(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075555
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】メンテナンス費用予測プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230524BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188528
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】519045387
【氏名又は名称】ASSEST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【弁理士】
【氏名又は名称】安彦 元
(72)【発明者】
【氏名】澤田 綾子
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC15
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特段のスキルや経験が無くても、人手に頼ることなく、電気、ガス、水道等の各種設備のメンテナンス費用を予測できるメンテナンス費用予測プログラムを提供する。
【解決手段】情報取得部9と、情報取得部9に接続された探索装置2と、探索装置2に接続されたデータベース3とを備えているメンテナンス業者選定システム1において、設備をメンテナンスする費用を予測するメンテナンス費用予測プログラムは、メンテナンス対象の設備から設備データを取得する情報取得ステップと、過去において設備から取得した参照用設備データと、メンテナンス費用との3段階以上の連関度を利用し、情報取得ステップにおいて取得した設備データに応じた参照用設備データに基づき、メンテナンス費用を予測する予測ステップと、をコンピュータに実行させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備をメンテナンスする費用を予測するメンテナンス費用予測プログラムにおいて、
メンテナンス対象の設備から設備データを取得する情報取得ステップと、
過去において設備から取得した参照用設備データと、メンテナンス費用との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した設備データに応じた参照用設備データに基づき、メンテナンス費用を予測する予測ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とするメンテナンス費用予測プログラム。
【請求項2】
上記情報取得ステップでは、上記設備から電力、電気、電圧、振動、音の何れか1以上からなる設備データを取得し、
上記予測ステップでは、電力、電気、電圧、振動、音の何れか1以上からなる参照用設備データと、メンテナンス費用との3段階以上の連関度を利用すること
を特徴とする請求項1記載のメンテナンス費用予測プログラム。
【請求項3】
上記情報取得ステップでは、上記業者の状況に関する業者状況情報を取得し、
上記予測ステップでは、上記参照用設備データと、業者の状況に関する参照用業者状況情報とを有する組み合わせと、メンテナンス費用との3段階以上の連関度を利用し、更に上記情報取得ステップにおいて取得した上記費用状況情報に応じた参照用業者状況情報に基づいてメンテナンス費用を予測すること
を特徴とする請求項1又は2記載のメンテナンス費用予測プログラム。
【請求項4】
上記情報取得ステップでは、上記業者の状況に関する業者状況情報を取得し、
上記予測ステップでは、上記連関度のより高いものを優先させるとともに、更に上記情報取得ステップにおいて取得した業者状況情報に基づいてメンテナンス費用を予測すること
を特徴とする請求項1又は2記載のメンテナンス費用予測プログラム。
【請求項5】
上記情報取得ステップでは、上記設備の位置における天候に関する天候情報を取得し、
上記予測ステップでは、上記参照用設備データと、設備の位置における天候に関する参照用天候情報とを有する組み合わせと、メンテナンス費用との3段階以上の連関度を利用し、更に上記情報取得ステップにおいて取得した上記天候情報に応じた参照用天候情報に基づいてメンテナンス費用を予測すること
を特徴とする請求項1又は2記載のメンテナンス費用予測プログラム。
【請求項6】
上記情報取得ステップでは、上記設備の位置に関する位置情報を取得し、
上記予測ステップでは、上記参照用設備データと、設備の位置に関する参照用位置情報とを有する組み合わせと、メンテナンス費用との3段階以上の連関度を利用し、更に上記情報取得ステップにおいて取得した上記位置情報に応じた参照用位置情報に基づいてメンテナンス費用を予測すること
を特徴とする請求項1又は2記載のメンテナンス費用予測プログラム。
【請求項7】
上記情報取得ステップでは、上記設備の位置に至るまでの道路の渋滞状況に関する渋滞状況情報を取得し、
上記予測ステップでは、上記参照用設備データと、設備の位置に至るまでの道路の渋滞状況に関する参照用渋滞状況情報とを有する組み合わせと、メンテナンス費用との3段階以上の連関度を利用し、更に上記情報取得ステップにおいて取得した上記渋滞状況情報に応じた参照用渋滞状況情報に基づいてメンテナンス費用を予測すること
を特徴とする請求項1又は2記載のメンテナンス費用予測プログラム。
【請求項8】
設備をメンテナンスする費用を予測するメンテナンス費用予測プログラムにおいて、
上記業者の状況に関する業者状況情報を取得する情報取得ステップと、
業者の状況に関する参照用状況情報と、予測すべき費用との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した状況情報に応じた参照用状況情報に基づき、メンテナンス費用を予測する予測ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とするメンテナンス費用予測プログラム。
【請求項9】
上記情報取得ステップでは、メンテナンス対象の設備から設備データを取得し、
上記予測ステップでは、上記連関度のより高いものを優先させるとともに、更に上記情報取得ステップにおいて取得した設備データに基づいてメンテナンス費用を予測すること
を特徴とする請求項8記載のメンテナンス費用予測プログラム。
【請求項10】
上記予測ステップにおいて予測されたメンテナンス費用に基づいて保険条件を算出する算出ステップを更に有すること
を特徴とする請求項1~9のうち何れか1項記載のメンテナンス費用予測プログラム。
【請求項11】
上記連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されること
を特徴とする請求項1~10のうち何れか1項記載のメンテナンス費用予測プログラム。
【請求項12】
設備をメンテナンスする費用を予測するメンテナンス費用予測プログラムにおいて、
メンテナンス対象の設備から設備データを取得する情報取得ステップと、
過去において設備から取得した参照用設備データと、類型化したメンテナンス作業内容との3段階以上の第1連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した設備データに応じた参照用設備データに基づき、メンテナンス作業内容を特定する特定ステップと、
過去において取得した参照用メンテナンス作業内容とメンテナンス費用との3段階以上の第2連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得したメンテナンス作業内容に応じた参照用メンテナンス作業内容に基づき、メンテナンス費用を予測する予測ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とするメンテナンス費用予測プログラム。
【請求項13】
設備をメンテナンスする期間を予測するメンテナンス期間予測プログラムにおいて、
メンテナンス対象の設備から設備データを取得する情報取得ステップと、
過去において設備から取得した参照用設備データと、メンテナンス期間との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した設備データに応じた参照用設備データに基づき、メンテナンス期間を予測する予測ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とするメンテナンス期間予測プログラム。
【請求項14】
設備をメンテナンスする方法を推定するメンテナンス方法推定プログラムにおいて、
メンテナンス対象の設備から設備データを取得する情報取得ステップと、
過去において設備から取得した参照用設備データと、メンテナンス方法との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した設備データに応じた参照用設備データに基づき、メンテナンス方法を推定する推定ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とするメンテナンス方法推定プログラム。
