(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075746
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】ゴム組成物およびその用途
(51)【国際特許分類】
C08L 9/00 20060101AFI20230524BHJP
C08K 3/04 20060101ALI20230524BHJP
C08K 3/36 20060101ALI20230524BHJP
C08L 23/26 20060101ALI20230524BHJP
B60C 1/00 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
C08L9/00
C08K3/04
C08K3/36
C08L23/26
B60C1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188839
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金原 武志
(72)【発明者】
【氏名】中野 秀健
(72)【発明者】
【氏名】小薄 浩起
(72)【発明者】
【氏名】榎本 竜弥
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA01
3D131AA02
3D131AA03
3D131AA04
3D131AA06
3D131AA10
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3D131AA15
3D131BA05
3D131BA12
3D131BC33
3D131BC39
3D131EA02U
4J002AC011
4J002AC021
4J002AC031
4J002AC061
4J002AC071
4J002AC081
4J002AC091
4J002AC111
4J002BB151
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4J002DA037
4J002DJ016
4J002FD010
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD020
4J002FD070
4J002FD140
4J002FD150
4J002FD200
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、より低発熱性能に優れ、且つ、耐摩耗性が良好なゴム組成物を得ることにある。
【解決手段】本発明は、ジエン系ゴム(A)、充填剤(B)、および、密度が0.950-0.980g/cm3の範囲にある酸変性ポリエチレン(C)を含み、前記充填剤(B)が、カーボンブラック(B1)およびシリカ(B2)を含み、前記酸変性ポリエチレン(C)の含有量が、前記ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、1~9質量部の範囲であり、前記カーボンブラック(B1)の質量をWA、前記シリカ(B2)の質量をWB、前記酸変性ポリエチレン(C)の質量をWXとした場合に、WX/(WA+WB)が0.01~0.16の範囲であることを特徴とするゴム組成物に係る。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエン系ゴム(A)、充填剤(B)、および、密度が0.950-0.980g/cm3の範囲にある酸変性ポリエチレン(C)を含み、前記充填剤(B)が、カーボンブラック(B1)およびシリカ(B2)を含み、前記酸変性ポリエチレン(C)の含有量が、前記ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、1~9質量部の範囲であり、前記カーボンブラック(B1)の質量をWA、前記シリカ(B2)の質量をWB、前記酸変性ポリエチレン(C)の質量をWXとした場合に、WX/(WA+WB)が0.01~0.16の範囲であることを特徴とするゴム組成物。
【請求項2】
前記酸変性ポリエチレン(C)が、無水マレイン酸で変性されたポリエチレンである、請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
前記酸変性ポリエチレン(C)の含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、1~6質量部の範囲である請求項1または2に記載のゴム組成物。
【請求項4】
前記WX/(WA+WB)が0.03-0.16の範囲である、請求項1~3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか一項に記載のゴム組成物で形成される空気入りタイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低発熱性能に優れ、且つ、耐摩耗性が良好なゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ゴム(加硫ゴム)は優れたゴム弾性と耐熱性を有することから、自動車用のタイヤや防振ゴム及び各種シール材として幅広く利用されている。その原料ゴムには、天然ゴムをはじめとして、スチレン・ブタジエンゴムやブタジエンゴム、およびエチレン・プロピレン
ゴムなどの合成ゴムが用いられている。
