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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007563
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】乾燥システム及び乾燥方法
(51)【国際特許分類】
   F26B 17/10 20060101AFI20230112BHJP
   F26B 3/08 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
F26B17/10 C
F26B3/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110482
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】503245465
【氏名又は名称】株式会社アーステクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100118784
【弁理士】
【氏名又は名称】桂川 直己
(72)【発明者】
【氏名】上野 明紀
【テーマコード(参考)】
3L113
【Fターム(参考)】
3L113AA07
3L113AB04
3L113AC07
3L113AC45
3L113AC48
3L113AC57
3L113AC65
3L113AC67
3L113AC75
3L113AC79
3L113AC86
3L113BA02
3L113CB28
3L113DA11
3L113DA22
(57)【要約】
【課題】メンテナンスの頻度が低く、粉粒体を適切に乾燥させることが可能な乾燥システムを提供する。
【解決手段】乾燥システム1は、気流乾燥機21と、貯留部23と、流動層乾燥機25と、供給切替部24と、を備える。気流乾燥機21は、乾燥用経路21aを有しており、乾燥用経路21aに、乾燥の対象物である粉粒体と、粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより粉粒体を乾燥させる。貯留部23は、気流乾燥機21で乾燥された粉粒体を一時的に貯留する。流動層乾燥機25は、気流乾燥機21よりも下流側に設けられており、乾燥空間を有しており、乾燥空間に収容された粉粒体を流動させて乾燥させる。供給切替部24は、貯留部23から流動層乾燥機25に繋がる経路を閉鎖することで粉粒体を流動層乾燥機25に供給せずに貯留を維持する閉鎖状態と、貯留部23に貯留された粉粒体を流動層乾燥機25に供給する供給状態と、を切替可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乾燥用経路を有しており、前記乾燥用経路に、乾燥の対象物である粉粒体と、前記粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより前記粉粒体を乾燥させる気流乾燥機と、
前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を一時的に貯留する貯留部と、
前記気流乾燥機よりも下流側に設けられており、乾燥空間を有しており、前記乾燥空間に収容された前記粉粒体を流動させて乾燥させる流動層乾燥機と、
前記貯留部から前記流動層乾燥機に繋がる経路を閉鎖することで前記粉粒体を前記流動層乾燥機に供給せずに貯留を維持する閉鎖状態と、前記貯留部に貯留された前記粉粒体を前記流動層乾燥機に供給する供給状態と、を切替可能な供給切替部と、
を備えることを特徴とする乾燥システム。
【請求項2】
請求項1に記載の乾燥システムであって、
前記貯留部の下方に前記流動層乾燥機が位置することを特徴とする乾燥システム。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の乾燥システムであって、
吸引流を発生させる吸引ファンと、
前記流動層乾燥機に前記吸引流を作用させることで前記粉粒体の乾燥用の気体を排出する排気状態と、前記吸引ファンと前記流動層乾燥機を接続する経路を閉鎖して当該吸引流を流動層乾燥機に作用させない閉鎖状態と、を切替可能な排気切替弁と、
前記供給切替部及び前記排気切替弁を動作させる指示装置と、
