(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075649
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】ホームドア装置、方法、プログラム及びホームドア制御装置
(51)【国際特許分類】
B61B 1/02 20060101AFI20230524BHJP
E05F 15/643 20150101ALN20230524BHJP
【FI】
B61B1/02
E05F15/643
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188682
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 昌兵
【テーマコード(参考)】
2E052
3D101
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052CA06
2E052DA04
2E052DB04
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC02
2E052EC03
2E052GA10
2E052GB13
2E052GC01
2E052GD03
2E052KA02
3D101AA03
3D101AA05
3D101AA12
3D101AA25
3D101AA31
3D101AB01
3D101AB12
(57)【要約】
【課題】ホームドア装置の処理負担の増大を抑制しつつ、適切な全閉位置を用いて扉を閉制御させることを可能にする技術を提供する。
【解決手段】本発明のホームドア装置は、扉と、駆動機構13と、目標位置情報を記憶する記憶部36と、記憶された目標位置情報により示される目標位置に到達するよう扉を閉方向に駆動し、扉が目標位置に到達した後に、次に扉が開方向に駆動するまでの間に扉の戸先を対向物に押し付ける押付動作を駆動機構13に実行させる駆動制御部33と、押付動作が実行されている際の扉の押付位置情報を取得する取得部32と、取得された押付位置情報を用いて目標位置情報を更新する更新部34とを有し、駆動制御部33は更新された目標位置情報により示される目標位置に到達するよう扉を閉方向に駆動する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、
前記扉を駆動して、前記乗降口を開閉させる駆動機構と、
前記乗降口を全閉する目標位置を示す目標位置情報を記憶する記憶部と、
前記駆動機構を制御する駆動制御部であって、記憶された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動し、前記扉が前記目標位置に到達した後に、次に前記扉が開方向に駆動するまでの間に、前記扉の戸先を対向物に押し付ける押付動作を前記駆動機構に実行させる、前記駆動制御部と、
前記押付動作が実行されている際の前記扉の位置を示す押付位置情報を取得する取得部と、
取得された前記押付位置情報を用いて、記憶された前記目標位置情報を更新する更新部と、を有し、
前記駆動制御部は、更新された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動する、ホームドア装置。
【請求項2】
前記扉は前記乗降口を開閉する一対の扉であり、
前記押付位置情報は、前記押付動作において前記一対の扉の各々が停止した際の扉の停止位置を示し、
前記停止位置と前記目標位置との位置ずれ量を算出する算出部を更に有し、
前記更新部は、前記停止位置と更新後の前記目標位置との位置ずれ量が前記一対の扉の各々について均等になるように、算出された前記位置ずれ量を用いて、前記目標位置を更新する、
請求項1に記載のホームドア装置。
【請求項3】
前記取得部は前記扉を開方向に移動させるための開指令信号を受信したことに応じて前記押付位置情報を取得する、
請求項1又は2に記載のホームドア装置。
【請求項4】
前記扉は前記乗降口を開閉する一対の扉であり、
前記駆動機構はモータを含み、
前記目標位置情報は前記目標位置での前記モータの回転角度を示し、
前記押付位置情報は前記押付動作において前記一対の扉の各々が停止した停止位置での前記モータの回転角度を示す、
請求項1から3のいずれか1項に記載のホームドア装置。
【請求項5】
プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、
前記扉を駆動して、前記乗降口を開閉させる駆動機構と、
を備えるホームドア装置を制御する方法であって、
前記乗降口を全閉する目標位置を示す目標位置情報を記憶するステップと、
記憶された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動するステップと、
前記扉が前記目標位置に到達した後に、次に前記扉が開方向に駆動するまでの間に、前記扉の戸先を対向物に押し付ける押付動作を前記駆動機構に実行させるステップと、
前記押付動作が実行されている際の前記扉の位置を示す押付位置情報を取得するステップと、
取得された前記押付位置情報を用いて、記憶された前記目標位置情報を更新するステップと、を有し、
前記駆動するステップは、更新された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動する、方法。
