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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075869
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】運動装置及び運動機器
(51)【国際特許分類】
   A63B 23/04 20060101AFI20230524BHJP
   A63B 24/00 20060101ALI20230524BHJP
   A61H 1/02 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
A63B23/04 Z
A63B23/04 A
A63B24/00
A61H1/02 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189046
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】000175766
【氏名又は名称】三恵技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109243
【弁理士】
【氏名又は名称】元井 成幸
(72)【発明者】
【氏名】山中 貴
(72)【発明者】
【氏名】狩野 篤
(72)【発明者】
【氏名】神藤 和生
【テーマコード(参考)】
4C046
【Fターム(参考)】
4C046AA45
4C046BB09
4C046DD02
4C046DD16
4C046DD39
4C046FF13
(57)【要約】
【課題】使用者の足や足関節に複合動作の運動を付与することができ、使用者の歩行能力の維持や改善に資する運動装置を提供する。
【解決手段】足載せ部22が収容され、第1軸の軸周りに傾動可能な第1の傾動体2と、第1の傾動体2に外装して取り付けられ、第1軸とは軸方向が異なる第2軸の軸周りに傾動可能な第2の傾動体3と、第1の傾動体2の下側で第2の傾動体3に内装される第1のモータ25の駆動力を第1の傾動体2を傾動するように伝達する第1の動力伝達機構と、第2のモータ35の駆動力を第2の傾動体3を傾動するように伝達する第2の動力伝達機構を備え、記憶部62に格納される運動装置制御プログラムに従う制御部61が第1のモータ25と第2のモータ35の駆動を制御する運動装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口から挿入される使用者の足が載置される足載せ部が収容され、第1軸の軸周りに傾動可能な第1の傾動体と、
前記第1の傾動体に外装して取り付けられ、前記第1軸とは軸方向が異なる第2軸の軸周りに傾動可能な第2の傾動体と、
前記第1の傾動体の下側で前記第2の傾動体に内装される第1のモータの駆動力を前記第1の傾動体を傾動するように伝達する第1の動力伝達機構と、
第2のモータの駆動力を前記第2の傾動体を傾動するように伝達する第2の動力伝達機構とを備え、
記憶部に格納される運動装置制御プログラムに従う制御部が前記第1のモータと前記第2のモータの駆動を制御することを特徴とする運動装置。
【請求項2】
前記第2の傾動体に外装して取り付けられ、前記第1軸と前記第2軸の双方と軸方向が異なる第3軸の軸周りに傾動可能な第3の傾動体と、
第3のモータの駆動力を前記第3の傾動体を傾動するように伝達する第3の動力伝達機構とを備え、
前記第2のモータが前記第3の傾動体に内装されると共に、
前記制御部が前記第1のモータと前記第2のモータと前記第3のモータの駆動を制御することを特徴とする請求項1記載の運動装置。
【請求項3】
前記第1の動力伝達機構と前記第2の動力伝達機構のそれぞれが歯車機構で構成される、又は、前記第1の動力伝達機構と前記第2の動力伝達機構と前記第3の動力伝達機構のそれぞれが歯車機構で構成されることを特徴とする請求項1又は2記載の運動装置。
【請求項4】
前記第1の傾動体と前記第2の傾動体との対向面が略球状で形成されて近接配置されている、又は、前記第1の傾動体と前記第2の傾動体との対向面が略球状で形成されて近接配置され且つ前記第2の傾動体と前記第3の傾動体との対向面が略球状で形成されて近接配置されていることを特徴とする請求項1~3の何れかに記載の運動装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れかに記載の運動装置が、使用者の左右の足に対応して一対で設けられていることを特徴とする運動機器。
