(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075562
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】除塵器
(51)【国際特許分類】
B01D 45/06 20060101AFI20230524BHJP
C21B 7/22 20060101ALI20230524BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20230524BHJP
B07B 1/12 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
B01D45/06
C21B7/22
F27D17/00 105A
B07B1/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188537
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006655
【氏名又は名称】日本製鉄株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】横川 優斗
【テーマコード(参考)】
4D021
4D031
4K015
4K056
【Fターム(参考)】
4D021AA02
4D021AA03
4D021AB04
4D021CA01
4D021DB01
4D021EA10
4D031AB11
4D031BA01
4D031BA03
4D031BA06
4D031BA10
4D031BB04
4D031DA05
4K015HA05
4K056AA01
4K056DB12
4K056DB13
4K056DB14
4K056DB15
4K056DB22
4K056DB23
(57)【要約】
【課題】除塵器内に落下する塊によって排出口が塞がれることを規制しつつ、ダストを円滑に排出する。
【解決手段】流体1内に含まれるダストを捕集する除塵器10であって、除塵器10内に流体1を導入する導入部11と、導入部11から導入された流体1のうち、ダストが分離された流体1を排出する流体排出部21と、除塵器10の最下部に設けられ、除塵器10内で捕集したダストを排出するダスト排出口22と、導入部11よりも下方に、かつ、ダスト排出口22よりも上方に配置され、複数の開口が形成された篩24と、が設けられ、篩24は、除塵器10の下部の全面にわたって配置され、複数の開口のうちの少なくとも1つの開口の最小断面長は、ダスト排出口22の最大断面長よりも小さい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体内に含まれるダストを捕集する除塵器であって、
前記除塵器内に流体を導入する導入部と、
前記導入部から導入された流体のうち、ダストが分離された流体を排出する流体排出部と、
前記除塵器の最下部に設けられ、前記除塵器内で捕集したダストを排出するダスト排出口と、
前記導入部よりも下方に、かつ、前記ダスト排出口よりも上方に配置され、複数の開口が形成された篩と、が設けられ、
前記篩は、前記除塵器の下部の全面にわたって配置され、
前記複数の開口のうちの少なくとも1つの開口の最小断面長は、前記ダスト排出口の最大断面長よりも小さい、除塵器。
【請求項2】
前記篩は、水平方向に対して傾斜している、請求項1に記載の除塵器。
【請求項3】
前記除塵器の側面には、前記篩よりも上方に配置されたマンホールが設けられている、請求項1または2に記載の除塵器。
【請求項4】
前記篩は、複数の棒状部材を備え、
前記複数の開口のうちの少なくとも一部の開口は、水平方向に隣り合う前記複数の棒状部材の間に形成されている、請求項1から3のいずれか1項に記載の除塵器。
【請求項5】
前記複数の棒状部材のうちの少なくとも一部の棒状部材は、パイプである、請求項4に記載の除塵器。
【請求項6】
前記パイプ内に蒸気を供給する蒸気供給部を更に備えている、請求項5に記載の除塵器。
【請求項7】