を備え、
前記指示装置は、前記排気切替弁が前記排気状態から前記閉鎖状態に切り替わった後に、前記供給切替部を前記閉鎖状態から前記供給状態に切り替えることを特徴とする乾燥システム。
【請求項4】
請求項3に記載の乾燥システムであって、
前記流動層乾燥機から前記粉粒体を排出する経路を閉鎖する閉鎖状態と、前記流動層乾燥機から前記粉粒体を排出する経路を開放する排出状態と、を切替可能な排出切替部を備え、
前記指示装置は、前記排気切替弁が前記排気状態から前記閉鎖状態に切り替わった後であって、かつ、前記排出切替部が前記排出状態から前記閉鎖状態に切り替わった後に、新たな前記粉粒体が前記流動層乾燥機に供給されるように前記供給切替部を前記閉鎖状態から前記供給状態に切り替えることを特徴とする乾燥システム。
【請求項5】
請求項1から4までの何れか一項に記載の乾燥システムであって、
前記粉粒体は造粒装置により生成された造粒物であり、前記造粒装置が生成した前記造粒物が連続的に前記気流乾燥機に送られることを特徴とする乾燥システム。
【請求項6】
請求項1から5までの何れか一項に記載の乾燥システムであって、
前記気流乾燥機と前記流動層乾燥機に供給する空気を加熱するヒータを備え、
前記ヒータが加熱した第1高温気体が前記気流乾燥機に供給され、前記第1高温気体に外気を混合させて温度を低下させた第2高温気体が前記流動層乾燥機に供給されることを特徴とする乾燥システム。
【請求項7】
気流乾燥機に形成された乾燥用経路に、乾燥の対象物である粉粒体と、前記粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより前記粉粒体を乾燥させる気流乾燥工程と、
前記気流乾燥工程で乾燥された前記粉粒体を貯留部に貯留する貯留工程と、
前記貯留部に貯留された前記粉粒体を流動層乾燥機に供給する供給工程と、
乾燥空間を有する流動層乾燥機を用いて、前記乾燥空間に収容された前記粉粒体を流動させて乾燥させる流動層乾燥工程と、
を含むことを特徴とする乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として、粉粒体を乾燥させる乾燥システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、連続的に粉粒体を乾燥する流動層乾燥装置を開示する。流動層乾燥装置は、隔壁によって区画される複数の処理室を有する。各処理室では、粉粒体が順次投入されるとともに、乾燥が完了した粉粒体が順次排出される。
【0003】
特許文献2は、流動層乾燥機の上部に気流乾燥機を設けた乾燥装置を開示する。気流乾燥装置によって乾燥された材料は、更に流動層乾燥機によって乾燥される。
【0004】
特許文献3は、気流乾燥管と乾燥機とを備える装置を開示する。気流乾燥管には熱風が流れており、気流乾燥管に被乾燥物を流すことで被乾燥物を乾燥させる。気流乾燥管で一次乾燥された被乾燥物は乾燥機に投入される。乾燥機では、過熱水蒸気雰囲気において被乾燥物を流動させることにより、被乾燥物を乾燥させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-125697号公報
【特許文献2】実開昭61-60088号公報
【特許文献3】特開2009-133591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の流動層乾燥装置では、水分量が多い状態の粉粒体が処理室に供給されるため、処理室の内壁に粉粒体が付着し易い。そのため、処理室の内壁を清掃するメンテナンスを高い頻度で行う必要がある。特許文献2及び3の装置では、流動層乾燥機/乾燥室に被乾燥物を連続的に供給する場合、被乾燥物の乾燥にムラが生じ、乾燥が十分に行われない可能性がある。
【0007】
