(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023000754
(43)【公開日】2023-01-04
(54)【発明の名称】コネクタ受ユニットの製造方法、コネクタ受ユニット及び電装品
(51)【国際特許分類】
H02K 15/10 20060101AFI20221222BHJP
H02K 5/22 20060101ALI20221222BHJP
H02K 15/04 20060101ALI20221222BHJP
H02K 15/12 20060101ALI20221222BHJP
H02K 15/14 20060101ALI20221222BHJP
【FI】
H02K15/10
H02K5/22
H02K15/04 Z
H02K15/12 Z
H02K15/14 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021101753
(22)【出願日】2021-06-18
(71)【出願人】
【識別番号】000144810
【氏名又は名称】株式会社山田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(72)【発明者】
【氏名】町田 克浩
(72)【発明者】
【氏名】青柳 利枝
(72)【発明者】
【氏名】山崎 崇
(72)【発明者】
【氏名】茂木 康彰
【テーマコード(参考)】
5H605
5H615
【Fターム(参考)】
5H605BB05
5H605BB10
5H605CC06
5H605EC05
5H605GG18
5H615AA01
5H615BB01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP01
5H615SS44
(57)【要約】
【課題】連通孔の形状精度や製造効率、製造装置の耐久性の向上を図ることができるコネクタ受ユニットの製造方法、コネクタ受ユニット及び電装品を提供する。
【解決手段】本開示の一態様に係るステータ31は、ベース部155及び装着部156を有するコネクタモールド部150と、受側端子151と、を備えている。コネクタモールド部150には、ハウジング12の内側に開口する内側開口161aを有するとともに、ベース部155をX方向に延びる第1凹部161、及び装着部156の底面上で開口する底面開口162bを有するとともに、ベース部155をY方向に延びる第2凹部162を有し、第1凹部161及び第2凹部162を通じてハウジング23の内外を連通させる連通孔160が形成されている。第1凹部161は、外側開口161bを通じてベース部155をX方向に貫通している。外側開口161bを閉塞する裏面被覆部104aを備えている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品が収納されるハウジングに設けられ、外部電源から延びるコネクタが装着されることで、前記電子部品と前記外部電源とを電気的に接続するコネクタ受ユニットの製造方法であって、
前記コネクタ受ユニットは、
前記ハウジングの内外に亘って延びるベース部、及び前記ハウジングの外側で開口する有底筒状の装着部を有し、樹脂材料により一体形成された第1成形部と、
前記ハウジング内で露呈して前記電子部品に接続される第1端部、及び前記装着部内で露呈して前記コネクタに接続される第2端部を有し、前記第1成形部を貫通して設けられた端子と、を備え、
前記第1成形部には、前記ハウジングの内側に開口する第1開口を有するとともに、前記ベース部を第1方向に延びる第1凹部、及び前記装着部の底面上で開口する第2開口を有するとともに、前記ベース部を前記第1方向に交差する第2方向に延びる第2凹部を有し、前記第1凹部及び前記第2凹部を通じて前記ハウジングの内外を連通させる連通孔が形成され、
前記第1凹部を形成する第1ピン、前記第2凹部を形成する第2ピン及び前記端子を成形型内にセットした状態で樹脂材料によってモールドすることで、前記第1成形部を形成する第1モールド工程を備え、
前記第1モールド工程では、前記第1ピン及び前記第2ピンのうち、一方のピンの両端部が前記成形型に支持され、他方のピンの一端部が前記成形型に支持され、他端部が前記一方のピンに係合した状態で射出成形を行った後、前記第1ピン及び前記第2ピンを引き抜くことで、前記第1凹部及び前記第2凹部を形成し、
前記第1モールド工程の後に、前記第1成形部において前記一方のピンにより形成された開口部のうち一方の開口部を栓部によって閉塞する閉塞工程を備えているコネクタ受ユニットの製造方法。
【請求項2】
前記閉塞工程では、前記第1成形部を樹脂材料によりモールドすることで、前記栓部を形成する請求項1に記載のコネクタ受ユニットの製造方法。
【請求項3】
前記第1方向から見て前記第1ピンのうち前記第2方向に直交する方向での寸法は、前記第2方向から見て前記第2ピンのうち前記第1方向に直交する方向での寸法と異なっており、
前記第1ピン及び前記第2ピンのうち、寸法の大きいピンには、寸法の小さいピンを収容して、前記第1ピン及び前記第2ピンの相対移動を規制する係合部が形成されている請求項1又は請求項2に記載のコネクタ受ユニットの製造方法。
【請求項4】
電子部品が収納されるハウジングの内外に亘って延びるベース部、及び前記ハウジングの外側で開口して、外部電源から延びるコネクタが装着される有底筒状の装着部を有し、樹脂材料により一体形成された第1成形部と、
前記ハウジング内で露呈して前記電子部品に接続される第1端部、及び前記装着部内で露呈して前記コネクタに接続される第2端部を有し、前記第1成形部を貫通して設けられた端子と、を備え、
前記第1成形部には、前記ハウジングの内側に開口する第1開口を有するとともに、前記ベース部を第1方向に延びる第1凹部、及び前記装着部の底面上で開口する第2開口を有するとともに、前記ベース部を前記第1方向に交差する第2方向に延びる第2凹部を有し、前記第1凹部及び前記第2凹部を通じて前記ハウジングの内外を連通させる連通孔が形成され、
前記第1凹部及び前記第2凹部のうち、一方の凹部は貫通口を通じて前記ベース部を前記第1方向に貫通し、
前記貫通口を閉塞する栓部を備えているコネクタ受ユニット。
【請求項5】
前記コネクタ受ユニットは、前記第1成形部をモールドするとともに、前記栓部を有する第2成形部を備えている請求項4に記載のコネクタ受ユニット。
【請求項6】
前記第2成形部は、前記ハウジング内において抵抗体を被覆する被覆部を備え、
前記抵抗体は、前記電子部品に電気的に接続されている請求項5に記載のコネクタ受ユニット。
【請求項7】
前記第2凹部における前記第2方向に直交する断面積は、前記第1凹部との連通部から前記第2開口に向かうに従い漸次拡大している請求項4から請求項6の何れか1項に記載のコネクタ受ユニット。
【請求項8】
前記栓部は、前記一方の凹部において、前記第1凹部と前記第2凹部との連通部に対して前記貫通口寄りに位置する部分に設けられている請求項4から請求項7の何れか1項に記載のコネクタ受ユニット。
