(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075496
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】フィールド業務自動化支援システム及びフィールド業務自動化支援プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 5/00 20060101AFI20230524BHJP
B64F 1/36 20170101ALI20230524BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20230524BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20230524BHJP
H04B 17/318 20150101ALI20230524BHJP
H04B 17/336 20150101ALI20230524BHJP
G05D 1/10 20060101ALI20230524BHJP
G16Y 10/40 20200101ALI20230524BHJP
G16Y 40/60 20200101ALI20230524BHJP
【FI】
G08G5/00 A
B64F1/36
G08G1/00 D
G01C21/34
H04B17/318
H04B17/336
G05D1/10
G16Y10/40
G16Y40/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188427
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】518206402
【氏名又は名称】株式会社ブルーストーンリンクアンドサークル
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【弁理士】
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【弁理士】
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【弁理士】
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】松岡 健太
(72)【発明者】
【氏名】赤垣 学
【テーマコード(参考)】
2F129
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
2F129AA11
2F129DD13
2F129DD15
2F129DD20
2F129DD26
2F129EE02
2F129EE52
2F129EE78
2F129EE79
2F129EE82
2F129FF02
2F129FF20
2F129FF32
2F129FF62
2F129FF63
2F129FF66
2F129GG17
2F129HH12
5H181AA26
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF01
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181FF32
5H181MA41
5H301AA06
5H301BB14
5H301CC04
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD06
5H301DD17
5H301GG07
(57)【要約】
【課題】電波強度や信号対雑音比が3次元位置情報と対応付けられたデータを使用して、飛行体の飛行ルートをより効率的に算出することが可能となるシステム又はプログラムの提供。
【解決手段】空域を複数の多面体によって区域分けした多面体空域情報と、所望信号の電波強度、若しくは、所望信号の電波強度と所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比と、3次元位置情報と、が対応付けられた3次元通信品質情報と、を使用し、前記多面体のそれぞれに含まれる前記3次元通信品質情報に基づいて、前記多面体のそれぞれを少なくとも飛行体の飛行可能エリアと不可能エリアの2つにクラス分けする空域多面体クラス分け処理部12と、飛行体の出発地点情報と到着地点情報に基づき、前記飛行可能エリアとしてクラス分けされた多面体のみを通る飛行ルートを算出する飛行ルート算出部13と、を備えることを特徴とするフィールド業務自動化支援システム1。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行体の飛行ルートを算出するためのシステムであって、
空域を複数の多面体によって区域分けした多面体空域情報と、
所望信号の電波強度、若しくは、所望信号の電波強度と所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比と、3次元位置情報と、が対応付けられた3次元通信品質情報と、
を使用し、前記多面体のそれぞれに含まれる前記3次元通信品質情報に基づいて、前記多面体のそれぞれを、少なくとも飛行体の飛行可能エリアと飛行不可能エリアの2つにクラス分けする空域多面体クラス分け処理部と、
飛行体の出発地点情報と到着地点情報に基づき、前記飛行可能エリアとしてクラス分けされた多面体のみを通る飛行ルートを算出する飛行ルート算出部と、
を備えることを特徴とするフィールド業務自動化支援システム。
【請求項2】
前記空域多面体クラス分け処理部が、飛行禁止エリア情報に基づいて、飛行禁止エリアに該当する前記多面体を、飛行不可能エリアとしてクラス分けすることを特徴とする請求項1に記載のフィールド業務自動化支援システム。
【請求項3】