【請求項15】
メンテナンス対象の設備から設備データを取得する情報取得ステップと、
過去において設備から取得した参照用設備データと、メンテナンス費用との3段階以上の第1連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した設備データに応じた参照用設備データに基づき、メンテナンス費用を推定する推定ステップと、
上記推定ステップにおいて推定されたメンテナンス費用を所定期間蓄積し、蓄積したメンテナンス費用の合計額、平均値、最大値、中央値の何れかに基づいて保険条件を算出する保険条件算出ステップとをコンピュータに実行させること
を特徴とする保険条件提案プログラム。
【請求項16】
上記情報取得ステップでは、更にメンテナンス頻度を取得し、
上記保険条件算出ステップでは、更に上記メンテナンス頻度に基づいて保険条件を算出すること
を特徴とする請求項15記載の保険条件提案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備をメンテナンスする費用を予測するメンテナンス費用予測プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気、ガス、水道等の各種設備は、生活のライフラインを形成する上で欠かせないインフラである。このような各種設備も長きに亘る使用を経て劣化し、何れはメンテナンスが必要な時期が到来する。このような各種設備のメンテナンスをする際には、そのメンテナンスに特化した業者に委託する場合が多い。このようなメンテナンス業者もそれぞれが得意分野を持つと共に、その業者の仕事の混み具合により即座に対応できるか否かも問題となり、またメンテナンス費用もこれに応じて変化する。
【0003】
このため、ユーザ側が設備のメンテンナンスを委託する都度、このような業者選定をメンテナンス費用との関係において行う労力を極力低減できるシステムが従来より望まれていたが、未だこのような技術は提案されていないのが現状であった。また、ユーザ側が設備のメンテンナンスを委託する都度、メンテナンスの費用を予測したい場合も多々あるが、未だこれに対応できる技術が案出されていなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、特段のスキルや経験が無くても、人手に頼ることなく、電気、ガス、水道等の各種設備のメンテナンス費用を予測できるメンテナンス費用予測プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係るメンテナンス費用予測プログラムは、設備をメンテナンスする費用を予測するメンテナンス費用予測プログラムにおいて、メンテナンス対象の設備から設備データを取得する情報取得ステップと、過去において設備から取得した参照用設備データと、メンテナンス費用との3段階以上の連関度を利用し、上記情報取得ステップにおいて取得した設備データに応じた参照用設備データに基づき、メンテナンス費用を予測する予測ステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
特段のスキルや経験が無くても、人手に頼ることなく、電気、ガス、水道等の各種設備のメンテナンス費用を自動的かつ高精度に予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明を適用したシステムの全体構成を示すブロック図である。
【
図3】本発明の動作について説明するための図である。
【
図4】本発明の動作について説明するための図である。
【
図5】本発明の動作について説明するための図である。
【
図6】本発明の動作について説明するための図である。
【
図7】本発明の動作について説明するための図である。
【
図8】本発明の動作について説明するための図である。
【
図9】本発明の動作について説明するための図である。
【
図10】本発明の動作について説明するための図である。
【
図11】本発明の動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1実施形態
以下、本発明を適用したメンテナンス業者選定プログラムについて、図面を参照しながら詳細に説明をする。
【0009】
図1は、本発明を適用したメンテナンス業者選定プログラムが実装されるメンテナンス業者選定システム1の全体構成を示すブロック図である。メンテナンス業者選定システム1は、情報取得部9と、情報取得部9に接続された探索装置2と、探索装置2に接続されたデータベース3とを備えている。
【0010】
情報取得部9は、本システムを活用する者が各種コマンドや情報を入力するためのデバイスであり、具体的にはキーボードやボタン、タッチパネル、マウス、スイッチ等により構成される。情報取得部9は、テキスト情報を入力するためのデバイスに限定されるものではなく、マイクロフォン等のような音声を検知してこれをテキスト情報に変換可能なデバイスで構成されていてもよい。また情報取得部9は、カメラ等の画像を撮影可能な撮像装置として構成されていてもよい。情報取得部9は、紙媒体の書類から文字列を認識できる機能を備えたスキャナで構成されていてもよい。また情報取得部9は、後述する探索装置2と一体化されていてもよい。情報取得部9は、検知した情報を探索装置2へと出力する。また情報取得部9は地図情報をスキャニングすることで位置情報を特定する手段により構成されていてもよい。また情報取得部9は、温度センサ、湿度センサ、風向センサ、を測るための照度センサで構成されていてもよい。また情報取得部9は、天候についてのデータを気象庁や民間の天気予報会社から取得する通信インターフェースで構成されていてもよい。また情報取得部9は身体に装着して身体のデータを検出するための身体センサで構成されていてもよく、この身体センサは、例えば体温、心拍数、血圧、歩数、歩く速度、加速度を検出するためのセンサで構成されていてもよい。また身体センサは人間のみならず動物の生体データを取得するものであってもよい。また情報取得部9は図面等の情報をスキャニングしたり、或いはデータベースから読み出すことで取得するデバイスとして構成されていてもよい。情報取得部9は、これら以外に臭気や香りを検知する臭気センサにより構成されていてもよい。
【0011】
データベース3は、解探索を行う上で必要な様々な情報が蓄積される。
【0012】
探索装置2は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)等を始めとした電子機器で構成されているが、PC以外に、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末、ウェアラブル端末等、他のあらゆる電子機器で具現化されるものであってもよい。ユーザは、この探索装置2による探索解を得ることができる。
【0013】
図2は、探索装置2の具体的な構成例を示している。この探索装置2は、探索装置2全体を制御するための制御部24と、操作ボタンやキーボード等を介して各種制御用の指令を入力するための操作部25と、有線通信又は無線通信を行うための通信部26と、各種判断を行う判別部27と、ハードディスク等に代表され、実行すべき検索を行うためのプログラムを格納するための記憶部28とが内部バス21にそれぞれ接続されている。さらに、この内部バス21には、実際に情報を表示するモニタとしての表示部23が接続されている。
【0014】
制御部24は、内部バス21を介して制御信号を送信することにより、探索装置2内に実装された各構成要素を制御するためのいわゆる中央制御ユニットである。また、この制御部24は、操作部25を介した操作に応じて各種制御用の指令を内部バス21を介して伝達する。
【0015】
操作部25は、キーボードやタッチパネルにより具現化され、プログラムを実行するための実行命令がユーザから入力される。この操作部25は、上記実行命令がユーザから入力された場合には、これを制御部24に通知する。この通知を受けた制御部24は、判別部27を始め、各構成要素と協調させて所望の処理動作を実行していくこととなる。この操作部25は、前述した情報取得部9として具現化されるものであってもよい。
【0016】
判別部27は、探索解を判別する。この判別部27は、判別動作を実行するに当たり、必要な情報として記憶部28に記憶されている各種情報や、データベース3に記憶されている各種情報を読み出す。この判別部27は、人工知能により制御されるものであってもよい。この人工知能はいかなる周知の人工知能技術に基づくものであってもよい。
【0017】
表示部23は、制御部24による制御に基づいて表示画像を作り出すグラフィックコントローラにより構成されている。この表示部23は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)等によって実現される。
【0018】
