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特開2023-75655プラント監視制御システム及びトレンドグループ作成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075655
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】プラント監視制御システム及びトレンドグループ作成方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 23/02 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
G05B23/02 301N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188691
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000925
【氏名又は名称】弁理士法人信友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 真智樹
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA03
3C223CC02
3C223DD03
3C223EB01
3C223EB03
3C223FF03
3C223FF14
3C223FF15
3C223FF42
3C223GG01
3C223HH03
(57)【要約】
【課題】作業員によるプロセス項目のグループ作成(分類)の作業の作業量が大きかった。
【解決手段】トレンドグラフに表示するプロセス項目に関する情報であって、少なくともプロセス項目の詳細を示す情報(TAGCD)と、プラントの機器の情報(設備・機器名等の情報)とが対応付けられた複数の項目の一覧であるトレンド表示項目リスト17と、それらの項目に対して同じ機器の情報を持つ項目を同一のグループに分類して、トレンドグラフを表示する単位としてのトレンドグループを作成するトレンドグループ作成処理部18と、を備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラントから周期的に収集されたプロセスを監視し、前記プラントを制御するプラント監視制御システムであって、
トレンドグラフに表示するプロセス項目に関する情報であって、少なくとも前記プロセス項目の詳細を示す情報と、前記プラントの機器の情報とが対応付けられた複数の項目の一覧であるトレンド表示項目リストと、
前記項目に対して同じ前記機器の情報を持つ項目を同一のグループに分類して、前記トレンドグラフを表示する単位としてのトレンドグループを作成するトレンドグループ作成処理部と、を備える
プラント監視制御システム。
【請求項2】
前記トレンドグループ作成処理部は、
前記トレンド表示項目リストの前記項目から、前記プロセス項目の詳細を示す情報が重複する項目を削除する
請求項1に記載のプラント監視制御システム。
【請求項3】
前記プロセス項目の定義情報の種類と、前記プロセス項目の種類と、優先度が対応付けられた優先度定義情報、を備え、
前記プロセス項目の詳細を示す情報には、前記プロセス項目の定義情報の種類と、前記プロセス項目の種類と、が含まれ、
前記トレンドグループ作成処理部は、前記トレンド表示項目リストに含まれた各項目の前記プロセス項目の定義情報の種類、及び前記プロセス項目の種類と、前記優先度定義情報に定義された前記プロセス項目の定義情報の種類、及び前記プロセス項目の種類と、を比較し、前記トレンド表示項目リストに含まれた各項目に前記優先度を付与する
請求項2に記載のプラント監視制御システム。
【請求項4】
前記プロセス項目の定義情報の種類と、前記プロセス項目の種類と、表示/非表示の設定が対応付けられた表示/非表示定義情報、を備え、
前記プロセス項目の詳細を示す情報には、前記プロセス項目の定義情報の種類と、前記プロセス項目の種類と、が含まれ、
前記トレンドグループ作成処理部は、前記トレンド表示項目リストに含まれた各項目に、前記表示/非表示定義情報に定義された前記プロセス項目の定義情報の種類、及び前記プロセス項目の種類と、合致する項目がある場合には、該当項目を削除する
請求項3に記載のプラント監視制御システム。
【請求項5】
前記トレンドグループ作成処理部は、
作成した前記トレンドグループに所属する前記項目の数が規定数を超える場合、該当トレンドグループに対して分割処理を実施する
請求項4に記載のプラント監視制御システム。
【請求項6】
プラントから周期的に収集されたプロセスを監視し、前記プラントを制御するプラント監視制御システムによるトレンドグループ作成方法であって、
トレンドグループ作成処理部により、トレンドグラフに表示するプロセス項目に関する情報であって、少なくとも前記プロセス項目の詳細を示す情報と、前記プラントの機器の情報とが対応付けられた複数の項目の一覧であるトレンド表示項目リストから、同じ前記機器の情報を持つ項目を抽出する処理と、
前記トレンドグループ作成処理部により、同じ前記機器の情報を持つ前記項目を同一グループに分類して、前記トレンドグラフを表示する単位としてのトレンドグループを作成する処理と、を含む
トレンドグループ作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレンドグラフを表示するプラント監視制御システム、及びトレンドグループを作成するトレンドグループ作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガス製造工場、発電所、上水道/下水道の処理場などのプラントでは、計算機を用いて構成されるプラント監視制御システムにより、プラントプロセスの監視や制御を行っている。プラント監視制御システムでは、プラントプロセスの監視や制御を行うために、作業員が様々な定義の入力や確認を行い、システムを構築している。プラントの規模が大きくなるほど作業量は増大し、作業員への負担も大きくなるため、その対応が望まれている。これに対し、作業量の低減を目的としたシステム構築支援がある。
