(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075848
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】建築物
(51)【国際特許分類】
E04B 1/18 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
E04B1/18 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189011
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000201478
【氏名又は名称】前田建設工業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521509815
【氏名又は名称】株式会社マウントフジアーキテクツスタジオ一級建築士事務所
(71)【出願人】
【識別番号】519051263
【氏名又は名称】原田 真宏
(71)【出願人】
【識別番号】519051285
【氏名又は名称】蒲池 健
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 章夫
(72)【発明者】
【氏名】原田 麻魚
(72)【発明者】
【氏名】原田 真宏
(72)【発明者】
【氏名】蒲池 健
(57)【要約】
【課題】構成部材の再利用が容易な建築物を提供する。
【解決手段】建築物は、複数の第1パーツ部材、複数の第2パーツ部材、および複数の第3パーツ部材を備える。複数の第1パーツ部材の各々は、第1長さを有する第1水平梁部材を含み、複数の第2パーツ部材の各々は、第1長さよりも小さい第2長さを有する第2水平梁部材を含み、複数の第3パーツ部材の各々は、第2長さよりも小さい第3長さを有する第3水平梁部材と、を含み、第1水平梁部材の先端部は、第2水平梁部材または第3水平梁部材の少なくとも一方の先端部と接続され、第2水平梁部材の先端部は、第1水平梁部材または第3水平梁部材の少なくとも一方の先端部と接続され、第3水平梁部材の先端部は、第1水平梁部材または第2水平梁部材の少なくとも一方の先端部と接続される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1パーツ部材、複数の第2パーツ部材、および複数の第3パーツ部材を備える建築物であって、
前記複数の第1パーツ部材の各々は、
鉛直方向に沿って延在する第1柱部材と、
前記鉛直方向と直交する水平方向に沿って前記第1柱部材から延在する第1水平梁部材であって、第1長さを有する第1水平梁部材と、を含み、
前記複数の第2パーツ部材の各々は、
前記鉛直方向に沿って延在する第2柱部材と、
前記水平方向に沿って前記第2柱部材から延在する第2水平梁部材であって、前記第1長さよりも小さい第2長さを有する第2水平梁部材と、を含み、
前記複数の第3パーツ部材の各々は、
前記鉛直方向に沿って延在する第3柱部材と、
前記水平方向に沿って前記第3柱部材から延在する第3水平梁部材であって、前記第2長さよりも小さい第3長さを有する第3水平梁部材と、を含み、
前記第1水平梁部材の先端部は、前記第2水平梁部材または前記第3水平梁部材の少なくとも一方の先端部と接続され、
前記第2水平梁部材の先端部は、前記第1水平梁部材または前記第3水平梁部材の少なくとも一方の先端部と接続され、
前記第3水平梁部材の先端部は、前記第1水平梁部材または前記第2水平梁部材の少なくとも一方の先端部と接続される
建築物。
【請求項2】
前記複数の第1パーツ部材は、
各々の前記第1柱部材が、少なくとも1つの第1中心点の周囲において互いに連結して配置され、
各々の前記第1水平梁部材が、前記少なくとも1つの第1中心点に対して放射状に配置され、
前記複数の第2パーツ部材は、
各々の前記第2柱部材が、少なくとも1つの第2中心点の周囲において互いに連結して配置され、
各々の前記第2水平梁部材が、前記少なくとも1つの第2中心点に対して放射状に配置され、
前記複数の第3パーツ部材は、
各々の前記第3柱部材が、少なくとも1つの第3中心点の周囲において互いに連結して配置され、
各々の前記第3水平梁部材が、前記少なくとも1つの第3中心点に対して放射状に配置される
請求項1に記載の建築物。
【請求項3】
前記複数の第1パーツ部材の各々は、
前記第1柱部材における第1高さ位置と、前記第1水平梁部材における第1水平位置とを接続する第1斜部材と、
前記第1柱部材における前記第1高さ位置よりも下方の第2高さ位置と、前記第1水平梁部材における第1水平位置よりも基端側の第2水平位置とを接続する第2斜部材であって、前記第1斜部材と交差する第2斜部材と、をさらに含む、
請求項1又は2に記載の建築物。
【請求項4】
前記複数の第1パーツ部材の各々は、
前記第1水平梁部材における前記第1水平位置よりも先端側の第3水平位置と、前記第1斜部材とを接続する第3斜部材と、
前記第1水平梁部材における前記第2水平位置よりも基端側の第4水平位置と、前記第2斜部材とを接続する第4斜部材であって、前記第1斜部材と交差する第4斜部材と、をさらに含む、
請求項3に記載の建築物。
【請求項5】
前記第1斜部材の前記第2斜部材と交差する対向面には、第1溝部が形成され、
前記第2斜部材の前記第1斜部材と交差する対向面には、前記第1溝部と嵌合する第2溝部が形成される
請求項3又は4に記載の建築物。
【請求項6】
前記第1長さをL1、
前記第2長さをL2、
前記第3長さをL3、とした場合に、下記式(1)および(2)を満たす、
請求項1乃至5の何れか1項に記載の建築物。
(2√3-3)×0.95<L2/L1<(2√3-3)×1.05・・・(1)
(2-√3)×0.95<L3/L1<(2-√3)×1.05・・・(2)
【請求項7】
前記複数の第1パーツ部材、前記複数の第2パーツ部材、および前記複数の第3パーツ部材の各々は集成材から構成される
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の建築物。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の建築物を構成する構成部材の一部を構成部材として再構築された建築物であって、
互いの先端部同士を突き合わせた状態で接続された一対の前記第1水平梁部材を夫々が含む複数の第1再構築パーツ部材、
互いの先端部同士を突き合わせた状態で接続された一対の前記第2水平梁部材を夫々が含む複数の第2再構築パーツ部材、又は
互いの先端部同士を突き合わせた状態で接続された一対の前記第3水平梁部材を夫々が含む複数の第3再構築パーツ部材、
の何れか一つからなる複数の再構築パーツ部材であって、前記再構築パーツ部材の水平方向における延在方向である第1方向とは直交する第2方向に沿って夫々が間隔をあけて配置された複数の再構築パーツ部材と、
前記第2方向に沿って延在して前記第2方向において互いに隣接する一対の再構築パーツ部材同士を接続する少なくとも1つの接続梁部材と、
を備える建築物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複数のパーツ部材を備える建築物に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物は、鉛直方向に沿って延在する複数の柱部材や、水平方向に沿って延在する複数の梁部材により構成されている。建築物を構成する構成部材(柱部材、梁部材)は、環境負荷を低減させるために、建築物の解体後は別の建築物に再利用されることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建築物の形状は多様であるため、建築物を構成する構成部材を多大な労力・時間を要さずに利用するためには、建築物の設計段階において予め構成部材を再利用できるように設計することが好ましい。しかしながら、将来的な構成部材の再利用を意図して建築物を設計することは、再利用を意図せずに建築物を設計する場合に比べて、多大な労力・時間を要するという問題がある。
【0005】
