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  • 特開-乾燥システム及び乾燥方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007562
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】乾燥システム及び乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/10 20060101AFI20230112BHJP
   F26B 3/08 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
F26B17/10 C
F26B3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110481
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】上野 明紀
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB04
3L113AC08
3L113AC35
3L113AC45
3L113AC46
3L113AC48
3L113AC54
3L113AC57
3L113AC65
3L113AC67
3L113AC79
3L113AC86
3L113BA02
3L113CB05
3L113CB28
3L113DA11
3L113DA22
(57)【要約】
【課題】メンテナンスの頻度が低く、粉粒体を連続的に乾燥させることが可能な乾燥システムを提供する。
【解決手段】乾燥システム1は、気流乾燥機21と、流動層乾燥部23と、供給分岐弁22と、捕集部70と、を備える。気流乾燥機21は、乾燥用経路21aに、乾燥の対象物である粉粒体と、粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより粉粒体を乾燥させる。流動層乾燥部23は、気流乾燥機21よりも下流側に設けられており、第1乾燥空間32又は第2乾燥空間42に収容された粉粒体を流動させて乾燥させる。供給分岐弁22は、気流乾燥機21で乾燥された粉粒体を第1乾燥空間32に供給する状態と、気流乾燥機21で乾燥された粉粒体を第2乾燥空間42に供給する状態と、を切替可能である。捕集部70は、第1乾燥空間32及び第2乾燥空間42で乾燥された粉粒体を捕集する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥用経路を有しており、前記乾燥用経路に、乾燥の対象物である粉粒体と、前記粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより前記粉粒体を乾燥させる気流乾燥機と、
前記気流乾燥機よりも下流側に設けられており、少なくとも第1乾燥空間と第2乾燥空間を有しており、前記第1乾燥空間又は前記第2乾燥空間に収容された前記粉粒体を流動させて乾燥させる流動層乾燥部と、
前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第1乾燥空間に供給する状態と、前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第2乾燥空間に供給する状態と、を切替可能な供給切替部と、
前記第1乾燥空間及び前記第2乾燥空間で乾燥された前記粉粒体を捕集する捕集部と、
を備えることを特徴とする乾燥システム。
【請求項2】
請求項1に記載の乾燥システムであって、
前記第1乾燥空間で乾燥された前記粉粒体を前記捕集部へ排出する状態と、前記第2乾燥空間で乾燥された前記粉粒体を前記捕集部へ排出する状態と、を切替可能な排出切替部を備えることを特徴とする乾燥システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の乾燥システムであって、
少なくとも前記供給切替部を動作させる指示装置を備え、