記憶部28は、ハードディスクで構成される場合において、制御部24による制御に基づき、各アドレスに対して所定の情報が書き込まれるとともに、必要に応じてこれが読み出される。また、この記憶部28には、本発明を実行するためのプログラムが格納されている。このプログラムは制御部24により読み出されて実行されることになる。
【0019】
上述した構成からなるメンテナンス業者選定システム1における動作について説明をする。
【0020】
メンテナンス業者選定システム1では、例えば
図3に示すように、参照用設備データと、水道管の劣化度合との3段階以上の連関度が予め設定されていることが前提となる。参照用設備データとは、人々が生活をし、移動をし、仕事をし、或いはコミュニーケーションや遊戯、各種式典やイベントを行う環境を作り出す上で必要な設備(デバイス)から直接的に取得したデータである。換言すれば、この参照用設備データは、各種建築構造物(家屋、ビル、交通機関、各種施設、商業施設、工場、プラント)の各種設備から取得したあらゆるデータで構成される。ここでいう設備は、電気、ガス、水道等を介した各種設備であり、あくまで建築構造物の内部に一体不可分的に取り付けられるものであり、家電のような独立して取引の対象となるものは含まない。
【0021】
電気設備は、照明、配電システム、空調機、浴室乾燥機、又は電気暖房機、キッチン、トイレ、換気システム、工場の電気制御システム等が挙げられるが、これらに限定されるものではなく、いかなる電気設備が対象となる。電気設備のメンテナンスは、このような電気設備の修理、交換、手入れ、復旧作業、事前の故障の検知等である。水道設備のメンテナンスは、いわゆる水回り上水道、下水道、プラントを問わず、水を利用する全ての設備であり、そのメンテナンス対象とは、トイレのつまり、水漏れ、故障、キッチンや洗面所のつまり、水漏れ、故障、風呂の排水口のつまりやシャワーや蛇口の水漏れ、故障等に対する修理、交換、手入れ、復旧作業、事前の故障の検知等である。ガス設備は、風呂やキッチン等に使用されるガス設備であり、そのメンテンナンスとは、水道設備の修理、交換、手入れ、復旧作業、事前の故障の検知等である。
【0022】
参照用設備データは、このような設備について直接的、又は間接的にセンサや計測器を取り付け、取得したあらゆるデータを含む。例えば、上述した各種設備に供給される電力、電気、電圧、振動、音、光、電波(以下、これらを総称して物理データという。)、空気や液体の流量、排水設備における排水量等がこの参照用設備データである。設備を動作させる物理データ、ガスを供給又は排気するガス流量データ、太陽光の発電データ、照射する光の光量の何れか1以上からなるータを検知する。これらのデータを検知することで、環境の現状が正常か、或いは何らかの異常が発生しているのかを把握することができる。またこれらの動作データを検知することで、環境が今後近いうちに異常が発生する可能性があるのか、或いは正常のままなのかも推定することができる。
【0023】
参照用設備データのうち、振動データにおいて、振動波をいかなる方法で検知するかについては、例えば振動センサ、ひずみセンサ以外に、その振動が音波となって表れる場合、超音波センサ等により検知されるものであってもよい。また電磁波、光からなる設備データとしては、通常の画像データや、スペクトルデータで構成されるものであってもよい。参照用設備データは、非破壊検査において使用されるあらゆる波動を利用したデータも含まれる。
【0024】
また、参照用設備データ、設備データは、カメラやセンサで検出したもの以外に、メンテナンスを必要としている顧客から聞き取った内容をデータ化するものであってもよい。かかる場合にはコールセンターにかかってくる顧客からの電話の会話文をテキストデータ化するか、或いはメールやお問い合わせのウェブサイトに顧客により入力されたテキストデータを取得し、これを自然言語解析することにより、内容を分析する。実際に動詞やこれに係り受けする名詞句、形容詞等の関係から意図や程度を取得し、これをデータ化する。
【0025】
これらの参照用設備データは、年単位、月単位、週単位、日単位、時間単位、分単位等あらゆる時系列的単位で管理可能とされている。
【0026】
選定すべき業者(業者)は、上述した各種メンテナンスの実施を業として行う業者であり、社名、又は個人名で構成される。選定すべき業者は、具体的な社名に加え、いかなる事業所、出張所であるかまでを示すものであってもよい。
【0027】
図3の例では、入力データとして、参照用設備データP01、P02、P03であるものとする。このような入力データとしての参照用設備データP01、P02、P03は、出力としての業者に連結している。
【0028】
参照用設備データP01、P02、P03は、この出力解としての業者A~Dに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。この業者は、例えばAは業者が95%、Bは業者が60%等のように示されている。参照用設備データがこの連関度を介して左側に配列し、各業者が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用設備データに対して、何れの業者と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用設備データが、いかなる業者に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、各参照用設備データについて最も確からしい業者を選択する上での的確性を示すものである。
図3の例では、連関度としてw13~w19が示されている。このw13~w19は以下の表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力としての業者と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力としての業者と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0029】
【0030】
探索装置2は、このような
図3に示す3段階以上の連関度w13~w19を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用設備データと、その場合の業者の何れが採用、評価されたか、過去のデータセットを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図3に示す連関度を作り上げておく。なお、参照用設備データは、例えば時系列的なデータに限定されるものではなく、FFT変換されて周波数軸に変換されたデータで構成されるものであってもよい。
【0031】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、各参照用設備データと、その場合における業者のデータセットを学習させる。設備データP01である場合に、業者Aの事例が多い場合には、この業者の評価につながる連関度をより高く設定し、業者Bの事例が多い場合には、この業者の評価につながる連関度をより高く設定する。例えば設備データP01についての参照用設備データの例では、業者Aと、業者Cにリンクしているが、以前の事例から業者Aにつながるw13の連関度を7点に、業者Cにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0032】
また、この
図3に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0033】
かかる場合には、
図4に示すように、入力データとして各地域の参照用設備データが入力され、出力データとして業者が出力され、入力ノードと出力ノードの間に少なくとも1以上の隠れ層が設けられ、機械学習させるようにしてもよい。入力ノード又は隠れ層ノードの何れか一方又は両方において上述した連関度が設定され、これが各ノードの重み付けとなり、これに基づいて出力の選択が行われる。そして、この連関度がある閾値を超えた場合に、その出力を選択するようにしてもよい。
【0034】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから新たに業者の判別を行う上で、上述した学習済みデータを利用して業者を探索することとなる。業者の予め類型化された分類の何れに該当するかを判別するようにしてもよい。
【0035】
新たに業者を探索する場合には、設備データの入力を受け付ける。設備データの詳細は、上述した参照用設備データの説明を引用することにより、以下での説明を省略する。
【0036】
次にこの入力された設備データを参照用設備データと照合する。かかる場合には、予め取得した
図3(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した設備データがP02と同一かこれに類似するものである場合には、連関度を介して業者Bがw15、業者Cが連関度w16で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い業者Bを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる業者Cを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0037】