【0003】
プラント監視制御システムにおいては、プラントのプロセス及び設備の状態を把握するため、所定の周期で収集される時系列の各種プロセス値をトレンドグラフとして監視画面に表示する。特許文献1には、「グループ登録情報処理部は、入力部からトレンドグラフを表示する単位としてのグループを登録・編集すると共に、グループの構成要素としてのペンについての情報を入力するようになっている。」と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平08-249049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、大規模プラントにおいては、監視対象とする設備・機器が多くなり、それに伴い計測しているプロセス項目も多くなる。特許文献1に記載の方法を含む従来の方法では、この多くの情報を基に、トレンドグラフを表示するための作業員によるプロセス項目のグループ作成(グループ分類)の作業、及びトレンドグループ登録操作それぞれの作業量は、非常に大きくなるという問題がある。一つの画面上に表示できるトレンドグラフのプロセス項目の数(ペン数)には、視認性などの理由から制限(例えば、8個)があり、トレンドグループの作成及び登録を行う必要がある。
【0006】
上記の状況から、トレンドグループの作成に際して、作業員によるグループ分割作業の作業量の低減を実現できる手段が要望されていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係るプラント監視制御システムは、プラントから周期的に収集されたプロセスを監視し、プラントを制御するプラント監視制御システムである。このプラント監視制御システムは、トレンドグラフに表示するプロセス項目に関する情報であって、少なくともプロセス項目の詳細を示す情報と、プラントの機器の情報とが対応付けられた複数の項目の一覧であるトレンド表示項目リストと、前述の項目に対して同じ機器の情報を持つ項目を同一のグループに分類して、トレンドグラフとして表示する単位としてのトレンドグループを作成するトレンドグループ作成処理部と、を備える。
【0008】
また、本発明の一態様に係るトレンドグループ作成方法は、プラントから周期的に収集されたプロセスを監視し、プラントを制御するプラント監視制御システムによるトレンドグループ作成方法である。このトレンドグループ作成方法は、トレンドグループ作成処理部により、トレンドグラフに表示するプロセス項目に関する情報であって、少なくともプロセス項目の詳細を示す情報と、プラントの機器の情報とが対応付けられた複数の項目の一覧であるトレンド表示項目リストから、同じ機器の情報を持つ項目を抽出する処理と、上記トレンドグループ作成処理部により、同じ機器の情報を持つ項目を同一グループに分類して、トレンドグラフを表示する単位としてのトレンドグループを作成する処理と、を含む。
【発明の効果】
【0009】
本発明の少なくとも一態様によれば、トレンドグループの作成に際して、作業員によるグループ作成作業の作業量の低減が図れる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係るプラント監視制御システムの全体構成例を示した図である。
図2】プラントの監視画面の一例を示した図である。
図3】プラント監視制御のシーケンス図の一例を示した図である。
図4】プラント監視制御システムを構成する各装置のハードウェア構成例を示す図である。
図5】本発明の一実施形態に係るプラント監視制御システムのトレンドグループ作成処理を実現するための機能構成例を示すブロック図である。
図6】本発明の一実施形態に係るプロセス項目定義情報テーブルの例を示した図である。
図7】本発明の一実施形態に係るトレンド表示項目リストの例を示した図である。
図8】本発明の一実施形態に係るトレンドグループ作成処理部によるトレンドグループ作成処理の手順例を示したフローチャートである。
図9】本発明の一実施形態に係る項目整理処理のサブルーチンの例を示したフローチャートである。
図10】本発明の一実施形態に係る優先度の定義例を示した図である。
図11】本発明の一実施形態に係る表示/非表示の定義例を示した図である。
図12】本発明の一実施形態に係るトレンド表示項目リストに対し項目整理処理を実行した結果の例を示した図である。
図13】本発明の一実施形態に係るグループ化処理のサブルーチンの例を示したフローチャートである。
図14】本発明の一実施形態に係るグループ化処理を実行した結果の例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態の例について、添付図面を参照して説明する。本明細書及び添付図面において実質的に同一の機能又は構成を有する構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0012】
<プラント監視制御システムの全体構成>
まず、本発明の一実施形態に係るプラント監視制御システムの全体構成について図1を参照して説明する。本実施形態におけるプラント監視制御システムは、当該プラント監視制御システムの監視画面やシーケンス図といった定義済みの各種情報を基に、自動で他の定義情報へ変換・加工等を行うことにより、視認性を確保しつつ適切なトレンドグループを作成する。これにより、監視制御機能の構築を支援する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係るプラント監視制御システムの全体構成例を示した図である。図示するプラント監視制御システム10は、例えば、POC-SV(Process Operator’s Console-SerVer)2が、制御LAN(Local Area Network)4経由でPCS(Process Control Station)5に接続される。POC-SV2は、監視対象のプラントから各種データの収集及びHMI(Human Machine Interface)の提供機能を有するサーバ装置である。
