(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075871
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】二輪車の転倒防止装置
(51)【国際特許分類】
B62H 1/12 20060101AFI20230524BHJP
B62J 27/00 20200101ALI20230524BHJP
【FI】
B62H1/12
B62J27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189049
(22)【出願日】2021-11-19
(71)【出願人】
【識別番号】592261111
【氏名又は名称】森 雅彦
(72)【発明者】
【氏名】森 雅彦
(57)【要約】 (修正有)
【課題】本発明は二輪車の転倒を防ぐための装置を提供する。
【解決手段】二輪車1の側面にロアアーム取り付け部3を設け、前記ロアアーム取り付け部3にロアアーム4を取り付け、そのロアアーム4の車体と反対側にサスペンション8を取り付ける、前記サスペンション8の下部に車輪取り付け部7を設け車輪2を取り付ける。更に、前記車輪2は二輪車1を傾けた時に地面に対して垂直に近い角度になるように取り付けられている。その車輪2は、地面に接地したときに、常に進行方向すなわち前輪10の向いている方向から、前記進行方向より内側を向いているように設置されている。この様な構造をした、二輪車の転倒防止装置、及び二輪車の転倒防止装置付き二輪車。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二輪車の側面にロアアーム取り付け部を設け、前記ロアアーム取り付け部にロアアームを取り付け、そのロアアームの車体と反対側にサスペンションと二輪車を繋ぐ様に取り付ける、前記サスペンションの下部に車輪取り付け部を設け、車輪を取り付ける。更に、前記車輪は二輪車を傾けた時に地面に対して垂直に近い角度になるように取り付けられている。さらにその車輪は、地面に接地したときに、常に進行方向すなわち前輪の向いている方向から、前記進行方向から内側を向くように設置されている。この様な構造をした、二輪車の転倒防止装置、及び二輪車の転倒防止装置付き二輪車。
【請求項2】
請求項1の二輪車の側面に取り付けられたロアアーム取り付け部の上方にアッパーアーム取り付け部を設け、前記ロアアーム取り付け部にロアアームを取り付け、また前記アッパーアーム取り付け部にアッパーアームを取り付け、前記ロアアームと前記アッパーアームに車輪取り付け部を設け、前記車輪取り付け部に車輪を取り付ける。さらに前記車輪取り付け部又は、前記アッパーアームや、前記ロアアームにサスペンションを取り付ける。この様な構造をした、二輪車の転倒防止装置及び二輪車の転倒防止装置付き二輪車。
【請求項3】
請求項1の二輪車の側面の上下にロッドを設置して、そのロッドを上下に動くように請求項1の車輪を取り付ける、ロッドの代わりにスライドレール等スライドするものに、車輪が移動できるように作られた、二輪車の転倒防止装置及び二輪車の転倒防止装置付き二輪車。
【請求項4】
請求項1と請求項2と請求項3の二輪車の転倒防止装置の側面に付けた車輪が、ロッドやワイヤー等により二輪車の前輪と同じ動きをするように作られた、二輪車の転倒防止装置及び二輪車の転倒防止装置付き二輪車。
【請求項5】
請求項1と請求項2と請求項3と請求項4の二輪車の転倒防止装置の側面に付けた車輪が、一定の角度以上切れないようにストッパーを設けた、二輪車の転倒防止装置及び二輪車の転倒防止装置付き二輪車。
【請求項6】
請求項1と請求項2と請求項3と請求項4の二輪車の転倒防止装置の側面に付けた車輪が、一定の角度以上切れないように設けたストッパーが可動することで、側面車輪を自在に動かせる、二輪車の転倒防止装置及び二輪車の転倒防止装置付き二輪車。
【請求項7】
請求項1と請求項2と請求項3の二輪車の前輪と後輪のタイヤが滑り始めたら、転倒防止装置のサスペンションがそれ以上沈まないようにロックする機構、さらに油圧や空気圧シリンダーにより車体を起こす機構を備えた、二輪車の転倒防止装置及び二輪車の転倒防止装置付き二輪車。
【請求項8】
請求項1と請求項2と請求項3の二輪車の転倒防止装置をロッドやワイヤー等で連動するように接続して、片側の側面車輪が接地してサスペンションが可動した時に、反対側の二輪車の転倒防止装置は二輪車に収納される、又は車体に近づけた状態にする、二輪車の転倒防止装置及び二輪車の転倒防止装置付き二輪車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二輪車の転倒防止装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に二輪車、特に近年のオートバイは直線などを走行中は、ブレーキング時でも、ABSなどの安全装備もあり安定しているが、バンクさせて曲がる旋回中は路面の状況などにより、タイヤのグリップを失うと転倒することがある。