前記指示装置は、前記第1乾燥空間で前記粉粒体の乾燥及び排出が完了した後に前記第1乾燥空間に前記粉粒体が供給されるように、かつ、前記第2乾燥空間で前記粉粒体の乾燥及び排出が完了した後に前記第2乾燥空間に前記粉粒体が供給されるように、前記供給切替部の状態を切り替えることを特徴とする乾燥システム。
【請求項4】
請求項1から3までの何れか一項に記載の乾燥システムであって、
前記粉粒体は造粒部により生成された造粒物であり、前記造粒部が生成した前記造粒物が連続的に前記気流乾燥機に供給されることを特徴とする乾燥システム。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の乾燥システムであって、
前記気流乾燥機と前記流動層乾燥部に供給する気体を加熱するヒータを備え、
前記ヒータが加熱した第1高温気体が前記気流乾燥機に供給され、前記第1高温気体に外気を混合させて温度を低下させた第2高温気体が前記流動層乾燥部に供給されることを特徴とする乾燥システム。
【請求項6】
乾燥用経路に、乾燥の対象物である粉粒体と、前記粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより前記粉粒体を乾燥させる気流乾燥工程と、
前記気流乾燥工程が行われた粉粒体を、第1乾燥空間又は第2乾燥空間に供給し、前記第1乾燥空間又は前記第2乾燥空間に収容された前記粉粒体を流動させて乾燥させる流動層乾燥工程と、
前記第1乾燥空間及び前記第2乾燥空間で乾燥された前記粉粒体を捕集する捕集工程と、
を含み、
前記気流乾燥工程で乾燥された前記粉粒体を前記第1乾燥空間に供給する状態と、前記気流乾燥工程で乾燥された前記粉粒体を前記第2乾燥空間に供給する状態と、を切替可能であることを特徴とする乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、粉粒体を乾燥させる乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、連続的に粉粒体を乾燥する流動層乾燥装置を開示する。流動層乾燥装置は、隔壁によって区画される複数の処理室を有する。各処理室では、粉粒体が順次供給されるとともに、乾燥が完了した粉粒体が順次排出される。
【0003】
特許文献2は、流動層乾燥機の上部に気流乾燥機を設けた乾燥装置を開示する。気流乾燥装置によって乾燥された材料は、更に流動層乾燥機によって乾燥される。
【0004】
特許文献3は、気流乾燥管と乾燥機とを備える装置を開示する。気流乾燥管には熱風が流れており、気流乾燥管に被乾燥物を流すことにより被乾燥物が乾燥される。気流乾燥管で乾燥された被乾燥物は乾燥機に供給される。乾燥機では、過熱水蒸気雰囲気において被乾燥物を流動させることにより、被乾燥物が乾燥される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-125697号公報
【特許文献2】実開昭61-60088号公報
【特許文献3】特開2009-133591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の流動層乾燥装置では、水分量が多い状態の粉粒体が処理室に供給されるため、処理室の内壁に粉粒体が付着し易い。そのため、処理室の内壁を清掃するメンテナンスを高い頻度で行う必要がある。特許文献2及び3の装置では、流動層乾燥機/乾燥室に被乾燥物を連続的に供給する場合、被乾燥物の乾燥時間が一定とならないので、被乾燥物に乾燥にムラが生じる。しかし、流動層乾燥機/乾燥室での乾燥が完了するまで、流動層乾燥機/乾燥室への被乾燥物の供給を停止させる場合、連続性が低下する。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、メンテナンスの頻度が低く、粉粒体を連続的に乾燥させることが可能な乾燥システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の乾燥システムが提供される。即ち、乾燥システムは、気流乾燥機と、流動層乾燥部と、供給切替部と、捕集部と、を備える。前記気流乾燥機は、乾燥用経路を有しており、前記乾燥用経路に、乾燥の対象物である粉粒体と、前記粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより前記粉粒体を乾燥させる。