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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075593
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02P 9/14 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
H02P9/14 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188584
(22)【出願日】2021-11-19
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-01-17
(71)【出願人】
【識別番号】000195959
【氏名又は名称】西芝電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145816
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿股 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100196003
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 太郎
(72)【発明者】
【氏名】岩田 健光
(72)【発明者】
【氏名】前田 仁
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590AA11
5H590AA13
5H590BB20
5H590CE01
5H590DD64
5H590EA14
5H590FA06
5H590FC11
5H590HA02
5H590HA04
5H590HA07
5H590HA10
5H590HB03
(57)【要約】
【課題】商用電力系統と連系運転時または他発電機との並列運転時において、電圧垂下特性を自動変更することにより、電力系統の安定化を図ることが可能な発電システムを提供する。
【解決手段】発電システム100は、発電機1と、自動電圧調整器18とを具備する。自動電圧調整器18は、電圧指令信号発生器14と、電圧設定器13と、加算器10と、電圧検出器8と、横流補償器9と、減算器11と、発電機1の界磁巻線22に印加される界磁電圧を操作する界磁電圧操作信号を出力する第1演算器12と、発電機1の運転中に、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を自動変更する第2演算器19と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統と連系して電力を供給可能な発電機と、
前記発電機の出力電圧を調整する自動電圧調整器と
を具備し、
前記自動電圧調整器は、
前記出力電圧の目標値に対応する電圧指令信号を出力する電圧指令信号発生器と、
外部からの出力電圧増減信号に応じて電圧設定信号を出力する電圧設定器と、
前記電圧指令信号と前記電圧設定信号とを加算する加算器と、
前記発電機の前記出力電圧を検出する電圧検出器と、
前記発電機の出力電流の位相の遅れ方向を正、進み方向を負とした時の前記発電機の出力電力の力率に比例した電圧垂下信号を出力する横流補償器と、
前記加算器の出力信号から前記電圧検出器の出力信号および前記電圧垂下信号を減じ、制御偏差信号を出力する減算器と、
前記制御偏差信号に基づいて演算を行い、前記発電機の界磁巻線に印加される界磁電圧を操作する界磁電圧操作信号を出力する第1演算器と、
前記発電機の運転中に、前記自動電圧調整器の電圧垂下特性を自動変更する第2演算器と
を備える
発電システム。
【請求項2】
前記電圧設定器に前記出力電圧増減信号を送る外部制御器を更に具備し、
前記外部制御器または前記自動電圧調整器は、
前記発電機の無効電力の第1ハンチング、前記発電機の有効電力の第2ハンチング、および、前記発電機の前記出力電圧の第3ハンチングの少なくとも1つについて、ハンチングの有無を判定し、
前記外部制御器または前記自動電圧調整器によって前記ハンチングが有ると判定されることに応じて、前記第2演算器は、前記自動電圧調整器の前記電圧垂下特性を自動変更する
請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記外部制御器または前記自動電圧調整器は、前記発電機の前記無効電力の前記第1ハンチングの有無、および、前記発電機の前記出力電圧の前記第3ハンチングの有無を判定し、
自動無効電力調整制御時に、前記外部制御器または前記自動電圧調整器によって、前記第1ハンチングおよび前記第3ハンチングが有ると判定されることに応じて、前記第2演算器は、前記電圧垂下特性が増強されるように前記電圧垂下特性を自動変更する
請求項2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記外部制御器または前記自動電圧調整器は、前記発電機の前記無効電力の前記第1ハンチングの有無、および、前記発電機の前記有効電力の前記第2ハンチングの有無を判定し、
発電機力率一定制御時に、前記外部制御器または前記自動電圧調整器によって、前記第1ハンチングおよび前記第2ハンチングが有ると判定されることに応じて、前記第2演算器は、前記電圧垂下特性が弱められるように前記電圧垂下特性を自動変更する
