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特開2023-75740走行用地図作成装置、自律走行型ロボット、走行用地図作成方法、及び、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075740
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】走行用地図作成装置、自律走行型ロボット、走行用地図作成方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/02 20200101AFI20230524BHJP
【FI】
G05D1/02 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188833
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】本山 裕之
(72)【発明者】
【氏名】三浦 祐太
【テーマコード(参考)】
5H301
【Fターム(参考)】
5H301AA02
5H301AA03
5H301BB11
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC06
5H301CC10
5H301FF07
5H301FF10
5H301FF13
5H301GG08
5H301GG09
5H301GG10
5H301GG12
5H301HH10
5H301HH19
(57)【要約】
【課題】走行用の地図に進入禁止エリアを容易に設定することができる走行用地図作成装置を提供する。
【解決手段】走行用地図作成装置100は、自己の周囲で検知された物体の自己に対する位置関係を計測する位置センサ110から位置関係を取得する取得部121と、位置関係に基づきフロアマップを作成するフロアマップ作成部123と、フロアマップ上での位置センサ110の自己位置を算出する自己位置算出部122と、位置センサ110の周囲に存在するマーカを識別するマーカ識別部124と、位置センサ110に対するマーカの相対位置を算出するマーカ位置算出部125と、フロアマップと自己位置とマーカの相対位置とに基づき走行可能エリアと進入禁止エリアとの境界を設定し、境界情報を含む進入禁止情報を生成する進入禁止情報生成部126と、進入禁止情報に基づき進入禁止エリアが設定された走行用の地図を作成する走行用地図作成部127とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のフロア内を自律的に走行する自律走行型ロボットの走行用の地図を作成する走行用地図作成装置であって、
自己の周囲の物体を検知し、自己に対する前記物体の位置関係を計測する位置センサから前記位置関係を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記位置関係に基づいて前記所定のフロアを示すフロアマップを作成するフロアマップ作成部と、
前記フロアマップ作成部により作成された前記フロアマップ上での前記位置センサの現在位置である自己位置を算出する自己位置算出部と、
前記位置センサの周囲に存在するマーカを識別するマーカ識別部と、
前記位置センサに対する前記マーカの相対位置を算出するマーカ位置算出部と、
前記フロアマップと前記自己位置と前記マーカの相対位置とに基づいて、前記自律走行型ロボットが走行可能なエリアと前記自律走行型ロボットの進入を禁止する進入禁止エリアとの境界を設定し、設定された前記境界を示す境界情報を含む進入禁止情報を生成する進入禁止情報生成部と、
前記進入禁止情報生成部により生成された進入禁止情報に基づいて前記進入禁止エリアが設定された走行用の地図を作成する走行用地図作成部と、
を備える、
走行用地図作成装置。
【請求項2】
前記マーカは、前記境界を設定するための第1マーカと、前記第1マーカとは異なる第2マーカとを含み、
前記マーカ識別部は、前記マーカの識別において、前記マーカが前記第1マーカ及び前記第2マーカのいずれであるかを識別し、
前記進入禁止情報生成部は、
前記フロアマップと、前記自己位置と、前記マーカの相対位置とに基づいて、前記フロアマップ上での前記マーカの位置を算出し、
算出された前記フロアマップ上での前記マーカの位置と、識別された前記マーカが前記第1マーカ及び前記第2マーカのいずれであるかを示す情報とを紐づけてデータベースに格納する、
請求項1に記載の走行用地図作成装置。
【請求項3】
前記進入禁止情報生成部は、
前記データベースに格納された前記フロアマップ上の複数の前記マーカのうち前記第1マーカを抽出し、
抽出された前記第1マーカのうち当該第1マーカと前記フロアマップの上面視において当該第1マーカの周囲の壁に平行な第1の方向、又は、前記第1の方向に垂直な第2の方向に隣り合う他の第1マーカとの組が一組のみ存在する場合に、前記一組の前記第1マーカと前記他の第1マーカとを結ぶ線を前記境界に設定する、
請求項2に記載の走行用地図作成装置。
【請求項4】
前記進入禁止情報生成部は、
(i)抽出された前記第1マーカのうち当該第1マーカと前記フロアマップの上面視において前記第1の方向もしくは前記第2の方向に隣り合う他の第1マーカとの組が二組存在する場合、又は、(ii)当該第1マーカと前記フロアマップにおいて垂直方向及び水平方向のそれぞれに隣り合う他の第1マーカとの組が一組以上存在する場合、前記他の第1マーカが前記境界の設定に使用されている場合に、前記第1マーカと前記境界を設定するためのマーカ候補から前記他の第1マーカを除外する、
請求項3に記載の走行用地図作成装置。
【請求項5】
前記進入禁止情報生成部は、さらに、
前記(i)又は前記(ii)の場合、前記第1マーカと前記他の第1マーカとがそれぞれ前記所定のフロアにおける1つの壁面に並行して設置されている場合に、前記マーカ候補から前記他の第1マーカを除外する、
請求項4に記載の走行用地図作成装置。
【請求項6】
前記第2マーカは、前記進入禁止エリアを囲む境界を設定するためのマーカであり、
前記進入禁止情報生成部は、
前記フロアマップ上の前記第2マーカの位置から所定のサイズの矩形領域を前記進入禁止エリアとして囲む前記境界を設定する、
請求項2~5のいずれか1項に記載の走行用地図作成装置。
【請求項7】
所定のフロア内を自律的に走行する自律走行型ロボットであって、
本体と、
前記本体に配置され、前記本体を走行可能とする走行部と、
請求項1~6のいずれか1項に記載の前記走行用地図作成装置で作成された前記走行用の地図を取得する走行地図取得部と、
前記本体の周囲の物体を検知し、前記本体に対する前記物体の位置関係を計測する位置センサと、
前記走行用の地図及び前記位置関係に基づいて、前記走行用の地図上での前記本体の位置である自己位置を算出する自己位置算出部と、
前記走行用の地図及び前記自己位置に基づいて、前記所定のフロアにおける走行計画を作成する走行計画作成部と、
前記走行計画に基づいて、前記走行部を制御する走行制御部と、
を備える、
自律走行型ロボット。
【請求項8】
前記自律走行型ロボットは、さらに、前記走行用地図作成装置を備える、
請求項7に記載の自律走行型ロボット。
【請求項9】
前記自律走行型ロボットは、さらに、
掃く、拭く、及び、塵埃を吸引する、の少なくともいずれかの動作を実行することにより床面を掃除する掃除部と、
前記掃除部を制御する掃除制御部と、
を備え、
前記走行計画作成部は、さらに、掃除計画を作成し、
前記掃除制御部は、前記掃除計画に基づいて、前記掃除部を制御する、
請求項7又は8に記載の自律走行型ロボット。
【請求項10】
所定のフロア内を自律的に走行する自律走行型ロボットの走行用の地図を作成する走行用地図作成方法であって、
自己の周囲の物体を検知し、自己に対する前記物体の位置関係を計測する位置センサから前記位置関係を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得された前記位置関係に基づいて前記所定のフロアを示すフロアマップを作成するフロアマップ作成ステップと、
前記フロアマップ作成ステップで作成された前記フロアマップ上での前記位置センサの現在位置である自己位置を算出する自己位置算出ステップと、
前記位置センサの周囲に存在するマーカを識別するマーカ識別ステップと、
前記位置センサに対する前記マーカの相対位置を算出するマーカ位置算出ステップと、
前記フロアマップと前記自己位置と前記マーカの相対位置とに基づいて、前記自律走行型ロボットが走行可能なエリアと前記自律走行型ロボットの進入を禁止する進入禁止エリアとの境界を設定し、設定された前記境界を示す境界情報を含む進入禁止情報を生成する進入禁止情報生成ステップと、
前記進入禁止情報生成ステップで生成された進入禁止情報に基づいて進入禁止エリアが設定された走行用の地図を作成する走行用地図作成ステップと、
を含む、
走行用地図作成方法。
【請求項11】
請求項10に記載の走行用地図作成方法をコンピュータに実行させるための、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、走行用地図作成装置、自律走行型ロボット、走行用地図作成方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、自律走行するロボットの進入を禁止する区域の位置などの進入禁止情報を生成するために、人が反射材を所定の位置に運び、位置センサで反射材の相対位置を計測することにより走行用の地図を作成する装置及び方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-005031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、人が反射材を所定の位置に運び、進入禁止区域の種別毎に反射率の異なる反射材に切り替えた後に、位置センサで反射材の相対位置を計測するため、走行用の地図に進入禁止区域を設定するのに手間がかかる。
【0005】
そこで、本開示は、自律走行型ロボットの走行用の地図に自律走行型ロボットの進入を禁止する進入禁止エリアを容易に設定することができる走行用地図作成装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本開示の一態様に係る走行用地図作成装置は、所定のフロア内を自律的に走行する自律走行型ロボットの走行用の地図を作成する走行用地図作成装置であって、自己の周囲の物体を検知し、自己に対する前記物体の位置関係を計測する位置センサから前記位置関係を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記位置関係に基づいて前記所定のフロアを示すフロアマップを作成するフロアマップ作成部と、前記フロアマップ作成部により作成された前記フロアマップ上での前記位置センサの現在位置である自己位置を算出する自己位置算出部と、前記位置センサの周囲に存在するマーカを識別するマーカ識別部と、前記位置センサに対する前記マーカの相対位置を算出するマーカ位置算出部と、前記フロアマップと前記自己位置と前記マーカの相対位置とに基づいて、前記自律走行型ロボットが走行可能なエリアと前記自律走行型ロボットの進入を禁止する進入禁止エリアとの境界を設定し、設定された前記境界を示す境界情報を含む進入禁止情報を生成する進入禁止情報生成部と、前記進入禁止情報生成部により生成された進入禁止情報に基づいて進入禁止エリアが設定された走行用の地図を作成する走行用地図作成部と、を備える。
