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特開2023-75623ジッパーテープ、ジッパーテープ付き容器および改ざん防止方法
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  • 特開-ジッパーテープ、ジッパーテープ付き容器および改ざん防止方法 図1
  • 特開-ジッパーテープ、ジッパーテープ付き容器および改ざん防止方法 図2
  • 特開-ジッパーテープ、ジッパーテープ付き容器および改ざん防止方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075623
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】ジッパーテープ、ジッパーテープ付き容器および改ざん防止方法
(51)【国際特許分類】
   A44B 19/34 20060101AFI20230524BHJP
   A44B 19/16 20060101ALI20230524BHJP
   B65D 33/25 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
A44B19/34
A44B19/16
B65D33/25 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188637
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】500163366
【氏名又は名称】出光ユニテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000637
【氏名又は名称】弁理士法人樹之下知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】高村 郁雄
(72)【発明者】
【氏名】音渕 昌
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 俊一
【テーマコード(参考)】
3B098
3E064
【Fターム(参考)】
3B098AA10
3B098AB08
3B098BB02
3B098CB02
3E064AA05
3E064BA17
3E064BA27
3E064BA28
3E064BA30
3E064BB03
3E064BC08
3E064BC18
3E064HM01
3E064HN13
(57)【要約】
【課題】追加の部材を必要としない簡易な構成によって係合部が閉じることを防止する。
【解決手段】第1の基部と、上記第1の基部から突出する雄型係合部と、第2の基部と、上記第2の基部から突出する雌型係合部とを備えるジッパーテープであって、上記雄型係合部は、外向きに突出する第1および第2の鉤部を含み、上記雌型係合部は、内向きに突出する第3および第4の鉤部を含み、上記雄型係合部と上記雌型係合部とが係合したときに上記第1の鉤部および上記第3の鉤部、ならびに上記第2の鉤部および上記第4の鉤部がそれぞれ互いに係合するように構成され、上記雄型係合部を上記雌型係合部の内側に嵌合させるために必要とされる力が30N/15mm以上100N/15mm以下であるジッパーテープが提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基部と、前記第1の基部から突出する雄型係合部と、第2の基部と、前記第2の基部から突出する雌型係合部とを備えるジッパーテープであって、
前記雄型係合部は、外向きに突出する第1および第2の鉤部を含み、
前記雌型係合部は、内向きに突出する第3および第4の鉤部を含み、前記雄型係合部が前記雌型係合部の内側に嵌合したときに前記第1の鉤部および前記第3の鉤部、ならびに前記第2の鉤部および前記第4の鉤部がそれぞれ互いに係合するように構成され、
前記雄型係合部と前記雌型係合部とを係合させるために必要とされる力が30N/15mm以上100N/15mm以下であるジッパーテープ。
【請求項2】
前記第2の鉤部および前記第4の鉤部の先端には返し部が形成され、前記第1の鉤部および前記第3の鉤部の先端には返し部が形成されないか、または前記第2の鉤部および前記第4の鉤部の返し部よりも角度が大きい返し部が形成され、
前記第4の鉤部は、前記雌型係合部と前記第2の基部との接続領域から前記第2の基部に対して斜めに立ち上がる第1の立上部と、前記第1の立上部に続いて、前記第2の基部に対して前記第1の立上部よりも垂直に近い角度で立ち上がる第2の立上部と、前記第2の立上部に続いて形成される屈曲部と、前記屈曲部の先端に形成される前記返し部とを含み、
前記第1の立上部の幅は、0.35mm以上である、請求項1に記載のジッパーテープ。
【請求項3】
前記雌型係合部と前記第2の基部との接続領域の最小幅が1.0mm以上1.8mm以下である、請求項1または請求項2に記載のジッパーテープ。
