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特開2023-7585コネクタ装置、及び、該コネクタ装置を構成するケーブル側コネクタを保持する方法
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  • 特開-コネクタ装置、及び、該コネクタ装置を構成するケーブル側コネクタを保持する方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023007585
(43)【公開日】2023-01-19
(54)【発明の名称】コネクタ装置、及び、該コネクタ装置を構成するケーブル側コネクタを保持する方法
(51)【国際特許分類】
   H01R 13/518 20060101AFI20230112BHJP
   H01R 12/51 20110101ALI20230112BHJP
   H01R 12/71 20110101ALI20230112BHJP
   H01R 13/639 20060101ALI20230112BHJP
   H01R 43/00 20060101ALI20230112BHJP
【FI】
H01R13/518
H01R12/51
H01R12/71
H01R13/639 Z
H01R43/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021110528
(22)【出願日】2021-07-02
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100167911
【弁理士】
【氏名又は名称】豊島 匠二
(72)【発明者】
【氏名】三輪 真之介
【テーマコード(参考)】
5E021
5E051
5E087
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FB07
5E021FC32
5E021HA05
5E021HA07
5E021HB07
5E021HC09
5E051GA09
5E087EE07
5E087FF02
5E087FF12
5E087HH04
5E087JJ09
5E087MM02
5E087MM05
5E087MM17
5E087RR36
5E223AB21
5E223AC21
5E223BA01
5E223BA07
5E223CD01
5E223DA13
5E223EA09
(57)【要約】
【課題】コネクタの構造を、連結具のような保持部材との関係のみならず、相手側のコネクタとの関係、更には、ロボットアーム等を用いた自動嵌合システムとの関係をも考慮したものに改良すること等。
【解決手段】上面及び下面を利用して高さ方向に沿って一列に積層させることができるケーブル側コネクタと、ケーブル側コネクタと高さ方向に沿って嵌合させることができる基板側コネクタとを備えるコネクタ装置である。ケーブル側コネクタは、幅方向における左右それぞれの外側面に、幅方向において外方に突出した状態で高さ方向に沿って延びる凸条部と、幅方向において内方に窪んだ状態で奥行き方向に沿って延びるスリットとを有する。基板側コネクタは、ケーブル側コネクタと嵌合させたときにケーブル側コネクタの下方の一部が嵌る凹陥部を有し、凹陥部の内周壁に、凸条部が嵌る凹条部が高さ方向に沿って設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
高さ方向、幅方向、及び奥行き方向を有し、前記幅方向と前記奥行き方向によって形成される面方向にそれぞれ拡がる上面及び下面を利用して前記高さ方向に沿って一列に積層させることができるケーブル側コネクタと、前記ケーブル側コネクタと前記高さ方向に沿って嵌合させることができる基板側コネクタと、を備えたコネクタ装置において、
前記ケーブル側コネクタは、前記ケーブル側コネクタの幅方向における左右それぞれの外側面に、前記幅方向において外方に突出した状態で前記高さ方向に沿って延びる凸条部と、前記幅方向において内方に窪んだ状態で前記奥行き方向に沿って延びるスリットとを有し、
前記基板側コネクタは、前記ケーブル側コネクタと嵌合させたときに前記ケーブル側コネクタの下方の一部が嵌る凹陥部を有し、前記凹陥部の内周壁に、前記ケーブル側コネクタと前記基板側コネクタを嵌合させたときに前記凸条部が嵌る凹条部が前記高さ方向に沿って設けられている、コネクタ装置。
【請求項2】
