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  • 特開-異常検知システム及び水道メータ 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075418
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】異常検知システム及び水道メータ
(51)【国際特許分類】
   G01M 3/24 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
G01M3/24 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188310
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永原 英知
(72)【発明者】
【氏名】藤井 裕史
(72)【発明者】
【氏名】名和 基之
(72)【発明者】
【氏名】中林 裕治
【テーマコード(参考)】
2G067
【Fターム(参考)】
2G067AA13
2G067CC02
2G067DD04
2G067DD13
2G067EE13
(57)【要約】
【課題】家庭用水道等の水供給系統に関し、漏水を検知する機能を有した異常検知システムを提供すること。
【解決手段】共通配管13、引込み管14A,14Bで接続された2つの水道メータ1A,1B間で、それぞれの水道メータの流量計測部7A、7Bに付加配置した超音波送受信器6Aおよび6Bを利用して、隣接する超音波送受信器6A,6B間での超音波受信波形を計測し、漏れがない場合の受信波形と比較することにより超音波伝搬路pにおける漏水検知を行うことができる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流れる配管に距離をおいて配置された一対の超音波送受信器と、
一方の前記超音波送受信器から送信された超音波が、前記配管内を伝搬して他方の前記超音波送受信器で受信して得られた信号を処理して超音波の受信波形を求める超音波信号処理部と、
前記受信波形を比較する波形比較部と、
を備え、
前記波形比較部は、前記超音波信号処理部で前記配管において異常がない時に求めた超音波の受信波形W1と今回求めた受信波形W2とを比較することで、前記配管における水の漏洩の有無、或いは、異物の混入等の異常を検知する異常検知システム。
【請求項2】
水が流れる配管で接続された少なくとも2つの水道メータで構成され、
前記2つの水道メータは、それぞれ、
流量計測部が配置された計測流路と、
前記計測流路に付加され超音波送受信器と、
他方の前記超音波送受信器から送信された超音波を前記超音波送受信器で受信して得られた信号を処理して超音波の受信波形を求める超音波信号処理部と、
前記受信波形を比較する波形比較部と、
を備え、
前記波形比較部は、信号の処理により前記配管内を伝搬する超音波の受信波形W2を求め、前記配管において水の異常がない時に同様にして求めた超音波の受信波形W1と前記受信波形W2を比較することで、前記配管における水の漏洩の有無、或いは、異物の混入等の異常を検知する異常検知システム。
【請求項3】
前記計測流路と、前記流量計測部と、前記超音波送受信器と、前記超音波信号処理部と、を備えた、請求項2に記載の異常検知システムに用いる水道メータ。
【請求項4】
水が流れる配管で接続された複数の水道メータと、前記水道メータと通信を行うセンター装置とからなり、
前記水道メータは、
流量計測部が配置された計測流路と、
前記計測流路に付加された超音波送受信器と、
他の水道メータから送信された超音波を前記超音波送受信器で受信して得られた信号を処理して超音波の受信波形を求める超音波信号処理部と、前記センター装置、若しくは他の水道メータと通信を行う通信部とを備え、
前記センター装置は、前記超音波信号処理部で求めた前記受信波形を比較する比較部を備え、
前記比較部は、前記超音波信号処理部で前記配管において異常がない時に求めた超音波の前記受信波形W1と今回求めた受信波形W2とを前記通信部を介して取得し、前記受信波形W1とW2とを比較することで、前記配管における漏水の有無、或いは、異物の混入等の異常を検知することを特徴とする異常検知システム。
【請求項5】
前記計測流路と、前記流量計測部と、前記超音波送受信器と、前記通信部と、を備えた、請求項4に記載の異常検知システムに用いる水道メータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用水道等の水供給系統に関し、超音波を用いた漏水などの異常検知システムの構成に関するものである。