【0003】
そして、環境負荷低減の観点から、空気入りタイヤには、高い強度、燃費を向上させる性能等が望まれている。
例えば、特許文献1には、ジエン系ゴムと、充填剤と、酸変性ポリエチレンとを含有し、酸変性ポリエチレンの密度が0.94~0.98であり、前記酸変性ポリエチレンの含有量が、前記ジエン系ゴム100質量部に対して、2~30質量部配合してなるゴム組成物が記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、ジエン系ゴムと、特定構造のビスマレイミド(BMI)と、酸変性ポリエチレンとを配合するゴム組成物が記載されている。
しかしながら、上記特許文献1や特許文献2に記載のゴム組成物中の特定の高密度酸変性ポリエチレンを含有するゴム組成物は、低発熱性能を維持しつつ、耐摩耗性を十分に改良することができない虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-115024号公報
【特許文献2】特開2002-121326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、より低発熱性能に優れ、且つ、耐摩耗性が良好なゴム組成物を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ジエン系ゴム(A)、充填剤(B)、および、密度が0.950-0.980g/cm3の範囲にある酸変性ポリエチレン(C)を含み、前記充填剤(B)が、カーボンブラック(B1)およびシリカ(B2)を含み、前記酸変性ポリエチレン(C)の含有量が、前記ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、1~9質量部の範囲であり、前記カーボンブラック(B1)の質量をWA、前記シリカ(B2)の質量をWB、前記酸変性ポリエチレン(C)の質量をWXとした場合に、WX/(WA+WB)が0.01~0.16の範囲であることを特徴とするゴム組成物に係る。
【発明の効果】
【0008】
本発明のゴム組成物は、高い低発熱性を維持しつつ、耐摩耗性に優れるゴム組成物を提供することができる。
また、本発明のゴム組成物から形成される空気入りタイヤは、低発熱性能、および耐摩耗性に優れる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<ジエン系ゴム(A)>
本発明のゴム組成物に含まれる成分の一つであるジエン系ゴム(A)は、主鎖に二重結合を有するものであれば特に限定されない。ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、芳香族ビニル-共役ジエン共重合ゴム、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、エチレン-プロピレン-ジエン共重合体ゴム(EPDM)、スチレン-イソプレンゴム、イソプレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム、水添ニトリルゴム等が挙げられる。
【0010】
本発明に係るジエン系ゴム(A)はそれぞれ単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。これらジエン系ゴムのなかでも、芳香族ビニル-共役ジエン共重合ゴム、NR、BRが好ましい。
芳香族ビニル-共役ジエン共重合ゴムとしては、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、スチレン-イソプレンゴムが挙げられる。なかでもSBRが好ましい。
【0011】
本発明に係るジエン系ゴム(A)の重量平均分子量は特に限定されないが、加工性の観点から、50,000~3,000,000であることが好ましく、100,000~2,000,000がより好ましい。なお、ジエン系ゴムの重量平均分子量(Mw)は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値をもとにした標準ポリスチレン換算値である。
【0012】
本発明に係るジエン系ゴム(A)は、空気入りタイヤを形成できる限り、特に限定はされないが、ムーニー粘度〔ML(1+4)100℃,JIS K6300〕が20~120のものが好ましく、40~80がより好ましい。
【0013】
<充填剤(B)>
本発明のゴム組成物に含まれる成分の一つである充填剤(B)は、ゴムや樹脂に添加される補強剤や無機充填剤であり、種々、公知の充填剤(B)を用い得る。
【0014】
〈補強剤〉
補強剤は、架橋ゴムの引張強度、引き裂き強度、耐摩耗性などの機械的性質を高める効果がある。このような補強剤としては、特に限定されないが、たとえば、カーボンブラック、グラファイト、シランカップリング剤などにより表面処理が施されているこれらのカーボンブラック、微粉ケイ酸、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化カルシウムなどの酸化物系フィラー、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの水酸化物系フィラー、珪藻土、石灰岩などの堆積岩系フィラー、カオリナイト、モンモリオナイトなどの粘土鉱物系フィラー、フェライト、鉄、コバルトなどの磁性系フィラー、銀、金、銅、合金などの導電性フィラーなどが挙げられる。中でも、カーボンブラックとシリカを含有することが好ましい。
