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特開2023-75618スラリの脱水乾燥システム及び脱水乾燥方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075618
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】スラリの脱水乾燥システム及び脱水乾燥方法
(51)【国際特許分類】
F26B 17/10 20060101AFI20230524BHJP
C02F 11/127 20190101ALI20230524BHJP
C02F 11/13 20190101ALI20230524BHJP
【FI】
F26B17/10 A
C02F11/127 ZAB
C02F11/13
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188630
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000165273
【氏名又は名称】月島ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 健司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 澄人
(72)【発明者】
【氏名】栗田 新平
(72)【発明者】
【氏名】大木 雄輔
【テーマコード(参考)】
3L113
4D059
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB04
3L113AC05
3L113AC45
3L113AC46
3L113AC48
3L113AC54
3L113AC67
3L113BA36
3L113DA10
3L113DA22
4D059AA30
4D059BD05
4D059BE19
4D059EB20
(57)【要約】
【課題】本発明は、設備が簡略化され、機器への分離固形分の付着などを防止するとともに、乾燥効率の向上化が図られたスラリの脱水乾燥システム及び脱水乾燥方法を提供する。
【解決手段】この課題は、スラリを脱水して脱水ケーキを得る脱水手段1と、当該脱水ケーキを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥手段100と、先端が前記乾燥手段100に接続されるとともに、内部を加熱ガスが流れる管T3とを有し、前記加熱ガスが、前記脱水手段1から排出された前記脱水ケーキの合流を受けて前記乾燥手段100に供給されるものであり、排出された前記脱水ケーキが5~35m/秒で流れる前記加熱ガスに合流するものである、ことを特徴とするスラリの脱水乾燥システム及び脱水乾燥方法によって解決される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラリを脱水して脱水ケーキを得る脱水手段と、
前記脱水ケーキを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥手段と、
先端が前記乾燥手段に接続されるとともに、内部を加熱ガスが流れる管とを有し、
前記加熱ガスが、前記脱水手段から排出された前記脱水ケーキの合流を受けて前記乾燥手段に供給されるものであり、
排出された前記脱水ケーキが5~35m/秒で流れる前記加熱ガスに合流するものである、
ことを特徴とするスラリの脱水乾燥システム。
【請求項2】
排出された前記脱水ケーキが、所定の流れ方向で流れて前記加熱ガスと合流する合流部を有し、
前記合流部で、前記脱水ケーキは流れ方向が0°を超え、かつ90°以下の角度θで前記加熱ガスと合流するものである、
請求項1記載の脱水乾燥システム。
【請求項3】
前記管の先端が前記乾燥手段の供給部に接続されるものであり、
前記合流部から前記乾燥手段の供給部までの距離が0~2000mmである、
請求項2記載の脱水乾燥システム。
【請求項4】
前記脱水手段が遠心分離機を有し、
前記遠心分離機は、筒状のスクリーンを軸芯を中心に回転させて、当該スクリーン内のスラリを遠心濾過して水分を除去し、残分である脱水ケーキがスクリーンの回転に連動して所定の速さで旋回しつつ、分散して排出されるものであり、
排出された脱水ケーキが分散したまま前記加熱ガスに合流する、
請求項1記載の脱水乾燥システム。
【請求項5】
前記乾燥手段が、旋回流式乾燥機である、
請求項1記載の脱水乾燥システム。
【請求項6】
前記乾燥手段は、
前記加熱ガスが通過する筒体を有し、当該筒体が湾曲されて流路が形成され、当該加熱ガスに含まれる脱水ケーキが当該流路を高速で流れて、乾燥し、及び粉末となるものである、
請求項1に記載の脱水乾燥システム。
【請求項7】
前記管は、前記脱水ケーキが合流する合流部付近に、当該管の断面積を狭めた絞り部を有するものである、
請求項1記載の脱水乾燥システム。
【請求項8】
スラリを脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、
前記脱水ケーキを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と、
先端が前記乾燥工程に用いられる乾燥手段に接続されるとともに、内部を加熱ガスが流れる管とを有し、
前記加熱ガスが、前記脱水工程から排出された前記脱水ケーキの合流を受けて前記乾燥工程に供給されるものであり、
排出された前記脱水ケーキが5~35m/秒で流れる前記加熱ガスに合流するものである、
ことを特徴とするスラリの脱水乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラリの脱水乾燥システム及び脱水乾燥方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学工業及び食品工業等の産業において、事業者はできるだけ簡便かつ安価な製造を行うことにより環境負荷を低減することが、産業活動の一環として重要な責務である。これらの産業では製造過程で発生するスラリの脱水乾燥システムが広く利用されている。発生するスラリとしては、ポリ塩化ビニル、エンジニアリングプラスチック(例えばABS樹脂、MBS樹脂)、セルロース、硫酸アンモニウム、塩安、芒硝等を例示できる。スラリの処分手法としては、例えばスラリを固液分離し、分離された固形分を乾燥させて含水量を減らすなどの手法が採られる。
【0003】
スラリを固液分離する技術としては特許文献4の遠心分離機を例示でき、乾燥する技術としては特許文献1、2、3の乾燥機を例示できる。スラリは遠心分離機によって固形分が分離されるが、分離された固形分は、乾燥機に供給されるまでの間、ホッパー等に貯留された状態になる。そして、貯留分の一部が切り出されて乾燥機に供給され、乾燥物となる。
【0004】
ここで、問題となってくるのがホッパー等による貯留操作である。分離固形分をホッパー等に堆積させて貯留しておくと、次第に分離固形分が自重により圧密を受けて、凝集化してしまう。凝集化した分離固形分はその状態で乾燥機に供給されると、解れなかったり、乾燥に時間がかかり乾燥効率が低下したりして、乾燥機の摩耗を早め、乾燥機の稼働電力を増大させる等の弊害をもたらす。
【0005】
この弊害を回避する手法としては、例えば凝集化した分離固形分を分散機を用いて分散化させ、その状態で乾燥機に供給する手法を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-304445号公報
【特許文献2】特開2010-266179号公報
【特許文献3】特公平8-27132号公報
【特許文献4】特開2006-61859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、分散機による分離固形分の分散化は、その後の乾燥機による処理を行い易くするという点では評価できるものの、分散機を用いることにより生ずる弊害もある。例えば分散機による分散処理を行うことでスラリが最終処分されるまでに長時間を要することや、一連の稼働設備を停止させて分散機のメンテナンスを行うこと等が弊害として挙げられる。また、分離固形分は凝集性や付着性があるので、ホッパーや分散機、搬送機等への付着や閉塞を発生させ、設備の運転に支障をきたすおそれがある。本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、設備が簡略化され、機器への分離固形分の付着などを防止するとともに、乾燥効率の向上化が図られたスラリの脱水乾燥システム及び脱水乾燥方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、次記に示す態様により解決される。
(第1の態様)
スラリを脱水して脱水ケーキを得る脱水手段と、
前記脱水ケーキを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥手段と
先端が前記乾燥手段に接続されるとともに、内部を加熱ガスが流れる管とを有し、
前記加熱ガスが、前記脱水手段から排出された前記脱水ケーキの合流を受けて前記乾燥手段に供給されるものであり、
排出された前記脱水ケーキが5~35m/秒で流れる前記加熱ガスに合流するものである、
ことを特徴とするスラリの脱水乾燥システム。
【0009】
(第2の態様)
排出された前記脱水ケーキが、所定の流れ方向で流れて前記加熱ガスと合流する合流部を有し、
前記合流部で、前記脱水ケーキは流れ方向が0°を超え、かつ90°以下の角度θで前記加熱ガスと合流するものである、
