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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075475
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】車両用表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
B60R11/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188404
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000010098
【氏名又は名称】アルプスアルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098497
【弁理士】
【氏名又は名称】片寄 恭三
(74)【代理人】
【識別番号】100099748
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 克志
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(74)【代理人】
【識別番号】100105784
【弁理士】
【氏名又は名称】橘 和之
(72)【発明者】
【氏名】片寄 順
(72)【発明者】
【氏名】天野 崇
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BC04
3D020BD09
(57)【要約】
【課題】 ドライバーの安全運転と後部座席からの見易い映像との両立を図ることができる車両用表示装置を提供する。
【解決手段】 本発明の車両用表示装置100は、車室内の前部座席190と後部座席192との間に位置し、天井200から下方に延在可能な縦型スクリーン210と、縦型スクリーン210の天井から下方に延びる高さHおよび角度θを調整可能な調整手段と、車室内の天井200および縦型スクリーンに向けて映像を投射可能なプロジェクターとを有し、調整手段は、ユーザーからの指示に応じて縦型スクリーン210の高さおよび/または角度を調整する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車室内の前部座席と後部座席との間に位置し、天井から下方に延在可能な縦型スクリーンと、
前記縦型スクリーンの天井から下方に延びる高さおよび角度を調整可能な調整手段と、
車室内の天井および前記縦型スクリーンに向けて映像を投射可能な投射手段と、
を有する車両用表示装置。
【請求項2】
車両用表示装置はさらに、ユーザーからの指示を入力する入力手段を含み、
前記調整手段は、前記入力手段からの指示に応じて縦型スクリーンの高さおよび/または角度を調整する、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項3】
前記調整手段は、手動により縦型スクリーンの高さおよび/または角度を調整可能である、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項4】
前記縦型スクリーンは、投射された光が天井に向けて反射するのを防止する形状を有する、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項5】
前記防止する形状は、湾曲形状を有する、請求項4に記載の車両用表示装置。
【請求項6】
前記縦型スクリーンは、投射された光が天井に向けて反射するのを防止るための反射部材を含む、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項7】
車両用表示装置はさらに、縦型スクリーンの高さを検出する第1の検出手段と、
前記第1の検出手段により検出された高さに基づき前記投射手段の投射角度を調整する角度調整手段とを含む、請求項1に記載の車両用表示装置。
【請求項8】
車両用表示装置はさらに、運転者の頭の位置を検出する第2の検出手段を含み、
前記調整手段は、前記第2の検出手段により検出された頭の位置に基づき縦型スクリーンの高さを調整する、請求項1に記載の車両用表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用表示装置に関し、特に、天井スクリーンや縦型スクリーンに映像を投射可能な車両用表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車内のエンターテイメント性を向上させるため、前部座席の裏面天井にスクリーンを取付け、このスクリーン上に大画面の映像を投射する表示システム(特許文献1)や、アームレストに取り付けたプロジェクターにより天井に車外の映像を投射する投射システム(特許文献2)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-22174号公報