【請求項6】
プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、
前記扉を駆動して、前記乗降口を開閉させる駆動機構と、
を備えるホームドア装置を制御するためのホームドア制御プログラムであって、コンピュータに、
前記乗降口を全閉する目標位置を示す目標位置情報を記憶するステップと、
記憶された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動するステップと、
前記扉が前記目標位置に到達した後に、次に前記扉が開方向に駆動するまでの間に、前記扉の戸先を対向物に押し付ける押付動作を前記駆動機構に実行させるステップと、
前記押付動作が実行されている際の前記扉の位置を示す押付位置情報を取得するステップと、
取得された前記押付位置情報を用いて、記憶された前記目標位置情報を更新するステップと、を実行させ、
前記駆動するステップは、更新された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動する、ホームドア制御プログラム。
【請求項7】
プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、
前記扉を駆動して、前記乗降口を開閉させる駆動機構と、
を備えるホームドア装置を制御するホームドア制御装置であって、
前記乗降口を全閉する目標位置を示す目標位置情報を記憶する記憶部と、
前記駆動機構を制御する駆動制御部であって、記憶された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動し、前記扉が前記目標位置に到達した後に、次に前記扉が開方向に駆動するまでの間に、前記扉の戸先を対向物に押し付ける押付動作を前記駆動機構に実行させる、前記駆動制御部と、
前記押付動作が実行されている際の前記扉の位置を示す押付位置情報を取得する取得部と、
取得された前記押付位置情報を用いて、記憶された前記目標位置情報を更新する更新部と、を有し、
前記駆動制御部は、更新された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉駆動する、ホームドア制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームドア装置、方法、プログラム及びホームドア制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、列車のプラットホーム上で安全性をより向上させるためにホームドア装置の設置が進められている。ホームドア装置は列車がホームに進入するまで閉状態を保ち、ホームドア装置のホーム側から軌道側への乗客の移動を規制する。列車がホームの所定位置に停止するとホームドア装置は開状態となり、乗客が列車に乗降するのを可能にする。
【0003】
ホームドア装置は、扉を閉駆動するとき、扉の移動量が所定量に達することで扉が全閉位置に達して、乗降口が閉まったことを検知する。一方、プラットホームは、気温等の変化によって特に長手方向に膨張又は伸縮するため、ホームドア装置の乗降口の開口幅も、プラットホームの膨張又は伸縮によって変化する。
【0004】
ここで、ホームドア装置の乗降口の開口幅が広がると、扉の移動量が所定量に達したとしても、扉の間に開口幅の広がりに相当する隙間が生じる。この隙間により、乗客に不快感や不安感を与えるおそれがある。また、乗降口の開口幅が狭まると、扉の移動量が所定量に達する前に扉が全閉して扉の戸先とその対向物(戸当たりや両開き式の他方の扉)とが衝突し、異音が生じる場合がある。この異音によっても乗客に不快感や不安感を与えるおそれがあり、また衝突によってホームドア装置の故障や劣化が生じる場合がある。そこで、プラットホームの膨張又は伸縮によるホームドア装置の乗降口の開口幅の変化に合わせて、扉が全閉位置に達したと判断するための扉の移動量を調整する技術が求められている。
【0005】
このような技術として、従来、所定の時間間隔で扉を閉駆動して、全閉位置で停止したときに、その扉の位置を全閉位置として全閉位置の設定値を定期的に更新するホームドア装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、ホームドア装置について以下の認識を得た。
特許文献1に記載のホームドア装置では、通常の乗客を乗降させるための通常の扉開閉制御とは別に、全閉位置の設定値の更新のために所定の時間間隔で扉を閉制御する必要がある。そのため、上記更新のための扉の閉制御を実行する分、ホームドア装置の処理負担が増加してしまう。
【0008】
