(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075434
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】貯湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 1/00 20220101AFI20230524BHJP
F24H 1/18 20220101ALI20230524BHJP
F24H 9/16 20220101ALI20230524BHJP
【FI】
F24H1/00 631A
F24H1/18 A
F24H9/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188340
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】福井 秀和
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA02
3L122AA12
3L122AA28
3L122AA54
3L122AA73
3L122AB22
3L122AB54
3L122AB64
3L122BB03
3L122CA05
3L122DA34
3L122EA24
3L122EA57
3L122GA10
(57)【要約】
【課題】非常時における自立発電機能と非常時の水取出し機能を両立させることのできる貯湯システムを提供する。
【解決手段】湯水を貯留する貯湯タンク(4)と、貯湯タンク(4)の下部から取り出した水で冷却される燃料電池発電装置(3)を備えた貯湯システム1において、非常時に貯湯タンク(4)の湯水を取り出すための非常用水取出し栓(57)と、貯湯タンク(4)の高さ方向中段部又はその近傍部から湯水を取り出すための水取出し用パイプ(56)と、貯湯タンク(4)にエアを導入可能なエアチャージ部(58)を備え、水取出し用パイプ(56)に非常用水取出し栓(57)が接続されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンクの下部から取り出した水で冷却される発電装置を備えた貯湯システムにおいて、
非常時に貯湯タンクの湯水を取り出すための非常用水取出し栓と、前記貯湯タンクの高さ方向中段部又はその近傍部から湯水を取り出すための水取出し用パイプと、前記貯湯タンクにエアを導入可能なエアチャージ部を備え、
前記水取出し用パイプに非常用水取出し栓が接続されていることを特徴とする貯湯システム。
【請求項2】
前記貯湯タンクの頂部と貯湯タンクの高さ方向中段部又はその近傍部を接続する接続通路を備え、前記水取出し用パイプは前記接続通路の下端部分から分岐するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の貯湯システム。
【請求項3】
前記貯湯タンクの下端部に接続された排水パイプと、この排水パイプの下端部に設けられた排水栓を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の貯湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
燃料電池を有する貯湯システムに関し、特に非常時(停電と断水時)にも発電機能と給水機能を発揮可能な貯湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
貯湯タンクと燃料電池ユニットを備え、貯湯タンクの下部から取り出した水を燃料電池ユニットの冷却に用いて発生した湯を貯湯タンクの上部へ戻すようにした貯湯システムは、公知である。
図6には、貯湯システムの一般的な貯湯タンク70と燃料電池ユニット71とが図示されている。この貯湯タンク70の底部には貯湯システムの設置時の水張りに供した水を排水するための排水管72が接続され、排水管72には排水栓73が設けられている。
【0003】
貯湯タンク70の頂部から出湯するタンク出湯管74が設けられ、このタンク出湯管74にはエアチャージパイプ75が接続され、エアチャージパイプ75にはエアチャージ栓76が設けられている。貯湯タンクの底部から延びる循環往き通路77が燃料電池ユニット71に接続され、燃料電池ユニット71から延びる循環戻り通路78が貯湯タンク70の頂部に接続され、循環往き通路77と循環戻り通路78を接続するバイパス通路79及び三方弁80も設けられている。
【0004】
