(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075452
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】陳列棚
(51)【国際特許分類】
A47F 5/10 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
A47F5/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188363
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000209223
【氏名又は名称】棚橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】川合 省司
(72)【発明者】
【氏名】森 浩司
【テーマコード(参考)】
3B118
【Fターム(参考)】
3B118AA13
3B118BA08
3B118BB04
3B118CA10
3B118CA12
(57)【要約】
【課題】
陳列用の棚板の高さを容易に調節可能な陳列棚を提供する。
【解決手段】
陳列用の棚板200を備えた陳列棚400であって、棚板200は、高さ調節部材300によって支柱100に固定されており、高さ調節部材300は、支柱100に設けられた固定孔110に挿入可能な固定挿入部310を備え、当該固定挿入部310は、固定孔110に挿入された状態と、固定孔110から外れた状態とを切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
陳列用の棚板を備えた陳列棚であって、
前記棚板は、高さ調節部材によって支柱に固定されており、
前記高さ調節部材は、前記支柱に設けられた固定孔に挿入可能な固定挿入部を備え、当該固定挿入部は、前記固定孔に挿入された状態と、前記固定孔から外れた状態とを切り替え可能に構成されていることを特徴とする陳列棚。
【請求項2】
前記高さ調節部材は、付勢部材を備えており、
当該付勢部材は、前記固定挿入部を前記固定孔に挿入するように付勢していることを特徴とする請求項1に記載の陳列棚。
【請求項3】
前記高さ調節部材は、前記固定挿入部を、前記固定孔に挿入された状態と前記固定孔から外れた状態とを切り替え可能に操作する操作部を備えており、
前記操作部は、前記棚板から下方へ突出した状態と、前記棚板から下方へ突出しないように収容された状態とを切り替え可能に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の陳列棚。
【請求項4】
前記高さ調節部材は、前記支柱の延出方向へ延びるレール部に当接するローラを備えることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の陳列棚。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、スーパーマーケット等において、陳列用の棚板を高さ調節可能に備えた陳列棚に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スーパーマーケットやコンビニ等において、例えば冷蔵庫内に飲料等の製品を陳列する際は、陳列棚の棚板を前方へ向けて傾斜させて利用している。具体的には、陳列棚の棚板は、支柱に設けられた複数の固定孔に固定金具を差し込んで固定されており、棚板の前側が低くなるように、棚板の前側と後側では、異なる高さの固定孔を利用していた。そして、棚板の高さを変更する際は、棚板の前側と後側のそれぞれにおいて、作業員が、固定金具を取り外し、任意の高さの固定孔に再び固定金具を差し込んで、高さを調節していた。そのため、陳列用の棚板の高さを調節する作業は、非常に効率が悪いという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
そこで、本願発明は、陳列用の棚板の高さを容易に調節可能な陳列棚を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本願発明の陳列棚は、陳列用の棚板を備えた陳列棚であって、前記棚板は、高さ調節部材によって支柱に固定されており、前記高さ調節部材は、前記支柱に設けられた固定孔に挿入可能な固定挿入部を備え、当該固定挿入部は、前記固定孔に挿入された状態と、前記固定孔から外れた状態とを切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【0005】
上記特徴によれば、高さ調節部材の固定挿入部が固定孔に挿入された状態と固定孔から外れた状態とを切り替え可能に構成されているので、陳列用の棚板の高さを容易に調節できるのである。
【0006】
