(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075927
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】基板ジョイント機構
(51)【国際特許分類】
H05K 1/14 20060101AFI20230524BHJP
H01R 12/52 20110101ALI20230524BHJP
【FI】
H05K1/14 D
H01R12/52
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022182607
(22)【出願日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】P 2021188379
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】519431236
【氏名又は名称】有限会社ケイ・ピー・ディ
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(72)【発明者】
【氏名】加藤木 一明
【テーマコード(参考)】
5E223
5E344
【Fターム(参考)】
5E223AC21
5E223BA67
5E223BB26
5E223CB46
5E223CB47
5E223CB88
5E223CD01
5E223CD12
5E223CD15
5E223CD25
5E223DA13
5E223DB08
5E223DB13
5E223DB22
5E223DB32
5E344AA09
5E344AA12
5E344AA28
5E344BB02
5E344BB06
5E344CC09
5E344CC13
5E344CC14
5E344CC19
5E344CC23
5E344CD13
5E344DD07
5E344EE21
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コネクタ及び半田付けを必要としない複数のプリント基板同士の接続方法・接続機構を提供する。
【解決手段】第一コネクタ部分及び第二コネクタ部分を有する基板ジョイント機構1において、第一コネクタ部分及び第二コネクタ部分が、オス側コネクタ部分5又ははメス側コネクタ部分4として形成されている。メス側コネクタ部分4は、複数のスルーホール6及びスルーホールメッキから成り、オス側コネクタ部分5は、基板ジョイント機構1の延伸方向に延びる複数の突出部7から形成されている。第一コネクタ部分と対応する第二コネクタ部分は、金属箔帯3により形成される導通部により接続されており、オス側コネクタ部分5を形成する突出部7のうち、最外縁部分に配置される2つの突出部7が、突出部7より内側に配置される突出部7の方に向けられた爪部8を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁板及びその両面に装着された複数の金属箔帯からなる基板ジョイント機構であって、この基板ジョイント機構が、当該基板ジョイント機構の第一の端部に形成された複数の第一コネクタ部分、及び当該基板ジョイント機構の他方の端部に形成された複数の第二コネクタ部分を有し、第一および第二コネクタ部分が、オス側コネクタ部分、またはメス側コネクタ部分として形成されており、メス側コネクタ部分は、複数のスルーホール及びこれらスルーホールに設けられるスルーホールメッキから成り、オス側コネクタ部分は、当該基板ジョイント機構の延伸方向に延びる複数の突出部から形成されており、第一コネクタ部分と対応する第二コネクタ部分は金属箔帯により形成される導通部により接続されており、オス側コネクタ部分を形成する当該突出部のうち、最外縁部分に配置される2つの突出部が、当該突出部より内側に配置される突出部の方に向けられた爪部を有することを特徴とする基板ジョイント機構。
【請求項2】
オス側コネクタ部分を形成する複数の突出部の間に、ストッパ突起が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の基板ジョイント機構。
【請求項3】
スルーホールが長穴として形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板ジョイント機構。
【請求項4】
