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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075852
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】照明機構
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230524BHJP
   F21V 21/34 20060101ALI20230524BHJP
   F21V 14/02 20060101ALI20230524BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230524BHJP
【FI】
F21S2/00 355
F21V21/34 100
F21V14/02 200
F21S2/00 365
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189020
(22)【出願日】2021-11-19
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 2021年11月4日付で株式会社大林組が(仮称)中之島4丁目未来医療国際拠点開発新築工事第1回総合定例会議において会議出席者に資料を提示し公開。
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】吉田 穂波
(72)【発明者】
【氏名】岡村 吉展
(72)【発明者】
【氏名】篠木 大輔
(72)【発明者】
【氏名】松本 浩作
(57)【要約】
【課題】人々に安らぎを与えることが可能な新たな照明機構を提供することである。
【解決手段】柱面11又は壁面31と、凹凸面12aを有するとともに柱面11又は壁面31から所定寸法前方に離間して配置された透明板材12と、を備えた照射対象10と、透明板材12の前方から照射対象10に光を移動させながら照射する移動光源21を備えた照明設備20と、を有することを特徴とする照明機構1。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱面又は壁面と、凹凸面を有するとともに前記柱面又は前記壁面から所定寸法前方に離間して配置された透明板材と、を備えた照射対象と、
前記透明板材の前方から前記照射対象に光を移動させながら照射する移動光源を備えた照明設備と、を有することを特徴とする照明機構。
【請求項2】
前記透明板材が、
後方の表面が平らなガラス板と、
前記凹凸面を有し、前記ガラス板の後方の表面に張り付けられた透明フィルムと、を有する、請求項1に記載の照明機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建築物の柱面又は壁面に、光源を備えた照明設備より光を照射することで、柱面や壁面に演出ないし表現を施すことができる照明機構が知られている。
【0003】
例えば特許文献1には、劇場の室内の壁面をミラー壁として構成し、このミラー壁に照明設備により光を照射することで、観客等の人々に浮遊感を感じさせるようにした照明機構が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-329391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような照明機構として、人々に安らぎを与えることが可能な新たな照明機構が望まれていた。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、人々に安らぎを与えることが可能な新たな照明機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の照明機構は、柱面又は壁面と、凹凸面を有するとともに前記柱面又は前記壁面から所定寸法前方に離間して配置された透明板材と、を備えた照射対象と、前記透明板材の前方から前記照射対象に光を移動させながら照射する移動光源を備えた照明設備と、を有することを特徴とする。
【0008】
本発明の照明機構は、上記構成において、前記透明板材が、後方の表面が平らなガラス板と、前記凹凸面を有し、前記ガラス板の後方の表面に張り付けられた透明フィルムと、を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人々に安らぎを与えることが可能な新たな照明機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施形態に係る照明機構の正面図である。
図2図1のA-A線に沿う断面図である。
図3図2のB-B線に沿う断面図である。
図4】板材の一部を拡大して示す斜視図である。
図5図4に示す板材の断面図である。