【背景技術】
【0002】
家庭用水道等の水供給系統に関し、漏水を検知するシステムが要請されている。従来、水道系統の漏水監視システムとして、超音波流量計を用いたシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。図5は、特許文献1に記載された漏水監視システムの概略構成図である。
【0003】
図5において、漏水監視システム101は、第1の超音波流量計102、及び住居に設置された第2の超音波流量計103および第2の超音波流量計104を有しており、第1の超音波流量計102は、配水管105を経由した後、分岐点A以降は給水管106を経由して第2の超音波流量計103に接続されており、また、給水管107を経由して第2の超音波流量計104に接続されている。
【0004】
第1の超音波流量計102は、1対の超音波受発信素子p1とp2を有しており、これらの受発信動作に基づく伝搬時間により、配水管105を流れる水の流量Q0が計測される。
【0005】
また、第2の超音波流量計103、および第2の超音波流量計104もそれぞれ1対の超音波受発信素子a1,a2、およびb1,b2を有しており、これらの受発信動作に基づく伝搬時間により、給水管106、107のそれぞれを流れる水の流量Qa、Qbを計測する構成となっている。
【0006】
このような構成で、Q0とQa+Qbとの値の差を調べることにより、配水管105、給水管106,107における漏水の有無を検知することができる。
【0007】
本システムでは、その流量差を得るにあたり、それぞれの超音波流量計が得た流量情報を、超音波受発信素子を用いて伝送する仕組みとなっている。
【0008】
例えば、第1の超音波流量計102が得た情報を超音波受発信素子p1から送り、それを第2の超音波流量計103の超音波受発信素子a1で受ける構成となっている。また、同様に、第2の超音波流量計a103が得た情報を超音波受発信素子a1から送り、それを第2の超音波流量計a103の超音波受発信素子b1で受ける構成となっている。これにより、無線を利用しなくとも、流量情報を送ることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2002-131170号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の構成では、漏水の有無を検知するために、各住居に設けられた超音波流量計(超音波流量計103,104)以外に、給水管106,107が分岐する前の配水管105に超音波流量計(上記例では、超音波流量計102)を設ける必要があった。
【0011】
また、異なる超音波流量計間での超音波の送受信はあるものの、情報の伝送機能のみで、漏水判定にまでは及ばないという課題を有するものであった。
【0012】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、別個に超音波流量計を設けることなく、住居に設置される水道メータに漏水検知用のセンサを付加ことで漏水の有無や異物の混入等が検知可能な異常検知システムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決するために、本発明の異常検知システムは、水が流れる配管に距離をおいて配置された一対の超音波送受信器と、一方の前記超音波送受信器から送信された超音波が、前記配管内を伝搬して他方の前記超音波送受信器で受信して得られた信号を処理して超音波の受信波形を求める超音波信号処理部と、前記受信波形を比較する波形比較部と、を備え、前記波形比較部は、前記超音波信号処理部で前記配管において異常がない時に求めた超音波の受信波形W1と今回求めた受信波形W2とを比較することで、前記配管における水の漏洩の有無、或いは、異物の混入等の異常を検知することができるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の異常検知システムによると、配管で接続された隣接する2つの水道メータ間で,それぞれの水道メータに異常検知用のセンサとして付加した超音波送受信器を利用して、水道メータ間での超音波受信波形を測定し、漏れがない場合との受信波形比較により漏水の有無を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1における水道メータの概略構成図
図2】本発明の実施の形態1における配管系統図