【請求項9】
電子部品が収納されるハウジングと、
前記ハウジングに設けられた請求項4から請求項8の何れか1項に記載のコネクタ受ユニットと、を備えている電装品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタ受ユニットの製造方法、コネクタ受ユニット及び電装品に関する。
【背景技術】
【0002】
車両等に搭載される電装品(例えば、モータやポンプ等)には、コネクタ受がハウジングの内外を貫いた状態で設けられている。コネクタ受には、ハウジングの外側において、外部電源から延びるコネクタが装着される。これにより、ハウジングの内側に設けられた制御基板と、外部電源と、がコネクタ受を介して電気的に接続される。
【0003】
コネクタ受は、樹脂材料等により形成された成形体と、成形体にモールドされた端子と、を備えている。成形体には、ハウジングの内外を連通させる連通孔が形成されている。この構成によれは、ハウジングの内外の圧力差に応じてハウジングの内外の気体が連通孔を通じて出入りすることで、ハウジングの内外での差圧が緩和される。
【0004】
上述した連通孔の形成方法として、例えば下記特許文献1には、成形体の形成時に、2本の棒体の先端部同士を突き合せた状態で射出成形を行い、その後に2本の棒体を引き抜く方法が開示されている。この方法によれば、2本の棒体により成形された部分が、棒体の突き合わせ部分を介して連通することで、連通孔として機能するものと考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した従来技術にあっては、連通孔の形状精度や製造効率、成形型(棒体)の耐久性等の点で未だ改善の余地があった。具体的に、上述した従来技術では、棒体の先端部同士を突き合せる必要があるため、棒体の位置決めに高い精度が要求される。また、棒体同士が片持ちで延びているため、成形時における射出圧等によって棒体同士のずれや変形等が生じる可能性がある。棒体の先端部同士がずれた状態で射出成形が行われると、連通孔が所望の断面積で形成されなかったり、連通孔が途中で閉塞されたりする等、歩留まりが低下する可能性がある。
【0007】
本開示は、連通孔の形状精度や製造効率、製造装置の耐久性の向上を図ることができるコネクタ受ユニットの製造方法、コネクタ受ユニット及び電装品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示は以下の態様を採用した。
本開示の一態様に係るコネクタ受ユニットの製造方法は、電子部品が収納されるハウジングに設けられ、外部電源から延びるコネクタが装着されることで、前記電子部品と前記外部電源とを電気的に接続するコネクタ受ユニットの製造方法であって、前記コネクタ受ユニットは、前記ハウジングの内外に亘って延びるベース部、及び前記ハウジングの外側で開口する有底筒状の装着部を有し、樹脂材料により一体形成された第1成形部と、前記ハウジング内で露呈して前記電子部品に接続される第1端部、及び前記装着部内で露呈して前記コネクタに接続される第2端部を有し、前記第1成形部を貫通して設けられた端子と、を備え、前記第1成形部には、前記ハウジングの内側に開口する第1開口を有するとともに、前記ベース部を第1方向に延びる第1凹部、及び前記装着部の底面上で開口する第2開口を有するとともに、前記ベース部を前記第1方向に交差する第2方向に延びる第2凹部を有し、前記第1凹部及び前記第2凹部を通じて前記ハウジングの内外を連通させる連通孔が形成され、前記第1凹部を形成する第1ピン、前記第2凹部を形成する第2ピン及び前記端子を成形型内にセットした状態で樹脂材料によってモールドすることで、前記第1成形部を形成する第1モールド工程を備え、前記第1モールド工程では、前記第1ピン及び前記第2ピンのうち、一方のピンの両端部が前記成形型に支持され、他方のピンの一端部が前記成形型に支持され、他端部が前記一方のピンに係合した状態で射出成形を行った後、前記第1ピン及び前記第2ピンを引き抜くことで、前記第1凹部及び前記第2凹部を形成し、前記第1モールド工程の後に、前記第1成形部において前記一方のピンにより形成された開口部のうち一方の開口部を栓部によって閉塞する閉塞工程を備えている。
本開示の一態様に係るコネクタ受ユニットは、電子部品が収納されるハウジングの内外に亘って延びるベース部、及び前記ハウジングの外側で開口して、外部電源から延びるコネクタが装着される有底筒状の装着部を有し、樹脂材料により一体形成された第1成形部と、前記ハウジング内で露呈して前記電子部品に接続される第1端部、及び前記装着部内で露呈して前記コネクタに接続される第2端部を有し、前記第1成形部を貫通して設けられた端子と、を備え、前記第1成形部には、前記ハウジングの内側に開口する第1開口を有するとともに、前記ベース部を第1方向に延びる第1凹部、及び前記装着部の底面上で開口する第2開口を有するとともに、前記ベース部を前記第1方向に交差する第2方向に延びる第2凹部を有し、前記第1凹部及び前記第2凹部を通じて前記ハウジングの内外を連通させる連通孔が形成され、前記第1凹部及び前記第2凹部のうち、一方の凹部は貫通口を通じて前記ベース部を前記第1方向に貫通し、前記貫通口を閉塞する栓部を備えている。
【0009】
本態様によれば、一方のピンの両端部が成形型に支持されているため、射出圧等に対する一方のピンの強度を確保し易い。これにより、一方のピンの位置ずれや変形等を抑制できる。これに伴い、他方のピンを一方のピンに係合させ易くなるので、第1ピン及び第2ピン間を高精度、かつ容易に位置合わせできる。したがって、従来のように棒体の先端部同士を突き合せる構成に比べ、連通孔の形状精度や製造効率を向上させることができるとともに、成形型の耐久性を向上させることができる。
【0010】
上記態様のコネクタ受ユニットの製造方法において、前記閉塞工程では、前記第1成形部を樹脂材料によりモールドすることで、前記栓部を形成することが好ましい。
上記態様のコネクタ受ユニットにおいて、前記コネクタ受ユニットは、前記第1成形部をモールドするとともに、前記栓部を有する第2成形部を備えていることが好ましい。
本態様によれば、一方の凹部の貫通口に別部材を嵌め込む等の構成に比べ、一方の凹部を確実、かつ簡単に閉塞することができる。
【0011】
上記態様のコネクタ受ユニットの製造方法において、前記第1方向から見て前記第1ピンのうち前記第2方向に直交する方向での寸法は、前記第2方向から見て前記第2ピンのうち前記第1方向に直交する方向での寸法と異なっており、前記第1ピン及び前記第2ピンのうち、寸法の大きいピンには、寸法の小さいピンを収容して、前記第1ピン及び前記第2ピンの相対移動を規制する係合部が形成されていることが好ましい。
本態様によれば、成形時の射出圧等によって第1ピン及び第2ピンが位置ずれ等するのを抑制し易くなる。そのため、連通孔をより高精度に形成することができる。
【0012】