請求項2または3に記載の発電システム。
【請求項5】
前記外部制御器または前記自動電圧調整器によって前記ハンチングが有ると判定されることに応じて、前記第2演算器は、前記自動電圧調整器の前記電圧垂下特性が増強または弱められるように1回目の自動変更をし、
1回目の自動変更によって前記ハンチングが解消されないとき、前記第2演算器は、前記自動電圧調整器の前記電圧垂下特性が更に増強されるか、または、更に弱められるように2回目の自動変更をするように構成される
請求項2乃至4のいずれか一項に記載の発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、発電システムに関し、特に、商用電力系統と連系運転時または他発電機との並列運転時において、電力系統の安定化を図る技術に関する。
【背景技術】
【0002】
発電装置の出力電圧を調整するために、自動電圧調整器を配置することが知られている。
【0003】
関連する技術として特許文献1には、交流発電機装置の出力電圧制御装置が開示され、特許文献2には、同期発電機用自動電圧調整器が開示され、特許文献3には、同期発電機が開示されている。
【0004】
図1に、自動電圧調整器の電圧垂下特性の一例を示す。図1において、電圧垂下特性は、破線直線L1の傾きによって表されている。図1に記載の例では、遅れの無効電力の割合の増加量に対する電圧垂下量の増加量の比率が一定(定格電圧の4%)である。図2に例示されるように、自動電圧調整器は、外部制御器からの外部指令に基づいて発電機の励磁電圧を増減させることにより、自動電圧調整器の電圧垂下特性が維持された状態で(換言すれば、無効電力の割合に対する電圧垂下量の傾きが維持された状態で)、無効電力を制御することができる(図2における破線直線L1から実線直線L2への変化を参照。)。なお、図2において、直線(L1、L2)と横軸(定格電圧)との交点が、皮相電力に対する無効電力の割合を示し、直線(L1、L2)と縦軸との交点が、発電機内部の誘起電圧を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第2536621号公報
【特許文献2】特許第2680055号公報
【特許文献3】特開2006-296149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図1および図2に記載の例では、電圧垂下特性が固定されており、電圧、有効電力、無効電力等の瞬時の変動に対して電力系統が不安定化する場合がある。そこで、本発明の目的は、商用電力系統と連系運転時または他発電機との並列運転時において、電圧垂下特性を自動変更することにより、電力系統の安定化を図ることが可能な発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における発電システムは、商用電力系統と連系して電力を供給可能な発電機と、前記発電機の出力電圧を調整する自動電圧調整器とを具備し、前記自動電圧調整器は、前記出力電圧の目標値に対応する電圧指令信号を出力する電圧指令信号発生器と、外部からの出力電圧増減信号に応じて電圧設定信号を出力する電圧設定器と、前記電圧指令信号と前記電圧設定信号とを加算する加算器と、前記発電機の前記出力電圧を検出する電圧検出器と、前記発電機の出力電流の位相の遅れ方向を正、進み方向を負とした時の前記発電機の出力電力の力率に比例した電圧垂下信号を出力する横流補償器と、前記加算器の出力信号から前記電圧検出器の出力信号および前記電圧垂下信号を減じ、制御偏差信号を出力する減算器と、前記制御偏差信号に基づいて演算を行い、前記発電機の界磁巻線に印加される界磁電圧を操作する界磁電圧操作信号を出力する第1演算器と、前記発電機の運転中に、前記自動電圧調整器の電圧垂下特性を自動変更する第2演算器とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、商用電力系統と連系運転時または他発電機との並列運転時において、電圧垂下特性を自動変更することにより、電力系統の安定化を図ることが可能な発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、自動電圧調整器の電圧垂下特性の一例を示す図である。
図2図2は、自動電圧調整器の電圧垂下特性が維持された状態で、無効電力が制御される様子を示す図である。
図3図3は、実施形態における発電システムを模式的に示す主回路部構成図である。
図4図4は、自動電圧調整器の電圧垂下特性が変更される様子を示す図である。
図5図5は、系統が安定化されているときの電圧、無効電力等の時間変化と、系統が不安定化しているときの電圧、無効電力のハンチング現象と、を示す図である。
図6図6は、ハンチングの判定手法の一例を示す図である。
図7図7は、電圧垂下特性の自動変更の第1例について説明するための図である。
図8図8は、電圧垂下特性の自動変更の第2例について説明するための図である。
図9図9は、電圧垂下特性の自動変更が段階的に行われる様子を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態における発電システム100に関して、添付図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、同じ機能を有する部材、部位については、同一の符号が付され、同一の符号が付されている部材、部位について、繰り返しの説明は省略される。
