(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075896
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】子守帯
(51)【国際特許分類】
A47D 13/02 20060101AFI20230524BHJP
【FI】
A47D13/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022099570
(22)【出願日】2022-06-21
(62)【分割の表示】P 2022040378の分割
【原出願日】2022-03-15
(31)【優先権主張番号】P 2021188843
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】310019730
【氏名又は名称】グラコ・チルドレンズ・プロダクツ・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001586
【氏名又は名称】弁理士法人アイミー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井上 和己
(57)【要約】
【課題】乳幼児を安定して保持することが可能な子守帯を提供すること。
【解決手段】子守帯(1)は、肩ベルト(2)と、乳幼児と乳幼児を担ぐ者との間に配置される親側装着部(4)と、親側装着部と対向して設けられ、乳幼児の臀部を下から持ち上げるように支持する乳幼児側保持部(5)と、親側装着部および乳幼児側保持部のいずれか一方に取り付けられ、親側装着部と乳幼児側保持部との距離を長さ調節可能に設ける第2帯体(26,36)とを備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乳幼児を担ぐ者の肩に掛けられる一対のループ状肩ベルトと、
前記一対のループ状肩ベルトのうち少なくともいずれか一方の肩ベルトに連結され、乳幼児と乳幼児を担ぐ者との間に配置される親側装着部と、
前記親側装着部と対向して設けられ、その一端が前記親側装着部に連結されて、乳幼児の臀部を下から持ち上げるように支持する乳幼児側保持部と、
前記親側装着部および前記乳幼児側保持部のいずれか一方に取り付けられ、前記親側装着部と前記乳幼児側保持部との距離を長さ調節可能に設ける第2帯体とを備える、子守帯。
【請求項2】
前記第2帯体の一端は、前記親側装着部に取り付けられ、
その他端には、前記乳幼児側保持部に設けられる被係止部と着脱可能に連結する係止部が設けられる、請求項1に記載の子守帯。
【請求項3】
前記第2帯体と前記親側装着部の取付箇所は、前記肩ベルトと前記親側装着部の取付箇所よりも上方である、請求項2に記載の子守帯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、子守帯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、使用者と乳幼児の間に配置される親側シート部と、乳幼児を外方から覆う乳幼児側シート部とを備えた子守帯が知られている。
【0003】
たとえば、特許第5620470号公報(特許文献1)、特許第6491200号公報(特許文献2)、特許第6485931号公報(特許文献3)、および特許第6530576号公報(特許文献4)には、親と乳幼児の間に設けられる親側シートと、乳幼児の臀部を支持する乳幼児側シートを連結するためのストラップが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5620470号公報
【特許文献2】特許第6491200号公報
【特許文献3】特許第6485931号公報
【特許文献4】特許第6530576号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1~4に開示されている子守帯では、親側シートと乳幼児側シートを連結するストラップが設けられているものの、単に乳幼児が落下することを防止するためのものであり、乳幼児を安定して保持することができない。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであって、その目的は、乳幼児を安定して保持することが可能な子守帯を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的のため本発明の一態様に係る子守帯は、乳幼児を担ぐ者の肩に掛けられる一対のループ状肩ベルトと、一対のループ状肩ベルトのうち少なくともいずれか一方の肩ベルトに連結され、乳幼児と乳幼児を担ぐ者との間に配置される親側装着部と、親側装着部と対向して設けられ、その一端が親側装着部に連結されて、乳幼児の臀部を下から持ち上げるように支持する乳幼児側保持部と、親側装着部および乳幼児側保持部のいずれか一方に取り付けられ、親側装着部と乳幼児側保持部との距離を長さ調節可能に設ける第2帯体とを備える。
