(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075580
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】定規
(51)【国際特許分類】
B43L 7/00 20060101AFI20230524BHJP
A46B 7/04 20060101ALI20230524BHJP
A46B 15/00 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
B43L7/00 B
A46B7/04
A46B15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188568
(22)【出願日】2021-11-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和3年10月18日に株式会社コーワ内の玄関,食堂,応接室,会議室(愛知県あま市西今宿平割一22番地)にてブラシ付き定規の発明が記載されたポスターを掲示
(71)【出願人】
【識別番号】391044797
【氏名又は名称】株式会社コーワ
(72)【発明者】
【氏名】中川 和紀
【テーマコード(参考)】
2C071
3B202
【Fターム(参考)】
2C071AA01
2C071AH10
3B202AB13
3B202AB30
3B202BA15
3B202BE13
3B202DB05
3B202EC03
3B202EE01
3B202EF10
(57)【要約】
【課題】 定規としての使用と同時に清掃体としても使用することができ、清掃体として使用する場合の清掃効果を高めることができると共に、ブラシ製造時に発生するブラシの端材を有効に活用することができる定規を提供する。
【解決手段】 略長板状であって、清掃体20、21、22が挿入可能な挿入溝1を備えた定規本体10と、挿入溝1に挿入される基部11と、基部11に固定された清掃部12とを備えた複数の清掃体20、21、22とを有する定規30において、定規本体10は、設置面に当接する当接面2を備えた一方の面3の長手方向に凹部4が形成されていると共に、当接面2は、凹部4を挟んだ両端部5a、5b近傍の長手方向に形成されており、複数の清掃体20、21、22は、挿入溝1に対して各々着脱可能に固定されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
略長板状であって、清掃体が挿入可能な挿入溝を備えた定規本体と、
前記挿入溝に挿入される基部と、該基部に固定された清掃部と、を備えた複数の清掃体と、を有する定規において、
前記定規本体は、設置面に当接する当接面を備えた一方の面の長手方向に凹部が形成されていると共に、前記当接面は、前記凹部を挟んだ両端部近傍の長手方向に形成されており、
前記複数の清掃体は、前記挿入溝に対して各々着脱可能に固定されていることを特徴とする定規
【請求項2】
定規本体は、当接面を備えていない他方の面の長手方向に亘って直線状の案内凹部が形成されていると共に、前記案内凹部の幅方向の長さは、清掃体の清掃部の厚み幅方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の定規
【請求項3】
定規本体の当接面を備えていない他方の面は、一方の長辺側に向かって低くなる傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の定規
【請求項4】
凹部の幅方向の長さは、少なくとも1つの清掃体の清掃部の長手方向の長さよりも短いことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の定規
【請求項5】
凹部は、断面略コ字状であって、設置面に載置した状態で、少なくとも一方の側面が、当接面を備えた一方の面に対して略垂直に形成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の定規
【請求項6】
複数の清掃体は、各々の毛腰が異なることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の定規