断水時に上記の貯湯システムから排水管と排水栓を介して湯水を取り出す技術は公知であり、停電時に上記の燃料電池で発電した電力を利用する技術も公知である。
【0005】
他方、特許文献1に記載された貯湯システムは、ガス停止時に貯湯タンクから取り出した水を燃料電池に設けた電気ヒータで昇温して湯を供給可能に構成されている。
特許文献2に記載の蓄熱システムにおいては、蓄熱槽の中段付近に接続したパイプから中温水を取り出して利用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2016-38114
【特許文献2】特開2005-147494
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
貯湯タンクと燃料電池ユニットを備えた貯湯システムには、2つのレジリエンス機能がある。
停電時の自立発電機能により、停電時に断水しても貯湯タンクに水(冷却水)がある限り、発電を継続することができる。また、非常時の水取出し機能により、断水時に貯湯タンクのお湯又は水を取り出して生活用水として利用することができる。
【0008】
しかし、貯湯タンクの水を取り出してしまうと冷却水が失われ発電を継続できなくなるため、
上記の自立発電機能と非常時の水取出し機能を両立させることはできない。
【0009】
本発明の目的は、非常時における自立発電機能と非常時の水取出し機能を両立させることのできる貯湯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の貯湯システムは、湯水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンクの下部から取り出した水で冷却される発電装置を備えた貯湯システムにおいて、非常時に貯湯タンクの湯水を取り出すための非常用水取出し栓と、前記貯湯タンクの高さ方向中段部又はその近傍部から湯水を取り出すための水取出し用パイプと、前記貯湯タンクにエアを導入可能なエアチャージ部を備え、前記水取出し用パイプに非常用水取出し栓が接続されていることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、非常時(停電と断水時)には、貯湯タンク内に水(冷却水)がある限り自立発電させることができる上、水取出し用パイプと非常用水取出し栓を介して貯湯タンク内の湯又は水を取り出して生活用水として利用することができる。
水取出し用パイプは貯湯タンクの高さ方向中段部又はその近傍部から湯水を取り出すためのものであるため、貯湯タンクの下半部から水(冷却水)を取り出すことはできず、その水が昇温するまでは自立発電機能を維持することができる。
【0012】
請求項2の貯湯システムは、請求項1の発明において、前記貯湯タンクの頂部と貯湯タンクの高さ方向中段部又はその近傍部を接続する接続通路を備え、前記水取出し用パイプは前記接続通路の下端部分から分岐するように設けられていることを特徴としている。
上記の構成によれば、接続通路を介して水取出し用パイプを貯湯タンクに接続するため、貯湯タンクへのパイプ溶接箇所を減らすことができるため製造面で有利である。
【0013】
請求項3の貯湯システムは、請求項1又は2の発明において、前記貯湯タンクの下端部に接続された排水パイプと、この排水パイプの下端部に設けられた排水栓を有することを特徴としている。
上記の構成によれば、貯湯システムを設置時の試運転において貯湯タンクと配管系統に水張りした水を貯湯タンクから排水するのに排水パイプと排水栓を利用することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明は種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施形態に係る貯湯システムの構成図である。
【
図3】貯湯タンク(満蓄状態)の詳細構造を示す構成図である。
【
図4】貯湯タンク(非常時の湯水取り出し状態)の詳細構造を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。
先ず、本発明の貯湯システム1の全体構成について説明する。
図1に示すように、貯湯システム1は、湯水を貯湯する貯湯給湯装置2と、発電を行なう燃料電池発電装置3と、貯湯給湯装置2と燃料電池発電装置3との間に湯水を循環させて燃料電池発電装置3の排気ガスから排熱を回収する排熱回収循環回路15等から構成されている。
【0017】
次に、貯湯給湯装置2について簡単に説明する。
