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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075863
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】噴霧器、加湿器、及び浄水装置
(51)【国際特許分類】
   B05B 5/057 20060101AFI20230524BHJP
   A61L 9/14 20060101ALI20230524BHJP
   C02F 1/00 20230101ALI20230524BHJP
   F24F 8/80 20210101ALI20230524BHJP
   F24F 8/30 20210101ALI20230524BHJP
   F24F 8/24 20210101ALI20230524BHJP
   F24F 6/00 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
B05B5/057
A61L9/14
C02F1/00 A
F24F8/80 400
F24F8/80 140
F24F8/80 300
F24F8/80 250
F24F8/30
F24F8/24
F24F6/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189040
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】596171384
【氏名又は名称】株式会社 徳武製作所
(71)【出願人】
【識別番号】594095349
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】100199819
【弁理士】
【氏名又は名称】大行 尚哉
(72)【発明者】
【氏名】徳武 利洋
(72)【発明者】
【氏名】久保田 強
【テーマコード(参考)】
3L055
4C180
4F034
【Fターム(参考)】
3L055AA07
3L055BB20
3L055DA05
3L055DA11
4C180AA07
4C180AA16
4C180CB01
4C180DD12
4C180GG09
4C180HH02
4C180HH03
4C180HH05
4C180HH13
4C180MM10
4F034AA08
4F034BA32
4F034BB04
4F034BB07
4F034BB16
4F034BB25
(57)【要約】
【課題】コロナ放電を利用して生成した帯電したナノミストをより多く発生させるとともにより拡散効果高めた、新たな方式の噴霧器を提供する。
【解決手段】コロナ放電を行うための針電極33を有し、噴霧器1の外部から取り入れた気体に向けて針電極33により高電圧で放電しイオン風を発生させる放電部3と、液剤Wを貯留可能且つ放電部3近傍に配置されており、貯留されている液剤Wにイオン風が当たることで帯電したナノミストNMを発生させる霧化部5と、噴霧器1の内部の気体を移動させて風として送る送風部6と、を備え、放電部3が送風部6と霧化部5との間に配置されている構成の噴霧器1とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コロナ放電を利用して発生させたナノミストを放出する噴霧器であって、
前記コロナ放電を行うための針電極を有し、前記噴霧器の外部から取り入れた気体に向けて当該針電極により高電圧で放電しイオン風を発生させる放電部と、
前記放電部に前記高電圧を印加し、前記針電極による放電を制御する制御部と、
液剤を貯留可能且つ前記放電部近傍に配置されており、貯留されている当該液剤に前記イオン風が当たることで帯電したナノミストを発生させる霧化部と、
前記噴霧器の内部の気体を移動させて風として送る送風部と、を備え、
前記放電部が前記送風部と前記霧化部との間に配置されていることを特徴とする噴霧器。
【請求項2】
前記制御部は、前記放電部にパルス電圧を印加する、ことを特徴とする請求項1に記載の噴霧器。
【請求項3】
前記放電部は、それぞれに前記針電極を含む複数の放電ユニットを有し、
前記放電ユニットが前記イオン風全体の中心流に対して同心円上に配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の噴霧器。
【請求項4】
使用状態において、前記送風部が気体を下向きの風として送る向きで配置され、当該送風部、前記放電部、及び前記霧化部が上下方向に重なるよう配置されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の噴霧器。
【請求項5】
前記送風部及び前記放電部の周囲に、前記霧化部で発生させた前記ナノミスト、及び前記下向きの風が当該霧化部に当たって上向きに転じた風が通るための排気側通風路をさらに備えることを特徴とする請求項4に記載の噴霧器。
【請求項6】
前記送風部及び前記放電部を囲う円筒形状の内壁筒と、
前記内壁筒を囲う円筒形状の外壁筒と、をさらに備え、
前記排気側通風路が内壁としての前記内壁筒と外壁としての前記外壁筒との間の空間として形成されていることを特徴とする請求項5に記載の噴霧器。
【請求項7】
前記排気側通風路は、外壁が透明体で形成されていることを特徴とする請求項5又は6に記載の噴霧器。
【請求項8】
前記液剤として、水、機能水、又はゲル化状機能水が用いられることを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載の噴霧器。
【請求項9】
コロナ放電を利用して発生させたナノミストを放出する加湿器であって、
前記コロナ放電を行うための針電極を有し、前記加湿器の外部から取り入れた気体に向けて当該針電極により高電圧で放電しイオン風を発生させる放電部と、
前記放電部に前記高電圧を印加し、前記針電極による放電を制御する制御部と、