前記流動層乾燥部は、前記気流乾燥機よりも下流側に設けられており、少なくとも第1乾燥空間と第2乾燥空間を有しており、前記第1乾燥空間又は前記第2乾燥空間に収容された前記粉粒体を流動させて乾燥させる。前記供給切替部は、前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第1乾燥空間に供給する状態と、前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第2乾燥空間に供給する状態と、を切替可能である。前記捕集部は、前記第1乾燥空間及び前記第2乾燥空間で乾燥された前記粉粒体を捕集する。
【0010】
本発明の第2の観点によれば、以下の乾燥方法が提供される。即ち、乾燥方法は、気流乾燥工程と、流動層乾燥工程と、捕集工程と、を含む。前記気流乾燥工程では、乾燥用経路に、乾燥の対象物である粉粒体と、前記粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより前記粉粒体を乾燥させる。前記流動層乾燥工程では、前記気流乾燥工程が行われた粉粒体を、第1乾燥空間又は第2乾燥空間に供給し、前記第1乾燥空間又は前記第2乾燥空間に収容された前記粉粒体を流動させて乾燥させる。前記捕集工程では、前記第1乾燥空間及び前記第2乾燥空間で乾燥された前記粉粒体を捕集する。前記気流乾燥工程で乾燥された前記粉粒体を前記第1乾燥空間に供給する状態と、前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を前記第2乾燥空間に供給する状態と、を切替可能である。
【0011】
これにより、気流乾燥機で乾燥されて水分量が低下した粉粒体が流動層乾燥部に供給されるので、流動層乾燥部の内壁に粉粒体が付着しにくい。また、気流乾燥機では、経路内の気体の流速が速く、気体に対して粉粒体の濃度が低いので、粉粒体の表面がすぐに乾燥し、経路の内壁に粉粒体が付着しにくい。以上により、上記の乾燥システムでは、気流乾燥機及び流動層乾燥部の両方についてメンテナンスの頻度が少なくなる。また、気流乾燥機で乾燥された粉粒体の供給先が複数存在するため、粉粒体を待機させる時間をゼロ又は短くできるので、粉粒体を連続的に乾燥させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メンテナンスの頻度が低く、粉粒体を連続的に乾燥させることが可能な乾燥システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の乾燥システムにおいて、新たな粉粒体が第1流動層乾燥機に供給され、第2流動層乾燥機で乾燥が完了した粉粒体が搬送される状態を示す図。
図2】第1実施形態の乾燥システムにおいて、新たな粉粒体が第2流動層乾燥機に供給され、第1流動層乾燥機で乾燥が完了した粉粒体が搬送される状態を示す図。
図3】第2実施形態の乾燥システムの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1及び図2を参照して、第1実施形態の乾燥システム1について説明する。
【0015】
乾燥システム1は、粉粒体を乾燥するための複数の装置を含んで構成されている。粉粒体とは、粉体、粒体(造粒品を含む)、及び、粉体と粒体の混合物を示す用語である。粉粒体は、医薬品又は食品であってもよいし、それ以外の物であってもよい。以下の説明では、粉粒体又は気体の流れの上流/下流を単に上流/下流と称することがある。
【0016】
図1に示すように、乾燥システム1は、供給部10と、乾燥部20と、送風部50と、吸引部60と、捕集部70と、を備える。
【0017】
供給部10は、乾燥の対象物である粉粒体を乾燥部20に供給する。供給部10が供給する粉粒体は多くの水分を含んでいる。供給部10は、粉粒体を貯留する貯留部と、粉粒体を連続的に送り出す送出部と、を備える。この構成により、供給部10は、粉粒体を連続的に乾燥部20に供給する。
【0018】
