(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075388
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】加熱用のLEDランプ、およびそれを備える加熱装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/26 20060101AFI20230524BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
H01L21/26 J
H01L21/66 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188260
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】510138741
【氏名又は名称】フェニックス電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147706
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 裕司
(72)【発明者】
【氏名】井上 智彦
(72)【発明者】
【氏名】山下 健一
【テーマコード(参考)】
4M106
【Fターム(参考)】
4M106AA01
4M106BA14
4M106CA27
4M106CA56
4M106DH44
4M106DJ02
(57)【要約】
【課題】被加熱材料からの輻射エネルギーによるダメージを軽減することのできる加熱用のLEDランプを提供する。
【解決手段】LEDランプ100を、基板110および基板110の表面に配置された複数のLED120とを備えるLEDモジュール102と、LEDモジュール120と被加熱材料Wとの間に配置された第1のフィルター104および第2のフィルター106とで構成する。第1のフィルター104には、LED120から放射される光の波長よりも長波長側の波長にカットオフ特性を持たせる。第2のフィルター106には、光の波長よりも長波長側であって、かつ、第1のフィルター104よりも低波長側の波長にカットオフ特性を持たせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板および前記基板の表面に配置された複数のLEDとを備えるLEDモジュールと、
前記LEDモジュールと被加熱材料との間に配置された第1のフィルターおよび第2のフィルターとを備えるLEDランプであって、
前記第1のフィルターは、前記LEDから放射される光の波長よりも長波長側の波長にカットオフ特性を有しており、
前記第2のフィルターは、前記光の前記波長よりも長波長側であって、かつ、前記第1のフィルターよりも低波長側の波長にカットオフ特性を有している
LEDランプ。
【請求項2】
前記LEDから放射される前記光の波長は、可視光に近い近赤外光波長である
請求項1に記載のLEDランプ。
【請求項3】
前記第1のフィルターは、ガラスおよび光学フィルターのいずれか一方であって、
前記第2のフィルターは、ガラスおよび光学フィルターのいずれか他方である
請求項1または2に記載のLEDランプ。
【請求項4】
前記第1のフィルターと前記第2のフィルターとは、互いの面が接するようにして構成されている
請求項1から3のいずれか1項に記載のLEDランプ。
【請求項5】
前記第1のフィルターおよび前記第2のフィルターとは異なる波長にカットオフ特性を有している第3のフィルターを備えている
請求項1から4のいずれか1項に記載のLEDランプ。
【請求項6】
前記第1のフィルターおよび前記第2のフィルターの少なくとも一方は、前記LEDから放射される前記光を前記被加熱材料に向けて屈折させるレンズである
請求項1から5のいずれか1項に記載のLEDランプ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のLEDランプを備える加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばウエハ等の被加熱材料を加熱するためのLEDランプ、およびそれを備える加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従前より、半導体製造用のウエハをLEDランプで加熱する装置が提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2)。
【0003】
加えて、半導体の製造工程において、初期不良品をスクリーニングする目的で、完成した半導体に最大定格以上の電圧や動作周波数で負荷をかけたうえでさらに加熱する「バーンイン」が実施されることがあり、このバーンインの加熱用にLEDランプを使用することも提案されている(例えば、特許文献3)。