液剤を貯留可能且つ前記放電部近傍に配置されており、貯留されている当該液剤に前記イオン風が当たることで帯電したナノミストを発生させる霧化部と、
前記加湿器の内部の気体を移動させて風として送る送風部と、を備え、
前記放電部が前記送風部と前記霧化部との間に配置されていることを特徴とする加湿器。
【請求項10】
溶液に溶解されている物質を除去して当該溶液を浄水する浄水装置であって、
コロナ放電を行うための針電極を有し、前記浄水装置の外部から取り入れた気体に向けて当該針電極により高電圧で放電しイオン風を発生させる放電部と、
前記放電部に前記高電圧を印加し、前記針電極による放電を制御する制御部と、
前記溶液を貯留可能且つ前記放電部近傍に配置されており、貯留されている当該溶液に前記イオン風が当たることで帯電したナノミストを発生させる霧化部と、
前記浄水装置の内部の気体を移動させて風として送る送風部と、
前記霧化部で発生させた前記ナノミスト、及び前記下向きの風が当該霧化器に当たって上向きに転じた風が通るための排気側通風路と、
前記排気側通風路中又はその延長上において、微粒子が付着するよう接地されている被付着面を有する集塵部と、を備え、
前記放電部が前記送風部と前記霧化部との間に配置されていることを特徴とする浄水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、噴霧器、加湿器、及び浄水装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、コロナ放電を利用して帯電したナノミストを発生させ、そのナノミストを利用する噴霧器、加湿器、及び浄水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナ放電を利用して帯電したナノミスト(以下、単に「ナノミスト」と記載する。)を発生させる技術が知られている。コロナ放電でナノミストを発生させる技術ではモータやヒータを使用せずにナノミストを発生させることができる。また、この技術で発生させたナノミストは、非常に粒子が小さいため浮遊性が高く、放出されることで広い範囲に拡散させることができる。本出願人は、この技術を利用して発生させるナノミストのメリットを生かした機器及び装置を提案してきた(例えば、特許文献1及び2を参照)。
【0003】
図13は、本出願人が特許文献1で提案したコロナ放電でナノミストを発生させる装置の一例を示す。
図14は、本出願人が特許文献2で提案したコロナ放電でナノミストを発生させる装置の一例を示す。
【0004】
特許文献1に示す水溶性薬剤を微粒化させて放出する装置801は、図13に示すように、吸込み口827、霧化部805(ゲル状薬剤収納部)、容器内に針の両端が上下方向を向いたマイナスの高電圧が印加される針電極833、及び相手電極834(円筒電極834)を備えている。この装置801においては、吸込み口827から取り入れた気体に下向きの針電極833でコロナ放電し、下向流のイオン風を生じさせる。そして、この装置801においては、この下向流のイオン風を霧化部805に収納されている液剤W(ゲル状薬剤、又はゲル状薬剤中に取り込まれている水溶性薬剤)に当てることで液剤Wを蒸散・微粒化させてナノミストNM(微粒化物)を発生させる。そして、この装置801においては、上昇流に転じた流れに載せたナノミストNMに上向きの針電極833でさらにコロナ放電し、さらなる上向流のイオン風で上昇流を加速させて外部へ放出する。特許文献1に示す水溶性薬剤を微粒化させて放出する装置801によれば、ナノミストNMの粒子が非常に小さく拡散効果が高いため、液剤Wに応じて効果的に広範囲にわたって殺菌、芳香させることができる。
【0005】
特許文献2に示す加湿空気清浄装置901は、図14に示すように、液剤WからミストMを発生させる霧発生装置908が設けられた加湿器本体と、霧発生装置908によって発生させたミストMが導かれる部位に配置された針電極933と、相手電極934(円筒電極934)とを備えている。この装置901においては、霧化発生装置908によって発生させたミストMに針電極933を用いてコロナ放電することで、ミストMを微細化してナノミストNMを発生させるとともに、上昇のイオン風でナノミストNMの上昇流を加速させ外部に放出する。さらに、この装置901においては、ナノミストNMを送り出すように送風する送風部906(ナノミスト送風用ファン)を備えており、ナノミストNMをより強力に送り出して排出する。特許文献2に示す加湿空気清浄装置901によれば、霧発生装置908で霧化が補助され、またナノミストNMの粒子が非常に小さく拡散効果が高く、さらに送風部906によって拡散効果を高められるため、効果的に広範囲にわたって空気清浄効果をもたせて加湿することができる。なお、ミスト発生後の排気側通風路上に送風部を設け、ミストを勢いよく排出する構成の装置については、特許文献2に示す加湿空気清浄装置901以前から知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第6592797号公報
【特許文献2】特許第6473910号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示す装置における方式では、下向きのイオン風のみを利用して液剤を蒸散させてナノミストを発生させるため、放出する水分量(ナノミストの量)がある程度限られてしまう。また、特許文献1に示す装置においては、イオン風のみを利用してナノミストを放出するため、ナノミストの放出する勢いがある程度限られてしまう。
【0008】
また、特許文献2に示すに示す装置における方式では、ナノミストを送り出すように送風部を用いており、ナノミストを強力に放出することができるが特許文献1の装置とは異なり、別途超音波振動子及び超音波発信装置のような可動部を有する霧化装置を別途構成する必要がある。
【0009】