上記態様のコネクタ受ユニットにおいて、前記第2成形部は、前記ハウジング内において抵抗体を被覆する被覆部を備え、前記抵抗体は、前記電子部品に電気的に接続されていることが好ましい。
上記態様に係るコネクタ受ユニットは連通孔を所望の形状に高精度に形成することができるので、連通孔を通じてハウジングの内外で効率的に気体の出入りを行わせることができる。そのため、抵抗体の発熱によってハウジングの内外の温度差が発生したとしても、温度差に伴うハウジングの内外の差圧を速やかに緩和できる。
【0013】
上記態様のコネクタ受ユニットにおいて、前記第2凹部における前記第2方向に直交する断面積は、前記第1凹部との連通部から前記第2開口に向かうに従い漸次拡大していることが好ましい。
本態様によれば、第2凹部を成形するための第2ピンを先端部から基端部に向かうに従いテーパ状に形成することができる。これにより、第2ピンの抜きテーパとして利用することができ、離型性を向上させることができる。
【0014】
上記態様のコネクタ受ユニットにおいて、前記栓部は、前記一方の凹部において、前記第1凹部と前記第2凹部との連通部に対して前記貫通口寄りに位置する部分に設けられていることが好ましい。
本態様によれば、第1凹部と第2凹部との間が遮られるのを抑制でき、連通孔を通じてハウジングの内外を連通させることができる。
【0015】
本開示に係る電装品は、電子部品が収納されるハウジングと、前記ハウジングに設けられた上記態様に係るコネクタ受ユニットと、を備えている。
本態様によれば、上記態様に係るコネクタ受ユニットを備えているため、ハウジング内での気圧変動を抑制し、耐久性や動作信頼性に優れた電装品を提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
上記各態様によれば、連通孔の形状精度や製造効率、製造装置の耐久性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態に係る電動ウォータポンプの断面図である。
【
図2】第1実施形態に係るポンプ部の斜視図である。
【
図3】
図2のIII-III線に対応する部分の拡大断面図である。
【
図6】第1実施形態に係るステータの製造方法において、第1モールド工程の工程図である。
【
図7】
図6のVII-VII線に対応する断面図である。
【
図8】第2モールド工程を説明するための工程図である。
【
図9】第2実施形態に係るステータの製造方法において、第1モールド工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
次に、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、本開示に係るコネクタ受ユニットの製造方法、コネクタ受ユニット及び電装品を電動ウォータポンプ(以下、EWPという。)に採用した場合を例にして説明する。以下で説明する実施形態や変形例において、対応する構成については同一の符号を付して説明を省略する場合がある。なお、以下の説明において、例えば「平行」や「直交」、「中心」、「同軸」等の相対的又は絶対的な配置を示す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差や同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
【0019】
(第1実施形態)
[EWP1]
図1は、EWP1の断面図である。
図1に示すEWP(電装品)1は、例えば車両等に搭載されている。EWP1は、少なくともエンジンとラジエータとを接続する冷却水流路上に設けられ、エンジンとラジエータとの間で冷却水を流通させる。なお、車両としては、エンジンのみを有する車両の他に、ハイブリッド車両やプラグインハイブリッド車両等であっても構わない。
【0020】
EWP1は、ポンプ部11と、ハウジング12と、を備えている。
ポンプ部11は、例えばインナーロータ型のブラシレスモータである。ポンプ部11は、ハウジング12内に収容されている。なお、以下の説明において、ポンプ部11(後述するシャフト32)の軸線Oに沿う方向を単に軸方向といい、軸方向から見て軸線Oに交差する方向を径方向といい、軸線O回りの方向を周方向という場合がある。
【0021】
<ハウジング12>
ハウジング12は、ポンプ部11を収容するとともに、冷却水流路の一部を形成する。ハウジング12は、ポンプカバー21と、流路ブロック22と、を備えている。
ポンプカバー21は、ポンプ部11に対して軸方向の第1側からポンプ部11を覆っている。ポンプカバー21は、ポンプ収容部21aと、取付フランジ部21bと、を備えている。ポンプ収容部21aは、軸方向の第2側に向けて開口する有底筒状に形成されている。ポンプ収容部21aの内側には、ポンプ部11が収容されている。取付フランジ部21bは、ポンプ収容部21aの開口縁(軸方向の第2側端縁)から径方向の外側に向けて張り出している。
【0022】
流路ブロック22は、ポンプ部11を間に挟んでポンプカバー21に軸方向の第2側から重ね合わされている。流路ブロック22は、吸入流路22aと、吐出流路22bと、接続ポート22cと、取付フランジ部22dと、を備えている。
【0023】
吸入流路22aは、軸線Oと同軸に配置された筒状に形成されている。吸入流路22aは、冷却水流路のうちEWP1よりも上流側に位置する部分に接続される。吸入流路22aの内周面には、スポーク22fが形成されている。スポーク22fは、例えば吸入流路22aの内周面のうち、径方向で向かい合う位置から径方向の内側に向けて突出している。各スポーク22fにおける径方向の内側端部には、ハブ22gが設けられている。ハブ22gは、軸線Oと同軸に配置された筒状に形成されている。ハブ22gは、吸入流路22aの内側において各スポーク22fによって軸線O上に支持されている。
【0024】
吐出流路22bは、吸入流路22aの周囲を取り囲んでいる。具体的に、吐出流路22bは、周方向の一方側端部から他方側端部に向かうに従い流路断面積が拡大している。
接続ポート22cは、吐出流路22bにおける周方向の他方側端部に接続されている。接続ポート22cは、ポンプカバー21から離間する向きに延びている。接続ポート22cは、冷却水流路のうちEWP1よりも下流側に位置する部分に接続される。
【0025】
取付フランジ部22dは、吐出流路22bの外周縁から径方向の外側に張り出している。本実施形態のハウジング12は、取付フランジ部21b,22d同士が軸方向に重ね合わされた重ね合わせ部12aと、取付フランジ部21b,22d同士が径方向にオフセットしたオフセット部12bと、を備えている。ポンプカバー21及び流路ブロック22は、重ね合わせ部12aにおいて、取付フランジ部21b,22d同士がボルト等によって締結されることで、軸方向に組み付けられている。オフセット部12bは、取付フランジ部21b,22dにおける周方向の一部に位置している。オフセット部12bは、ポンプカバー21の取付フランジ部21bが流路ブロック22の取付フランジ部22dに対して径方向の外側に位置することで、径方向に隙間を有している。