【0008】
好ましくは、第2帯体の一端は、親側装着部に取り付けられ、その他端には、乳幼児側保持部に設けられる被係止部と着脱可能に連結する係止部が設けられる。
【0009】
好ましくは、第2帯体と親側装着部の取付箇所は、肩ベルトと親側装着部の取付箇所よりも上方である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、乳幼児を安定して保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施の形態に係る子守帯を前面側から見た外観図である。
【
図2】乳幼児側保持部を下に下ろした状態で前面側から見た外観図である。
【
図3】乳幼児側保持部を下に下ろした状態で後面側から見た外観図である。
【
図5】本発明の実施の形態に係る子守帯の部分的な断面図であり、(A)は、臀部高さ調節部材を取り付けた状態を示し、(B)は、臀部高さ調節部材を取り外した状態を示している。
【
図6】乳幼児を担ぐ者に子守帯を装着し、子守帯を前面側から見た模式図であり、(A)は、首座り前までの乳幼児の対面縦抱き状態を示し、(B)は、首座り後からの乳幼児の対面縦抱き状態を示し、(C)は、7か月後からの乳幼児の前向き縦抱き状態を示している。
【
図7】対面縦抱き状態を示した状態を示す外観図である。
【
図8】前向き縦抱き状態を示した状態を示す外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0013】
(子守帯の概要について)
図1は、本発明の実施の形態に係る子守帯を前面側から見た外観図である。
図2は、乳幼児側保持部を下に下ろした状態で前面側から見た外観図である。
図3は、乳幼児側保持部を下に下ろした状態で後面側から見た外観図である。
図1~
図3を参照して、本発明の実施の形態に係る子守帯1について詳細に説明する。
【0014】
なお、本明細書において、「縦抱き」とは、乳幼児の身体を略垂直に立たせた状態を意味し、乳幼児の頭を上にして乳幼児の足を下にして保持する状態である。縦抱きは、おんぶおよび抱っこのいずれであってもよい。また、「対面抱っこ」は、乳幼児を担ぐ者の顔と乳幼児の顔が対面する状態である。「前向き抱っこ」は、乳幼児の顔が前方を向いた状態であり、乳幼児を担ぐ者の顔と乳幼児の顔が同じ方向(前方)を向いた状態である。乳幼児を担ぐ者は、子守帯の着用者であり、たとえば親などである。以下の説明では、乳幼児を担ぐ者を単に親として説明する。また、左右方向および上下方向は、それぞれ、
図1~
図3の紙面上の左右方向および上下方向を基準とする。前面は、子守帯の装着時に外方に位置する面を意味し、後面は、子守帯の装着時に前面側とは反対側に位置する面であり、親側に位置する面を意味する。
【0015】
子守帯1は、概略として、親の肩に掛けられる一対のループ状の右肩ベルト2および左肩ベルト3と、一対のループ状の右肩ベルト2および左肩ベルト3に連結され、乳幼児と親との間に配置される親側装着部4と、親側装着部4と対向して設けられ、その一端が親側装着部4に連結される乳幼児側保持部5とを備える。
【0016】
まず、右肩ベルト2および左肩ベルト3について説明する。右肩ベルト2は、上方に位置し、親の肩に掛けられる第1ベルト21と、第1ベルト21の下端部に長さ調整可能に連結されている第2ベルト22とから構成されている。第1ベルト21の上端は、親側装着部4の右上端に縫い付けられている。第2ベルト22の下端は、親側装着部4の右側端に縫い付けられている。これにより、右肩ベルト2は、ループ状に設けられる。なお、第2ベルト22は、親側装着部4に縫い付けられずに腰ベルト6などの他の箇所に縫い付けられてループ状に設けられてもよい。
【0017】
