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特開2023-75918グリセリルアスコルビン酸含有乳化化粧料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075918
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】グリセリルアスコルビン酸含有乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/67 20060101AFI20230524BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20230524BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20230524BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20230524BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20230524BHJP
【FI】
A61K8/67
A61K8/06
A61K8/34
A61K8/92
A61Q19/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022176913
(22)【出願日】2022-11-04
(31)【優先権主張番号】P 2021188308
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000147213
【氏名又は名称】株式会社成和化成
(72)【発明者】
【氏名】吉岡 正人
(72)【発明者】
【氏名】岡本 智里
(72)【発明者】
【氏名】関原 あい
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC022
4C083AC111
4C083AC112
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC331
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC532
4C083AD092
4C083AD152
4C083AD212
4C083AD352
4C083AD492
4C083AD532
4C083AD641
4C083AD642
4C083CC03
4C083CC05
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE05
(57)【要約】
【課題】 グリセリルアスコルビン酸又はその塩を含有する乳化化粧料において、グリセリルアスコルビン酸の美白効果を維持しつつ、肌なじみのよさやきしみのなさといった優れた使用感を有し、保存中においても経時的な粘度変化が抑えられたグリセリルアスコルビン酸含有乳化化粧料を提供する。
【解決手段】 (A)2-O-グリセリル-3-O-アルキルアスコルビン酸又はその塩もしくは2-O-アルキル-3-O-グリセリルアスコルビン酸又はその塩、(B)多価アルコール、(C)油性成分を含有させた乳化化粧料を構成する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記成分(A)~(C)を含むことを特徴とするグリセリルアスコルビン酸含有乳化化粧料。
(A)2-O-グリセリル-3-O-アルキルアスコルビン酸又はその塩、2-O-アルキル-3-O-グリセリルアスコルビン酸又はその塩から選ばれる1種又は2種以上
(B)多価アルコールから選ばれる1種又は2種以上
(C)油性成分から選ばれる1種又は2種以上
【請求項2】
成分(A)のアルキル基がテトラデシル基又はヘキサデシル基であることを特徴とする請求項1に記載のグリセリルアスコルビン酸含有乳化化粧料。
【請求項3】
成分(A)が2-O-グリセリル-3-O-テトラデシルアスコルビン酸又はその塩、もしくは2-O-グリセリル-3-O-ヘキサデシルアスコルビン酸又はその塩であることを特徴とする請求項2に記載のグリセリルアスコルビン酸含有乳化化粧料。
【請求項4】
成分(B)がグリセリン、1,3-ブチレングルコール、ペンチレングリコールから選ばれ、成分(C)が炭化水素油、エステル油から選ばれることを特徴とする請求項1ないし3に記載のグリセリルアスコルビン酸含有乳化化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリセリルアスコルビン酸又はその塩を含有し、保存安定性に優れた乳化化粧料に関する。より詳しくは、(A)2-O-グリセリル-3-O-アルキルアスコルビン酸又はその塩もしくは2-O-アルキル-3-O-グリセリルアスコルビン酸又はその塩、(B)多価アルコール、(C)油性成分を組み合わせることで優れた使用感を示し、保存中の粘度低下が抑えられた安定な乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油性成分及び水性成分を含有するクリームや乳液などの化粧料では、一般的に界面活性剤(乳化剤)により乳化することで安定な乳化物を得ることができる。しかし、より安定な乳化物を得るためには、界面活性剤を多量に必要とするため、化粧料として使用する際の優れた使用感を低下させる場合が多いだけではなく、皮膚への刺激や安全性が問題視される場合がある。