乾燥部20は、供給部10が供給した粉粒体を乾燥する。乾燥部20は、気流乾燥機21と、供給分岐弁22と、流動層乾燥部23と、排出分岐弁24と、を備える。
【0019】
気流乾燥機21は、ハウジングを有しており、ハウジング内に乾燥用経路21aが形成されている。乾燥用経路21aは細長い経路であり、経路長を長くするために湾曲状、円弧状、又は折り返し状の部分等を含んでいる。供給部10が供給した粉粒体は乾燥用経路21aを流れる。また、乾燥用経路21aには、更に、送風部50(詳細は後述)が供給した高温気体が流れる。これにより、粉粒体が高温気体とともに乾燥用経路21aを流れることにより、粉粒体が乾燥(一次乾燥)される。
【0020】
供給分岐弁22は、気流乾燥機21の下流側であって、かつ、流動層乾燥部23の上流側に配置されている。流動層乾燥部23は、第1流動層乾燥機30と第2流動層乾燥機40を備える。供給分岐弁22の上流側の配管は、気流乾燥機21に接続されている。供給分岐弁22の下流側には2つの配管があり、一方の配管は第1流動層乾燥機30に接続されており、他方の配管は第2流動層乾燥機40に接続されている。従って、供給分岐弁22は、気流乾燥機21から供給された粉粒体を第1流動層乾燥機30に供給する状態と、粉粒体を第2流動層乾燥機40に供給する状態と、を切り替えることができる。
【0021】
供給分岐弁22の動作は、指示装置100によって制御されている。指示装置100は、CPU、ROM、RAM等を備える。指示装置100は、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、乾燥システム1に関する制御を行うことができる。本実施形態では、供給分岐弁22は、モータ又はシリンダ等のアクチュエータにより動作する。指示装置100は、このアクチュエータに指示を行うことにより、粉粒体を第1流動層乾燥機30に供給する状態(図1)と、粉粒体を第2流動層乾燥機40に供給する状態(図2)と、を切り替えることができる。
【0022】
気流乾燥機21によって一次乾燥された粉粒体は、第1流動層乾燥機30又は第2流動層乾燥機40によって更に乾燥(二次乾燥)される。一次乾燥と二次乾燥で除去される水分量の比率は特に限定されないが、本実施形態では、一次乾燥で除去される水分量が二次乾燥で除去される水分量より多い。なぜなら、粉粒体の水分割合が低くなるにつれて水分を除去することが困難になるからである。ただし、一次乾燥で除去される水分量が二次乾燥で除去される水分量より少なくてもよい。
【0023】
上述した気流乾燥が一方通行の経路で粉粒体を乾燥させるのに対し、流動層乾燥部23は、所定の空間に高温気体を供給して、粉粒体を当該空間内で繰り返し流動させることにより、粉粒体を乾燥させる。
【0024】
具体的には、第1流動層乾燥機30は、第1供給部31と、第1乾燥空間32と、第1排出部33と、を有する。第1供給部31は、供給分岐弁22に接続されている。気流乾燥機21で乾燥された粉粒体は、供給分岐弁22及び第1供給部31を介して第1乾燥空間32に供給される。第1乾燥空間32には、送風部50によって高温気体が供給されている。高温気体は第1乾燥空間32の下部から上方に向けて供給される。これにより、粉粒体を第1乾燥空間32で流動させることができる。第1乾燥空間32で乾燥が完了した粉粒体は、第1排出部33を介して排出される。具体的には、第1排出部33には粉粒体を排出するか否かを切り替えるための排出弁が設けられており、所定のタイミングで指示装置100が指示して排出弁の状態を切り替えることにより、粉粒体が排出される。
【0025】
第2流動層乾燥機40は、第2供給部41と、第2乾燥空間42と、第2排出部43と、を有する。第2流動層乾燥機40の各部の構成は、第1流動層乾燥機30の各部の構成と同一であるため、説明を省略する。
【0026】
本実施形態では、流動層乾燥部23は、2つの流動層乾燥機を備えるが、3つ以上の流動層乾燥機を備える構成であってもよい。あるいは、複数の流動層乾燥機を備える構成に代えて、1つの流動層乾燥機を備え、1つの流動層乾燥機が複数の乾燥空間を有する構成であってもよい。この構成では、流動層乾燥機に設けられた仕切り等により乾燥空間が複数に区分されており、それぞれの乾燥空間に個別に粉粒体を供給可能であるとともに、それぞれの乾燥空間から個別に粉粒体を排出可能である。
