を決定するものと信じられる。
【0155】
いくつかの実施形態では、プラズマ投与量は、単位面積当たり、単位時間当たり(「平方センチメートル秒当たり」など)の数として表される、ある時間期間にわたる生体表面210の上の所与の部位に与えられる所与の種の濃度である。いくつかの実施形態では、コントローラ142は、単位時間当たりのプラズマ投与量を与えるために、誘電障壁116の面積の上のプラズマ投与量を積分することによって、プラズマ処理デバイス100に送るための処理持続時間と制御データとを決定する。
【0156】
いくつかの実施形態では、プラズマ118が表面210を害する可能性があるような時間の長さの間、プラズマ処理デバイス100が、生体表面210の上の所与の部位の上に留まるとき、プラズマ処理は危険であると見なされる。逆に、いくつかの実施形態では、プラズマ118が所望の効果を有する可能性が低いような時間の長さの間、処理デバイス100が、所与の部位の上に留まる場合、プラズマ処理は、無効な投与量を与えたと見なされる。いくつかの実施形態では、これらの投与量は、一意の値ではなく、むしろ、ある範囲の中で発生すると思われる。したがって、コントローラ142は、投与量の危険な範囲または無効な範囲を決定し得、コントローラ142は、知覚可能な信号を作成するためもしくはプラズマ118を変調するため、または両方のために、制御データをプラズマ処理デバイス100に送る。
【0157】
いくつかの実施形態では、コントローラ142は、プラズマ源が生体表面210の上の部位から離れて第2の部位の方に動かされるように信号を送ることによって、危険な投与量に応答する。コントローラ142は、プラズマ118をオフにするために、または電極114に供給する電力を変調してプラズマ118の中のエネルギー種および反応種の生成を軽減するために、制御データをプラズマ処理デバイス100の電子構成要素に送ることによって危険な投与量に応答し得る。
【0158】
いくつかの実施形態では、プラズマ118は、
図13に示すように、行列に配列された複数の画素化電極114i,jによって生成される。画素化電極は、コントローラ142によって個々にアドレス可能であり得、コントローラは、所与の画素化電極114に対する放電電力を決定する。いくつかの実施形態では、コントローラは、画素化電極114i,jに対する電流および電圧のセンサ140からの入力を使用して、不均一プラズマ118の収縮または局在化を弱める。いくつかの実施形態では、プラズマ118が、まったく異なる化学的または物理的特性を有する生体表面210の上のスポットに局在化するとき、コントローラ142は、行列114に対する平均に対して、どの画素化電極114i,jが、電力の割合のばらつきを描いているかを示す入力を受信する。コントローラ142は、過剰電力を描いている電極114i,jをオフにすることによってプラズマ118を変調し、それにより、プラズマエネルギーを動作電極Oに分配して、非動作の電極NOの近くのプラズマ不均一性の望ましくない影響を軽減する。
【0159】
コールドプラズマシステム100の構成要素は、有線でかつ電力供給される接続を介して直接通信し得る。これらの構成要素は、限定はしないが、DSL、イーサネット、光ファイバ、USB、およびファイアワイヤなどの有線技術、Wi-Fi、WiMAX、3G、4G、LTE、およびブルートゥース(登録商標)などのワイヤレス技術、ならびにインターネットを含む好適な通信技術を含み得るネットワーク(図示せず)を介して互いに通信し得る。
【0160】
いくつかの実施形態では、コントローラ142は、コンピュータ実行可能命令およびデータを記憶した非一時的コンピュータ可読媒体を含み、その命令およびデータは、コンピューティングデバイスの1つまたは複数のプロセッサによる実行に応答して、本明細書で説明して
図14に示す処理の方法600をコンピューティングデバイスに実施させる。
【0161】
図14は、本開示によるコールドプラズマ処理の方法のフローチャートである。いくつかの実施形態では、生体表面210の部位をコールド大気プラズマ118で処理する方法600は、プラズマ処理デバイス100と部位との間にコールドプラズマを生成するステップを含む。処理の方法600は、1つまたは複数の処理パラメータを1つまたは複数のセンサ140で測定するステップと、処理パラメータからプラズマ投与量を決定するステップとを含み得る。いくつかの実施形態では、処理の方法600は、プラズマ投与量を調整するために処理パラメータのうちの1つまたは複数を調節するステップと、コールド大気プラズマ118をオフにするステップとを含む。
【0162】