ちなみに、設備データと参照用設備データの照合は、仮にこれらのデータが、ある期間の平均値で表されている場合には、その平均値が±10%の範囲内に入っているか否かで同一及び類似であるか否かを判別するようにしてもよい。また、設備データが時系列的推移グラフで示されるものであれば、その傾向の類似性に基づいて判別されるものであってもよい。
【0038】
このようにして、新たに取得する設備データから、最も好適な業者を探索し、ユーザに表示することができる。この探索結果を見ることにより、その設備において、いかなる業者に委託することが好ましいかを提案することができる。
【0039】
図5の例では、参照用設備データと、業者の状況に関する参照用業者状況情報との組み合わせの連関度が形成される例である。参照用業者状況情報とは、業者の仕事の受注状況、混雑度合いに加え、今までの顧客の評判、現在他のメンテナンスを受注しているのであればその手配状況や進捗状況、各メンテナンスのジャンル毎の修理実績や修理履歴、その修理の品質に関する情報、サービスエンジニアの現在地情報、顧客現場への到着予定時刻、修理開始予定時刻、修理完了予定時刻、業者の出張所の位置等で構成される。この参照用業者状況情報は、業者自身が管理しているデータベースから取得するようにしてもよい。
【0040】
参照用業者状況情報は、上述したデータを各種統計処理されたデータで構成されていてもよく、平均値等で構成されていてもよいし、時系列的に測定したデータの標準偏差等で構成されていてもよい。また、時系列的に測定したデータの変化傾向そのもの、或いはこれらを類型化したもので構成されていてもよい。
【0041】
業者は、設備データに加え、業者状況情報にも依拠する。このため、参照用設備データに加えて、参照用業者状況情報を学習データに組み合わせ判断することで、業者をより高精度に判別することができる。このため、参照用設備データに加えて、参照用業者状況情報を組み合わせて上述した連関度を形成しておく。
【0042】
図5の例では、入力データとして例えば参照用設備データP01~P03、参照用業者状況情報P14~17であるものとする。このような入力データとしての、参照用設備データに対して、参照用業者状況情報が組み合わさったものが、
図5に示す中間ノードである。各中間ノードは、更に出力に連結している。この出力においては、出力解としての、業者が表示されている。
【0043】
参照用設備データと参照用業者状況情報との各組み合わせ(中間ノード)は、この出力解としての、業者に対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用設備データと参照用業者状況情報がこの連関度を介して左側に配列し、業者が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用設備データと参照用業者状況情報に対して、業者と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用設備データと参照用業者状況情報が、いかなる業者に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、参照用設備データと参照用業者状況情報から最も確からしい業者を選択する上での的確性を示すものである。このため、これらの参照用設備データと参照用業者状況情報の組み合わせで、最適な業者を探索していくこととなる。
【0044】
図5の例では、連関度としてw13~w22が示されている。このw13~w22は表1に示すように10段階で示されており、10点に近いほど、中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが高いことを示しており、逆に1点に近いほど中間ノードとしての各組み合わせが出力と互いに関連度合いが低いことを示している。
【0045】
探索装置2は、このような
図5に示す3段階以上の連関度w13~w22を予め取得しておく。つまり探索装置2は、実際の探索解の判別を行う上で、参照用設備データと参照用業者状況情報、並びにその場合の業者が何れが見合うものであったか、過去のデータを蓄積しておき、これらを分析、解析することで
図5に示す連関度を作り上げておく。
【0046】
この分析、解析は人工知能により行うようにしてもよい。かかる場合には、例えば参照用設備データP01で、参照用業者状況情報P16である場合に、その業者を過去のデータから分析する。業者がAの事例が多い場合には、この業者Aにつながる連関度をより高く設定し、業者Bの事例が多く、業者Aの事例が少ない場合には、業者Bにつながる連関度を高くし、業者Aにつながる連関度を低く設定する。例えば中間ノード61aの例では、業者Aと業者Bの出力にリンクしているが、以前の事例から業者Aにつながるw13の連関度を7点に、業者Bにつながるw14の連関度を2点に設定している。
【0047】
また、この
図5に示す連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。その他、人工知能に関する構成は、
図4における説明と同様である。
【0048】
図5に示す連関度の例で、ノード61bは、参照用設備データP01に対して、参照用業者状況情報P14の組み合わせのノードであり、業者Cの連関度がw15、業者Eの連関度がw16となっている。ノード61cは、参照用設備データP02に対して、参照用業者状況情報P15、P17の組み合わせのノードであり、業者Bの連関度がw17、業者Dの連関度がw18となっている。
【0049】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを作った後に、実際にこれから業者を判別する際において、上述した学習済みデータを利用して行うこととなる。かかる場合には、実際に業者を判別しようとする地域を同様に入力する。そしてデータベース3内にある、各地域毎に整理されている設備データと業者状況情報を取得する。
【0050】
このようにして新たに取得した設備データ、業者状況情報に基づいて、最適な業者を探索する。かかる場合には、予め取得した
図5(表1)に示す連関度を参照する。例えば、新たに取得した設備データがP02と同一かこれに類似するものである場合であって、業者状況情報がP17と同一か類似である場合には、連関度を介してノード61dが関連付けられており、このノード61dは、業者Cがw19、業者Dが連関度w20で関連付けられている。かかる場合には、連関度の最も高い業者Cを最適解として選択する。但し、最も連関度の高いものを最適解として選択することは必須ではなく、連関度は低いものの連関性そのものは認められる業者Dを最適解として選択するようにしてもよい。また、これ以外に矢印が繋がっていない出力解を選択してもよいことは勿論であり、連関度に基づくものであれば、その他いかなる優先順位で選択されるものであってもよい。
【0051】
また、入力から伸びている連関度w1~w12の例を以下の表2に示す。
【0052】
【0053】
この入力から伸びている連関度w1~w12に基づいて中間ノード61が選択されていてもよい。つまり連関度w1~w12が大きいほど、中間ノード61の選択における重みづけを重くしてもよい。しかし、この連関度w1~w12は何れも同じ値としてもよく、中間ノード61の選択における重みづけは何れも全て同一とされていてもよい。
【0054】
なお、本発明によれば、上述した参照用設備データに加え、上述した参照用業者状況情報の代わりに、設備の位置における天候に関する参照用天候情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する業者との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
【0055】
参照用業者状況情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用天候情報は、その設備の位置における天候に関するあらゆる情報であり、例えば、天気(晴、曇り、雨)、災害(台風、大雨等)、気温、湿度等の情報を示す。このような天候に応じて、メンテナンスの必要性や緊急度に加え、業者が駆け付けられる時間も影響を及ぼすため、これも参照用情報として含める。参照用天候情報、天候情報の取得は、その時点における天候を、気象庁や民間業者が提供するデータから取り込むようにしてもよいし、又は自ら把握した天候を入力するようにしてもよい。
【0056】
解探索時には、実際に提案対象の設備における設備データと、その設備の位置における天候情報とを取得する。新たに取得した設備データと、天候情報に基づいて、最適な業者を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて業者を探索する。
