(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075785
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】衣類処理装置、衣類処理プログラム、及び衣類処理方法
(51)【国際特許分類】
D06F 89/00 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
D06F89/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021188900
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123102
【弁理士】
【氏名又は名称】宗田 悟志
(72)【発明者】
【氏名】黒田 達朗
(72)【発明者】
【氏名】反田 耕一
(72)【発明者】
【氏名】谷口 祥平
(72)【発明者】
【氏名】細川 明宏
(57)【要約】
【課題】衣類などの処理対象物を適切に処理する。
【解決手段】衣類処理装置1は、処理対象物を把持するための保持部と、未処理の処理対象物を収容するための受入部に収容された処理対象物を保持部により掴み上げる把持制御部80と、保持部により掴み上げられた処理対象物が処理可能か否かを判定する判定部81と、判定部81により処理可能でないと判定された処理対象物を受入部の退避領域に退避させる退避制御部82と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理対象物を把持するための把持部と、
未処理の処理対象物を収容するための収容部に収容された処理対象物を前記把持部により掴み上げる把持制御部と、
前記把持部により掴み上げられた処理対象物が処理可能か否かを判定する判定部と、
前記判定部により処理可能でないと判定された処理対象物を前記収容部の退避領域に退避させる退避制御部と、
を備える
衣類処理装置。
【請求項2】
前記把持制御部は、前記判定部により処理可能でないと判定された処理対象物を前記収容部の退避領域に退避させる前後に撮像された前記収容部の撮像画像に基づいて、処理可能でないと判定された処理対象物ではない処理対象物を前記把持部により掴み上げる
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記収容部において前記退避領域を区画するための隔壁を備える
請求項1又は2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記処理対象物を載置可能な作業板を備え、
前記退避制御部は、前記作業板を使用して前記処理対象物を前記退避領域に退避させる
請求項1から3のいずれかに記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記判定部は、処理対象物の向き又は種別を判別するための判別器を使用して、前記把持部により掴み上げられた処理対象物の向き又は種別を判別し、判別結果に基づいて処理可否を判定する
請求項1から4のいずれかに記載の衣類処理装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記把持部により掴み上げられた処理対象物の長さ又は幅を測定し、測定結果に基づいて処理可否を判定する
請求項1から5のいずれかに記載の衣類処理装置。
【請求項7】
前記判定部は、対象物の三次元形状を取得可能なセンサにより取得された処理対象物の三次元形状から処理対象物の長さ又は幅を測定する
請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項8】
前記判定部は、測定された処理対象物の幅が、処理対象物を処理するための空間の幅よりも大きい場合に、その処理対象物を処理可能でないと判定する
請求項6又は7に記載の衣類処理装置。
【請求項9】
前記判定部は、複数の把持部により処理対象物の両端付近をそれぞれ把持して前記処理対象物を展開したときの撮像画像において、前記処理対象物の中央付近が撓んでいることを検出した場合に、その処理対象物を処理可能でないと判定する
請求項8に記載の衣類処理装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記処理対象物の一部を前記把持部以外の構成要素に載置し、前記処理対象物をたくし上げることにより、前記処理対象物の長さを測定する
請求項6に記載の衣類処理装置。
【請求項11】
前記退避制御部は、複数の前記把持部により前記処理対象物を把持している場合、複数の前記把持部の位置関係に基づいて、前記把持部による前記処理対象物の把持を解放させる順序又はタイミングを制御する
請求項1から10のいずれかに記載の衣類処理装置。
【請求項12】
前記退避制御部は、複数の前記把持部のうち、上面視で前記退避領域の中央からより遠い位置にある把持部による前記処理対象物の把持を、上面視で前記退避領域の中央からより近い位置にある把持部よりも優先して解放させる
請求項11に記載の衣類処理装置。
【請求項13】
前記退避制御部は、前記作業板を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように前記作業板を傾ける
請求項4に記載の衣類処理装置。
【請求項14】
前記退避制御部は、把持部による把持を解放させた後に、作業板に載置されている処理対象物を落下させるための制御を実行する
請求項12及び13に記載の衣類処理装置。
【請求項15】
コンピュータを、
未処理の処理対象物を収容するための収容部に収容された処理対象物を、処理対象物を把持するための把持部により掴み上げる把持制御部と、
前記把持部により掴み上げられた処理対象物が処理可能か否かを判定する判定部と、
前記判定部により処理可能でないと判定された処理対象物を前記収容部の退避領域に退避させる退避制御部と、
として機能させるための衣類処理プログラム。
【請求項16】