前記空域多面体クラス分け処理部が、飛行許可エリア情報に基づいて、飛行許可エリア外の民地上空に該当する前記多面体を、飛行不可能エリアとしてクラス分けすることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィールド業務自動化支援システム。
【請求項4】
前記空域多面体クラス分け処理部が、要許認可エリア情報に基づいて、許認可情報が得られていない要許認可エリアに該当する前記多面体を、飛行不可能エリアとしてクラス分けすることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のフィールド業務自動化支援システム。
【請求項5】
前記飛行ルート算出部が、算出した飛行ルートに該当する各前記多面体内に飛行体が存在する時間情報を、各前記多面体に対応付け、
前記空域多面体クラス分け処理部が、各前記多面体内に所定台数の飛行体が存在する時間帯がある場合に、その時間帯において、該当する前記多面体を、飛行不可能エリアとしてクラス分けすることを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のフィールド業務自動化支援システム。
【請求項6】
前記飛行ルート算出部が、飛行禁止エリア情報に基づいて、飛行ルートを、飛行禁止エリア外に設定することを特徴とする請求項1に記載のフィールド業務自動化支援システム。
【請求項7】
前記飛行ルート算出部が、飛行許可エリア情報に基づいて、飛行ルートを、飛行許可エリア外の民地上空に該当するエリア外に設定することを特徴とする請求項1又は6に記載のフィールド業務自動化支援システム。
【請求項8】
前記飛行ルート算出部が、要許認可エリア情報に基づいて、飛行ルートを、許認可情報が得られていない要許認可エリアの外に設定することを特徴とする請求項1、6又は7の何れかに記載のフィールド業務自動化支援システム。
【請求項9】
前記飛行ルート算出部が、算出した飛行ルートに該当する各前記多面体内に飛行体が存在する時間情報を、各前記多面体に対応付け、
各前記多面体内に所定台数の飛行体が存在する時間帯がある場合、その時間帯において該当の多面体を、飛行ルートの設定対象から除外することを特徴とする請求項1、6~8の何れかに記載のフィールド業務自動化支援システム。
【請求項10】
前記多面体が立方体であることを特徴とする請求項1から9の何れかに記載のフィールド業務自動化支援システム。
【請求項11】
前記立方体の大きさの指定を受け付け、これに応じた前記多面体空域情報を生成することを特徴とする請求項10に記載のフィールド業務自動化支援システム。
【請求項12】
各前記多面体に対応する表示オブジェクトであって、前記クラス分けに応じて表示形態が異なる表示オブジェクトを、3次元マップ上に配置する画像化処理部を備えることを特徴とする請求項1から11の何れかに記載のフィールド業務自動化支援システム。
【請求項13】
飛行ルート上の各前記多面体に対応する表示オブジェクトの表示方式を、他の前記多面体に対応する表示オブジェクトとは区別することを特徴とする請求項12に記載のフィールド業務自動化支援システム。
【請求項14】
飛行体の飛行ルートを算出するためのシステムに、
空域を複数の多面体によって区域分けした多面体空域情報と、
所望信号の電波強度、若しくは、所望信号の電波強度と所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比と、3次元位置情報と、が対応付けられた3次元通信品質情報と、
を使用し、前記多面体のそれぞれに含まれる前記3次元通信品質情報に基づいて、前記多面体のそれぞれを、少なくとも飛行体の飛行可能エリアと飛行不可能エリアの2つにクラス分けするステップと、
飛行体の出発地点情報と到着地点情報に基づき、前記飛行可能エリアとしてクラス分けされた多面体のみを通る飛行ルートを算出するステップと、
を実行させることを特徴とするフィールド業務自動化支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行体の飛行ルートを算出するためのフィールド業務自動化支援システム及びフィールド業務自動化支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自律飛行又は遠隔操作若しくは目視操作によって飛行する無人飛行体(いわゆるドローン)の活用が進んでいる。現状では空撮用途(単なる景観の撮影から、測量や点検、監視等を目的とするものなど多岐にわたる)が最も多いが、その搬送能力を物流分野等の各分野で活用することも進んでいる。
このようなドローンの商業利用が進んで行くと、ドローンの遠隔操作や各種データの送受信のために、無線ネットワークが広く利用されることが想定される。利用される無線ネットワークとしては、既にインフラが網羅的に整備されている携帯電話網を利用するのが現実的な案となる。
このように、ドローンの遠隔操作や各種データの送受信のために、携帯電話網を利用することが想定されるが、ドローンの飛行ルート(上空)における電波状況はよくわかっていない面があるのが現状である。
このような問題に対し、上空における電波状況を3次元的に測定するための、無人飛行体、3次元通信品質情報生成システム及び3次元通信品質情報の取得方法が、特許文献1によって開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術によれば、信号対雑音比等が3次元位置情報と対応付けられて取得されるため、上空における電波状況(電波の干渉の状況)を3次元的に得ることができる。
このように取得されたデータを使用して、無人飛行体の飛行ルートをより効率的に算出する方法が求められている。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、電波強度若しくは信号対雑音比が3次元位置情報と対応付けられたデータを使用して、飛行体の飛行ルートをより効率的に算出することが可能となるシステム又はプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
