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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075438
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】起動管理システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/24 20060101AFI20230524BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20230524BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
E02F9/24 B
B25J19/06
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188346
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】小林 和彦
(72)【発明者】
【氏名】泉岡 直希
(72)【発明者】
【氏名】グエン フー バック
(72)【発明者】
【氏名】羽立 征治
(72)【発明者】
【氏名】柿沼 武
【テーマコード(参考)】
2D015
3C707
【Fターム(参考)】
2D015GA03
2D015GB06
2D015HA03
2D015HB00
3C707KS11
3C707KT01
3C707KT06
3C707MS15
3C707MS16
3C707MS29
(57)【要約】
【課題】簡易な構成のもとで無資格者による作業機械の操縦を防ぐことのできる起動管理システムを提供する。
【解決手段】起動管理システム10は、作業機械11の起動を管理する起動管理機12を備える。起動管理機12は、作業機械11の操縦席に着座した作業者の顔情報を操縦者情報として取得する撮像機16と、作業機械11の起動電源回路に介在するように起動電源回路に接続されて、起動電源回路を通電可能状態と通電不能状態とに切替可能に構成された電気回路と、作業機械11の操縦資格を有する有資格者の顔情報である有資格者情報を記憶する有資格者情報記憶部17と、電気回路の状態を制御する処理回路を有する制御部と、を有する。制御部は、操縦者情報と有資格者情報とに基づいて、上記作業者が有資格者である場合に電気回路を通電不能状態から通電可能状態に制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械の起動を管理する起動管理機を備える起動管理システムであって、
前記起動管理機は、
前記作業機械の操縦席に着座した作業者の顔情報を操縦者情報として取得する撮像機と、
前記作業機械の起動電源回路に介在するように前記起動電源回路に接続されて、前記起動電源回路を通電可能状態と通電不能状態とに切替可能に構成された電気回路と、
前記作業機械の操縦資格を有する有資格者の顔情報である有資格者情報を記憶する有資格者情報記憶部と、
前記電気回路の状態を制御する処理回路を有する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記操縦者情報と前記有資格者情報とに基づいて、前記作業者が前記有資格者である場合に前記電気回路を前記通電不能状態から前記通電可能状態に制御する
起動管理システム。
【請求項2】
前記起動電源回路は、第1インターフェースを有し、
前記電気回路は、前記第1インターフェースに接続可能な第2インターフェースを有し、
前記起動管理機は、持ち運び可能な携帯機であり、
前記第1インターフェースの形状および前記第2インターフェースの形状が前記作業機械ごとに異なる
請求項1に記載の起動管理システム。
【請求項3】
前記起動管理機と通信可能に構成され、前記有資格者情報を作成する有資格者情報作成装置をさらに備え、
前記有資格者情報作成装置は、前記作成した有資格者情報を前記起動管理機に転送可能に構成され、
前記起動管理機は、前記有資格者情報作成装置から前記有資格者情報が転送されると、前記有資格者情報記憶部に記憶されている有資格者情報を前記転送された有資格者情報に更新する
請求項2に記載の起動管理システム。
【請求項4】
前記作業機械に前記起動管理機が備え付けられている
請求項1に記載の起動管理システム。
【請求項5】
前記有資格者情報を作成するとともに、前記作成した有資格者情報と前記作業機械の識別情報とを外部記憶媒体に記憶させる有資格者情報作成装置をさらに備え、
前記起動管理機は、前記外部記憶媒体を接続可能な外部インターフェースを有し、
前記外部記憶媒体は、前記外部インターフェースへの接続により前記有資格者情報記憶部として機能し、
前記制御部は、