【0026】
<ポンプ部11>
図2は、ポンプ部11の斜視図である。
図1、
図2に示すように、ポンプ部11は、ステータ(コネクタ受ユニット)31と、シャフト32と、ロータ33と、制御基板34と、を備えている。
【0027】
図1に示すように、ステータ31は、ハウジング12に組み付けられている。ステータ31は、ステータ本体41と、コイル(抵抗体)42と、ターミナルユニット43と、ステータモールド部(第2成形部)44と、コネクタ受45と、を備えている。
【0028】
<ステータ本体41>
ステータ本体41は、ステータコア51と、インシュレータ52と、を備えている。
ステータコア51は、軸線Oと同軸に配置された筒状に形成されている。ステータコア51は、電磁鋼板に対して打ち抜き加工等を施して形成された環状のプレートが軸方向に積層されて構成されている。なお、ステータコア51は、いわゆる圧粉コアや分割コア等であっても構わない。
【0029】
ステータコア51は、ヨーク51aと、複数のティース51bと、を有している。
ヨーク51aは、軸線Oと同軸上に配置された筒状に形成されている。
ティース51bは、ヨーク51aの内周面から径方向の内側に突出している。ティース51bは、周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0030】
インシュレータ52は、ステータコア51に装着されてステータコア51とコイル42との間を絶縁する。インシュレータ52は、少なくとも各ティース51bの周囲をそれぞれ取り囲んでいる。インシュレータ52は、インサート成形等によってステータコア51に一体で形成されていてもよい。
【0031】
コイル42は、U相、V相及びW相に対応した三相のコイル導線がインシュレータ52を介してティース51bに各相ごとに巻き回されて構成されている。
【0032】
ターミナルユニット43は、ステータ本体41に対して軸方向の第1側に配置されている。ターミナルユニット43は、コイル42と制御基板34との間を電気的に接続する。ターミナルユニット43は、端子台90と、ターミナル91と、を備えている。
端子台90は、樹脂材料等によって一体に形成されている。端子台90は、軸方向から見て軸線Oを中心とする円弧状に形成されている。端子台90は、インシュレータ52に対して軸方向の第1側から組み付けられている。端子台90は、ステータ本体41の一部に対して軸方向から見て重なり合っている。
【0033】
ターミナル91は、導電性を有する金属等の板材に例えばプレス加工を施して形成されている。ターミナル91は、軸方向の第1方向に突出した状態で端子台90に固定されている。本実施形態において、ターミナル91は、各相のコイル導線に対応して周方向に間隔をあけて3つ設けられている。各ターミナル91には、各相のコイル導線がそれぞれ接続されている。
【0034】
図1、
図2に示すように、ステータモールド部44は、ステータ本体41、コイル42及びターミナルユニット43が組み付けられた状態で、樹脂材料によってモールドすることで形成されている。ステータモールド部44は、ステータ被覆部100と、取付片101と、シャフト支持壁102と、スペーサ部103と、コネクタ被覆部104と、を備えている。
【0035】
ステータ被覆部100は、軸線Oと同軸に延びる筒状に形成されている。ステータ被覆部100は、ステータ本体41、コイル42及びターミナルユニット43を一体で被覆している。ステータ被覆部100からは、ステータコア51の外周面の一部及びターミナル91の一部が外部に露出している。ターミナル91は、ステータ被覆部100から軸方向の第1側に向けて突出している。
取付片101は、ステータ被覆部100における軸方向の第2側端部から径方向の外側に張り出している。取付片101は、ポンプカバー21及び流路ブロック22の取付フランジ部21b,22dに挟まれている。取付片101は、ハウジング12の重ね合わせ部12aにおいて、取付フランジ部21b,22dとともに締結されている。なお、取付片101とポンプカバー21の取付フランジ部21bとの間、取付片101と流路ブロック22の取付フランジ部22dとの間には、それぞれパッキン105が設けられている。これにより、ポンプカバー21と流路ブロック22との間がシールされている。
【0036】
シャフト支持壁102は、ステータ被覆部100のうち軸方向の第1側開口部を閉塞している。
スペーサ部103は、ステータ被覆部100から軸方向の第1側に向けて突出している。スペーサ部103は、周方向に間隔をあけて複数設けられている。なお、コネクタ被覆部104やコネクタ受45の説明は、後述する。
【0037】
<シャフト32>
シャフト32は、ステータ本体41の内側を軸方向に貫通している。シャフト32における軸方向の第1側端部は、シャフト支持壁102に一体でモールドされている。シャフト32における軸方向の第2側端部は、流路ブロック22のハブ22gに支持されている。
【0038】
<ロータ33>
ロータ33は、ステータコア51の内側でシャフト32に回転可能に支持されている。ロータ33は、ロータコア110と、複数のマグネット(不図示)と、マグネットカバー111と、ロータモールド部112と、ブッシュ113と、を備えている。
【0039】
ロータコア110は、軸線Oと同軸に配置された筒状に形成されている。ロータコア110は、電磁鋼板に対して打ち抜き加工等を施して形成された環状のプレートが軸方向に積層されて構成されている。
【0040】
マグネットは、ロータコア110の外周面上に周方向に並んで設けられている。各マグネットは、径方向を向く磁極が周方向で隣り合うマグネット間で異極となるように配置されている。
マグネットカバー111は、ロータコア110に径方向の外側から装着されている。マグネットカバー111は、マグネットを径方向の外側及び軸方向の両側から覆っている。すなわち、マグネットは、マグネットカバー111を間に挟んでステータコア51に径方向で向かい合っている。
【0041】
ロータモールド部112は、ロータ被覆部112aと、接続部112bと、インペラ部112cと、を備えている。
ロータ被覆部112aは、軸線Oと同軸に延びる筒状に形成されている。ロータ被覆部112aは、ロータコア110やマグネット、マグネットカバー111を一体で被覆している。ロータ被覆部112aからは、マグネットカバー111の外周部分が露出している。
【0042】
接続部112bは、ロータ被覆部112aから径方向の内側に延びている。接続部112bは、軸線Oに沿って筒状に形成されている。接続部112bにおける軸方向の第2側端部は、ロータ被覆部112aに対して軸方向に突出している。
インペラ部112cは、接続部112bにおける軸方向の第2側端部から径方向の外側に張り出している。インペラ部112cは、吸入流路22a及び吐出流路22bの双方に露出している。
【0043】