そして、転倒すると危険なだけでなく、人も車両も大きな損害を受け、死亡事故が起きることもある。
【0003】
また、転倒しにくくするために、3輪車や4輪にした車両も在るが、それでは2輪車が本来持っている、機動性や軽快さによる運動性や製造のコストの安さが失われてしまい、高価で車重の重いものになる。
さらに、3輪車や4輪にした車両や転倒を防ぐ装置は、本来の二輪車の車幅を超えるほど大きくなるものや、自転車の補助輪の様に車両が直立の状態を維持しようとするものや、テスト等や実験で使用する為のものであり、実際の二輪車の実用的な旋回時を想定したものが皆無である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開平7-43132公報
【特許文献2】特表2013-539733
【特許文献3】特開2010-215211
【特許文献4】特開2010-042747
【特許文献5】特開2008-168885
【特許文献6】特開昭50-060947
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、二輪車の転倒、特に旋回中の転倒を防ぐための装置を開発することを目的とすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の二輪車の転倒防止装置は、通常の直線などを走行時は二輪車として走行していて、二輪車が旋回中など、ある程度バンクしたときに作用させることで転倒を防ぐ転倒防止装置である。
【0007】
二輪車、特にオートバイの旋回中に起きる転倒の原理は、旋回中に遠心力により前輪または後輪がグリップを失い滑りだす、この時走行中の軌跡、つまり前輪と後輪の通る走行ラインが徐々に外側に膨らむ。これによりオートバイの重心が徐々に下がる、重心が下がるとバンク角は更に深くなる。これらの現象が加速度的に繰り返され、わずか0.5秒ほどで転倒に至るのである。
【0008】
そこで車体の側面に車輪を設ける。前輪または後輪が滑った場合、重力により二輪車には倒れようとする力が発生して、側面車輪が地面に接地する。この倒れる時の重力により、側面車輪には二輪車の重量に近い、強い荷重がかかり、地面に強くグリップする。
この時、進行方向より5度から10度程度、内側を向かせることで側面車輪に遠心力を発生させる、この強い遠心力は側面車輪の接地面を軸に回転モーメントが発生して二輪車の前輪や後輪に、もう一度グリップする力を発生させ、転倒を回避できるのである。
【0009】
また、転倒する前に側面車輪が接地していた場合は、地面に垂直に近い角度で側面車輪が接地して進行方向より内側を向いているため、強い遠心力を発生させ、さらに側面車輪の接地面積分が増えたことで、全車輪の接地面積が増えたことになり強くグリップして、それ以上二輪車が傾きにくくなり、転倒せずに走行がすることできる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の二輪車、特にオートバイの転倒防止ができるため、交通安全に寄与することができる。また、オートバイのレースでは旋回時には、タイヤの接地面積が増えるため、従来のオートバイに比べ安全に速く走ることができる。また、オートバイ以外にも自転車やラジコンのオートバイなど多くの2輪車に応用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
この図に示すように、本実施例の二輪車の転倒防止装置は、判りやすくするために車体の外装に付けられた様に描かれているが、実際はフレームなど強度のある所に取り付けられているものとする。
【
図1】請求項1の二輪車の転倒防止装置を装備した二輪車の正面図である。
【
図2】請求項1の二輪車の転倒防止装置を装備した二輪車の転倒防止装置が接地した状態の正面図である。
【
図3】請求項1の二輪車の転倒防止装置の
図1の正面から見た拡大図である。
【
図4】請求項2の二輪車の転倒防止装置のダブルアーム式サスペンションを装備した二輪車の正面から見た拡大図である。
【
図5】請求項3の二輪車の転倒防止装置のスライド式サスペンションを装備した二輪車の正面から見た拡大図である。
【
図6】請求項4の前輪と転倒防止装置を連動させた概略図である。
【
図7】請求項5の転倒防止装置にストッパーを装備した概略図である。
【