【0003】
中でもイオン性界面活性剤を用いる場合には、皮膚への刺激性が問題となる場合が多く、さらには安全性も問題とされる場合が多かった。また、比較的安全性の問題が小さいと言われている非イオン性界面活性剤を利用した乳化物の調製方法が数多く提案されているが、根本的な解決には至らないのが現状である。
【0004】
そこで非イオン性界面活性剤の使用量を減らすことにより皮膚への刺激低減や使用感の向上を図ることができることから、特許文献1では非水乳化法による乳化物の調製方法が提案されている。しかしながら、近年の乳化化粧料では、さらに優れた使用感、安全性、皮膚刺激の低減が求められていることから、界面活性剤フリーの乳化化粧料が注目されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-094811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、界面活性剤フリーでありながら油性成分と水性成分を安定に乳化した化粧料からなり、安全性の懸念が低く、保存安定性や使用感に優れた乳化化粧料を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記実情に鑑みて鋭意検討した結果、油性成分及び水性成分を乳化する化合物として、アスコルビン酸のグリセリル化体である2-O-グリセリル-3-O-アルキルアスコルビン酸又はその塩、もしくは2-O-アルキル-3-O-グリセリルアスコルビン酸又はその塩を用いることにより、安全性の懸念が低く、界面活性剤フリーにも関わらず保存安定性に優れた安定な乳化物が得られること、さらに肌なじみのよさやきしみのなさといった使用感に優れた乳化化粧料となることを見出し、本発明を完成した。
【0008】
本発明は、その第1として、下記成分(A)~(C)を含むことを特徴とするグリセリルアスコルビン酸含有乳化化粧料である。
(A)2-O-グリセリル-3-O-アルキルアスコルビン酸又はその塩、2-O-アルキル-3-O-グリセリルアスコルビン酸又はその塩から選ばれる1種又は2種以上
(B)多価アルコールから選ばれる1種又は2種以上
(C)油性成分から選ばれる1種又は2種以上
【0009】
本発明の第2は、前記本発明の第1のグリセリルアスコルビン酸含有乳化化粧料であって、前記成分(A)のアルキル基がテトラデシル基又はヘキサデシル基であることを特徴とする。成分(A)が前記記載の化合物である場合には、経時的な粘度変化を抑制する効果が高いことから、この好ましい様態に該当するものである。
【0010】
本発明の第3は、前記本発明の第2のグリセリルアスコルビン酸含有乳化化粧料であって、前記成分(A)が2-O-グリセリル-3-O-テトラデシルアスコルビン酸又は2-O-グリセリル-3-O-ヘキサデシルアスコルビン酸であることを特徴とする。成分(A)が前記記載の化合物である場合には、乳化化粧料の経時的な着色を抑制する効果が高いことから、この好ましい様態に該当するものである。
【0011】
本発明の第4は、前記本発明の第1ないし3のグリセリルアスコルビン酸含有乳化化粧料であって、前記成分(B)がグリセリン、ブチレングリコール、ペンチレングリコールから選ばれ、成分(C)が炭化水素油、エステル油から選ばれることを特徴とする。成分(B)及び(C)が前記記載の場合には、肌なじみの良さやきしみのなさといった使用感の優れた乳化化粧料となることから、この好ましい様態に該当するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、グリセリルアスコルビン酸誘導体又はその塩を油性成分及び水性成分を乳化する化合物として使用することにより、安全性が高く、肌なじみのよさやきしみのなさといった使用感に優れ、かつ、界面活性剤フリーでありながら経時的な粘度低下が抑制された安定な乳化化粧料となる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の乳化化粧料を構成する成分(A)2-O-グリセリル-3-O-アルキルアスコルビン酸又はその塩もしくは2-O-アルキル-3-O-グリセリルアスコルビン酸又はその塩、(B)多価アルコール、(C)油性成分について、さらには、本発明の化粧料の形態について、以下具体的に説明する。
【0014】
[成分(A):2-O-グリセリル-3-O-アルキルアスコルビン酸又はその塩もしくは2-O-アルキル-3-O-グリセリルアスコルビン酸又はその塩]
本発明の成分(A)は、アスコルビン酸の2位又は3位にグリセリル基が付加したアスコルビン酸誘導体であり、特許第4681670号公報に記載の方法で製造することができるが、具体例としては、以下に示す化合物を挙げることができる。
【0015】
ここで、グリセリル基とは、HOCH-CH(OH)-CH-又はHOCH-CH(CHOH)-で表される基を示し、アルキル基とは炭素数1~22の直鎖又は分岐鎖を持つ構造であり、芳香族アルキル基も含むことができる。そのようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、エチルヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ベヘニル基、ベンジル基等を挙げることができる。
