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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075578
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】産業機械監視装置
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20230524BHJP
   G05B 23/02 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G05B23/02 301V
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188566
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】516065135
【氏名又は名称】株式会社IHI物流産業システム
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100175802
【弁理士】
【氏名又は名称】寺本 光生
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(72)【発明者】
【氏名】鹿山 宏之
【テーマコード(参考)】
3C100
3C223
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA52
3C100AA56
3C100BB13
3C100BB34
3C100CC02
3C223AA11
3C223BA01
3C223BB08
3C223CC01
3C223EB02
3C223FF13
3C223FF16
3C223HH29
(57)【要約】
【課題】産業機械の異常発生時の状況を制御信号のみで確認する場合よりも、より正確に確認することを可能にする。
【解決手段】ピッキングロボット100の制御を行う制御装置2と、制御装置2からピッキングロボット100に入力される制御信号を一定期間記憶可能なデータロガー3と、ピッキングロボット100を撮像して一定期間記憶可能なカメラユニット4とを備え、制御装置2が、ピッキングロボット100の異常を示す異常検知信号の入力された場合に、異常が発生した時刻を含む期間の制御信号を異常発生時制御信号としてデータロガー3に保存させ、異常が発生した時刻を含む期間の撮像データを異常発生時撮像データとしてカメラユニット4に保存させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械の制御を行う制御装置と、
前記制御装置から前記産業機械に入力される制御信号を一定期間記憶可能な制御信号記憶装置と、
前記産業機械を撮像して一定期間記憶可能な撮像装置と
を備え、
前記制御装置は、前記産業機械の異常を示す異常検知信号の入力された場合に、前記異常が発生した時刻を含む期間の前記制御信号を異常発生時制御信号として前記制御信号記憶装置に保存させ、前記異常が発生した時刻を含む期間の撮像データを異常発生時撮像データとして前記撮像装置に保存させる
ことを特徴とする産業機械監視装置。
【請求項2】
ネットワークと接続された通信装置を備え、
前記通信装置は、少なくとも前記撮像装置と接続されている
ことを特徴とする請求項1記載の産業機械監視装置。
【請求項3】
前記通信装置と前記撮像装置とが無線接続されていることを特徴とする請求項2記載の産業機械監視装置。
【請求項4】
複数の前記撮像装置を備えることを特徴とする請求項1~3いずれか一項に記載の産業機械監視装置。
【請求項5】
前記撮像装置は、前記制御信号記憶装置と接続され、前記制御信号記憶装置から取得した前記異常発生時制御信号の内容を示す制御情報を前記異常発生時撮像データが示す画像に重ねた合成データを生成することを特徴とする請求項1または2記載の産業機械監視装置。
【請求項6】
前記撮像装置は、異常が発生した時刻から予め定められた受付停止期間が経過するまで、次の異常検知信号に基づく異常発生時撮像データの保存を停止することを特徴とする請求項1~5いずれか一項に記載の産業機械監視装置。
【請求項7】
前記受付停止期間に、先の前記異常検知信号が示す異常の程度よりも高い異常の程度を示す前記異常検知信号である高レベル異常検知信号が入力された場合に、前記撮像装置は、前記高レベル異常検知信号に基づく異常発生時撮像データを保存することを特徴とする請求項6記載の産業機械監視装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械監視装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、物流施設等の産業施設では、様々な産業機械が設置されている。特許文献1には、物流施設に設けられる産業機械の1つであるデパレタイズ装置が開示されている。このようなデパレタイズ装置は、複数のワークが積層して配置されたパレット等からワークを降ろすデパレタイズを行う。また、特許文献2には、物流施設に設けられる産業機械の1つであるピッキングロボットが開示されている。このようなピッキング装置は、例えばベルトコンベアにて搬送されるワークをピックアップして、運送用のコンテナ等に収容する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-47681号公報