【0007】
また、本開示の一態様に係る自律走行型ロボットは、所定のフロア内を自律的に走行する自律走行型ロボットであって、本体と、前記本体に配置され、前記本体を走行可能とする走行部と、前記走行用地図作成装置で作成された前記走行用の地図を取得する走行地図取得部と、前記本体の周囲の物体を検知し、前記本体に対する前記物体の位置関係を計測する位置センサと、前記走行用の地図及び前記位置関係に基づいて、前記走行用の地図上での前記本体の位置である自己位置を算出する自己位置算出部と、前記走行用の地図及び前記自己位置に基づいて、前記所定のフロアにおける走行計画を作成する走行計画作成部と、前記走行計画に基づいて、前記走行部を制御する走行制御部と、を備える。
【0008】
また、本開示の一態様に係る走行用地図作成方法は、所定のフロア内を自律的に走行する自律走行型ロボットの走行用の地図を作成する走行用地図作成方法であって、自己の周囲の物体を検知し、自己に対する前記物体の位置関係を計測する位置センサから前記位置関係を取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得された前記位置関係に基づいて前記所定のフロアを示すフロアマップを作成するフロアマップ作成ステップと、前記フロアマップ作成ステップで作成された前記フロアマップ上での前記位置センサの現在位置である自己位置を算出する自己位置算出ステップと、前記位置センサの周囲に存在するマーカを識別するマーカ識別ステップと、前記位置センサに対する前記マーカの相対位置を算出するマーカ位置算出ステップと、前記フロアマップと前記自己位置と前記マーカの相対位置とに基づいて、前記自律走行型ロボットが走行可能なエリアと前記自律走行型ロボットの進入を禁止する進入禁止エリアとの境界を設定し、設定された前記境界を示す境界情報を含む進入禁止情報を生成する進入禁止情報生成ステップと、前記進入禁止情報生成ステップで生成された進入禁止情報に基づいて進入禁止エリアが設定された走行用の地図を作成する走行用地図作成ステップと、を含む。
【0009】
なお、本開示は、前記走行用地図作成方法をコンピュータに実施させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、上記プログラムを記録したコンピュータによって読み取り可能なCD-ROM等の非一時的な記録媒体として実現されてもよい。また、本開示は、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現されてもよい。そして、それらプログラム、情報、データ及び信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信されてもよい。
【発明の効果】
【0010】
本開示の走行用地図作成装置及び走行用地図作成方法によれば、自律走行型ロボットの走行用の地図に自律走行型ロボットの進入を禁止する進入禁止エリアを容易に設定することができる。また、本開示の自律走行型ロボットによれば、走行用の地図に基づいて適切に自律走行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態における自律走行型ロボットシステムの概要を説明するための図である。
図2図2は、実施の形態における自律走行型ロボットシステムの構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施の形態に係る走行用地図作成装置を斜め上方側から見た斜視図である。
図4図4は、実施の形態に係る走行用地図作成装置を前方側から見た正面図である。
図5図5は、実施の形態における自律走行型ロボットを側方向から見た外観を示す斜視図である。
図6図6は、実施の形態における自律走行型ロボットを正面方向から見た外観を示す斜視図である。
図7図7は、実施の形態における自律走行型ロボットを裏面方向から見た外観を示す底面図である。
図8図8は、実施の形態における自律走行型ロボットシステムの動作の第1の例を示すフローチャートである。
図9図9は、図8のステップS18の詳細なフローを示すフローチャートである。
図10図10は、第1マーカに基づく境界の設定処理の一例を模式的に説明するための図である。
図11図11は、境界の設定処理の一例を模式的に説明するための図である。
図12図12は、実施の形態における自律走行型ロボットシステムの動作の第2の例を示すフローチャートである。
図13図13は、第2の例における情報端末の動作の一例を示すフローチャートである。
図14図14は、表示情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下では、本開示に係る走行用地図作成装置等の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、いずれも本開示の好ましい一具体例を示すものである。したがって、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0013】
なお、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面及び以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
【0014】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0015】
また、以下の実施の形態においては、所定のフロアの床面を走行する自律走行型ロボットを鉛直上方側から見た場合を上面視とし、鉛直下方側から見た場合を底面視として記載する場合がある。
【0016】
(実施の形態)
[自律走行型ロボットシステム]
[1.概要]
まず、実施の形態に係る走行用地図作成装置が適用される自律走行型ロボットシステムの概要について説明する。図1は、実施の形態における自律走行型ロボットシステムの概要を説明するための図である。
【0017】
自律走行型ロボットシステム400は、自律走行型ロボット300が所定のフロアを自律的に走行するための走行用の地図を作成し、自律走行型ロボット300に走行用の地図を提供するシステムである。走行用の地図には、自律走行型ロボット300の進入を禁止する進入禁止エリアが設定されている。走行用地図作成装置100は、所定のフロアの壁面に取り付けられたマーカ(例えば、第1マーカ1及び第2マーカ3)を識別し、識別されたマーカの種類とフロアマップ上の位置とに基づいて、自律走行型ロボット300が走行可能なエリアと進入禁止エリアとの境界を設定する。自律走行型ロボット300は、走行用地図作成装置100により作成された走行用の地図を取得し、走行用の地図における自己位置及び障害物情報に基づいて走行計画を作成する。これにより、自律走行型ロボット300は、安全に、かつ、適切に、所定のフロアを自律的に走行することができる。図1では、走行用地図作成装置100と自律走行型ロボット300とは、別体である例を示しているが、一体であってもよい。つまり、自律走行型ロボットは走行用地図作成装置を備えてもよい。
【0018】
所定のフロアは、例えば、建物内の壁などに囲まれたフロアである。建物は、例えば、ホテル、商業施設、オフィスビル、病院、介護施設、美術館、又は、図書館などの施設であってもよく、マンションなどの集合住宅であってもよい。なお、所定のフロアは建物内に限られず、例えば、建物と建物との間の空間であってもよい。
【0019】
マーカは、例えば、走行可能エリアと進入禁止エリアとの境界を設定するための第1マーカ1と、第1マーカ1とは異なり、かつ、当該境界を設定しない第2マーカ3を含む。例えば、第1マーカ1は、全面が反射強度の高い素材で構成されており、第2マーカ3は、反射強度の高い素材と反射強度の低い素材とで構成されている。これらのマーカは、シールであってもよいし、プレートであってもよいし、ポールであってもよい。
【0020】
第1マーカ1は、対になる2つの第1マーカを結ぶ線を境界として設定するために使用される。より具体的には、第1マーカ1は、第1マーカ1とフロアマップの上面視において第1マーカ1の周囲の壁に平行な第1の方向、又は、第1の方向に垂直な第2の方向に隣り合う他の第1マーカ1との組が一組のみ存在する場合に、当該一組の第1マーカ1と他の第1マーカ1とを結ぶ線を境界に設定するためのマーカである。
【0021】
第2マーカ3は、例えば、進入禁止エリアを囲む境界を設定するためのマーカである。第2マーカ3は、例えば、所定のフロアに設置された障害物(例えば、植木鉢、消火器など位置センサ110で検知しづらい物体)の周囲に所定のサイズの所定形状の領域を進入禁止エリアとして囲む境界を設定するためのマーカである。例えば、第2マーカ3は、三角形、四角形、五角形などの多角形状の境界を設定してもよいし、円形又は楕円形の境界を設定してもよい。また、第2マーカ3が例えば壁面に取り付けられている場合は、進入禁止エリアは、壁面と第2マーカ3が設定する境界とで囲まれる所定のサイズの所定形状の領域であってもよい。図1の例では、第2マーカ3が取り付けられた壁面とコの字型の境界とで囲まれた矩形領域4が、いわゆる進入禁止エリアである。なお、第1マーカ1及び第2マーカ3は一例であり、これらに限定されない。
【0022】
[2.構成]
続いて、自律走行型ロボットシステム400の構成について説明する。図2は、実施の形態における自律走行型ロボットシステム400の構成の一例を示すブロック図である。
【0023】
図2に示されるように、自律走行型ロボットシステム400は、例えば、走行用地図作成装置100と、情報端末200と、自律走行型ロボット300とを備える。走行用地図作成装置100と、情報端末200と、自律走行型ロボット300とは、ネットワーク10を介して通信接続されている。図2では、自律走行型ロボット300は、掃除ロボットである例を示しているが、これに限られない。以下、各構成について説明する。
【0024】
[2-1.走行用地図作成装置]
まず、走行用地図作成装置100について説明する。図3は、実施の形態に係る走行用地図作成装置100を斜め上方側から見た斜視図である。図4は、実施の形態に係る走行用地図作成装置100を前方側から見た正面図である。
【0025】
走行用地図作成装置100は、所定のフロアを自律的に走行する自律走行型ロボット300の走行用の地図を作成する装置である。より具体的には、走行用地図作成装置100は、ユーザの操作により所定のフロアを走行しながら、フロアマップと自己位置とマーカの相対位置とに基づいて自律走行型ロボット300が走行可能なエリアと自律走行型ロボット300の進入を禁止する進入禁止エリアとの境界を設定する。そして、走行用地図作成装置100は、設定された境界情報を含む進入禁止情報に基づいて進入禁止エリアが設定された走行用の地図を作成する。
【0026】
例えば、図1に示されるように、走行用地図作成装置100は、台車190に載せられ、ユーザの操作により所定のフロアを走行してもよい。この例では、ユーザが台車190を押すことにより走行用地図作成装置100を走行させる。また、図3に示されるように、台車190には、例えば、ハンドル191に情報端末200を載せるスタンド192が取り付けられてもよいし、走行用地図作成装置100の提示部(不図示)が設置されてもよい。提示部は、いわゆる表示パネルであってもよい。
【0027】