未処理の処理対象物を収容するための収容部に収容された処理対象物を、処理対象物を把持するための把持部により掴み上げる把持制御部と、
前記把持部により掴み上げられた処理対象物が処理可能か否かを判定する判定部と、
前記判定部により処理可能でないと判定された処理対象物を前記収容部の退避領域に退避させる退避制御部と、
を備える
衣類処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衣類などの処理対象物を処理するための衣類処理装置、衣類処理プログラム、及び衣類処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
衣類などの被処理物を展開して折り畳む処理装置が提案されている。例えば、特許文献1には、被処理物の任意の点を保持可能な複数の保持装置と、被処理物を載置可能な載置装置を備える折り畳み装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
被処理物の大きさや種別などによっては、折り畳み装置により折り畳むことができないこともある。折り畳むことができない被処理物を折り畳もうとすると、途中までの作業が無駄になってしまう。
【0005】
本開示は、衣類などの処理対象物を適切に処理するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における衣類処理装置は、処理対象物を把持するための把持部と、未処理の処理対象物を収容するための収容部に収容された処理対象物を把持部により掴み上げる把持制御部と、把持部により掴み上げられた処理対象物が処理可能か否かを判定する判定部と、判定部により処理可能でないと判定された処理対象物を収容部の退避領域に退避させる退避制御部と、を備える。
【0007】
本開示における衣類処理方法は、未処理の処理対象物を収容するための収容部に収容された処理対象物を、処理対象物を把持するための把持部により掴み上げる把持制御部と、把持部により掴み上げられた処理対象物が処理可能か否かを判定する判定部と、判定部により処理可能でないと判定された処理対象物を収容部の退避領域に退避させる退避制御部と、を備える。
【0008】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0009】
本開示の技術によれば、衣類などの処理対象物を適切に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】実施の形態1における衣類処理装置の正面概略構成図
【
図3】実施の形態1における衣類処理装置の側面概略構成図
【
図5A】2つの保持部により処理対象物の両端付近をそれぞれ把持して処理対象物を展開した状態を示す図
【
図5B】2つの保持部により処理対象物の両端付近をそれぞれ把持して処理対象物を展開した状態を示す図
【
図7A】作業板に載置された処理対象物を受入部の退避領域に退避させる様子を示す図
【
図7B】作業板に載置された処理対象物を受入部の退避領域に退避させる様子を示す図
【
図8】作業板に載置された処理対象物を受入部の退避領域に退避させる様子を示す図
【
図14】実施の形態1に係る衣類処理方法の手順を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見等)
本開示に係る衣類処理装置は、複数の保持装置により処理対象物を保持して折り畳む。衣類処理装置の寸法上折り畳めない衣類を折り畳もうとすると、途中までの作業が無駄になってしまう。また、種別や向きを認識することができない衣類を折り畳もうとすると、誤った折り畳み方をして衣類を傷めたり、衣類処理装置の構成要素に引っ掛かって取れなくなったり構成要素に不具合を生じたりする可能性がある。
【0012】
このような課題を発明者らは発見し、その課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。本開示に係る衣類処理装置は、未処理の処理対象物を収容するための収容部に収容された処理対象物を把持部により掴み上げ、その処理対象物が処理可能か否かを判定し、処理可能でないと判定された処理対象物を収容部の退避領域に退避させる。これにより、処理できない処理対象物を処理前に判定して退避させることができるので、無駄な時間の浪費を低減させることができる。また、処理対象物や衣類処理装置の構成要素の不具合を防ぐことができる。
【0013】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0015】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図14を用いて、実施の形態1を説明する。なお、衣類処理装置1の3方向について、前側正面から見て、左右の幅方向を矢印で示すX方向(左方向X1、右方向X2)、前後の奥行き方向を矢印で示すY方向(前方向Y1、後方向Y2)、上下の高さ方向を矢印で示すZ方向(上方向Z1、下方向Z2)として説明する。
【0016】
[1-1.構成]
[1-1-1.衣類処理装置の全体構成]
衣類処理装置1は、変形性薄物としての処理対象物Tを保持、認識、折り畳み、及び、収納する装置である。
図1に示されるように、衣類処理装置1は、筐体100、及び、筐体100内に構成される、受入部200と、保持装置300と、作業板装置400と、撮像装置500と、支持部600と、収納装置700と、制御装置900と、を備える。なお、受入部200及びその上方の処理空間が1つの筐体に構成され、収納装置700などは別の筐体内に構成されて、それぞれの筐体が連結されて一体となるように構成されてもよい。
【0017】
処理対象物Tは、例えば、衣類及びタオル類などの布地、フィルム、紙ならびにシートなどに代表される変形性薄物である。その形状は、タオル類のように矩形であってもよいし、Tシャツやランニングシャツ、長袖シャツ、ズボンのような略矩形であってもよい。
【0018】