【特許文献2】特開2016-9100号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図1は、従来の車両用表示装置の概略構成を示す図である。同図に示すように、車室内に取り付けたプロジェクター10から天井20の一面に向けて映像を投射した場合、後部座席(例えばワンボックス車の2列目や3列目の座席)から映像を鮮明に見えるようにするためには、見易い位置へ見易い映像を投射しなければならない。
【0005】
運転者に安全でかつ後部座席から見易い位置へ投射するには、運転席と後部座席の間に縦型スクリーン30を設置すればよいが、縦型スクリーン30を設置するだけでは、運転者のルームミラー40による後方視界を妨げるおそれがある。
【0006】
また、後部座席から見易い位置へ投射するには、天井のより前方への投射が必要であり、さらには外光の映り込みに対処するためには、映像をより明るく投射する必要があるが、そのような投射を行うと、例えば、ドライバーがルームミラーを見るときなどに視野に映像が入り込むことによって安全運転を阻害してしまう。
【0007】
他方、ドライバーの運転阻害を回避するために、投射範囲を天井の後方にずらすと、後部座席からは天井を見上げるようになり、首や体に負担を与えてしまう。
【0008】
本発明は、このような従来の課題を解決し、ドライバーの安全運転と後部座席からの見易い映像との両立を図ることができる車両用表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る車両用表示装置は、車室内の前部座席と後部座席との間に位置し、天井から下方に延在可能な縦型スクリーンと、前記縦型スクリーンの天井から下方に延びる高さおよび角度を調整可能な調整手段と、車室内の天井および前記縦型スクリーンに向けて映像を投射可能な投射手段とを有する。
【0010】
ある態様では、車両用表示装置はさらに、ユーザーからの指示を入力する入力手段を含み、前記調整手段は、前記入力手段からの指示に応じて縦型スクリーンの高さおよび/または角度を調整する。ある態様では、前記調整手段は、手動により縦型スクリーンの高さおよび/または角度を調整可能である。ある態様では、前記縦型スクリーンは、投射された光が天井に向けて反射するのを防止する形状を有する。ある態様では、前記防止する形状は、湾曲形状を有する。ある態様では、前記縦型スクリーンは、投射された光が天井に向けて反射するのを防止るための反射部材を含む。車両用表示装置はさらに、縦型スクリーンの高さを検出する第1の検出手段と、前記第1の検出手段により検出された高さに基づき前記投射手段の投射角度を調整する角度調整手段とを含む。ある態様では、車両用表示装置はさらに、運転者の頭の位置を検出する第2の検出手段を含み、前記調整手段は、前記第2の検出手段により検出された頭の位置に基づき縦型スクリーンの高さを調整する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、天井から下方に延びる縦型スクリーンの高さと角度を調整できるようにしたので、ドライバーの後方視界の障害とならないように後方座席から見易い映像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】従来の車両用表示装置の課題を説明する図である。
図2】本発明の実施例に係る車両用表示装置の構成を示すブロック図である。
図3】車両の概略側面図と車室内の天井を下から見たときの平面図を示している。
図4図4(A)、(B)は、本実施例の縦型スクリーンの取付け例を示す概略側面図、図4(C)、(D)は、縦型スクリーンを構成するハウジングとスクリーン部の斜視図である。
図5】本発明の実施例に係るスクリーン駆動部の一例を示す図であり、図5(A)は、ハウジングの駆動例を示す平面図、図5(B)は、スクリーン部の駆動例を示す平面図である。
図6】本発明の実施例に係るプロジェクター投射角調整部の調整例を示す図である。
図7】本発明の実施例に係る車両用表示装置の動作を説明する図である。
図8】本発明の実施例の変形例を説明する図である。
図9】本発明の他の実施例に係る車両用表示装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態について説明する。本発明の車両用表示装置は、自動車等の車両に搭載され、車室内の天井にエンターテイメントなどの映像を表示する機能を備える。車両用表示装置は、他の外部機器や通信機器と連携し、エンターテイメントなどの映像として、例えば、オーディオ・ビジュアル・ナビゲーションによって再生される映像、テレビ映像、インターネット等を介してダウンロードされた映像、車外を撮像するカメラによって撮像された映像、スマートフォンの画面に映された映像などを表示することが可能である。これらの映像を、エンターテイメント用映像と称す。