図3に示すように、貯湯給湯装置2は、貯湯、給湯、浴槽への給湯及び浴槽の追焚き、床暖房パネル等の温水暖房端末への温水の供給等の機能を有するものであり、貯湯タンク4、補助熱源機5、風呂熱利用熱交換器6、暖房熱利用熱交換器7、給水系通路8、給湯系通路9、出湯通路11、風呂追焚回路12、温水暖房回路13、熱利用循環回路14、排熱回収循環回路15、制御ユニット10、貯湯給湯装置の各種設定を行う操作リモコン20等を備え、これら大部分は外装ケース16内に一体的に収納されている。外装ケース16には、外気温度を検出可能な外気温度検出センサ16aが設置されている。
【0018】
次に、貯湯タンク4について説明する。
貯湯タンク4は、燃料電池発電装置3で加熱された高温の湯水(例えば、60~70℃)を貯留可能な密閉タンクで構成され、貯留された湯水の放熱を防ぐ為にタンク周囲は断熱材で覆われている。貯湯タンク4の外周部には、下側から上側に向かって等間隔に複数の湯水温度検出センサ4a~4dが順に設けられ、これら複数の湯水温度検出センサ4a~4dにより貯湯タンク4内の複数の温度成層の湯水温度が検出される。
【0019】
次に、補助熱源機5について説明する。
補助熱源機5は、バーナや熱交換器等を内蔵した公知のガス給湯器で構成されている。補助熱源機5は、貯湯タンク4内の湯水温度が低下した場合、貯湯タンク内の湯水の給湯が停止されている場合等の特別な場合に限り、制御ユニット45から指令が送信されて燃焼作動され、湯水を加熱するものである。
【0020】
次に、給水系通路8について説明する。
給水系通路8は、上水源から低温の上水を貯湯タンク4等に供給するものであり、上流給水通路部8a、中間給水通路部8b、下流給水通路部8cを有し、上流給水通路部8aの上流端が上水源に接続され、下流給水通路部8cの下流端が貯湯タンク4の下部に接続されている。上流給水通路部8aには、減圧弁8dが設置され、中間給水通路部8bには、逆止弁8eが設置されている。
【0021】
上流給水通路部8aと中間給水通路部8bとの間から給湯系通路9に接続するバイパス通路部17が分岐されている。バイパス通路部17には、逆止弁17aが設置されている。中間給水通路部8bと下流給水通路部8cとの間から熱利用循環回路14に接続するバイパス通路部18が分岐されている。この分岐部には、蓄熱切換弁19が設置されている。このバイパス通路部18により、低温の上水を熱利用循環回路14に供給することができ、また逆に、熱利用循環回路14から湯水を貯湯タンク4に戻すことができる。
【0022】
次に、給湯系通路9について説明する。
給湯系通路9は、貯湯タンク4に貯湯された湯水を風呂等の所望の給湯先に供給するものであり、給湯栓に接続される給湯通路21、貯湯タンク4の上部から給湯通路21に接続されるタンク出湯通路22、このタンク出湯通路22から分岐され燃焼式の補助熱源機5に接続される補助加熱通路23、補助熱源機5から給湯通路21に接続される補助熱源機出湯通路24等を有している。
【0023】
給湯通路21は、高温の湯水が流れる上流給湯通路部21a、混合湯水が流れる中間給湯通路部21b及び下流給湯通路部21cを有し、上流給湯通路部21aの上流端がタンク出湯通路22に接続され、下流給湯通路部21cの下流端が給湯栓に接続されている。
【0024】
上流給湯通路部21aと中間給湯通路部21bとの間に混合弁25が設置されている。この混合弁25に給水系通路8から分岐したバイパス通路部17が接続されている。混合弁25は、出湯温度が指令温度になるように低温の上水と高温の湯水の混合比を制御するものである。中間給湯通路部21bには、流量センサ21dと出湯水比例弁26が設置されている。バイパス通路部17から分岐した分岐通路部27が中間給湯通路部21bに接続され、分岐通路部27には、高温出湯回避電磁弁28が設置されている。
【0025】
タンク出湯通路22は、上流出湯通路部22a、下流出湯通路部22bを有し、上流出湯通路部22aの上流端が貯湯タンク4の上部に接続され、下流出湯通路部22bの下流端が給湯通路21に接続されている。上流出湯通路部22aと下流出湯通路部22bとの間から補助加熱通路23が分岐されている。
【0026】
補助加熱通路23は、上流加熱通路部23a、下流加熱通路部23bを有し、上流加熱通路部23aの上流端がタンク出湯通路22に接続され、下流加熱通路部23bの下流端が補助熱源機5の導入口に接続されている。上流加熱通路部23aには、逆止弁23cが設置され、下流加熱通路部23bには、圧送ポンプ29と流量センサ23dが設置されている。