ブッシュ113は、接続部112bの内側に接続部112bに一体で固定されている。ブッシュ113は、軸線Oと同軸に配置された筒状に形成されている。ブッシュ113の内側には、シャフト32が貫通している。ブッシュ113は、シャフト32に回転可能に支持されている。したがって、ロータ33は、ブッシュ113を介してシャフト32に回転可能に支持されている。
【0044】
<制御基板34>
制御基板34は、ポンプカバー21内においてステータ本体41に対して軸方向の第1側に配置されている。制御基板34は、基板本体34aの表裏面に複数の電子部品34bが実装されて構成されている。制御基板34は、基板本体34aの厚さ方向を軸方向に沿わせてステータ本体41に重ね合わされている。具体的に、制御基板34は、基板本体34aがスペーサ部103に軸方向の第2側から支持された状態で、ビス等によってスペーサ部103に締結されている。基板本体34aには、ターミナル91が接続されている。
【0045】
<コネクタ受45>
コネクタ受45は、外部電源(バッテリ等)から延びるコネクタ180(
図3参照)が着脱可能に装着されることで、制御基板34と外部電源とを電気的に接続する。コネクタ受45は、ステータモールド部44にモールドされることで、ステータ31として一体に形成されている。具体的に、コネクタ受45は、取付片101のうちオフセット部12bに対応する部分を貫通することで、ハウジング12の内外に露呈している。
【0046】
図3は、
図2のIII-III線に対応する部分の拡大断面図である。
図4は、
図2のIV矢視図である。
図5は、
図3のV-V線に対応する断面図である。
図3~
図5に示すように、コネクタ受45は、コネクタモールド部(第1成形部)150と、複数の受側端子151と、を備えている。
【0047】
図3に示すように、コネクタモールド部150は、複数の受側端子151を樹脂材料によってモールドすることで形成されている。なお、コネクタモールド部150を構成する樹脂材料は、ステータモールド部44を構成する樹脂材料と同様である。但し、コネクタモールド部150を構成する樹脂材料は、ステータモールド部44を構成する樹脂材料と異なっていてもよい。
【0048】
コネクタモールド部150は、ベース部155と、装着部156と、を備えている。
ベース部155は、オフセット部12bにおいて、取付フランジ部21b,22d間の隙間を通じてハウジング12の内外に亘って延びている。ベース部155は、径方向の外側に向かうに従い軸方向の第1側から第2側に向けて延びている。具体的に、ベース部155は、内側支持部155a、接続部155b及び外側支持部155cを備えている。
【0049】
内側支持部155aは、ベース部155のうちハウジング12内に露呈する部分である。具体的に、内側支持部155aは、取付片101のうちハウジング12内に位置する部分に一部が埋め込まれた状態で、軸方向の第1側に突出している。
接続部155bは、内側支持部155aから径方向の外側に向かうに従い軸方向の第2側に延びている。接続部155bは、取付片101を軸方向に貫通している。接続部155bの外面のうち、少なくとも軸方向の第1側を向く面は、ステータモールド部44に覆われていない露出面になっている。接続部155bの露出面は、ハウジング12内に露呈している。なお、接続部155bと内側支持部155aとの境界部分には、軸方向の第1側に窪む窪み155dが形成されている。窪み155d内には、取付片101の一部が埋め込まれている。
【0050】
外側支持部155cは、接続部155bのうち軸方向の第2側端部から径方向の外側に向けて延びている。外側支持部155cは、径方向の外側に向かうに従い軸方向の寸法が漸次拡大している。外側支持部155cにおける径方向の外側端部は、取付フランジ部21bよりも径方向の外側に位置している。
【0051】
装着部156は、外側支持部155cから径方向の外側に向けて延びている。装着部156は、径方向の外側に向けて開口する有底筒状に形成されている。具体的に、装着部156は、底壁部156aと、周壁部156bと、を備えている。
【0052】
底壁部156aは、外側支持部155cに対して外周側に張り出している。なお、底壁部156a及び外側支持部155cのうち、径方向の外側を向く面が装着部156の底面を構成している。
周壁部156bは、底壁部156aの外周縁から径方向の外側に延びる角筒状に形成されている。周壁部156bは、底壁部156aの周囲を取り囲んでいる。
【0053】
受側端子151は、コネクタモールド部150を貫通して設けられている。本実施形態において、受側端子151は、導電性を有する金属等の板材に例えばプレス加工を施して形成されている。
図4、
図5の例において、受側端子151は、パワー用端子151A、グランド用端子151B、信号出力用端子151C及び信号入力用端子151Dの4本である。以下の説明では、各受側端子151を区別する必要がない場合は、受側端子151としてまとめて説明する。
【0054】
図1、
図3に示すように、受側端子151は、基板接続部(第1端部)151aと、埋込部151bと、コネクタ接続部(第2端部)151cと、を備えている。
基板接続部151aは、内側支持部155aから軸方向の第1側に向けて突出している。基板接続部151aの先端部は、基板本体34aに接続されている。なお、
図2の例において、各受側端子151は、基板接続部151aが一列に並んでいる。
【0055】
図1、
図5に示すように、埋込部151bは、受側端子151のうち、ベース部155に埋め込まれた部分である。具体的に、埋込部151bは、基板接続部151aの基端部から軸方向の第2側に向かうに従い径方向の外側に向けて延びた後、さらに径方向の外側に向けて延びている。埋込部151bは、装着部156の底面まで達している。
【0056】
図4に示すように、コネクタ接続部151cは、埋込部151bから装着部156の内側に向けて突出している。装着部156の内側において、コネクタ接続部151cは、信号出力用端子151C及び信号入力用端子151D同士、並びにパワー用端子151A及びグランド用端子151B同士が並んで二列で配置されている。但し、基板接続部151aやコネクタ接続部151cのレイアウトは、適宜変更が可能である。
【0057】
図3~
図5に示すように、コネクタモールド部150には、ハウジング12の内外を連通させる連通孔160が形成されている。連通孔160は、互いに直交して延びる第1凹部161及び第2凹部162によってL字状若しくはT字状に形成されている。以下の説明において、第1凹部161の延在方向をX方向といい、第2凹部162の延在方向をY方向といい、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向という場合がある。本実施形態において、X方向は軸方向に一致し、Y方向は径方向に一致している。
【0058】