前記作業機械の識別情報を記憶する識別情報記憶部を有し、
前記識別情報記憶部の識別情報と前記外部記憶媒体の識別情報とが同じである場合に、前記外部記憶媒体に記憶されている有資格者情報に基づいて、前記電気回路の状態を制御する
請求項4に記載の起動管理システム。
【請求項6】
前記有資格者情報を作成する有資格者情報作成装置をさらに備え、
前記起動管理機と前記有資格者情報作成装置とが無線通信可能に構成され、
前記有資格者情報作成装置は、前記作成した有資格者情報を、当該有資格者情報に対応する前記起動管理機に送信可能に構成され、
前記起動管理機は、前記有資格者情報作成装置が送信した有資格者情報を受信すると、前記有資格者情報記憶部に記憶されている有資格者情報を前記受信した有資格者情報に更新する
請求項4に記載の起動管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械の起動を管理する起動管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、無資格者による作業機械の操縦を防止するために、無資格者による作業機械の起動を制限する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、作業者が携帯する情報端末と作業機械に備え付けられたコントロール装置との間で通信を行い、その作業者が予め設定された人物である場合に作業機械の起動を許可する技術が開示されている。
【0003】
具体的に、例えば指紋情報など、作業者自身を特定するデータを情報端末に取り込ませてコントロール装置に送信する。コントロール装置は、作業機械のイグニッションスイッチの動作を制御可能に構成されており、情報端末から送信されたデータに基づいて、その作業者が予め設定された人物である場合に作業機械の起動を許可する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-124514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1においては、コントロール装置によって起動が許可される際に情報端末との間で通信が必要になるため、通信環境の条件や状況などによって、予め設定された人物であっても起動が許可されない場合があった。よって、無資格者による作業機械の操縦をより効果的に防ぐことを可能にする技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する起動管理システムは、作業機械の起動を管理する起動管理機を備える起動管理システムであって、前記起動管理機は、前記作業機械の操縦席に着座した作業者の顔情報を操縦者情報として取得する撮像機と、前記作業機械の起動電源回路に介在するように前記起動電源回路に接続されて、前記起動電源回路を通電可能状態と通電不能状態とに切替可能に構成された電気回路と、前記作業機械の操縦資格を有する有資格者の顔情報である有資格者情報を記憶する有資格者情報記憶部と、前記電気回路の状態を制御する処理回路を有する制御部と、を有し、前記制御部は、前記操縦者情報と前記有資格者情報とに基づいて、前記作業者が前記有資格者である場合に前記電気回路を前記通電不能状態から前記通電可能状態に制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、簡易な構成のもとで無資格者による作業機械の操縦を効果的に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態における起動管理システムの概略構成を示す図。
図2】第1実施形態において、起動管理機の取付例を模式的に示す図。
図3】第1実施形態における起動管理機を示す機能ブロック図。
図4】第1実施形態における有資格者情報作成装置を示す機能ブロック図。
図5】第2実施形態における起動管理システムの概略構成を示す図。
図6】第2実施形態における起動管理機を示す機能ブロック図。
図7】第3実施形態における起動管理システムの概略構成を示す図。
図8】第3実施形態における起動管理機を示す機能ブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1図4を参照して、起動管理システムの第1実施形態について説明する。起動管理システムは、作業機械の起動を管理することにより、無資格者による作業機械の操縦を防ぐシステムである。ここでは、3つの作業機械の起動を管理する場合を例に起動管理システムについて説明する。
【0010】