【0027】
排出分岐弁24は、流動層乾燥部23の下流側であって、かつ、捕集部70の上流側に配置されている。排出分岐弁24は、第1流動層乾燥機30又は第2流動層乾燥機40から供給された粉粒体を捕集部70に供給する。具体的には、排出分岐弁24の上流側には2つの配管があり、一方の配管は第1排出部33に接続されており、他方の配管は第2排出部43に接続されている。排出分岐弁24の下流側の配管は捕集部70に接続されている。従って、排出分岐弁24は、第1流動層乾燥機30から供給された粉粒体を捕集部70に供給する状態(図2)と、第2流動層乾燥機40から供給された粉粒体を捕集部70に供給する状態(図1)と、を切り替えることができる。供給分岐弁22と同様に、排出分岐弁24も指示装置100の指示に応じて動作する。
【0028】
ここで、気流乾燥機21は連続式の乾燥装置である。連続式とは、粉粒体が連続して供給されており、供給された粉粒体を貯留することなく送り出しながら乾燥させて、粉粒体を排出する方式である。
【0029】
これに対し、流動層乾燥部23はバッチ式である。バッチ式とは予め定められた所定量を1単位として、1単位の粉粒体をまとめて乾燥させる方式である。そのため、初めに、所定量の粉粒体が流動層乾燥部23(具体的には第1流動層乾燥機30又は第2流動層乾燥機40)に供給され、粉粒体の供給が完了した後に乾燥が開始する。そして、乾燥の完了後、流動層乾燥部23に供給された全て(即ち、所定量)の粉粒体がまとめて排出される。
【0030】
つまり、気流乾燥機21が連続的に粉粒体を排出する一方で、流動層乾燥部23は粉粒体を連続的に乾燥させる構成ではない。ここで、気流乾燥機の下流側に1つの流動層乾燥機を設けた従来の乾燥システムでは、流動層乾燥機が粉粒体の乾燥中である場合、流動層乾燥機への粉粒体の供給を停止させる必要がある。その結果、粉粒体の乾燥の連続性が低下する。なお、粉粒体を連続的に流動層乾燥機に供給すると、乾燥の程度が異なる粉粒体が混合されるので、乾燥ムラが生じるため好ましくない。
【0031】
この点、本実施形態では、流動層乾燥機を複数設けることにより、粉粒体の乾燥の連続性の低下を軽減する。例えば、図1に示すように、第2流動層乾燥機40が粉粒体を乾燥中又は粉粒体を排出中であって、第1流動層乾燥機30が粉粒体を排出済みである場合、第1流動層乾燥機30に新たな粉粒体が供給される。その後、図2に示すように第2流動層乾燥機40が粉粒体を排出済みとなった場合、指示装置100が供給分岐弁22の状態を切り替えることにより、第2流動層乾燥機40に新たな粉粒体が供給される。
【0032】
上述したように、気流乾燥機21から流動層乾燥部23に連続的に粉粒体が供給されるため、第1流動層乾燥機30及び第2流動層乾燥機40の一方は、常に粉粒体を供給可能な状態(即ち、前に供給された粉粒体の乾燥及び排出が完了した状態)にある。言い換えれば、第1流動層乾燥機30及び第2流動層乾燥機40の一方に粉粒体が供給されている間に、他方で粉粒体の乾燥及び排出が行われる。第1流動層乾燥機30又は第2流動層乾燥機40には、所定量の粉粒体が供給されるので、乾燥及び排出に掛かる時間も一定である。従って、指示装置100は、予め定められたタイムスケジュールに沿って、供給分岐弁22及び排出分岐弁24の状態を切り替える。
【0033】
ここで、仮に気流乾燥機21を省略した場合、水分量の多い粉粒体が流動層乾燥部23に供給されることになる。この場合、第1流動層乾燥機30又は第2流動層乾燥機40の内壁に粉粒体が付着し易くなる。その結果、高い頻度で流動層乾燥部23をメンテナンスする必要がある。この点、本実施形態では気流乾燥機21を通過して水分量が低下した粉粒体が流動層乾燥部23に供給される。そのため、第1流動層乾燥機30又は第2流動層乾燥機40の内壁に粉粒体が付着しにくいため、メンテナンスの頻度を下げることができる。
【0034】
捕集部70は、第1捕集器71と、第1回収容器72と、第2捕集器73と、第2回収容器74と、を備える。
【0035】