【0014】
また、弁7a、ポンプ7b等のプラント機器7の状態監視や操作のための信号の入出力を行うプロセス入出力装置(Process Input/Output unit)6がPCS5に接続され、PCS5がプラント機器の制御を行う。PCS5は、プロセス制御を行う装置であって、高速電気制御(E)、計装制御(I)、及びC言語等でプログラミングされた計算機制御(C)の処理を行うEIC統合コントロールステーションである。
【0015】
オペレータがプラントの運転監視操作を行うクライアント装置であるPOC-CL(Process Operator’s Console-CLient)3は、HMI-LAN1経由でPOC-SV2と接続される。POC-CL3は、POC-SV2のHMI提供機能により、ディスプレイ上にプラントの監視画面を表示する。監視画面は、オペレータの操作を支援するので監視操作画面とも呼ばれる。POC-SV2とPOC-CL3のクライアントサーバ構成により、プラントの運転監視に必要な情報を様々な機能でオペレータに提供する。上述したプラント監視制御システム10の構成は一般的なものであり、この例に限らない。
【0016】
また、プラント監視制御システム10でプラントの監視・制御を行うためには、プラントプロセスの監視、及び自動制御や操作を行うためのPCS5(プロセス制御)の定義、POC-SV2及びPOC-CL3によりプラントプロセスの監視・操作及び記録等を行うための各種監視画面やアラーム・動作記録等のメッセージ定義、プラントプロセスのプロセス値を時系列に蓄積・管理するデータベース定義、プラント監視制御システム10の動作を決定するシステム定義といった様々な定義を行う必要がある。
【0017】
これによって、初めてプラント監視制御システム10による監視・操作が可能となる。これらの各種定義は、POC-SV2又は専用の装置に組み込んだ、プラント監視制御システム10のシステム機能の生成に使用されるエンジニアリング機能により作成される。
【0018】
本実施形態では、上記の様々な定義を基に、監視画面の1つであるトレンドグループ定義(図5のトレンドグループ情報ファイル19に相当)の自動作成について、図2図14を参照してその詳細を説明する。以下では、トレンドグループ定義の自動作成を「トレンドグループ作成」と称する。
【0019】
<プラント監視制御システムのハードウェア構成>
ここで、プラント監視制御システム10を構成する各装置(図1参照)のハードウェアの構成について図4を参照して説明する。
【0020】
図4は、プラント監視制御システム10を構成する各装置のハードウェア構成例を示す図である。ここでは、プラント監視制御システム10のPOC-SV2及びPOC-SV3が備える計算機のハードウェア構成例を説明する。
【0021】
図4に示す計算機30は、各装置においてコンピューターとして用いられるハードウェアである。計算機30には、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)を用いることができる。計算機30は、システムバスにそれぞれ接続されたCPU(Central Processing Unit)31、ROM(Read Only Memory)32、RAM(Random Access Memory)33を備える。さらに、計算機30は、表示装置34、入力装置35、不揮発性ストレージ36、及びネットワークインターフェース37を備える。
【0022】
CPU31は、本実施形態に係るプラント監視制御システム10の各装置の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードをROM32から読み出し、RAM33に展開して実行する。ROM32は、不揮発性メモリ(記録媒体)の一例として用いられる。ROM32には、OS(Operating System)、各種のパラメータ、プラント監視制御システム10を機能させるためのプログラム等が記録される。RAM33には、CPU31の演算処理の途中で発生した変数やパラメータ等が一時的に書き込まれる。例えば、POC-SV2の場合では、CPU31がプログラムを実行することにより、図5に示すプロセス項目抽出処理部14、表示情報収集処理部16、トレンドグループ作成処理部18、及びトレンドグラフ表示処理部20の機能が実現される。なお、計算機30は、CPU31の代わりに、MPU(Micro Processing Unit)等の他の演算処理装置を備えてもよい。
【0023】
表示装置34は、例えば、液晶ディスプレイなどのモニターであり、GUI画面やCPU31で行われた処理の結果等を表示する。入力装置35には、例えば、マウス、キーボードなどが用いられ、ユーザーは入力装置35を操作して情報や指示を入力することが可能である。表示装置34と入力装置35とは、タッチパネルとして一体に構成されてもよい。なお、POC-SV2においては、計算機30は、表示装置34及び入力装置35を除いた構成としてもよい。
【0024】
不揮発性ストレージ36は、記録媒体の一例であり、プログラムが使用するデータやプログラムを実行して得られたデータなどを保存することが可能である。例えば、不揮発性ストレージ36には、図5に示す監視画面11、シーケンス図12、タグ定義情報13、プロセス項目リスト15、トレンド表示項目リスト17、及びトレンドグループ情報ファイル19が保存される。また、不揮発性ストレージ36に、OSや、CPU31が実行するプログラムを記録してもよい。不揮発性ストレージ36としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、磁気や光を利用するディスク装置、又は半導体メモリカード等が用いられる。なお、プログラムは、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線又は無線の伝送媒体を介してプラント監視制御システム10に提供されてもよい。
【0025】