第1ベルト21は、親の左肩に掛け渡されるため適度な弾性を有する材料によって構成されている。また、第2ベルト22の長さを調整することによって、右肩ベルト2の長さを親の体型に適合させることができる。
【0018】
図2に示すように、右肩ベルト2の上方部分には、第1オスバックル23が取り付けられている。第1オスバックル23は、乳幼児側保持部5の下方に取り付けられた第1メスバックル54と着脱可能に連結する。第1オスバックル23の表面には、前方に突出する突起が設けられ、第1オスバックル23の表面と第1メスバックル54の裏面とを重ね合わせることにより連結する。第1メスバックル54については、後述する。
【0019】
右肩ベルト2と同様に、左肩ベルト3は、上方に位置し親の肩に掛けられる第1ベルト31と、第1ベルト31の下端部に長さ調整可能に連結されている第2ベルト32とから構成されている。左肩ベルト3の上端は、親側装着部4の左上端に縫い付けられている。第2ベルト32の下端は、親側装着部4の左側端に縫い付けられている。これにより、左肩ベルト3は、ループ状に設けられる。なお、第2ベルト32は、親側装着部4に縫い付けられずに腰ベルト6などの他の箇所に縫い付けられてループ状に設けられてもよい。
【0020】
第1ベルト31は、親の左肩に掛け渡されるため適度な弾性を有する材料によって構成されている。また、第2ベルト32の長さを調整することによって、左肩ベルト3の長さを親の体型に適合させることができる。
【0021】
図2に示すように、左肩ベルト3の上方部分には、第1オスバックル33が取り付けられている。第1オスバックル33は、乳幼児側保持部5の下方に取り付けられた第1メスバックル55と着脱可能に連結する。第1オスバックル33の表面には、前方に突出する突起が設けられ、第1オスバックル33の表面と第1メスバックル55の裏面とを重ね合わせることにより連結する。第1メスバックル55については、後述する。
【0022】
一対の肩ベルト2,3の途中位置には、ブリッジベルト27が設けられる。ブリッジベルト27により、右肩ベルト2と左肩ベルト3との間の距離を適宜に保持することができ、親の肩から肩ベルト2,3が滑り落ちることを防止することができる。
【0023】
次に、親側装着部4について説明する。親側装着部4は、装着時において、親と乳幼児との間に配置される部材である。親側装着部4は、本体部41と、本体部41の上端に取り付けられる第1被係合部43とを含む。本体部41は、たとえば正面視略矩形形状であり、通気性を有する素材、たとえばメッシュ布地などで形成されている。
【0024】
第1被係合部43は、幅方向線状に延びる部材であり、たとえばファスナであることが好ましい。第1被係合部43は、後述する臀部高さ調節部材7の第1係合部76(
図4)と係合する。臀部高さ調節部材7については、後述する。第1被係合部43上には、第1被係合部43全体が乳幼児側に露出しないように覆う第1覆い部42が設けられる。第1覆い部42は、幅方向線状に延びている。第1覆い部42は、本体部41が折り返されることにより形成されてもよいし、本体部41とは別の布地が縫い付けられてもよい。第1覆い部42により、第1被係合部43が乳幼児の体に直接当たることを防止することができる。なお、第1被係合部43は、本体部41ではなく、第1覆い部42の裏面に設けられていてもよい。
【0025】
本体部41の右端には、第2帯体26が縫い付けられ、第2帯体26の先端部には第2メスバックル25が取り付けられている。第2メスバックル25は、乳幼児側保持部5に取り付けられた第2オスバックル56(
図3)と着脱可能に連結する。第2メスバックル25の裏面には、凹部が設けられ、第2メスバックル25の裏面と第2オスバックル56の表面とを重ね合わせることにより連結する。第2オスバックル56については、後述する。第2帯体26が取り付けられる箇所は、右肩ベルト2の第2ベルト22の取付箇所とは異なっており、第2ベルト22の取付箇所よりも上方であることが好ましい。
【0026】
第2メスバックル25および第2帯体26と同様に、親側装着部4の本体部41の左端には、第2帯体36が縫い付けられ、第2帯体36の先端部には第2メスバックル35が設けられる。第2メスバックル35は、乳幼児側保持部5の上方に取り付けられた第2オスバックル57(
図3)に着脱可能に連結する。第2メスバックル35の裏面には、凹部が設けられ、第2メスバックル35の裏面と第2オスバックル57の表面と重ね合わせることにより連結する。第2オスバックル57については、後述する。第2帯体36が取り付けられる箇所は、第2帯体26の高さ位置と同じであり、左肩ベルト3の第2ベルト32の取付箇所とは異なっており、第2ベルト32の取付箇所よりも上方であることが好ましい。
