(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075343
(43)【公開日】2023-05-30
(54)【発明の名称】マイクロ波アブレーションプローブ
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20230523BHJP
A61B 18/18 20060101ALI20230523BHJP
【FI】
A61B18/12
A61B18/18 100
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023045847
(22)【出願日】2023-03-22
(62)【分割の表示】P 2020507621の分割
【原出願日】2018-06-29
(31)【優先権主張番号】17185646.1
(32)【優先日】2017-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】517393570
【氏名又は名称】ナショナル ユニバーシティ オブ アイルランド ゴールウェイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】イートン-イバンス ジミー
(72)【発明者】
【氏名】ルビオ ジュゼッペ
(72)【発明者】
【氏名】オハロラン マーティン
(72)【発明者】
【氏名】ブーシャー-ヘイズ ジョナサン
(72)【発明者】
【氏名】ブルッツィ マーク
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本出願は、組織成長を阻害するため、組織内に熱を生成するように使用され得るマイクロ波アブレーションプローブに関する。
【解決手段】マイクロ波アブレーションプローブ200は、周辺組織を加熱するため、マイクロ波を放射するように構成されたアプリケータ202と、アプリケータに電磁エネルギーを供給するように構成された給電ケーブル204と、冷媒が流れることができる冷媒路206と、給電ケーブル204に沿って、アプリケータから反射された電力を低減するように構成されたチョークと、を備える。チョークは、冷媒路に流れる冷媒流で冷却されるチョーク部材208を有する。チョーク部材は、給電ケーブルの長手軸に平行な成分を少なくとも有する方向において間隔を空けた2点間で延在する。チョーク部材は、給電ケーブルの長手軸周りに延在する1または複数の巻き部208を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波アブレーションであって、
周辺組織を加熱するため、マイクロ波を放射するように構成されたアプリケータと、
前記アプリケータに電磁エネルギーを供給するように構成された給電ケーブルと、
冷媒が流れることができる冷媒路と、
前記給電ケーブルに沿って、前記アプリケータから反射された電力を低減するように構成されたチョークと、を備え、
前記チョークは、
前記冷媒路に流れる冷媒流で冷却されるチョーク部材を有し、
前記チョーク部材は、前記給電ケーブルの長手軸に平行な成分を少なくとも有する方向において間隔を空けた2点間で延在し、前記給電ケーブルの前記長手軸周りに延在する1または複数の巻き部を有する、マイクロ波アブレーションプローブ。
【請求項2】
前記チョーク部材は螺旋部材で、任意で、前記螺旋部材は前記給電ケーブルの長さに沿って延在する螺旋を形成する、請求項1に記載のアブレーションプローブ。
【請求項3】
前記チョーク部材は、前記長手軸周りに延在する1または複数の湾曲部を有し、前記1または複数の湾曲部は、前記長手軸に平行な成分を少なくとも有する方向に延在する1または複数の接続部でつながっており、任意で、前記1または複数の湾曲部は、前記長手軸に直交する面内で延在する、請求項1に記載のアブレーションプローブ。
【請求項4】
前記チョーク部材は、前記冷媒路内に少なくとも部分的に配置される、請求項1から3のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項5】
前記給電ケーブルの長さの少なくとも一部、および/または、前記チョーク部材の周りに均一な冷媒流を実現するように、前記冷媒路が構成される、請求項1から4のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項6】
前記給電ケーブルを少なくとも部分的に囲うように構成された第1囲い部材をさらに有し、前記チョーク部材は、前記第1囲い部材内に配置され、好ましくは、前記第1囲い部材は、前記給電ケーブルを囲うように構成されたチューブを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項7】
前記冷媒路は、給電ケーブル冷却部を備え、前記給電ケーブル冷却部は、前記給電ケーブルと前記第1囲い部材との間に形成された経路を含み、前記チョーク部材は、前記経路内に配置される、請求項6に記載のアブレーションプローブ。
【請求項8】
前記チョーク部材は、前記経路を形成するため、前記給電ケーブルの外面と、前記第1囲い部材の内面とを離間させるように配置され、好ましくは、前記チョーク部材は、前記給電ケーブルと前記第1囲い部材とを互いに同心円状に揃えるように配置される、請求項7に記載のアブレーションプローブ。
【請求項9】
前記チョーク部材は、前記第1囲い部材の一部が前記チョークの一部を形成するように、前記第1囲い部材を前記給電ケーブルに電気的に接続するように構成される、請求項6から8のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項10】
前記給電ケーブルは、内側導体と外側導体とを有し、前記チョーク部材は、前記給電ケーブルの前記外側導体と、前記第1囲い部材との間に電気的接続を形成し
好ましくは、前記電気的接続は、前記外側導体の先端から給電ケーブルの長さに沿って、距離を空けて形成され、
さらに好ましくは、前記距離は、前記アブレーションプローブの動作周波数に対応する電磁エネルギーの1/4波長の略奇数倍に比例し、
またさらに好ましくは、前記距離は、前記給電ケーブルを囲う媒体における電磁エネルギーの1/4波長の略奇数倍に相当する、請求項9に記載のアブレーションプローブ。
【請求項11】
前記螺旋部材の間隔または、前記1または複数の湾曲部の軸方向離間は、前記アブレーションプローブの動作周波数に対応する電磁エネルギーの略1/4波長に比例し、好ましくは、前記距離は、前記給電ケーブルを囲う媒体における電磁エネルギーの1/4波長の略奇数倍に相当する、請求項2から10のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項12】
前記チョークは、前記給電ケーブルの一部を囲うチョーク領域を有し、前記チョーク領域は、前記チョーク部材と、前記第1囲い部材の少なくとも一部とにより画定され、任意で、前記チョーク領域は、
前記冷媒路に流れる冷媒、および/または、
前記給電ケーブルと、前記第1囲い部材との間に延在するように配置された前記アプリケータの一部
が少なくとも部分的に占める、請求項9から11のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項13】
前記第1囲い部材はヒンジ部を有し、前記ヒンジ部は、第1囲い部材の柔軟性を向上するように構成され、任意で、前記ヒンジ部は、
前記アプリケータの基端と、前記チョーク部材の先端との間に、および/または
前記給電ケーブルの長さに沿って、前記チョーク部材の少なくとも一部に重複するように配置される、請求項6から12のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項14】
前記ヒンジ部は、前記第1囲い部材に形成された1または複数の脆弱部を有し、任意で、前記脆弱部は、前記アブレーションプローブが撓みやすくするように構成される、請求項13に記載のアブレーションプローブ。
【請求項15】
前記ヒンジ部は、前記第1囲い部材を貫通して延在する1または複数の孔により形成され、好ましくは、前記1または複数の孔は、冷媒が流れるように構成される、請求項13または14に記載のアブレーションプローブ。
【請求項16】
前記冷媒路は、前記アプリケータの少なくとも一部に冷媒を送るように構成されたアプリケータ冷却部を有し、任意で、
前記1または複数の孔は、前記アプリケータ冷却部を前記冷媒路のケーブル冷却部に流体接続するように構成され、
前記アブレーションプローブは、前記アプリケータおよび/または前記第1囲い部材の少なくとも一部を囲うように配置された第2囲い部材を有し、前記アプリケータ冷却部は、前記第2囲い部材と、前記アプリケータおよび前記第1囲い部材の一方または両方の間に形成された経路を有し、さらに/あるいは
前記アプリケータ冷却部は、前記アプリケータの表面または本体内に1または複数の経路を有する、
請求項15に記載のアブレーションプローブ。
【請求項17】
少なくとも1つの温度センサをさらに有し、
前記少なくとも1つの温度センサは熱電温度計を含み、あるいは
前記少なくとも1つの温度センサは、前記チョーク部材の少なくとも一部と一体化されるか、またはそれにより形成される、
請求項1から16のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項18】
前記給電ケーブルは、
内側導体と、
外側導体と、を有し、
前記アプリケータは、
前記内側導体のアンテナ部であって、前記外側導体の先端から延在するアンテナ部と、
前記内側導体に電気的に接続された重複アンテナ部材であって、前記内側導体の前記アンテナ部の長さに沿って、前記内側導体の前記アンテナ部と少なくとも部分的に重複する、重複アンテナ部材とを有する、
請求項1から17のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項19】
前記重複部材は、前記給電ケーブルの前記アンテナ部の長さ周りの、1または複数の巻き部を有し、任意で、前記重複部材の形状は、空気中で測定された前記アプリケータの放射の波長の0.05%超である最小間隔パラメータを有する、請求項18に記載のアブレーションプローブ。
【請求項20】
前記アプリケータは、誘電絶縁体をさらに有し、前記誘電絶縁体の少なくとも一部は、前記内側導体の前記アンテナ部と、前記重複アンテナ部材との間に配置され、任意で
前記誘電絶縁体は、凹部を有する外面を有し、前記凹部は、前記重複アンテナ部材が収容されるように構成される、請求項18または19に記載のアブレーションプローブ。
【請求項21】
前記内側導体の前記アンテナ部は、前記外側導体の先端から、空気中で測定された前記アプリケータのマイクロ波放射の波長の0.3%から10%の距離だけ延在し、さらに/あるいは
前記重複アンテナ部材は、前記内側導体の前記アンテナ部の長さに沿って、空気中で測定された前記アプリケータのマイクロ波放射の波長の0.3%から20%の距離だけ延在する、
請求項18から20のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【請求項22】
前記重複アンテナ部材は、前記冷媒路に流れる冷媒で冷却され、さらに/あるいは