長穴として形成されたスルーホールが形成される領域において、金属箔帯が分断されていることを特徴とする請求項3に記載の基板ジョイント機構。
【請求項5】
絶縁体及びその両面に装着された金属箔からなる素材を所定のパネル寸法に切断するステップ、
切断されたパネル部材に複数の突出部、及び複数のスルーホールを形成するステップ、
当該スルーホール内面にメッキ処理を施し、スルーホールメッキを形成するステップ、
対応する突出部とスルーホールを金属箔帯で接続するステップを含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の基板ジョイント機構の製造方法。
【請求項6】
メス側コネクタ部分が、基板ジョイント機構の長手方向に対して角度を有して形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板ジョイント機構。
【請求項7】
メス側コネクタ部分が、同一領域に複数設けられていることを特徴とする請求項6に記載の基板ジョイント機構。
【請求項8】
中央に配置されるコネクタピンの長さが、最外部に配置されるコネクタピンの長さよりも、短く構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の基板ジョイント機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁板及びその両面に装着された複数の金属箔帯からなる基板ジョイント機構に関する。
【背景技術】
【0002】
技術の高度化・複雑化にともない複数のプリント基板が用いられることが増えている。そのような複数のプリント基板は、互いに平行にまたは互いに垂直に配置されるが、お互いのプリント基板を接続するにはコネクタを用いるのが通常である。
【0003】
用いられるコネクタは、通常、所定の基板スペースを必要とする。特に多数の端子(ピン)を有するコネクタは多くのスペースを必要とする。また、そのようなコネクタの製造自体にも多くの製造コストが必要となる。
【0004】
更に、このようなコネクタとプリント基板を接続する際には、半田付けが必要となるが、半田付けを行うには金銭的コストとともに時間的コストが必要である。
【0005】
そこでコネクタを必要せず、かつ半田付けの必要がないプリント基板の接続方法が求められる。
【0006】
ここで特許文献1は、メインプリント配線板(1)に直立させたサブプリント配線板(2)を固定したプリント配線板を提案している。メインプリント配線板(1)とサブプリント配線板(2)の接続はコネクタを介さず行われるが、プリント配線板(1,2)同士の接続は半田付けによるものとなっている。
【0007】
プリント配線基板に対する電子部品の接続方法のうち、半田付けを必要としないものとして、特許文献2のようにコンタクトピンを用いるものや、特許文献3のようなプレスフィット端子を用いるものが知られているが、いずれもコネクタに用いられる技術にすぎない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第2592361号公報
【特許文献2】特開2013ー16394号公報
【特許文献3】特開2014―44913号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明の課題は、複数のプリント基板同士の接続方法・接続機構であって、コネクタ及び半田付けを必要せず、プリント基板同士を立体的に接続可能とする方法・機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、絶縁板及びその両面に装着された複数の金属箔帯からなる基板ジョイント機構であって、この基板ジョイント機構が、当該基板ジョイント機構の第一の端部に形成された複数の第一コネクタ部分、及び当該基板ジョイント機構の他方の端部に形成された複数の第二コネクタ部分を有し、第一および第二コネクタ部分が、オス側コネクタ部分、またはメス側コネクタ部分として形成されており、メス側コネクタ部分は、複数のスルーホール及びこれらスルーホールに設けられるスルーホールメッキから成り、オス側コネクタ部分は、当該基板ジョイント機構の延伸方向に延びる複数の突出部から形成されており、第一コネクタ部分と対応する第二コネクタ部分は金属箔帯により形成される導通部により接続されており、オス側コネクタ部分を形成する当該突出部のうち、最外縁部分に配置される2つの突出部が、当該突出部より内側に配置される突出部の方に向けられた爪部を有する基板ジョイント機構により解決される。
