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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075953
(43)【公開日】2023-05-31
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20230524BHJP
   B60L 58/10 20190101ALI20230524BHJP
【FI】
H02J7/00 V
H02J7/00 P
B60L58/10
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023038018
(22)【出願日】2023-03-10
(62)【分割の表示】P 2019036971の分割
【原出願日】2019-02-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野村 真
(72)【発明者】
【氏名】山根 孝規
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 馨
(57)【要約】
【課題】充電式の作業車両の充電時、表示部の明るさを作業車両の稼働時に比べて暗くすることができる作業車両を提供する。
【解決手段】充電式の作業車両1の表示部51と、作業車両1の充電時、表示部51を作業車両1の稼働時に比べて暗くする表示部コントローラ53とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電式の作業車両の表示部と、
前記作業車両の充電時、前記表示部を前記作業車両の稼働時に比べて暗くする表示制御部と、
を備える作業車両。
【請求項2】
前記表示制御部は、前記作業車両の充電時、前記表示部に表示を行う状態である場合、前記表示部を稼働時に比べて暗くした状態より明るくする、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記表示部に表示を行う状態とは、通知したい情報がある状態、または、前記作業車両がオペレータの管理下にある状態である、
請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記作業車両の充電開始からの経過時間が所定時間以下である場合、前記表示部を稼働時に比べて暗くした状態より明るくする、
請求項2または3に記載の作業車両。
【請求項5】
前記表示制御部は、キースイッチがオンされている場合、前記表示部を稼働時に比べて暗くした状態より明るくする、
請求項2または3に記載の作業車両。
【請求項6】
前記表示制御部は、前記作業車両の充電が完了した場合、前記表示部を稼働時に比べて暗くした状態より明るくする、
請求項2または3に記載の作業車両。
【請求項7】
前記表示制御部は、前記作業車両の充電に異常が発生した場合、前記表示部を稼働時に比べて暗くした状態より明るくする、
請求項2または3に記載の作業車両。
【請求項8】
操作部、
を備え、
前記表示制御部は、前記操作部において、前記表示部を暗くする操作を行った場合、前記表示部を暗くする、
請求項1から7のいずれか一項に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、油圧ショベルなどの作業車両には、充電式のバッテリから供給される電力によって駆動するものがある。充電式の作業車両では、オペレータがバッテリ残量を容易に確認可能であることが望まれる。バッテリ残量と電力ケーブルの接続状態とを表示する作業車両の状態表示装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-288894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
充電式の作業車両は、作業終了後の夜間に無人の現場で充電することがある。このような場合、充電時に表示装置が明るく点灯していると、無人の現場に作業車両が存在することを第三者に知られやすくなる。このことは、第三者による作業車両に対するいたずら操作や盗難などを誘発する原因となる可能性があり、望ましくない。
【0005】