なお、走行用地図作成装置100は、図3の例に限られず、例えば、走行用地図作成装置100の本体101に車輪、及び、車輪を回転させるためのモータなどを含む走行部を備え、リモコンなどの操作によりフロア内を走行してもよい。また、例えば、走行用地図作成装置100は、さらに、本体101にハンドルを備えてもよく、この場合、ユーザがハンドルを操作することにより走行用地図作成装置100を走行させてもよい。
【0028】
続いて、走行用地図作成装置100の構成について説明する。図2に示されるように、走行用地図作成装置100は、例えば、位置センサ110と、撮像部112と、制御部120と、記憶部130と、通知部140と、通信部150とを備える。以下、各構成について説明する。
【0029】
[位置センサ]
位置センサ110は、自己の周囲の物体を検知し、自己に対する物体の位置関係を計測する。例えば、位置センサ110は、本体101の上面の中央に配置されており、走行用地図作成装置100と、走行用地図作成装置100の周囲に存在する壁などを含む物体との距離及び方向を含む位置関係を計測する。位置センサ110は、例えば、光を放射し障害物により反射して返ってきた光に基づいて位置関係を検出するLIDAR(Laser Imaging Detection And Ranging)、又は、レーザレンジファインダであってもよい。位置センサ110は、光の走査軸を1軸又は2軸有することにより、走行用地図作成装置100の周囲の所定の領域の二次元計測、又は、三次元計測を行ってもよい。
【0030】
なお、走行用地図作成装置100は、位置センサ110に加えて、他の種類のセンサを備えてもよい。例えば、走行用地図作成装置100は、さらに、床面センサ、エンコーダ、加速度センサ、角速度センサ、接触センサ、超音波センサ、測距センサなどを備えてもよい。
【0031】
[撮像部]
撮像部112は、走行用地図作成装置100の周囲を撮像する撮像装置である。例えば、撮像部112は、走行用地図作成装置100の周囲のマーカを含む画像を撮像する。当該画像は、1枚の画像でもよく、動画像でもよい。撮像部112は、本体101の前面に配置されてもよく、上面に回転可能に配置されてもよい。また、撮像部112は、複数のカメラから構成されてもよい。撮像部112は、例えば、ステレオカメラ又はRGB-Dカメラであってもよい。RGB-Dカメラは、色画像データ(RGB)に加えて距離画像データ(Depth)を取得する。例えば、図4に示されるように、撮像部112がRGB-Dカメラである場合、撮像部112は、RGBカメラ112aと、赤外線センサ112bと、プロジェクタ112cとを備えてもよい。
【0032】
[制御部]
制御部120は、走行用地図作成装置100の動作を制御するための各種情報処理を行う。制御部120は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、専用回路によって実現される。また、制御部120は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、専用回路のうちの2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。例えば、制御部120は、取得部121と、自己位置算出部122と、フロアマップ作成部123と、マーカ識別部124と、マーカ位置算出部125と、進入禁止情報生成部126と、走行用地図作成部127とを含む。
【0033】
取得部121は、例えば、位置センサ110により計測された位置センサ110の周囲の物体を検知し、位置センサ110に対する物体の位置関係を取得する。実施の形態では、位置センサ110は、走行用地図作成装置100の本体101の上面の中央に配置されているため、位置センサ110は、走行用地図作成装置100の本体101に対する周囲の物体の位置関係を計測しているとも言える。以下、位置センサ110の位置を走行用地図作成装置100の位置として説明する。また、例えば、取得部121は、撮像部112により撮像された画像データを取得する。さらに、取得部121は、走行用地図作成装置100が位置センサ110に加えて他の種類のセンサを備える場合、他の種類のセンサにより取得されたセンサ情報を取得してもよい。
【0034】
自己位置算出部122は、取得部121により取得された位置関係と、フロアマップ作成部123により作成されたフロアマップとを用いて、フロアマップ上での位置センサ110(つまり、走行用地図作成装置100)の現在位置である自己位置を算出する。例えば、自己位置算出部122は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)技術を利用して自己位置を算出する。なお、走行用地図作成装置100がSLAM技術を利用する場合、自己位置算出部122及びフロアマップ作成部123は、自己位置を算出しながらフロアマップを作成し、自己位置、及び、フロアマップを逐次更新する。
【0035】
フロアマップ作成部123は、取得部121により取得された位置関係に基づいて所定のフロアを示すフロアマップを作成する。フロアマップ作成部123は、位置センサ110が自己の周囲の物体の位置と距離とを計測した情報(つまり、位置関係)に基づいてフロアマップを作成する。フロアマップ作成部123は、位置センサ110により計測された上記の情報(つまり、位置関係)に基づいて、例えばSLAM技術により走行用地図作成装置100の周辺環境(壁、家具などの物体)に関するフロアマップを作成してもよい。なお、フロアマップ作成部123は、位置センサ110(例えば、LIDAR)のセンシング情報以外に、他のセンサである車輪オドメトリ、ジャイロセンサなどからの情報を加えてフロアマップを作成してもよい。なお、フロアマップ作成部123は、例えば、情報端末200又はサーバ(不図示)などからフロアマップを取得してもよく、記憶部130に格納されたフロアマップを読み出してもよい。
【0036】
マーカ識別部124は、位置センサ110の周囲に存在するマーカを識別する。ここでは、マーカ識別部124は、走行用地図作成装置100の本体101)の周囲のマーカを識別する。より具体的には、マーカ識別部124は、マーカが第1マーカ1及び第2マーカ3のいずれであるかを識別する。例えば、マーカ識別部124は、位置センサ110又は撮像部112により取得されたセンシングデータ(例えば、位置関係を計測するためのセンシングデータ、画像などのデータ)に含まれるマーカを検出する。例えば、マーカ識別部124は、撮像部112により撮像された画像を解析して、マーカの輪郭、パターン、色などのマーカの特徴を識別することによりマーカを検出してもよい。また、例えば、マーカ識別部124は、記憶部130に格納されたマーカ情報を参照して、識別されたマーカの特徴に対応するマーカ情報に基づいてマーカを識別してもよいし、マーカとマーカの種類とを識別してもよい。
【0037】
マーカ位置算出部125は、位置センサ110に対するマーカの相対位置を算出する。ここでは、マーカ位置算出部125は、走行用地図作成装置100の本体101に対するマーカの相対位置を算出する。例えば、マーカ位置算出部125は、マーカ識別部124により識別されたマーカの輪郭の頂点に基づいて射影変換し、空間情報を算出する。例えば、カメラからの角度や距離に応じて決まる、画像内のマーカの位置及び輪郭の歪みに基づいて、マーカを所定の矩形に射影変換し、マーカを原点とし、かつ、マーカの位置する平面を水平面(XY平面)とするマーカ座標系から、カメラ座標系への変換行列(ビュー行列)及び画角を算出する。なお、マーカ座標系の原点は、例えば矩形のマーカの所定の頂点や重心等と定めておくものとする。また、このような変換行列の算出は既存の手法やライブラリを用いて行うことができる。画角については、例えば、使用される撮像部112が備えているレンズの情報を予め記憶しておき、当該情報に基づいて画角の情報を取得できるようにしてもよい。また、マーカ座標系からカメラ座標系への変換行列でなく、カメラ座標系を基準としたマーカ座標系への変換行列を算出するようにしてもよい。
【0038】
進入禁止情報生成部126は、フロアマップと自己位置とマーカの相対位置とに基づいて自律走行型ロボット300が走行可能なエリア(以下、走行可能エリアともいう)と自律走行型ロボット300の進入を禁止する進入禁止エリアとの境界を設定し、設定された境界を示す境界情報を含む進入禁止情報を生成する。例えば、フロアマップ上での走行用地図作成装置100の自己位置、及び、走行用地図作成装置100に対するマーカの相対位置のそれぞれは、タイムスタンプが付されている。この場合、進入禁止情報生成部126は、これらのタイムスタンプを参照し、同じ時刻における自己位置と、マーカの相対位置とに基づいて、フロアマップ上でのマーカの位置(より詳細には、座標情報)を算出してもよい。このようにして算出された複数のマーカの位置(つまり、座標情報)に基づいて、進入禁止情報生成部126は、進入禁止エリアと走行可能エリアとの境界を設定し、設定された境界を示す境界情報を含む進入禁止情報を生成してもよい。
【0039】
さらに、進入禁止情報生成部126は、マーカ識別部124によりマーカの種類が識別されると、マーカの種類に対応する進入禁止情報を生成してもよい。例えば、図1に示されるように、マーカは、シール又はプレートのように壁面に取り付けられてもよいが、これに限られない。例えば、マーカは、ポールなどのようにフロアの床面上に配置されてもよい。マーカは、例えば、境界を設定するための第1マーカ1と、第1マーカ1と異なるマーカであり、かつ、当該境界を設定しない第2マーカ3とを含む。第1マーカ1は、走行可能エリアと進入禁止エリアとの境界を設定するためのマーカである。第2マーカ3は、例えば、進入禁止エリアを囲む境界を設定するためのマーカである。例えば、進入禁止情報生成部126は、これらのマーカの種類又はマーカの種類の組み合わせと進入禁止情報とが紐づけられて格納されたデータベース(図2で不図示)を参照して、マーカの種類に対応した進入禁止情報を生成してもよい。マーカの種類に紐づけられた進入禁止情報は、例えば、境界の属性、又は、境界までの接近可能な距離などの位置センサ110では取得できない情報である。境界の属性は、例えば、自律走行型ロボット300に進入してほしくない場所であるか、又は、自律走行型ロボット300が進入できない場所であるかを示す情報である。さらに、自律走行型ロボット300が進入できない場所については、位置センサ110により検知されにくいガラス面であるか、階段などの段差であるかなどの情報が追加されてもよい。
【0040】
なお、進入禁止情報生成部126は、境界が直線になるように、当該境界を規定する第1マーカ1及び他の第1マーカ1の少なくともいずれかの位置のずれを修正してもよい。
【0041】
走行用地図作成部127は、進入禁止情報生成部126により生成された進入禁止情報に基づいて、自律走行型ロボット300の進入を禁止する進入禁止エリアが設定された走行用の地図を作成する。さらに、走行用地図作成部127は、進入禁止情報生成部126により修正された進入禁止情報に基づいて走行用の地図を修正してもよい。
【0042】
[記憶部]
記憶部130は、制御部120の動作を制御するための制御プログラムなどが記憶される記憶装置である。例えば、記憶部130は、フロアマップ作成部123により作成されたフロアマップ、位置センサ110により計測された位置関係、マーカ位置算出部125により算出されたマーカの相対位置、データベース(不図示)、進入禁止情報生成部126により生成された進入禁止情報、及び、走行用地図作成部127により作成された走行用の地図などが記憶されてもよい。記憶部130は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、又は、フラッシュメモリ等により実現される。