第1の態様の脱水乾燥システム。
【0010】
(第3の態様)
前記管の先端が前記乾燥手段の供給部に接続されるものであり、
前記合流部から前記乾燥手段の供給部までの距離が0~2000mmである、
第2の態様の脱水乾燥システム。
【0011】
(第4の態様)
前記脱水手段が遠心分離機を有し、
前記遠心分離機は、筒状のスクリーンを軸芯を中心に回転させて、当該スクリーン内のスラリを遠心濾過して水分を除去し、残分である脱水ケーキがスクリーンの回転に連動して所定の速さで旋回しつつ、分散して排出されるものであり、
排出された脱水ケーキが分散したまま前記加熱ガスに合流する、
第1の態様の脱水乾燥システム。
【0012】
(第5の態様)
前記乾燥手段が、旋回流式乾燥機である、
第1の態様の脱水乾燥システム。
【0013】
(第6の態様)
前記乾燥手段は、
前記加熱ガスが通過する筒体を有し、当該筒体が湾曲されて流路が形成され、当該加熱ガスに含まれる脱水ケーキが当該流路を高速で流れて、乾燥し、及び粉末となるものである、
第1の態様の脱水乾燥システム。
【0014】
(第7の態様)
前記管は、前記脱水ケーキが合流する合流部付近に、当該管の断面積を狭めた絞り部を有するものである、
第1の態様の脱水乾燥システム。
【0015】
(第8の態様)
スラリを脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、
前記脱水ケーキを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と、
先端が前記乾燥工程に用いられる乾燥手段に接続されるとともに、内部を加熱ガスが流れる管とを有し、
前記加熱ガスが、前記脱水工程から排出された前記脱水ケーキの合流を受けて前記乾燥工程に供給されるものであり、
排出された前記脱水ケーキが5~35m/秒で流れる前記加熱ガスに合流するものである、
ことを特徴とするスラリの脱水乾燥方法。
【0016】
脱水ケーキが上記速さで加熱ガスに合流すると、加熱ガスの流れの中で脱水ケーキが破砕し分散化されて相対的に小さい粒子群となる。この粒子群が乾燥手段に供給されることで、脱水ケーキが相対的に早く乾燥して粉末状になる。脱水ケーキが容易に乾燥され粉末状になるので、脱水乾燥システム全体として乾燥効率の向上化が図られる。また、本態様は、従来の脱水乾燥システムで設けられていたマテリアルハンドリング機器を設けなくてよく、簡略化された脱水乾燥システム(脱水乾燥方法)となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、設備が簡略化され、機器への分離固形分の付着などを防止するとともに、乾燥効率の向上化が図られたスラリの脱水乾燥システム及び脱水乾燥方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図8】遠心分離機と加熱ガスの管の接合例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態を次記に説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
【0020】
本形態に係るスラリの脱水乾燥システムは、スラリを脱水して脱水ケーキを得る脱水手段1と、当該脱水ケーキを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥手段100と、先端が前記乾燥手段100に接続されるとともに、内部を加熱ガスが流れる管T3とを有し、前記加熱ガスが、前記脱水手段1から排出された前記脱水ケーキの合流を受けて前記乾燥手段100に供給されるものであり、排出された前記脱水ケーキは、5~35m/秒で流れる前記加熱ガスに合流するものである、ことを特徴とする。また、本形態に係るスラリの脱水乾燥方法は、スラリを脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、当該脱水ケーキを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と、先端が前記乾燥工程に用いられる乾燥手段に接続されるとともに、内部を加熱ガスが流れる管とを有し、前記加熱ガスが、前記脱水工程から排出された前記脱水ケーキの合流を受けて前記乾燥工程に供給されるものであり、排出された前記脱水ケーキは、5~35m/秒で流れる前記加熱ガスに合流するものである、ことを特徴とする。
【0021】
(脱水乾燥システム)
本形態の脱水乾燥システムの一例を
図6を参照しつつ説明する。脱水乾燥システムは、次に示す機器、すなわち給気フィルタ201、給気ファン202(特に押込みファンが望ましい)、ヒーター203、脱水手段1、乾燥手段100、サイクロン204、フィルター装置205、排気ファン206を主に有する。これら機器は、それぞれガスが通り抜ける構造となっており、ガスが機器内に供給される供給部とガスが機器外に排出される排出部を有するものとなっている。これらの機器を備える脱水乾燥システムは、管で接続されており、具体的には、給気フィルタ201と給気ファン202の供給部とを接続する管T1、給気ファン202の排出部とヒーター203の供給部を接続する管T2、ヒーター203の排出部と乾燥手段100の供給部を接続する管T3、乾燥手段100の排出部とサイクロン204の供給部を接続する管T4、サイクロン204のガス排出部とフィルター装置205の供給部を接続する管T5、フィルター装置205のガス排出部と排気ファン206の供給部を接続する管T6、基端が排気ファン206の排出部に接続され先端から排気ガスが系外に排出される管T7を有する。なお、本実施例では、給気フィルタ201および給気ファン202を有しているが、給気フィルタ201および給気ファン202を不要としてもよい。また、サイクロン204とフィルター装置205の両方を有していてもよいが、何れか一方のみ有することとしてもよい。
【0022】
ガスの流れについて説明すると、まず給気ファン202及び排気ファン206の起動により、給気フィルタ201に供給された外気ガスAは、管T1を通過してヒーター203に供給され、ヒーター203で50~400℃に加熱されて加熱ガスBとなる。ヒーター203の排出部から排出された加熱ガスBは、脱水手段1から排出された脱水ケーキの合流を受けつつ、乾燥手段100内に流れ込む。乾燥手段100により脱水ケーキは乾燥し、かつ粉末化して乾燥粉末となり、その一方で脱水ケーキに含まれる水分が気化して蒸発ガスとなる。乾燥粉末と蒸発ガスを含む加熱ガスCは、乾燥手段100の排出部から管T4に排出され、サイクロン204に供給される。サイクロン204では、加熱ガス中の乾燥粉末が分級されて固体排出部から乾燥品Dとして排出され、他方で残部ガスがガス排出部から管T5に排出されフィルター装置205に供給される。フィルター装置205では、残部ガスのうちフィルターを透過されなかったもの(主に微細な乾燥粉末や液化物)が固体排出部から排出され、フィルターを透過したガスがガス排出部から管T6に排出され、排気ファン206及び管T7を通過して系外に排気ガスEとして排出される。なお、フィルター装置205に備わるフィルター205aとしては、例えばろ布、特にバグフィルターを挙げることができる。
【0023】
(脱水手段)
本形態の脱水乾燥システムに係る脱水手段1を説明する。脱水手段1はスラリSを脱水して脱水ケーキにする手段である。脱水ケーキの含水率は脱水ケーキの材質により一概には定まらないが、例えば上限が60%、下限が5%であるとよい。当該含水率が、上限を超えると、十分な脱水がなされておらず、後工程である乾燥工程で処理に多くのエネルギーを消費するおそれがあり、他方、下限よりも低くするにはやはり多くのエネルギーを消費することになり、消費するエネルギーの割には見合う効果が得られず、乾燥工程で乾燥させることができるのだから、含水率を下限よりも低くする積極的なメリットはない。脱水手段1は、上記範囲以内に脱水できるのであれば特に限定されることはないが、例えば押出型遠心分離機やデカンタ型遠心分離機を挙げることができる。
【0024】
押出型遠心分離機は、筒状のスクリーンを軸芯を中心に回転させて、当該スクリーン内のスラリを遠心濾過して水分を除去し、残分である脱水ケーキがスクリーンの回転に連動して所定の速さで旋回しつつ、分散して排出されるものである。排出された脱水ケーキが分散したまま前記加熱ガスに合流するよう構成されている。当該遠心分離機を次に詳述する。脱水手段1である遠心分離機には、装置の前部に円筒形ケーシングが対地固定され、このケーシング内に、外円筒バスケット11と、同軸に内円筒バスケット12が配設されている。これら各バスケット11、12の内面には、外スクリーン11A及び内スクリーン12Aがボルトなどの固定手段により固定されている。
【0025】
外円筒バスケット11は主軸30の先端にボルト固定された保持板11Bに一体化して固定されており、主軸30はモータの出力がプーリー33に伝達されることにより回転して、外円筒バスケット11及び外スクリーン11Aが周方向に回転する。
【0026】
図1,2に示すように、ケーシングの側面には、濾液出口6が形成されており、外円筒バスケット11及び内円筒バスケット12の回転による遠心分離によって濾過された濾液や洗浄液の一部が、この濾液出口6から排出される。
【0027】