図3】本発明の実施の形態1における隣接する水道メータ間の超音波信号送受信の説明図
図4】本発明の実施の形態1における正常時と異常時の超音波信号の送信波形及び受信波形を示す図
図5】従来の漏水監視システムの概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0016】
第1の発明は、水が流れる配管に距離をおいて配置された一対の超音波送受信器と、一方の前記超音波送受信器から送信された超音波が、前記配管内を伝搬して他方の前記超音波送受信器で受信して得られた信号を処理して超音波の受信波形を求める超音波信号処理部と、前記受信波形を比較する波形比較部と、を備え、前記波形比較部は、前記超音波信号処理部で前記配管において異常がない時に求めた超音波の受信波形W1と今回求めた受信波形W2とを比較することで、前記配管における水の漏洩の有無、或いは、異物の混入等の異常を検知する異常検知システムである。
【0017】
第2の発明は、水が流れる配管で接続された少なくとも2つの水道メータで構成され、前記2つの水道メータは、それぞれ、流量計測部が配置された計測流路と、前記計測流路に付加され超音波送受信器と、他方の前記超音波送受信器から送信された超音波を前記超音波送受信器で受信して得られた信号を処理して超音波の受信波形を求める超音波信号処理部と、前記受信波形を比較する波形比較部と、を備え、前記波形比較部は、信号の処理により前記配管内を伝搬する超音波の受信波形W2を求め、前記配管において水の異常がない時に同様にして求めた超音波の受信波形W1と前記受信波形W2を比較することで、前記配管における水の漏洩の有無、或いは、異物の混入等の異常を検知する異常検知シス
テムであり、各戸に設けた水道メータ以外に流量計を設置する必要がない。
【0018】
第3の発明は、前記計測流路と、前記流量計測部と、前記超音波送受信器と、前記超音波信号処理部と、を備えた、第2の発明の異常検知システムに用いる水道メータである。
【0019】
第4の発明は、水が流れる配管で接続された複数の水道メータと、前記水道メータと通信を行うセンター装置とからなり、前記水道メータは、流量計測部が配置された計測流路と、前記計測流路に付加された超音波送受信器と、他の水道メータから送信された超音波を前記超音波送受信器で受信して得られた信号を処理して超音波の受信波形を求める超音波信号処理部と、前記センター装置、若しくは他の水道メータと通信を行う通信部とを備え、前記センター装置は、前記超音波信号処理部で求めた前記受信波形を比較する比較部を備え、前記比較部は、前記超音波信号処理部で前記配管において異常がない時に求めた超音波の前記受信波形W1と今回求めた受信波形W2とを前記通信部を介して取得し、前記受信波形W1とW2とを比較することで、前記配管における漏水の有無、或いは、異物の混入等の異常を検知することを特徴とする異常検知システムである。
【0020】
第5の発明は、前記計測流路と、前記流量計測部と、前記超音波送受信器と、前記通信部と、を備えた、第4の発明の異常検知システムに用いる水道メータである。
【0021】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0022】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1における異常検知システムに用いる水道メータ1の概略構成図を示す。
以下、本実施の形態では、配管における異常として、漏水を例にして説明する。
【0024】
統括制御部2は、流量計測処理部3、超音波信号処理部4、及び波形比較部10を制御する。計測流路5は、水道メータ1の内部に設けられた水の通路であり、流れは白抜き矢印fで示した方向に流れる。計測流路5の上流側には超音波送受信器6が配置されており、下流側には流量計測部7が配置されている。流量計測部7は、羽根車式、超音波式等、周知の流量計測方法を利用する流量計であり、特に限定されない。また、計測流路5には、超音波送受信器6から発信された超音波を90°方向に反射する為の超音波反射体8が配置されている。また、通信部9は、外部との通信を行うことで、各種データの送受信を行う。破線pは、超音波の伝搬経路を示す(以降、超音波伝搬路pと称す)。なお、超音波送受信器6は、計測流路5の外壁面に図示しない固定部材で固定されている。
【0025】
上記構成において、まず、水の流量を計測する場合、統括制御部2は、流量計測処理部3を動作させ、流量計測部7を用いて流量を計測する。例えば、流量計測部7が羽根車式であれば、羽根車の回転数を検知して流量を計測する。
【0026】