【0043】
[通知部]
通知部140は、例えば、音、光、及び、画像の少なくともいずれかを用いて、マーカ識別部124がマーカを識別したことをユーザに通知する。通知部140は、例えば、スピーカ、ランプ、及び、表示パネルの少なくともいずれかで実現される。スピーカは、音又は音声を出力する。ランプは、点灯又は点滅する。表示パネルは、液晶パネル又は有機ELパネルなどであり、画像を表示する。
【0044】
[通信部]
通信部150は、走行用地図作成装置100がネットワーク10を介して情報端末200及び自律走行型ロボット300と通信を行うための通信回路である。例えば、通信部150は、マーカ識別部124がマーカを識別したことをユーザに通知させる指示を情報端末200に送信してもよい。また、例えば、通信部150は、走行用の地図を自律走行型ロボット300に送信してもよい。通信部150は、広域通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)と、局所通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路(通信モジュール)とを備えてもよい。通信部150は、例えば、無線通信を行う無線通信回路である。通信部150が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0045】
[2-2.情報端末]
続いて、情報端末200について説明する。情報端末200は、例えば、ユーザが使用するスマートフォン又はタブレット端末などの携帯型の情報端末であるが、パーソナルコンピュータなどの据え置き型の情報端末であってもよい。また、情報端末200は、自律走行型ロボットシステム400の専用端末であってもよい。情報端末200は、通信部210と、制御部220と、提示部230と、受付部240と、記憶部250とを備える。以下、各構成について説明する。
【0046】
[通信部]
通信部210は、情報端末200がネットワーク10を介して走行用地図作成装置100及び自律走行型ロボット300と通信を行うための通信回路である。通信部210は、広域通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路(言い換えると、通信モジュール)と、局所通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路(言い換えると、通信モジュール)とを備えてもよい。通信部210は、例えば、無線通信を行う無線通信回路である。通信部210が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0047】
[制御部]
制御部220は、受付部240への画像の表示制御、及び、ユーザにより入力された指示の識別処理(例えば、音声による入力であれば、音声の認識処理)などを行う。制御部220は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されてもよく、プロセッサによって実現されてもよい。
【0048】
[提示部]
提示部230は、走行用地図作成装置100により出力された提示情報、及び、走行用の地図をユーザに提示する。提示部230は、例えば、表示パネルで実現されてもよく、表示パネル及びスピーカで実現されてもよい。表示パネルは、例えば、液晶パネル又は有機ELパネルなどである。スピーカは、音又は音声を出力する。
【0049】
[受付部]
受付部240は、ユーザの指示を受け付ける。より具体的には、受付部240は、ユーザの指示を走行用地図作成装置100に送信するために行う入力操作を受け付ける。受付部240は、例えば、タッチパネル、表示パネル、ハードウェアボタン、又は、マイクロフォンなどによって実現されてもよい。タッチパネルは、例えば、静電容量方式のタッチパネルであってもよく、抵抗膜方式のタッチパネルであってもよい。表示パネルは、画像の表示機能、及び、ユーザの手動入力を受け付ける機能を有し、液晶パネル又は有機EL(Electro Luminescence)パネルなどの表示パネルに表示されるテンキー画像などへの入力操作を受け付ける。マイクロフォンは、ユーザの音声入力を受け付ける。
【0050】
[記憶部]
記憶部250は、制御部220が実行するための専用のアプリケーションプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部250は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0051】
[2-3.自律走行型ロボット]
続いて、自律走行型ロボット300について説明する。自律走行型ロボット300は、例えば、走行用地図作成装置100により作成された走行用の地図を取得し、走行用の地図に対応する所定のフロアを自律的に走行する。自律走行型ロボット300は、自律的に走行するロボットであれば、特に限定されないが、例えば、荷物などを運搬する運搬ロボット、パトロールをする監視ロボット、フロアの消毒を行う消毒ロボット又は掃除ロボットであってもよい。以下では、自律走行型ロボット300が掃除ロボットである例を説明する。
【0052】
図5は、実施の形態における自律走行型ロボットを側方向から見た外観を示す斜視図である。図6は、実施の形態における自律走行型ロボットを正面方向から見た外観を示す斜視図である。図7は、実施の形態における自律走行型ロボットを裏面方向から見た外観を示す底面図である。
【0053】
図2及び図5図7に示されるように、自律走行型ロボット300は、例えば、各種の構成要素が搭載される本体301と、通信部310と、位置センサ320と、障害物センサ330と、制御部340と、記憶部350と、走行部360と、掃除部370とを備える。走行部360は、例えば、本体301を移動させる車輪361を有する。掃除部370は、例えば、所定のフロアに存在するごみを掃除するサイドブラシ371及びメインブラシ372を有する。制御部340は、自律走行型ロボット300の動作に関する各種情報処理を行う。制御部340は、走行部360を制御する走行制御部345と、掃除部370を制御する掃除制御部346とを有する。本体301は、走行部360、掃除部370、及び、制御部340などを収容する筐体である。
【0054】
[走行部]
走行部360は、走行制御部345からの指示に基づき自律走行型ロボット300を走行させる。走行部360は、フロア上を走行する車輪361、車輪361にトルクを与える走行用モータ(不図示)及び走行用モータを収容するハウジング(不図示)などを有する。また、自律走行型ロボット300は、キャスター(不図示)を補助輪として備えた対向二輪型であってもよい。この場合、走行部360は、一対の走行ユニットのそれぞれの車輪361の回転を独立して制御することで、前進、後退、左回転及び右回転など自律走行型ロボット300を自在に走行させることができる。
【0055】
[掃除部]
掃除部370は、掃除制御部346からの指示に基づき、フロア上の塵埃を吸引口373(図7参照)から吸引し、本体301の内部に吸引した塵埃を本体301内に収容する。掃除部370は、サイドブラシ371及びメインブラシ372を回転させるブラシ回転モータ(不図示)、吸引口373からごみを吸引する吸引モータ(不図示)、これらのモータに電力を伝達する動力伝達部(不図示)、及び、吸引したごみを収容する収容部(不図示)などを備えている。
【0056】
[位置センサ]
位置センサ320は、自律走行型ロボット300の本体301の周囲の物体を検知し、本体301に対する当該物体の位置関係を取得するセンサである。位置センサ320は、例えば、光を放射し障害物により反射して返ってきた光に基づいて位置関係(例えば、自己から物体までの距離及び方向)を検出するLIDAR、又は、レーザレンジファインダであってもよい。
【0057】
例えば、位置センサ320は、本体301の上面の中央に配置されており、自律走行型ロボット300と、自律走行型ロボット300の周囲に存在する壁などを含む物体との距離及び方向を含む位置関係を取得する。位置センサ320は、例えば、光を放射し障害物により反射して返ってきた光に基づいて位置関係を検出するLIDAR、又は、レーザレンジファインダであってもよい。位置センサ320は、光の走査軸を1軸又は2軸有することにより、自律走行型ロボット300の周囲の所定の領域の二次元計測、又は、三次元計測を行ってもよい。
【0058】
[障害物センサ]
障害物センサ330は、本体301の前方に(具体的には、進行方向側に)存在する周囲の壁、及び、家具等の走行の障害となる障害物を検出するセンサである。本実施の形態では、障害物センサ330には、例えば、超音波センサが用いられる。障害物センサ330は、本体301の前側面の中央に配置される発信部331、及び、発信部331の両側にそれぞれ配置される受信部332を有し、発信部331から発信されて障害物によって反射して返ってきた超音波を受信部332がそれぞれ受信することで、障害物までの距離、及び、障害物の位置等を検出することができる。
【0059】
なお、自律走行型ロボット300は、上記のセンサ以外のセンサ(例えば、赤外線センサ等)を備えていてもよい。例えば、本体301の底面の複数箇所に配置され、フロアとしての床面が存在するか否かを検出する床面センサを備えてもよい。また、走行部360に備えられ、走行用モータによって回転する一対の車輪361のそれぞれの回転角を検出するエンコーダを備えてもよい。また、自律走行型ロボット300が走行する際の加速度を検出する加速度センサ、自律走行型ロボット300が旋回する際の角速度を検出する角速度センサを備えてもよい。また、床面に堆積している塵埃の量を測定する塵埃量センサを備えてもよい。バンパ(不図示)の変位を検出して障害物が衝突したことを検出する接触センサを備えてもよい。
【0060】
続いて、自律走行型ロボット300の機能構成について図2を参照しながら説明する。位置センサ320、障害物センサ330、走行部360、及び、掃除部370については上述したためここでの説明を省略する。以下では、通信部310、制御部340、及び、記憶部350について説明する。
【0061】
[通信部]
通信部310は、自律走行型ロボット300がネットワーク10を介して走行用地図作成装置100及び情報端末200と通信を行うための通信回路である。通信部310は、広域通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路(言い換えると、通信モジュール)と、局所通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路(言い換えると、通信モジュール)とを備えてもよい。通信部310は、例えば、無線通信を行う無線通信回路である。通信部310が行う通信の通信規格については特に限定されない。
【0062】
[制御部]
制御部340は、位置センサ320及び障害物センサ330により自律走行型ロボット300の周囲の環境をセンシングして得られたセンサ情報と走行用の地図とに基づいて各種演算を行う。制御部340は、具体的には、プロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、専用回路によって実現される。また、制御部340は、プロセッサ、マイクロコンピュータ、又は、専用回路のうちの2つ以上の組み合わせによって実現されてもよい。例えば、制御部340は、自己位置算出部341と、走行地図取得部342と、障害物位置算出部343と、走行計画作成部344と、走行制御部345と、掃除制御部346とを含む。