【0011】
有利には、オス側コネクタ部分を形成する複数の突出部の間に、ストッパ突起が形成されていることが考えられる。
【0012】
スルーホールが長穴として形成されていると、更に有利である。
【0013】
別の実施形では、長穴として形成されたスルーホールが形成される領域において、金属箔帯が分断されていることも可能である。
【0014】
そして本発明にかかる基板ジョイント機構は、絶縁体及びその両面に装着された金属箔からなる素材を所定のパネル寸法に切断するステップ、切断されたパネル部材に複数の突出部、及び複数のスルーホールを形成するステップ、当該スルーホール内面にメッキ処理を施し、スルーホールメッキを形成するステップ、対応する突出部とスルーホールを金属箔帯で接続するステップを含む製造方法により製造されることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図2】本発明にかかる基板ジョイント機構を複数組み合わせた状態の図
【
図3】オス側コネクタ部分に設けられる爪部の実施例
【
図4】オス側コネクタ部分に設けられるストッパ突起の図
【
図5】メス側コネクタ部分のスルーホール領域での金属箔帯の切断の図
【
図7】9つの端子機構を有する基板ジョイント機構の図
【
図8】本発明に係る基板ジョイント機構の使用状態の図
【
図9】本発明に係る基板ジョイント機構の別の使用状態の図
【
図10】プリント基板の製作過程において発生する捨て基板の図
【
図13】基板ジョイント機構をコネクタを介してプリント基板に挿入する様子の図
【
図14】基板ジョイント機構をコネクタを介してプリント基板に挿入する様子の図
【
図15】本発明に係る基板ジョイント機構の別の実施形(LEDキューブ)の図
【
図16】本発明に係る基板ジョイント機構の別の実施形(LEDキューブ)の図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に本発明を添付の図面に基づき詳細に説明する。
【0017】
図1は本発明にかかる基板ジョイント機構1の一つの実施形の全体図を示す。
図1に示されるように、本発明にかかる基板ジョイント機構1は、絶縁板2及びその両面に装着された複数の金属箔帯3から形成されている。金属箔は、例えば銅箔であることが可能である。金属箔帯3は、絶縁板2の表面、裏面において互いに対応する位置に設けられている。この実施例では、表面、裏面に各3本の金属箔帯3が設けられている。
【0018】
当該基板ジョイント機構1には、
図1で見て上側にメス側コネクタ部分4、そして下側にはオス側コネクタ部分5が形成されている。メス側コネクタ部分4は、絶縁板2及びその両面に設けられる金属箔帯3を貫通して形成されるスルーホール6により形成されている。このスルーホール6は、この実施例においては長穴として形成されている。長穴の内部はメッキ処理されており、基板ジョイント機構1の表面の金属箔帯3、裏面の金属箔帯3、及びスルーホール6に挿入されるオス側コネクタ部分5の金属箔帯3との導電性を確保するよう構成されている。
【0019】
オス側コネクタ部分5は、複数の突出部7から形成されている。この実施例においては、合計3つの突出部7によりオス側コネクタ部分5が形成されている。各オス側コネクタ部分5と対応するメス側コネクタ部分4は、各金属箔帯3により接続されている。金属箔帯3による接続は絶縁板2の表面・裏面、両方の面において行われている。これにより各オス側コネクタ部分5、対応するメス側コネクタ部分4、金属箔帯3は、いわば一つの端子構造(ピン構造)を構成することとなる。
【0020】
各突出部7は、基本的に同形状・同寸法に形成されている。更に、
図1における左右外側の突出部7(最外縁部分に配置される突出部7)は爪部8を有しているのが見て取れる。この爪部は、最外縁部分に配置される突出部7から、その内側に配置される突出部7の方に向けられて形成されている。この爪部によってメス側コネクタ部分4(スルーホール6)との係合性が高められ、オス側コネクタ部分5がメス側コネクタ部分4より脱落することが防止される。
【0021】
