(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075435
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】貯湯給湯システム
(51)【国際特許分類】
F24H 15/212 20220101AFI20230524BHJP
F24H 15/40 20220101ALI20230524BHJP
【FI】
F24H1/18 302K
F24H1/18 302N
F24H1/18 301A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188341
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】山根 将太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健
(72)【発明者】
【氏名】山下 諭
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 由典
【テーマコード(参考)】
3L122
【Fターム(参考)】
3L122AA04
3L122AA12
3L122AA23
3L122AA54
3L122AB22
3L122AB33
3L122BA02
3L122BA12
3L122BA13
3L122BB03
3L122BB12
3L122BB13
3L122BB14
3L122BB31
3L122DA13
3L122EA01
3L122FA02
(57)【要約】
【課題】補助熱源機の加熱運転を伴う給湯中に給湯設定温度が変更された場合に、安定した温度で給湯することができる貯湯給湯システムを提供すること。
【解決手段】貯湯給湯システム(1)は、主熱源機(2)と、この主熱源機(2)で加熱して貯湯する貯湯槽(3)を備えた貯湯ユニット(4)と、貯湯ユニット(4)から出湯された湯水が加熱開始温度以下の場合に加熱運転で給湯設定温度に調温して給湯する補助熱源機(5)とを有し、貯湯槽(3)の湯水の温度を検知する貯湯温度検知手段(3d)の検知温度が給湯設定温度未満の場合に、制御手段(18)は、貯湯槽(3)の湯水と上水とを混合する湯水混合手段(14)により加熱開始温度以下の温度を目標温度として調温して貯湯ユニット(4)から出湯し、補助熱源機(5)の加熱運転中に給湯設定温度を下げる降温変更が行われた場合には、降温変更前における給湯設定温度と目標温度の差温が、降温変更後でも維持されるように目標温度を下げる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主熱源機と、前記主熱源機で加熱した湯水を貯湯する貯湯槽を備えた貯湯ユニットと、この貯湯ユニットから出湯された湯水が所定の加熱開始温度以下の場合に加熱運転によって予め設定された給湯設定温度に調温して給湯する補助熱源機とを有する貯湯給湯システムにおいて、
前記貯湯ユニットは、前記貯湯槽の湯水の温度を検知する貯湯温度検知手段と、前記貯湯槽の湯水と上水とを混合して調温する湯水混合手段と、前記湯水混合手段による調温を制御する制御手段を有し、
前記制御手段は、前記貯湯温度検知手段の検知温度が前記給湯設定温度未満の場合に、前記湯水混合手段によって前記加熱開始温度以下の温度を目標温度として調温して前記貯湯ユニットから出湯し、前記補助熱源機の前記加熱運転中に前記給湯設定温度を下げる降温変更が行われた場合には、前記降温変更の前における前記給湯設定温度と前記目標温度の差温が、前記降温変更の後でも維持されるように前記目標温度を下げることを特徴とする貯湯給湯システム。
【請求項2】
前記制御手段は、前記加熱運転中に前記給湯設定温度を上げる昇温変更が行われた場合には、前記昇温変更の前の前記目標温度を変更せずに維持することを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主熱源機で加熱して貯湯槽に貯湯した湯水を給湯に使用する貯湯給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、加熱運転効率が高い主熱源機として、例えばヒートポンプ式熱源機で加熱された湯水を貯湯槽に貯湯し、この貯湯槽の湯水を給湯に使用する貯湯給湯システムが広く利用されている。貯湯槽から出湯された湯水は、湯水混合部で上水と混合され、予め設定された給湯設定温度に調温された湯水が例えば給湯栓に給湯される。
