(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075710
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】光学積層体及びこれを用いた表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/02 20060101AFI20230524BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20230524BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20230524BHJP
G02B 1/111 20150101ALI20230524BHJP
【FI】
G02B5/02 C
B32B7/023
G09F9/00 313
G02B1/111
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188779
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】314017635
【氏名又は名称】株式会社トッパンTOMOEGAWAオプティカルフィルム
(74)【代理人】
【識別番号】110001276
【氏名又は名称】弁理士法人小笠原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】原木 秀巳
(72)【発明者】
【氏名】小林 和嗣
(72)【発明者】
【氏名】井亀 匡敦
【テーマコード(参考)】
2H042
2K009
4F100
5G435
【Fターム(参考)】
2H042BA04
2H042BA05
2H042BA12
2H042BA20
2K009AA04
2K009AA12
4F100AA20C
4F100AJ06A
4F100AK12B
4F100AK25B
4F100AK25C
4F100AL01B
4F100AT00A
4F100BA03
4F100BA07
4F100CA30B
4F100CA30C
4F100DD07C
4F100DE00B
4F100DE00C
4F100EJ54B
4F100GB41
4F100JK14C
4F100JK16
4F100JL06
4F100JN06C
4F100JN08C
4F100JN18C
4F100JN26B
5G435AA01
5G435DD12
5G435FF06
5G435HH04
5G435LL17
(57)【要約】
【課題】車載用途の表示装置に好適な光学積層体及びこれを用いた表示装置を提供する。
【解決手段】透明基材の少なくとも一方の面に防眩層及び低屈折率層を備え、低屈折率層の表面に存在する凹凸高さが0.1μm以上である凸部の数が、測定面積1mm
2当たり600~1500個であり、低屈折率層の表面の凹凸の平均傾斜角が0.5~1.4°である、光学積層体。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基材の少なくとも一方の面に防眩層及び低屈折率層を備え、
前記低屈折率層の表面に存在する凹凸高さが0.1μm以上である凸部の数が、測定面積1mm2当たり600~1500個であり、
前記低屈折率層の表面の凹凸の平均傾斜角が0.5~1.4°である、光学積層体。
【請求項2】
前記低屈折率層の表面における視感平均反射率が1.0%以下である、請求項1に記載の光学積層体。
【請求項3】
表示パネルと、
前記表示パネルの表示面側に設けられた請求項1または2に記載の光学積層体とを備える、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外光の反射及び映り込みを抑制する光学積層体及びこれを用いた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置の表面における外光の反射や映り込みを抑制するために、防眩性(AG)フィルムや低反射(LR)フィルム等の反射防止フィルムが使用されている。防眩性フィルムは、防眩層にフィラーを含有させることにより、防眩層表面に微細な凹凸を形成したものであり、表面凹凸により外光を散乱させる。防眩性フィルムは、外光の映り込み抑制に適している。低反射フィルムは、最表面に低屈折率層を設けたものであり、低屈折率層表面で反射した光と、基材の表面で反射した光とを干渉により相殺することで反射を抑制する。低反射フィルムは、画像の鮮明表示に適している。また、防眩性フィルムと低反射フィルムとを組み合わせ、防眩層及び低屈折率層を備えた反射防止フィルム(AGLR)も使用されている。