【請求項4】
前記第2の鉤部および前記第4の鉤部の先端には返し部が形成され、前記第1の鉤部および前記第3の鉤部の先端には返し部が形成されないか、または前記第2の鉤部および前記第4の鉤部の返し部よりも角度が大きい返し部が形成され、
前記第4の鉤部は、前記雌型係合部と前記第2の基部との接続領域から前記第2の基部に対して斜めに立ち上がる第1の立上部と、前記第1の立上部に続いて、前記第2の基部に対して前記第1の立上部よりも垂直に近い角度で立ち上がる第2の立上部と、前記第2の立上部に続いて形成される屈曲部と、前記屈曲部の先端に形成される前記返し部とを含み、
前記第1の立上部の立ち上がりの方向に沿った長さは、0.4mm以下である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
【請求項5】
前記第3および第4の鉤部は、前記雌型係合部と前記第2の基部との接続領域から立ち上がる立上部と、前記立上部に続いて形成される屈曲部と、前記屈曲部の先端に形成される返し部とを含み、
前記屈曲部の外側の、前記雄型係合部が前記雌型係合部の内側に嵌合しようとするときに前記第1および第2の鉤部に接触する面が、前記雌型係合部の外側でなす角度は、145°以上である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
【請求項6】
前記第3および第4の鉤部の間にある前記雌型係合部の内側空間から、前記第2の基部の前記雌型係合部とは反対側の面までの最短距離が0.50mm以上である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
【請求項7】
前記雄型係合部において、前記第1および前記第2の鉤部の間には、前記第1の鉤部に連続する第1の傾斜面、および前記第2の鉤部に連続する第2の傾斜面が形成され、
前記第1の傾斜面と前記第2の傾斜面とが前記雄型係合部側でなす角度は、140°以上である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
【請求項8】
容器本体と、
前記第1の基部および前記第2の基部がそれぞれ前記容器本体に接合された請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のジッパーテープと
を備えるジッパーテープ付き容器。
【請求項9】
前記容器本体は、袋状である、請求項8に記載のジッパーテープ付き容器。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載のジッパーテープ付き容器において、前記雄型係合部と前記雌型係合部を係合させるために必要とされる力を通常想定される力よりも大きくすることによって前記ジッパーテープ付き容器の内容物の改ざんを防止する、改ざん防止方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ジッパーテープ、ジッパーテープ付き容器および改ざん防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1に記載されているように、一度閉じられたジッパーの係合部が再び開くことを困難にすることによって、ジッパーテープ付き容器の内容物の改ざんを防止する技術が知られている。特許文献1の場合、内容物の封入前には、係合部が閉じてしまわないようにジッパーテープの間にフィルムが介挿される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-217980号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の特許文献1のような場合以外にも、ジッパーの係合部が閉じることを防止したい場合がある。例えば、係合部が開いた状態でジッパーテープ付き容器を搬送し、その後に内容物を封入して係合部を閉じるような場合、搬送中に係合部が閉じることを防止する必要がある。これらの場合において、係合部が閉じるのを防止するためにフィルムのような追加の部材を介挿するのは工程として煩雑であり、また一般的にフィルムはプラスチックで形成されるため、廃プラスチック削減の観点からも好ましくない。
【0005】
そこで、本発明は、追加の部材を必要としない簡易な構成によって係合部が閉じることを防止することが可能な、ジッパーテープ、ジッパーテープ付き容器および改ざん防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]第1の基部と、上記第1の基部から突出する雄型係合部と、第2の基部と、上記第2の基部から突出する雌型係合部とを備えるジッパーテープであって、上記雄型係合部は、外向きに突出する第1および第2の鉤部を含み、上記雌型係合部は、内向きに突出する第3および第4の鉤部を含み、上記雄型係合部が上記雌型係合部の内側に嵌合したときに上記第1の鉤部および上記第3の鉤部、ならびに上記第2の鉤部および上記第4の鉤部がそれぞれ互いに係合するように構成され、上記雄型係合部と上記雌型係合部とを係合させるために必要とされる力が30N/15mm以上100N/15mm以下であるジッパーテープ。