【特許文献2】特開2018-188308号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、物流施設等の産業施設では、広い敷地の中に多数の産業機械が配置されている。このため、各々の産業機械は、一般的に作業員によって直接的に操作されずに、制御装置の制御の下で、統括的かつ自動的に作業を行っている。つまり、各々の産業機械は、作業員に直接目視されていない状態で動作している。各々の産業機械の動作は、センサによって検知されている。センサによって産業機械の異常が検知された場合には、産業機械が自動的に停止等される。このとき異常を示す異常検知信号が制御装置に入力される。
【0005】
例えば、制御装置は、異常検知信号が入力されると、異常発生時刻を含む期間の制御信号をデータロガーに保存させる。これによって、作業員が必要に応じて、データロガーに保存された制御信号を確認し、異常発生時の状況を確認することが可能となる。しかしながら、制御信号の確認のみでは、異常発生時の状況を詳しく確認することができない場合がある。例えば、産業機械からワークの落下が検知されたような場合に、制御信号だけではどのような理由でワークが落下したのかを把握することは困難である。例えば、梱包箱が滑りやすい材質であることによるワークの落下なのか、梱包箱の破損によるワークの落下なのかを制御信号だけで把握することは困難である。このため、産業機械における異常発生時の状況をより詳しく確認可能となることが望まれている。
【0006】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、産業機械の異常発生時の状況を制御信号のみで確認する場合よりも、より正確に確認することを可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0008】
本発明の第1の態様は、産業機械監視装置であって、産業機械の制御を行う制御装置と、上記制御装置から上記産業機械に入力される制御信号を一定期間記憶可能な制御信号記憶装置と、上記産業機械を撮像して一定期間記憶可能な撮像装置とを備え、上記制御装置が、上記産業機械の異常を示す異常検知信号の入力された場合に、上記異常が発生した時刻を含む期間の上記制御信号を異常発生時制御信号として上記制御信号記憶装置に保存させ、上記異常が発生した時刻を含む期間の撮像データを異常発生時撮像データとして上記撮像装置に保存させるという構成を採用する。
【0009】
本発明の第2の態様は、上記第1の態様において、ネットワークと接続された通信装置を備え、上記通信装置が、少なくとも上記撮像装置と接続されているという構成を採用する。
【0010】
本発明の第3の態様は、上記第2の態様において、上記通信装置と上記撮像装置とが無線接続されているという構成を採用する。
【0011】
本発明の第4の態様は、上記第1~第3いずれかの態様において、複数の上記撮像装置を備えるという構成を採用する。
【0012】
本発明の第5の態様は、上記第1または第2の態様において、上記撮像装置は、上記制御信号記憶装置と接続され、上記制御信号記憶装置から取得した上記異常発生時制御信号の内容を示す制御情報を上記異常発生時撮像データが示す画像に重ねた合成データを生成するという構成を採用する。
【0013】
本発明の第6の態様は、上記第1~第5いずれかの態様において、上記撮像装置が、異常が発生した時刻から予め定められた受付停止期間が経過するまで、次の異常検知信号に基づく異常発生時撮像データの保存を停止するという構成を採用する。
【0014】
本発明の第7の態様は、上記第6の態様において、上記受付停止期間に、先の上記異常検知信号が示す異常の程度よりも高い異常の程度を示す上記異常検知信号である高レベル異常検知信号が入力された場合に、上記撮像装置は、上記高レベル異常検知信号に基づく異常発生時撮像データを保存するという構成を採用する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、産業機械の異常発生時刻を含む期間の制御信号が異常発生時制御信号として制御信号記憶装置に保存される。また、本発明によれば、産業機械の異常発生時刻を含む期間の撮像データが異常発生時撮像データとして撮像装置に保存される。このため、異常発生時の状況を撮像データによって確認することが可能となる。したがって、本発明によれば、産業機械の異常発生時の状況を制御信号のみで確認する場合よりも、より正確に確認することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1実施形態における産業機械監視装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態における産業機械監視装置が備えるカメラユニットで作成する合成データに基づく画像の模式図である。