図1に示すように、起動管理システム10は、作業機械11a,11b,11cの起動を管理するシステムである。起動管理システム10は、作業機械11a,11b,11cに各別に対応する起動管理機12a,12b,12cと、有資格者情報作成装置13と、を備えている。起動管理機12a,12b,12cと有資格者情報作成装置13とは、無線あるいは有線により通信可能に構成されている。なお、起動管理機12a,12b,12cの基本的な構成は同じであるため、以下では、起動管理機12a,12b,12cを区別しないときは単に起動管理機12という。また、作業機械11a,11b,11cについても、区別しないときは単に作業機械11という。
【0011】
(起動管理機および有資格者情報作成装置の概要)
起動管理機12は、顔認証によって作業機械11の起動を許可する。本実施形態において、起動管理機12は、作業者が持ち運び可能な携帯機である。起動管理機12は、作業機械11の操縦席付近に取り付け可能に構成されている。起動管理機12は、撮像機16と、作業機械11を操縦可能な資格を有する有資格者の顔情報(顔認証情報)である有資格者情報を記憶する有資格者情報記憶部17と、を有している。
【0012】
有資格者情報作成装置13は、有資格者情報を管理する管理者18の操作に基づいて、各作業機械11a,11b,11cについての有資格者情報を作成する。管理者18は、ヘルメットを着用した状態にある各作業者20,21,22を撮像機24で撮像した画像データを、各作業者20,21,22の顔情報として有資格者情報作成装置13に取り込む。そして、管理者18は、作業機械11ごとに作業者20,21,22の中から有資格者を選択して登録することにより、各作業機械11についての有資格者情報を作成する。例えば、有資格者情報作成装置13は、作業機械11aに対応する起動管理機12a、作業機械11bに対応する起動管理機12b、作業機械11cに対応する起動管理機12cのそれぞれで起動管理するための有資格者情報を作成する。すなわち、一例として、作業者20が作業機械11cの有資格者であることを示す有資格者情報を作成する。作成された有資格者情報は、起動管理機12と有資格者情報作成装置13とを通信状態にし、有資格者情報作成装置13で所定の操作が行われることによって、起動管理機12に転送される。起動管理機12は、有資格者情報記憶部17に記憶されている有資格者情報を、その転送された有資格者情報に更新する。また、起動管理機12は、例えば、管理者18によって持ち出しが管理される。
【0013】
(作業機械に対する起動管理機の取付例)
図2に示すように、起動管理機12は、持ち出し許可された作業者(20,21,22)が携帯し、この作業者(20,21,22)によって取付具25を介して作業機械11の所定位置に取り付けられる。取付具25の一例としては、1以上の関節を有するアームで構成したものが挙げられる。この取付具25は、操縦席26への乗り降りの際に開閉される開閉扉27とは反対側の窓28に基端部29を吸着させることにより作業機械11に固定される。起動管理機12は、取付具25の先端部に対して着脱可能に構成されている。起動管理機12は、取付具25を適宜操作することにより、撮像機16の位置および向きが調整可能に構成されている。
【0014】
また、起動管理機12には、作業機械11に設けられた第1インターフェース31に接続可能な第2インターフェース32を有している。第1インターフェース31は、作業機械11の起動電源回路の一部である。第1インターフェース31の形状および第2インターフェース32の形状は、各起動管理機12が特定の作業機械11に対応するように、作業機械11ごとに異なっている。これにより、起動管理機12a,12b,12cの各第2インターフェース32は、それぞれ作業機械11a,11b,11cの第1インターフェース31にのみ接続可能となる。
【0015】
起動管理機12は、例えば、第1インターフェース31に第2インターフェース32が接続された状態で作業機械11から電源が供給されることにより起動する。作業機械11から起動管理機12への電源供給は、例えば、作業機械11の起動スイッチがACC(アクセサリーポジション)操作されることにより開始される。起動管理機12は、電源供給開始後の一定期間、起動状態となるように構成されている。
【0016】
(起動管理機)
図3に示すように、起動管理機12は、撮像機16、電気回路34、および、制御部35を有する。
【0017】
撮像機16は、起動管理機12の正面方向を撮像方向として起動管理機12に搭載されている。操縦席26に着座した作業者(20,21,22)は、起動管理機12との位置調整を行って撮像機16の撮像範囲に自身の顔が配置されるようにする。撮像機16は、起動管理機12が起動状態にあるとき、撮像範囲を撮像した撮像データを操縦者情報として取得し、その取得した操縦者情報を制御部35に入力する。
【0018】