[2]上記第2の鉤部および上記第4の鉤部の先端には返し部が形成され、上記第1の鉤部および上記第3の鉤部の先端には返し部が形成されないか、または上記第2の鉤部および上記第4の鉤部の返し部よりも角度が大きい返し部が形成され、上記第4の鉤部は、上記雌型係合部と上記第2の基部との接続領域から上記第2の基部に対して斜めに立ち上がる第1の立上部と、上記第1の立上部に続いて、上記第2の基部に対して上記第1の立上部よりも垂直に近い角度で立ち上がる第2の立上部と、上記第2の立上部に続いて形成される屈曲部と、上記屈曲部の先端に形成される上記返し部とを含み、上記第1の立上部の幅は、0.35mm以上である、[1]に記載のジッパーテープ。
[3]上記雌型係合部と上記第2の基部との接続領域の最小幅が1.0mm以上1.8mm以下である、[1]または[2]に記載のジッパーテープ。
[4]上記第2の鉤部および上記第4の鉤部の先端には返し部が形成され、上記第1の鉤部および上記第3の鉤部の先端には返し部が形成されないか、または上記第2の鉤部および上記第4の鉤部の返し部よりも角度が大きい返し部が形成され、上記第4の鉤部は、上記雌型係合部と上記第2の基部との接続領域から上記第2の基部に対して斜めに立ち上がる第1の立上部と、上記第1の立上部に続いて、上記第2の基部に対して上記第1の立上部よりも垂直に近い角度で立ち上がる第2の立上部と、上記第2の立上部に続いて形成される屈曲部と、上記屈曲部の先端に形成される上記返し部とを含み、上記第1の立上部の立ち上がりの方向に沿った長さは、0.4mm以下である、[1]から[3]のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
[5]上記第3および第4の鉤部は、上記雌型係合部と上記第2の基部との接続領域から立ち上がる立上部と、上記立上部に続いて形成される屈曲部と、上記屈曲部の先端に形成される返し部とを含み、上記屈曲部の外側の、上記雄型係合部が上記雌型係合部の内側に嵌合しようとするときに上記第1および第2の鉤部に接触する面が、上記雌型係合部の外側でなす角度は、145°以上である、[1]から[4]のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
[6]上記第3および第4の鉤部の間にある上記雌型係合部の内側空間から、上記第2の基部の上記雌型係合部とは反対側の面までの最短距離が0.50mm以上である、[1]から[5]のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
[7]上記雄型係合部において、上記第1および上記第2の鉤部の間には、上記第1の鉤部に連続する第1の傾斜面、および上記第2の鉤部に連続する第2の傾斜面が形成され、上記第1の傾斜面と上記第2の傾斜面とが上記雄型係合部側でなす角度は、140°以上である、[1]から[6]のいずれか1項に記載のジッパーテープ。
[8]容器本体と、上記第1の基部および上記第2の基部がそれぞれ上記容器本体に接合された[1]から[7]のいずれか1項に記載のジッパーテープとを備えるジッパーテープ付き容器。
[9]上記容器本体は、袋状である、[8]に記載のジッパーテープ付き容器。
[10][8]または[9]に記載のジッパーテープ付き容器において、上記雄型係合部と上記雌型係合部を係合させるために必要とされる力を通常想定される力よりも大きくすることによって上記ジッパーテープ付き容器の内容物の改ざんを防止する、改ざん防止方法。
【発明の効果】
【0007】
上記の構成によれば、ジッパーテープの雄型係合部と雌型係合部とを係合させるために必要とされる力が一般的なジッパーテープに比べて大きく、従って係合部が閉じにくい。これによって、追加の部材を必要としない簡易な構成によって係合部が閉じることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係るジッパーテープの係合部を拡大した断面図である。
図2】一般的なジッパーテープの係合部を拡大した断面図である。
図3図1に示したジッパーテープを含むジッパーテープ付き容器の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の一実施形態に係るジッパーテープの係合部を拡大した断面図である。図2は、比較のために、一般的なジッパーテープの係合部を拡大した断面図である。図1に示すジッパーテープ10は、第1の基部11と、第2の基部12と、第1の基部11から突出する雄型係合部13Aと、第2の基部12から突出する雌型係合部13Bとを含む。雄型係合部13Aは、外向きに突出する鉤部151,152を含む。より具体的には、鉤部151,152は、第1の基部11から立ち上がる共通の立上部15Aと、立上部15Aから両側にそれぞれ突出する突出部151B,152Bとを含む。突出部152Bは、先端に形成される返し部152B2を含む。