図8】請求項6の転倒防止装置に可動式ストッパーを高速時に使用した概略図である。
【
図9】請求項6の転倒防止装置に可動式ストッパーを低速時に使用した概略図である。
【
図10】請求項7のサスペンション固定機構の概略図である。
【
図11】請求項7の
図10の、Aはサスペンション固定機構の概略断面図、Bは油圧シリンダー21の概略断面図である。
【
図12】請求項8の左右の転倒防止装置連動させた概念の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための最良の形態を添付図に基づいて以下に説明する。
図1は、本発明の一実施例に二輪車の転倒防止装置を装備した状態の正面図である。
上記目的を達成するために、通常直線などを走行中は従来どうりの二輪車として走行するが、旋回時など転倒のリスクが高い時、また停車時の直立時でも地面の状態や不可抗力による転倒を防ぐために転倒防止装置が働き、転倒を防ぐ事ができる。
【実施例0013】
図1は請求項1の発明の実施例を示すもので、二輪車1の側面にロアアーム取り付け部3とサスペンション取り付け部9を設け、前記ロアアーム取り付け部3にロアアーム4を取り付け、前記ロアアーム4とサスペンション取り付け部9を繋ぐ様にサスペンション8を取り付け、そのサスペンション8の下部に、車輪取り付け部7を設け、そこに側面車輪2を取り付ける。
【0014】
また、
図2の様に二輪車1が傾いた時に、接地した前記側面車輪2は、地面12に垂直に近い角度の前後20度程度、つまり70度から110度の角度で接地する。更に地面12に垂直に近い角度で側面車輪2が接地するのは、側面車輪2のタイヤは、二輪車に使われるような半円状のタイヤではなく、車に使われる扁平したタイヤを使うことで同じタイヤ幅でも接地面積が三倍になり、よりグリップする。
【0015】
旋回中に前輪10がグリップ力を失い、滑った場合、側面車輪2が地面12に接地する。この倒れた時の車体の重さにより、側面車輪2に強い荷重がかかり、地面12と強くグリップする。側面車輪2は常に進行方向を向き、地面12に垂直に近い角度で側面車輪2が、接地することで、側面車輪2の接地面積分が増えたことで、全車輪の接地面積が増えたことになり、二輪車1が傾きにくくなり転倒せずに走行がすることできる。
【0016】
そこで
図3の様に、この側面車輪2にサスペンション8を装備して、二輪車1を傾けても上方に動きバンク角が変わるので、不安定な状態になることを防ぐことができる。
一般的な車両では地面からの衝撃吸収のために、サスペンション8が付いているが、側面車輪2につけられたサスペンション8は旋回時に側面車輪2に適度な荷重を与えるものであり、二輪車1を傾斜させれば、させる程サスペンション8が縮み、サスペンション8の荷重により、側面車輪2に強い荷重がかかり、側面車輪2をグリップさせることができる。浅いバンク角の40度から接地しても、50度位の深いバンク角までも傾けることができる、そして、サスペンション8の全ストローク時がバンク角の上限となるように設定しておけば、それ以上倒れることがない。このような二輪車1の転倒防止装置を提供できる。
【0017】
これらの構造により、二輪車が走行中又は、停車中であっても転倒により二輪車1を壊す恐れがなくなる。タイヤを左右に動かすための軸を転舵軸、通称キングピン軸37というが、キングピン軸37を側面車輪2のタイヤの中心線より内側に設定することで、走行中は地面12と側面車輪2の摩擦力により側面車輪2が内側に切れる。
【0018】
この時、その側面車輪2は、常に旋回時に進行方向から10度以内の角度で、内側を向くように設置されてることで転倒を防ぐだけでなく、より強い旋回力を発生させることでことができる、さらにロアアーム4が水平より下向きに取り付けることで、二輪車を傾けるほど前後の車輪の中心線と側面車輪2の中心線の距離、四輪車で言うトレッド18が広がるためより安定する。
【0019】
また、転倒防止装置をなるべく二輪車1の車体に近づけて設置して、側面車輪2を小さめの車輪にすることで、二輪車の車幅19、つまりハンドル幅より狭い範囲に取り付けることにより、
図1の様に通常直線などを走行中は、従来どうりの二輪車1の車幅19内に収めることもできる。
更に車輪取り付け部7又はロアアーム4に二輪車1と繋ぐ様にサスペンション8取り付ける。さらにアッパーアーム6はロアアーム4より短く、しかも取り付け角度をロアアーム4より下向きの角度でに取り付けることで、ロアアーム4が1本の方式に比べ、側面車輪2がより長いストロークで動かすことが出来るため、さらに浅いバンク角の30度から接地しても、50度位の深いバンク角までも傾けることが出来、さらにトレッドも広がり安定する。二輪車の転倒防止装置を提供できる。