【請求項6】
前記第3の傾動体を備える請求項2~4の何れかに記載の運動装置が、使用者の左右の足に対応して一対で設けられ、
それぞれの前記第3の傾動体を傾動させる前記第3のモータが共用され、
それぞれの前記第3の傾動体を傾動させるように共用された前記第3のモータの駆動力を伝達する前記第3の動力伝達機構の一部が、それぞれの前記第3の傾動体に対して共用されていることを特徴とする運動機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の下肢に他動で運動を付与する運動装置及び運動機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、使用者の下肢に他動で運動を付与する運動装置として特許文献1の運動装置がある。特許文献1の運動装置は、爪先部を上にした足載せ板の踵部にロッドの上端を固定し、ロッドの中間部上方に形成された球形部を筐体天板の球面軸受で支持し、モータの駆動でロッドの下端部を回転させることで足載せ板を回転させ、踵を中心として足を旋回させる運動を使用者に付与するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-190235号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の運動装置は、水平面内の回転によって使用者に踵を中心として足を旋回させる足首回し運動を付与することができるものの、使用者の足や足関節に複合動作の運動を付与することはできない。使用者の足や足関節に複合動作をさせることは、使用者の足関節等の下肢の関節全体の柔軟性を高めることができると共に、使用者の下肢の筋力を向上することができ、使用者の良好な歩行能力の維持や改善に非常に重要であるため、斯様な運動を使用者に付与することができる運動装置が求められている。
【0005】
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、使用者の足や足関節に複合動作の運動を付与することができ、使用者の歩行能力の維持や改善に資する運動装置及び運動機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の運動装置は、開口から挿入される使用者の足が載置される足載せ部が収容され、第1軸の軸周りに傾動可能な第1の傾動体と、前記第1の傾動体に外装して取り付けられ、前記第1軸とは軸方向が異なる第2軸の軸周りに傾動可能な第2の傾動体と、前記第1の傾動体の下側で前記第2の傾動体に内装される第1のモータの駆動力を前記第1の傾動体を傾動するように伝達する第1の動力伝達機構と、第2のモータの駆動力を前記第2の傾動体を傾動するように伝達する第2の動力伝達機構とを備え、記憶部に格納される運動装置制御プログラムに従う制御部が前記第1のモータと前記第2のモータの駆動を制御することを特徴とする。
これによれば、使用者の足や足関節に多様な方向の複合動作の運動を付与することができ、足関節、膝関節、股関節等の下肢の関節全体について柔軟性、関節可動域を高めることができる。従って、使用者の良好な歩行能力の維持や、歩行能力が低下した使用者の歩行能力の改善に資することができる。また、第1の傾動体と傾動方向の異なる第2の傾動体を第1の傾動体に外装することにより、第1軸と第2軸が略交差する点を略中心とする複合動作を使用者の足や足関節に付与することができ、無理な動作や負荷の高すぎる動作が使用者の足や足関節に付与されることを防止し、使用者の安全性を確保することができる。また、第1の傾動体を傾動させる第1のモータを第1の傾動体に外装される第2の傾動体に内装することにより、第1のモータの駆動力を第1の傾動体に伝達する第1の動力伝達機構の構造をより単純化することができ、製造コストの低減や故障の防止を図ることができる。
【0007】
本発明の運動装置は、前記第2の傾動体に外装して取り付けられ、前記第1軸と前記第2軸の双方と軸方向が異なる第3軸の軸周りに傾動可能な第3の傾動体と、第3のモータの駆動力を前記第3の傾動体を傾動するように伝達する第3の動力伝達機構とを備え、前記第2のモータが前記第3の傾動体に内装されると共に、前記制御部が前記第1のモータと前記第2のモータと前記第3のモータの駆動を制御することを特徴とする。