【0015】
〈カーボンブラック(B1)〉
本発明に係るカーボンブラック(B1)としては、SAF、ISAF、HAF、EPC、XCF、FEF、GPF、HMF、SRF、FT、MTなどが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0016】
本発明に係るカーボンブラック(B-1)は、通常、窒素吸着比表面積(N2SA)が70~200m2/gであり、好ましくは100~170m2/gである。カーボンブラック(B1)の窒素吸着比表面積は、JIS K6217-2:2001によって求められる。
【0017】
本発明に係るカーボンブラック(B1)は、通常、ジブチルフタレート吸油量(DBP)が50~200mL/100gであり、好ましくは100~150mL/100gである。カーボンブラックのDBPは、JIS-K6217-4:2001に準拠して測定できる。
【0018】
本発明に係るカーボンブラック(B1)は、通常、平均粒子径が8~25nmであり、好ましくは10~20nmである。なお、カーボンブラック(B1)の平均粒子径は、数平均粒子径であり、透過型電子顕微鏡により測定される。
【0019】
本発明に係るカーボンブラック(B1)は市販されており、例えば、旭カーボン(株)、キャボットジャパン(株)、東海カーボン(株)、三菱化学(株)、ライオン(株)、新日化カーボン(株)、コロンビアカーボン社等の製品を使用できる。
【0020】
〈シリカ(B2)〉
本発明に係るシリカ(B2)としては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。これらのシリカは、ヘキサメチルジシラザン、クロロシラン、アルコキシシラン等の反応性シランあるいは低分子量のシロキサン等で表面処理されていてもよい。
【0021】
本発明に係るシリカ(B2)は、通常、窒素吸着比表面積(N2SA)が50~300m2/gであり、好ましくは150~250m2/gである。シリカ(B2)のN2SAは、ASTM D3037-81に準拠して測定できる。
【0022】
本発明に係るシリカ(B2)は市販されており、例えば、デグッサ社、ローディア社、東ソー・シリカ(株)、ソルベイジャパン(株)、(株)トクヤマ等の製品を使用できる。
【0023】
〈無機充填剤〉
本発明に係る無機充填剤としては、特に限定されないが、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、タルク、クレーなどが挙げられる。これらの無機充填材は、目的に応じて、単独で、あるいは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
<酸変性ポリエチレン(C)>
本発明のゴム組成物に含まれる成分の一つである酸変性ポリエチレン(C)は、変性基としてカルボキシ基又は酸無水物基を有し、主鎖がポリエチレンであるグラフト変性重合体で、密度が0.950~0.980g/cm3の好ましくは0.955~0.975g/cm3、さらに好ましくは、0.960~0.970g/cm3の範囲にある。
酸変性ポリエチレン(C)として、上記範囲の密度を有する酸変性ポリエチレンを用いるとゴム組成物から得られる成形体は、より耐摩耗性に優れる。
【0025】
〈ポリエチレン〉
酸変性ポリエチレン(C)の主鎖であるポリエチレンは、エチレンの単独重合体、若しくは、エチレンと炭素数3以上のα-オレフィン、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン等のα-オレフィンとの共重合体であり、通常、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレンなどの名称で、製造販売されている。
【0026】
本発明に係るポリエチレンは、通常、密度が0.950-0.980g/cm3、好ましくは0.955~0.975g/cm3、より好ましくは0.960~0.970g/cm3の範囲にある。
【0027】
また、本発明に係るポリエチレンは、通常、JIS K 7210に準拠し、190℃、2.16kg荷重(kgf)の条件下で測定されるメルトフローレート(MFR)が、0.1~20g/10分、好ましくは0.1~15.0g/10分の範囲にある。
【0028】
〈変性基〉
本発明に係る酸変性ポリエチレン(C)の変性基は、カルボキシ基又は酸無水物基を有する基である。
かかる変性基は、不飽和カルボン酸又は不飽和カルボン酸無水物を上記ポリエチレンに、グラフト変性することのより変性される基である。
【0029】
不飽和カルボン酸、および不飽和カルボン酸無水物としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、これらの各酸の酸無水物などが挙げられる。
これらのうち、無水マレイン酸がとくに好ましい。
【0030】
〈酸変性ポリエチレン(C)の製造方法〉