【0003】
基材上に防眩層及び低屈折率層を備えた光学積層体として、例えば、特許文献1に記載されたものがある。特許文献1には、防眩層の最表面の凹凸の平均間隔Sm、凹凸部の平均傾斜角θa、凹凸の平均粗さRzを所定の範囲としたことにより、防眩性、艶黒感のある黒色再現性、高い鮮明度、ギラツキ防止性、コントラスト、文字ボケ防止を実現したことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、車載用途の表示装置が増加している。センターインフォメーションディスプレイ(CID)やデジタルメータークラスタ等の車載表示装置は安全性に関わる情報を表示する場合がある。したがって、車載表示装置に用いられる反射防止フィルムには、防眩性フィルムに特有のギラツキの抑制、外光の映り込みの抑制、画像を鮮明に表示するための低反射性が求められる。また、車載表示装置として、タッチパネルを備えたものが広く用いられているが、タッチパネル付き表示装置に用いられる反射防止フィルムには、タッチパネルの操作性が良好であることと、タッチパネル操作により付着する指紋の拭き取り性が良好であることが求められる。
【0006】
それ故に、本発明は、車載用途の表示装置に好適な光学積層体及びこれを用いた表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る光学積層体は、透明基材の少なくとも一方の面に防眩層及び低屈折率層を備え、低屈折率層の表面に存在する凹凸高さが0.1μm以上である凸部の数が、測定面積1mm2当たり600~1500個であり、低屈折率層の表面の凹凸の平均傾斜角が0.5~1.4°であるものである。
【0008】
本発明に係る表示装置は、表示パネルと、表示パネルの表示面側に設けられた上記の光学積層体とを備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車載用途の表示装置に好適な光学積層体及びこれを用いた表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る光学積層体の層構成を示す断面図
【
図2】光学積層体の表面形状を説明するための模式断面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、実施形態に係る光学積層体の層構成を示す断面図である。
【0012】
光学積層体10は、表示装置の最表面に設けられ、外光の反射等を抑制するフィルムである。光学積層体10は、透明基材1と、透明基材1の一方面に積層された防眩層2及び低屈折率層3とを備える。
【0013】
透明基材1は、光学積層体10の基体となるフィルムであり、可視光線の透過性に優れた材料により形成される。透明基材1の形成材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート、ナイロン6、ナイロン66等のポリアミド、ポリイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリアクリレート、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、シクロオレフィンコポリマー、含ノルボルネン樹脂、ポリエーテルサルフォン、ポリサルフォン等の透明樹脂や無機ガラスを利用できる。透明基材1の厚みは、特に限定されないが、10~200μmとすることが好ましい。
【0014】
透明基材1の表面には、防眩層2との密着性を向上させるために、表面改質処理を施しても良い。表面改質処理としては、アルカリ処理、コロナ処理、プラズマ処理、スパッタ処理、界面活性剤やシランカップリング剤等の塗布、Si蒸着等を例示できる。
【0015】
防眩層2は、表面に微細な凹凸を有し、この凹凸で外光を散乱させることにより外光の映り込みを低減する光学機能層である。防眩層2は、バインダー樹脂と、有機微粒子及び/または無機微粒子とを含有する塗工液を透明基材1に塗布し、塗膜を硬化させることによって形成される。
【0016】
バインダー樹脂としては、電離放射線または紫外線の照射により硬化する活性エネルギー線硬化型樹脂を使用でき、例えば、単官能、2官能または3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを使用できる。尚、本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方の総称であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイルとメタクリロイルの両方の総称である。