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、寸法の測定や直線を引くために使用する文房具としての定規であって、特に清掃体を有する定規に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、清掃体を有する定規が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の定規は、板状体の一方の端部に目盛りが印されており、他方の端部に溝部が形成されており、この溝部にブラシ毛が植毛されたブラシが固定されているものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載の定規は、溝部にブラシが固定されていることから、紙に直線を引く等の定規として使用している時に、定規自体や周囲の塵埃等をブラシを使用して清掃することができないという課題を有していた。また、単一のブラシ毛であることから清掃効果は限定的であった。さらに、ブラシ製造工場では製造時に発生するブラシの端材を廃棄すること無く活用することができないか検討されていた。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するものであり、定規としての使用と同時に清掃体としても使用することができ、清掃体として使用する場合の清掃効果を高めることができると共に、ブラシ製造時に発生するブラシの端材を有効に活用することができる定規を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、請求項1の発明は、略長板状であって、清掃体が挿入可能な挿入溝を備えた定規本体と、前記挿入溝に挿入される基部と、該基部に固定された清掃部と、を備えた複数の清掃体と、を有する定規において、前記定規本体は、設置面に当接する当接面を備えた一方の面の長手方向に凹部が形成されていると共に、前記当接面は、前記凹部を挟んだ両端部近傍の長手方向に形成されており、前記複数の清掃体は、前記挿入溝に対して各々着脱可能に固定されていることを特徴としている。
【0008】
請求項1の発明では、定規本体から複数の清掃体を着脱することができるので、定規としての使用と同時に清掃体として使用することができる。また、複数の清掃体を有しているので、清掃効果を高めることができる。また、ブラシ製造時に発生するブラシの端材を有効に活用することができ、SDGsの17の目標の1つである「持続可能な生産消費形態を確保する」に繋げることができる。また、当接面を備えた一方の面の長手方向に凹部が形成されているので、塵埃や消しゴムのカスに乗り上げてがたつくのを防ぐことができ、塵埃等が付着して定規本体が汚れるのを防ぐことができる。よって、定規本体と定規を使用する環境を清潔に保つことができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、定規本体は、当接面を備えていない他方の面の長手方向に亘って直線状の案内凹部が形成されていると共に、前記案内凹部の幅方向の長さは、清掃体の清掃部の厚み幅方向の長さよりも短いことを特徴としている。これにより、清掃体で案内凹部に溜まる塵埃等を清掃できるため、製図作業を正確に行うことができる。また、清掃部の長手方向を案内凹部に沿って挿入することで、より簡単に清掃作業を行うことができる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において、定規本体の当接面を備えていない他方の面は、一方の長辺側に向かって低くなる傾斜面が形成されていることを特徴としている。したがって、塵埃等が傾斜面上に堆積し難くなるので、定規本体の清潔な状態を維持することができる。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1~3のいずれかの発明において、凹部の幅方向の長さは、少なくとも1つの清掃体の清掃部の長手方向の長さよりも短いことを特徴としている。これにより、清掃体の長手方向を凹部の幅方向に合わせてワンストロークで清掃できるため、効率よく凹部に溜まった塵埃等を除去することができる。
【0012】
請求項5の発明は、請求項1~4のいずれかの発明において、凹部は、断面略コ字状であって、設置面に載置した状態で、少なくとも一方の側面が、当接面を備えた一方の面に対して略垂直に形成されていることを特徴としている。これにより、清掃体での凹部の清掃時に、清掃体が凹部の壁面に案内されてがたつくこと無く軽い力で清掃することができる。
【0013】
請求項6の発明は、請求項1~5のいずれかの発明において、複数の清掃体は、各々の毛腰が異なることを特徴としている。これにより、定規本体に付着した塵埃等の種類に応じて適切な毛腰の清掃体を選択して清掃を行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
請求項1の定規の発明は、定規としての使用と同時にブラシとして使用することができると共に、清掃効果を高めることができる。また、SDGsの17の目標の1つである「持続可能な生産消費形態を確保する」に繋げることができる。また、塵埃や消しゴムのカスに乗り上げてがたつくのを防ぐことができ、塵埃等が付着して定規本体が汚れるのを防ぐことができる。
【0015】
請求項2の発明は、製図作業を正確に行うことができると共に、より簡単に清掃作業を行うことができる。また、請求項3の発明は、定規本体の清潔な状態を維持することができる。また、請求項4の発明は、効率よく凹部に溜まった塵埃等を除去することができる。