本発明は以上の事情に鑑みてされたものであり、その主要な目的は、メンテナンスの頻度が低く、粉粒体を適切に乾燥させることが可能な乾燥システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本発明の第1の観点によれば、以下の構成の乾燥システムが提供される。即ち、乾燥システムは、気流乾燥機と、貯留部と、流動層乾燥機と、供給切替部と、を備える。前記気流乾燥機は、乾燥用経路を有しており、前記乾燥用経路に、乾燥の対象物である粉粒体と、前記粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより前記粉粒体を乾燥させる。前記貯留部は、前記気流乾燥機で乾燥された前記粉粒体を一時的に貯留する。前記流動層乾燥機は、前記気流乾燥機よりも下流側に設けられており、乾燥空間を有しており、前記乾燥空間に収容された前記粉粒体を流動させて乾燥させる。前記供給切替部は、前記貯留部から前記流動層乾燥機に繋がる経路を閉鎖することで前記粉粒体を前記流動層乾燥機に供給せずに貯留を維持する閉鎖状態と、前記貯留部に貯留された前記粉粒体を前記流動層乾燥機に供給する供給状態と、を切替可能である。
【0010】
本発明の第2の観点によれば、以下の乾燥方法が提供される。即ち、乾燥方法は、気流乾燥工程と、貯留工程と、供給工程と、流動層乾燥工程と、を含む。前記気流乾燥工程では、気流乾燥機に形成された乾燥用経路に、乾燥の対象物である粉粒体と、前記粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより前記粉粒体を乾燥させる。前記貯留工程では、前記気流乾燥工程で乾燥された前記粉粒体を貯留部に貯留する。前記供給工程では、前記貯留部に貯留された前記粉粒体を流動層乾燥機に供給する。前記流動層乾燥工程では、乾燥空間を有する流動層乾燥機を用いて、前記乾燥空間に収容された前記粉粒体を流動させて乾燥させる。
【0011】
これにより、気流乾燥機で乾燥されて水分量が低下した粉粒体が流動層乾燥機に供給されるので、流動層乾燥機の内壁に粉粒体が付着しにくい。また、気流乾燥機では、経路内の気体の流速が速く、気体に対して粉粒体の濃度が低いので、粉粒体の表面がすぐに乾燥し、経路の内壁に粉粒体が付着しにくい。以上により、上記の乾燥システムでは、気流乾燥機及び流動層乾燥機の両方についてメンテナンスの頻度が少なくなる。また、気流乾燥機で乾燥された粉粒体を集めて流動層乾燥機に供給するため、粉粒体を均一に乾燥することができるため、粉粒体を適切に乾燥させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、メンテナンスの頻度が低く、粉粒体を適切に乾燥させることが可能な乾燥システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の乾燥システムにおいて、流動層乾燥機で乾燥中の状態を示す図。
図2】第1実施形態の乾燥システムにおいて、流動層乾燥機で乾燥した粉粒体を排出する状態を示す図。
図3】第1実施形態の乾燥システムにおいて、流動層乾燥機に新たな粉粒体を供給する状態を示す図。
図4】指示装置が行う処理を示すフローチャート。
図5】第2実施形態の乾燥システムの構成を示す図。
図6】第3実施形態の乾燥システムの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。初めに、図1から図3を参照して、第1実施形態の乾燥システム1について説明する。
【0015】
乾燥システム1は、粉粒体を乾燥するための複数の装置を含んで構成されている。粉粒体とは、粉体、粒体(造粒品を含む)、及び、粉体と粒体の混合物を示す用語である。粉粒体は、医薬品又は食品であってもよいし、それ以外の物であってもよい。以下の説明では、粉粒体又は気体の流れの上流/下流を単に上流/下流と称することがある。
【0016】
図1に示すように、乾燥システム1は、供給部10と、乾燥部20と、送風部30と、排出処理部40と、を備える。
【0017】
供給部10は、乾燥の対象物である粉粒体を乾燥部20に供給する。供給部10が供給する粉粒体は多くの水分を含んでいる。供給部10は、粉粒体を貯留する部分と、粉粒体を連続的に送り出す部分と、を備える。この構成により、供給部10は、粉粒体を連続的に乾燥部20に供給する。
【0018】
乾燥部20は、供給部10が供給した粉粒体を乾燥する。乾燥部20は、気流乾燥機21と、第1捕集器22と、貯留部23と、供給切替部24と、流動層乾燥機25と、排出切替部26と、第1回収容器27と、を備える。
【0019】
