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特開2023-75946情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075946
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 70/40 20180101AFI20230524BHJP
   G16H 20/00 20180101ALI20230524BHJP
【FI】
G16H70/40
G16H20/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022185225
(22)【出願日】2022-11-18
(31)【優先権主張番号】P 2021188597
(32)【優先日】2021-11-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】513225176
【氏名又は名称】株式会社DUMSCO
(71)【出願人】
【識別番号】504132272
【氏名又は名称】国立大学法人京都大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002871
【氏名又は名称】弁理士法人坂本国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】西池 成資
(72)【発明者】
【氏名】若林 尚文
(72)【発明者】
【氏名】万代 昌紀
(72)【発明者】
【氏名】山口 建
(72)【発明者】
【氏名】東山 希実
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA04
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】ユーザの日々の健康状態の変化に応じた適切なタイミングでの受診勧奨を可能とする。
【解決手段】ユーザの脈拍又は心拍に係る測定データを取得する取得部と、測定データに基づいて、ユーザに生じうる所定の薬又はワクチンの副作用に関連する所定パラメータの値を算出するパラメータ算出部と、所定の薬又はワクチンの投与又は接種後における所定期間にわたる測定データに基づきパラメータ算出部により算出された所定パラメータの値に基づいて、医療機関での受診をユーザに促す受診勧奨情報を出力する出力部とを備える、情報処理装置が開示される。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの脈拍又は心拍に係る測定データを取得する取得部と、
前記測定データに基づいて、前記ユーザに生じうる所定の薬又はワクチンの副作用に関連する所定パラメータの値を算出するパラメータ算出部と、
前記所定の薬又はワクチンの投与又は接種後における所定期間にわたる前記測定データに基づき前記パラメータ算出部により算出された前記所定パラメータの値に基づいて、医療機関での受診を前記ユーザに促す受診勧奨情報を出力する出力部とを備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記所定期間の開始タイミングを設定する設定部を更に備える、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定の薬に係る前記ユーザの投与情報、及び、前記ユーザに対する前記所定のワクチンの接種情報、のうちの少なくともいずれか1つを含む関連情報を取得する関連情報取得部を更に備え、
前記設定部は、前記関連情報に基づいて、前記開始タイミングを設定する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記ユーザが前記所定の薬の服用を開始したタイミング、前記ユーザに前記所定の薬の投薬したタイミング、又は、前記ユーザが前記所定のワクチンを接種したタイミングに基づいて、前記開始タイミングを設定する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記所定の薬は、抗がん剤を含む、請求項3又は4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記出力部は、前記所定パラメータの値に基づいて、前記ユーザの倦怠感のレベルが所定閾値を超えたと判定した場合に、前記ユーザに前記受診勧奨情報を出力する、請求項1から5のうちのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記出力部は、前記受診勧奨情報を出力する場合に、登録された医療機関、及び、登録ユーザのうちの少なくともいずれか一方に、所定の通知を出力する、請求項3から6のうちのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
当該情報処理装置が、前記ユーザにより携帯可能な情報処理端末、前記ユーザにより利用可能な情報処理端末、及び、サーバコンピュータのうちの、いずれか1つ又は2つ以上の任意の組み合わせにより実現される、請求項1から7のうちのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記ユーザと、前記医療機関の医療従事者とのコミュニケーションを図るコミュニケーション部と、
前記コミュニケーション部を介して交わされる前記ユーザと前記医療従事者とのコミュニケーションの内容を反映して、前記医療機関及び/又は前記医療従事者に対して、当該情報処理装置の運営に係るインセンティブを付与するインセンティブ付与部とを更に備える、請求項1から8のうちのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
ユーザの脈拍又は心拍に係る測定データを取得し、
前記測定データに基づいて、前記ユーザに生じうる所定の薬又はワクチンの副作用に関連する所定パラメータの値を算出し、
所定期間にわたる前記測定データに基づき算出した前記所定パラメータの値に基づいて、医療機関での受診を前記ユーザに促す受診勧奨情報を出力することを含む、コンピュータにより実行される情報処理方法。
【請求項11】
ユーザの脈拍又は心拍に係る測定データを取得し、
前記測定データに基づいて、前記ユーザに生じうる所定の薬又はワクチンの副作用に関連する所定パラメータの値を算出し、
所定期間にわたる前記測定データに基づき算出した前記所定パラメータの値に基づいて、医療機関での受診を前記ユーザに促す受診勧奨情報を出力する、
処理をコンピュータに実行させる、情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定の疾患についての受診勧奨を行うか否かの判断基準である受診勧奨基準情報と、ユーザの健康状態に関する検査結果の情報である健康状態情報とに基づいて、医療機関での所定の疾患についての受診を勧奨する受診勧奨情報をユーザに送信する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6940898号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来技術では、ユーザの健康状態が検査結果に基づき評価されるので、ユーザの日々の健康状態の変化に応じた適切なタイミングでの受診勧奨を実現することが難しい。
そこで、本開示は、ユーザの日々の健康状態の変化に応じた適切なタイミングでの受診勧奨を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
1つの側面では、ユーザの脈拍又は心拍に係る測定データを取得する取得部と、
前記測定データに基づいて、前記ユーザに生じうる所定の薬又はワクチンの副作用に関連する所定パラメータの値を算出するパラメータ算出部と、
前記所定の薬又はワクチンの投与又は接種後における所定期間にわたる前記測定データに基づき前記パラメータ算出部により算出された前記所定パラメータの値に基づいて、医療機関での受診を前記ユーザに促す受診勧奨情報を出力する出力部とを備える、情報処理装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ユーザの日々の健康状態の変化に応じた適切なタイミングでの受診勧奨が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態による情報送信システムのシステム構成を概略的に示す図である。