【0016】
請求項5の発明は、清掃体での凹部の清掃時に、清掃体が凹部の壁面に案内されてがたつくこと無く軽い力で清掃することができる。また、請求項6の発明は、定規本体に付着した塵埃等の種類に応じて適切な毛腰の清掃体を選択して清掃を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】(a)本発明に係る定規の斜視図(b)本発明に係る定規の平面図(c)本発明に係る定規の底面図
【
図3】(a)清掃体の第1実施形態を示す斜視図(b)清掃体の第2実施形態を示す斜視図(c)清掃体の第3実施形態を示す斜視図(d)清掃体の第4実施形態を示す斜視図
【
図4】(a)清掃体による定規本体の案内凹部の清掃作業を示す斜視図(b)清掃体による定規本体の凹部の清掃作業を示す斜視図
【
図5】(a)本発明に係る定規の使用形態を示す斜視図(b)本発明に係る定規の別の使用形態を示す斜視図(c)本発明に係る定規のさらに別の使用形態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
図1(a)は、本発明に係る定規の斜視図であり、
図1(b)は、同平面図、
図1(c)は、同底面図である。また、
図2は、本発明に係る定規の右側面図である。これらの図を用いて本発明に係る定規の実施形態について以下に説明する。
【0019】
本発明に係る定規30は、略長板状であって、清掃体20、21、22が挿入可能な挿入溝1を備えた定規本体10と、挿入溝1に挿入される基部11と、この基部11に固定された清掃部12とを備えた複数の清掃体20、21、22とを有している。これにより、清掃効果を高めることができる。尚、清掃体の個数は2個以上であれば本発明に含まれる。
【0020】
定規本体10は、設置面Xに当接する当接面2a、2bを備えた一方の面3の長手方向に凹部4が形成されている。当接面2a、2bは、凹部4を挟んだ両端部5a、5b近傍の長手方向に形成されている。そして、複数の清掃体20、21、22は、挿入溝1に対して各々着脱可能に固定されている。本発明に係る定規30は、定規本体10から複数の清掃体20、21、22を着脱することができるので、定規としての使用と同時に清掃体として使用することができる。尚、複数の清掃体20、21、22は、各々の毛腰が異なるようにするのが好ましい。これにより、定規本体10に付着した塵埃等の種類に応じて適切な毛腰の清掃体を選択して清掃を行うことができる。
【0021】
挿入溝1は、押さえ片1a、1bを備えており、この押さえ片1a、1bによって、清掃体の基部11が挿入溝1から外れるのを防いでいる。したがって、清掃体20、21、22の挿入は、定規本体10の長手方向の両端部の挿入溝1から基部11を挿入して長手方向にスライドさせることによって行われる。
【0022】
挿入溝1の底部中央には、長手方向に沿って空間部1cが設けられている。この空間部1cは、清掃体20、21、22の基部11の幅方向の寸法の差異を吸収する機能を有している。特に、清掃体20、21、22に端材を使用した場合には基部11の幅方向の寸法に差異が生じ易いため、基部11の中央を撓ませて空間部1cに突出させるようにすれば、清掃体20、21、22の挿入をスムーズに行うことができる。また、清掃部12を基部11に縫い合わせて固定した場合、縫い目が基部11の裏面から突出することとなるが、空間部1cが設けられていることにより、清掃体20、21、22を挿入溝1にスムーズに挿入することができる。
【0023】
定規本体10は、当接面を備えていない他方の面6の長手方向に亘って直線状の案内凹部7が形成されている。そして、案内凹部7の幅方向の長さは、清掃体の清掃部12の厚み幅方向の長さよりも短くなるようにしている。これにより、清掃体20、21、22で案内凹部7に溜まる塵埃等を清掃できるため、製図作業を正確に行うことができる。また、清掃部12の長手方向を案内凹部7に沿って挿入することで、より簡単に、ワンストロークで清掃作業を行うことができる。
【0024】
また、定規本体10の当接面を備えていない他方の面6は、一方の長辺側に向かって低くなる傾斜面8が形成されている。したがって、塵埃等が傾斜面8上に堆積し難くなるので、定規本体10の清潔な状態を維持することができる。また、定規本体10に蛍光灯などの光が当たった場合に、傾斜面によって使用者の目の方向に光が反射するのを防ぐことができ、目盛33を容易に視認することができる。
【0025】
定規本体10は、凹部4を挟んだ両端部5a、5b近傍の長手方向に当接面2a、2bが形成されているので、設置面Xに当接した状態で安定させることができる。また、定規本体10がアーチ構造となっているので、他方の面6の中央を指で押圧することによって、設置面Xとの密着性を高めることができる。
【0026】