図6】変形例に係る板材の断面図である。
図7】(a)、(b)は、それぞれ照明設備の変形例を示す説明図である。
図8】本発明の他の実施形態に係る照明機構の図2に対応した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係る照明機構1について詳細に例示説明する。
【0012】
図1図3に示すように、照明機構1は、照射対象10と、照射対象10に光を照射する照明設備20とを有している。
【0013】
本実施形態では、照射対象10は、例えばオフィスビルディングなどの建築物2の内部に設けられた断面矩形の柱3の外側を向く1つの表面すなわち柱面11と、透明板材12と、を備えている。
【0014】
柱面11は建築物2の床4に対して垂直な平らな面であり、床4から天井5にまで延びている。柱面11は、模様のない無地で不透明な面であるのが好ましい。
【0015】
透明板材12は、厚み方向の一方側に凹凸面12aを備えるとともに床4から天井5にまで延びる矩形板状の透明な板材である。透明板材12の厚み方向の他方側を向く外側面12bは平らである。透明板材12は、例えばガラス製、透明な合成樹脂製である。透明板材12は、光(可視光)が透過可能であれば、完全な透明に限らず、半透明でもよく、着色されていてもよい。
【0016】
透明板材12は、例えば、下端部が床4に支持され、上端部が天井5に支持されるとともに両側部がブラケット等の支持部材13(図3参照)を介して柱3に支持されることで、柱面11から所定寸法前方に離間して配置されている。透明板材12は、柱面11に対して平行に配置されるのが好ましい。透明板材12と柱面11の間隔は、照明設備20が照射対象10に対して照射する光の強度、範囲等に応じて適宜設定される。なお、特許請求の範囲及び本明細書において、「前方」は、柱面11から柱3の外側に向けた柱面11に垂直な方向を意味し、「後方」は、その反対方向を意味するものとする。
【0017】
本実施形態では、透明板材12は、柱面11の全体を覆う大きさとされているが、柱面11の一部のみを覆う大きさとしてもよい。
【0018】
凹凸面12aは、透明板材12の厚み方向の柱面11の側を向く面すなわち後方の面に設けられている。本実施形態では、凹凸面12aは、透明板材12の後方の表面の周縁から所定範囲には設けられていないが、透明板材12の表面の全体に設けるようにしてもよい。
【0019】
図4に示すように、凹凸面12aは、透明板材12の後方の表面に、例えば、石目模様、霞模様のようなランダムな形状の多数の凹凸が設けられた構成とすることができる。凹凸面12aは、透明板材12に光が照射されると、透明板材12を透過する光を種々の方向に屈折させることができる。
【0020】
透明板材12は、図5に示すように、透明板材12の後方の表面に凹凸面12aが一体に設けられた構成とすることができる。この場合、透明板材12は、例えば石目模様ないし霞模様を有する型板ガラスのように、ガラス板の後方の表面に凹凸面12aが一体に設けられた構成とすることができるが、透明な合成樹脂製の板材の後方の表面に凹凸面12aが一体に設けられた構成とすることもできる。
【0021】
透明板材12は、図6に示すように、後方の表面が平らなガラス板12cと、ガラス板12cの柱面11の側を向く後方の表面に張り付けられた凹凸面12aを有する透明フィルム12dとを備えた構成とすることもできる。このような構成により、適切な形状の凹凸面12aを有する透明板材12を安価に形成することができるようにして、照明機構1のコストを低減することができる。なお、ガラス板12cに替えて、透明な合成樹脂製の板材を用いることもできる。
【0022】
透明板材12は、凹凸面12aが透明板材12の厚み方向の柱面11の側を向く後方の表面に設けられた構成に限らず、凹凸面12aが透明板材12の厚み方向の柱面11とは反対側を向く前方の表面に設けられた構成としてもよく、透明板材12の厚み方向の両側の後方の表面及び前方の表面に設けられた構成としてもよい。また、凹凸面12aの形状は適宜変更可能である。
【0023】
照明設備20は移動光源21を備えている。移動光源21は、例えばLED電球などを光源として備え、透明板材12の前方から照射対象10に光を移動させながら照射することができる。移動光源21が照射対象10に照射する光は可視光であり、無色の光であっても色を有する光であってもよい。移動光源21は、照射対象10である透明板材12の外側面12bの全体に前方から光を照射するように構成されるのが好ましいが、透明板材12の外側面12bの一部にのみ前方から光を照射するように構成されていてもよい。
【0024】
本実施形態では、天井5の柱3の前方側に凹形状に凹んで下方に開口する収納部6が設けられており、移動光源21は、収納部6の内部に配置され、透明板材12の前方且つ上方側から照射対象10に光を照射するように構成されている。なお、移動光源21は、透明板材12の前方から照射対象10に光を移動させながら照射することができれば、例えば、天井5から吊下げ支持された構成、床4に設置された構成、建築物2の壁7に支持された構成など、その設置ないし支持構造は種々変更可能である。