前記複数の棒状部材のうちの少なくとも一部の棒状部材は、前記除塵器を水平方向に貫通している、請求項4から6のいずれか1項に記載の除塵器。
【請求項8】
前記除塵器を上下方向から見たときに、前記複数の開口それぞれが、前記ダスト排出口よりも小さい、請求項1から7のいずれか1項に記載の除塵器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除塵器に関する。
【背景技術】
【0002】
設備から発生した流体内にはダストが含まれる場合があり、除塵器を通して、ダストと流体とを分離する。この場合、ダストは除塵器に設けられた排出口から排出される。
例えば、高炉から発生した高炉ガスは、除塵器(ダスト捕集装置)を通し、清浄ガスとして再利用される。除塵器で捕集したダストは、除塵器の最下部に設けられた排出口から定期的に排出される。
しかしながら、排出口は、以下に示すようなさまざまな原因で塞がれる場合がある。
(1)例えば、除塵器のダクトの内面に設けられた耐火物が、経年劣化や施工不良によって脱落する場合。
(2)例えば、前記耐火物が、吹き抜けなどの高炉トラブルによって脱落する場合。
(3)例えば、ダクト内に存在する大きな塊(ダストやヒューム等の付着などにより発生した塊)が落下した場合。
そこで、落下してきた大塊(耐火物を含む)を受け止め、排出口を塞いでしまうことを防止するため、従来から、排出口の上部に構造物を設けることが行われてきた。
例えば、下記特許文献1では、大塊が落下してきた場合にも排出口を直接塞いでしまうことを防止するため、側面が篩面である筒を排出口に立てている。この発明では、筒の上部だけでなく側面からもダストが通過するように、筒の側面が篩面となっている。これによって、通常では、正常にダストを排出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の除塵器では、筒を排出口に立てることが前提であり、除塵器における他の位置に筒を設置することができない。そして、排出口近くに筒があるため、例えば、篩面の目がダストによって目詰まりした場合などには、ダストが排出される部分が筒の上部のみとなってしまう。その結果、ダスト排出の回数が増加し、最悪の場合には結局操業を停止しなければならないことも考えられる。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、除塵器内に落下する塊によって排出口が塞がれることを規制しつつ、ダストを円滑に排出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係る除塵器は、流体内に含まれるダストを捕集する除塵器であって、前記除塵器内に流体を導入する導入部と、前記導入部から導入された流体のうち、ダストが分離された流体を排出する流体排出部と、前記除塵器の最下部に設けられ、前記除塵器内で捕集したダストを排出するダスト排出口と、前記導入部よりも下方に、かつ、前記ダスト排出口よりも上方に配置され、複数の開口が形成された篩と、が設けられ、前記篩は、前記除塵器の下部の全面にわたって配置され、前記複数の開口のうちの少なくとも1つの開口の最小断面長は、前記ダスト排出口の最大断面長よりも小さい。
【0007】
篩が、導入部よりも下方に、かつ、ダスト排出口よりも上方に配置されている。その上で、篩が、除塵器の下部の全面にわたって配置されている。したがって、導入部からの落下物がダスト排出口に到達するためには、篩を通過する必要がある。ここで、複数の開口のうちの少なくとも1つの開口の最小断面長が、ダスト排出口の最大断面長よりも小さい。したがって、ダスト排出口を閉塞するような大きさの塊は、篩に引っ掛かり易い。塊が篩に引っ掛かると、塊が篩を通過しない。そのため、塊がダスト排出口を塞ぐことが規制される。
この除塵器では、塊によるダスト排出口の閉塞を規制するため、篩を、導入部よりも下方に、かつ、ダスト排出口よりも上方に配置すればよい。言い換えると、前記従来の除塵器のように、筒を排出口に立てる必要がない。よって、例えば、篩を排出口から十分に離れた位置に設置すること等ができる。そのため、仮に篩が目詰まり等しても、排出口付近の流れが阻害され難い。よって、ダストを円滑に排出することができる。