そこで、本発明は、コロナ放電を利用して帯電したナノミストをより多く発生させるとともにより拡散効果高めた、新たな方式の噴霧器、及び加湿器、並びにその新たな方式を利用した応用装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[1]本発明の噴霧器は、コロナ放電を利用して発生させたナノミストを放出する噴霧器であって、コロナ放電を行うための針電極を有し、噴霧器の外部から取り入れた気体に向けて針電極により高電圧で放電しイオン風を発生させる放電部と、放電部に高電圧を印加し、針電極による放電を制御する制御部と、液剤を貯留可能且つ放電部近傍に配置されており、貯留されている液剤にイオン風が当たることで帯電したナノミストを発生させる霧化部と、噴霧器の内部の気体を移動させて風として送る送風部と、を備え、放電部が送風部と霧化部との間に配置されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の噴霧器は、噴霧器の外部から取り入れた気体に向けて針電極により高電圧で放電しイオン風を発生させる放電部と放電部に高電圧を印加し、針電極による放電を制御する制御部とを備えており、放電部においてイオン風が発生する。また、この噴霧器は、液剤を貯留可能且つ放電部近傍に配置されている霧化部を備えており、貯留されている液剤にイオン風が当たることで帯電したナノミストを発生させる。さらに、この噴霧器は、噴霧器の内部の気体を移動させて風として送る送風部を備え、放電部が送風部と霧化部との間に配置されている。すなわち、この噴霧器は、送風部で発生させる風で後押しされて流速が高められた放電部で発生するイオン風が噴霧器に貯留された液剤に当たるよう構成されている。これにより、この噴霧器によれば、液剤の蒸散する量が多くなるため、より多くの帯電したナノミストを発生させることができる。また、この噴霧器によれば、噴霧器内の気体の流速が送風部で高められるため、より勢いよくナノミストを放出しナノミストの拡散効果を高めることができる。なお、この噴霧器によれば、コロナ放電を利用してナノミストを生成するため、粒子が非常に小さいナノミストを放出することができることはもちろんである。
【0012】
その結果、本発明の噴霧器は、コロナ放電を利用して帯電したナノミストをより多く発生させるとともにより拡散効果高めた新たな方式の噴霧器となる。
【0013】
[2]本発明の噴霧器においては、制御部は、放電部にパルス電圧を印加するよう構成しても良い。
【0014】
このように構成することで、より省電力で効率的にナノミストを発生させることが可能となる。
【0015】
[3]本発明の噴霧器においては、放電部は、それぞれに針電極を含む複数の放電ユニットを有し、放電ユニットが前記イオン風全体の中心流に対して同心円上に配置されていることが好ましい。
【0016】
このように構成することで、装置内において、より広くより均等にイオン風を発生させることができるため、より多くのナノミストを発生させることが可能となる。
【0017】
[4]本発明の噴霧器においては、使用状態において、送風部が気体を下向きの風として送る向きで配置され、送風部、放電部、及び霧化部が上下方向に重なるよう配置されていることが好ましい。
【0018】
このように構成することで、霧化部に液剤を表面露出させた状態で貯留できるとともに、液剤表面に垂直に勢いよくイオン風を当てることができるため、より多くのナノミストを発生させることが可能となる。
【0019】
[5]本発明の噴霧器においては、送風部及び放電部の周囲に、霧化部で発生させたナノミスト、及び下向きの風が霧化部に当たって上向きに転じた風が通るための排気側通風路をさらに備えることが好ましい。
【0020】
このように構成することで、発生したナノミストが排気側通風路に導かれてスムーズに流れやすくなるため、滞りなくナノミストを放出することが可能となる。
【0021】
[6]また、本発明の噴霧器においては、送風部及び放電部を囲う円筒形状の内壁筒と、内壁筒を囲う円筒形状の外壁筒と、をさらに備え、排気側通風路が内壁としての内壁筒と外壁としての外壁筒との間の空間として形成されていてもよい。
【0022】
このように構成することで、広く均等な排気側通風路にすることができ、より滞りなくナノミストを放出することが可能となる。
【0023】
[7]本発明の噴霧器においては、排気側通風路は、外壁が透明体で形成されていてもよい。
【0024】
このように構成することで、排気側通風路の内側の壁を利用した特長ある意匠を形成することが可能となる。
【0025】
[8]本発明の噴霧器においては、液剤として、水、機能水、又はゲル化状機能水が用いられる。
【0026】
このような液剤に対しイオン風を当てることにより、帯電したナノミストを発生させることができる。
【0027】
[9]本発明の加湿器は、コロナ放電を利用して発生させたナノミストを放出する加湿器であって、コロナ放電を行うための針電極を有し、加湿器の外部から取り入れた気体に向けて針電極により高電圧で放電しイオン風を発生させる放電部と、放電部に高電圧を印加し、針電極による放電を制御する制御部と、液剤を貯留可能且つ放電部近傍に配置されており、貯留されている液剤にイオン風が当たることで帯電したナノミストを発生させる霧化部と、加湿器の内部の気体を移動させて風として送る送風部と、を備え、放電部が送風部と霧化部との間に配置されていることを特徴とする。
【0028】
本発明の加湿器は、基本的には前述の噴霧器と同様の構成であるため、前述の噴霧器と同様の効果を奏する。さらに補足すると、本発明の加湿器は、放出されるミストの粒子が非常に小さく水分が空気中に溶け込みやすい。これにより、本発明の加湿器では、ナノミストが空気中を漂い広範囲に拡散しやすく、また放出したミストが空気中に溶け込めずに床等に落ちることで蒸発する際の気化熱による室温低下を引き起こすといった問題も少ない。このため本発明の加湿器によれば、無駄な液剤を使わずに快適に効率よく使用空間を加湿することができる。