第1凹部161は、ベース部155内をX方向(軸方向)に直線状に延びている。第1凹部161は、X方向に直交する断面が円形状に形成されている。第1凹部161は、X方向の全長に亘って一様な内径に形成されている。但し、第1凹部161は、テーパ状に形成されていてもよい。
【0059】
第1凹部161は、接続部155bをX方向に貫通している。具体的に、第1凹部161は、接続部155bの露出面上で開口する内側開口(第1開口、開口部)161aを備えている。第1凹部161は、接続部155bのうち露出面とは反対側を向く面(以下、裏面という。)上で開口する外側開口(貫通口、開口部)161bを備えている。
【0060】
第2凹部162は、ベース部155内をY方向に直線状に延びている。第2凹部162は、Y方向に直交する断面が矩形状に形成されている。第2凹部162は、-Y側から+Y側(径方向の内側から外側)に向かうに従い断面積が漸次拡大するテーパ状に形成されている。但し、第2凹部162は、径方向の全長に亘って一様な断面形状に形成されていてもよい。
【0061】
第2凹部162は、-Y側端部において、第1凹部161内に開口する連通開口(連通部)162aを備えている。連通開口162aは、第1凹部161のうちX方向の中心に対して外側開口161b寄りの部分に接続されている。第2凹部162は、連通開口162aを通じて第1凹部161内に連通している。第2凹部162は、+Y側端部において、装着部156の底面上で開口する底面開口(第2開口)162bを有している。底面開口162bは、装着部156の底面上において、信号出力用端子151C及び信号入力用端子151D同士の間に位置する部分で開口している。すなわち、第2凹部162は、装着部156内で+Y側に向けて開口している。
【0062】
図5に示すように、連通開口162aにおけるZ方向の寸法は、第1凹部161におけるZ方向の寸法(内径)よりも大きくなっている。したがって、連通開口162aは、第1凹部161をZ方向の両側から取り囲んでいる。
【0063】
ここで、
図3、
図5に示すように、ステータモールド部44において、上述したコネクタ被覆部104は、取付片101に一体で連なった状態で、ハウジング12の外側に引き出されている。コネクタ被覆部104は、ハウジング12の外側において、ベース部155の周囲を取り囲んでいる。具体的に、コネクタ被覆部104は、裏面被覆部(栓部)104aと、側面被覆部104bと、を備えている。
【0064】
裏面被覆部104aは、接続部155bの裏面から外側支持部155cの裏面に至る部分を覆っている。裏面被覆部104aは、外側開口161bを閉塞している。したがって、連通孔160は、内側開口161aを通じてハウジング12内に開口し、底面開口162bを通じて装着部156内に開口している。なお、裏面被覆部104aの一部は、連通開口162aを通じた第1凹部161と第2凹部162との連通を遮断しない範囲で第1凹部161内に進入していてもよい。すなわち、裏面被覆部104aのうち、第1凹部161内に進入する部分は、外側開口161bの開口縁から第2凹部162の内面のうち+X側に位置する面の間に収まっていることが好ましく、外側開口161bの開口縁から第2凹部162の内面のうち-X側に位置する面の間に収まっていることがより好ましい。これにより、第1凹部161と第2凹部162との間が遮られるのを抑制でき、連通孔160を通じてハウジング12の内外を連通させることができる。
【0065】
側面被覆部104bは、接続部155b及び外側支持部155cのうちZ方向の両側を向く面をそれぞれ覆っている。側面被覆部104bは、裏面被覆部104aと取付片101との間を架け渡している。
【0066】
図3に示すように、装着部156には、コネクタ180が着脱可能に装着される。コネクタ180には、装着部156の底面に向かい合う面に、挿入口(不図示)が形成されている。挿入口には、コネクタ180が装着部156に装着された状態において、受側端子151が各別に挿入される。コネクタ180内には、受側端子151が挿入口に挿入された状態で、受側端子151に各別に接続される接続端子(不図示)が設けられている。各接続端子は、配線を介して外部電源に接続されている。なお、配線は、スリーブ181等によって結束された状態で外部電源まで引き回されている。
【0067】
本実施形態において、コネクタ180は、シールリング等(不図示)を介して装着部156に嵌合されていることが好ましい。これにより、装着部156の内周面と、コネクタ180の外周面と、の間を通じた装着部156内への塵埃等の進入が規制される。この場合、装着部156の内側空間は、コネクタ180の挿入口やスリーブ181等を通じて大気に開放されている。
【0068】
次に、EWP1の動作について説明する。
本実施形態のEWP1では、コネクタ受45を介して外部電源から制御基板34に電流が供給される。制御基板34に供給された電流は、電子部品34bの動作により所定のタイミングでターミナル91を介して各相のコイル42に供給される。コイル42に電流が供給されることでステータコア51に磁界が形成され、ロータ33のマグネットとステータコア51との間に磁気的な吸引力や反発力が生じる。これにより、ロータ33がステータ31に対して回転する。
【0069】
ロータ33が回転することで、吸入流路22a内に流入する冷却水にはインペラ部112cによって遠心力が作用する。この遠心力により、冷却水は、吐出流路22bを通じて下流側に送り出される。
【0070】
ところで、EWP1の使用状況や使用環境等によっては、ハウジング12の内外に圧力差が生じる。例えば、ハウジング12の内側がハウジング12の外側よりも高圧になった場合には、連通孔160を通じてハウジング12の内側の気体がハウジング12の外側に排出される。一方、ハウジング12の内側がハウジング12の外側よりも低圧になった場合には、連通孔160を通じてハウジング12の外側の気体がハウジング12の内側に流入する。このように、本実施形態のEWP1では、連通孔160を通じてハウジング12の内外の気体が出入りすることで、ハウジング12の内外での差圧が緩和される。特に、本実施形態では、連通孔160が底面開口162bを通じて装着部156の内側空間に開放されているため、ハウジング12内への塵埃や液体の侵入を抑制できる。
【0071】
[ステータ31の製造方法]
次に、上述したステータ31の製造方法について説明する。
図6は、ステータ31の製造方法において、第1モールド工程の工程図である。
ステータ31は、第1モールド工程及び第2モールド工程(閉塞工程)を経て製造される。
第1モールド工程では、第1成形型200内に各受側端子151をセットし、各受側端子151をモールドすることで、コネクタ受45を形成する。第1成形型200は、キャビティ200aを形成する型本体201と、連通孔160を成形する成形ピン202と、を備えている。
【0072】
型本体201は、上型210及び下型211と、スライド型212と、を備えている。