【0025】
上記の通り、移動光源21は、照射対象10に光を移動させながら照射することができるように構成されている。すなわち、移動光源21は、透明板材12に照射する光を、当該光の透明板材12上における照射位置が変化するように、光を移動させながら照射対象10に照射することができるように構成されている。
【0026】
本実施形態では、図3に示すように、移動光源21は、天井5に垂直(鉛直)に配置された回動軸22に駆動されて回動軸22を中心として首振り動作をするように回動することで、光を水平方向に往復移動させながら照射対象10に照射する構成とされている。なお、移動光源21による光の移動方向は、水平方向に限らず、例えば上下方向、上下方向及び水平方向に対して傾斜する方向など、種々変更可能である。
【0027】
照明設備20は、移動光源21により、透明板材12の前方から照射対象10に光を移動させながら照射することができる構成であれば、その構成は種々変更可能である。
【0028】
例えば図7(a)に示すように、照明設備20は、移動光源21がガイドレール23に沿って透明板材12に平行且つ水平な方向に往復動することで、光を水平方向に往復移動させながら照射対象10に照射する構成とすることもできる。また、例えば図7(b)に示すように、照明設備20は、移動光源21と、移動光源21の左右両側に移動光源21に平行に並べて配置された2つの移動光源24、25を備え、これらの移動光源21、24、25の1つのみを順番に点灯させることにより、光を水平方向に往復移動させながら照射対象10に照射する構成とすることもできる。
【0029】
本実施形態の照明機構1では、照明設備20の移動光源21が点灯し、透明板材12の前方から照射対象10に前方から光が移動しながら照射されると、透明板材12に照射された光が凹凸面12aにおいて乱反射されるとともに光の移動に伴って乱反射の状態も変化し、さらに光が凹凸面12aで乱反射することで柱面11に凹凸面12aに対応した影が生じるとともに当該影が光の移動とともに移動する。これにより、照射対象10を柱面11の前方側から見ると、照射対象10が設けられた柱3が、ゆらゆらと揺れているように見えることになる。
【0030】
このように、本実施形態の照明機構1によれば、建築物2の柱3をゆらゆらと揺れて見えるように演出ないし表現することができるので、建築物2に来訪した人々に安らぎを与えることができる。
【0031】
また、本実施形態の照明機構1は、建築物2の室内空間において間接照明としても機能することができる。この場合においても、薄暗い建築物2の室内空間において、柱3をゆらゆらと揺れて見えるように演出ないし表現しつつ間接照明として室内を明るくすることで、建築物2に来訪した人々に安らぎを与えることができる。
【0032】
図8は、本発明の他の実施形態に係る照明機構1の図2に対応した断面図である。図8においては、前述した部材に対応する部材に同一の符号を付してある。
【0033】
図8に示す照明機構1では、照射対象10は、柱面11と透明板材12とを備えた構成に替えて、建築物2の壁7の外側を向く表面すなわち壁面31と透明板材12とを備えた構成となっている。
【0034】
壁面31は建築物2の床4に対して垂直な平らな面となっており、透明板材12は、壁面31の一部を覆うように、壁面31から所定寸法前方に離間して配置されている。図示する場合では、透明板材12は、下端部が床4に支持され、上端部が天井5に支持されるとともに、一方の側部が柱3に支持され、他方の側部がブラケット等の支持部材13を介して壁7に支持されている。
【0035】
透明板材12の構成及び照明設備20の構成は、図1図3に示す照明機構1の透明板材12の構成及び照明設備20の構成と同様である。
【0036】
このような他の実施形態に係る照明機構1によれば、建築物2の壁7の一部をゆらゆらと揺れて見えるように演出ないし表現することができるので、建築物2に来訪した人々に安らぎを与えることができる。
【0037】
なお、図示する場合では、透明板材12は、壁7の一部を覆う大きさとされているが、その大きさは種々変更可能である。
【0038】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 照明機構
2 建築物
3 柱
4 床
5 天井
6 収納部
7 壁
10 照射対象
11 柱面
12 透明板材
12a 凹凸面
12b 外側面
12c ガラス板
12d 透明フィルム
13 支持部材
20 照明設備
21 移動光源
22 回動軸
23 ガイドレール
24 移動光源
25 移動光源
31 壁面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8