【0016】
本発明の成分(A)としては2-O-グリセリル-3-O-アルキルアスコルビン酸又はその塩、もしくは2-O-アルキル-3-O-グリセリルアスコルビン酸又はその塩を挙げることができ、中でもアルキル基の炭素数が12~18の直鎖状であることが好ましく、炭素数14又は16の直鎖状のアルキル基であるテトラデシル基又はヘキサデシル基であることがさらに好ましい。
【0017】
具体的には、2-O-グリセリル-3-O-テトラデシルアスコルビン酸、2-O-グリセリル-3-O-ヘキサデシルアスコルビン酸、2-O-テトラデシル-3-O-グリセリルアスコルビン酸、2-O-ヘキサデシル-3-O-グリセリルアスコルビン酸を挙げることができ、中でも工業的に入手しやすく、かつ、本発明の効果を十分に発現させることができることから、2-O-グリセリル-3-O-テトラデシルアスコルビン酸、2-O-グリセリル-3-O-ヘキサデシルアスコルビン酸であることがさらに好ましい。
【0018】
成分(A)のグリセリルアスコルビン酸の塩としては、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩などの金属塩や、トリエタノールアミン塩、2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール塩、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール塩などのアンモニウム塩等が挙げられる。
【0019】
これら成分(A)のグリセリルアスコルビン酸又はその塩は1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0020】
このようなグリセリルアスコルビン酸又はその塩として市販品を用いることができる。例えば、2-O-グリセリル-3-O-テトラデシルアスコルビン酸、2-O-グリセリル-3-O-ヘキサデシルアスコルビン酸としては、それぞれAmitose GMA、Amitose GCA(商品名、いずれも株式会社成和化成製)を用いることができる。
【0021】
本発明の成分(A)の配合量は、特に限定されないが、本発明の化粧料中に0.01質量%以上とするのが好ましく、0.1質量%以上とするのがより好ましい。また上限値は、2.0質量%以下とするのが好ましく、1.0質量%以下とするのがより好ましい。配合量が0.01質量%未満では、乳化化粧料の使用感が低下する可能性があり、一方、2.0質量%を超えて配合しても配合量に見合った効果が得られない場合がある。
【0022】
[成分(B):多価アルコール]
本発明の乳化化粧料に含有される成分(B)の多価アルコールとしては、分子内に2個以上の水酸基を有するアルコールであり、従来から一般に化粧料に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンなどのグリセロール類、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール(1,3-ブタンジオール)、ペンチレングリコール(1,2-ペンタンジオール)、へキシレングリコール(2-メチル-2,4-ペンタンジオール)、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、イソプレングリコール、エチレングリコール、低重合ポリエチレングリコールなどのグリコール類、マルチトール、エリトリトール、マンニトール、キシリトール、ソルビトール等の糖アルコールを挙げることができる。
【0023】
前記の多価アルコールの中でも、本発明の乳化化粧料の経時安定性に優れる点から、グリセリン、1,3-ブチレングルコール、ペンチレングリコールであることが特に好ましい。これらの多価アルコールは1種単独で、又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0024】
成分(B)の配合量は、特に限定されないが、本発明の化粧料中に5.0質量%以上とするのが好ましく、7.0質量%以上とするのがより好ましい。また上限値は、50.0質量%以下とするのが好ましく、30.0質量%以下とするのがより好ましい。配合量が5.0質量%未満では、乳化化粧料の経時的な安定性を得るのが難しく、一方、50.0質量%を超えて配合しても配合量に見合った効果が得られない場合がある。
【0025】
[成分(C):油性成分]
本発明の乳化化粧料に含有される成分(C)の油性成分は、従来から一般に化粧料に用いられるものであれば特に限定されないが、エステル油、シリコーン油、炭化水素油、高級アルコール又はそのエーテル、植物油等が挙げられる。
【0026】
