IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機株式会社の特許一覧 ▶ 三菱電機照明株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-照明装置 図1
  • 特開-照明装置 図2
  • 特開-照明装置 図3
  • 特開-照明装置 図4
  • 特開-照明装置 図5
  • 特開-照明装置 図6
  • 特開-照明装置 図7
  • 特開-照明装置 図8
  • 特開-照明装置 図9
  • 特開-照明装置 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007584
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230112BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20230112BHJP
   F21V 3/00 20150101ALI20230112BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230112BHJP
   F21Y 115/30 20160101ALN20230112BHJP
   F21Y 115/15 20160101ALN20230112BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20230112BHJP
【FI】
F21S2/00 230
F21V17/00 154
F21V3/00 310
F21Y115:10
F21Y115:30
F21Y115:15
F21Y103:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110524
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 豪
【テーマコード(参考)】
3K011
【Fターム(参考)】
3K011EM00
3K011GA02
(57)【要約】
【課題】異なる材質で形成されたカバーと器具が、光源部で発生した熱で熱膨張して変形しても、スティックスリップ現象による軋み音を抑制することができる照明装置を提供する。
【解決手段】照明装置は、光源ユニットと、被取付部に取り付けられ、光源ユニットが装着される器具と、を備えている。光源ユニットは、光源部と、光源部を覆うカバーと、を有している。カバーは、器具に接触するカバー平面部を有している。器具は、被取付部に取り付けられる底面部と、底面部からカバー平面部に向かって延伸させた一対の側部と、各側部の先端部から互いに離れる方向に突出し、被取付部に向かって傾斜させて形成された一対の傾斜部と、を有している。側部の延伸させた先端部と、該先端部と交わる傾斜部の一端部とで凸部が形成されており、凸部がカバー平面部に接触している。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源ユニットと、
被取付部に取り付けられ、前記光源ユニットが装着される器具と、を備え、
前記光源ユニットは、光源部と、前記光源部を覆うカバーと、を有し、
前記カバーは、前記器具に接触するカバー平面部を有しており、
前記器具は、前記被取付部に取り付けられる底面部と、前記底面部から前記カバー平面部に向かって延伸させた一対の側部と、各側部の先端部から互いに離れる方向に突出し、前記被取付部に向かって傾斜させて形成された一対の傾斜部と、を有しており、
前記側部の延伸させた先端部と、該先端部と交わる前記傾斜部の一端部とで凸部が形成されており、前記凸部が前記カバー平面部に接触している、照明装置。
【請求項2】
前記側部は、前記底面部から突き出した第1側部と、前記第1側部の先端部から前記カバー平面部に向かって延伸し、前記第1側部に対して傾斜させた第2側部と、を有し、
前記第2側部の延伸させた先端部と、該先端部と交わる前記傾斜部の一端部とで、前記凸部が形成されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記側部は、前記底面部から突き出した第1側部と、前記第1側部の先端部から前記カバー平面部に向かって円弧状に延伸させた第2側部と、を有し、