【0004】
また、LEDランプは応答速度が早く調光制御性に優れること等の利点を有していることから、従来ハロゲンランプが使用されていた他の加熱プロセスにもLEDランプを使用することが検討されている。この「他の加熱プロセス」とは、例えば、レジストキュア、酸化処理、真空下あるいは圧力下でのアニール処理等である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2012-178576号公報(ドーム型)
【特許文献2】特表2005-536045号公報(砲弾型)
【特許文献3】特開2002-208620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、LEDランプを加熱源に使用する場合、一般にLEDランプからの光は他の熱源に比べて広がりがある(指向角が広い)ことから、ウエハやレジスト等の被加熱材料をできるかぎり高温にするためには、LEDランプと当該被加熱材料とを互いに極力近づけて被加熱材料への照射ロスを低減させる必要がある。
【0007】
すると、LEDランプと被加熱材料との間の距離が近づくに連れて、LEDランプが加熱された当該被加熱材料からの輻射エネルギーを受ける量が多くなってしまい、LEDランプの表面のダメージが大きくなっていくという問題があった。
【0008】
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加熱材料からの輻射エネルギーによるダメージを軽減することのできる加熱用のLEDランプ、およびそれを備える加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一局面によれば、
基板および前記基板の表面に配置された複数のLEDとを備えるLEDモジュールと、
前記LEDモジュールと被加熱材料との間に配置された第1のフィルターおよび第2のフィルターとを備えるLEDランプであって、
前記第1のフィルターは、前記LEDから放射される光の波長よりも長波長側の波長にカットオフ特性を有しており、
前記第2のフィルターは、前記光の前記波長よりも長波長側であって、かつ、前記第1のフィルターよりも低波長側の波長にカットオフ特性を有している
LEDランプが提供される。
【0010】
好適には、
前記LEDから放射される前記光の波長は、可視光に近い近赤外光波長である。
【0011】
好適には、
前記第1のフィルターは、ガラスおよび光学フィルターのいずれか一方であって、
前記第2のフィルターは、ガラスおよび光学フィルターのいずれか他方である。
【0012】
好適には、
前記第1のフィルターと前記第2のフィルターとは、互いの面が接するようにして構成されている。
【0013】
好適には、
前記第1のフィルターおよび前記第2のフィルターとは異なる波長にカットオフ特性を有している第3のフィルターを備えている。
【0014】
好適には、
前記第1のフィルターおよび前記第2のフィルターの少なくとも一方は、前記LEDから放射される前記光を前記被加熱材料に向けて屈折させるレンズである。
【0015】
本発明の他の局面によれば、
上述したLEDランプを備える加熱装置が提供される。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る加熱用のLEDランプによれば、LEDから放射された光は、LEDモジュールと被加熱材料との間に配置された第1のフィルターおよび第2のフィルターを透過して被加熱材料に到達して当該被加熱材料を加熱する。
【0017】
これによりLEDから放射された光によって加熱されることによって被加熱材料から輻射光が放射される。しかし、当該輻射光はLEDからの光よりも長波長であることから、第1のフィルターおよび第2のフィルターによってカットされるのでLEDに届く輻射光を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明が適用された実施形態に係るLEDランプ100を示す図である。
【
図2】光の波長と各赤外光領域との関係を示す図である。
【
図3】他の実施形態に係るLEDランプ100を示す図である。
【
図4】他の実施形態に係るLEDランプ100を示す図である。
【
図5】他の実施形態に係るLEDランプ100を示す図である。
【
図6】他の実施形態に係るLEDランプ100を示す図である。
【
図7】本発明が適用された実施形態に係る加熱装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(加熱用のLEDランプ100の構造)
