(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075969
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】設計検証プログラム、設計検証方法、及び設計検証装置
(51)【国際特許分類】
G06F 11/36 20060101AFI20230525BHJP
G06F 30/20 20200101ALI20230525BHJP
【FI】
G06F11/36 164
G06F30/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189076
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 薫孝
(72)【発明者】
【氏名】芝 雅嗣
(72)【発明者】
【氏名】伊東 正義
【テーマコード(参考)】
5B042
5B146
【Fターム(参考)】
5B042HH19
5B146DC05
5B146DJ00
(57)【要約】 (修正有)
【課題】階層的な検証順位の決定方法をシステマチックに実現する設計検証装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】設計検証装置(10)は、設計対象が設計仕様を満たしているか否かを検証する検証項目を入力する処理を実施する入力処理部(12)と、検証項目のそれぞれに対して優先レベル点数と優先度点数とを算出する優先レベル優先度算出部(14)と、優先レベル点数に重みを付けたものと優先度点数とを加算した合計評価点数を算出し、合計評価点数に基づいて検証順位を算出する検証順位算出部(16)と、検証順位を出力する出力処理部(18)と、を備える。ここで重みは、優先度点数の総和を超える値である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設計対象が設計仕様を満たしているか否かを検証する検証項目を入力する処理を実施する入力処理部と、
前記検証項目のそれぞれに対して優先レベル点数と優先度点数とを算出する優先レベル優先度算出部と、
前記優先レベル点数に重みを付けたものと前記優先度点数とを加算した合計評価点数を算出し、前記合計評価点数に基づいて検証順位を算出する検証順位算出部と、
前記検証順位を出力する出力処理部と、を備え、
前記重みは、前記優先度点数の総和を超える値である、
設計検証装置。
【請求項2】
入力処理部が、設計対象が設計仕様を満たしているか否かを検証する検証項目を入力する処理を実施し、
優先レベル優先度算出部が、前記検証項目のそれぞれに対して優先レベル点数と優先度点数とを算出し、
検証順位算出部が、前記優先レベル点数に重みを付けたものと前記優先度点数とを加算した合計評価点数を算出し、前記合計評価点数に基づいて検証順位を算出し、
出力処理部が、前記検証順位を出力する、方法であって、
前記重みは、前記優先度点数の総和を超える値である、
設計検証方法。
【請求項3】
設計対象が設計仕様を満たしているか否かを検証する検証項目を入力する処理と、
前記検証項目のそれぞれに対して優先レベル点数と優先度点数とを算出する処理と、
前記優先レベル点数に重みを付けたものと前記優先度点数とを加算した合計評価点数を算出し、前記合計評価点数に基づいて検証順位を算出する処理と、
前記検証順位を出力する処理と、を実行するプログラムであって、
前記重みは、前記優先度点数の総和を超える値である、
設計検証プログラム。
【請求項4】
前記優先レベル点数、及び前記優先度点数は、過去の開発事例において問題が発生したときの分析データに基づいて、統計的に決められた、
請求項1に記載の設計検証装置。
【請求項5】
前記優先レベル点数、及び前記優先度点数は、過去の開発事例において問題が発生したときの分析データに基づいて、統計的に決められた、
請求項2に記載の設計検証方法。
【請求項6】
前記優先レベル点数、及び前記優先度点数は、過去の開発事例において問題が発生したときの分析データに基づいて、統計的に決められた、
請求項3に記載の設計検証プログラム。
【請求項7】
前記優先レベル点数、及び前記優先度点数は、問題発生の頻度を一つの軸とし、問題発生による遅延の影響度をもう一つの軸とし、マトリクス化して決められた、
請求項1に記載の設計検証装置。
【請求項8】
前記優先レベル点数、及び前記優先度点数は、問題発生の頻度を一つの軸とし、問題発生による遅延の影響度をもう一つの軸とし、マトリクス化して決められた、
請求項2に記載の設計検証方法。
【請求項9】
前記優先レベル点数、及び前記優先度点数は、問題発生の頻度を一つの軸とし、問題発生による遅延の影響度をもう一つの軸とし、マトリクス化して決められた、
請求項3に記載の設計検証プログラム。
【請求項10】