特許文献1には、軸材の接続部をジョイントにより接続する骨組構造であって、ジョイントが体心立方構造を構成する位置に配置された骨組構造が開示されている。この骨組構造は、分解して多様な形状に組み立てることができる。しかしながら、この骨組構造において外側に露出する面は、三角形と正方形のいずれかに限定されるため、骨組構造の外観形状に対する制約が大きいという問題がある。
【0006】
上述した事情に鑑みて、本開示の少なくとも一実施形態の目的は、構成部材の再利用が容易な建築物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一実施形態にかかる建築物は、
複数の第1パーツ部材、複数の第2パーツ部材、および複数の第3パーツ部材を備える建築物であって、
前記複数の第1パーツ部材の各々は、
鉛直方向に沿って延在する第1柱部材と、
前記鉛直方向と直交する水平方向に沿って前記第1柱部材から延在する第1水平梁部材であって、第1長さを有する第1水平梁部材と、を含み、
前記複数の第2パーツ部材の各々は、
前記鉛直方向に沿って延在する第2柱部材と、
前記水平方向に沿って前記第2柱部材から延在する第2水平梁部材であって、前記第1長さよりも小さい第2長さを有する第2水平梁部材と、を含み、
前記複数の第3パーツ部材の各々は、
前記鉛直方向に沿って延在する第3柱部材と、
前記水平方向に沿って前記第3柱部材から延在する第3水平梁部材であって、前記第2長さよりも小さい第3長さを有する第3水平梁部材と、を含み、
前記第1水平梁部材の先端部は、前記第2水平梁部材または前記第3水平梁部材の少なくとも一方の先端部と接続され、
前記第2水平梁部材の先端部は、前記第1水平梁部材または前記第3水平梁部材の少なくとも一方の先端部と接続され、
前記第3水平梁部材の先端部は、前記第1水平梁部材または前記第2水平梁部材の少なくとも一方の先端部と接続される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態によれば、構成部材の再利用が容易な建築物が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の一実施形態にかかる建築物の概略斜視図である。
【
図2A】本開示の一実施形態における第1パーツ部材の概略断面図である。
【
図2B】本開示の一実施形態における第1パーツ部材を説明するための説明図である。
【
図3A】本開示の一実施形態における第2パーツ部材の概略断面図である。
【
図3B】本開示の一実施形態における第2パーツ部材を説明するための説明図である。
【
図4A】本開示の一実施形態における第3パーツ部材の概略断面図である。
【
図4B】本開示の一実施形態における第3パーツ部材を説明するための説明図である。
【
図5】本開示の一実施形態における第1パーツ部材を説明するための説明図である。
【
図6】第1斜部材と第2斜部材の間の嵌合構造を説明するための説明図である。
【
図7】第1中心点(CP1)、第2中心点(CP2)および第3中心点(CP3)のそれぞれの位置関係を説明するための説明図である。
【
図8】本開示の一実施形態における第1パーツ部材、第2パーツ部材および第3パーツ部材を説明するための説明図である。
【
図9】本開示の一実施形態にかかる建築物の概略斜視図である。
【
図10A】本開示の一実施形態にかかる建築物の構成部材を再利用した建築物の概略斜視図である。
【
図10B】本開示の一実施形態にかかる建築物の構成部材を再利用した建築物の概略斜視図である。
【
図10C】本開示の一実施形態にかかる建築物の構成部材を再利用した建築物の概略斜視図である。
【
図10D】本開示の一実施形態にかかる建築物の構成部材を再利用した建築物の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0011】
(建築物)
図1は、本開示の一実施形態にかかる建築物の概略斜視図である。幾つかの実施形態にかかる建築物1は、
図1に示されるように、複数の第1パーツ部材10、複数の第2パーツ部材20および複数の第3パーツ部材30を備える。
【0012】
複数の第1パーツ部材10の各々は、鉛直方向に沿って延在する第1柱部材11と、鉛直方向と直交する水平方向に沿って第1柱部材11から延在する第1水平梁部材12と、を含む。第1水平梁部材12は、第1長さL1を有する。
【0013】
複数の第2パーツ部材20の各々は、鉛直方向に沿って延在する第2柱部材21と、水平方向に沿って第2柱部材21から延在する第2水平梁部材22と、を含む。第2水平梁部材22は、第1長さL1よりも小さい第2長さL2を有する。
【0014】
複数の第3パーツ部材30の各々は、鉛直方向に沿って延在する第3柱部材31と、水平方向に沿って第3柱部材31から延在する第3水平梁部材32と、を含む。第3水平梁部材32は、第2長さL2よりも小さい第3長さL3を有する。
【0015】
図1に示されるように、第1水平梁部材12、第2水平梁部材22および第3水平梁部材32の各々は、互いの長さ方向に沿って直列に配置された長さの異なる水平梁部材(対象水平梁部材)に対して先端部同士が接続されている。
【0016】
第1水平梁部材12の先端部121は、対象水平梁部材である第2水平梁部材22又は第3水平梁部材32の少なくとも一方の先端部221、321に突き合わされた状態で、ボルト締結などの公知の締結手段により先端部221、321に着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。なお、第1水平梁部材12は、先端部121が先端部221、321に対してオーバラップ(重複)するように配置されていてもよい。
【0017】
第2水平梁部材22の先端部221は、対象水平梁部材である第1水平梁部材12又は第3水平梁部材32の少なくとも一方の先端部121、321に突き合わされた状態で、ボルト締結などの公知の締結手段により先端部121、321に着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。なお、第2水平梁部材22は、先端部221が先端部121、321に対してオーバラップ(重複)するように配置されていてもよい。
【0018】
第3水平梁部材32の先端部321は、対象水平梁部材である第1水平梁部材12又は第2水平梁部材22の少なくとも一方の先端部121、221に突き合わされた状態で、ボルト締結などの公知の締結手段により先端部121、221に着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。なお、第3水平梁部材32は、先端部321が先端部121、221に対してオーバラップ(重複)するように配置されていてもよい。
【0019】
上記の構成によれば、各々の長さが異なる3種類の水平梁部材3(12、22、32)の夫々の先端部121、221、321が、長さが異なる他の水平梁部材3の先端部に接続されることで、建築物1の骨組構造(柱梁構造)を構成できるとともに、使用後の建築物1の上記骨組構造を複数の第1パーツ部材10、複数の第2パーツ部材20および複数の第3パーツ部材30の夫々に分解できる。また、上記の構成によれば、建築物1の骨組構造に用いられる水平梁部材3(12、22、32)の長さの種類を少ないものにできるため、建築物1を構成する構成部材(特に水平梁部材3)の再利用が容易である。
【0020】
また、上述した建築物1は、建築物1を構成する構造部材(柱部材11、21、31や水平梁部材12、22、32)ごと、又は複数の構成部材を組み合わせたパーツ部材(第1パーツ部材10、第2パーツ部材20、第3パーツ部材30)ごとに分割することが容易である。このため、上述した建築物1は、その骨組構造の組立や解体が容易であり、建築物1の移設も容易である。このため、上述した建築物1は、パビリオンなどの使用期間が限定された建築物にも好適である。なお、上述した建築物1は、長期間の使用が想定される建築物にも適用可能である。
【0021】
(第1パーツ部材)
図2Aは、本開示の一実施形態における第1パーツ部材の概略断面図である。
図2Aでは、第1パーツ部材10の横断面を鉛直方向における下方側から視た状態を概略的に示している。
図2Bは、本開示の一実施形態における第1パーツ部材を説明するための説明図である。幾つかの実施形態では、上述した複数の第1パーツ部材10は、
図1、
図2A、
図2Bに示されるように、各々の第1柱部材11が、少なくとも1つの第1中心点CP1の周囲において互いに連結して配置され、各々の第1水平梁部材12が、少なくとも1つの第1中心点CP1に対して放射状に配置されている。