気流乾燥機21は、ハウジングを有しており、ハウジング内に乾燥用経路21aが形成されている。乾燥用経路21aは細長い経路であり、経路長を長くするために湾曲状、円弧状、又は折り返し状の部分等を含んでいる。供給部10が供給した粉粒体は乾燥用経路21aを流れる。また、乾燥用経路21aには、更に、送風部30(詳細は後述)が供給した高温気体が流れる。これにより、粉粒体が高温気体とともに乾燥用経路21aを流れることにより、粉粒体が乾燥(一次乾燥)される。
【0020】
第1捕集器22は、サイクロン方式の分離器であり、合流した状態で流れる粉粒体と高温気体とを分離させる。第1捕集器22を経由することで分離された粉粒体は下方の貯留部23に落下して貯留される。また、第1捕集器22を経由することで分離された高温気体は排出処理部40(詳細は後述)によって外部に排出される。
【0021】
貯留部23はホッパ状の容器であり、第1捕集器22で分離された粉粒体が一時的に貯留される。貯留部23の下部には粉粒体を供給するための供給孔が形成されており、貯留部23の供給孔は供給切替部24によって閉鎖可能に構成されている。貯留部23はホッパ状の容器に限られず、粒状体を排出可能な適宜の形状の容器であってもよい。
【0022】
貯留部23の下方には供給切替部24が配置されている。供給切替部24は、貯留部23の供給孔を閉鎖することで、貯留部23に貯留された粉粒体を流動層乾燥機25に供給せずに貯留を維持する閉鎖状態(図1図2)と、貯留部23の供給孔を開放することで貯留部23に貯留された粉粒体を流動層乾燥機25に供給する供給状態(図3)と、を切替可能である。
【0023】
供給切替部24の動作は、指示装置100によって制御されている。指示装置100は、CPU、ROM、RAM等を備える。指示装置100は、ROMに記憶されたプログラムをRAMに読み出して実行することにより、乾燥システム1に関する制御を行うことができる。本実施形態では、供給切替部24は、モータ又はシリンダ等のアクチュエータにより動作する。指示装置100は、このアクチュエータに指示を行うことにより、供給切替部24を閉鎖状態と供給状態とに切替可能である。
【0024】
供給切替部24の下方には流動層乾燥機25が配置されている。流動層乾燥機25は、気流乾燥機21によって一次乾燥された粉粒体を更に乾燥させるための二次乾燥を行う。流動層乾燥機25は、二次乾燥を行うための空間である乾燥空間を有する。流動層乾燥機25は容器状であり、その内部が乾燥空間である。また、流動層乾燥機25には、送風部30によって高温気体が供給される。高温気体は流動層乾燥機25の乾燥空間の下部から上方に向けて供給される。これにより、粉粒体が乾燥空間内で流動するため、粉粒体を乾燥させることができる。
【0025】
一次乾燥と二次乾燥で除去される水分量の比率は特に限定されないが、本実施形態では、一次乾燥で除去される水分量が二次乾燥で除去される水分量より多い。なぜなら、粉粒体の水分割合が低くなるにつれて水分を除去することが困難になるからである。ただし、一次乾燥で除去される水分量が二次乾燥で除去される水分量より少なくてもよい。
【0026】
流動層乾燥機25による二次乾燥が完了した粉粒体は、下方の第1回収容器27に排出される。具体的には、流動層乾燥機25の下部には粉粒体を下方へ排出するための排出孔(経路)が形成されている。流動層乾燥機25の排出孔は、排出切替部26によって閉鎖されている。具体的には、排出切替部26は、排出孔を閉鎖して粉粒体が排出されない閉鎖状態(図1図3)と、排出孔を開放することで流動層乾燥機25にある乾燥が完了した粉粒体を第1回収容器27に排出する排出状態(図2)と、を切替可能である。排出切替部26の動作は、指示装置100によって制御されている。なお、第1回収容器27に代えて、粉粒体を次工程に送るための輸送装置(コンベア又は吸引装置)が設けられていてもよい。
【0027】
ここで、気流乾燥機21は連続式の乾燥装置である。連続式とは、粉粒体が連続して供給されており、供給された粉粒体を貯留することなく送り出しながら乾燥させて、粉粒体を排出する方式である。
【0028】
これに対し、流動層乾燥機25はバッチ式である。バッチ式とは予め定められた所定量を1単位として、1単位の粉粒体をまとめて乾燥させる方式である。そのため、初めに、所定量の粉粒体が流動層乾燥機25に供給され、粉粒体の供給が完了した後に乾燥が開始する。そして、乾燥の完了後、流動層乾燥機25に供給された全て(即ち、所定量)の粉粒体がまとめて第1回収容器27に排出される。
【0029】