前記第2側部の延伸させた先端部と、該先端部と交わる前記傾斜部の一端部とで、前記凸部が形成されている、請求項1に記載の照明装置。
【請求項4】
前記傾斜部は、
前記側部の延伸させた先端部から被取付部に向かって傾斜させた第1傾斜部と、
前記第1傾斜部から被取付部に向かって傾斜させた第2傾斜部と、を有し、
前記側部に対する前記第2傾斜部の傾斜角度は、前記側部に対する前記第1傾斜部の傾斜角度よりも小さい、請求項1~3のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項5】
前記カバーは、前記光源部から発光された光を下方へ向かって照射する透光主部と、前記光源部から発光された光を側方へ向かって照射する透光側部と、を有しており、
前記透光側部は、前記被取付部に向かって傾斜させて形成されており、前記被取付部に向かう傾斜方向の延長線上に、前記第2傾斜部が傾斜して配置されている、請求項4に記載の照明装置。
【請求項6】
前記器具は、前記光源ユニットを保持する保持具を有しており、
前記光源ユニットは、前記保持具に保持された前記器具に装着されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光源ユニットと、該光源ユニットが装着される器具と、を備えた照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、天井又は壁等の被取付部に取り付けられる照明装置が知られている。例えば、特許文献1に開示された照明器具は、光を照射空間に照射させる長尺の光源ユニットと、天井又は壁等の被取付部に固定され、光源ユニットが取り付けられる長尺の本体と、を有している。光源ユニットは、光を発光する光源基板と、光源基板の周囲を覆うカバー部材と、を有している。カバー部材は、例えばアクリル樹脂等の樹脂によって形成されており、円弧状のカバー本体と、カバー本体の幅方向の一端部から他端部側に延在する第1固定部と、カバー本体の幅方向の他端部から一端部側に延在する第2固定部と、を有している。本体は、金属で形成されており、光源ユニットを装着させる凹部と、凹部から離れるにしたがって上方へ傾斜する傾斜部と、を有している。凹部の開口縁辺と傾斜部との間には、光源ユニットを本体に装着させた際に、カバー部の第1固定部と第2固定部にそれぞれ面接触する平坦部分が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-29059号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された照明装置では、本体が金属で形成され、カバーが例えばアクリル樹脂等の樹脂によって形成されている。金属と樹脂では、線膨張係数が異なり、熱膨張による伸縮率が異なる。そのため、照明装置では、光源基板が発生する熱によって本体とカバーが熱膨張して変形すると、本体とカバーとが接触する箇所で摩擦力が生じてカバーが歪む。そして、カバーの歪みが開放される所謂スティックスリップ現象が発生したときに、軋み音が発生する。
【0005】
特に、特許文献1に開示された照明装置では、光源ユニットを本体に装着させた際に、カバー部の第1固定部及び第2固定部と本体の平坦部分とが広く面接触しているため、当該面接触した部分でスティックスリップ現象が発生しやすく、軋み音が発生しやすい。
【0006】
本開示は、上記のような課題を解決するためになされたもので、異なる材質で形成されたカバーと器具が、光源部で発生した熱で熱膨張して変形しても、スティックスリップ現象による軋み音を抑制することができる、照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る照明装置は、光源ユニットと、被取付部に取り付けられ、前記光源ユニットが装着される器具と、を備え、前記光源ユニットは、光源部と、前記光源部を覆うカバーと、を有し、前記カバーは、前記器具に接触するカバー平面部を有しており、前記器具は、前記被取付部に取り付けられる底面部と、前記底面部から前記カバー平面部に向かって延伸させた一対の側部と、各側部の先端部から互いに離れる方向に突出し、前記被取付部に向かって傾斜させて形成された一対の傾斜部と、を有しており、前記側部の延伸させた先端部と、該先端部と交わる前記傾斜部の一端部とで凸部が形成されており、前記凸部が前記カバー平面部に接触しているものである。