【実施例0014】
次に、本発明の実施例について詳細に説明する。図2は、本発明の実施例に係る車両用表示装置の構成を示すブロック図である。車両用表示装置100は、操作入力部110、インターフェース(I/F)部120、記憶部130、スクリーン駆動部140、高さ/角度検出部150、プロジェクター160、投射角調整部170および制御部180を含んで構成される。
【0015】
操作入力部110は、エンターテイメント用映像に関するユーザー操作や縦型スクリーンに関するユーザー操作を受け取り、それらの操作情報を制御部180に提供する。操作入力部110は、特に限定されないが、例えば、操作スイッチ、タッチパネル、ユーザーのジェスチャーを撮像するカメラなどを含むことができる。
【0016】
ユーザーは、エンターテイメント用映像を表示させる場合、操作入力部110を介して映像リソースを選択したり、映像コンテンツなどを選択する。また、ユーザーは、縦型スクリーンの高さや角度を調整したい場合、操作入力部110を介して高さや角度の指示を与える。
【0017】
IF部120は、外部機器(例えば、オーディオ・ビジュアル・ナビゲーション機能を備えた装置、テレビ受信する機能を備えた装置、スマートフォン等の多機能型携帯端末、車外を撮像するカメラなど)との接続を可能にし、外部機器から映像データを取り込むことができる。IF部120から取り込まれた映像データは、プロジェクター160によって投射することができる。
【0018】
記憶部130は、車両用表示装置100にとって必要なデータを格納し、例えば、エンターテイメント用映像データ、プログラムやアプリケーション等のソフトウエアを格納することができる。格納されたソフトウエアは、制御部180によって実行することができる。
【0019】
スクリーン駆動部140は、天井から下方に向けて延びる縦型スクリーンの高さや角度を調整する。図3は、車両の概略側面図と車室内の天井を下から見たときの平面図である。同図に示すように、前部座席190と2列目の後部座席192との間には、天井200から吊るされたように下方に延在することができる縦型スクリーン210が設けられる。
【0020】
スクリーン駆動部140は、図4(A)に示すように、縦型スクリーン210の天井200からの高さHを調整したり、図4(B)に示すように、縦型スクリーン210の角度θを調整することを可能にする。
【0021】
縦型スクリーン210は、天井200から懸架可能であり、高さHおよび角度θが調整可能であれば、その構成は特に限定されない。一例として、縦型スクリーン210は、図4(C)に示すように、軸方向に内部空間が形成された円筒状のハウジング212と、ハウジング212の対向する両端にそれぞれ形成された回転軸214とを含み、回転軸214は、天井200の所定の支持部に形成された孔内に回転自在に挿入される。ハウジング212を回転軸214を中心に回転させることで、縦型スクリーン210の角度θが調整される。
【0022】
ハウジング212の下端には、内部空間に繋がる開口212Aが形成され、内部空間には、図4(D)に示すように、回転軸216と、回転軸216に巻回されたスクリーン部218とが収容される。スクリーン部218は、ある程度の可撓性と剛性のある材料から構成され、回転軸216に巻きつけられる。回転軸216を一方の方向に回転させることでスクリーン部218の端部218Aが開口212Aからハウジング外に引き出され、この引き出し量によって縦型スクリーン210の高さHが調整される。回転軸216を反対方向に回転させることでスクリーン部218が回転軸216に巻き取られ、端部218Aが開口212Aを介してハウジング内に引き込まれ、縦型スクリーン210の高さHが小さくなる。回転軸216は、例えば、その回転中心が回転軸214の回転中心と概ね一致するようにハウジング212の内壁に回転可能に取り付けられる。
【0023】
回転軸214、216は、回転されたときに一定の摩擦力をもつように支持され、ユーザーは、手動によってもハウジング212を回転させたり、あるいはスクリーン部218の長さを調整することが可能である。本実施例では、手動による操作に加えて、スクリーン駆動部140は、操作入力部110からの操作の指示があったとき、制御部180からの駆動信号に応じて回転軸214、216を回転させることで縦型スクリーン210の高さHや角度θを調整する。
【0024】
スクリーン駆動部140による縦型スクリーン210の駆動方法は特に限定されないが、その一例を図5に示す。スクリーン駆動部140は、図5(A)に示すように、ハウジング212の一方の端部の回転軸214に取り付けられたギヤ141と、ギヤ141を回転させるためのモーター142とを含む。モーター142は、例えば、ステッピングモーターであり、これを正転または逆転させることで、ハウジング212の角度が調整される。
【0025】