【0022】
図示される実施形態では、複数の第1パーツ部材10は、少なくとも1つの筒状体13と、複数の締結ボルト14と、をさらに含む。1つの第1中心点CP1の周囲に配置された複数の第1柱部材11の各々は、該第1中心点CP1周りの周方向に沿って延在する筒状体13の外周面に内側面が当接した状態で、締結ボルト14を介してボルト締結により筒状体13に着脱可能に固定されている。これにより、第1中心点CP1の周囲に配置された複数の第1柱部材11の各々は、該第1中心点CP1の周囲において互いに着脱可能に連結されている。なお、他の実施形態では、1つの第1中心点CP1の周囲に配置された複数の第1柱部材11の各々は、互いに着脱不能に連結されていてもよい。
【0023】
図示される実施形態では、第1水平梁部材12の先端部121とは反対側の端部である基端部122は、第1柱部材11の上端部111に載せられた状態で、ボルト締結などの公知の締結手段により上端部111に着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。
図1に示される実施形態では、複数の第1パーツ部材10は、複数の第1中心点CP1の夫々の周囲に配置されている。
【0024】
(第2パーツ部材)
図3Aは、本開示の一実施形態における第2パーツ部材の概略断面図である。
図3Aでは、第2パーツ部材20の横断面を鉛直方向における下方側から視た状態を概略的に示している。
図3Bは、本開示の一実施形態における第2パーツ部材を説明するための説明図である。幾つかの実施形態では、上述した複数の第2パーツ部材20は、
図1、
図3A、
図3Bに示されるように、各々の第2柱部材21が、少なくとも1つの第2中心点CP2の周囲において互いに連結して配置され、各々の第2水平梁部材22が、少なくとも1つの第2中心点CP2に対して放射状に配置されている。
【0025】
図示される実施形態では、複数の第2パーツ部材20は、少なくとも1つの筒状体23と、複数の締結ボルト24と、をさらに含む。1つの第2中心点CP2の周囲に配置された複数の第2柱部材21の各々は、該第2中心点CP2周りの周方向に沿って延在する筒状体23の外周面に内側面が当接した状態で、締結ボルト24を介してボルト締結により筒状体23に着脱可能に固定されている。これにより、第2中心点CP2の周囲に配置された複数の第2柱部材21の各々は、該第2中心点CP2の周囲において互いに着脱可能に連結されている。なお、他の実施形態では、1つの第2中心点CP2の周囲に配置された複数の第2柱部材21の各々は、着脱不能に連結されていてもよい。
【0026】
図示される実施形態では、第2水平梁部材22の先端部221とは反対側の端部である基端部222は、第2柱部材21の上端部211に載せられた状態で、ボルト締結などの公知の締結手段により上端部211に着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。
図1に示される実施形態では、複数の第2パーツ部材20は、複数の第2中心点CP2の夫々の周囲に配置されている。
【0027】
(第3パーツ部材)
図4Aは、本開示の一実施形態における第3パーツ部材の概略断面図である。
図4Aでは、第3パーツ部材30の横断面を鉛直方向における下方側から視た状態を概略的に示している。
図4Bは、本開示の一実施形態における第3パーツ部材を説明するための説明図である。幾つかの実施形態では、上述した複数の第3パーツ部材30は、
図1、
図4A、
図4Bに示されるように、各々の第3柱部材31が、少なくとも1つの第3中心点CP3の周囲において互いに連結して配置され、各々の第3水平梁部材32が、少なくとも1つの第3中心点CP3に対して放射状に配置されている。
【0028】
図示される実施形態では、複数の第3パーツ部材30は、少なくとも1つの筒状体33と、複数の締結ボルト34と、をさらに含む。1つの第3中心点CP3の周囲に配置された複数の第3柱部材31の各々は、該第3中心点CP3周りの周方向に沿って延在する筒状体33の外周面に内側面が当接した状態で、締結ボルト34を介してボルト締結により筒状体33に着脱可能に固定されている。これにより、第3中心点CP3の周囲に配置された複数の第3柱部材31の各々は、該第3中心点CP3の周囲において互いに着脱可能に連結されている。なお、他の実施形態では、1つの第3中心点CP3の周囲に配置された複数の第3柱部材31の各々は、着脱不能に連結されていてもよい。
【0029】
図示される実施形態では、第3水平梁部材32の先端部321とは反対側の端部である基端部322は、第3柱部材31の上端部311に載せられた状態で、ボルト締結などの公知の締結手段により上端部311に着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。
図1に示される実施形態では、複数の第3パーツ部材30は、複数の第3中心点CP3の夫々の周囲に配置されている。
【0030】
上記の構成によれば、複数の第1パーツ部材10は、各々の第1柱部材11が、少なくとも1つの第1中心点CP1の周囲において互いに連結して配置され、各々の第1水平梁部材12が、少なくとも1つの第1中心点CP1に対して放射状に配置されている。この場合には、建築物1の第1中心点CP1の周囲の骨組構造を複数の平面骨組に分解して構成することができるため、第1水平梁部材12から第1柱部材11に至る荷重伝達は単純明快なつり合い状態を形成する。また、第1中心点CP1の周囲に配置された複数の第1パーツ部材10は、第1パーツ部材10毎に分割して再利用できるため、建築物1を構成する構成部材の再利用性を向上できる。
【0031】
また、上記の構成によれば、建築物1の第2中心点CP2の周囲の骨組構造を個々に分離可能な複数の第2パーツ部材20により構成でき、且つ建築物1の第3中心点CP3の周囲の骨組構造を個々に分離可能な複数の第3パーツ部材30により構成できる。第2水平梁部材22から第2柱部材21に至る荷重伝達や第3水平梁部材32から第3柱部材31に至る荷重伝達も単純明快なつり合い状態を形成する。また、上記の構成によれば、第2中心点CP2の周囲に配置された複数の第2パーツ部材20は、第2パーツ部材20毎に分割して再利用でき、且つ第3中心点CP3の周囲に配置された複数の第3パーツ部材30は、第3パーツ部材30毎に分割して再利用できる。このため、建築物1を構成する構成部材の再利用性を向上できる。
【0032】
或る実施形態では、複数の第1柱部材11、複数の第2柱部材21および複数の第3柱部材31の夫々は、規格化された寸法を有する集成材などの木材(角材)からなる。集成材は、断面寸法の小さい複数の木材を接着剤などにより結合させた木質材料である。或る実施形態では、複数の第1柱部材11の夫々は、断面積および長さ(第1柱部材11の全長)が同じである。複数の第2柱部材21の夫々は、断面積および長さ(第2柱部材21の全長)が同じである。複数の第3柱部材31の夫々は、断面積および長さ(第3柱部材31の全長)が同じである。なお、複数の第2柱部材21および複数の第3柱部材31の夫々は、複数の第1柱部材11の夫々と断面積が同じであってもよい。
【0033】
或る実施形態では、複数の第1水平梁部材12、複数の第2水平梁部材22および複数の第3水平梁部材32の夫々は、規格化された寸法を有する集成材などの木材(角材)からなる。或る実施形態では、複数の第1水平梁部材12の夫々は、断面積および長さ(第1長さL1)が同じである。複数の第2水平梁部材22の夫々は、断面積および長さ(第2長さL2)が同じである。複数の第3水平梁部材32の夫々は、断面積および長さ(第3長さL3)が同じである。なお、複数の第2水平梁部材22および複数の第3水平梁部材32の夫々は、複数の第1水平梁部材12の夫々と断面積が同じであってもよい。
【0034】
(第1斜部材、第2斜部材)
図5は、本開示の一実施形態における第1パーツ部材を説明するための説明図である。上述した複数のパーツ部材10、20、30の各々は、
図5に示されるような、各々の柱部材11、21、31と、各々の水平梁部材12、22、32と、を接続する少なくとも1つの斜部材をさらに備えていてもよい。
【0035】
幾つかの実施形態では、