図2は、実施の形態1における異常検知システム21の配管系統図を示す。
【0027】
図2において、水道メータ1A,1B,1C,1Dは、共通配管13の上流側から下流側に向かってそれぞれ、引込み管14A,14B,14C,14Dを介して接続されてい
る。
【0028】
本実施の形態では、一例として共通配管13に4つの水道メータ(水道メータ1A,1B,1C,1D)が接続される構成で説明するが、水道メータの数はこれに限定されない。
【0029】
また、センター装置20は、水道メータ1A,1B,1C,1Dと通信を行うことで、計測された流量等の検針データを受信したり、水道メータに対して各種の指示を行う機能を有している。なお、各水道メータとの通信方法は、セルラー通信や特定小電力無線通信、あるいは、中継局を介したネットワークなど、特に限定されない。
【0030】
図3は、実施の形態1における隣接する水道メータ間での超音波送受信を説明する図である。なお、図2図3において、図1と同じ機能のものは、同じ番号で示し、数字の後に付与した記号A,B,C,Dは、各水道メータ1A,1B,1C,1Dとの対応を表している。
【0031】
図3は、漏水検知動作を説明するための一事例として、図2に示した配管系統図の水道メータ1A,1Bの間の動作を説明する為の図で、水道メータ1A,1Bと、これらを接続している引込み管14A,14B、および共通配管13の部分を抜き出したものであるが、引込み管14A,14Bと共通配管13は、漏水検知の原理説明を分かり易く行う都合上、図2を少し変形して示している。
【0032】
図3において、一点鎖線で囲った部分が異常検知システム16を示しており、図に示すように少なくとも2つの水道メータで構成され、配管(引込み管14A,14B,および共通配管13)で接続されている。
【0033】
次に、この異常検知システム16の動作を図1図3により説明する。
【0034】
まず、流量計測について図1を用いて説明する。
【0035】
図1において、流量計測を行う場合、統括制御部2は、流量計測処理部3により、流量計測動作を開始する。
【0036】
ここで用いる流量計測部7は、先にも述べたように、既存の流量計である。例えば、羽根車式流量計であれば、羽根車の回転数を検知することにより流量の計測が行われる。そのための計測処理が流量計測処理部3により実施され、流量Qを計測することができる。
【0037】
次に、図3を用いて、異常検知システム16の漏水検知動作を説明する。
【0038】
上記の流量計測動作は、水道メータ1A、および水道メータ1Bにおいて、それぞれ別個に行われるものであるが、漏水検知動作では、引込み管14A,14B、および共通配管13を介して隣接配置されている水道メータ1Aと水道メータ1Bとの間での超音波の送受信の連携動作が行われる。
【0039】
隣接する水道メータ1A,1B間で、超音波の伝搬を計測する場合、まず、水道メータ1Aの統括制御部2Aは、通信部9Aを動作させる。また、水道メータ1Bの統括制御部2Bは、通信部9Bを動作させる。これらの連携動作により、水道メータ1A,1B間でそれぞれが有する時計(図示せず)の時刻を一致させる。
【0040】
次に、水道メータ1Aの統括制御部2Aは、超音波信号処理部4Aを動作させて超音波
信号を送信し、同時刻に、水道メータ1Bの統括制御部2Bは、超音波信号処理部4Bを動作させて受信波形の計測を開始する。
【0041】
そして、水道メータ1Aの超音波送受信器6Aより発射された超音波は、超音波反射体8Aで反射し、引込み管14Aの方向へ伝搬する。その後、この超音波は、引込み管14Aや、配管がつながっている共通配管13,引込み管14Bの流体部分を経由し、配管が接続されている様々な方向に向かうが、そのうちの一部は、水道メータ1Bの超音波反射体8Bで反射し超音波送受信器6Bで受信される。この様にして到達した受信波形は、水道メータ1Bの超音波信号処理部4Bにより計測される。
【0042】
先に述べたように、水道メータ1A,1Bの時計の時刻は一致しているので、送信開始と受信波形の計測開始を同じ時刻に開始することで、水道メータ1Aの超音波送受信器6Aから発せられて、水道メータ1Bの超音波送受信器6Bで受信される波形を確実にとらえることができる。
【0043】
今、図2の共通配管13に接続されているすべての水道メータ1A,1B,1C,1Dの流量がゼロの場合、すなわち、共通配管13に流れが無い場合で、漏水が無い場合に、上記のようにして、水道メータ1Aから発せられた送信波形と、水道メータ1Bで得られた受信波形を模擬的に示したのが図4である。図4(a)は、超音波伝搬路pにおいて、漏水が無い場合であり、受信波形は送信波形に類似した整った波形を示す。このような条件の波形を受信波形W1と呼ぶことにする。