【0011】
(実施形態)
図1乃至図9を参照して、実施形態における発電システム100について説明する。図1は、自動電圧調整器の電圧垂下特性の一例を示す図である。図2は、自動電圧調整器の電圧垂下特性が維持された状態で、無効電力が制御される様子を示す図である。図3は、実施形態における発電システム100を模式的に示す主回路部構成図である。図4は、自動電圧調整器の電圧垂下特性が変更される様子を示す図である。図5は、系統が安定化されているときの電圧、無効電力等の時間変化と、系統が不安定化しているときの電圧、無効電力のハンチング現象と、を示す図である。図6は、ハンチングの判定手法の一例を示す図である。図7は、電圧垂下特性の自動変更の第1例について説明するための図である。図8は、電圧垂下特性の自動変更の第2例について説明するための図である。図9は、電圧垂下特性の自動変更が段階的に行われる様子を示すフローチャートである。
【0012】
(構成・作用)
図3に例示されるように、実施形態における発電システム100は、発電機1と、自動電圧調整器18と、を備える。発電システム100は、商用電力系統3と連系運転可能なシステム、または、他発電機との並列運転可能なシステムである。
【0013】
発電機1は、商用電力系統3と連系して、任意の負荷器(例えば、電気機器)に電力を供給可能である。図3に記載の例では、発電機1は、同期発電機、すなわち、界磁の作る磁界が電機子巻線を横切る回転速度に同期して電力を発電する交流発電機である。発電機1は、例えば、ブラシレス同期発電機である。
【0014】
図3に記載の例では、発電機1は、原動機21によって駆動される。また、発電機1は、遮断器2を介して、商用電力系統3と連系して、任意の負荷器に電力を供給する。発電機1を商用電力系統3と系統連系する場合、発電機1の電圧の大きさ、周波数、および、位相を、商用電力系統3のそれらと一致させ、その後、遮断器2が閉じられる。
【0015】
自動電圧調整器18は、発電機1の出力電圧を調整する。より具体的には、自動電圧調整器18は、直流電源4から発電機1の界磁巻線22へ流れる界磁電流を調整することによって発電機1の出力電圧を制御する。 直流電源4は、例えば、永久磁石発電機とその出力端子に接続された整流器とを含んでいてもよいし、発電機1の電圧を整流器で整流する回路を含んでいてもよいし、その他の機構によって構成されていてもよい。
【0016】
図3に記載の例では、自動電圧調整器18は、電圧指令信号発生器14と、電圧設定器13と、加算器10と、電圧検出器8と、横流補償器9と、減算器11と、第1演算器12と、第2演算器19と、を備える。自動電圧調整器18の構成要素の各々は、ハードウェア(換言すれば、物理的な構成要素)によって実現されてもよく、コンピュータ上で実行されるソフトウェアによって実現されていてもよく、自動電圧調整器18の構成要素の一部がハードウェアによって実現され、自動電圧調整器18の構成要素の他の一部がソフトウェアによって実現されていてもよい。
【0017】
自動電圧調整器18では、電圧指令信号発生器14が出力する電圧指令信号Vg’と電圧設定器13が出力する電圧設定信号ΔVg’とが加算器10によって加算され、加算器10が出力する信号が最終電圧指令信号Vg’’とされる。
【0018】
より具体的には、電圧指令信号発生器14は、発電機1の出力電圧の目標値に対応する電圧指令信号Vg’を出力する。電圧指令信号Vg’の大きさは、商用電力系統3の電圧の大きさ等を考慮して、予め決定あるいは調整される。電圧設定器13は、外部(例えば、外部制御器15)から受け取る出力電圧増減信号に応じて電圧設定信号ΔVg’を出力する。加算器10は、電圧指令信号発生器14から受け取る電圧指令信号Vg’と、電圧設定器13から受け取る電圧設定信号ΔVg’とを加算する。
【0019】
電圧検出器8は、変圧器16(発電システム100が有する変圧器16)を介して、発電機1の端子電圧を検出し、検出した端子電圧に対応する電圧検出信号Vgを出力する。
【0020】
横流補償器9は、上述の端子電圧に対する発電機1の出力電流の位相の遅れ方向を正、進み方向を負とした時の発電機1の出力電力の力率に比例した電圧垂下信号Vcを出力する。図3に記載の例では、横流補償器9には、変流器17を介して、発電機1の出力電流に対応する電流検出信号が入力される。
【0021】
横流補償器9は、上述の端子電圧に対して発電機1の出力電流の位相が遅れている場合に、発電機1の出力電力の力率に比例した正の電圧垂下信号Vcを出力し、上述の端子電圧に対して発電機1の出力電流の位相が進んでいる場合に、発電機1の出力電力の力率に比例した負の電圧垂下信号Vcを出力する。なお、「力率」とは、全体の電力(皮相電力)に対するエネルギとして利用できる電力(有効電力)の割合である。有効電力の2乗と、無効電力の2乗との和は、皮相電力の2乗に一致する。
【0022】
減算器11は、最終電圧指令信号Vg’’(換言すれば、加算器10からの出力信号)から、電圧検出信号Vg(換言すれば、電圧検出器8からの出力信号)、および、電圧垂下信号Vc(換言すれば、横流補償器9からの出力信号)を減算して、制御偏差信号eを出力する。
【0023】