飛行体の飛行ルートを算出するためのシステムであって、空域を複数の多面体によって区域分けした多面体空域情報と、所望信号の電波強度、若しくは、所望信号の電波強度と所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比と、3次元位置情報と、が対応付けられた3次元通信品質情報と、を使用し、前記多面体のそれぞれに含まれる前記3次元通信品質情報に基づいて、前記多面体のそれぞれを、少なくとも飛行体の飛行可能エリアと飛行不可能エリアの2つにクラス分けする空域多面体クラス分け処理部と、飛行体の出発地点情報と到着地点情報に基づき、前記飛行可能エリアとしてクラス分けされた多面体のみを通る飛行ルートを算出する飛行ルート算出部と、を備えることを特徴とするフィールド業務自動化支援システム。
【0007】
(構成2)
前記空域多面体クラス分け処理部が、飛行禁止エリア情報に基づいて、飛行禁止エリアに該当する前記多面体を、飛行不可能エリアとしてクラス分けすることを特徴とする構成1に記載のフィールド業務自動化支援システム。
【0008】
(構成3)
前記空域多面体クラス分け処理部が、飛行許可エリア情報に基づいて、飛行許可エリア外の民地上空に該当する前記多面体を、飛行不可能エリアとしてクラス分けすることを特徴とする構成1又は2に記載のフィールド業務自動化支援システム。
【0009】
(構成4)
前記空域多面体クラス分け処理部が、要許認可エリア情報に基づいて、許認可情報が得られていない要許認可エリアに該当する前記多面体を、飛行不可能エリアとしてクラス分けすることを特徴とする構成1から3の何れかに記載のフィールド業務自動化支援システム。
【0010】
(構成5)
前記飛行ルート算出部が、算出した飛行ルートに該当する各前記多面体内に飛行体が存在する時間情報を、各前記多面体に対応付け、前記空域多面体クラス分け処理部が、各前記多面体内に所定台数の飛行体が存在する時間帯がある場合に、その時間帯において、該当する前記多面体を、飛行不可能エリアとしてクラス分けすることを特徴とする構成1から4の何れかに記載のフィールド業務自動化支援システム。
【0011】
(構成6)
前記飛行ルート算出部が、飛行禁止エリア情報に基づいて、飛行ルートを、飛行禁止エリア外に設定することを特徴とする構成1に記載のフィールド業務自動化支援システム。
【0012】
(構成7)
前記飛行ルート算出部が、飛行許可エリア情報に基づいて、飛行ルートを、飛行許可エリア外の民地上空に該当するエリア外に設定することを特徴とする構成1又は6に記載のフィールド業務自動化支援システム。
【0013】
(構成8)
前記飛行ルート算出部が、要許認可エリア情報に基づいて、飛行ルートを、許認可情報が得られていない要許認可エリアの外に設定することを特徴とする構成1、6又は7の何れかに記載のフィールド業務自動化支援システム。
【0014】
(構成9)
前記飛行ルート算出部が、算出した飛行ルートに該当する各前記多面体内に飛行体が存在する時間情報を、各前記多面体に対応付け、各前記多面体内に所定台数の飛行体が存在する時間帯がある場合、その時間帯において該当の多面体を、飛行ルートの設定対象から除外することを特徴とする構成1、6~8の何れかに記載のフィールド業務自動化支援システム。
【0015】
(構成10)
前記多面体が立方体であることを特徴とする構成1から9の何れかに記載のフィールド業務自動化支援システム。
【0016】
(構成11)
前記立方体の大きさの指定を受け付け、これに応じた前記多面体空域情報を生成することを特徴とする構成10に記載のフィールド業務自動化支援システム。
【0017】
(構成12)
各前記多面体に対応する表示オブジェクトであって、前記クラス分けに応じて表示形態が異なる表示オブジェクトを、3次元マップ上に配置する画像化処理部を備えることを特徴とする構成1から11の何れかに記載のフィールド業務自動化支援システム。
【0018】
(構成13)
飛行ルート上の各前記多面体に対応する表示オブジェクトの表示方式を、他の前記多面体に対応する表示オブジェクトとは区別することを特徴とする構成12に記載のフィールド業務自動化支援システム。
【0019】
(構成14)
飛行体の飛行ルートを算出するためのシステムに、空域を複数の多面体によって区域分けした多面体空域情報と、所望信号の電波強度、若しくは、所望信号の電波強度と所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比と、3次元位置情報と、が対応付けられた3次元通信品質情報と、を使用し、前記多面体のそれぞれに含まれる前記3次元通信品質情報に基づいて、前記多面体のそれぞれを、少なくとも飛行体の飛行可能エリアと飛行不可能エリアの2つにクラス分けするステップと、飛行体の出発地点情報と到着地点情報に基づき、前記飛行可能エリアとしてクラス分けされた多面体のみを通る飛行ルートを算出するステップと、を実行させることを特徴とするフィールド業務自動化支援プログラム。
【発明の効果】
【0020】
本発明のフィールド業務自動化支援システムによれば、電波強度若しくは信号対雑音比が3次元位置情報と対応付けられたデータを使用して、飛行体の飛行ルートをより効率的に算出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明に係る実施形態1のフィールド業務自動化支援システムの構成の概略を示すブロック図
【
図2】実施形態1のフィールド業務自動化支援システムの処理動作の概略を示すフローチャート
【
図3】実施形態1のフィールド業務自動化支援システムの処理動作の概略を示すフローチャート