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、側部の延伸させた先端部と、該先端部と交わる傾斜部の一端部とで凸部が形成されており、該凸部をカバー平面部に接触させることにより、器具とカバーとの接触面積を小さくしている。凸部とカバー平面部との間の静止摩擦係数に対して接触状態の影響を小さくすることで、静止摩擦係数が低下し、凸部とカバー平面部との間の静止摩擦力を低下させることができる。よって、発光素子が発生する熱によって器具本体とカバーが熱膨張して変形しても、カバーが歪みの小さい状態で、最大静止摩擦力を越え、動摩擦力が作用する状態となるため、スティックスリップ現象によるカバーと器具との間の軋み音を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る照明装置の一構成例を示した斜視図である。
図2図1に示した照明装置の分解斜視図である。
図3】実施の形態1に係る照明装置の光源ユニットを示した斜視図である。
図4】実施の形態1に係る照明装置の光源ユニットを示した縦断面図である。
図5】実施の形態1に係る照明装置であって、器具の長手方向の一端側を照射側から示した斜視図である。
図6】実施の形態1に係る照明装置であって、器具の短手方向の左半分を示した縦断面図である。
図7】実施の形態1に係る照明装置の短手方向の左半分を示した縦断面図である。
図8】実施の形態2に係る照明装置の要部を拡大して示した断面図である。
図9】実施の形態3に係る照明装置の要部を拡大して示した断面図である。
図10】実施の形態4に係る照明装置の要部を拡大して示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、実施の形態について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ、及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る照明装置100の一構成例を示した斜視図である。図2は、図1に示した照明装置100の分解斜視図である。図3は、実施の形態1に係る照明装置100の光源ユニット101を示した斜視図である。図4は、実施の形態1に係る照明装置100の光源ユニット101を示した縦断面図である。各図において、説明の便宜上、照明装置100の長手方向をX軸方向とし、照明装置100の短手方向をY軸方向とし、X軸方向およびY軸方向に垂直な方向をZ軸方向とする。Z軸方向では、Z2の矢印方向が重力方向である。
【0012】
(照明装置100)
本実施の形態1に係る照明装置100は、図1及び図2に示すように、長手方向Xに延びる長尺状であり、天井又は壁など被取付部103に取り付けられて、室内空間等の照明空間に光を照射するものである。照明装置100は、照明空間に光を照射する長尺の光源ユニット101と、天井又は壁等の被取付部103に取り付けられて固定され、長尺の光源ユニット101が着脱自在に取り付けられる長尺の器具102と、を備えている。
【0013】
光源ユニット101は、図3及び図4に示すように、光源部1と、フレーム2と、電源部3と、連結具4と、カバー5と、を有している。一方、器具102は、図2に示すように、器具本体6と、端子台7と、保持具8と、を有している。
【0014】
(光源ユニット101)
先ず、光源ユニット101の各構成要素を図1図4に基づいて説明する。光源部1は、図4に示すように、光源ユニット101の長手方向Xに沿って延びる長尺の基板10と、基板10の表面に実装された複数の発光素子11と、を有している。発光素子11は、例えば、発光ダイオード(Light Emitting Diode)素子である。光源部1は、電源部3から電力が供給されて発光素子11を発光させる。なお、発光素子11は、例えば有機EL又はレーザー等でもよい。
【0015】
フレーム2は、板金で形成されている。フレーム2は、図3及び図4に示すように、光源ユニット101の長手方向Xに沿って延びる長尺で平板状の基部20と、基部20の短手方向Yにおける両端縁から上方Z1に向かって屈曲させて形成された一対の側壁部21と、を有している。フレーム2は、図4に示すように、基部20と側壁部21とで、断面形状が凹状とされている。