前記アプリケータは、スリーブ部材をさらに有し、前記スリーブ部材は、前記重複アンテナ部材からの熱伝達を制限するため、前記重複アンテナ部材を少なくとも部分的に囲うように配置される、請求項18から21のいずれか一項に記載のアブレーションプローブ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、マイクロ波アブレーションプローブに関する。特に、本出願は、組織成長を阻害するため、組織内に熱を生成するように使用され得るアブレーションプローブに関する。
【背景技術】
【0002】
熱アブレーションを使用して、体内で悪性となり得る組織成長を阻害できる。現行のアブレーションシステムは、高周波(RF)エネルギー(またはマイクロ波エネルギー)を、アプリケータ先端周囲の組織に送り込むアプリケータを使用する。これにより、局所加熱と、悪性細胞の破壊を実現する。このようなアプリケータは、経皮的送達用に設計され得、したがって比較的短く、大径である。しかし、経皮的送達では、多くの病変部位に安全かつ容易に到達することはできない。例えば、肝臓の裏の膵臓の位置は、経皮的送達が困難である。同様に、胸板を通じて肺に到達しようとすると、気胸が生じかねない。大径アプリケータの場合、挿入時に不慮の組織損傷も生じかねない。したがって、既存の経皮的アプリケータを利用した熱アブレーション処置が患部に到達可能な適応症の範囲は限られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
内視鏡を使用して、消化管に接する数多くの病変部位に到達可能である。当該部位としては、膵臓、胆道、リンパ節、そして多数の重要な血管が挙げられる。さらに、超音波内視鏡(EUS)システムは、内視鏡内に一体化された超音波撮像システムを使用して、消化管に隣接した組織病変を特定する手段を提供する。生検針を、EUSシステムを通じて送り込んで、超音波誘導で対象箇所に誘導可能である。同様の内視鏡を、超音波と、ナビゲーションシステムの両方を使用して、肺内の病変部位に到達するように利用可能である。この技術は、長いワーキングチャネルまたは操縦可能カテーテルを病変部位へと誘導するのに利用できる。公知のアプリケータ設計は、通常、断面積が大きすぎ、長さも弾性も不十分であることから、特に内視鏡のワーキングチャネルを通じた送達に適さない。
【0004】
従来技術のアブレーションプローブは、通常セラミック材料製である、機能的先端(またはアプリケータ)を有する。この先端は、同軸状給電ケーブルに接続される。このケーブルは、電磁エネルギーを機能的先端に供給するように構成されている。機能的先端に給電ケーブルが接続されると、機能的先端から離間する方向に、前記給電ケーブルに沿って、逆電流が反射され得る。これは、マイクロ波アブレーションの場合に顕著である。このような電流により、対象組織領域内のアプリケータの周りのアブレーション領域の電力は低減してしまい、涙型のアブレーション領域が生成されてしまい得る。実施される処置をよりよく制御するには、アブレーションプローブの使用時に、アブレーション領域が球形であることが好ましい。
【0005】
アプリケータまたはアンテナに電磁エネルギーを供給する給電ケーブルの外側導体を流れる逆電流を抑制するマイクロ波コンポーネントとして、チョークが知られている。
図1に、従来技術チョークの一例を概略的に示す。この例では、給電ケーブル102が機能的先端104に接続される。給電ケーブルは、内側導体106と、外側導体108とを有する。内側導体106は、機能的先端104内に延在するように示されている。この例では、機能的先端104の基部に存在する金属製ポケット110によりチョークが形成される。チョークは、反射電流(符号「B」で示す)と、逆位相のイメージ電流(符号「A」で示す)を生成し、これが給電ケーブルの外側導体108上の逆電流の抑制に寄与する。
【0006】
アブレーションプローブとともに、
図1に示すような公知のチョークを使用することには、多くの欠点がある。
図1に示すチョークは、サイズがコンパクトではないので、アブレーションプローブの使用を妨げ得る。
図1に示す例示的チョークはまた、装置サイズを増すことなく、冷媒流を利用して低温に保つことが困難で、さらにアブレーションプローブの柔軟性も損ないかねない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1態様において、本開示は、周辺組織を加熱するため、マイクロ波を放射するように構成されたアプリケータと、アプリケータに電磁エネルギーを供給するように構成された給電ケーブルと、冷媒が流れることができる冷媒路と、給電ケーブルに沿って、アプリケータから反射された電力を低減するように構成されたチョークと、を備え、チョークは、冷媒路に流れる冷媒流で冷却されるチョーク部材を有し、チョーク部材は、給電ケーブルの長手軸に平行な成分を少なくとも有する方向において間隔を空けた2点間で延在し、給電ケーブルの長手軸周りに延在する1または複数の巻き部を有する、マイクロ波アブレーションプローブを提供する。
【0008】
任意で、チョーク部材は、長手軸周りに延在する1または複数の湾曲部を有し、1または複数の湾曲部は、長手軸に平行な成分を少なくとも有する方向に延在する1または複数の接続部でつながってもよい。任意で、1または複数の湾曲部は、長手軸に直交する面内で延在してもよい。
【0009】
任意で、チョーク部材は螺旋部材である。任意で、螺旋部材は、給電ケーブルの長さに沿って延在する螺旋を形成する。
【0010】
第2態様において、本開示は、周辺組織を加熱するため、マイクロ波を放射するように構成されたアプリケータ、アプリケータに電磁エネルギーを供給するように構成された給電ケーブル、冷媒が流れることができる冷媒路、給電ケーブルに沿って、アプリケータから反射された電力を低減するように構成されたチョークという特徴を1または複数有するマイクロ波アブレーションプローブを提供する。チョークは、冷媒路に流れる冷媒流で冷却される螺旋部材を有する。
【0011】
チョークを、給電ケーブルの軸に沿って延在し、その軸周りに1または複数の巻き部を有するコンポーネント(例えば、少なくとも部分的に螺旋形状の部材)で形成することで、冷媒の流れを止めるまたは妨げるような形状を呈することなく、効率的に冷却可能となる。チョーク部材(例えば、螺旋形状コンポーネント)はさらに、より剛性の中実な従来技術チョークよりもアブレーションプローブの柔軟性を向上し得る。したがって、チョーク部材(例えば、螺旋部材)を使用することは、断面積が小さく、柔軟で、効率的に冷却されるアブレーションプローブを提供し得る。したがって、アブレーションプローブは、使用時に不要に組織を傷つける可能性を抑え、曲がりくねった経路を介して、組織に到達する内視鏡と一緒に使用される場合に特に好ましくなり得る。
【0012】
任意で、螺旋部材は、給電ケーブルの長さに沿って延在する螺旋である。これにより、冷媒を流すのに適した形状と、所望の柔軟性レベルとを実現し得る。
【0013】
以下の記載の何れかに定義される特徴は、第1および第2態様の何れかと組み合わされて使用されてもよい。
【0014】
任意で、チョーク部材(例えば、螺旋部材)は、冷媒路内に少なくとも部分的に配置されてもよい。これにより、チョーク部材(例えば、螺旋部材)がアブレーションプローブを流れる冷媒で冷却され得る。
【0015】
任意で、アブレーションプローブは、給電ケーブルを少なくとも部分的に囲うように構成された第1囲い部材をさらに有してもよく、チョーク部材(例えば、螺旋部材)は、第1囲い部材内に配置される。これは、断面積が小さい、小型でコンパクトな構成の実現に寄与し得る。
【0016】
任意で、第1囲い部材は、給電ケーブルを囲うように構成されたチューブを含んでもよい。これは、小型でコンパクトな構成の、アブレーションプローブの針部の形成に寄与し得る。
【0017】
任意で、冷媒路は、給電ケーブル冷却部を備え、給電ケーブル冷却部は、給電ケーブルと第1囲い部材との間に形成された経路を含んでもよく、チョーク部材(例えば、螺旋部材)が経路内に配置される。これにより、チョークが冷媒の流量に及ぼす影響を抑えながら、チョークおよび冷媒路の小型でコンパクトな構成が実現され得る。
【0018】
任意で、給電ケーブルの長さの少なくとも一部、および/またはチョーク部材(例えば、螺旋部材)周りに均一な冷媒流を実現するように、冷媒路が構成されてもよい。これにより、制御され、再現性のある組織アブレーションの実現に寄与する、均一な冷却を実現し得る。
【0019】
任意で、チョーク部材(例えば、螺旋部材)は、経路を形成するため、給電ケーブルの外面と、第1囲い部材の内面とを離間させるように配置されてもよい。これは、アブレーションプローブが曲がったときの経路が潰れることの防止に寄与し、冷媒流を規制することを防止し得る。そして、アブレーションプローブのひび割れまたは破壊の可能性低減に寄与し得る。
【0020】
任意で、チョーク部材(例えば、螺旋部材)は、給電ケーブルと第1囲い部材とを互いに同心円状に揃えるように配置されてもよい。これは、給電ケーブルおよび/またはチョーク部材(例えば、螺旋部材)の均一な冷却を実現し得る。
【0021】
任意で、チョーク部材(例えば、螺旋部材)は、第1囲い部材の一部が、チョークの一部を形成するように、第1囲い部材を、給電ケーブルに電気的に接続するように構成されてもよい。これにより、第1囲い部材が、アブレーションプローブを剛性にするとともに、チョークの一部として作用することを可能にし得る。これは、全体的にコンパクトで小型の構成を実現するのに寄与し得る。
【0022】
任意で、給電ケーブルは、内側導体と、外側導体とを有してもよく、チョーク部材(例えば、螺旋部材)は、給電ケーブルの外側導体と、第1囲い部材との間に電気的接続を形成する。これは、第1囲い部材の一部が、チョークの一部を形成することを可能にし得る。
【0023】
任意で、電気的接続は、外側導体の先端から給電ケーブルの長さに沿って、距離を空けて形成されてもよい。任意で、距離は、アブレーションプローブの動作周波数に対応する電磁エネルギーの1/4波長の略奇数倍に比例してもよい。任意で、距離は、給電ケーブルを囲う媒体(例えば、給電ケーブルを囲うチョーク領域内の媒体)における電磁エネルギーの1/4波長の略奇数倍に比例してもよい。
【0024】
これにより、給電ケーブルに沿って逆流する反射電流と逆位相のイメージ電流が、チョーク内で生成可能となり得る。
【0025】
任意で、螺旋部材の間隔、または1もしくは複数の湾曲部の軸方向離間(即ち、給電ケーブルの長手軸に沿った方向)は、アブレーションプローブの動作周波数に対応した電磁エネルギーの略1/4波長に比例してもよい。任意で、距離は、給電ケーブルを囲う媒体(例えば、給電ケーブルを囲うチョーク領域内の媒体)における電磁エネルギーの1/4波長の略奇数倍に比例してもよい。これによりさらに、イメージ電流の所望の位相が実現され得る。
【0026】
任意で、チョークは、給電ケーブルの一部を囲うチョーク領域を有し、チョーク領域は、チョーク部材(例えば、螺旋部材)と、第1囲い部材の少なくとも一部により画定されてもよい。
【0027】
任意で、チョーク領域は、a)冷媒路に流れる冷媒、および/またはb)給電ケーブルと、第1囲い部材との間に延在するように配置されたアプリケータの一部が少なくとも部分的に占めてもよい。これにより、チョークの小型化を可能とし得る高誘電率媒体で、チョーク領域が占められ得る。
【0028】
任意で、第1囲い部材はヒンジ部を有し、ヒンジ部は、第1囲い部材の柔軟性を向上するように構成されてもよい。これは、アブレーションプローブを撓みやすくし得、アプリケータと、給電ケーブルおよび/または第1囲い部材との間の結合部での応力低減に寄与し得る。