前記ケーブル側コネクタと前記基板側コネクタを嵌合させたときに、前記スリットが前記基板側コネクタの外部に露出するように構成されている、請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
前記ケーブル側コネクタの前記凸条部が、前記奥行き方向において互いに異なる位置に配置されている、請求項1又は2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記ケーブル側コネクタの前記奥行き方向における前側に、前記奥行き方向に沿って前後に変位し得る弾性係止片が設けられている、請求項1乃至3のいずれかに記載のケーブル側コネクタ。
【請求項5】
前記外側面が、前記凸条部と前記スリットを除き凹凸を実質的に有しない、請求項1乃至4のいずれかに記載のケーブル側コネクタ。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の複数の前記ケーブル側コネクタを前記高さ方向に沿って一列に積層させた状態で保持部材を利用して保持する方法であって、
前記保持部材は、前記幅方向と前記奥行き方向によって形成される面方向に形成され且つ前記高さ方向に沿って延びる枠体を成し、
前記枠体の内部に、前記枠体の内部に配置された前記ケーブル側コネクタの前記凸条部の前記奥行き方向における前面及び/又は後面と対面し得る第一の面と、前記枠体の内部に配置された前記ケーブル側コネクタの前記奥行き方向における後面及び/又は前面と対面し得る第二の面と、前記枠体の内部に配置された前記ケーブル側コネクタの前記幅方向における左右の外側面のそれぞれと対面し得る一対の第三の面と、を少なくとも有し、前記枠体の内部に配置された前記ケーブル側コネクタを、前記第一の面と前記第二の面の間に挟み込んだ状態とすることによって前記奥行き方向において位置決めするとともに、前記一対の第三の面の間に挟み込んだ状態とすることによって前記幅方向において位置決めするようになっており、
前記高さ方向に沿って前記枠体の内部に前記ケーブル側コネクタを挿入し、前記ケーブル側コネクタのそれぞれの周囲を、前記第一の面、前記第二の面、及び前記第三の面と対面させた状態で保持する方法。
【請求項7】
前記第一の面と前記第三の面が同じ部材によって形成されている、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記保持部材に保持された複数の前記ケーブル側コネクタは、前記高さ方向において下側から上側に向って押し出されることによって前記保持部材から取り出される、請求項6又は7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高さ方向に沿って一列に積層させることができるケーブル側コネクタと、ケーブル側コネクタのそれぞれと嵌合させることができる基板側コネクタとを備えたコネクタ装置、及び、複数のケーブル側コネクタを高さ方向に沿って一列に積層させた状態で保持部材によって保持する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2020-187970号公報に、積層方向に沿って一列に積層させることができるワイヤーハーネス付きのコネクタと、これらのコネクタを積層方向に沿って一列に積層させたコネクタ積層体を連結具によって保持する方法の一例が開示されている。
【0003】
各コネクタには、積層方向に対して直交する方向に沿ってワイヤーハーネスを取り付けることができる。ワイヤーハーネスを取り付けたこれらのコネクタが積層方向に積層される際、積層方向において隣接する一対のコネクタのコネクタハウジングのうち、上側のコネクタハウジングの凸部が、下側のコネクタハウジングの隅角部に係合することで、直交する3方向、即ち、積層方向、左右方向及び前後方向において、これらのコネクタは互いに位置決めされる。
【0004】
これら互いに位置決めされたコネクタの集合であるコネクタ積層体は、連結具を利用して積層方向に沿って保持される。連結具は、積層方向に延びる本体部と、一対の係止部を含む。コネクタ積層体は、各コネクタのコネクタハウジングの左右各側に設けた凹溝状の被クランプ部を連結具の本体部によって覆うことにより保持され、連結具の係止部によって係止される。結果、コネクタ積層体を積層方向にて保持することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-187970号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1には、各コネクタが該コネクタと嵌合される相手側のコネクタとどのような関係を有しているのか明らかにされていない。更に言えば、各コネクタにおける被クランプ部が、相手側のコネクタとの関係で利用されているのか、仮に利用されているとしても、どのように利用されているのか不明である。