前記優先レベル点数、及び前記優先度点数は、プロジェクトを1つ実施した段階で、前記プロジェクト中に発生した問題を反映し更新される
請求項1に記載の設計検証装置。
【請求項11】
前記優先レベル点数、及び前記優先度点数は、プロジェクトを1つ実施した段階で、前記プロジェクト中に発生した問題を反映し更新される
請求項2に記載の設計検証方法。
【請求項12】
前記優先レベル点数、及び前記優先度点数は、プロジェクトを1つ実施した段階で、前記プロジェクト中に発生した問題を反映し更新される
請求項3に記載の設計検証プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示技術は設計検証プログラム、設計検証方法、及び設計検証装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトウエア及びハードウエアといった開発対象の大規模化にともない、開発工程中に占める検証工程の割合は、決して小さくない。検証の効率が悪いことは、開発工程の遅延につながる。
【0003】
例えば特許文献1には、効率的な検証工程の情報を提供する設計検証プログラム、設計検証方法、及び設計検証装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願の発明者は、経験に基づいて、検証順位の決定を階層的な方法で行うと従来と比較して効率が良いことを見出した。本開示技術は、階層的な検証順位の決定方法をシステマチックに実現する設計検証装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示技術に係る設計検証装置は、設計対象が設計仕様を満たしているか否かを検証する検証項目を入力する処理を実施する入力処理部12と、検証項目のそれぞれに対して優先レベル点数と優先度点数とを算出する優先レベル優先度算出部14と、優先レベル点数に重みを付けたものと優先度点数とを加算した合計評価点数を算出し、合計評価点数に基づいて検証順位を算出する検証順位算出部16と、検証順位を出力する出力処理部18と、を備える。ここで重みは、優先度点数の総和を超える値である。
【発明の効果】
【0007】
本開示技術に係る設計検証装置は上記構成を備えるため、階層的な検証順位の決定方法をシステマチックに実現する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施の形態1に係る設計検証装置の機能ブロックを示すブロック線図である。
【
図2】
図2は、実施の形態1に係る設計検証装置の処理フローを示すフローチャートである。
【
図3】
図3は、本開示技術に係る設計検証装置が採用する優先レベル決定要素及び優先度決定要素を例示した表である。
【
図4】
図4は、本開示技術に係る設計検証装置が採用する検証順位を決定するプロセスを例示した表である。
【
図5】
図5は、実施の形態2に係る設計検証装置のハードウエア構成を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、設計検証装置10の機能ブロックを示すブロック線図である。
図1に示されるとおり設計検証装置10は、入力処理部12と、優先レベル優先度算出部14と、検証順位算出部16と、出力処理部18と、を含む。
【0010】
図2は、実施の形態1に係る設計検証装置10の処理フローを示すフローチャートである。
図2に示されるとおり設計検証装置10の処理フローは、入力処理部12が行う入力処理ステップ(ST12)と、優先レベル優先度算出部14が行う優先レベル及び優先度の算出処理ステップ(ST14)と、検証順位算出部16が行う検証順位の算出処理ステップ(ST16)と、出力処理部18が行う出力処理ステップ(ST18)と、を含む。
【0011】
設計検証装置10の入力処理部12は、設計対象が設計仕様を満たしているか否かを検証する検証項目を、入力する処理を実施する。本開示技術に係る設計検証装置10は、入力された検証項目に対して、あらかじめ用意された複数の「要素」を表示し、使用者が各「要素」に該当するか否かを回答する、というアンケート方式が用いられてよい。使用者が回答する方式は、アンケート方式のほか、チェックボックスにチェックを入れていく方式であってもよい。
入力処理部12の機能は、設計検証装置10を住所録管理ソフトのようなデータベースソフトに例えると理解が容易である。すなわち入力処理部12は、使用者が検証項目について情報を入力できるよう、カード状の入力画面を表示し、使用者の入力を支援する、という作用機能を有する。
【0012】
本開示技術に係る設計検証装置10が扱う「要素」は、回路構成に関連するものと、開発環境に関連するものと、開発体制に関連するものと、を含む。ここで回路構成、開発環境、及び開発体制は、「要素」の種類と称する。「要素」の種類に開発環境と開発体制とを含むことは、先行技術に見られない本開示技術の特徴の一つであると言える。