図2】サーバのハードウェア構成の一例を示す図である。
図3】ユーザ端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】ユーザ端末及びサーバのそれぞれの各種機能の一例を示す機能ブロック図である。
図5】所定パラメータの説明図である。
図6】所定パラメータの説明図である。
図7A】ユーザデータ記憶部内のデータの一例の説明図である。
図7B】測定データ記憶部内のデータの一例の説明図である。
図7C】算出結果記憶部内のデータの一例の説明図である。
図8】第1実施形態による情報処理システムの動作例を示す概略的なタイミングチャートである。
図9】本日分の各パラメータ算出/記憶処理の一例を示す概略フローチャートである。
図10】ユーザ端末の画面例を示す図である。
図11図4と対比して、第2実施形態におけるユーザ端末及びサーバのそれぞれの各種機能の一例を示す機能ブロック図である。
図12】インセンティブ情報記憶部内のデータの一例の説明図である。
図13図8と対比して、第2実施形態による情報処理システムの動作例を示す概略的なタイミングチャートである。
図14図13の一部の明細を示す概略的なタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照しながら各実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による情報処理システム1のシステム構成を概略的に示す図である。
【0010】
情報処理システム1は、以下で説明するように、所定の薬が投与されたユーザの測定データに基づいて当該ユーザに受診勧奨情報を出力(通知)する機能(以下、「受診勧奨生成機能」とも称する)を備える。
【0011】
所定の薬は、任意であるが、好ましくは、比較的有意な副作用が発生しやすい薬である。本第1実施形態では、一例として、所定の薬は、抗がん剤であるものとする。抗がん剤は、副作用が顕著な場合があり、ユーザのQOL(Quality Of Life)に大きな影響を及ぼしうるため、抗がん剤を服用するユーザ(抗がん剤を投薬されたユーザについても同様、以下同様)に対して、本第1実施形態による受診勧奨生成機能が効果的となる。抗がん剤は、病室以外(自宅等)にいるユーザへの受診勧奨を行う目的から、内服用(すなわち、経口抗がん剤)である。ただし、他の実施形態では、抗がん剤は、注射や点滴等を介して投与されるタイプであってもよい。
【0012】
図1に示す例では、情報処理システム1は、ユーザ端末21と、サーバ31と、測定センサ41と、を含む。
【0013】
ユーザ端末21とサーバ31とは、ネットワーク4を介して通信可能に接続される。
【0014】
ネットワーク4は、インターネット、WAN(Wide Area Network)、無線通信網、有線ネットワーク、又はこれらの任意の組み合わせ等を含んでもよい。
【0015】
ユーザ端末21は、ユーザが所持する端末である。ユーザ端末21は、通信機能を有する。ユーザ端末21は、例えば携帯端末(携帯可能な情報処理端末)であり、この場合、ユーザ端末21は、例えば、スマートフォンや携帯電話、タブレット端末であるが、ウエアラブル端末(例えばスマートウオッチ等)等であってもよい。また、ユーザ端末21は、固定端末(例えばパーソナルコンピュータ)であってもよい。
【0016】
なお、ユーザは、典型的には、複数(多数)存在しうるが、各ユーザに係るユーザ端末21の処理は実質的に同じであるので、以下の説明では、特に言及しない限り、ユーザとは、ある一のユーザを指す。
【0017】
測定センサ41は、接触式又は非接触式でユーザの身体の所定部位の状態をセンシングすることで、ユーザの脈拍又は心拍に係る測定データを取得する。測定センサ41は、ユーザ端末21に内蔵されてもよい。ユーザの測定データは、ユーザの脈拍又は心拍に関連するデータであり、ユーザの脈波や脈拍又は心電図や心拍の時系列データや、ユーザの脈拍又は心拍に相関するパラメータ値の時系列データ、ユーザの脈拍又は心拍の時系列データを用いて導出される時系列データ、等を含んでよい。また、ユーザの測定データは、これらの時系列データに基づいて導出可能な関連する各種パラメータの値に関するデータであってもよい。
【0018】
測定センサ41は、例えば、ユーザの脈波データを取得するセンサや、心電図のデータを取得するセンサである。なお、ユーザの脈波データに係る脈波の検出方法は、任意であり、例えば光学的な方法が利用されてもよい。また、心電図の検出方法についても同様に任意である。
【0019】
測定センサ41は、通信機能を有し、ユーザの測定データをサーバ31に送信する。なお、図1に示す例では、測定センサ41は、ユーザ端末21を介してサーバ31に測定データを送信するが、ユーザ端末21を介さずにサーバ31に測定データを送信してもよい。いずれの場合も、測定データは、ユーザを特定する情報(例えばユーザID)に紐付けられた形態でサーバ31に送信されてもよい。この場合、サーバ31においては、測定データは、登録されたユーザ情報等に基づいて、対応するユーザに紐付けられる態様で処理される。
【0020】
サーバ31は、1つ以上のサーバコンピュータにより形成されてよい。サーバ31は、測定センサ41から送信されるユーザの測定データに基づいて、後述する受診勧奨情報を生成する。
【0021】
図2は、サーバ31のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0022】
図2に示す例では、サーバ31は、制御部101、主記憶部102、補助記憶部103、ドライブ装置104、ネットワークI/F部106、及び入力部107を含む。
【0023】
制御部101は、主記憶部102や補助記憶部103に記憶されたプログラムを実行する演算装置であり、入力部107や記憶装置からデータを受け取り、演算、加工した上で、記憶装置などに出力する。
【0024】
主記憶部102は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などである。主記憶部102は、制御部101が実行する基本ソフトウェアであるOS(Operating System)やアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」又は「アプリケーション」と省略する場合がある)などのプログラムやデータを記憶又は一時保存する記憶装置である。
【0025】
補助記憶部103は、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などであり、アプリなどに関連するデータを記憶する記憶装置である。
【0026】
ドライブ装置104は、記録媒体105、例えばフレキシブルディスクからプログラムを読み出し、記憶装置にインストールする。
【0027】
記録媒体105は、所定のプログラムを格納する。この記録媒体105に格納されたプログラムは、ドライブ装置104を介してサーバ31にインストールされる。インストールされた所定のプログラムは、サーバ31により実行可能となる。
【0028】
ネットワークI/F部106は、ネットワーク4を介して接続されたユーザ端末21等とのインターフェースである。
【0029】
入力部107は、カーソルキー、数字入力及び各種機能キー等を備えたキーボード、マウスやタッチパッド等を有する。
【0030】
なお、図2に示す例において、以下で説明する各種処理等は、プログラムをサーバ31に実行させることで実現することができる。また、プログラムを記録媒体105に記録し、このプログラムが記録された記録媒体105をサーバ31に読み取らせて、以下で説明する各種処理等を実現させることも可能である。なお、記録媒体105は、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。例えば、記録媒体105は、CD(Compact Disc)-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等であってよい。
【0031】
図3は、ユーザ端末21のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0032】