エステル油としては、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、モノイソステアリン酸アルキルグリコール、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、2-エチルヘキサン酸セチル、ジ-2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸エリスリチル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、ヘキサ(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエチスリチル、テトラ(ヒドロキシステアリン酸/イソステアリン酸)ジペンタエリスリチル、ヘキサヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、(エチルヘキサン酸/ステアリン酸/アジピン酸)グリセリル、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ペンタエリトリット、2-エチルヘキサン酸セチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸エチル、オレイン酸デシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2-エチルヘキシル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ-2-エチルヘキシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸2-オクチルドデシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、ラウリン酸ヘキシル、メトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヘキサ(ベヘン酸/安息香酸/エチルヘキサン酸)ジペンタエリスリチル、安息香酸アルキル(C12-15)、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、(ジイソステアリン酸/水添ロジン酸)グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ジグリセリル、デカイソステアリン酸デカグリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、トリメリト酸トリトリデシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステアリル/2-オクチルドデシル)等が挙げられる。
【0027】
シリコーン油としては、メチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、高重合メチルポリシロキサン等のジメチルシリコーン油;メチルフェニルポリシロキサン等のメチルフェニルシリコーン油;メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン油;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体等のアミノ変性シリコーン;カルボキシ変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン等の変性シリコーン;メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノール等が挙げられる。
【0028】
炭化水素油としては、(C13-15)アルカン、(C15-19)アルカン、(C18-21)アルカン、(C21-28)アルカン、ミネラルオイル、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、α-オレフィンオリゴマー、スクワラン、合成スクワラン、植物性スクワラン、水添ポリイソブテン、水添(テトラデセニル/メチルペンタデセン)、イソドデカン、ポリブテン、ポリイソブテン、イソヘキサデカン、(C13,14)イソパラフィン、ワセリン等が挙げられる。
【0029】
高級アルコール又はそのエーテルとしては、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セテアリルアルコール、ミリスチルアルコール、オクタノール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール、アラキジルアルコール、(C14-22)アルコール、(C20-22)アルコール、ヤシアルコール、グリセリルモノセチルエーテル、デシルテトラデカノール、バチルアルコール等が挙げられる。
【0030】
植物油としては、マカデミアナッツ油、ユーカリ油、ヤシ油、アボカド油、サフラワー油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、ククイナッツ油、シア脂(シアバター)、カカオバター、アーモンド油、ヒマワリ油、ローズヒップ油、オリーブスクワラン、カメリアオイル、キウイフルーツシード油、ツバキ油、杏仁油、ゴマ油、大豆油、ホホバ油、ヒマシ油、ヘーゼルナッツ油、メドウフォーム油、ハッカ油、アルガンオイル、カロットオイル、ラベンダー油、シュガースクワラン、及びクランベアビシニカ種子油等が挙げられる。
【0031】
前記成分(C)の中でも、肌へ塗布した際の肌なじみのよさ、きしみのなさの点から炭化水素油、エステル油が好ましく用いられ、スクワラン、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリルが最も好ましい。前記成分(C)は1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