上記課題を鑑みて、本発明は、ホームドア装置の処理負担の増大を抑制しつつ、適切な目標位置を用いて扉を閉制御させることを可能にする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明のある態様のホームドア装置は、プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、前記扉を駆動して、前記乗降口を開閉させる駆動機構と、前記乗降口を全閉する目標位置を示す目標位置情報を記憶する記憶部と、前記駆動機構を制御する駆動制御部であって、記憶された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動し、前記扉が前記目標位置に到達した後に、次に前記扉が開方向に駆動するまでの間に、前記扉の戸先を対向物に押し付ける押付動作を前記駆動機構に実行させる、前記駆動制御部と、前記押付動作が実行されている際の前記扉の位置を示す押付位置情報を取得する取得部と、取得された前記押付位置情報を用いて、記憶された前記目標位置情報を更新する更新部と、を有し、前記駆動制御部は、更新された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動する。
【0010】
本発明のある態様の方法は、プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、前記扉を駆動して、前記乗降口を開閉させる駆動機構と、を備えるホームドア装置を制御する方法であって、前記乗降口を全閉する目標位置を示す目標位置情報を記憶するステップと、記憶された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動するステップと、前記扉が前記目標位置に到達した後に、次に前記扉が開方向に駆動するまでの間に、前記扉の戸先を対向物に押し付ける押付動作を前記駆動機構に実行させるステップと、前記押付動作が実行されている際の前記扉の位置を示す押付位置情報を取得するステップと、取得された前記押付位置情報を用いて、記憶された前記目標位置情報を更新するステップと、を有し、前記駆動するステップは、更新された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動する。
【0011】
本発明のある態様のホームドア制御プログラムは、プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、前記扉を駆動して、前記乗降口を開閉させる駆動機構と、を備えるホームドア装置を制御するためのホームドア制御プログラムであって、コンピュータに、前記乗降口を全閉する目標位置を示す目標位置情報を記憶するステップと、記憶された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動するステップと、前記扉が前記目標位置に到達した後に、次に前記扉が開方向に駆動するまでの間に、前記扉の戸先を対向物に押し付ける押付動作を前記駆動機構に実行させるステップと、前記押付動作が実行されている際の前記扉の位置を示す押付位置情報を取得するステップと、取得された前記押付位置情報を用いて、記憶された前記目標位置情報を更新するステップと、を実行させ、前記駆動するステップは、更新された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動する、ホームドア制御プログラムである。
【0012】
本発明のある態様のホームドア制御装置は、プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、前記扉を駆動して、前記乗降口を開閉させる駆動機構と、を備えるホームドア装置を制御するホームドア制御装置であって、前記乗降口を全閉する目標位置を示す目標位置情報を記憶する記憶部と、前記駆動機構を制御する駆動制御部であって、記憶された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉方向に駆動し、前記扉が前記目標位置に到達した後に、次に前記扉が開方向に駆動するまでの間に、前記扉の戸先を対向物に押し付ける押付動作を前記駆動機構に実行させる、前記駆動制御部と、前記押付動作が実行されている際の前記扉の位置を示す押付位置情報を取得する取得部と、取得された前記押付位置情報を用いて、記憶された前記目標位置情報を更新する更新部と、を有し、前記駆動制御部は、更新された前記目標位置情報により示される前記目標位置に到達するよう前記扉を閉駆動する。
【0013】
なお、以上の任意の組み合わせや、本発明の構成要素や表現を方法、装置、プログラム、プログラムを記録した一時的なまたは一時的でない記憶媒体、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ホームドア装置の処理負担の増大を抑制しつつ、適切な目標位置を用いて扉を閉制御させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】ホームドア装置が設置された駅を上方から見たときの平面図である。
【
図2】プラットホームドアシステムを概略的に示すブロック図である。
【
図3】
図3(a)は扉が全閉位置のときの第1実施形態のホームドア装置の正面図であり、
図3(b)は扉が全開位置のときの第1実施形態のホームドア装置の正面図である。
【
図4】第1実施形態の総合制御盤及びホームドア装置の機能ブロック図である。
【
図5】扉の閉動作における時間に対する扉の走行速度を示すグラフである。
【
図6】第1実施形態のホームドア制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図7】第2実施形態の総合制御盤及びホームドア装置の機能ブロック図である。
【
図8】第2実施形態のホームドア制御部の処理を示すフローチャートである。