これによれば、使用者の足や足関節に3次元的なより多様な方向の複合動作の運動を付与することができ、足関節、膝関節、股関節等の下肢の関節全体について柔軟性、関節可動域をより高めることができる。また、第1の傾動体と傾動方向の異なる第2の傾動体を第1の傾動体に外装し、第1の傾動体及び第2の傾動体と傾動方向の異なる第3の傾動体を第2の傾動体に外装することにより、第1軸と第2軸と第3軸が略交差する点を略中心とする複合動作を使用者の足や足関節に付与することができ、無理な動作や負荷の高すぎる動作が使用者の足や足関節に付与されることを防止し、使用者の安全性を確保することができる。また、第2の傾動体を傾動させる第2のモータを第2の傾動体に外装される第3の傾動体に内装することにより、第2のモータの駆動力を第2の傾動体に伝達する第2の動力伝達機構の構造をより単純化することができ、製造コストの低減や故障の防止を図ることができる。
【0008】
本発明の運動装置は、前記第1の動力伝達機構と前記第2の動力伝達機構のそれぞれが歯車機構で構成される、又は、前記第1の動力伝達機構と前記第2の動力伝達機構と前記第3の動力伝達機構のそれぞれが歯車機構で構成されることを特徴とする。
これによれば、動力伝達機構を歯車機構とすることにより、制御部の駆動制御に対応する意図した角度で傾動体を確実に傾動することができる。
【0009】
本発明の運動装置は、前記第1の傾動体と前記第2の傾動体との対向面が略球状で形成されて近接配置されている、又は、前記第1の傾動体と前記第2の傾動体との対向面が略球状で形成されて近接配置され且つ前記第2の傾動体と前記第3の傾動体との対向面が略球状で形成されて近接配置されていることを特徴とする。
これによれば、異なる傾動体が異なる軸周りで傾動する際の傾動体相互の干渉を確実に防止することができると共に、異なる傾動体の異なる軸周りの傾動動作をより省スペースで行うことができる。
【0010】
本発明の運動機器は、本発明の運動装置が、使用者の左右の足に対応して一対で設けられていることを特徴とする。
これによれば、使用者の両足や両方の足関節に複合動作の運動を同時に付与することができる。
【0011】
本発明の運動機器は、前記第3の傾動体を備える請求項2~4の何れかに記載の運動装置が、使用者の左右の足に対応して一対で設けられ、それぞれの前記第3の傾動体を傾動させる前記第3のモータが共用され、それぞれの前記第3の傾動体を傾動させるように共用された前記第3のモータの駆動力を伝達する前記第3の動力伝達機構の一部が、それぞれの前記第3の傾動体に対して共用されていることを特徴とする。
これによれば、使用者の両足や両方の足関節に複合動作の運動を同時に付与することができる。また、一対の第3の傾動体を傾動させる第3のモータと第3の動力伝達機構の一部を共用することにより、製造コストの低減や運動機器の小型化を図ることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の運動装置或いは運動機器によれば、使用者の足や足関節に複合動作の運動を付与することができ、使用者の歩行能力の維持や改善に資することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明による実施形態の運動装置を備える運動機器の斜視図。
図2】実施形態の運動装置を備える運動機器の側面図。
図3】実施形態の運動装置を備える運動機器の平面図。
図4】実施形態の運動装置を備える運動機器における制御装置のブロック図。
図5】(a)~(c)は実施形態の運動機器における第1の傾動体の傾動動作を説明する模式正面説明図。
図6】(a)~(c)は実施形態の運動機器における第2の傾動体の傾動動作を説明する模式側面説明図。
図7】(a)~(c)は実施形態の運動機器における第3の傾動体の傾動動作を説明する模式平面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施形態の運動装置を備える運動機器〕