本発明は、充電式の作業車両の充電時、表示部の明るさを作業車両の稼働時に比べて暗くすることができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の態様に従えば、充電式の作業車両の表示部と、前記作業車両の充電時、前記表示部を前記作業車両の稼働時に比べて暗くする表示制御部とを備える作業車両が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、表示制御部によって、充電式の作業車両の充電時、表示部の明るさを作業車両の稼働時に比べて暗くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、本実施形態に係る作業車両を示す斜視図である。
図2図2は、作業車両のオペレータシート側から前方側をみた斜視図である。
図3図3は、作業車両の制御装置を示すブロック図である。
図4図4は、作業車両の表示装置のバックライトが点灯している状態を示す図である。
図5図5は、作業車両の表示装置のバックライトが消灯している状態を示す図である。
図6図6は、表示装置の処理手順を示すフローチャートである。
図7図7は、本実施形態に係るコンピュータシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照してこの発明の実施の形態について説明するが、本発明はこれに限定されない。以下で説明する各実施形態の構成要素は適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。
【0010】
[作業車両]
図1は、本実施形態に係る作業車両1を示す斜視図である。図2は、作業車両1のオペレータシート側から前方側をみた斜視図である。図3は、作業車両1の制御装置を示すブロック図である。作業車両1は、充電式の蓄電装置である蓄電池、例えばバッテリ31を有し、バッテリ31から供給される電力によって駆動する。本実施形態では、作業車両1は、小型の油圧ショベルである。以下の説明においては、作業車両1を適宜、油圧ショベル1という。作業車両1は、充電式の作業車両である。
【0011】
油圧ショベル1は、履帯を含む下部走行体2と、上部旋回体3と、ブレード4と、作業機5とを備える。下部走行体2の上側に、上部旋回体3が旋回可能に配置されている。下部走行体2の前側には、ブレード4がリフト動作可能に配置されている。ブレード4は、油圧アクチュエータによってリフト動作可能である。作業機5は、上部旋回体3の前側に配置されている。作業機5は、ブームと、アームと、バケットとを有する。作業機5は、ブームと、アームと、バケットとをそれぞれ個別の油圧アクチュエータによって駆動させることで掘削作業などを行う。なお、ブレードを有していない油圧ショベルでもよい。
【0012】
上部旋回体3には、オペレータシート6と、作業機レバー7と、走行レバー8と、ブームスイング用の操作ペダル9とが配置されている。オペレータシート6の左側と右側とにそれぞれ作業機レバー7が配置されている。オペレータシート6の前側には、一対の走行レバー8やブームスイング用の操作ペダル9が配置されている。なお、ブームスイングあるいは、操作ペダル9を有していない油圧ショベルでもよい。
【0013】
油圧ショベル1は、例えばキャノピー仕様である。オペレータシート6の上側には、上部旋回体3に立設された2本の支柱11によって支持されるルーフ12が配置されている。走行レバー8の側方には、フロアに立設された支持アーム13に支持された表示装置50が配置されている。図2に示す表示装置50の位置は、一例であって、オペレータシート6の右側にあるコンソールに配置されてもよい。表示装置50は、オペレータから視認できる範囲内に設けられている。表示装置50については後述する。
【0014】
[作業車両の油圧システム]
油圧ショベル1は、上部旋回体3に、油圧ショベル1を駆動する油圧システム20を有する。油圧システム20は、下部走行体2と上部旋回体3と作業機5とを駆動する。油圧システム20は、上部旋回体3に設けられた電動モータ32で発生した駆動力により駆動するメインポンプ21、流路を介してメインポンプ21と接続されているメインバルブ22、及び、メインポンプ21から供給された作動油に基づいて駆動する走行モータ23と走行モータ24と旋回モータ25と作業機シリンダ26を有する。油圧ショベルは、電動ショベルである。
【0015】
メインポンプ21は、走行モータ23と走行モータ24と旋回モータ25と作業機シリンダ26との動力源である。メインポンプ21は、電動モータ32の出力軸と接続され、電動モータ32で発生した駆動力により作動する。
【0016】
走行モータ23と走行モータ24とは、油圧ショベル1を走行させるためのモータである。走行モータ23は、下部走行体2の一方の履帯を作動させる。走行モータ24は、下部走行体2の他方の履帯を作動させる。走行モータ23と走行モータ24とが駆動することにより、油圧ショベル1が走行する。