ネットワークインターフェース37には、例えばNIC(Network Interface Card)等が用いられる。ネットワークインターフェース37は、端子が接続されたLAN等の通信ネットワークネットワーク又は専用線等を介して、外部装置との間で各種のデータを送受信することが可能に構成されている。
【0026】
<トレンドグループ作成処理を実現する機能構成>
図5は、本発明の一実施形態に係るプラント監視制御システム10のトレンドグループ作成処理を実現するための機能構成例を示すブロック図である。本実施形態では、トレンドグループ作成機能はPOC-SV2に組み込まれて動作し、エンジニアリング機能で作成された監視画面11(図2)やシーケンス図12図3)の定義済みの各種情報を基礎情報として使用する。まず、図5に示したトレンドグループ作成処理を実現するための構成を説明する前に、監視画面11(図2)及びシーケンス図12について簡単に説明する。
【0027】
[プラントの監視画面の例]
図2は、プラントの監視画面の一例を示した図である。例えば、図2に示すプラントの監視画面11には、バルブ113を介して入力要素111とタンク115が接続されるとともに、バルブ114を介して入力要素112とタンク115が接続されている。また、タンク115は、直列に接続されたバルブ116及びポンプ117を介して、出力要素118に接続されている。プラント全体に対して異なる多数の監視画面11が用意されている。監視画面11に表示される各要素には後述するタグ情報が埋め込まれている。
【0028】
[シーケンス図の例]
図3は、プラント監視制御のシーケンス図の一例を示した図である。例えば、図3に示すプラント監視制御のシーケンス図12では、段階1のシーケンススタート後、段階2の条件分岐(EMGと表記)によって左側の通常シーケンス、又は右側の復旧シーケンスに分かれる。例えば、通常シーケンスでは、段階3(PHASEと表記)でシーケンスのフェーズ(Phase1:パラメータ又はコメント)が読み込まれ、段階4(SCと表記)で通常シーケンスのスタート条件が確認される。ここで、スタート条件を満たす場合には、段階5でモニター表示が行われ、以降の通常シーケンスの処理が継続する。プラント全体に対して異なる多数のシーケンス図12が用意されている。シーケンス図12に表示される各要素には後述するタグ情報が埋め込まれている。
【0029】
また、例えば、段階2の条件分岐によって復旧シーケンスに移行(段階34)すると、段階35(PHASEと表記)でシーケンスのフェーズ(Phase8000:パラメータ又はコメント)が読み込まれる。続いて、段階36の条件判定(EMGと表記)と段階37の他の条件判定(EMGW)において条件を満たした場合に、段階38(SCと表記)で復旧シーケンスのスタート条件が確認される。ここで、スタート条件(EMGとEMGWのアンド条件)を満たす場合には、以降の復旧シーケンスの処理が継続する。
【0030】
図5のブロック図の説明に戻る。図5に示すように、サーバ装置であるPOC-SV2は、プロセス項目抽出処理部14、表示情報収集処理部16、トレンドグループ作成処理部18、及びトレンドグラフ表示処理部20を備える。また、POC-SV2は、不揮発性ストレージ36に、監視画面11、シーケンス図12、及びタグ定義情報13を格納している。
【0031】
[プロセス項目抽出処理部]
POC-SV2では、HMI-LAN1を介して図示しない上位計算機又はPOC-CL3からトレンドグループ作成の実行指令を受信すると、プロセス項目抽出処理部14が、監視画面11の1画面又は複数画面の定義情報を読み込む。そして、プロセス項目抽出処理部14は、プロセス項目定義情報テーブル131(後述の図6参照)を参照して、読み込んだ定義情報からプロセス項目を識別する「TAGCD」を抽出し、「TAGCD」を基にプロセス項目リスト15(図示略)を作成する。プロセス項目リスト15には、監視画面11より抽出した図6に示すプロセス項目定義種類に対応する「TAGCD」が含まれる。言い換えると、プロセス項目リスト15は、図7に示すトレンド表示項目リスト17の中の「TAGCD」の情報で構成される。詳細は図7において説明するが、「TAGCD」は、複数の情報により構成される。
【0032】
また、本実施形態では、シーケンス図12についても、前述の監視画面11の場合と同様の処理を行うこととし、種類の異なった監視画面11やシーケンス図12を個別に実行することも可能であり、両者を合わせて実行することも可能である。
【0033】
[プロセス項目定義情報テーブル]
ここで、プロセス項目定義情報テーブル131について説明する。
図6は、本発明の一実施形態に係るプロセス項目定義情報テーブル131の例を示した図である。
【0034】
プロセス項目定義情報テーブル131は、「No」、「プロセス項目定義種類」、及び「定義内容」の各フィールドを有する。
「No」は、プロセス項目定義情報テーブル131の行を一意に識別する番号を示す。
「プロセス項目定義種類」は、プロセス項目の定義の種類を示す。
「定義内容」は、プロセス項目の定義内容を示す。例えば、プロセス項目の定義内容として、タグ情報の意味付け、分類、目印などがある。
【0035】
例えば、プロセス項目定義情報テーブル131のNo“1”には、「プロセス項目定義種類」が“PVTAG定義”、定義内容が“アナログ制御を行うタグ定義”である例が示されている。“PV”はプロセスバリアブルの略称である。また、No“2”には、「プロセス項目定義種類」が“LVTAG定義”、定義内容が“機器の操作を行うタグ定義”である例が示されている。“LV”はロジカルバリアブルの略称である。また、No“3”には、「プロセス項目定義種類」が“AN素子定義”、定義内容が“機器の異常信号(ビット)を定義”である例が示されている。“AN”はアナウンシェータの略称である。また、No“4”には、「プロセス項目定義種類」が“ST素子定義”、定義内容が“機器の状態信号(ビット)を定義”である例が示されている。“ST”はステータスの略称である。
【0036】
[表示情報収集処理部]