【0027】
なお、第2帯体26,36が取り付けられる箇所は、肩ベルト2,3の第2ベルト22,32の取付箇所と同じであってもよい。また、第2帯体26,36は、長さ調節可能に設けられる。第2帯体26,36は、親側装着部4に取り付けられていたが、乳幼児側保持部5に取り付けられていてもよく、第2メスバックル25,35と第2オスバックル56,57とが、反対に設けられていてもよい。このように、親側装着部4と乳幼児側保持部5とは、係止部、被係止部、および第2帯部により、着脱可能で長さ調節可能に設けられる。
【0028】
また、第2オスバックル56,57は、乳幼児側保持部5の略中央部に設けられたが、取付箇所は限定されず、たとえば、乳幼児側保持部5の両側部に縫い付けられたフラップなどに縫い付けられていてもよい。
【0029】
親側装着部4は、その下端部に親の腰に装着される腰ベルト6を含む。腰ベルト6は、乳幼児側保持部5の本体部50の下端部に縫い付けられて連結されている。腰ベルト6は、左右方向に延在し、親の腰に巻かれる腰当て部61と、腰当て部61の両端にそれぞれ設けられた63第3メスバックル62および第3オスバックルとを有する。腰ベルト6を親の腰に巻き付けることで、乳幼児を安定して保持することができる。
【0030】
次に、乳幼児側保持部5について説明する。乳幼児側保持部5の説明は、
図2,3の紙面上の上下方向を基準に説明する。乳幼児側保持部5は、装着時において、乳幼児を下から持ち上げるように覆う部材である。乳幼児側保持部5は、本体部50と、本体部50の下端に取り付けられる第2被係合部53とを含む。
【0031】
本体部50の外形寸法は、親側装着部4の本体部41よりも大きいことが好ましい。本体部50は、たとえば正面視略矩形形状であり、通気性を有する素材、たとえばメッシュ布地などで形成される。本体部50の下方には、乳幼児の頭部を保護するヘッドレスト50aが設けられていてもよい。本体部50の上方は、親側装着部4の下端縁、すなわち腰ベルト6の上端縁に縫い付けられている。これにより、親側装着部4の本体部41と乳幼児側保持部5の本体部50とが連結される箇所には、乳幼児の臀部を下から持ち上げるように支持する臀部支持部が形成される。
【0032】
第2被係合部53は、幅方向線状に延びる部材であり、たとえばファスナであることが好ましい。第2被係合部53は、後述する臀部高さ調節部材7の第2係合部77(
図4)と係合する。第2被係合部53の幅方向寸法は、第1被係合部43よりも大きいことが好ましい。第2被係合部53は、第1被係合部43の色と異なる色で着色されていることが好ましい。臀部高さ調節部材7については、後述する。第2被係合部53上には、第2被係合部53の全体が乳幼児側に露出しないように覆う第2覆い部52が設けられる。第2覆い部52は、本体部50が上端で折り返されてもよいし、本体部50とは別の布地が縫い付けられてもよい。第2覆い部52により、第2被係合部53が乳幼児の体に直接当たることを防止することができる。なお、第2被係合部53は、本体部50ではなく、第2覆い部52の裏面に設けられていてもよい。これにより、メッシュで形成された本体部50の通気性を妨げないようにすることができる。
【0033】
図1,2を特に参照して、乳幼児側保持部5の臀部支持部は、幅方向中央に位置する股当て部51と、股当て部51の両側に設けられる脚当て部58,59とを含む。この脚当て部58,59により、股幅寸法を変更することが可能である。第1脚当て部58は、本体部50の右端側に設けられ、第2脚当て部59は、本体部50の左端側に設けられる。
【0034】
第1脚当て部58は、布製部材によって構成されている。特に
図1に示すように、第1脚当て部58は、たとえば、変形した略三角形状である。第1脚当て部58は、幅方向の中央領域において縦方向に延びる2つの折り曲げ線58e,58dが設けられている。折り曲げ線58e,58dは、たとえば、縫い目により形成されている。
【0035】
この折り曲げ線58e,58dにより、第1脚当て部58は、3つの領域58a,58b,58cに区画されており、幅方向外方に位置する領域を外方領域58a、幅方向内方に位置する領域を内方領域58c、外方領域58aと内方領域58cの間に位置する領域を中間領域58bという。外方領域58aおよび内方領域58cは、適度な弾性を有する芯材が内包されている。外方領域58aの芯材は、たとえば発砲ウレタンであることが好ましい。中間領域58bには、芯材は設けられていないことが好ましい。