筐体100は、直方体の枠を形成するフレーム110と、直方体の所定の面に外郭120が設けられて構成される。フレーム110と外郭120とは、一体に形成されてもよい。
【0019】
受入部200は、処理対象物Tを外部から受け入れる収容部である。
図1から
図3に示されるように、受入部200は、上面が開口した箱型形状を有する。受入部200は、ユーザがアクセスし易いように、衣類処理装置1における底部に配設され、奥行き方向(Y方向)に出し入れ可能に配設される。例えば、受入部200は、下部にガイドレール210が設けられ、前方向Y1に引き出される。処理対象物Tは、引き出された受入部200に上方から入れられる。受入部200は、処理対象物Tが入れられると、ガイドレール210に沿って後方向Y2に戻され、筐体100内に収められる。
【0020】
保持装置300は、処理対象物Tを処理するために、処理対象物Tを保持する装置である。保持装置300は、処理対象物Tを保持する保持部310と、保持部310を幅方向(X方向)、奥行き方向(Y方向)、高さ方向(Z方向)の3方向に移動させる移動機構320と、を含む。保持装置300は、複数設けられ、受入部200内に入れられた処理対象物Tを保持して持ち上げるとともに、処理対象物Tを一時的に載置できる作業板装置400と協働して、処理対象物Tを持ち替えながら展開及び折り畳みを行う。
【0021】
衣類処理装置1は、
図1から
図3に示されるように、保持装置300として2基の保持装置300A,300Bを備える。保持装置300Aは、保持部310として1つの保持部310Aを有し、保持部310Aを3方向に移動させる移動機構320Aを有する。保持装置300Bは、保持部310として2基の保持部310B,311Bを有し、保持部310B,311Bをそれぞれ3方向に移動させる移動機構320Bを有する。
【0022】
保持部310A,310B,311Bは、後述する作業板装置400の作業板410に対して、幅方向、奥行き方向、高さ方向にそれぞれ相対移動可能である。例えば、移動機構320A、320Bは、保持部310A,310B,311Bが作業板410の縁部に沿って一列に並ぶように位置させることができる。
【0023】
保持装置300A、300Bは、後述する制御装置900と有線又は無線により通信可能に接続される。そして、制御装置900により、保持部310A、310B,311B及び移動機構320A、320Bの動作が制御される。
【0024】
保持装置300A,300Bに用いられる移動機構320A,320Bについて、保持装置300Aの移動機構320Aの構成を用いて説明する。保持装置300Bの移動機構320Bの構成は、保持部の数を除いて保持装置300Aの構成と基本的に同じである。よって、保持装置300Bは、保持装置300Aの符号中「A」を「B」に置き換えた符号を用いればよく、その説明を省略する。
【0025】
移動機構320Aは、
図2に示されるように、幅方向移動機構330Aと、高さ方向移動機構340Aと、奥行き方向移動機構350Aと、を備える。
【0026】
幅方向移動機構330Aは、保持部310Aを幅方向(X方向)に移動させる。幅方向移動機構330Aは、保持部310Aを移動させるための駆動力源となる幅方向駆動部332A、及び、移動のガイドとなるXガイド334Aを有する。詳細は図示しないが、幅方向駆動部332Aは、正転及び逆転が可能なモータであり、ピニオンギアを有する。Xガイド334Aは、幅方向駆動部332Aの動力がピニオンギアを介して伝達されるラックギア及びレールであり、その長手方向が幅方向に沿うように配置される。幅方向駆動部332Aは、通電により、Xガイド334Aに沿ってスライド移動する。幅方向駆動部332AがXガイド334Aに沿って幅方向に移動すると、幅方向駆動部332Aに固定された保持部310Aも幅方向に移動する。
【0027】
高さ方向移動機構340Aは、幅方向移動機構330Aとともに保持部310Aを高さ方向(Z方向)に移動させる。高さ方向移動機構340Aは、幅方向移動機構330Aを移動させるための駆動力源となる高さ方向駆動部342A、及び、移動のガイドとなるZガイド344Aを有する。高さ方向駆動部342Aは、正転及び逆転が可能なモータである。詳細は図示しないが、高さ方向駆動部342Aは、幅方向移動機構330Aの枠体の左端に固定され、右端へ駆動力を伝達する伝動シャフトを有する。左右2本のZガイド344Aは、ラック・アンド・ピニオンを含み、その長手方向が高さ方向に沿うようにして配置される。左右2本のZガイド344Aは、上端で連結され、アーチ型に構成される。高さ方向駆動部342Aへの通電により、幅方向移動機構330Aが高さ方向に沿って移動する。
【0028】
奥行き方向移動機構350Aは、保持装置300A全体(高さ方向移動機構340A、幅方向移動機構330A及び保持部310A)を奥行き方向(Y方向)に移動させる。奥行き方向移動機構350Aは、高さ方向移動機構340Aを移動させるための動力源となる奥行き方向駆動部352A、及び、移動のガイドとなる複数のYガイド354を有する。詳細は図示しないが、奥行き方向駆動部352Aは、正転及び逆転が可能なモータであり、ピニオンギアを有する。奥行き方向駆動部352Aは、高さ方向移動機構340Aの枠体上部の連結部左端に固定され、右端へ駆動力を伝達する伝動シャフトを有する。Yガイド354は、奥行き方向駆動部352Aの動力が伝達されるラックギア及びレールであり、その長手方向が奥行き方向に沿うようにして、左右のZガイド344Aそれぞれの上下端に配置される。
【0029】
Yガイド354への駆動力の伝達について、上部のYガイド354には、上述したように、奥行き方向駆動部352Aの動力が伝動シャフトで伝達される。そして、下部のYガイド354には、高さ方向移動機構340Aの枠体内に設けられるギアベルトを介して上部に設けられる伝動シャフトから駆動力が伝達される。奥行き方向駆動部352Aへの通電により、アーチ型の高さ方向移動機構340Aが奥行き方向に沿って平行に移動し、幅方向移動機構330A及び保持部310Aも同じく移動する。