【0008】
<2>上記<1>に係る除塵器では、前記篩は、水平方向に対して傾斜している構成を採用してもよい。
【0009】
篩が、水平方向に対して傾斜している。よって、篩に受け止められた塊が、篩の傾斜に沿って特定の箇所に集約し易い。これにより、例えば、塊の除去作業が実施し易くなる。
【0010】
<3>上記<1>または<2>に係る除塵器では、前記除塵器の側面には、前記篩よりも上方に配置されたマンホールが設けられている構成を採用してもよい。
【0011】
マンホールが、篩よりも上方に配置されている。よって、篩上の塊を作業者がマンホールから除去することができる。なお、篩が水平方向に対して傾斜している場合、篩をマンホールに向けて傾斜させることで、塊がマンホールに集約し易くなる。
【0012】
<4>上記<1>から<3>のいずれか1項に係る除塵器では、前記篩は、複数の棒状部材を備え、前記複数の開口のうちの少なくとも一部の開口は、水平方向に隣り合う前記複数の棒状部材の間に形成されている構成を採用してもよい。
【0013】
篩が、複数の棒状部材を備えている。しかも、複数の開口のうちの少なくとも一部の開口が、水平方向に隣り合う複数の棒状部材の間に形成されている。よって、例えば、開口の断面長や断面積が自由度高く設定される。
【0014】
<5>上記<4>に係る除塵器では、前記複数の棒状部材のうちの少なくとも一部の棒状部材は、パイプである構成を採用してもよい。
【0015】
複数の棒状部材のうちの少なくとも一部の棒状部材がパイプである。そのため、篩が軽量となる。また、篩が一般的な部材によって形成される。その結果、篩を安価に製造することができる。
【0016】
<6>上記<5>に係る除塵器では、前記パイプ内に蒸気を供給する蒸気供給部を更に備えている構成を採用してもよい。
【0017】
高炉炉頂ガスに用いられる除塵器であって、乾式や電気式の除塵器においては、篩に触れたダストが濡れていると、ダストが篩に付着して積み重なる。篩に付着したダストが大きく成長すると、篩の開口を閉塞するおそれがある。しかも、除塵器内には高温の炉頂ガスが導入される(なお炉頂ガスの温度は、通常の操業時において100~200℃程度、吹き抜け時において600~1200℃程度である)。そのため、篩にダストが付着されていると、炉頂ガスからの熱を受けたダストが焼結されたように硬化する。結果として、ダストが篩から離脱し難くなり、開口が一層閉塞され易くなる。
篩の開口が閉塞された場合、例えば、高炉の操業を止めて、篩に付着したダストの清掃が必要になることがある。
ここで、蒸気供給部が、パイプ内に蒸気(例えば、100℃~300℃程度)を供給する。これにより、篩に付着したダストの乾燥を促進することができる。よって、ダストが篩の表面で成長することが抑制される。結果として、篩の開口がダストによって閉塞されにくくなる。
【0018】
<7>上記<4>から<6>のいずれか1項に係る除塵器では、前記複数の棒状部材のうちの少なくとも一部の棒状部材は、前記除塵器を水平方向に貫通している構成を採用してもよい。
【0019】
複数の棒状部材のうちの少なくとも一部の棒状部材が、除塵器を水平方向に貫通している。したがって、例えば、棒状部材が摩耗や損傷したとき等に、作業者は除塵器の外部から棒状部材の取外しや取り付けが可能となり、交換作業がし易い。
【0020】
<8>上記<1>から<7>のいずれか1項に係る除塵器では、前記除塵器を上下方向から見たときに、前記複数の開口それぞれが、前記ダスト排出口よりも小さい構成を採用してもよい。
【0021】
除塵器を上下方向から見たときに、複数の開口それぞれが、ダスト排出口よりも小さい。よって、塊が篩に一層引っ掛かり易くなる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、除塵器内に落下する塊によって排出口が塞がれることを規制しつつ、ダストを円滑に排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図1】本発明の一実施形態に係る除塵器の縦断面図である。
【
図2】