つまり、気流乾燥機21が連続的に粉粒体を排出する一方で、流動層乾燥機25は粉粒体を連続的に乾燥させる構成ではない。なお、粉粒体を連続的に流動層乾燥機に供給すると、乾燥の程度が異なる粉粒体が混合されるので、乾燥ムラが生じるため好ましくない。
【0030】
この点、本実施形態では、貯留部23を設けることにより、連続して供給された粉粒体を一時的に貯留できる。また、この粉粒体は一次乾燥が完了しているので、粉粒体同士が一体化しにくい。その後、所定量の粉粒体が貯留部23に貯留された後に、粉粒体が流動層乾燥機25に供給される。これにより、連続式の乾燥とバッチ式の乾燥を両立できる。また、この粉粒体は一次乾燥が完了しているので、流動層乾燥機25の内壁に粉粒体が付着しにくい。従って、メンテナンスの頻度を低くすることができる。
【0031】
上述したように、気流乾燥機21から貯留部23に連続的に粉粒体が供給され、単位時間あたりに貯留部23に供給される粉粒体の量は一定である。また、流動層乾燥機25で二次乾燥が行われる上述の1単位は一定である。従って、本実施形態の指示装置100は、予め定められたタイムスケジュールに沿って、供給切替部24の状態を切り替える。また、流動層乾燥機25で二次乾燥が行われる時間も一定である。従って、指示装置100は、予め定められたタイムスケジュールに沿って、排出切替部26の状態を切り替える。
【0032】
送風部30は、乾燥部20に乾燥用の気体を送出する。送風部30は、エアフィルタ31と、外気調整弁32と、送風ファン33と、ヒータ34と、第1高温気体調整弁35と、第2高温気体調整弁36と、第3高温気体調整弁37と、第4高温気体調整弁38と、を備える。本実施形態では乾燥用空気として外気を用いるが、別の気体を用いてもよいし、外気に別の気体を混合してもよい。
【0033】
エアフィルタ31は外気に含まれる塵及びゴミ等を取り除く。外気調整弁32は、気体の吸引量を調整したり気体の吸引の有無を調整したりすることができる。送風ファン33は、気体を乾燥部20に向けて送出する。
【0034】
送風部30が送出した気体は、ヒータ34で加熱されて第1高温気体となる。高温気体は、第1高温気体調整弁35を介して気流乾燥機21に送られるとともに、第2高温気体調整弁36を介して流動層乾燥機25に送られる。また、送風部30が送出した気体は、ヒータ34を通過しない経路を介して、流動層乾燥機25に送られる。つまり、流動層乾燥機25には、ヒータ34を通過した気体(高温気体)と、ヒータ34を通過しない気体(常温気体、外気)と、が供給される。
【0035】
一般的には、気流乾燥機21では比較的高い温度の気体が用いられる。これに対し、流動層乾燥機25では、気流乾燥機21と比較して温度が低い気体が用いられる。仮に、気流乾燥機21に供給する気体を加熱する高出力のヒータと、流動層乾燥機25に供給する気体を加熱する低出力のヒータと、を設ける場合、ヒータに掛かるコストが高くなる。この点、本実施形態では、気流乾燥機21には、ヒータ34を通過した気体のみが供給されるので、気流乾燥機21には比較的高い第1高温気体が供給される。一方、流動層乾燥機25にはヒータ34を通過した第1高温気体と、ヒータ34を通過していない外気と、を混合した第2高温気体が供給されるので比較的低い温度の気体が供給される。これにより、ヒータを2台設けることなく、気流乾燥機21と流動層乾燥機25に適切な温度の気体を供給できる。
【0036】
なお、第2高温気体調整弁36の開度を変更することにより、高温気体と常温気体の混合割合を変更することができる。例えば、図略の温度センサの検出結果に基づいて、第2高温気体調整弁36の開度を変更することにより、流動層乾燥機25に供給する気体の温度を安定させることができる。
【0037】
第2高温気体を流動層乾燥機25に供給する経路には分岐が形成されている。分岐された経路の一方である供給経路61は、流動層乾燥機25に接続される。分岐された経路の他方であるバイパス経路62は、流動層乾燥機25を経由せずに排出処理部40に接続される。流動層乾燥機25に供給された第2高温気体は、フィルタ及び排出経路63を介して排出処理部40へ排出される。
【0038】