【
図9】押付動作において一対の扉の各々が停止した際の扉の停止位置と目標位置との位置ずれ量を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下の実施形態および変形例では、同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図面における部材の寸法は、理解を容易にするために適宜拡大、縮小して示される。また、各図面において実施形態を説明する上で重要ではない部材の一部は省略して表示する。
【0017】
第1実施形態
図1は、ホームドア装置100が設置された駅1を上方から見たときの平面図である。
図1に示すように、駅1は、列車が走行する軌道2と、列車の乗客が乗降を行うプラットホーム3とを備えている。プラットホーム3は、軌道2の延びる方向に沿って複数に分割されている。複数に分割されたプラットホーム3の間には、エキスパンションジョイント4が設けられている。エキスパンションジョイント4は、プラットホーム3の接続部分に設けられた隙間に設置されている。ホームドア装置100は、プラットホーム3の軌道2側の縁部に沿って設置される。
【0018】
図2は、プラットホームドアシステム5を概略的に示すブロック図である。プラットホームドアシステム5は、総合制御盤50と、複数のホームドア装置100と、を備える。ホームドア装置100は、ホームドア制御部30を含む。
【0019】
複数のホームドア装置100は、駅1のプラットホーム3の上り線及び下り線にそれぞれ設けられる。複数のホームドア装置100は、プラットホーム3の所定位置に車両61が停止したときに、この車両61の各車両ドアに対応する位置に設けられた乗降口E(
図3参照)にそれぞれ配置される。
【0020】
総合制御盤50は、プラットホームに1つ設けられ、複数のホームドア装置100の各ホームドア制御部30に接続される。ホームドア装置100の扉11は、ホームドア制御部30を介して総合制御盤50によって開閉制御される。車両ドアが開くとともに扉11が開くことによって、乗客の車両61への乗降が可能となる。車両ドアと扉11とのいずれか一方が閉じることによって、乗客の乗降が制限される。
【0021】
総合制御盤50と各ホームドア制御部30とは、相互に通信できる。例えば、総合制御盤50は、一対の扉11を開移動又は閉移動させるための開指令信号又は閉指令信号を各ホームドア制御部30に送信する。ホームドア制御部30は、開指令信号に応答して対応する扉11を開くと、全開信号を総合制御盤50に送信する。ホームドア制御部30は、閉指令信号に応答して対応する扉11を閉じると、全閉信号を総合制御盤50に送信する。各ホームドア制御部30は、後述の状態情報等を総合制御盤50に送信できる。
【0022】
総合制御盤50と車両61とは、車両情報伝送装置(ATO)63および地上子62を介して相互に通信できる。車両61は、全てのホームドア装置100の扉11を開く開要求信号および全てのホームドア装置100の扉11を閉じる閉要求信号を総合制御盤50に送信できる。総合制御盤50は、全てのホームドア制御部30から全開信号又は全閉信号を受けると、全開確認信号又は全閉確認信号を車両61に送信できる。なお、車両情報伝送装置63および地上子62は、駅1によっては設けられていない場合がある。
【0023】
プラットホームドアシステム5の動作を説明する。車両61がプラットホーム3の所定位置に到達して停止すると、地上子62および車両情報伝送装置63が総合制御盤50に車両61が停止したことを示す停止信号を送信する。これにより、総合制御盤50は、車両61が停止したことを検出する。その後、車両61の乗務員は、地上子62および車両情報伝送装置63を介して総合制御盤50に開要求信号を送信する。この開要求信号を受信すると、総合制御盤50は、各ホームドア制御部30に開指令信号を供給する。各ホームドア制御部30は、この開指令信号に応答して、対応する扉11を開く。ホームドア制御部30は、全開位置センサ41aから後述の全開位置信号を受信したことに応答して、全開信号を総合制御盤50に送信する。総合制御盤50は、全てのホームドア制御部30から全開信号を受けると、全開確認信号を車両情報伝送装置63および地上子62を介して車両61に送る。車両61の乗務員は、この全開確認信号を受けると、車両ドアを開く。
【0024】
乗客の乗降車が完了して、車両61がプラットホーム3から出発するとき、車両61の乗務員は、地上子62および車両情報伝送装置63を介して総合制御盤50に閉要求信号を送信する。この閉要求信号を受けると、総合制御盤50は、各ホームドア制御部30に閉指令信号を供給する。各ホームドア制御部30は、この閉指令信号に応答して、対応する扉11を閉じる。ホームドア制御部30は、全閉位置センサ41bから後述の全閉位置信号を受信したことに応答して、全閉信号を総合制御盤50に送信する。総合制御盤50は、全てのホームドア制御部30から全閉信号を受けると、全閉確認信号を車両情報伝送装置63および地上子62を介して車両61に送る。車両61の乗務員は、この全閉確認信号を受けると、車両ドアを閉じる。なお、駅係員がプラットホームに設けられた駅係員操作盤66を用いて閉要求信号又は開要求信号を総合制御盤50に送信してもよい。
【0025】
図3(a)は扉が全閉位置のときの第1実施形態のホームドア装置の正面図であり、