【0017】
単官能の(メタ)アクリレート化合物の例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルフォリン、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリールアクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、リン酸(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、フェノキシ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性フェノキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2-アダマンタン、アダマンタンジオールから誘導される1価のモノ(メタ)アクリレートを有するアダマンチルアクリレート等のアダマンタン誘導体モノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0018】
2官能の(メタ)アクリレート化合物の例としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコ-ルジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0019】
3官能以上の(メタ)アクリレート化合物の例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス2-ヒドロキシエチルイソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の3官能の(メタ)アクリレート化合物や、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物や、これら(メタ)アクリレートの一部をアルキル基やε-カプロラクトンで置換した多官能(メタ)アクリレート化合物等が挙げられる。
【0020】
また、活性エネルギー線硬化性樹脂として、ウレタン(メタ)アクリレートも使用できる。ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、ポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、もしくはプレポリマーを反応させて得られた生成物に水酸基を有する(メタ)アクリレートモノマーを反応させることによって得られるものを挙げることができる。
【0021】
ウレタン(メタ)アクリレートの例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートトルエンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートイソホロンジイソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。
【0022】
上述した活性エネルギー線硬化性樹脂は1種を用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。また、上述した活性エネルギー線硬化性樹脂は、塗工液中でモノマーであっても良いし、一部が重合したオリゴマーであっても良い。
【0023】
また、活性エネルギー線硬化型樹脂としては、上述したラジカル重合性官能基を有する化合物の他に、エポキシ基、ビニルエーテル基、オキセタン基等のカチオン重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー、プレポリマーを単独でまたは混合して使用することができる。モノマーとしては、不飽和ポリエステル、エポキシアクリレート、テトラメチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテルや各種脂環式エポキシ等のエポキシ系化合物、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン、1,4-ビス{[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、ジ[1-エチル(3-オキセタニル)]メチルエーテル等のオキセタン化合物を例示できる。
【0024】