図5に示されるように、上述した複数の第1パーツ部材10の各々は、第1斜部材15と、第1斜部材15と交差する第2斜部材16と、をさらに含む。第1斜部材15は、第1柱部材11における第1高さ位置VP1と、第1水平梁部材12における第1水平位置HP1とを接続する。第2斜部材16は、第1柱部材11における第1高さ位置VP1よりも下方の第2高さ位置VP2と、第1水平梁部材12における第1水平位置HP1よりも基端側の第2水平位置HP2とを接続する。なお、第1水平梁部材12における基端側とは、該第1水平梁部材12の長さ方向(
図5中左右方向)において、該第1水平梁部材12が基点とする第1中心点CP1が位置する側(
図5中左側)を意味する。また、第1水平梁部材12における先端側とは、上記基端側とは反対側、すなわち、該第1水平梁部材12の長さ方向において、該第1水平梁部材12が基点とする第1中心点CP1から離れた側(
図5中右側)を意味する。
【0036】
第1斜部材15は、その長さ方向の一端が、第1柱部材11における第1高さ位置VP1に、ボルト締結などの公知の締結手段により着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。第1斜部材15は、その長さ方向の他端が、第1水平梁部材12における第1水平位置HP1に、ボルト締結などの公知の締結手段により着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。
【0037】
第2斜部材16は、その長さ方向の一端が、第1柱部材11における第2高さ位置VP2に、ボルト締結などの公知の締結手段により着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。第2斜部材16は、その長さ方向の他端が、第1水平梁部材12における第2水平位置HP2に、ボルト締結などの公知の締結手段により着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。
【0038】
第1斜部材15および第2斜部材16の夫々は、規格化された寸法を有する集成材などの木材(角材)からなる。第1高さ位置VP1、第1水平位置HP1、第2高さ位置VP2および第2水平位置HP2の夫々は、複数の第1パーツ部材10の夫々において、同じ位置になるように規格化されていてもよい。
【0039】
上記の構成によれば、第1水平梁部材12の第1水平位置HP1を、第1斜部材15を介して、第1柱部材11に支持させることができ、第1水平梁部材12の第2水平位置HP2を、第2斜部材16を介して、第1柱部材11に支持させることができる。この場合には、第1斜部材15や第2斜部材16を介して、第1水平梁部材12に作用する荷重を分散して第1柱部材11に伝達できるため、第1水平梁部材12を強固に支持できる。また、上記の構成によれば、複数の第1パーツ部材10の各々は、第1斜部材15および第2斜部材16と、これらに接続される第1柱部材11および第1水平梁部材12との対応関係が明確であるため、第1斜部材15や第2斜部材16の再利用が容易になる。第1斜部材15や第2斜部材16は、第1柱部材11や第1水平梁部材12と組み合わされた状態で第1パーツ部材10として再利用可能であるし、第1柱部材11や第1水平梁部材12から分離した状態で個々の部材として再利用可能である。
【0040】
(第1斜部材と第2斜部材の間の嵌合構造)
図6は、第1斜部材と第2斜部材の間の嵌合構造を説明するための説明図である。幾つかの実施形態では、上述した複数の第1パーツ部材10の各々は、上述した第1斜部材15と、第1斜部材15と交差する上述した第2斜部材16と、を含む。第1斜部材15の第2斜部材16と交差する対向面151には、第1溝部152が形成され、第2斜部材16の第1斜部材15と交差する対向面161には、第1溝部152と嵌合する第2溝部162が形成される。
【0041】
図示される実施形態では、第1溝部152は、対向面151からの深さが第1深さD1である少なくとも1つの第1底面153と、対向面151からの深さが第1深さD1よりも深い第2深さD2である少なくとも1つの第2底面154と、を含む。
図6に示される実施形態では、少なくとも1つの第1底面153は、第1基点BP1を挟んで設けられる一対の第1底面153A、153Bを含む。少なくとも1つの第2底面154は、第1基点BP1を挟んで設けられる一対の第2底面154A、154Bを含む。一対の第2底面154A、154Bの各々は、対向面151の第1基点BP1の周方向において、一対の第1底面153A、153Bの間に設けられている。
【0042】
図示される実施形態では、第2溝部162は、対向面161からの深さが第3深さD3である少なくとも1つの第3底面163と、対向面161からの深さが第3深さD3よりも深い第4深さD4である少なくとも1つの第4底面164と、を含む。
図6に示される実施形態では、少なくとも1つの第3底面163は、第2基点BP2を挟んで設けられる一対の第3底面163A、163Bを含む。少なくとも1つの第4底面164は、第2基点BP2を挟んで設けられる一対の第4底面164A、164Bを含む。一対の第4底面164A、164Bの各々は、対向面161の第2基点BP2の周方向において、一対の第3底面163A、163Bの間に設けられている。
【0043】
第2溝部162が第1溝部152に嵌合したときに、少なくとも1つの第3底面163が少なくとも1つの第2底面154に当接し、少なくとも1つの第4底面164が少なくとも1つの第1底面153に当接する。第2斜部材16は、第2溝部162が第1溝部152に嵌合した状態で、第2溝部162が第1溝部152に対してボルト締結などの公知の締結手段により着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続されることにより、第1斜部材15に固定されるようになっている。
【0044】
上記の構成によれば、第1溝部152と第2溝部162とを嵌合させることで、第1斜部材15と第2斜部材16の剛性を高めることができる。
【0045】
(第3斜部材、第4斜部材)
幾つかの実施形態では、
図5に示されるように、上述した複数の第1パーツ部材10の各々は、第3斜部材17と、第4斜部材18と、をさらに含む。第3斜部材17は、第1水平梁部材12における第1水平位置HP1よりも先端側の第3水平位置HP3と、第1斜部材15とを接続する。第4斜部材18は、第1水平梁部材12における第2水平位置HP2よりも基端側の第4水平位置HP4と、第2斜部材16とを接続する。第4斜部材18は、第1斜部材15と交差する。
【0046】
第3斜部材17は、その長さ方向の一端が、第1水平梁部材12における第3水平位置HP3に、ボルト締結などの公知の締結手段により着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。第3斜部材17は、その長さ方向の他端が、第1斜部材15にボルト締結などの公知の締結手段により着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。
【0047】
第4斜部材18は、その長さ方向の一端が、第1水平梁部材12における第4水平位置HP4に、ボルト締結などの公知の締結手段により着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。第4斜部材18は、その長さ方向の他端が、第2斜部材16にボルト締結などの公知の締結手段により着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。
【0048】
第3斜部材17および第4斜部材18の夫々は、規格化された寸法を有する集成材などの木材(角材)からなる。第1斜部材15における第3斜部材17の上記他端の接続位置、第2斜部材16における第4斜部材18の上記他端の接続位置、第3水平位置HP3および第4水平位置HP4の夫々は、複数の第1パーツ部材10の夫々において、同じ位置になるように規格化されていてもよい。
【0049】