【
図4】実施形態1のフィールド業務自動化支援システムの処理動作の概略を示すフローチャート
【
図5】実施形態1のフィールド業務自動化支援システムによる表示画面の一例を示す図
【
図6】実施形態2のフィールド業務自動化支援システムの処理動作の概略を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0023】
<実施形態1>
図1は、本発明に係る実施形態1のフィールド業務自動化支援システムの構成の概略を示すブロック図である。
本実施形態のフィールド業務自動化支援システム1は、飛行体の飛行ルートを算出するためのシステムであって、
各部の制御や各種の演算処理等を行う演算部11と、
空域を複数の多面体によって区域分けした多面体空域情報と、所望信号の電波強度、若しくは、所望信号の電波強度と所望信号以外の電波強度の比である信号対雑音比と、3次元位置情報と、が対応付けられた3次元通信品質情報と、を使用し、多面体のそれぞれに含まれる3次元通信品質情報に基づいて、多面体のそれぞれを少なくとも飛行体の飛行可能エリアと飛行不可能エリアの2のクラスへのクラス分けや、各多面体内に所定台数の飛行体が存在する時間帯がある場合に、その時間帯において、該当する多面体を、飛行不可能エリアとするクラス分けを行う、空域多面体クラス分け処理部12と、
飛行体の出発地点情報と到着地点情報に基づき、飛行可能エリアとしてクラス分けされた多面体のみを通る飛行ルートの算出や、算出した飛行ルートに該当する各多面体内に飛行体が存在する時間情報の各多面体への対応付けを行う、飛行ルート算出部13と、
各多面体に対応する表示オブジェクトであって、クラス分け応じて表示形態が異なる表示オブジェクトを、3次元マップ上に配置する画像化処理部14と、
他の装置との間で各種の情報の送受信を行うインターフェスである入/出力部15と、
各種情報を記憶して保持する記憶部16と、
を備える。
【0024】
“3次元通信品質情報”とは、通信品質に関する情報を3次元位置情報と対応付けた情報であり、例えば、特許文献1で開示される技術によって取得されたものが、記憶部16に格納されている。なお、3次元通信品質情報は、本システムが備える記憶部ではなく、外部記憶装置に記憶されているもの利用するものや、他のシステムにおいて記憶されているものをネットワークを介して取得するもの等であってよい(何れも入/出力部15を介して取得する)。
【0025】
“多面体”は、空間充填可能な立体であればよく、立方体、直方体、三角柱、切頂八面体等、1種類の多面体であってもよいし、正四面体と正八面体の組み合わせ等の、複数の種類の多面体を組み合わせるものであってもよい。
本実施形態では、“多面体”として立方体(厳密には立方体ではないが、近似するものであり、立方体と表現する)を用いており、地域メッシュコード(JIS X 0410)と同様のコード体系を利用して、50mメッシュコードをさらに緯度・経度に10分割して、5m単位(標高も5m)のメッシュ(立方体)を定義することで、“多面体空域情報”を定義している。即ち、地域メッシュコード(JIS X 0410)を拡張したコード(地域メッシュコードと同様のコード体系で桁数を増やしたもの。以下、本明細書において「基本メッシュID」という)によって、“多面体空域情報”が定義されている。「基本メッシュID」は、5m四方の立方体の位置を一意に定めることができる(基本メッシュIDに基づいてその3次元的な位置を特定できる)コードである。
【0026】
なお、
図1では、空域多面体クラス分け処理部12、飛行ルート算出部13、画像化処理部14など、機能ごとに構成を分けて記載しているが、必ずしもハード的にこれらの構成に分かれていることを示すものではなく、例えば、演算部11がCPU等の周知のデバイスを用いて構成されて、各構成(以下で説明する各機能)がソフトウェア的に実装されるものであってよい。もちろん各構成がハード的に構成されるものであってよく、例えばFPGAやASICなどによって、以下で説明する処理の全部もしくは一部として機能するものを、専用のハードとして構成するもの等であってもよい。
【0027】
図2は、本実施形態のフィールド業務自動化支援システム1の処理動作の概略を示すフローチャートである。
本実施形態のフィールド業務自動化支援システム1は、無人飛行体(いわゆるドローン)等の飛行体(有人の飛行体を含む)の出発地点情報と、到着地点情報等の入力に対して、電波状況の良好な場所を通る飛行ルートを算出するシステムである。本実施形態のフィールド業務自動化支援システム1は、サーバーとして構成され、ネットワークを介する等してユーザ端末(特に図示せず)からのリクエストを受け、飛行ルートを算出、提示するものである。
【0028】
ステップ201では、ユーザ端末からのリクエストに応じて、必要情報の入力を求める画面を送信し、これに対するユーザの入力によって、出発地点情報、到着地点情報、飛行日時情報、メッシュの大きさ情報を取得する。
メッシュの大きさ情報とは、前述した“多面体”としての立方体の大きさ(メッシュの粒度)であり、本実施形態では、基本メッシュである5mを下限に、10m、25m、50mから選択できるようになっている。
【0029】
続くステップ202では、メッシュ化処理を行う。
図3は、ステップ202で実行されるメッシュ化処理の処理動作の概略を示すフローチャートである。
【0030】
ステップ301では、
図2のステップ202で得られた「メッシュの大きさ情報」に基づき、これが基本メッシュ(5m)であるか否かを判別する。
指定のメッシュの大きさが、基本メッシュでなかった場合(即ち、10m、25m、50mの何れかであった場合)、指定の大きさのメッシュの一時メッシュIDを生成する処理を行う(ステップ301:No→ステップ302)。