絶縁板2とその両面に設けられる金属箔帯3の合計の厚さ(仕上板厚)は、メス側コネクタ部分4のスルーホール6及びこれに設けられるスルーホールメッキを施された後の仕上寸法を考慮し、両コネクタ部分の結合性、導通性を確保するよう構成されている。このような構成と、スルーホール6が長穴として形成されていることの結果として、オス側コネクタ部分5及びメス側コネクタ部分4がいわば「面」で接触することとなり、導通接続性の向上・安定化が図られる。
【0022】
図2は、このような基板ジョイント機構1を複数組み合わせた状態の図を示す。
図2の左側の図(
図2a)には、2つの基板ジョイント機構1が組み合わされた状態、中央の図(
図2b)には、3つの基板ジョイント機構1が組み合わされた状態、そして右側の図(
図2c)には、3つの基板ジョイント機構1が組み合わされた別の状態が表されている。いずれの図においても、一つの基板ジョイント機構1のメス側コネクタ部分4に、他の基板ジョイント機構1のオス側コネクタ部分5が挿入されているのが見て取れる。このように、本発明にかかる基板ジョイント機構1は複数接続する、つまり接続を多段式に実施することが可能である。これによって、直角・並行など多様に配置される可能性がある複数のプリント基板を柔軟に接続することが可能となる。
【0023】
図2に見て取れるように、各基板ジョイント機構1同士の接続は、半田付けを用いることなく可能である。上述した通りのオス側コネクタ部分5及びメス側コネクタ部分4の構成によって、半田付けをせずとも導通性は確保されている。
【0024】
もちろん、オス側コネクタ部分5とメス側コネクタ部分4を半田付けし、互いに導通させることも考えられる。
【0025】
図3は、オス側コネクタ部分5、より具体的には最外縁部分に配置される突出部7に設けられる爪部8の別の実施形を示す。
図3の左側には
図1の実施形における爪部8、右側には、別の実施形に従う爪部8が表されている。
図3a、
図1の実施形では爪部8は、
図1の上側の辺と下側の辺がほぼ同じ長さに形成されている。
図3bの実施形においては、これら両辺が異なる長さに形成されている。結果、爪部8上部の角度α、βは異なる。
図3bの実施形における爪部8の角度βが、
図1、
図3aにおける角度αより小さく形成されていることにより、オス側コネクタ部分5の突出部7のメス側コネクタ部分4のスルーホール6に対する係合性がより高められる。オス側コネクタ部分5とメス側コネクタ部分4の係合性を考慮し、爪部8を他の形状とすることももちろん考えられる。
【0026】
図4に見て取れるように、オス側コネクタ部分5の各突出部7の間、より具体的には各金属箔帯3の間の絶縁板2部分にストッパ突起9を設けることも可能である。これにより、当該基板ジョイント機構1のオス側コネクタ部分5をメス側コネクタ部分4に挿入した際の、基板ジョイント機構1同士の位置関係の調整が図られる。
【0027】
図5は、メス側コネクタ部分4に対する別の可能性を表す。
図5に示されるように、金属箔帯3のスルーホール6両側の部分を例えばドリル等により削除することによって、スルーホール6の上側に位置する金属箔帯3と下側に位置する金属箔帯3を互いに分断することが考えられる。これによって、金属箔帯3のスルーホール6上側の部分と下側の部分の間の導通が分断される。つまりこのスルーホール6に挿入される基板ジョイント機構1オス側コネクタ部分5の表面、裏面をそれぞれ別系統の端子・電極として機能させることが可能となる。結果、1つの端子(一つの突出部7)に2端子分の機能・役割を担わせることが可能となり、いわば「多ピン構造化」が可能となる。
【0028】
図6に示すように、最外縁部に配置される端子構造以外の端子構造(中間端子構造)の数量を増加させることにより、全体の端子数(ピン数)を増加させることが可能である。
図6には、合計9つの端子構造を有する実施形が実現される様子が表されている。
【0029】
図7は、本発明にかかる基板ジョイント機構1の別の実施形を示す。この実施形においては、9端子構造(9ピン構造)が実現されている。この実施形における各基板ジョイント機構1も、
図2の実施形においてと同様、互いに組み合わされて使用されることが可能である。
【0030】
本発明にかかる基板ジョイント機構1は、互いに組み合わされて使用されるだけでなく、通常のプリント基板にメス側コネクタ部分4及び/又はオス側コネクタ部分5を設け、これと組み合わせて使用されることも可能である。この場合、本発明にかかる基板ジョイント機構1は、いわばコネクタの代替として機能することとなる。