上記の構成によれば、第3斜部材17や第4斜部材18をさらに介して、第1水平梁部材12に作用する荷重を分散して第1柱部材11に伝達できるため、第1水平梁部材12を強固に支持できる。また、上記の構成によれば、複数の第1パーツ部材10の各々は、第3斜部材17および第4斜部材18と、これらに接続される第1水平梁部材12などの第1パーツ部材10の構成部材との対応関係が明確であるため、第3斜部材17や第4斜部材18の再利用が容易になる。第3斜部材17や第4斜部材18は、第1水平梁部材12などの第1パーツ部材10の構成部材に組み合わされた状態で第1パーツ部材10として再利用可能であるし、第1パーツ部材10の構成部材から分離した状態で個々の部材として再利用可能である。
【0050】
なお、第1斜部材15と第4斜部材18は、互いに対向する対向面に互いに嵌合する溝部が形成されていてもよい。また、上述した複数の第2パーツ部材20および複数の第3パーツ部材30の各々は、
図5に示されるような、複数の斜部材15、16、17、18の内、少なくとも1つをさらに含んでいてもよい。
【0051】
図7は、第1中心点CP1、第2中心点CP2および第3中心点CP3の夫々の位置関係を説明するための説明図である。幾つかの実施形態では、
図1、
図7に示されるように、上述した少なくとも1つの第1中心点CP1は、水平方向において、第1半径R1を有する少なくとも1つの第1円弧10Aの中心(円弧中心)に位置する。上述した少なくとも1つの第2中心点CP2は、水平方向において、第1半径R1よりも小さい第2半径R2を有する少なくとも1つの第2円弧20Aの中心(円弧中心)に位置する。上述した少なくとも1つの第3中心点CP3は、水平方向において、第2半径R2よりも小さい第3半径R3を有する少なくとも1つの第3円弧30Aの中心(円弧中心)に位置する。
【0052】
少なくとも1つの第2円弧20Aは、少なくとも1つの第1円弧10Aに接するように配置される。少なくとも1つの第3円弧30Aは、少なくとも1つの第1円弧10Aおよび少なくとも1つの第2円弧20Aに接するように配置される。
【0053】
図示される実施形態では、少なくとも1つの第1円弧10Aは、鉛直方向から視たときに千鳥状に配置された複数の第1円弧10Aを含む。少なくとも1つの第2円弧20Aは、複数の第1円弧10Aの内の3つの第1円弧10Aと接するように配置された少なくとも2つの第2円弧20B、20C(20A)を含む。少なくとも1つの第3円弧30Aは、上記少なくとも2つの第2円弧20B、20Cと接するように配置される。
【0054】
第1長さL1は、第1半径の長さR1と同様の長さを有する。第2長さL2は、第2半径の長さR2と同様の長さを有する。第3長さL3は、第3半径の長さR3と同様の長さを有する。或る実施形態では、第1長さL1は、R1×0.9<L1<R1×1.1の条件を満たす。第2長さL2は、R2×0.9<L2<R2×1.1の条件を満たす。第3長さL3は、R3×0.9<L3<R3×1.1の条件を満たす。
【0055】
幾つかの実施形態では、
図7に示されるように、上述した建築物1は、第1長さをL1、第2長さをL2、第3長さをL3、とした場合に、下記式(1)および(2)を満たす。
(2√3-3)×0.95<L2/L1<(2√3-3)×1.05・・・(1)
(2-√3)×0.95<L3/L1<(2-√3)×1.05・・・(2)
【0056】
図示される実施形態では、複数の第1水平梁部材12のうち、一つの第1円弧10Aの中心C1周りの周方向において互いに隣接する二つの第1水平梁部材12のなす角度θ1は、25°<θ1<35°の条件を満たす。複数の第2水平梁部材22のうち、一つの第2円弧20Aの中心C2周りの周方向において互いに隣接する二つの第2水平梁部材22のなす角度θ2は、55°<θ2<65°の条件を満たす。複数の第3水平梁部材32のうち、一つの第3円弧30Aの中心C3周りの周方向において互いに隣接する二つの第3水平梁部材32のなす角度θ3は、85°<θ3<95°の条件を満たす。
【0057】
上記の構成によれば、各々の長さが異なる3種類の水平梁部材12、22、32の夫々の先端部を、長さが異なる他の2種類の水平梁部材に接続させることで、第1中心点CP1、第2中心点CP2および第3中心点CP3のそれぞれを頂点とする直角三角形RTの梁構造が形成できる。建築物1は、水平梁部材12、22、32は同一直線上で接続するため、これらを含むCP1、CP2、CP3の放射方向骨組は同一平面内に存在するため、骨組間の荷重伝達は平面内応力として単純明快となる。また、建築物1は、この直角三角形RTの梁構造を備えることで、3種類の水平梁部材12、22、32が互いに強固に接続されるため、建築物1屋根面の面内剛性を向上できる。
【0058】
幾つかの実施形態では、上述した複数の第1パーツ部材10、複数の第2パーツ部材20、および複数の第3パーツ部材30の各々は集成材から構成される。ここで、複数の第1パーツ部材10が集成材から構成されるとは、複数の第1パーツ部材10を構成する構成部材(第1柱部材11や第1水平梁部材12、第1斜部材15など)が集成材から構成されることを意味する。この点は、複数の第2パーツ部材20や複数の第3パーツ部材30についても同様である。
【0059】
上記の構成によれば、複数の第1パーツ部材10、複数の第2パーツ部材20、および複数の第3パーツ部材30の各々を集成材とすることで、これらが無垢材である場合に比べてパーツ部材間の強度のばらつきを小さなものにでき、建築物1の設計強度を大きく取ることができる。また、集成材は規格品であるため、建築物1の構造強度を数学的に算定することが容易である。
【0060】
(三角形の内心と頂点とを繋ぐ梁構造)
図8は、本開示の一実施形態における第1パーツ部材、第2パーツ部材および第3パーツ部材を説明するための説明図である。
図9は、本開示の一実施形態にかかる建築物の概略斜視図である。
図8に示されるように、第1中心点CP1、第2中心点CP2および第3中心点CP3のそれぞれを頂点とする三角形T1(図示例では、直角三角形RT)の内心をICと定義する。
【0061】
上述した複数の第1パーツ部材10の内、幾つかの第1パーツ部材10は、第1柱部材11Aおよび第1水平梁部材12Aを含み、他の幾つかの第1パーツ部材10は、第1柱部材11Bおよび第1水平梁部材12Bを含む。
【0062】
上述した第1柱部材11は、第1水平梁部材12Aの基端部122A(122)を支持する第1柱部材11Aと、第1水平梁部材12Bの基端部122B(122)を支持する第1柱部材11Bと、を含む。
【0063】
上述した第1水平梁部材12は、第2中心点CP2又は第3中心点CP3の何れか一方と第1中心点CP1とを接続する線分に沿って配置されて、第2水平梁部材22A又は第3水平梁部材32Aの何れかに先端部121A、221A、321A同士が接続される第1水平梁部材12Aと、第1中心点CP1周りの周方向において互いに隣接する二つの第1水平梁部材12Aの間に配置される第1水平梁部材12Bと、を含む。第1水平梁部材12Bは、第1中心点CP1に対して放射状に配置され、その先端部121B(121)が三角形T1の内心ICに向かって延在している。
【0064】
上述した複数の第2パーツ部材20の内、幾つかの第2パーツ部材20は、第2柱部材21Aおよび第2水平梁部材22Aを含み、他の幾つかの第2パーツ部材20は、第2柱部材21Bおよび第2水平梁部材22Bを含む。
【0065】
上述した第2柱部材21は、第2水平梁部材22Aの基端部222A(222)を支持する第2柱部材21Aと、第2水平梁部材22Bの基端部222B(222)を支持する第2柱部材21Bと、を含む。
【0066】
上述した第2水平梁部材22は、第1中心点CP1又は第3中心点CP3の何れか一方と第2中心点CP2とを接続する線分に沿って配置され配置されて、第1水平梁部材12A又は第3水平梁部材32Aの何れかに先端部121A、221A、321A同士が接続される第2水平梁部材22Aと、第2中心点CP2周りの周方向において互いに隣接する二つの第2水平梁部材22Aの間に配置される第2水平梁部材22Bと、を含む。第2水平梁部材22Bは、第2中心点CP2に対して放射状に配置され、その先端部221B(221)が三角形T1の内心ICに向かって延在している。
【0067】
上述した複数の第3パーツ部材30の内、幾つかの第3パーツ部材30は、第3柱部材31Aおよび第3水平梁部材32Aを含み、他の幾つかの第3パーツ部材30は、第3柱部材31Bおよび第3水平梁部材32Bを含む。
【0068】