図3に示す例では、ユーザ端末21は、制御部201、主記憶部202、補助記憶部203、ドライブ装置204、ネットワークI/F部206、入力部207、及び出力装置208を含む。
【0033】
制御部201は、主記憶部202や補助記憶部203に記憶されたプログラムを実行する演算装置であり、入力部207や記憶装置からデータを受け取り、演算、加工した上で、記憶装置などに出力する。
【0034】
主記憶部202は、ROMやRAMなどである。主記憶部202は、制御部201が実行する基本ソフトウェアであるOSやアプリなどのプログラムやデータを記憶又は一時保存する記憶装置である。
【0035】
補助記憶部203は、HDDやSSDなどであり、アプリなどに関連するデータを記憶する記憶装置である。
【0036】
ドライブ装置204は、記録媒体205、例えばフレキシブルディスクからプログラムを読み出し、記憶装置にインストールする。
【0037】
記録媒体205は、所定のプログラムを格納する。この記録媒体205に格納されたプログラムは、ドライブ装置204を介してユーザ端末21にインストールされる。インストールされた所定のプログラムは、ユーザ端末21により実行可能となる。
【0038】
ネットワークI/F部206は、ネットワーク4を介して接続されたサーバ31等とのインターフェースである。また、ネットワークI/F部206は、測定センサ41とのインターフェースを含んでよい。測定センサ41がユーザ端末21に内蔵されない場合、ユーザ端末21と測定センサ41との間の接続は、ネットワーク4とは異なるネットワークによる有線接続であってもよいし、ネットワーク4を介した接続であってもよい。例えば、測定センサ41は、Bluetooth(登録商標)のような無線通信技術を利用して、ユーザ端末21に接続されてもよい。
【0039】
入力部207は、カーソルキー、数字入力及び各種機能キー等を備えたキーボード、マウスやタッチパッド等を有する。なお、入力部207は、出力装置208のディスプレイ装置に設けられるタッチパネルにより実現されてもよい。
【0040】
出力装置208は、液晶ディスプレイや、有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置や、スピーカー等の音声出力装置等を含んでよい。
【0041】
なお、図3に示す例において、以下で説明する各種処理等は、プログラム(アプリ)をユーザ端末21に実行させることで実現することができる。また、プログラムを記録媒体205に記録し、このプログラムが記録された記録媒体205をユーザ端末21に読み取らせて、以下で説明する各種処理等を実現させることも可能である。なお、記録媒体205は、様々なタイプの記録媒体を用いることができる。例えば、記録媒体205は、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等のように情報を光学的、電気的あるいは磁気的に記録する記録媒体、ROM、フラッシュメモリ等のように情報を電気的に記録する半導体メモリ等であってよい。
【0042】
次に、図4以降を参照して、上述した情報処理システム1の構成例を順に説明していく。
【0043】
以下では、サーバ31が、情報処理装置の一例を実現するが、後述するように、一のユーザ端末21が、情報処理装置の一例を実現してもよいし、複数のユーザ端末21が、連携して情報処理装置の一例を実現してもよい。また、サーバ31と1つ以上のユーザ端末21が、連携して情報処理装置の一例を実現してもよい。
【0044】
図4は、ユーザ端末21及びサーバ31のそれぞれの各種機能(受診勧奨生成機能に関連した各種機能)の一例を示す機能ブロック図である。図7Aは、ユーザデータ記憶部312内のデータの一例の説明図である。図7Bは、測定データ記憶部318内のデータの一例の説明図である。図7Cは、算出結果記憶部321内のデータの一例の説明図である。なお、図7Aから図7Cにおいて、表内の“***”は何らかの情報が入っていることを表し、“・・・”は同様の態様で連続する場合があることを表す省略記号を表す。なお、図5及び図6については、後述する。
【0045】
図4に示す例では、ユーザ端末21は、測定データ取得部210と、測定データ送信部212と、薬関連情報生成/送信部213と、受診勧奨受信部214と、受診勧奨出力処理部216と、通知処理部218と、を含む。測定データ取得部210から通知処理部218の各機能は、図3に示したユーザ端末21の制御部201が、記憶装置(例えば補助記憶部203)内のプログラムを実行することで実現できる。以下では、一例として、ユーザ端末21には、専用のアプリケーション(以下、「倦怠感解析アプリA」と称する)が実装されており、ユーザ端末21の制御部201が倦怠感解析アプリAを実行することで、測定データ取得部210から通知処理部218の各機能が実現されるものとする。なお、ユーザは、倦怠感解析アプリAをユーザ端末21にダウンロードする際に、ユーザID等の初期登録を行うものとする。
【0046】
測定データ取得部210は、測定センサ41から上述した測定データを取得する。
【0047】
測定データ送信部212は、測定データ取得部210により取得された測定データをサーバ31に送信する。この場合、測定データ送信部212は、測定データを、ユーザIDに紐付けて送信する。なお、測定データは、加工等の処理を受けることなくサーバ31に送信されてもよいし、圧縮処理等の処理を経てサーバ31に送信されてもよい。あるいは、測定センサ41から取得される測定データが心電図のデータや脈波データである場合、脈拍データに変換する処理を行った上で、サーバ31に送信されてもよい。
【0048】
測定データ送信部212は、測定データ取得部210が測定センサ41を介してユーザから取得している測定データをリアルタイムにサーバ31に送信してもよいし、測定データ取得部210が測定センサ41を介してユーザから取得した測定データを所定の記憶領域に格納した上で、オフラインで測定データをサーバ31に送信してもよい。
【0049】
なお、上述したように測定センサ41がサーバ31に測定データを送信するような変形例も可能であり、かかる変形例の場合、測定データ取得部210及び測定データ送信部212は省略されてもよい。
【0050】
薬関連情報生成/送信部213は、ユーザに係る薬関連情報(以下、単に、「関連情報」ということがある)を生成し、生成した薬関連情報をサーバ31に送信する。薬関連情報は、抗がん剤に係るユーザの服用情報、及び、ユーザに対する抗がん剤の投薬情報、のうちの少なくともいずれか1つを含んでよい。薬関連情報は、化学療法のスケージュール等を含んでもよい。
【0051】
服用情報は、実際のユーザの服用に関する情報であってよい。投薬情報は、医者又は薬剤師から指示された投薬に関する情報であってよい。服用情報や投薬情報は、ユーザによる手入力データ(入力部207を介して得られる情報)に基づいて生成されてもよいし、連携して使用されてもよい他のアプリケーション(薬関連のアプリケーション)から取得されてもよい。
【0052】
なお、薬関連情報生成/送信部213により生成される薬関連情報は、抗がん剤の服用又は投薬(以下、「投与」で代表する。同じく、服用情報又は投薬情報は、「投与情報」で代表する)の開始タイミングが特定可能であればよく、詳細な情報の形態でなくてもよい。
【0053】
受診勧奨受信部214は、後述するようにサーバ31から送信される受診勧奨情報の出力指示を受信する。
【0054】
受診勧奨出力処理部216は、受診勧奨受信部214により受信した受診勧奨情報の出力指示に応答して、受診勧奨情報を出力する。受診勧奨情報は、出力装置208を介して出力されてよい。受診勧奨情報は、医療機関での受診をユーザに促すための情報である。受診勧奨情報は、直接的に受診勧奨を行う情報であってもよいし、間接的に受診勧奨を行う情報であってもよい。例えば、間接的に受診勧奨を行う情報は、抗がん剤の副作用に起因した同ユーザのQOLの低下状態を表す情報等であってもよい。受診勧奨情報の出力方法の一例は、後出の図10を参照して後述する。
【0055】
通知処理部218は、測定センサ41による測定(測定データの取得)に関連した各種通知を行う。
【0056】