【0031】
例えば
図8の例では、通常のプリント基板10にはメス側コネクタ部分4を設けられている。このメス側コネクタ部分4に、本発明に係る基板ジョイント機構1のオス側コネクタ部分5が挿入されているのが見てとれる。そして基板ジョイント機構1のメス側コネクタ部分5にはケーブル12が接続されている。これによって本発明に係る基板ジョイント機構1がコネクタの代替として機能している。ケーブル12の先には、ICチップ11への書込みを行うためのPC等が接続されていることが考えられる。
【0032】
また、別の実施形では、本発明に係る基板ジョイント機構1は、両側をオス側コネクタ部分5として、またはメス側コネクタ部分4として形成することも考えられる。例えば
図9には、両側をオス側コネクタ部分5として形成した基板ジョイント機構1により、2つのプリント基板10、10‘が接続される様子が示されている。プリント基板10、10’には、本発明に係るメス側コネクタ部分がそれぞれ設けられている。これによって、2つのプリント基板10、10‘を、半田付けを用いることなく容易に接続することが可能となる。
【0033】
最後に当該基板ジョイント機構1の製造方法を説明する。この基板ジョイント機構1は、基本的に通常のプリント配線基板(両面基板)と同様・類似の方法で製造することが可能である。
【0034】
本発明にかかる基板ジョイント機構1の製造方法は、少なくとも以下のステップを含んでいる。(1)パネル切断ステップ、(2)スルーホール6、突出部7形成ステップ、(3)スルーホールメッキステップ、(4)金属箔帯形成ステップ。
【0035】
パネル切断ステップにおいては、素材が所定のパネル寸法に切断される。素材は、両面基板用の銅張積層板が使用されることが可能である。
【0036】
次に、切断された素材に穴あけ・加工が行われスルーホール6・突出部7が形成される。これにより本発明にかかる基板ジョイント機構1の各端子機構の基本的構成が形成される。この段階では、金属箔帯は未だ形成されていない。
【0037】
次に、スルーホール6に対してメッキ処理が行われる。これによって表面の金属箔と、裏面の金属箔を電気的に接続される。
【0038】
最後に、金属箔帯が形成される。金属箔帯の形成は通常のパターン形成工程に従い行われることが可能である。すなわち、この工程は、エッチングレジストのラミネート、パターン焼付け、パターン以外の不要部分の除去・パターン形成用レジストの形成、エッチング工程(パターン以外の部分の金属箔の除去)、レジストの剥離等の工程を含んでいる。
【0039】
本発明にかかる基板ジョイント機構1は、通常のプリント基板と同様の素材から製造することが可能であるので、素材上におけるレイアウトを適切に検討することにより、一つの素材からプリント基板と本発明にかかる基板ジョイント機構1を同時に製造することが可能となる。これにより製造コストは大幅に削減されることが可能である。
【0040】
例えば、
図10に見て取れるように、プリント基板の通常の製作過程においては、捨て基板と呼ばれる部分が生ずる。
図10においては、符号20を付された部分が捨て部分である。本発明に係るジョイント基板は、上述したとおり通常のプリント基板と同様の素材から、この捨て部分を活用して製造することが可能である。これは部品等のコスト削減、現在さまざまな分野で取組みが行われているSDGs、ゼロエミッション等の課題を解決することに通ずる。
【0041】
図11は、本発明に係るジョイント基板におけるメス側コネクタ部分4の別の実施例を示す。メス側コネクタ部分4は、これまで上述の例で示してきたように、ジョイント基板の長手方向に対して直行する方向に設けられるだけでなく、この図(
図11)に示されるように、ジョイント基板の長手方向に対して確度を有して(例えば45度の角度で)、設けられることが可能である。
【0042】
更に、
図11(右図)に見て取れるように、メス側コネクタ部分4は、同一領域に複数設けられていることも可能である。例えば、
図11の右図に示すように、メス側コネクタ部分4は、交差して(クロスして)、X字状に設けられていることも可能である。これにより、本発明にかかるジョイント基板による3次元空間内における基板レイアウトの自由度がさらに向上する。
【0043】
図12は、本発明にかかるジョイント基板のオス側コネクタ部分3の別の実施形を示す。オス側コネクタ部分3は、
図1や