【0003】
給湯開始時に給湯設定温度で給湯可能な湯水が貯湯槽にない場合には、貯湯槽から湯水混合部を介して出湯された湯水を、補助熱源機として例えば燃焼式の熱源機の加熱運転によって加熱して給湯する。このとき、貯湯槽の湯水温度が、給湯設定温度未満であって給湯設定温度に近い温度の場合には、補助熱源機の最小加熱能力で加熱しても給湯設定温度よりも高温になる虞がある。そのため、補助熱源機で加熱する場合には、湯水混合部で貯湯槽の湯水に上水を混合して、所定の加熱開始温度以下に温度を下げた湯水を補助熱源機に供給し、補助熱源機の加熱運転によって給湯設定温度に調温して給湯するように構成されている。
【0004】
例えば特許文献1のように、貯湯槽に高温の湯水を貯湯しているときに給湯が再開された場合に、湯水混合部において貯湯槽側の流量を上水側の流量よりも小さくすることにより、補助熱源機に低温の湯水を供給し、補助熱源機で加熱して給湯する技術が知られている。一方、特許文献2のように、給湯が停止されると、湯水混合部を給湯時よりも上水側の流量が多くなる混合比に調整し、給湯再開時には補助熱源機に過剰に高温の湯水が供給されないようにする技術が知られている。何れの技術も、給湯再開時の低温の上水側の流量を増加させるように湯水混合部の混合比を調整して、予期せず高温の湯水が給湯されることを防止している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6129033号公報
【特許文献2】特許第6685135号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、給湯設定温度は、ユーザが給湯使用前に所望の温度に設定することができ、給湯使用中でも変更可能である。湯水混合部で給湯設定温度に調温して給湯しているときに給湯設定温度が変更された場合には、給湯開始時と同様に貯湯槽の湯水の温度に応じて補助熱源機で加熱運転を行わずに、又は加熱運転を行って、変更後の給湯設定温度で給湯する。補助熱源機での加熱運転を伴う給湯中に給湯設定温度が変更された場合には、変更後の給湯設定温度で給湯するために、加熱運転の加熱能力が調整される。
【0007】
ここで、給湯設定温度を下げる降温変更が行われた場合、加熱運転の加熱能力が小さくなるように調整されるが、最低加熱能力よりも小さい加熱能力が要求されると加熱運転を停止することになる。そうすると、補助熱源機で加熱しないので、給湯設定温度よりも低温の給湯になってしまう。そのため、給湯設定温度の変更に追従して、湯水混合部で変更前とは異なる温度に調整された湯水を補助熱源機に供給することが要求される。
【0008】
しかし、給湯設定温度を上げる昇温変更が行われた場合には、加熱運転の加熱能力を大きくして調温するが、この昇温変更に追従して湯水混合部が昇温変更前よりも高温の湯水を補助熱源機に供給すると、昇温変更後の給湯設定温度よりも高温の湯水が給湯される虞がある。それ故、補助熱源機での加熱運転を伴う給湯中に給湯設定温度が変更されても、変更後の給湯設定温度で安定的に給湯することができる貯湯給湯システムが要求されている。
【0009】
本発明の目的は、補助熱源機の加熱運転を伴う給湯中に給湯設定温度が変更された場合に、変更後の温度で安定的に給湯することができる貯湯給湯システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明の貯湯給湯システムは、主熱源機と、前記主熱源機で加熱した湯水を貯湯する貯湯槽を備えた貯湯ユニットと、この貯湯ユニットから出湯された湯水が所定の加熱開始温度以下の場合に加熱運転によって予め設定された給湯設定温度に調温して給湯する補助熱源機とを有する貯湯給湯システムにおいて、前記貯湯ユニットは、前記貯湯槽の湯水の温度を検知する貯湯温度検知手段と、前記貯湯槽の湯水と上水とを混合して調温する湯水混合手段と、前記湯水混合手段による調温を制御する制御手段を有し、前記制御手段は、前記貯湯温度検知手段の検知温度が前記給湯設定温度未満の場合に、前記湯水混合手段によって前記加熱開始温度以下の温度を目標温度として調温して前記貯湯ユニットから出湯し、前記補助熱源機の前記加熱運転中に前記給湯設定温度を下げる降温変更が行われた場合には、前記降温変更の前における前記給湯設定温度と前記目標温度の差温が、前記降温変更の後でも維持されるように前記目標温度を下げることを特徴としている。