【0016】
図4に示すように、基部20には、照射側となる下面に、光源部1が設けられている。また、図3及び図4に示すように、基部20の上面には、電源部3と、電線配置具30と、器具102の保持具8に係合する連結具4と、が設けられている。側壁部21は、光源部1を設けた側とは反対側に略90度の角度で屈曲させて形成されている。側壁部21の先端部は、フレーム2の内側に向かって折り返して形成された略C字状のカール部22とされている。
【0017】
電源部3は、端子台7から供給された電力を発光素子11に供給する電源としての機能と、点灯電力の制御を行う機能と、を有している。電源部3は、長尺状の電源ケースの内部に、発光素子11に供給するための電力を生成する電源回路を有する電源基板が収容された構成である。電源回路は、電源基板に実装された電子部品等で構成される。
【0018】
連結具4は、器具102に設けられた保持具8と係合し、光源ユニット101を器具102に取り付けるために設けられている。連結具4は、一例として板状であり、保持具8が挿通される開口40が形成されている。連結具4は、図3に示すように、保持具8に対応する位置であって、基部20の長手方向Xにおける両端にそれぞれ設けられている。なお、連結具4は、照明装置100の形状及び大きさに応じて、位置及び個数を適宜変更して設けるものとする。また、連結具は、図示した構成に限定されず、保持具8を保持することができれば、他の形態でもよい。また、図示は省略したが、器具102に連結具4を設け、光源ユニット101に保持具8を設けてもよい。
【0019】
カバー5は、透光性を有する材料を用いて形成され、光源部1の発光素子11の周囲を覆う部材である。発光素子11から発光された光は、カバー5を介して室内空間等の照明空間に照射される。透光性の材料とは、例えば、ポリカーボネイト、アクリル若しくはポリプロピレン等の合成樹脂等である。カバー5は、使用される材料に応じて、射出成形、押出し成形、三次元積層造形等により形成される。
【0020】
カバー5は、図1図4に示すように、透光性の出射面及び出射面と対向する開口面を有する長尺の箱形に形成されている。具体的には、カバー5は、出射面となる長尺で湾曲面状のカバー本体部50と、カバー本体部50の長手方向Xの両端面を塞ぐカバー端部51と、を有している。カバー端部51は、例えば接着等によってカバー本体部50に取り付けられている。
【0021】
カバー本体部50は、光源部1から発光された光を透過させる凹状の透光部500と、透光部500の両端縁から開口の内方側へ向かって形成された一対のカバー平面部501と、各カバー平面部501の先端部に設けられた取付部502と、を有している。
【0022】
透光部500は、図4に示すように、光源部1と対向し、光源部1から発光された光を下方Z2へ向かって照射する湾曲面状の透光主部500aと、透光主部500aの短手方向Yの両端縁から被取付部103に向かって立ち上がり、光源部1から発光された光を側方(Y方向)へ向かって照射する透光側部500bと、を有している。図示した例の場合、透光部500は、縦断面形状が略U字状とされているが、例えばV字状、W字状、矩形状等でもよく、その他の形状でもよい。
【0023】
カバー平面部501は、透光側部500bの端部からカバー本体部50の開口の内方側へ向かって屈曲して形成されている。各カバー平面部501の先端部には、それぞれ取付部502が設けられている。
【0024】
取付部502は、カバー5の長手方向Xに沿って形成されており、フレーム2にカバー5を取り付けるために設けられている。取付部502は、図4に示すように、フレーム2を支持する支持部502aと、フレーム2に保持させる保持部502bと、で略L字状に形成されている。
【0025】
支持部502aは、カバー本体部50の開口の一部を塞ぐようにカバー本体部50の短手方向Yに延伸させて形成されている。支持部502aの上面には、フレーム2の基部20が載置される。支持部502aは、カバー5の長手方向Xに沿って並行して形成されている。並行する2つの支持部502a及び502aの間には、光源部1の発光素子11が透光主部500aに対向させて配置されている。発光素子11から発光された光は、透光部500を介して室内空間等の照明空間に照射される。