発電機1の出力電流の位相が端子電圧に対して遅れ位相である場合には、横流補償器9は、減算器11に対して正の電圧垂下信号Vcを出力する。このことは、電圧検出器8が検出する端子電圧を、より高い値に補償して減算器11に出力することと同等の効果を生じる。また、発電機1の出力電流の位相が端子電圧に対して進み位相である場合には、横流補償器9は、減算器11に対して負の電圧垂下信号Vcを出力する。このことは、電圧検出器8が検出する端子電圧を、より低い値に補償して減算器11に出力することと同等の効果を生じる。
【0024】
第1演算器12は、制御偏差信号e(換言すれば、減算器11からの出力信号)に基づいて演算を行い、発電機1の出力電圧を所望の電圧に保つためにチョッパ装置5のオン時間を制御する。
【0025】
図3に記載の例では、第1演算器12は、制御偏差信号e(換言すれば、減算器11からの出力信号)に基づいて演算(例えば、PID演算)を行い、発電機の界磁巻線22に印加される界磁電圧を操作する界磁電圧操作信号を出力する。図3に記載の例では、第1演算器12は、パルス信号発生器6に、当該界磁電圧操作信号を出力する。パルス信号発生器6は界磁電圧操作信号に基づいて直流電源4の直流電圧をチョッパ操作するためのパルス信号を出力する。チョッパ装置5は、パルス信号発生器6からのパルス信号に基づいて、直流電源4の直流電圧をチョッパ操作する。直流電源4からの電流がチョッパ装置5によって遮断されているときには、発電機1の界磁巻線22に流れる界磁電流は、還流ダイオード7を介して還流される。
【0026】
以上のとおり、自動電圧調整器18は、商用電力系統3の電圧の変化等に応じて、界磁巻線22に印加される界磁電圧を調整し、発電機1を安定的に運転させるように動作する。なお、直流電源4、パルス信号発生器6、チョッパ装置5、および、還流ダイオード7は、交流電源、サイリスタ整流器、および、位相制御器に置き換えられてもよい。この場合、第1演算器12は、位相制御器に、上述の界磁電圧操作信号を出力する。また、位相制御器は、第1演算器12からの界磁電圧操作信号に基づいて、サイリスタ整流器を点弧する。また、サイリスタ整流器は、界磁巻線22に供給する直流電圧を調整する。こうして、発電機1の出力電圧が制御される。
【0027】
第2演算器19は、発電機1の運転中に、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を自動変更する。より具体的には、第2演算器19は、発電機1の運転中に、自動電圧調整器18の電圧垂下特性が増強または弱められるように、電圧垂下特性を自動変更する。
【0028】
例えば、図4に記載の例では、第2演算器19は、発電機1の運転中に、破線直線L3によって示される自動電圧調整器18の電圧垂下特性が増強されるように、当該電圧垂下特性を、実線直線L4によって示される自動電圧調整器18の電圧垂下特性に自動変更可能である。電圧垂下特性が増強されることにより、発電機1の出力電圧の変動(換言すれば、商用電力系統3の電圧の変動)に対して、発電機1の無効電力が変動しにくくなる。こうして、電力系統を安定化させることができる。また、図4に記載の例では、第2演算器19は、発電機1の運転中に、破線直線L3によって示される自動電圧調整器18の電圧垂下特性が弱められるように、当該電圧垂下特性を、一点鎖線の直線L5によって示される自動電圧調整器18の電圧垂下特性に自動変更可能である。電圧垂下特性が弱められることにより、発電機1の有効電力および無効電力の変動に対して、発電機1の出力電圧が変動しにくくなる。こうして、電力系統を安定化させることができる。
【0029】
なお、本明細書において、「電圧垂下特性」とは、無効電力の割合の増加(より具体的には、皮相電力に対する遅れの無効電力の割合の増加)に対して、自動電圧調整器が電圧垂下量を増加させる特性を意味する。図4に記載の例では、破線直線L3の傾き、実線直線L4の傾き、および、一点鎖線の直線L5の傾きが、それぞれ、自動電圧調整器18の電圧垂下特性に該当する。
【0030】
(効果)
実施形態における発電システム100は、発電機1の運転中に、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を自動変更する第2演算器19を備える。よって、発電機の出力電圧、有効電力、無効電力等の瞬時の変動に対して、電圧垂下特性を変更することによって電力系統を効果的に安定化させることができる。従来、電圧垂下特性を変更する場合、発電機を停止させた状態で変更する必要があったが、実施形態における発電システム100では、発電機1の運転中に、電圧垂下特性を自動変更可能であるため、上述のとおり、発電機1の運転中の瞬時の変動に対応させることができる。
【0031】
また、実施形態では、自動電圧調整器18の内部演算処理部(より具体的には、第2演算器19)で電圧垂下特性を変更可能としているため、電圧垂下特性を変更させるための構成がシンプルである。
【0032】
続いて、実施形態において採用可能な任意付加的な構成について説明する。
【0033】
(第2演算器19)