いくつかの実施形態では、方法は、追加のステップを含んでよく、またはフローチャートに示す全ステップをなくして実行されてもよい。方法はブロック605において開始し、ブロック610に進み、そこで1つまたは複数のセンサ140が、処理パラメータ、たとえば周囲パラメータおよび表面パラメータを測定する。いくつかの実施形態では、プラズマ118を生成する前に、方法600は、部位かまたはその近くの生体表面210の上に少なくとも1つのセンサ140を置くステップを含む。前に説明したように、センサ140は、コントローラ142に動作可能に結合され、効果的な処理に必要なプラズマパラメータを決定するためにブロック615で使用されるコントローラ142にセンサ入力を与え得る。いくつかの実施形態では、プラズマパラメータは、デフォルト値によって規定され、コントローラ142は、プラズマ118がオンになるまで作動しない。いくつかの実施形態では、プラズマパラメータは、時間の関数としての放電電圧、時間の関数としての放電電流、時間の関数としてのプラズマ温度、または時間の関数としての部位の近くの気体温度を含む。いくつかの実施形態では、センサ測定値は、データ記憶システム620に与えられ、データ記憶システム620は、その測定値を他のセンサデータとともに統合し得る。いくつかの実施形態では、パラメータエンジンは、ブロック627に示すように、パラメータ情報をコントローラ142に伝達する。パラメータエンジンは、データ記憶システム620の中に蓄積され記憶された統合センサ入力に基づいて処理投与量を決定し、コントローラ142に与えられるプラズマパラメータのセットをさらに決定する。
【0163】
ブロック630では、化粧製剤物が、処理部位に塗布される。いくつかの実施形態では、化粧製剤物は、プラズマ処理を向上させる。いくつかの実施形態では、化粧製剤物は、プラズマ118の有害な側面から生体表面210を保護する。ブロック625に示す製剤エンジンは、製剤物を決定し、データ記憶システム620から入力を受信し得る。いくつかの実施形態では、製剤エンジンは、機械学習を利用して、ラジカル消去、UV吸収、電気伝導率、熱伝導率など、所与の目的のために製剤物の成分を最適化する。
【0164】
ブロック635では、プラズマ処理デバイス100は、コールド大気プラズマ118を処理部位における生体表面210に適用する。ブロック635において、プラズマ後用製剤物(post-plasma formulation)が、生体表面210の処理部位に塗布される。ブロック630におけるように、製剤物は、ブロック625に示す製剤エンジンによって決定され得る。いくつかの実施形態では、プラズマ後用製剤物は、ブロック630の製剤物と同じものであり得る。いくつかの実施形態では、プラズマ後用製剤物は、ブロック630の製剤物と異なるものであり得る。いくつかの実施形態では、プラズマ後用製剤物は、イオンを中和して生体表面210を保湿する。いくつかの実施形態では、プラズマ後用製剤物は、抗酸化剤成分を含むことによって、可能性があるプラズマ処理の酸化の影響を弱める。
【0165】
ブロック645において、処理が反復されてよい。いくつかの実施形態では、コントローラ142は、ブロック645において、処理投与量が満たされたかどうかを決定する。処理投与量が満たされなかった場合、コントローラ142は、センサ測定を反復し、新しいプラズマパラメータを決定し、プラズマを変調してプラズマ生成種の効果的で安全な投与量を提供し得る。いくつかの実施形態では、処理は反復されず、方法は、ブロック650において終了する。
【0166】
コントローラ142は、電極114に供給される電流、駆動周波数、電圧波形、ピークトゥピーク電圧、二乗平均電圧、プラズマ温度、気体温度、プラズマ118からの光放射などを含むグループからプラズマパラメータを決定し得る。
【0167】
いくつかの実施形態では、コントローラは、コールド大気プラズマ118の均一性のインジケータを決定する。前に説明したように、均一性は、誘電障壁116の第2の面と生体表面210との間のプラズマ118の空間分布、ならびに、2つの面の間の電流の時間平均流れが、生体表面210の上の処理部位にわたって均等に広がるかどうかについて記述する。いくつかの実施形態では、コントローラは、均一性のインジケータにおける変化に応答して、プラズマパラメータのうちの1つまたは複数を調節するために制御データをプラズマ処理デバイス100に送る。コントローラは、コントローラ142に与えられるセンサ入力に基づいて、均一性のインジケータを間欠的に決定し得る。
【0168】
当業者には理解されるように、本明細書で説明する「データ記憶システム」は、コンピューティングデバイスによるアクセスのためのデータを記憶するように構成された任意の好適なデバイスであり得る。データ記憶システム620の例は、1つまたは複数のコンピューティングデバイス上で実行し、高速ネットワーク上でアクセス可能な、高速リレーショナルデータベース管理システム(DBMS)である。しかしながら、クエリに応答して記憶されたデータを提供することができる他の好適な記憶技法および/またはデバイスが使用されてもよく、コンピューティングデバイスは、ネットワーク上ではなくローカルにアクセス可能であってもよく、またはクラウドベースのサービスとして提供されてもよい。クラウド記憶システム620は、コンピュータ可読記憶媒体上に組織立って記憶されるデータも含み得る。