回路構成に関連する「要素」は、例えば基本機能、例外機能、テスト機能、等が挙げられる。開発環境に関連する「要素」は、例えば仕様新規追加、仕様変更、等が挙げられる。開発体制に関連する「要素」は、例えば検証担当者の習熟度に応じて複数用意することが考えられる。「要素」の詳細は、後述の説明により明らかとなる。
【0013】
本開示技術に係る設計検証装置10が扱う「要素」は、優先レベル決定要素と優先度決定要素とに分けられる。本明細書で用いられる「優先レベル」及び「優先度」の用語の使い分けは、本開示技術に特有の概念を示すものである。
「優先レベル」及び「優先度」の概念は、両者とも、検証項目の検証順位を決めるために作られたものである。本開示技術に係る設計検証装置10は、「優先レベル」を「優先度」よりも上位の階層のものとして定義する。すなわち本開示技術に係る設計検証装置10は、まずは「優先レベル」で大枠の検証順位を決め、「優先レベル」が同じ検証項目について「優先度」を考慮して最終的な検証順位を決める、という考え方を採用する。
発明者は、このように階層的な方法で決めた検証順位で検証を実施していくと、手戻りが少なく効率良く開発が行えることを、経験を通じて見出した。本開示技術に係る設計検証装置10は、発明者が経験から得た階層的な検証順位の決定方法を、システマチックに実現したものである、と言える。
【0014】
図3は、本開示技術に係る設計検証装置10が採用する優先レベル決定要素及び優先度決定要素を例示した表である。
図3の表に示されるとおり、優先レベル決定要素及び優先度決定要素は、種類、分類、要素、が示されている。種類はいわゆる大分類、分類はいわゆる中分類、要素はいわゆる小分類、である。
図3における「No.」の列は、それぞれの要素に付される識別番号を示している。識別番号は、通し番号であってよい。
【0015】
図3に例示される優先レベル決定要素は、種類が「開発環境」の1つであるが、これに限定されない。優先レベル決定要素は、1より多くの種類があってもよい。
図3に例示される優先レベル決定要素は、種類が「開発環境」であり、分類が「回路流用時の追加変更機能」の1つであるが、これに限定されない。優先レベル決定要素は、1より多くの分類があってもよい。
【0016】
図3に例示される優先度決定要素は、前述のとおり、種類として「回路構成」、「開発環境」、及び「開発体制」を含む。
図3に例示される優先度決定要素は、種類が「回路構成」であるものには、分類として「機能の用途」、及び「検証値」を含む。また優先度決定要素は、種類が「開発環境」であるものには、分類として「テストベンチの追加又は変更を要する機能」、「EDAベンダーの検証用IPを使用する機能」、及び「シミュレーション実行時間が長い項目」を含む。さらに優先度決定要素は、種類が「開発体制」であるものには、分類として「検証担当者の未経験技術分野の項目」、及び「検証担当者の未経験検証技術の項目」を含む。
なお、テストベンチとは、設計が正確かつ妥当であるかどうかを検証するための仮想的環境である。テストベンチは、特にLSIのような回路の動作を検証するための環境に対して称される。テストベンチは、一般にプログラムによって実現される。
【0017】
図3に例示される優先レベル決定要素は、分類が「回路流用時の追加変更機能」であるものには、「仕様新規追加」、「仕様変更」、及び「仕様変更なし」の3つがある。
図3における「優先レベル」の列は、それぞれの優先レベル決定要素に与えられる優先レベル点数を示している。優先レベル点数は、検証項目の検証順位を決定するために使用される。
図3に例示される優先レベル決定要素では、「仕様新規追加」には2点、「仕様変更」には1点、「仕様変更なし」には0点、といった優先レベル点数が与えられている。
図3に示される例では優先レベル決定要素には排他的に優先レベル点数が与えられているが、これに限定されない。例えば優先レベルが2である優先レベル決定要素が、複数存在していてもよい。詳細は後述の説明により明らかとなるが、本開示技術に係る設計検証装置10は、優先レベル点数が高い検証項目ほど検証順位を早くするプランを提供する。
【0018】
図3に例示される優先度決定要素は、分類が「機能の用途」であるものには、「基本機能」、「例外機能」、「テスト機能」、及び「未使用機能」の4つがある。
図3における「優先度」の列は、それぞれの優先度決定要素に与えられる優先度点数を示している。優先度点数は、優先レベル点数とともに使用し、検証項目の検証順位を決定する。
図3に例示される優先度決定要素では、「基本機能」に10点、「例外機能」に8点、「テスト機能」に3点、「未使用機能」の0点、といった優先度点数が与えられている。詳細は後述の説明により明らかとなるが、本開示技術に係る設計検証装置10は、同じ優先レベルにおいては優先度点数が高い検証項目ほど検証順位を早くするプランを提供する。