“一時メッシュID”は、基本メッシュIDと同様に、地域メッシュコード(JIS X 0410)を拡張したコード(地域メッシュコードと同様のコード体系で桁数を増やしたもの)として生成されるものである。これにより、「立方体の大きさの指定を受け付け、これに応じた多面体空域情報を生成」しているものである。
一時メッシュは基本メッシュを含むものとなり、例えば、10mの一時メッシュには8個の基本メッシュが含まれ、25mの一時メッシュには125個の基本メッシュが含まれることになる。前述のごとく、地域メッシュコードと同様のコード体系であり、一時メッシュIDに基づいてその3次元的な位置を特定できる。即ち、一時メッシュに含まれる基本メッシュを、一時メッシュIDと基本メッシュIDから特定することができる(一時メッシュIDと基本メッシュIDは相互に対応付けされている)ものである。
なお、指定のメッシュの大きさが、基本メッシュであった場合(即ち、5mであった場合)には、ステップ302をスキップする。
【0031】
ステップ302(若しくはステップ301)に続くループ処理は、ステップ303~305の処理を、エリア内の全ての一時メッシュ(指定が5mであった場合は基本メッシュ)に対して行わせる処理である。
“エリア内”におけるエリアとは、本実施形態では、平面的には出発地点と到着地点を対角線の頂点とした矩形のエリアとして定められ、標高は該当のエリア内の3次元通信品質情報における最高地点までとした直方体状のエリアである(
図5(b)参照)。
ループ処理では、当該エリア内の各一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)について、一つ一つ順番に、ステップ303~305の処理を行うものである。
【0032】
ループ処理中のステップ303では、対象の一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)の中に、3次元通信品質情報が存在するか否かを判別する。前述のごとく、一時メッシュID(若しくは基本メッシュID)に基づいて、3次元位置を特定できるものであり、位置情報を有する3次元通信品質情報との対比により、該当のメッシュ内に3次元通信品質情報が存在するか否かを判別するものである。
3次元通信品質情報が存在する場合には、所定の閾値(予め定められている閾値)に基づいてクラス分けを行い、クラス分け情報を一時メッシュID(若しくは基本メッシュID)に対応付けて記憶する(記憶部16のテーブル(図示せず、以下単に「テーブル」という)にデータを追加する)(ステップ303:Yes→ステップ304)。
クラス分けは、少なくとも、ドローンを遠隔操作するための制御信号を安定的に送受信するのに最低限必要な電波状況を有しているか否かの2つ(飛行可能エリアと不可能エリア)にクラス分けが行われる。飛行可能エリアについては、さらに細分化するとより有用性が高まる。例えば音声や画像を安定的に送受信するのに必要なレベルを定めたり、映像の画質レベル(SD、HD、フルHD、4K、480p、720p、1080p)等に応じて、各画質レベルの映像を安定的に送受信するのに必要なレベルを定めるもの等である。
対象の一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)の中に、3次元通信品質情報が複数ある場合には、所定の計算式に基づく等(例えば、複数のデータの平均値を取ったり、複数のデータのうちの最低値を使用する等)して、該当のメッシュの通信品質を定め、クラス分けを行う。
対象の一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)の中に、3次元通信品質情報が存在しなかった場合には、3次元通信品質情報が無い旨のフラグを一時メッシュID(若しくは基本メッシュID)に対応付けて記憶する(ステップ303:No→ステップ305)。なお、本実施形態では、3次元通信品質情報が無いメッシュについては、飛行不可能エリアとして扱うものを例とする。
【0033】
エリア内の全ての一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)について、ステップ303~305の処理(通信品質情報に基づくクラス分け)を行ったら、ループ処理を終了し、メッシュ化処理を終了する。
【0034】
メッシュ化処理(
図2ステップ202)が終わったら、飛行ルート算出処理(ステップ203)を行う。
図4は、ステップ203で実行される飛行ルート算出処理の処理動作の概略を示すフローチャートである。
【0035】
ステップ401では、メッシュ化処理(
図2ステップ202:
図3の処理)によって、飛行可能にクラス分けされている一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)のみを通るルートの中における最短ルートとして、出発地点から到着地点へと至る飛行ルートの探索を行う。当該処理は、例えば、飛行可能にクラス分けされている一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)だけで構成される構造を無向グラフとして扱い、当該グラフにおける最短経路問題としての各種のアルゴリズムを使用する等すればよいものである。当該アルゴリズムについては任意のものを適宜利用することができ、ここでの説明を省略する。
【0036】
ステップ401のルート探索では、他の飛行体の飛行ルートとの関係も考慮したルート探索が行われる。
具体的には、飛行ルートの算出時に、飛行ルート上の各一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)内に飛行体が存在することになる時間帯(通過する時間帯)を、最初に入力された飛行日時情報や、算出された飛行ルートの経路長等に基づいて算出し、当該時間帯における該当の一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)が他の飛行体の飛行ルートと重ならないかどうかを判別し、これが条件に合わない場合には、そのルートは使用不能と判別して、再ルート探索が行われる。