図1に示す除塵器を構成する篩の斜視図である。
【
図4】本発明の比較例に係る除塵器の縦断面図であって、ダスト排出バルブが閉じられている状態を示す図である。
【
図5】
図4に示す除塵器の縦断面図であって、ダスト排出バルブが開かれている状態を示す図である。
【
図6】
図4に示す除塵器の縦断面図であって、塊が排出口を塞いでいる状態を示す図である。
【
図7】
図1に示す除塵器の縦断面図であって、塊が篩に支持されつつダスト排出バルブが閉じられている状態を示す図である。
【
図8】
図1に示す除塵器の縦断面図であって、塊が篩に支持されつつダスト排出バルブが開かれている状態を示す図である。
【
図9】本発明の第1変形例に係る除塵器の縦断面図である。
【
図10】本発明の第2変形例に係る除塵器の縦断面図である。
【
図11】本発明の第3変形例に係る除塵器の縦断面図である。
【
図13】本発明の第4変形例に係る除塵器の横断面図である。
【
図14】本発明の第5変形例に係る除塵器の縦断面図である。
【
図15】本発明の第6変形例に係る除塵器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、
図1から
図8を参照し、本発明の一実施形態に係る除塵器10を説明する。除塵器10は、例えば、高炉の炉頂ガス用として用いられる。
高炉は、コークスを用いて鉄鉱石を還元して溶銑を製造する炉である。高炉において、加熱されて還元された鉄鉱石は、溶銑となって、高炉の炉底に設けられた出銑口から出銑される。コークスの燃焼および鉄鉱石の還元により発生した高炉ガスは、炉頂ガス1(流体)として高炉の炉頂から排出される。炉頂ガス1の主成分は、N
2、CO
2、CO、H
2である。炉頂ガス1は、高炉に装入された原料の微細粒子などからなる多量のダスト2をさらに含む。
【0025】
炉頂ガス1は、炉頂ガス導入管11(導入部、下降管、ダウンカマー)を通って除塵器10に導入される。炉頂ガス導入管11の内側は、耐火物12(キャスタブル、耐火材)が内張りされている。
除塵器10に導入された炉頂ガス1は、除塵器10において、炉頂ガス1とダスト2とに分離される。除塵器10としては、乾式、湿式、電気式など、多様な形式の構成が採用される。
【0026】
除塵器10は、炉頂ガス導入管11から高炉の炉頂ガス1が供給されるホッパ13(除塵器本体)を備えている。ホッパ13は、中空の円筒である中央部14と、中空であって上方に向けて狭くなる円錐である上方部15と、中空であって下方に向けて狭くなる円錐である下方部16と、を備えている。
【0027】
なお本実施形態では、炉頂ガス導入管11の下端が、内筒17(広がり管、ディフューザー)となっている。内筒17は、ホッパ13内に位置している。内筒17は、下方に向かうに従い拡径している。内筒17の内面には、耐火物12が設けられていない。内筒17の下端は、中央部14に位置している。
【0028】
ホッパ13には、ダスト2が分離された炉頂ガス1を排気する排気管21(流体排出部)と、炉頂ガス導入管11よりも下方に配置されたダスト排出口22と、炉頂ガス導入管11(内筒17)よりも下方に、かつ、ダスト排出口22よりも上方に配置され、複数の開口23が形成された篩24と、が設けられている。
排気管21は、ホッパ13から炉頂ガス1を排気する。排気管21は、内管(炉頂ガス導入管11)の下端よりも上側に位置する。排気管21は、上方部15の側面に設けられている。
【0029】
ダスト排出口22は、ホッパ13からダスト2(除塵器10内で捕集したダスト2)を排出する。ダスト排出口22は、除塵器10(ホッパ13)の最下部に設けられている。ダスト排出口22は、下方部16の下端に設けられている。ダスト排出口22は、下方部16の下端から下方に開口している。ダスト排出口22の平面視形状は、円形状(真円形状)である。
図3に示すように、ダスト排出口22は内径L0の円形である。そのため、ダスト排出口22の最小断面長L0minとダスト排出口22の最大断面長L0maxと同一となる。
【0030】