図5のブロック図の説明に戻る。プロセス項目抽出処理部14で作成されたプロセス項目リスト15は、表示情報収集処理部16により読み込まれる。表示情報収集処理部16は、POC-SV2で管理しているタグ定義情報13から、プロセス項目リスト15の「TAGCD」と紐づけられた定義情報として「TAGNO」と「サービス名」を取得し、その結果を「TAGCD」と結合してトレンド表示項目リスト17へ出力する。
【0037】
タグ定義情報13は、トレンド表示項目リスト17に格納する情報の元となる情報が格納されたテーブルであり、トレンド表示項目リスト17と同じフィールドを有する。すなわち、タグ定義情報13は、少なくとも「TAGCD」と、当該「TAGCD」に紐付けられた「TAGNO」及び「サービス名」の各フィールドを有する。トレンド表示項目リスト17に格納している項目の情報は、トレンドグループの作成及び登録のための情報であり、その一例を図7に示す。
【0038】
[トレンド表示項目リスト]
図7は、本発明の一実施形態に係るトレンド表示項目リスト17の例を示した図である。表示情報収集処理部16から出力したトレンド表示項目リスト17には、同一項目が複数含まれる場合がある。トレンド表示項目リスト17の項目は、同一監視画面11で同じ項目を複数個所に表示しているときや複数の監視画面11で同一のプロセス項目を使用しているときに重複する。なお、トレンド表示項目リスト17で項目が重複しても、後述するトレンドグループ作成処理部18により一つの項目に整理するため問題はない。
【0039】
図7に示すように、トレンド表示項目リスト17は、「No」、「TAGCD」、「TAGNO」、及び「サービス名」の各フィールドを有する。
「No」は、トレンド表示項目リスト17の行を一意に識別する番号を示す。本実施形態では、トレンド表示項目リスト17の各行を「項目」とも呼ぶ。
【0040】
「TAGCD」は、タグコードであり、プロセス項目の詳細を示す情報である。「TAGCD」には、例えば、(1)該当プロセスが入出力されるPCS5の識別子、(2)プロセス項目の定義の種類(区分を表す識別子)、(3)同一のプロセス項目定義内での識別子、(4)プロセス項目の種類(同一プロセス項目定義内での識別子)、が含まれる。なお、(4)のプロセス項目の種類(同一プロセス項目定義内での識別子)は、プロセス項目の定義の種類によっては省略される。
【0041】
上述の(2)プロセス項目の定義の種類(区分を表す識別子)と、(3)同一のプロセス項目定義内での識別子は、「サービス名」と対応している。また、上述の(2)プロセス項目の定義の種類は、図10に示す「TAGTYPE」に相当する。また、上述の(4)プロセス項目の種類は、図10に示す「TAGITEM」に相当する。
【0042】
「TAGNO」は、「TAGCD」を識別する識別子を示すが、識別子は重複することがある。「TAGNO」は、例えば、プロセス項目の定義の種類を表すアルファベットと、英数字を組み合わせて表される。
「サービス名」は、プロセス項目が対象としている設備・機器の名称を示す。種類xは、“電圧”、“電流”等のプロセス値の種類を示している。
【0043】
例えば、図7に示すトレンド表示項目リスト17のNo“1”には、「TAGCD」が“1,PVTAG(16),1,PV(1)”、「TAGNO」が“PVTAG0001”、「サービス名」が“設備A 種類a”で構成された項目が表示されている。すなわち、この項目の「TAGCD」には、“1”台目のPCS5、プロセス項目の定義の種類が“PVTAG”で区分が“16”、PVTAG内の番号が“1”、プロセス項目の種類が“PV”(プロセス値(例えばアナログ))で番号が“1”という情報が含まれている。プロセス値は、設備・機器等から得られる生データ(センサ値)や設定値、状態情報などを意味する。なお、区分を表す識別子は、プロセス項目の定義の種類ごとに異なる。
【0044】
また、図7に示すトレンド表示項目リスト17のNo“2”には、「TAGCD」が“1,PVTAG(16),1,SV(2)”、「TAGNO」が“PVTAG0001”、「サービス名」が“設備A 種類a”で構成された項目が表示されている。この項目の「TAGCD」に記載された“SV(2)”は、プロセス項目の種類が“SV”(設定値)で番号が“2”という情報が含まれている。すなわち、“SV(2)”2番目の設定値を表す。
【0045】
また、図7に示すトレンド表示項目リスト17のNo“4”には、「TAGCD」が“1,PVTAG(16),3,PV(1)”、「TAGNO」が“PVTAG0003”、「サービス名」が“設備B 種類b”で構成された項目が表示されている。No“4”の項目では「サービス名」が“設備B 種類b”であり、No“1”の項目と比較して、PVTAG内の番号と、「TAGNO」も異なっている。
【0046】
また、図7に示すトレンド表示項目リスト17のNo“7”には、「TAGCD」が“1,LVTAG(15),1,IN(1)”、「TAGNO」が“LVTAG0001”、「サービス名」が“設備B”で構成された項目が表示されている。「TAGCD」の“IN”は、設備BのLVTAGに定義されたプロセス項目の状態を示す。
【0047】
また、図7に示すトレンド表示項目リスト17のNo“n”には、「TAGCD」が“1,AN(1),1,”、「TAGNO」が“AN0001”、「サービス名」が“設備A 故障”で構成された項目が表示されている。すなわち、この項目の「TAGCD」には、“1”台目のPCS5、プロセス項目の定義の種類が“AN素子”で区分が“1”、AN素子内の番号が“1”という情報が含まれている。
【0048】
また、図7に示すトレンド表示項目リスト17のNo“m”には、「TAGCD」が“1,ST(3),1,”、「TAGNO」が“ST0001”、「サービス名」が“設備B 運転”で構成された項目が表示されている。すなわち、この項目の「TAGCD」には、“1”台目のPCS5、プロセス項目の定義の種類が“ST素子”で区分が“3”、AN素子内の番号が“1”という情報が含まれている。
【0049】
[トレンドグループ作成処理部]