【0019】
図3に例示される優先度決定要素は、分類が「検証値」であるものには、「最大値」、「最小値」、「中間値」、及び「境界値」の4つがある。
図3に例示される優先度決定要素では、「最大値」に8点、「最小値」に8点、「中間値」に3点、「境界値」の8点、といった優先度点数が与えられている。
【0020】
図3に例示される優先度決定要素は、分類が「テストベンチの追加又は変更を要する機能」であるものには、「DUTへの入力の変更」、「期待値比較タイミングの変更」の2つがある。
図3に例示される優先度決定要素では、「DUTへの入力の変更」に7点、「期待値比較タイミングの変更」に7点、といった優先度点数が与えられている。
【0021】
図3に例示される優先度決定要素は、分類が「EDAベンダーの検証用IPを使用する機能」であるものには、「例:AXIバス、USB、PCIe」の1つがある。
図3に例示される優先度決定要素では、「例:AXIバス、USB、PCIe」に10点、といった優先度点数が与えられている。
【0022】
図3に例示される優先度決定要素は、分類が「シミュレーション実行時間が長い項目」であるものには、「1時間以上(3時間未満)」、「3時間以上」の2つがある。
図3に例示される優先度決定要素では、「1時間以上(3時間未満)」に3点、「3時間以上」に8点、といった優先度点数が与えられている。
【0023】
図3に例示される優先度決定要素は、分類が「検証担当者の未経験技術分野の項目」であるものには、「例:通信、画像処理、バス仕様等」の1つがある。
図3に例示される優先度決定要素では、「例:通信、画像処理、バス仕様等」に7点、といった優先度点数が与えられている。
【0024】
図3に例示される優先度決定要素は、分類が「検証担当者の未経験検証技術の項目」であるものには、「例:SVA記述、C記述、フォーマル検証、UVM」の1つがある。
図3に例示される優先度決定要素では、「例:SVA記述、C記述、フォーマル検証、UVM」に6点、といった優先度点数が与えられている。
【0025】
優先レベル決定要素、及び優先度決定要素は、例えばリスク分析と関連して項目が作成されてもよい。すなわち優先レベル決定要素、及び優先度決定要素は、遅延につながる問題がなぜ生じるか、といった分析に基づいて作成されてもよい。本開示技術に係る設計検証装置10は、デフォルトの優先レベル決定要素、及び優先度決定要素を備え、その上で使用者が適宜、自由に内容を編集し、自由に要素を追加し、又は削除することが可能である。
【0026】
優先レベル点数、及び優先度点数は、過去の開発事例において問題が発生したときの分析データに基づいて、統計的に決めてもよい。また優先レベル点数、及び優先度点数は、リスクアセスメントの手法を参考にして決めてもよい。すなわち優先レベル点数、及び優先度点数は、問題発生の頻度を一つの軸とし、問題発生による遅延の影響度をもう一つの軸とし、マトリクス化して決めてもよい。
【0027】
優先レベル点数、及び優先度点数は、プロジェクトを1つ実施した段階で、プロジェクト中に発生した問題を反映するよう、適宜更新できるようにしてもよい。
また、プロジェクト中に特定の検査項目のみに問題発生が集中した場合、本開示技術に係る設計検証装置10は、その検査項目のみに特化した優先レベル決定要素又は優先度決定要素を新規に追加できるようにしてもよい。
【0028】
図4は、本開示技術に係る設計検証装置10が採用する検証順位を決定するプロセスを例示した表である。あるいは
図4は、設計検証装置10の入力処理部12が検証項目を入力する処理を実施し、使用者が入力を終えた結果を示しているとも言える。
図4に示される表は、データベースとしてとらえれば、行はレコードを、列はフィールドを、それぞれ表す。
図4に示される表の「検証項目」の列は、使用者が入力した検証項目に関する情報である。
図4に示されるとおり「検証項目」は、さらに「大項目」、「中項目」、「小項目」、「No.」、「技術内容」、及び「検証手段」、といったフィールドに分かれていてもよい。
図4に示される表の「優先レベル決定要素」の列は、使用者が、例えばチェックボックス方式の入力画面の指示に従って、それぞれの検証項目について優先レベル決定要素に該当するか否かを入力した結果を表している。同様に
図4に示される表の「優先度決定要素」の列は、使用者が、例えばチェックボックス方式の入力画面の指示に従って、それぞれの検証項目について優先度決定要素に該当するか否かを入力した結果を表している。
【0029】
設計検証装置10の優先レベル優先度算出部14の処理内容は、
図4に示された表中の1行目のレコード、すなわち検証項目の大項目「送信機能」―中項目「パケット生成」―小項目「ヘッダ部生成」を例にとることにより明らかとなる。