【0010】
一方、雌型係合部13Bは、内向きに突出する鉤部153,154を含む。より具体的には、鉤部153は、第2の基部12から立ち上がる立上部153Aと、立上部153Aから突出する突出部153Bを含む。突出部153Bは、立上部153Aに続いて形成される屈曲部153B1と、屈曲部153B1の先端に形成される返し部153B2とを含む。鉤部154は、第2の基部12から立ち上がる立上部154Aと、立上部154Aから突出する突出部154Bとを含む。突出部154Bは、立上部154Aに続いて形成される屈曲部154B1と、屈曲部154B1の先端に形成される返し部154B2とを含む。
【0011】
なお、本明細書において「外向き」および「内向き」は、ジッパーテープ10の幅方向について定義される。図示された例において、雄型係合部13Aについては、単一の立上部15Aから離れる向きが「外向き」になる。一方、雌型係合部13Bについては、2つの立上部153A,154Aに挟まれた内側空間に向かう向き、つまり立上部153A,154Aの一方から他方に向かう向きが「内向き」になる。
【0012】
図示されているように、雄型係合部13Aおよび雌型係合部13Bは、雄型係合部13Aが雌型係合部13Bの内側に嵌合するように構成されている。雄型係合部13Aと雌型係合部13Bとが係合したときには、雄型係合部13Aの鉤部151と雌型係合部13Bの鉤部153とが互いに係合し、また雄型係合部13Aの鉤部152と雌型係合部13Bの鉤部154とが互いに係合する。なお、ここまでの構成は、図2に示す一般的なジッパーテープ90でも同様である。
【0013】
本実施形態に係るジッパーテープ10では、以下で説明する構成のうち1つ、2つ以上、またはすべてを採用することによって、雄型係合部13Aと雌型係合部13Bとを係合させるために必要とされる力が30N/15mm以上100N/15mm以下になっている。以下の説明では、雄型係合部13Aと雌型係合部13Bとを係合させるために必要とされる力をジッパーテープ10の閉止強度ともいう。閉止強度は、ジッパーテープを15mm幅にカットし、雄型係合部13Aと雌型係合部13Bとが係合していない状態で第1の基部11と第2の基部12とを対向させ、第2の基部12の雌型係合部13Bとは反対側の面を台などに載せて固定した上で、第1の基部11の雄型係合部13Aとは反対側の面に圧縮力を加え、雄型係合部13Aと雌型係合部13Bとが係合するまでに加えられた圧縮力の最大値を測定することによって算出することができる。圧縮力は、例えば、株式会社イマダ製のデジタルフォースゲージを用いて測定することができるが、この例には限定されない。
【0014】
図2に示す一般的なジッパーテープ90の場合、閉止強度は10N/15mmから20N/15mm程度である。本実施形態に係るジッパーテープ10の閉止強度は30N/15mm以上であるため、一般的なジッパーテープ90に比べて係合部が閉じにくい。つまり、ジッパーテープ10では、係合部の間に介挿するフィルムのような追加の部材がなくても、係合部が閉じることを防止できる。ジッパーテープ10の閉止強度は、好ましくは35N/15mm以上であり、より好ましくは40N/15mm以上である。ジッパーテープ10が後述するような改ざん防止用途で使用される場合は、閉止強度は50N/15mm以上であってもよく、好ましくは60N/15mm以上である。
【0015】
一方、ジッパーテープ10でも、閉止強度が100N/15mm以下であることによって、最終的には係合部を閉じることができる。例えば、ジッパーテープ10は、後述するように容器本体に取り付けられた後に、第1の基部11または第2の基部12のいずれかの側を台などに載せて固定するなどの特定の状況でのみ閉じられるように設計されていてもよい。ジッパーテープ10の閉止強度は、好ましくは85N/15mm以下であり、より好ましくは70N/15mm以下である。ジッパーテープ10が後述するような改ざん防止用途で使用される場合であって、例えば一度開かれた係合部を閉じる必要がないような場合には、閉止強度に上記のような上限はないが、最初に係合部を閉じるために例えば閉止強度を200N/15mm以下としてもよい。
【0016】
本実施形態に係るジッパーテープ10の閉止強度を30N/15mm以上100N/15mm以下にするために採用されうる構成について、以下で説明する。図示された例では以下の構成(1)~(5)がすべて採用されているが、本発明の実施形態はこのような例には限定されない。既に述べたように、構成(1)~(5)のうち1つだけが採用されてもよいし、複数が採用されてもよいし、すべてが採用されてもよい。
【0017】
(1)斜め立上部の幅