供給経路61には、第3高温気体調整弁37が設けられている。第3高温気体調整弁37の開度を変更することにより、流動層乾燥機25に供給する第2高温気体の流量を調整できる。なお、第3高温気体調整弁37を閉鎖することにより、流動層乾燥機25に第2高温気体が供給されないようにすることができる。バイパス経路62には第4高温気体調整弁38が設けられている。第4高温気体調整弁38の開度を変更することにより、バイパス経路62を流れる第2高温気体の流量を調整できる。これにより、第2高温気体が流動層乾燥機25に流れる時と、第2高温気体がバイパス経路62を流れる時の第2高温気体の流量を同じにすることができる。
【0039】
排出処理部40は、粉粒体を移動させたり高温気体を排出するための吸引流を発生させる。排出処理部40は、吸引ファン41と、排気調整弁42と、第2捕集器43と、第2回収容器44と、排気切替弁45と、を備える。
【0040】
吸引ファン41は、吸引流を発生させる。吸引ファン41が発生させた吸引流の機能は、粉粒体を送ること、第1捕集器22で高温気体と粉粒体を分離する旋回流を発生させること、及び、流動層乾燥機25に供給された第2高温気体を排出することである。吸引ファン41は、排気調整弁42を介して第2捕集器43に接続されている。排気調整弁42の開度を変更することにより、吸引流を作用させる強さを調整できる。
【0041】
第2捕集器43は、バグフィルタ等と称されるフィルタ方式の分離器である。第2捕集器43は、第1捕集器22の高温気体の流れ方向の下流側に接続されている。第2捕集器43は、第1捕集器22で分離されずに高温気体に含まれている粉粒体を分離する。第2捕集器43を経由することで分離された粉粒体は第2回収容器44に貯留される。第2捕集器43を経由することで分離された高温気体は排出処理部40により排出される。
【0042】
第2捕集器43は、吸引経路64を介して、排気切替弁45に接続されている。排気切替弁45は、三方弁であり、吸引経路64、供給経路61、及びバイパス経路62に接続されている。排気切替弁45は、吸引経路64と供給経路61を接続する状態(排気状態、図1)と、吸引経路64とバイパス経路62を接続する状態(閉鎖状態、図2図3)と、を切替可能に構成されている。排気切替弁45が吸引経路64と排出経路63を接続した状態では、流動層乾燥機25に供給された第2高温気体が排出処理部40に排出される。また、排気切替弁45が吸引経路64とバイパス経路62を接続した状態では、流動層乾燥機25と吸引ファン41を接続する経路が閉鎖されることとなり、バイパス経路62に供給された第2高温気体が排出処理部40に排出される。
【0043】
次に、図4を更に参照して、粉粒体が乾燥される処理の流れを説明する。
【0044】
初めに、指示装置100は、供給切替部24を閉鎖状態にし、排出切替部26を閉鎖状態にし、バイパス経路62と吸引経路64を排気切替弁45に接続させて排気切替弁45を閉鎖状態にする(S101)。その後、指示装置100は、供給部10による粉粒体の供給を開始して、気流乾燥機21による粉粒体の一次乾燥を開始する(S101)。
【0045】
次に、指示装置100は、供給切替部24を閉鎖状態から供給状態に切り替えて、粉粒体を流動層乾燥機25に供給する(S102、図3)。このとき、排出切替部26が閉鎖状態であるため、供給した粉粒体が流動層乾燥機25から第1回収容器27に落下しない。更に、排気切替弁45が閉鎖状態であるため、流動層乾燥機25から排出処理部40へ向かう気体の流れが発生しないので、供給した粉粒体を適切に流動層乾燥機25に堆積させることができる。
【0046】
次に、指示装置100は、所定量の粉粒体を流動層乾燥機25に供給するために必要な時間(供給時間)の経過後に、供給切替部24を供給状態から閉鎖状態に切り替える(S103)。これにより、流動層乾燥機25に粉粒体が供給される状態から、貯留部23に粉粒体が貯留される状態に切り替わる。
【0047】
次に、指示装置100は、排出経路63と吸引経路64を排気切替弁45に接続させて排気切替弁45を排気状態にする(S104)。これにより、第2高温気体が流動層乾燥機25に供給されて流動層乾燥機25による二次乾燥が開始する(S104、図1)。
【0048】
次に、指示装置100は、乾燥時間の経過後、バイパス経路62と吸引経路64を排気切替弁45に接続させて排気切替弁45を閉鎖状態にする(S105)。これにより、第2高温気体は流動層乾燥機25に供給されずに排出処理部40に流れる。