第1捕集器71は、サイクロン方式の分離器であり、合流した状態で流れる粉粒体と高温気体とを分離させる。第1捕集器71を経由することで分離された粉粒体は下方の第1回収容器72に落下して貯留される。また、第1捕集器71を経由することで分離された高温気体は第2捕集器73に向かって流れる。なお、第2捕集器73に流れた高温気体には、第1捕集器71で分離できなかった粉粒体(特に径が小さい微粉)が含まれている。
【0036】
第2捕集器73は、バグフィルタ等と称されるフィルタ方式の分離器である。第2捕集器73は、第1捕集器71を経由した高温気体から、残留している粉粒体を分離する。第2捕集器73を経由することで分離された粉粒体は第2回収容器74に貯留される。第2捕集器73を経由することで分離された高温気体は吸引部60により排出される。
【0037】
送風部50は、乾燥部20に乾燥用の気体を送出する。送風部50は、エアフィルタ51と、外気調整弁52と、送風ファン53と、ヒータ54と、第1高温気体調整弁55と、第2高温気体調整弁56と、第3高温気体調整弁57と、第4高温気体調整弁58と、を備える。本実施形態では乾燥用空気として外気を用いるが、別の気体を用いてもよいし、外気に別の気体を混合してもよい。
【0038】
エアフィルタ51は外気に含まれる塵及びゴミ等を取り除く。外気調整弁52は、気体の吸引量を調整したり気体の吸引の有無を調整したりすることができる。送風ファン53は、気体を乾燥部20に向けて送出する。
【0039】
送風部50が送出した気体は、ヒータ54で加熱されて第1高温気体となる。高温気体は、第1高温気体調整弁55を介して気流乾燥機21に送られるとともに、第2高温気体調整弁56を介して流動層乾燥部23に送られる。また、送風部50が送出した気体は、ヒータ54を通過しない経路を介して、流動層乾燥部23に送られる。つまり、流動層乾燥部23には、ヒータ54を通過した気体(高温気体)と、ヒータ54を通過しない気体(常温気体、外気)と、が供給される。
【0040】
一般的には、気流乾燥機21では比較的高い温度の気体が用いられる。これに対し、流動層乾燥部23では、気流乾燥機21と比較して温度が低い気体が用いられる。仮に、気流乾燥機21に供給する気体を加熱する高出力のヒータと、流動層乾燥部23に供給する気体を加熱する低出力のヒータと、を設ける場合、ヒータに掛かるコストが高くなる。この点、本実施形態では、気流乾燥機21には、ヒータ54を通過した気体のみが供給されるので、気流乾燥機21には比較的高い第1高温気体が供給される。一方、流動層乾燥部23にはヒータ54を通過した第1高温気体と、ヒータ54を通過していない外気と、を混合した第2高温気体が供給されるので比較的低い温度の気体が供給される。これにより、ヒータを2台設けることなく、気流乾燥機21と流動層乾燥部23に適切な温度の気体を供給できる。
【0041】
なお、第2高温気体調整弁56の開度を変更することにより、高温気体と常温気体の混合割合を変更することができる。例えば、図略の温度センサの検出結果に基づいて、第2高温気体調整弁56の開度を変更することにより、流動層乾燥部23に供給する気体の温度を安定させることができる。
【0042】
流動層乾燥部23に気体を供給する経路は、第1流動層乾燥機30に気体を供給する第1供給経路と、第2流動層乾燥機40に気体を供給する第2供給経路と、に分岐する。第3高温気体調整弁57は、第1供給経路に設けられ、第1流動層乾燥機30に気体を供給するか否かを切替可能である。第4高温気体調整弁58は、第2供給経路に設けられ、第2流動層乾燥機40に気体を供給するか否かを切替可能である。
【0043】
吸引部60は、粉粒体を送るための吸引流を発生させたり、流動層乾燥部23に供給された乾燥用の気体を排出するための吸引流を発生させたりする。吸引部60は、送出用吸引ファン61と、吸引流調整弁62と、排気用吸引ファン63と、第1排気弁64と、第2排気弁65と、第3排気弁66と、を備える。
【0044】
送出用吸引ファン61は、吸引流調整弁62を介して、第2捕集器73に接続されている。送出用吸引ファン61が発生させた吸引流により、流動層乾燥部23から粉粒体が排出される。また、流動層乾燥部23から排出された粉粒体及び気体が第1捕集器71及び第2捕集器73から排出される。