上述した第3柱部材31は、第3水平梁部材32Aの基端部322A(322)を支持する第3柱部材31Aと、第3水平梁部材32Bの基端部322B(322)を支持する第3柱部材31Bと、を含む。
【0069】
上述した第3水平梁部材32は、第1中心点CP1又は第2中心点CP2の何れか一方と第3中心点CP3とを接続する線分に沿って配置されて、第1水平梁部材12A又は第2水平梁部材22Aの何れかに先端部121A、221A、321A同士が接続される第3水平梁部材32Aと、第3中心点CP3周りの周方向において互いに隣接する二つの第3水平梁部材32Aの間に配置される第3水平梁部材32Bと、を含む。第3水平梁部材32Bは、第3中心点CP3に対して放射状に配置され、その先端部321B(321)が三角形T1の内心ICに向かって延在している。
【0070】
第1水平梁部材12Bの先端部121Bは、第2水平梁部材22Bの先端部221Bおよび第3水平梁部材32Bの先端部321Bの夫々に突き合わされた状態で、ボルト締結などの公知の締結手段により先端部221B、321Bに着脱可能に締結されている。なお、他の実施形態では、先端部121B、221B、321B同士が着脱不能に接続されていてもよい。また、複数の第1水平梁部材12B、複数の第2水平梁部材22B、又は複数の第3水平梁部材32Bの少なくとも1つは、先端部121B、221B、321Bが他の水平梁部材の先端部に対してオーバラップ(重複)するように配置されていてもよい。
【0071】
或る実施形態では、第1柱部材11Bは、断面積および長さが第1柱部材11Aと同じであってもよい。第2柱部材21Bは、断面積および長さが第2柱部材21Aと同じであってもよい。第3柱部材31Bは、断面積および長さが第3柱部材31Aと同じであってもよい。なお、第2柱部材21Bおよび第3柱部材31Bの夫々は、第1柱部材11A又は第1柱部材11Bの少なくとも一方と断面積が同じであってもよい。
【0072】
三角形T1の内心ICと第1中心点CP1とを接続する線分が、第1半径R1よりも長い場合には、第1水平梁部材12Bの長さを第1水平梁部材12Aよりも長くしてもよいし、第1水平梁部材12Bの長さを第1水平梁部材12Aと同じ長さにして、不足する長さを追加部材や接続部材などで補うようにしてもよい。三角形T1の内心ICと第2中心点CP2とを接続する線分が、第2半径R2よりも長い場合には、第2水平梁部材22Bの長さを第2水平梁部材22Aよりも長くしてもよいし、第2水平梁部材22Bの長さを第2水平梁部材22Aと同じ長さにして、不足する長さを追加部材や接続部材などで補うようにしてもよい。三角形T1の内心ICと第3中心点CP3とを接続する線分が、第3半径R3よりも長い場合には、第3水平梁部材32Bの長さを第3水平梁部材32Aよりも長くしてもよいし、第3水平梁部材32Bの長さを第3水平梁部材32Aと同じ長さにして、不足する長さを追加部材や接続部材などで補うようにしてもよい。
【0073】
上記の構成によれば、各々の長さが異なる3種類の梁部材12B、22B、32Bを接続することで、第1中心点CP1、第2中心点CP2および第3中心点CP3のそれぞれを頂点とする三角形T1の内心ICと各頂点とを接続する梁が形成される。これにより、建築物1を構成する構成部材(柱部材11、21、31や水平梁部材12、22、32、斜部材15~18など)の種類の増大化を抑制しつつ、建築物1屋根面の面内剛性を向上できる。
【0074】
また、上記の構成によれば、建築物1は、建築物1を構成する構造部材(柱部材11、21、31や水平梁部材12、22、32)ごと、又は複数の構成部材を組み合わせたパーツ部材(第1パーツ部材10、第2パーツ部材20、第3パーツ部材30)ごとに分割することが容易である。このため、上述した建築物1は、その骨組構造の組立や解体が容易であり、建築物1の移設も容易である。また、上述した建築物1は、建築物1を構成する構成部材(柱部材11、21、31や水平梁部材12、22、32、斜部材15~18など)の種類を少なくすることができるため、建築物1を構成する構成部材の再利用が容易である。
【0075】
(再構築された建築物)
以下、上述した建築物1を構成する構成部材(柱部材11、21、31や梁部材12、22、32など)の一部を構成部材として再構築された建築物7(7A~7D)を説明する。
図10A~
図10Dの夫々は、本開示の一実施形態にかかる建築物の構成部材木材を再利用した建築物の概略斜視図である。
【0076】
幾つかの実施形態では、
図10A~
図10Cに示されるように、建築物7(7A~7C)は、複数の第1再構築パーツ部材8A(
図10A参照)、複数の第2再構築パーツ部材8B(
図10B参照)、又は複数の第3再構築パーツ部材8C(
図10C参照)、の何れか一つからなる複数の再構築パーツ部材8を備える。
【0077】
建築物7Aは、複数の第1再構築パーツ部材8Aを備える。複数の第1再構築パーツ部材8Aの各々は、互いの先端部(一端部)121、121同士を突き合わせた状態で接続された一対の上述した第1水平梁部材12を含む。一対の第1水平梁部材12は、ボルト締結などの公知の締結手段により互いの先端部121、121同士が着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。また、一対の第1水平梁部材12は、互いの先端部121、121同士がオーバラップ(重複)するように配置されていてもよい。
【0078】
複数の第1再構築パーツ部材8Aの各々は、一対の第1水平梁部材12の夫々の基端部を夫々が支持する一対の上述した第1柱部材11をさらに含んでいてもよい。また、複数の第1再構築パーツ部材8Aの各々は、上述した第1斜部材15~第4斜部材18などの斜部材をさらに含んでいてもよい。
【0079】
複数の第1再構築パーツ部材8Aの各々は、建築物7Aを建築する際にその構成部材である第1柱部材11や第1水平梁部材12を切断することで、第1柱部材11の高さや第1水平梁部材12の長さが所望の寸法に調整されていてもよい。また、複数の第1再構築パーツ部材8Aの各々は、一対の第1水平梁部材12の先端部121、121同士がオーバラップする長さを調整することで、第1再構築パーツ部材8Aの長さ(後述する第1歩方向の長さ)が所望の長さに調整されていてもよい。
【0080】
建築物7Bは、複数の第2再構築パーツ部材8Bを備える。複数の第2再構築パーツ部材8Bの各々は、互いの先端部(一端部)221、221同士を突き合わせた状態で接続された一対の上述した第2水平梁部材22を含む。一対の第2水平梁部材22は、ボルト締結などの公知の締結手段により互いの先端部221、221同士が着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。また、一対の第2水平梁部材22は、互いの先端部221、221同士がオーバラップ(重複)するように配置されていてもよい。
【0081】
複数の第2再構築パーツ部材8Bの各々は、一対の第2水平梁部材22の夫々の基端部を夫々が支持する一対の上述した第2柱部材21をさらに含んでいてもよい。また、複数の第2再構築パーツ部材8Bの各々は、第2水平梁部材22と、該第2水平梁部材22を支持する第2柱部材21とを接続する少なくとも1つの斜部材25をさらに含んでいてもよい。
【0082】
複数の第2再構築パーツ部材8Bの各々は、建築物7Bを建築する際にその構成部材である第2柱部材21や第2水平梁部材22を切断することで、第2柱部材21の高さや第2水平梁部材22の長さが所望の寸法に調整されていてもよい。また、複数の第2再構築パーツ部材8Bの各々は、一対の第2水平梁部材22の先端部221、221同士がオーバラップする長さを調整することで、第2再構築パーツ部材8Bの長さ(後述する第1歩方向の長さ)が所望の長さに調整されていてもよい。
【0083】
建築物7Cは、複数の第3再構築パーツ部材8Cを備える。複数の第3再構築パーツ部材8Cの各々は、互いの先端部(一端部)321、321同士を突き合わせた状態で接続された一対の上述した第3水平梁部材32を含む。一対の第3水平梁部材32は、ボルト締結などの公知の締結手段により互いの先端部321、321同士が着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。また、一対の第3水平梁部材32は、互いの先端部321、321同士がオーバラップ(重複)するように配置されていてもよい。