図3】本発明の第1実施形態における産業機械監視装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図4】本発明の第2実施形態における産業機械監視装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図5】本発明の第3実施形態における産業機械監視装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の第4実施形態における産業機械監視装置の概略構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明に係る産業機械監視装置の一実施形態について説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の産業機械監視装置1の概略構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態の産業機械監視装置1は、ピッキングロボット100(産業機械)の動作状態を監視し、ピッキングロボット100に異常が発生した場合の状況を保存する。なお、本実施形態においては、産業機械の一例としてピッキングロボット100を挙げて説明する。しかしながら、産業機械はこれに限られるものではなく、デパレタイズロボットやベルトコンベア等の物流施設で用いられる産業機械の全般とすることが可能である。また、物流姿勢以外で用いられる産業機械を本実施形態の産業機械監視装置1の監視対象とすることも可能である。
【0019】
図1に示すように、本実施形態の産業機械監視装置1は、制御装置2と、データロガー3(制御信号記憶装置)と、複数のカメラユニット4(撮像装置)と、通信装置5とを備えている。
【0020】
制御装置2は、予め記憶したプログラムや各種データに基づいて、ピッキングロボット100を制御する。なお、物流施設等の複数の産業機械が設けられている場合には、制御装置2は、これらの産業機械を統括的に制御してもよい。このような制御装置2は、コンピュータ装置によって形成されており、例えば、記憶部、操作部、通信部、演算部及び表示部を備えている。
【0021】
記憶部は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリ、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)等のストレージからなる。操作部は、作業者の操作指示を受け付ける入力装置であり、より具体的にはキーボードやマウス等のポインティングデバイスである。通信部は、所定の通信回線を介して外部機器とデータの送受信を行う通信装置であり、例えばLAN(Local Area Network)に準拠した通信プロトコルを用いてピッキングロボット100等との通信を行う。
【0022】
演算部は、記憶部に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて演算を行う。この演算部は、インターフェース回路及びCPU(Central Processing Unit)等のハードウェアからなる。上記インターフェース回路は、記憶部、操作部、通信部及び表示部と各種信号の授受を行う電子回路である。CPUは、プログラムを実行する中央処理装置である。表示部は、演算部で生成された画像データに基づいて表示を行う。なお、制御装置2は、必ずしも表示部を備える必要はない。
【0023】
制御装置2は、ピッキングロボット100の動作を指示する制御信号を出力する。また、制御装置2は、ピッキングロボット100に向けて制御信号を出力すると共に、データロガー3に向けても制御信号を出力する。つまり、制御装置2から出力された制御信号は、ピッキングロボット100と、データロガー3とに入力される。
【0024】
さらに、制御装置2は、ピッキングロボット100の異常を検知するための異常検知センサ200と接続されている。異常検知センサ200は、ピッキングロボット100の異常を検知するセンサである。なお、異常検知センサ200は、複数設けられていてもよい。例えば、異常検知センサ200は、ピッキングロボット100がワークを落下させたことを検知するセンサとすることができる。また、例えば、異常検知センサ200は、ピッキングロボット100の周囲に設定された進入禁止エリアに物体が進入したことを検知するセンサとすることができる。また、例えば、異常検知センサ200は、ピッキングロボット100に供給されるワークのサイズが許容値を超えていることを検知するセンサとすることができる。このような異常検知センサ200は、ピッキングロボット100に内蔵されていてもよい。