上述した樹脂材料は、光重合開始剤の添加を条件として、紫外線の照射により硬化させることができる。光重合開始剤としては、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、チオキサントン系、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のラジカル重合開始剤、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族スルホニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、メタロセン化合物等のカチオン重合開始剤を単独でまたは混合して使用できる。
【0025】
有機微粒子は、主として防眩層2の表面に微細な凹凸を形成し、外光を拡散させる機能を付与する材料である。有機微粒子としては、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化エチレン系樹脂等の透光性樹脂材料からなる樹脂粒子を使用できる。樹脂粒子の材料の屈折率は、1.40~1.75であることが好ましい。屈折率や樹脂粒子の分散を調整するために、材質(屈折率)の異なる2種類以上の樹脂粒子を混合して使用しても良い。
【0026】
有機微粒子の平均粒径は、1.0~5.0μmであることが好ましく、2.0~5.0μmであることがより好ましい。有機微粒子の平均粒径が1.0μm(下限値)未満の場合、または、有機微粒子の平均粒径が5.0μm(上限値)の場合、防眩層表面の凹凸を後述する条件を満たすように制御することが困難となり、所望の防眩性が得られなくなる。防眩層中の有機微粒子の配合量は、防眩層を構成する全固形分の10~30質量%であることが好ましく、10.5~26.3質量%であることがより好ましい。
【0027】
無機微粒子は、主として防眩層2中の有機微粒子の沈降や凝集を調整するための材料である。無機微粒子としては、シリカ微粒子や、金属酸化物微粒子、各種の鉱物微粒子等を使用することができる。シリカ微粒子としては、例えば、コロイダルシリカや(メタ)アクリロイル基等の反応性官能基で表面修飾されたシリカ微粒子等を使用することができる。金属酸化物微粒子としては、例えば、アルミナや酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、チタニア、ジルコニア等を使用することができる。鉱物微粒子としては、例えば、雲母、合成雲母、バーミキュライト、モンモリロナイト、鉄モンモリロナイト、ベントナイト、バイデライト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ノントロナイト、マガディアイト、アイラライト、カネマイト、層状チタン酸、スメクタイト、合成スメクタイト等を使用することができる。鉱物微粒子は、天然物及び合成物(置換体、誘導体を含む)のいずれであっても良く、両者の混合物を使用しても良い。鉱物微粒子の中でも、層状有機粘土がより好ましい。層状有機粘土とは、膨潤性粘土の層間に有機オニウムイオンを導入したものをいう。有機オニウムイオンは、膨潤性粘土の陽イオン交換性を利用して有機化することができるものであれば制限されない。鉱物微粒子として、層状有機粘土鉱物を用いる場合、上述した合成スメクタイトを好適に使用できる。合成スメクタイトは、防眩層形成用の塗工液の粘性を増加させ、樹脂粒子及び無機微粒子の沈降を抑制して、光学機能層の表面の凹凸形状を調整する機能を有する。
【0028】
また、防眩層形成用の塗工液には、レベリング剤を添加しても良い。レベリング剤は、乾燥過程の塗膜の表面に配向して、塗膜の表面張力を均一化し、塗膜の表面欠陥を低減させる機能を有する。
【0029】
更に、光学機能層形成用の樹脂組成物には、適宜有機溶剤を添加しても良い。有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、イソプロピルアルコール、イソブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、ジアセトンアルコール等のケトンアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ジエチルセロソルブ、ジエチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル等のエーテル類、N-メチルピロリドン、ジメチルフォルムアミド、水等のうち、1種類または2種類以上を混合して使用できる。
【0030】
低屈折率層3は、低屈折率層3の表面で反射する光を、透明基材1の表面で反射する光との干渉で打ち消すことにより、光学積層体10の表面反射を低減する光学機能層である。低屈折率層3は、バインダー樹脂を含有する塗工液を防眩層2の表面に塗布し、塗膜を硬化させることにより形成することができる。低屈折率層3は、屈折率調整のために、低屈折率微粒子を含有しても良い。