本願発明では、コネクタの構造を、連結具のような保持部材との関係のみならず、相手側のコネクタとの関係、更には、ロボットアーム等を用いた自動嵌合システムとの関係をも考慮した構造とすることを目的とする。また、これに関連して、複数のコネクタを高さ方向に沿って一列に積層させた状態で保持部材によって保持する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様によるコネクタ装置は、高さ方向、幅方向、及び奥行き方向を有し、前記幅方向と前記奥行き方向によって形成される面方向にそれぞれ拡がる上面及び下面を利用して前記高さ方向に沿って一列に積層させることができるケーブル側コネクタと、前記ケーブル側コネクタと前記高さ方向に沿って嵌合させることができる基板側コネクタと、を備えたコネクタ装置において、前記ケーブル側コネクタは、前記ケーブル側コネクタの幅方向における左右それぞれの外側面に、前記幅方向において外方に突出した状態で前記高さ方向に沿って延びる凸条部と、前記幅方向において内方に窪んだ状態で前記奥行き方向に沿って延びるスリットとを有し、前記基板側コネクタは、前記ケーブル側コネクタと嵌合させたときに前記ケーブル側コネクタの下方の一部が嵌る凹陥部を有し、前記凹陥部の内周壁に、前記ケーブル側コネクタと前記基板側コネクタを嵌合させたときに前記凸条部が嵌る凹条部が前記高さ方向に沿って設けられている、コネクタ装置を特徴として有する。
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の一態様による方法は、複数の上記ケーブル側コネクタを高さ方向に沿って一列に積層させた状態で保持部材によって保持する方法であって、前記保持部材は、前記幅方向と前記奥行き方向によって形成される面方向に形成され前記高さ方向に沿って延びる枠体を成し、前記枠体の内部に、前記枠体の内部に配置された前記ケーブル側コネクタの前記凸条部の前記奥行き方向における前面及び/又は後面と対面し得る第一の面と、前記枠体の内部に配置された前記ケーブル側コネクタの前記奥行き方向における後面及び/又は前面と対面し得る第二の面と、前記枠体の内部に配置された前記ケーブル側コネクタの前記幅方向における左右の外側面のそれぞれと対面し得る一対の第三の面と、を少なくとも有し、前記枠体の内部に配置された前記ケーブル側コネクタを、前記第一の面と前記第二の面の間に挟み込んだ状態とすることによって前記奥行き方向において位置決めするとともに、前記一対の第三の面の間に挟み込んだ状態とすることによって前記幅方向において位置決めするようになっており、前記高さ方向に沿って前記枠体の内部に前記ケーブル側コネクタを挿入し、前記ケーブル側コネクタのそれぞれの周囲を、前記第一の面、前記第二の面、及び前記第三の面と対面させた状態で保持する方法を特徴として有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、保持部材との関係のみならず、相手側のコネクタとの関係、更には、ロボットを用いた自動嵌合システムとの関係をも考慮した構造を有するコネクタを含んだコネクタ装置が提供される。また、これに関連して、複数のコネクタを高さ方向に沿って一列に積層させた状態で保持部材によって保持する方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態によるコネクタ装置の使用状態の一例を示す斜視図であって、ケーブル側コネクタと基板側コネクタの嵌合前の状態を示す図である。
図2】本発明の一実施形態によるコネクタ装置の使用状態の一例を示す斜視図であって、ケーブル側コネクタと基板側コネクタの嵌合前の状態を示す図である。
図3】本発明の一実施形態によるコネクタ装置の使用状態の一例を示す斜視図であって、ケーブル側コネクタと基板側コネクタの嵌合後の状態を示す図である。
図4】本発明の一実施形態によるコネクタ装置の使用状態の一例を示す斜視図であって、ケーブル側コネクタと基板側コネクタの嵌合後の状態を示す図である。