【0017】
旋回モータ25は、上部旋回体3を旋回させるためのモータである。旋回モータ25が駆動することにより、上部旋回体3が旋回する。
【0018】
作業機シリンダ26は、作業機5を作動するための油圧シリンダである。作業機シリンダ26は、作動油の流量に基づいて伸縮する。作業機シリンダ26が伸縮することにより、作業機5が作動する。
【0019】
[作業車両の電気系]
電動モータ32は、バッテリ31から供給される電力によって駆動する。油圧システム20を介して下部走行体2と上部旋回体3と作業機5とが駆動される。油圧ショベル1は、上部旋回体3に、バッテリ31と、電動モータ32と、電動モータ32へ電力を供給するインバータ33と、電源分配部40とコントローラ60と表示装置50とインバータ33とに電力を供給する、12Vまたは24Vの補機バッテリ35と、電源分配部40とを備える。
【0020】
バッテリ31は、油圧ショベル1の駆動に要する電力を供給する。すなわち、バッテリ31は、高電圧の駆動用バッテリである。バッテリ31は、補機バッテリ35の電圧よりも高圧の高電圧である。バッテリ31は、繰り返して充電が可能であり、例えば、夜間などに充電される。バッテリ31は、電源分配部40によって充電と放電とが制御される。
【0021】
電動モータ32は、メインポンプ21を駆動する駆動力を発生する。電動モータ32は、インバータ33から出力される電力により駆動する。電動モータ32の出力軸には、メインポンプ21が連結されている。
【0022】
インバータ33は、電源分配部40を介して、バッテリ31から出力された直流電圧を交流電圧に変換して電動モータ32へ出力する。
【0023】
電源分配部40は、図示しないコンタクタなどのスイッチを有している。電源分配部40は、コントローラ60からの制御信号によりスイッチを開閉し、バッテリ31の充電と放電とを制御する。電源分配部40は、充電時には充電器よりバッテリ31に電力を供給しバッテリ31を充電する。放電時にはバッテリ31からインバータを介して電動モータ32へ電力を供給する。
【0024】
[作業車両の充電]
油圧ショベル1は、車体内に搭載された充電部である充電器、例えば普通充電器41による普通充電と、車外に設置された急速充電器111による急速充電とが可能である。なお、急速充電器111は、車両内に設けられてもよい。
【0025】
普通充電器41は、バッテリ31を普通充電する。普通充電器41は、電源分配部40に含まれる。なお、普通充電器41は、電源分配部40に含まれてなくてもよく、車両に設けられていてもよい。また、普通充電器41は、車両の外に設けられていてもよい。普通充電器41は、図示しない普通充電インレットに、普通充電ケーブル102の図示しない普通充電コネクタが接続されると、配電盤101と商用電源100とに接続される。配電盤101は、商用電源100から入力される単相200Vの電力を分配して、その一部の電力を普通充電ケーブル102を介して普通充電器41に供給する。普通充電器41は、入力される単相200Vの交流電力を普通充電に適した直流電力に変換する。普通充電器41は、バッテリ31を充電する。
【0026】
コントローラ60は、普通充電ケーブル102の普通充電コネクタが普通充電器41の接続口である普通充電インレットに接続されたことを検出すると、普通充電器41を起動して、普通充電器41からバッテリ31への普通充電を開始させる。なお、普通充電の開始は、オペレータによる図示しないスイッチの操作によっておこなうようにしてもよい。普通充電が開始されるとコントローラ60は、普通充電モードになる。普通充電モードの際にキースイッチ34がオンされると、油圧ショベル1は、作業灯やアクセサリソケット36などの補機を使用可能となる。コントローラ60は、普通充電ケーブル102の普通充電コネクタが普通充電器41の普通充電インレットから取り外されたこと、またはバッテリ31が所定量に充電されたとき、例えば満充電になったこと、または充電中に異常が発生したことを検出されたとき、またはオペレータによって充電をオフするときなどの場合、充電を停止する。なお、所定の充電時間が完了したことで充電を停止してもよい。コントローラ60や、表示装置50などの充電時に起動していた装置は、充電が停止したのち、例えば一定時間が経過した後にシャットダウンされる。なお、一定時間を有さずにシャットダウンされてもよい。なお、アクセサリソケット36は、電力供給口であり、その出力電圧については一般的な商用電源電圧でもよいし、補機バッテリと同じ電圧でもよい。なお、出力電圧は任意の電圧であってもよい。
【0027】