なお開口部(例えばダスト排出口22、または、後述する第1開口31や第2開口32)の断面長とは、開口部における中心を通る開口断面の長さのことをいう。開口部の最小断面長とは、開口部の断面長のうちの最小の断面長をいう。開口部の最大断面長とは、開口部の断面長のうちの最大の断面長をいう。
【0031】
図1に示すように、ダスト排出口22には、排出管25が接続されている。排出管25には、排出管25を開閉するダスト排出バルブ26が設けられている。
【0032】
篩24は、除塵器10の下部の全面にわたって配置されている。篩24は、ホッパ13の一断面であってホッパ13を上下方向Zから見る一断面の全面にわたって配置されている。篩24は、ホッパ13の軸線に交差する横断面の全面にわたって配置されている。篩24は、ホッパ13における下方部16に設けられている。
図2に示すように、篩24は、網目状である。篩24は、複数の棒状部材27を備えている。本実施形態では、複数の棒状部材27は、いずれもパイプ(例えば、丸パイプや角パイプ等)である。ここで棒状部材27は、本実施形態のように中空のパイプであってもよく、中実のロッドであってもよい。なお図示の例では、各棒状部材27が、直線状に延びているが、曲線状に延びていてもよい。
【0033】
複数の棒状部材27は、複数の第1棒状部材28と、複数の第2棒状部材29と、を含む。図示の例では、第1棒状部材28と第2棒状部材29とは同数である。なお、第1棒状部材28と第2棒状部材29とは同数でなくてもよい。例えば、後述する第1開口31の開口形状が長方形の場合など、第1棒状部材28と第2棒状部材29とが同数ではなくてもよい。
【0034】
複数の第1棒状部材28はそれぞれ、水平方向のうちの第1方向D1に延びる。複数の第1棒状部材28は、水平方向のうちの第1方向D1に直交する第2方向D2に間隔をあけて並んでいる。複数の第2棒状部材29はそれぞれ、第2方向D2に延びる。複数の第2棒状部材29は、第1方向D1に間隔をあけて並んでいる。複数の棒状部材27は、格子状に配置されている。
【0035】
なお本実施形態では、複数の第1棒状部材28は、第2方向D2に等間隔に配置され、複数の第2棒状部材29は、第1方向D1に等間隔に配置されている。しかしながら、複数の第1棒状部材28が、第2方向D2に不等間隔に配置されていてもよい。複数の第2棒状部材29が、第1方向D1に不等間隔に配置されていてもよい。
【0036】
複数の第1棒状部材28と、複数の第2棒状部材29と、は、上下方向Zにずらされている。本実施形態では、全ての第1棒状部材28が、同一の平面(以下、第1平面という)に配置されている。全ての第2棒状部材29が、同一の平面(以下、第2平面という)に配置されている。第1平面と第2平面とは、上下方向Zにずらされている。
【0037】
各第1棒状部材28は、各第2棒状部材29に対して、上下方向Zの片側(上側または下側)から接触しておらず、接合もされていない。各第1棒状部材28が、各第2棒状部材29に接合されていないことで、第1棒状部材28や第2棒状部材29を1本ごとに交換し易くなる。ただし、各第1棒状部材28は、各第2棒状部材29に対して接触していてもよい。さらには、各第1棒状部材28が、各第2棒状部材29に対して溶接などによって接合されていてもよい。
【0038】
なお篩24の外周縁に、各棒状部材27の端が固定される環状部材30が設けられていてもよい。この場合、環状部材30がホッパ13に嵌め込まれることで、篩24がホッパ13に固定される。
一方、篩24の外周縁に環状部材30がなくてもよい。この場合、例えば、棒状部材27の端が直接、ホッパ13に例えば溶接などにより接合されていてもよい。
【0039】
上記篩24において、複数の開口23のうちの一部の開口23(以下、第1開口31という)は、水平方向に隣り合う複数の棒状部材27の間に形成されている。第1開口31は、篩24における外周縁を除く部分の全域にわたって形成されている。全ての第1開口31は、同等の形状で、かつ、同等の大きさである。各第1開口31は、第2方向D2に隣り合う第1棒状部材28の間で、かつ、第1方向D1に隣り合う第2棒状部材29の間に形成されている。各第1開口31は、矩形状(図示の例では正方形状)である。
【0040】