図5】ケーブルを取り本発明の一実施形態によるコネクタ装置の使用状態の一例を示す斜視図であって、ケーブル側コネクタと基板側コネクタの嵌合前の状態を示す図である。付ける前の、ケーブル側コネクタのみの斜視図を示す。
図6】ケーブルを取り付ける前の、ケーブル側コネクタのみの斜視図を示す。
図7】基板に取り付ける前の、基板側コネクタのみの斜視図を示す。
図8】基板に取り付ける前の、基板側コネクタのみの斜視図を示す。
図9】ケーブルを取り付ける前、及び、基板に取り付ける前の、ケーブル側コネクタと基板側コネクタの嵌合状態を示す平面図である。
図10図9のA-A線断面図である。
図11】保持部材にケーブル側コネクタを順次挿入している状態を示す斜視図である。
図12】保持部材に保持されたケーブル側コネクタを保持部材と共に示した平面図である。
図13】保持部材に保持されたケーブル側コネクタを保持部材と共に示した破断図である。
図14】保持部材に保持されたケーブル側コネクタを保持部材から取り出している状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の例示的な実施形態を説明する。説明の便宜のため好適な実施形態のみを示すが、勿論、これによって本発明を限定しようとするものではない。尚、本明細書で使用する「上」、「下」、「左」、「右」、「前」、「後」等の語は、部材間の相対的な位置関係、方向を意味するだけの語であって、これらの各語が格別な方向を意味するものではない。
【0012】
図1乃至図4に、本発明の一実施形態によるコネクタ装置の使用状態の一例を斜視図で示す。コネクタ装置1は、ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50から成る。実際の使用時には、ケーブル側コネクタ10にケーブル3を取り付け、基板側コネクタ50は基板5に実装される。ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50は、例えば、ケーブル側コネクタ10をX1方向にて基板側コネクタ50に接近させることにより、高さ方向(X)に沿って互いに嵌合させることができる。図1図2は、ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50の嵌合前の状態を、図3図4は、これらの嵌合後の状態を、それぞれ示す。
【0013】
図5図6に、更に、ケーブル3を取り付ける前の、ケーブル側コネクタ10のみの斜視図を示し、また、図7図8に、更に、基板5に取り付ける前の、基板側コネクタ50のみの斜視図を示す。図9は、ケーブル3を取り付ける前、及び、基板5に取り付ける前の、ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50の嵌合状態を示す平面図、図10は、図9のA-A線断面図である。
【0014】
ケーブル側コネクタ10は、樹脂製のハウジング11と、ハウジング11の内部に固定された端子(図9の「20」参照)から成り、高さ方向(X)、幅方向(Y)、及び奥行き方向(Z)を有する。ケーブル側コネクタ10は、幅方向(Y)において左右対称形状を成し、全体として略矩形状を有する。
【0015】
ケーブル側コネクタ10は、高さ方向(X)に沿って一列に積層させることができる。積層を容易にするため、幅方向(Y)と奥行き方向(Z)によって形成される「Y-Z面」方向にそれぞれ拡がる上面12a及び下面12bが設けられており、これら上面12a及び下面12bの少なくとも一部は、積層を容易にするため、平坦、且つ、所定の大きさ及び形状を有する面とされている。例えば、上面は、幅方向(Y)と奥行き方向(Z)によって形成される「Y-Z面」において略矩形状を有し、また、下面は、同「Y-Z面」において略コの字状を成す。これら上面12a及び下面12bを利用して、ケーブル側コネクタ10を、高さ方向(X)に沿って一列に積層させることができる。積層されたケーブル側コネクタ10同士を係止するため、これら上面12a、及び/又は、下面12bに、係止手段(図示されていない)を設けてもよい。但し、この係止は、ロボットアームによる後の工程を容易にするため、比較的力の弱い簡易な係止とするのが好ましい。
【0016】