ケーシングの前方の側面下部には、濾過された脱水ケーキが排出される排出シュート8が形成されている。ここから排出された脱水ケーキは、管T3に流れ込み、次工程である乾燥工程の乾燥手段内に加熱ガスBに含まれた状態で供給される。排出シュート8の側面には、ダンパーを開閉自在とするダンパー装置9が取付けられており、残留ケーキが排出されるケーキ排出部10がケーシングの前方の下部に形成されている。
【0028】
主軸30内には、押出し軸31が遊びをもって差し込んではめられており、その後方端には前後移動可能なピストン32と一体化されている。押出し軸31の先端には、保持板12Bがボルト固定され、この保持板12Bに内円筒バスケット12がボルトにより一体化されている。
【0029】
内円筒バスケット12内には、スラリ供給管2より供給されたスラリSを散らす板として機能するディストリビューター板13が配置されている。ディストリビューター板13は、外円筒バスケット11を保持する保持板11Bに、保持板12Bを遊びをもって貫通する複数本の支持アーム11Cを介して固定されている。
【0030】
蒸留水等の洗浄液を供給する第1の洗浄液供給管14及び第2の洗浄液供給管15がケーシングに前方から内設されている。第1の洗浄液供給管14には、複数の洗浄ノズル14A,14A,・・・が取付けられており、ケーシングの上方から外円筒バスケット11及び内円筒バスケット12(外スクリーン11A及び内スクリーン12Aを含む)に向けて洗浄液を噴射するよう構成されている。同様に、第2の洗浄液供給管15には、複数の洗浄ノズル15A,15A,・・・が取付けられており、ケーシングの下方から外円筒バスケット11及び内円筒バスケット12(外スクリーン11A及び内スクリーン12Aを含む)、ケーキ受けリング16に向けて洗浄液を噴射するようになっている。
【0031】
洗浄液は、ケーキ洗浄や機内洗浄の際に噴射されるものである。ケーキ洗浄においては、最終的に、噴射された洗浄液等を濾液出口6から排出する場合もあれば、排出しない場合もある。また、機内洗浄については、遠心分離の連続運転の合間に行われ、外スクリーン11A及び内スクリーン12A等の目詰まりを解消すると共に、残留ケーキを洗い流す等のために行なわれ、洗浄液及び残留ケーキがケーキ排出部10から排出される。
【0032】
排出シュート8は、濾過された脱水ケーキを、管T3に搬送するために設けられる管である。排出シュート8の上端には、略中央部に開口を有する板状部材8Aが取付けられていると共に、板状部材8Aの上面には、ケーキ入口を形成する略円筒状の口元管8Bが連結されている。この口元管8Bは、板状部材8Aの開口に中空部分が重なるように配置されている。そして、口元管8Bの上端には、後述する排出切替機構としてのダンパー装置9のダンパー9Dが摺動自在に当接されている。
【0033】
スラリSはスラリ供給管2からディストリビューター板13に向けて供給される。このとき、主軸30の回転により外円筒バスケット11及び外スクリーン11Aが回転するとともに、支持アーム11Cが保持板12Bを貫通しているので、内円筒バスケット12及び内スクリーン12Aも同一方向に回転させられる。
【0034】
この回転動作と同時に、ピストン32により押出し軸31が前後運動する。例えば、後退位置にある内円筒バスケット12が前進すると、その前方端部の押出し部12Cが外スクリーン11Aの内周面に摺動し、外スクリーン11Aに堆積しているケーキを前方に押出し、先端部からケーキ受けリング16内に排出する。
【0035】
排出が終了した内円筒バスケット12は、図示の元の位置に後退する。内円筒バスケット12は連続的にスラリの供給を受けながら、その内面の内スクリーン12Aにおいて固液分離を行うとともに、一部のスラリが外スクリーン11Aへ移行し、外スクリーン11Aにおいても、固液分離がなされる。各スクリーン11A、12Aでの濾液は、各バスケット11、12の透孔を通って、濾液出口6から排出されるように構成されている。
【0036】
なお、本実施の形態では、外円筒バスケット及びこれと同軸に配設された内円筒バスケットを有する多段(2段)式の押出型遠心分離機に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1段の円筒バスケットのみの単段式の押出型遠心分離機でもよい。
【0037】
本発明に係るダンパー装置及びこれが配設されたケーキ受けリングについて説明する。
図1に示すように、ケーキ受けリング16は、外スクリーン11A上に堆積したケーキのうち、前方へ移動した分を受けとめるために外円筒バスケット11の先端側に位置している。このケーキ受けリング16は、構造的に外円筒バスケット11と分離されており、ケーキ受けリングブラケット16Aを介してケーシングの内側面に固定されているため、外円筒バスケット11が回転してもケーキ受けリング16自体は回転しない。ケーキ受けリング16の形状は、断面略半割円筒の部材をリング状に形成したもので、そのリンク形状の一部にケーキ受けリング16に接するように円筒状の排出管16Bが配されている。外円筒バスケット11の回転により力を受けた脱水ケーキが、このケーキ受けリング16の、断面略半割円筒の部材内をリング状に旋回して移動する。この時、旋回による遠心力の作用により脱水ケーキが塊状から大小にばらつきのある粒子状に分散されつつ、定量的に、ケーキ出口としての排出管16Bから排出される機構となっている。脱水ケーキは、ケーキ受けリング16と排出管16Bとの接合点において、ケーキ受けリング16の接線方向に所定の速さのまま進み、排出管16Bに、当該速さを維持したまま排出され、排出シュート8を通って管T3に合流する。なお、ケーキ受けリング16の形状は、断面略半割円筒に限定されるものではなく、半割角筒でもよい。
【0038】
排出切替機構としてのダンパー装置9は、ケーキ出口としての排出管16Bの下方、かつケーキ入口としての排出シュート8の上方に位置しており、ダンパーが左右に移動することにより、排出シュート8への排出を制御している。
【0039】
ダンパー装置9は、エアシリンダー9Aと、該エアシリンダー9A内に設けられたピストン部材9Bに連結されたロッド9Cと、該ロッド9Cに連結されたダンパー9Dと、を備えている。ここで、エア供給管(図示せず)から供給された圧縮エアは、ピストン部材9Bを挟んでエアシリンダー9Aの両端にそれぞれ設けられた第1のポート93、第2のポート94を介して、選択的に、エアシリンダー9A内に充填される。そして、第1のポート93、第2のポート94に対して選択的に圧縮エアを供することにより、ピストン部材9Bを左右に移動させ、ダンパー9Dを左右に移動させるようになっている。
【0040】
ダンパー9Dは、ケーキ入口としての口元管8Bを覆う覆部91と、口元管8Bと連通する開口部92と、を備えている。具体的には、圧縮エアが第1のポート93を介してエアシリンダー9A内に供給されている状態では、
図2に示すように、ダンパー9Dの開口部92が口元管8Bの上方に位置するようになっている。それに対し、
図3に示すように、圧縮エアが第2のポート94を介してエアシリンダー9A内に供給されている状態では、ダンパー9Dの覆部91が口元管8Bを覆うように構成されている。
【0041】
したがって、遠心分離工程の際には、圧縮エアを第1のポート93を介してエアシリンダー9A内に供給し、ダンパー9Dの開口部92を口元管8Bの上方に位置させることによって、ケーキを排出シュート8から排出させることができ、機内洗浄工程の際には、圧縮エアを第2のポート94を介してエアシリンダー9A内に供給し、ダンパー9Dの覆部91で口元管8Bを覆うことによって、洗浄液及び残留ケーキを排出シュート8への流出を防止することができる。
【0042】
このため、ダンパーの開閉制御を行なうだけで、機内洗浄工程の際の、洗浄液及び残留ケーキの排出シュート8への流出を防止することができるため、大掛かりな排出切替装置を別途設置する必要がなくなる。また、機内洗浄工程の際の、洗浄液及び残留ケーキが排出シュート8内に流出しないので、例えば、次工程である乾燥機設備等に直結したとしても、ドライヤー等の負荷が上がることはないため、乾燥機やリパルプタンクに直結が可能となり、付帯設備が削減できる。
【0043】
なお、本実施の形態では、圧縮エアを第1のポート93を介してエアシリンダー9A内に供給する状態で開口部92が口元管8Bの上方に位置し、圧縮エアを第2のポート94を介してエアシリンダー9A内に供給する状態で覆部91が口元管8Bを覆う構成となっているが、この構成に限定されるものではない。すなわち、よりピストン部材9Bから離れた位置(
図2で左側)に開口部92を設け、よりピストン部材9BCに近い部分(
図2で右側)に覆部91を設け、圧縮エアを第2のポート94を介してエアシリンダー9A内に供給する状態で開口部92が口元管8Bの上方に位置し、圧縮エアを第1のポート93を介してエアシリンダー9A内に供給する状態で覆部91が口元管8Bを覆う構成をとってもよい。
【0044】
ダンパー9Dの覆部91により排出シュート8への流出を拒まれた機内洗浄工程の際の洗浄液及び残留ケーキは、
図3に示すように、覆部91の上面から板状部材8Aの上面を介して、ケーキ排出部10へ排出される。
【0045】
(乾燥手段)
本形態の脱水乾燥システムに係る乾燥手段100を説明する。乾燥手段100は、脱水ケーキを含む加熱ガスの供給を受けて、脱水ケーキを乾燥して、乾燥粉末と蒸発ガスとし、これらを含む加熱ガスを排出するものである。乾燥手段100は、例えば加熱ガスが通過する筒体を有し、当該筒体が湾曲されて流路が形成されたものや、垂直方向または水平方向に直線的な流路が形成されたものを用い、当該加熱ガスに含まれる脱水ケーキが当該流路を高速で流れて、乾燥し、及び粉末となるものを挙げることができる。なお、脱水ケーキは、遠心分離機の排出管16B、排出シュート8及びそれに続く管T3を流れながら、大小様々な粒径の脱水ケーキ群(粒子群ともいう。)に分散されて、乾燥手段100に供給される。