急速充電器111は、バッテリ31を急速充電する。急速充電器111は、例えば急速充電の開始操作と停止操作とを受け付ける、図示しない操作スイッチを有する。急速充電器111は、急速充電ケーブル113の図示しない急速充電コネクタが、油圧ショベル1の図示しない急速充電インレットに接続された状態で、急速充電の開始操作を受け付けると、配電盤112と商用電源110とに接続される。配電盤112は、商用電源110から入力される3相200Vの電力を急速充電器111に供給する。急速充電器111は、入力される3相200Vの交流電力を急速充電に適した直流電力に変換する。急速充電器111は、バッテリ31を充電する。
【0028】
コントローラ60は、例えば急速充電ケーブル113の急速充電コネクタが油圧ショベル1の急速充電インレットに接続された状態で、急速充電の開始操作を受け付けたことを検出すると、急速充電器111からバッテリ31への急速充電を開始させる。急速充電が開始されるとコントローラ60は、急速充電モードになる。急速充電モードの際にキースイッチ34がオンされると、油圧ショベル1は作業灯やアクセサリソケット36などの補機を使用可能となる。コントローラ60は、急速充電の停止操作を受け付けたこと、または所定の充電時間が完了したこと、または充電中に異常を検出すると、急速充電を停止させる。またはバッテリ31が所定量に充電されたとき、例えば満充電になったことで充電を停止してもよい。コントローラ60や、表示装置50などの充電時に起動していた装置は、充電が停止したのち、例えば一定時間が経過した後にシャットダウンされる。なお、一定時間を有さずにシャットダウンされてもよい。
【0029】
[作業車両の制御系]
油圧ショベル1は、例えばコントローラ60によって制御される。コントローラ60には、キースイッチ34と、電源分配部40と、表示装置50とが接続されている。コントローラ60には、例えば作業機レバー7または走行レバー8などから操作量が入力される。コントローラ60には、例えば電動モータ32に流れる電流値や、バッテリ31の電圧や温度、作動油温度などを検出する複数の図示しないセンサが接続されている。コントローラ60は、作業機レバー7または走行レバー8などの操作レバーの操作量、センサが検出した検出値などに基づいて、電源分配部40を介して電動モータ32を作動させることにより、油圧ポンプのメインポンプ21を駆動制御する。メインポンプ21からの油圧源により、下部走行体2を走行させたり、上部旋回体3を旋回させたり、作業機5などが各操作レバーの操作量に応じて作動する。なお、各操作レバーは操作量を電気信号で出力する電気式の操作レバーであってもよく、また油圧式の操作レバーでもよい。なお、油圧式の操作レバーにおいては、操作に応じてバルブを駆動し、メインポンプ21からの油を走行モータ23、走行モータ24や、旋回モータ25、作業機シリンダ26に供給するようにしてもよい。
【0030】
充電コネクタを充電インレットに接続していない状態でキースイッチ34をオンすると、コントローラ60が稼動モードとなる。キースイッチ34がオンされると、補機バッテリ35からコントローラ60と電源分配部40と表示装置50とに電力が供給される。また、キースイッチ34がオンされると、補機バッテリ35から図示しない作業灯やアクセサリソケット36などへ電力が供給される。また、稼動モードで起動しているときに、キースイッチをオンの位置よりもさらに別の位置まで回すことで電動モータを始動できる。キースイッチ34がオフされると、補機バッテリ35からコントローラ60、電源分配部40などの電子機器や図示しない作業灯やアクセサリソケット36などへの電力の供給を停止して、コントローラ60や、表示機器50などがシャットダウンする。なお、補機バッテリ35はバッテリ31からDC/DCコンバータ42を介して充電される。
【0031】
[作業車両の表示装置]
図4は、例えば作業車両1の表示装置50のバックライトが点灯している状態を示す図である。図5は、例えば作業車両1の表示装置50のバックライトが消灯している状態を示す図である。表示装置50は、有機EL、液晶ディスプレイ画面などを用いて実現される。表示装置50は、油圧ショベル1の稼働情報を含む各種情報を表示する表示画面としての表示部51と、オペレータによって各種の指示または情報が入力される操作部52と、CPUなどを用いて実現され、表示装置50を制御する表示部コントローラ(表示制御部)53とを有する。表示装置50には、コントローラ60が稼動モードまたは普通充電モードまたは急速充電モードである場合、電力が供給される。なお、操作部52はコンソール等、表示部コントローラ(表示制御部)53はコントローラ60等のように表示装置50とは異なる箇所に設けられていてもよい。