【0084】
複数の第3再構築パーツ部材8Cの各々は、一対の第3水平梁部材32の夫々の基端部を夫々が支持する一対の上述した第3柱部材31をさらに含んでいてもよい。また、複数の第3再構築パーツ部材8Cの各々は、第3水平梁部材32と、該第3水平梁部材32を支持する第3柱部材31とを接続する少なくとも1つの斜部材35をさらに含んでいてもよい。
【0085】
複数の第3再構築パーツ部材8Cの各々は、建築物7Cを建築する際にその構成部材である第3柱部材31や第3水平梁部材32を切断することで、第3柱部材31の高さや第3水平梁部材32の長さが所望の寸法に調整されていてもよい。また、複数の第3再構築パーツ部材8Cの各々は、一対の第3水平梁部材32の先端部321、321同士がオーバラップする長さを調整することで、第3再構築パーツ部材8Cの長さ(後述する第1歩方向の長さ)が所望の長さに調整されていてもよい。
【0086】
複数の再構築パーツ部材8は、再構築パーツ部材8の水平方向における延在方向である第1方向とは直交する第2方向に沿って夫々が間隔をあけて配置されている。建築物7(7A~7C)は、第2方向に沿って延在して第2方向において互いに隣接する一対の再構築パーツ部材8、8同士を接続する少なくとも1つの接続梁部材9と、を備える。少なくとも1つの接続梁部材9は、その両端部の夫々がボルト締結などの公知の締結手段により、一対の再構築パーツ部材8、8の夫々に着脱可能に締結されるか、着脱不能に接続される。少なくとも1つの接続梁部材9は、建築物7A~7Cを建築する際に切断された柱部材11、12、12や水平梁部材12、22、32などの端材を再利用したものでもよい。
【0087】
上記の構成によれば、建築物1の構成部材である梁部材12、22、32の何れかを含む再構築パーツ部材8と、接続梁部材9を組み合わせることで、建築物1の梁部材12、22、32などの構成部材を再利用した新たな建築物7(7A~7C)を構築できる。
【0088】
幾つかの実施形態では、
図10Dに示されるように、建築物7(7D)は、その平面形状に上述した建築物1の平面形状の一部を有する。具体的には、建築物7(7D)は、1つの第1中心点CP1に対して放射状に配置された複数の第1水平梁部材12と、複数の第1水平梁部材12の内、少なくとも1つの第1水平梁部材12に先端部121、221同士が接続された少なくとも1つの第2水平梁部材22と、複数の第1水平梁部材12の内、少なくとも1つの第1水平梁部材12に先端部121、321同士が接続された少なくとも1つの第3水平梁部材32と、を少なくとも備える。
【0089】
建築物7(7D)は、複数の第1水平梁部材12を個別に支持する複数の第1柱部材11と、少なくとも1つの第2水平梁部材22を個別に支持する少なくとも1つの第2柱部材21と、少なくとも1つの第3水平梁部材32を個別に支持する少なくとも1つの第3柱部材31と、をさらに備えていてもよい。
【0090】
なお、上述した幾つかの実施形態では、上述した建築物1、7(7A~7D)は、構成部材である柱部材11、21、31や梁部材12、22、32、斜部材15~18、25、35が集成材などの木材からなる木造建築物を例に挙げて説明したが、本開示は、木造建築物以外の建築物にも適用可能である。例えば、建築物1、7(7A~7D)は、木造、S造、RC、SRC、CFT、RCS、又はこれらの構造を組合わせた混合構造等を含んでもよい。また、建築物1、7(7A~7D)の構成部材である柱部材11、21、31や梁部材12、22、32、斜部材15~18、25、35などに鉄製や鋼製の部材を用いてもよい。
【0091】
本開示は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【0092】
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握されるものである。
【0093】
1)本開示の少なくとも一実施形態にかかる建築物(1)は、
複数の第1パーツ部材(10)、複数の第2パーツ部材(20)、および複数の第3パーツ部材(30)を備える建築物(1)であって、
前記複数の第1パーツ部材(10)の各々は、
鉛直方向に沿って延在する第1柱部材(11)と、
前記鉛直方向と直交する水平方向に沿って前記第1柱部材から延在する第1水平梁部材であって、第1長さを有する第1水平梁部材(12)と、を含み、
前記複数の第2パーツ部材(20)の各々は、
前記鉛直方向に沿って延在する第2柱部材(21)と、
前記水平方向に沿って前記第2柱部材から延在する第2水平梁部材であって、前記第1長さよりも小さい第2長さを有する第2水平梁部材(22)と、を含み、
前記複数の第3パーツ部材(30)の各々は、
前記鉛直方向に沿って延在する第3柱部材(31)と、
前記水平方向に沿って前記第3柱部材から延在する第3水平梁部材であって、前記第2長さよりも小さい第3長さを有する第3水平梁部材(32)と、を含み、
前記第1水平梁部材(11)の先端部は、前記第2水平梁部材(21)または前記第3水平梁部材(31)の少なくとも一方の先端部と接続され、
前記第2水平梁部材(21)の先端部は、前記第1水平梁部材(11)または前記第3水平梁部材(31)の少なくとも一方の先端部と接続され、
前記第3水平梁部材(31)の先端部は、前記第1水平梁部材(11)または前記第2水平梁部材(21)の少なくとも一方の先端部と接続される。
【0094】
上記1)の構成によれば、各々の長さが異なる3種類の水平梁部材(12、22、32)の夫々の先端部(121、221、321)が、長さが異なる他の水平梁部材の先端部に接続されることで、建築物(1)の骨組構造(柱梁構造)を構成できるとともに、使用後の建築物(1)の上記骨組構造を複数の第1パーツ部材(10)、複数の第2パーツ部材(20)および複数の第3パーツ部材(30)の夫々に分解できる。また、上記1)の構成によれば、建築物(1)の骨組構造に用いられる水平梁部材(12、22、32)の長さの種類を少ないものにできるため、建築物(1)を構成する構成部材(特に水平梁部材)の再利用が容易である。
【0095】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の建築物(1)であって、
前記複数の第1パーツ部材(10)は、
各々の前記第1柱部材(11)が、少なくとも1つの第1中心点(CP1)の周囲において互いに連結して配置され、
各々の前記第1水平梁部材(12)が、前記少なくとも1つの第1中心点(CP1)に対して放射状に配置され、
前記複数の第2パーツ部材(20)は、
各々の前記第2柱部材(21)が、少なくとも1つの第2中心点(CP2)の周囲において互いに連結して配置され、
各々の前記第2水平梁部材(22)が、前記少なくとも1つの第2中心点(CP2)に対して放射状に配置され、
前記複数の第3パーツ部材(30)は、
各々の前記第3柱部材(31)が、少なくとも1つの第3中心点(CP3)の周囲において互いに連結して配置され、
各々の前記第3水平梁部材(32)が、前記少なくとも1つの第3中心点(CP3)に対して放射状に配置される。
【0096】
上記2)の構成によれば、建築物(1)の第1中心点(CP1)の周囲の骨組構造を複数の第1パーツ部材(10)により構成でき、建築物(1)の第2中心点(CP2)の周囲の骨組構造を複数の第2パーツ部材(20)により構成でき、且つ建築物(1)の第3中心点(CP3)の周囲の骨組構造を複数の第3パーツ部材(30)により構成できる。建築物(1)の第1中心点(CP1)の周囲の骨組構造を複数の平面骨組に分解して構成することができるため、第1水平梁部材(12)から第1柱部材(11)に至る荷重伝達は単純明快なつり合い状態を形成する。建築物(1)の第2中心点(CP2)の周囲の骨組構造や第3中心点(CP3)の周囲の骨組構造も複数の平面骨組に分解して構成することができるため、第2水平梁部材(22)から第2柱部材(21)に至る荷重伝達や第3水平梁部材(32)から第3柱部材(31)に至る荷重伝達も単純明快なつり合い状態を形成する。
【0097】
また、上記2)の構成によれば、第1中心点(CP1)の周囲に配置された複数の第1パーツ部材(10)は、第1パーツ部材(10)毎に分割して再利用でき、第2中心点(CP2)の周囲に配置された複数の第2パーツ部材(20)は、第2パーツ部材(20)毎に分割して再利用でき、且つ第3中心点(CP3)の周囲に配置された複数の第3パーツ部材(30)は、第3パーツ部材(30)毎に分割して再利用できる。このため、建築物(1)を構成する構成部材の再利用性を向上できる。