電気回路34は、上述した第2インターフェース32を有する。電気回路34は、第1インターフェース31への第2インターフェース32の接続により、作業機械11の起動電源回路の一部を構成する。このとき、電気回路34は、起動電源回路を通電可能状態と通電不能状態とに切替可能に構成されている。通電可能状態は、作業機械11に対する起動操作により、該作業機械11を起動できる状態である。電気回路34は、制御部35が実行する起動許否処理を通じて、通電不能状態から通電可能状態へと切り替えられる。
【0019】
制御部35は、有資格者情報記憶部17と各種処理を実行する処理部36とを有する。
処理部36は、有資格者情報作成装置13から有資格者情報が転送されると有資格者情報記憶処理を実行する。有資格者情報記憶処理において、処理部36は、有資格者情報記憶部17に記憶されている有資格者情報を、転送された有資格者情報に更新する。
【0020】
処理部36は、起動管理機12の起動後に準備処理を実行する。準備処理において、処理部36は、例えば、撮像機16による撮像準備が整うと第1ランプ37を所定のパターンで点灯させることにより、撮像準備が完了していることを作業者(20,21,22)に通知する。第1ランプ37が所定のパターンで点灯しているとき、制御部35には、撮像機16が取得した操縦者情報が入力される。
【0021】
制御部35への操縦者情報の入力が開始されると、処理部36は、起動許否処理を実行する。起動許否処理において、処理部36は、撮像機16から入力された操縦者情報と有資格者情報記憶部17に記憶されている有資格者情報とを照合する。そして、操縦者情報に基づく顔情報が有資格者情報に含まれている場合、処理部36は、電気回路34を通電不能状態から通電可能状態へと切り替える。また、処理部36は、第2ランプ38を所定のパターンで点灯させることで作業機械11が起動可能状態にあることを作業者(20,21,22)に通知する。一方、処理部36は、操縦者情報に基づく顔情報が有資格者情報に含まれていない場合、電気回路34を通電不能状態に維持する。また、処理部36は、第2ランプ38を所定のパターンで点灯させることにより、有資格者として登録されてないことを作業者に通知する。
【0022】
(有資格者情報作成装置)
図4に示すように、有資格者情報作成装置13は、入力部41、表示部42、外部IF43、および、情報処理部45を有する。
【0023】
入力部41は、例えば、キーボードやマウス、タッチパネルなど、オペレータ(管理者18など)によって操作可能なデバイスで構成することができる。入力部41は、オペレータの操作に基づく操作情報を情報処理部45に入力する。
【0024】
表示部42は、ディスプレイやタッチパネルディスプレイなど、各種情報を表示するデバイスで構成することができる。
外部IF43は、例えば、撮像機24や起動管理機12などが接続可能なインターフェースである。
【0025】
情報処理部45は、各種処理を実行する処理部46と各種情報を記憶する記憶部47とを有する。
処理部46は、各作業者20,21,22の顔情報を取り込む取込処理を実行する。取込処理は、外部IF43に撮像機24が接続された状態において入力部41で取込開始操作がなされると開始される。取込処理において、処理部46は、撮像機24が有している各作業者20,21,22の撮像データを、各作業者20,21,22の顔情報として記憶部47に記憶する。
【0026】
処理部46は、有資格者情報を作成する作成処理を実行する。作成処理は、入力部41で有資格者情報作成操作がなされると開始される。作成処理において、処理部46は、有資格者情報を作成するための各種作成画面を表示部42に表示する。各種作成画面において、管理者18は、入力部41を通じて、有資格者として登録する作業者20,21,22の顔情報を作業者20,21,22の顔情報の中から選択するとともに、作成対象となる作業機械11の識別情報を入力する。有資格者の選択および識別情報の入力が完了すると、処理部46は、作成対象となった作業機械11の有資格者情報を作成する。処理部46は、作成した有資格者情報を、入力された作業機械11の識別情報を関連付けて記憶部47に記憶する。作業機械11の識別情報は、例えば、記憶部47に記憶した有資格者情報を管理者18が識別する際などに利用される。
【0027】
処理部46は、有資格者情報を転送する転送処理を実行する。転送処理は、外部IF43に起動管理機12が接続された状態で入力部41において所定の操作がなされると開始される。転送処理において、処理部46は、起動管理機12に転送する有資格者情報を管理者18に選択させる選択画面を表示部42に表示する。管理者18は、その選択画面において有資格者情報を選択したのちに転送操作を行う。転送操作がなされると、処理部46は、管理者18が選択した有資格者情報を起動管理機12に転送する。
【0028】