ケーブル側コネクタ10にケーブル3を取り付けるため、奥行き方向(Z)における後側に、ハウジング11の後面11aを貫通した状態で取付部13が設けられている。取付部13は、端子20にアクセス可能な貫通穴として形成されており、この貫通穴を通じて、ケーブル3と端子を電気的に接続させることができる。ケーブル3の一端を取付部13に挿入し、ケーブル3の少なくとも一部を外部に導出させた状態で、ケーブル3を端子20と接続させつつ、ケーブル側コネクタ10に取り付けることができる。
【0017】
ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50を嵌合させたときに、ケーブル側コネクタ10を基板側コネクタ50にロックするため、ケーブル側コネクタ10の奥行き方向(Z)における前側の、特に、幅方向(Y)における中央に、弾性係止片30が設けられている。弾性係止片30を設ける位置を、幅方向(Y)における中央とすることにより、小さなロック力で安定したロック効果が得られる。ロック力を小さくすることにより、ケーブル側コネクタ10の基板側コネクタ50からのケーブル側コネクタ10の脱着が容易となり、従って、ロボットアームによる作業にも適したものとなる。弾性係止片30は、ハウジング11の本体側から片持ち梁状に延びるアーム部32と、アーム部32の先端に設けた操作部31と、更に、アーム32の途中位置に設けたロック突部33を含む。ロック突部32は、アーム部32によって、ハウジング11の前面11bにて、奥行き方向に(Z)に沿って前後に弾性変位し得る。ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50を嵌合させたときに、ロック突部33は、このアーム32の弾性変位を通じて、基板側コネクタ50の所定位置(ロック孔53)にロックされる。このロック状態は、操作部31を操作することによって容易に解除できる。解除操作は、ユーザによる手作業でも、ロボットアームによるものでもよい。
【0018】
ハウジング11の幅方向(Y)における左右の外側面11c、11dにそれぞれ、凸条部15とスリット17が1つずつ設けられている。
【0019】
凸条部15は、幅方向(Y)において外方に突出した状態で高さ方向(X)に沿って延びており、幅方向(Y)と奥行き方向(Z)によって形成される「Y-Z面」において同じ形状及び大きさを有する。凸条部15は、保持部材による保持の際に機能する部分であるとともに、ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50を嵌合させる際に、ケーブル側コネクタ10を基板側コネクタ50の所定位置に位置決めするためにも役立つ。尚、図示の実施形態では、幅方向(Y)における左右それぞれの外側面11c、1dに設けた凸条部15が、奥行き方向(Z)において、互いに同じ位置に配置されているが、これらを互いに異なる位置に配置することによって、言い換えれば、奥行き方向(Z)における凸条部15の位置を左右非対称とすることにより、これらの凸条部15を利用して、ケーブル側コネクタ10に基板側コネクタ15に対する誤嵌合防止機能を付加することができる。
【0020】
スリット17は、幅方向(Y)において内方に窪んだ状態で奥行き方向(Z)に沿って延びており、高さ方向(X)と幅方向(Y)によって形成される「X―Y面」において同じ形状及び大きさを有する。スリット17は、ケーブル側コネクタ10をロボットアーム(図示されていない)等を用いた自動嵌合システムを利用してクランプする際のクランプ部として機能する。ロボットアームのアーム部の侵入を許可するため、スリット17の奥行き方向(Z)における後側17aは、ケーブル側コネクタ10の外部に開放されている。アーム部は、この開放部17aを通じて、奥行き方向(Z)における後側から奥行き方向(Z)に沿って、スリット17に侵入し、ケーブル側コネクタ10をクランプする。ケーブル側コネクタ10が基板側コネクタ50と嵌合される際、及び、その後も、ロボットアーム等によるクランプを可能とするため、スリット17は、高さ方向(X)において、凸条部15の上方に配置される。また、装置の小型化を図るため、凸条部15は、奥行き方向(Z)において、スリット17が延在する範囲内に配置される。
【0021】
基板側コネクタ50は、樹脂製のハウジング51と、ハウジング51に固定して設けた端子60及び補強金具63から成る。ケーブル側コネクタ10と同様に、基板側コネクタ50も、高さ方向(X)、幅方向(Y)、及び奥行き方向(Z)を有し、幅方向(Y)において左右対称形状を成している。
【0022】