【0026】
保持部502bは、フレーム2の側壁部21に沿って形成されており、高さ方向の中間部分においてカバー平面部501の端縁が接続されている。保持部502bの上端には、該上端をフレーム2の内側に向かって湾曲させて形成したフック部502cが設けられている。フック部502cは、フレーム2のカール部22に掛け止めるために設けられている。
【0027】
カバー5は、左右の取付部502の間にフレーム2が配置され、支持部502aの上面にフレーム2の基部20を載置させ、各フック部502cをカール部22に掛け止めることによって、フレーム2に取り付けることができる。なお、カバー5をフレーム2に取り付けるには、取付部502を弾性変形させながらフレーム2に取り付けてもよいし、カバー5を長手方向Xに沿ってスライドさせながら、フレーム2に取り付けてもよい。
【0028】
カバー5は、フック部502cがカール部22に掛け止められることによって、重力方向Z2の移動が規制される。また、カバー5は、保持部502bがフレーム2の側壁部21に突き当たることによって、短手方向Yの移動が規制される。また、光源ユニット101は、カバー5をフレーム2に取り付けられることによって剛性を高めることができる。
【0029】
(器具102)
次に、器具102の各構成要素を図1図2を参照しつつ、図5図7に基づいて説明する。図5は、実施の形態1に係る照明装置100であって、器具102の長手方向の一端側を照射側から示した斜視図である。図6は、実施の形態1に係る照明装置100であって、器具102の短手方向の左半分を示した縦断面図である。図7は、実施の形態1に係る照明装置100の短手方向の左半分を示した縦断面図である。
【0030】
図示した器具102は、所謂V字タイプの直付型器具である。上記したように、器具102は、器具本体6と、端子台7と、保持具8と、を有している。器具本体6は、図1図2及び図6に示すように、長手方向Xに沿って延びる本体部6aと、本体部6aの両端に取り付けられた端板部6bと、を有している。
【0031】
本体部6aは、板金を折り曲げて形成されている。本体部6aは、図5図7に示すように、被取付部103に取り付けられる底面部60と、底面部60からカバー平面部501に向かって延伸させた一対の側部61、61と、各側部61の先端部から互いに離れる方向に突出し、被取付部103に向かって傾斜させて形成された一対の傾斜部62と、を有している。本体部6aは、図6に示すように、底面部60と側部61とで、短手方向Yの断面形状が凹状となり、該凹内部に光源ユニット101が装着される。
【0032】
底面部60には、器具102を被取付部103に取り付けるための吊りボルト又はネジ等の接続部材を通す複数の取付孔(図示は省略)が形成されている。器具102は、底面部60が被取付部103に吊りボルト又はネジ等の接合部材で接合されることで、被取付部103に取り付けられる。また、底面部60には、外部電線を照明装置100の内部へ通すための通線孔が形成されている。外部電線は、器具102の凹内部で端子台7に接続される。
【0033】
側部61は、図6に示すように、底面部60の短手方向の両端部から、カバー平面部501に向かって延伸させて形成されている。側部61は、図7に示すように、底面部60と側部61とで形成された凹内部に光源ユニット101が装着されると、カバー5の保持部502bとの間に隙間をあけて対向する。隙間は、カバー平面部501によって塞がれている。
【0034】
傾斜部62は、図6に示すように、光源ユニット101から照射される光の一部を反射させて側方に配光するために設けられている。傾斜部62は、側部61の延伸させた先端部から被取付部103に向かって傾斜させて形成された第1傾斜部62aと、第1傾斜部62aから被取付部103に向かって傾斜させて形成された第2傾斜部62bと、を有している。側部61に対する第1傾斜部62aの傾斜角度Aは、90度より小さい。また、側部61に対する第2傾斜部62bの傾斜角度Bも、90度より小さい。側部61に対する第2傾斜部62bの傾斜角度Bは、側部61に対する第1傾斜部62aの傾斜角度Aよりも小さい。
【0035】