例えば、通知処理部218は、測定センサ41による測定時間に関連した通知を行ってよい。測定時間は、例えば「毎日の午前中」や、「就寝前の22時から」、といった具合に、ユーザにより事前に設定されてよい。この場合、通知処理部218は、測定時間の開始タイミングが到来すると、測定を開始するようにユーザに促すメッセージ等をユーザ端末21の出力装置208を介して通知してよい。また、通知処理部218は、測定時間の終了タイミングが到来すると、測定を終了するようにユーザに促すメッセージ等をユーザ端末21の出力装置208を介して通知してよい。なお、通知処理部218による通知機能のオン/オフは、ユーザにより切り替え可能とされてよい。
【0057】
なお、ユーザ端末21が例えばウエアラブル端末であり、かつ、測定センサ41がユーザ端末21に内蔵されている場合は、測定データ取得部210は、測定時間の情報に基づいて、自動的に、測定センサ41による測定(及びそれに伴う測定データの取得)を開始及び終了させてもよい。
【0058】
図4に示す例では、サーバ31は、ユーザデータ管理部310、ユーザデータ記憶部312と、測定データ取得部314、測定データ記憶処理部316、測定データ記憶部318、パラメータ算出部320、算出結果記憶部321、薬関連情報取得部322、開始タイミング設定部324、及び受診勧奨出力処理部326を含む。
【0059】
ユーザデータ管理部310、測定データ取得部314、測定データ記憶処理部316、パラメータ算出部320、薬関連情報取得部322、開始タイミング設定部324、及び受診勧奨出力処理部326の各機能は、図2に示したサーバ31の制御部101が、記憶装置(例えば主記憶部102等)内のプログラムを実行することで実現できる。ユーザデータ記憶部312、測定データ記憶部318、及び算出結果記憶部321は、図2に示したサーバ31の記憶装置(例えば補助記憶部103)により実現できる。
【0060】
ユーザデータ管理部310は、情報処理システム1の各ユーザに係る各種基本情報を管理する。本第1実施形態では、一例として、ユーザデータ管理部310は、ユーザデータ記憶部312内のユーザデータのうちの、各種基本情報を管理する。例えば、ユーザデータ管理部310は、新たなユーザの初期登録の際、ユーザデータ記憶部312内のユーザデータに、当該新たなユーザに係る各種基本情報を追加する。また、ユーザデータ管理部310は、登録済のユーザに係る各種基本情報の更新や変更等を行う。
【0061】
ユーザデータ記憶部312には、情報処理システム1の各ユーザに係るユーザデータが記憶される。図7Aに示す例では、ユーザデータ記憶部312内のユーザデータは、ユーザIDに対応付けられる態様で、薬関連情報、連絡先情報、認証情報、及び通知先情報の各種基本情報を含む。また、ユーザデータ記憶部312内のユーザデータは、ユーザIDに対応付けられる態様で、状態情報が対応付けられている。
【0062】
薬関連情報は、上述したように抗がん剤に係るユーザの服用情報等である。連絡先情報は、電話番号や住所等であってよい。認証情報は、倦怠感解析アプリAのログインの際のパスワード等の情報を含んでよい。通知先情報は、受診勧奨情報に伴う所定の通知(後述)の出力先(例えば、ユーザが治療を受けている医療機関やその主治医、ユーザを看護する家族等)の情報であってよい。通知先情報は、メールアドレスや電話番号等の形態であってもよい。状態情報は、後述する判定期間中であるか否かの状態、判定期間の開始タイミングの設定状態、ユーザの倦怠感解析アプリAに関する利用状態、受診勧奨情報に対する応答状態等を表す情報であってよい。
【0063】
測定データ取得部314は、上述したユーザ端末21から送信される測定データを受信することで、測定データを取得する。測定データ取得部314は、受信した測定データに対して、後述するパラメータ算出部320による算出用の前処理を実行してもよい。かかる前処理は、フィルタリング処理や、不要な時間帯の部分を除去する処理等を含んでよい。また、ユーザ端末21からの測定データが、心電図のデータ又はそれに基づく心拍データである場合に、脈拍データに変換してもよい。同様に、ユーザ端末21からの測定データが脈波データである場合に、脈波データを脈拍データに変換してもよい。
【0064】
測定データ記憶処理部316は、測定データ取得部314が測定データを取得すると、測定データを測定データ記憶部318に記憶させる。本第1実施形態では、一例として、測定データは、脈拍データの形態で測定データ記憶部318に記憶される。この際、測定データ記憶処理部316は、一の期間に係る測定データごとに測定データIDを付与し、測定データIDに紐付けられる態様で、測定データを測定データ記憶部318に記憶させてよい。この際、測定データは、ユーザIDごとに測定データ記憶部318に記憶されてよい。
【0065】
測定データ記憶部318には、測定データが記憶される。図7Bに示す例では、測定データ記憶部318内のデータは、測定データIDごとに、測定日時を表す測定日時情報と測定データとを含む。測定日時情報は、測定開始時刻や測定終了時刻等を表してよい。
【0066】
パラメータ算出部320は、測定データ記憶部318に記憶された測定データに基づいて、ユーザの体調に係る所定パラメータの値を算出する。
【0067】
本第1実施形態では、パラメータ算出部320は、測定データ記憶部318に記憶された測定データのうち、測定データIDごとの測定データに基づいて、測定データIDごとの所定パラメータの値を算出する。あるいは、パラメータ算出部320は、日ごとの測定データに基づいて、日ごとの所定パラメータの値を算出してもよい。パラメータ算出部320は、算出した所定パラメータの値を算出結果記憶部321に記憶する。
【0068】
所定パラメータは、好ましくは、ユーザに生じうる抗がん剤の副作用に関連する。所定パラメータは、副作用に起因して値が変化するパラメータであり、具体的には、副作用に起因した倦怠感や、疲れ、疲労感、ストレス、吐き気、痛み、吐き気/痛みの頻度、吐き気/痛みの強さ、むくみ、眠気等に応じて値が変化するパラメータである。
【0069】
所定パラメータは、例えばRMSSD(Root Mean Square of Successive Differences)や、HF (High Frequency Spectra)、SDNN(Standard Deviation of the NN intervals)、CVRR(Coefficient of Variation of R-R intervals)、LF/HF(Low Frequency/High Frequency)、又はこれらの類であってよい。また、所定パラメータは、これらのパラメータの値の特定期間にわたる移動平均等の統計量であってもよい。
【0070】
パラメータ算出部320は、好ましくは、日ごとに、共通の時間帯の測定データに基づいて、所定パラメータの値を算出する。これにより、時間帯の際に起因した測定データの変動を低減でき、所定パラメータの値に基づく後述する受診勧奨出力処理部326の判定精度(信頼性)を高めることができる。
【0071】
この場合、共通の時間帯の粒度は任意であり、例えば午前や午後のような比較的広い時間帯であってもよいし、一時間単位の時間帯や、分単位の時間帯であってもよい。共通の時間帯の粒度が細かいほど、後述する第2パラメータの算出値の信頼性が高くなる一方、測定に対するユーザの負担が大きくなる。これは、時間帯の粒度が細かい場合、比較的同じ条件下で所定パラメータの値が算出できる反面、比較的短い同じ時間帯での測定をユーザに強いることになるためである。従って、かかる背反を考慮して共通の時間帯の粒度は、ユーザにより適宜設定可能とされてもよい。
【0072】
なお、上述したようにユーザ端末21が通知処理部218を備える場合、このような共通の時間帯の測定データに基づき所定パラメータの値をパラメータ算出部320により算出できる可能性を高めることができる。すなわち、通知処理部218が、かかる共通の時間帯での測定データが毎日得られるように測定時間をユーザに通知することで、共通の時間帯の測定データに基づき所定パラメータの値をパラメータ算出部320により算出できる可能性を高めることができる。
【0073】
なお、共通の時間帯は、一日に1回だけ存在する時間帯であってもよいし、2回以上存在してもよい。
【0074】
本第1実施形態では、パラメータ算出部320は、第1算出部3201と、第2算出部3202とを含む。
【0075】
第1算出部3201は、上述した所定パラメータのうちの、自律神経活動を評価可能な所定パラメータ(以下、所定パラメータA1)の値を算出する。所定パラメータA1は、例えば、SDNNやTP(Total Power)、RMSSD等であってよい。