【0032】
前記成分(C)の配合量は、特に限定されないが、本発明の化粧料中に5.0質量%以上とするのが好ましく、10.0質量%以上とするのがより好ましい。また上限値は、30.0質量%以下とするのが好ましく、25.0質量%以下とするのがより好ましい。配合量が5.0質量%未満では、乳化化粧料の保存安定性が低下する恐れがあり、一方、30.0質量%を超えて配合してもべたつきの増加等使用感に影響を与える場合がある。
【0033】
本発明の化粧料には、前記の成分(A)~(C)に加えて、水を含有する。さらに、化粧料としての効果や安定性等を損なわない限りにおいて、その用途に応じて、通常化粧料に使用される他の成分を広く配合することができる。
【0034】
前記成分(A)~(C)や水の他に通常化粧料に使用される成分として、例えば、成分(C)以外の油性成分、固形又は半固形油、高分子化合物、保湿剤、美白剤、感触改良剤、薬剤、紫外線吸収剤、タンパク質、タンパク質加水分解物又はその誘導体、アミノ酸又はその誘導体、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、pH調整剤、防腐剤、顔料、着色料、香料等を適宜配合することができる。
【0035】
成分(C)以外の油性成分としては、通常化粧料に用いられる油性成分であれば特に限定はなく、いずれのものも使用することができる。揮発性、非揮発性や、動物油、植物油、合成油等の起源を問わず、例えば、アミノ酸系油剤、高級脂肪酸、フッ素系油、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、例えば、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステアリル・2-オクチルドデシル)等のアミノ酸系油剤、イソステアリン酸、オレイン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の高級脂肪酸、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体等が挙げられる。
【0036】
固形又は半固形油としては油脂等が挙げられ、例えば、テオブロマグランジフロルム種子脂、マンゴー種子脂、カカオ脂、シア脂、ショレアステノプテラ脂、アフリカマンゴノキ核脂、アボカド脂、サラソウジュ種子脂、アストロカリウムムルムル脂、アストロカリウムムルムル種子脂、アストロカリウムツクマ種子脂、ガルシニアインディカ種子脂、トリチリアエメチカ種子脂、バシアラチホリア種子脂、ガルシニアインディカ種子脂、水素添加カカオ脂、(マカデミア種子油/水添マカデミア種子油)エステルズ、乳脂等が挙げられる。
【0037】
高分子化合物としては、例えば、アクリル酸系増粘剤、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、ステアロキシヒドロキシプロピルメチルセルロース、ニトロセルロース、セルロース硫酸ナトリウム等のセルロース系増粘剤、キサンタンガム、カエサルピニアスピノサガム、ヒドロキシプロピルキサンタンガム、アラビアガム、トラガカントガム、キャブロガム、グアーガム、デキストラン等の天然由来の増粘剤、ポリビニルアルコール、高分子のジメチルポリシロキサン、ペクチン、寒天、クインスシード、デンプン、アルゲコロイド、サクシノグルカン、コラーゲン、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、カルボキシメチルデンプン、アルギニン酸ナトリウム、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンアクリレート、カチオンポリマー等の増粘剤やその他の高分子化合物が挙げられる。
【0038】
前記アクリル酸系増粘剤としては、例えば、ポリアクリルアミド、(アクリル酸ヒドロキシエチル/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリルアミド/アクリル酸アンモニウム)コポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリン/ジメチルアクリルアミド)クロスポリマー、ポリアクリレート-13、ポリアクリレートクロスポリマー-6、(アクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド/アクリレーツ)コポリマー、ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/ビニルピロリドン)コポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸べへネス-25)クロスポリマー、(アクリロイルジメチルタウリンアンモニウム/メタクリル酸ステアレス-25)クロスポリマー、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸ステアレス-20)コポリマー、(アクリレーツ/メタクリル酸べへネス-25)コポリマー、(アクリレーツ/イタコン酸ステアレス-20)コポリマー、ステアレス-10アリルエーテル/アクリレーツコポリマー、カルボキシビニルポリマー等を挙げることができる。
【0039】