凹部4は、断面略コ字状であって、設置面に載置した状態で、側面9a及び9bの中の少なくとも一方の側面9aが、当接面を備えた一方の面3に対して略垂直に形成されている。これにより、清掃体20、21、22での凹部4の清掃時に、清掃体20、21、22が凹部4の壁面に案内されてがたつくこと無く軽い力で清掃することができる。
【0027】
また、凹部4の幅方向の長さは、清掃体20、21、22の中の少なくとも1つの清掃体の清掃部の長手方向の長さよりも短くなるようにしている。これにより、清掃体20、21、22の長手方向を凹部4の幅方向に合わせてワンストロークで清掃できるため、効率よく凹部4に溜まった塵埃等を除去することができる。
【0028】
図3(a)は、清掃体の第1実施形態を示す斜視図である。第1実施形態の清掃体22では、清掃部12の毛材を密集させた状態で基部11に固定している。毛材を密集させることによって、細かな塵埃が毛材に保持されるのを防ぐことができる。
【0029】
図3(b)は、清掃体の第2実施形態を示す斜視図である。第2実施形態の清掃体23では、清掃部12a、12a・・を基部11aに間隔をあけた状態で固定している。これにより、粘着性の高い汚れが付着している面に対して、清掃体を長手方向から当接させることにより強いアタック力を連続して加えることができる。また、清掃体が柔軟に変形しやすくなるため、汚れが清掃体の内部に留まりにくく、清掃効率の低下を抑制できる。
【0030】
図3(c)は、清掃体の第3実施形態を示す斜視図である。第3実施形態の清掃体24では、
図3(a)に示す第1実施形態の清掃体22と比較した場合に、清掃部12bの毛材の線径を太くすると共に、毛材の長さを長くしている。これにより、定規本体が被清掃面に干渉するのを防ぐことができると共に、毛腰を強くすることができる。
【0031】
図3(d)は、清掃体の第4実施形態を示す斜視図である。第4実施形態の清掃体25では、毛材ではなく、基部11cと清掃部12cとが一体化されたブレードを採用している。これにより、絨毯などの内部の塵埃を効率的に取り出すことができる。また、清掃部12cの先端に突起12dを形成することによって、掻き出し力を増加させることができる。
【0032】
図4(a)は、清掃体による定規本体の案内凹部の清掃作業を示す斜視図である。この図に示すように、定規30の案内凹部7の幅方向の長さAを、清掃体20の清掃部12の厚み幅方向の長さBよりも短くしている。これにより、清掃体20で案内凹部7に溜まる塵埃等を清掃できるため、製図作業を正確に行うことができる。また、清掃部12の長手方向を案内凹部7に沿って挿入して矢印方向に移動させることで、より簡単にワンストロークで清掃作業を行うことができる。
【0033】
図4(b)は、清掃体による定規本体の凹部の清掃作業を示す斜視図である。この図に示すように、凹部4の幅方向の長さCを、少なくとも1つの清掃体22の清掃部12の長手方向の長さDよりも短くしている。これにより、清掃体22の清掃部12の長手方向を凹部4の幅方向に合わせてワンストロークで清掃できるため、効率よく凹部4に溜まった塵埃等を除去することができる。
【0034】
図5(a)は、本発明に係る定規の使用形態を示す斜視図である。この図に示すように、定規30の当接面を設置面に当接させた状態で目盛33が印されている側に鉛筆又はペン31で直線を引くことができる。その際に、凹部によって設置面に書かれている文字に定規30が当接するのを避けているので、設置面に書かれている文字が滲むのを防ぐことができる。また、凹部によって定規30の断面形状がアーチ状となることから、左手の指で定規30の上面に軽く押さえるだけで定規30の当接面を設置面に密着させることができる。
【0035】
図5(b)は、本発明に係る定規の別の使用形態を示す斜視図である。この図に示すように、被清掃面上の消しゴムのカス等を、定規30に固定されている清掃体20、21、22で清掃することができる。その際に、右手の親指を凹部4に挿入することによって、定規30を確実に把持することができる。
【0036】
図5(c)は、本発明に係る定規のさらに別の使用形態を示す斜視図である。この図に示すように、鉛筆又はペン31と溝引き棒32をお箸のように持ち、溝引き棒32の先端の球体部分を案内凹部7に挿入した後、滑らせることによって直線を引くことができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明に係る定規は、寸法の測定や直線を引くために使用する文房具として利用される。
【符号の説明】
【0038】
1 挿入溝
1a、1b 押さえ片
1c 空間部
2a、2b 当接面
3 一方の面
4 凹部
5a、5b 端部
6 他方の面
7 案内凹部
8 傾斜面
9a、9b 側面
10 定規本体
11 基部
12 清掃部
20、21、22 清掃体
30 定規
31 鉛筆又はペン
32 溝引き棒
33 目盛
A 案内凹部の幅方向の長さ
B 清掃体の厚み幅方向の長さ
C 凹部の幅方向の長さ
D 清掃体の長手方向の長さ
X 設置面