【0029】
その結果、本発明の加湿器は、コロナ放電を利用して帯電したナノミストをより多く発生させるとともにより拡散効果高めた新たな方式の加湿器となる。
【0030】
[10]本発明の浄水装置は、溶液に溶解されている物質を除去して溶液を浄水する浄水装置であって、コロナ放電を行うための針電極を有し、浄水装置の外部から取り入れた気体に向けて針電極により高電圧で放電しイオン風を発生させる放電部と、放電部に高電圧を印加し、針電極による放電を制御する制御部と、放電部に高電圧を印加し、針電極による放電を制御する制御部と、溶液を貯留可能且つ放電部近傍に配置されており、貯留されている溶液にイオン風が当たることで帯電したナノミストを発生させる霧化部と、浄水装置の内部の気体を移動させて風として送る送風部と、霧化部で発生させたナノミスト、及び下向きの風が霧化器に当たって上向きに転じた風が通るための排気側通風路と、排気側通風路中又はその延長上において、微粒子が付着するよう接地されている被付着面を有する集塵部と、を備え、放電部が送風部と霧化部との間に配置されていることを特徴とする。
【0031】
本発明の浄水装置は、集塵部以外については基本的には前述の噴霧器と同様の構成であるため、ナノミストが集塵部に導かれるまでは前述の噴霧器と同様の効果を奏する。すなわち、本発明の浄水装置では、コロナ放電を利用して帯電した非常に粒子の小さいナノミストがより多く発生し集塵部に導かれる。そのうえで、本発明の浄水装置は、排気側通風路中又はその延長上において、微粒子が付着するよう接地されている被付着面を有する集塵部を備えており、ナノミストに溶け込んでいる微粒子を析出させることができる。このため、本発明の浄水装置によれば、より多く発生させたナノミストからしっかり微粒子を取り除くことができるため、物質が溶け込んでいる溶液を浄水することができる。
【0032】
その結果、本発明の浄水装置は、コロナ放電を利用して帯電したナノミストをより多く発生させる新たな方式を利用した浄水装置となる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、コロナ放電を利用して帯電したナノミストをより多く発生させるとともにより拡散効果高めた新たな方式の噴霧器、及び加湿器、並びにその新たな方式を利用した浄水装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】実施形態1における加湿器の構成を示す模式図である。
図2】実施形態1における加湿器の上面図である。
図3】実施形態1における放電ユニットの配置図である。
図4】実施形態1における放電ユニットの側面図である。
図5】実施形態1における制御部による制御電圧を示す図である。
図6】実施形態1における放電ユニットを用いた加湿実験結果を示すグラフである。
図7】実施形態2における加湿器の構成を示す模式図である。
図8】実施形態2における吸気側放電ユニットの配置図である。
図9】実施形態2における吸気側放電ユニットの側面図である。
図10】実施形態2における排気側放電ユニットの側面図である。
図11】実施形態3における浄水装置の構成を示す模式図である。
図12】その他の実施形態における噴霧器の構成を示す模式図である。
図13】特許文献1に示す水溶性薬剤を微粒化させて放出する装置を説明する図である(従来技術)。
図14】特許文献2に示す加湿空気清浄装置を説明する図である(従来技術)。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態である噴霧器について説明するが、本発明は、これらの実施形態に限定されるわけではない。なお、各図面は必ずしも実際の寸法を厳密に反映したものではない。また、本明細書においては、使用時に水平面に設置された噴霧器の姿勢を基準に「上下方向」及び「水平方向」といった方向を用いて説明する場合がある。
【0036】
[実施形態1]
(1-1.加湿器1の構成)
図1は、実施形態1における加湿器1の構成を示す模式図である。図2は、実施形態1における加湿器1の上面図である。図3は、実施形態1における放電ユニットの配置図である。図4は、実施形態1における放電ユニットの側面図である。図5は、実施形態1における制御部による制御電圧を示す図である。
【0037】
本発明に係る噴霧器については、滅菌器、アロマディフューザ等、さまざまな機器に応用できるが、本実施形態においては、室内を加湿するための優れた特性を活かして加湿器1として構成した一例を説明する。加湿器1は、図1に示すように、筐体2を有し筐体2の内部空間でコロナ放電を利用して水等の液剤WからナノミストNMを発生させ、そのナノミストNMを筐体2の外部へ放出する噴霧器である。加湿器1は、筐体2の内部に、コロナ放電を行う放電部3と、放電部3に高電圧を印加する制御部4と、霧化させる液剤Wを貯留可能な霧化部5と、筐体2内部で送風する送風部6と、を備えている。
【0038】
筐体2は、内壁筒21と、内壁筒21を囲う外壁筒22と、内壁筒21及び外壁筒22の上方の開口を覆う天板23と、内壁筒21及び外壁筒22の下方の開口を覆う底板24とを有しており、全体的には外形略円柱状の筐体である。
【0039】
内壁筒21は、上下方向に一直線に延びた円筒形状を有し、内側に内壁面に囲われた空間である吸気側通風路25が形成されている(図3も参照)。内壁筒は、例えば、アルミ材、樹脂材、ガラス材等で形成されればよいが、本実施形態の内壁筒21は、アルミ材で形成されている。
【0040】
外壁筒22は、内壁筒21と同軸で上下方向に一直線に延びた円筒形状を有し、内周面と内壁筒21の外周面との間に空間である排気側通風路26が形成されている(図3も参照)。外壁筒22は、上下方向の長さ(高さ)が内壁筒21の上下方向の長さ(高さ)と同等になるよう形成されている。外壁筒は、例えば、アルミ材、樹脂材、ガラス材等で形成されればよいが、本実施形態の外壁筒22は、透明なアクリル材(透明体)で形成されている。これにより、加湿器1では、外壁筒22を透過させて、内壁筒21の外周面を視認することが可能である。