本発明が適用された加熱用のLEDランプ100について、図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態に係るLEDランプ100を示す図である。
【0020】
本実施形態に係るLEDランプ100は、大略、LEDモジュール102と、第1のフィルター104と、第2のフィルター106とで構成されている。
【0021】
LEDモジュール102は、基板110と、この基板110の表面に配置された複数のLED120と、ヒートシンク122とで構成されている。なお、ここでいう「配置される」とは、例えば、各LED120がChip On Board(COB)型であれば、基板110の表面に実装されていることを意味する。もちろん、LEDモジュール102は、COB型に限定されるものではなく、他のタイプであってもよい。
【0022】
また、各LED120は、ダイから単一波長の光を放射するものでもよいし、蛍光体等を介してより幅広い波長(ブロード波長)の光を放射するものでもよい。
【0023】
さらに、LED120自身の温度が上がりすぎると、放射する光の波長が変化したり発光量が低下したりするなど、LEDモジュール102として問題が生じる場合がある。このため、本実施形態のように、基板110の裏面(LED120が配置(実装)された面とは反対の面)に放熱性の高いシート材等(図示せず)を配設し、このシート材等にヒートシンク122を当接させてLED120を冷却するのが好適である。このヒートシンク122は水冷でもよいし、水冷するほどの温度上昇が各LED120に見られない場合は、空冷でもよい。
【0024】
また、加熱処理を行うウエハ(被加熱材料)Wの大きさに応じて複数のLEDランプ100(あるいは、LEDモジュール102。以下同じ。)を組み合わせて使用するのが好適である。ひとつの大きな(多数のLED120が載置されている)LEDランプ100ではなく、ある程度小さい(少ない数のLED120が載置されている)LEDランプ100を複数使用することにより、ウエハ(被加熱材料)Wに与える熱量が調整し易くなるとともに、必要に応じて与える熱量が多い領域と少ない領域とを意図的に分けることができるからである。
【0025】
また、基板110の材質については、上述のように、LED120自身の温度が上がりすぎるのを回避するため、基板110としては、熱抵抗の小さいアルミニウムをベースとした基板や、銅をベースとした基板、あるいは、アルミナ基板や窒化アルミ基板を使用するのが望ましい。また、基板110の寸法が大きくなってくると、アルミニウムや銅をベースとした金属系の基板では、アルミニウムや銅といった金属の熱膨張係数と、LED120を基板に固定する樹脂レジストの熱膨張係数との違いによって基板110が反ってしまうという問題がある。このため、基板110の寸法が大きい場合は、このような問題が生じないアルミナ基板や窒化アルミ基板といったセラミック系の基板を用いるのが好適である。
【0026】
また、LED120には、発光層を2層有するダブルジャンクションチップを使用するのが好適である。これにより、LEDモジュール102の単位面積当たりの発光量(加熱量)を多くすることができる。
【0027】
また、基板110における各LED120の実装配置形状は、各LED120同士の間隔が一定となるような、格子状あるいは千鳥格子状とすることが考えられる。
【0028】
ところで、LEDモジュール102におけるLED120から発せられる光の波長は、可視光に近い近赤外光波長である700nm以上1000nm以下を採用するのが好適である(
図2参照)。
【0029】
その理由について説明すると、先ず、400nm以下の短波長の光は、基板110に対してLED120を載置・実装する際に使用する封止用シリコーン樹脂に吸収されてしまう割合が大きく、当該封止用シリコーン樹脂の劣化が激しくなること、かつ、ウエハWの吸収率が相対的に低く昇温効果が低いことから望ましくない。逆に、1000nm以上の長波長の光は、ウエハWの吸収率が大きく低下してしまう(ウエハWを透過してしまう)ことから、ウエハWの昇温効果が期待できず望ましくない。
【0030】
以上のことから、LED120から発せられる光の波長としては400nm以上1000以下が使用可能であるが、その中でも、ウエハWの吸収率が一段と高いことから、700nm以上1000nm以下の領域が好適である。
【0031】
図1に戻り、次に、第1のフィルター104、および、第2のフィルター106について説明する。本実施形態では、第1のフィルター104として石英ガラス(ガラス)の板材が使用されており、第2のフィルター106として第1のフィルター104の表面にコーティング処理された光学フィルターが使用されている。
【0032】