さらに、本願発明の陳列棚は、前記高さ調節部材は、付勢部材を備えており、当該付勢部材は、前記固定挿入部を前記固定孔に挿入するように付勢していることを特徴とする。
【0007】
上記特徴によれば、固定挿入部が固定孔から不用意に外れることを防止できる。
【0008】
さらに、本願発明の陳列棚は、前記高さ調節部材は、前記固定挿入部を、前記固定孔に挿入された状態と前記固定孔から外れた状態とを切り替え可能に操作する操作部を備えており、前記操作部は、前記棚板から下方へ突出した状態と、前記棚板から下方へ突出しないように収容された状態とを切り替え可能に構成されていることを特徴とする。
【0009】
上記特徴によれば、操作部が棚板の下側の陳列スペースを狭めることがない。
【0010】
さらに、本願発明の陳列棚は、前記高さ調節部材は、前記支柱の延出方向へ延びるレール部に当接するローラを備えることを特徴とする。
【0011】
上記特徴によれば、棚板は、ローラによってレール部に沿って案内されながら、スムーズに上下に移動できる。
【発明の効果】
【0012】
上記のように、本願発明の陳列棚によれば、陳列用の棚板の高さを容易に調節できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図3】(a)は、本願発明の陳列棚の棚板の底面図、(b)は、棚板の前端の隅部を拡大した底面図(
図3(a)の点線で示した丸内を拡大した底面図)である。
【
図4】(a)から(c)は、本願発明の陳列棚の棚板の前端の隅部を拡大した正面図である。
【
図5】(a)は、本願発明の陳列棚の高さ調節部材付近を内側から拡大して示した側面図、(b)は、陳列棚の高さ調節部材付近を拡大した正面図である。
【
図6】(a)は、本願発明の陳列棚の棚板を傾斜させた状態において、陳列棚の高さ調節部材付近を内側から拡大して示した側面図、(b)は、棚板を傾斜させた状態において、陳列棚の高さ調節部材付近を拡大した正面図である。
【符号の説明】
【0014】
100 支柱
110 固定孔
200 棚板
300 高さ調節部材
310 固定挿入部
400 陳列棚
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本願発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下で説明する実施形態における陳列棚の各部材の形状や材質等は、一例を示すものであって、これらに限定されるものではない。なお、本明細書に記載されている「上下方向」とは、水平面に沿って設置された陳列棚の支柱が延出する方向のことである。
【0016】
まず、
図1及び
図2に、本願発明の陳列棚400を示す。なお、
図1は陳列棚400の斜視図、
図2は陳列棚400の側面図である。
【0017】
図1及び
図2に示すように、陳列棚400は、全体が金属等の任意の素材から形成されており、四隅に上下方向へ延出する支柱100と、各支柱100に四隅が固定された略長方形状の棚板200とを備えている。この支柱100は、上下方向に沿って所定間隔で形成された、略楕円形の横長の固定孔110を複数備える。さらに、支柱100は、固定孔110に隣接する位置に、支柱100の延出方向へ、上下に直線状に延びるレール部120を備える。
【0018】
また、棚板200は、前端210の両側の2箇所が高さ調節部材300によって支柱100に固定され、後端220の両側の2箇所が、高さ調節部材300によって支柱100に固定されている。詳しくは後述するが、高さ調節部材300によって棚板200の取り付け高さを任意に変更でき、棚板200の前端210側が低く傾斜するように高さを調節するなど、適宜変更できる。
【0019】
また、詳しくは後述するが、高さ調節部材300は、ローラ370を備えている。このローラ370は、固定孔110の内側に隣接するレール部120に当接して回動できるようになっている。そして、
図2に示すように、棚板200の外側(前側)に向けて、棚板200の前端210、支柱100の固定孔110、ローラ370の順に並んでいる。そのため、棚板200の前端210側が下方へ傾斜した際に、棚板200の下向きにかかる自重の一部を、棚板200のローラ370が、レール部120に当接しながら支持することになる。すると、棚板200の下向きにかかる自重の一部が、固定孔110及び、後述する固定挿入部310にかかりにくく、固定挿入部310を固定孔110へ抜き差しすることを妨げないのである。
【0020】
次に、
図3及び
図4を参照して、高さ調節部材300の構成について詳しく説明する。なお、
図3(a)は、棚板200の底面図、
図3(b)は、棚板200の前端210の隅部を拡大した底面図(
図3(a)の点線で示した丸内を拡大した底面図)、
図4(a)から
図4(c)は、棚板200の前端210の隅部を拡大した正面図である。
【0021】