【0041】
天板23は、水平方向に広がる円盤形状を有し、内壁筒21及び外壁筒22の上方開口に蓋をするようにして、内壁筒21及び外壁筒22の上端に固定されている。天板23の外径寸法は、外壁筒22の外径寸法と同等に形成されている。天板は、例えば、アルミ材、樹脂材、ガラス材等で形成されればよいが、本実施形態の天板23は、アルミ材で形成されている。天板23には、操作ボタン(不図示)が配置されている。天板23には、上面から下面まで貫通し、吸気側通風路25と重なる位置において円環に沿って整列した複数の吸気孔27が形成されている(図2も参照)。また、天板23には、上面から下面まで貫通し、排気側通風路26と重なる位置において円環に沿って整列した複数の排気孔28が形成されている(図2も参照)。なお、排気孔28は、当ピッチで円環に沿って整列した円形の上側座繰りと、上側座繰りと同様のピッチで円環に沿って整列するとともに上側座繰りとの位置が半ピッチずれている下側座繰りとの重なり部分として形成されている。これにより、排気孔28については、両面切削加工が可能な装置で製造することで工数を削減して形成することができるうえ、意匠性の高い貫通孔となっている。
【0042】
底板24は、水平方向に広がる円盤形状を有し、内壁筒21及び外壁筒22の下方開口に蓋をするようにして、内壁筒21及び外壁筒22の下端に固定されている。底板24の外径寸法は、外壁筒22の外径寸法と同等に形成されている。底板は、例えば、アルミ材、樹脂材、ガラス材等で形成されればよいが、本実施形態の底板24は、アルミ材で形成されている。底板24には、上面から下面まで貫通し、吸気側通風路25と重なる位置、及び排気側通風路26と重なる位置において複数の通気孔が形成されている。これにより、底板24の下面側で吸気側通風路25と排気側通風路26とが連通している。
【0043】
放電部3は、コロナ放電を行うための放電ユニット31を有している。放電部では放電ユニットの数をその後に発生させるナノミストNMの量等に応じて適宜設定すればよいが、本実施形態の放電部3は、図3に示すよう二つの放電ユニット31を有している。放電部3において、二つの放電ユニット31は、放電部3の中心軸L1を中心とした放電ユニット配置架空円C1に沿って、均等に配置されている。
【0044】
放電ユニット31は、底板24の上面に固定されている。放電ユニット31は、高電圧で放電するための放電プラグ32を有している。放電ユニットでは放電プラグの数をその後に発生させるナノミストNMの量等に応じて適宜設定すればよいが、本実施形態の放電ユニット31は、図3に示すよう三つの放電プラグ32を有している。放電ユニット31において、三つの放電プラグ32は、放電ユニット31の中心軸L2を中心とした針電極配置架空円C2に沿って、均等に配置されている。
【0045】
放電プラグ32は、針状の針電極33を有し、放電プラグ固定ベース35に下向きに固定されている。放電プラグ32の下方にはそれぞれの放電プラグ32に対応する円筒状の相手電極34(円筒電極34)が相手電極固定ベース36に固定配置されており、放電部3においては、下向きに突出する針電極33から相手電極34に向けて加湿器1の外部から取り入れた気体を介し、高電圧で放電することで下向きのイオン風を発生させる。発生するイオン風は相手電極34の内側を抜けて下方の霧化部5へ向かう。放電プラグ32には-4,000V~-15,000Vのマイナスの高電圧が印加される。正放電よりも負放電の方が高い流速のイオン風を得やすい。但し、必要に応じてプラスの高電圧を印加するよう構成されていてもよい。
【0046】
制御部4は、いわゆる電子部品が配置された電子基板であり、後述の送風部6の上方において筐体2の内壁筒21内側に収まる位置に配置されており、内壁筒21の内壁に固定されている。制御部4は、後述の送風部6や放電部3に電源を供給するよう、送風部6や放電部3と電気的に繋がっている。制御部4は、前述したように放電部3における針電極33に高電圧を印加し、針電極33による放電を制御する。制御部は、針電極に対し図5(a)に示すような直流電圧を印加するよう構成されていてもよいが、実施形態の制御部4は、針電極33に対し図5(b)に示すようなパルス電圧を印加するよう構成されている。
【0047】
霧化部5は、図1に示すように、筐体2と同様の外径の有底円筒形状を有しており、液剤Wを貯留可能な容器である。霧化部5は、筐体2の直下で、放電部3の近傍に配置されている。このような配置により、霧化部5では、貯留されている液剤Wに放電部3で発生したイオン風が当たると、液剤Wが蒸散しナノミストNMが発生する。霧化部5に貯留させる液剤Wとしては、水、並びに芳香成分や除菌成分や消臭成分から選ばれた1種以上の成分を含む機能水が選ばれる。また、加湿器1に用いられる液剤Wとしては、液体のものが採用されているが、高吸水性樹脂等により多量の水や水溶性薬剤を吸収してゲル化状になったものを採用してもよい。
【0048】
送風部6は、いわゆる送風ファンであり、加湿器1の内部の気体を移動させて風として送る。送風部6は、放電部3の上方において筐体2の内壁筒21内側に収まる位置に配置されており、内壁筒21の内壁に固定されている。送風部6は、気体を下向きの風として送る向きで配置されている。送風ファンとしては、例えば、プロペラタイプのファンやシロッコタイプのファンを採用できる。
【0049】