複数の開口23のうちの残りの開口23(以下、第2開口32という)は、篩24における外周縁の全域(全周)にわたって形成されている。第2開口32は、篩24が前記環状部材30を備えている場合には、棒状部材27と環状部材30との間に形成される。第2開口32は、篩24が前記環状部材30を備えていない場合には、棒状部材27とホッパ13の間に形成される。ホッパ13を上下方向Zから見たときに、第2開口32は、第1開口31よりも小さい。ただし第2開口32は、第1開口31よりも大きくてもよい。
【0041】
図3に示すように、第1開口31の最小断面長L1minおよび最大断面長L1maxはいずれも、ダスト排出口22の内径L0よりも小さい。ホッパ13を上下方向Zから見たときに、第1開口31は、ダスト排出口22よりも小さい。本実施形態では、ホッパ13を上下方向Zから見たときに、全ての開口23(第1開口31および第2開口32)が、ダスト排出口22よりも小さい。
【0042】
一方、全ての開口23は、いずれもダスト2(
図4等参照)よりは大きい。ダスト2は、篩24(開口23)を通過可能である。
なお、高炉の炉頂ガス1に含まれるダスト2の直径は例えば0.01~0.5mmである。また、ダスト排出口22の内径L0は例えば150~300mmである。第1開口31の最小断面長L1minは、例えば150mm未満であることが好ましい。
【0043】
ところで本実施形態では、第1棒状部材28と第2棒状部材29とが同一平面にないため、開口23の断面長は、厳密には上下方向Zの距離も考慮する必要がある。しかしながら、本実施形態のように、第1棒状部材28と第2棒状部材29とが上下方向Zにわずか(例えば、棒状部材27の太さ以下)しかずれておらず、実質的に同一平面として考えられる場合には、第1棒状部材28と第2棒状部材29とが同一平面に位置するものとして、開口23の断面長を考えることができる。本実施形態では、篩24が網目状であり、開口23の断面長は開口23の目開きである。
【0044】
ここで
図4に、比較例に係る除塵器10Aを示す。この除塵器10Aは、篩24を備えていない。除塵器10Aにおいて、炉頂ガス1とダスト2とは分離され、ダスト2はホッパ13に貯留され、炉頂ガス1は排気管21から排気される。このとき、ダスト排出バルブ26は閉じられている(ダスト排出バルブ26が黒塗りであることは、ダスト排出バルブ26が閉じられていることを意味する)。
図5に示すように、貯留されたダスト2は、例えば、1日1回程度、除塵器10Aの下方から外部に排出される。このとき、ダスト排出バルブ26は開かれている(ダスト排出バルブ26が白塗りであることは、ダスト排出バルブ26が開かれていることを意味する)。排出されたダスト2は回収される。
前記比較例に係る除塵器10Aでは、
図6に示すように、炉頂ガス導入管11から塊3が落下すると、塊3がダスト排出口22を閉塞し易い。この場合、ダスト2がダスト排出口22からら排出されにくくなる。なお落下する塊3としては、(1)炉頂ガス導入管11から剥離した耐火物12の一部や、(2)固化したダスト2やヒューム等が挙げられる。
【0045】
一方で
図7に示すように、本実施形態に係る除塵器10によれば、篩24が、炉頂ガス導入管11よりも下方に、かつ、ダスト排出口22よりも上方に配置されている。その上で、篩24が、ホッパ13の一断面であってホッパ13を上下方向Zから見る一断面の全面にわたって配置されている。したがって、炉頂ガス導入管11からの落下物がダスト排出口22に到達するためには、篩24を通過する必要がある。ここで、
図3に示すように、第1開口31の最小断面長L1minが、ダスト排出口22の最大断面長L0maxよりも小さい。したがって、ダスト排出口22を閉塞するような大きさの塊3は、篩24に引っ掛かり易い。しかも本実施形態では、ホッパ13を上下方向Zから見たときに、全ての開口23が、ダスト排出口22よりも小さい。よって、塊3が篩24に一層引っ掛かり易くなる。
図7に示すように、塊3が篩24に引っ掛かると、塊3が篩24を通過しない。そのため、塊3がダスト排出口22を塞ぐことが規制される。