図3及び
図4に示すように、高さ調節部材300は、棚板200の前端210と後端220の各隅部に設けられている。この高さ調節部材300は、棚板200の裏面201側に取り付けられており、棚板200の表側の陳列スペースを狭くしないように構成されている。高さ調節部材300は、支柱100の固定孔110に挿入可能な固定挿入部310を備えている。この固定挿入部310は、長尺状の棒形状をしており、収容部320の内部にスライド可能に収納されている。そして、固定挿入部310の先端311側は収容部320の貫通孔321を挿通して、棚板200の側端230から突出しており、支柱100の固定孔110に挿入可能となっている。また、収容部320は、固定挿入部310のスライド軸Pに沿って延出するスライド用孔322と、スライド用孔322に略直角に交差して上下方向に延出する収容孔323を備える。このスライド用孔322と収容孔323は連続しており、スライド用孔322と収容孔323は、固定挿入部310に連結された操作部330を挿通させて内部を移動可能に構成されている。
【0022】
また、収容部320の内部には、コイルばねの形態の付勢部材340が設けられている。この付勢部材340は、固定挿入部310の周囲に巻き付けられるように配置されており、付勢部材340の一端341が操作部330の根元付近に当接し、付勢部材340の他端342が収容部320の内壁324に当接している。そのため、付勢部材340は、固定挿入部310を固定孔110に挿入する方向へ付勢することができる。また、収容部320の内壁324には、貫通孔325が設けられており、この貫通孔325から固定挿入部310の末端312が突出している。このように、収容部320の内部に収容された固定挿入部310は、先端311側が収容部320の一方の貫通孔321において軸支され、末端312側が収容部320の他方の貫通孔325において軸支されている。そのため、固定挿入部310は、収容部320内において、スライド軸Pに沿ってスライド可能であると共に、スライド軸Pの周りを回動できるように、構成されている。
【0023】
そして、上記構成により、
図4(a)から
図4(c)に示す固定挿入部310の操作が可能になる。具体的には、
図4(a)に示すように、固定挿入部310を支柱100の固定孔110に挿入したい場合は、固定挿入部310を側方(図面上、右側)へ向けて棚板200の側端230から飛び出させる。固定孔110へ向けて固定挿入部310をスライドさせて飛び出させる際は、作業員は、棚板200から下方へ突出した操作部330を指で摘まんで操作する。次に、固定挿入部310を支柱100の固定孔110に挿入した後、利用しない操作部330が棚板200の下側の陳列スペースを狭めないために、下方へ突出した操作部330を収容する。具体的には、
図4(b)に示すように、作業員は、下方へ突出した操作部330を上下方向へ延出した収容孔323に沿って上方へ回動させる。すると、操作部330は、棚板200の裏面201側に近接するように収容され、棚板200から下方へ突出しないように、姿勢が切り替えられる。なお、操作部330を回動させると、操作部330に連結された固定挿入部310もスライド軸Pの周りを回動することになるが、固定挿入部310が支柱100の固定孔110に挿入された状態は維持されている。
【0024】
また、固定挿入部310は、付勢部材340によって固定孔110へ向けて付勢されているので、固定挿入部310が固定孔110から不用意に外れることを防止できる。また同様に、固定挿入部310に連結された操作部330も固定孔110へ向けて付勢されているので、操作部330は収容孔323の凹部326に強く嵌まるように押し付けられている。そのため、操作部330が下方へ回動して、棚板200から下方へ不用意に飛び出ることを防止できる。
【0025】
次に、固定挿入部310を支柱100の固定孔110から外したい場合は、固定挿入部310を棚板200の側端230から飛び出ないように、内側へ引き込む。具体的には、
図4(c)に示すように、作業員は、操作部330を指で摘まんで、操作部330を上下方向へ延出した収容孔323に沿って下方へ回動させる。そして、操作部330を、収容孔323に連続したスライド用孔322内において、スライド軸Pに沿って内側(図面上、左側)へ移動させる。すると、操作部330に連結された、固定挿入部310もスライド軸Pに沿って内側へ移動し、固定挿入部310の先端311は内側へ引き込まれ、棚板200の側端230から飛び出ない状態となる。これにより、固定挿入部310は支柱100の固定孔110から外れた状態に切り替えられる。
【0026】
また、
図3に示すように、高さ調節部材300は、固定挿入部310に隣接する位置に、ローラ370を備える。このローラ370は、棚板200の前端210と後端220の各隅部において、側端230に設けられており、回転軸Rの周りを回転できるように構成されている。