【0076】
第2算出部3202は、上述した所定パラメータのうちの、交感神経活動を評価可能な所定パラメータ(以下、所定パラメータA2)の値を算出する。所定パラメータA2は、例えば、LF/HF等であってよい。
【0077】
図5及び図6は、所定パラメータA1、A2の説明図である。
【0078】
図5では、左側に、横軸に倦怠感の指標値(「Fatigue scale」と表記)を取り、縦軸に所定パラメータA1の値を取ったときの、両者の関係がプロット点で示され、右側に、横軸に倦怠感の指標値を取り、縦軸に所定パラメータA2の値を取ったときの、両者の関係がプロット点で示されている。なお、各プロット点は、QOL問診票を介して実際の患者から得られた評価結果と、同患者から得られた所定パラメータA1、A2の値に基づく。
【0079】
図5に示すように、QOL問診票の「倦怠感」が高い群ほど、有意に自律神経活動量が低下し、交感神経が亢進状態となっていることがわかった。このことから、所定パラメータA1、A2の各値に基づいて、ユーザの倦怠感(すなわち抗がん剤の副作用による倦怠感)を評価できることがわかる。
【0080】
図6では、左側に、横軸に時間を取り、縦軸に所定パラメータA1の値を取ったときの、両者の関係がプロット点で示され、右側に、横軸に時間を取り、縦軸に所定パラメータA2の値を取ったときの、両者の関係がプロット点で示されている。
【0081】
図6に示すように、抗がん剤投与後4日から6日で投与前と比較して有意に自律神経活動量が低下し、交感神経が亢進状態となっている。このことからも、所定パラメータA1、A2の各値を監視することで、ユーザの倦怠感(すなわち抗がん剤の副作用による倦怠感)の有意な増加を評価できることがわかる。
【0082】
算出結果記憶部321は、パラメータ算出部320により算出されたパラメータの算出値が記憶される。図7Cに示す例は、ある一のユーザに係る所定パラメータA1、A2の各算出値のデータに関する。図7Cでは、2021/9/1から複数日分の所定パラメータA1、A2の各算出値が記憶されている。なお、以下では、所定パラメータA1、A2を特に区別しない場合は、単に「所定パラメータ」と称する。
【0083】
薬関連情報取得部322は、上述した薬関連情報をユーザ端末21から受信することで取得する。
【0084】
開始タイミング設定部324は、抗がん剤に起因した副作用の判定期間(所定期間の一例)の開始タイミングを設定する。開始タイミング設定部324は、抗がん剤の投与後におけるタイミングを開始タイミングとして設定する。開始タイミングは、好ましくは、抗がん剤の投与後に最初に到来する上述した共通の時間帯の開始タイミングに対応する。開始タイミング設定部324は、薬関連情報取得部322により取得される薬関連情報に基づいて、開始タイミングを設定してもよい。この場合、開始タイミングを、抗がん剤の投与後に最初に到来する上述した共通の時間帯の開始タイミングに対応させることが容易となる。
【0085】
受診勧奨出力処理部326は、パラメータ算出部320により算出された所定パラメータの値に基づいて、ユーザ端末21を介して、対応するユーザに受診勧奨情報を出力する。
【0086】
受診勧奨出力処理部326は、対応するユーザのユーザ端末21に向けて受診勧奨情報の出力指示を送信することで、受診勧奨情報を出力してよい。この場合、上述したユーザ端末21の受診勧奨出力処理部216が受診勧奨情報の出力指示に応答して、受診勧奨情報を、対応するユーザに向けて出力する。
【0087】
このように本第1実施形態によれば、日ごとに変化しうる所定パラメータの値に基づいて、受診勧奨情報を出力するので、ユーザの日々の健康状態の変化に応じた適切なタイミングで受診勧奨情報を出力することが可能となる。これにより、ユーザは、適切なタイミングで受診を促され、適切な受診の動機付けを得ることができる。この結果、医療機関においてもユーザのQOLを高めるための対策(例えば薬の変更)等を行うことが容易となる。
【0088】
受診勧奨出力処理部326は、好ましくは、一のユーザのユーザ端末21に向けて受診勧奨情報の出力指示を送信する場合、当該一の対応するユーザに対応付けられている通知先情報(図7Aに示すような通知先情報)に向けて所定の通知を行ってもよい。所定の通知は、対応するユーザに受診勧奨情報の出力指示を送信した旨の通知を含んでよい。この場合、通知先情報として登録された家族等の登録ユーザからも、ユーザに受診を勧めることができる。
【0089】
受診勧奨出力処理部326は、好ましくは、上述した判定期間にわたる測定データに基づき算出された所定パラメータの値に基づいて、受診勧奨情報の出力の要否を判定する。判定期間は、上述したように、抗がん剤の投与後に開始タイミングが設定されるので、抗がん剤以外の因子を可能な限り排除でき、精度の高い判定を実現できる。なお、受診勧奨情報の出力の要否は、2値である必要はなく、3段階以上でランク付けされてもよい。この場合、ランクは、受診勧奨情報の出力の必要性(すなわち、受診勧奨の必要性)を表す指標値として機能してよい。なお、受診勧奨の必要性は、ユーザの体調が優れないほど高くなる(例えば副作用が顕著な場合に高くなる)。
【0090】
例えば、受診勧奨出力処理部326は、判定期間にわたる測定データに基づき算出された所定パラメータの値に基づいて、ユーザの倦怠感のレベルが所定閾値を超えたと判定した場合に、受診勧奨情報の出力指示を送信してもよい。この場合、ユーザの倦怠感のレベルは、図5に示した関係に応じた変換式に基づいて、所定パラメータの値から変換されることで導出されてもよい。この場合、変換式や所定閾値は、ユーザごとに適合されてもよい。あるいは、受診勧奨出力処理部326は、判定期間にわたる測定データに基づき算出された所定パラメータA1の値が所定値Th1を下回った場合、及び/又は、判定期間にわたる測定データに基づき算出された所定パラメータA2の値が所定値Th2を超えた場合に、ユーザの倦怠感のレベルが所定閾値を超えたと判定してもよい。この場合も、所定値Th1、Th2は、ユーザごとに適合されてもよい。例えば、所定値Th1は、判定期間の開始タイミング又はそれよりも前のタイミングでの所定パラメータA1の値に基づいて、当該値よりも所定割合だけ小さい値に設定されてもよい。同様に、所定値Th2は、判定期間の開始タイミング又はそれよりも前のタイミングでの所定パラメータA2の値に基づいて、当該値よりも所定割合だけ大きい値に設定されてもよい。
【0091】
なお、判定期間の終了タイミングは、任意であるが、判定期間の終了タイミングは、判定期間が、抗がん剤の投与後の4日から6日を含むように設定されてよい。これは、図6に示したように、所定パラメータの値は、抗がん剤の投与後の4日から6日で有意に変化しうるためである。
【0092】
なお、受診勧奨情報の出力の要否(又は必要性)は、所定パラメータの各値を入力とする機械学習モデルに基づいて判定されてもよい。機械学習モデルは、教師付き及び教師無しで構成されたモデルのいずれであってもよい。例えば、機械学習モデルは、人工知能を利用して、所定パラメータの各値又は測定データを入力して受診勧奨情報の出力の要否の判定結果を出力(生成)することも可能である。人工知能の場合は、機械学習により得られる畳み込みニューラルネットワークを実装することで実現できる。機械学習では、例えば、所定パラメータの各値に係る実績データ又は算出データ若しくは測定データを用いて、受診勧奨情報の出力の要否の判定結果に係る誤差(例えば、各ユーザのQOL問診票との誤差)が最小になるような畳み込みニューラルネットワークの重み等が学習されてよい。
【0093】
ところで、図6に示したように、所定パラメータの値は、抗がん剤の投与後の4日から6日で有意に変化しうる。
【0094】
そこで、受診勧奨出力処理部326は、抗がん剤の投与後の4日から6日で得られる所定パラメータの各値のみに基づいて、受診勧奨情報の出力の要否を判定してもよい。あるいは、受診勧奨出力処理部326は、抗がん剤の投与後の4日から6日で得られる所定パラメータの各値に、他の日で得られる所定パラメータの各値よりも、大きい重み付けを付与しつつ、受診勧奨情報の出力の要否を判定してもよい。
【0095】
また、日ごとに算出される所定パラメータの値を日ごとに独立して評価する場合、ノイズ等の影響に起因して特定の日に所定パラメータの値として特異値が算出された場合に、ユーザの体調を精度良く評価できないおそれがある。