保湿剤としては、例えば、エトキシジグリコール、乳酸ナトリウム、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0040】
美白剤としては、例えば、ハイドロキノン、α―アルブチン、β―アルブチン、コウジ酸、コウジ酸ジパルミテート、ニコチン酸アミド、アスタキサンチン、ヒスチジンジチオオクタナミド(Na/亜鉛)、プラセンタエキス、ローズマリーエキス、ルシノール、マグノリグナン、エラグ酸、カミツレエキス、甘草エキス、ローズマリーエキス、トラネキサム酸、トラネキサム酸セチル塩酸塩、リノール酸、4-メトキシサリチル酸カリウム塩、アスコルビン酸、及びアスコルビン酸グルコシド、アスコルビン酸リン酸マグネシウムなどの成分(A)以外のアスコルビン酸誘導体等を挙げることができる。
【0041】
感触改良剤としては、PPG-9ジグリセリル、PEG-11メチルエーテルジメチコン、シクロヘキサン-1,4-ジカルボン酸ビスエトキシジグリコール、アミロペクチン(アミロース)、アシル化アミノ酸又はその塩、ポリメタクリル酸メチル、窒化ホウ素、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、金属石鹸、シリコーン粉体、ポリメチルメタクリル酸メチル、ジメチルシリル化シリカなどが挙げられる。
【0042】
薬剤としては、肌荒れ防止剤又は抗炎症剤を挙げることができる。肌荒れ防止剤又は抗炎症剤としては、例えば、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルレチン酸ステアリル、サリチル酸メチル、ピリドキシン塩酸塩、アラントイン、海塩、ソウハクヒエキス、アロエエキス、クチナシエキス、カミツレエキス、カンゾウエキス、ムクロジエキス、キョウニンエキス、オウゴンエキス、甜茶エキス、ビワエキス、イチョウエキス、オトギリソウエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ベニバナエキス、トウヒエキス、サルビアエキス、シラカバエキス、チンピエキス、トウニンエキス、ガイヨウエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、ニンジンエキス、シャクヤクエキス、センキュウエキス、ゲンチアナエキス、冬虫夏草エキス、オウバクエキス、インチンコウエキス、ゲンノショウコエキス、モモ葉エキス、クマザサエキス、ヨクイニンエキス、マロニエエキス、サンザシエキス、オウレンエキス、レイシエキス、トウキンセンカエキス、ペパーミントエキス、コンフリーエキス、ブッチャーブルームエキス、ウスベニアオイエキス、ヤグルマルソウエキス、トゲナシエキス等が挙げられる。その他、育毛用薬剤、ニキビ用薬剤、ふけ・かゆみ用薬剤、腋臭防止用薬剤等も薬剤として挙げることができる。
【0043】
紫外線吸収剤としては、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン-スルホン酸ナトリウム、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体;パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル等のパラアミノ安息香酸誘導体;パラメトキシケイヒ酸エチル、パラメトキシケイヒ酸イソプロピル、パラメトキシケイヒ酸-2-エチルヘキシル(メトキシケイ皮酸エチルヘキシル)、パラメトキシケイヒ酸ナトリウム、パラメトキシケイヒ酸カリウム、ジパラメトキシケイヒ酸モノ-2-エチルヘキサン酸グリセリル等のメトキシケイヒ酸誘導体;サリチル酸オクチル、サリチル酸フェニル、サリチル酸ホモメンチル、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ミリスチル、サリチル酸メチル等のサリチル酸誘導体;ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン(t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン)、2-(2’-ヒドロキシ-5’-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、アントラニル酸メチル、オクトクリレン(2-シアノ-3,3-ジフェニルプロパ-2-エン酸-2-エチルヘキシル)、2-(4-ジエチルアミノ-2-ヒドロキシベンゾイル)安息香酸ヘキシル(ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル)、エチルヘキシルトリアゾン及びビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等が挙げられ、また、上記紫外線吸収剤を内包するマイクロカプセルも挙げることができる。
【0044】
タンパク質、タンパク加水分解物又はその誘導体としては、例えば、乳タンパク、カゼインタンパク、絹タンパク、小麦タンパク、米タンパク、エンドウマメタンパク、コラーゲン、ケラチン、大豆タンパク、ゴマタンパク、コンキオリン、海洋コラーゲン等のタンパク質、これらの加水分解物又はタンパク加水分解物のアシル化、グリセリル化、シリル化、カチオン化、アルキルエステル化誘導体等が挙げられる。
【0045】