こうした有資格者情報の転送により、例えば、作業機械11aに対応する起動管理機12aでは、作業者20,21,22の顔情報で構成された有資格者情報が有資格者情報記憶部17に記憶される。作業機械11bに対応する起動管理機12bでは、作業者21,22の顔情報で構成された有資格者情報が有資格者情報記憶部17に記憶される。作業機械11cに対応する起動管理機12cでは、作業者20の顔情報で構成された有資格者情報が有資格者情報記憶部17に記憶される。
【0029】
なお、上述した制御部35および情報処理部45は、例えばcircuitry、すなわち、ASICのような1つ以上の専用のハードウェア回路、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って動作する1つ以上の処理回路、或いは両者の組み合わせによって実現することができる。処理回路は、CPUと、CPUによって実行されるプログラムを記憶したメモリ(ROM及びRAM等)と、を有する。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。
【0030】
(作用)
起動管理システム10において、作業機械11を操縦予定の作業者(20,21,22)は、管理者18の許可を得たうえで、その作業機械11に対応する起動管理機12を持ち出して作業機械11に取り付ける。その後、作業者(20,21,22)は、作業機械11の操縦席に着座して起動管理機12を起動させたのち、撮像機16で自身の顔を撮像する。起動管理機12は、撮像機16が取得した作業者(20,21,22)の顔情報である操縦者情報と有資格者情報記憶部17に記憶されている有資格者情報とを照合する。そして、起動管理機12は、操縦者情報に基づく作業者(20,21,22)が有資格者である場合に作業機械11の起動を許可する。
【0031】
第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)起動管理システム10は、作業機械11の起動を管理する起動管理機12を備える。起動管理機12は、作業機械11の操縦席26に着座した作業者(20,21,22)の顔情報を操縦者情報として取得する撮像機16と、作業機械11の起動電源回路に介在するように起動電源回路に接続されて、起動電源回路を通電可能状態と通電不能状態とに切替可能に構成された電気回路34と、作業機械11の操縦資格を有する有資格者の顔情報を含む有資格者情報を記憶する有資格者情報記憶部17と、電気回路34の状態を制御する処理回路を有する制御部35と、を有する。制御部35は、操縦者情報と有資格者情報とに基づいて、上記作業者が有資格者である場合に電気回路34を通電不能状態から通電可能状態に制御する。
【0032】
これにより、起動管理機12は、作業機械11を操縦予定の作業者が有資格者である場合にのみ、その作業機械11の起動を許可する。例えば、起動管理機12cは、操縦予定の作業者が作業者20である場合にのみ、作業機械11cの起動を許可する。この際、起動管理機12は、他の機器との間での通信を行うことなく作業機械11の起動を許可することから、簡易な構成のもとで無資格者による作業機械11の操縦を従来よりも効果的に防ぐことができる。
【0033】
(1-2)起動電源回路は、第1インターフェース31を有する。電気回路34は、第1インターフェース31に接続可能な第2インターフェース32を有する。起動管理機12は、持ち運び可能な携帯機である。第1インターフェース31の形状および第2インターフェース32の形状が作業機械11ごとに異なっている。
【0034】
これにより、作業機械11の起動には、起動管理機12の持ち出しが必要となる。その結果、起動管理機12の持ち出し管理が行われることで各作業機械11の無資格者による操縦を防ぐことができる。
【0035】
また、第1インターフェース31の形状および第2インターフェース32の形状が作業機械11ごとに異なることで、各起動管理機12を特定の作業機械11に対応付けることができる。その結果、各作業機械11においては、対応付けられた起動管理機12のみで起動が許可されることから、各作業機械11の無資格者による操縦をより確実に防ぐことができる。
【0036】
(1-3)起動管理システム10は、起動管理機12と通信可能に構成され、有資格者情報を作成する有資格者情報作成装置13をさらに備える。有資格者情報作成装置13は、作成した有資格者情報を起動管理機12に転送可能に構成されている。起動管理機12は、有資格者情報作成装置13から有資格者情報が転送されると、有資格者情報記憶部17に記憶されている有資格者情報を、その転送された有資格者情報に更新する。
【0037】
これにより、各作業機械11の有資格者情報を起動管理機12とは別の装置において管理することができる。また、各作業機械11に対応付けられた起動管理機12について、有資格者情報の更新を容易に行うこともできる。