【0029】
任意で、ヒンジ部は、a)アプリケータの基端と、チョーク部材(例えば、螺旋部材)の先端との間に、および/またはb)給電ケーブルの長さに沿った、螺旋部材の少なくとも一部に重複するように配置されてもよい。これにより、アプリケータ近傍および/またはチョーク部材(例えば、螺旋部材)周りの第1囲い部材の柔軟性が制御可能となり得る。
【0030】
任意で、ヒンジ部は、第1囲い部材に形成された1または複数の脆弱部を有してもよい。
【0031】
任意で、(1または複数の)脆弱部は、アブレーションプローブが撓みやすくするように構成されてもよい。これにより、第1囲い部材が、アプリケータとの結合部(またはその他望ましくない部位)よりも、ヒンジ部の位置で曲がりやすくなり得る。これは、アブレーションプローブのコンポーネント間での応力低減に寄与し得る。
【0032】
任意で、ヒンジ部は、第1囲い部材を貫通して延在する1または複数の孔により形成されてもよい。好ましくは、1または複数の孔は、冷媒が流れるように構成されてもよい。これにより、ヒンジ部が、アブレーションプローブの柔軟性制御に寄与しながら、冷媒を流せるようになり得る。この複合的機能により、アブレーションプローブの全体的な大きさが低減可能となり得る。
【0033】
任意で、冷媒路は、アプリケータの少なくとも一部に冷媒を送るように構成されたアプリケータ冷却部を有してもよい。これは、アブレーション時のアプリケータ冷却に寄与し得る。
【0034】
任意で、ヒンジ部を形成する1または複数の孔は、アプリケータ冷却部を、冷媒路のケーブル冷却部に流体接続するように構成されてもよい。
【0035】
任意で、アブレーションプローブは、アプリケータおよび/または第1囲い部材の少なくとも一部を囲うように配置された第2囲い部材を有してもよく、アプリケータ冷却部は、第2囲い部材と、アプリケータおよび第1囲い部材の一方または両方との間に形成された経路を有する。これは、冷媒路のコンパクトで小型な構成を実現し得る。
【0036】
任意で、アプリケータ冷却部は、アプリケータの表面または本体内に、1または複数の経路を有してもよい。これも、冷媒路のコンパクトで小型な構成の実現に寄与し得る。
【0037】
任意で、アブレーションプローブは、少なくとも1つの温度センサをさらに有してもよい。これは、使用時のアブレーションプローブの温度と、アブレーション進度についてのフィードバック提供を可能とし得る。
【0038】
任意で、少なくとも1つの温度センサは熱電温度計を含んでもよい。
【0039】
任意で、少なくとも1つの温度センサは、チョーク部材(例えば、螺旋部材)の少なくとも一部と一体化されるか、またはそれにより形成されてもよい。これにより、螺旋部材がチョークの一部と、温度センサの両方として機能可能となり得る。
【0040】
任意で、アプリケータは、内側導体のアンテナ部であって、外側導体の先端から延在するアンテナ部と、内側導体に電気的に接続された重複アンテナ部材であって、内側導体のアンテナ部の長さに沿って、内側導体のアンテナ部と少なくとも部分的に重複し得る、重複アンテナ部材とを有してもよい。これにより、アブレーションプローブの全体的な柔軟性向上、より球形に近いアブレーション領域、そして冷却性向上のため、アンテナのコンパクトな構成が可能となり得る。
【0041】
任意で、重複部材は、給電ケーブルのアンテナ部の長さ周りに1または複数の巻き部を有してもよい。任意で、重複部材の形状は、空気中で測定されたアプリケータの放射の波長の0.05%超である最小間隔パラメータを有してもよい。これは、アンテナの部位における信号の打ち消し効果を抑制し、出力信号強度の損失を抑え得る。
【0042】
任意で、アプリケータは、誘電絶縁体をさらに有し、誘電絶縁体の少なくとも一部は、内側導体のアンテナ部と、重複アンテナ部材との間に配置されてもよい。
【0043】
任意で、誘電絶縁体は、凹部を有する外面を有し、凹部は、重複アンテナ部材が収容されるように構成されてもよい。凹部の、誘電絶縁体内への深さは、アプリケータの機械的強度とインピーダンスマッチングとを組み合わせるように適用されてもよい。
【0044】
任意で、内側導体のアンテナ部は、外側導体の先端から、空気中で測定されたアプリケータのマイクロ波放射の波長の0.3%から10%の距離だけ延在してもよい。
【0045】
任意で、重複アンテナ部材は、内側導体のアンテナ部の長さに沿って、空気中で測定されたアプリケータのマイクロ波放射の波長の0.3%から20%の距離だけ延在してもよい。
【0046】
任意で、重複アンテナ部材は、冷媒路に流れる冷媒で冷却されてもよい。
【0047】
任意で、アプリケータは、スリーブ部材をさらに有し、スリーブ部材は、重複アンテナ部材からの熱伝達を制限するため、重複アンテナ部材を少なくとも部分的に囲うように配置されてもよい。これは、アブレーションプローブのその他コンポーネントへの熱損傷を低減し、組織の炭化を低減し得る。
【0048】
第3態様において、本開示は、周辺組織を加熱するため、マイクロ波を放射するように構成されたアプリケータと、アプリケータに電磁エネルギーを供給するように構成された給電ケーブルという特徴とを1または複数有するマイクロ波アブレーションプローブを提供する。給電ケーブルは、内部導体と外部導体から形成されている。アプリケータは、内側導体のアンテナ部であって、外側導体の先端から延在するアンテナ部と、内側導体に電気的に接続された重複アンテナ部材であって、アンテナ部の長さに沿って、内側導体のアンテナ部と少なくとも部分的に重複する、重複アンテナ部材とを有する。
【0049】
第1または第2態様について上述したあらゆる特徴は、第3態様と組み合わせて使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
本発明の実施形態を、あくまで例示的に、以下の添付の図面を参照に説明する。
【
図2】
図2は、実施形態に係るアブレーションプローブの概略部分断面図を示す。
【
図3a】
図3aは、
図2に示すアブレーションプローブで使用される螺旋部材を示す。
【
図3b】
図3bは、別の実施形態に係るチョーク部材を示す。
【
図4】
図4は、実施形態に係るアブレーションプローブの一部に沿った断面図を示す。
【
図5】
図5は、実施形態に係るアブレーションプローブの部分展開図である。
【
図6a】
図6aは、
図5のアブレーションプローブの各種アセンブリ状態を示す。
【
図6b】
図6bは、
図5のアブレーションプローブの各種アセンブリ状態を示す。
【
図6c】
図6cは、
図5のアブレーションプローブの各種アセンブリ状態を示す。
【
図6d】
図6dは、
図5のアブレーションプローブの各種アセンブリ状態を示す。
【
図7】
図7は、アブレーションプローブの給電ケーブルの外側導体において、理想の測定点での電界を、チョーク無しのアブレーションプローブ、従来技術の中実チョーク有りのアブレーションプローブと、実施形態に係る螺旋部材を有するチョーク有りのアブレーションプローブとで取得し、比較したシミュレーション結果を示す。
【
図8】
図8は、実施形態に係るアブレーションプローブにより生成されたアブレーション領域のアスペクト比を、他の例との比較で示す。
【
図9a】
図9aは、各種アブレーションプローブで生成されたアブレーション領域の表示を示す。
【
図9b】
図9bは、各種アブレーションプローブで生成されたアブレーション領域の表示を示す。
【
図9c】
図9cは、各種アブレーションプローブで生成されたアブレーション領域の表示を示す。
【
図10a】
図10aは、別の実施形態に係るアブレーションプローブの部分断面図を示す。
【
図13a】
図13aは、アブレーションプローブのアプリケータの一部を形成する重複部材の実施形態の拡大図を示す。
【
図14a】
図14aは、アブレーションプローブのアプリケータの一部を形成する重複部材の実施形態の拡大図を示す。
【
図15a】
図15aは、アブレーションプローブのアプリケータの一部を形成する重複部材の実施形態の拡大図を示す。
【
図16a】
図16aは、アブレーションプローブのアプリケータの一部を形成する重複部材の実施形態の拡大図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0051】
図2に、一実施形態に係るアブレーションプローブ200を概略的に示す。アブレーションプローブの全長の一部のみを示す。アブレーションプローブ200は、悪性組織成長のような所望の治療部位に到達するために、体内に挿入されるのに適し得る。いくつかの実施形態では、アブレーションプローブ200は体内の様々な病変部位に到達するために、内視鏡として利用されてもよい。したがって、アブレーションプローブは内視鏡のワーキングチャネルに挿入できるように、全体的に柔軟性を有してもよい。別の実施形態では、アブレーションプローブ200は経皮的に利用されてもよい。あるいは、その他適切な技術を利用してもよい。例えば、既存の体孔を通じて挿入されてもよい。経皮的使用の場合、アブレーションプローブは挿入可能となるよう、一般に剛性であってもよい。
【0052】
アブレーションプローブ200は、放射線を当てて周辺組織を加熱するように構成されたアプリケータ202を有する。放射線を当てることで、アプリケータ202の周囲または近傍の悪性細胞を破壊するように局所加熱を生じてもよい。記載の実施形態では、アプリケータ202は、マイクロ波放射線を周辺組織に照射するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、動作周波数は約2.45GHzであってもよい。別の実施形態では、動作周波数は、マイクロ波帯内でこれ以外の値を取ってもよい。別の実施形態では、アプリケータ202は、所望の加熱が生じるように、周辺組織に任意の適切な形態の放射線(例えば高周波)を当てるように構成されてもよい。記載の実施形態では、アプリケータはセラミック材料製であってもよい。別の実施形態では、別の適切な材料が使用されてもよい(例えば、任意の適切な誘電性材料又はその他種類のアンテナ材料または構造)。アプリケータ202は、処置する組織に対して所望の位置に配置可能となるように、アブレーションプローブ200の先端またはその近傍に配置されてもよい。以下の説明では、「先端」と「基端」とは、使用時のアブレーションプローブの配置に関して、アブレーションプローブを操作するユーザ側と、治療部位側とに対応する。即ち、アブレーションプローブ200の先端は治療部位に最も近く、基端はユーザに最も近い。ハンドルのような制御手段(不図示)が、アブレーションプローブ200の基端に設けられてもよい。これにより、ユーザはアブレーションプローブ200を操作、配置できる。
【0053】
アブレーションプローブ200はさらに、電磁エネルギーをアプリケータ202に供給するように構成された給電ケーブル204を有する。給電ケーブル204は、アプリケータへの電磁エネルギー供給に適した任意の細長部材であってもよい(例えば導体)。給電ケーブル204は、アプリケータ202にエネルギー供給するため、アブレーションプローブ200の長さの少なくとも一部に沿って延在してもよい。記載の実施形態では、給電ケーブル204の先端は、アプリケータ202の基端に結合され、給電ケーブル204の基端は、所望の信号を生成するのに適した生成手段(不図示)に結合されてアプリケータ202にエネルギーを供給する(即ち、図には給電ケーブルの全長は示していない)。
【0054】