【0032】
表示部51は、油圧ショベル1の稼動時、バックライトが常時点灯し、稼働情報を表示する。稼働情報は、例えば、累積稼働時間を示すサービスメータ、バッテリに関する稼動情報のバッテリの温度、バッテリ残量、作動油温度計、走行速度段モニタ、電気システム警告モニタ、現在時刻などである。これらの稼働情報は、コントローラ60から、センサが検出した検出値などとして取得可能である。
【0033】
表示部51は、油圧ショベル1の充電時、充電情報を表示する。充電情報は、例えば、バッテリ残量、充電に関する時間、普通充電中または急速充電中であることを示す情報、充電の進捗を示す情報などである。充電情報は、コントローラ60から取得可能である。また、オペレータは操作部52を操作することで詳細情報、例えばバッテリ31ごとの電圧や温度もしくは残り充電時間などを表示し確認することができる。
【0034】
なお、充電時とは、実際に充電している時間だけでなく、充電コネクタが充電インレットに接続されている時間も含んでもよい。また、充電コネクタを充電インレットから抜いて充電終了してからシャットダウンするまでの時間も含んでもよい。すなわち、オペレータが油圧ショベル1の作業機5等を稼動させて作業する以外の時間全体を含んでもよい。
【0035】
操作部52は、例えば表示部51の下側と右側とに配置された、ファンクションスイッチである操作スイッチF1~F8である。操作スイッチF1~F8は、表示部51に表示する図示しないガイドアイコンに対応した信号を入力するためのスイッチである。操作部52は、液晶ディスプレイ上に重ねて配置されたタッチパネルであってもよい。
【0036】
表示部コントローラ53には、表示部51と操作部52とが接続されている。表示部コントローラ53は、操作部52に対する操作を検出した場合、操作情報を取得してコントローラ60へ出力する制御を行う。表示部コントローラ53は、油圧ショベル1の稼動時、コントローラ60を介して取得した稼動情報を表示部51に表示させる制御を行う。表示部コントローラ53は、油圧ショベル1の充電時、コントローラ60から取得した充電情報を表示部51に表示させる制御を行う。
【0037】
表示部コントローラ53は、油圧ショベル1の充電時、表示部51のバックライトの明るさを調節する制御を行う。表示部コントローラ53は、油圧ショベル1の充電時、バックライトの点灯条件を満たす場合、図4に示すように、バックライトを点灯して表示部51を明るくする。表示部コントローラ53は、油圧ショベル1の充電時、バックライトの点灯条件を満たさない場合、図5に示すように、バックライトを消灯して表示部51を暗くする。点灯条件を満たさない場合、充電情報を非表示にする。なお、点灯条件を満たす場合、点灯条件を満たさない場合に比べて、バックライトを明るくする。点灯条件を満たさない場合、点灯条件を満たす場合に比べて、バックライトを暗くする。なお、暗くするとは消灯することも含むようにしてもよい。
【0038】
油圧ショベル1がオペレータの管理下にある場合、点灯条件を満たすと判定してもよい。
例えば、充電開始からの経過時間が所定時間以下、例えば、1分以下であることを示す場合、点灯条件を満たすと判定する。充電開始からの経過時間が所定時間以下である場合は、オペレータが油圧ショベル1の近傍にとどまっており、表示部51を確認する可能性が高く、油圧ショベルがオペレータの管理下にある。
例えば、操作情報が、操作部52に対する操作からの経過時間が所定時間以下、例えば、1分以下であることを示す場合、点灯条件を満たすと判定する。操作部52に対する操作からの経過時間が所定時間以下である場合は、オペレータが油圧ショベル1の近傍にとどまっており、操作レバーの操作や表示部51を確認する可能性が高く、油圧ショベルがオペレータの管理下にある。
例えば、コントローラ60から取得した制御信号がキースイッチ34がオンされたことを示す場合、点灯条件を満たすと判定する。キースイッチ34がオンされた場合は、オペレータが油圧ショベル1の周囲で作業を行っており、油圧ショベル1がオペレータの管理下にある可能性が高い。
例えば、表示部51に表示した確認内容に対してオペレータによる操作を待機している場合、点灯条件を満たすと判定する。また、オペレータに積極的に通知したい情報がある場合、点灯条件を満たすと判定するようにしてもよい。
例えば、充電情報が充電が完了した場合、点灯条件を満たすと判定する。充電が完了した場合、充電が完了したことを示す情報を出力するようにしてもよい。好ましくは表示部51に表示するようにしてもよい。また、点灯条件は充電が完了してから所定時間が経過するまで点灯条件を満たすと判定してもよい。