図3に記載の例では、第2演算器19は、横流補償器9から電圧垂下信号Vcを受け取り、当該電圧垂下信号Vcを増幅補正または減衰補正させ、増幅補正または減衰補正された電圧垂下信号を、減算器11に送る。電圧垂下信号Vcを増幅補正することは、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を増強すること(より具体的には、電圧垂下特性の傾きを大きくすること、すなわち、図4に示される直線L3の傾き(横軸に対する傾斜角度)を大きくすること)に対応する。また、電圧垂下信号Vcを減衰補正することは、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を弱めること(より具体的には、電圧垂下特性の傾きを小さくすること、すなわち、図4に示される直線L3の傾き(横軸に対する傾斜角度)を小さくすること)に対応する。
【0034】
図3に記載の例では、第2演算器19は、外部制御器15から特性変更信号Sc(例えば、デジタル信号)を受け取り、当該特性変更信号Scに基づいて、横流補償器9から受け取る電圧垂下信号Vcを増幅補正または減衰補正する。
【0035】
(外部制御器15)
図3に記載の例では、発電システム100は、外部制御器15を備える。外部制御器15は、商用電力系統3の電圧等に基づいて、電圧設定器13に出力電圧増減信号を送る。
【0036】
(ハンチングに対する応答)
商用電力系統側のインピーダンスの変化によって、系統が不安定化すると、従来の制御では発電機の出力電圧、および、無効電力がハンチングしやすくなる。図5(a)のグラフには、系統が安定化されているときの電圧、無効電力等の時間変化が示され、図5(b)のグラフには、系統が不安定化しているときの電圧、無効電力のハンチング現象が示されている。
【0037】
実施形態では、外部制御器15または自動電圧調整器18が、電力、電圧、周波数等のハンチング(換言すれば、繰り返しの変動)の有無を判定し、ハンチングの発生に応答して、第2演算器19が、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を自動変更するように構成されることが好ましい。こうして、電力系統の安定化が図られる。
【0038】
より具体的には、外部制御器15または自動電圧調整器18は、発電機1の無効電力のハンチング(以下、「第1ハンチング」という。)、発電機1の有効電力のハンチング(以下、「第2ハンチング」という。)、発電機1の出力電圧のハンチング(以下、「第3ハンチング」という。)、および、発電機1の周波数のハンチング(以下、「第4ハンチング」という。)のうちの少なくとも1つについて、ハンチングの有無を判定する。
【0039】
図3に記載の例において、第2演算器19は、外部制御器15または自動電圧調整器18によって上述のハンチング(換言すれば、第1ハンチング、第2ハンチング、第3ハンチング、および、第4ハンチングのうちの少なくとも1つについてのハンチング)が有ると判定されることに応じて、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を自動変更する。例えば、外部制御器15または自動電圧調整器18によって上述のハンチングが有ると判定されることに応じて、外部制御器15または自動電圧調整器18は、第2演算器19に、特性変更信号Scを送信する。第2演算器19は、特性変更信号Scに基づいて、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を変更する。より具体的には、第2演算器19は、特性変更信号Scに基づいて、横流補償器9から受け取る電圧垂下信号を増幅補正または減衰補正する。
【0040】
ハンチングに対する応答についてより詳細に説明する。外部制御器15または自動電圧調整器18は、発電機1の出力電圧、出力電流等に基づいて、発電機1の無効電力の時間変化、発電機1の有効電力の時間変化、発電機1の出力電圧の時間変化、発電機1の周波数の時間変化等を検出または算出可能である。
【0041】
図6には、外部制御器15または自動電圧調整器18によって、検出または算出された、検出量または算出量の時間変化の一例が示されている。図6において、検出量または算出量は、発電機1の無効電力であってもよいし、発電機1の有効電力であってもよいし、発電機1の出力電圧であってもよいし、発電機1の周波数であってもよい。
【0042】
外部制御器15または自動電圧調整器18は、例えば、ハンチング判定期間中に継続して、検出量または算出量の変動量が変動閾値以上であるとき、当該検出量または算出量のハンチングが有ると判定する。また、外部制御器15または自動電圧調整器18は、例えば、「ハンチング判定期間中に継続して、検出量または算出量の変動量が変動閾値以上である」との条件が満たされないとき、当該検出量または算出量のハンチングが無いと判定する。
【0043】
例えば、外部制御器15または自動電圧調整器18は、第1のハンチング判定期間中に継続して、発電機1の無効電力の変動量が第1の変動閾値以上であるとき、当該無効電力のハンチングが有ると判定し、それ以外のときに、当該無効電力のハンチングが無いと判定する。外部制御器15または自動電圧調整器18は、第2のハンチング判定期間中に継続して、発電機1の有効電力の変動量が第2の変動閾値以上であるとき、当該有効電力のハンチングが有ると判定し、それ以外のときに、当該有効電力のハンチングが無いと判定する。外部制御器15または自動電圧調整器18は、第3のハンチング判定期間中に継続して、発電機1の出力電圧の変動量が第3の変動閾値以上であるとき、当該出力電圧のハンチングが有ると判定し、それ以外のときに、当該出力電圧のハンチングが無いと判定する。また、例えば、外部制御器15または自動電圧調整器18は、第4のハンチング判定期間中に継続して、発電機1の周波数の変動量が第4の変動閾値以上であるとき、当該周波数のハンチングが有ると判定し、それ以外のときに、当該周波数のハンチングが無いと判定する。