【0057】
なお、本発明によれば、上述した参照用設備データに加え、上述した参照用業者状況情報の代わりに設備の位置に関する参照用位置情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する業者との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
【0058】
参照用業者状況情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用位置情報は、提案対象の設備の位置に関する情報であり、例えばGPSの座標や住所等で表示されるものである。この設備の位置においても、緊急度に応じて業者がどの程度の速さで駆け付けられるかに支配されるため、これを説明変数として加えている。
【0059】
解探索時には、実際に設備データとともに、その設備の位置情報とを取得する。新たに取得した設備データと、位置情報に基づいて、最適な業者を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて業者を探索する。
【0060】
なお、本発明によれば、上述した参照用設備データに加え、上述した参照用業者状況情報の代わりに設備の位置に至るまでの道路の渋滞状況に関する参照用渋滞状況情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する業者との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
【0061】
参照用業者状況情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用渋滞状況情報は、設備の位置に至るまでの道路上の車の混雑度合を、道路交通を管理する機関が提供するデータから取得するようにしてもよいし、道路上に設置されたカメラにより道路を撮像した画像から車の渋滞状況を判別するようにしてもよい。かかる場合には画像解析を行うようにしてもよく、周知の画像解析技術、或いは周知のディープラーニング技術を利用するようにしてもよい。このようにして道路上の車の密度を測定し、統計的処理を必要に応じて施した上でこれを混雑度合として数値化する。
【0062】
解探索時には、実際に設備データと、その提案対象の設備の位置に至るまでの道路の渋滞状況情報を取得する。渋滞状況情報の取得方法は、上述した参照用渋滞状況情報の取得方法と同様である。渋滞状況情報の取得時には、上述した画像解析、ひいては人工知能を活用して判別するようにしてもよい。次に、新たに取得した設備データと、渋滞状況情報に基づいて、最適な業者を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて業者を探索する。
【0063】
なお、本発明によれば、上述した参照用設備データに加え、上述した参照用業者状況情報の代わりに外部環境に関する参照用外部環境情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する業者との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
【0064】
参照用業者状況情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用外部環境情報は、経済データ(GDP、雇用統計、鉱工業生産指数、設備投資、労働力調査等)、家計データ(家計消費状況調査、家計データ、1週間の平均就業時間、貯蓄額の統計データ、年収の統計データ等)、不動産データ(オフィス空室率、坪単価、賃料相場、地価、空き家データ等)、自然環境データ(災害データ、気温データ、降水量データ、風向きデータ、湿度データ等)に代表されるものである。外部環境情報は、これらのデータの一部、全部が反映されるもの以外に、その審査対象の企業の外部のあらゆる情報が含まれる。参照用外部環境情報は、外部環境自体を類型化しておくようにしてもよい。例えば、雇用統計におけるデータで区切ることで分類するようにしてもよい。また、パターン(例えば、GDPの伸び率が急激が、あるいは徐々に増加するか等のパターン)等により類型化されていてもよい。
【0065】
解探索時には、実際に設備データと、その提案時における外部環境情報を取得する。外部環境情報の取得方法は、上述した参照用外部環境情報の取得方法と同様である。次に、新たに取得した設備データと、外部環境情報に基づいて、最適な業者を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて業者を探索する。
【0066】
なお、本発明によれば、上述した参照用設備データに加え、上述した参照用業者状況情報の代わりに設備の使用状況に関する参照用使用状況情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する業者との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
【0067】
参照用業者状況情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用使用状況情報は、設備の使用状況を示すものであり、設備の使用年数や設置年月日、使用頻度等のデータで構成される。参照用使用状況情報は、使用頻度のパターン(例えば、使用の時系列的変化の伸び率が急激が、あるいは徐々に増加するか等のパターン)等により類型化されていてもよい。参照用使用状況情報、使用状況情報の取得方法は、その設備を保有する個人または法人が管理するデータベースを利用してもよいし、上述した参照用設備データ、設備データから取得するようにしてもよい。
【0068】
解探索時には、実際に設備データと、その対象となる設備における使用状況情報を取得する。使用状況情報の取得方法は、上述した参照用使用状況情報の取得方法と同様である。次に、新たに取得した設備データと、使用状況情報に基づいて、最適な業者を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて業者を探索する。
【0069】
なお、本発明によれば、上述した参照用設備データに加え、上述した参照用業者状況情報の代わりに設備の今までの故障履歴に関する参照用故障履歴情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する業者との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
【0070】
参照用業者状況情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用故障履歴情報は、設備の故障履歴を示すものであり、設備が今まで故障したことがあるか否か、故障したことがあれば、その年月日や回数、頻度、故障の内容等のデータで構成される。参照用故障履歴情報は、故障回数のパターン(例えば、故障回数の時系列的変化の伸び率が急激が、あるいは徐々に増加するか等のパターン)等により類型化されていてもよい。参照用故障履歴情報、故障履歴情報の取得方法は、その設備を保有する個人または法人が管理するデータベースを利用してもよいし、上述した参照用設備データ、設備データから取得するようにしてもよい。
【0071】
解探索時には、実際に設備データと、その対象となる設備における故障履歴情報を取得する。故障履歴情報の取得方法は、上述した参照用故障履歴情報の取得方法と同様である。次に、新たに取得した設備データと、故障履歴情報に基づいて、最適な業者を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて業者を探索する。
【0072】
なお、本発明によれば、上述した参照用設備データに加え、上述した参照用業者状況情報の代わりに設備の種類に関する参照用設備種類情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する業者との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
【0073】
参照用業者状況情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用設備種類情報は、設備の種類を示すものであり、照明設備、空調設備、換気設備、エレベータ等の昇降設備、水道設備等のような大まかなものに加え、その設備を構成する製品の型番のレベルまで細分化されていてもよい。参照用設備種類情報、設備種類情報の取得方法は、その設備を保有する個人または法人が管理するデータベースを利用してもよいし、上述した参照用設備データ、設備データから取得するようにしてもよい。
【0074】
解探索時には、実際に設備データと、その対象となる設備における設備種類情報を取得する。設備種類情報の取得方法は、上述した参照用設備種類情報の取得方法と同様である。次に、新たに取得した設備データと、設備種類情報に基づいて、最適な業者を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて業者を探索する。