上型210及び下型211は、コネクタモールド部150の外面を成形する部分であって、X方向に向かい合って設けられている。例えば上型210は、下型211に対してX方向に移動可能に設けられている。上型210は、第1成形型200の型締め時において、受側端子151の基板接続部151aを保持する。
スライド型212は、装着部156の内面を成形する部分である。スライド型212は、上型210及び下型211に対してY方向に移動可能に設けられている。スライド型212は、第1成形型200の型締め時において、受側端子151のコネクタ接続部151cを保持する。
【0073】
成形ピン202は、第1凹部161を成形する(一方のピン)第1ピン220と、第2凹部162を成形する第2ピン(他方のピン)221と、を備えている。
第1ピン220は、円柱状に形成されている。第1ピン220は、型締め時において、キャビティ200a内をX方向に貫き、上型210及び下型211間に架け渡されている。なお、第1ピン220は、上型210と一体に移動可能に設けられて、型締め時において下型211に支持される構成でもよく、下型211と一体に設けられて、型締め時に上型210に支持される構成でもよい。
【0074】
第2ピン221は、スライド型212から-Y側に向けて片持ちで突出している。第2ピン221は、-Y側に向かうに従い漸次先細る角柱状に形成されている。
【0075】
図7は、
図6のVII-VII線に対応する断面図である。
図7に示すように、第2ピン(寸法の大きいピン)221において、-Y側端部でのZ方向の寸法は、第1ピン(寸法の小さいピン)220の外径よりも大きくなっている。第2ピン221における-Y側端部(他端部)には、係合部221aが形成されている。係合部221aは、第2ピン221をX方向に貫通するとともに、X方向から見て第1ピン220の外周面に倣って窪む半円形状に形成されている。係合部221aの内周面には、型締め時において、第1ピン220の外周面が当接する。この状態において、第1ピン220の一部が、係合部221aの内側に収容されることで、第1ピン220に対する第2ピン221のZ方向の移動が規制される。
【0076】
図6に示すように、上述した第1成形型200を用いて第1モールド工程を行うには、第1成形型200に受側端子151をセットするとともに、第1成形型200を型締めする。受側端子151は、埋込部151bがキャビティ200a内を貫いた状態で、基板接続部151aが上型210に保持され、コネクタ接続部151cがスライド型212に保持される。また、型締めに伴い、第1ピン220は、上型210及び下型211間に両持ちで支持される。一方、第2ピン221は、係合部221aが第1ピン220に係合されることで、スライド型212と第1ピン220との間に両持ちで支持される。
【0077】
第1成形型200の型締め後、第1成形型200のキャビティ200a内に溶融状態の樹脂材料を充填する。すると、受側端子151及び成形ピン202の周囲を覆うように、キャビティ200a内に樹脂材料が充填される。樹脂材料を固化させることで、一次成形品としてコネクタモールド部150(
図3参照)が射出成形される。
【0078】
樹脂材料の固化後、第1成形型200を型開きする。具体的には、コネクタ接続部151cの保持を解除した後、スライド型212を+Y側に移動させる。すると、第2ピン221がスライド型212とともに+Y側に移動することで、第2ピン221がコネクタモールド部150から引き抜かれる。また、基板接続部151aの保持を解除した後、上型210を+X側に移動させる。すると、第1ピン220が上型210とともに+X側に移動することで、第1ピン220がコネクタモールド部150から引き抜かれる。これにより、コネクタモールド部150のうち、第1ピン220が退避した部分に第1凹部161が形成され、第2ピン221が退避した部分に第2凹部162が形成される。
【0079】
図8は、第2モールド工程を説明するための工程図である。以下の説明では、第2モールド工程のうち、コネクタ受45の周辺について主に説明する。
第2モールド工程では、ステータ本体41、コイル42、ターミナルユニット43及びコネクタ受45をモールド品として第2成形型250内にセットし、樹脂材料により一体でモールドする。
【0080】
第2成形型250は、上型251及び下型252を備えている。上型251及び下型252は、型締め時において、コネクタモールド部150のうち外側支持部155cから装着部156に至る部分を保持する。第2成形型250のキャビティ250aは、取付片成形部250bや被覆部成形部250cを有している。取付片成形部250bは、第2成形型250において、外側支持部155cに対して+X側に位置する空間である。被覆部成形部250cは、第2成形型250において、外側支持部155cに対して-X側及びZ方向の両側を取り囲む空間である。被覆部成形部250cには、第1凹部161の外側開口161bが開口している。
【0081】
上述した第2成形型を用いて第2モールド工程を行うには、各モールド品を第2成形型250内にセットするとともに、第2成形型250を型締めする。第2成形型250の型締め後、第2成形型250のキャビティ250a内に溶融状態の樹脂材料を充填する。すると、各モールド品の周囲を覆うように、キャビティ250a内に樹脂材料が充填される。この際、樹脂材料が取付片成形部250bや被覆部成形部250cにも充填されることで、ベース部155の周囲が樹脂材料により覆われる。すなわち、第1凹部161の外側開口161bが樹脂材料により閉塞される。その後、樹脂材料を固化させることで、ステータモールド部44が射出成形される。
【0082】
樹脂材料の固化後、第2成形型250を型開きすることで、二次成形品としてステータ31が形成される。すなわち、第1凹部161の外側開口161bがステータモールド部44によって閉塞された状態で、ステータ31が形成される。
【0083】
このように、本実施形態では、第1モールド工程において、第1ピン220の両端部が第1成形型200(上型210及び下型211)に支持され、第2ピン221の一端部が第1成形型200(スライド型212)に支持され、他端部が第1ピン220に支持される構成とした。
この構成によれば、第1ピン220の両端部が第1成形型200に支持されているため、射出圧等に対する第1ピン220の強度を確保し易い。これにより、第1ピン220の位置ずれや変形等を抑制できる。これに伴い、第2ピン221を第1ピン220に当接させ易くなるので、第1ピン220及び第2ピン221間を高精度、かつ容易に位置合わせできる。したがって、従来のように棒体の先端部同士を突き合せる構成に比べ、連通孔160の形状精度や製造効率を向上させることができるとともに、第1成形型200の耐久性を向上させることができる。
【0084】
本実施形態では、第2モールド工程において、コネクタモールド部150をステータモールド部44によってモールドすることで、第1凹部161の外側開口161bを閉塞する構成とした。