図3(b)は扉が全開位置のときの第1実施形態のホームドア装置の正面図である。ホームドア装置100は、一対の戸袋10と、一対の扉11a及び11b(扉11と総称する場合がある)と、一対の扉11を開閉駆動する一対の駆動機構13と、ホームドア制御部30と、を有する。
【0026】
ホームドア装置100は、一対の戸袋10の間の空間である乗降口Eを扉11の移動により開閉する。ホームドア装置100は、扉11の戸先が戸袋10から離れる方向に移動して一対の扉11の互いの戸先が接触することにより乗降口Eを閉じる(
図3(a)参照))。ホームドア装置100は、扉11の戸先が戸袋10に近づく方向に移動することにより乗降口Eを開く(
図3(b)参照))。
【0027】
戸袋10は、扉11を進退可能に収納する。戸袋10は、正面視において開閉方向Dxを長手方向として構成される。戸袋10は、プラットホーム上に配置される。各戸袋10には、駆動機構13が設けられる。また、一対の戸袋10の一方には、ホームドア制御部30が設けられる。
【0028】
本実施形態の扉11は、戸袋10から開閉方向Dxに移動可能な両開き式の引き戸であり、パネル状に構成される。
【0029】
駆動機構13は、一対の扉11のそれぞれに設けられる。駆動機構13は、ホームドア制御部30の制御に応じて扉11を開閉するモータ13mと、開閉方向Dxの両側でモータ13mに連結される一対の回転体13pと、モータ13mの駆動力を扉11に伝達する連結部13cと、一対の回転体13pに巻き掛けられる伝達部材13tと、モータ13mの回転角度を検出するエンコーダ13e(
図4参照)と、を備える。連結部13cは、例えば扉11の戸尻側に設けられる。一対の駆動機構13は、動力線(不図示)を介してホームドア制御部30と接続される。
【0030】
図4は、第1実施形態の総合制御盤50及びホームドア装置100の機能ブロック図である。
図4を含む各図に示す各機能ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする電子素子や機械部品などで実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラムなどによって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描く。したがって、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0031】
総合制御盤50は、開閉信号取得部51と、指令制御部52と、通信制御部53とを備える。開閉信号取得部51は、ホームドア制御部30から全開信号及び全閉信号を取得する。指令制御部52は、車両61又は駅係員操作盤66から開要求信号または閉要求信号を受けたとき、開指令信号または閉指令信号をホームドア制御部30に送信する。
【0032】
通信制御部53は、全開確認信号または全閉確認信号を車両情報伝送装置54に送信する。また、通信制御部53は、駅務室表示装置64や駅係員操作盤66に設けられている表示装置に所定の情報を送信する。一例として、これらの表示装置は、この情報に基づいて上り線及び下り線の扉11の異常の有無等を表示する。また、通信制御部53は、駅とは離れた場所に設けられている総合司令室の総合司令室表示装置65に所定の情報を送信する。一例として、総合司令室表示装置65は、この情報に基づいて全ての駅の扉11の異常の有無等を表示する。
【0033】
ホームドア装置100は、開閉検出部41を含む。開閉検出部41は、全開位置センサ41aと、全閉位置センサ41bと、を含む。全開位置センサ41aは、扉11が全開位置に位置しているか否かを検出するセンサであり、扉11が全開位置に位置することを示す全開位置信号を送信する。全閉位置センサ41bは、扉11が全閉位置に位置しているか否かを検出するセンサであり、扉11が全閉位置に位置することを示す全閉位置信号を送信する。例えば、全開位置センサ41a及び全閉位置センサ41bとして、磁気検出型の近接センサや光電センサが使用される。
【0034】
ホームドア装置100は、ホームドア制御部30を含む。本実施形態のホームドア制御部30は、受信部31と、取得部32と、駆動制御部33と、更新部34と、送信部35と、記憶部36と、を備える。本実施形態のホームドア制御部30は、ホームドア制御装置の一例である。
【0035】
受信部31は、外部から供給される各種信号を受信する。例えば、受信部31は、開閉検出部41からの全開位置信号又は全閉位置信号、エンコーダ13eからのモータ13mの回転角度、総合制御盤50の指令制御部52からの開指令信号または閉指令信号等をそれぞれ受信する。
【0036】
取得部32は、受信部31を介して受信した各扉11のモータ13mの回転角度に基づいて、一対の扉11のそれぞれの位置を示す位置情報を取得する。特に、取得部32は、後述の押付動作が実行されている際の扉11の位置を示す押付位置情報を取得する。
【0037】
駆動制御部33は、駆動機構13を制御する。特に、駆動制御部33は、記憶部36に記憶された後述の目標位置情報により示される目標位置に到達するよう扉11を閉方向に駆動する。駆動制御部33は、後述するように目標位置情報が更新された場合、その更新された目標位置情報により示される目標位置に到達するよう扉11を閉方向に駆動する。