【0027】
上流加熱通路部23aと下流加熱通路部23bとの間にタンク出湯通路22と補助加熱通路23とを切換え可能な三方弁31が設置されている。三方弁31には、熱利用循環回路14の湯水戻り側通路部14dも接続されている。この三方弁31は、上流加熱通路部23aと下流加熱通路部23bとの間の接続・遮断及び下流加熱通路部23bと湯水戻り側通路部14dとの間の接続・遮断を切換え可能なものであり、上流加熱通路部23aと下流加熱通路部23bと湯水戻り側通路部14dの全ての通路部を接続可能である。
【0028】
補助熱源機出湯通路24は、上流補助出湯通路部24a、下流補助出湯通路部24bを有し、上流補助出湯通路部24aの上流端が補助熱源機5の導出口に接続され、下流補助出湯通路部24bの下流端が給湯通路21の上流端に接続されている。上流補助出湯通路部24aと下流補助出湯通路部24bとの間から熱利用循環回路14の湯水往き側通路部14aが分岐されている。下流補助出湯通路部24bには、タンク水比例弁32が設置されている。
【0029】
次に、制御ユニット10について説明する。
貯湯給湯装置2は、制御ユニット10によって制御される。各種のセンサの検出信号が制御ユニット10に送信され、この制御ユニット10により、貯湯給湯装置2の動作、各種のポンプの作動・停止、各種の弁の開閉状態の切り換え及び開度調整等を制御し、各種運転(給湯運転、湯張り運転、追焚き運転、高温差し湯運転、暖房運転、通常発電運転時の凍結防止運転、自立発電運転時の凍結防止運転、排熱回収運転等)を実行する。
【0030】
制御ユニット10は、ユーザーが操作可能な操作リモコン20との間でデータ通信可能であり、操作リモコン20のスイッチ操作により各種の運転が設定されると、その指令信号が操作リモコン20から制御ユニット10に送信される。
【0031】
次に、燃料電池発電装置3について簡単に説明する。
図2に示すように、燃料電池発電装置3は、貯湯タンク4の下部から取り出した冷却水で冷却される発電装置を有し、湯水を加熱する為の貯湯給湯装置2の外部熱源である。
【0032】
この燃料電池発電装置3は、燃料電池発電モジュール40、燃料改質空気用送風手段41、カソード空気用送風手段42、燃料ガス昇圧手段43、排気ガス排出通路44、排熱回収用熱交換器45、水処理手段46、インバータ47、脱硫器48、送風用のファン49aとラジエータ49bとを有する放熱手段49等を備える一般的なものである。これらの機器や配管類が外装ケース3a内に収納されている。循環往き通路15aから循環戻り通路15bに流れる冷却水を循環させる循環ポンプ50も設けられている。
【0033】
燃料電池発電モジュール40は、燃料電池セルスタック40a、蒸発器40b、燃料改質器40c、オフガス燃焼室40d等を備え、燃料改質器40cによって改質された改質燃料ガス及び酸化剤としての空気を燃料電池セルスタック40aで化学反応させて発電するものである。
【0034】
燃料電池発電モジュール40にて発電された直流電力は、インバータ47を介して交流電力に変換されて外部に出力される。燃料電池発電装置3から排出される排気ガスは、排熱回収用熱交換器45にて循環往き通路15aと循環戻り通路15bを循環する湯水との間で熱交換され温度が低下した後に外部に排出される。
【0035】
燃料電池セルスタック40aは複数の燃料電池セルで構成されている。蒸発器40bは、燃料ガスに混合する為の水蒸気を生成して燃料改質器40cに供給するものである。燃料改質器40cは、ニッケルや白金等の改質触媒を有し、脱硫された燃料ガスと空気と水蒸気とを混合して反応させて改質燃料ガスを生成する。
【0036】
次に、脱硫器48について説明する。
図2に示すように、脱硫器48は、燃料改質器40cに供給される燃料ガスに含有されている硫黄化合物の除去(脱硫)を行う為のものであり、燃料ガス昇圧手段43の燃料ガス供給通路51に設けられている。この脱硫器48は、脱硫材としてゼオライトやシリカゲル、活性炭等が内部に充填されているが、特に脱硫材の材料は限定されるものではない。
【0037】
燃料ガスは、ガス供給源から電磁弁43aとガスガバナ43bを通って燃料昇圧ブロワ43cに取り込まれ、昇圧された燃料ガスは、バッファタンク43dと流量センサ43eを通って脱硫器48に流入し、脱硫器48で脱硫された燃料ガスは、燃料電池発電モジュール40において蒸発器40bを介して燃料改質器40cに供給される。
【0038】
次に、貯湯タンク4とその周辺機器について説明する。