アブレーションプローブ200はさらに、冷媒が流れることが可能な、冷媒路206を有する。冷媒路は、冷却を提供するためにアブレーションプローブ200を通じて冷媒を運ぶように構成されてもよい。後述のように、冷媒路206は、冷媒をアブレーションプローブの各種部位に送り、さらに冷媒を戻すように構成された異なる複数の部位を有してもよい。冷媒は、水、または当該技術分野で公知のその他任意の冷媒であってもよい。
【0055】
アブレーションプローブ200はさらに、給電ケーブル204に沿って、アプリケータ202から反射された電力を低減するように構成されたチョークを有してもよい。チョークは、給電ケーブル204に沿ってアプリケータ202から反射された電流を少なくとも部分的に打ち消すように作用するイメージ電流を生成するように構成される。イメージ電流は、反射されて給電ケーブルに沿って戻る電流と逆位相を有してもよい。したがって、少なくとも部分的に互いを打ち消す電磁場が生成される。イメージ電流と反射電流とは、互いに逆位相であるため、互いに少なくとも部分的に打ち消しあう。これはインピーダンスに関しては、給電ケーブルに沿って逆流する電流を低減するまたは無くするチョークにおいて、極めて高いインピーダンス条件となる。チョークは、冷媒路206を流れる冷媒で冷却される螺旋部材208を有する。螺旋部材208の実施形態は、
図3A、3Bではアブレーションプローブと分離して示されている。図示のとおり、螺旋部材208は、少なくとも部分的に螺旋形状のコンポーネントを有する。
【0056】
チョークは、アプリケータ202に向かって、冷媒路206を通じて流れる冷媒によって冷却されるように配置されてもよい。したがって、後述のように、チョークは、アブレーションプローブ200の各部を冷やすのに必要となるような冷媒流で冷却されてもよい。
【0057】
チョークを少なくとも部分的に螺旋部材208で形成することで、従来技術チョークよりも多くの利点が得られる。螺旋部材208は、冷媒路206を流れる冷媒による冷却効率が高い。即ち、螺旋形状であることで、冷却される表面積が大きくなるのである。螺旋部材208は螺旋形状であることで、螺旋部材208がアブレーションプローブ200の本体内に収容されて、全体的な小型化を図った場合において、冷媒流へのあらゆる悪影響が低減され得る(例えば、螺旋形状であることで、冷媒がその周りを容易に流れる。したがって、中実の塊になってアブレーションプローブ200内の冷媒流を妨げるようなことがない)。螺旋部材208の螺旋形状により、アブレーションプローブ200の柔軟性も向上し得る。従来技術のチョークは、中実構造で、より剛性であり得る。したがって、使用時にアブレーションプローブの屈曲を妨げ得るのである。これは、体内の到達困難部位に到達するように使用される内視鏡とともにアブレーションプローブが使用される実施形態で、特に重要である。そのような実施形態では、螺旋部材208がより柔軟であることで、アブレーションプローブ200が曲がりくねった経路を経て、体内の所望のアブレーション部位に到達可能となる。
【0058】
図2および
図3aに示すように、螺旋部材208は、給電ケーブル204の長さに沿ってコイル状となる。記載の実施形態では、螺旋部材208は冷媒流で冷却されるように、冷媒路206内に配置される。別の実施形態では、螺旋部材208は部分的にのみ冷媒路206内に配置されてもよい。このような形状および配置により、アブレーションプローブ200内での冷媒の流れと、チョーク冷却を妨げることなく、アブレーションプローブ200の断面積が低減し、コンパクトなデザインが実現可能となる。記載の実施形態では、螺旋部材の少なくとも一部が単螺旋形状であってもよい。別の実施形態では、螺旋部材の少なくとも一部が、二重螺旋形状、三重螺旋を有するか、または任意の数の螺旋形状部と接続または組み合わされてもよい。螺旋部材は、適宜、時計回りまたは反時計回りの螺旋から形成されてもよい。
【0059】
図3aに示す実施形態では、螺旋部材208は、湾曲したコイル状経路を形成してもよい。別の実施形態では、螺旋部材208は1つ以上の直線部を有してもよい。そのような場合でも、給電ケーブル204の周りに、およびそれに沿って略螺旋経路をたどる。
【0060】
螺旋部材208は、給電ケーブルから反射されて戻る信号を低減するように使用され得るチョーク部材のあくまで一例である。別の実施形態では、様々な形状を有するチョーク部材を使用してもよい。チョークは、給電ケーブルの長手軸(
図2ではYで示す)に平行な方向で間隔を空けた二点間(
図2、3a、3bではAおよびBで示す)で延在するチョーク部材を含んでもよい。このチョーク部材は、給電ケーブルの長手軸周りに延在する巻き数が1または複数であってもよい。したがって、
図2および3aは、AおよびB点間に延在し、その間の長手軸Y周りの巻き数が1または複数のチョーク部材の例を示す。
図3bにチョーク部材の別の実施形態を示す。これは、同様に、AおよびB点間に延在し、その間の長手軸Y周りの巻き数が1または複数である。
【0061】
チョーク部材の巻き部により、印加された電流が給電ケーブルに沿って反射されて戻ることが抑制可能となる。さらに、効率的に冷却可能な柔軟構造も実現される。したがって、チョーク部材は、チョーク部材がその間に延在する上記で定義される二点間で延在する連続的な冷媒経路を画定し得る。
【0062】
螺旋部材は、給電ケーブルの長さに沿って延在する連続的な螺旋またはコイル形状を形成するように、巻き部がつながったチョーク部材の例である。
【0063】
別の例では、チョーク部材は、長手軸に垂直な面(
図2ではXで示す)に延在する、1または複数の湾曲部を有してもよい。1または複数の湾曲部は、長手軸と平行な方向に延在する1または複数の接続部を介してつながってもよい。
図3bにこの例を示す。この実施形態では、チョーク部材209は、給電ケーブル周りに延在する複数の湾曲部209aを有する。湾曲部209aは、給電ケーブル周りに部分的にのみ延在してもよい(例えば、給電ケーブル周りに少なくとも半回転)。これにより、冷媒がチョーク部材の周りに、そしてそれを通じて流れることが可能となり得る。湾曲部209aは、給電ケーブル204の長さに沿ったコンポーネントを少なくとも有する方向に延在する1または複数の接続部209bを介して接続される。
図3bに示すように、接続部209aは略直線状であってもよい。湾曲部209aは、給電ケーブルの長さに沿って互いに離間してもよい。これにより、湾曲部内でイメージ電流が形成される。イメージ電流は、アプリケータから給電ケーブルに沿って反射される電流を打ち消すように作用する。湾曲部209aの間隔は、給電ケーブルの長さに沿った螺旋部材の各点間の間隔(例えば、
図2の距離C)に対応するものであってもよい。これについては後述する。
【0064】
本明細書内で、螺旋部材208に関して記載するその他任意の特徴については、チョーク部材の別の実施形態にも同様に適用され得る。したがって、上述の任意の実施形態の螺旋部材208は、上述のように定義した形状のチョーク部材(例えば、
図3bに示すチョーク部材)に置き換えられてもよい。
【0065】
チョーク部材は、給電ケーブルの長手軸周りの少なくとも一部に沿って伸びるように延在する細長コンポーネントから形成されてもよい。
図3bに示すチョーク部材209の場合、各湾曲部209aは、給電ケーブルの長手軸(
図2ではYで示す)に垂直な面(
図2ではXで示す)内で延在する。したがって、各湾曲部は、給電ケーブルの周りに延在するが、それに沿って延在するものではない。螺旋部材は、給電ケーブルの長手軸に垂直な面に対して傾斜した湾曲部により形成されるように延在するので、給電ケーブルの周りに、そしてそれに沿って延在する(したがって、その長さ方向に沿って螺旋形状となる)。さらに別の実施形態では、湾曲部は、長手軸に対して直交する面に対して傾斜しながら、長手軸と平行に延在する1または複数の接続部によってつながってもよい。
【0066】
螺旋部材208のいずれも(またはチョーク部材の別の例は)、適切なイメージ電流を運ぶことでチョークとして作用できるように、任意の適切な導電材料により形成されてもよい。螺旋部材208またはチョーク部材の別の例は、例えば金属製であってもよい。いくつかの実施形態では、チョーク部材208、209は、別個のコンポーネントで形成されてもよく、またはアブレーションプローブの適切な構造(例えば、給電ケーブル周り)に、材料を蒸着またはめっきすることで形成されてもよい。
【0067】
いくつかの実施形態では、螺旋部材の長手軸(例えば、螺旋部材を形成する螺旋の軸)に略垂直の面を有する位置決め部208aを有してもよい。位置決め比率により、後述のように、螺旋部材がアプリケータまたは給電ケーブル先端からどれほど離間するか、より明確に示され得る。これにより、組み立て時に螺旋部材がより正確に位置決めされ得る。記載の実施形態では、位置決め部は、螺旋部材の長手軸周りに少なくとも部分的に延在する円筒形を有する螺旋部材の一部によって形成される。
【0068】
アブレーションプローブ200はさらに、給電ケーブル204を少なくとも部分的に囲うように構成された囲い部材210を有してもよい。囲い部材は、チューブ(例えばハイポチューブ)を有してもよい。これは、
図2の断面図では、給電ケーブル204を完全に囲うように示されている。別の実施形態では、囲い部材210は、給電ケーブル204を部分的にのみ囲うその他任意の適切な形状であってもよい。螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)は、囲い部材210(例えば、チューブの空洞内)に配置されてもよい。これにより小型でコンパクトな構成が実現され得る。
【0069】
囲い部材210を形成するチューブ(またはその他形状部材)は、使用時に組織に挿入可能なアブレーションプローブ200の針部を形成するように作用し得る。この実施形態では、チューブは組織内に挿入できる程の剛性を有しながら、屈曲して内視鏡内で使用できるように十分柔軟であってもよい。いくつかの実施形態では、柔軟性があまり重要ではない、アブレーションプローブの経皮的利用を可能にするため、剛性の囲い部材であってもよい。いくつかの実施形態では、チューブを形成する囲い部210は、NiTi合金(ニチノール)により形成されてもよい。これにより、適切なレベルの柔軟性と導電性とが実現され得る。
【0070】