【0045】
排気用吸引ファン63は、第1排気弁64を介して、流動層乾燥部23に接続されている。具体的には、第1排気弁64に接続される経路は、第1流動層乾燥機30に接続される第1排気経路と、第2流動層乾燥機40に接続される第2排気経路と、に分岐する。第2排気弁65は、第1排気経路に設けられる。第2排気弁65は、第1流動層乾燥機30に供給された気体を排出するか否かを切替可能である。第3排気弁66は、第2排出経路に設けられる。第3排気弁66は、第2流動層乾燥機40に供給された気体を排出するか否かを切替可能である。
【0046】
第1流動層乾燥機30に粉粒体が供給される間は、供給分岐弁22は、気流乾燥機21と第1供給部31を接続する。第1供給部31を介して吸気しながら粉粒体が供給されるため、第3高温気体調整弁57は閉鎖されている。供給された気体を排気するために、第2排気弁65は開放されている。第2流動層乾燥機40に粉粒体が供給される間は、第2流動層乾燥機40に対応する各弁が同様に動作する。
【0047】
第1流動層乾燥機30で粉粒体が乾燥される間は、供給分岐弁22は、気流乾燥機21と第1供給部31を接続しない。第3高温気体調整弁57を介して高温気体を供給するために第3高温気体調整弁57は開放されている。供給された気体を排気するために、第2排気弁65は開放されている。第2流動層乾燥機40で粉粒体が乾燥される間は、第2流動層乾燥機40に対応する各弁が同様に動作する。
【0048】
第1流動層乾燥機30から粉粒体が排出される間は、排出分岐弁24は、第1排出部33と第1捕集器71を接続する。第1供給部31からの吸気が行われないため、第3高温気体調整弁57が開放されて、第3高温気体調整弁57を介して吸気が行われる。供給された気体は第1排出部33から排気されるため、第2排気弁65は閉鎖されている。第2流動層乾燥機40から粉粒体が排出される間は、第2流動層乾燥機40に対応する各弁が同様に動作する。
【0049】
第1供給部31(又は第2供給部41)を介して吸気を行う場合と、第3高温気体調整弁57(又は第4高温気体調整弁58)を介して吸気を行う場合と、では供給される気体の流量が異なる。従って、本実施形態では、第3高温気体調整弁57、第4高温気体調整弁58、吸引流調整弁62、及び第1排気弁64は、開度を調整可能な弁である。これに対し、第2排気弁65及び第3排気弁66は、全開と全閉のみを切替可能な弁である。本実施形態の構成に代えて、第2排気弁65及び第3排気弁66を開度を調整可能な弁にして、第3高温気体調整弁57及び第4高温気体調整弁58を全開と全閉のみを切替可能である弁にしてもよい。当然ながら、全ての弁が開度を調整可能な弁であってもよい。
【0050】
次に、図3を参照して、第2実施形態の乾燥システム1について説明する。なお、第2実施形態の説明においては、第1実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0051】
第1実施形態の供給部10は粉粒体を乾燥部20に供給するが、第2実施形態の供給部10は、粉体から生成された造粒物を乾燥部20に供給する。具体的には、供給部10は、粉体供給部11と、造粒部12と、を備える。粉体供給部11は、第1実施形態と同様に貯留部に貯留された粉体を供給する。造粒部12は、粉体供給部11が供給した粉体を攪拌等して造粒物を生成する。造粒部12は、生成した造粒物を連続的に気流乾燥機21に供給する。第1実施形態と第2実施形態では、乾燥の対象物が異なるだけであり、乾燥を行う処理の流れは同じである。
【0052】
なお、流動層乾燥機でバッチ式による造粒物の乾燥を行う場合、所定量の造粒物を流動層乾燥機に貯留する間に、造粒物同士が一体化する可能性がある。この点、本実施形態では供給部10が供給した造粒物は連続的に気流乾燥機21で乾燥される。そのため、造粒物が第1流動層乾燥機30又は第2流動層乾燥機40に貯留される時点では、造粒物の水分が低下しているため、造粒物同士が一体化しにくい。
【0053】