本発明に係る酸変性ポリエチレン(C)は、上記ポリエチレンを上記不飽和カルボン酸又不飽和カルボン酸無水物でグラフト変性する方法は、公知の種々の方法を採用することができる。具体的には、例えば、押出機を使用して、ポリエチレンを溶融し、そこに不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸無水物を添加してグラフト反応させる方法、あるいはポリエチレンを溶媒に溶解して溶液とし、そこに不飽和カルボン酸または不飽和カルボン酸無水物を添加してグラフト反応させる方法などが挙げられる。いずれの場合にも前記不飽和カルボン酸および/または不飽和カルボン酸無水物を効率よくグラフト共重合させるためには、ラジカル開始剤の存在下にグラフト反応を実施することが好ましい。グラフト反応は、通常60~350℃の条件で行われる。ラジカル開始剤の使用割合は変性前のポリエチレン100質量部に対して、通常0.001~1質量部の範囲である。
【0031】
ラジカル開始剤としては、有機ペルオキシドが好ましく、例えばベンゾイルペルオキシド、ジクロルベンゾイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ペルオキシドベンゾエート)ヘキシン-3、1,4-ビス(tert-ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、ラウロイルペルオキシド、tert-ブチルペルアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、2,5-ジメチル-2.5-ジ(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、tert-ブチルペルベンゾエート、tert-ブチルペルフェニルアセテート、tert-ブチルペルイソブチレート、tert-ブチルペル-sec-オクトエート、tert-ブチルペルピバレート、クミルペルピバレートおよびtert-ブチルペルジエチルアセテートなどが挙げられる。その他アゾ化合物、例えばアゾビスイソブチロニトリル、ジメチルアゾイソブチレートなどを用いることもできる。
【0032】
≪ゴム組成物≫
本発明のゴム組成物は、上記ジエン系ゴム(A)、充填剤(B)、および、上記酸変性ポリエチレン(C)を含み、充填剤(B)がカーボンブラック(B1)およびシリカ(B2)を含み、酸変性ポリエチレン(C)の含有量が、ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、1~9質量部、好ましくは1~6質量部、さらに好ましくは3~6質量部の範囲で含み、カーボンブラック(B1)の質量をWA、シリカ(B2)の質量をWB、酸変性ポリエチレン(C)の質量をWXとした場合に、WX/(WA+WB)が0.01~0.16、好ましくは0.03-0.16、より好ましくは0.04~0.11、さらに好ましくは0.04~0.08の範囲にある。
【0033】
本発明のゴム組成物は、酸変性ポリエチレン(C)を上記範囲で含むことにより、耐摩耗がより改良された成形体が得られる。
また、本発明のゴム組成物は、ゴム組成物に含まれる酸変性ポリエチレン(C)の質量(WX)とカーボンブラック(B1)の質量(WA)とシリカ(B2)の質量(WB)の合計量(WA+WB)との比〔WX/(WA+WB)〕が上記範囲にあると、耐摩耗がより改良された成形体が得られる。
【0034】
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム(A)100質量部に対するカーボンブラック(B1)充填剤(B)の含有量は、通常、1~100質量部であり、好ましくは1~50質量部である。
また、ジエン系ゴム(A)100質量部に対するシリカ(B2)の含有量は、通常、10~100質量部であり、好ましくは20~80質量部である。
【0035】
本発明のゴム組成物は、上記ジエン系ゴム(A)、カーボンブラック(B1)およびシリカ(B2)を含む上記充填剤(B)、並びに上記酸変性ポリエチレン(C)に加え、必要に応じて、その他の成分、例えば、シランカップリング剤、架橋剤、可塑剤、加硫促進剤、共架橋剤、加硫助剤、加工助剤、老化防止剤、活性剤等の種々の添加剤が挙げられる。また、必要に応じて、公知の発泡剤、発泡助剤、着色剤、分散剤、難燃剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、着色剤、滑剤および増粘剤等もその他の成分として用いうる。
【0036】
《その他の成分》
〈シランカップリング剤〉
本発明のゴム組成物に配合されるシランカップリング剤しては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロルシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N-(1,3-ジメチルブチリデン)-3-(トリエトキシシリル)-1-プロパンアミン、N,N'-ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)エチレンジアミン、ポリオキシエチレンプロピルトリアルコキシシラン、ポリエトキシジメチルシロキサン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
【0037】
本発明のゴム組成物が、シランカップリング剤を含む場合は、その配合量は、ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、0.2~10質量部、好ましくは0.5~9質量部、さらに好ましくは1~8質量部の範囲である。
【0038】
〈加硫剤〉
本発明のゴム組成物に配合される加硫剤は、上記ジエン系ゴム(A)が加硫可能である限り特に限定されず、硫黄系化合物、過酸化物系架橋剤などゴムの分野において通常用いられる種々のものであってもよい。