本発明による実施形態の運動装置を備える運動機器1は、図1図3に示すように、第1軸の軸周りに傾動可能な第1の傾動体2と、第1の傾動体2に外装して取り付けられ、第1軸とは軸方向が異なる第2軸の軸周りに傾動可能な第2の傾動体3と、第2の傾動体3に外装して取り付けられ、第1軸と第2軸の双方と軸方向が異なる第3軸の軸周りに傾動可能な第3の傾動体4を備える。本実施形態の運動機器1では、第1の傾動体2と第2の傾動体3と第3の傾動体4とから構成される運動装置が使用者の左右の足に対応して一対で設けられている。
【0015】
第1の傾動体2は、略ドーム形状で形成され、その上部には水平面に対して傾斜するように開口縁が形成された開口21が設けられている。第1の傾動体2には、傾斜する開口縁の低い位置において開口21から一部が突出するように足載せ部22が収容されており、足載せ部22は第1の傾動体2に固定されている。足載せ部22には、開口21から挿入される運動機器1の使用者の足が載置されるようになっている。
【0016】
第1の傾動体2には、足載せ部22の下側で第1軸を構成する棒状の回転軸部23が固定されており、回転軸部23は使用者の足のつま先から踵に向かう方向(以下、前後方向という)を軸方向にするように配置されている。回転軸部23の両端は、第2の傾動体3の内面に形成された軸支穴31に挿入され、回動自在或いは傾動自在に支持されている。また、回転軸部23には、例えば略半円形の平歯車のような歯車24が固定されている。
【0017】
第1の傾動体2の下側には、第1のモータ25が設けられ、第1のモータ25は第2の傾動体3に内装されて固定されている。第1のモータ25のシャフトには平歯車のような歯車26が取り付けられており、歯車26は回転軸部23に固定された歯車24と&#22169;み合わされている。即ち、第1のモータ25が駆動すると、歯車26と歯車24を介して回転軸部23とこれに固定された第1の傾動体2が左右に傾動するようになっており(図5参照)、歯車26と歯車24の歯車機構は第1のモータ25の駆動力を第1の傾動体2を傾動するように伝達する第1の動力伝達機構を構成している。
【0018】
第2の傾動体3は、片側にイヤーラップのある野球の打撃用ヘルメットの上部が切り欠かれた形状で形成されており、イヤーラップに相当する突出部32は球面状に形成されて下方に突出して設けられている。突出部32は、運動機器1の平面視において運動機器1の中心側に配置されており、突出部32の周縁付近には、弧状で前後方向に延びるラック33が形成されている。
【0019】
第2の傾動体3に外装される第3の傾動体4には、運動機器1の平面視における前後方向と直交する左右方向において、一対の軸凸部41・41が同一直線上で内側に突出して設けられており、対応する位置に形成された軸支穴34・34にそれぞれ挿入されている。この同一直線上に配置された一対の軸凸部41・41と一対の軸支穴34・34によって第2軸が構成され、第2の傾動体3はこの第2軸の軸周りに傾動可能になっている。
【0020】
第2の傾動体3を傾動させる第2のモータ35は第3の傾動体4に内装されて固定されている。第2のモータ35は、シャフトを弧状ラックのラック33に向けて配置され、そのシャフトには平歯車のような歯車36が取り付けられており、歯車36は第2の傾動体3に形成されている弧状ラックのラック33と&#22169;み合わされている。
【0021】
即ち、第2のモータ35が駆動すると、歯車36とラック33を介して第2の傾動体3が前後に傾動するようになっており(図6参照)、歯車36とラック33の歯車機構は第2のモータ35の駆動力を第2の傾動体3を傾動するように伝達する第2の動力伝達機構を構成している。
【0022】
第1の傾動体2と、第1の傾動体2に外装される第2の傾動体3との対向面は、それぞれ略球状で形成されて近接配置されており、第1の傾動体2は、近接配置された第2の傾動体3と干渉せずに、第2の傾動体3の内側でスムーズに傾動することが可能になっている。
【0023】
第3の傾動体4は、両側にイヤーラップのあるヘルメット形状で形成されており、ヘルメットを逆さまにした状態のイヤーラップに相当する突出部42には上述の軸凸部41が設けられている。第3の傾動体4は、基台5に対して回転自在に軸支された回転軸部43に固定されている。回転軸部43は上下方向に延びて設けられ、第3軸を構成している。また、回転軸部43には、ウォームホイール44が固定されており、これに回転伝達軸45に設けられたウォーム46が&#22169;み合わされている。