ハウジング51の上方は開放されており、内部に、高さ方向(X)に沿って陥没した全体として略矩形状の凹陥部53を有する。ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50に嵌合させたとき、ケーブル側コネクタ10の下方の一部がこの凹陥部53に嵌る。これにより、ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50は、高さ方向(X)において嵌合される。このように、凹陥部53がケーブル側コネクタ10の下方の一部のみを受け入れるようにしたことにより、ケーブル側コネクタ10の上方の一部、少なくとも、スリット17は、基板側コネクタ50の外部に常に露出する。従って、ケーブル側コネクタ10が基板側コネクタ50と嵌合される際、及び、その後も、スリット17をロボットアーム等によるクランプに利用することができる。
【0023】
ハウジング51の奥行き方向(Z)における前面51bに、内方に向って窪んだ窪み、本実施形態では、ハウジング51の壁を貫通したロック孔53が設けられている。ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50を嵌合させたとき、ケーブル側コネクタ10のアーム32に設けたロック突部33は、このロック孔53に嵌り、ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50はロックされ得る。
【0024】
一方、ハウジング51の奥行き方向(Z)における後面51aに、凹陥部53を外部に開放させる開口54が設けられている。開口54を設けたことにより、ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50に嵌合させたときであっても、ケーブル側コネクタ10に取り付けられたケーブル3は、ハウジング51と衝突することなく、基板側コネクタ50の外部に導出され得る。
【0025】
凹陥部53の内周壁53aの幅方向(Y)における左右各側に、高さ方向(X)に沿って凹条部55が設けられている。ケーブル側コネクタと10基板側コネクタ50を嵌合させる際、これらの凹条部55に、ケーブル側コネクタ10の凸条部15が嵌る。この嵌合構造は、ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50を嵌合させる際に、ケーブル側コネクタ10を基板側コネクタ50の所定位置に確実に位置決めするのに役立ち、また、上述した誤嵌合防止機能を付与することを容易とする。尚、幅方向(Y)と奥行き方向(Z)によって形成される「Y-Z面」において、凹条部55は、一方の側(凹陥部53の内方に向う側)のみ開放されたコの字状を成しているが、必ずしも、コの字状である必要はなく、例えば、L字状としてもよい、更に言えば、凹状部55は、奥行き方向(Z)における凸条部15の前面15a、又は、後面15bの双方と必ずしも対面する必要はなく、それらのうちのいずれか一方とのみ対面し得るものであってもよい。このような構造であっても、位置決め機能や誤嵌合防止機能を発揮させることができる。
【0026】
ハウジング51に固定された端子60の一部である接触部60aは、凹陥部53の内部において、高さ方向(X)に沿って立設した状態で設けられている。一方、端子60の他の一部である実装部60bは、ハウジング51の底部において、ハウジング51の前面51bよりも外部に突出した状態で設けられている。
また、補強金具63の一部である立設部63aは、ハウジング51の左右の側壁を切り欠いた部分を利用して高さ方向(X)において刳り貫かれた穴57に圧入されている。一方、補強金具63の他の一部である実装部63bは、ハウジング51の底部において、ハウジングの左右の側面51c、51dよりも外部に突出した状態で設けられている。
これら端子60の実装部60b及び補強金具63の実装部63bは、基板5の所定のパッドに半田付けされ、基板側コネクタ50を基板5に固定するとともに、基板5の所定位置において電気接続される。
ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50を嵌合させたとき、ケーブル側コネクタ10の端子20と、基板側コネクタ50の端子60の一部、即ち、凹陥部53の内部に配置された端子60の接触部60aが接触し、この接触を通じて、ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50は電気的に接続される。