また、スクリーン駆動部140は、図5(B)に示すように、スクリーン部218を巻回する回転軸216の一方に取り付けられたギヤ143と、ギヤ143を回転させるためのモーター144とを含む。モーター144は、例えば、ステッピングモーターであり、これを正転または逆転させることで、スクリーン部118の引き出し量が調整される。
【0026】
高さ/角度検出部150は、縦型スクリーン210の高さHおよび角度θを検出する。高さ/角度検出部150の構成は特に限定されないが、例えば、回転軸214、216の位置や角度を検出するセンサー、モーター142、144の回転角を検出するセンサー、ハウジング212やスクリーン部218の位置を検出するセンサーを用いることができる。高さ/角度検出部150によって検出された高さHおよび角度θは、制御部180に提供される。
【0027】
プロジェクター160は、特に限定されないが、例えば液晶プロジェクターやDMD(Digital Mirror Device)プロジェクターを用いて構成される。プロジェクター160の取り付け位置は特に限定されないが、例えば、車両の後部に取り付けられ、そこから天井200や縦型スクリーン210に向けて映像を投射する。プロジェクター160は、制御部180によって生成された映像データ(フレーム)に基づき光源からの光を光学的に変調し、変調した光を天井200や縦型スクリーン210に投射する。これにより、天井200や縦型スクリーン210には、例えばエンターテイメント用映像の動画または静止画が表示される。プロジェクター160によって投射される映像のサイズが天井200のサイズに合うようにプロジェクター160の焦点距離が調整される。この調整は、ユーザーが任意に行うようにしてもよい。
【0028】
投射角調整部170は、縦型スクリーン210の高さHおよび角度θに応じて最適な映像が表示されるように、プロジェクター160の投射角を調整する。この場合、プロジェクター160は、投射角が変化できるように回転自在に取り付けられ、投射角調整部170は、制御部180からの駆動信号に応じて、例えばモーターを駆動し、プロジェクター160の投射角を調整する。
【0029】
例えば、図6(A)に示すように、縦型スクリーン210の高さがH1であるとき、高さH1に映像が収まるようにプロジェクター160の投射角がA1に調整される。また、図6(B)に示すように、縦型スクリーン210の高さがH2に伸びたとき(H2>H1)、投射角がA2に調整される(A2<A1)。さらに図6(C)に示すように、縦型スクリーン210の高さがH3に伸びたとき(H3>H2)、投射角がA3に調整される(A3<A2)。縦型スクリーン210の角度θが変化された場合にも投射角が調整されるようにしてもよい。
【0030】
例えば、縦型スクリーン210の高さとプロジェクター160の投射角との関係を規定したテーブル(または数式)を予め用意しておき、制御部180は、スクリーン駆動部140を介して縦型スクリーン210の高さを調整するとき、テーブルを参照して、高さ/角度検出部160により検出された高さに対応する投射角を算出し、その算出結果に基づき投射角調整部170を駆動する。同様に縦型スクリーン210の角度とプロジェクター160の投射角との関係を規定したテーブルを用意しておき、縦型スクリーンの角度を調整するとき、検出された角度に対応する投射角を算出し、その算出結果に基づき投射角を調整するようにしてもよい。
【0031】
制御部180は、特に限定されないが、例えば、ハードウエアおよび/またはソフトウエアを含み、操作入力部110からの入力に応じて車両用表示装置100の動作を制御する。例えば、操作入力部110によってエンターテイメント用映像の表示が指示されると、IF部120を介して映像リソースから映像データを取り込んだり、あるいは記憶部130から映像データを読出し、プロジェクター160に映像データを投射させる。また、縦型スクリーン210の高さや角度を変更する指示があると、スクリーン駆動部140を介して縦型スクリーン210の高さや角度を調整したり、高さ/角度検出部の検出結果に応じてプロジェクター160の投射角を調整する。
【0032】
次に、本実施例の車両用表示装置100の動作について説明する。制御部180は、車の天井(スクリーン)200にドライバーの後方視界の妨げにならないようにかつ後部座席から見易い位置に映像が表示されるように縦型スクリーン210の高さHおよび角度θを調整する。
【0033】
図7(A)に示すように、後部座席192、193に着座するユーザーが存在しない場合には、制御部180は、スクリーン駆動部140を介して縦型スクリーン210を天井200に完全に収容される。後部座席192、193へのユーザーの有無は、例えば、座席に取り付けた重量センサー、あるいは車内空間を撮像する撮像カメラの画像データを解析することで判定するようにしてもよいし、ドライバーUが操作入力部110を介して指示を与えるようにしてもよい。
【0034】