【0025】
制御装置2は、異常検知センサ200からピッキングロボット100の異常を示す信号(異常検知信号)が入力されると、データロガー3に向けて保存指令を出力する。なお、制御装置2から出力された保存指令は、データロガー3及び通信装置5を介して、カメラユニット4に対しても入力される。この保存指令は、データロガー3に対して、異常検知信号を受信した時刻を含む期間(例えば数分程度)の制御信号を保存する旨を指令する信号である。また、保存指令は、カメラユニット4に対して、異常検知信号を受信した時刻を含む期間(例えば数分程度)の撮像データを保存する旨を指令する信号である。
【0026】
データロガー3は、制御装置2から入力される制御信号を記憶する記憶装置である。このようなデータロガー3は、例えば、コンピュータ装置によって形成されており、記憶部、操作部、通信部、演算部及び表示部を備えている。
【0027】
記憶部は、ROM及びRAM等のメモリ、HDDやSSD等のストレージからなる。操作部は、作業者の操作指示を受け付ける入力装置であり、より具体的にはキーボードやマウス等のポインティングデバイスである。通信部は、所定の通信回線を介して外部機器とデータの送受信を行う通信装置であり、例えばLANに準拠した通信プロトコルを用いて制御装置2や通信装置5との通信を行う。
【0028】
演算部は、記憶部に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて演算を行う。この演算部は、インターフェース回路及びCPU等のハードウェアからなる。上記インターフェース回路は、記憶部、操作部、通信部及び表示部と各種信号の授受を行う電子回路である。CPUは、プログラムを実行する中央処理装置である。表示部は、演算部で生成された画像データに基づいて表示を行う。なお、データロガー3は、必ずしも表示部を備える必要はない。
【0029】
このようなデータロガー3は、制御信号を予め定められた一定期間記憶可能である。データロガー3は、制御装置2から入力された制御信号を予め定められた一定期間(制御信号記憶期間)において記憶する。この制御信号記憶期間に保存指令が入力されると、データロガー3は、保存指令が示す時刻を含む期間の制御信号を異常発生時制御信号として保存する。データロガー3は、異常発生時制御信号については、制御信号記憶期間を超えても保存した状態とする。一方、異常発生時制御信号以外の制御信号については、制御信号記憶期間を経過した場合には消去する。これによって、データロガー3で記憶する容量が削減される。
【0030】
カメラユニット4は、ピッキングロボット100を撮像して一定期間記憶可能な撮像装置である。このようなカメラユニット4は、例えば、撮像素子を有するコンピュータ装置によって形成されており、撮像素子の他、記憶部、操作部、通信部、演算部及び表示部を備えている。
【0031】
撮像素子は、ピッキングロボット100を含む撮像データを生成するイメージングデバイスであり、例えばCMOSイメージセンサ、CCDイメージセンサからなる。記憶部は、ROM及びRAM等のメモリ、HDDやSSD等のストレージからなる。操作部は、作業者の操作指示を受け付ける入力装置であり、より具体的にはキーボードやマウス等のポインティングデバイスである。通信部は、所定の通信回線を介して外部機器とデータの送受信を行う通信装置であり、例えばLANに準拠した通信プロトコルを用いて通信装置5との通信を行う。
【0032】
演算部は、記憶部に記憶されたプログラムやデータ等に基づいて演算を行う。この演算部は、インターフェース回路及びCPU等のハードウェアからなる。上記インターフェース回路は、記憶部、操作部、通信部及び表示部と各種信号の授受を行う電子回路である。CPUは、プログラムを実行する中央処理装置である。表示部は、演算部で生成された画像データに基づいて表示を行う。なお、カメラユニット4は、必ずしも表示部を備える必要はない。
【0033】
このようなカメラユニット4は、撮像データを予め定められた一定期間記憶可能である。カメラユニット4は、時系列的に連続して作成した撮像データを予め定められた一定期間(撮像データ記憶期間)において記憶する。この撮像データ記憶期間に保存指令が入力されると、データロガー3は、保存指令が示す時刻を含む期間の撮像データを異常発生時撮像データとして保存する。カメラユニット4は、異常発生時撮像データについては、撮像データ記憶期間を超えても保存した状態とする。一方、異常発生時撮像データ以外の撮像データについては、撮像データ記憶期間を経過した場合には消去する。これによって、カメラユニット4で記憶する容量が削減される。
【0034】