【0169】
一般に、本明細書で使用される「エンジン」という言葉は、ハードウェアの中に埋め込まれた論理ソフトウェアおよびアルゴリズムまたはソフトウェア命令を指し、ソフトウェア命令は、C、C++、COBOL、JAVA(登録商標)、PHP、Perl、HTML、CSS、JavaScript、VBScript、ASPX、Microsoft .NET(商標)、PYTHONなどのプログラミング言語で書かれ得る。エンジンは、実行可能プログラムにコンパイルされてよく、またはインタープリタ型プログラミング言語で書かれてもよい。ソフトウェアエンジンは、他のエンジンから、またはそれ自体から呼び出し可能であり得る。一般に、本明細書で説明するエンジンは、他のエンジンと結合され得るか、またはサブエンジンに分割され得る論理モジュールを指す。エンジンは、任意のタイプのコンピュータ可読媒体またはコンピュータ記憶デバイスの中に記憶され、1つまたは複数の汎用コンピュータの上に記憶されかつそれらによって実行され、したがって、エンジンまたはその機能性を提供するように構成された専用コンピュータを生成し得る。
【0170】
上記で説明した技術の多くの実施形態は、プログラマブルコンピュータまたはコントローラによって実行されるルーチンを含む、コンピュータまたはコントローラ実行可能命令の形態を取り得る。その技術は、上記で図示して説明したシステム以外のコンピュータ/コントローラシステム上で実行され得ることは、当業者には諒解されよう。その技術は、上記で説明したコンピュータ実行可能命令のうちの1つまたは複数を実行するように特別にプログラムされ、構成されまたは構築された、専用コンピュータ、特定用途向け集積回路(ASIC)、コントローラ、またはデータプロセッサの中に埋め込まれ得る。当然、本明細書で説明する任意の論理またはアルゴリズムは、ソフトウェアもしくはハードウェア、またはソフトウェアとハードウェアの組合せで実施され得る。
【0171】
上記のことから、技術の特定の実施形態が、説明の目的で本明細書で説明されたが、様々な修正形態が、本開示から逸脱することなく作成され得ることは諒解されよう。その上、いくつかの実施形態に関連する様々な利点および特徴が、それらの実施形態の文脈で上記で説明されたが、他の実施形態が、そのような利点および/または特徴を示してもよく、必ずしもすべての実施形態が、本技術の範囲内に入るために、そのような利点および/または特徴を示す必要があるとは限らない。いくつかの方法が説明されたが、それらの方法は、より多数の、より少数の、または他のステップを含んでもよい。加えて、ステップは、任意の好適な順序で実行されてもよい。したがって、本開示は、本明細書に明確に示されないか、または説明されない他の実施形態を包含することができる。
【0172】
本開示の目的のために、2つ以上の要素の形態のリスト、たとえば、「A、B、およびCのうちの少なくとも1つ」は、(A)、(B)、(C)、(AおよびB)、(AおよびC)、(BおよびC)、または(A、B、およびC)を意味することが意図されており、任意の他の数量の要素がリストに記載されるときは、すべての同様の配列をさらに含む。
【符号の説明】
【0173】
10 プラズマ生成器
12 電源
14 電極、活性電極
15 接地電極
16 誘電障壁
18 コールドプラズマ
19 電子、イオン
20 誘電障壁放電
30 皮膚処理デバイス
31 ヘッド
32 プラズマ電源スイッチ
33 光スイッチ
34 本体
35 発光ダイオード(LED)
36 充電ポート
37 プラズマパルス制御
40 電子部品
42 本体
43 充電式バッテリパック
44 主PCボードおよび制御回路
45 高電圧ユニット
46 LED
47 誘電障壁放電(DBD)ヘッド
48 ユーザ制御
49 外部電源入力
100 コールド大気プラズマ処理デバイス
110 ヘッド
110a ヘッド
110b ヘッド
110c ヘッド
110d ヘッド
111 ケーブル
114 電極
114i,j 画素化電極
116 誘電障壁
117 カバー
118 コールドプラズマ
119 バッテリ
120 作動部材
130 振動デバイス
140 センサ
142 コントローラ
150 光源
152 光
160 エアムーバ
162 気流
164 空気導管
168 温度制御要素
170 柔軟なスカート
174 硬いスペーサ
180 調合物容器
184 導管
186 浸出面
190 フィルタ
200 消費者
210 生体表面
300 外部デバイス
310 パワーセル
320 コントローラ
330 ワイヤレス
410 製剤物
415 容器
【外国語明細書】