【0027】
図11乃至図14を参照して、複数のケーブル側コネクタ10を高さ方向(X)に沿って一列に積層させた状態で保持部材70によって保持する方法を説明する。保持部材70は、運搬時には、ケーブル側コネクタ10を保護するのに役立ち、また、ロボットアーム等を用いた自動嵌合システムによる作業の際には、ケーブル側コネクタ10を保護するのに役立つことは勿論、作業の容易化、効率化を図るのにも役立つ。
【0028】
図11は、保持部材70にケーブル側コネクタ10を順次挿入している状態を示す斜視図、図12は、保持部材70に保持されたケーブル側コネクタ10を保持部材70と共に示した平面図、図13は、保持部材70に保持されたケーブル側コネクタ10を保持部材70と共に示した破断図、図14は、保持部材70に保持されたケーブル側コネクタ10を保持部材70から取り出している状態を示す斜視図である。
【0029】
保持部材70は、幅方向(Y)と奥行き方向(Z)によって形成される「Y-Z面」方向に形成され且つ高さ方向(X)に沿って延びる枠体を成す。枠体の内部71には、複数のケーブル側コネクタ10を、高さ方向(X)に沿って一列に積層させた状態で、且つ、ケーブル側コネクタ10の周面を覆った状態で収容できる。枠体の「Y-Z面」における一部、特に、奥行き方向(Z)における後側の一部には、ケーブル側コネクタ10にケーブル3を取り付けた状態でも使用できるよう、ケーブル3を逃がす空所73が設けられている。このような枠体の内部71へのケーブル側コネクタ10の収容を容易にするため、ケーブル側コネクタ10の左右の外側面11c、11dは、本実施形態に示すように、凸条部15とスリット17を除いて凹凸を実質的に有しないのが好ましい。ここでいう「実質的に」とは、多少の凹凸はあってもよいが、枠体の内部71への収容を妨げない程度の凹凸しか有していないことを意味する。
【0030】
ケーブル側コネクタ10を位置決めするため、枠体の内部71に、枠体の内部71に配置されたケーブル側コネクタ10の凸条部15の奥行き方向(Z)における前面15bと対面し得る第一の面と、ケーブル側コネクタ10のハウジング11の奥行き方向(Z)における後面11aと対面し得る第二の面と、ケーブル側コネクタ10の幅方向(Y)における左右の外側面11c、11dのそれぞれと対面し得る一対の第三の面が少なくとも設けられている。
【0031】
本実施形態に示すように、これら第一乃至第三の面は、それぞれ、枠体の内部71に向って垂直に突出する突部75、76、77によって形成されてもよい。第一の面は、突部75によって、第二の面は、突部76の面によって、第三の面は、突部75又は77によって、それぞれ形成されている。枠体の内部71に配置された際、各ケーブル側コネクタ10は、これらの突部75乃至77によって、より詳細には、突部75の奥行き方向(Z)における後面75aによって形成される第一の面と、奥行き方向(Z)における後側に設けた突部76によって形成される第二の面との間に、ケーブル側コネクタ10の凸条部15の奥行き方向(Z)における前面15bとケーブル側コネクタ10のハウジング11の奥行き方向(Z)における後面11aとを挟み込んだ状態とすることによって奥行き方向(Z)において位置決めされ、且つ、突部75によって形成される一対の第三の面の間、又は、突部77によって形成される一対の第三の面の間に、ケーブル側コネクタ10の幅方向(Y)における左右の外側面11c、11dを挟み込んだ状態とすることによって幅方向(Y)において位置決めされる。尚、本実施形態では、突部75によって、第一の面と第三の面の双方を形成することができるものとなっていることから、突部77は必ずしも必要ではなく、省略することもできる。また、逆に、位置決め機能をより強化するため、より多くの突部を設けてもよい。
【0032】
このような保持部材70を用いて、枠体の内部71に、高さ方向(X)に沿って、ケーブル側コネクタ10を順次挿入し、ケーブル側コネクタ10のそれぞれの周囲を、突部75によって形成される第一の面、突部76によって形成される第二の面、及び突部75又は77によって形成される第三の面と対面させた状態で保持することにより、各ケーブル側コネクタ10を安定した状態で保持部材70の内部71に保持することができる。このように、ケーブル側コネクタ10に設けた凸条部15は、高さ方向(X)に沿って一列に積層させた複数のケーブル側コネクタ10を積層状態で保持する際にも有効に機能する。