【0046】
乾燥手段100としては上記の他にも旋回流式乾燥機を用いて乾燥手段100とすることもできる。旋回流式乾燥機は、旋回流に伴って旋回する加熱ガスに含まれる脱水ケーキ群のうち、粒子径の大きいものは遠心力の作用で内壁面に押付けられ、粒子径の小さいものは、内壁面から離れて運動する傾向があることを利用するものである。旋回中の脱水ケーキ群は、常に加熱ガスの旋回流の流れの中で方向が変えられるという構造によって、非常に激しい内壁面との衝突及び流れの中で運動を続ける。この運動により、径の大きい粒子の滞在時間を長くでき、粒子径の大小のバラツキにかかわらず、実質均一に乾燥させることができる。
【0047】
当該旋回流式乾燥機にあっては、脱水ケーキと加熱ガスが混合されて、筒体内にその接線方向から供給され、渦巻状の流路に沿って旋回して筒体の外周側から中心方向に向けて流動し中心部101dから排出される。この際、大粒径の脱水ケーキは主として壁面(ガイド板)に沿って、即ち遠心力によって流路の外側の壁面に沿って流れ、かつ小粒径の脱水ケーキは、加熱ガスの流れに乗って無差別に流動する。そして、これらの脱水ケーキ群は加熱ガスと激しく混合されて、加熱ガスによって加熱(直接加熱)されて乾燥される。また、ガイド板に形成した再循環口120の開閉を循環調節板104によって調節し、大粒径の脱水ケーキの流路長を長くして、大粒径の脱水ケーキの滞在時間を長くすることにより、大粒径の脱水ケーキを十分に乾燥させるとともに、小粒径の脱水ケーキの過乾燥を防いで、実質均一な乾燥を行なう。
【0048】
本実施形態の旋回流式乾燥機は、筒体101a内をその軸線に沿ってガイド板101b,101cによって仕切り、ガイド板101b,101cに脱水ケーキ群を再循環させる再循環口120を形成して、当該再循環口120を開閉する循環調節板104をガイド板101b,101cに設け、かつガイド板101b,101cと循環調節板104とによって、筒体内に、その外周側から中心方向に向けて渦巻状の流路を形成したものである。
【0049】
旋回流式乾燥機の具体的な実施形態を、
図3,4,5,7を参照しつつ次に説明する。
図3,4は横断面図、
図7は縦断面図、
図5は斜視図である。これらの図において、筒体101aは、供給筒102に連結され、この筒体101aの両側には、一対の側板110,111が取付けられている。そして、筒体101aの内部には、渦巻状のガイド板101b,101cがそれぞれ設けられており、上記筒体101a及びガイド板101b,101cにはそれぞれ所定間隔、離間して再循環口120が設けられている。そして、上記筒体101a及びガイド板101bの内側の端部には、それぞれ各再循環口120の開度を調節する循環調節板104が回動自在に取付けられている。さらに、一方の側板111の中央には、筒体101aの中央から連通した流出筒101eが突設されており、この流出筒101eには排出筒103が連結されている。
【0050】
旋回流式乾燥機の使用にあっては、脱水ケーキと加熱ガスとが混合されて供給筒102の供給部102aから筒体101a内に供給されると、この脱水ケーキと加熱ガスとは激しく混合されながら、筒体101a及び両ガイド板101b,101cで構成された渦巻状の流路113を通って筒体101aの外周側から中心方向に旋回流を生じ、流出筒101e、排出筒103及び排出部103aを介して外部に排出される。また、循環調節板104を回動して再循環口120を適当に開くことにより、筒体101a及び各ガイド板101b,101cの壁面のうち、流路113の外側の壁面に沿って移動している大粒径の脱水ケーキは、再循環口120から外側の流路113に戻り、従って、大粒径の脱水ケーキの乾燥機内の滞在時間を延長でき、乾燥時間を延長できる。
【0051】
(合流)
脱水手段1から、分散して排出された脱水ケーキは、5~35m/秒の速さで管T3を流れる加熱ガスと合流する。特に脱水手段1にスラリが連続で供給され、脱水手段1が連続で運転されている間は、脱水ケーキが定量的に脱水手段1から排出されて加熱ガスに合流する。管T3内に高速で流れる加熱ガスに脱水ケーキを合流させることで、合流した脱水ケーキが加熱ガスの流れの中でさらに細かく砕ける。そこで、脱水ケーキが合流する合流部T3aから乾燥機の供給部102aまでの距離Lを0~2000mm、より好ましくは0~1000mm設けておくことで、脱水ケーキがより解砕されて乾燥手段100に供給されるので、乾燥手段100での脱水ケーキの乾燥が容易になされ好ましい。当該距離Lが2000mmを超えると、設備全体が大きくなってしまい多くのスペースを必要としてしまう。
【0052】
加熱ガスは管T3の合流部T3aにおいて流速が好ましくは5~35m/秒、より好ましくは10~20m/秒で流れていると、合流した脱水ケーキが管内に滞留せずに加熱ガスと共にスムーズに流れて、後段の乾燥手段100に供給される。当該流速が5m/秒未満だと脱水ケーキがスムーズに流れず滞留を起こし、管内を閉塞させるおそれがある。当該流量が35m/秒を超えると、加熱ガスを送るための動力を必要以上に消費することとなり、また、乾燥手段100に風圧がかかり過ぎてしまい、圧力損失が大きくなるおそれがある。
【0053】
管T3の変形例として、脱水ケーキが合流する合流部付近に、当該管の断面積を狭めた絞り部T3bを設けた管を挙げることができる。絞り部T3bは、管T3の断面積のよりも狭まっていれば、特に限定されないが、例えば、脱水ケーキが合流する合流部付近に、断面積が当該管の断面積の30~80%となるものであると好ましい。このような形態にすると、合流部T3aにおいて加熱ガスの流速が高まり、脱水ケーキが運ばれやすくなるとともに、脱水ケーキの加熱ガス中での分散効果が高まる。ここで、合流部付近とは、例えば管T3において合流部から上流側1000mmから下流側1000mmまでの間とすることができる。絞り部T3bは、例えば、
図8に示すように管T3に対して排出シュート8を挿入した形状として管T3の断面積を狭めたり、管T3のうちの合流部付近を相対的に細い管として形成してもよいし、合流部付近に管の断面積を調節できるダンパ、弁等を取り付けて形成してもよい。
【0054】
合流部T3aで、脱水ケーキは流れ方向が0°を超え、かつ90°以下の角度θ、より好ましくは0°を超え、かつ75°以下の角度θ、で加熱ガスと合流する形態がよい。
図8を参照しつつ説明すると、排出シュート8の先端は、管T3に接続されて合流部T3aを形成している。排出シュート8を流れる脱水ケーキは、排出シュート8内を排出シュート8の軸芯方向に沿って流れ、すなわち脱水ケーキが流れ方向Fに流れ、管T3を流れる加熱ガスの流れ方向と上記角度θで合流する形態であれば、脱水ケーキがその流れの勢いを減殺されることなく、加熱ガスと合流できるので好ましい。また、脱水ケーキが分散されて流動した状態で加熱ガスに合流するので、加熱ガスによる気流搬送に乗りやすく、搬送路への付着が生じにくいという効果がある。なお、角度θについては、合流部において加熱ガスの流れ方向の上流方向を0°、下流方向を180°とする。
【0055】
脱水手段から排出される脱水ケーキは脱水処理されてはいるものの水分を少なからず含んでいる。そのため、脱水ケーキが機器に付着したり、機器の閉塞をもたらすことがある。従来のスラリの脱水乾燥システムでは、脱水手段で脱水された脱水ケーキを一旦ホッパーに受けて貯留し、後工程の処理能力に合わせて、所定量の脱水ケーキをホッパーから切り出して、後工程に供給する手法が採られていた。そうすると、脱水手段において分散されて排出された脱水ケーキが、ホッパーに貯留されるので凝集化してしまう懸念があった。凝集化された脱水ケーキは、定量切り出しが困難となるばかりか、搬送流路に付着して閉塞をもたらしたり、後工程の乾燥手段において乾燥効率を悪化させたりする等の弊害をもたらすことがあった。また、凝集化された脱水ケーキを再度分散させるために、分散機をホッパー貯留後の工程に設ける等の工夫もみられるが、そうすると、全体として脱水乾燥システムが煩雑になり、一連の処理に多くの時間と経費をかけてしまう結果となってしまう。
【0056】
他方、本実施形態の脱水乾燥システムであれば、ホッパーや分散機等のマテリアルハンドリング機器を介することなく、脱水工程後の脱水ケーキを直接加熱ガスに合流して乾燥工程に搬送する形態となっているので、脱水ケーキが当該機器に付着したり、閉塞させたりすることはない。さらには、一連の処理に係る時間を短縮できるメリットもある。
【0057】
また、脱水工程から排出される脱水ケーキは、分散された状態で排出されて、加熱ガスに合流するので、加熱ガスの風圧で更に分散化が進むことになる。これは、次工程の乾燥工程において大きなメリットとなる。具体的には、分散化が予めなされた脱水ケーキ群が乾燥工程に供給されると、既に分散化が進行しているので乾燥工程に長時間滞留させる必要がないし、相対的に短時間で乾燥が完了する。すなわち、乾燥工程での乾燥効率が改善されるという効果を奏する。
【0058】
この点、従来の脱水乾燥システムであれば、マテリアルハンドリング機器を介するので、脱水工程から排出された脱水ケーキがホッパーによる堆積作用で凝集化してしまい、凝集化した脱水ケーキを分散機によって分散させたとしても、本実施形態の脱水ケーキほどの流動性がないので、加熱ガスで搬送されるときに脱水ケーキの更なる分散化が発生し難く、相対的に大径の粒体のまま乾燥工程に供給されることとなる。そうすると、大径の粒体を乾燥粉体になるまでにある程度の時間をかけて乾燥工程で周回させる必要があるので、結果として乾燥効率が本実施形態のものほど優れたものにはならない。