第1のフィルター104は、各LED120から放射される光の波長よりも長波長側の波長に吸収あるいは反射等する特性(カットオフ特性)を有する部材である。例えば本実施形態では、上述の通り、LED120からの光の波長が700nm以1000nm以下であるのに対し、石英ガラスを用いた第1のフィルター104は、2600nm以上の波長光(遠赤外光:
図2参照)を吸収あるいは反射等する特性(カットオフ特性)を有している。
【0033】
第2のフィルター106は、各LED120から放射される光の波長よりも長波長側であって、かつ、上述した第1のフィルター104よりも低波長側の波長に吸収あるいは反射等する特性(カットオフ特性)を有する部材である。例えば本実施形態では、1000nmから2000nm以上の波長光(近赤外光から中赤外光:
図2参照)を吸収あるいは反射等する特性(カットオフ特性)を有している。
【0034】
もちろん、第1のフィルター104として別の光学フィルターを使用し、第2のフィルター106としてガラスを使用してもよい。また、第1のフィルター104および第2のフィルター106共に、光学フィルターを使用してもよい。光学フィルターとしては、上述のように石英ガラスの表面にコーティングしたものであってもよいし、ソーダガラスの表面にコーティングしたものや、樹脂製のものであってもよい。
【0035】
本実施形態では、板状の第1のフィルター104におけるLED120に向かう面に第2のフィルター106が配置(コーティング)されている。より具体的には、第1のフィルター104と第2のフィルター106とは、互いの面が接するようにして構成されている。
【0036】
これに変えて、第2のフィルター106を板状の第1のフィルター104におけるウエハ(被加熱材料)Wに向かう面に配置(コーティング)してもよい。
【0037】
また、
図3に示すように、第1のフィルター104と第2のフィルター106(例えば、板状の石英ガラス+コーティング)とを互いに別部材として構成してもよい。このとき、図示するように第2のフィルター106を第1のフィルター104よりもLED120に近い位置に配置してもよいし、逆に、第1のフィルター104を第2のフィルター106よりもLED120に近い位置に配置してもよい。
【0038】
さらに、第1のフィルター104および第2のフィルター106とは異なる波長に吸収あるいは反射等する特性(カットオフ特性)を有している第3のフィルター108をさらに設けてもよい。例えば、
図4に示すように、第1のフィルター104であるガラス板の上面(LED120に向かう面)に第2のフィルター106(カットオフ波長が1000nm)を配置(コーティング)し、第1のフィルター104の下面(被加熱材料Wに向かう面)に第3のフィルター108(カットオフ波長が1200nm)を配置(コーティング)することが考えられる。また、第1のフィルター104、第2のフィルター106、および、第3のフィルター108をそれぞれ別個に構成してもよい。
【0039】
また、例えば
図5に示すように、第1のフィルター104であるガラス板を2枚用意し、一方のガラス板の上面(下面でもよい)に第2のフィルター106を配置(コーティング)し、他方のガラス板の上面(下面でもよい)に第3のフィルター108を配置(コーティング)して、これらをLEDモジュール102と被加熱材料Wとの間に配設してもよい。この場合、第2のフィルター106および第3のフィルター108のどちらをLEDモジュール102の近くに配置してもよい。
【0040】
なお、第3のフィルター108の光を吸収あるいは反射等する特性(カットオフ特性)は、LED120からの光の波長よりも長波長側であって、第1のフィルター104よりも低波長側、かつ、第2のフィルター106とは異なる波長であることが好適である。
【0041】
さらに言えば、
図6に示すように、湾曲させることで凸レンズとした複数の石英ガラス材の表面にそれぞれ第2のフィルター106を配置したものを各LED120の近傍に配置し、これら第2のフィルター106と被加熱材料Wとの間に第1のフィルター104である石英ガラス板を配置してもよい。このとき、各第2のフィルター106は、一つのLED120ごとに対応したものであってもよいし、複数のLED120に対して一つの第2のフィルター106を対応させてもよい。
【0042】
次に、上述した複数の加熱用のLEDランプ100を用いてウエハ(被加熱材料)Wをバーンインするための加熱装置200の一例について説明する。
図7に示すように、加熱装置200は、大略、上述した複数のLEDランプ100と、加熱炉体210と、ウエハテーブル220と、LEDランプ制御装置230と、真空加圧制御装置240と、ウエハテスター250とを備えている。
【0043】