この除塵器10では、塊3によるダスト排出口22の閉塞を規制するため、篩24を、炉頂ガス導入管11よりも下方に、かつ、ダスト排出口22よりも上方に配置すればよい。言い換えると、前記従来の除塵器10のように、筒を排出口に立てる必要がない。よって、例えば、篩24を排出口から十分に離れた位置(例えば、ダスト排出口22よりも600mm以上、上方)に設置すること等ができる。そのため、仮に篩24が目詰まり等しても、排出口付近の流れが阻害され難い。よって、ダスト2を円滑に排出することができる。
【0046】
一方、
図8に示すように、ダスト2は、篩24(開口23)を通過可能である。そのため、ダスト排出バルブ26が開かれると、ダスト2が篩24を通過してダスト2がホッパ13から排出される。
【0047】
なお本実施形態では、
図2に示すように、篩24が、複数の棒状部材27を備えている。しかも、第1開口31が、水平方向に隣り合う複数の棒状部材27の間に形成されている。よって、例えば、第1開口31の断面長や断面積が自由度高く設定される。
さらに、複数の棒状部材27がパイプである。そのため、篩24が軽量となる。また、篩24が一般的な部材によって形成される。その結果、篩24を安価に製造することができる。
【0048】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0049】
図9に示す第1変形例に係る除塵器10Bのように、篩24が、水平方向に対して傾斜していてもよい。篩24は、ホッパ13の軸線に対する直交面に対して傾斜している。図示の例では、篩24が紙面右側に向かうに従い下方に向かっている。
この場合、篩24に受け止められた塊3が、篩24の傾斜に沿って特定の箇所(図示の例では、紙面右側)に集約し易い。これにより、例えば、塊3の除去作業が実施し易くなる。
【0050】
図10Cに示す第2変形例に係る除塵器10Cのように、ホッパ13の側面に、マンホール40が設けられていてもよい。マンホール40は、下方部16に設けられている。マンホール40は、篩24よりも上方に配置されている。図示の例では、篩24は、マンホール40に向けて傾斜している。
この場合、篩上の塊3を作業者がマンホール40から除去することができる。なお本実施形態のように、篩24をマンホール40に向けて傾斜させることで、塊3がマンホール40に集約し易くなる。
【0051】
図11および
図12に示す第3変形例に係る除塵器10Dのように、複数の棒状部材27が、ホッパ13を水平方向に貫通していてもよい。なお図示の例では、複数の棒状部材27の全てが、ホッパ13を水平方向に貫通しているが、複数の棒状部材27の一部のみが、ホッパ13を水平方向に貫通していてもよい。ホッパ13を水平方向に貫通する棒状部材27は、ホッパ13から水平方向に引き抜き可能であり、かつ、ホッパ13に対して外部から水平方向に挿し込み可能である。
この場合、例えば、棒状部材27が摩耗や損傷したとき等に、作業者はホッパ13の外部から棒状部材27の取外しや取り付けが可能となり、交換作業がし易い。
【0052】
さらに
図13に示す第4変形例に係る除塵器10Eのように、複数の棒状部材27が、第1棒状部材28のみ備え、第2棒状部材29を備えていなくてもよい。図示の例では、篩24が、第1棒状部材28のみによって構成されている。この場合、第1方向D1が、第1棒状部材28の延伸方向となる。また、第2方向D2は、延伸方向と直交する方向(以下、延伸直交方向ともいう)となる。開口23は、(1)第2方向D2(延伸直交方向)に隣り合う第1棒状部材28の間、または、(2)第2方向D2(延伸直交方向)に沿って最も外側に位置する第1棒状部材28と、ホッパ13と、の間、のいずれかに形成される。この場合、開口23における最小断面長Lminは、開口23の第2方向D2(延伸直交方向)の断面長として定義することができる。
【0053】
さらに
図14に示す第5変形例に係る除塵器10Fのように、除塵器10Fが、蒸気供給部41と、蒸気排出部42と、を更に備えていてもよい。蒸気供給部41は、パイプ内に蒸気を供給する。蒸気排出部42は、ハイプ内に供給された蒸気を排出する。