【0031】
低屈折率層3の形成に用いるバインダー樹脂は、特に限定されず、防眩層2の材料として例示した化合物を使用することができる。
【0032】
低屈折率微粒子としては、例えば、LiF、MgF、3NaF・AlFまたはAlF(いずれも、屈折率1.4)、もしくはNa3AlF6(氷晶石、屈折率1.33)等の微粒子や、内部に空隙を有するシリカ微粒子を好適に使用することができる。内部に空隙を有するシリカ微粒子は、空隙の部分を空気の屈折率(約1)とすることができるので、低屈折率層3の低屈折率化に有利である。具体的には、多孔質シリカ粒子、シェル(殻)構造のシリカ粒子を用いることができる。
【0033】
尚、低屈折率層3を形成するための塗工液には、必要に応じて、溶媒や各種添加剤を加えることができる。溶媒としては、例えば、防眩層2の材料として例示したものを使用することができる。また、添加剤としては、例えば消泡剤、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、重合禁止剤、光増感剤等が挙げられる。
【0034】
また、低屈折率層形成用の塗工液の塗膜を紫外線照射により硬化させる場合は、塗工液に光重合開始剤が添加される。光重合開始剤としては、防眩層2の材料として例示した物を使用することができる。
【0035】
低屈折率層3の屈折率は、防眩層2の屈折率より小さく、かつ、1.25~1.50までの範囲内であることが好ましい。屈折率層の屈折率は、できるだけ低い方が空気(屈折率=1)との屈折率と近づき、低反射率を実現しやすいものの、低屈折率材料を多量に添加する必要があるため、機械強度が低くなり傷がつきやすくなる可能性がある。一方、低屈折率層の屈折率が1.50を超えると、空気との屈折率差が大きくなることにより反射率が上昇する可能性がある。
【0036】
低屈折率層3の膜厚は、光学干渉層としての特性から、5nm~1μmの範囲内にあることが好ましいが、低屈折率層3の膜厚に低屈折率層3の屈折率を乗じた光学膜厚が可視光の波長(抑制すべき波長)の1/4とほぼ等しくなるように設計されることが、薄膜化及び反射率抑制の面でより好ましい。
【0037】
図2は、光学積層体の表面形状を説明するための模式断面図である。以下、
図2を参照しながら、本実施形態に係る光学積層体10が満たすべき条件を説明する。
【0038】
本実施形態に係る光学積層体10において、低屈折率層3の表面には複数の微細な凹凸が存在する。本実施形態において、低屈折率層3の表面の凹凸形状は、以下の条件(1)及び(2)を同時に満足する。
(1)低屈折率層3の表面に存在する複数の凸部のうち、凹凸高さが0.1μm以上である凸部の数が、測定面積1mm2当たり600~1500個である。
(2)低屈折率層3の表面に存在する凹凸の平均傾斜角が0.5~1.4°である。
【0039】
ここで、凸部の数は、例えば、非接触表面・層断面形状計測システム(バートスキャンR3300FL-Lite-AC、株式会社菱化システム製)の解析ソフトウェア「VS-Viewer」を用いて算出することができる。凸部の数は、VS-Viewerの粒子解析条件として突解析を選択して高さ閾値0.1μmに設定した際、表面高さデータの高さゼロの位置から高さ閾値の値を加算した面の上に位置する突領域の数をいう。
【0040】
なお、VS-Viewerでの解析時に、粒子解析条件で高さ閾値を0.1μmと設定して、表面高さデータの高さゼロの位置から高さ閾値の値を加算した面の上に位置する突領域を本発明の凸部と定義する。また、表面高さデータの高さゼロの位置から高さ閾値の値を加算した面から下に位置する非突領域は本発明の凸部ではない。ここで、本発明の凸部と定義される箇所の高さを凹凸高さと定義する。
【0041】
また、本発明で、VS-Viewerの断面プロファイル(マルチライン)における解析条件で平均的な凹凸が生成される。断面プロファイル(マルチライン)では、設定した測定カーソル6点の断面プロファイルを平均化した断面から求められる平均傾斜角を本発明の凹凸の平均傾斜角と定義する。
【0042】
凹凸高さが0.1μm以上の凸部の数が、測定面積1mm
2当たり600個未満の場合、
図2(a)に示すように、低屈折率層3の表面に存在する凸部が少なくなるために、低屈折率層3の表面が平滑になる。したがって、光学積層体10に触れたときにおける接触面積が大きくなり、光学積層体10をタッチパネル付き表示装置に用いた場合、指の滑り性が悪化する。また、低屈折率層3の表面が平滑であるために、指紋の拭き取り時に汚れが広がりやすく、指紋拭き取り性も悪化する。