【0011】
上記構成によれば、貯湯給湯システムは、主熱源機と、貯湯槽を備えた貯湯ユニットと、貯湯ユニットから出湯された湯水が所定の加熱開始温度以下の場合に加熱運転を行って給湯設定温度に調温して給湯する補助熱源機とを有する。貯湯ユニットは、貯湯槽の湯水の温度を検知する貯湯温度検知手段と、貯湯槽の湯水と上水とを混合して調温する湯水混合手段と、湯水混合手段による調温を制御する制御手段を有する。この制御手段は、給湯設定温度で給湯できる湯水が貯湯槽に無い場合に、貯湯ユニットからの出湯の目標温度を補助熱源機の加熱開始温度以下の温度に設定して調温した湯水を出湯する。補助熱源機は、貯湯ユニットで調温された湯水を加熱運転により給湯設定温度に調温して給湯する。この加熱運転中に給湯設定温度を下げる降温変更が行われた場合には、制御手段は、降温変更前における給湯設定温度と目標温度の差温が降温変更後でも維持されるように、貯湯ユニットの目標温度を下げる。従って、給湯設定温度を下げる降温変更後でも加熱運転が必要なので、加熱運転を継続して給湯設定温度の湯水を安定的に給湯することができる。特に貯湯槽に給湯設定温度未満であって給湯設定温度に近い温度の湯水が貯湯されている場合に、加熱運転中の給湯設定温度を下げる降温変更によって最小加熱能力よりも小さい加熱能力が要求されて加熱運転が停止され、給湯設定温度未満の湯水が給湯される事態を防ぐことができる。
【0012】
請求項2の発明の貯湯給湯システムは、請求項1の発明において、前記制御手段は、前記加熱運転中に前記給湯設定温度を上げる昇温変更が行われた場合には、前記昇温変更の前の前記目標温度を変更せずに維持することを特徴としている。
上記構成によれば、補助熱源機による加熱運転中に給湯設定温度を上げる昇温変更が行われた場合には、制御手段は、昇温変更前の目標温度を昇温変更後も維持する。従って、貯湯ユニットから補助熱源機に供給される湯水の温度が維持されるので、昇温変更後の給湯設定温度に対応するように加熱運転の加熱能力を大きくして、変更後の給湯設定温度で安定的に給湯することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の貯湯給湯システムによれば、補助熱源機の加熱運転を伴う給湯中に給湯設定温度が変更された場合に、変更後の温度で安定して給湯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の実施例に係る貯湯給湯システムの説明図である。
【
図2】貯湯ユニットの出湯制御フローチャートである。
【
図3】補助熱源機の加熱制御フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例0016】
最初に、本発明の貯湯給湯システム1の構成について、
図1に基づいて説明する。
貯湯給湯システム1は、主熱源機2として例えばヒートポンプ熱源機と、この貯湯運転によって主熱源機2で加熱された湯水を貯湯する貯湯槽3を備えた貯湯ユニット4と、例えば燃焼式の補助熱源機5を有する。この補助熱源機5は、貯湯槽3の湯水の温度では給湯設定温度の給湯ができない場合に、貯湯ユニット4から供給される湯水を加熱運転によって給湯設定温度に加熱して、給湯栓6に給湯する。貯湯ユニット4から給湯設定温度の湯水が供給される場合には、補助熱源機5は加熱運転を行わずに給湯栓6に湯水を供給する。
【0017】
貯湯槽3の下部には、主熱源機2に貯湯槽3の湯水を供給するためのポンプ7を備えた主熱源機往き通路8が接続されている。貯湯槽3の上部には、主熱源機2で加熱された湯水を貯湯槽3に貯湯するための主熱源機戻り通路9が接続されている。主熱源機戻り通路9の途中には、湯水の流路を切り替える切替弁10が配設され、この切替弁10で主熱源機戻り通路9から分岐された戻り分岐通路9aが、主熱源機往き通路8のポンプ7よりも上流部分に接続されている。