【実施例0059】
本実施形態の脱水乾燥システムを用いて、スラリをサンプルとして脱水処理及び乾燥処理させて乾燥粉体を得る際の、乾燥手段における熱容量係数(kcal/m3h℃)を算出した。熱容量係数は、容積(乾燥手段と管5、サイクロン上部の各々の容積の合計)、熱交換量、温度差(乾燥手段供給口とサイクロン上部各々におけるサンプルの温度)、に基づき算出した。脱水手段としては月島機械株式会社製押出型遠心分離機、乾燥手段としては月島機械株式会社製クリーンフラッシュ(登録商標)ドライヤCFD-50をそれぞれ使用した。乾燥手段については供給口における加熱ガスの流速を15m/sとし、循環調節板の開度を50%とした。
【0060】
実施例1では、スラリを、供給量を15.6kg-WS/h(=5kg-DS/h相当量)として脱水乾燥システムの脱水手段に投入した。スラリは、脱水手段で脱水されて脱水ケーキとして管に排出され、加熱ガスによって搬送され、乾燥手段に供給されて乾燥粉末として排出され、サイクロンに供給されて分級処理された。実施例1は4回にわたり実施され、結果、熱容量係数が1700~2000kcal/m3h℃となった。運転終了後、乾燥手段へケーキおよび加熱ガスを供給する管および乾燥手段の内部にケーキの付着は見られなかった。
【0061】
比較例1では、脱水手段を用いず、脱水ケーキを直接乾燥手段の供給口から乾燥手段に投入した。乾燥手段に供給された脱水ケーキの量は、5kg-DS/h(実施例1で用いたスラリの固形分相当量である。)であった。脱水ケーキは、乾燥手段に供給されて乾燥粉末として排出され、サイクロンに供給されて分級処理された。比較例1は4回にわたり実施され、結果、熱容量係数が1000~1400kcal/m3h℃となった。運転終了後、乾燥手段へケーキおよび加熱ガスを供給する管および乾燥手段の内部にケーキの付着が見られた。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明のスラリの脱水乾燥システム及び脱水乾燥方法は、簡略化され、乾燥効率の向上化が図られたものとして提供できる。
【符号の説明】
【0063】
1 脱水手段
2 スラリー供給管
6 濾液出口
8 排出シュート
8A 板状部材
8B 口元管
9 ダンパー装置
9A エアシリンダー
9B ピストン部材
9C ロッド
9D ダンパー
10 洗浄液出口
11 外円筒バスケット
11A 外スクリーン
11B 保持板
11C 支持アーム
12 内円筒バスケット
12A 内スクリーン
12B 保持板
12C 押出し部
13 ディストリビューター板
14 第1の洗浄液供給管
14A 洗浄ノズル
15 第2の洗浄液供給管
15A 洗浄ノズル
16 ケーキ受けリング
16A ケーキ受けリングブラケット
16B 排出管
19 ダンパー装置
19A エアシリンダー
19B ピストン部材
19C ロッド
19D ダンパー
30 主軸
31 押出し軸
32 ピストン
33 プーリー
91 覆部
92 開口部
93 第1のポート
94 第2のポート
100 乾燥手段
101a 筒体
101b ガイド板
101c ガイド板
120 再循環口
104 循環調節板
113 流路
201 給気フィルタ
202 給気ファン
203 ヒーター
204 サイクロン
205 フィルタ装置
206 排気ファン
S スラリ
T3 管
T3a 合流部
【手続補正書】
【提出日】2023-03-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スラリの脱水乾燥システム及び脱水乾燥方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化学工業及び食品工業等の産業において、事業者はできるだけ簡便かつ安価な製造を行うことにより環境負荷を低減することが、産業活動の一環として重要な責務である。これらの産業では製造過程で発生するスラリの脱水乾燥システムが広く利用されている。発生するスラリとしては、ポリ塩化ビニル、エンジニアリングプラスチック(例えばABS樹脂、MBS樹脂)、セルロース、硫酸アンモニウム、塩安、芒硝等を例示できる。スラリの処分手法としては、例えばスラリを固液分離し、分離された固形分を乾燥させて含水量を減らすなどの手法が採られる。
【0003】
スラリを固液分離する技術としては特許文献4の遠心分離機を例示でき、乾燥する技術としては特許文献1、2、3の乾燥機を例示できる。スラリは遠心分離機によって固形分が分離されるが、分離された固形分は、乾燥機に供給されるまでの間、ホッパー等に貯留された状態になる。そして、貯留分の一部が切り出されて乾燥機に供給され、乾燥物となる。
【0004】
ここで、問題となってくるのがホッパー等による貯留操作である。分離固形分をホッパー等に堆積させて貯留しておくと、次第に分離固形分が自重により圧密を受けて、凝集化してしまう。凝集化した分離固形分はその状態で乾燥機に供給されると、解れなかったり、乾燥に時間がかかり乾燥効率が低下したりして、乾燥機の摩耗を早め、乾燥機の稼働電力を増大させる等の弊害をもたらす。
【0005】
この弊害を回避する手法としては、例えば凝集化した分離固形分を分散機を用いて分散化させ、その状態で乾燥機に供給する手法を挙げることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000-304445号公報
【特許文献2】特開2010-266179号公報
【特許文献3】特公平8-27132号公報
【特許文献4】特開2006-61859号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、分散機による分離固形分の分散化は、その後の乾燥機による処理を行い易くするという点では評価できるものの、分散機を用いることにより生ずる弊害もある。例えば分散機による分散処理を行うことでスラリが最終処分されるまでに長時間を要することや、一連の稼働設備を停止させて分散機のメンテナンスを行うこと等が弊害として挙げられる。また、分離固形分は凝集性や付着性があるので、ホッパーや分散機、搬送機等への付着や閉塞を発生させ、設備の運転に支障をきたすおそれがある。本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、設備が簡略化され、機器への分離固形分の付着などを防止するとともに、乾燥効率の向上化が図られたスラリの脱水乾燥システム及び脱水乾燥方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、次記に示す態様により解決される。
(第1の態様)
スラリを脱水して脱水ケーキを得る脱水手段と、
前記脱水ケーキを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥手段と
先端が前記乾燥手段に接続されるとともに、内部を加熱ガスが流れる管とを有し、
前記加熱ガスが、前記脱水手段から排出された前記脱水ケーキの合流を受けて前記乾燥手段に供給されるものであり、
排出された前記脱水ケーキが5~35m/秒で流れる前記加熱ガスに合流するものである、
ことを特徴とするスラリの脱水乾燥システム。
【0009】
(第2の態様)
排出された前記脱水ケーキが、所定の流れ方向で流れて前記加熱ガスと合流する合流部を有し、
前記合流部で、前記脱水ケーキは流れ方向が0°を超え、かつ90°以下の角度θで前記加熱ガスと合流するものである、
第1の態様の脱水乾燥システム。
【0010】
(第3の態様)
前記管の先端が前記乾燥手段の供給部に接続されるものであり、
前記合流部から前記乾燥手段の供給部までの距離が0~2000mmである、
第2の態様の脱水乾燥システム。
【0011】
(第4の態様)
前記脱水手段が遠心分離機を有し、
前記遠心分離機は、筒状のスクリーンを軸芯を中心に回転させて、当該スクリーン内のスラリを遠心濾過して水分を除去し、残分である脱水ケーキがスクリーンの回転に連動して所定の速さで旋回しつつ、分散して排出されるものであり、
排出された脱水ケーキが分散したまま前記加熱ガスに合流する、
第1の態様の脱水乾燥システム。
【0012】
(第5の態様)
前記乾燥手段が、旋回流式乾燥機である、
第1の態様の脱水乾燥システム。
【0013】
(第6の態様)
前記乾燥手段は、
前記加熱ガスが通過する筒体を有し、当該筒体が湾曲されて流路が形成され、当該加熱ガスに含まれる脱水ケーキが当該流路を高速で流れて、乾燥し、及び粉末となるものである、
第1の態様の脱水乾燥システム。
【0014】
(第7の態様)
前記管は、前記脱水ケーキが合流する合流部付近に、当該管の断面積を狭めた絞り部を有するものである、
第1の態様の脱水乾燥システム。
【0015】
(第8の態様)
スラリを脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、
前記脱水ケーキを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と、
先端が前記乾燥工程に用いられる乾燥手段に接続されるとともに、内部を加熱ガスが流れる管とを有し、
前記加熱ガスが、前記脱水工程から排出された前記脱水ケーキの合流を受けて前記乾燥工程に供給されるものであり、
排出された前記脱水ケーキが5~35m/秒で流れる前記加熱ガスに合流するものである、