【0030】
なお、本実施の形態において、2基の保持装置300A,300Bは、奥行き方向(Y方向)に移動するために上下左右4本のYガイド354を共用する。このため、常に保持装置300Aは保持装置300Bより後側に位置する。また、保持装置300Bにおいて、2つの保持部310B,311Bは幅方向(X方向)に移動するためにXガイド334Bを共用する。このため、常に保持部310Bは保持部311Bより左側に位置する。
【0031】
本実施の形態では、移動機構としてラック&ピニオン式で、駆動部のモータも移動する構成としたが、これに限られない。例えば、ボールねじを利用したり、ワイヤによる懸架を利用したりして、モータは移動しない構成などでもよい。
【0032】
作業板装置400は、認識処理や折り畳み処理の際に処理対象物Tを載置する作業板410を回転及び移動させる装置である。作業板装置400は、移動機構320と同様の移動機構を備える。作業板410は、
図2に示されるように、作業平面の角部を面取りされた略矩形の板材である。作業板410は、角部の角がないように形成されることにより、布類などの処理対象物Tが引っ掛かる不具合が抑制される。作業板410は、作業板410の長手方向、つまり、長辺の2つの縁部がそれぞれ回転軸と平行になるように回転軸に固定される。
【0033】
撮像装置500は、処理対象物Tを受け入れた後の掴み処理、認識処理及び折り畳み処理する際に、当該処理対象物Tの端点等を検出する装置である。
図2及び
図3に示されるように、撮像装置500は、第1撮像部510と、第2撮像部520と、第3撮像部530と、を含む。第1撮像部510及び第2撮像部520は、例えばデジタルスチルカメラが使用され、端点検出や、処理対象物Tの種類の判別などに使用される。第3撮像部530は、例えばステレオカメラが使用され、端点検出のための奥行き方向の距離や処理対象物Tの幅を測定するために使用される。いずれの撮像部も正面内壁側のフレームに設けられ、レンズの向きは後方向Y2である。
【0034】
支持部600は、処理対象物Tの折り畳みの際に、折り畳みラインを押さえておいたり、処理対象物Tの皺を伸ばしたりなど、処理対象物Tを支持する壁面である。例えば、支持部600は、作業板410の前方に設けられる正面側支持部610及び後方に設けられる背面側支持部620のうち少なくともいずれか一方を含む。
【0035】
収納装置700は、処理された処理対象物Tを保持装置300から受け取って収納する。収納装置700は、
図1及び
図2に示されるように、複数の収納部710を備える。収納装置700は、処理対象物Tを受け取り各収納部710に格納する運搬部を含んでもよい。収納装置700は、受入部200及び保持装置300などが収納される処理空間の横に隣接して配設されており、処理空間と収納装置700とを合わせて、衣類処理装置1が構成される。
【0036】
制御装置900は、衣類処理装置1における各部の制御を統括する。制御装置900は、主として、ROM、RAM、演算装置、及び入出力インターフェイスから構成される。ROMには、オペレーティングシステム、衣類処理装置1の各部を制御するための制御プログラム、及び、制御プログラムの実行に必要なデータが格納されている。また、演算装置は、ROMに格納されている制御プログラムをRAMにロードしたり、ROMから直接実行したりするために設けられる。つまり、制御装置900は、演算装置が制御プログラムを実行することにより、衣類処理装置1を制御できる。そして、演算装置が処理したデータは、入出力インターフェイスを介して、衣類処理装置1の各部(保持装置300、作業板装置400等)へ送信される。演算装置の処理に必要なデータは、衣類処理装置1の各部(撮像装置500等)から入出力インターフェイスを介して受信される。
【0037】
[1-1-2.処理できない処理対象物の退避の詳細]
衣類処理装置1により処理できない処理対象物Tを処理前に判定して退避させる技術について説明する。
【0038】
図4は、実施の形態1に係る制御装置900の機能構成を示す。本図では、処理できない処理対象物Tを受入部200の退避領域に戻す機能に関する構成を示している。制御装置900は、保持装置制御部901、保持装置位置取得部905、作業板装置制御部902、作業板位置取得部906、把持制御部80、判定部81、退避制御部82を備える。衣類処理装置1は、[1-1-1]で説明した構成に加えて、第4撮像部540を備える。
【0039】
第4撮像部540は、受入部200の上方から受入部200の画像を撮像する。第4撮像部540は、受入部200の内部の全領域が撮像できるように、位置や画角を調整される。
【0040】
保持装置位置取得部905は、複数の保持部310のそれぞれの位置を取得する。保持装置位置取得部905は、保持部310を移動させるための移動機構320A、320Bに備えられた位置センサなどにより検知された保持部310の位置を取得してもよいし、撮像装置500により撮像された保持部310の画像を解析することにより保持部310の位置を取得してもよい。
【0041】
保持装置制御部901は、処理対象物Tの折り畳みなどの処理を制御する制御装置900からの指示にしたがって、複数の保持部310のそれぞれの動作を制御する。保持装置制御部901は、処理対象物Tの折り畳みなどの処理を制御する制御装置900からの指示にしたがって、保持部310の動作を制御する。保持装置制御部901は、保持部310の位置、保持部310の先端に設けられたHand部の姿勢、Hand部のフィンガの開閉などを制御する。保持装置制御部901は、保持部310を移動させる場合、保持装置位置取得部905により取得された複数の保持部310のそれぞれの位置に基づいて、保持部310の移動を制御する。
【0042】
作業板位置取得部906は、作業板410の位置を取得する。作業板位置取得部906は、作業板410を移動させるための移動機構に備えられた位置センサなどにより検知された作業板410の位置を取得してもよいし、撮像装置500により撮像された作業板410の画像を解析することにより作業板410の位置を取得してもよい。