【0063】
自己位置算出部341は、例えば、走行地図取得部342により取得された走行用の地図、及び、位置センサ320により計測された自律走行型ロボット300の本体301に対する周囲の物体の位置関係に基づいて、走行用の地図上での自律走行型ロボット300の本体301の位置である自己位置を算出する。
【0064】
走行地図取得部342は、走行用地図作成装置100により作成された走行用の地図を取得する。例えば、走行地図取得部342は、記憶部350に格納されている走行用の地図を読み出すことにより取得してもよいし、走行用地図作成装置100により出力された走行用の地図を通信により取得してもよい。
【0065】
走行計画作成部344は、走行用の地図及び自己位置に基づいて、走行計画を作成する。例えば、自律走行型ロボット300が掃除ロボットである場合、走行計画作成部344は、さらに、掃除計画を作成してもよい。掃除計画には、所定のフロア内の複数の掃除エリアを掃除する掃除順序、各掃除エリアにおける走行経路及び掃除態様などが含まれる。掃除態様は、例えば、自律走行型ロボット300の走行速度、床面上のごみを吸引する吸引強度、及び、ブラシの回転速度などの組み合わせである。
【0066】
なお、走行計画作成部344は、自律走行型ロボット300が走行計画に従って走行しているときに、障害物センサ330により障害物が検出されると、障害物位置算出部343により算出された障害物の位置に基づいて走行計画を変更してもよい。このとき、走行計画作成部344は、掃除計画も変更してもよい。
【0067】
障害物位置算出部343は、障害物センサ330により検知された障害物に関する情報(例えば、障害物の距離、及び、位置等)を取得し、取得された情報と、自己位置算出部341により算出された自己位置とに基づいて、フロアマップ上での障害物の位置を算出する。
【0068】
走行制御部345は、自律走行型ロボット300が走行計画に従って走行するように、走行部360を制御する。より具体的には、走行制御部345は、走行計画に基づいて、走行部360の動作を制御するための情報処理を行う。例えば、走行制御部345は、走行計画に加え、走行用の地図及び自己位置などの情報に基づいて、走行部360の制御条件を導出し、制御条件に基づいて、走行部360の動作を制御するための制御信号を生成する。走行制御部345は、生成した制御信号を走行部360に出力する。なお、走行部360の制御条件の導出などの詳細については、従来の自律走行型ロボットと同様であるため、説明を省略する。
【0069】
掃除制御部346は、自律走行型ロボット300が掃除計画に従って掃除を行うように、掃除部370を制御する。より具体的には、掃除制御部346は、掃除計画に基づいて、掃除部370の動作を制御するための情報処理を行う。例えば、掃除制御部346は、掃除計画に加え、走行用の地図及び自己位置などの情報に基づいて、掃除部370の制御条件を導出し、制御条件に基づいて、掃除部370の動作を制御するための制御信号を生成する。掃除制御部346は、生成した制御信号を掃除部370に出力する。なお、掃除部370の制御条件の導出などの詳細については、従来の自律走行型掃除ロボットと同様であるため、説明を省略する。
【0070】
[記憶部]
記憶部350は、走行用の地図、位置センサ320及び障害物センサ330によりセンシングされたセンサ情報、及び、制御部340が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。記憶部350は、例えば、半導体メモリなどによって実現される。
【0071】
[3.動作]
続いて、実施の形態における自律走行型ロボットシステム400の動作について図面を参照しながら説明する。
【0072】
[第1の例]
まず、実施の形態における自律走行型ロボットシステム400の動作の第1の例について説明する。第1の例では、自律走行型ロボットシステム400は、ユーザの指示を受け付けて、自律走行型ロボット300の走行用の地図を作成する動作例を説明する。図8は、実施の形態における自律走行型ロボットシステム400の動作の第1の例を示すフローチャートである。
【0073】
まず、情報端末200の受付部240が走行地用地図作成開始の指示を受け付けると(ステップS11)、情報端末200の制御部220は、通信部210を介して当該指示を走行用地図作成装置100へ出力する(不図示)。走行用地図作成装置100の制御部120は、情報端末200から出力された走行用地図作成開始の指示を取得すると(不図示)、位置センサ110を含む走行用地図作成装置100が備える複数のセンサのそれぞれにセンシングデータの取得を開始させる(ステップS12)。より詳細には、走行用地図作成装置100の制御部120は、位置センサ110を含む複数のセンサのそれぞれに、センシングデータの取得開始指令を出力する。
【0074】
次に、位置センサ110は、センシングデータの取得開始指令を受信すると、自己の周囲の物体を検知し、自己に対する周囲の物体の位置関係を計測し、計測された位置関係を制御部120へ出力する(不図示)。本実施の形態では、走行用地図作成装置100は、例えば、本体101の上面の中央に位置センサ110を搭載しているため、位置センサ110の位置は、走行用地図作成装置100の本体101の位置であるとも言える。
【0075】
次に、取得部121は、位置センサ110から出力された自己に対する周囲の物体の位置関係を取得する(ステップS13)。
【0076】
次に、フロアマップ作成部123は、ステップS13で取得部121により取得された位置関係に基づいて所定のフロアを示すフロアマップを作成する(ステップS14)。
【0077】
次に、自己位置算出部122は、フロアマップ作成部123により作成されたフロアマップ上での位置センサ110の現在位置である自己位置を算出する(ステップS15)。図示していないが、自己位置算出部122は、算出した自己位置にタイムスタンプを付して記憶部130に格納する。
【0078】
次に、マーカ識別部124は、自己(ここでは、走行用地図作成装置100の本体101)の周囲に存在するマーカを識別する(ステップS16)。このとき、マーカ識別部124は、マーカの種類を識別し、識別されたマーカの種類を示す情報を記憶部130に格納してもよい。マーカは、例えば、図1に示されるように、2つのマーカで1本の境界を設定する第1マーカ1と、1つのマーカで所定のサイズの所定形状の領域を進入禁止エリアとして囲む境界(図1では、コの字型の境界)を設定する第2マーカ3とを含む。以下では、見やすさの観点から、第1マーカ1及び第2マーカ3の符号を省略し、第1マーカ及び第2マーカと記載する場合がある。
【0079】
次に、マーカ位置算出部125は、ステップS16でマーカ識別部124により識別されたマーカの自己(ここでは、走行用地図作成装置100の本体)に対する相対位置を算出する(ステップS17)。図示していないが、マーカ位置算出部125は、算出したマーカの相対位置にタイムスタンプを付して記憶部130に格納する。このとき、マーカの相対位置は、マーカの種類を示す情報に紐づけられて格納されてもよい。
【0080】
なお、制御部120は、センシングデータの取得が終了したか否かを判定し、センシングデータの取得が終了していないと判定した場合、ステップS13の処理に戻る。例えば、制御部120は、情報端末200からセンシング終了の指示を取得しておらず、かつ、取得部121により取得される時系列のセンシングデータに変化が見られる場合、センシングデータの取得が終了していないと判定してもよい。一方、制御部120は、例えば、取得部121により取得されるセンシングデータに殆ど変化が見られない場合、又は、情報端末200の受付部240により受け付けられたセンシング終了指示を取得した場合、センシングデータの取得が終了したと判定してもよい。
【0081】
制御部120は、センシングデータの取得が終了したと判定した場合(不図示)、進入禁止情報生成部126は、ステップS14で作成されたフロアマップと、ステップS15で算出された自己位置と、ステップS16で算出されたマーカの相対位置とに基づいて、自律走行型ロボット300の走行可能エリアと進入禁止エリアとの境界を示す境界情報を含む進入禁止情報を生成する(ステップS18)。ここで、ステップS18について図9を参照しながらより具体的に説明する。図9は、図8のステップS18の詳細なフローを示すフローチャートである。
【0082】
図9に示されるように、進入禁止情報生成部126は、フロアマップと、自己位置と、マーカの相対位置とに基づいて、フロアマップ上でのマーカの位置を算出する(ステップS21)。自律走行型ロボット300の走行可能エリアと進入禁止エリアとの境界を設定し、設定された境界を示す境界情報を含む進入禁止情報を生成する。例えば、進入禁止情報生成部126は、自己位置に付されたタイムスタンプの時刻と、マーカの相対位置に付されたタイムスタンプの時刻とを参照して、同じ時刻における自己位置と、マーカの相対位置とに基づいて、フロアマップ上でのマーカの位置(つまり、座標情報)を算出してもよい。このようにして算出された複数のマーカの位置(座標情報)に基づいて、進入禁止情報生成部126は、自律走行型ロボット300の走行可能エリアと進入禁止エリアとの境界を示す境界情報を含む進入禁止情報を生成してもよい。
【0083】
次に、進入禁止情報生成部126は、ステップS21で算出されたフロアマップ上でのマーカの位置と、ステップS16で識別されたマーカの種類を示す情報(具体的には、識別されたマーカが第1マーカ1及び第2マーカ3のいずれであるかを示す情報)とを紐づけて記憶部130のデータベース(不図示)に格納する(ステップS22)。
【0084】
進入禁止情報生成部126は、識別された全てのマーカについてステップS22の処理を終えると、データベース(不図示)に格納されたフロアマップ上の複数のマーカのうち第1マーカ1を抽出する(ステップS23)。
【0085】
次に、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ毎のループ処理を開始する(ステップS24)。進入禁止情報生成部126は、第1マーカ1とフロアマップの上面視において第1マーカ1の周囲の壁に平行な第1の方向、又は、第1の方向に垂直な第2の方向に隣り合う他の第1マーカとの組が一組のみ存在するか否かを判定し(ステップS25)、一組のみ存在すると判定した場合(ステップS25でYes)、一組の第1マーカと他の第1マーカとを結ぶ線を境界に設定する(ステップS26)。
【0086】
一方、進入禁止情報生成部126は、第1マーカとフロアマップの上面視において第1の方向又は第2の方向に隣り合う他の第1マーカとの組が二組存在すると判定した場合(ステップS25でNo)、他の第1マーカが他の境界の設定に使用されているか否かを判定する(ステップS27)。
【0087】