【0036】
第1脚当て部58と同様に、第2脚当て部59は、布製部材によって構成されている。第2脚当て部59は、たとえば、変形した略三角形状である。第2脚当て部59は、幅方向の中央領域において縦方向に延びる2つの折り曲げ線59e,59dが設けられている。折り曲げ線59e,59dは、たとえば、縫い目線により形成されている。
【0037】
この折り曲げ線59e,59dにより、第2脚当て部59は、3つの領域59a,59b,59cに区画されており、幅方向外方に位置する領域を外方領域59a、幅方向内方に位置する領域を内方領域59c、外方領域59aと内方領域59cの間に位置する領域を中間領域59bという。外方領域59aおよび内方領域59cは、適度な弾性を有する芯材が内包されている。外方領域59aの芯材は、たとえば、発砲ウレタンであることが好ましい。中間領域59bには、芯材は設けられていないことが好ましい。
【0038】
この第1,2脚当て部58,59は、折り曲げずに使用したり、折り曲げ線58e,58d,59e,59dで折り曲げて使用することができる。折り曲げずに使用する場合には、第1,2脚当て部58,59全体で、乳幼児の臀部または太腿などを下方から支えることになるため、広げた状態が崩れず、弾力性を有した状態で保持することができる。また、折り曲げ線58e,58d,59e,59dで折り曲げて使用する場合は、芯材が内包されていない中間領域58b,59bが折れ曲がり、芯材を内包する外方領域58a,59aの形状は変化しないため、第1,2脚当て部58,59を折り畳んだ状態で容易に保持することができる。
【0039】
図2を特に参照して、本体部50の右下方には、第1メスバックル54が取り付けられている。第1メスバックル54は、右肩ベルト2の上方に取り付けられた第1オスバックル23と着脱可能に連結する。同様に、本体部50の左下方には、第1メスバックル55が取り付けられている。第1メスバックル55は、左肩ベルト3の上方に取り付けられた第1オスバックル33と着脱可能に連結する。
【0040】
図3を特に参照して、本体部50の前面側の中央部には、第2オスバックル56,57が取り付けられている。第2オスバックル56は、親側装着部4の右側端に取り付けられた第2メスバックル25と着脱可能に連結し、第2オスバックル57は、親側装着部4の左側端に取り付けられた第2オスバックル57と着脱可能に連結する。これらのバックルを連結することで、乳幼児を収容する乳幼児収容部が形成される。
【0041】
上述のように、第2帯体26,36は、長さ調節可能に設けられる。これにより、親側装着部4と乳幼児側保持部5との距離を調節することができるため、乳幼児収容部の奥行きの幅を調節することができ、子供の体形に応じた調節が可能となる。さらに、子供と親とをフィットすることができるため、子供を安定して保持することができる。
【0042】
(臀部高さ調節部材について)
図4は、臀部高さ調節部材7の外観図であり、
図5(A)は、臀部高さ調節部材7を親側装着部4と乳幼児側保持部5との間に取り付けた状態の子守帯1の部分的な断面図である。
図4および
図5(A)を参照して、臀部高さ調節部材7について説明する。
【0043】
臀部高さ調節部材7は、親側装着部4と乳幼児側保持部5との間に掛け渡されて、臀部支持部よりも高い位置で乳幼児の臀部を支える部材である。臀部高さ調節部材7の一端および他端は、親側装着部4および乳幼児側保持部5に対して着脱可能に設けられている。臀部高さ調節部材7は、
図7に示す対面抱きをする際に使用される。
【0044】
臀部高さ調節部材7は、乳幼児の下腹部を支持する前当て部71と、前当て部71から連なり、乳幼児の臀部を背後から支持する尻当て部73とを含む。
【0045】
前当て部71は、上下方向長さの略中央部においてくびれた形状である。具体的には、尻当て部73側に向かうにつれて幅方向寸法L2が小さくなり、略中央部から尻当て部73にかけて幅方向寸法が大きくなる形状である。前当て部71の両側端は、乳幼児の足が出る部分であり、股当て部としても機能する。そのため、前当て部71の幅方向寸法L2は、前当て部71の両側端が股当て部として機能することを考慮して、臀部高さ調節部材7のうちで最も幅方向寸法が小さくなるように設計されている。