【0038】
また、例えば、駆動制御部33は、受信部31を介して受信した開指令信号または閉指令信号に応じて駆動機構13のモータ13mを制御して一対の扉11のそれぞれを開閉方向に移動させる。本実施形態の駆動制御部33は、扉11のモータ13mに流す駆動電流を制御することにより、扉11の開閉方向の駆動を制御する。
【0039】
図5を用いて、扉11を閉駆動させる際の駆動制御部33における処理の一例を説明する。
図5は、扉11の閉動作における時間に対する扉11の走行速度を示すグラフである。本実施形態の駆動制御部33は、駆動機構13に
図5に示す閉動作を実行させる。本実施形態の閉動作は、全開位置で停止している扉11を所定の第1速度まで加速する加速制御動作と、第1速度を維持する高速制御動作と、第2速度まで減速する減速制御動作と、目標位置に達するまで第2速度を維持する低速制御動作と、閉移動により目標位置に到達した後に次に扉11が開方向に移動するまでの間に扉11をさらに閉駆動して扉11の戸先を他方の扉11の戸先に押し付ける押付動作と、を含む。特に、押付動作により、全閉位置において一対の扉11の戸先同士が押し付け合った状態で保持されるため、例えば乗客が扉11をこじ開けようとする場合など一対の扉11に対して開方向の荷重が加わった場合であっても扉11が開きにくくなる。これにより、乗客の安全が確保される。
【0040】
更新部34は、取得部32を介して押付位置情報を用いて、記憶部36に記憶された目標位置情報を更新する。本実施形態の押付位置情報は、押付動作において一対の扉11が停止した停止位置でのモータ13mの回転角度を示す。本実施形態の目標位置情報は、目標位置でのモータ13の回転角度を示す。
【0041】
送信部35は、全開信号又は全閉信号を総合制御盤50に送信する。
【0042】
記憶部36は、乗降口を全閉する目標位置を示す目標位置情報や各種閾値等を記憶している。本実施形態の目標位置は、全閉位置に対応する。
【0043】
ここで、プラットホーム3は、気温等の変化によって特に長手方向に膨張又は伸縮する。例えば、プラットホーム3は、気温が上昇すると伸長する。プラットホーム3が伸長したとき、エキスパンションジョイント4は収縮する。すなわち、プラットホーム3が伸長したとき、1つのプラットホーム3上に設置された一対の戸袋10の間の乗降口Eの開口幅が広がる。ホームドア装置100の乗降口Eの開口幅が広がると、扉11の移動量が所定量に達したとしても、扉11の間に開口幅の広がりに相当する隙間が生じる。この隙間により、乗客に不快感や不安感を与えるおそれがある。
【0044】
また、例えば、プラットホーム3は気温が低下すると収縮する。プラットホーム3が収縮したとき、エキスパンションジョイント4は伸長する。すなわち、プラットホーム3が収縮したとき、1つのプラットホーム3上に設置された一対の戸袋110の間の乗降口Eの開口幅が狭まる。ホームドア装置100の乗降口Eの開口幅が狭まると、扉11の移動量が所定量に達する前に扉11が全閉して両側の扉11の戸先同士が衝突し、異音が生じる場合がある。この異音によっても乗客に不快感や不安感を与えるおそれがあり、また衝突によってホームドア装置100の故障や劣化が生じる場合がある。
【0045】
そこで、プラットホームの膨張又は伸縮によるホームドア装置100の乗降口Eの開口幅の変化に合わせて、扉11が全閉位置に達したと判断するための扉の移動量を調整する技術が求められている。
【0046】
このような技術として、特許文献1に記載のホームドア装置が知られている。特許文献1に記載のホームドア装置は、所定の時間間隔で扉を閉駆動して、全閉位置で停止したときに、その扉の位置を全閉位置として全閉位置の設定値を定期的に更新する。
【0047】
しかし、特許文献1に記載のホームドア装置では、通常の乗客を乗降させるための通常の扉開閉制御とは別に、全閉位置の設定値の更新のために所定の時間間隔で扉を閉制御する必要がある。そのため、上記更新のための扉の閉制御を実行する分、ホームドア装置の処理負担が増加してしまう。
【0048】
本発明者らは、以下の手法を用いることにより、ホームドア装置100の処理負担の増大を抑制しつつ、適切な目標位置を用いて扉を閉制御させることができることを見出した。以下、この手法について詳細に説明する。
【0049】
図6は、第1実施形態のホームドア制御部30の処理S10を示すフローチャートである。
【0050】
ステップS11で、受信部31は、総合制御盤50から、扉11を開方向に移動させるための閉指令信号を取得したか否かを判定する。閉指令信号を受信しない場合(S11のN)、処理S10はステップS11の先頭に戻る。閉指令信号を受信した場合(S11のY)、受信部31は閉指令信号を駆動制御部33に供給し、処理S10はステップS12に進む。
【0051】
ステップS12で、駆動制御部33は、扉11を閉移動させる。特に、駆動制御部33は、記憶部36から目標位置情報を読み出し、記憶部36に記憶された目標位置情報によって示される目標位置に到達させるよう扉21を閉駆動する。ステップS12では、
図5で上述した加速制御動作、高速制御動作、減速制御動作及び低速制御動作が順に実行される。
【0052】