【0049】
次に、指示装置100は、排出切替部26を閉鎖状態から排出状態に切り替えて、粉粒体を第1回収容器27に排出する(S106、図2)。このとき、排気切替弁45が閉鎖状態であるため、流動層乾燥機25から排出処理部40へ向かう気体の流れが発生しないので、第1回収容器27に排出する粉粒体の動きを抑えて、粉粒体を適切に第1回収容器27に排出できる。
【0050】
次に、指示装置100は、排出時間の経過後、排出切替部26を排出状態から閉鎖状態に切り替える(S107)。その後、指示装置100は、再びステップS102からS107の処理を行う。以上により、気流乾燥機21から連続的に供給される粉粒体をバッチ式の流動層乾燥機25で乾燥させることができる。
【0051】
次に、図5を参照して、第2実施形態の乾燥システム1について説明する。なお、第2実施形態及びそれ以降の説明においては、第1実施形態と同一又は類似の部材には図面に同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0052】
第1実施形態の供給部10は粉粒体を乾燥部20に供給するが、第2実施形態の供給部10は、粉体から生成された造粒物(粉粒体の一種)を乾燥部20に供給する。具体的には、供給部10は、粉体供給部11と、造粒部12と、を備える。粉体供給部11は、第1実施形態と同様に貯留部に貯留された粉体を供給する。造粒部12は、粉体供給部11が供給した粉体を攪拌等して造粒物を生成する。造粒部12は、生成した造粒物を連続的に気流乾燥機21に供給する。第1実施形態と第2実施形態では、乾燥の対象物が異なるだけであり、乾燥を行う処理の流れは同じである。
【0053】
なお、流動層乾燥機でバッチ式による造粒物の乾燥を行う場合、造粒物を貯留部23に貯留する間に、造粒物同士が一体化する可能性がある。この点、本実施形態では供給部10が供給した造粒物は連続的に気流乾燥機21で乾燥される。そのため、造粒物が貯留部23に貯留される時点では、造粒物の水分が低下しているため、造粒物同士が一体化しにくい。
【0054】
次に、図6を参照して、第3実施形態の乾燥システム1について説明する。
【0055】
第1実施形態の乾燥システム1は、1つの貯留部23と1つの流動層乾燥機25を備える構成である。これに代えて、第3実施形態の乾燥システム1は、二次乾燥に関係する装置(以下、二次乾燥装置28)を2セット備える。二次乾燥装置28は、第1捕集器22、貯留部23、供給切替部24、流動層乾燥機25、排出切替部26、第1回収容器27、第3高温気体調整弁37、及び第4高温気体調整弁38を含む。
【0056】
乾燥システム1は、更に乾燥先切替部29を備える。乾燥先切替部29は、気流乾燥機21の下流であって、第1捕集器22の上流に位置している。乾燥先切替部29は、気流乾燥機21が乾燥させた造粒物を一方の第1捕集器22に送る状態と、他方の第1捕集器22に送る状態と、を切替可能である。乾燥先切替部29の動作は指示装置100によって制御される。
【0057】
二次乾燥装置28を2セット備えることにより、一方の二次乾燥装置28で二次乾燥を行っている間に、他方の二次乾燥装置28に粉粒体を供給できる。従って、例えば流動層乾燥機25の乾燥時間が比較的長い場合等は、第3実施形態の乾燥システム1を採用することが好ましい。
【0058】
以上に説明したように、本実施形態の乾燥システム1は、気流乾燥機21と、貯留部23と、流動層乾燥機25と、供給切替部24と、を備え、以下の乾燥方法を行う。気流乾燥機21は、乾燥用経路21aを有しており、乾燥用経路21aに、乾燥の対象物である粉粒体と、粉粒体を乾燥させるための気体と、を流すことにより粉粒体を乾燥させる(気流乾燥工程)。貯留部23は、気流乾燥機21で乾燥された粉粒体を一時的に貯留する(貯留工程)。流動層乾燥機25は、気流乾燥機21よりも下流側に設けられており、乾燥空間を有しており、乾燥空間に収容された粉粒体を流動させて乾燥させる(流動層乾燥工程)。供給切替部24は、貯留部23から流動層乾燥機25に繋がる経路を閉鎖することで粉粒体を流動層乾燥機25に供給せずに貯留を維持する閉鎖状態と、貯留部23に貯留された粉粒体を流動層乾燥機25に供給する供給状態と、を切替可能であり、供給状態に切り替えることで粉粒体が供給される(供給工程)。
【0059】