【0044】
なお、上述の「ハンチング判定期間」、「第1のハンチング判定期間」、「第2のハンチング判定期間」、「第3のハンチング判定期間」、「第4のハンチング判定期間」の各々は、適宜の期間(例えば、10秒、1分等)に設定される。また、上述の「変動閾値」、「第1の変動閾値」、「第2の変動閾値」、「第3の変動閾値」、「第4の変動閾値」は、適宜の値(例えば、ハンチング判定期間中の平均値に対して1%、2%、3%、4%、または、5%等)に設定される。
【0045】
(電圧垂下特性の自動変更の第1例)
図7を参照して、電圧垂下特性の自動変更の第1例について説明する。系統連系中に電圧変動が発生すると、無効電力が変動する。無効電力が目標値となるように制御される場合、系統が安定していないと、無効電力および出力電圧がハンチングすることがある。そこで、図7に記載の例では、発電機1の無効電力の第1ハンチングの有無、および、発電機1の出力電圧の第3ハンチングの有無が判定され、第1ハンチングおよび第3ハンチングが有るときに、第2演算器19は、自動電圧調整器18の電圧垂下特性が増強されるように、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を自動変更する。
【0046】
より具体的には、図7に記載の例において、外部制御器15(または、自動電圧調整器18)は、発電機1の無効電力の第1ハンチングの有無、発電機1の有効電力の第2ハンチングの有無、および、発電機1の出力電圧の第3ハンチングの有無を判定する。外部制御器15(または、自動電圧調整器18)によって、第1ハンチングおよび第3ハンチングが有ると判定され、かつ、第2ハンチングが無いと判定されることに応じて、外部制御器15(または、自動電圧調整器18)は、第2演算器19に、第1の特性変更信号Sc1を送信する。第2演算器19は、第1の特性変更信号Sc1に基づいて、自動電圧調整器18の電圧垂下特性が増強されるように、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を自動変更する。
【0047】
自動電圧調整器18の電圧垂下特性が増強されると(例えば、図4において、破線直線L3から実線直線L4への電圧垂下特性の変化を参照。)、電圧変化に対する無効電力の変動が小さくなる。よって、電圧垂下特性の自動変更の第1例は、自動無効電力調整制御(すなわち、受電点の無効電力制御)と組み合わせて採用される場合に、系統の安定化効果が大きい。
【0048】
換言すれば、電圧垂下特性の自動変更の第1例は、外部制御器15および自動電圧調整器18が、自動無効電力調整装置(Automatic Q Regulator:AQR)として機能しているときに採用されることにより特に有利な効果を奏する。なお、自動無効電力調整装置とは、発電機1の無効電力出力が基準値になるように界磁電流を自動的に制御する装置のことを意味する。
【0049】
(電圧垂下特性の自動変更の第2例)
図8を参照して、電圧垂下特性の自動変更の第2例について説明する。系統連系中に負荷(有効電力)が変動すると、有効電力および無効電力がハンチングすることがある。そこで、図8に記載の例では、発電機1の無効電力の第1ハンチングの有無、および、発電機1の有効電力の第2ハンチングの有無が判定され、第1ハンチングおよび第2ハンチングが有るときに、第2演算器19は、自動電圧調整器18の電圧垂下特性が弱められるように、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を自動変更する。
【0050】
より具体的には、図8に記載の例において、外部制御器15(または、自動電圧調整器18)は、発電機1の無効電力の第1ハンチングの有無、発電機1の有効電力の第2ハンチングの有無、発電機1の出力電圧の第3ハンチングの有無、および、発電機1の周波数の第4ハンチングの有無を判定する。外部制御器15(または、自動電圧調整器18)によって、第1ハンチングおよび第2ハンチングが有ると判定され、かつ、第3ハンチングおよび第4ハンチングが無いと判定されることに応じて、外部制御器15(または、自動電圧調整器18)は、第2演算器19に、第2の特性変更信号Sc2を送信する。第2演算器19は、第2の特性変更信号Sc2に基づいて、自動電圧調整器18の電圧垂下特性が弱められるように、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を自動変更する。
【0051】
自動電圧調整器18の電圧垂下特性が弱められると(例えば、図4において、破線直線L3から一点鎖線の直線L5への電圧垂下特性の変化を参照。)、負荷器の負荷の変化(あるいは、負荷の変化に伴う無効電力の変化)に対する出力電圧の変動が小さくなる。よって、電圧垂下特性の自動変更の第2例は、発電機力率一定制御と組み合わせて採用される場合に、系統の安定化効果が大きい。
【0052】