【0043】
作業板装置制御部902は、制御装置900からの指示にしたがって、作業板410の動作を制御する。作業板装置制御部902は、作業板410の移動や回転を制御する。作業板装置制御部902は、作業板410を移動させる場合、作業板位置取得部906により取得された作業板410の位置に基づいて、作業板410の移動を制御する。
【0044】
把持制御部80は、未処理の処理対象物を収容するための収容部として機能する受入部200に収容された処理対象物Tを保持部310のHand部により掴み上げる動作を制御する。判定部81は、保持部310により掴み上げられた処理対象物Tが処理可能か否かを判定する。退避制御部82は、判定部81により処理可能でないと判定された処理対象物Tを受入部200の退避領域に退避させる。退避領域は、例えば、受入部200の出し入れ方向奥側の領域であってもよい。
【0045】
把持制御部80は、判定部81により処理可能でないと判定された処理対象物Tを受入部200の退避領域に退避させる前後に第4撮像部540により撮像された受入部200の撮像画像に基づいて、処理可能でないと判定された処理対象物ではない処理対象物を保持部310により掴み上げる。把持制御部80は、処理可能でない処理対象物Tを退避領域に退避させる前の撮像画像と、処理可能でない処理対象物Tを退避領域に退避させた後の撮像画像を比較することにより、処理可能でない処理対象物Tと未処理の処理対象物Tとを区別して認識し、未処理の処理対象物Tを保持部310により掴み上げてもよい。把持制御部80は、退避領域からより遠い位置にある未処理の処理対象物Tを優先的に保持部310により掴み上げてもよい。これにより、退避させた処理対象物Tを誤って保持部310により掴み上げてしまうのを防ぐことができる。
【0046】
判定部81は、処理対象物Tの向き又は種別を判別するための判別器を使用して、保持部310により掴み上げられた処理対象物Tの向き又は種別を判別し、判別結果に基づいて処理可否を判定してもよい。判別器は、処理対象物Tの撮像画像と処理対象物Tの向き又は種別を示す情報とを教師データとして機械学習された学習済みの判別アルゴリズムであってもよい。判定部81は、撮像装置500により撮像された処理対象物Tの撮像画像を判別器に入力することにより、処理対象物Tの向き又は種別を判別してもよい。判定部81は、判別器により向き又は種別を判別することができなかった処理対象物Tを処理できないと判定してもよい。これにより、向きや種別を認識することができない処理対象物Tを誤った処理方法で処理することにより処理対象物Tや衣類処理装置1の構成要素などを傷めてしまうのを防ぐことができる。
【0047】
判定部81は、保持部310により掴み上げられた処理対象物Tの長さ又は幅を測定し、測定結果に基づいて処理可否を判定してもよい。判定部81は、長さ又は幅が上限値以上又は下限値未満である処理対象物Tを処理できないと判定してもよい。長さの上限値は、衣類処理装置1において処理対象物Tを処理するための空間の高さであってもよいし、保持部310を最も高い位置に移動させたときの保持部310の高さであってもよい。幅の上限値は、衣類処理装置1において処理対象物Tを処理するための空間の幅であってもよいし、2つの保持部310の間を最も離したときの2つの保持部310の間の距離であってもよい。長さ及び幅の下限値は、2つの保持部310の間を最も近づけたときの2つの保持部310の間の距離であってもよい。
【0048】
判定部81は、対象物の三次元形状を取得可能なセンサにより取得された処理対象物Tの三次元形状から処理対象物Tの長さ又は幅を測定してもよい。判定部81は、ステレオカメラである第3撮像部530により撮像された処理対象物Tの撮像画像において、処理対象物Tの撮像範囲を抽出することにより、処理対象物Tの長さ又は幅を測定してもよい。
【0049】
判定部81は、複数の保持部310により処理対象物Tの両端付近をそれぞれ把持して処理対象物Tを展開したときの撮像画像において、処理対象物Tの中央付近が撓んでいることを検出した場合に、その処理対象物Tを処理可能でないと判定してもよい。判定部81は、
図5Aに示すように、2つの保持部311A、311Bにより処理対象物Tの両端付近をそれぞれ把持して処理対象物Tを展開したときに、処理対象物Tの中央付近が撓んでいない場合は、処理対象物Tを処置可能であると判定してもよい。判定部81は、
図5Bに示すように、2つの保持部311A、311Bにより処理対象物Tの両端付近をそれぞれ把持して処理対象物Tを展開したときに、処理対象物Tの中央付近が撓んでいる場合は、処理対象物Tを処置可能でないと判定してもよい。
【0050】
判定部81は、処理対象物Tの一部を保持部310以外の構成要素、例えば作業板410に載置し、処理対象物Tをたくし上げることにより、処理対象物Tの長さを測定してもよい。これにより、撮像部の画角からはみ出すような長い処理対象物Tであっても長さを測定することができる。
【0051】
図6は、実施の形態1に係る受入部200の別の例を示す。
図6に示した受入部200は、受入部200において退避領域201を区画するための隔壁202を備える。これにより、退避された処理できない処理対象物Tを誤って再度掴み上げないようにすることができるので、無駄な作業を避けることができる。また、処理を簡素化することができる。
【0052】
図6に示すように、退避制御部82は、作業板410を使用して処理対象物Tを退避領域201に退避させてもよい。これにより、処理できない処理対象物Tをより確実に退避領域201に退避させることができる。
【0053】
図7Aに示すように、作業板410の上面の延長上に隔壁202が存在する場合は、
図7Bに示すように、作業板410から滑り落ちた処理対象物Tが隔壁202に引っ掛かりやすくなる。したがって、退避制御部82は、