【0024】
平面視における基台5の中央付近には第3のモータ47が内装されており、第3のモータ47のシャフトに取り付けられた平歯車のような歯車48と回転伝達軸45の中間部に取り付けられた平歯車のような歯車49とが&#22169;み合わされている。
【0025】
即ち、第3のモータ47が駆動すると、歯車48、歯車49、回転伝達軸45、ウォーム46、ウォームホイール44を介して回転軸部43とこれに固定された第3の傾動体4が傾動するようになっており、運動機器1の設置面の法線を回転軸(第3軸に相当)とする回転方向に第3の傾動体4が傾動するようになっている(図7参照)。これらの歯車48、歯車49、回転伝達軸45、ウォーム46、ウォームホイール44で構成される歯車機構は、第3のモータ47の駆動力をそれぞれの第3の傾動体4を傾動するように伝達する第3の動力伝達機構を構成している。
【0026】
本実施形態では、第3の動力伝達機構の一部である歯車48と歯車49と回転伝達軸45は、一対の第3の傾動体4のそれぞれに対して共用して1個設けられており、第3の動力伝達機構の残部であるウォーム46、ウォームホイール44は第3の傾動体4のそれぞれに対して個別に設けられている。また、第3のモータ47も、一対の第3の傾動体4のそれぞれに対して共用して1個設けられている。尚、第3のモータ47と、第3の動力伝達機構の一部である歯車48と歯車49と回転伝達軸45は、それぞれの第3の傾動体4に対応して個別に設ける構成としてもよく、各傾動体2、3、4と、各モータ25、35、47と、第1、第2、第3の動力伝達機構を使用者の左右の足に対応して個別に設ける場合には、使用者の左右の足に対して異なる運動を付与することが可能となる。
【0027】
第3の傾動体4と、第2の傾動体3に外装される第3の傾動体4との対向面も、それぞれ略球状で形成されて近接配置されており、第2の傾動体3は、近接配置された第3の傾動体4と干渉せずに、第3の傾動体4の内側でスムーズに傾動することが可能になっている。
【0028】
基台5の内部には、制御装置6が設けられ、制御装置6は、MPU、CPU等で構成される制御部61と、HDD、SSD、フラッシュメモリ、EEPROM、ROM、RAM等で構成される記憶部62を備える。記憶部62には、運動機器1の駆動を制御するプログラムである運動装置制御プログラムを格納する運動装置制御プログラム格納部621と、運動種別に応じた第1の傾動体2、第2の傾動体3及び第3の傾動体4の傾動パターンを格納する傾動パターン格納部622が設けられている。運動種別に応じた各傾動パターンには、その傾動パターンに対応する第1のモータ25、第2のモータ35及び第3のモータ47の回転方向と回転速度と回転量のデータの組み合わせが、その傾動パターンの継続時間の全体に亘って時系列で記述、記録されている。
【0029】
制御部61は、操作部63からの入力に応じてON/OFFされると共に、運動装置制御プログラムに従って、電源コードを通じて外部から供給される外部電源或いは内蔵されるバッテリー等の電源と、傾動パターン格納部622に格納され且つ操作部63からの入力で指定された傾動パターンを用い、指定された傾動パターンに対応して第1のモータ25、第2のモータ35及び第3のモータ47が駆動するように制御する。
【0030】
本実施形態の運動装置を備える運動機器1によれば、使用者の足や足関節に3次元的なより多様な方向の複合動作の運動を付与することができ、足関節、膝関節、股関節等の下肢の関節全体について柔軟性、関節可動域をより高めることができる。また、第1の傾動体2と傾動方向の異なる第2の傾動体3を第1の傾動体2に外装し、第1の傾動体2及び第2の傾動体3と傾動方向の異なる第3の傾動体4を第2の傾動体3に外装することにより、第1軸と第2軸と第3軸が略交差する点を略中心とする複合動作を使用者の足や足関節に付与することができ、無理な動作や負荷の高すぎる動作が使用者の足や足関節に付与されることを防止し、使用者の安全性を確保することができる。
【0031】
また、第1の傾動体2を傾動させる第1のモータ25を第1の傾動体2に外装される第2の傾動体3に内装することにより、第1のモータ25の駆動力を第1の傾動体2に伝達する第1の動力伝達機構の構造をより単純化することができ、製造コストの低減や故障の防止を図ることができる。また、第2の傾動体3を傾動させる第2のモータ35を第2の傾動体2に外装される第3の傾動体4に内装することにより、第2のモータ35の駆動力を第2の傾動体3に伝達する第2の動力伝達機構の構造をより単純化することができ、製造コストの低減や故障の防止を図ることができる。