【0043】
凹凸高さが0.1μm以上の凸部の数が、測定面積1mm
2当たり600個以上であるが、平均傾斜角が0.5°未満である場合、
図2(b)に示すように、凸部の傾斜が緩やかであるため、触れたときに、指が凸部の頂部近傍の側面に接触しやすい。したがって、光学積層体10に触れたときにおける接触面積は依然として大きく、光学積層体10をタッチパネル付き表示装置に用いた場合、指の滑り性が悪化する。また、凸部の傾斜がなだらかであるために、指紋の拭き取り時に汚れが凸部間の溝に入り込みやすく、指紋拭き取り性が不十分である。
【0044】
凹凸高さが0.1μm以上の凸部の数が、測定面積1mm
2当たり600個以上であり、かつ、平均傾斜角が0.5°以上の場合、
図2(c)に示すように、低屈折率層3の表面の凸部形状がシャープとなり、指の接触面積が小さくなる。したがって、光学積層体10に触れたときにおける接触面積が小さくなり、光学積層体10をタッチパネル付き表示装置に用いた場合、指の滑り性が良好である。また、低屈折率層3の表面の凸部形状がシャープで、指紋の拭き取り時に汚れが伸びないため、指紋拭き取り性が良好である。
【0045】
凹凸高さが0.1μm以上の凸部の数は、測定面積1mm
2当たり1400個以上であることが好ましい。凹凸高さが0.1μm以上の凸部の数が、測定面積1mm
2当たり1400個以上であり、かつ、平均傾斜角が0.5°以上の場合、
図2(d)に示すように、低屈折率層3の表面にシャープな凸部形状が密集して形成され、凸部間の溝が狭くなるため、指で触れたときの接触面積が減少する。したがって、指の滑り性が更に向上する。
【0046】
尚、指の滑り性は、タッチパネル付き表示装置の操作性の指標である。指の滑り性が悪い場合、抵抗によりタッチパネルでのスライドやスワイプがしにくくなるため、操作性が悪くなる。指の滑り性が良く、滑らせたときに抵抗感がない場合、タッチパネルでのスライドやスワイプを違和感なく行うことができるため、操作性に優れる。
【0047】
また、本実施形態に係る光学積層体10において、低屈折率層3の表面の視感平均反射率(単に、「視感反射率」とも呼ばれる)が1.0%以下であることが好ましい。視感平均反射率が1.0%を超えると、光学積層体10の表面反射が増えることにより、表示画像の鮮明性を損なうため好ましくない。視感平均反射率は、分光光度計を用い、光学積層体10の最表面に入射角5°の光線束を入射させて分光反射率曲線を求め、JIS R 3106に準拠して、求めた分光反射率曲線を視感平均反射率に換算することにより得られる値であり、XYZ表色系におけるY値である。
【0048】
以上説明したように、本実施形態に係る光学積層体10は、透明基材1の一方面側に防眩層2及び低屈折率層3を備える。光学積層体10の反射防止層が防眩層2及び低屈折率層3の積層構造であるため、光学積層体10を表示パネルの視認側に設けて表示装置を構成すると、外光の映り込みを抑制しつつ、低反射化により画像を鮮明に表示することができる。これに加え、本実施形態に係る光学積層体10においては、低屈折率層3の表面に存在する凹凸高さが0.1μm以上である凸部の数が、測定面積1mm2当たり600~1500個であり、かつ、低屈折率層3の表面の凹凸の平均傾斜角が0.5~1.4°である。すなわち、本実施形態に係る光学積層体10の視認側の最表面である低屈折率層3の表面には、シャープな形状を有する凸部が密集して配置されている。低屈折率層3の表面にこのような凹凸形状を有することにより、触れたときの指の滑り性と指紋の拭き取り性に優れる。したがって、本実施形態に係る光学積層体10は、車載表示装置の反射防止フィルムとして好適であり、タッチパネル付き表示装置の反射防止フィルムとして特に好適である。
【0049】
また、低屈折率層3の表面における視感平均反射率が1.0%以下の場合、光学積層体10の最表面における反射をより低減し、表示画像の鮮明性を向上させることができる。
【実施例0050】
以下、本発明を具体的に実施した実施例を説明する。
【0051】
(実施例1~7、比較例3~5)
透明基材として、厚み40μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを使用した。
【0052】
また、重合性モノマー、フィラー、重合開始剤、増粘剤及び溶剤を含有する防眩層形成用塗工液を調整した。各実施例及び各比較例で用いたフィラー及び塗工液の全固形分(溶剤以外の成分)に占めるフィラーの割合(質量%)を表1に示す。
【0053】
【0054】