【0027】
なお、固定挿入部310は、長尺状の棒形状をしているが、これに限定されず、支柱100の固定孔110に挿入可能であれば、任意の形状とすることが出来る。また、高さ調節部材300は、付勢部材340を備えているが、これに限定されず、付勢部材340を備えなくてもよい。また、付勢部材340は、コイルばねの態様をしているが、これに限定されず、付勢部材340は、固定挿入部310を固定孔110に挿入する方向へ付勢することができるのであれば、弾性ゴムなどの任意の構成を採用できる。また、高さ調節部材300の操作部330は、棚板200から下方へ突出した状態と、棚板200から下方へ突出しないように収容された状態とを切り替え可能に構成されているが、これに限定されず、操作部330は棚板200から下方へ突出した状態のままで切り替えできないように、又は、操作部330は棚板200から下方へ突出しないように収容された状態のままで切り替えできないように、構成されてもよい。また、高さ調節部材300は、ローラ370を備えているが、これに限定されず、ローラ370を備えなくてもよい。
【0028】
では次に、
図5及び
図6を参照して、高さ調節部材300を利用して、棚板200の高さを調節する態様について説明する。なお、
図5(a)は、陳列棚400の高さ調節部材300付近を内側から拡大して示した側面図、
図5(b)は、陳列棚400の高さ調節部材300付近を拡大した正面図、
図6(a)は、棚板200を傾斜させた状態において、陳列棚400の高さ調節部材300付近を内側から拡大して示した側面図、
図6(b)は、棚板200を傾斜させた状態において、陳列棚400の高さ調節部材300付近を拡大した正面図である。
【0029】
まず、
図5には、棚板200が水平になるように支柱100に取り付けられた状態を示す。
図5に示すように、棚板200に取り付けられた高さ調節部材300の固定挿入部310が、支柱100の固定孔110に挿入されているので、棚板200は支柱100に動かないように固定された状態となっている。
【0030】
そして、
図6に示すように、棚板200の前端210側の高さを低くして、前端210側が下方へ向けて傾斜するように高さを調節したい場合は、まず、作業員は、操作部330を指で摘まんで、操作部330を収容孔323に沿って下方へ回動させる。そして、操作部330をスライド用孔322内においてスライド軸Pに沿って内側へ移動させる。すると、固定挿入部310もスライド軸Pに沿って内側へ移動し、固定挿入部310は支柱100の固定孔110から外れた状態に切り替えられる。次に、作業員は、棚板200の前端210側を下方へ傾斜させて、任意の高さの固定孔110と、高さ調節部材300の固定挿入部310の位置を合わせる。そして、再び、高さ調節部材300の固定挿入部310を任意の高さの固定孔110へ挿入すれば、前端210側が下方へ向けて傾斜するように、棚板200の高さを変更して固定できる。このように、本願発明の陳列棚400では、高さ調節部材300の固定挿入部310が固定孔110に挿入された状態と固定孔110から外れた状態とを切り替え可能に構成されているので、陳列用の棚板200の高さを容易に調節できるのである。
【0031】
また、高さ調節部材300のローラ370は支柱100のレール部120に当接しており、棚板200が上下に移動する際には、ローラ370は、レール部120の延出方向に延びる平坦な当接面121に当接しながら回転する。そのため、棚板200は、ローラ370によってレール部120に沿って案内されながら、スムーズに上下に移動できるのである。このように、高さ調節部材300の固定挿入部310によって、棚板200が支柱100に固定された状態と移動可能な状態を容易に切り替えることができ、さらに、棚板200の上下方向の移動は、ローラ370とレール部120によってスムーズに行えることから、棚板200の重量が重くても、少ない作業員(例えば、一人)で、棚板200の高さを容易に調節でき、非常に利便性が高いのである。
【0032】
なお、
図1から
図3に示すように、高さ調節部材300は、棚板200の前端210と後端220の各隅部において、合計4つ設けられているが、これに限定されず、棚板200の前端210又は後端220の両隅に2箇所設けるのみでもよい。また、
図6では、棚板200の前端210を下側に向けて移動させているが、これに限定されず、前端210を上側に向けて傾斜させるなど、棚板200は任意の高さで任意の傾斜方向に調節できる。
【0033】
また、本願発明の陳列棚は、上記の実施例に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲、実施形態の範囲で、種々の変形例、組み合わせが可能であり、これらの変形例、組み合わせもその権利範囲に含むものである。