図5のブロック図の説明に戻る。表示情報収集処理部16で作成されたトレンド表示項目リスト17は、トレンドグループ作成処理部18により読み込まれる。トレンドグループ作成処理部18は、図8に示すトレンドグループ作成処理の手順を示したフローチャートに従い、トレンドグループ作成処理を実行する。トレンドグループ作成処理では、トレンド表示項目リスト17の「サービス名」による項目のグループ化を行い、その結果をトレンドグループ情報ファイル19に格納する。以下、トレンドグループ作成処理部18の動作の詳細を、図8のフローチャートを用いて説明する。
【0050】
[トレンドグループ作成処理の手順]
図8は、本発明の一実施形態に係るトレンドグループ作成処理部18によるトレンドグループ作成処理の手順例を示したフローチャートである。まず、トレンドグループ作成処理部18は、読み込んだトレンド表示項目リスト17に含まれる項目の整理を実施する(S1)。項目整理処理について、図9を参照して詳細に説明する。
【0051】
(項目整理処理)
図9は、本発明の一実施形態に係るステップS1における項目整理処理のサブルーチンの例を示したフローチャートである。まず、トレンドグループ作成処理部18は、読み込んだトレンド表示項目リスト17の「TAGCD」が重複している項目があるかどうかを判定し(S11)、重複している項目がない場合は(S11のNO)、ステップS13に進む。一方、重複している項目がある場合は(S11のYES)、トレンドグループ作成処理部18は、1項目を残して重複する項目を削除する(S12)。
【0052】
このように、1項目を残してトレンド表示項目リスト17の重複する項目を削除することにより、複数のトレンドグラフにトレンド表示項目リスト17の重複する項目が表示されることを防止できる。それにより、オペレータが同じ項目を二重に確認するという二度手間を防止できる。また、トレンドグラフに重複する項目が表示されなくなることで、トレンドグラフの表示がすっきりしてオペレータの視認性があがる。
【0053】
次いで、トレンドグループ作成処理部18は、整理されたトレンド表示項目リスト17の各項目に対し、予め設定した条件に基づく“優先度”を割り付ける。優先度の割り付けは、例えば、図10に示した優先度の定義に基づいて行われる(S13)。
【0054】
(優先度の定義例)
図10は、本発明の一実施形態に係る優先度の定義例を示した図である。図10に示すように、優先度の定義41は、「No」、「TAGTYPE」、「TAGITEM」、及び「優先度」の各フィールドを有するテーブルとして構成される。
【0055】
「No」は、優先度の定義41のテーブルの行を一意に識別する番号を示す。
「TAGTYPE」は、図6に示したプロセス項目の定義の種類に相当する。別の観点では、「TAGTYPE」は、プロセス項目の詳細を示す「TAGCD」(図7参照)における、(2)プロセス項目の定義の種類に相当する。
「TAGITEM」は、図7に示した「TAGCD」における、(4)プロセス項目の種類に相当する。
「優先度」は、該当するプロセス項目を優先的に表示する度合いを表し、「TAGTYPE」と「TAGITEM」の組合せにより決定される。本実施形態では、値が小さいほど優先度が高い。例えば、プロセス項目全般においてプラントプロセスのトレンドを表す“PVTAG”の優先度が高く設定される。その中でも、オペレータの判断の基準となる“SV”(設定値)の優先度が最も高く、次いで“MV”(制御目標値)の優先度が高い。なお、「TAGITEM」の“IN”は入力、“OUT”は出力である。
【0056】
トレンドグループ作成処理部18は、整理されたトレンド表示項目リスト17の各項目に対し、図10に示した「TAGCD」の「TAGTYPE」と「TAGITEM」に合致する優先度を割り付ける。例えば、優先度に基づいてプロセス項目をソート順(例えば昇順)に表示することで、優先度の高いプロセス項目から確認するようにオペレータに促すことができる。
【0057】
図9に示す項目整理処理のフローチャートの説明に戻る。ステップS13の処理後、トレンドグループ作成処理部18は、トレンド表示項目リスト17の各項目のうち、表示が不要な項目を削除する(S14)。表示が不要な項目の削除は、例えば、図11に示した表示/非表示の定義に基づいて行われる。ステップS14の処理後、図9の項目整理処理のサブルーチンを終了し、図8のステップS2へ進む。
【0058】
(表示/非表示の定義例)
図11は、本発明の一実施形態に係る表示/非表示の定義例を示した図である。図11に示すように、表示/非表示の定義42は、「No」、「TAGTYPE」、「TAGITEM」、及び「表示」の各フィールドを有するテーブルとして構成される。
【0059】
「No」は、表示/非表示の定義42のテーブルの行を一意に識別する番号を示す。
「TAGTYPE」、及び「TAGITEM」については、図10と同様である。
「表示」には、該当するプロセス項目の表示の要否を表す。表示の要否は、「TAGTYPE」と「TAGITEM」の組合せにより決定される。図10に示した優先度が高い組合せほど、表示が“必要”に設定される。ただし、優先度が“3”の“MV”(制御目標値)はトレンドグラフにおいて重要が高くないため、表示が“不要”に設定される。
【0060】
トレンドグループ作成処理部18は、整理されたトレンド表示項目リスト17の各項目に対し、図11に示した「TAGCD」の「TAGTYPE」と「TAGITEM」に合致し、かつ表示が“不要”に設定されている項目を削除する。このように、不要なプロセス項目をトレンド表示項目リスト17から削除することで、プロセストレンドの表示画面に不要なプロセス項目のトレンドを表示することがなく、かつトレンド表示項目リスト17を簡素化できる。図12に、ステップS1の項目整理処理を実行した結果の例を示す。
【0061】
(項目整理処理の結果)