例えば、充電に異常が発生した場合、点灯条件を満たすと判定する。充電に異常が発生した場合、充電に異常が発生したことを示す情報を出力するようにしてもよい。好ましくは表示部51に表示するようにしてもよい。また、点灯条件は異常が発生してから所定時間が経過するまで点灯条件を満たすと判定してもよい。
【0039】
上記のいずれにも該当しない場合、点灯条件を満たすと判定しない。このような場合は、バックライトを消灯して表示部51を暗くして、油圧ショベル1の存在を第三者に知られる可能性を低減することが好ましい。
【0040】
[表示装置における処理]
油圧ショベル1の充電時における、表示装置50の表示部コントローラ53による処理について説明する。図6は、表示装置50の処理手順を示すフローチャートである。油圧ショベル1の充電時、言い換えると、油圧ショベル1が普通充電モードまたは急速充電モードである場合、図6に示す処理が実行される。表示部コントローラ53は、表示部51の点灯条件を満たすか否かを判定する(ステップS101)。
【0041】
表示部コントローラ53は、表示部51の点灯条件を満たすと判定する場合(ステップS101でYes)、ステップS102に進む。表示部コントローラ53は、表示部51の点灯条件を満たさないと判定した場合(ステップS101でNo)、ステップS103に進む。
【0042】
表示部51の点灯条件を満たすと判定する場合(ステップS101でYes)、表示部コントローラ53は、表示部51のバックライトを点灯状態にする(ステップS102)。図4に示すように、表示部51はバックライトが点灯されている場合、充電情報が表示される。オペレータは表示部51に表示された充電情報によって、バッテリ残量と普通充電中または急速充電中であることなどを示す情報とを確認可能である。
【0043】
表示部51の点灯条件を満たさないと判定した場合(ステップS101でNo)、表示部コントローラ53は、表示部51のバックライトを消灯状態にする(ステップS103)。図5に示すように、表示部51はバックライトが消灯されている場合、点灯時に比べ充電情報の視認が困難となる。充電情報が非表示になる。これにより、油圧ショベル1の存在を第三者に知られる可能性が低減される。
【0044】
これらの処理は、油圧ショベル1の充電時、繰り返し実行される。オペレータがバッテリ残量を確認したいときに表示部51のバックライトが消灯していた場合、オペレータが操作部52に対していずれかの操作を行うと、表示部51のバックライトが点灯してバッテリ残量を確認可能になる。
【0045】
[コンピュータシステム]
図7は、コンピュータシステム1000の一例を示すブロック図である。上述のコントローラ60は、コンピュータシステム1000を含む。コンピュータシステム1000は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサ1001と、ROM(Read Only Memory)のような不揮発性メモリ及びRAM(Random Access Memory)のような揮発性メモリを含むメインメモリ1002と、ストレージ1003と、入出力回路を含むインターフェース1004とを有する。上述のコントローラ60の機能は、プログラムとしてストレージ1003に記憶されている。プロセッサ1001は、プログラムをストレージ1003から読み出してメインメモリ1002に展開し、プログラムに従って上述の処理を実行する。なお、プログラムは、ネットワークを介してコンピュータシステム1000に配信されてもよい。
【0046】
[効果]
本実施形態では、油圧ショベル1の充電時、表示部コントローラ53は、表示部51のバックライトを消灯する。本実施形態は、油圧ショベル1の充電時に表示部51の明るさを適切に制御することができる。このように、本実施形態によれば、作業終了後の夜間に無人の現場で油圧ショベル1の充電を行う場合、表示部51のバックライトを消灯することによって、油圧ショベル1が存在することを第三者に知られる可能性を低減することができる。本実施形態によれば、第三者による油圧ショベル1に対するいたずら操作や盗難などの可能性を低減することができる。また、表示部51のバックライトを消灯することによって、補機バッテリ35ひいてはバッテリ31の電力消費を低減することができる。また、キャブを有さない作業車両では、より表示部の明かりが車両の外にもれるので、より作業車両の存在を第三者に知られる可能性を低減することができる。なお、作業車両は屋内、屋外で稼動し、その稼動場所にて充電が行われる。屋外で充電される場合には、油圧ショベル1が存在することを第三者に知られる可能性をより低減することができる。