図2は、カメラユニット4で作成する合成データに基づく画像の模式図である。本実施形態においては、カメラユニット4は、異常発生時撮像データが示す画像Gに、文字情報Jを重ねた合成データを生成する。この文字情報Jには、例えば、撮像時刻J1と、エラーコードJ2と、制御情報J3とが含まれている。撮像時刻J1は、画像Gが撮像された時刻を示す。
【0035】
エラーコードJ2は、ピッキングロボット100に発生した異常の種類を示すコードである。例えば、異なる種類の異常を検知する複数の異常検知センサ200が設けられている場合には、異常検知センサ200ごとにエラーコードを割り当てることができる。このため、どの異常検知センサ200から入力された異常検知信号であるかを制御装置2が識別し、異常検知信号を出力した異常検知センサ200に割り当てられたエラーコードを、データロガー3及び通信装置5を介して、カメラユニット4に入力することができる。カメラユニット4は、このエラーコードを含む合成データを生成する。なお、どの異常検知センサ200から入力された異常検知信号であるかを識別する処理は、データロガー3やカメラユニット4で行うことも可能である。
【0036】
制御情報J3は、制御信号を可視化した文字情報である。制御情報J3は、カメラユニット4がデータロガー3から取得した異常発生時制御信号に基づいて生成される。つまり制御情報J3として、ピッキングロボット100に異常が発生した際の制御信号が可視化されて表示される。
【0037】
このような文字情報Jは、例えば図2に示すように、合成データにおいてピッキングロボット100やワークに重ならない位置に配置されることが好ましい。このため、カメラユニット4は、ピッキングロボット100やワークに重ならない位置に文字情報Jを配置した合成データを生成する。
【0038】
なお、カメラユニット4は、異常発生時撮像データを保存したタイミングに合わせて、保存された異常発生時撮像データごとに、上記の合成データを生成することができる。また、カメラユニット4は、外部から異常発生時撮像データの送信指示が入力されたタイミングに合わせて、保存された異常発生時撮像データごとに、上記の合成データを生成しても良い。この合成データには、異常発生時撮像データと異常発生時制御信号との情報が含まれている。このため、合成データを送信すれば、異常発生時撮像データと異常発生時制御信号とが送信されたことになる。
【0039】
図1に示すように、本実施形態においては、ピッキングロボット100を複数の角度が撮像可能とするため、複数のカメラユニット4が設けられている。ただし、カメラユニット4の設置数は変更可能である。例えば、カメラユニット4をピッキングロボット100に対して1台のみ設置することも可能である。また、カメラユニット4をピッキングロボット100に対して3台以上設置することも可能である。
【0040】
通信装置5は、外部のネットワークN(例えばインターネット)に対して接続可能であり、ネットワークNを介して外部機器と通信可能である。また、通信装置5は、データロガー3と接続されており、データロガー3と外部機器との通信を中継する。また、通信装置5は、カメラユニット4の各々と接続されており、カメラユニット4と外部機器との通信を中継する。
【0041】
なお、本実施形態においては、通信装置5と各々のカメラユニット4とは無線通信によって接続されている。物流施設等では、広い敷地に複数の産業機器が点在して設けられている。このため、産業機器を撮像するカメラユニット4と通信装置5とを無線接続することによって、長いケーブルの設置数を削減することができ、産業機械監視装置1の構造を簡素化することができる。
【0042】
次に、このような産業機械監視装置1の動作(ピッキングロボット100の監視方法)を、図3のフローチャートを参照して説明する。
【0043】
まず、制御装置2は、ピッキングロボット100において異常が検知されたか否かの判定を行う(ステップS1)。制御装置2は、異常検知センサ200から異常検知信号が入力された場合に、ピッキングロボット100において異常が検知されたと判定する。一方、制御装置2は、異常検知センサ200から異常検知信号が入力されていない場合には、ピッキングロボット100において異常が検知されていないと判定し、ステップS1を繰り返す。
【0044】
また、制御装置2は、ステップS1を繰り返す間に、制御信号をピッキングロボット100及びデータロガー3に向けて出力する。制御装置2から出力されてデータロガー3に入力された制御信号は、データロガー3において制御信号記憶期間記憶され、ピッキングロボット100に異常が発生しなければ制御信号記憶期間の経過後にデータロガー3から消去される。なお、制御装置2は、この処理とは別にピッキングロボット100の制御を行う。
【0045】
また、データロガー3での制御信号の記憶と同時に、各々のカメラユニット4においては、ピッキングロボット100の撮像が継続して行われる。各々のカメラユニット4で作成された撮像データは、各々のカメラユニット4において撮像データ記憶期間記憶され、ピッキングロボット100に異常が発生しなければ撮像データ記憶期間の経過後にカメラユニット4から消去される。