換言すれば、電圧垂下特性の自動変更の第2例は、外部制御器15および自動電圧調整器18が、自動力率調整装置(Automatic Power Factor Regulator:APFR)として機能しているときに採用されることにより特に有利な効果を奏する。なお、自動力率調整装置とは、発電機力率が基準値になるように界磁電流を自動的に制御する装置のことを意味する。
【0053】
(電圧垂下特性の段階的制御)
図4図7図8に記載の例では、第2演算器19は、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を、一度に、自動的に変更している。第2演算器19は、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を、段階的に、自動的に変更してもよい。例えば、外部制御器15または自動電圧調整器18によって上述のハンチングが有ると判定されることに応じて、第2演算器19は、自動電圧調整器18の電圧垂下特性が増強または弱められるように1回目の自動変更をし、1回目の自動変更によって上述のハンチングが解消されないとき、第2演算器19は、自動電圧調整器18の電圧垂下特性が更に増強されるか、または、更に弱められるように2回目の自動変更をするように構成されてもよい。
【0054】
例えば、図9に記載の例では、第1ステップST1において、発電機1の無効電力の第1ハンチング、発電機1の有効電力の第2ハンチング、及び、発電機1の出力電圧の第3ハンチングの少なくとも1つについて、ハンチングの有無が判定される。当該判定は、外部制御器15または自動電圧調整器18によって行われる。
【0055】
第2ステップST2において、外部制御器15または自動電圧調整器18によって、ハンチングが有ると判定されると、第3ステップST3において、自動電圧調整器18の電圧垂下特性が「増強」されるように(より具体的には、電圧垂下特性の傾きが「大きくなる」ように)、電圧垂下特性の自動変更が行われる。当該自動変更は、第2演算器19によって行われ、当該自動変更は、1回目の自動変更である。電圧垂下特性の「増強」は、例えば、所定の割合(例えば、「0.1%増強」等)で行われる。当該1回目の自動変更は、発電システム100が自動無効電力調整制御を行っている時に行われてもよい。
【0056】
代替的に、第2ステップST2において、外部制御器15または自動電圧調整器18によって、ハンチングが有ると判定されると、第3ステップST3において、自動電圧調整器18の電圧垂下特性が「弱められる」ように(より具体的には、電圧垂下特性の傾きが「小さくなる」ように)、電圧垂下特性の自動変更が行われてもよい。当該自動変更は、第2演算器19によって行われ、当該自動変更は、1回目の自動変更である。電圧垂下特性が「弱められる」ことは、例えば、所定の割合(例えば、「0.1%減少」等)で行われる。当該1回目の自動変更は、発電システム100が発電機力率一定制御を行っている時に行われてもよい。
【0057】
第4ステップST4において、発電機1の無効電力の第1ハンチング、発電機1の有効電力の第2ハンチング、及び、発電機1の出力電圧の第3ハンチングの少なくとも1つについて、ハンチングの有無が判定される。当該判定は、外部制御器15または自動電圧調整器18によって行われる。
【0058】
第5ステップST5において、外部制御器15または自動電圧調整器18によって、ハンチングが解消されていないと判定されると、自動電圧調整器18の電圧垂下特性が「更に増強」されるように(より具体的には、電圧垂下特性の傾きが「更に大きくなる」ように)、電圧垂下特性の自動変更が行われる(2回目の第3ステップST3)。当該自動変更は、第2演算器19によって行われ、当該自動変更は、2回目の自動変更である。電圧垂下特性の「更なる増強」は、例えば、所定の割合(例えば、「0.1%増強」等)で行われる。当該2回目の自動変更は、発電システム100が自動無効電力調整制御を行っている時に行われてもよい。
【0059】
代替的に、第5ステップST5において、外部制御器15または自動電圧調整器18によって、ハンチングが解消されていないと判定されると、自動電圧調整器18の電圧垂下特性が「更に弱められる」ように(より具体的には、電圧垂下特性の傾きが「更に小さくなる」ように)、電圧垂下特性の自動変更が行われてもよい。当該自動変更は、第2演算器19によって行われ、当該自動変更は、2回目の自動変更である。電圧垂下特性が「更に弱められる」ことは、例えば、所定の割合(例えば、「0.1%減少」等)で行われる。当該2回目の自動変更は、発電システム100が発電機力率一定制御を行っている時に行われてもよい。
【0060】
図9に記載の例では、ハンチングが解消するまで、第3ステップST3乃至第5ステップST5が繰り返し実行される。また、電圧垂下特性の自動変更が段階的に行われることにより、電圧垂下特性の変更が円滑に行われることとなる。また、電圧垂下特性の自動変更が段階的に行われることにより、電圧垂下特性の変更が、過変更となることが防止される。
【0061】
(遮断器2の開放)
遮断器2が開放されるとき(換言すれば、商用電力系統3との連系が解除されるとき)、外部制御器15(または、自動電圧調整器18)は、第2演算器19に、リセット信号を送信し、リセット信号を受信する第2演算器19は、自動電圧調整器18の電圧垂下特性を、デフォルトの特性に戻すように構成されていてもよい。
【0062】