本実施形態に係るジッパーテープ10では、雌型係合部13Bに含まれる鉤部154の斜め立上部の幅d1が0.35mm以上である。上述のように、鉤部154は、立上部154Aと突出部154Bとを含む。立上部154Aは、雌型係合部13Bと第2の基部12との接続領域から第2の基部12に対して斜めに立ち上がる第1の立上部154A1と、第1の立上部154A1に続いて、第2の基部12に対して第1の立上部154A1よりも垂直に近い角度で立ち上がる第2の立上部154A2とを含む。突出部154Bの屈曲部154B1は、第2の立上部154A2に続いて形成される。本実施形態では、第2の基部12に対して斜めに立ち上がる第1の立上部154A1の幅d1が、0.35mm以上である。幅d1は、第1の立上部154A1の立ち上がりの方向に対して垂直な方向の寸法であり、第1の立上部154A1の中で幅が変化する場合は、幅が最も大きい部分で幅d1が定義される。一般的なジッパーテープ90において、第1の立上部154A1の幅d1は0.35mm未満である。幅d1をより大きくすることによって、閉止強度を高めることができる。ジッパーテープ10において、第1の立上部154A1の幅d1は、好ましくは0.4mm以上であり、より好ましくは0.45mm以上であり、さらに好ましくは0.5mm以上であり、特に好ましくは0.6mm以上である。また、閉止強度を適切な範囲にするために、ジッパーテープ10における第1の立上部154A1の幅d1は、例えば1.0mm以下であり、好ましくは0.9mm以下であり、より好ましくは0.8mm以下である。上記のような第1の立上部154A1は、後述するようにジッパーテープ10が容器本体に取り付けられたジッパーテープ付き容器において、容器の開口側または収納空間側のどちらに位置してもよいが、開口側に第1の立上部154A1を配置することが好ましく、開口側および収納空間側の両方に第1の立上部154A1を配置することがより好ましい。
【0018】
(2)雌型係合部の接続領域の最小幅
本実施形態に係るジッパーテープ10では、雌型係合部13Bと第2の基部12との接続領域の最小幅d2が1.0mm以上1.8mm以下である。ここで、接続領域は、雌型係合部13Bの立上部153A,154Aが第2の基部12から立ち上がる部分で、ジッパーテープ10の幅方向について、立上部153A,154Aの外側同士の距離が他の部分よりも小さくなった、つまりくびれた領域である。一般的なジッパーテープ90において、接続領域の最小幅d2は1.0mm未満である。最小幅d2をより大きくすることによって、閉止強度を高めることができる。ジッパーテープ10において、雌型係合部13Bと第2の基部12との接続領域の最小幅d2は、好ましくは1.1mm以上であり、より好ましくは1.2mm以上である。また、閉止強度を適切な範囲にするために、ジッパーテープ10における最小幅d2は1.8mm以下であり、好ましくは1.7mm以下であり、より好ましくは1.6mm以下である。
【0019】
(3)斜め立上部の長さ
本実施形態に係るジッパーテープ10では、雌型係合部13Bに含まれる鉤部154の斜め立上部、すなわち上記(1)で説明した第1の立上部154A1の、立ち上がりの方向に沿った長さd3が、0.4mm以下である。一般的なジッパーテープ90において、第1の立上部154A1の長さd3は0.4mmを超えている。長さd3をより短くすることによって、閉止強度を高めることができる。ジッパーテープ10において、第1の立上部154A1の長さd3は、好ましくは0.35mm以下であり、より好ましくは0.3mm以下である。長さd3の下限は、特に限定されない。
【0020】
(4)雌型係合部の屈曲部外側の角度
本実施形態に係るジッパーテープ10では、雌型係合部13Bの屈曲部153B1,154B1の外側の角度θ1が、145°以上である。上述のように、雌型係合部13Bの鉤部153,154の先端部には屈曲部153B1,154B1が形成される。この屈曲部153B1,154B1の外側には、雄型係合部13Aが雌型係合部13Bの内側に嵌合しようとするときに、雄型係合部13Aの鉤部151,152に接触する面が形成される。以下では、これらの面を接触面153C,154Cとする。本実施形態では、接触面153C,154Cが雌型係合部13Bの外側、すなわち鉤部153,154の間にある雌型係合部13Bの内側空間とは反対側でなす角度θ1が、145°以上である。一般的なジッパーテープ90において、角度θ1は145°未満である。角度θ1をより大きくすることによって、閉止強度を高めることができる。ジッパーテープ10において、角度θ1は、好ましくは150°以上であり、より好ましくは160°以上である。また、角度θ1の上限値は特に限定されず、180°を超えてもよいが、例えば200°以下である。
【0021】
(5)雌型係合部の接続領域の厚さ