いくつかの実施形態では(不図示)は、アブレーションプローブ200は、主に2つの部位、具体的には針部およびカテーテル部を備える。針部はアブレーションプローブ200の先端に配置されてよく、所望のアブレーション位置に到達するように、使用時に組織内に挿入されるように構成される。上述のように、針部は、アプリケータ202と、給電ケーブル204の先端と、螺旋部材208と、囲い部材210とを有してもよい。カテーテル部は、アブレーションプローブ200の基端に設けられてもよく、針部との間で電磁エネルギーまたは冷媒流を送り合うように配置される。いくつかの実施形態では、アブレーションプローブ200はハンドル部をさらに備えてもよい。ハンドル部を介して、使用時にアブレーションプローブ200を操作および位置決めできる。カテーテル部は、内視鏡として利用できるように、長くて柔軟であってもよい。別の実施形態では、経皮的利用できるように、より短くて、より剛性が高いカテーテル部が設けられてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態では、針部は、アブレーションプローブ200の全体の長さに対して小部位であってもよい。例えば、針部は、長さ約5mmから2000mm、好ましくは長さ約70mmであってもよい。針部の長さは、到達する必要のある部位の位置に応じて選択されてもよい。膵臓のアブレーション部位に良好に到達するには、長さ70mm程度が有利であり得る。針部が長いほど、例えば肺の部位送達に適し得る。カテーテル部は、長さ約1000mmから2000mmであってもよく、好ましくは長さ約1400mmである。カテーテル部の長さは、到達する必要のあるアブレーション部位の位置に応じて選択されてもよい。別の実施形態では、アブレーションプローブ200の針部は、アブレーションプローブの全体の長さにおいてより大きな割合であってもよい。いくつかの実施形態では、針部は、アブレーションプローブ200の長さ全体で形成されてもよい。そのような実施形態では、カテーテル部は不要であってもよい。例えば、アブレーションプローブが経皮的に利用される場合、カテーテル部は、内視鏡的利用の場合よりも短くてもよいし、あるいは存在しなくてもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、冷媒路206は、給電ケーブル204の少なくとも一部を冷却するように構成された、給電ケーブル冷却部を有してもよい。給電ケーブル冷却部は、給電ケーブル204と囲い部材210との間に形成された経路を有してもよい。記載の実施形態では、囲い部材210は、給電ケーブル204の周りに延在するチューブから形成されて、これらの間の経路を形成する。この実施形態では、チューブの内径は、給電ケーブル204の外径よりも大きいため、その間に冷却流体が流れることができる間隙が生じる。この構成により、給電ケーブル204の、その長さに沿った、チューブに囲まれた部位で、効率的な直接接触が実現され得る。別の実施形態では、別の形状が採用され、給電ケーブル冷却部を形成する経路の形状が異なってもよい。例えば、チューブの断面形状が楕円または正方形であってもよい。別の実施形態では、囲い部材210は、給電ケーブル204の一部のみを囲んでもよい。これにより、給電ケーブル204の外側に沿って1または複数の別個の経路が形成される。
【0073】
いくつかの実施形態では、囲い部材210は、給電ケーブル冷却部から冷媒が流出可能となるような1または複数の孔またはスロットを有してもよい。孔またはスロットは、囲い部材の先端またはその近傍に配置されてもよい。
【0074】
螺旋部材208は、冷却流路のケーブル冷却部を形成する経路内に配置されてもよい。これにより、螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)が、冷媒で効率的に冷却可能となり得る。上述のように、螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)の形状は、その周りに冷媒が流れることを可能とし得る。これにより、冷媒路206に沿った流量への一切の影響を抑制してもよい。
【0075】
記載の実施形態では、冷媒路206は、給電ケーブル204の長さの少なくとも一部の周りで、均一な冷媒流が実現されるように構成される。
図2に示すように、冷媒路の給電ケーブル部は、給電ケーブル204の周りを流れる均一な冷媒層を形成する。この実施形態では、螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)も給電ケーブル冷却部内に設けられてよく、したがって均一な冷媒流が提供される。給電ケーブル204および/または螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例の別の例)の周りに均一な冷媒流を提供することで、それらの温度がより確実に制御可能となる。これは、周辺組織の定期的および再現性のあるアブレーションの実現に寄与し得る。
【0076】
螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)は、給電ケーブル204の外面と、囲い部材210の内面とを離間させて経路を形成するように構成されてもよい。したがって、螺旋部材(またはチョーク部材の別の例)は、給電ケーブル204と囲い部材210との間を離間させながら、経路の形状を保つように、それらの間の結合部となってもよい。これは、アブレーションプローブ200が屈曲した際にも経路が潰れることを防止することに寄与し、したがって冷媒流の維持に寄与し得る。
【0077】
いくつかの実施形態では、螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)は、給電ケーブル204と囲い部材210とを同心円状に互いに揃えるように構成されてもよい。同心円状に揃えることで、給電ケーブル204の周りの経路内で均一な流体流が実現され、したがって均一な冷却が実現され得る。別の実施形態では、螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)は、囲い部材210に対して、給電ケーブル204が非同心円状配置で固定位置に維持されるように構成されてもよい(例えば、給電ケーブル204は、囲い部材を形成するチューブの中央長手軸に沿って延在しなくてもよい)。
【0078】
螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)は、囲い部材210の一部がチョークの一部を形成するように、囲い部材210を給電ケーブル204に電気的に接続するように構成されてもよい。したがって、螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)は、給電ケーブル204が運ぶ電流を囲い部材210に伝達するように作用してもよい。これにより、アプリケータ202により反射され、給電ケーブル204に沿って戻るあらゆる電流を少なくとも部分的に打ち消すように作用する、位相が異なる電流が囲い部材210内で生成可能となる。
【0079】
チョークを螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)と、囲い部材210の一部とで形成すると、別個のチョーク部材は不要となり得る。これは、小さくてコンパクトなチョーク構成の実現に寄与し得る。
図2に示すチョークは、給電ケーブル204を囲うチョーク領域(またはポケット)を有する。チョーク領域は、螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)と、チョークを形成する囲い部材210の少なくとも一部とにより画定される。
図2に示すように、チョーク領域は、少なくとも部分的に冷媒路に流れる冷媒で占められてもよい。
【0080】
いくつかの実施形態では、
図2示すように、アプリケータ202の一部が、給電ケーブル204と、囲い部材210との間で延在するように構成されてもよい。したがって、アプリケータ202のこの一部は、チョーク領域を少なくとも部分的に占めてもよい。いくつかの実施形態では(例えば、
図5に示すように)、囲い部材と給電ケーブルとの間で延在するアプリケータ部分は、1または複数の指部材に分割されてもよい。これは、柔軟性に寄与し得る。指部材はまた、冷媒路に沿って冷媒が流れるように、囲い部材内のスロットに揃えられてもよい。
【0081】
チョーク領域内に冷媒および/またはアプリケータ材料(例えばセラミック材料で形成される)を一部含めることで、チョーク領域の誘電率を上げることが可能であり得る(例えば、空気が占めている場合と比較した場合)。これにより、チョークの全体的な大きさが低減可能となり得る。これは、所望のイメージ電流を実現するのに必要なチョーク領域の大きさが、その内部の媒体の誘電率の平方根に比例するためである。チョーク領域を、冷媒および/またはアプリケータ202の一部で占めることで、アブレーションプローブ200の全体的な断面サイズが低減され得る。
【0082】
記載の実施形態では、給電ケーブル204は、内側導体212と、外側導体214とを有する。内側導体212は、外側導体214に対して、
図2に網掛けで示すそれらの間の誘電材料により離間してもよい。内側導体212は、アプリケータ202本体内へと延在し得るため、外側導体214(および誘電材料)の先端の先に延在してもよい。したがって、アプリケータは、内側導体の、外側導体から延在する部分と、セラミック材料とから形成されることで、モノポールアンテナを形成し得る。したがって、いくつかの実施形態では、給電ケーブルは同軸ケーブルから形成され得る。別の実施形態では、給電ケーブル204とアプリケータとは異なる態様で結合されてもよい。
【0083】
螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)は、給電ケーブル204の外側導体214と、囲い部材210との間に電気的接続を形成してもよい。いくつかの実施形態では、螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)は、その長さ全体で、囲い部材210に電気的に接続されてもよい。そのような実施形態では、螺旋部材(
図3では208bで示す)またはチョーク部材の別の例の内面は、給電ケーブル204の外面との間に電気的接続を形成してもよい。螺旋部材208の外面208cは、囲い部材210の内面との間に電気的接続を形成してもよい。この接続は、給電ケーブル204と、囲い部材210との間が離間するように作用してもよい。別の実施形態では、螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)は、その長さに沿って、1または複数の別個の点でのみ、囲い部材210に電気的に接続されてもよい。例えば、螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)の少なくとも1つの巻き部が、給電ケーブル204および/または囲い部材210に電気的に結合されてもよい。
【0084】
いくつかの実施形態では、螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)と、囲い部材210との間に形成された電気的接続は、外側導体214の先端から、給電ケーブル204の長さに沿って、ある距離の間隔を空けたものであってもよい。距離は、外側導体214からチョークに流れる電流が、アプリケータ202により反射されたあらゆる電流を打ち消すような、所望の位相となるように構成されてもよい。離間距離は、
図2では「C」で示されている。いくつかの実施形態では、距離Cは、マイクロ波帯で動作するアブレーションプローブの動作周波数に対応する電磁エネルギーの1/4波長の略奇数倍に比例してもよい。記載の実施形態では、距離Cは、動作周波数の略1/4波長に比例してもよい。この離間により、チョークを形成する螺旋部材208と第1囲い部材210を介して流れる電流と、アプリケータ202から外側導体214に沿って反射される電流との間に所望の位相差が生じ得る。
【0085】
螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)と、外側導体214の先端からの囲い部材210との間の電気的接続の間隔(即ち距離C)は、当該距離内で、給電ケーブルを囲う媒体の誘電率により決められ得る。いくつかの実施形態では、
図2に示す距離Cは、約nλ
m/4であってもよい。ここで、λ
mは、上記のとおり定義されたチョーク領域を占める媒体内の電磁エネルギーの波長を示し、nは整数である。この式では、λ