また、図6及び図7に示すように、側部61の延伸させた先端部と、該先端部と交わる第1傾斜部62aの一端部とで凸部63が形成されており、該凸部63がカバー平面部501の一部に接触している。具体的には、凸部63は、カバー平面部501の一部に線接触している。凸部63がカバー平面部501の一部に接触することで、器具本体6の凹内部とカバー5との間の隙間を塞ぎ、意匠性を向上させるとともに、該凹内部に虫等が侵入する事態を抑制することができる。なお、凸部63の先端面は、例えば面取り又はフィレット加工を施してもよい。
【0036】
端板部6bは、本体部6aの長手方向Xにおける両端面を塞ぐように、本体部6aの長手方向Xにおける両端部に取り付けられる。なお、端板部6bには、複数の照明装置100を長手方向Xに連結設置する場合に開放して送り電線を通すためのノックアウト6cを設けてもよい。
【0037】
また、図2に示すように、底面部60と一対の側部61、61とで形成された凹内部には、端子台7及び保持具8が設けられている。端子台7は、底面部60に固定されている。端子台7は、建物等に設けられた固定配線(図示は省略)に接続されて、商用電源から電力供給を受けると共に、制御用の通信を中継するために設けられている。端子台7は、一端部にコネクタを有する電線を介して電源部3に接続される。
【0038】
保持具8は、連結具4と係合して、器具102に光源ユニット101を取り付けるために設けられている。保持具8は、例えば、ステンレス等の弾性を有する材質であり、帯状の板材を湾曲させて形成した板バネである。保持具8は、基端部が底面部60に取り付けられている。図示した例の場合、保持具8は、連結具4に対応する位置であって、底面部60の長手方向Xにおける両端にそれぞれ1つずつ設けられている。なお、保持具8は、図示した2つに限定されない。例えば、照明装置100の長手方向Xの長さが短い場合には、長手方向Xにおける一端側に保持具8を設け、長手方向Xにおける他端側にフックなどで固定する構成としてもよい。また、照明装置100の長手方向Xの長さが長い場合には、長手方向Xにおける両端と中央にそれぞれ保持具8を設けてもよい。要するに、保持具8は、照明装置100の形状及び大きさに応じて、位置及び個数を適宜変更して設けるものとする。
【0039】
なお、保持具8は、板形状の弾性部材に限定されず、線バネ等、板バネ以外の弾性部材でもよく、光源ユニット101を保持できるものであればよい。また、保持具8及び連結具4を使用することなく、例えばねじ又はリベット等の固定具を用いて、器具102に光源ユニット101を取り付けてもよい。
【0040】
次に、器具102において、カバー5の位置がずれることによって発生する軋み音の一例として、器具102とカバー5とが熱膨張率の違うことによって発生するスティックスリップ現象による軋み音について説明する。
【0041】
照明装置100では、器具本体6が金属で形成され、カバー5が例えばアクリル樹脂等の樹脂によって形成される。金属と樹脂では、線膨張係数の異なり、熱膨張による伸縮率が異なる。そのため、照明装置100では、発光素子11が発生する熱によって器具本体6とカバー5が熱膨張して変形すると、器具本体6とカバー5とが接触する箇所で摩擦力が生じてカバー5が歪む。カバー5の変形量が、器具本体6よりも変形量が大きくても、その変形量の差によって生じる力が、器具本体6とカバー5との間の静止摩擦力よりも小さければ、器具102とカバー5の相対位置が変わらない。そして、変形量の差によって生じる力が、静止摩擦力より大きくなると、器具本体6とカバー5との間に動摩擦力が作用する状態となる。このとき、カバー5に蓄積された歪みが解放されるため、カバー5が蓄積された歪みの分だけ器具本体6に沿って変形することになり、器具本体6とカバー5とが強くこすられることで、軋み音が発生する。スティックスリップ現象は、二つ以上の物質の間で静止摩擦力が作用している状態と動摩擦力が作用している状態が交互に発生する状態である。
【0042】
そこで、本実施の形態1に係る照明装置100では、側部61の延伸させた先端部と、該先端部と交わる傾斜部62の一端部とで凸部63が形成されており、該凸部63をカバー平面部501に接触させている。本実施の形態1に係る照明装置100では、該凸部63をカバー平面部501に接触させることで、器具本体6とカバー5との接触面積を小さくすることができる。つまり、凸部63とカバー平面部501との間の静止摩擦係数に対する接触状態の影響を小さくすることで、静止摩擦係数が低下し、凸部63とカバー平面部501との間の静止摩擦力を低下させることができる。よって、照明装置100は、発光素子11が発生する熱によって器具本体6とカバー5が熱膨張して変形しても、カバー5が歪みの小さい状態で、最大静止摩擦力を越え、動摩擦力が作用する状態となるため、器具本体6とカバー平面部501との間の軋み音を抑制させることができる。