【0075】
なお、本発明によれば、上述した参照用設備データに加え、上述した参照用業者状況情報の代わりにその設備を使用する顧客の希望に関する参照用顧客希望情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する業者との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
【0076】
参照用業者状況情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用顧客希望情報は、設備のメンテンナンスに関する顧客のあらゆる希望を示すものであり、納期や費用、実際のメンテナンスの方法や、希望する業者又はその担当者、担当者の属性(経験の度合、男女、年齢等)の設備の種類を示すものであり、照明設備、空調設備、換気設備、エレベータ等の昇降設備、水道設備等のような大まかなものに加え、その設備を構成する製品の型番のレベルまで細分化されていてもよい。参照用顧客希望情報の取得方法は、実際にメンテナンスを発注した顧客から聞き取った希望をデータベースに入力することで得るようにしてもよい。
【0077】
解探索時には、実際に設備データと、その対象となる設備を使用する顧客から聞き取った顧客希望情報を取得する。顧客希望情報の取得方法は、上述した参照用顧客希望情報の取得方法と同様である。次に、新たに取得した設備データと、顧客希望情報に基づいて、最適な業者を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて業者を探索する。
【0078】
なお、本発明によれば、上述した参照用設備データに加え、上述した参照用業者状況情報の代わりにその設備の周囲における雰囲気に関する参照用雰囲気情報との組み合わせと、当該組み合わせに対する業者との3段階以上の連関度に基づいて解探索を行うようにしてもよい。
【0079】
参照用業者状況情報の代わりに説明変数として加えられるこの参照用雰囲気情報は、設備の周囲における雰囲気に関するあらゆるデータで構成され、温度、湿度、音等で構成される。この温度や湿度は温度計や湿度計で、また音は音波計や音センサ等により構成される。
【0080】
解探索時には、実際に設備データと、その対象となる設備を使用する顧客から聞き取った雰囲気情報を取得する。雰囲気情報の取得方法は、上述した参照用雰囲気情報の取得方法と同様である。次に、新たに取得した設備データと、雰囲気情報に基づいて、最適な業者を探索する。かかる場合には、予め取得した連関度を参照し、上述した方法に基づいて業者を探索する。
【0081】
上述した連関度においては、10段階評価で連関度を表現しているが、これに限定されるものではなく、3段階以上の連関度で表現されていればよく、逆に3段階以上であれば100段階でも1000段階でも構わない。一方、この連関度は、2段階、つまり互いに連関しているか否か、1又は0の何れかで表現されるものは含まれない。
【0082】
上述した構成からなる本発明によれば、特段のスキルや経験が無くても、誰でも手軽に業者の判別・探索を行うことができる。また本発明によれば、この探索解の判断を、人間が行うよりも高精度に行うことが可能となる。更に、上述した連関度を人工知能(ニューラルネットワーク等)で構成することにより、これを学習させることでその判別精度を更に向上させることが可能となる。
【0083】
なお、上述した入力データ、及び出力データは、学習させる過程で完全に同一のものが存在しない場合も多々あることから、これらの入力データと出力データを類型別に分類した情報であってもよい。つまり、入力データを構成する情報P01、P02、・・・・P15、16、・・・は、その情報の内容に応じて予めシステム側又はユーザ側において分類した基準で分類し、その分類した入力データと出力データとの間でデータセットを作り、学習させるようにしてもよい。
【0084】
また本発明は、
図6に示すように参照用情報Uと参照用情報Vという2種類以上の情報の組み合わせの連関度に基づいて業者を判別するものである。この参照用情報Uが参照用設備データであり、参照用情報Vが参照用設備データ以外の他の参照用情報の何れかであるものとする。
【0085】
このとき、参照用情報Uについて得られた出力をそのまま入力データとして、参照用情報Vとの組み合わせの中間ノード61を介して出力(業者)と関連付けられていてもよい。例えば、参照用情報U(参照用設備データ)について、
図3に示すように出力解を出した後、これをそのまま入力として、他の参照用情報Vとの間での連関度を利用し、出力(業者)を探索するようにしてもよい。
【0086】
また、本発明によれば、3段階以上に設定されている連関度を介して最適な解探索を行う点に特徴がある。連関度は、上述した10段階以外に、例えば0~100%までの数値で記述することができるが、これに限定されるものではなく3段階以上の数値で記述できるものであればいかなる段階で構成されていてもよい。
【0087】
このような3段階以上の数値で表される連関度に基づいて最も確からしい業者、を判別することで、探索解の可能性の候補として複数考えられる状況下において、当該連関度の高い順に探索して表示することも可能となる。このように連関度の高い順にユーザに表示できれば、より確からしい探索解を優先的に表示することも可能となる。
【0088】
これに加えて、本発明によれば、連関度が1%のような極めて低い出力の判別結果も見逃すことなく判断することができる。連関度が極めて低い判別結果であっても僅かな兆候として繋がっているものであり、何十回、何百回に一度は、その判別結果として役に立つ場合もあることをユーザに対して注意喚起することができる。
【0089】
更に本発明によれば、このような3段階以上の連関度に基づいて探索を行うことにより、閾値の設定の仕方で、探索方針を決めることができるメリットがある。閾値を低くすれば、上述した連関度が1%のものであっても漏れなく拾うことができる反面、より適切な判別結果を好適に検出できる可能性が低く、ノイズを沢山拾ってしまう場合もある。一方、閾値を高くすれば、最適な探索解を高確率で検出できる可能性が高い反面、通常は連関度は低くてスルーされるものの何十回、何百回に一度は出てくる好適な解を見落としてしまう場合もある。いずれに重きを置くかは、ユーザ側、システム側の考え方に基づいて決めることが可能となるが、このような重点を置くポイントを選ぶ自由度を高くすることが可能となる。
【0090】
更に本発明では、上述した連関度を更新させるようにしてもよい。この更新は、例えばインターネットを始めとした公衆通信網を介して提供された情報を反映させるようにしてもよい。また参照用設備データを初めとする各参照用情報を取得し、これらに対する業者に関する知見、情報、データを取得した場合、これらに応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。
【0091】
係る場合には、その参照用設備データを初めとする各参照用情報と実際にあったか否か、またその業者の選定結果の事例を収集し、その事例の数に応じて連関度を上昇させ、或いは下降させる。このとき、上述した設備データを始めとする、参照用情報に応じた情報を取得して、判別を行った際に、これらに基づいて更新を行うようにしてもよい。
【0092】
つまり、この更新は、人工知能でいうところの学習に相当する。新たなデータを取得し、これを学習済みデータに反映させることを行っているため、学習行為といえるものである。
【0093】
また学習済モデルを最初に作り上げる過程、及び上述した更新は、教師あり学習のみならず、教師なし学習、ディープラーニング、強化学習等を用いるようにしてもよい。教師なし学習の場合には、入力データと出力データのデータセットを読み込ませて学習させる代わりに、入力データに相当する情報を読み込ませて学習させ、そこから出力データに関連する連関度を自己形成させるようにしてもよい。
【0094】
なお、本発明によれば、選定した工事会社に対して、そのメンテナンスの手配業務を自動的に実施するようにしてもよい。かかる場合には、提案した業者の名称(社名、個人名、事業所、出張所等)をテキストデータとして取得する。そして、予め準備した、見積書、依頼書、完了書、請求書の何れかの電子データ化された書類のフォーマットにその名称のテキストデータを挿入することで書類を完成させる。その際には、適宜日付や依頼内容を書類に挿入する。依頼内容は、上述した参照用情報から抽出してもよく、中でも顧客希望状況から取得するようにしてもよい。
【0095】
完成させた電子データの書類は、実際に選定した業者のメールアドレスに送信し、或いはウェブサイト上で管理する場合には、そのウェブサイト上にアップする。
【0096】
第2実施形態