ステップS13で、駆動制御部33は、扉11が全閉状態であるか否かが判断される。例えば、駆動制御部33は、取得部32を介して取得した各扉11の位置に基づいて、扉11が目標位置情報で示される目標位置に到達した場合、又は扉11が目標位置から開方向側に全閉状態とみなせる程度の所定の距離範囲内の位置で停止した場合、扉11が全閉状態であると判断する。本実施形態では、モータ13mの回転角度に基づいて扉の位置が判断されるため、モータ13mの回転角度が目標位置に対応する回転角度を基準とした所定範囲内にあるか否かに基づいて扉11が全閉状態であるか否かが判断される。そのため、プラットホーム3の収縮次第では、扉11が全閉状態であると判断された場合であっても、一対の扉11の間に隙間が生じている場合もあり得る。全閉状態ではない場合(S13のN)、処理S10はステップS12に戻る。全閉状態である場合(S13のY)、処理S10はステップS14に進む。
【0053】
ステップS14で、駆動制御部33は、駆動機構13に押付動作を実行させる。押付動作では、一対の扉11のそれぞれを同じ駆動力で互いに押し付け合うように閉駆動させる。プラットホーム3が収縮しておらず一対の扉11の間に隙間がない場合には、一対の扉11が互いに押し付け合った状態で停止し続ける。プラットホーム3が収縮して一対の扉11の間に隙間がある場合には、押付動作による閉駆動により一対の扉11がそれぞれ目標位置からさらに閉移動することにより、一対の扉11の戸先同士が当接してその隙間が埋まった後、一対の扉11が互いに押し付け合った状態で停止し続ける。
【0054】
ステップS15で、送信部35は、全閉信号を総合制御盤に送信する。
【0055】
ステップS16で、受信部31は、総合制御盤50から、開指令信号を取得したか否かを判定する。開指令信号を受信しない場合(S16のN)、処理S10はステップS16の先頭に戻る。閉指令信号を受信した場合(S16のY)、受信部31は押付位置取得指令信号を取得部32に供給し、処理S10はステップS17に進む。
【0056】
ステップS17で、取得部32は、押付位置情報を取得する。本実施形態では、押付位置情報は、押付動作により一対の扉11が互いに押し付けられることで停止しているときの一対の扉11の位置を示す。取得部32は取得した押付位置情報を更新部34に供給し、処理S10はステップS18に進む。
【0057】
ステップS18で、更新部34は、取得した押付位置情報を用いて記憶部36に記憶された目標位置情報を更新する。その結果、次に扉11が閉駆動される際には、その更新された目標位置情報に示される目標位置を目標として扉11が閉駆動される。その後、更新部34は開指令信号を駆動制御部に供給し、処理S10はステップS19に進む。
【0058】
ステップS19で、駆動制御部33は、扉11を開移動させる。
【0059】
ステップS19の後、扉11が全開位置に到達し、処理S10は終了する。
【0060】
以上のように、本実施形態では、駆動制御部33は、扉11が目標位置に到達した後に押付動作を駆動機構13に実行させる。押付動作が実行されている際の扉11の位置を示す押付位置情報を用いて目標位置情報が更新されると、駆動制御部33は、更新された目標位置情報により示される目標位置に到達するよう扉11を閉方向に駆動する。本構成によると、扉11の通常の閉動作時に利用される押付動作によって一対の扉11が隙間なく閉じているときの扉11の位置を次の閉動作における目標位置として更新できる。ここで、押付動作は例えば乗客によって扉11がこじ開けられることを抑制するために通常時に利用される既存の動作であり、プラットホーム3の伸縮の対策用に新たに追加された動作ではない。この押付動作を利用することにより、目標位置を更新させるために扉11を追加で閉駆動させる必要なく、そのときのプラットホーム3の伸縮に合わせて目標位置を調整することができる。そのため、ホームドア装置100の処理負担の増大を抑制しつつ、適切な目標位置を用いて扉11を閉制御させることが可能となる。
【0061】
本実施形態では、取得部32は、開指令信号を受信したことに応じて前記押付位置情報を取得する。ここで、ホームドア装置100において、基本的に、扉11が全開している時間はわずかであり、扉11は長時間にわたって全閉状態にある。そのため、扉11が全閉している間に、プラットホーム3が伸縮してしまうことが想定される。本構成によると、扉11は長時間にわたって全閉状態にある場合であっても、プラットホーム3の伸縮に合わせた位置に適切に目標位置情報を更新できる。
【0062】
以下、本実施形態の変形例を説明する。
【0063】
実施形態では、両開き式の一対の扉11が用いられたが、これに限定されず、片開き式の1つの扉11が用いられてもよい。この場合、扉11は戸当たりなどの対向物に押し付けられればよい。
【0064】
実施形態では、扉11としてパネル状に構成された引き戸が用いられたが、これに限定されず、例えば、乗降口Eを開閉するためのバーが用いられてもよい。
【0065】
実施形態では、総合制御盤50からの閉指令信号に応じて扉11が閉駆動されて押付動作が実行されることにより、目標位置情報が更新されたが、これに限定されない。例えば、作業員の作業端末等からの閉指令信号に応じて目標位置情報が更新されてもよい。
【0066】
実施形態では、押付位置情報は、押付処理によって扉11が停止しているときの位置を示すものとしたが、これに限定されない。押付位置情報は、押付処理によって扉11が押し合いながら開方向又は閉方向に移動しているときの位置を示すものであってもよい。