【0018】
主熱源機戻り通路9の切替弁10よりも上流部分には、主熱源機2で加熱された湯水の温度を検知する戻り温度センサ9bが配設されている。例えば主熱源機2の起動直後における戻り温度センサ9bの検知温度が所定の貯湯設定温度よりも低い場合に、切替弁10を貯湯槽3側から戻り分岐通路9a側に切り替えて、十分に加熱できるようになるまで貯湯槽3に湯水を戻さずに循環させる。
【0019】
貯湯槽3の底部には、矢印CWで示す上水を供給する給水通路11が接続されている。貯湯槽3の頂部には、貯湯槽3の湯水を貯湯ユニット4の外部に出湯するための出湯通路12が接続されている。給水通路11の途中から分岐された給水分岐通路11aは、出湯通路12の途中に配設された混合弁14(湯水混合手段)に接続されている。貯湯槽3の湯水は、混合弁14で上水と混合されて出湯される。尚、混合弁14の代わりに、貯湯槽3側の流量を調整する流量調整弁と、給水分岐通路11a側の流量を調整する流量調整弁とで湯水混合手段が構成されていてもよい。
【0020】
貯湯槽3には、複数の貯湯温度センサ3a~3dが高さ方向に配設され、貯湯槽3に貯湯された湯水の温度(貯湯温度)と貯湯量を検知することができる。この複数の貯湯温度センサ3a~3dが、貯湯槽3の貯湯温度を検知する貯湯温度検知手段に相当する。
【0021】
給水通路11には、給水通路11から供給される上水の温度(給水温度)を検知する給水温度センサ11bが配設されている。出湯通路12には、貯湯ユニット4からの出湯流量を検知する出湯流量センサ12aと、貯湯槽3から出湯される湯水の温度を検知する貯湯槽出湯温度センサ12bと、貯湯ユニット4からの出湯温度を検知する出湯温度センサ12cが配設されている。
【0022】
貯湯ユニット4の出湯通路12と補助熱源機5の給水口5aとが、湯水通路15によって接続されている。補助熱源機5の給湯口5bには、給湯栓6に接続された給湯通路16が接続されている。補助熱源機5は、給水口5aから入水する湯水の入水温度を検知する入水温度センサ5cと、給湯口5bから給湯される湯水の給湯温度を検知する給湯温度センサ5dと、給湯流量を検知する給湯流量センサ5eを有する。そしてこれらの検知温度、検知流量に基づいて予め設定された給湯設定温度で給湯するために、加熱運転を制御する補助熱源機制御部5fが装備されている。貯湯ユニット4から出湯された湯水は、補助熱源機5を介して給湯栓6に供給され、給湯栓6から矢印HWで示すように給湯される。
【0023】
貯湯ユニット4は、ポンプ7を駆動して貯湯槽3の湯水を主熱源機2に導入し、主熱源機2で加熱した湯水を貯湯槽3の上部に戻して貯湯する貯湯運転を制御する貯湯ユニット制御部18(制御手段)を有する。貯湯ユニット制御部18と補助熱源機制御部5fには、例えば給湯設定温度等をユーザが設定するための操作端末19が接続されている。
【0024】
貯湯ユニット制御部18は、給水温度センサ11bで検知される給水温度と、出湯流量センサ12aで検知される出湯流量と、貯湯槽出湯温度センサ12bで検知される湯水の温度に基づいて、出湯温度センサ12cで検知される温度が貯湯ユニット4からの出湯の目標温度になるように、混合弁14の混合比を調整することにより調温して出湯する。また、貯湯ユニット制御部18は、貯湯温度センサ3a~3dの各検知温度に基づいて、貯湯熱量を取得(算出)する。
【0025】
貯湯運転は、例えば設定された時刻に貯湯槽3が予め設定された貯湯設定温度の湯水で満たされるように実行される。また、貯湯熱量が基準熱量未満になった場合に、貯湯槽3が貯湯設定温度の湯水で満たされるように貯湯運転が実行されてもよく、貯湯ユニット制御部18が学習記憶した給湯使用に基づいて予測した必要な熱量を貯湯するように貯湯運転が実行されてもよい。
【0026】
次に、貯湯ユニット4で調温した湯水を補助熱源機5に出湯する出湯運転における貯湯ユニット制御部18の出湯運転制御について、
図2のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=1,2,・・・)はステップを表す。
【0027】