本発明は上記実施形態または変形例に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、実施形態又は変形例は適宜変形又は変更され得ることは明らかである。また、実施形態又は変形例における任意付加的な構成は、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0063】
1…発電機、2…遮断器、3…商用電力系統、4…直流電源、5…チョッパ装置、6…パルス信号発生器、7…還流ダイオード、8…電圧検出器、9…横流補償器、10…加算器、11…減算器、12…第1演算器、13…電圧設定器、14…電圧指令信号発生器、15…外部制御器、16…変圧器、17…変流器、18…自動電圧調整器、19…第2演算器、21…原動機、22…界磁巻線、100…発電システム、Sc…特性変更信号Sc、Sc1…第1の特性変更信号Sc、Sc2…第2の特性変更信号Sc、Vc…電圧垂下信号、Vg…電圧検出信号、Vg'…電圧指令信号、Vg''…最終電圧指令信号、e…制御偏差信号、ΔVg'…電圧設定信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2022-12-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電力系統と連系して電力を供給可能な発電機と、
前記発電機の出力電圧を調整する自動電圧調整器と
を具備し、
前記自動電圧調整器は、
前記出力電圧の目標値に対応する電圧指令信号を出力する電圧指令信号発生器と、
外部からの出力電圧増減信号に応じて電圧設定信号を出力する電圧設定器と、
前記電圧指令信号と前記電圧設定信号とを加算する加算器と、
前記発電機の前記出力電圧を検出する電圧検出器と、
前記発電機の出力電流の位相の遅れ方向を正、進み方向を負とした時の前記発電機の出力電力の力率に比例した電圧垂下信号を出力する横流補償器と、
前記加算器の出力信号から前記電圧検出器の出力信号および前記電圧垂下信号を減じ、制御偏差信号を出力する減算器と、
前記制御偏差信号に基づいて演算を行い、前記発電機の界磁巻線に印加される界磁電圧を操作する界磁電圧操作信号を出力する第1演算器と、
前記発電機の運転中に、前記横流補償器から前記電圧垂下信号を受け取り、前記電圧垂下信号を増幅補正または減衰補正し、増幅補正または減衰補正された前記電圧垂下信号を、前記減算器に送る第2演算器と
を備える
発電システム。
【請求項2】
前記電圧設定器に前記出力電圧増減信号を送る外部制御器を更に具備し、
前記外部制御器または前記自動電圧調整器は、
前記発電機の無効電力の第1ハンチング、前記発電機の有効電力の第2ハンチング、および、前記発電機の前記出力電圧の第3ハンチングの少なくとも1つについて、ハンチングの有無を判定し、
前記外部制御器または前記自動電圧調整器によって前記ハンチングが有ると判定されることに応じて、前記外部制御器または前記自動電圧調整器は、前記第2演算器に、特性変更信号を送信し、
前記第2演算器は、前記特性変更信号に基づいて、前記横流補償器から受け取る前記電圧垂下信号を増幅補正または減衰補正する
請求項1に記載の発電システム。
【請求項3】
前記外部制御器または前記自動電圧調整器は、前記発電機の前記無効電力の前記第1ハンチングの有無、および、前記発電機の前記出力電圧の前記第3ハンチングの有無を判定し、
自動無効電力調整制御時に、前記外部制御器または前記自動電圧調整器によって、前記第1ハンチングおよび前記第3ハンチングが有ると判定されることに応じて、前記第2演算器は、前記横流補償器から受け取る前記電圧垂下信号を増幅補正する
請求項2に記載の発電システム。
【請求項4】
前記外部制御器または前記自動電圧調整器は、前記発電機の前記無効電力の前記第1ハンチングの有無、および、前記発電機の前記有効電力の前記第2ハンチングの有無を判定し、
発電機力率一定制御時に、前記外部制御器または前記自動電圧調整器によって、前記第1ハンチングおよび前記第2ハンチングが有ると判定されることに応じて、前記第2演算器は、前記横流補償器から受け取る前記電圧垂下信号を減衰補正する
請求項2または3に記載の発電システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の実施形態における発電システムは、商用電力系統と連系して電力を供給可能な発電機と、前記発電機の出力電圧を調整する自動電圧調整器とを具備し、前記自動電圧調整器は、前記出力電圧の目標値に対応する電圧指令信号を出力する電圧指令信号発生器と、外部からの出力電圧増減信号に応じて電圧設定信号を出力する電圧設定器と、前記電圧指令信号と前記電圧設定信号とを加算する加算器と、前記発電機の前記出力電圧を検出する電圧検出器と、前記発電機の出力電流の位相の遅れ方向を正、進み方向を負とした時の前記発電機の出力電力の力率に比例した電圧垂下信号を出力する横流補償器と、前記加算器の出力信号から前記電圧検出器の出力信号および前記電圧垂下信号を減じ、制御偏差信号を出力する減算器と、前記制御偏差信号に基づいて演算を行い、前記発電機の界磁巻線に印加される界磁電圧を操作する界磁電圧操作信号を出力する第1演算器と、前記発電機の運転中に、前記横流補償器から前記電圧垂下信号を受け取り、前記電圧垂下信号を増幅補正または減衰補正し、増幅補正または減衰補正された前記電圧垂下信号を、前記減算器に送る第2演算器とを備えることを特徴とする。