このように構成された加湿器1においては、送風部6、放電部3、及び霧化部5が上下方向に重なるよう配置されているとともに、放電部3が送風部6と霧化部5との間に配置されている。また、加湿器1においては、送風部6及び放電部3の周囲に、排気側通風路26が形成されている。加湿器1においては、吸気孔27から吸い込まれ吸気側通風路25を流れる下向きの風が霧化部5に当たって上向きに転じる風と霧化部5で発生させたナノミストNMとが排気側通風路26通り、排気孔28から放出される。この際、加湿器1においては、吸気側通風路25を流れる下向きの風が送風部6及び放電部3で発生するイオン風で加速されることで、霧化部5でのナノミストNMの発生量が増加しているとともに霧化部5に当たって上向きに転じる風の風速が高められている。加湿器1が霧化部5で発生するナノミストNMは、粒径が300nm以下で超微小である。
【0050】
(1-2.加湿器1の加湿効果)
図6は、実施形態1における放電ユニット31を用いた加湿実験結果を示すグラフである。
【0051】
加湿器1は、上述のように霧化部5で発生するナノミストNMの粒径が300nm以下で超微小である。このため、加湿器1で放出したナノミストNMは、放出した室内空間の空気中にすぐに溶け込み、通常の3μm以上の粒径のミストを放出するような加湿器と比べ僅かな量で効果的に室内を加湿する。これを裏付けるように、-3kVを印加した放電ユニット31を用いての1mの空間における加湿効果は、図6に示す通りとなる。これからわかるように、放電ユニット31で発生させるナノミストNMは、全体的に空間内の含有水蒸気量D2を上昇させていき、相対湿度D3を上昇させていく。この際、驚くべきことに、放電ユニット31で発生させるナノミストNMは、空間内の温度D1を、ほとんど変化させない。これは、ナノミストNMの粒径が超微小であり空気中にすぐに溶け込みやすく、溶け込めなかったとしても空気中に長く浮遊できることから、一旦床に落ちて蒸発する際の気化熱が奪われることにより空間温度を低下させる現象を起こさせ難いためだと考えられる。なお、この実験において、350分間に放出した水量は、わずか3.864gである。よって、加湿器1は、室内温度を低下させずに室内空間を少ない水の量で加湿する優れた加湿器として構成されている。
【0052】
(1-3.実施形態1における作用・効果)
加湿器1は、その外部から取り入れた気体に向けて針電極33により高電圧で放電しイオン風を発生させる放電部3と、放電部3に高電圧を印加し、針電極33による放電を制御する制御部4とを備えており、放電部3においてイオン風が発生する。また、加湿器1は、液剤Wを貯留可能且つ放電部3近傍に配置されている霧化部5を備えており、貯留されている液剤Wにイオン風が当たることで帯電したナノミストNMを発生させる。さらに、加湿器1は、その内部の気体を移動させて風として送る送風部6を備え、放電部3が送風部6と霧化部5との間に配置されている。すなわち、加湿器1は、送風部6で発生させる風で後押しされて流速が高められた放電部3で発生するイオン風が加湿器1に貯留された液剤Wに当たるよう構成されている。これにより、加湿器1によれば、液剤Wの蒸散する量が多くなるため、より多くのナノミストNMを発生させることができる。また、加湿器1によれば、加湿器1内の気体の流速が送風部6で高められるため、より勢いよくナノミストNMを放出しナノミストNMの拡散効果を高めることができる。なお、加湿器1によれば、コロナ放電を利用してナノミストNMを生成するため、粒子が非常に小さいナノミストNMを放出することができることはもちろんである。
【0053】
さらに補足すると、加湿器1は、放出されるミストの粒子が非常に小さく水分が空気中に溶け込みやすい。これにより、加湿器1では、ナノミストNMが空気中を漂い広範囲に拡散しやすく、また放出したミストが空気中に溶け込めずに床等に落ちることで蒸発する際の気化熱による室温低下を引き起こすといった問題も少ない。このため加湿器1によれば、無駄な液剤Wを使わずに快適に効率よく使用空間を加湿することができる。
【0054】
その結果、加湿器1は、コロナ放電を利用して帯電したナノミストNMをより多く発生させるとともにより拡散効果高めた新たな方式の噴霧器となる。
【0055】
加湿器1においては、制御部4は、放電部3にパルス電圧E2を印加するよう構成されている。これにより、より省電力で効率的にナノミストNMを発生させることが可能となる。
【0056】
加湿器1においては、放電部3は、それぞれに針電極33を含む複数の放電ユニット31を有し、放電ユニット31がイオン風全体の中心流に対して放電ユニット配置架空C1上に配置されている。これにより、装置内において、より広くより均等にイオン風を発生させることができるため、より多くのナノミストNMを発生させることが可能となる。
【0057】
加湿器1においては、使用状態において、送風部6が気体を下向きの風として送る向きで配置され、送風部6、放電部3、及び霧化部5が上下方向に重なるよう配置されている。これにより、霧化部5に液剤Wを表面露出させて状態で貯留できるとともに、液剤W表面に垂直に勢いよくイオン風を当てることができるため、より多くのナノミストNMを発生させることが可能となる。
【0058】
加湿器1においては、送風部6及び放電部3の周囲に、霧化部5で発生させたナノミストNM、及び下向きの風が霧化部5に当たって上向きに転じた風が通るための排気側通風路26をさらに備えている。これにより、発生したナノミストNMが排気側通風路26に導かれてスムーズに流れやすくなるため、滞りなくナノミストNMを放出することが可能となる。
【0059】
加湿器1においては、送風部6及び放電部3を囲う円筒形状の内壁筒21と、内壁筒21を囲う円筒形状の外壁筒22と、をさらに備え、排気側通風路26が内壁としての内壁筒21と外壁としての外壁筒22との間の空間として形成されている。これにより、広く均等な排気側通風路26にすることができ、より滞りなくナノミストNMを放出することが可能となる。
【0060】
加湿器1においては、排気側通風路26は、外壁が透明体で形成されている。これにより、排気側通風路26の内側の壁を利用した特長ある意匠を形成することが可能となる。
【0061】
加湿器1においては、液剤Wとして、水、機能水、又はゲル化状機能水が用いられる。このような液剤に対しイオン風を当てることにより、帯電したナノミストNMを発生させることができる。