m=λ/√ε
mとなる。式中、ε
mは、チョーク領域を占める媒体の誘電率を示し、λは、アブレーションプローブの動作周波数の波長を示す。
【0086】
いくつかの実施形態では、螺旋部材208(例えば、螺旋部材208により形成されたコイルの間隔)は、アブレーションプローブ200の動作周波数に対応する電磁エネルギーの略1/4波長に比例してもよい。別の実施形態では、チョーク部材209を形成する1または複数の湾曲部209aの間の、給電ケーブルの長さに沿った距離は、アブレーションプローブ200の動作周波数に対応する電磁エネルギーの略1/4波長に比例してもよい。螺旋部材の間隔(または湾曲部209aの間隔)は、給電ケーブルを囲う媒体の誘電率によって決定されてもよい(例えば、上述のとおり定義された距離Cと同じであってもよい)。これにより、給電ケーブル204と囲い部材210との間で、略1/4波長で一定間隔の電気的接触が生じ得る(これを
図2の一定の距離C示す)。別の実施形態では、螺旋部材208の間隔(または湾曲部209aの間隔)は、この値とは異なり得、また、螺旋部材208(またはチョーク部材の別の例)の長さに沿って変動し得る。
【0087】
図4から6dに、本開示の実施形態に係るアブレーションプローブ300の別の実施形態を示す。図示の実施形態は、あくまで一例であることを理解されたい。
図4から6dにおいて、
図2と共通する特徴は、同様に符号が付される。
【0088】
図4から6dに示すアブレーションプローブ300は、主に、アプリケータ302と、給電ケーブル304と、螺旋部材308と、第1囲い部材310とを備える。
図4に示す螺旋部材は、本明細書に記載の任意のその他実施形態に係るチョーク部材に置き換えることができる。給電ケーブル304は、内側導体312と、外側導体314とを有する。この実施形態では、アブレーションプローブ300はさらに、第2囲い部材316と、変形可能部材318と、ヒンジ部320とを有する。これについてはより詳細に後述する。
図2および
図3に示す実施形態について上述した特徴のいずれも、
図4から6dに示す実施形態にも適用可能であるし、その逆も可である。
【0089】
図4は、アブレーションプローブ300の、基端から先端までの長さに沿った部分断面図である。
図5は、アブレーションプローブ300の一部の展開図を示す。
図6aから6dは、アブレーションプローブ300の各種組み立て段階を示す。
図6aでは、給電ケーブル304がアプリケータ302内に挿入され、給電ケーブル304の周りに螺旋部材308が嵌められている。
図6bでは、第1囲い部材310が、螺旋部材308により給電ケーブル304から離間した状態で、給電ケーブル304の周りに嵌められている。
図6cでは、第2囲い部材316が、第1囲い部材310およびアプリケータ302の周りに嵌められている。これについては後述する。最後に、
図6dでは、変形可能部材318が、第1および第2囲い部材の周りに嵌められている。
【0090】
アブレーションプローブ300の冷媒路は、給電ケーブル冷却部と、アブレーションプローブ冷却部と、戻り部とを有してもよい。
図4の矢印は、冷媒路に沿った冷媒流の方向を示す。この実施形態では、給電ケーブル冷却部に沿った冷媒流により、その長さ(の少なくとも一部)に沿った冷却が実現される。上述のように、チョークの一部を形成する螺旋部材308が、給電ケーブル冷却部内に配置されて、ともに冷却されてもよい。
図4に示すように、給電ケーブル冷却部は、アプリケータ302におけるまたはその近傍の箇所まで、給電ケーブル304の長さに沿って延在してもよい。別の実施形態では、給電ケーブル冷却部は、この箇所まで延在しなくてもよい。
【0091】
記載の実施形態では、給電ケーブル冷却部は、アプリケータ冷却部に流体接続される。アプリケータ冷却部は、螺旋部材308の下流の箇所で、給電ケーブル冷却部に流体接続されてもよい。したがって、冷媒はアプリケータ冷却部に到達するためには、螺旋部材308を通過するか、またはその周りを通過する必要がある。したがって、螺旋部材308が螺旋形状であることは、アブレーションプローブ300の全体的な断面を大きくする必要なく、給電ケーブル部を通じてアプリケータ冷却部に流れる冷媒流量の低下抑制に寄与するため、有利である。
【0092】
アプリケータ冷却部は、アプリケータ302の長さと幅全体に沿って延在することで、アプリケータを冷却してもよい。アプリケータ冷却部は、第2囲い部材316とアプリケータ302との間に形成された経路と、アプリケータ302の表面における1または複数の経路と、アプリケータ302の本体内に形成された1または複数の経路のうちの、いずれか1つまたは複数を含んでもよい。
【0093】
図4から6dに示す実施形態では、アプリケータ冷却部は、第2囲い部材316により形成された経路を含む。第2囲い部材は、第1囲い部材の長さの少なくとも一部と、アプリケータの長さの少なくとも一部とを囲うことで、冷媒が流れることが可能な経路を形成してもよい。アプリケータ冷却部を、冷媒路のケーブル冷却部に流体接続するため、1または複数の孔が第1囲い部材に形成されてもよい。記載の実施形態では、第2囲い部材316は、アプリケータ302の一部と、第1囲い部材310の一部とを囲うように構成されたチューブを含む。第2囲い部材316は、アプリケータ302(または
図4に示すようにその少なくとも一部)から離間してもよい。これにより、その間に冷媒経路が画定される。いくつかの実施形態では、第2囲い部材316は、アプリケータ302によって生じる熱に耐えるように、ポリアミド材料により形成されてもよい。
【0094】
別の実施形態では、アプリケータ冷却部は、アプリケータ302の外面に1または複数のスロットを含んでもよい。そのような実施形態では、スロットが第2囲い部材316により閉鎖されて、冷媒が流れることが可能な1または複数の個別経路が形成されてもよい。さらに別の実施形態では、アプリケータ冷却部は、アプリケータ302の本体内に配置された1または複数の経路により形成されてもよい。そのような実施形態では、第2囲い部材316は不要であり得る。そのような実施形態では、アプリケータ302における経路は、冷媒路の給電ケーブル冷却部に直接流体接続されてもよい。
【0095】
アプリケータ冷却部は、冷媒路の戻り部に流体接続されてもよい。したがって、冷媒は、アブレーションプローブ300の基端へ、戻り部に沿って流れてもよい。その後、ポンプと冷却手段に戻り、冷媒路を通じて再循環されるか、またはシステムから出て、新たな冷媒に交換されてもよい。これは当業者であれば明らかであろう。
【0096】
いくつかの実施形態では、給電ケーブル冷却部は、戻り部に直接流体接続されてもよい。そのような実施形態では、アプリケータ冷却部は省略されてもよいし、冷媒が少なくとも一部アプリケータ冷却部を迂回して、戻り部に直接戻されてもよい。
【0097】
図4から6dに示す実施形態では、冷媒戻り部は、変形可能部材により形成されてもよい。変形可能部材は、アブレーションプローブ300が挿入しやすい挿入構成と、展開構成との間で遷移するように構成される。冷媒戻り部は、展開構成時の変形可能部材の壁と、アブレーションプローブの本体との間の空間により生成されてもよい。これにより、冷媒流が不要の場合、挿入時にアブレーションプローブ300の断面の大きさが低減され得る。
図4から6dに示す実施形態では、変形可能部材318は、第1囲い部材310の少なくとも一部と、第2囲い部材316の少なくとも一部と、アプリケータ302の少なくとも一部を囲う膨張可能部材(例えば、バルーン)とを含んでもよい。別の実施形態では、変形可能部材318は、給電ケーブル冷却部および/またはアプリケータ冷却部から流れる冷媒用の戻り路を実現する、その他任意の形状を有してもよい。例えば、変形可能部材318は、アブレーションプローブ300の内部の全周の一部にまでのみ延在してもよいし、その長さに沿って延在する1または複数の別個の変形可能部材により形成されてもよい。別の実施形態では、変形可能部材は、アブレーションプローブ300の長さの一部または全体に沿った冷媒戻り部を画定する非変形可能部材に置き換えられてもよい。この実施形態では、冷媒戻り部として、固定形状の経路が設けられてもよい。
【0098】
記載の実施形態では、冷媒戻り部は、給電ケーブル冷却部および/またはアプリケータ冷却部よりも、給電ケーブル304およびアプリケータ302から離間するように構成されてもよい。記載の実施形態では、戻り部(の少なくとも一部)は、給電ケーブル冷却部および/またはアプリケータ冷却部の外側周囲に配置される。したがって、アブレーションプローブ300の基端から先端への冷媒路を移動する冷媒流は、戻り部に沿った逆方向の戻り冷媒流よりも、給電ケーブル304および/またはアプリケータ302の近くを流れることを意味する。これは、アプリケータ300の内、より高い冷却レベルが求められる部位に、より低温の冷媒が流れることに寄与し得る。ただし、図示の冷媒路の構成はあくまで一例で、別の構成も可能である。アブレーションプローブのその他部位(例えば、上述のとおりカテーテル部)に対しては、異なる構成の冷媒経路が設けられてもよい。いくつかの実施形態では、冷媒流の方向は、
図4に示すものと逆であってもよい。
【0099】
アブレーションプローブ300はさらに、アブレーションプローブの全体的な柔軟性を向上するヒンジ部320を有してもよい。記載の実施形態では、第1囲い部材310がヒンジ部320を有してもよい。ヒンジ部320は、アプリケータ302の基端と、螺旋部材308の先端との間に配置されてもよい。さらに/あるいは、ヒンジ部320は、第1囲い部材310の長さに沿って、螺旋部材308の少なくとも一部に重複するように構成されてもよい。この構成は、螺旋部材308周りの、および/またはアプリケータ302近傍の第1囲い部材310の柔軟性向上に寄与し得る。これは、アブレーションプローブ300が使用時に屈曲した際、第1囲い部材310内で生成された応力の、アプリケータ302への到達防止に寄与し得る。
【0100】
ヒンジ部320は、第1囲い部材310に形成された1または複数の脆弱部を有してもよい。脆弱部は、アブレーションプローブ300における、長さに沿った所定箇所が、曲がりやすくなるように構成されてもよい。例えば、(1または複数の)脆弱部のサイズ、形状および/または向きが、ヒンジ部320の箇所で、アブレーションプローブ300を曲がりやすくするものであってもよい。これは、アブレーションプローブ300の柔軟性を向上し得、それによりアブレーションプローブ300を曲がりくねった体内部位を曲がりながら進むことを可能とし、したがって内視鏡とともに使用しやすくなる。一方で、ヒンジ部320は、アブレーションプローブが円筒形としての強度を損なうことなく、さらに/あるいは押し込み可能であるように(したがって組織に挿入できるように)、十分な剛性を実現するように構成されてもよい。
【0101】
第1囲い部材320を、第1囲い部材320に沿った特定箇所に設けることで、アプリケータ302にかかる応力が低減され得る。アブレーションプローブは、アプリケータと第1囲い部材310との間の接続点ではなく、ヒンジ部320において曲がることが好ましくあり得る。これは、アプリケータ302に対する応力低減に寄与し得る。
【0102】