図6に示すように、作業板410の上面の延長上に隔壁202が存在しないような位置関係となるように作業板410を移動させてから処理対象物Tを落下させる。これにより、処理できない処理対象物Tをより確実に退避領域201に退避させることができる。
【0054】
退避制御部82は、
図8に示すように、処理対象物Tを載置した作業板410を受入部200の退避領域201の上方に移動させた後に、作業板410の上面がほぼ鉛直になるように作業板410を回転させてもよい。これにより、処理できない処理対象物Tをより確実に退避領域201に退避させることができる。
【0055】
退避制御部82は、複数の保持部310により処理対象物Tを把持している場合、複数の保持部310の位置関係に基づいて、保持部310による処理対象物Tの把持を解放させる順序又はタイミングを制御してもよい。これにより、より確実に処理対象物Tを退避領域に退避させることができる。
【0056】
図9は、処理空間を上から見た模式図である。保持部310Aと保持部310Bが処理対象物Tを把持している。保持装置制御部901は、処理対象物Tを保持している保持部310Aと保持部310Bのうち、上面視で受入部200の退避領域201の中央からより遠い位置にある保持部310Bによる処理対象物Tの保持を、上面視で受入部200の退避領域201の中央からより近い位置にある保持部310Aよりも優先して解放させる。本図の場合では、先に保持部310Bに処理対象物Tを解放させ、次に保持部310Aに処理対象物Tを解放させる。これにより、処理対象物Tが他の構成などに引っ掛かったり絡んだりするのを防ぐことができる。また、処理対象物Tを受入部200の退避領域201の中央寄りに落下させることができるので、処理対象物Tが受入部200の外部に落下してしまったり、処理対象物Tの一部が受入部200からはみ出してしまったりするのを防ぐことができる。また、処理をやり直す際に処理対象物Tを把持しやすくすることができる。
【0057】
上面視で退避領域201の中央から近い位置にある保持部310に最後まで処理対象物Tを保持させればよいので、それ以外の保持部310が処理対象物Tを解放する順序は任意でよい。また、処理対象物Tを保持している複数の保持部310のうち、上面視で退避領域201の中央から最も近い保持部310と、2番目以降に近い保持部310が、上面視で退避領域201の中央から同程度の距離にある場合、それらの保持部310が処理対象物Tを解放する順序も任意でよい。この場合、最後まで処理対象物Tを保持させる保持部310が、上面視で退避領域201の中央から最も近い保持部310でなくてもよい。
【0058】
図10は、処理空間を上から見た模式図である。
図9に示した状態から、保持部310Bが上面視で退避領域201の中央付近に移動されている。このように、保持装置制御部901は、処理対象物Tを保持している複数の保持部310を近づけてから、それらの保持部310による処理対象物Tの保持を解放させてもよい。具体的には、保持装置制御部901は、保持部310Bによる処理対象物Tの保持を解放させるときに、処理対象物Tの保持を解放させる保持部310Bを、処理対象物Tを保持している保持部310Aの方に移動させてもよい。また、これとは逆に、処理対象物Tを保持している保持部310Aを、処理対象物Tの保持を解放させる保持部310Bの方に移動させてもよい。これにより、先に保持部310Bが処理対象物Tを離したときに処理対象物Tが保持部310Aを支点としてスイングするのを抑えることができるので、処理対象物Tが他の構成などに引っ掛かったり絡んだりするのを防ぐことができる。さらに、処理対象物Tが水平方向にスイングするのを抑えることができるので、処理対象物Tの落下位置を安定させることができる。
【0059】
図11は、処理空間を横から見た模式図である。保持部310Bによる処理対象物Tの保持を解放させる際に、保持装置制御部901は、処理対象物Tを保持している保持部310Bを下降させてから、保持部310Bによる処理対象物Tの保持を解放させる。これにより、高い位置で処理対象物Tを離したときよりも、処理対象物Tがスイングするのを抑えることができるので、処理対象物Tが他の構成などに引っ掛かったり絡んだりするのを防ぐことができる。
【0060】
図12は、処理空間を横から見た模式図である。保持装置制御部901は、複数の保持部310A及び310Bが処理対象物Tを保持しているときに、保持部310Bによる処理対象物Tの保持を解放させた後、処理対象物Tがスイングしているときに保持部310Aによる処理対象物Tの保持を解放させる。これにより、保持部310を移動させなくても、保持部310が処理対象物Tを解放するタイミングを制御することにより、処理対象物Tを落下させる位置を制御することができる。また、処理対象物Tがスイングするのを抑えることができるので、処理対象物Tが他の構成などに引っ掛かったり絡んだりするのを防ぐことができる。
【0061】
退避制御部82が作業板410を受入部200の退避領域201の上方に移動させている間に、処理対象物Tが作業板410から落下してしまわないようにするために、作業板装置制御部902は、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板410を傾けてもよい。これにより、作業板410を移動させている間に処理対象物Tが落下して他の構成などに引っ掛かってしまうのを防ぐことができる。また、より確実に処理対象物Tを退避領域に退避させることができる。
【0062】
図13は、作業板410を移動させる様子を示す。作業板装置制御部902は、作業板410を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板410を傾ける。作業板410の後方には、作業板410を移動又は回転させるための駆動部や、壁などの他の構成があるので、処理対象物Tが作業板410の後方に落下すると、これらの構成に引っ掛かる可能性が高いが、作業板410を傾けておくことにより、作業板410の後方に処理対象物Tが滑り落ちるのを防ぐことができる。作業板410を傾ける角度は、処理対象物Tの種類、載置状態、重量、処理対象物Tと作業板410の表面の間の静止摩擦係数、動摩擦係数、作業板410の移動速度、加速度などに応じて調整されてもよい。