ことを特徴とするスラリの脱水乾燥方法。
【0016】
脱水ケーキが上記速さで加熱ガスに合流すると、加熱ガスの流れの中で脱水ケーキが破砕し分散化されて相対的に小さい粒子群となる。この粒子群が乾燥手段に供給されることで、脱水ケーキが相対的に早く乾燥して粉末状になる。脱水ケーキが容易に乾燥され粉末状になるので、脱水乾燥システム全体として乾燥効率の向上化が図られる。また、本態様は、従来の脱水乾燥システムで設けられていたマテリアルハンドリング機器を設けなくてよく、簡略化された脱水乾燥システム(脱水乾燥方法)となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、設備が簡略化され、機器への分離固形分の付着などを防止するとともに、乾燥効率の向上化が図られたスラリの脱水乾燥システム及び脱水乾燥方法となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図8】遠心分離機と加熱ガスの管の接合例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明を実施するための形態を次記に説明する。なお、本実施の形態は本発明の一例である。本発明の範囲は、本実施の形態の範囲に限定されない。
【0020】
本形態に係るスラリの脱水乾燥システムは、スラリを脱水して脱水ケーキを得る脱水手段1と、当該脱水ケーキを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥手段100と、先端が前記乾燥手段100に接続されるとともに、内部を加熱ガスが流れる管T3とを有し、前記加熱ガスが、前記脱水手段1から排出された前記脱水ケーキの合流を受けて前記乾燥手段100に供給されるものであり、排出された前記脱水ケーキは、5~35m/秒で流れる前記加熱ガスに合流するものである、ことを特徴とする。また、本形態に係るスラリの脱水乾燥方法は、スラリを脱水して脱水ケーキを得る脱水工程と、当該脱水ケーキを乾燥して乾燥粉末を得る乾燥工程と、先端が前記乾燥工程に用いられる乾燥手段に接続されるとともに、内部を加熱ガスが流れる管とを有し、前記加熱ガスが、前記脱水工程から排出された前記脱水ケーキの合流を受けて前記乾燥工程に供給されるものであり、排出された前記脱水ケーキは、5~35m/秒で流れる前記加熱ガスに合流するものである、ことを特徴とする。
【0021】
(脱水乾燥システム)
本形態の脱水乾燥システムの一例を
図6を参照しつつ説明する。脱水乾燥システムは、次に示す機器、すなわち給気フィルタ201、給気ファン202(特に押込みファンが望ましい)、ヒーター203、脱水手段1、乾燥手段100、サイクロン204、フィルター装置205、排気ファン206を主に有する。これら機器は、それぞれガスが通り抜ける構造となっており、ガスが機器内に供給される供給部とガスが機器外に排出される排出部を有するものとなっている。これらの機器を備える脱水乾燥システムは、管で接続されており、具体的には、給気フィルタ201と給気ファン202の供給部とを接続する管T1、給気ファン202の排出部とヒーター203の供給部を接続する管T2、ヒーター203の排出部と乾燥手段100の供給部を接続する管T3、乾燥手段100の排出部とサイクロン204の供給部を接続する管T4、サイクロン204のガス排出部とフィルター装置205の供給部を接続する管T5、フィルター装置205のガス排出部と排気ファン206の供給部を接続する管T6、基端が排気ファン206の排出部に接続され先端から排気ガスが系外に排出される管T7を有する。なお、本実施例では、給気フィルタ201および給気ファン202を有しているが、給気フィルタ201および給気ファン202を不要としてもよい。また、サイクロン204とフィルター装置205の両方を有していてもよいが、何れか一方のみ有することとしてもよい。
【0022】
ガスの流れについて説明すると、まず給気ファン202及び排気ファン206の起動により、給気フィルタ201に供給された外気ガスAは、管T1を通過してヒーター203に供給され、ヒーター203で50~400℃に加熱されて加熱ガスBとなる。ヒーター203の排出部から排出された加熱ガスBは、脱水手段1から排出された脱水ケーキの合流を受けつつ、乾燥手段100内に流れ込む。乾燥手段100により脱水ケーキは乾燥し、かつ粉末化して乾燥粉末となり、その一方で脱水ケーキに含まれる水分が気化して蒸発ガスとなる。乾燥粉末と蒸発ガスを含む加熱ガスCは、乾燥手段100の排出部から管T4に排出され、サイクロン204に供給される。サイクロン204では、加熱ガス中の乾燥粉末が分級されて固体排出部から乾燥品Dとして排出され、他方で残部ガスがガス排出部から管T5に排出されフィルター装置205に供給される。フィルター装置205では、残部ガスのうちフィルターを透過されなかったもの(主に微細な乾燥粉末や液化物)が固体排出部から排出され、フィルターを透過したガスがガス排出部から管T6に排出され、排気ファン206及び管T7を通過して系外に排気ガスEとして排出される。なお、フィルター装置205に備わるフィルター205aとしては、例えばろ布、特にバグフィルターを挙げることができる。
【0023】
(脱水手段)
本形態の脱水乾燥システムに係る脱水手段1を説明する。脱水手段1はスラリSを脱水して脱水ケーキにする手段である。脱水ケーキの含水率は脱水ケーキの材質により一概には定まらないが、例えば上限が60%、下限が5%であるとよい。当該含水率が、上限を超えると、十分な脱水がなされておらず、後工程である乾燥工程で処理に多くのエネルギーを消費するおそれがあり、他方、下限よりも低くするにはやはり多くのエネルギーを消費することになり、消費するエネルギーの割には見合う効果が得られず、乾燥工程で乾燥させることができるのだから、含水率を下限よりも低くする積極的なメリットはない。脱水手段1は、上記範囲以内に脱水できるのであれば特に限定されることはないが、例えば押出型遠心分離機やデカンタ型遠心分離機を挙げることができる。
【0024】
押出型遠心分離機は、筒状のスクリーンを軸芯を中心に回転させて、当該スクリーン内のスラリを遠心濾過して水分を除去し、残分である脱水ケーキがスクリーンの回転に連動して所定の速さで旋回しつつ、分散して排出されるものである。排出された脱水ケーキが分散したまま前記加熱ガスに合流するよう構成されている。当該遠心分離機を次に詳述する。脱水手段1である遠心分離機には、装置の前部に円筒形ケーシングが対地固定され、このケーシング内に、外円筒バスケット11と、同軸に内円筒バスケット12が配設されている。これら各バスケット11、12の内面には、外スクリーン11A及び内スクリーン12Aがボルトなどの固定手段により固定されている。
【0025】
外円筒バスケット11は主軸30の先端にボルト固定された保持板11Bに一体化して固定されており、主軸30はモータの出力がプーリー33に伝達されることにより回転して、外円筒バスケット11及び外スクリーン11Aが周方向に回転する。
【0026】
図1,2に示すように、ケーシングの側面には、濾液出口6が形成されており、外円筒バスケット11及び内円筒バスケット12の回転による遠心分離によって濾過された濾液や洗浄液の一部が、この濾液出口6から排出される。
【0027】
ケーシングの前方の側面下部には、濾過された脱水ケーキが排出される排出シュート8が形成されている。ここから排出された脱水ケーキは、管T3に流れ込み、次工程である乾燥工程の乾燥手段内に加熱ガスBに含まれた状態で供給される。排出シュート8の側面には、ダンパーを開閉自在とするダンパー装置9が取付けられており、残留ケーキが排出されるケーキ排出部10がケーシングの前方の下部に形成されている。
【0028】
主軸30内には、押出し軸31が遊びをもって差し込んではめられており、その後方端には前後移動可能なピストン32と一体化されている。押出し軸31の先端には、保持板12Bがボルト固定され、この保持板12Bに内円筒バスケット12がボルトにより一体化されている。
【0029】
内円筒バスケット12内には、スラリ供給管2より供給されたスラリSを散らす板として機能するディストリビューター板13が配置されている。ディストリビューター板13は、外円筒バスケット11を保持する保持板11Bに、保持板12Bを遊びをもって貫通する複数本の支持アーム11Cを介して固定されている。
【0030】
蒸留水等の洗浄液を供給する第1の洗浄液供給管14及び第2の洗浄液供給管15がケーシングに前方から内設されている。第1の洗浄液供給管14には、複数の洗浄ノズル14A,14A,・・・が取付けられており、ケーシングの上方から外円筒バスケット11及び内円筒バスケット12(外スクリーン11A及び内スクリーン12Aを含む)に向けて洗浄液を噴射するよう構成されている。同様に、第2の洗浄液供給管15には、複数の洗浄ノズル15A,15A,・・・が取付けられており、ケーシングの下方から外円筒バスケット11及び内円筒バスケット12(外スクリーン11A及び内スクリーン12Aを含む)、ケーキ受けリング16に向けて洗浄液を噴射するようになっている。
【0031】
洗浄液は、ケーキ洗浄や機内洗浄の際に噴射されるものである。ケーキ洗浄においては、最終的に、噴射された洗浄液等を濾液出口6から排出する場合もあれば、排出しない場合もある。また、機内洗浄については、遠心分離の連続運転の合間に行われ、外スクリーン11A及び内スクリーン12A等の目詰まりを解消すると共に、残留ケーキを洗い流す等のために行なわれ、洗浄液及び残留ケーキがケーキ排出部10から排出される。