【0038】
(1-4)起動管理システム10においては、ヘルメットを着用した状態にある作業者20,21,22の顔情報を用いて有資格者情報が作成される。
これにより、建設現場などにおいて着用義務のあるヘルメットの有無を含めて、操縦席26に着座している作業者(20,21,22)が有資格者であるか否かを判断することができる。その結果、ベルメットの未着用に起因した事故などを未然に防ぐことができる。
【0039】
(1-5)起動管理機12は、一定期間だけ起動状態となるように構成されている。
これにより、作業機械11から起動管理機12への電源供給が作業機械11の起動時のみに限定されるため、起動管理機12による電力消費を抑えることができる。
【0040】
(第2実施形態)
図5および図6を参照して、起動管理システムの第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の起動管理システムは、第1実施形態における起動管理システムと主要な構成が同じである。そのため、第2実施形態においては、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、第1実施形態と同様の部分については同様の符号を付すことによりその詳細な説明は省略する。
【0041】
図5に示すように、起動管理システム50においては、例えば図2に示したような取付方法にて、各作業機械11a,11b,11cに起動管理機12が備え付けられている。起動管理機12および有資格者情報作成装置13は、外部記憶媒体51a,51b,51cが接続可能に構成されている。外部記憶媒体51a,51b,51cには、それぞれ作業機械11a,11b,11cに対応する有資格者情報と作業機械の識別情報とが記憶されている。
【0042】
なお、外部記憶媒体51a,51b,51cの基本的な構成は同じであるため、以下では、外部記憶媒体51a,51b,51cを区別しないときは単に外部記憶媒体51という。また、外部記憶媒体51は、USBメモリやSDカードなど、持ち運びが容易な媒体である。
【0043】
図6に示すように、起動管理機12の電気回路34は、作業機械11の起動電源回路52の一部として予め組み込まれている。起動管理機12は、外部記憶媒体51が接続可能な外部IF(外部インターフェース)53を有している。また、制御部35は、自機が対応付けられた作業機械11の識別情報を記憶する識別情報記憶部54を有している。
【0044】
制御部35の処理部36は、外部IF53に外部記憶媒体51が接続された状態にあるときに準備処理および起動許否処理を実行する。準備処理において、処理部36は、識別情報記憶部54に記憶されている識別情報と外部記憶媒体51に記憶されている識別情報とを照合する。識別情報が異なる場合、処理部36は、例えば第1ランプ37や第2ランプ38を所定のパターンで点灯させることにより、識別情報記憶部54の識別情報と外部記憶媒体51の識別情報とが異なることを作業者(20,21,22)に通知する(エラー通知)。一方、識別情報が同じである場合、処理部36は、撮像機16による撮像準備が整うと、第1ランプ37を所定のパターンで点灯させることにより、撮像準備が完了していることを作業者(20,21,22)に通知する。
【0045】
起動許否処理において、処理部36は、撮像機16から入力された操縦者情報と外部記憶媒体51の有資格者情報とを照合する。そして、処理部36は、操縦者情報が外部記憶媒体51に記憶されている有資格者情報に含まれている場合に電気回路34を通電不能状態から通電可能状態へと切り替える。
【0046】
外部記憶媒体51は、有資格者情報作成装置13の外部IF43に接続可能に構成されている。有資格者情報作成装置13の処理部46は、外部IF43に外部記憶媒体51が接続された状態で入力部41において所定の操作がなされると転送処理を実行する。
【0047】
転送処理において、処理部46は、転送する有資格者情報を管理者18に選択させる選択画面を表示部42に表示する。選択可能な有資格者情報は、作成処理によって記憶部47に記憶された有資格者情報である。管理者18は、有資格者情報を選択したうえで転送操作を行う。転送操作がなされると、処理部46は、選択された有資格者情報を外部記憶媒体51へと転送する。この際、有資格者情報に関連付けられている作業機械11の識別情報も外部記憶媒体51へ転送される。
【0048】
こうした転送処理により、作業機械11aに対応する有資格者情報および識別情報は、外部記憶媒体51aに記憶される。作業機械11bに対応する有資格者情報および識別情報は、外部記憶媒体51bに記憶される。作業機械11cに対応する有資格者情報および識別情報は、外部記憶媒体51cに記憶される。外部記憶媒体51a,51b,51cは、例えば管理者18によって持ち出しが管理される。