【0067】
実施形態では、ステップS16において開指令信号を取得したことに応答して、扉11の開移動(ステップS19)が実行される前にステップS17において押付位置情報が取得されたが、これに限定されない。例えば、扉11の開移動を開始してから扉11が全開位置に到達するまでのモータ13mの回転角度に基づいて押付位置情報が取得されてもよいし、押付処理開始時から開指令信号を取得するまでの任意の時点で押付位置情報が取得されてもよい。
【0068】
送信部35は、更新された目標位置情報を全閉位置センサ41bに供給して、全閉位置センサ41bにおいて更新された目標位置情報で示される目標位置を全閉位置として使用させてもよい。また、ホームドア装置100は全閉位置センサ41bを有さなくてもよい。
【0069】
実施形態では、押付位置情報は停止位置でのモータ13mの回転角度を示したが、これに限定されず、例えば、開閉方向に沿って定められる基準位置から停止位置までの距離を示すものであってもよい。目標位置情報も同様である。
【0070】
第2実施形態
以下、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態の図面および説明では、第1実施形態と同一または同等の構成要素、部材には、同一の符号を付する。第1実施形態と重複する説明を適宜省略し、第1実施形態と相違する構成について重点的に説明する。
【0071】
図7は、第2実施形態の総合制御盤50及びホームドア装置100の機能ブロック図である。第2実施形態のホームドア装置100のホームドア制御部30は、算出部37をさらに備える。算出部37は、押付動作において一対の扉11の各々が停止した停止位置と目標位置との位置ずれ量を算出する。更新部34は、押付動作における停止位置と更新後の目標位置との位置ずれ量が一対の扉11の各々について均等になるように、算出された位置ずれ量を用いて、目標位置を更新する。ここで、ホームドア装置100においては、扉11の開動作及び閉動作の各々の所要時間の許容範囲がその仕様により定められている。そのため、扉11の開動作及び閉動作の所要時間がその仕様内に納まるように扉11の全閉位置が調整されるが、プラットホーム3が収縮すると、開又は閉動作における一方の扉11の目標位置までの移動量が大きくなる一方で、他方の扉11の目標位置までの移動量は小さくなる。その結果、扉11の開又は閉動作における目標位置までの所要時間が変化し、その所要時間が仕様により定められた許容範囲内に納まらなくなる場合がある。第2実施形態によると、プラットホーム3が収縮した場合であっても両方の扉11の目標位置までの移動距離が均等化されやすくなり、プラットホーム3の収縮による開又は閉動作の所要時間の変化が小さくなる。そのため、プラットホーム3が収縮した場合であってもその所要時間を仕様により定められた許容範囲内に納まりやすくなる。以下、第2実施形態の具体的な処理を説明する。
【0072】
図8は、第2実施形態のホームドア制御部30の処理S20を示すフローチャートである。
図8のステップS21~S27、S30は、
図6のステップS11~S17、S19と特に言及する点を除いて基本的に同様であるため、その説明を省略する。
【0073】
ステップS21~S26を経て、ステップS27で押付位置情報が取得されると、取得部32は取得した押付位置情報を算出部37に供給する。
【0074】
ステップS28で、算出部37は、取得した押付位置情報と現在の目標位置情報に基づいて、押付動作において一対の扉の各々が停止した際の扉11の停止位置と目標位置との開閉方向Dxについての位置ずれ量を算出する(
図9参照)。算出部37は算出した位置ずれ量を更新部34に供給し、処理S20はステップS29に進む。
【0075】
ステップS29で、更新部34は、押付動作における停止位置と更新後の目標位置との位置ずれ量が一対の扉11の各々について均等になるように、算出された位置ずれ量を用いて、目標位置を更新する。具体的には、更新部は、
図9に示すように、算出した位置ずれ量を二等分して、一対の扉11の各々について押付動作における停止位置からその二等分した位置ずれ量だけ現在の目標位置側にずらした位置が目標位置となるように目標位置情報を更新する。
【0076】
ステップS30の後、処理S20は終了する。
【0077】
上述した実施形態と変形例の任意の組み合わせもまた本発明の実施形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施形態は、組み合わされる実施形態および変形例それぞれの効果をあわせもつ。
【0078】
本明細書で開示した実施形態のうち、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成できるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0079】
1 駅、 2 軌道、 3 プラットホーム、 4 エキスパンションジョイント、 5 プラットホームドアシステム、 10 戸袋、 11 扉、 13 駆動機構、 30 ホームドア制御部、 31 受信部、 32 取得部、 33 駆動制御部、 34 更新部、 35 送信部、 36 記憶部、 37 算出部、 100 ホームドア装置。