「ヘッダ部生成」という検証項目は、使用者の入力結果によれば、「仕様新規追加」には非該当、「仕様変更」には該当、「仕様変更なし」には非該当、である。よって優先レベル優先度算出部14は、優先レベル点数の合計を1と算出する。優先レベル点数の合計点の1は、
図4に示された表中の1行目の「優先レベル」の列に示されている。
また「ヘッダ部生成」という検証項目は、使用者の入力結果によれば、優先度決定要素の1番目の「基本機能」と14番目の「例:通信、画像処理、バス仕様等」とに該当し、その他の優先度決定要素には該当しない。よって優先レベル優先度算出部14は、優先度点数の合計を10と7との和である17と算出する。優先度点数の合計点の17は、
図4に示された表中の1行目の「優先度」の列に示されている。
設計検証装置10の優先レベル優先度算出部14は、すべての検証項目に対して同様の処理を実施し、検証項目のそれぞれに対して優先レベル点数と優先度点数とを算出する。
【0030】
設計検証装置10の検証順位算出部16は、優先レベル優先度算出部14が算出した検証項目のそれぞれに対する優先レベル点数と優先度点数とに基づいて、検証項目の検証順位を算出する。前述のとおり本開示技術に係る設計検証装置10の検証順位算出部16は、まずは優先レベル点数で大枠の検証順位を決め、優先レベル点数が同じ検証項目について優先度点数を考慮して最終的な検証順位を決める。
【0031】
検証順位算出部16が行う検証項目の順位決めには、いくつかの方法が考えられる。具体的に言えば本開示技術が採用する順位決めの方法には、ビットを分ける方法、桁を分ける方法、重みをつける方法、等が考えられる。
【0032】
ビットを分ける方法は、具体的に言えば、優先レベル点数のためのビットと優先度点数のためのビットとを分けて保存し、合計評価点数を算出する方法である。
図3に例示される優先度決定要素の優先度点数の総和は、計算すると98点である。すなわち、ある検証項目が仮にすべての優先度決定要素に該当するとしても、その優先度点数は98点であり、どのような場合でも98点を超えることはない。98点を2進数で表すと、“1100010”の7ビット長で表すことができるから、優先度点数を保存するための領域として1ビット目から7ビット目を確保すればよい。
図3に例示される優先レベル決定要素の優先レベル点数の総和は、計算すると3点である。3点を2進数で表すと“11”の2ビット長で表すことができるから、優先レベル点数を保存するための領域として8ビット目から9ビット目を確保すればよい。
図4の表中の2行目のレコード、すなわち検証項目の「データ部生成」は、優先レベル点数が1点であり、優先度点数が24点である。「データ部生成」の合計評価点数は、上記の9ビット長の2進数で表すと、“010011000”である。他の検証項目も、同様にして合計評価点数を求め、大小の比較を行い、順位付けを行えばよい。
【0033】
桁を分ける方法は、具体的に言えば、優先レベル点数のための桁と優先度点数のための桁とを分けて保存し、合計評価点数を算出する方法である。前述のとおり
図3に例示される優先度決定要素の優先度点数の総和は、計算すると98点である。すなわち、ある検証項目が仮にすべての優先度決定要素に該当するとしても、その優先度点数は98点であり、どのような場合でも98点を超えることはない。よって、優先度点数を保存するための領域は、2桁あればよい。また優先レベル点数を保存するための領域は、3桁目の1桁でよい。
前述のとおり
図4の表中の2行目に示される検証項目の「データ部生成」は、優先レベル点数が1点であり、優先度点数が24点である。「データ部生成」の合計評価点数は、上記のとおり3桁で表すと、124点である。他の検証項目も、同様にして合計評価点数を求め、大小の比較を行い、順位付けを行えばよい。
【0034】
重みをつける方法は、具体的に言えば、優先レベル点数に重みをつけたものと優先度点数とを合算し合計評価点数とする方法である。前述のとおり
図3に例示される優先度決定要素の優先度点数の総和は、計算すると98点である。よって、優先レベル点数につける重みは、98を超える任意の値でよい。
ビットをシフトすること、桁を移動すること、これらの操作は、本質的には乗算と等価である。そうすると前述のビットを分ける方法は、この重みを2進数で表すと“10000000”、すなわち128としたことと等価である。また前述の桁を分ける方法は、この重みを100としたことと等価である。すなわち、ビットを分ける方法も桁を分ける方法も、一般化すれば重みをつける方法である。このように、優先度点数の総和を超える値の重みを優先レベル点数につけることで、階層的な検証順位の決定方法が実現できる。
【0035】