【0039】
本発明においては、好適な加硫剤として、イオウ系化合物が挙げられる。イオウ系化合物によりゴム組成物を架橋することで、ジクミルパーオキサイド等の過酸化物系架橋剤を用いた場合と比べて、成形体に同等の低温特性を与えつつ、格段に優れた柔軟性や機械的特性を付与することができる。
【0040】
イオウ系化合物の種類としては、イオウ、塩化イオウ、二塩化イオウ、モルフォリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、ジチオカルバミン酸セレン等が挙げられる。この中でも、イオウやテトラメチルチウラムジスルフィドが好ましい。
【0041】
一方、ジエン系ゴム(A)の種類によっては、加硫剤として過酸化物系架橋剤を用いることもできる。
【0042】
過酸化物系架橋剤としては、
1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカンなどのパーオキシケタール、並びに、
ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α、α'-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオキサイド等が挙げられる。
【0043】
本発明のゴム組成物が、加硫剤を含む場合は、その配合量は、ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、0.2~15質量部、好ましくは0.3~10質量部、さらに好ましくは1~7質量部である。
【0044】
〈可塑剤〉
本発明のゴム組成物は、その用途に応じて、可塑剤、具体的には、ゴムの分野において軟化剤として一般的に用いられる公知の可塑剤をさらに含んでいてもよい。
【0045】
このような可塑剤の具体例としては、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン油、流動パラフィン、石油アスファルト、およびワセリン等の石油系軟化剤;コールタール、およびコールタールピッチ等のコールタール系軟化剤;ひまし油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、およびヤシ油等の脂肪油系軟化剤;蜜ロウ、カルナウバロウ、およびラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、およびラウリン酸亜鉛等の脂肪酸またはその塩;ナフテン酸、パイン油、およびロジンまたはその誘導体;テルペン樹脂、石油樹脂、アタクチックポリプロピレン、およびクマロンインデン樹脂等の合成高分子物質;ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、およびジオクチルセバケート等のエステル系軟化剤;その他、マイクロクリスタリンワックス、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコール、炭化水素系合成潤滑油、トール油、およびサブ(ファクチス)などが挙げられる。なかでも、石油系軟化剤が好ましい。石油系軟化剤の中では、石油系プロセスオイルが好ましく、この中でもパラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、アロマ系プロセスオイル(芳香族系プロセスオイル)等がさらに好ましい。
【0046】
ここで、上記可塑剤の含有量は、その用途により適宜選択でき、通常、ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、最大200質量部、好ましくは最大150質量部、より好ましくは最大130質量部が望ましい。
【0047】
〈加硫促進剤〉
本発明に係るゴム組成物は、上記成分に加え加硫促進剤をさらに含んでいてもよい。
加硫促進剤の具体例としては、N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(例えば、「サンセラーCM」(商品名;三新化学工業株式会社製)など)、N-オキシジエチレン-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N'-ジイソプロピル-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N-(tert-2-ベンゾチアゾールスルフェンアミド(略号:TBBS)(例えば、「サンセラーNS-G」(商品名;三新化学工業株式会社製)など)、2-メルカプトベンゾチアゾール(例えば、「サンセラーM」(商品名;三新化学工業株式会社製)など)、2-(4-モルホリノジチオ)ペンゾチアゾール(例えば、「ノクセラーMDB-P」(商品名;三新化学工業株式会社製)など)、2-(2,4-ジニトロフェニル)メルカプトベンゾチアゾール、2-(2,6-ジエチル-4-モルフォリノチオ)ベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系;ジフェニルグアニジン(略号:DPG)(例えば、「サンセラーD、サンセラーD-G」(商品名;三新化学工業株式会社製)など)、トリフェニルグアニジン、ジオルソトリルグアニジン等のグアニジン系;アセトアルデヒド-アニリン縮合物、ブチルアルデヒド-アニリン縮合物、アルデヒドアミン系;2-メルカプトイミダゾリン等のイミダゾリン系;ジエチルチオウレア、ジブチルチオウレア等のチオウレア系;テトラメチルチウラムモノスルフィド、ジベンゾチアジルジスルフィド(略号:MBTS)(例えば、「サンセラーDM、サンセラーDM-G」(商品名:(商品名;三新化学工業株式会社製)など)、テトラメチルチウラムジスルフィド(例えば、「サンセラーTT」(商品名;三新化学工業株式会社製)など)等のチウラム系;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチルジチオカルバミン酸亜鉛(例えば、「サンセラーBZ」(商品名;三新化学工業株式会社製)など)、ジエチルジチオカルバミン酸テルル等のジチオ酸塩系;エチレンチオ尿素(例えば、「サンセラー22-C」(商品名;三新化学工業株式会社製)など)、N,N'-ジエチルチオ尿素等のチオウレア系;ジブチルキサトゲン酸亜鉛等のザンテート系;その他亜鉛華(例えば、「META-Z102」(商品名;井上石灰工業株式会社製)などの酸化亜鉛)等が挙げられる。
【0048】
本発明のゴム組成物が加硫促進剤を含む場合は、その含有量は、ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、好ましくは0.1~15質量部、より好ましくは0.5~10質量部である。このような含有量でゴム組成物に加硫促進剤が含まれることにより、ゴム組成物が優れた架橋特性を有し、得られる成形体からのブルームの発生がより低減する。
【0049】
〈共架橋剤〉
上記架橋剤として過酸化物系架橋剤を用いる場合には、ゴム組成物の加硫速度改善や、得られる成形体の物性などを目的として、必要に応じて、適宜な共架橋剤をさらに含むことができる。
【0050】
共架橋剤の例として、ブレンマーPDE-100(日本油脂株式会社製商品名)の如きポリエチレングリコールジメタクリレート(PEGDM)、ジアリルフタレート(DAP)、タイク(日本化成株式会社製商品名)の如きトリアリルイソシアヌレート(TAIC)、タック(株式会社武蔵野化学研究所製商品名)の如きトリアリルシアヌレート(TAC)、アクリエステルTHF(三菱レーヨン株式会社製商品名)の如きメタクリル酸テトラヒドロフルフリル(THFMA)、サンエステルEG(三新化学工業株式会社製商品名)やアクリエステルED(三菱レーヨン株式会社製商品名)の如きジメタクリル酸エチレン(EDMA)、アクリエステルBD(三菱レーヨン株式会社製商品名)の如きジメタクリル酸1,3-ブチレン(BDMA)、サンエステルTMPMA(三新化学工業株式会社製商品名)やアクリエステルTMP(三菱レーヨン株式会社製商品名)やハイクロスM(精工化学株式会社製商品名)の如きトリメタクリル酸トリメチロールプロパン(TMPMA)などが挙げられる。
【0051】
本発明のゴム組成物が共架橋剤を含む場合は、その量は、ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、1~10質量部程度が適当である。
またこの態様のゴム組成物においては、過酸化物系架橋剤を用いた架橋の際にメタクリル酸エステルやタイク(日本化成株式会社)の如きトリアリルイソシアヌレート(TAIC)、などを加硫助剤としてさらに添加してもよい。
【0052】
〈加硫助剤〉
加硫助剤の具体的例としては、酸化マグネシウム、亜鉛華(例えば、「META-Z102」(商品名;井上石灰工業株式会社製)などの酸化亜鉛)などが挙げられる。
本発明のゴム組成物が加硫助剤を含む場合は、その量は、ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、通常、1~20質量部である。
【0053】
〈加工助剤〉
本発明のゴム組成物は、加工助剤をさらに含んでいてもよい。
加工助剤としては、通常のゴムの加工に使用される化合物を使用することができる。具体的には、リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸バリウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の高級脂肪酸の塩;リシノール酸、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸のエステル類などが挙げられる。
【0054】
本発明のゴム組成物が加工助剤を含む場合は、その量はジエン系ゴム(A)100質量部に対して、10質量部以下、好ましくは5質量部以下の量で用いられるが、要求される物性値に応じて適宜最適量を決定することが望ましい。
【0055】
〈老化防止剤〉
本発明のゴム組成物は、架橋して得られる成形体の製品寿命を長くするために、老化防止剤を含有してもよい。また、老化防止剤としては、従来公知の老化防止剤、例えばアミン系老化防止剤、フェノール系老化防止剤、イオウ系老化防止剤等が挙げられる。
【0056】