透明基材上に防眩層形成用塗工液を硬化後の膜厚が5μmとなるように塗布し、乾燥させた後、紫外線照射により塗膜を重合硬化させ、防眩層を形成した。
【0055】
防眩層上に、重合性モノマー、中空シリカフィラー、重合開始剤を含有する低屈折率層形成用塗工液を塗布した。中空シリカフィラーとしては、平均粒径75nmのものを使用し、中空シリカフィラーの含有量を低屈折率層形成用塗工液中の全固形分の45.5質量%とした。低屈折率層形成用塗工液を硬化後の膜厚が0.1μmとなるように防眩層上に塗布し、乾燥させた後、紫外線照射により塗膜を重合硬化させ、低屈折率層を形成した。これにより、透明基材上に防眩層及び低屈折率層が順に積層された光学積層体を得た。
【0056】
(比較例1)
実施例1と同様に透明基材上に防眩層を形成し、比較例1に係る光学積層体とした。
【0057】
(比較例2)
透明基材として、厚み40μmのTACフィルムを使用した。透明基材上に、バインダー樹脂、光重合開始剤及び溶剤を含有するハードコート層形成用塗工液を、硬化後の膜厚が5μmとなるように塗布し、乾燥させた後、紫外線照射により塗膜を重合硬化させ、ハードコート層を形成した。次に、ハードコート層上に実施例1で用いたものと同じ低屈折率層形成用塗工液を硬化後の膜厚が0.1μmとなるように塗布し、乾燥させた後、紫外線照射により塗膜を重合硬化させ、低屈折率層を形成した。これにより、透明基材上にハードコート層及び低屈折率層が順に積層された光学積層体を得た。
【0058】
[表面形状解析]
実施例1~7及び比較例1~5に係る光学積層体の低屈折率層表面の凹凸形状を、非接触表面・層断面形状計測システム(測定装置:バートスキャンR3300FL-Lite-AC、解析ソフトウェア:VS-Viewer6、株式会社菱化システム製)を用いて光干渉方式により測定した。装置の粒子解析ソフトウェアを用いて測定データを解析し、低屈折率層表面の算術平均粗さRa、最大高さRz及び曲線要素の表面長さRsmと、平均傾斜角θa、測定面積1mm2当たりの凹凸高さが0.1μm以上である凸部の数を計測した。
【0059】
なお、本発明で、VS-Viewerの断面プロファイル(マルチライン)における解析条件で平均的な凹凸が生成される。断面プロファイル(マルチライン)では、設定した測定カーソル6点の断面プロファイルを平均化した断面から求められる算術平均粗さRa、最大高さRz、曲線要素の表面長さRsm及び平均傾斜角を本発明の凹凸の算術平均粗さRa、最大高さRz、曲線要素の表面長さRsm及び平均傾斜角と定義する。
【0060】
装置の測定ソフトウェアを用いて以下の条件により測定を行い、表面凹凸の測定結果である画像ファイルを取得した。
・光学条件
カメラ:ソニー社製 HR-50 1/3インチ
対物レンズ: 10XDI(10倍)
結像レンズ(鏡筒):0.5倍
ズームレンズ:1倍
光源/波長フィルタ:520nm
NDフィルタ:不使用
A-Stop(開口絞り):不使用(全開)
F-Stop(視野絞り):不使用(全開)
・測定条件
測定デバイス:ピエゾ
測定モード:Phase
スキャン速度:4μm/sec
スキャンレンジ:-10~10μm
有効ピクセル数:50%
測定領域:704.192μm×938.923μm
【0061】
取得した画像ファイルを、装置の解析ソフトウェアを用いて以下の条件で解析を行った。
・解析条件(VS-Viewer6)
面補正:4次
Sフィルタ:自動
Lフィルタ:不使用
・粒子解析条件(VS-Viewer6)
解析種類:突解析
画像補正:なし
高さ閾値:0.1μm
粒子整形:なし
【0062】
[Ra、Rz、Rsm及びθaの算出方法]
面補正(4次)及びSフィルタを適用した取得画像において、測定カーソルを縦方向(X方向)の200μm、500μm及び800μmの位置と、横方向(Y方向)の200μm、400μm及び600μmの位置に設定した。VS-Viewerの断面プロファイルにて自動的に算出される、各カーソル位置(X方向に平行な断面3カ所及びY方向に平行な断面3カ所の合計6カ所)のRa、Rz、Rsm及びθaの値を取得し、取得した値の平均値(算術平均)を測定結果とした。
【0063】
[凸部の個数の算出方法]
装置の解析ソフトウェアを用い、面補正(4次)及びSフィルタを適用した取得画像の粒子解析を行うことにより、凸部の個数を算出した。より詳細には、粒子解析条件として上記条件を設定し、突領域と識別される測定面積1mm2当たりの凸部の個数を算出した。
【0064】
[指紋拭き取り性]