【0049】
(作用)
起動管理システム50において、作業機械11を操縦予定の作業者(20,21,22)は、管理者18の許可を得たうえで、その作業機械11に対応する外部記憶媒体51を持ち出して起動管理機12の外部IF53に接続する。その後、作業者は、作業機械11の操縦席に着座して起動管理機12を起動させる。この際、起動管理機12と外部記憶媒体51とにおいて作業機械11の識別情報が異なると作業者(20,21,22)へのエラー通知がなされる。エラー通知がなされなかった場合、作業者(20,21,22)は、撮像機16で自身の顔を撮像する。起動管理機12は、撮像機16が取得した作業者(20,21,22)の顔情報である操縦者情報と外部記憶媒体51に記憶されている有資格者情報とを照合する。そして、起動管理機12は、操縦者情報に基づく作業者(20,21,22)が有資格者である場合に作業機械11の起動を許可する。
【0050】
第2実施形態の起動管理システム50によれば、第1実施形態に記載した(1-1)(1-4)(1-5)に準ずる効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(2-1)起動管理システム50においては、各作業機械11に起動管理機12が備え付けられている。起動管理機12は、外部記憶媒体51を接続可能な外部IF53を有している。有資格者情報作成装置13は、有資格者情報とともに作業機械11の識別情報を外部記憶媒体51に記憶させる。外部IF53に接続された外部記憶媒体51は、有資格者情報記憶部として機能する。制御部35は、作業機械11の識別情報を記憶する識別情報記憶部54を有する。制御部35は、識別情報記憶部54の識別情報と外部記憶媒体51の識別情報とが同じである場合に、外部記憶媒体51に記憶されている有資格者情報に基づいて、起動許否処理を実行する。
【0051】
これにより、作業機械11の起動には、外部記憶媒体51の持ち出しが必要となる。その結果、外部記憶媒体51の持ち出し管理が行われることで各作業機械11の無資格者による操縦を防ぐことができる。また、例えば、作業機械11cの起動管理機12に外部記憶媒体51aを接続したとしても、無資格者である作業者22による作業機械11cの操縦が防止されるため、各作業機械11の無資格者による操縦をより確実に防ぐことができる。
【0052】
(2-2)制御部35は、識別情報記憶部54の識別情報と外部記憶媒体51の識別情報とが異なる場合にエラー通知を行う。
これにより、起動管理機12と外部記憶媒体51との組み合わせが異なる場合には、そのことを作業者(20,21,22)にすばやく通知することができる。
【0053】
(第3実施形態)
図7および図8を参照して、起動管理システムの第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態の起動管理システムは、第1実施形態における起動管理システムと主要な構成が同じである。そのため、第3実施形態においては、第1実施形態と異なる部分について詳細に説明し、第1実施形態と同様の部分については同様の符号を付すことによりその詳細な説明は省略する。
【0054】
図7に示すように、起動管理システム60においては、例えば図2に示したような取付方法にて、各作業機械11a,11b,11cに起動管理機12a,12b,12cが備え付けられている。また、各起動管理機12と有資格者情報作成装置13とが無線通信により通信可能に構成されている。有資格者情報作成装置13は、外部IFなどに接続された送信機61を通じて各起動管理機12に有資格者情報を送信する。
【0055】
図8に示すように、起動管理機12の電気回路34は、作業機械11の起動電源回路62の一部として予め組み込まれている。また、起動管理機12は、送信機61が送信した有資格者情報を受信する受信機63を有している。
【0056】
制御部35の処理部36は、有資格者情報記憶処理、準備処理、および、起動許否処理を実行する。有資格者情報記憶処理は、受信機63において有資格者情報を受信すると実行される。有資格者情報記憶処理において、処理部36は、有資格者情報記憶部17に記憶されている有資格者情報を受信機63が受信した有資格者情報に更新する。なお、起動管理機12は、有資格者情報の更新がいつでも実行可能となるように電池が内蔵されていることが好ましい。
【0057】
有資格者情報作成装置13の処理部46は、作成処理と送信処理とを実行する。送信処理は、転送処理に代えて実行される処理である。送信処理は、入力部41において所定の操作がなされると開始される。送信処理において、処理部46は、送信する有資格者情報と送信先の起動管理機12とを管理者18に選択させる選択画面を表示部42に表示する。選択可能な有資格者情報は、作成処理によって記憶部47に記憶された有資格者情報である。管理者18は、有資格者情報と起動管理機12とを選択したうえで送信操作を行う。送信操作がなされると、処理部46は、選択された有資格者情報を選択された起動管理機12へ、すなわち有資格者情報を当該有資格者情報に対応する起動管理機12へ送信機61を通じて送信する。