加熱炉体210は、図中下端に開口212を有する箱状体であり、その内部空間214の上方に複数のLEDランプ100が配設されている。また、加熱炉体210の下端部には、バーンインを施すウエハ(被加熱部材)Wを保持するとともに、当該ウエハ(被加熱部材)Wを保持した状態で内部空間214を気密するウエハ保持部216が形成されている。さらに、気密された状態の内部空間214内の圧力を調整するための圧力調整孔218が加熱炉体210に形成されており、当該圧力調整孔218は、真空加圧制御装置240に接続されている。なお、この加熱炉体210とLEDランプ100との組み合わせを「加熱装置」と呼ぶ。
【0044】
ウエハテーブル220は、バーンインを施すウエハ(被加熱部材)Wが載置されるとともに、載置されたウエハ(被加熱部材)Wに形成されている回路に対して所定の電圧や電流を供給してウエハ(被加熱部材)Wをテストするための装置である。なお、ウエハテーブル220は、ウエハテスター250に対して電気的に接続されており、ウエハ(被加熱部材)Wのテストは、このウエハテスター250によって制御および実施される。
【0045】
LEDランプ制御装置230は、加熱炉体210内に配設された複数のLEDランプ100のそれぞれに給電するとともに、各LEDランプ100に対する電流値等を調整および制御して、ウエハ(被加熱部材)Wに対して均一かつ最適な熱量を供給する装置である。
【0046】
真空加圧制御装置240は、加熱炉体210の内部空間214の圧力を制御する装置であり、ウエハ(被加熱部材)Wをバーンインする際は、内部空間214は大気圧よりも高い圧力となるように制御されている。もちろん、内部空間214を真空に制御してもよい。
【0047】
(加熱用のLEDランプ100とウエハ(被加熱材料)Wとの間の距離)
加熱用のLEDランプ100とウエハ(被加熱材料)Wとの間の距離は、1mm以上あればよいが、短すぎるとウエハ(被加熱材料)Wの加熱の均一性の点で不利になることから、少なくとも3mm以上、好ましくは5mm以上、さらに好ましくは10mm以上とするべきである。
【0048】
(加熱炉体210の内部空間214内に充填する気体について)
加熱炉体210の内部空間214に充填する気体は、空気や窒素、あるいは、不活性ガスを用いるのが好適である。
【0049】
(加熱装置200の加熱能力)
加熱装置200の加熱能力としては、ウエハ(被加熱材料)Wを200℃以上500℃以下まで加熱でき、また、各LED120に対して電流を供給開始してから2秒以上10秒以下、好適には2秒以上5秒以下の時間でウエハ(被加熱材料)W自身の温度を上記の温度まで加熱できるものであることが好適である。
【0050】
なお、加熱炉体210は、上述したものに限定されず、例えば
図8に示すように、加熱炉体210内を真空あるいは加圧制御する内部空間214と、光源空間219とに分けてもよい。図示する例では、第1のフィルター104によって内部空間214と光源空間219とが気密して分けられている。
【0051】
このように真空あるいは加圧制御され、かつ、高温となる内部空間214と、LEDモジュール102が配置される光源空間219とを気密して分けることにより、光源空間219に冷却ガス注入口222を設けて適当な冷却ガスを注入する等してLEDモジュール102を適切な温度に冷却することができる。
【0052】
また、
図3に示したような、第1のフィルター104と第2のフィルター106とが別個に構成されたLEDランプ100を使用する場合であれば、加熱炉体210は、
図9に示すような構成となる。
【0053】
(加熱用のLEDランプ100の特徴)
本実施形態に係るLEDランプ100によれば、LED120から放射された光は、LEDモジュール102と被加熱材料との間に配置された第1のフィルター104および第2のフィルター106を透過して被加熱材料に到達して当該被加熱材料を加熱する。
【0054】
これによりLED120から放射された光によって加熱されることによって被加熱材料から輻射光が放射される。しかし、当該輻射光はLED120からの光よりも長波長であることから、第1のフィルター104および第2のフィルター106によってカットされるのでLED120に届く輻射光を低減することができる。
【0055】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0056】
100…加熱用のLEDランプ、102…LEDモジュール、104…第1のフィルター、106…第2のフィルター、108…第3のフィルター、110…基板、120…LED、122…ヒートシンク
200…加熱装置
210…加熱炉体、212…開口、214…内部空間、216…ウエハ保持部、218…圧力調整孔、219…光源空間
220…ウエハテーブル、222…冷却ガス注入口
230…LEDランプ制御装置
240…真空加圧制御装置
250…ウエハテスター
W…被加熱材料(ウエハ)