実施例1~7及び比較例1~5に係る光学積層体を透明な粘着層を介して黒色アクリル板(スミペックス(登録商標)960 住友化学株式会社製)に貼り合せたものを用意した。光学積層体の低屈折率層表面における1cm×1cmの正方形領域に皮脂を付着させ、ティッシュペーパーを用いて拭き取り試験を行った。低屈折率層表面からの皮脂の消失状況を目視にて確認し、以下の評価基準により評価した。20人の試験者に対してヒアリングし、最も評価人数が多いものを評価結果とした。
○:皮脂が広がらずに、速やかに拭き取られる。
△:皮脂が広がり、拭き取りに時間を要する。
×:皮脂が広範囲に広がり、拭き取りが困難である。
【0065】
[滑り性]
実施例1~7及び比較例1~5に係る光学積層体を透明な粘着層を介して黒色アクリル板(スミペックス(登録商標)960 住友化学株式会社製)に貼り合せたものを用意した。光学積層体の低屈折率層表面に接触させた指を滑らせて、滑りやすさ(指の引っかかりにくさ)を以下の評価基準により評価した。20人の試験者に対してヒアリングし、最も評価人数が多いものを評価結果とした。
◎:ざらつき感がなく、極めて滑らかに指を滑らせることができる。
○:ざらつき感が少なく、滑らかに指を滑らせることができる。
△:ざらつき感があり、指を滑らせたときに指が引っかかるような抵抗感がある。
×:ざらつき感が強く、指を滑らせたときに強い抵抗感がある。
【0066】
[視感平均反射率]
実施例1~7及び比較例1~5に係る光学積層体の低屈折率層表面における分光反射率を、自動分光光度計(日立製作所製 U-4100)を用いて測定した。分光反射率測定において、光学積層体の裏面(防眩層及び低屈折率層が形成されていない透明基材表面)には、つや消し用の黒板を貼合して反射防止の処置を行い、入射光の入射角は5°とした。得られた分光反射率曲線をJIS R 3106に準拠して視感平均反射率(反射Y値)を算出した。
【0067】
[視認性]
実施例1~7及び比較例1~5に係る光学積層体を、透明基材が表示面側を向くように、表示装置(iPad3(第3世代) アップルインコーポレイテッド製、「iPad」は登録商標)に重ね合わせ、光学積層体を通した表示装置の表示画像の視認性を目視にて観察し、以下の評価基準により評価した。
○:反射Y値が1.0%以下
×:反射Y値が1.0%超
【0068】
表2に、上記の各測定値と評価結果を併せて示す。
【0069】
【0070】
実施例1~7に係る光学積層体は、低屈折率層の表面に存在する凹凸高さが0.1μm以上である凸部の数が、測定面積1mm2当たり600~1500個であり、かつ、低屈折率層の表面の凹凸の平均傾斜角が0.5~1.4°であるため、指紋拭き取り性及び滑り性のいずれも良好であった。また、実施例1~7に係る光学積層体は、視感平均反射率(反射Y値)も1.0%以下であり、外光の反射が十分に抑制されることから、表示装置に用いた時の表示画像の視認性も良好であった。
【0071】
中でも、実施例7に係る光学積層体は、凹凸高さ0.1μm以上である凸部の数が1400個/1mm2を超えており、シャープな凸部が密集して配置されるために、指の接触面積がより低減され、滑り性がより優れていた。
【0072】
比較例1に係る光学積層体は、低屈折率層を設けていない防眩性フィルムである。比較例1に係る光学積層体は、最表面(防眩層表面)に存在する凹凸高さ0.1μm以上である凸部の数及び凹凸の平均傾斜角が実施例4と同程度であるが、低屈折率層がないために、視感平均反射率(反射Y値)が大きく、表示装置に用いた時の表示画像の視認性が悪かった。また、指紋拭き取り性及び滑り性も悪かった。
【0073】
比較例2に係る光学積層体は、防眩層の代わりにハードコート層を設けたものである。比較例2に係る光学積層体においては、防眩層由来の凹凸が形成されないために、低屈折率層の表面が平滑となった。そのため、指紋拭き取り性及び滑り性が悪かった。
【0074】
比較例3及び4に係る光学積層体は、凹凸高さ0.1μm以上である凸部の数が600個/1mm2未満であり、平均傾斜角θaも0.5°未満であるため、指紋拭き取り性及び滑り性が不十分であった。
【0075】
比較例5に係る光学積層体は、平均傾斜角θaも0.5°未満であるため、指紋拭き取り性及び滑り性が不十分であった。また、比較例5に係る光学積層体の視感平均反射率(反射Y値)が1.0%を超えており、表示装置に用いた時の表示画像の視認性が悪かった。
【0076】
以上より、透明基材上に防眩層及び低屈折率層を積層した反射防止層を設けた光学積層体において、低屈折率層の表面に存在する凹凸高さが0.1μm以上である凸部の数が当たり600~1500個/1mm2であり、かつ、低屈折率層の表面の凹凸の平均傾斜角が0.5~1.4°であることにより、指紋拭き取り性及び滑り性が良好であることが確認された。