例えば、後部座席193にユーザーU1が着座したとき、図7(B)に示すように、プロジェクター160によって天井200に映像が投射される。このとき、映像の前方領域Qに外光が差し込む場合には、縦型スクリーン210が天井200から引き出され、映像への外光の入り込みが防止され、後部座席193からの映像が見易くなる。ドライバーUは、ルームミラー194から後方視界を確認するための障害とならないように、縦型スクリーン210の高さHや角度θを調整することができる。また、天井200および縦型スクリーン210に映像が表示されるようにプロジェクター160の投射角が調整される。なお、天井200および縦型スクリーン210には、異なる映像を表示させるようにしてもよい。この場合、制御部180は、天井200の映像サイズと縦型スクリーン210の映像サイズに応じた映像データ(フレーム)を生成する。
【0035】
例えば、図7(C)に示すように、2列目の後部座席192にユーザーU2が着座した場合には、ドライバーUまたはユーザーU1、U2は、縦型スクリーン210の角度θを傾斜させることで、ユーザーU2が映像を見上げる角度を小さくし、見易い姿勢で映像を見ることを可能にする。
【0036】
このように本実施例によれば、高さおよび角度の調整機能付き縦型スクリーンを用いることで、ドライバーの後方視界に合わせたスクリーンの高さ調整により運転阻害をすることなく映像投射が可能であり、かつ、ユーザーは後部座席から天井を見上げ続けることなく見易い姿勢で映像を見ることができる。
【0037】
次に、本実施例の変形例について図8を参照して説明する。図8(A)に示すように、縦型スクリーン210の角度を垂直にした場合、プロジェクター160からの投射角度によっては天井スクリーン200へ縦型スクリーン210の反射光Lが入り込み、天井の映像の色味が変わってしまう不具合が生じ得る。
【0038】
このような不具合を解消するため、縦型スクリーン210の角度や形状を変更することで縦型スクリーン210の反射光が天井スクリーン200へ入り込まないようにし、映像を見易くする。図8(B)は、縦型スクリーン210の角度を傾斜させることで反射光L1が天井スクリーン200に向かわないようにする。例えば、ユーザーが手動によって縦型スクリーン210の角度を調整したり、あるいは、スクリーン駆動部140を介して縦型スクリーン210の角度を調整させる。図8(C)は、湾曲した縦型スクリーン300を用いることで反射光L2が天井スクリーン200へ向かわない例を示している。
【0039】
また、図8(D)、(E)に示すように、表面に指向性のある材料や形状の反射部材を有する縦型スクリーン310を用いることで、反射光L3を天井スクリーン以外へ向かわないようにする。
【0040】
次に、本発明の第2の実施例について説明する。先の実施例では、ドライバーが操作入力部110を介して縦型スクリーンが後方視界の障害にならないようにその高さや角度を調整するようにしたが、第2の実施例は、ドライバーの視線位置を検出し、その検出結果に基づき縦型スクリーンの高さHや角度θを自動調整する機能を備える。
【0041】
図9は、第2の実施例の車両用表示装置の構成を示すブロック図であり、図2と同一構成については同一参照番号を付す。本実施例に係る車両用表示装置100Aはさらに、前部座席に着座したドライバー撮像する撮像カメラ320を含み、撮像した画像データは制御部180に提供される。
【0042】
制御部180は、画像データを解析し、ドライバーの視点の位置つまり視点の高さを検出し、この検出結果に応じてドライバーの後方視界の障害とならないように縦型スクリーンの高さHを設定する。ドライバーの視点の位置と、ルームミラー194の位置とが変われば、後方視界を概ね推測することが可能である。勿論、自動機能により設定された高さは、操作入力部110あるいは手動によってその後に可変することが可能である。
【0043】
このように本実施例によれば、ドライバーの視点に応じて縦型スクリーンの高さを自動調整する機能を設けたことにより、ドライバーは、後方視界の障害となるような縦型スクリーンの高さの調整をする操作を省略することができる。特に、ドライバーが変更された場合に便利である。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の要旨の範囲において、種々の変形、変更が可能である。
【符号の説明】
【0045】
100:車両用表示装置 110:操作入力部
120:IF部 130:記憶部
140:スクリーン駆動部 150:高さ/角度検出部
160:プロジェクター 170:投射角調整部
180:制御部 190:前部座席
192:後部座席 194:ルームミラー
200:天井 210:縦型スクリーン
212:ハウジング 212A:開口
214、216:回転軸 218:スクリーン部
218A:端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9