【0043】
なお、本実施の形態1のように、発光素子11がカバー平面部501よりも下方向Z2側になると、カバー平面部501を透過して器具本体6側に照射される光の量が少なくなり、該部分において器具本体6が暗くなることがある。第1傾斜部62aとカバー平面部501との間の隙間が大きいと、第1傾斜部62aとカバー平面部501とで形成される窪んだ部分が大きくなるので、暗くなった部分が大きく見えてしまい、意匠性を損なうおそれがある。そこで、側部61に対する第1傾斜部62aの傾斜角度Aを大きくすることで、第1傾斜部62aとカバー平面部501との間の隙間を小さくすることができ、第1傾斜部62aとカバー平面部501とで形成される窪んだ部分を小さくできる。よって、暗くなった部分を覆い隠すことができ、意匠性を高めることができる。
【0044】
一方、本実施の形態1の照明装置100では、側部61に対する第2傾斜部62bの傾斜角度Bを、側部61に対する第1傾斜部62aの傾斜角度Aよりも小さくしているので、器具102の短手方向の幅寸を小さくすることができ、器具102を小型化することができる。なお、本実施の形態1に係る照明装置100では、傾斜部62が第1傾斜部62aと第2傾斜部62bとを有する構成を示したが、これに限定されない。傾斜部62は、第2傾斜部62bを有することなく、第1傾斜部62aのみで構成してもよい。また、傾斜部62は、側部61に対する傾斜角度が異なる3つ以上の傾斜部を有してもよい。
【0045】
実施の形態2.
次に、本実施の形態2に係る照明装置100を図8に基づいて説明する。図8は、実施の形態2に係る照明装置100の要部を拡大して示した断面図である。なお、実施の形態1で説明した照明装置100と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0046】
本実施の形態2に係る照明装置100では、器具本体6の構成が、実施の形態1と異なる。器具本体6は、被取付部103に取り付けられる底面部60と、底面部60からカバー平面部501に向かって延伸させた一対の側部61と、各側部61の先端部から互いに離れる方向に突出し、被取付部103に向かって傾斜させて形成された一対の傾斜部62と、を有している。側部61は、底面部60から突き出した第1側部61aと、第1側部61aの先端部からカバー平面部501に向かって延伸し、第1側部61aに対して傾斜させて形成された第2側部61bと、を有している。第1側部61aに対する第2側部61bの傾斜角度Cは、90度よりも大きく、180度よりも小さい。
【0047】
本実施の形態2に係る照明装置100では、第2側部61bの延伸させた先端部と、該先端部と交わる傾斜部62の一端部とで凸部63が形成されており、該凸部63がカバー平面部501に接触している。なお、凸部63の先端面は、折り曲げて形成されて曲面状でもよいし、面取り又はフィレット加工によって滑らかにしてもよい。
【0048】
なお、本実施の形態2に係る照明装置100においても、図6に示すように、傾斜部62は、側部61の延伸させた先端部から被取付部103に向かって傾斜させて形成された第1傾斜部62aと、第1傾斜部62aから被取付部103に向かって傾斜させて形成された第2傾斜部62bと、を有する構成としてもよい。また、傾斜部62は、第2傾斜部62bを有することなく、第1傾斜部62aのみで構成してもよいし、側部61に対する傾斜角度が異なる3つ以上の傾斜部を有してもよい。
【0049】
本実施の形態2に係る照明装置100では、凸部63が傾斜する第2側部61bと傾斜部62とで形成されているので、上下方向Zの力を短手方向Y側に分解させることができ、上下方向Zに発生する力を小さくすることができる。よって、凸部63とカバー平面部501との間の静止摩擦力が低下するので、静止摩擦力が作用する状態から動摩擦力が作用する状態になった場合の軋み音を抑制させることができる。
【0050】
実施の形態3.