以下、第2実施形態について説明をする。この第2実施形態を実行する上では、第1実施形態において使用する業者提案システム1、情報取得部9、探索装置2、データベース3を同様に使用する。これらの各構成の説明は、第1実施形態の説明を引用することで以下での説明を省略する。
【0097】
第2実施形態では、探索解として、上述したメンテナンスに伴うメンテナンス費用を判別するものである。メンテナンス費用は、実際にメンテナンスを委託した業者に支払う代金である。学習データを構築する際には、実際に支払ったメンテナンス費用を蓄積しておき、これを読み出してデータセットに含めるようにしてもよい。
【0098】
かかる場合には、先ず参照用設備データ設備データと、メンテナンス費用のデータセットを学習させる。
【0099】
図7の例では、入力データとして、各地域における参照用設備データP01、P02、P03であるものとする。このような入力データとしての参照用設備データP01、P02、P03は、出力としてのメンテナンス費用に連結している。
【0100】
参照用設備データP01、P02、P03は、この出力解としてのメンテナンス費用A~Bに対して3段階以上の連関度を通じて互いに連関しあっている。参照用設備データがこの連関度を介して左側に配列し、各メンテナンス費用が連関度を介して右側に配列している。連関度は、左側に配列された参照用設備データに対して、何れのメンテナンス費用と関連性が高いかの度合いを示すものである。換言すれば、この連関度は、各参照用設備データが、いかなるメンテナンス費用に紐付けられる可能性が高いかを示す指標であり、各参照用設備データについて最も確からしいメンテナンス費用を選択する上での的確性を示すものである。
【0101】
また、この連関度は、人工知能におけるニューラルネットワークのノードで構成されるものであってもよい。即ち、このニューラルネットワークのノードが出力に対する重み付け係数が、上述した連関度に対応することとなる。またニューラルネットワークに限らず、人工知能を構成するあらゆる意思決定因子で構成されるものであってもよい。
【0102】
このような連関度が、人工知能でいうところの学習済みデータとなる。このような学習済みデータを、以前の各地域の参照用設備データと、メンテナンス費用とのデータセットを通じて作った後に、実際にこれから新たにメンテナンス費用の判別を行う上で、上述した学習済みデータを利用してメンテナンス費用を探索することとなる。これらのデータセットは、業者が管理しているデータベースから読み出すことで作成するようにしてもよい。解探索の方法は、上述した第1実施形態と同様であることから以下での説明を省略する。
【0103】
なお、この第2実施形態においては、探索解としては、メンテナンス費用の代替としてメンテナンスに要した期間に関するメンテナンス期間を求めるものであってもよい。かかる場合においても同様に、学習データを構築する際には、実際に要したメンテナンス期間を蓄積しておき、これを読み出してデータセットに含めるようにしてもよい。
【0104】
なお、この第2実施形態においては、探索解としては、メンテナンス費用の代替としてメンテナンス方法を求めるものであってもよい。かかる場合においても同様に、学習データを構築する際には、実際に要したメンテナンス方法を蓄積しておき、これを読み出してデータセットに含めるようにしてもよい。
【0105】
なお、この第2実施形態においては、探索解としては、メンテナンス費用の代替としてメンテナンス頻度を求めるものであってもよい。ここでいうメンテナンス頻度とは、所定期間において業者がメンテナンスを行う回数に応じた頻度を示すものである。かかる場合においても同様に、学習データを構築する際には、実際に要したメンテナンス回数を蓄積しておき、これを読み出して所定期間のメンテナンス頻度を算出して、データセットに含めるようにしてもよい。
【0106】
これらの探索解は、地域毎、メンテンナンスの種類ごとに分類されていてもよい。
【0107】
また、第2実施形態においては、求めたメンテナンス費用に紐付けた保険条件を算出するようにしてもよい。ここでいう保険は、顧客の被保険利益を代行した事業者が保険契約者として予めメンテンナンス費用補償の保険に入ることで、実際にメンテナンスが必要になった場合には、当該保険によりメンテナンス費用補償が受けられる。その結果、顧客から業者に直接メンテナンス料を支払う必要はなくなる。
【0108】
このような保険条件とは、保険スキームを構成するすべての情報や要件、例えば、保険期間、保険料、補償条件、免責条項、保険金(メンテナンス費用補償金)、支払限度額等の保険に係る項目を規定する各種の特定概念を意味する。
【0109】
このような保険条件は、あくまでメンテナンス費用補償との関係において最適になるように設定される。そのため、保険契約の継続性要件として、メンテナンス費用補償としての保険金支払実績の増減に応じて、各契約年度に適用される保険料率については、リザルトレーティング方式により保険料率の調整が適正になされることが望ましい。
【0110】
かかる場合には、個々のメンテナンス費用に保険条件を紐付けておき、求めたメンテナンス費用に紐づけられた保険条件を算出するようにしてもよい。
【0111】
これ以外に、上述の如き方法により求めたメンテナンス費用その他の関連情報を、所定期間に蓄積しておく。そして、上記の集積情報から、メンテナンス費用の年間平均額を試算したり、不具合発生頻度を統計的に解析したりして、適用保険条件の修正を行うことができる。いずれの場合でも、各種適用保険条件については、いかなる周知の方法に基づくものであってもよい。情報利用目的としては、大数の法則に基づく当該事業の収支均衡を図り、安定した保険契約による長期平準化した全体コスト負担構造の達成を目指すものである。
【0112】
かかる場合には、上述の如き方法により求めたメンテナンス費用を所定期間蓄積し、蓄積したメンテナンス費用の上記所定期間内の合計額、平均値、最大値、中央値を求める。そして求めたこれらの値に基づいて、保険条件を求める。この保険条件の求め方としては、蓄積したメンテナンス費用の上記所定期間内の合計額、平均値、最大値、中央値の変化に応じて、保険期間、保険料、補償条件、免責条項、保険金、支払限度額等が変化するような換算式や、メンテナンス費用の上記所定期間内の合計額、平均値、最大値、中央値のそれぞれに対して、保険期間、保険料、補償条件、免責条項、保険金、支払限度額等が対応付けられたテンプレートを予め準備しておき、それを参照することで保険条件を求めるようにしてもよい。
【0113】
なお、求めたメンテナンス費用を集計するための上述した所定期間はいかなる期間(日、月、年)で構成されるものであってもよい。
【0114】
メンテナンス頻度を探索解とする場合においても、上述の如き方法により求めたメンテナンス回数を所定期間蓄積し、蓄積したメンテナンス回数からメンテナンス頻度を求める。そして、このメンテンナンス頻度の平均値、最大値、中央値を求める。そして求めたこれらの値に基づいて、保険条件を求める。この保険条件の求め方としては、蓄積したメンテナンス頻度の平均値、最大値、中央値の変化に応じて、保険期間、保険料、補償条件、免責条項、保険金、支払限度額等が変化するような換算式や、メンテナンス頻度の上記所定期間内の平均値、最大値、中央値のそれぞれに対して、保険期間、保険料、補償条件、免責条項、保険金、支払限度額等が対応付けられたテンプレートを予め準備しておき、それを参照することで保険条件を求めるようにしてもよい。
【0115】
また、保険条件は、上述したメンテナンス頻度、メンテナンス費用の双方に基づいて求められるものであってもよい。かかる場合、メンテナンス頻度、メンテナンス費用ともに上述した方法で探索されることで得られるものを利用してもよいが、これに限定されるものではなく、いずれか一方は、他の方法で求められるものであってもよいし、従来の方法で、所定期間のメンテナンス頻度、メンテナンス費用を測定するものであってもよい。
【0116】
本発明においては、このような保険条件を自動的に求め、算出結果を出力するようにしてもよい。かかる場合には、例えば、所定期間のメンテナンス費用合計額に応じての基礎保険料(保険会社のコスト・利益の相当分を除く保険金原価)のテーブルを予め用意しておくことも考えられる。
【0117】
また、第2実施形態においては、適用すべき保険条件を探索したい場合は、
図8に示すように、参照用情報に対してメンテナンス作業内容を求め、求めたメンテナンス作業内容に紐付けた保険条件を算出するようにしてもよい。ここでいうメンテナンス作業内容とは、実際にいかなるメンテナンス作業を行うかを類型化したものであり、交換、保守、修理、取り換え等の大分類に加え、具体的にいかなる部品を修理、交換するかまで限定するものであってもよい。
【0118】
また、このメンテナンス作業内容は、実際にその設備の状況を整理した状況整理情報に発展され、或いはこれに代替されるものであってもよい。ここでいう状況整理情報とは、実際に設備の状況がいかなるものかを類型化したものであり、設備がどの程度劣化しているのか、設備の健全度がどの程度ものなのか、設備がどの程度のメンテナンスや作業を必要とするものかを類型化したものである。