【0096】
そこで、受診勧奨出力処理部326は、日ごとに独立して算出した所定パラメータの各値の関係に基づいて、受診勧奨情報の出力の要否(又は必要性)を判定してもよい。この場合、所定パラメータの各値の関係は、移動平均や、標準偏差、トレンドのような統計量であってもよい。これにより、ノイズ等の影響に起因して特定の日に所定パラメータの値として特異値が算出された場合でも、当該特異値の影響を低減して、受診勧奨情報の出力の要否(又は必要性)を精度良く判定することが可能となる。
【0097】
次に、図8以降を参照して、本第1実施形態による情報処理システム1の動作例について説明する。図8は、本第1実施形態による情報処理システム1の動作例を示す概略的なタイミングチャートである。
【0098】
図8には、動作主体として一のユーザに係るユーザ端末21と、サーバ31とが示されている。なお、上述したように、ユーザは、典型的には、複数(多数)存在しうるが、各ユーザに係るユーザ端末21の処理は実質的に同じであるので、以下の説明では、特に言及しない限り、ユーザとは、ある一のユーザを指す。
【0099】
ユーザ端末21は、毎日の共通の時間帯での測定が可能となるように、測定時間の開始の通知を行う(ステップS800)。なお、開始の通知は、プッシュ通知等により実現されてもよいし、アラームのような音の出力を伴ってもよい。ユーザが、倦怠感解析アプリA及び測定センサ41を起動して、測定センサ41による測定を開始する。これに伴い、ユーザ端末21は、本日の対応する時間帯での測定データを取得し始める(ステップS802)。そして、測定時間の終了タイミングが到来すると、ユーザ端末21は、測定時間の終了の通知を行う(ステップS804)。このようにして、今回の測定時間に係る測定データの取得が終了すると、ユーザ端末21は、取得した測定データをサーバ31に送信する(ステップS806)。
【0100】
サーバ31は、測定データを受信すると(ステップS808)、測定データを測定データ記憶部318に記憶する(ステップS810)。そして、サーバ31は、測定データ記憶部318内の測定データに基づいて、本日分の所定パラメータの算出及び記憶処理(以下、「本日分の各パラメータ算出/記憶処理」とも称する)を行う(ステップS812)。なお、本日分の各パラメータ算出/記憶処理は、ユーザから測定データが取得されるごとに、適宜実行されてもよいし、一定の周期ごとに、直近の周期で測定データを受信した複数のユーザのそれぞれに対して一括的に実行されてもよい。
【0101】
図9は、本日分の各パラメータ算出/記憶処理の一例を示す概略フローチャートである。
【0102】
図9に示す例では、本日分の各パラメータ算出/記憶処理は、一例として、一のユーザから測定データが取得されるごとに、実行される。
【0103】
ステップS900では、サーバ31は、今回受信した測定データに係るユーザIDを、処理対象として決定する。なお、測定データは、上述したように、ユーザIDに紐付けられる態様でサーバ31にユーザ端末21から送信されてよい。
【0104】
ステップS902では、サーバ31は、処理対象のユーザIDに対応付けられている薬関連情報(図7A参照)をユーザデータ記憶部312から抽出する。
【0105】
ステップS904では、サーバ31は、ステップS902で得た薬関連情報に基づいて、判定期間の開始タイミングを設定又は取得する。判定期間の開始タイミングは、上述したように、当該ユーザの今回の抗がん剤の治療期間の初日における上述した共通の時間帯の開始タイミングに対応してよい。なお、共通の時間帯の測定データを利用しない構成では、判定期間の開始タイミングは、今回の抗がん剤の治療期間の初日において測定データの取得タイミングに対応してもよい。なお、当該ユーザの今回の抗がん剤の治療に係る判定期間に対して、判定期間の開始タイミングがすでに設定されている場合(すなわち2日目以降)では、すでに設定されている開始タイミングが取得(ユーザデータ記憶部312から読み出し)されてよい。
【0106】
ステップS906では、サーバ31は、今回受信の測定データが、ステップS904で設定又は取得した開始タイミングからの判定期間内であるか否かを判定する。判定期間の長さは一定であってもよいし、薬関連情報に基づいて変化されてもよい。判定結果が“YES”の場合、ステップS908に進み、それ以外の場合は、終了する。
【0107】
ステップS908では、サーバ31は、今回受信の測定データに基づいて、上述した所定パラメータA1、A2の各値を算出し、算出した所定パラメータA1、A2の各値を算出結果記憶部321に記憶する(図7C参照)。ステップS908が終了すると、図8のステップS813に進む。
【0108】
図8に戻り、サーバ31は、本日分の各パラメータ算出/記憶処理(ステップS812)を終了すると、算出した所定パラメータA1、A2の各値に基づいて、本日における受診勧奨情報の出力の要否を判定する(ステップS813)。この判定方法は、上述したとおりであってよい。サーバ31は、本日における受診勧奨情報の出力が必要であると判定すると、受診勧奨情報の出力指示を生成し(ステップS814)、生成した受診勧奨の出力指示を、対応するユーザIDに係るユーザ端末21に送信する(ステップS816)。この際、サーバ31は、更に、対応するユーザIDに対応付けられた通知先情報(図7A参照)の登録ユーザ等にも上述した所定の通知を行ってもよい。
【0109】
ユーザ端末21は、受診勧奨情報の出力指示を受信すると(ステップS818)、受診勧奨情報を、出力装置208を介して出力する(ステップS820)。受診勧奨情報の出力方法は、多様でありえ、任意の方法で実現されてもよい。
【0110】
図10は、受診勧奨情報の出力方法の一例の説明図であり、ユーザ端末21の出力装置208としての表示部2081上の画面例を示す図である。
【0111】
図10は、受診勧奨情報の出力状態の画面例を示す。図10に示す例では、表示部2081には、プッシュ通知の形態で、モーダルウインドウW10が出力されている。モーダルウインドウW10は、「強い倦怠感が出ていませんか?医療機関で受診をおすすめします」といったメッセージに加えて、受診予約のための医療機関へのアクセスを可能とするボタンB21等を含んでよい。例えば、ユーザがボタンB21を操作すると、表示部2081の画面は、倦怠感解析アプリAに登録された医療機関の予約画面に遷移してもよいし、所定のアドバイザーや精神科医との相談画面(例えば、チャット画面)に遷移してもよい。
【0112】
このような受診勧奨情報の出力方法によれば、強い倦怠感に悩まされるユーザも、受診すべき状態を自覚できるとともに、ボタンB21を介して容易に受診予約できる。これにより、強い倦怠感が長期にわたり継続することに起因して生じるユーザの負荷を軽減できる。
【0113】
(第2実施形態)
第1実施形態に係る情報処理システム1は、上述したように、ユーザ(患者)に対して受診勧奨生成機能を提供するが、第2実施形態では、以下で説明するように、ユーザ(患者)と、情報処理システム1を運営する医療機関の医療従事者との間のコミュニケーションを図るコミュニケーション機能とともに、コミュニケーション機能を介して交わされるユーザ(患者)と医療従事者とのコミュニケーションの内容を反映して、医療機関及び/又は医療従事者に対して、情報処理システム1の運営に係るインセンティブを付与するインセンティブ付与機能を更に備える。
【0114】
ここで、インセンティブ付与機能について補足する。本発明の受診勧奨生成機能のもとになっているユーザ(患者)のデータや、それに基づく受診勧奨を医療従事者が日常的にチェックするということは、現在の医療現場においては通常行われておらず、医療機関にとっては新たな取組みとなる。このことは、本邦では、当該取組みが現在の医療保険でカバーされない医療サービスであることを意味する。将来的に医療保険により費用が加算されて医療機関側に支払われる可能性もありえるが、それがない場合にこの取組みを成立させるためには、医療サービスとして医療従事者がチェックすることに対してインセンティブを付与することが重要な課題となる。また、その原資を、ユーザ(患者)負担とすることも同様に重要な課題となる。さらにまた、これらの点は、医療保険制度が本邦とは異なる海外の医療事情下において受診勧奨生成機能を提供するためにも、重要な課題となる。