図12は、本発明の一実施形態に係るトレンド表示項目リスト17(図7)に対し項目整理処理を実行した結果の例を示した図である。項目整理処理の結果43において、図7に示したトレンド表示項目リスト17の項目のうち、No“2”の項目はNo“1”と重複するため削除されている。また、トレンド表示項目リスト17のNo“n”及び“m”の項目は表示が“不要”であるため削除されている。すなわち、項目整理処理の結果43のNo“1”~“6”は、トレンド表示項目リスト17のNo“1”,“3”~“7”である。そして、項目整理処理の結果43は、トレンド表示項目リスト17に対して、「優先度」のフィールドが追加されている。
【0062】
上記のとおり、本実施形態では、トレンドグループ作成処理部18が、トレンド表示項目リスト17の項目から、プロセス項目の詳細を示す情報(TAGCD)が重複する項目を削除するように構成されている。
【0063】
また、本実施形態では、POC-SV2が、プロセス項目の定義情報の種類(TAGTYPE)と、プロセス項目の種類(TAGITEM)と、優先度とが対応付けられた優先度定義情報(優先度の定義41)、を備える。また、プロセス項目の詳細を示す情報(TAGCD)には、プロセス項目の定義情報の種類(TAGTYPE)と、プロセス項目の種類(TAGITEM)と、が含まれる。そして、トレンドグループ作成処理部18は、トレンド表示項目リスト17に含まれた各項目のプロセス項目の定義情報の種類、及びプロセス項目の種類と、優先度定義情報に定義されたプロセス項目の定義情報の種類、及びプロセス項目の種類と、を比較し、トレンド表示項目リスト17に含まれた各項目に上記優先度を付与するように構成されている。
【0064】
また、本実施形態では、POC-SV2が、プロセス項目の定義情報の種類(TAGTYPE)と、プロセス項目の種類(TAGITEM)と、表示/非表示の設定とが対応付けられた表示/非表示定義情報(表示/非表示の定義42)、を備える。そして、トレンドグループ作成処理部18は、トレンド表示項目リスト17に含まれた各項目に、表示/非表示定義情報に定義されたプロセス項目の定義情報の種類、及びプロセス項目の種類と、合致する項目がある場合には、該当項目を削除するように構成されている。
【0065】
図8に示すトレンドグループ作成処理のフローチャートの説明に戻る。ステップS1の項目整理処理後、トレンドグループ作成処理部18は、トレンド表示項目リスト17に含まれる項目に対しグループ化を実施する(S2)。
【0066】
(グループ化処理)
ここで、ステップS2のグループ化処理について図13を参照して説明する。
図13は、本発明の一実施形態に係るグループ化処理のサブルーチンの例を示したフローチャートである。グループ化処理では、トレンドグループ作成処理部18は、ステップS1における項目整理処理の実行結果のリスト(図12)を基に、「サービス名」から設備・機器名を抽出し、設備・機器名による項目整理処理(S1)の実行結果の項目をグループ化する。以下、グループ化処理の詳細を説明する。なお、以降の説明において、トレンドグループを単に「グループ」と記載することがある。
【0067】
まず、トレンドグループ作成処理部18は、項目整理処理の実行結果の各項目に対して「TAGTYPE」(図10図11参照)に応じて「サービス名」から設備・機器名を抽出する(S21)。
【0068】
「LVTAG定義」では、「サービス名」からそのまま設備・機器名を抽出する。例えば、“1号ポンプ”など。
「PVTAG定義」では、「サービス名」を表す文字列の末端より先頭に向かって区切文字(例えば、スペース、カンマ等)を検索する。区切文字を発見したときは、先頭より発見した区切文字の1字前までを設備・機器名を示す文字列、区切文字の1字後より末端までをプロセス値の種類を示す文字列とする。例えば、“燃料タンク、液位”など。また、区切り文字が発見できなかった場合は、「サービス名」に記載の情報をそのまま設備・機器名として抽出する。
「AN素子定義」と「ST素子定義」においては、PVTAG定義同様の処理を行い、「サービス名」から“設備・機器名と状態”を抽出する。「AN素子定義」及び「ST素子定義」が、「PVTAG定義」と異なる点は、区切文字の1字後より末端までを設備・機器の状態を示す文字列とすることである。例えば、“故障”、“運転”など。
【0069】
次に、トレンドグループ作成処理部18は、抽出した設備・機器名を用いて、項目整理処理(S1)の実行結果の項目をグループ化する。具体的には、同じ設備・機器名を持つ項目を同一グループに分類する(S22)。
【0070】
次に、トレンドグループ作成処理部18は、グループ化後、トレンドグループごとに、項目整理処理のステップS13で割り付けた優先度に従い昇順でソートする(S23)。ステップS23の処理後、図13のグループ化処理のサブルーチンを終了し、図8のステップS3へ進む。図14に、ステップS2のグループ化処理を実行した結果の例を示す。
【0071】
(グループ化処理の結果)
図14は、本発明の一実施形態に係るグループ化処理を実行した結果の例を示した図である。図14に示すように、図12に示した項目整理処理の結果43(トレンド表示項目リスト)の項目が、3個のトレンドグループに分類されている。
【0072】
第1のグループ51は、グループ名が“設備A”である。第1のグループ51のNo“1”~“3”の項目は、項目整理処理の結果43のNo“2”,“1”,“5”の項目である。第2のグループ52は、グループ名が“設備B”である。第2のグループ52のNo“1”~“2”の項目は、項目整理処理の結果43のNo“3”,“6”の項目である。そして、第3のグループ53は、グループ名が“設備C”である。第3のグループ53のNo“1”の項目は、項目整理処理の結果43のNo“4”の項目である。第1~第3のグループ51~53のそれぞれのグループ名も、トレンドグループ情報ファイル19に格納される。
【0073】
図8に示すトレンドグループ作成処理のフローチャートの説明に戻る。ステップS2のグループ化処理後、トレンドグループ作成処理部18は、グループ化処理によりグループ化した全てのグループを対象に、グループに所属する項目数が、既定の項目数を超えるかどうかを判定する(S3)。
【0074】