【0119】
このようなメンテナンス作業内容や状況整理情報は、その分野の専門家や当業者が判定して分類したものであってもよい。
【0120】
保険条件を求める際には、このようなメンテナンス作業内容や状況整理情報に対して保険条件を紐付けておき、解探索されたメンテナンス作業内容や状況整理情報に紐付けた保険条件を出力するようにしてもよい。
【0121】
これ以外には、メンテナンス作業内容や状況整理情報を所定期間の間蓄積しておく。そして、所定期間蓄積したメンテナンス作業内容や状況整理情報の各類型の合計回数や平均等を始めとする統計的データを出し、これに基づいて適用修正保険条件を企画するようにしてもよい。メンテナンス費用もこのようなメンテナンス作業内容や状況整理情報に関連する場合が多いことから、保険条件も同様にこのメンテナンス作業内容や状況整理情報から絞り込むことも可能となる。いずれのケースにおいても保険条件の算出方法は、周知のいかなる方法に基づくものであってもよい。つまり、事業者から徴収する保険料と、メンテナンス作業内容や状況整理情報、これに基づく作業量や費用との関係を考慮し、周知のいかなる方法で、保険料、保険条件を算出するようにしてもよい。なお、保険条件を探索する場合は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、
図8の探索解の出力としてのメンテナンス作業内容の代替として、保険条件を学習させるようにしてもよい。かかる場合には、上述した各参照用情報と、その時の実際の保険条件を顧客又は業者から聴取し、これらをデータセットとして学習させる。かかる方法によっても同様に適用修正保険条件を探索することが可能となる。
【0122】
なお、第1実施形態、第2実施形態共に、上述した実施の形態に限定されるものでは無く、例えば
図9に示すように、基調となる参照用情報と、業者(第2実施形態の場合は、メンテナンス費用、メンテナンス方法、メンテナンス期間、メンテナンス頻度、メンテナンス作業内容、状況整理情報、保険条件等)との3段階以上の連関度を利用するようにしてもよい。かかる場合には、新たに取得した情報に応じた参照用情報と業者との3段階以上の連関度に基づき、解探索を行うことになる。基調となる参照用情報は、上述した全ての参照用情報(参照用設備データ、参照用業者状況情報、参照用天候情報、参照用位置情報、参照用渋滞状況情報、参照用外部環境情報、参照用使用状況情報、参照用故障履歴情報、参照用設備種類情報、参照用顧客希望情報、参照用雰囲気情報等)を適用可能である。
【0123】
これらの場合も同様に、学習用データとして用いられた参照用情報に応じた情報が入力された場合に、上述した方法に基づいて解探索が行われることとなる。
【0124】
連関度を通じて求められる探索解は、更に、他の参照用情報に基づいて修正され、或いは重み付けを変化させるようにしてもよい。
【0125】
ここでいう他の参照用情報とは、上述した参照用情報の何れかを基調となる参照用情報とした場合、当該基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報に該当する。
【0126】
例えば、他の参照用情報の一つとして、ある参照用天候情報Fにおいて、以前において業者Bが判別される経緯が多かったものとする。このような参照用天候情報Fに応じた天候情報を新たに取得したとき、業者としての探索解Bに対して、重み付けを上げる処理を行い、換言すれば業者の探索解Bにつながるようにする処理を行うように予め設定しておく。
【0127】
例えば、他の参照用情報Gが、より業者としての探索解Cを示唆するような分析結果であり、参照用情報Fが、より業者としての探索解Dを示唆するような分析結果であるものとする。このように参照用情報との間での設定の後、実際に取得した情報が参照用情報Gと同一又は類似する場合には、業者Cの重み付けを上げる処理を行う。これに対して、実際に取得した情報が参照用情報Fと同一又は類似する場合には、業者Dの重み付けを上げる処理を行う。つまり、業者につながる連関度そのものを、この参照用情報F~Hに基づいてコントロールするようにしてもよい。或いは、業者を上述した連関度のみで決定した後、この求めた探索解に対して参照用情報F~Hに基づいて修正を加えるようにしてもよい。後者の場合において、参照用情報F~Hに基づいてどのように探索解としての業者にいかなるウェートで修正を加えるかは、都度システム側において設計したものを反映させることとなる。
【0128】
また参照用情報は、何れか1種で構成される場合に限定されるものではなく、2種以上の参照用情報に基づいて解探索するようにしてもよい。かかる場合も同様に、参照用情報の示唆する業者につながるケースほど、連関度を介して求められた探索解としての当該判別類型をより高く修正するようにしてもよい。
【0129】
同様に、
図10に示すように、基調となる参照用情報と、他の参照用情報とを有する組み合わせに対する、業者との連関度を形成する場合においても、基調となる参照用情報は、いかなる参照用情報(参照用設備データ、参照用業者状況情報、参照用天候情報、参照用位置情報、参照用渋滞状況情報、参照用外部環境情報、参照用使用状況情報、参照用故障履歴情報、参照用設備種類情報、参照用顧客希望情報、参照用雰囲気情報等)も適用可能である。他の参照用情報は、基調となる参照用情報以外のいかなる参照用情報が含まれる。
【0130】
このとき、基調となる参照用情報が、参照用設備データであれば、他の参照用情報としては、これ以外のいかなる参照用情報が含まれる。
【0131】
かかる場合も同様に解探索を行うことで、業者を推定することができる。このとき、上述した
図9に示すように、連関度を通じて得られた探索解に対して、更なる他の参照用情報(参照用情報F、G、H等)を通じて、業者を修正するようにしてもよい。
【0132】
このとき、他の参照用情報が1のみならず、2以上組み合わさるようにして連関度が学習されるものであってもよい。
【0133】
また、
図11に示すように基調となる参照用情報のみと、業者との間で連関度が形成されるものであってもよい。この基調となる参照用情報は、第1実施形態、第2実施形態におけるいかなる参照用情報(参照用設備データ、参照用業者状況情報、参照用天候情報、参照用位置情報、参照用渋滞状況情報、参照用外部環境情報、参照用使用状況情報、参照用故障履歴情報、参照用設備種類情報、参照用顧客希望情報、参照用雰囲気情報等)も適用可能である。この
図11の解探索方法は、
図3の説明を引用することで以下での説明を省略する。
【0134】
なお、本発明においては、
図8に示すようにメンテナンス作業内容、又は状況整理情報を解探索した後、この解探索したメンテナンス作業内容、又は状況整理情報から、上述した各探索解(業者、メンテナンス費用、メンテナンス方法、メンテナンス頻度、メンテナンス期間、保険条件)を求めるようにしてもよい。
【0135】
かかる場合には、入力をメンテナンス作業内容、又は状況整理情報とし、出力を各探索解(業者、メンテナンス費用、メンテナンス方法、メンテナンス期間、メンテナンス頻度、保険条件)とし、入力と出力とを上述した連関度を介して関連付けて学習させるようにしてもよい。そして、
図8に示すようにメンテナンス作業内容、又は状況整理情報を解探索した後、この解探索したメンテナンス作業内容、又は状況整理情報を入力することで、上述した方法と同様に探索解(業者、メンテナンス費用、メンテナンス方法、メンテナンス期間、メンテナンス頻度、保険条件)を探索することが可能となる。かかる場合には、上述した参照用情報と、類型化したメンテナンス作業内容又は状況整理情報との3段階以上の第1連関度を利用し、取得した情報に応じた参照用情報に基づき、メンテナンス作業内容又は状況整理情報を特定する。次に、過去において取得した参照用メンテナンス作業内容又は参照用状況整理情報と探索解(業者、メンテナンス費用、メンテナンス方法、メンテナンス期間、メンテナンス頻度、保険条件)との3段階以上の第2連関度を利用し、解探索したメンテナンス作業内容又は状況整理情報に応じた参照用メンテナンス作業内容又は参照用状況整理情報に基づき、探索解を求める。
【0136】
また、本発明は、探索解(業者、メンテナンス費用、メンテナンス方法、メンテナンス期間、メンテナンス頻度、保険条件、メンテナンス作業内容、状況整理情報)のうち2種以上を一つの探索解として学習させるようにしてもよい。つまり、業者とそのメンテナンス費用を一つの探索解として学習させるようにしてもよい。その結果、選定すべき業者及びメンテナンス料が推定結果として出力されることとなる。
【0137】
これにより、業者への手配を自動的に行う場合には、見積書、依頼書、完了書、請求書の何れかの電子データ化された書類のフォーマットに、推定した業者及びメンテナンス料を挿入することでこれらの書類を完成させることができる。
【符号の説明】
【0138】
1 メンテナンス業者選定システム
2 探索装置
21 内部バス
23 表示部
24 制御部
25 操作部
26 通信部
27 判別部
28 記憶部
61 ノード