本実施形態における各基本メッシュIDには、以下で説明するステップ404、405の処理により、飛行体が通過する時間帯情報が対応付けられてテーブルに記憶されており、また、これに基づいて進入不可の時間帯を示す進入不可フラグがテーブルに記憶されている。よって、当該進入不可フラグで示される時間帯においては、該当の基本メッシュやこの基本メッシュを含む一時メッシュについては、飛行不可能にクラス分けされているものとして扱うことで、ルート中の一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)が他の飛行体の飛行ルートと重ならないようにすることができる。
【0037】
ステップ401のルート探索によって、飛行ルートが得られた場合(ステップ402:Yes)には、ステップ403~405の処理を、飛行ルート上にある全ての一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)に対して順番に行うループ処理へと移行する。
【0038】
ステップ403では、該当の基本メッシュIDに、飛行体が通過する時間情報(年月日を含む)を対応付けてテーブルに記憶する。“該当の基本メッシュ”とは、一時メッシュとして処理している場合(メッシュの大きさが10m以上で選択されている場合)には、該当の一時メッシュ(飛行ルートを構成する一時メッシュの一つ)に含まれるすべての基本メッシュが該当し、基本メッシュとして処理している場合(メッシュの大きさが5mで選択されている場合)には、該当の基本メッシュ(飛行ルートを構成する基本メッシュの一つ)が該当する。なお、一時メッシュとして処理している場合においても、飛行ルートにおいて飛行体が通過する基本メッシュを特定できる場合には、その基本メッシュのみに対して、飛行体が通過する時間情報を対応付けるものであってよい。
飛行体が通過する時間情報に加えて、機体情報(飛行体の識別ID等)も対応付けてテーブルに記憶するようにしてもよい。
【0039】
続くステップ404と405の処理は、所定条件に従って、進入不可フラグを設定する処理である。
ステップ404では、テーブルを参照することにより、ステップ403で通過時間情報を対応づけた基本メッシュIDにおいて、該当の時間帯に所定数以上の飛行体が存在するかどうかを判別する。即ち、基本メッシュの5mの立方体の中に、同時刻に飛行体が所定数以上存在しているかどうかを判別するものである。“所定数”は1であってもよく、適宜定められて予め設定されている。
基本メッシュ内に同時刻に飛行体が所定数以上存在することになると判別された場合には、進入不可とする時間の時間帯情報を持つ進入不可フラグを、基本メッシュIDに対応付けてテーブルに記憶する(ステップ403:Yes→ステップ404)。なお、“進入負荷とする時間”は、所定数以上の飛行体が存在する時間そのものであっても良いし、所定のマージンを付加して、所定数以上の飛行体が存在する時間より長く設定するもの等であってもよい。
【0040】
ステップ403~405のループ処理が終わったら、飛行ルートの算出がなされた旨を戻り値として(ステップ406)、飛行ルート算出処理を終了する。
【0041】
一方、ステップ401の処理において出発地点から到着地点へと至る飛行ルートを算出できなかった場合(ステップ402:No)には、ステップ407へと移行する。
ステップ407では、ルート探索の対象エリアの再設定を行うか否か及び、行う場合にはそのエリアの範囲設定をユーザに求める(ユーザ端末へ入力画面を送信する)。
前述のごとく、本実施形態では、出発地点と到着地点が両端となる対角線に基づく矩形のエリア(
図5(b)参照)を、ルート探索の対象エリアとしているが、このエリアでルートを算出できなかった場合に、対象エリアを広げることで、ルートが見つかる場合があり得る(回り道のルートがあり得る)ため、対象エリアを広げた再探索を行うかどうか及びその対象エリアの設定をユーザに求めるものである。
エリアの再設定があった場合には、再設定されたエリアの範囲情報を戻り値として(ステップ407:Yes→ステップ408)、飛行ルート算出処理を終了し、エリアの再設定をしない場合には飛行ルートの算出ができない旨を戻り値として(ステップ407:No→ステップ409)、飛行ルート算出処理を終了する。なお、ルート探索の対象エリアの再設定をユーザに求めるのではなく、予めの設定に基づくなどして自動的に対象エリアの再設定を行うようなものであってもよい。
【0042】
飛行ルート算出処理(
図2ステップ203)が終わったら、飛行ルート算出処理の戻り値を判別する(ステップ204)。
戻り値として、再設定されたエリアの範囲情報が得られた場合には、当該エリアに基づいて、上記説明したステップ202以降の処理を繰り返すことで、飛行ルートの再探索を行う。
戻り値が、飛行ルートの算出ができない旨の値であった場合には、飛行ルートの算出ができない旨の画面をユーザ端末へと送信する(ステップ206)。
【0043】
一方、戻り値が、飛行ルートの算出ができた旨の値であった場合には、一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)の立方体に対応する表示オブジェクト(本実施形態ではキューブ表示)であって、クラス分け応じて表示形態が異なる(本実施形態では色分けした)表示オブジェクトを、3次元マップ上に配置する(ユーザ端末に3次元マップを表示させる)処理を行う(ステップ205)。
図5には、当該処理によって表示される表示画面の一例を示した。