ここで、トレンドグループ作成処理部18は、あるグループに所属する項目数が規定の項目数以下であると判定したときは(S3のNO)、該当グループの情報をトレンドグループ情報ファイル19へ出力する(S5)。該当グループの情報をトレンドグループ情報ファイル19へ出力することで、トレンドグループの登録が完了する。
【0075】
一方、トレンドグループ作成処理部18は、あるグループに所属する項目数が既定の項目数を超えていると判定したときは(S3のYES)、既定の項目数を基に該当グループの再分割を行う(S4)。ここで、「再分割」と表現しているのは、一度トレンド表示項目リスト17の多数の項目を設備・機器名を基に分類して作成したグループを、規定の項目数を条件に2以上のグループに分けるからである。次いで、トレンドグループ作成処理部18は、既定の項目数からなるグループと、残りの項目数からなるグループとをトレンドグループ情報ファイル19へ出力する(S5)。
【0076】
次いで、トレンドグループ作成処理部18は、再分割した分を含む全てのグループについてトレンドグループ情報ファイル19への出力が終了したかどうかを判定する(S6)。トレンドグループ作成処理部18は、トレンドグループ情報ファイル19への出力が終了していないグループがあると判定した場合には(S6のNO)、該当するグループに対してステップS3の判定処理を実施する。すなわち、トレンドグループ内の項目数が規定数以下となるまでグループ再分割処理が実施される。
【0077】
そして、トレンドグループ作成処理部18は、全てのグループについてトレンドグループ情報ファイル19への出力が終了したと判定した場合(S6のYES)、トレンドグループ作成処理を終了する。このように、ステップS3~S6を繰り返し、全てのグループの情報をトレンドグループ情報ファイル19へ出力した後、トレンドグループ作成処理を終了する。
【0078】
トレンドグループ作成処理部18から出力されたトレンドグループ情報ファイル19は、トレンドグラフ表示処理部20へ送られる。そして、トレンドグラフ表示処理部20は、トレンドグループの登録(不揮発性ストレージ36への記録)、情報の管理(更新など)、トレンドグラフの表示装置34への表示を行う。また、POC-SV2のトレンドグラフ表示処理部20は、POC-CL3に、トレンドグループ情報ファイル19を送信する。そして、POC-CL3において、トレンドグループ情報ファイル19に格納されたトレンドグループ情報(例えば、図14参照)に基づいてトレンドグラフを表示する。
【0079】
以上のとおり、本実施形態に係るプラント監視制御システム10は、プラントから周期的に収集されたプロセスを監視し、プラントを制御する。このプラント監視制御システムは、トレンドグラフに表示するプロセス項目に関する情報であって、少なくともプロセス項目の詳細を示す情報(TAGCD)と、プラントの機器(設備・機器名等の情報を含むサービス名)の情報とが対応付けられた複数の項目の一覧であるトレンド表示項目リスト17と、前述の項目に対して同じ機器の情報を持つ項目を同一のグループに分類して、トレンドグラフを表示する単位としてのトレンドグループ(例えば、第1~第3のグループ51~53)を作成するトレンドグループ作成処理部18と、を備える。
【0080】
上記のように構成された本実施形態に係るプラント監視制御システム10によれば、監視画面11、シーケンス図12等の定義情報を基に作成されるトレンド表示項目リスト17を用い、トレンド表示項目リスト17に含まれるプロセス項目の詳細を示す情報と、プラントの機器の情報とに基づいて、トレンドグループを自動で作成する。これにより、視認性を確保しつつ作業員によるグループ作成作業の作業量を大幅に低減することができる。さらに、プラント監視制御システム10は、作成したトレンドグループの情報をトレンドグループ情報ファイル19へ出力することで、トレンドグループを自動で登録することができ、作業員によるグループ登録操作の作業量を大幅に低減することができる。
【0081】
なお、本発明は上述した一実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、その他種々の応用例、変形例を取り得ることは勿論である。
【0082】
また、上記の各構成、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計するなどによりハードウェアで実現してもよい。ハードウェアとして、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの広義のプロセッサデバイスを用いてもよい。
【0083】
また、上述した一実施形態に係るプラント監視制御システムの各構成要素は、それぞれのハードウェアがネットワークを介して互いに情報を送受信できるならば、いずれのハードウェアに実装されてもよい。また、ある処理部により実施される処理が、1つのハードウェアにより実現されてもよいし、複数のハードウェアによる分散処理により実現されてもよい。
【0084】
また、本明細書において、時系列的な処理を記述する処理ステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理(例えば、オブジェクトによる処理)をも含むものである。
【符号の説明】
【0085】
1…HMI-LAN、 2…POC-SV、 3…POC-CL、 4…制御LAN、 5…PCS、 6…プロセス入出力装置、 7a…調節弁、 7b…ポンプ、 7…プラント機器、 10…プラント監視制御システム、 11…監視画面、 12…シーケンス図(定義)、 13…タグ定義情報、 14…プロセス項目抽出処理部、 15…プロセス項目リスト、 16…表示情報収集処理部、 17…トレンド表示項目リスト、 18…トレンドグループ作成処理部、 19…トレンドグループ情報ファイル、 20…トレンドグラフ表示処理部、 41…優先度の定義、 42…表示/非表示の定義、 43…項目整理処理の結果、 51…第1グループ、 52…第2グループ、 53…第3グループ、 131…プロセス項目定義情報テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14