乾式や電気式の除塵器10Fにおいては、篩24に触れたダスト2が濡れていると、ダスト2が篩24に付着して積み重なる。篩24に付着したダスト2が大きく成長すると、篩24の開口23を閉塞するおそれがある。しかも、ホッパ13内には高温の炉頂ガス1が導入される(なお炉頂ガス1の温度は、通常の操業時において100~200℃程度、吹き抜け時において600~1200℃程度である)。そのため、篩24にダスト2が付着されていると、炉頂ガス1からの熱を受けたダスト2が焼結されたように硬化する。結果として、ダスト2が篩24から離脱し難くなり、開口23が一層閉塞され易くなる。
篩24の開口23が閉塞された場合、例えば、高炉の操業を止めて、篩24に付着したダスト2の清掃が必要になることがある。
ここで、蒸気供給部41が、パイプ内に蒸気(例えば、100℃~300℃程度)を供給する。これにより、篩24に付着したダスト2の乾燥を促進することができる。よって、ダスト2が篩24の表面で成長することが抑制される。結果として、篩24の開口23がダスト2によって閉塞されにくくなる。
【0054】
さらに
図15に示す第6変形例に係る除塵器10Gのように、篩24が、棒状部材27に代えてチェーンによって形成されていてもよい。すなわち、チェーンのように変形可能な部材であっても、張力を加えることで直線状に延びる部材は、棒状部材27と同等の効果を発揮する。なお篩24として、パイプ(棒状部材27)とチェーンとが混在する構成を採用してもよい。さらに棒状部材27は、パイプと異なる部材(例えば、丸棒、形鋼など)であってもよい。
【0055】
なお、前記各変形例に係る除塵器10B~10Gでは、篩24が傾斜しているが、篩24は傾斜していなくてもよい。
【0056】
炉頂ガス導入管11の下端が内筒17でなくてもよい。例えば、炉頂ガス導入管11の下端が、炉頂ガス1がホッパ13内において旋回流となるように炉頂ガス1を整流する構成であってもよい。
【0057】
篩24は上記構成に限られない。例えば、篩24が打ち抜き鋼板や網によって形成されていてもよい。さらに例えば、開口23の平面視形状が円形や多角形、長方形やひし形であってもよい。具体的には、篩24が、円形や多角形のパンチ穴がついた打ち抜き鋼板や、長方形やひし形の開口23を有するように編まれた網であってもよい。
【0058】
前記実施形態では、ホッパ13を上下方向から見たときに、全ての開口23が、ダスト排出口22よりも小さい。しかしながら、本発明では、複数の開口23のうちの少なくとも1つの開口23が、ダスト排出口22よりも小さい他の形態が適宜採用可能である。さらに本発明では、複数の開口23のうちの少なくとも1つの開口23の最小断面長が、ダスト排出口22の最大断面長よりも小さい他の形態が適宜採用可能である。例えば、複数の開口23のうち、ホッパ13の直下に位置する開口23が、ダスト排出口22より小さく、残りの開口23が、ダスト排出口22より大きくてもよい。さらに、前記直下に位置する開口23の最小断面長が、ダスト排出口22の最大断面長よりも小さく、残りの開口23の最小断面長が、ダスト排出口22の最大断面長より大きくてもよい。
【0059】
ダスト排出口22の平面視形状が円形状でなくてもよい。例えば、ダスト排出口22の平面視形状が四角形状でなくてもよい。この場合、開口23の最小断面長が、ダスト排出口22の最大断面長より小さく構成が適宜採用される。例えば、開口23の最小断面長が、ダスト排出口22の最小断面長より小さくてもよく、小さくなくてもよい。
【0060】
前記実施形態では、除塵器10として、高炉の炉頂ガス用の除塵器10を例示した。しかしながら、除塵器10は、高炉の炉頂ガス以外にも用いることが可能である。除塵器10として、流体1内に含まれるダスト2を捕集する他の除塵器を採用してもよい。
【0061】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 炉頂ガス
2 ダスト
10 除塵器
11 炉頂ガス導入管(導入部)
13 ホッパ
21 排気管(流体排出部)
22 ダスト排出口
23 開口
24 篩
27 棒状部材
41 蒸気供給部
Z 上下方向