【0046】
なお、データロガー3における制御信号記憶期間の制御信号の記憶と、各々のカメラユニット4における撮像データ記憶期間の撮像データの記憶とは、図3のフローチャートで示す処理に関わらず、常時行われている。
【0047】
ステップS1においてピッキングロボット100において異常が検知されたと判定すると、制御装置2は、保存指令をデータロガー3に向けて出力する。データロガー3に保存指令が入力されると、データロガー3において異常発生時制御信号の保存が行われる(ステップS2)。また、制御装置2からデータロガー3に向けて出力された保存指令は、通信装置5を介して、各々のカメラユニット4に入力される。カメラユニット4に保存指令が入力されると、カメラユニット4において異常発生時撮像データの保存が行われる(ステップS3)。
【0048】
続いて、データロガー3及びカメラユニット4は、送信指示が入力されたか否かの判定を行う(ステップS4)。送信指示は、ネットワークNを介して、通信装置5からデータロガー3及びカメラユニット4に入力される。データロガー3及びカメラユニット4は、送信指示が入力されていないと判定した場合には送信待機状態となる。送信待機状態となったデータロガー3は、再び制御装置2から入力される制御信号の記憶を行う。また、送信待機状態となったカメラユニット4は、再び撮像データの記憶を行う。
【0049】
ステップS4においてデータロガー3及びカメラユニット4に送信指示が入力されていないと判定された場合には、再びステップS1に戻る。そして、再びピッキングロボット100の異常が発生した場合には、データロガー3が2つ目の異常発生時制御信号の保存を行う。また、各々のカメラユニット4が2つ目の異常発生時撮像データの保存を行う。
【0050】
一方、ステップS4において、データロガー3及びカメラユニット4に送信指示が入力されたと判定された場合には、少なくともカメラユニット4から異常発生時撮像データが出力される(ステップS5)。カメラユニット4から出力された異常発生時撮像データは、通信装置5からネットワークNを介して外部機器に対して送信される。つまり、作業員は、ネットワークNを介して送信されてくる異常発生時撮像データを外部機器にて表示させることで、産業機械監視装置1の遠方にてピッキングロボット100の異常発生時の様子を画像にて確認することが可能となる。
【0051】
なお、カメラユニット4は、ステップS5において、上述の合成データを出力するようにしても良い。合成データには異常発生時撮像データが含まれているため、剛性データを出力することによって異常発生時撮像データを出力したことになる。このような場合には、合成データに制御情報J3が含まれていることから、データロガー3から異常発生時制御信号を出力しないことも可能である。また、データロガー3は、カメラユニット4の異常発生時撮像データの出力と並行して、異常発生時制御信号を出力してもよい。
【0052】
ステップS5が完了すると、再びステップS1に戻る。なお、ステップS5が完了して再びステップS1に戻る場合に、データロガー3において異常発生時制御信号を消去するようにしてもよい。また、ステップS5が完了して再びステップS1に戻る場合に、各々のカメラユニット4において異常発生時撮像データを消去するようにしてもよい。
【0053】
以上のような本実施形態の産業機械監視装置1は、制御装置2と、データロガー3と、カメラユニット4とを備えている。制御装置2は、ピッキングロボット100の制御を行う。データロガー3は、制御装置2からピッキングロボット100に入力される制御信号を一定期間記憶可能である。カメラユニット4は、ピッキングロボット100を撮像して一定期間記憶可能である。また、制御装置2は、ピッキングロボット100の異常を示す異常検知信号の入力された場合に、異常が発生した時刻を含む期間の制御信号を異常発生時制御信号としてデータロガー3に保存させる。また、制御装置2は、ピッキングロボット100の異常を示す異常検知信号の入力された場合に、異常が発生した時刻を含む期間の撮像データを異常発生時撮像データとしてカメラユニット4に保存させる。
【0054】
本実施形態の産業機械監視装置1によれば、ピッキングロボット100の異常発生時刻を含む期間の制御信号が異常発生時制御信号としてデータロガー3に保存される。また、本実施形態の産業機械監視装置1によれば、ピッキングロボット100の異常発生時刻を含む期間の撮像データが異常発生時撮像データとしてカメラユニット4に保存される。このため、異常発生時の状況を撮像データによって確認することが可能となる。したがって、本実施形態の産業機械監視装置1によれば、ピッキングロボット100の異常発生時の状況を制御信号のみで確認する場合よりも、より正確に確認することが可能となる。
【0055】