ヒンジ部320は、第1囲い部材310の壁を貫通して延在する1または複数の横方向スロットを有してもよい。第1囲い部材310の長さ(例えば、先端から基端)に対して直交するように延在することで、ヒンジ部材320は、アブレーションプローブの長さに沿って曲がりやすくなるように構成されてもよい(例えば、先端から基端への長手軸に沿って直線状になるのではなく屈曲する)。ヒンジ部320は、第1囲い部材310周りに均一に延在するように構成されてもよい。これにより、全方向に曲がることが可能となる。別の実施形態では、ヒンジ部材320は、第1囲い部材310の一部のみの周りに延在してもよい。これにより、所定方向のみへ曲がることが促される。
【0103】
図5および6に示すヒンジ部320を形成する孔のパターンはあくまで一例である。別の実施形態では、(1または複数の)孔またはその他(1または複数の)脆弱部は、所望のレベルおよび所望の方向に曲がることを可能とするのに必要なその他任意の適切な形状、大きさ、または向きを有してもよい。例えば、いくつかの実施形態では、ヒンジ部320は、第1囲い部材310の長さに沿って延在する1または複数の螺旋状スロットにより形成されてもよい。
【0104】
第1囲い部材310を貫通して延在することでヒンジ部材320を形成する1または複数の孔は、冷媒が冷媒路に沿って流れることを可能にするように構成されてもよい。したがって、ヒンジ部320は柔軟性を向上しながら、アブレーションプローブ300に沿って冷媒が流れることを可能とするような複合機能を有してもよい。そのような実施形態では、孔の大きさ/または形状は、機械的強度と、冷媒流れに対する低抵抗とのバランスを実現するように構成されてもよい。記載の実施形態では、ヒンジ部320は、冷媒路の給電ケーブル冷却部を、アブレーションプローブ冷却部に流体接続するように構成されてもよい。別の実施形態では、ヒンジ部は、給電ケーブル冷却部を戻り部に流体接続してもよい。
【0105】
図4から6dの実施形態に関して説明した螺旋部材は、本明細書に記載の任意のその他実施形態のチョーク部材により置き換えられてもよい。
【0106】
いくつかの実施形態では(不図示)、アブレーションプローブ300は少なくとも1つの温度センサを有してもよい。当該センサは、1または複数の異なる位置でのアブレーションプローブの温度に関する情報を提供するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、(1または複数の)温度センサは、アブレーションプローブの温度を測定するように構成された熱電温度計を有してもよい。
【0107】
いくつかの実施形態では、(1または複数の)温度センサは、螺旋部材308(またはチョーク部材)の少なくとも一部と一体化されるか、それにより形成されてもよい。そのような実施形態では、螺旋部材308(またはチョーク部材のその他実施形態)の長さの一部または全体は、熱電温度計を形成するように構成されたバイメタル部から形成されてもよい。これにより、チョーク部材の温度が正確に決定可能となり、アプリケータ302により生成されたアブレーション領域に関するフィードバックをオペレータに提供可能となる。螺旋部材308(またはその他チョーク部材)と一体化された、またはそれにより形成された温度センサを設けることで、別個の温度センサコンポーネントが不要となり得る。これは、アブレーションプローブ300の全体的な大きさの低減、さらに小型でコンパクトな構成の実現に寄与し得る。別の実施形態では、追加のまたは異なる温度センサをアブレーションプローブ300内の別の部位に設けてもよい。さらに異なる実施形態では、温度センサの一部は、その他適切な種類の温度センサであってもよい。
【0108】
図7から9cは、本出願の実施形態に係るアブレーションプローブの性能を示すものである。
図7から9cに示すデータは、
図4に示す実施形態と、別のアブレーションプローブとの比較である。
【0109】
図7は、様々なチョーク構成のアブレーションプローブの周りに生成された電界のグラフを示す。
図7の電界値は、給電ケーブルの外側導体において、アブレーションプローブの基端とチョークとの間の理想の測定点での電界を、アプリケータに供給されるエネルギーの周波数に対して計算したシミュレーション結果である。様々な異なるチョーク構成を有するアブレーションプローブについて得られた当該結果が示されている。
図7の線Xは、チョークを有しないアブレーションプローブが生成した電界を示す。線Yは、中実の従来技術チョーク(例えば、
図1に示す)を有するアブレーションプローブにより生成された電界を示す。線Zは、螺旋部材(例えば、
図4に示す)を有するチョークを備えるアブレーションプローブにより生成された電界を示す。電界は、給電ケーブルに沿って逆流する反射電流に比例する。
【0110】
図7に示すように、チョークを有しないアブレーションプローブは、高電界を生成する。これは、アプリケータから給電ケーブルに沿って逆流する反射電流が大量に存在することを示す。従来技術の中実チョークを有するアブレーションが生成する電界は、チョークがない場合よりも小さい。これは、給電ケーブルに沿って反射される電流が低減したことを示す。最後に、本開示の実施形態に係る螺旋チョーク部材を有するチョークを備えるアブレーションプローブは、従来技術チョークよりもさらに電界が低減することが示さていれる。螺旋部材を有するチョークの場合、生成される逆流電流(動作周波数は2.45GHz)が47%低減され得る。
【0111】
図8は、様々なチョーク構成を有するアブレーションプローブが生成するアブレーション領域のアスペクト比の比較シミュレーションを示す。
図8に示すように、チョークを有しないアブレーションプローブは、アスペクト比が0.27の先細り状アブレーション領域を生成する。従来技術の中実チョーク(例えば、
図1に示す)を有するアブレーションプローブは、アスペクト比が0.67の、先細りが少ない形状のアブレーション領域を生成する。本出願の実施形態に係る、螺旋部材を有するチョークを備えたアブレーションプローブは、アスペクト比が0.89の、さらに先細りが少ない形状のアブレーション領域を生成し得る。即ち、本出願のアブレーションプローブは、より球形に近いアブレーション領域を生成し得る。これにより、アブレーション領域は、使用時により正確に制御可能となり、組織のアブレーションがより正確かつ確実に実行され得る。
【0112】
図9a、9b、および9cは、チョークを有する/有しないアブレーションプローブにより、様々な冷却レベルで生成されるアブレーション領域の表示例を示す。
図9aは、チョークを有さず、冷却が不十分なアブレーションプローブにより生成されたアブレーション領域を示す。
図9aのアブレーション領域のアスペクト比は0.5未満である。
図9aに示すように、チョークが無く、冷却が不十分だと、アブレーション領域は先細り形状となる。
【0113】
図9bは、チョークを有しないが、アプリケータの冷却が十分なアブレーションプローブにより生成されたアブレーション領域を示す。この例では、アブレーション領域のアスペクト比は0.68である。
図9aに比較して冷却を上げたことで、先細りの少ない形状のアブレーションゾーンが生成されていることがわかる。
【0114】
図9cは、本出願のアブレーションプローブにより生成されたアブレーション領域の例を示す(例えば、冷却螺旋部材を有するチョークを使用)。
図4に示す実施形態のアブレーションプローブで生成されたアブレーション領域は、アスペクト比が0.9である。したがって、本出願のアブレーションプローブは、より先細りが少なくなり、より球形に近い。これにより、アブレーション領域は使用時により正確に制御可能となり、組織のアブレーションがより正確かつ確実に実行され得る。
【0115】
図10aおよび12bに、本開示の実施形態に係るアブレーションプローブ400の別の実施形態を示す。これらの図に示す実施形態は、単に一例であると理解されたい。
図10aから12bに示す、
図2または4から6dの実施形態に共通の特徴は、同じ参照符号を付す。
【0116】
図10aから12bに示すアブレーションプローブ400は、主に、アプリケータ402と、給電ケーブル404と、螺旋部材408(上述のチョーク部材のその他任意の実施形態により置き換えられる)と、第1囲い部材410とを有する。給電ケーブル404は、内側導体412と、外側導体414とを有する。この実施形態では、アブレーションプローブ400はさらに、上述のものに対応する変形可能部材418を有する。任意の別の実施形態では、本明細書に記載の任意の特徴は、
図10aから12bに示す実施形態にも適用可能であるし、その逆も可である。
【0117】
図10aから12bに示す実施形態では、アプリケータ402は、内側導体412のアンテナ部402aと、重複アンテナ部材402bとを有する。内側導体のアンテナ部402aは、外側導体414の先端から延在する。重複アンテナ部材402bは、アンテナ部402aの長さの少なくとも一部に沿って、内側導体412のアンテナ部402aに重複するように配置される(例えば、これらは、
図2のYで示すように、アブレーションプローブの長手軸に沿った方向で互いに重複する)。したがって、重複アンテナ部材402bは、内側導体414のアンテナ部402aを少なくとも部分的に囲んでもよい。重複アンテナ部材402bは、内側導体412に電気的に接続される。したがって、給電ケーブルにより提供された信号は、アンテナ部402aを通過し、その後、重複アンテナ部材402bに沿って送られる。したがって、重複アンテナ部材402bの内側導体412からの信号を運ぶには、金属等の任意の適切な導電材料で形成されてもよい。
【0118】
したがって、アプリケータ402は、内部導体のアンテナ部402aにより形成された直線状モノポールアンテナと、重複アンテナ部材402bとの組合せにより形成される。これにより、所望の周波数範囲内の電磁エネルギーの印加を可能としながら、より短いアプリケータの提供が可能となり得る。例えば、アプリケータ402の全長は、8mm以下であってもよい。したがって、アンテナ部402aと重複部材402bとの組合せは、小型モノポールアンテナを形成する。
【0119】
アプリケータの長さを短くすることは、多くの利点がある。上述の重複アンテナ部材402bとチョーク螺旋部材408(またはチョーク部材のその他実施形態)との組合せは、曲がりくねった経路をたどって、アブレーション部位に到達可能な、適切に柔軟なアブレーションプローブを提供するのに有利であり得る。さらに、アプリケータの長さを短くすることは、アンテナが使用時に炭化すること、離調することを抑えるように、完全冷却構造を実現することに寄与し得る。アプリケータの長さを抑えることでアブレーション領域のアスペクト比も向上し得る。より短いアプリケータは当然、アプリケータの幅により近くなるので、より球形に近いアブレーション領域が実現される。
【0120】
重複アンテナ部材402bは、内側導体412のアンテナ部402aに重複し、少なくとも一部囲むように、複数の異なる経路をたどるように構成された細長部材から形成されてもよい。
図13aから16bは、重複アンテナ部材402bの取り得る形状の例を示す。
【0121】
アプリケータから所望の放射エネルギーを送るため、重複アンテナ部材402bは、内部導体のアンテナ部周りに1または複数の巻き部を形成する。したがって、重複アンテナ部材402bは、給電ケーブルのアンテナ部の周り、および/または長さに沿って延在する1または複数の部位を含んでもよい。各部位は、アンテナ部材の形状に応じて、直線であって湾曲してもよい。重複アンテナ部材の形状としては、最小間隔パラメータを有してもよい。最小間隔パラメータは、空気中で測定されたアプリケータの放射の波長の0.05%超である。最小間隔パラメータは、重複部材により形成された繰り返しパターンにおける対応する点同士の離間に対応してもよい(例えば、周期または間隔)。これにより、重複アンテナ部材402bの部位同士が近すぎることにより信号が大幅に打ち消されることなく、アンテナが最小化可能になる。最小間隔パラメータは、