これにより、気流乾燥機21で乾燥されて水分量が低下した粉粒体が流動層乾燥機25に供給されるので、流動層乾燥機25の内壁に粉粒体が付着しにくい。また、気流乾燥機21では、経路内の気体の流速が速く、気体に対して粉粒体の濃度が低いので、粉粒体の表面がすぐに乾燥し、経路の内壁に粉粒体が付着しにくい。以上により、本実施形態の乾燥システム1では、気流乾燥機21及び流動層乾燥機25の両方についてメンテナンスの頻度が少なくなる。また、気流乾燥機21で乾燥された粉粒体を集めて流動層乾燥機25に供給するため、粉粒体を均一に乾燥することができるため、粉粒体を適切に乾燥させることができる。
【0060】
本実施形態の乾燥システム1では、貯留部23の下方に流動層乾燥機25が位置する。
【0061】
これにより、重力を用いて粉粒体を貯留部23から流動層乾燥機25に供給できる。
【0062】
本実施形態の乾燥システム1は、吸引ファン41と、排気切替弁45と、指示装置100と、を備える。吸引ファン41は、吸引流を発生させる。排気切替弁45は、流動層乾燥機25に吸引流を作用させることで、粉粒体の乾燥用の気体を排出する排気状態と、吸引ファン41と流動層乾燥機25を接続する経路を閉鎖して吸引流を流動層乾燥機25に作用させない閉鎖状態と、を切替可能である。指示装置100は、供給切替部24及び排気切替弁45を動作させる。指示装置100は、排気切替弁45が排気状態から閉鎖状態に切り替わった後に、供給切替部24を閉鎖状態から供給状態に切り替える。
【0063】
これにより、粉粒体を貯留部23から流動層乾燥機25に供給する間に、流動層乾燥機25に吸引流が作用しないので、粉粒体を適切に供給することができる。
【0064】
本実施形態の乾燥システム1は、流動層乾燥機25から粉粒体を排出する経路(排出孔)を閉鎖する閉鎖状態と、流動層乾燥機25から粉粒体を排出する経路を開放する排出状態と、を切替可能な排出切替部26を備える。指示装置100は、排気切替弁45が排気状態から閉鎖状態に切り替わった後であって、かつ、排出切替部26が排出状態から閉鎖状態に切り替わった後に、新たな粉粒体が流動層乾燥機25に供給されるように供給切替部24を閉鎖状態から供給状態に切り替える。
【0065】
これにより、乾燥が完了した粉粒体を排出した後に、新たな粉粒体を流動層乾燥機25に供給できる。
【0066】
本実施形態の乾燥システム1において、粉粒体は造粒装置により生成された造粒物であり、造粒装置が生成した造粒物が連続的に気流乾燥機21に送られる。
【0067】
これにより、水分を多く含む造粒物が連続的に乾燥されるので、造粒物同士が一体化することを防止できる。
【0068】
本実施形態の乾燥システム1は、気流乾燥機21と流動層乾燥機25に供給する空気を加熱するヒータ34を備える。ヒータ34が加熱した第1高温気体が気流乾燥機21に供給され、第1高温気体に外気を混合させて温度を低下させた第2高温気体が流動層乾燥機25に供給される。
【0069】
これにより、気流乾燥機21用と流動層乾燥機25用で個別のヒータを設ける構成と比較して、ヒータの個数を減らすことができる。
【0070】
以上に本発明の好適な実施の形態を説明したが、上記の構成は例えば以下のように変更することができる。
【0071】
上記実施形態では、指示装置100が予め定められたタイムスケジュールに沿って、供給切替部24、排出切替部26、排気切替弁45等の切替えを行う。これに代えて、流動層乾燥機25における乾燥及び排出の進捗状況を測定するセンサを設け、センサの検出結果に基づいて、供給切替部24、排出切替部26、排気切替弁45等を切り替えてもよい。
【0072】
上記実施形態では、第1捕集器22、貯留部23、流動層乾燥機25は、高さ方向で並ぶように配置されているが、異なる位置関係であってもよい。即ち、粉粒体を重力による自由落下で移動させるだけでなく、コンベア又は吸引流等を用いて移動させてもよい。
【0073】
上記実施形態で示したフローチャートは一例であり、一部の処理を省略したり、一部の処理の内容を変更したり、新たな処理を追加したりしてもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 乾燥システム
20 乾燥部
21 気流乾燥機
23 貯留部
24 供給切替部
25 流動層乾燥機
図1
図2
図3
図4
図5
図6