【0047】
また、本実施形態では、油圧ショベル1の充電時、表示部51に表示を行う状態である場合、表示部コントローラ53は、表示部51のバックライトを点灯する。本実施形態によれば、表示部51に表示を行いオペレータに報知したい情報がある場合、表示部51に情報を表示することができる。
【0048】
例えば油圧ショベル1の充電開始からの経過時間が所定時間以下である場合、表示部コントローラ53は、表示部51のバックライトを点灯する。本実施形態によれば、充電開始直後で、オペレータが油圧ショベル1の近傍にとどまって、表示部51を確認する可能性が高い場合、表示部51に情報を表示することができる。
【0049】
例えば操作部52に対する操作からの経過時間が所定時間以下である場合、表示部コントローラ53は、表示部51のバックライトを点灯する。本実施形態によれば、オペレータによる操作直後で、オペレータが油圧ショベル1の近傍にとどまって、表示部51を確認する可能性が高い場合、表示部51に情報を表示することができる。
【0050】
例えば充電中に、作業灯またはアクセサリソケット36などの補機を使用するためにキースイッチ34がオンされている場合、表示部コントローラ53は、表示部51のバックライトを点灯する。本実施形態によれば、オペレータが油圧ショベル1の周囲で作業を行っており、油圧ショベル1がオペレータの管理下にある可能性が高い場合、表示部51に情報を表示することができる。しかも、オペレータが油圧ショベル1から離れる際に、キースイッチ34がオンされたままになっていると、表示部51のバックライトが点灯したままになることにより、オペレータがキーを取り外し忘れることを抑制できる。
【0051】
例えば油圧ショベル1の充電が完了してから所定時間が経過するまで、表示部コントローラ53は、表示部51のバックライトを点灯する。本実施形態によれば、充電が完了した場合、充電が完了したことを示す情報を表示部51に表示することができる。オペレータが車両のそばに留まっていて充電が完了することを待って車両を使用することを考えていた場合、表示部51が表示されることで充電が完了したことに気づきやすくなる。
【0052】
例えば油圧ショベル1の充電に異常が発生してから所定時間が経過するまで、表示部コントローラ53は、表示部51のバックライトを点灯する。本実施形態によれば、充電に異常が発生した場合、充電に異常が発生したことを示す情報を表示部51に表示することができる。オペレータが車両のそばに留まっていた場合、表示部51が表示されることでいち早く異常状況に対応できる。
【0053】
上記では、表示部51の明るさを調節するためにバックライトを消灯するものとして説明したが、バックライトを減灯して暗くしてもよい。例えば、表示部51の1m程度以内では、表示部51に表示された情報が確認可能で、表示部51から数m程度離れると、表示部51に表示された情報を確認できない程度にバックライトを減灯して暗くしたような場合、これにより、油圧ショベル1の近傍のオペレータは、表示部51の表示を確認可能にするとともに、油圧ショベル1から離れた第三者が、表示部51が点灯していることに気が付きにくくすることができる。
【0054】
上記では、バックライトを点灯状態から消灯状態にするものとして説明したが、バックライトを段階的に減灯させてから消灯してもよい。例えば、バックライトを消灯する前に、バックライトを減灯状態にして所定時間、待機する。待機時間内に、操作部52に対する操作が行われた場合、バックライトを点灯状態に復帰させる。待機時間内に、操作部52に対する操作が行われなかった場合、バックライトを消灯する。このようにすることにより、オペレータにとって不用意に表示部51のバックライトが消灯されることを抑制することができる。
【0055】
なお、バックライトの点灯消灯の切換は、バックライトを強制的に点灯や消灯させるための操作ボタンを操作部52あるいは、車両のコンソール等に設けてもよい。また、消灯ボタンが押された場合、図6に示す処理においては、点灯条件の判定結果によらずあるいは、判定結果に優先して、表示部51のバックライトを消灯状態にするようにしてもよい。これにより、オペレータの意志によって、強制的に表示部51のバックライトを消灯することができる。
【0056】
油圧ショベル1は、キャノピー仕様に限定されず、窓やドアを有するキャブが搭載されたキャビン仕様にも適用可能である。
【0057】