例えば、進入禁止情報生成部126が第1マーカとフロアマップの上面視において第1の方向又は第2の方向に隣り合う他の第1マーカとの組が二組存在すると判定するのは、進入禁止情報生成部126は、(i)データベースから抽出された第1マーカのうち第1マーカとフロアマップの上面視において第1の方向もしくは第2の方向に隣り合う他の第1マーカとの組が二組存在する場合、又は、(ii)第1マーカとフロアマップの上面視において第1の方向及び第2の方向のそれぞれに隣り合う他の第1マーカとの組が一組以上存在する場合である。なお、第1マーカと他の第1マーカとが隣り合うとは、第1マーカを含む直線上に存在する複数の他の第1マーカのうち、第1の方向又は第2の方向において第1マーカの隣に他の第1マーカが存在することをいう。つまり、隣り合う2つの第1マーカ(つまり、第1マーカ及び他の第1マーカ)の間には、それら以外の第1マーカは存在しないことをいう。
【0088】
ステップS27において、進入禁止情報生成部126は、他の第1マーカが他の境界の設定に使用されていると判定した場合(ステップS27でYes)、他の第1マーカを第1マーカと境界を設定するための組み合わせ候補から除外する(ステップS29)。一方、進入禁止情報生成部126は、他の第1マーカが他の境界の設定に使用されていないと判定した場合(ステップS27でNo)、第1マーカと他の第1マーカとが1つの壁面に並行して設置されているか否かを判定する(ステップS28)。
【0089】
ここで、図9及び図10を参照しながら、ステップS28の処理について具体的に説明する。図10は、第1マーカに基づく境界の設定処理の一例を模式的に説明するための図である。
【0090】
第1マーカと他の第1マーカとがそれぞれ所定のフロアにおける1つの壁面に対応して設置されているとは、第1マーカと他の第1マーカとが1つの壁面に取り付けられていること、又は、1つの壁面に沿って当該壁面の目の前に設置されていることをいう。前者の場合は、第1マーカは、例えば、シール又はプレートなどの壁面に取り付けるタイプのマーカである。後者の場合は、第1マーカは、ポールなどの床面に設置するタイプのマーカである。上述したように、他の第1マーカは、第1マーカと組になる組み合わせ候補であり、第1マーカとフロアマップの上面視において第1マーカの周囲の壁に平行な第1の方向、又は、第1の方向に垂直な第2の方向に隣り合う第1マーカである。
【0091】
なお、1つの壁面とは、一枚の面である。図10の(a)を参照すると、第1マーカ1aと第1マーカ1cとが取り付けられている壁面は、1つの壁面である。一方、第1マーカ1b及び第1マーカ1dが取り付けられている壁面は、それぞれ異なる壁面である。
【0092】
図9に示されるように、進入禁止情報生成部126は、第1マーカと他の第1マーカとが1つの壁面に並行して設置されていると判定した場合(ステップS28でYes)、第1マーカと境界を設定するためのマーカ候補から他の第1マーカを除外する(ステップS29)。一方、ステップS28において、進入禁止情報生成部126は、第1マーカと他の第1マーカとが1つの壁面に対応して設置されていないと判定した場合(ステップS28でNo)、ステップS26の処理を行う。
【0093】
ここで、図10の(a)を参照しながらステップS28及びステップS29の処理について具体的に説明する。まず、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ1aと組になる他の第1マーカ(言い換えると、組み合わせ候補)として、第1マーカ1aとフロアマップの上面視において第1マーカ1aの周囲の壁に平行な第1の方向に(ここでは、第1マーカ1aの設置位置に最も近い壁に平行で、かつ、第1マーカ1aの設置位置を含む軸方向である第1の方向に)隣り合う第1マーカ1bと、フロアマップの上面視において第1の方向に垂直な第2の方向に(ここでは、第1の方向に垂直で、かつ、第1マーカ1aの設置位置を含む軸方向である第2の方向に)隣り合う第1マーカ1cとの二組が存在することを特定する。図10の(a)に示されるように、特定された二組のうち第1マーカ1aと第1マーカ1cとの組が1つの壁に沿って(言い換えると、1つの壁面に並行して)設置されている。このように、フロアマップにおける第1マーカ1a、1cと壁との位置関係に基づいて、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ1aと第1マーカ1cと1つの壁面に並行して配置されていると判定する。
【0094】
図9に示されるように、ステップS28で1つの壁面に並行して設置されている他の第1マーカ1cを組み合わせ候補から除外すると(ステップS29)、進入禁止情報生成部126は、ステップS25の処理へ戻る。図10の(a)を参照すると、ステップS25の処理では、例えば、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ1aと組み合わせ候補との組が、第1マーカ1aと他の第1マーカ1bとの一組のみ存在すると判定し(ステップS25でYes)、第1マーカ1aと他の第1マーカ1bとを結ぶ線2aを境界に設定する(ステップS26)。
【0095】
第1マーカ1aに対する処理が終了すると、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ1cに対してステップS25の処理を行う。第1マーカ1cは、第1マーカ1dとの組しか存在しないため(ステップS25でYes)、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ1cとフロアマップの上面視において第2の方向に隣り合う他の第1マーカ1dとの一組しか存在しないと判定し(ステップS25でYes)、第1マーカ1cと第1マーカ1dとを結ぶ線2dを境界に設定する(ステップS26)。
【0096】
次に、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ1毎のループ処理が終了すると(ステップS30)、データベース(不図示)に格納されたフロアマップ上の複数のマーカのうち第2マーカを抽出する(ステップS31)。
【0097】
次に、進入禁止情報生成部126は、フロアマップ上の第2マーカの位置から所定のサイズの所定形状の領域を進入禁止エリアとして囲む境界を設定する(ステップS32)。境界の設定処理については、具体例を挙げて後述する。
【0098】
再び、図9を参照する。次に、走行用地図作成部127は、ステップS18で進入禁止情報生成部126により生成された進入禁止情報に基づいて進入禁止エリアが設定された走行用の地図を作成する(ステップS19)。
【0099】
走行用地図作成装置100は、走行用の地図の作成が終了すると、動作を停止する。なお、走行用地図作成装置100は、通知部140によりステップS19の処理(つまり、走行用の地図の作成処理)が終了したことをユーザに通知し、情報端末200の受付部240により動作停止の指示が受け付けられた場合に、動作を停止してもよい。
【0100】
以上により、走行用地図作成装置100は、境界の設定において、第1マーカ1を用いた処理と第2マーカ3を用いた処理とを行うため、走行用の地図に境界を簡便に、かつ、精度良く設定することができる。したがって、走行用地図作成装置100は、走行用の地図に自律走行型ロボット300の進入を禁止する進入禁止エリアを容易に設定することができる。
【0101】
以下、進入禁止情報生成部126が行う他の処理例について、図10を再び参照しながら具体的に説明する。進入禁止情報生成部126は、上述した処理例以外に、以下の処理を行ってもよい。
【0102】
例えば、図10の(b)では、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ1毎のループ処理において、まず、第1マーカ1e1と組になる組み合わせ候補を特定する。組み合わせ候補は、第1マーカ1g1と、第1マーカ1f1との2つである。進入禁止情報生成部126は、第1マーカ1e1と第1マーカ1g1とが1つの壁面に並行して設置されている否かを判定し(ステップS28)、第1マーカ1e1と第1マーカ1g1とが1つの壁面に並行して設置されていると判定し(ステップS28でYes)、第1マーカ1g1を組み合わせ候補から除外する(ステップS29)。ここで、第1マーカ1e1と組となる組み合わせ候補は、第1マーカ1f1のみであるため(ステップS25でYes)、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ1e1について、第1マーカ1e1と他の第1マーカ1f1とを結ぶ線2cを境界に設定する(ステップS26)。次に、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ1g1について、第1マーカ1g1と組になる組み合わせ候補を特定する。組み合わせ候補は、第1マーカ1e1と第1マーカ1h1とであるが、第1マーカ1e1は境界を設定するために使用されているため(ステップS27でYes)、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ1e1を組み合わせ候補から除外する(ステップS29)。
【0103】
例えば、図10の(c)に示されるように、互いに向かい合う第1マーカが設置されている設置場所の一方が壁面で、他方がガラス面(又は、位置センサ110で検知されにくい吹き抜けなど)である場合、ステップS28の処理が行われる。例えば、第1マーカ1e2と第1マーカ1g2とが1つの壁面に並行して設置され(ステップS28でYes)、第1マーカ1f2と第1マーカ1h2とが1つのガラス面に並行して設置されている場合、第1マーカ1e2と組になる組み合わせ候補から第1マーカ1g2を除外する(ステップS29)。これにより、第1マーカ1e2と他の第1マーカ1f2との組のみ存在するため(ステップS25でYes)、第1マーカ1e2と他の第1マーカ1f2とを結ぶ線が境界に設定される(ステップS26)。
【0104】
続いて、進入禁止情報生成部126が境界を設定する処理について、図11を参照しながらより具体的に説明する。図11は、境界の設定処理の一例を模式的に説明するための図である。図11の(a)は、マーカ識別部124により識別されたマーカの種類と所定のフロアにおける位置とを示す図である。図11の(b)は、進入禁止情報生成部126により境界を設定されたフロアマップ50の一例を示す図である。
【0105】
図9の動作例では、進入禁止情報生成部126は、記憶部130内のデータベースに格納されたフロアマップ上の複数のマーカのうち第1マーカを抽出し、全ての第1マーカについて境界の設定処理が終わってから、第2マーカを抽出したが、これに限られない。例えば、進入禁止情報生成部126は、データベースに格納されたフロアマップ上の全てのマーカを抽出してもよい(例えば、図11の(a)参照)。また、例えば、進入禁止情報生成部126は、全ての第2マーカについて境界の設定処理が終わってから、第1マーカについて境界の設定処理を行ってもよい。
【0106】
例えば、図11の(a)に示されるように、進入禁止情報生成部126は、記憶部130内のデータベースから所定のフロアのフロアマップ50上の全てのマーカを抽出する。ここで、X軸は、フロアマップ50の上面視における水平方向の軸であり、Y軸は、フロアマップの上面視における垂直方向の軸である。以下、図11の(b)を参照しながら説明する。この例では、フロアマップ50中の壁はX軸又はY軸に沿って配置されているため、第1の方向及び第2の方向は、フロアマップ50のX軸及びY軸のいずれかであるが、あくまでも一例であり、この例に限られない。例えば、フロアマップ中の壁がX軸又はY軸とは異なる角度方向に配置されている場合は、上記の第1の方向及び第2の方向で第1マーカ同士の位置関係を判定する。