【0063】
作業板装置制御部902は、作業板410を移動若しくは回転させる前、又は作業板410の移動若しくは回転を停止させる前に、移動又は回転の速度を漸増又は漸減させる。これにより、急加速又は急減速によって処理対象物Tが作業板410から滑り落ちるのを防ぐことができる。作業板410の移動又は回転の速度は、処理対象物Tの種類、載置状態、重量、処理対象物Tと作業板410の表面の間の静止摩擦係数、動摩擦係数などに応じて調整されてもよい。
【0064】
作業板装置制御部902は、作業板410を上方に移動させながら並進移動させてもよい。これにより、更に処理対象物Tを落下しにくくすることができる。
【0065】
作業板装置制御部902は、作業板410を退避領域201の中央付近の上方に移動させると、作業板410を回転させて処理対象物Tを振り落とす。作業板装置制御部902は、退避領域201の中央付近の上方において、作業板410の移動又は回転の速度を急減させてもよい。これにより、処理対象物Tを退避領域201に向けて落下させやすくすることができる。
【0066】
実施の形態1では、作業板410に処理対象物Tが載置されているか否かを検知するためのセンサや、作業板410に載置されている処理対象物Tの状態を検知するためのセンサなどが設けられていないので、何らかの異常が発生したときに、作業板装置制御部902は、作業板410に処理対象物Tが載置されているのか否かや、載置されている処理対象物Tの状態を知ることができない。したがって、作業板装置制御部902は、作業板410に処理対象物Tが載置されているか否かにかかわらず、処理対象物Tを受入部200の退避領域201に落下させるための上記の動作を制御してもよい。撮像装置500により撮像された作業板410の画像の解析や、作業板410に設けられたセンサなどにより、作業板410に処理対象物Tが載置されているか否かを知ることができる場合は、作業板装置制御部902は、作業板410に処理対象物Tが載置されているときにのみ、処理対象物Tを退避領域201に落下させるための上記の動作を制御してもよい。
【0067】
退避制御部82は、保持部310による把持を解放させた後に、作業板410に載置されている処理対象物Tを落下させるための制御を実行してもよい。これにより、より確実に処理対象物Tを退避領域に退避させることができる。
【0068】
[1-2.動作]
以上のように構成された衣類処理装置1について、以下その動作、作用を説明する。
【0069】
図14は、実施の形態1に係る衣類処理方法の手順を示すフローチャートである。把持制御部80は、受入部200に収容された未処理の処理対象物Tを保持部310のHand部により把持して掴み上げる(S10)。判定部81は、保持部310により掴み上げられた処理対象物Tが処理可能か否かを判定する(S12)。処理対象物Tが処理可能でないと判定された場合は(S14のN)、退避制御部82は、処理対象物Tを受入部200の退避領域201に退避させる(S16)。処理対象物Tが処理可能であると判定された場合は(S14のY)、制御装置900は、保持部310や作業板410を制御して、処理対象物Tの展開や折り畳みなどの処理を進める(S18)。
【0070】
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態において、衣類処理装置1は、処理対象物Tを把持するための保持部310と、未処理の処理対象物Tを収容するための受入部200に収容された処理対象物Tを保持部310により掴み上げる把持制御部80と、保持部310により掴み上げられた処理対象物Tが処理可能か否かを判定する判定部81と、判定部81により処理可能でないと判定された処理対象物Tを受入部200の退避領域に退避させる退避制御部82と、を備える。これにより、処理できない処理対象物Tを処理前に判定して退避させることができるので、無駄な作業を避けることができる。また、処理対象物Tや衣類処理装置1の構成を傷めないようにすることができる。
【0071】
また、本実施の形態において、把持制御部80は、判定部81により処理可能でないと判定された処理対象物Tを受入部200の退避領域に退避させる前後に撮像された受入部200の撮像画像に基づいて、処理可能でないと判定された処理対象物Tではない処理対象物Tを保持部310により掴み上げる。これにより、退避された処理できない処理対象物Tを誤って再度掴み上げないようにすることができるので、無駄な作業を避けることができる。
【0072】
また、本実施の形態において、受入部200は、受入部200において退避領域を区画するための隔壁を備える。これにより、退避された処理できない処理対象物Tを誤って再度掴み上げないようにすることができるので、無駄な作業を避けることができる。また、処理を簡素化することができる。
【0073】
また、本実施の形態において、衣類処理装置1は、処理対象物Tを載置可能な作業板410を備え、退避制御部82は、作業板410を使用して処理対象物Tを退避領域に退避させる。これにより、処理できない処理対象物をより確実に退避領域に退避させることができる。
【0074】
また、本実施の形態において、判定部81は、処理対象物Tの向き又は種別を判別するための判別器を使用して、保持部310により掴み上げられた処理対象物Tの向き又は種別を判別し、判別結果に基づいて処理可否を判定する。これにより、処理できない処理対象物Tを処理前に判定して退避させることができるので、無駄な作業を避けることができる。また、判定精度を向上させることができる。
【0075】
また、本実施の形態において、判定部81は、保持部310により掴み上げられた処理対象物Tの長さ又は幅を測定し、測定結果に基づいて処理可否を判定する。これにより、処理できない処理対象物Tを処理前に判定して退避させることができるので、無駄な作業を避けることができる。また、判定精度を向上させることができる。