【0062】
[実施形態2]
図7は、実施形態2における加湿器101の構成を示す模式図である。図8は、実施形態2における第1の放電ユニット131の配置図である。図9は、実施形態2における第1の放電ユニット131の側面図である。図10は、実施形態2における第2の放電ユニット231の側面図である。
【0063】
実施形態2における加湿器101は、室内空間を加湿するための加湿器である。実施形態2における加湿器101は、基本的には実施形態1の加湿器1と同様の構成を有するが、放電部の構成が加湿器1と異なる。すなわち、図7に示すように、実施形態1の加湿器1が吸気側通風路25に放電ユニット31を有する放電部3を備えていたのに対し、加湿器101は、吸気側通風路25に放電ユニット31とは構成が異なる吸気側放電ユニット131を有する吸気側放電部103備えているとともに、排気側通風路26にも排気側放電ユニット231を有する排気側放電部203を備えている。以下において、放電部(吸気側放電部103及び排気側放電部203)以外の構成については実施形態1の加湿器1と同様であるため、図面に実施形態1で用いた図と同じ符号を付して説明を省略する。
【0064】
吸気側放電部103は、コロナ放電を行うための吸気側放電ユニット131を有している。
【0065】
吸気側放電ユニット131は、実施形態1の放電ユニットと同様に底板24の上面に固定されている。吸気側放電ユニット131は、高電圧で放電するための放電プラグ32を有している。吸気側放電ユニットでは放電プラグ32の数をその後に発生させるナノミストNMの量等に応じて適宜設定すればよいが、実施形態2の吸気側放電ユニット131は、図8に示すよう所定の間隔で整列された4本の細長い角棒状の放電プラグ固定ベース135を有しており、それぞれの放電プラグ固定ベース135には、ある程度狭い間隔且つ等間隔で放電プラグ32が4本配置されている。すなわち、吸気側放電ユニット131には、放電プラグ32が4×4のマトリックス状に配置されている。
【0066】
また、吸気側放電ユニット131は、放電プラグ32の放電先として針電極33が伸びる方向に広がる金属板状の吸気側相手電極134(プレート電極134)を複数枚有している。放電ユニットではプレート電極を放電プラグに対応させて配置すればよいが、実施形態2の吸気側放電ユニット131においては、図8に示すような平面視において、1列(4本)の放電プラグ32の各列間及び外側に吸気側相手電極134が等間隔で平行に5枚配置されている。5枚の相手電極134(プレート電極134)は、各相手電極134間に配置されたプレート連結スタッド136で繋がり一体化している。
【0067】
プレート電極は、1枚で複数本の針電極33と対応するように設けることが集積度を高める上で好ましく、実施形態2の吸気側相手電極134では、図9に示すように、1枚で4本の針電極33と対応している(1列の針電極の両側に配置されているため、2枚で4本の針電極33と対応しているともいえる)。吸気側相手電極134は、図9に示すように、針電極33の下方に配置されるが、その針電極33に近い側の稜線形状が波型となっている。さらに詳しくは、この稜線形状は、針電極33に近い部分134aが高く針電極33から遠い部分134bが低くなっている。また、この稜線形状は、針電極33に近い部分134a周りが緩やかな曲線状であり、針電極33から最も遠い部分134bが尖った変曲点となっている。これは、稜線部分に水分が付着した場合に、水分が針電極33から遠ざかるように流れ、針電極33に近い部分に水分が溜まりにくく、放電プラグ32からしっかり放電させるための工夫である。
【0068】
排気側放電部203は、コロナ放電を行うための排気側放電ユニット231を有している。
【0069】
排気側放電ユニット231は、排気側通風路26中に固定されている。排気側放電ユニット231は、高電圧で放電するための放電プラグ32と、放電プラグ32の放電先として針電極33が伸びる方向に広がる金属板状の排気側相手電極234(プレート電極234)を有している。排気側放電ユニット231は、排気側相手電極234の稜線形状以外、基本的には針電極33が上方に向かって伸びている吸気側放電ユニット131を上下反転させた構造となっている。このため、以下の説明では、排気側相手電極234の稜線形状についてのみ説明し、その他の説明を省略する。
【0070】
排気側相手電極234は、図10に示すように、針電極33の上方に配置されるが、その針電極33に近い側の稜線形状が波型となっている。さらに詳しくは、この稜線形状は、針電極33に近い部分234aが高く針電極33から遠い部分234bが低くなっている。また、この稜線形状は、針電極33に近い部分234a周りが緩やかな曲線状であり、針電極33から最も遠い部分234bが尖った変曲点となっている。これは、稜線部分に水分が付着した場合に、水分が針電極33から遠ざかるように流れ、針電極33に近い部分に水分が溜まりにくく、放電プラグ32からしっかり放電させるための工夫である。
【0071】
実施形態2の加湿器101によれば、吸気側通風路25に配置された吸気側放電部103の他排気側放電部203も備えているため、霧化部5で発生したナノミストNMに対して、排気側放電部203でさらにコロナ放電を行うことでイオン風がより強められるため、ナノミストNMの拡散効果をより高めることができる。
【0072】
吸気側放電ユニット131又は排気側放電ユニット231によれば、複数本の針電極33に対応するようなプレート状の吸気側相手電極134又は排気側相手電極234を有しているため、針電極33を密に配置でき、イオン風の量、スピード、を増強させ、多くのナノミストを発生させることが可能となる。また、吸気側放電ユニット131又は排気側放電ユニット231によれば、複数本の針電極33に対応するようなプレート状の吸気側相手電極134又は排気側相手電極234を有しているため、部品点数、組み込み工数を削減することが可能となる。