図13a、14a、15aおよび16aではmで示す。
【0122】
図13aおよび13bに示す実施形態では、重複アンテナ部材402bは、内側導体412のアンテナ部402a周りの螺旋経路に沿って延在する。螺旋経路は、図示のように、内側導体の周りにコイル状経路を形成し、チョークの螺旋部材208の形状に対応してもよい。この場合、最小間隔パラメータは、空気中で測定されたアプリケータからの放射の波長の0.05%超である螺旋の間隔に対応する。記載の実施形態では、重複アンテナ部材402bは、螺旋部402dと、円筒形部402eとを有する(
図11aに示す)。円筒形部402dは、重複アンテナ部材402bの先端に配置されてもよい。円筒形部402dは、螺旋チョーク部材208に設けられた位置決め部208aと同様の形状であってもよい。円筒形部402dは、アンテナの電磁性能および機械的強度の向上に寄与し得る。
【0123】
図14aおよび14bに示す実施形態では、重複アンテナ部材402bは、内側導体412のアンテナ部402aの周りのループ状経路に沿って延在する。ループ状経路は、
図3bに示すチョーク部材209の形状に対応し得る。したがって、重複アンテナ部材402bは同様に、内側導体412のアンテナ部402aの周りに部分的に延在する1または複数の湾曲部を有し、1または複数のループ部は、内側導体412の長さに沿った方向に延在する1または複数の接続部により離間される。1または複数の湾曲部は、内側導体のアンテナ部の長手軸に垂直な平面で延在してもよく、接続部により、その長手軸に沿って離間してもよい。この場合、最小間隔パラメータは、空気中で測定されたアプリケータからの放射の波長の0.05%超である内側導体のアンテナ部の長さに沿ったループ部の間隔に対応する。
【0124】
図15aおよび15bに示す実施形態では、重複アンテナ部材402bは、内側導体412のアンテナ部402a周りのジグザグ経路に沿って延在する。この場合、最小間隔パラメータは、空気中で測定されたアプリケータからの放射の波長の0.05%超であるジグザグパターンの間隔に対応する。
【0125】
図16aおよび16bに示す実施形態では、重複アンテナ部材402bは、内側導体412のアンテナ部402a周りの蛇行経路に沿って延在する。この場合、重複アンテナ部材は内側導体のアンテナ部の長さに沿った方向に延在する複数の重複長手部を含む。長手部は、アンテナ部402b周りの方向に延在する1または複数の接続湾曲部により接続される。この場合、最小間隔パラメータは、空気中で測定されたアプリケータからの放射の波長の0.05%超である蛇行パターンの間隔に対応する。
【0126】
内側導体412のアンテナ部402aと、重複アンテナ部材402bに加え、アプリケータはさらに誘電絶縁体402cを有してもよい。誘電絶縁体は、上述したように、セラミック材料等の誘電材料を有してもよく、
図10aおよび10bに示すように、組織に挿入可能となるようにとがった先端を有してもよい。誘電絶縁体402cの少なくとも一部が、内側導体412のアンテナ部402bと、重複アンテナ部材402bとの間に配置されてもよい。例えば、重複アンテナ部材402bは、誘電共振器402cの外面の周りに被覆されてもよい。上述のように、誘電共振器402cは、内側導体414の先端が挿入され、第1囲い部材410と外側導体414との間に延在し得る開口部を有してもよい。誘電絶縁体402cの一部は、内側導体のアンテナ部402aと、重複アンテナ部材402bとの端を通過してその先に延在してもよい。
【0127】
内側導体412のアンテナ部402aは、外側導体414の先端から、ある距離で離間する。この距離は、空気中で測定されたアプリケータからの放射の波長の0.3%から10%の間である。これにより、小型でコンパクトな装置でありながら、所望の周波数の放射が実現され得る。
【0128】
重複アンテナ部材402bは、内側導体412のアンテナ部402bの長さに沿って、ある距離で延在してもよい。この距離は、空気中で測定されたアプリケータからの放射の波長の0.3%から20%の間である。これによっても、所望の放射周波数と、コンパクトな設計とが実現され得る。
【0129】
重複アンテナ部材402bは、アブレーションプローブ400を通じて設けられた冷媒路に流れる冷媒により冷却され得る。例えば、重複アンテナ部材は、囲い部材410と、給電ケーブル404の外側導体414との間に形成された経路を介して送られる冷媒により冷却されてもよい。
【0130】
誘電絶縁体402cは、
図11aおよび11bの拡大図でより明確に示すように、凹部422を有してもよい。凹部422は、誘電共振器402cの外面に形成され、重複アンテナ部材402bを収容するように構成されてもよい。凹部422は、冷媒路に流体接続されてもよい。これにより、冷媒は、重複アンテナ部材402aの周りに流れ、その冷却を促進してもよい。
【0131】
重複アンテナ部材402bは、金属等の導電材料で形成されてもよい。内側導体の重複アンテナ部材402bとアンテナ部402aとを電気的に接続するため、誘電共振器402cの本体を通じて、電気的接続が形成されてもよい。この電気的接続は、
図11bに示すように、導電性接続ピン424、誘電絶縁体402cに形成された金属化孔、またはこの両方により形成されてもよい。別の実施形態では、電気的接続は、その他任意の適切な方法で実現されてもよい。
【0132】
いくつかの実施形態では、重複アンテナ部材402bは、誘電絶縁体402cの表面を被覆する、別個のコンポーネントから形成されてもよい。別の実施形態では、重複アンテナ部材402bは、例えば、誘電絶縁体402cの表面を、金属のような導電材料でめっきすることで形成されてもよい。
【0133】
いくつかの実施形態では、重複アンテナ部材402bは、内側導体412の一部から形成されてもよい。例えば、重複アンテナ部材402bは、誘電絶縁体424の孔から出た誘電絶縁体402cを、給電ケーブルの内側導体412の一部で覆うことで形成されてもよい。
【0134】
アプリケータ402はさらに、スリーブ部材426を有してもよい。スリーブ部材426は、重複アンテナ部材402bを少なくとも部分的に囲うことで、重複アンテナ部材402bからアブレーションプローブのその他部位への熱伝達を制限するように構成されてもよい。スリーブ部材426は、例えば、変形可能部材418、またはその他存在し得るアブレーションプローブの周辺部への熱伝達を低減してもよい。1または複数の貫通孔428が、スリーブ部材426に設けられてもよい。これにより、冷媒が、変形可能部材418から、誘電共振器402cの凹部422に流れることが可能になる。したがって、冷媒が重複アンテナ部材402bの周りに流れることが可能となる。冷媒は、第1囲い部材410を貫通して延在する1または複数の孔410aを介して、スリーブ部材内へと流入してもよい。スリーブ部材は、ポリアミド等の任意の適切な耐熱材料から形成されてもよい。したがって、スリーブ部材426は、上述の第2囲い部材316に対応する。
【0135】
図10aおよび10bに記載の実施形態では、重複部材は、螺旋部材(またはその他形状のチョーク部材)と、冷媒路を形成する変形可能部材との組合せとして設けられる。別の実施形態では、重複部材はアブレーションプローブのアプリケータの一部を形成するように個別に使用されてもよい。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波アブレーションプローブであって、周辺組織を加熱するため、マイクロ波を放射するように構成されたアプリケータと、前記アプリケータに電磁エネルギーを供給するように構成された給電ケーブルと、を備え、
前記給電ケーブルは、内側導体と外側導体とにより形成され、
前記アプリケータは、
前記外側導体の遠位端から遠位方向に延在する、前記内側導体のアンテナ部と、
前記内側導体の前記アンテナ部の長さに沿って前記アンテナ部と少なくとも部分的に重複し、前記内側導体の前記アンテナ部の回りの螺旋経路に沿って延在する、前記内側導体の重複部を有する、マイクロ波アブレーションプローブ。
【請求項2】
前記アプリケータは誘電絶縁体を有し、前記誘電絶縁体の少なくとも一部は、前記内側導体の前記アンテナ部と、前記内側導体の前記重複部との間に配置され、前記内側導体の前記重複部は、前記誘電絶縁体の周りに延在する、請求項1に記載のマイクロ波アブレーションプローブ。
【請求項3】
前記誘電絶縁体は、前記内側導体の前記アンテナ部と前記誘電絶縁体の周りに延在する前記内側導体の前記重複部との間の接続を形成するために前記内側導体が通過する穴を有する、請求項2に記載のマイクロ波アブレーションプローブ。
【請求項4】
前記誘電絶縁体は、凹部を有する外面を有し、前記凹部は、前記内側導体の前記重複部を受容するように配置される、請求項2または3に記載のマイクロ波アブレーションプローブ。
【請求項5】
前記内側導体の前記重複部によって形成される螺旋のピッチは、空気中で測定される前記アプリケータによって放射されるマイクロ波放射の波長の0.05%より大きい、請求項1から4のいずれか1項に記載のマイクロ波アブレーションプローブ。
【請求項6】
前記内側導体のアンテナ部は、前記外側導体の遠位端を越えて、空気中で測定される前記アプリケータによって放射されるマイクロ波放射の波長の0.3%から10%の間の距離だけ遠位方向に延在する、請求項1から5のいずれか1項に記載のマイクロ波アブレーションプローブ。
【請求項7】
前記内側導体の前記重複部は、前記内側導体の前記アンテナ部の長さに沿って、空気中で測定される前記内側導体によって放出されるマイクロ波放射の波長の0.3%から20%の間の距離だけ延在する、請求項1から6のいずれか1項に記載のマイクロ波アブレーションプローブ。
【請求項8】
前記内側導体の前記重複部は、前記アブレーションプローブの冷媒路内を流れる冷媒によって冷却される、請求項1に記載のマイクロ波アブレーションプローブ。
【請求項9】
前記アプリケータは、スリーブ部材をさらに有し、前記スリーブ部材は、前記内側導体の前記重複部を取り囲むように配置されて、前記内側導体の前記重複部からの熱の伝達を制限する、請求項1から8のいずれか1項に記載のマイクロ波アブレーションプローブ。
【請求項10】
前記アプリケータは誘電絶縁体を有し、前記誘電絶縁体の少なくとも一部は、前記内側導体の前記アンテナ部と、前記内側導体の前記重複部との間に配置され、前記内側導体の前記重複部は、前記誘電絶縁体の周りに延在し、
前記アプリケータは、スリーブ部材をさらに有し、前記スリーブ部材は、前記内側導体の前記重複部を取り囲むように配置されて、前記内側導体の前記重複部からの熱の伝達を制限し、
前記スリーブ部材は、前記誘電絶縁体の外面の一部から離間し、その間に冷媒チャネルを形成する、請求項1に記載のマイクロ波アブレーションプローブ。
【請求項11】
前記誘電絶縁体は、冷媒流路を形成するように配置された前記誘電絶縁体の表面に1つまたは複数のチャネルを有する、請求項10に記載のマイクロ波アブレーションプローブ。
【請求項12】
前記給電ケーブルの前記内側導体、前記外側導体、および誘電材料は、前記誘電絶縁体が前記給電ケーブルの遠位部分を取り囲むように、前記誘電絶縁体の前記本体内に延在する、請求項2に記載のマイクロ波アブレーションプローブ。