また、本実施形態の産業機械監視装置1においては、ネットワークNと接続された通信装置5を備えている。また、通信装置5は、少なくともカメラユニット4と接続されている。このような本実施形態の産業機械監視装置1によれば、外部からネットワークNを介することで、異常発生時撮像データを取得することが可能となる。このため、産業機械監視装置1の遠方にて、ピッキングロボット100の異常発生時の様子を確認することが可能となる。
【0056】
また、本実施形態の産業機械監視装置1においては、通信装置5とカメラユニット4とが無線接続されている。このため、通信装置5とカメラユニット4とをケーブルで接続する必要がなく、ピッキングロボット100が通信装置5の遠方にある場合や、カメラユニット4が多数設けられる場合であっても、通信装置5とカメラユニット4との接続を容易に行うことが可能となる。
【0057】
また、本実施形態の産業機械監視装置1においては、複数のカメラユニット4を備えている。例えば、複数のカメラユニット4を設置することによって、1つのピッキングロボット100を複数の方向から撮像することが可能となる。また、複数のカメラユニット4を異なるピッキングロボット100に対して設けることによって、各々のピッキングロボット100の状態を画像で確認することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態の産業機械監視装置1においては、カメラユニット4が、通信装置5を介して、データロガー3と接続されている。また、カメラユニット4は、データロガー3から取得した異常発生時制御信号の内容を示す制御情報J3を異常発生時撮像データが示す画像Gに重ねた合成データを生成する。このため、作業員が異常発生時の画像内にて制御情報J3を同時に確認することが可能となる。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図4を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0060】
図4は、本実施形態の産業機械監視装置の動作(ピッキングロボット100の監視方法)を説明するためのフローチャートである。この図に示すように、本実施形態においては、上記第1実施形態におけるステップS4においてデータロガー3及びカメラユニット4に送信指示が入力されていないと判定された場合には、カメラユニット4において受付停止期間が完了したか否かの判定が行われる(ステップS6)。
【0061】
カメラユニット4は、予め定められた受付停止期間が完了するまでは、ステップS6を繰り返す。つまり、本実施形態においては、ステップS4においてデータロガー3及びカメラユニット4に送信指示が入力されていないと判定された場合には、受付停止期間が経過するまで、次の異常検知信号に基づく異常発生時撮像データの保存を停止する。
【0062】
なお、異常発生時撮像データの出力(ステップS5)が完了した後にも、ステップS6が行われる。つまり、ステップS5において異常発生時撮像データの出力が完了した場合には、受付停止期間が経過するまで、次の異常検知信号に基づく異常発生時撮像データの保存を停止する。
【0063】
物流施設等では、連続的に供給される様々な種類のワークをピッキングロボット等の産業機械によって連続的に処理する必要がある。このため、一度、異常が発生した場合には、同様の異常が連続的に発生する可能性がある。つまり、一度、異常検知信号が出力されると、連続的に複数回の異常検知信号が出力される可能性がある。連続的に複数回の異常検知信号が制御装置2に入力されると、カメラユニット4が常に異常発生時撮像データの保存を繰り返すことになり、カメラユニット4の記憶容量不足や処理遅延が生じる可能性がある。
【0064】
これに対して、本実施形態の産業機械監視装置においては、カメラユニット4が、異常が発生した時刻から予め定められた受付停止期間が経過するまで、次の異常検知信号に基づく異常発生時撮像データの保存を停止する。このため、同様の異常発生時撮像データが常にカメラユニット4に保存されることを抑止し、カメラユニット4の記憶容量不足や処理遅延が生じる可能性を低減することができる。
【0065】
また、データロガー3においても同様に受付停止期間が完了したか否かの判定を行ってもよい(ステップS6)。これによって、データロガー3が、異常が発生した時刻から予め定められた受付停止期間が経過するまで、次の異常検知信号に基づく異常発生時制御信号の保存を停止する。このため、同様の異常発生時制御信号が常にデータロガー3に保存されることを抑止し、データロガー3の記憶容量不足や処理遅延が生じる可能性を低減することができる。
【0066】
また、受付停止期間が経過し、ステップS6において受付停止期間が完了したと判定された場合には、再びステップS1に戻る。なお、受付停止期間の開始からの時間については、例えば、カメラユニット4の他、制御装置2においてもカウントを行う。カメラユニット4及び制御装置2は、カウントする時間が受付停止期間を超えた場合に、受付停止期間が完了したと判定する。