老化防止剤としては、具体的には、フェニルブチルアミン、N,N-ジ-2-ナフチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン(例えば、「ノクラック6C」商品名 大内新興化学工業株式会社製)等の芳香族第2級アミン系老化防止剤、ジブチルヒドロキシトルエン、テトラキス-[メチレン-3-(3',5'-ジ-t-ブチル-4'-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等のフェノール系老化防止剤;ビス[2-メチル-4-(3-n-アルキルチオプロピオニルオキシ)-5-t-ブチルフェニル]スルフィド等のチオエーテル系老化防止剤;ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル等のジチオカルバミン酸塩系老化防止剤;2-メルカプトベンゾイルイミダゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾールの亜鉛塩、ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系老化防止剤等が挙げられる。これらの老化防止剤は、1種単独であるいは2種以上の組み合わせで用いることがでる。
【0057】
本発明のゴム組成物が老化防止剤を含む場合は、その量は、ジエン系ゴム(A)100質量部に対して、通常、0.3~10質量部、好ましくは0.5~7.0質量部、さらに好ましくは0.7~5.0質量部である。老化防止剤の量が上記範囲内であると、ゴム組成物を架橋(加硫)する際の加硫阻害を低減することができ、得られる成形体からブルームの発生を低減することができる。
【0058】
<ゴム組成物の調製方法>
本発明のゴム組成物の調製方法としては、例えば、ゴム組成物に含まれる各成分を、例えば、ミキサー、ニーダー、ロール等の従来知られる混練機、さらに二軸押出機のような連続混練機等を用いて混合する方法、ゴム組成物に含まれる各成分が溶解または分散した溶液を調製し、溶媒を除去する方法等が挙げられる。
【0059】
ゴム組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、一般的なゴム配合物の調製方法を特に制限なく採用することができる。たとえば、本発明のゴム組成物が任意成分を含有する場合、任意成分の少なくとも一部を、ジエン系ゴム(A)とあらかじめ混合した後に残りの任意成分を配合してもよく、また、ジエン系ゴム(A)を配合した後に任意成分を添加して配合してもよい。
【0060】
たとえばバンバリーミキサー、ニーダー、インターミックス等のインターナルミキサー類を用いて、ジエン系ゴム(A)、充填剤(B)、および、酸変性ポリエチレン(C)、および必要に応じて配合する他の成分を、80~170℃の温度で3~10分間混練した後、必要に応じて架橋剤およびさらに必要に応じて架橋促進剤、架橋助剤、発泡剤などを加えて、オープンロールなどのロール類あるいはニーダーを用いて、ロール温度40~80℃で5~30分間混練した後、分出しすることにより調製することができる。このようにして通常リボン状またはシート状のゴム組成物が得られる。上記のインターナルミキサー類での混練温度が低い場合には、架橋剤、架橋促進剤、発泡剤などを同時に混練することもできる。
【0061】
<成形体>
本発明の成形体は、前述の本発明のゴム組成物を加硫(架橋とも表示する)することにより得られる。なお、加硫の際には、金型を用いても、用いなくてもよい。金型を用いない場合には、ゴム組成物は、通常、連続的に成形、架橋される。
【0062】
ゴム組成物を加硫する方法としては、(a)加硫剤を含有するゴム組成物を、通常、押出し成形、プレス成形、インジェクション成形等の成形法や、ロール加工により所望形状に予備成形し、成形と同時にまたは成形物を架橋槽内に導入して加熱する方法や、(b)加硫剤を含有するゴム組成物を、(a)の方法と同様の方法で予備成形し、次いで電子線を照射する方法を例示することができる。
【0063】
上記ゴム組成物を加熱により架橋する場合には、通常、硫黄、硫黄系化合物、過酸化物などの加硫剤を含むゴム組成物を用いて、熱空気、ガラスビーズ流動床、UHF(極超短波電磁波)、スチームまたはLCM(熱溶融塩槽)などの加熱形態の架橋槽を用いて、150~270℃の温度で1~30分間加熱することが好ましい。硫黄架橋または過酸化物架橋は、架橋工程に特殊な装置を必要としない利点があるため、従来からゴム組成物の架橋工程に広く用いられている。
【0064】
<空気入りタイヤ>
本発明の空気入りタイヤは、本発明のゴム組成物で形成される空気入りタイヤであり、ゴム組成物で形成される部位は、とくに限定されず、例えば、タイヤトレッド部、サイドウォール部、ビード部、カーカス層、ベルト層が挙げられる。
【0065】
なかでも、タイヤトレッド部を本発明のゴム組成物で形成することが好ましく、キャップトレッド及びアンダートレッドからなる群から選ばれる少なくとも1種を本発明のゴム組成物で形成することがより好ましく、キャップトレッドがさらに好ましい。
【0066】
本発明の空気入りタイヤは、例えば、従来公知の方法に従って製造することができる。また、タイヤに充填する気体としては、例えば、通常のまたは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガスを用いることができる。
【実施例0067】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
【0068】
[物性の測定条件]
<メルトフローレート(MFR)>
JIS K7210に従い、190℃、2.16kg荷重の下、MFRを測定した。
<密度>
JIS K7112(密度勾配管法)に準拠して密度を測定した。
<ムーニー粘度(ML(1+4)100℃)>
アクリルゴムベールのムーニー粘度(ML(1+4)100℃)は、JISK6300の未架橋ゴム物理試験法に従って測定した。
【0069】