【0098】
3)幾つかの実施形態では、上記1)又は上記2)に記載の建築物(1)であって、
前記複数の第1パーツ部材(10)の各々は、
前記第1柱部材(11)における第1高さ位置(VP1)と、前記第1水平梁部材(12)における第1水平位置(HP1)とを接続する第1斜部材(15)と、
前記第1柱部材(11)における前記第1高さ位置よりも下方の第2高さ位置(VP2)と、前記第1水平梁部材(12)における第1水平位置よりも基端側の第2水平位置(HP2)とを接続する第2斜部材(16)であって、前記第1斜部材(15)と交差する第2斜部材(16)と、をさらに含む。
【0099】
上記3)の構成によれば、第1水平梁部材(12)の第1水平位置(HP1)を、第1斜部材(15)を介して、第1柱部材(11)に支持させることができ、第1水平梁部材(12)の第2水平位置(HP2)を、第2斜部材(16)を介して、第1柱部材(11)に支持させることができる。この場合には、第1斜部材(15)や第2斜部材(16)を介して、第1水平梁部材(12)に作用する荷重を分散して第1柱部材(11)に伝達できるため、第1水平梁部材(12)を強固に支持できる。また、上記3)の構成によれば、複数の第1パーツ部材(10)の各々は、第1斜部材(15)および第2斜部材(16)と、第1柱部材(11)および第1水平梁部材(12)との対応関係が明確であるため、第1斜部材(15)や第2斜部材(16)の再利用が容易になる。
【0100】
4)幾つかの実施形態では、上記3)に記載の建築物(1)であって、
前記複数の第1パーツ部材(10)の各々は、
前記第1水平梁部材(12)における前記第1水平位置よりも先端側の第3水平位置(HP3)と、前記第1斜部材(15)とを接続する第3斜部材(17)と、
前記第1水平梁部材(12)における前記第2水平位置よりも基端側の第4水平位置(HP4)と、前記第2斜部材(16)とを接続する第4斜部材(18)であって、前記第1斜部材(15)と交差する第4斜部材(18)と、をさらに含む。
【0101】
上記4)の構成によれば、第3斜部材(17)や第4斜部材(18)をさらに介して、第1水平梁部材(12)に作用する荷重を分散して第1柱部材(11)に伝達できるため、第1水平梁部材(12)を強固に支持できる。また、上記4)の構成によれば、複数の第1パーツ部材(10)の各々は、第3斜部材(17)および第4斜部材(18)と、これらに接続される第1水平梁部材(12)などの第1パーツ部材(10)の構成部材(他部材)との対応関係が明確であるため、第3斜部材(17)や第4斜部材(18)の再利用が容易になる。
【0102】
5)幾つかの実施形態では、上記3)又は上記4)に記載の建築物(1)であって、
前記第1斜部材(15)の前記第2斜部材(16)と交差する対向面(151)には、第1溝部(152)が形成され、
前記第2斜部材(16)の前記第1斜部材(15)と交差する対向面(161)には、前記第1溝部(152)と嵌合する第2溝部(162)が形成される。
【0103】
上記5)の構成によれば、第1溝部(152)と第2溝部(162)とを嵌合させることで、第1斜部材(15)と第2斜部材(16)の剛性を高めることができる。
【0104】
6)幾つかの実施形態では、上記1)から上記5)までの何れかに記載の建築物(1)であって、
前記第1長さをL1、
前記第2長さをL2、
前記第3長さをL3、とした場合に、下記式(1)および(2)を満たす。
(2√3-3)×0.95<L2/L1<(2√3-3)×1.05・・・(1)
(2-√3)×0.95<L3/L1<(2-√3)×1.05・・・(2)
【0105】
上記6)の構成によれば、各々の長さが異なる3種類の水平梁部材(12、22、32)の夫々の先端部を、長さが異なる他の2種類の水平梁部材に接続させることで、第1中心点(CP1)、第2中心点(CP2)および第3中心点(CP3)のそれぞれを頂点とする直角三角形(RT)の梁構造が形成できる。建築物(1)は、水平梁部材(12、22、32)は同一直線上で接続するため、これらを含む各中心点(CP1、CP2、CP3)の放射方向骨組は同一平面内に存在するため、骨組間の荷重伝達は平面内応力として単純明快となる。また、建築物(1)は、この直角三角形(RT)の梁構造を備えることで、3種類の水平梁部材(12、22、32)が互いに強固に接続されるため、建築物(1)屋根面の面内剛性を向上できる。
【0106】
7)幾つかの実施形態では、上記1)から上記6)までの何れかに記載の建築物(1)であって、
前記複数の第1パーツ部材(10)、前記複数の第2パーツ部材(20)、および前記複数の第3パーツ部材(30)の各々は集成材から構成される。
【0107】
上記7)の構成によれば、複数の第1パーツ部材(10)、複数の第2パーツ部材(20)、および複数の第3パーツ部材(30)の各々を集成材とすることで、これらが無垢材である場合に比べてパーツ部材間の強度のばらつきを小さなものにでき、建築物(1)の設計強度を大きく取ることができる。また、集成材は規格品であるため、建築物(1)の構造強度を数学的に算定することが容易である。
【0108】
8)本開示の少なくとも一実施形態にかかる建築物(7)は、
上記1)から上記7)までの何れかに記載の建築物(1)を構成する構成部材の一部を構成部材として再構築された建築物(4)であって、
互いの先端部(121、121)同士を突き合わせた状態で接続された一対の前記第1水平梁部材(12)を夫々が含む複数の第1再構築パーツ部材(8A)、
互いの先端部(221、221)同士を突き合わせた状態で接続された一対の前記第2水平梁部材(22)を夫々が含む複数の第2再構築パーツ部材(8B)、又は
互いの先端部(321、321)同士を突き合わせた状態で接続された一対の前記第3水平梁部材(32)を夫々が含む複数の第3再構築パーツ部材(8C)、
の何れか一つからなる複数の再構築パーツ部材(8)であって、前記再構築パーツ部材(8)の水平方向における延在方向である第1方向とは直交する第2方向に沿って夫々が間隔をあけて配置された複数の再構築パーツ部材(8)と、
前記第2方向に沿って延在して前記第2方向において互いに隣接する一対の再構築パーツ部材(8、8)同士を接続する少なくとも1つの接続梁部材(9)と、を備える。
【0109】
上記8)の構成によれば、建築物(1)の構成部材である水平梁部材(12、22、32)の何れかを含む再構築パーツ部材(8)と、接続梁部材(9)を組み合わせることで、建築物(1)の梁部材(12、22、32)などの構成部材を再利用した新たな建築物(7)を構築できる。
【符号の説明】
【0110】
1,7,7A~7D 建築物
2 柱部材
3 水平梁部材
8 再構築パーツ部材
8A 第1再構築パーツ部材
8B 第2再構築パーツ部材
8C 第3再構築パーツ部材
9 接続梁部材
10 第1パーツ部材
10A 第1円弧
11,11A,11B 第1柱部材
12,12A,12B 第1水平梁部材
13,23,33 筒状体
14,24,34 締結ボルト
15 第1斜部材
16 第2斜部材
17 第3斜部材
18 第4斜部材
20 第2パーツ部材
20A,20B,20C 第2円弧
21,21A,21B 第2柱部材
22,22A,22B 第2水平梁部材
25,35 斜部材
30 第3パーツ部材
30A 第3円弧
31,31A,31B 第3柱部材
32,32A,32B 第3水平梁部材
111,211,311 上端部
121,221,321 先端部
122,222,322 基端部
151,161 対向面
152 第1溝部
153,153A,153B 第1底面
154,154A,154B 第2底面
162 第2溝部
163,163A,163B 第3底面
164,164A,164B 第4底面
BP1 第1基点
BP2 第2基点
CP1 第1中心点
CP2 第2中心点
CP3 第3中心点
HP1 第1水平位置
HP2 第2水平位置
HP3 第3水平位置
HP4 第4水平位置
IC 内心
L1 第1長さ
L2 第2長さ
L3 第3長さ
R1 第1半径
R2 第2半径
R3 第3半径
RT 直角三角形
T1 三角形
VP1 第1高さ位置
VP2 第2高さ位置