【0046】
前当て部71の上端には、第1係合部76が設けられる。第1係合部76は、幅方向線状に延びる部材であり、たとえばファスナであることが好ましい。第1係合部76は、親側装着部4の第1被係合部43と係合する。第1係合部76と第1被係合部43とで第1連結部を構成する。
【0047】
尻当て部73は、乳幼児の臀部を支持することを考慮して、横幅寸法L4が最も大きくなるように設計されている。具体的には、尻当て部73は、第1領域74と、第1領域74から他端まで延びる第2領域75とを有する。装着時において、第1領域74には乳幼児の臀部が当接し、第2領域75には乳幼児の背中が当接する。
【0048】
前当て部71および尻当て部73の第1領域74は、その内部を連続的に延びるパッドが設けられる。尻当て部73の第2領域75は、パッドを有さずに通気性を有する。具体的には、第2領域75は、たとえばメッシュ生地で構成される。このように、特に乳幼児に密着する部分(下腹部、股部、臀部)にクッション性を持たせ、乳幼児に密着せずに当接する部分(背中)に通気性を持たせることで、乳幼児が快適に着座することができる。なお、第2領域75は、通気性を有する布地で形成されるが、この形状に限定されず、たとえば第1領域74と第2係合部77とを連結する一対の紐などであってもよい。
【0049】
尻当て部73の他端には、第2係合部77が設けられる。第2係合部77は、幅方向線状に延びる部材であり、たとえばファスナであることが好ましい。第2係合部77は、乳幼児側保持部5の第2被係合部53と係合する。第2係合部77と第2被係合部53とで第2連結部を構成する。これにより、
図5(A)に示すように、臀部高さ調節部材7は、親側装着部4と乳幼児側保持部5との間に掛け渡される。
図4に示すように、第1係合部76の横幅寸法L1は、第2係合部77の横幅寸法L3よりも小さくてもよい。
【0050】
なお、第1連結部(第1係合部76、第1被係合部43)および第2連結部(第2係合部77、第2被係合部53)とは、たとえば色を異ならせることが好ましい。これにより、係合する箇所を識別することができるため、臀部高さ調節部材7の取り付け箇所を迷うことなく、スムーズに連結することができる。
【0051】
(月齢に応じた使用例について)
図6~
図9を参照して、月齢に応じた使用例について説明する。
【0052】
図6(A)には、首すわり頃までの使用例が示されている。首すわり頃までは、親側装着部4と乳幼児側保持部5との間に臀部高さ調節部材7を取り付ける。なお、首すわりとは、首が安定した状態になり、自分の意志で頭を安定して動かせるようになることであり、個人差があるが、たとえば生後2ヶ月~4ヶ月頃をいう。
【0053】
具体的には、首すわり頃までは、
図5(A)に示すように、親側装着部4の第1被係合部43と臀部高さ調節部材7の第1係合部76を連結し、乳幼児側保持部5の第2被係合部53と臀部高さ調節部材7の第2係合部77を連結して、臀部高さ調節部材7を親側装着部4と乳幼児側保持部5との間に掛け渡す。これにより、乳幼児の臀部が臀部支持部よりも上方の臀部高さ調節部材7で保持されるため、乳幼児の臀部の高さを高い位置で保持することができる。
【0054】
さらに、
図6(A)に示すように、第1,2脚当て部58,59を広げた状態で使用する。これにより、折り曲げた状態の乳幼児の足を第1,2脚当て部58,59で包み込むことができるため、乳幼児の姿勢を安定させることができる。このように、首すわり頃までは、第1,2脚当て部58,59を乳幼児の足全体を包み込む足保持部として機能させることができる。
【0055】
図6(B)および
図7には、首すわり頃から生後36ヶ月頃までの使用例が示されている。首すわり頃から生後36か月頃までは、臀部高さ調節部材7は使用せずに、脚当て部58,59を広げた状態で使用する。乳幼児の臀部は、親側装着部4および乳幼児側保持部5の下端に形成される臀部支持部で保持され、乳幼児の股部は、脚当て部58,59で支持される。
【0056】
これにより、臀部高さ調節部材7を用いる場合よりも、低い位置で乳幼児の臀部を保持することができる。さらに、乳幼児の股幅を広い状態で保持することができる。
【0057】
図6(C)および