【0032】
排出シュート8は、濾過された脱水ケーキを、管T3に搬送するために設けられる管である。排出シュート8の上端には、略中央部に開口を有する板状部材8Aが取付けられていると共に、板状部材8Aの上面には、ケーキ入口を形成する略円筒状の口元管8Bが連結されている。この口元管8Bは、板状部材8Aの開口に中空部分が重なるように配置されている。そして、口元管8Bの上端には、後述する排出切替機構としてのダンパー装置9のダンパー9Dが摺動自在に当接されている。
【0033】
スラリSはスラリ供給管2からディストリビューター板13に向けて供給される。このとき、主軸30の回転により外円筒バスケット11及び外スクリーン11Aが回転するとともに、支持アーム11Cが保持板12Bを貫通しているので、内円筒バスケット12及び内スクリーン12Aも同一方向に回転させられる。
【0034】
この回転動作と同時に、ピストン32により押出し軸31が前後運動する。例えば、後退位置にある内円筒バスケット12が前進すると、その前方端部の押出し部12Cが外スクリーン11Aの内周面に摺動し、外スクリーン11Aに堆積しているケーキを前方に押出し、先端部からケーキ受けリング16内に排出する。
【0035】
排出が終了した内円筒バスケット12は、図示の元の位置に後退する。内円筒バスケット12は連続的にスラリの供給を受けながら、その内面の内スクリーン12Aにおいて固液分離を行うとともに、一部のスラリが外スクリーン11Aへ移行し、外スクリーン11Aにおいても、固液分離がなされる。各スクリーン11A、12Aでの濾液は、各バスケット11、12の透孔を通って、濾液出口6から排出されるように構成されている。
【0036】
なお、本実施の形態では、外円筒バスケット及びこれと同軸に配設された内円筒バスケットを有する多段(2段)式の押出型遠心分離機に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、1段の円筒バスケットのみの単段式の押出型遠心分離機でもよい。
【0037】
本発明に係るダンパー装置及びこれが配設されたケーキ受けリングについて説明する。
図1に示すように、ケーキ受けリング16は、外スクリーン11A上に堆積したケーキのうち、前方へ移動した分を受けとめるために外円筒バスケット11の先端側に位置している。このケーキ受けリング16は、構造的に外円筒バスケット11と分離されており、ケーキ受けリングブラケット16Aを介してケーシングの内側面に固定されているため、外円筒バスケット11が回転してもケーキ受けリング16自体は回転しない。ケーキ受けリング16の形状は、断面略半割円筒の部材をリング状に形成したもので、そのリンク形状の一部にケーキ受けリング16に接するように円筒状の排出管16Bが配されている。外円筒バスケット11の回転により力を受けた脱水ケーキが、このケーキ受けリング16の、断面略半割円筒の部材内をリング状に旋回して移動する。この時、旋回による遠心力の作用により脱水ケーキが塊状から大小にばらつきのある粒子状に分散されつつ、定量的に、ケーキ出口としての排出管16Bから排出される機構となっている。脱水ケーキは、ケーキ受けリング16と排出管16Bとの接合点において、ケーキ受けリング16の接線方向に所定の速さのまま進み、排出管16Bに、当該速さを維持したまま排出され、排出シュート8を通って管T3に合流する。なお、ケーキ受けリング16の形状は、断面略半割円筒に限定されるものではなく、半割角筒でもよい。
【0038】
排出切替機構としてのダンパー装置9は、ケーキ出口としての排出管16Bの下方、かつケーキ入口としての排出シュート8の上方に位置しており、ダンパーが左右に移動することにより、排出シュート8への排出を制御している。
【0039】
ダンパー装置9は、エアシリンダー9Aと、該エアシリンダー9A内に設けられたピストン部材9Bに連結されたロッド9Cと、該ロッド9Cに連結されたダンパー9Dと、を備えている。ここで、エア供給管(図示せず)から供給された圧縮エアは、ピストン部材9Bを挟んでエアシリンダー9Aの両端にそれぞれ設けられた第1のポート93、第2のポート94を介して、選択的に、エアシリンダー9A内に充填される。そして、第1のポート93、第2のポート94に対して選択的に圧縮エアを供することにより、ピストン部材9Bを左右に移動させ、ダンパー9Dを左右に移動させるようになっている。
【0040】
ダンパー9Dは、ケーキ入口としての口元管8Bを覆う覆部91と、口元管8Bと連通する開口部92と、を備えている。具体的には、圧縮エアが第1のポート93を介してエアシリンダー9A内に供給されている状態では、
図2に示すように、ダンパー9Dの開口部92が口元管8Bの上方に位置するようになっている。それに対し、
図3に示すように、圧縮エアが第2のポート94を介してエアシリンダー9A内に供給されている状態では、ダンパー9Dの覆部91が口元管8Bを覆うように構成されている。
【0041】
したがって、遠心分離工程の際には、圧縮エアを第1のポート93を介してエアシリンダー9A内に供給し、ダンパー9Dの開口部92を口元管8Bの上方に位置させることによって、ケーキを排出シュート8から排出させることができ、機内洗浄工程の際には、圧縮エアを第2のポート94を介してエアシリンダー9A内に供給し、ダンパー9Dの覆部91で口元管8Bを覆うことによって、洗浄液及び残留ケーキを排出シュート8への流出を防止することができる。
【0042】
このため、ダンパーの開閉制御を行なうだけで、機内洗浄工程の際の、洗浄液及び残留ケーキの排出シュート8への流出を防止することができるため、大掛かりな排出切替装置を別途設置する必要がなくなる。また、機内洗浄工程の際の、洗浄液及び残留ケーキが排出シュート8内に流出しないので、例えば、次工程である乾燥機設備等に直結したとしても、ドライヤー等の負荷が上がることはないため、乾燥機やリパルプタンクに直結が可能となり、付帯設備が削減できる。
【0043】
なお、本実施の形態では、圧縮エアを第1のポート93を介してエアシリンダー9A内に供給する状態で開口部92が口元管8Bの上方に位置し、圧縮エアを第2のポート94を介してエアシリンダー9A内に供給する状態で覆部91が口元管8Bを覆う構成となっているが、この構成に限定されるものではない。すなわち、よりピストン部材9Bから離れた位置(
図2で左側)に開口部92を設け、よりピストン部材9BCに近い部分(
図2で右側)に覆部91を設け、圧縮エアを第2のポート94を介してエアシリンダー9A内に供給する状態で開口部92が口元管8Bの上方に位置し、圧縮エアを第1のポート93を介してエアシリンダー9A内に供給する状態で覆部91が口元管8Bを覆う構成をとってもよい。
【0044】
ダンパー9Dの覆部91により排出シュート8への流出を拒まれた機内洗浄工程の際の洗浄液及び残留ケーキは、図2に示すように、覆部91の上面から板状部材8Aの上面を介して、ケーキ排出部10へ排出される。
【0045】
(乾燥手段)
本形態の脱水乾燥システムに係る乾燥手段100を説明する。乾燥手段100は、脱水ケーキを含む加熱ガスの供給を受けて、脱水ケーキを乾燥して、乾燥粉末と蒸発ガスとし、これらを含む加熱ガスを排出するものである。乾燥手段100は、例えば加熱ガスが通過する筒体を有し、当該筒体が湾曲されて流路が形成されたものや、垂直方向または水平方向に直線的な流路が形成されたものを用い、当該加熱ガスに含まれる脱水ケーキが当該流路を高速で流れて、乾燥し、及び粉末となるものを挙げることができる。なお、脱水ケーキは、遠心分離機の排出管16B、排出シュート8及びそれに続く管T3を流れながら、大小様々な粒径の脱水ケーキ群(粒子群ともいう。)に分散されて、乾燥手段100に供給される。
【0046】
乾燥手段100としては上記の他にも旋回流式乾燥機を用いて乾燥手段100とすることもできる。旋回流式乾燥機は、旋回流に伴って旋回する加熱ガスに含まれる脱水ケーキ群のうち、粒子径の大きいものは遠心力の作用で内壁面に押付けられ、粒子径の小さいものは、内壁面から離れて運動する傾向があることを利用するものである。旋回中の脱水ケーキ群は、常に加熱ガスの旋回流の流れの中で方向が変えられるという構造によって、非常に激しい内壁面との衝突及び流れの中で運動を続ける。この運動により、径の大きい粒子の滞在時間を長くでき、粒子径の大小のバラツキにかかわらず、実質均一に乾燥させることができる。
【0047】
当該旋回流式乾燥機にあっては、脱水ケーキと加熱ガスが混合されて、筒体内にその接線方向から供給され、渦巻状の流路に沿って旋回して筒体の外周側から中心方向に向けて流動し中心部101dから排出される。この際、大粒径の脱水ケーキは主として壁面(ガイド板)に沿って、即ち遠心力によって流路の外側の壁面に沿って流れ、かつ小粒径の脱水ケーキは、加熱ガスの流れに乗って無差別に流動する。そして、これらの脱水ケーキ群は加熱ガスと激しく混合されて、加熱ガスによって加熱(直接加熱)されて乾燥される。また、ガイド板に形成した再循環口120の開閉を循環調節板104によって調節し、大粒径の脱水ケーキの流路長を長くして、大粒径の脱水ケーキの滞在時間を長くすることにより、大粒径の脱水ケーキを十分に乾燥させるとともに、小粒径の脱水ケーキの過乾燥を防いで、実質均一な乾燥を行なう。
【0048】
本実施形態の旋回流式乾燥機は、筒体101a内をその軸線に沿ってガイド板101b,101cによって仕切り、ガイド板101b,101cに脱水ケーキ群を再循環させる再循環口120を形成して、当該再循環口120を開閉する循環調節板104をガイド板101b,101cに設け、かつガイド板101b,101cと循環調節板104とによって、筒体内に、その外周側から中心方向に向けて渦巻状の流路を形成したものである。