【0033】
保持部材70に保持された複数のケーブル側コネクタ10は、図14に示すように、保持部材70の底部に設けたバネ等の付勢手段(図示されていない)を利用して、高さ方向(X)において下側から上側に向って「X2」方向に順次に押し出すことにより、保持部材70から容易に取り出すことができる。押し出し量を調整することにより、各ケーブル側コネクタ10は、スリット17を設けた上部付近を外部に露出させ、その他の部分を保持部材70に残したままとすることができる。このような状態とすることにより、各ケーブル側コネクタ10を、露出させたスリット17を利用して、ロボットアーム等によって安定的にクランプすることができる。更に、ロボットアーム等によってクランプされた各ケーブル側コネクタ10は、クランプしたまま、基板側コネクタ50に自動嵌合させることができる。上述したように、ケーブル側コネクタ10と基板側コネクタ50を嵌合させたときでも、スリット17は、基板側コネクタ50から常に露出することから、ケーブル側コネクタ10が基板側コネクタ50と嵌合される際に、ロボットアームを用いた嵌合作業が妨げられることはない。
【0034】
尚、本発明は、上述した実施の形態に限定されるわけではなく、その他種々の変更が可能である。
例えば、各ケーブル側コネクタは、第一の面と第二の面を用いて奥行き方向(Z)において位置決めされれば足りる。従って、必ずしも、上述した本実施形態のように、各ケーブル側コネクタ10を、突部75の奥行き方向(Z)における後面75aによって形成される第一の面と、突部76によって形成される第二の面との間に、ケーブル側コネクタ10の凸条部15の奥行き方向(Z)における前面15bとケーブル側コネクタ10のハウジング11の奥行き方向(Z)における後面11aとを挟み込んだ状態とする必要はない。例えば、奥行き方向(Y)における凸条部15と突部75の位置を入れ替えるとともに、突部73を奥行き方向(Y)における後側ではなく前側に設けてもよい。更に詳細には、凸条部15の奥行き方向(Z)における後面15aと、突部75の奥行き方向(Z)における前面75bによって形成される第一の面を対面させるととともに、ケーブル側コネクタ10のハウジング11の奥行き方向(Z)における前面11bと、奥行き方向(Z)における前側に設けた突部(図示されていない)によって形成される第二の面を対面させるようにして、ケーブル側コネクタ10の凸条部15の奥行き方向(Z)における後面15aとケーブル側コネクタ10のハウジング11の奥行き方向(Z)における前面11bとを、突部75の奥行き方向(Z)における前面75bによって形成される第一の面と、奥行き方向(Z)における前側に設けた突部によって形成される第二の面との間に、挟み込んだ状態として、各ケーブル側コネクタ10を奥行き方向(Z)において位置決めしてもよい。更に、例えば、凸条部15の前面15b、後面15aの双方、又は、突部75の前面75b、後面75aの双方を利用して、各ケーブル側コネクタを、第一の面と第二の面を用いて奥行き方向(Z)において位置決めしてもよい。
【0035】
本発明に関連する分野の当業者であれば、上記の説明で示された教示の助けを借りれば、本発明の多くの修正形態または他の実施形態を思いつくであろうし、当業者には、本発明の範囲または趣旨から逸脱することなく、本発明の変形および修正を行うことができることは明らかであろう。したがって、本発明は、開示されている特有の実施形態に限定されず、修正形態およびその他の実施形態は、添付の特許請求の範囲内に含まれるよう意図されているものと理解されたい。本明細書では特定の用語が使用されているが、それらの用語は、限定目的ではなく、一般的かつ説明的な意味で用いられているに過ぎない。
【符号の説明】
【0036】
X 高さ方向
Y 幅方向
Z 奥行き方向
1 コネクタ装置
10 ケーブル側コネクタ
11 ハウジング
11a 後面
11b 前面
11c、11d 外側面
12a、12b 上面、下面
13 取付部
15 凸条部
15a 前面
17 スリット
30 弾性係止片
50 基板側コネクタ
51 本体
53 凹陥部
53a 内周壁
55 凹条部
60 端子
63 補強金具
70 保持部材71 枠体の内部
75 突部(第一の面、第三の面)
76 突部(第二の面)
77 突部(第三の面)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14