この構成によれば、第1凹部161の外側開口161bに別部材を嵌め込む等の構成に比べ、外側開口161bを確実、かつ簡単に閉塞することができる。
【0085】
本実施形態では、ステータモールド部44がハウジング12内において、コイル42を被覆するステータ被覆部100を備えている構成とした。
この構成によれば、上述したように本実施形態のコネクタ受45は連通孔160を所望の形状に高精度に形成することができるので、連通孔160を通じてハウジング12の内外で効率的に気体の出入りを行わせることができる。そのため、コイル42の発熱によってハウジング12の内外の温度差が発生したとしても、温度差に伴うハウジング12の内外の差圧を速やかに緩和できる。
【0086】
本実施形態では、第2凹部162の断面積は、連通開口162aから底面開口162bに向かうに従い漸次拡大している構成とした。
この構成によれば、第2凹部162を成形するための第2ピン221を先端部から基端部に向かうに従いテーパ状に形成することができる。これにより、第2ピン221の抜きテーパとして利用することができ、離型性を向上させることができる。
【0087】
本実施形態において、第2ピン221には、第1ピン220を収容して、第2ピン221に対する第1ピン220の移動を規制する係合部221aが形成されている構成とした。
この構成によれば、成形時の射出圧等によって第1ピン220及び第2ピン221が位置ずれ等するのを抑制し易くなる。そのため、連通孔160をより高精度に形成することができる。
【0088】
本実施形態のEWP1は、上述した本実施形態のステータ31を備えているため、ハウジング12内での気圧変動を抑制し、耐久性や動作信頼性に優れたEWP1を提供することができる。
【0089】
(第2実施形態)
図9は、第2実施形態に係る第1モールド工程の説明図である。第2実施形態では、第1ピン220に係合部が形成されている点で第1実施形態と相違している。
図9に示す成形ピン202において、第1ピン220は、X方向に延びる角柱形状に形成されている。第1ピン220は、外周面のうち、一面を+Y側に向けた状態でキャビティ200a内を貫通している。第1ピン220には、+Y側に向けて開口する係合部220aが形成されている。係合部220aは、Y方向から見て例えば円形状に形成されている。
【0090】
第2ピン221は、Y方向に延びる円柱状に形成されている。第2ピン(寸法の小さいピン)221の外径は、第1ピン(寸法の大きいピン)220におけるZ方向の寸法よりも小さい。第2ピン221の-Y側端部は、型締め時において、係合部220a内に係合されている。これにより、第2ピン221が第1ピン220に支持されている。
【0091】
このような構成であっても、第1モールド工程において、第1ピン220の位置ずれや変形等を抑制できる。これに伴い、第2ピン221を第1ピン220に当接させ易くなるので、第1ピン220及び第2ピン221間を高精度、かつ容易に位置合わせできる。
【0092】
(その他の変形例)
以上、本開示の好ましい実施例を説明したが、本開示はこれら実施例に限定されることはない。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。本開示は上述した説明によって限定されることはなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。
例えば、上述した実施形態では、ハウジング12内に電子部品34bが収容された電装品として、EWP1を例にして説明したが、この構成に限られない。本開示に係る構成は、EWP1以外の電装品にも採用することができる。電装品としては、例えばEWP1以外のモータや、車両用ECU(Electronic Control Unit)等であってもよい。この場合、電装品を構成する電子部品(抵抗体)自体が第2成形体にモールドされていてもよい。
【0093】
上述した実施形態では、第2成形体にコイル42等がモールドされた構成について説明したが、この構成に限られない。第2成形体は、少なくとも外側開口161bを閉塞する構成であれば、コネクタ受45以外をモールドしなくてもよい。
上述した実施形態では、ステータモールド部44の一部(裏面被覆部104a)を栓部として利用する構成について説明したが、この構成に限られない。栓部は、モールド部とは別部材で形成してもよい。この場合、栓部は、外側開口161bに対して嵌め込みや接着等することで、外側開口161bを閉塞してもよい。
【0094】
上述した実施形態では、第1ピン220及び第2ピン221が、一方のピンに形成された係合部を介して支持される構成について説明したが、この構成に限られない。例えば、第2ピン221は、第1ピン220の外周面に当接(係合)するだけであってもよい。
上述した実施形態では、第1ピン220が第1成形型200に両持ちで支持され、第2ピン221の先端部が第1ピン220に当接(係合)する構成について説明したが、この構成に限られない。第2ピン221が第1成形型200に両持ちで支持され、第1ピン220の先端部が第2ピン221に係合する構成であってもよい。この場合、第2ピン221により成形された開口部のうち、底面開口162bとは反対側に位置する貫通口を栓部により閉塞する。
上述した実施形態では、第1凹部161及び第2凹部162が互いに直交する構成を例にして説明したが、この構成に限られない。第1凹部161及び第2凹部162は、ハウジング12の内外を連通させる構成であれば直角以外の角度で交差していてもよい。
【0095】
上述した実施形態では、連通孔160が一つ形成された場合について説明したが、連通孔160の数やレイアウトは適宜変更が可能である。
上述した実施形態では、第1凹部161及び第2凹部162が互いに連通して連通孔160を形成する構成について説明したが、この構成に限られない。第1凹部161及び第2凹部162に加えて、他の凹部を連通させてもよい。
【0096】
その他、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0097】
1:EWP(電装品)
12:ハウジング
31:ステータ(コネクタ受ユニット)
34b:電子部品
42:コイル(抵抗体)
44:ステータモールド部(第2成形部)
45:コネクタ受
100:ステータ被覆部(被覆部)
104a:裏面被覆部(栓部)
150:コネクタモールド部(第1成形部)
151:受側端子(端子)
151a:基板接続部(第1端部)
151c:コネクタ接続部(第2端部)
155:ベース部
156:装着部
160:連通孔
161:第1凹部
161a:内側開口(第1開口、開口部)
161b:外側開口(一方の開口部、貫通口)
162:第2凹部
162a:連通開口(連通部)
162b:底面開口(第2開口)
180:コネクタ
200:第1成形型(成形型)
220:第1ピン(一方のピン、他方のピン、寸法の小さいピン、寸法の大きいピン)
220a:係合部
221:第2ピン(他方のピン、一方のピン、寸法の大きいピン、寸法の小さいピン)
221a:係合部