出湯運転制御が開始されると、S1において出湯流量センサ12aが所定の流量を検知したか否か判定する。このS1は出湯開始の判定ステップであり、給湯栓6における給湯開始に伴う貯湯ユニット4からの出湯開始を検知するために、繰り返しS1の判定を行うように構成されている。S1の判定がNoの場合はS1の判定を再度行い、S1の判定がYesの場合にはS2に進む。
【0028】
S2において、貯湯温度が給湯設定温度以上か否か判定する。補助熱源機5による加熱運転が必要か否か判定するステップである。ここでの貯湯温度は、例えば最上段の貯湯温度センサ3dが検知する温度である。貯湯槽3に給湯設定温度以上の湯水が貯湯されているためS2の判定がYesの場合はS3に進み、S3において給湯設定温度を貯湯ユニット4からの出湯の目標温度として設定してS4に進む。
【0029】
次に、S4において、混合弁14における貯湯槽3から出湯された湯水と上水との混合比を調整することによって、目標温度(給湯設定温度)に調温した湯水を出湯してS5に進む。そして、S5において、出湯流量センサ12aが流量非検知となったか否か判定する。給湯栓6の閉栓による給湯の停止に伴う出湯停止の判定ステップである。S5の判定がNoの場合(出湯継続の場合)にはS2に戻る。S5の判定がYesの場合(出湯停止の場合)にはS6に進み、S6において出湯運転を停止してリターンする。
【0030】
一方、S2の判定がNoの場合はS7に進み、貯湯槽3に給湯設定温度未満の湯水しかないため補助熱源機5の加熱運転が必要なので、S7において補助熱源機5の加熱開始温度以下の温度を目標温度として設定してS8に進む。このとき貯湯ユニット制御部18は、給湯設定温度と出湯流量に基づいて給湯設定温度よりも所定温度αだけ低い温度を加熱開始温度として算出する。所定温度αは、例えば補助熱源機5の最小加熱能力に応じて予め設定されており、貯湯ユニット制御部18は出湯流量が小さいほど所定温度αが大きくなるように補正する。目標温度は、貯湯温度の変動等によって加熱開始温度を超えて加熱運転が停止されないように、貯湯ユニット制御部18が出湯流量に応じて例えば0~5℃の範囲で調整する温度βだけ加熱開始温度よりも低い温度に設定される。
【0031】
次にS8において、混合弁14における貯湯槽3から出湯された湯水と上水との混合比を調整することによって、目標温度(加熱開始温度以下の温度)に調温した湯水を出湯してS9に進む。貯湯ユニット4から補助熱源機5に供給される湯水の温度は、加熱開始温度以下であればよい。また、貯湯槽3の湯水の温度が目標温度未満の場合には、貯湯槽3側が最大となるように混合比を調整しても目標温度よりも低温の湯水が補助熱源機5に供給されることになる。
【0032】
S9において、出湯流量センサ12aが流量非検知となったか否か判定する。S5と同様に、給湯栓6の閉栓による給湯の停止に伴う出湯停止の判定ステップである。S9の判定がYesの場合(出湯停止の場合)にはS6に進み、S6において出湯運転を停止してリターンする。S9の判定がNoの場合(出湯継続の場合)にはS10に進む。
【0033】
S10において、補助熱源機5の加熱運転中に給湯設定温度を上げる昇温変更が行われたか否か判定する。S10の判定がYesの場合にはS11に進み、S11において目標温度を変更することなく維持してS8に戻る。S8では昇温変更の前後で同じ温度の湯水が貯湯ユニット4から出湯されることになる。
【0034】
一方、S10の判定がNoの場合にはS12に進み、S12において、補助熱源機5の加熱運転中に給湯設定温度を下げる降温変更が行われたか否か判定する。S12の判定がNoの場合は、給湯設定温度の変更がないものとしてS8に戻る。S12の判定がYesの場合はS13に進み、S13において、降温変更前における給湯設定温度と目標温度との差温が、降温変更後でも維持されるように、給湯設定温度を下げる降温変更と同じ温度だけ目標温度を下げて、S8に戻る。S8では、下げられた目標温度に調温された湯水又はそれ以下の温度の湯水が貯湯ユニット4から出湯されることになる。
【0035】
補助熱源機5は、貯湯ユニット4から供給される湯水を、その湯水温度に応じて加熱運転を行って又は加熱運転を行わずに、給湯栓6に供給する。このときの補助熱源機制御部5fによる加熱運転制御について
図3のフローチャートに基づいて説明する。
【0036】