【0076】
また、本実施の形態において、判定部81は、対象物の三次元形状を取得可能なセンサにより取得された処理対象物Tの三次元形状から処理対象物Tの長さ又は幅を測定する。これにより、処理できない処理対象物Tを処理前に判定して退避させることができるので、無駄な作業を避けることができる。また、背景に依存することなく処理対象物Tの長さ又は幅を測定することができるので、判定精度を向上させることができる。
【0077】
また、本実施の形態において、判定部81は、測定された処理対象物Tの幅が、処理対象物Tを処理するための空間の幅よりも大きい場合に、その処理対象物Tを処理可能でないと判定する。これにより、処理できない処理対象物Tを処理前に判定して退避させることができるので、無駄な作業を避けることができる。また、判定精度を向上させることができる。
【0078】
また、本実施の形態において、判定部81は、複数の保持部310により処理対象物Tの両端付近をそれぞれ把持して処理対象物Tを展開したときの撮像画像において、処理対象物Tの中央付近が撓んでいることを検出した場合に、その処理対象物Tを処理可能でないと判定する。これにより、処理できない処理対象物Tを処理前に判定して退避させることができるので、無駄な作業を避けることができる。
【0079】
また、本実施の形態において、判定部81は、処理対象物Tの一部を保持部310以外の構成要素に載置し、処理対象物Tをたくし上げることにより、処理対象物Tの長さを測定する。これにより、撮像部の画角からはみ出すような長い処理対象物Tであっても長さを測定することができる。
【0080】
また、本実施の形態において、退避制御部82は、複数の保持部310により処理対象物Tを把持している場合、複数の保持部310の位置関係に基づいて、保持部310による処理対象物Tの把持を解放させる順序又はタイミングを制御する。これにより、より確実に処理対象物Tを退避領域に退避させることができる。
【0081】
また、本実施の形態において、退避制御部82は、複数の保持部310のうち、上面視で退避領域の中央からより遠い位置にある保持部310による処理対象物Tの把持を、上面視で退避領域の中央からより近い位置にある保持部310よりも優先して解放させる。これにより、より確実に処理対象物Tを退避領域に退避させることができる。
【0082】
また、本実施の形態において、退避制御部82は、作業板を水平方向に移動させるときに、移動方向前方が移動方向後方よりも低くなるように作業板を傾ける。これにより、より確実に処理対象物Tを退避領域に退避させることができる。
【0083】
また、本実施の形態において、退避制御部82は、保持部310による把持を解放させた後に、作業板に載置されている処理対象物Tを落下させるための制御を実行する。これにより、より確実に処理対象物Tを退避領域に退避させることができる。
【0084】
また、本実施の形態において、衣類処理プログラムは、コンピュータを、未処理の処理対象物Tを収容するための受入部200に収容された処理対象物Tを、処理対象物Tを把持するための保持部310により掴み上げる把持制御部80と、保持部310により掴み上げられた処理対象物Tが処理可能か否かを判定する判定部81と、判定部81により処理可能でないと判定された処理対象物Tを受入部200の退避領域に退避させる退避制御部82と、として機能させる。これにより、処理できない処理対象物Tを処理前に判定して退避させることができるので、無駄な作業を避けることができる。また、処理対象物Tや衣類処理装置1の構成を傷めないようにすることができる。
【0085】
また、本実施の形態において、衣類処理方法は、未処理の処理対象物Tを収容するための受入部200に収容された処理対象物Tを、処理対象物Tを把持するための保持部310により掴み上げる把持制御部80と、保持部310により掴み上げられた処理対象物Tが処理可能か否かを判定する判定部81と、判定部81により処理可能でないと判定された処理対象物Tを受入部200の退避領域に退避させる退避制御部82と、を備える。これにより、処理できない処理対象物Tを処理前に判定して退避させることができるので、無駄な作業を避けることができる。また、処理対象物Tや衣類処理装置1の構成を傷めないようにすることができる。
【0086】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0087】
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本開示は、衣類などの処理対象物を処理する衣類処理装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0089】
1 衣類処理装置
T 処理対象物
80 把持制御部
81 判定部
82 退避制御部
100 筐体
110 フレーム
120 外郭
200 受入部
210 ガイドレール
201 退避領域
202 隔壁
300、300A、300B 保持装置
310、310A、310B、311B 保持部
320、320A、320B 移動機構
330、330A、330B 幅方向移動機構
332A、332B 幅方向駆動部
334A、334B Xガイド
340A、340B 高さ方向移動機構
342A、342B 高さ方向駆動部
344A、344B Zガイド
350A、350B 奥行き方向移動機構
352A、352B 奥行き方向駆動部
354A、354B Yガイド
400 作業板装置
410 作業板
500 撮像装置
510 第1撮像部
520 第2撮像部
530 第3撮像部
540 第4撮像部
600 支持部
610 正面側支持部
620 背面側支持部
700 収納装置
710 収納部
900 制御装置
901 保持装置制御部
902 作業板装置制御部
905 保持装置位置取得部
906 作業板位置取得部
X1 左方向
X2 右方向
Y1 前方向
Y2 後方向
Z1 上方向
Z2 下方向