図6の例においては、当該
図12の左図に示されるように、いずれのコネクタピンも同じ長さに形成されていた。
図12の右図に示されるオス側コネクタ部分3は、中央に配置される2本のコネクタピンが、両側(最外部)に配置される2本のコネクタピンよりも短く形成されている。これによって、内側に配置されるコネクタピンは、より
図12の左側に示される実施に比べて折れたり破損したりしにくくなる。
【0044】
図13は、本発明にかかるジョイント基板の使用例を示す。
図13に示される通り、プリント基板に、適切にメス側コネクタ部分を設けることによって、またはオス側コネクタ部分を通常のコネクタのメス側コネクタ部分に適合するよう設けることによって、本発明にかかるジョイント基板は、そのオス側コネクタ部分をプリント基板のメス側コネクタ部分に直接挿入することも可能であり(図の左側)、又は、コネクタ等を介してプリント基板に挿入・接続することも可能である(図の右側)よう構成されていることが可能である。
【0045】
コネクタを介してプリント基板に挿入・接続する場合、
図14の左側の図のように、プリント基板と本発明にかかるジョイント基板が並行に延びるよう構成することも可能であるし、
図14の右側の図のようにプリント基板に対してジョイント基板が垂直方向に延びるよう構成されていることも可能である。
【0046】
更に、
図15に基づき、本発明に係る基板ジョイント機構のさらなる発展形を示す。
図15に示されるように、本発明にかかる基板ジョイント機構は、多数の端部を有し、それら端部にオス型コネクタ部分、メス型コネクタ部分が形成される構造を有することが可能である。各端部に形成されるオス型コネクタ部分、メス型コネクタ部分の各端子は通常のプリント基板技術によって適切に接続されることができる。
図10の例では、複数のLED発行体が当該プリント基板技術によって格子状構造に形成された本発明に係る基板ジョイント機構の上に載せられ、いわばひとつのLEDキューブを形成している。
【0047】
このようなLEDキューブは、空間図形の理解を促す教具として用いられることが可能である。本発明にかかるLEDキューブを用いることで図形認知能力・空間認知能力の向上が見込まれる。
【0048】
近年、念頭操作を行うことに困難を感じる子供、見取り図を確実に理解することができない子供が増えている。そのような子供たちは、立体の中に新たな面を形成した際などに、その形を念頭上で想像できない、直感的な見方から論理的な考え方への移行ができない等の問題を抱え、特に空間図形においては、それらの問題点が顕著に現れる。
【0049】
本発明にかかかる、このようなLEDキューブを用いることで、子供たちは見取り図と実際の立体の認識の違いをわかるようになることが見込まれる。立体の内部の構造が透けて見えるため、対角線やねじれの関係にある線分の理解を促しやすいからである。また見た目が印象的であるため子供たちの学習意欲の向上が見込まれる。
【0050】
図16は、
図15に表されたLEDキューブを別の角度から見た図である。4本の柱状ジョイント基板と、これら4本の柱状ジョイント基板により接続・支持される5枚の格子状ジョイント基板が見て取れる。LEDキューブの最底部には、LEDの発行を制御する制御機構を備える制御用プリント基板が見て取れる。
【0051】
図17は、
図16のLEDキューブを各構成部材に分解した図である。この図により、4本の柱状ジョイント基板、5枚の格子状ジョイント基板、制御用プリント基板を、より明確に見て取ることができる。
【0052】
図18は、
図17に表された柱状ジョイント基板、格子状ジョイント基板、制御用プリント基板の詳細の図である。図の左側に、各基板の表側の面(一方の面)、図の右側には裏側の面(他方の面)が表されている。格子状ジョイント基板の表側の面にはLEDが、裏側の面にはコンデンサが配置されているのが見て取ることが可能である。格子状ジョイント基板の裏側の面にLEDを設けることももちろん可能である。
【0053】
図19は、このような構成部材から構成されるLEDキューブに通電し、LEDを発光させた状態の図である。
【符号の説明】
【0054】
1 基板ジョイント機構
2 絶縁板
3 金属箔帯
4 メス側コネクタ部分
5 オス側コネクタ部分
6 スルーホール
7 突出部
8 爪部
9 ストッパ突起
10、10‘ プリント基板
11 ICチップ
12 ケーブル
20 捨て基板部分