図5(a)は算出された飛行ルート上の各一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)に対応するキューブのみが、出発地点から到着地点まで描かれているものの例である。
図5(b)では、飛行ルートに加えて、探索対象となったエリア内の各一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)に対応するキューブが全て描かれているものの例である。各キューブは、メッシュのクラスに応じて色分けして表示されており、3次元通信品質情報が存在していなかったメッシュ(
図3:ステップ303→305)については、透明状の表記としている。また、飛行ルート上の各キューブについては、「クラスに応じた色分け」ではなく、ルート上のキューブであることを示す色として表示されている(飛行ルート上の各多面体に対応する表示オブジェクトの表示方式を、他の多面体に対応する表示オブジェクトとは区別している)。
なお、3次元マップ自体は、フィールド業務自動化支援システム1が保有している必要は無く、他のサイトで提供されている3次元マップ上に、上記説明したキューブを表示させるようにすればよいものである(勿論、フィールド業務自動化支援システム1が3次元マップ情報を備えているものであってもよい)。
【0044】
以上のごとく、本実施形態のフィールド業務自動化支援システム1によれば、電波強度や信号対雑音比が3次元位置情報と対応付けられたデータを、空域を複数の多面体によって区域分けした多面体空域情報に基づいて変換し、これに基づいて飛行ルートの算出や飛行ルートの表示をするようにしており、飛行ルートの算出がより効率的に行えると共に、ユーザビリティにも優れたものとすることができる。
また、本実施形態では、飛行体が、同一時刻に同一メッシュ(多面体)内に所定数以上進入しないように飛行ルートが算出されるため、より安全性の高い飛行ルートの算出が可能である。なお、例えば、飛行体自体に相互に衝突することを抑止するための機能が備わっているような場合等においては、必ずしも「同一時刻に同一メッシュ(多面体)内に飛行体が所定数以上進入しない」ようにしなくてもよい。
【0045】
<実施形態2>
実施形態2は、実施形態1のフィールド業務自動化支援システム1において、さらに、飛行禁止エリア情報、飛行許可エリア情報、要許認可エリア情報に基づいて、飛行ルートの算出を行うようにしたものである。
本実施形態のフィールド業務自動化支援システムの構成の概略は実施形態1と同様であるが、本実施形態における空域多面体クラス分け処理部は、
飛行禁止エリア情報に基づいて、飛行禁止エリアに該当する多面体を、飛行不可能エリアにクラス分け、
飛行許可エリア情報に基づいて、飛行許可エリア外の民地上空に該当する前記多面体を、飛行不可能エリアにクラス分け、
要許認可エリア情報に基づいて、許認可情報が得られていない要許認可エリアに該当する前記多面体を、飛行不可能エリアとしてクラス分け、
のそれぞれも行うものである。
本実施形態のフィールド業務自動化支援システムのその他の構成は、実施形態1と同様であるため、ここでの説明を省略する。
また、その処理動作について、
図3のメッシュ化処理に代えて
図6のメッシュ化処理が実行される以外は、基本的には実施形態1と同様であり、同様の処理内容となるものについては、ここでの説明を省略する。
【0046】
本実施系形態のメッシュ化処理(
図6)では、対象エリア内の各一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)に対するクラス分けを行うループ処理内で、ステップ606~ステップ612の処理が、追加して行われる。
なお、
図6では記載を省略しているが、ループ処理の前に
図3のステップ301、302の処理も実行される。即ち、
図3のステップ301~305の処理は、実施形態2においても同様に行われるものであるが、当該処理内容は実施形態1と同様であるため、ここでの説明を省略する。
【0047】
ステップ606では、該当の一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)が飛行禁止エリアに該当するか否かを判別し、飛行禁止エリアに該当する場合には、ステップ607へと移行して、一時メッシュID(若しくは基本メッシュID)に、飛行禁止フラグを対応付けてテーブルに記憶する(飛行不可能エリアにクラス分けされるのと同義)。
飛行禁止エリアとは、例えば国会議事堂や原子力事業所等の周辺の上空空域などについて、飛行禁止空域として定められているものであり、当該エリアを飛行ルートに設定しないようにしているものである。飛行禁止エリアに関する情報は、フィールド業務自動化支援システムにおいて保持されているものであっても良いし、他サイトにある情報を随時参照するもの等であってもよい。
【0048】
ステップ608では、該当の一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)が、民地などにおいて飛行許可が得られているエリア(飛行許可エリア)に該当するか否かを判別し、民地などにおいて飛行許可が得られていないエリアである場合には、ステップ609へと移行して、一時メッシュID(若しくは基本メッシュID)に、飛行不許可フラグを対応付けてテーブルに記憶する(飛行不可能エリアにクラス分けされるのと同義)。
民地上空において、該当の空域の飛行許可が得られてない場合に、当該エリアを飛行ルートに設定しないようにしているものである。飛行許可エリアに関する情報は、フィールド業務自動化支援システムにおいて保持されているものであっても良いし、他サイトにある情報を随時参照するもの等であってもよい。
【0049】