【0049】
旋回流式乾燥機の具体的な実施形態を、
図3,4,5,7を参照しつつ次に説明する。
図3,4は
縦断面図、
図7は
正面図、
図5は斜視図である。これらの図において、筒体101aは、供給筒102に連結され、この筒体101aの両側には、一対の側板110,111が取付けられている。そして、筒体101aの内部には、渦巻状のガイド板101b,101cがそれぞれ設けられており、上記筒体101a及びガイド板101b,101cにはそれぞれ所定間隔、離間して再循環口120が設けられている。そして、上記筒体101a及びガイド板101bの内側の端部には、それぞれ各再循環口120の開度を調節する循環調節板104が回動自在に取付けられている。さらに、一方の側板111の中央には、筒体101aの中央から連通した流出筒101eが突設されており、この流出筒101eには排出筒103が連結されている。
【0050】
旋回流式乾燥機の使用にあっては、脱水ケーキと加熱ガスとが混合されて供給筒102の供給部102aから筒体101a内に供給されると、この脱水ケーキと加熱ガスとは激しく混合されながら、筒体101a及び両ガイド板101b,101cで構成された渦巻状の流路113を通って筒体101aの外周側から中心方向に旋回流を生じ、流出筒101e、排出筒103及び排出部103aを介して外部に排出される。また、循環調節板104を回動して再循環口120を適当に開くことにより、筒体101a及び各ガイド板101b,101cの壁面のうち、流路113の外側の壁面に沿って移動している大粒径の脱水ケーキは、再循環口120から外側の流路113に戻り、従って、大粒径の脱水ケーキの乾燥機内の滞在時間を延長でき、乾燥時間を延長できる。
【0051】
(合流)
脱水手段1から、分散して排出された脱水ケーキは、5~35m/秒の速さで管T3を流れる加熱ガスと合流する。特に脱水手段1にスラリが連続で供給され、脱水手段1が連続で運転されている間は、脱水ケーキが定量的に脱水手段1から排出されて加熱ガスに合流する。管T3内に高速で流れる加熱ガスに脱水ケーキを合流させることで、合流した脱水ケーキが加熱ガスの流れの中でさらに細かく砕ける。そこで、脱水ケーキが合流する合流部T3aから乾燥機の供給部102aまでの距離Lを0~2000mm、より好ましくは0~1000mm設けておくことで、脱水ケーキがより解砕されて乾燥手段100に供給されるので、乾燥手段100での脱水ケーキの乾燥が容易になされ好ましい。当該距離Lが2000mmを超えると、設備全体が大きくなってしまい多くのスペースを必要としてしまう。
【0052】
加熱ガスは管T3の合流部T3aにおいて流速が好ましくは5~35m/秒、より好ましくは10~20m/秒で流れていると、合流した脱水ケーキが管内に滞留せずに加熱ガスと共にスムーズに流れて、後段の乾燥手段100に供給される。当該流速が5m/秒未満だと脱水ケーキがスムーズに流れず滞留を起こし、管内を閉塞させるおそれがある。当該流量が35m/秒を超えると、加熱ガスを送るための動力を必要以上に消費することとなり、また、乾燥手段100に風圧がかかり過ぎてしまい、圧力損失が大きくなるおそれがある。
【0053】
管T3の変形例として、脱水ケーキが合流する合流部付近に、当該管の断面積を狭めた絞り部T3bを設けた管を挙げることができる。絞り部T3bは、管T3の断面積のよりも狭まっていれば、特に限定されないが、例えば、脱水ケーキが合流する合流部付近に、断面積が当該管の断面積の30~80%となるものであると好ましい。このような形態にすると、合流部T3aにおいて加熱ガスの流速が高まり、脱水ケーキが運ばれやすくなるとともに、脱水ケーキの加熱ガス中での分散効果が高まる。ここで、合流部付近とは、例えば管T3において合流部から上流側1000mmから下流側1000mmまでの間とすることができる。絞り部T3bは、例えば、
図8に示すように管T3に対して排出シュート8を挿入した形状として管T3の断面積を狭めたり、管T3のうちの合流部付近を相対的に細い管として形成してもよいし、合流部付近に管の断面積を調節できるダンパ、弁等を取り付けて形成してもよい。
【0054】
合流部T3aで、脱水ケーキは流れ方向が0°を超え、かつ90°以下の角度θ、より好ましくは0°を超え、かつ75°以下の角度θ、で加熱ガスと合流する形態がよい。
図8を参照しつつ説明すると、排出シュート8の先端は、管T3に接続されて合流部T3aを形成している。排出シュート8を流れる脱水ケーキは、排出シュート8内を排出シュート8の軸芯方向に沿って流れ、すなわち脱水ケーキが流れ方向Fに流れ、管T3を流れる加熱ガスの流れ方向と上記角度θで合流する形態であれば、脱水ケーキがその流れの勢いを減殺されることなく、加熱ガスと合流できるので好ましい。また、脱水ケーキが分散されて流動した状態で加熱ガスに合流するので、加熱ガスによる気流搬送に乗りやすく、搬送路への付着が生じにくいという効果がある。なお、角度θについては、合流部において加熱ガスの流れ方向の上流方向を0°、下流方向を180°とする。
【0055】
脱水手段から排出される脱水ケーキは脱水処理されてはいるものの水分を少なからず含んでいる。そのため、脱水ケーキが機器に付着したり、機器の閉塞をもたらすことがある。従来のスラリの脱水乾燥システムでは、脱水手段で脱水された脱水ケーキを一旦ホッパーに受けて貯留し、後工程の処理能力に合わせて、所定量の脱水ケーキをホッパーから切り出して、後工程に供給する手法が採られていた。そうすると、脱水手段において分散されて排出された脱水ケーキが、ホッパーに貯留されるので凝集化してしまう懸念があった。凝集化された脱水ケーキは、定量切り出しが困難となるばかりか、搬送流路に付着して閉塞をもたらしたり、後工程の乾燥手段において乾燥効率を悪化させたりする等の弊害をもたらすことがあった。また、凝集化された脱水ケーキを再度分散させるために、分散機をホッパー貯留後の工程に設ける等の工夫もみられるが、そうすると、全体として脱水乾燥システムが煩雑になり、一連の処理に多くの時間と経費をかけてしまう結果となってしまう。
【0056】
他方、本実施形態の脱水乾燥システムであれば、ホッパーや分散機等のマテリアルハンドリング機器を介することなく、脱水工程後の脱水ケーキを直接加熱ガスに合流して乾燥工程に搬送する形態となっているので、脱水ケーキが当該機器に付着したり、閉塞させたりすることはない。さらには、一連の処理に係る時間を短縮できるメリットもある。
【0057】
また、脱水工程から排出される脱水ケーキは、分散された状態で排出されて、加熱ガスに合流するので、加熱ガスの風圧で更に分散化が進むことになる。これは、次工程の乾燥工程において大きなメリットとなる。具体的には、分散化が予めなされた脱水ケーキ群が乾燥工程に供給されると、既に分散化が進行しているので乾燥工程に長時間滞留させる必要がないし、相対的に短時間で乾燥が完了する。すなわち、乾燥工程での乾燥効率が改善されるという効果を奏する。
【0058】
この点、従来の脱水乾燥システムであれば、マテリアルハンドリング機器を介するので、脱水工程から排出された脱水ケーキがホッパーによる堆積作用で凝集化してしまい、凝集化した脱水ケーキを分散機によって分散させたとしても、本実施形態の脱水ケーキほどの流動性がないので、加熱ガスで搬送されるときに脱水ケーキの更なる分散化が発生し難く、相対的に大径の粒体のまま乾燥工程に供給されることとなる。そうすると、大径の粒体を乾燥粉体になるまでにある程度の時間をかけて乾燥工程で周回させる必要があるので、結果として乾燥効率が本実施形態のものほど優れたものにはならない。
【実施例0059】
本実施形態の脱水乾燥システムを用いて、スラリをサンプルとして脱水処理及び乾燥処理させて乾燥粉体を得る際の、乾燥手段における熱容量係数(kcal/m3h℃)を算出した。熱容量係数は、容積(乾燥手段と管5、サイクロン上部の各々の容積の合計)、熱交換量、温度差(乾燥手段供給口とサイクロン上部各々におけるサンプルの温度)、に基づき算出した。脱水手段としては月島機械株式会社製押出型遠心分離機、乾燥手段としては月島機械株式会社製クリーンフラッシュ(登録商標)ドライヤCFD-50をそれぞれ使用した。乾燥手段については供給口における加熱ガスの流速を15m/sとし、循環調節板の開度を50%とした。
【0060】
実施例1では、スラリを、供給量を15.6kg-WS/h(=5kg-DS/h相当量)として脱水乾燥システムの脱水手段に投入した。スラリは、脱水手段で脱水されて脱水ケーキとして管に排出され、加熱ガスによって搬送され、乾燥手段に供給されて乾燥粉末として排出され、サイクロンに供給されて分級処理された。実施例1は4回にわたり実施され、結果、熱容量係数が1700~2000kcal/m3h℃となった。運転終了後、乾燥手段へケーキおよび加熱ガスを供給する管および乾燥手段の内部にケーキの付着は見られなかった。
【0061】
比較例1では、脱水手段を用いず、脱水ケーキを直接乾燥手段の供給口から乾燥手段に投入した。乾燥手段に供給された脱水ケーキの量は、5kg-DS/h(実施例1で用いたスラリの固形分相当量である。)であった。脱水ケーキは、乾燥手段に供給されて乾燥粉末として排出され、サイクロンに供給されて分級処理された。比較例1は4回にわたり実施され、結果、熱容量係数が1000~1400kcal/m3h℃となった。運転終了後、乾燥手段へケーキおよび加熱ガスを供給する管および乾燥手段の内部にケーキの付着が見られた。