本実施形態に係るジッパーテープ10では、鉤部153,154の間にある雌型係合部13Bの内部空間から、第2の基部12の雌型係合部13Bとは反対側の面までの最短距離d4が0.50mm以上である。この距離d4は、雌型係合部13Bと第2の基部12との接続領域の、第2の基部12を含んだ厚さである。一般的なジッパーテープ90において、距離d4は0.50mm未満である。距離d4をより大きくすることによって、閉止強度を高めることができる。ジッパーテープ10において、距離d4は、好ましくは0.51mm以上であり、より好ましくは0.52mm以上である。距離d4の上限値は特に限定されないが、例えば1.00mm以下である。
【0022】
(6)雄側係合部の傾斜面がなす角度
本実施形態に係るジッパーテープ10では、雄型係合部13Aの鉤部151,152の間に形成される傾斜面がなす角度θ2が、140°以上である。雄型係合部13Aの鉤部151,152の間には、鉤部151の突出部151Bに連続する傾斜面151Cと、鉤部152の突出部152Bに連続する傾斜面152Cとによって山形が形成されている。なお、傾斜面151Cと傾斜面152Cとの接続部分、つまり山形の頂部は、角張っていてもよいし、図示された例のように丸みを帯びていてもよい。傾斜面151Cと傾斜面152Cとが雄型係合部13A側(つまり、山形の内角側)でなす角度θ2が、140°以上である。一般的なジッパーテープ90において、角度θ2は140°未満である。角度θ2をより大きくすることによって、閉止強度を高めることができる。ジッパーテープ10において、角度θ2は、好ましくは145°以上であり、より好ましくは150°以上である。角度θ2の上限値は特に限定されず、180°を超えてもよいが、例えば300°以下である。
【0023】
上述したようなジッパーテープ10は、ポリオレフィン系樹脂、具体的には例えばポリプロピレンを主成分とする樹脂組成物で形成される。この樹脂組成物は、低密度ポリエチレン(LDPE)、または直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含んでもよい。LDPEまたはLLDPEの少なくとも一部は、バイオポリエチレンであってもよい。第1の樹脂組成物の主成分であるポリオレフィン系樹脂は、化石燃料由来の樹脂には限られず、環境に配慮したバイオプラスチック(バイオマス由来のバイオポリプロピレンやバイオポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂)であってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオプラスチックの混合物であってもよい。第1の樹脂組成物には、必要に応じて、公知の添加剤、例えば安定剤、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、または着色剤などが添加されてもよい。ジッパーテープ10は、必ずしも全体が同じ樹脂組成物で形成されなくてもよく、例えば、第1の基部11および第2の基部12を形成する樹脂組成物と、雄型係合部13Aおよび雌型係合部13Bを形成する樹脂組成物とが異なっていてもよい。
【0024】
雄型係合部13Aおよび雌型係合部13Bを形成する樹脂組成物の成分によって、雄型係合部13Aおよび雌型係合部13Bの剛性は変化し、それによってジッパーテープ10の閉止強度も変化する。本実施形態では、上記の構成(1)~(5)を、例えば雄型係合部13Aおよび雌型係合部13Bを形成する樹脂組成物の成分に応じて選択的に採用することによって、ジッパーテープ10の閉止強度を30N/15mm以上100N/15mm以下にしている。
【0025】
図3は、図1に示したジッパーテープを含むジッパーテープ付き容器の平面図である。図示された例において、ジッパーテープ付き容器100は、収納空間SPに面する第1面111Aおよび第2面111Bを有するフィルム110によって形成される袋状の容器本体と、ジッパーテープ10とを含む。ジッパーテープ10は、第1の基部11が第1面111Aに、第2の基部12が第2面111Bに、それぞれ接合されることによって容器本体に取り付けられる。
【0026】
なお、図示された例では、2枚のフィルム110がボトムシール部112およびサイドシール部113で互いに接合されることによって袋状の容器本体を形成しているが、他の例では1枚のフィルム110がサイドシール部113に対応する部分で折り返されることによって袋状の容器本体を形成してもよい。また、ボトムシール部112またはサイドシール部113に対応する部分でフィルム110が内側に折り込まれた部分、いわゆるガセットが形成されてもよい。この場合、ガセットは、フィルム110によって形成されてもよいし、フィルム110に接合された別のフィルムによって形成されてもよい。ジッパーテープ付き容器100は、底部にガセットが形成されることによって立てて置くことが可能なスタンディングパウチであってもよい。また、図示された例ではジッパーテープ10に対して収納空間SPとは反対側にではフィルム110の第1面111Aと第2面111Bとの間が接合されずに開口101が形成されているが、この部分でも第1面111Aと第2面111Bとの間が接合されてトップシール部が形成され、トップシール部とジッパーテープ10との間を切断することによって事後的に開口が形成されてもよい。