【0073】
なお、吸気側放電ユニット131又は排気側放電ユニット231では、放電プラグ32が4×4のマトリックス状に配置されているものと説明したが、放電ユニットにおいてはこの配置に限定されるものではなく、例えば放電プラグが周状に配置されているものでもよく、千鳥状に配置されているものでもよい。また、それに合わせて相手電極のプレート形状を変形させ、一枚当たりに対応する放電プラグ数を調整すればよい。
【0074】
[実施形態3]
図11は、実施形態3における浄水装置301の構成を示す模式図である。
【0075】
実施形態3における浄水装置301は、溶液Wに溶解されている物質を除去して溶液を浄水する浄水装置である。実施形態3における浄水装置301は、基本的には実施形態1の加湿器1と同様の構成を有するが、集塵部8をさらに備えている点が加湿器1と異なる。すなわち、浄水装置301は、実施形態1の加湿器1の内部構成と同様、筐体2、放電部3、制御部(不図示)、霧化部5、及び送風部6を備えており、さらに、筐体2の排気孔28の上方、に集塵部8を備えている。以下において、筐体2、放電部3、制御部(不図示)、霧化部5、及び送風部6の構成については実施形態1の加湿器1と同様であるため、説明を省略し、異なる構成の集塵部8についてのみ説明する。
【0076】
集塵部8は、排気側通風路26中又はその延長上において、微粒子が付着するよう接地(アース)されている被付着面81aを含む付着板81を備えている。付着板81は、板状に形成されたアルミニウム当の金属板によって構成されている。付着板81は、上下方向又は水平方向に対し、傾斜して配置されている。
【0077】
このように構成された浄水装置301は、集塵部8以外については基本的には実施形態1の加湿器1と同様の構成であるため、ナノミストNMが集塵部8に導かれるまでは前述の加湿器1と同様の効果を奏する。すなわち、浄水装置101では、コロナ放電を利用して生成した非常に粒子の小さいナノミストNMがより多く発生し、集塵部8に導かれる。そのうえで、浄水装置101は、排気側通風路26中又はその延長上において、微粒子が付着するよう接地されている被付着面81aを有する集塵部8を備えており、ナノミストNMに溶け込んでいる微粒子を析出させることができる。このため、浄水装置101によれば、より多く発生させたナノミストNMからしっかり微粒子を取り除くことができるため、物質が溶け込んでいる溶液を浄水することができる。
【0078】
その結果、浄水装置301は、コロナ放電を利用して帯電したナノミストNMをより多く発生させる新たな方式を利用した浄水装置となる。
【0079】
[その他の形態]
(1)上記実施形態において記載した構成要素の数、材質、形状、位置、大きさ、角度等は例示であり、本発明の効果を損なわない範囲において変更することが可能である。
【0080】
(2)上記した実施形態において、吸気孔27及び排気孔28については天板23に形成されているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、次のような配置であってもよい。
【0081】
図12は、その他の実施形態における噴霧器の構成を示す模式図である。図12に示す噴霧器401は、基本的には実施形態1の加湿器1と同様の構成を有するが、吸気孔及び排気孔の位置が加湿器1と異なる。すなわち、噴霧器401は、吸気孔427及び排気孔428が筐体2の側面に形成されている。
【0082】
(3)上記した実施形態において、加湿器1が円柱形状を構成するものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、直方体形状であっても良いし、表面に凹凸があってもよい。
【0083】
(4)上記した実施形態において、放電ユニット31は、放電部3の中心軸L1を中心とした放電ユニット配置架空円C1に沿って、均等に配置されており、放電プラグ32は、放電ユニット31の中心軸L2を中心とした針電極配置架空円C2に沿って、均等に配置されているものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、放電ユニットが単数であってもよいし、放電プラグが単数であってもよい。
【0084】
(5)上記した実施形態において、噴霧器として、加湿器1及び浄水装置101を例に挙げて説明したが、本発明の概念はこれらの例のように、発生させたナノミストNMを利用するものに限定されない。本発明は、例えば、霧化部を被乾燥物の配置部として構成することで、乾燥器として利用できる。
【0085】
(6)上記した実施形態において、一例として外壁筒22が透明体であるものとして説明したがこのことについて補足する。このように外壁筒を透明体にすれば、例えば、外壁筒の端部にLED等の発光素子を配置して導光筒として用いて優れた意匠を形成することも可能となる。またこのように外壁筒を透明体にすれば、例えば、透けて見える内壁筒の表面をデザインしたり発光させたりすることで優れた意匠を形成することも可能となる。
【符号の説明】
【0086】
1,101‥加湿器(噴霧器)、2‥筐体、3‥放電部、4‥制御部、5‥霧化部、6‥送風部、8‥集塵部、21‥内壁筒、22‥外壁筒、23‥天板、24‥底板、25‥吸気側通風路、26‥排気側通風路、27,427‥吸気孔、28,428‥排気孔、31‥放電ユニット、32‥放電プラグ、33‥針電極、34‥相手電極、103‥吸気側放電部、131‥吸気側放電ユニット、134‥吸気側相手電極、203‥排気側放電部、231‥排気側放電ユニット、234‥排気側相手電極、301‥浄水装置、401‥噴霧器,C1‥放電ユニット配置架空円、C2‥針電極配置架空円、D1‥温度、D2‥含有水蒸気量、D3‥相対湿度、E2‥パルス電圧、NM‥ナノミスト、W‥液剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14