【0044】
次に同じ条件で、超音波伝搬路pのどこかで漏水が発生しているときの水道メータ1Bでの受信波形を模擬的に示したのが図4(b)である。このような条件の波形を受信波形W2と呼ぶことにする。漏水が発生しているときは、その近傍で管内を流れる流体に流速変動や、乱れが生じるため、波形は、図4(b)に示す様に変動を伴うものとなる。
【0045】
従って、水道メータ1Bが設置された直後など、漏水が無いと判断される時期に、超音波信号処理部4Bは、水道メータ1A,1B,1C,1Dとの通信により、それぞれの流量がゼロとなったことを受信したタイミングで超音波信号処理部4Aと連携して受信波形W1を計測し、保存しておき、その後、定期的に受信波形(W2とする)を計測する。波形比較部10は、これら受信波形W1とW2とを比較分析することにより超音波伝搬路pにおける漏水の発生を検知することができる。すなわち、図2における引込み管14A,共通配管13,引込み管14Bの経路における漏水を検知することができる。そして、漏水検知の結果は、通信部9Bを介してセンター装置20に送信される。
【0046】
上記の説明では、超音波送受信器を流量計測部よりも上流側に配置したが、これは、流量計測部が羽根車式の様に、その部品構成が超音波伝搬を妨げるような場合であって、そのような恐れのない流量計測部であれば、超音波送受信器は、流量計測部の下流側であっても差し支えないものである。
【0047】
なお、ここに示した例では、水道メータ1Aから超音波を発射して、水道メータ1Bに到達する受信波形の計測を行ったが、逆に水道メータ1Bから発射して、水道メータ1Aに到達する受信波形の計測を行っても、同様の効果が発揮されるものである。
【0048】
また、上記実施の形態では、水道メータ1Aと水道メータ1B間で判定したが、水道メータ1A,1B,1C,1Dの内の任意の2つを選択することで、同様の漏水検知を行うことができる。
【0049】
また、水道メータ間の時計の時刻の調整は互いの通信に限らず、センター装置20との
通信でセンター装置20が有する時計の時刻に合わせるなど、特に限定はされない。
【0050】
また、図2に示すように、センター装置20と、複数の水道メータで異常検知システム21を構成し、漏水の検知が必要な場合、センター装置20が対象となる配管に接続された2つの水道メータ(例えば、水道メータ1A,1C)を選択し、それぞれの超音波信号処理部4による受信波形W1,W2の計測を指示し、この波形をセンター装置20で取得して、センター装置20に設けた波形比較部(図示せず)で漏水の有無を判断する構成としても良い。
【0051】
以上、述べたように、本実施の形態によると、水が流れる共通配管13で接続された複数の水道メータ間において、一方から送信した超音波を他方で受けたときの受信波形W2を計測し、受信波形W2と2つの水道メータ間における水の漏洩がない時の超音波の受信波形W1と比較することで、2つの水道メータ間の超音波伝搬路における水の漏洩の有無を検知することが可能な異常検知システムを構築することができる。
【0052】
また、流量計測部として、超音波を用いた原理で計測するものを用いれば、流量計測に使用する超音波送受信器を、漏水検知用の超音波送受信器と兼用することができ、効率的な水道メータの構成とすることができる。
【0053】
また、流量計測部として既存の水道メータを利用し、異常検知を行うための超音波送受信器、統括制御部、流量計測処理部、流量計測部、波形比較部を付加することで、異常検知システムを構築することができる。
【0054】
なお、この事例では、漏水を例に説明したが、受信波形に影響を及ぼす異常な状態、例えば、気泡の混入や、異物の混入などがあれば、これも同様に検知することができる。
【産業上の利用可能性】
【0055】
以上のように、本発明の異常検知システムは、隣接する水道メータ間での超音波受信波形の変化に基づき漏水の有無判定をすることができるため、家庭用水道配管系や、温冷水利用の暖冷房水配管系などへの幅広い応用が可能となる。
【符号の説明】
【0056】
1,1A~1D 水道メータ
2,2A,2B 統括制御部
3,3A,3B 流量計測処理部
4,4A,4B 超音波信号処理部
5 計測流路
6,6A~6D 超音波送受信器
7,7A~7D 流量計測部
9,9A~9D 通信部
10,10A~0D 波形比較部
13 共通配管(配管)
14,14A~14D 引込み管(配管)
20 センター装置
16,21 異常検知システム
図1
図2
図3
図4
図5