【0027】
上記の例において、フィルム110は、例えば単層または多層の熱可塑性樹脂で形成される。より具体的には、フィルム110は、例えばポリプロピレンまたは高密度ポリエチレン(HDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、で形成される。ポリプロピレンは、例えばホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、またはブロックポリプロピレン(BPP)である。フィルム110が多層である場合、表基材に二軸延伸ポリプロピレン(OPP)、二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(OPET)、または二軸延伸ナイロン(ONy)を用いてもよい。これらは、化石燃料由来の樹脂には限られず、環境に配慮したバイオプラスチック(バイオマス由来のバイオポリプロピレンやバイオポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂)であってもよいし、化石燃料由来の樹脂とバイオプラスチックの混合物であってもよい。フィルム110は、アルミニウム蒸着やアルミニウム箔の積層などによって形成された無機材料層を含んでもよい。
【0028】
上記のようなジッパーテープ付き容器100では、ジッパーテープ10の閉止強度が30N/15mm以上100N/15mm以下であり、一般的なジッパーテープに比べて係合部が閉じにくい。従って、例えばジッパーテープ10の係合部が開いた状態でジッパーテープ付き容器100を搬送する場合に、係合部の間に介挿するフィルムのような追加の部材がなくても係合部が閉じるのを防止し、その後に開放されたジッパーテープ10の間から収納空間SPに内容物を封入して、係合部を閉じることができる。
【0029】
あるいは、上記のようなジッパーテープ付き容器100を用いた改ざん防止方法が実施されてもよい。ジッパーテープ10では閉止強度が30N/15mm以上に設定されるため、通常想定される力、例えば人間が第1面111Aおよび第2面111Bの外側からジッパーテープ10を挟み込んで閉じようとした場合に加えられる力よりも大きい閉止強度を設定することができる。この場合、ジッパーテープ10の係合部は、一度開かれると、簡単には閉じることができない。従って、例えば何者かによって内容物が改ざんされた場合にはジッパーテープ10の係合部が開いたままになるため、改ざんを検知することができる。
【実施例0030】
本発明の実施例および比較例として、以下の表1に示すような形状の係合部が形成されたジッパーテープについて、閉止強度、すなわち雄型係合部と雌型係合部とを係合させるために必要とされる力を測定した。本実施例において、閉止強度は、ジッパーテープを15mm幅にカットし、係合部が係合していない状態で基部を対向させ、雌側の基部の係合部とは反対側の面を台に載せて固定した上で、雄側の基部の係合部とは反対側の面に圧縮力を加え、係合部が係合するまでに加えられた圧縮力の最大値を、株式会社イマダ製のデジタルフォースゲージ(機種名:ZTS-200N)を用いて測定することによって算出した。
【0031】
なお、表中の幅d1、最小幅d2、長さd3、距離d4、角度θ1および角度θ2は、いずれも上記で図1を参照して説明した係合部の各部の寸法および角度を意味する。
【0032】
【表1】
【0033】
上記の結果によって、本発明の実施形態として説明したジッパーテープの係合部の構成がジッパーテープの閉止強度を高めるために有効であることが示された。
【0034】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれらの例に限定されない。本発明の属する技術の分野の当業者であれば、請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0035】
10…ジッパーテープ、11…第1の基部、12…第2の基部、13A…雄型係合部、
13B…雌型係合部、151,152,153,154…鉤部、15A,153A,
154A…立上部、154A1…第1の立上部、154A2…第2の立上部、
151B,152B,153B,154B…突出部、153B1,154B1…屈曲部、
152B2,153B2,154B2…返し部、151C,152C…傾斜面、
153C,154C…接触面、100…ジッパーテープ付き容器、101…開口、
110…フィルム、111A…第1面、111B…第2面、112…ボトムシール部、
113…サイドシール部、SP…収納空間。
図1
図2
図3