【0058】
こうした送信処理により、作業機械11aに対応する有資格者情報は、起動管理機12aへと送信されて起動管理機12aの有資格者情報記憶部17に記憶される。作業機械11bに対応する有資格者情報は、起動管理機12bへと送信されて起動管理機12bの有資格者情報記憶部17に記憶される。作業機械11cに対応する有資格者情報は、起動管理機12cへと送信されて起動管理機12cの有資格者情報記憶部17に記憶される。
【0059】
(作用)
起動管理システム60において、作業機械11を操縦予定の作業者(20,21,22)は、作業機械11の操縦席に着座して起動管理機12を起動させたのち、撮像機16で自身の顔を撮像する。起動管理機12は、撮像機16が取得した作業者(20,21,22)の顔情報である操縦者情報と有資格者情報記憶部17に記憶されている有資格者情報とを照合する。そして、起動管理機12は、操縦者情報に基づく作業者(20,21,22)が有資格者である場合に作業機械11の起動を許可する。
【0060】
第3実施形態の起動管理システム60によれば、第1実施形態に記載した(1-1)(1-4)(1-5)に準ずる効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(3-1)起動管理システム60においては、各作業機械11に起動管理機12が備え付けられている。また、各起動管理機12と有資格者情報作成装置13とが無線通信可能に構成されている。有資格者情報作成装置13は、作成した有資格者情報を、当該有資格者情報に対応する起動管理機12に送信可能に構成されている。起動管理機12は、有資格者情報を受信すると、有資格者情報記憶部17に記憶されている有資格者情報を、受信した有資格者情報に更新する。
【0061】
これにより、起動管理機12における有資格者情報を容易に更新することができる。また、作業機械11を操縦する際に有資格者情報を記憶した機器を持ち出す必要もないため、そうした機器の紛失を防止することができる。
【0062】
以上、起動管理システムの第1~第3実施形態について説明したが、本発明は上記の第1~第3実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、第1~第3実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0063】
・第2および第3実施形態において、起動管理機12の電気回路34は、第1実施形態のように第1インターフェース31と第2インターフェース32との接続により、起動電源回路に接続されてもよい。こうした構成によれば、作業機械11からの起動管理機12の取り外しが容易となるため、起動管理機12のメンテナンス性を高めることができる。この場合、第1インターフェース31の形状および第2インターフェース32の形状は、全ての作業機械11において同じであってもよい。
【0064】
・有資格者情報は、ヘルメットを着用していない状態での作業者の顔情報で構成されていてもよい。
・起動管理機12への電源供給は、起動管理機12に内蔵された電池によって行われてもよい。こうした構成においては、起動管理機12に起動スイッチが設けられる。
【0065】
・起動管理機12から作業者への通知は、ランプの点灯に基づくものに限られない。例えば、起動管理機12は、音声や画像の表示を用いて作業者に通知を行う構成であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
10…起動管理システム、11,11a,11b,11c…作業機械、12,12a,12b,12c…起動管理機、13…有資格者情報作成装置、16…撮像機、17…有資格者情報記憶部、18…管理者、20,21,22…作業者、24…撮像機、25…取付具、26…操縦席、27…開閉扉、28…窓、29…基端部、31…第1インターフェース、32…第2インターフェース、34…電気回路、35…制御部、36…処理部、37…第1ランプ、38…第2ランプ、41…入力部、42…表示部、43…外部IF、45…情報処理部、46…処理部、47…記憶部、50…起動管理システム、51,51a,51b,51c…外部記憶媒体、52…起動電源回路、53…外部IF、54…識別情報記憶部、60…起動管理システム、61…送信機、62…起動電源回路、63…受信機。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8