次に、本実施の形態3に係る照明装置100を図9に基づいて説明する。図9は、実施の形態3に係る照明装置100の要部を拡大して示した断面図である。なお、実施の形態1で説明した照明装置100と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0051】
本実施の形態3に係る照明装置100では、図9に示したように、器具本体6の構成が、実施の形態1及び2と異なる。器具本体6は、被取付部103に取り付けられる底面部60と、底面部60からカバー平面部501に向かって延伸させた一対の側部61と、各側部61の先端部から互いに離れる方向に突出し、被取付部103に向かって傾斜させて形成された一対の傾斜部62と、を有している。側部61は、底面部60から突き出した第1側部61aと、第1側部61aの先端部からカバー平面部501に向かって円弧状に延伸させた第2側部61bと、を有している。
【0052】
本実施の形態3に係る照明装置100では、第2側部61bの延伸させた先端部と、該先端部と交わる傾斜部62の一端部とで凸部63が形成されており、該凸部63がカバー平面部501に接触している。
【0053】
本実施の形態3に係る照明装置100においても、図9に示したように、傾斜部62は、側部61の延伸させた先端部から被取付部103に向かって傾斜させて形成された第1傾斜部62aと、第1傾斜部62aから被取付部103に向かって傾斜させて形成された第2傾斜部62bと、を有している。また、傾斜部62は、第2傾斜部62bを有することなく、第1傾斜部62aのみで構成してもよいし、側部61に対する傾斜角度が異なる3つ以上の傾斜部を有してもよい。
【0054】
本実施の形態3の照明装置100では、円弧状の第2側部61bと傾斜部62とで、凸部63が形成されているので、凸部63の先端面が滑らかである。よって、カバー5が長手方向Xにおいて位置ずれを起こした場合であっても、凸部63によるカバー5の損傷を抑制することができる。
【0055】
実施の形態4.
次に、本実施の形態4に係る照明装置100を図10に基づいて説明する。図10は、実施の形態4に係る照明装置100の要部を拡大して示した断面図である。なお、実施の形態1~3で説明した照明装置100と同一の構成要素については、同一の符号を付して、その説明を適宜省略する。
【0056】
本実施の形態4に係る照明装置100では、図10に示すように、カバー5の構成が、実施の形態1~3と異なる。カバー5のカバー本体部50は、光源部1から発光された光を透過させる凹状の透光部500と、透光部500の両端縁から開口の内方側へ向かって形成された一対のカバー平面部501と、各カバー平面部501の先端部に設けられた取付部502と、を有している。
【0057】
透光部500は、光源部1と対向し、光源部1から発光された光を下方Z2へ向かって照射する湾曲面状の透光主部500aと、光源部1から発光された光を側方(Y方向)へ向かって照射する透光側部500bと、を有している。透光側部500bは、透光主部500aの短手方向Yの両端縁から被取付部103に向かって傾斜させて形成されている。側部61に対する透光側部500bの傾斜角度Dと、側部61に対する第2傾斜部62bの傾斜角度Bとがほぼ同じである。被取付部103に向かう透光側部500bの傾斜方向の延長線上に、第2傾斜部62bが傾斜して配置されている。よって、本実施の形態4に係る照明装置100では、器具102と光源ユニット101の一体性を高めることができ、意匠的に優れている。
【0058】
以上、実施の形態に基づいて照明装置100を説明したが、照明装置100は上述した実施の形態の構成に限定されるものではない。上記した照明装置100の構成は、一例であって、他の構成要素を含んでもよい。要するに、照明装置100は、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更及び応用のバリエーションの範囲を含むものである。
【符号の説明】
【0059】
1 光源部、2 フレーム、3 電源部、4 連結具、5 カバー、6 器具本体、6a 本体部、6b 端板部、6c ノックアウト、7 端子台、8 保持具、10 基板、11 発光素子、20 基部、21 側壁部、22 カール部、30 電線配置具、40 開口、50 カバー本体部、51 カバー端部、60 底面部、61 側部、61a 第1側部、61b 第2側部、62 傾斜部、62a 第1傾斜部、62b 第2傾斜部、63 凸部、100 照明装置、101 光源ユニット、102 器具、103 被取付部、500 透光部、500a 透光主部、500b 透光側部、501 カバー平面部、502 取付部、502a 支持部、502b 保持部、502c フック部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10