以上に説明したように、上記実施形態の乾燥システム1は、気流乾燥機21と、流動層乾燥部23と、供給分岐弁22と、捕集部70と、を備え、以下の乾燥方法を実行する。気流乾燥機21は、乾燥用経路21aを有しており、乾燥用経路21aに、乾燥の対象物である粉粒体と、粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより粉粒体を乾燥させる(気流乾燥工程)。流動層乾燥部23は、気流乾燥機21よりも下流側に設けられており、少なくとも第1乾燥空間32と第2乾燥空間42を有しており、第1乾燥空間32又は第2乾燥空間42に収容された粉粒体を流動させて乾燥させる(流動層乾燥工程)。供給分岐弁22は、気流乾燥機21で乾燥された粉粒体を第1乾燥空間32に供給する状態と、気流乾燥機21で乾燥された粉粒体を第2乾燥空間42に供給する状態と、を切替可能である。捕集部70は、第1乾燥空間32及び第2乾燥空間42で乾燥された粉粒体を捕集する(捕集工程)。
【0054】
これにより、気流乾燥機21で乾燥されて水分量が低下した粉粒体が流動層乾燥部23に供給されるので、流動層乾燥部23の内壁に粉粒体が付着しにくい。また、気流乾燥機21では、経路内の気体の流速が速く、気体に対して粉粒体の濃度が低いので、粉粒体の表面がすぐに乾燥し、経路の内壁に粉粒体が付着しにくい。以上により、本実施形態の乾燥システム1では、気流乾燥機21及び流動層乾燥部23の両方についてメンテナンスの頻度が少なくなる。また、気流乾燥機21で乾燥された粉粒体の供給先が複数存在するため、粉粒体を待機させる時間をゼロ又は短くできるので、粉粒体を連続的に乾燥させることができる。
【0055】
上記実施形態の乾燥システム1は、第1乾燥空間32で乾燥された粉粒体を捕集部70へ排出する状態と、第2乾燥空間42で乾燥された粉粒体を捕集部70へ排出する状態と、を切替可能な排出分岐弁24を備える。
【0056】
これにより、2つの乾燥空間で乾燥された粉粒体を1箇所に集めて回収することができる。
【0057】
上記実施形態の乾燥システム1は、少なくとも供給分岐弁22を動作させる指示装置100を備える。指示装置100は、第1乾燥空間32で粉粒体の乾燥及び排出が完了した後に第1乾燥空間32に粉粒体が供給されるように、かつ、第2乾燥空間42で粉粒体の乾燥及び排出が完了した後に第2乾燥空間42に粉粒体が供給されるように、供給分岐弁22の状態を切り替える。
【0058】
これにより、適切なタイミングで第1乾燥空間32又は第2乾燥空間42に粉粒体を供給できる。
【0059】
上記実施形態の乾燥システム1において、粉粒体は造粒部12により生成された造粒物であり、造粒部12が生成した造粒物が連続的に気流乾燥機21に供給される。
【0060】
これにより、水分を多く含む造粒物が連続的に乾燥されるので、造粒物同士が一体化することを防止できる。
【0061】
本実施形態の乾燥システム1は、気流乾燥機21と流動層乾燥部23に供給する気体を加熱するヒータ54を備える。ヒータ54が加熱した第1高温気体が気流乾燥機21に供給され、第1高温気体に外気を混合させて温度を低下させた第2高温気体が流動層乾燥部23に供給される。
【0062】
これにより、気流乾燥機21用と流動層乾燥部23用で個別のヒータを設ける構成と比較して、ヒータの個数を減らすことができる。
【0063】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0064】
上記実施形態では、指示装置100が予め定められたタイムスケジュールに沿って、供給分岐弁22及び排出分岐弁24等の切替えを行う。これに代えて、第1流動層乾燥機30又は第2流動層乾燥機40における乾燥及び排出の進捗状況を測定するセンサを設け、センサの検出結果に基づいて、供給分岐弁22及び排出分岐弁24等を切り替えてもよい。
【0065】
上記実施形態では、捕集部70は、第1捕集器71と第2捕集器73を有するが、例えば捕集部70から第1捕集器71を省略してもよい。
【符号の説明】
【0066】
1 乾燥システム
10 供給部
20 乾燥部
21 気流乾燥機
22 供給分岐弁(供給切替部)
23 流動層乾燥部
24 排出分岐弁(排出切替部)
30 第1流動層乾燥機
32 第1乾燥空間
40 第2流動層乾燥機
42 第2乾燥空間
50 送風部
60 吸引部
70 捕集部
図1
図2
図3