【0107】
次に、進入禁止情報生成部126は、抽出されたマーカのうち第1マーカについて境界の設定処理を行う。進入禁止情報生成部126は、フロアマップ上の複数の第1マーカのうち第1マーカ11a1について第1マーカ11a1とX軸方向及びY軸方向に隣り合う他の第1マーカが存在するかを確認し、第1マーカ11a1とY軸方向に隣り合う第1マーカ11a2を組み合わせ候補として検出する。進入禁止情報生成部126は、第1マーカ11a1について、第1マーカ11a1と第1マーカ11a2との一組のみ存在すると判定し、これらの第1マーカを結ぶ線21a1を境界に設定する。
【0108】
進入禁止情報生成部126は、第1マーカ11a1と同様に、第1マーカ11a5、第1マーカ11a10、及び、第1マーカ11a11のそれぞれについて境界の設定処理を行う。これらの3つの第1マーカも第1マーカ11a1と同様に他の第1マーカとの組が一組のみ存在する。そのため、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ11a5と第1マーカ11a6とを結ぶ線21a3を境界に設定し、第1マーカ11a10と第1マーカ11a9とを結ぶ線21a5を境界に設定し、第1マーカ11a11と第1マーカ11a12とを結ぶ線21a6を境界に設定する。
【0109】
以上のように、進入禁止情報生成部126は、第1マーカと他の第1マーカとの組が一組のみ存在する第1マーカを検出して境界を設定してもよい。
【0110】
また、例えば、第1マーカ11a3及び第1マーカ11a4がガラス面の前に設置されているとする。この場合、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ11a3について、X軸方向及びY軸方向に隣り合う他の第1マーカが存在するかを確認し、第1マーカ11a3とX軸方向に隣り合う第1マーカ11a4を検出する。進入禁止情報生成部126は、第1マーカ11a3について、第1マーカ11a3と第1マーカ11a4との一組のみ存在すると判定し、これらの第1マーカを結ぶ線21a2を境界に設定する。
【0111】
次に、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ11a8について境界の設定処理を行う。進入禁止情報生成部126は、第1マーカ11a8について第1マーカ11a8とX軸方向及びY軸方向に隣り合う他の第1マーカが存在するかを確認し、第1マーカ11a8とX軸方向に隣り合う第1マーカ11a7と第1マーカ11a9とを組み合わせ候補として検出する。進入禁止情報生成部126は、第1マーカ11a9が境界の設定に使用されていると判定し、組み合わせ候補から除外する。そして、進入禁止情報生成部126は、第1マーカ11a8について、第1マーカ11a8と第1マーカ11a7との一組のみ存在すると判定し、これらの第1マーカを結ぶ線21a4を境界に設定する。
【0112】
次に、進入禁止情報生成部126は、抽出されたマーカのうち第2マーカについて境界の設定処理を行う。ここでは、第2マーカは、例えば、所定のサイズ(例えば、60cm×60cm)の矩形領域を進入禁止エリアとして囲む境界を設定するが、これに限られない。上述したように、第2マーカは、所定のサイズの多角形領域、円形領域、又は、楕円形領域を進入禁止エリアとして囲む境界を設定してもよい。
【0113】
進入禁止情報生成部126は、フロアマップ上の複数の第2マーカのうち第2マーカ31a1について、第2マーカ31a1の位置から所定のサイズの矩形領域を進入禁止エリアとして囲む境界を設定する。例えば、進入禁止情報生成部126は、第2マーカ31a1の位置を矩形領域の壁面側の一辺の中央となるように、コの字の境界41a1を設定することにより、壁面とコの字の境界41a1とで囲まれた進入禁止エリアを設定する。
【0114】
進入禁止情報生成部126は、第2マーカ31a1と同様に、第2マーカ31a2及び第2マーカ31a3のそれぞれについて境界の設定処理を行う。進入禁止情報生成部126は、第2マーカ31a2の位置から所定のサイズの矩形領域を進入禁止エリアとして囲む境界41a2を設定し、第2マーカ31a3の位置から所定のサイズの矩形領域を進入禁止エリアとして囲む境界41a3を設定する。
【0115】
[第2の例]
続いて、実施の形態における自律走行型ロボットシステム400の動作の第2の例について説明する。第1の例では、境界を含む進入禁止エリアを示す進入禁止情報を生成したが、第2の例では、ユーザから進入禁止情報の修正の指示を受け付けた場合の動作例を説明する。なお、第2の例では、第1の例と異なる点を中心に説明し、同様の処理については記載を省略又は簡略化する。
【0116】
図12は、実施の形態における自律走行型ロボットシステム400の動作の第2の例を示すフローチャートである。図12では、図8に示される第1の例と異なる処理のみを示している。また、図13は、第2の例における情報端末200の動作の一例を示すフローチャートである。なお、情報端末200の提示部230は、画像を表示する表示部(例えば、表示パネル)と音声出力部(例えば、スピーカ)とを備えてもよいが、提示部230は表示パネルであって、提示情報は、画像などの表示情報である例を説明する。
【0117】
図8のステップS18に続いて、走行用地図作成装置100の進入禁止情報生成部126は、ユーザに提示するための情報であって、ステップS18で生成した進入禁止情報を含む表示情報を生成する(ステップS41)。表示情報は、例えば、フロアマップ上に設定された境界を示す境界情報を含む進入禁止情報である。
【0118】
続いて、進入禁止情報生成部126は、ステップS41で生成した表示情報をユーザが使用する情報端末200に出力する(ステップS42)。
【0119】
続いて、図13に示されるように、情報端末200の制御部220は、ステップS42で出力された表示情報を取得し(ステップS51)、取得した表示情報を提示部230に表示させる(ステップS52)。図14は、表示情報の一例を示す図である。図14に示されるように、情報端末200の制御部220は、走行用地図作成装置100の進入禁止情報生成部126により生成された進入禁止情報を提示部230に表示させる。
【0120】
情報端末200の受付部240がユーザの指示を受け付けると(ステップS53)、制御部220は、受付部240により受け付けられたユーザの指示を走行用地図作成装置100に出力する(ステップS54)。例えば、ユーザは、提示部230に表示された境界41a1及び境界41a2でそれぞれ囲まれる2つの進入禁止エリアの間の隙間をなくす場合、修正ボタンをタップした後に、境界41a1の右辺に指で触れて右へ引き延ばす動作をし、境界41a2の左辺に指で触れて左へ引き延ばす動作を行い、完了ボタンをタップする。
【0121】
再び図12を参照する。走行用地図作成装置100は、図13のステップS54で出力されたユーザの指示(ここでは、修正指示)を取得すると(ステップS43でYes)、進入禁止情報生成部126は、取得した修正指示に基づいて進入禁止情報を修正する(ステップS44)。一方、走行用地図作成装置100が修正指示を取得しない場合(ステップS43でNo)、つまり、ユーザにより修正指示がなされない場合、走行用地図作成装置100の走行用地図作成部127は、図8のステップS19の処理を行う。
【0122】
以上のように、自律走行型ロボットシステム400は、ユーザの指示を受け付けて進入禁止情報を修正することができるため、進入禁止エリアを適切に設定することができる。そのため、自律走行型ロボットシステム400は、進入禁止エリアが適切に設定された走行用の地図に基づいて走行計画を作成するため、自律走行型ロボット300の走行をより適切に制御することが可能となる。
【0123】
なお、第2の例では、走行用の地図を作成しているときに、ユーザの指示を受け付けて進入禁止情報を修正するが、走行用の地図を作成し終えた後に、ユーザの指示を受け付けて進入禁止情報を変更してもよい。
【0124】
[4.効果等]
以上説明したように、走行用地図作成装置100は、所定のフロア内を自律的に走行する自律走行型ロボット300の走行用の地図を作成する走行用地図作成装置であって、自己の周囲の物体を検知し、自己に対する物体の位置関係を計測する位置センサ110から位置関係を取得する取得部121と、取得部121により取得された位置関係に基づいて所定のフロアを示すフロアマップを作成するフロアマップ作成部123と、フロアマップ作成部123により作成されたフロアマップ上での位置センサ110の現在位置である自己位置を算出する自己位置算出部122と、位置センサ110の周囲に存在するマーカを識別するマーカ識別部124と、位置センサ110に対するマーカの相対位置を算出するマーカ位置算出部125と、フロアマップと自己位置とマーカの相対位置とに基づいて、自律走行型ロボット300が走行可能なエリアと自律走行型ロボット300の進入を禁止する進入禁止エリアとの境界を設定し、設定された境界を示す境界情報を含む進入禁止情報を生成する進入禁止情報生成部126と、進入禁止情報生成部126により生成された進入禁止情報に基づいて進入禁止エリアが設定された走行用の地図を作成する走行用地図作成部127と、を備える。
【0125】
これにより、走行用地図作成装置100は、自律走行型ロボット300の走行用の地図に進入禁止エリアを容易に設定することができる。
【0126】
例えば、走行用地図作成装置100では、マーカは、境界を設定するための第1マーカ1と、第1マーカ1とは異なり、かつ、当該境界を設定しない第2マーカ3とを含み、マーカ識別部124は、マーカの識別において、マーカが第1マーカ1及び第2マーカ3のいずれであるかを識別し、進入禁止情報生成部126は、フロアマップと、自己位置と、マーカの相対位置とに基づいて、フロアマップ上でのマーカの位置を算出し、算出されたフロアマップ上でのマーカの位置と、識別されたマーカが第1マーカ1及び第2マーカ3のいずれであるかを示す情報とを紐づけてデータベース(図2で不図示)に格納してもよい。
【0127】
これにより、走行用地図作成装置100は、マーカの種類によって対応する進入禁止情報を生成することができるため、走行用の地図に進入禁止エリアを容易に設定することができる。
【0128】
例えば、走行用地図作成装置100では、進入禁止情報生成部126は、データベースに格納されたフロアマップ50(図11の(a)参照)上の複数のマーカのうち第1マーカ11a1~11a12を抽出し、抽出された第1マーカ11a1~11a12のうち当該第1マーカ11a1とフロアマップ50の平面視において当該第1マーカ11a1の周囲の壁に平行な第1の方向、又は、第1の方向に垂直な第2の方向(図11の(a)では、フロアマップ50の垂直方向(Y軸方向)又は水平方向(X軸方向))に隣り合う他の第1マーカ11a2との組が一組のみ存在する場合に、一組の第1マーカ11a1と他の第1マーカ11a2とを結ぶ線21a1(図11の(b)参照)を境界に設定してもよい。
【0129】
これにより、走行用地図作成装置100は、第1マーカ11a1と、当該第1マーカ11a1とフロアマップ50の上面視において当該第1マーカ11a1の首位の壁に平行な第1の方向、又は、第1の方向に垂直な第2の方向に隣り合う他の第1マーカ11a2との組が一組しか存在しない箇所に境界を設定するため、確実に境界を設定することができる。
【0130】