【0115】
以下では、第2実施形態として、情報処理システム1に備えられた、コミュニケーション機能、インセンティブ付与機能について、図11図12図13図14を参照して説明する。コミュニケーション機能、インセンティブ付与機能以外の構成及び動作は第1実施形態と同様であるので、その説明は省略する、図11は、図4と対比して、第2実施形態におけるユーザ端末及びサーバのそれぞれのインセンティブ付与機能の一例を示す機能ブロック図である。図12は、インセンティブ情報記憶部334内のデータの一例の説明図である。図13は、図8と対比して、第2実施形態による情報処理システム1の動作例を示す概略的なタイミングチャートである。図14は、図13の一部の明細を示す概略的なタイミングチャートである。
【0116】
図11に示す例では、第2実施形態に係る情報処理システム1において、ユーザ端末21は、コミュニケーション部220を更に含む。コミュニケーション部220の機能は、図3に示したユーザ端末21の制御部201が、記憶装置(例えば補助記憶部203)内のプログラムを実行することで実現できる。
【0117】
ユーザ端末21のコミュニケーション部220は、後述するように、サーバ31のコミュニケーション部330との間で、受信勧奨情報について、情報処理システム1を運営する医療機関の医療従事者との間で必要なコミュニケーションを交わす。
【0118】
また、図11に示す例では、第2実施形態に係る情報処理システム1において、サーバ31は、コミュニケーション部330、インセンティブ付与部332、及びインセンティブ情報記憶部334を更に含む。コミュニケーション部330及びインセンティブ付与部332の各機能は、図2に示したサーバ31の制御部101が、記憶装置(例えば主記憶部102等)内のプログラムを実行することで実現できる。インセンティブ情報記憶部334は、図2に示したサーバ31の記憶装置(例えば補助記憶部103)により実現できる。
【0119】
サーバ31のコミュニケーション部330は、後述するように、ユーザ端末21のコミュニケーション部220との間で、受信勧奨情報について、情報処理システム1のユーザとの間で必要なコミュニケーションを交わす。
【0120】
インセンティブ付与部332は、情報処理システム1を運営する医療機関及び/又はその医療従事者に対して、情報処理システム1の運営にかかわるインセンティブを付与する。より具体的には、インセンティブ付与部332は、サーバ31のコミュニケーション部330と、ユーザ端末21のコミュニケーション部220を介して交わされる、医療従事者とユーザとの間の受診勧奨情報に係るコミュニケーションの内容に応じて、医療機関及び/又は医療従事者にインセンティブを付与する。
【0121】
インセンティブ情報記憶部334内には、情報処理システム1の運営に従事する各医療従事者について、ユーザとのコミュニケーションの内容に応じたインセンティブが記憶される。図12に示す例では、インセンティブ情報記憶部334内には、医療従事者データとして、医療従事者IDに対応付けられる態様で、ユーザID、受診勧奨情報[要/否]、チェックポイント、リアクションポイント、及び課金ポイントの各種ポイントが記憶されている。各事項は、次のとおりである。
【0122】
医療従事者IDは、情報処理システム1の運営に従事する者を特定する情報である。本発明では、医療従事者とは、医師、看護師、薬剤師などの医療資格者に限られず、昨今進められているチーム医療の考え方を踏まえ、それぞれの医療機関において情報処理システム1の運営に従事することができるとされた者として、捉えている。したがって、医療従事者IDは、医療資格者(医師、看護師、薬剤師など)のほか、該当すれば、例えば医療事務のコ・メディカルなどの識別を含めて設定されてよい。インセンティブが、医療従事者に加えて又は代えて、医療機関に付与される場合には、医療従事者IDに加えて又は代えて、医療機関IDが盛り込まれてよい。
【0123】
ユーザIDは、情報処理システム1の受診勧奨生成機能が提供されるユーザ(患者)を特定するものである。ユーザIDは、図7Aに示したような各種基本情報が紐付けられる。
【0124】
受診勧奨情報[要/否]は、個々のユーザについて、受診勧奨情報の出力の要否が判定された結果を示すものである。受診勧奨情報の出力の要否は、前述したとおり、要否の2値だけでなく、3段階以上のランク付けや、所定閾値による判定が行われてよく、それぞれの判定方法に応じて、結果が示される。なお、以下では、受診勧奨情報の出力の要否が「要」と判定されること(「所定のランク以上の要」と判定されることなどを含む)を、アラートが発出されるということがある。
【0125】
情報処理システム1は、受診勧奨情報の出力の要否が「要」と判定された場合、第1実施形態では、ユーザ端末21へ受診勧奨出力指示送信が自動的に行われるのに対し(図8参照)、第2実施形態では、医療従事者が介在するように構成される。すなわち、医療従事者は、受診勧奨情報の出力の要否が判定された場合、その結果をチェックして、サーバ31のコミュニケーション部330からユーザ端末21のコミュニケーション部220へ通知する。それを受けたユーザ(患者)は、ユーザ端末21のコミュニケーション部220からサーバ31のコミュニケーション部330へリアクションを返すことができる。
【0126】
ここで、医療従事者は、交代で常時、情報処理システム1の監視を行ってもよいが、他の業務との関連において必ずしも常時監視できない場合も想定される。そのような場合に備え、情報処理システム1は、受診勧奨情報の出力の要否の判定結果をサーバ31に表示してもよいし、医療従事者の情報端末に表示するようにしてもよい。この際、判定結果が「要」であった場合の見落としを防止するため、視覚的(ランプ点灯、メッセージ表示など)、聴覚的(メッセージ着信音など)、触覚的(バイブレーションなど)のいずれか又は組合せによって、アラートを発出するようにしてもよい。
【0127】
チェックポイントは、医療従事者が介在する場合において、受診勧奨情報の出力の要否の判定結果を医療従事者がチェックしたとき、チェックした医療従事者にインセンティブとして付与されるポイントである。医療従事者が、サーバ31又は自らの情報端末において、チェックをしたという事実を確認し(確認ボタンを押すなど)、チェック結果をユーザに通知すると、インセンティブ付与部332は、医療従事者に対してチェックポイントを付与し、付与されたチェックポイントがインセンティブ情報記憶部334に記憶される。
【0128】
ここで、チェック結果とは、サーバ31が算出した受診勧奨情報に必要項目の脱落がないか、判定結果に矛盾がないかどうか、要否の判定に誤りはないかなどの確認のほか、必要に応じて、受診勧奨に伴ってユーザ(患者)に伝達すべきメッセージや注意事項などを含む。
【0129】
ポイントの態様は、種々のものを採用してよいが、医療従事者に対してインセンティブが付与される場合には、例えば、手当、給与又は賞与などによって金銭的に還元されてもよいし、提携する商業クレジットカードのポイントに変換されてもよいし、また、勤務する医療機関へのエンゲージメントの向上として人事上の待遇として還元されてもよい。また、医療機関に対してインセンティブが付与される場合には、経営資源の一つとしてプールしておき、例えば、本発明に係る情報処理システム1の改良、維持管理に係るコストへ充当してもよいし、今次のコロナ禍のような事態に直面したときに医療従事者への生活支援の財源として利用してもよい。
【0130】
リアクションポイントは、医療従事者が判定結果をチェックしたことをユーザ(患者)に通知したことに対し、ユーザ(患者)がリアクション(「いいね」、「ありがとう」等)を返した場合に、医療従事者にインセンティブとして付与されるポイントである。医療従事者が、サーバ31又は自らの情報端末において、リアクションを受けた事実を確認する(確認ボタンを押すなど)と、インセンティブ付与部332は、医療従事者に対してリアクションポイントを付与し、付与されたリアクションポイントがインセンティブ情報記憶部334に記憶される。なお、リアクションを受けた事実の確認とリアクションポイントの付与は、ユーザ(患者)からリアクションがあった時点で自動的になされるようにしてもよい。
【0131】