アミノ酸又はそれらの誘導体としては、例えば、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、トレオニン、フェニルアラニン、アルギニン、リジン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、グルタミン酸、シスチン、システイン、メチオニン、トリプトファン、プロリン、ヒスチジン等のアミノ酸又はその塩、及びこれらのアシル化、アルキル化、グリセリル化、エステル化誘導体等が挙げられる。
【0046】
酸化防止剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、ビタミンE又はその誘導体、タンニン、BHT(ブチルヒドロキシトルエン)等を挙げることができる。
【0047】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、エデト酸ナトリウム塩、リン酸、クエン酸、フィチン酸、エチドロン酸、グルタミン酸ジ酢酸ナトリウム塩、ペンテト酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0048】
pH調整剤としては、例えば、乳酸、クエン酸、グリコール酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、グルコン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム等が挙げられる。
【0049】
防腐剤としては、例えば、メチルパラベン、プロピルパラベン等のパラオキシ安息香酸アルキルエステル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール、エチルヘキシルグリセリン、レブリン酸、ベンジルアルコール等が挙げられる。
【0050】
上記通常化粧料に使用される成分は、1種単独で又は2種以上併用して用いることができる。
【0051】
本発明のグリセリルアスコルビン酸含有化粧料は、液状、乳液状、ペースト状、クリーム状、ジェル状等の剤型にすることができ、クリーム状、乳液状が好ましい。
【0052】
さらには、本発明のグリセリルアスコルビン酸含有化粧料は様々な化粧料に広く応用することが可能であり、美容液、乳液、化粧下地、アンチエイジングクリーム、エモリエントクリーム、クレンジングクリーム、ハンドクリーム、ボディクリーム、ファンデーション、日やけ止め乳液、日焼け止めクリームなどとして適用することができる。
【実施例0053】
次に合成例、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は合成例、実施例に限定されない。なお、表中に記載されている数値は、いずれも化粧料全質量に対する質量%である。
【0054】
合成例1 2-O-グリセリル-3-O-テトラデシルアスコルビン酸の合成
アルゴン雰囲気下、水に、L-アスコルビン酸(100.0g)、炭酸水素ナトリウム(95.4g)を加え、室温で30分攪拌し、グリシドール(84.1g)を加えた。60℃に加温して5時間攪拌を行った。メタノールを加えろ過し、ろ液を減圧下に濃縮し、得られた残渣190.0gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。クロロホルム/メタノール/水=6/4/1で溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2-O-グリセリルアスコルビン酸(12.1g)を得た。
【0055】
さらに、2-O-グリセリルアスコルビン酸(10.0g)をDMF(60mL)中で攪拌し、さらに炭酸ナトリウム(2.23g)を加え、室温で10分攪拌を行った。その後、臭化テトラデシル(11.1g)を加え80℃に加温し7時間攪拌した後、イソブチルアルコールで抽出した。抽出液を減圧下にて濃縮した後、得られた残渣13.3gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。酢酸エチル/メタノール=100/1で溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2-O-グリセリル-3-O-テトラデシルアスコルビン酸(9.5g)を得た。
【0056】
得られた生成物の赤外吸収スペクトル、H-NMR、13C-NMRの測定結果を以下に示す。これらの結果より、生成物が2-O-グリセリル-3-O-テトラデシルアスコルビン酸であることが確認された。
【0057】
赤外吸収スペクトル[ATR](cm-1):3360、2916、2849、1744、1668
H-NMR(400MHz,CDOD): δ 0.89(3H,t),1.28(22H,brs),1.75(2H,tt),3.58(2H,m),3.64(2H,m),3.85(2H,br),3.96(1H,dt),4.11(1H,m),4.54(2H,m),4.83(1H,d)
13C-NMR(100MHz,CDOD): δ 14.5,23.8,26.7,30.5,30.66,30.71,30.74,30.79,30.82,33.1,63.3,63.98,64.01,70.6,71.9,73.7,75.2,75.3,76.7,122.58,122.61,159.9,172.6