例えば、走行用地図作成装置100では、進入禁止情報生成部126は、(i)抽出された第1マーカ11a1~11a12(図11の(b)参照)のうち当該第1マーカ11a8とフロアマップ50の上面視において第1の方向もしくは第2の方向(図10の(b)では、フロアマップ50の垂直方向(Y軸方向)もしくは水平方向(X軸方向))に隣り合う他の第1マーカ11a7、11a9との組が二組存在する場合、又は、(ii)当該第1マーカ11a7とフロアマップ50の上面視において第1の方向及び第2の方向(図10の(b)では、フロアマップ50の垂直方向(Y軸方向)及び水平方向(X軸方向))のそれぞれに隣り合う他の第1マーカ11a6、11a8との組が一組以上存在する場合、他の第1マーカ11a6、11a9が境界の設定に使用されている場合に、第1マーカ11a8と境界を設定するためのマーカ候補から他の第1マーカ11a6、11a9を除外してもよい。
【0131】
これにより、走行用地図作成装置100は、第1マーカ11a7、11a8に対して複数のマーカ候補が存在する場合に、既に境界の設定に使用されている第1マーカをマーカ候補から除外するため、正確に境界を設定することができる。
【0132】
例えば、走行用地図作成装置100では、進入禁止情報生成部126は、さらに、上記(i)又は上記(ii)の場合、第1マーカ1a(図10の(a)参照)と他の第1マーカ1bとがそれぞれ所定のフロアにおける設置1つの壁面に並行して設置されている場合に、他の第1マーカ1bをマーカ候補から除外してもよい。
【0133】
これにより、走行用地図作成装置100は、第1マーカ1aに対して1つの壁面に沿う方向と垂直な方向に配置された他の第1マーカ1bとを結ぶ線を境界に設定することができるため、確実に境界を設定することができる。
【0134】
例えば、走行用地図作成装置100では、第2マーカ31a1、31a2、31a3(図11の(b)参照)は、進入禁止エリアを囲む境界を設定するためのマーカであり、進入禁止情報生成部126は、フロアマップ上の第2マーカ31a1の位置から所定のサイズの所定形状の領域(例えば、矩形領域)を進入禁止エリアとして囲む境界41a1を設定してもよい。
【0135】
これにより、走行用地図作成装置100は、マーカの種類によって対応する進入禁止情報を生成することができるため、走行用の地図に進入禁止エリアを容易に設定することができる。
【0136】
また、自律走行型ロボット300は、所定のフロア内を自律的に走行する自律走行型ロボットであって、本体301(図6参照)と、本体301に配置され、本体301を走行可能とする走行部360(図2参照)と、上記のいずれかの走行用地図作成装置100で作成された走行用の地図を取得する走行地図取得部342と、本体301の周囲の物体を検知し、本体301に対する物体の位置関係を計測する位置センサ320と、走行用の地図及び位置関係に基づいて、走行用の地図上での本体301の位置である自己位置を算出する自己位置算出部341と、走行用の地図及び自己位置に基づいて、所定のフロアにおける走行計画を作成する走行計画作成部344と、走行計画に基づいて、走行部360を制御する走行制御部345と、を備える。
【0137】
これにより、自律走行型ロボット300は、走行用地図作成装置100で作成された走行用の地図を使用して走行計画を作成することができるため、所定のフロアを安全に、かつ、適切に走行することができる。
【0138】
例えば、自律走行型ロボット300は、さらに、上記の走行用地図作成装置100を備えてもよい。
【0139】
これにより、自律走行型ロボット300は、走行用の地図及び走行計画の両方を自身で行うことができるため、データ(つまり、走行用の地図のデータ)を外部装置(つまり、走行用地図作成装置100)から取得する必要がなくなる。
【0140】
例えば、自律走行型ロボット300は、さらに、掃く、拭く、及び、塵埃を吸引する、の少なくともいずれかの動作を実行することにより床面を掃除する掃除部と、掃除部を制御する掃除制御部と、を備え、走行計画作成部は、さらに、掃除計画を作成し、掃除制御部は、掃除計画に基づいて、掃除部を制御してもよい。
【0141】
これにより、自律走行型ロボット300は、安全に、かつ、適切に所定のフロアの掃除を行うことができる。
【0142】
また、走行用地図作成方法は、所定のフロア内を自律的に走行する自律走行型ロボット300の走行用の地図を作成する走行用地図作成方法であって、自己の周囲の物体を検知し、自己に対する物体の位置関係を計測する位置センサ110(図3参照)から位置関係を取得する取得ステップ(図8のステップS13)と、取得ステップで取得された位置関係に基づいて所定のフロアを示すフロアマップを作成するフロアマップ作成ステップ(ステップS14)と、フロアマップ作成ステップで作成されたフロアマップ上での位置センサ110の現在位置である自己位置を算出する自己位置算出ステップ(ステップS15)と、位置センサ110の周囲に存在するマーカを識別するマーカ識別ステップ(ステップS16)と、位置センサ110に対するマーカの相対位置を算出するマーカ位置算出ステップ(ステップS17)と、フロアマップと自己位置とマーカの相対位置とに基づいて、自律走行型ロボット300が走行可能なエリアと自律走行型ロボット300の進入を禁止する進入禁止エリアとの境界を設定し、設定された境界を示す境界情報を含む進入禁止情報を生成する進入禁止情報生成ステップ(ステップS18)と、進入禁止情報生成ステップで生成された進入禁止情報に基づいて進入禁止エリアが設定された走行用の地図を作成する走行用地図作成ステップ(ステップS19)と、を含む。なお、位置センサ110の位置は、走行用地図作成装置100の本体101の位置である。
【0143】
これにより、走行用地図作成方法を実行する装置は、自律走行型ロボット300の走行用の地図に進入禁止エリアを容易に設定することができる。
【0144】
(その他の実施の形態)
以上、実施の形態について説明したが、本開示は、上記実施の形態に限定されるものではない。
【0145】
例えば、実施の形態では、走行用地図作成装置100は、位置センサ110及び撮像部112を備えているが、位置センサ110及び撮像部112を備えなくてもよい。例えば、走行用地図作成装置100は、位置センサ110及び撮像部112以外の構成を備える情報処理装置であってもよい。この場合、位置センサ110及び撮像部112を備えるセンサを台車190に載せて所定のフロアを移動させながらセンサにより取得されたデータを情報処理装置に出力してもよい。
【0146】
例えば、実施の形態では、走行用地図作成装置100により生成された走行用の地図は、ネットワーク10を介して、自律走行型ロボット300に送信される例を説明したが、これに限られない。例えば、走行用地図作成装置100がネットワーク10を介して走行用の地図を情報端末200に送信し、情報端末200が取得した走行用の地図を、ネットワーク10を介して自律走行型ロボット300に送信してもよい。なお、ネットワーク10は、インターネットなどの広域通信ネットワークであるが、Wi-Fi(登録商標)などの局所通信ネットワークであってもよい。
【0147】
また、例えば、自律走行型ロボット300は、走行用地図作成装置100により生成された走行用の地図が保存されたUSB(Universal Serial Bus)メモリなどを介して、走行用の地図を取得してもよい。
【0148】
例えば、実施の形態では、走行用地図作成装置100及び自律走行型ロボット300が別体である例を説明したが、走行用地図作成装置100が自律走行型ロボット300に組み込まれた単一の装置として実現されてもよい。
【0149】
例えば、実施の形態では、自律走行型ロボットシステム400は、複数の装置によって実現されているが、単一の装置として実現されてもよい。また、システムが複数の装置によって実現される場合、自律走行型ロボットシステム400が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。また、例えば、自律走行型ロボットシステム400と通信可能なサーバ装置が、制御部120、340に含まれる複数の構成要素を備えていてもよい。
【0150】
例えば、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。また、装置間の通信においては、図示されない中継装置が介在してもよい。
【0151】
また、上記実施の形態において、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、複数の処理の順序が変更されてもよいし、複数の処理が並行して実行されてもよい。
【0152】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0153】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0154】
また、本開示の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。
【0155】
例えば、本開示は、走行用地図作成装置100などのコンピュータが実行する走行用地図作成方法として実現されてもよいし、このような走行用地図作成方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本開示は、汎用のコンピュータを上記実施の形態の走行用地図作成装置100として動作させるためのプログラムとして実現されてもよい。本開示は、これらのプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0156】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0157】
本開示は、自律的に走行するロボットの走行用の地図を作成するために広く利用可能である。
【符号の説明】
【0158】
1、1a、1b、1c、1d、1e1、1e2、1g1、1g2、1f1、1f2、1h1、1h2、11a1、11a2、11a3、11a4、11a5、11a6、11a7、11a8、11a9、11a10、11a11、11a12 第1マーカ
2a、2b、2c、2d、21a1、21a2、21a3、21a4、21a5、21a6 線
3、31a1、31a2、31a3 第2マーカ
4 矩形領域
10 ネットワーク
41a1、41a2、41a3 境界
100 走行用地図作成装置
101 本体
110 位置センサ
112 撮像部
112a RGBカメラ
112b 赤外線センサ
112c プロジェクタ
120 制御部
121 取得部
122 自己位置算出部
123 フロアマップ作成部
124 マーカ識別部
125 マーカ位置算出部
126 進入禁止情報生成部
127 走行用地図作成部
130 記憶部
140 通知部
150 通信部
190 台車
191 ハンドル
192 スタンド
200 情報端末
210 通信部
220 制御部
230 提示部
240 受付部
250 記憶部
300 自律走行型ロボット
301 本体
310 通信部
320 位置センサ
330 障害物センサ
340 制御部
341 自己位置算出部
342 走行地図取得部
343 障害物位置算出部
344 走行計画作成部
345 走行制御部
346 掃除制御部
350 記憶部
360 走行部
370 掃除部
361 車輪
371 サイドブラシ
372 メインブラシ
373 吸引口
400 自律走行型ロボットシステム
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