【0032】
また、第1の動力伝達機構、第2の動力伝達機構、第3の動力伝達機構を歯車機構とすることにより、制御部61の駆動制御に対応する意図した角度で傾動体2、3、4を確実に傾動することができる。
【0033】
また、第1の傾動体2と第2の傾動体3との対向面を略球状で形成して近接配置し、第2の傾動体3と第3の傾動体4との対向面を略球状で形成して近接配置することにより、異なる傾動体2、3や異なる傾動体3、4が異なる軸周りで傾動する際の傾動体相互の干渉を確実に防止することができると共に、異なる傾動体2、3や異なる傾動体3、4の異なる軸周りの傾動動作をより省スペースで行うことができる。
【0034】
また、運動装置を使用者の左右の足に対応して一対で設けることにより、使用者の両足や両方の足関節に複合動作の運動を同時に付与することができる。また、一対の第3の傾動体4を傾動させる第3のモータ47と第3の動力伝達機構の一部を共用することにより、製造コストの低減や運動機器の小型化を図ることができる。
【0035】
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記変形例や追記した内容も含まれる。
【0036】
本発明の運動装置には、第1の傾動体と、第2の傾動体と、第1の傾動体の下側で第2の傾動体に内装される第1のモータの駆動力を第1の傾動体を傾動するように伝達する第1の動力伝達機構と、第2のモータの駆動力を第2の傾動体を傾動するように伝達する第2の動力伝達機構を備え、記憶部に格納される運動装置制御プログラムに従う制御部が第1のモータと第2のモータの駆動を制御するものが含まれ、例えば第3の傾動体と、第3のモータの駆動力を第3の傾動体を傾動するように伝達する第3の動力伝達機構を有しない運動装置も本発明に含まれる。
【0037】
また、本発明における第1の動力伝達機構、第2の動力伝達機構、第3の動力伝達機構のそれぞれの各動力伝達機構は歯車機構とすると好適であるが、本発明の趣旨の範囲内で適宜であり、例えばスプロケットとチェーンで構成されるチェーン機構、或いは歯車とリンク機構の組み合わせの機構等とすることが可能である。
【0038】
また、本発明の運動装置は、使用者の左右の足に対応して一対で設けられる構成に限定されず、使用者の片足に対応して1個設けられる運動装置としてもよい。
【0039】
また、本発明の運動装置では、第1の傾動体に外方に突出する突起を設け、この突起が所定の傾動で第2の傾動体の開口の周縁に当接する構成として、第1の傾動体の傾動範囲を機械的に規制する、或いは第2の傾動体に外方に突出する突起を設け、この突起が所定の傾動で第3の傾動体の開口の周縁に当接する構成として、第2の傾動体の傾動範囲を機械的に規制する、或いは第3の傾動体に外方に突出する突起を設け、この突起が基台から突出する別の突起に当接する構成として、第3の傾動体の傾動範囲を機械的に規制する、或いはこれらの適宜の組み合わせの構成を設置して、傾動体の傾動範囲を機械的に規制するようにしても好適である。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の運動装置は、例えば使用者の良好な歩行能力の維持を図るために他動で運動を付与する健康器具、或いは歩行能力が低下した使用者の歩行能力を改善するために他動で運動を付与する介護支援器具等として利用することができる。
【符号の説明】
【0041】
1…運動機器 2…第1の傾動体 21…開口 22…足載せ部 23…回転軸部 24…歯車 25…第1のモータ 26…歯車 3…第2の傾動体 31…軸支穴 32…突出部 33…ラック 34…軸支穴 35…第2のモータ 36…歯車 4…第3の傾動体 41…軸凸部 42…突出部 43…回転軸部 44…ウォームホイール 45…回転伝達軸 46…ウォーム 47…第3のモータ 48、49…歯車 5…基台 6…制御装置 61…制御部 62…記憶部 621…運動装置制御プログラム格納部 622…傾動パターン格納部 63…操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7