加熱運転制御が開始されると、S21において給湯流量センサ5eが流量、即ち給湯を検知したか否か判定する。このS21は給湯開始の判定ステップであり、給湯栓6における給湯開始を検知可能なように、給湯していないときには繰り返しS21の判定を行うように構成されている。S21の判定がNoの場合はS21の判定を再度行い、S21の判定がYesの場合にS22に進む。
【0037】
S22において、補助熱源機5の入水温度センサ5cが検知する入水温度が加熱開始温度よりも高いか否か判定する。補助熱源機5で加熱運転を行うか否か判定するステップである。加熱開始温度は、補助熱源機制御部5fが給湯設定温度と出湯流量に基づいて給湯設定温度よりも所定温度αだけ低い温度を加熱開始温度として算出するが、貯湯ユニット制御部18との通信により加熱開始温度が共有されるようにしてもよい。S22の判定がYesの場合はS23に進み、S23において加熱運転を行わずに給湯してS25進む。
【0038】
一方、S22の判定がNoの場合にはS24に進み、入水温度と給湯流量と給湯設定温度に基づいて加熱能力を調整して湯水を給湯設定温度に加熱する加熱運転を行い、給湯設定温度に調温した湯水を給湯してS25に進む。例えば加熱運転中に給湯設定温度が降温変更された場合には、この降温変更と同じだけ目標温度を下げて調温された湯水が入水するので加熱運転が必要であり、加熱運転を継続して給湯する。一方、加熱運転中に給湯設定温度が昇温変更された場合には、昇温変更の前後で目標温度が維持され、入水温度が変わらないので、変更後の給湯設定温度に応じて加熱運転の加熱能力を大きくして給湯する。加熱運転が継続されるので、変更された給湯設定温度での給湯にスムーズに移行することができ、安定的に変更後の給湯設定温度の給湯を行うことができる。
【0039】
次にS25において、給湯流量センサ5eが給湯流量非検知となったか否か判定する。S25の判定がNoの場合(給湯継続の場合)はS22に戻る。S25の判定がYesの場合(給湯終了の場合)はS26に進み、S26において給湯停止(加熱運転を行っていた場合に加熱運転を停止)してリターンし、この加熱運転制御が再びS21から開始される。尚、補助熱源機5の補助熱源機制御部5fがこの加熱運転制御を行うが、貯湯ユニット制御部18が補助熱源機5の加熱運転制御を行うように構成されていてもよい。
【0040】
上記貯湯給湯システム1の作用、効果について説明する。
貯湯ユニット制御部18(制御手段)は、貯湯槽3に給湯設定温度で給湯できる湯水が無い場合に、貯湯ユニット4からの出湯の目標温度を補助熱源機5の加熱開始温度以下の温度に設定して調温した湯水を出湯する。補助熱源機5は、貯湯ユニット4で調温された湯水を加熱運転により給湯設定温度に調温して給湯する。
【0041】
補助熱源機5の加熱運転中に操作端末19から給湯設定温度を下げる降温変更が行われた場合には、貯湯ユニット制御部18は、降温変更前における給湯設定温度と目標温度の差温が、降温変更後でも維持されるように、貯湯ユニット4の出湯の目標温度を下げる。従って、給湯設定温度を下げる降温変更後でも加熱運転が必要なので、加熱運転を継続して給湯設定温度の湯水を安定的に給湯することができる。特に貯湯槽3に給湯設定温度未満であって給湯設定温度に近い温度の湯水が貯湯されている場合に、加熱運転中の給湯設定温度を下げる降温変更によって、最小加熱能力よりも小さい加熱能力が要求されて加熱運転が停止され、給湯設定温度未満の湯水が給湯される事態を防ぐことができる。
【0042】
一方、補助熱源機5の加熱運転中に給湯設定温度を上げる昇温変更が行われた場合には、貯湯ユニット制御部18は、昇温変更前の目標温度を昇温変更後も維持し、補助熱源機5の加熱運転で昇温変更後の給湯設定温度に調温して給湯する。従って、貯湯ユニット4から補助熱源機5に供給される湯水の温度が維持されるので、昇温変更後の給湯設定温度に対応するように加熱運転の加熱能力を大きくして、給湯設定温度の湯水を安定的に給湯することができる。
【0043】
その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、上記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。