課金ポイントは、受診勧奨情報の出力の要否が「要」と判定され、ユーザ(患者)が課金をしたうえでチェックをリクエストした場合に、そのリクエストのあった内容をチェックした医療従事者にインセンティブとして付与されるポイントである。医療従事者が、サーバ31又は自らの情報端末において、課金によるリクエストを受けた事実を確認し(確認ボタンを押すなど)、リクエストのあった内容をチェックし、チェック結果をユーザに通知すると、インセンティブ付与部332は、医療従事者に対して課金ポイントを付与し、付与された課金ポイントがインセンティブ情報記憶部334に記憶される。
【0132】
次に、図13及び図14を参照して、本第2実施形態による情報処理システム1の動作例について説明する。図13は、本第2実施形態による情報処理システム1の動作例を示す概略的なタイミングチャートである。図14は、図13の一部の明細を示す概略的なタイミングチャートである。
【0133】
第2実施形態では、サーバ31が、ステップS812で算出した所定パラメータA1、A2の各値に基づいて、本日における受診勧奨情報の出力の要否を判定した後(ステップS813)、この判定結果を受け、医療従事者とユーザ(患者)は、それぞれ、サーバ31とユーザ端末21を用いて、コミュニケーションを交わし、その過程は、医療機関及び/又は医療従事者に付与されるインセンティブとして反映される(ステップS830、ステップS831)。
【0134】
具体的には、図14に示すように、医療従事者とユーザ(患者)は、コミュニケーションを交わす。例えば、医療従事者は、受診勧奨情報の出力の要否の判定結果をチェックし、そのチェック内容をユーザに通知する(ステップS830A)。ユーザ(患者)は、チェックを受信する(ステップS831A)。医療従事者は、チェックした事実を確認し(確認ボタンを押すなど)、チェック結果をユーザに通知することにより、インセンティブ付与部332によって、チェックポイントが付与され、インセンティブ情報記憶部334に記憶される(ステップS830A)。
【0135】
また、例えば、ユーザ(患者)は、この通知に対してリアクション(「いいね」、「ありがとう」等)を返すことができる(ステップS831B)。医療従事者は、ユーザからリアクションを受けたことを確認する(確認ボタンを押すなど)ことにより、又は、ユーザ(患者)からリアクションがあった時点で自動的に、インセンティブ付与部332によって、リアクションポイントが付与され、インセンティブ情報記憶部334に記憶される(S830B)。
【0136】
また、例えば、ユーザ(患者)は、受診勧奨情報の出力の要否の判定結果について、課金をしたうえでチェックをリクエストすることができる(ステップS831C)。医療従事者は、課金によるリクエストを受けた事実を確認し(確認ボタンを押すなど)、リクエストのあった内容についてチェックし、そのチェック結果をユーザに通知することにより、インセンティブ付与部332によって、課金ポイントが付与され、インセンティブ情報記憶部334に記憶される(ステップS830C)。
【0137】
なお、図13及び図14では、ユーザ(患者)と医療従事者との間のコミュニケーションを図り、インセンティブを付与するステップ(ステップS830,ステップS831)を、受診勧奨情報の出力指示を生成するステップ(ステップS814)、生成した受診勧奨の出力指示を対応するユーザIDに係るユーザ端末21に送信するステップ(ステップS816)、受診勧奨情報の出力指示を受信するステップ(ステップS818)、受診勧奨情報を出力装置208を介して出力するステップ(ステップS820)と切り離して設けている。これに対し、変形例としては、前者のステップの内容を後者のステップの中で実行できるようにしてもよく、例えば、情報処理システム1の受診勧奨情報の判定結果をユーザ(患者)に緊急に伝達しなければならないような状況である場合、受診勧奨情報の判定結果に疑義がないような場合などは、医療従事者のチェック結果の通知(図14,ステップS830A)と受信勧奨出力指示送信(図13、ステップS816)をユーザ(患者)に同時に行うようにしてもよい。また、図14では、ステップS830A/S831A、ステップS830B/S831B、ステップS830C/S831Cを順次実行するように図示しているが、これに限らず、少なくとも1つを選択的に実行してもよいし、複数のステップを選択する場合には合理的な範囲で順序を入れ替えて実行してもよい。
【0138】
以上、各実施形態について詳述したが、本発明は、特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した各実施形態の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。なお、各実施形態は、前述した情報処理装置を用いて実行される「情報処理方法」、「情報処理プログラム」にも適用される。
【0139】
例えば、上述では、所定パラメータだけを利用して、受診勧奨情報の出力の要否(又は必要性)が判定されているが、受診勧奨情報の出力の要否(又は必要性)は、上述した所定パラメータを、ユーザに生じうる抗がん剤の副作用に関連しない又は関連性が有意に低い他のパラメータと組み合わせて利用する態様で、判定されてもよい。例えば、上述した所定パラメータの値と組み合わせで利用されてもよい各種パラメータは、ユーザの年齢、性別等を含んでよい。
【0140】
また、上述した第1実施形態では、薬関連情報に基づいて、判定期間の開始タイミングを設定しているが、治療スケージュールを含めた詳細な薬関連情報や外科的な処置関連情報が得られる場合は、これらの情報と連携して判定期間を設定することで、受診勧奨情報の出力の要否(又は必要性)を判定してもよい。
【0141】
また、上述では、所定パラメータA1、A2の各値と所定値Th1、Th2との関係に基づいて、受診勧奨情報の出力の要否が判定される例が開示されているが、所定パラメータの値に基づいてユーザの倦怠感のレベル(倦怠感の指標値)を数値化し、数値化した倦怠感のレベルに基づいて、受診勧奨情報の出力の要否(又は必要性)が判定されてもよい。
【0142】
また、上述した第1実施形態は、所定の薬が投与されたユーザの測定データに基づいて当該ユーザに受診勧奨情報を出力(通知)する機能(受診勧奨生成機能)に関するが、同様の受診勧奨生成機能は、薬以外の副作用、例えば所定のワクチンの接種に起因した副作用に対しても適用できる。所定のワクチンの場合、判定期間は、当該ワクチンの接種情報(接種日時等)に基づいて、当該ワクチンの接種後に開始タイミングが設定されてもよい。
【0143】
また、上述した第2実施形態は、医療機関及び/又は医療従事者へのインセンティブ付与機能を構成に含むことから、医療機関での医療従事者の勤務体系、給与体系などと密接な関係性を有することになる。したがって、第2実施形態に係る情報処理システム1は、他の関連するシステムと組み合わせることにより、総合的な経営システムとして拡張されてもよい。関連するシステムとしては、例えば、勤怠管理システム、給与計算システム、人事システム、仕入れ売上管理システムなどが挙げられ、これらのシステムと連携又は統合するように拡張してもよい。
【符号の説明】
【0144】
1 情報処理システム
4 ネットワーク
21 ユーザ端末
31 サーバ
41 測定センサ
101 制御部
102 主記憶部
103 補助記憶部
104 ドライブ装置
105 記録媒体
106 ネットワークI/F部
107 入力部
201 制御部
202 主記憶部
203 補助記憶部
204 ドライブ装置
205 記録媒体
206 ネットワークI/F部
207 入力部
208 出力装置
2081 表示部
210 測定データ取得部(取得部)
212 測定データ送信部
213 薬関連情報生成/送信部(関連情報取得部)
214 受診勧奨受信部
216 受診勧奨出力処理部(出力部)
218 通知処理部
310 ユーザデータ管理部
312 ユーザデータ記憶部
314 測定データ取得部(取得部)
316 測定データ記憶処理部
318 測定データ記憶部
320 パラメータ算出部
3201 第1算出部
3202 第2算出部
321 算出結果記憶部
322 薬関連情報取得部(関連情報取得部)
324 開始タイミング設定部(設定部)
326 受診勧奨出力処理部(出力部)
330 コミュニケーション部
332 インセンティブ付与部
334 インセンティブ情報記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14