図8には、首すわり頃から生後24ヶ月頃までの使用例が示されている。首すわり頃以降では、上述した対面抱っこと併用して、前向き抱っこをすることができる。首すわり頃から生後36か月頃までは、臀部高さ調節部材7は使用せずに、脚当て部58,59を畳んだ状態で使用する。乳幼児の臀部は、親側装着部4および乳幼児側保持部5の下端に形成される臀部支持部で保持される。前向き抱っこでは、乳幼児の足が前方に向かって出てくるため、乳幼児の股部を狭くする必要がある。
【0058】
前向き抱っこにおいても、臀部高さ調節部材7を用いる場合よりも、低い位置で乳幼児の臀部を保持することができる。さらに、前向き抱っこをすると、乳幼児の足が前方に向かって出てくるため、股幅を狭くする必要があるが、乳幼児の股関節の幅に合わせた形状にすることができる。
【0059】
図9には、生後7か月頃から24ヶ月頃までの使用例が示されている。この期間においては、上述した対面抱っこおよび前向き抱っこと併用して、おんぶをすることができる。おんぶは、親の背面に乳幼児が位置するだけで、乳幼児の保持状態は、
図6(B)に示す状態と同様である。具体的には、臀部高さ調節部材7を使用せずに、脚当て部58,59を広げた状態で使用する。乳幼児の臀部は、親側装着部4および乳幼児側保持部5の下端に形成される臀部支持部で保持され、乳幼児の股部は、脚当て部58,59で支持される。
【0060】
これにより、臀部高さ調節部材7を用いる場合よりも、低い位置で乳幼児の臀部を保持することができる。さらに、乳幼児の股幅を広い状態で保持することができる。
【0061】
本実施の形態の子守帯1は、親側装着部4および乳幼児側保持部5に対して臀部高さ調節部材7を取り付けることで、乳幼児の臀部の高さを高い状態で保持することができ、臀部高さ調節部材7を取り外すことで、乳幼児の臀部の高さを低い位置で保持することができる。これにより、乳幼児の成長に応じて乳幼児の臀部の高さ位置を調節するができるため、乳幼児の頭が埋もれてしまうことなどもなく、乳幼児の頭を適正な位置で保持できる。さらに、臀部高さ調節部材7で乳幼児の臀部を保持するため、乳幼児の臀部に沿うように奥行きスペース(乳幼児の下腹部から臀部までの奥行き)を確保することができる。このように、臀部高さ調節部材7を用いることで、乳幼児の月齢が小さい場合であっても、乳幼児を安定して保持することができ、乳幼児にとっても快適である。
【0062】
(変形例について)
なお、本実施の形態の臀部高さ調節部材7は、親側装着部4および乳幼児側保持部5に対して着脱可能に設けられたが、親側装着部4および乳幼児側保持部5のいずれか一方が着脱可能に設けられていればよい。たとえば、親側装着部4と臀部高さ調節部材7の一端が縫い付けられており、乳幼児側保持部5と臀部高さ調節部材7の他端が着脱可能であり、乳幼児が小さい場合には、乳幼児側保持部5と臀部高さ調節部材7の他端を連結し、乳幼児が大きくなった場合には、乳幼児側保持部5と臀部高さ調節部材7の他端を分離すればよい。臀部高さ調節部材7が不要の場合には、臀部高さ調節部材7を丸めて収納することが好ましい。
【0063】
また、本実施の形態では、第1,2連結部はファスナであるとしたが、たとえば、ボタン、面ファスナ、ホックなどのように、着脱可能に臀部高さ調節部材7を親側装着部4または乳幼児側保持部5に取り付けるものであればよい。
【0064】
本実施の形態では、一対の肩ベルト2,3は、親側装着部4に連結されていたが、一方の肩ベルトが親側装着部4に装着され、他方の肩ベルトが乳幼児側保持部5に連結されていてもよい。
【0065】
また、本実施の形態では、腰ベルト6は、乳幼児側保持部5の本体部50の下端部に連結されていたが、腰ベルト6は設けられていなくてもよい。たとえば、ベストタイプの子守帯であり、親側装着部4と乳幼児側保持部5だけが設けられていてもよい。
【0066】
本実施の形態の臀部高さ調節部材7は、子守帯1とともに用いられたが、臀部高さ調節部材7単体として個別に提供されるものであってもよい。
【0067】
以上、図面を参照してこの発明の実施の形態を説明したが、この発明は、図示した実施の形態のものに限定されない。図示した実施の形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0068】
1 子守帯、2,3 ループ状肩ベルト、4 親側装着部、5 乳幼児側保持部、6 腰ベルト、7 臀部高さ調節部材、42 第1覆い部、43 第1被係合部、52 第2覆い部、53 第2被係合部、71 前当て部、73 尻当て部、74 第1領域、75 第2領域、76 第1係合部、77 第2係合部。