ステップ610では、該当の一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)が要許認可エリアに該当するか否かを判別し、要許認可エリアに該当する場合には、ステップ611へと移行して許可情報があるか否かを判別し、これが無い場合には、ステップ612へと移行して一時メッシュID(若しくは基本メッシュID)に、飛行許可無しフラグを対応付けてテーブルに記憶する(飛行不可能エリアにクラス分けされるのと同義)。
要許認可エリアとは、例えば人口集中地区等の上空空域などについて、飛行体を飛行させる場合には、あらかじめ、国土交通大臣の許可を受ける必要があるエリアであり、当該エリアを許可なしで飛行ルートに設定することがないようにしているものである。要許認可エリアに関する情報は、フィールド業務自動化支援システムにおいて保持されているものであっても良いし、他サイトにある情報を随時参照するもの等であってもよい。また、ステップ611における許可の有無の判別は、ステップ611の処理において許可の有無の確認をユーザに求める画面をユーザ端末に表示させるものや、最初に(
図2のステップ201の処理で)ユーザに入力させて取得しておくものの他、他のシステムで該当の情報を検索・確認できるシステムが存在すればそれを利用するもの等とすることができる。
【0050】
上記のメッシュ化処理によって、対象エリア内の各一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)に対するクラス分けが行われた後の、飛行ルート算出処理のステップ401(
図4)の処理では、実施形態1で説明したように、飛行可能にクラス分けされている一時メッシュ(若しくは基本メッシュ)のみを通るルートとしてルート探索が行わる。
従って、飛行禁止エリアや、民地で飛行許可されていないエリア、要許認可エリアで許認可が得られてないエリアについては、飛行ルートが設定されないように処理が行われることになる。
【0051】
以上のごとく、本実施形態のフィールド業務自動化支援システムによれば、飛行禁止エリアや、民地で飛行許可されていないエリア、要許認可エリアで許認可が得られてないエリアについては、飛行ルートが設定されないように処理が行われるため、より実用性の高い飛行ルートの選定が可能となる。
【0052】
実施形態では、メッシュの大きさの選択を可能とすることにより、シチュエーションに応じて粒度を異ならせること(例えば、山間地等で長距離を飛ばす場合においてはルート選定に細かい精度が不要であるとし、メッシュを大きくする等)ができるため有用であるが、本発明をこれに限るものではなく、メッシュの大きさが一定のものであってもよい。
また、実施形態では、一番小さいメッシュについてこれを基本メッシュとし、それ以外については一時メッシュとしている。これは、基本メッシュについては常時データとして保持(テーブルで常時保持)しつつ、一時メッシュについては、その処理の間だけ一時的にデータを持つようにしているものである。実施形態ではこのような処理について説明したが、本発明をこれに限るものではなく、例えば、それぞれの大きさのメッシュについて、常時データとして、それぞれ情報を保持するもの(各大きさのメッシュについて、各メッシュIDを定義し、これらに各情報をテーブル等で対応付けて常時保持するもの)であってもよい。
【0053】
実施形態では、メッシュ化処理を随時実行するものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、予め(例えばバッチ処理として)メッシュ化処理を実行して、結果を記憶しておき、これを利用するようにしてもよい。なお、
図6のメッシュ化処理における要許認可エリアに関するステップ610~612の処理については、予めの処理としては実行できないため、当該機能を利用する場合にはこの処理部分については随時実行する必要がある。
また、前述のように、各メッシュの大きさについて、それぞれデータを常時保持するような場合には、各メッシュのそれぞれについてメッシュ化処理を予め実行して、結果を記憶しておき、これを利用するようにしてもよい。
【0054】
なお、実施形態では、“3次元通信品質情報”として、ドローンによって測定されたもの(特許文献1で開示される技術によって取得されたもの)のみを対象としているため、当該情報がある場所は物理的にドローンが飛行できることが保証されていると言えるものである。
これに対し、例えば“3次元通信品質情報”の中に、ドローンによって測定されたもの以外のデータが含まれ得るような場合等であって、これに基づいてメッシュ化処理を行った場合に、物理的にドローンが飛行できないメッシュが生じ得る場合においては、地形情報等も利用して飛行ルートを算出するようにしてもよい。
当該処理は、上記説明した飛行禁止エリアの処理と同様の概念で実行可能である(飛行禁止エリア情報を、地形情報に置き換えればよい)。地形情報は、3次元マップが有している情報をそのまま利用すること等ができる。
【0055】
実施形態では、飛行禁止エリアに該当するメッシュや、民地で飛行許可されていないエリアに該当するメッシュ、要許認可エリアで許認可が得られてないエリアに該当するメッシュ、他のドローンが所定数存在するメッシュについては、それぞれ該当のメッシュID フラグを設け、これらのメッシュをルート探索の対象から外すことで、これらのエリアに飛行ルートが設定されないようにするものを例として説明している。即ち、各メッシュ自体に飛行禁止エリアである等の情報を持たせるようにしているが、本発明をこれに限るものではなく、各メッシュ自体には飛行禁止エリアである等の情報を持たせずに、飛行禁止エリア等を避けるようにルート探索させるものであってよい。例えば、メッシュ自体に飛行禁止エリア等の情報を持たせることはせずに、探索エリアの設定において、飛行禁止エリア等を探索エリアから除外させる処理を行わせるようなもの等であってもよい。
【符号の説明】
【0056】
1...フィールド業務自動化支援システム
12...空域多面体クラス分け処理部
13...飛行ルート算出部
14...画像化処理部