【0058】
合成例2 2-O-グリセリル-3-O-ヘキサデシルアスコルビン酸の合成
2-O-グリセリルアスコルビン酸(10.0g)をDMF(60mL)中で攪拌し、さらに炭酸ナトリウム(2.23g)を加え、室温で10分攪拌を行った。その後、臭化セチル(12.2g)を加え80℃に加温し7時間攪拌した後、イソブチルアルコールで抽出した。抽出液を減圧下にて濃縮したあと、得られた残渣15.2gをシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付した。酢酸エチル/メタノール=100/1で溶出し、減圧下にて濃縮を行い、2-O-グリセリル-3-O-ヘキサデシルアスコルビン酸(11.0g)を得た。
【0059】
得られた生成物の赤外吸収スペクトル、H-NMR、13C-NMRの測定結果を以下に示す。これらの結果より、生成物が2-O-グリセリル-3-O-ヘキサデシルアスコルビン酸であることが確認された。
【0060】
赤外吸収スペクトル[ATR](cm-1):3383、2916、2849、1736、1663
H-NMR(400MHz,CDOD): δ 0.89(3H,t),1.28(26H,brs),1.75(2H,tt),3.58(2H,m),3.64(2H,m),3.85(2H,br),3.96(1H,dt),4.12(1H,m),4.54(2H,m),4.83(1H,d)
13C-NMR(100MHz,CDOD): δ 14.5,23.8,26.7,30.5,30.66,30.70,30.74,30.78,30.81,33.1,63.2,63.97,64.00,70.6,71.9,73.7,75.20,75.25,76.7,122.57,122.61,159.9,172.62,172.64
【0061】
実施例1~9:クリーム
表1に記載の(a)を混合し、均一に溶解する。均一に混合した(a)を攪拌しながら、(b)を数回に分けて添加し、混合することでゲル状組成物が得られる。また、(c)を別容器で均一に混合し、前記ゲル状組成物に添加することでクリームを調製した。
【0062】
[経時安定性及び着色の評価]
上記で調製したクリームを0℃、25℃、50℃の恒温槽に8週間保存し、経時安定性について下記の評価基準で評価した。また、50℃、8週間保存後のクリームについては、経時的な着色についても下記評価基準で評価した。粘度測定にはブルックフィールドLVT粘度計を用いて行っており、その結果を表1に示す。
【0063】
経時安定性:
〇: 調製直後に対して粘度変化が±20%未満であった。
△: 調製直後に対して粘度変化が±20%以上であった。
×: 安定性が悪く、油相と水相が分離した。
【0064】
着色:
〇: 調製直後の色と比較して、変化していない。
△: 調製直後の色と比較して、わずかに黄変している。
×: 褐色に変化した。
【0065】
【表1】
表1中、*1はAmitose GMA(2-O-グリセリル-3-O-テトラデシルアスコルビン酸を20質量%、BGを80%含有)、*2はAmitose GCA(2-O-グリセリル-3-O-ヘキサデシルアスコルビン酸を32質量%、ペンチレングリコールを68%含有)(以上、商品名、いずれも株式会社成和化成製)、*3はSEPIMAX ZEN(商品名、SEPPIC社製)として配合した。
【0066】
表1の結果から明らかなように、成分(A)~(C)を配合した実施例1~9では、界面活性剤フリーであるにも関わらず、経時的な粘度変化や着色が抑制されている安定なクリームであることが明らかとなった。
また、実施例1~9のクリームについて、20名のパネラーにより、下記評価基準により官能評価を行った。使用感、保湿感、伸び、浸透感について、20名のパネラーの評価点の合計はいずれも65以上であり、使用感についても優れているとの評価結果が得られた。
【0067】
[評価基準]
使用感:
4:非常に優れた使用感で、肌に塗布した際に心地よいと感じる。
3:良好な使用感で、肌に塗布した際に心地よいと感じる。
2:肌に塗布した際に、不快さを感じない。
1:肌に塗布した際、不快に感じる。
【0068】
保湿感:
4:肌に塗布した際に、潤いを感じ肌がしっとりとする。
3:肌に塗布した際に、肌に潤いを感じる。
2:肌に塗布した際に、わずかに潤いを感じる。
1:肌に塗布した際に、肌が乾燥するように感じる。
【0069】
伸び:
4:非常に肌に塗り広げやすく、肌にスムーズに塗布できる。
3:塗り広げやすい。
2:塗り広げにくいが、塗り広げる際にひっかかりを感じない。
1:塗り広げる際にひっかかりを感じ、塗り広げにくい。
【0070】
浸透感:
4:肌に塗布した際に、すぐに浸透しているように感じる。
3:肌に塗布した際に、徐々に浸透しているように感じる。
2:肌に塗布した際に、わずかに浸透しているように感じる。
1:肌に塗布した際に、浸透していないように感じる。
【0071】
実施例10~12:乳液
表1のクリームと同様の方法で乳液を調製した。調製した乳液について、実施例1~9と同様の評価方法で経時安定性及び着色について評価した。その結果を表2に示す。
【0072】
【表2】
表2中、*1~3については表1と同じである。
【0073】
表2の結果から明らかなように、成分(A)~(C)を配合した実施例10~12の乳液では、経時的な粘度変化や着色が抑制されている乳液であることが明らかとなった。