実施例及び比較例で用いた原料成分は以下の通りである。
〔ジエン系ゴム(A)〕
下記実施例および比較例ではジエン系ゴム(A)として、以下市販品を用いた。
(A-1);スチレン-ブタジエンゴム(SBR) ZSエラストマー社製 商品名 Nipol NS116R(結合スチレン量=21%、ML(1+4)100℃=45)。
【0070】
〔カーボンブラック(B1)〕
下記実施例および比較例ではカーボンブラック(B1)として、以下の市販品を用いた。
(B1-1):HAF 旭カーボン社製 商品名 旭#70。
【0071】
〔シリカ(B2)〕
下記実施例および比較例ではシリカ(B2)として、以下の市販品を用いた。
(B2-1):湿式シリカ 東ソー・シリカ社製 商品名 Nipsil VN3。
【0072】
〔酸変性ポリエチレン(C)〕
(C-1):無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン(三井化学社製 商品名 アドマーHE810)、密度=0.96g/cm3、MFR=1.7g/10分。
(C-2):無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン(三井化学社製 商品名 アドマーHB030)、密度=0.94g/cm3、MFR=0.4g/10分。
【0073】
〔高密度ポリエチレン(F)〕
(F-1):高密度ポリエチレン、密度=0.96g/cm3、MFR=13g/10分(プライムポリマー社製 商品名 ハイゼックスTM 1300J)。
【0074】
〔添加剤〕
シランカップリング剤:ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド(EVONIK社製 商品名 Si-69)。
酸化亜鉛:酸化亜鉛2種(ハクスイテック社製)
ステアリン酸:ステアリン酸(日油社製)
老化防止剤:ノクラック6C、大内新興化学工業社製)
可塑剤:芳香族系プロセスオイル:商品名 ダイアナ プロセスオイルAH-16(出光興産社製)
硫黄:硫黄(純正化学社製)
加硫促進剤(MBTS):サンセラー DM-G(三新化学工業社製)
加硫促進剤(DPG):サンセラー D-G(三新化学工業社製)
加硫促進剤(TBBS):サンセラー NS-G(三新化学工業社製)
【0075】
〔実施例1〕
原料成分として、ジエン系ゴム(A-1)、カーボンブラック(B1-1)、シリカ(B2-1)、酸変性ポリエチレン(C-1)、および、加硫系成分(硫黄および含硫黄加硫促進剤)を除く添加剤を表1に示す量で、バンバリーミキサーを用いて約3分間140~160℃の温度範囲で混練りし混合物を得た。次に、得られた混合物に加硫系成分を加え、6インチオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。
【0076】
得られたゴム組成物を所定の金型中、170℃で20分間プレス加硫して縦15cm×横15cm×厚さ2mmの平板の加硫ゴムシートを作製し、さらに170℃で10分間プレス加硫して縦10cm×横10cm×厚さ1mmの平板の加硫ゴムシートを作製した。
得られた加硫ゴムシートを用いて、以下の測定方法で物性を測定した。
【0077】
〔発熱性〕
厚さ1mmの加硫ゴムシートを使用し、動的粘弾性計測装置(RSA-G2 TA Instruments社製)を用いて、伸張変形歪率1%、周波数10Hz、温度60℃、窒素雰囲気下の条件で、損失正接tanδ(60℃)を測定した。本発明ではtanδ(60℃)の指数が小さいほど、低発熱性に優れることを意味する。
【0078】
〔耐摩耗性〕
厚さ2mmの加硫ゴムシートをテーバー摩耗試験機(ロータリーアブレージョンテスタ TS-2型、東洋精機製作所製)に設置して、摩耗輪H-18に荷重9.8N(1000g)をかけて、1000回回転させて試験片の摩耗損失量を測定した。摩耗損失量の指数が小さい程、耐摩耗性に優れることを意味する。
結果を表1に示す。
【0079】
〔実施例2、比較例1~4〕
実施例1で用いた原料成分、および添加剤を表1に記載の成分および量に替える以外は、実施例1と同様に行いゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を上記方法で評価した。
結果を表1に示す。
【0080】
〔標準例1〕
実施例1で用いた原料成分、および添加剤を表1に記載の成分および量に替える以外は、実施例1と同様に行いゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を上記方法で評価した。
結果を表1に示す。
【0081】
【0082】
tanδ(60℃)の指数として、標準例1を100とし、INDEX表記で、105以下であれば同等もしくは、同等以上の性能と判断した。
摩耗損失量は、標準例1を100とし、INDEX表記で、80以下であれば耐摩耗性が改善傾向ありと判断した。
【0083】
〔実施例3~5、比較例5~9、標準例2〕
実施例1で用いた原料成分、および添加剤を表1に記載の成分および量に替える以外は、実施例1と同様に行いゴム組成物を得た。得られたゴム組成物を上記方法で評価した。
結果を表2に示す。
【0084】
【0085】
tanδ(60℃)の指数として、標準例2を100とし、INDEX表記で、105以下であれば同等もしくは、同等以上の性能と判断した。
摩耗損失量は、標準例2を100とし、INDEX表記で、80以下であれば耐摩耗性が改善傾向ありと判断した。