また、上述した実施の形態では、作業車両の一例として油圧ショベル1について説明したが、本実施の形態を油圧ショベル以外の中型や大型の油圧ショベル、ホイールローダ、ブルドーザなど、他の作業車両に適用してもよい。なお、作業車両は走行装置及びバケット、ブレードなどの作業機を有している。
【0058】
なお、充電の実施形態について、上述では普通充電と急速充電の2種類の充電方式が可能と記載しているが、本発明はこれに限定されない。例えば、一つの充電方式、あるいは一つの充電インレットのみとしてもよい。また、電源についても、上述では普通充電では単相200V、急速充電では3相200Vと記載しているが、本発明はこれに限定されない。
【0059】
上記では、表示部コントローラ53、コントローラ60は別々のものとして記載されているが、本発明はこれに限定されない。表示部コントローラ53、コントローラ60が一体であってもよい。
【0060】
上記では、キースイッチ34はキーを差込口に差した上で回すことでオンできるものを想定した記載となっているが、本発明はこれに限定されない。例えば、オペレータが所持する機器が電子チップを内蔵し、車両から一定の範囲内にある場合にオペレータによる所定操作で、オンと判断するような装置でもよい。
【0061】
なお、作業車両は、作業機、走行モータ、旋回モータは電動アクチュエータで駆動される作業車両でもよい。この場合、バッテリ31より電力が供給される。作業車両は電動作業車両である。
【0062】
なお、表示部の明るさは、バックライトの点灯と消灯によらず、表示画面の明るさを調節することでもよい。明るさは、画面の輝度、彩度、色合い等を調節することでよい。例えば表示画面を非充電時の作業時、画面に表示される色より暗くなる色となる表示にするようにしてもよい。好ましくは表示画面全体を黒色とするのがよい。また、これらの組み合わせによっておこなうようにしてもよい。このような場合においても、表示部を作業車両の稼働時に比べて暗くすることができる。
【0063】
なお、本実施形態では点灯条件を判定する図示しない点灯条件判定部を有する記載となっているが、この点灯条件判定部を有することがなくてもよい。この場合、充電であるか否かあるいは、点灯や消灯させるための操作ボタンの状態によって消灯するようにしてもよい。また、これらの組み合わせによっておこなうようにしてもよい。なお、点灯条件判定部は、表示部コントローラ53、コントローラ60のいずれかにあってもよく、また両方に有するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0064】
1…油圧ショベル(作業車両)、2…下部走行体、3…上部旋回体、4…ブレード、5…作業機、6…オペレータシート、7…作業機レバー、8…走行レバー、9…操作ペダル、11…支柱、12…ルーフ、13…支持アーム、21…メインポンプ、22…メインバルブ、23…走行モータ、24…走行モータ、25…旋回モータ、26…作業機シリンダ、31…バッテリ、32…電動モータ、33…インバータ、34…キースイッチ、40…電源分配部、41…普通充電器、50…表示装置、51…表示部、52…操作部、53…表示部コントローラ(表示制御部)、60…コントローラ、111…急速充電器。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-04-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置と、作業車両の稼働時に前記蓄電装置から供給される電力によって駆動される作業機とを備える充電式の作業車両であって、
表示部及び前記表示部の明るさを調節するバックライトを有する表示装置を備え、
前記表示装置は、
前記作業車両の稼動時、前記バックライトを点灯して前記表示部に前記作業車両の稼働情報を表示し、
前記作業車両の充電時、前記バックライトを消灯する
作業車両。
【請求項2】
前記表示装置は、
前記バックライトの点灯条件を判定し、
前記バックライトの点灯条件を満たすと判定した場合、前記バックライトを点灯して前記表示部に充電情報を表示し、
前記バックライトの点灯条件を満たさないと判定した場合、前記バックライトを消灯する、
請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
前記表示装置は、
前記作業車両がオペレータの管理下にある状態である場合、前記バックライトの点灯条件を満たすと判定する、
請求項に記載の作業車両。
【請求項4】
前記表示装置は、操作部を備え、
前記表示装置は、前記操作部において、前記表示部を暗くする操作を行った場合、前記表示部を暗くする、
請求項に記載の作業車両。