【0067】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図5を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態あるいは第2実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0068】
図5は、本実施形態の産業機械監視装置の動作(ピッキングロボット100の監視方法)を説明するためのフローチャートである。この図に示すように、本実施形態においては、上記第1実施形態におけるステップS4においてデータロガー3及びカメラユニット4に送信指示が入力されていないと判定された場合には、カメラユニット4において受付停止期間が完了したか否かの判定が行われる(ステップS6)。
【0069】
さらに、本実施形態においては、ステップS6にて受付停止期間が完了していないと判定した場合には、ステップS1で検知した異常よりも高いレベルの異常が検知されていないか否かの判定が行われる(ステップS7)。
【0070】
例えば、異常検知信号の種類にごとに緊急度の高さを予め設定しておく。緊急度が高い異常検知信号が示す異常を高いレベルの異常とする。つまり、ステップS7では、ステップS1で検知された異常よりも、緊急度が高い異常が発生していないか否かの判定を行う。このような判定は、例えば制御装置2で行う。制御装置2は、異常検知信号が入力された場合に、先に入力された異常検知信号が示す緊急度と、現在入力された異常検知信号が示す緊急度とを比較する。現在入力された異常検知信号が示す緊急度の方が先に入力された異常検知信号が示す緊急度よりも高い場合には、制御装置2は、高いレベルの異常が検知されたと判定する(ステップS7)。
【0071】
ステップS7において、制御装置2が高いレベルの異常を検知した場合には、その旨を示す信号(高レベル異常検知信号)がデータロガー3及びカメラユニット4に入力され、再びステップS2及びステップS3が行われる。つまり、本実施形態においては、受付停止期間に、高いレベルの異常を検知した場合には、異常発生時制御信号と異常発生時撮像データとの保存が行われる。一方で、ステップS7において、制御装置2が高いレベルの異常を検知していない場合には、ステップS6に戻ることになる。
【0072】
このように本実施形態の産業機械監視装置においては、受付停止期間に、先の異常検知信号が示す異常の程度よりも高い異常の程度を示す異常検知信号である高レベル異常検知信号が入力された場合に、カメラユニット4が、高レベル異常検知信号に基づく異常発生時撮像データを保存する。このような本実施形態の産業機械監視装置によれば、受付停止期間であっても、緊急レベルの高い異常が発生した場合には、異常発生時撮像データと異常発生時制御信号とを保存することができる。
【0073】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、図6を参照して説明する。なお、本実施形態の説明において、上記第1実施形態と同様の部分については、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0074】
図6は、本実施形態の産業機械監視装置1Aの概略構成を模式的に示すブロック図である。本実施形態の産業機械監視装置1Aにおいては、データロガー3と通信装置5とが接続されておらず、データロガー3と各々のカメラユニット4とが接続されている。データロガー3と各々のカメラユニット4とは、例えば無線接続されている。
【0075】
このような本実施形態の産業機械監視装置1Aによれば、データロガー3から各々のカメラユニット4に対して、通信装置5を介することなく信号の伝達を行うことができる。このため、通信装置5の負荷を低減することができる。
【0076】
また、本実施形態の産業機械監視装置1Aにおいては、各々のカメラユニット4にて上述の合成データを生成し、合成データをカメラユニット4から通信装置5及びネットワークNを介して外部機器に送信することができる。このような場合には、合成データを送信することによって、データロガー3で保存された異常発生時制御信号のみを外部機器に送信する必要がなくなる。このため、データロガー3と通信装置5とを接続する必要が低減する。
【0077】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【符号の説明】
【0078】
1……産業機械監視装置、1A……産業機械監視装置、2……制御装置、3……データロガー(制御信号記憶装置)、4……カメラユニット(撮像装置)、5……通信装置、100……ピッキングロボット、200……異常検知センサ、J……文字情報、J1……撮像時刻、J2……エラーコード、J3……制御情報、N……ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6