図3、
図4に示すように、貯湯タンク4の底部から燃料電池発電装置3へ延びる循環往き通路15aと燃料電池発電装置3から貯湯タンク4の頂部へ戻る循環戻り通路15bを接続するバイパス通路15cが設けられ、このバイパス通路15cと循環戻り通路15bの接続部には三方弁33が介装され、燃料電池発電装置3から循環戻り通路15bへ戻った冷却水の温度が低いときには、循環往き通路15a、燃料電池発電装置3、循環戻り通路15b、バイパス通路15cの順に湯水を循環させるようになっている。
【0039】
貯湯タンク4の底部には排水パイプ54が接続され、この排水パイプ54の先端部位には排水栓55が設けられている。排水パイプ54と排水栓55を介して貯湯タンク4から水抜きすることができる。
【0040】
非常時(断水と停電時)に燃料電池発電装置3での発電を継続しつつ、貯湯タンク4内の湯水を取出して生活用水に使用することができるように、次のような水取出し用パイプ56と、非常用水取出し栓57と、エアチャージ部58が貯湯タンク4に設けられている。
【0041】
水取出し用パイプ56の上端部が貯湯タンク4の中段部又はその近傍部に接続され、水取出し用パイプ56の上部が貯湯タンク4の外部において下方へ屈曲されて所定長さ下方へ延びている。この水取出し用パイプ56の下端部には手動開閉型の非常用水取出し栓57が設けられている。
図3の場合、図示のH1,H2の長さの比は、例えば1.2:1.0であるが、これに限定される訳ではなく、H1,H2の長さの比は、例えば1.0:1.0でもよい。
【0042】
エアチャージ部58はエアチャージパイプ58aとエアチャージ栓58bで構成されており、
エアチャージパイプ58aの上端部が貯湯タンク4の頂部付近においてタンク出湯通路22に接続され、エアチャージパイプ58aは側方へ延びてから屈曲部を介して下方へ所定長さ延びている。エアチャージパイプ58aの下端部には手動開閉型のエアチャージ弁58bが介装されている。
【0043】
図3は、非常時でない通常時の使用状況を示し、貯湯タンク4内の下部及び中段部に低温水から成る低温層4uが形成され、低温層4uの上側に中温水からなる中温層4vが形成され、貯湯タンク4内の上部には高温水からなる高温層4wが形成されている。但し、低温層4u、中温層4v、高温層4wの厚さは一定ではなく、湯水の消費状況や消費速度により変動する。
【0044】
次に、上記の貯湯システム1の作用、効果について説明する。
非常時に燃料電池発電装置3による発電を継続しつつ、貯湯タンク4内の湯水を取出して生活用水等に使用する際には、
図4に示すように、エアチャージ部58のエアチャージ栓58bを開き、水取出し用パイプ56の下方にバケツ等の容器をセットしてから、非常用水取出し栓57を開いて、貯湯タンク4内の湯水を容器に取り出すことができる。
【0045】
水取出し用パイプ56が貯湯タンク4の中段部又はその近傍部に接続されているため、
図4のように、貯湯タンク4の下半部からは湯水を取り出すことができず、貯湯タンク4の下半部には必ず湯水が残るため、その湯水の全部が高温にならない限り燃料電池発電装置3による発電を継続することができる。
【0046】
次に、貯湯タンク4とその周辺機器の変更形態について説明する。
図5に示すように、貯湯タンク4の頂部と、貯湯タンク4の中段部又はその近傍部を接続する接続通路59が設けられ、その接続通路59には例えば風呂追い焚き用の熱交換器60と湯水循環用のポンプ61が介装されている。
【0047】
貯湯タンク4内の湯水を取出すための水取出し用パイプ56は、接続通路59の下端部分から分岐するように設けられている。このように、水取出し用パイプ56を接続通路59の下端部分から分岐させるため、水取出し用パイプ56を貯湯タンク4に溶接する必要がないから製造面で有利である。エアチャージパイプ58aは、接続通路59の上端部分から分岐する状態に設けられ、このエアチャージパイプ58aの下端部には手動開閉型のエアチャージ栓58bが設けられている。その他、前記の貯湯システム1と同様の作用、効果を奏する。
【0048】
その他、当業者ならば本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はその種の変更形態をも包含するものである。
【符号の説明】
【0049】
1 :貯湯システム
2 :貯湯給湯装置
3 :燃料電池発電装置
4 :貯湯タンク
54:排水パイプ
55:排水栓
56:水取出しパイプ
57:非常用水取出し栓
58:エアチャージ部
59:接続通路