上記の重みを100とした場合、設計検証装置10の検証順位算出部16は、合計評価点数を以下のように算出する。No.3の「エラーフラグ有効時はパケット破棄により、パケット32bitのデータが0であること」は、229点で1位である。No.5の「生成済みのパケットが1個の場合は、通知フラグを1とすること」は、131点で2位である。No.2の「パケット32bitの下位24bitが送信データレジスタ値であること」は、124点で3位である。検証順位算出部16は、同様にして、他の検証項目についても合計評価点数を算出する。検証順位算出部16は、算出した合計評価点数に基づいて、検証項目の順位付けを行う。
【0036】
設計検証装置10の出力処理部18は、検証順位算出部16において順位付けされた検証項目の検証順位を出力する処理を実施する。典型的な出力処理は、モニタへ表示する、データ化し外部へ出力する、等である。検証順位算出部16が出力するファイルは、個別のプロジェクトごとの検査順位を表す結果物としてのほか、今後のプロジェクトで使用可能なテンプレートもあってよい。
【0037】
以上のとおり上記構成を備えるため実施の形態1に係る設計検証装置10は、発明者が経験から得た階層的な検証順位の決定方法を、システマチックに実現することができる。階層的な方法によって算出した検証順位を出力することで、本開示技術に係る設計検証装置10は、手戻りが少なく効率の良い開発プランを提案することができる。
【0038】
実施の形態2.
実施の形態1は、設計検証装置10の作用原理を明らかにした。実施の形態2は、設計検証装置10のハードウエア構成について明らかにする。
実施の形態2において、特に明記する場合を除き、実施の形態1で用いられたものと同じ符号が用いられる。また、実施の形態2において、実施の形態1と重複する説明は、適宜省略される。
【0039】
図5は、実施の形態2に係る設計検証装置10のハードウエア構成を示す構成図である。
図5に示されるとおり実施の形態2に係る設計検証装置10は、プロセッサ102と、メモリ104と、ディスプレイ106と、を含む。
【0040】
実施の形態2に係る設計検証装置10の入力処理部12、優先レベル優先度算出部14、検証順位算出部16、及び出力処理部18の各機能は、処理回路により実現される。すなわち実施の形態2に係る設計検証装置10は、入力処理を実施し、優先レベル及び優先度の算出処理を実施し、検証順位の算出処理を実施し、出力処理を実施することによって開発プランを提案するための処理回路を備える。処理回路は、メモリ104に格納される設計検証プログラムを実行するプロセッサ102である。プロセッサ102は、コンピュータ、CPU、中央処理装置、処理装置、演算装置、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、DSP、と称されることもある。プロセッサ102は、広く流通されている汎用のものであってよい。
【0041】
入力処理部12、優先レベル優先度算出部14、検証順位算出部16、及び出力処理部18の各機能は、ソフトウエア、ファームウエア、又はソフトウエアとファームウエアとの組合せにより実現される。ソフトウエア及びファームウエアは、設計検証プログラムとして記述され、メモリ104に格納される。処理回路は、メモリ104に記憶された設計検証プログラムを読み出して実行することにより、各部の機能を実現する。すなわち実施の形態2に係る設計検証装置10は、処理回路により実行されるときに入力処理ステップ(ST12)、優先レベル及び優先度の算出処理ステップ(ST14)、検証順位の算出処理ステップ(ST16)、及び出力処理ステップ(ST18)、が結果的に実行されることになる設計検証プログラムを格納するためのメモリ104を備える。また、設計検証プログラムは、入力処理部12、優先レベル優先度算出部14、検証順位算出部16、及び出力処理部18の手順及び方法をコンピュータに実行させるものであるとも言える。入力処理部12、優先レベル優先度算出部14、検証順位算出部16、及び出力処理部18の手順及び方法は、言い換えれば本開示技術に係る設計検証方法である。
【0042】
ここでメモリ104は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROM、EEPROM、等の不揮発性又は揮発性の半導体メモリであってもよい。またメモリ104は、磁器ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVD等のディスクであってもよい。さらにメモリ104は、HDD、SSD、等の態様であってもよい。メモリ104は、汎用のものであってよい。
【0043】
ディスプレイ106は、入力処理部12が入力処理ステップを実施したときの入力画面を表示し、出力処理部18が出力処理ステップ(ST18)を実施した結果を表示する。ディスプレイ106は、広く流通されている汎用のものであってよい。
【0044】
以上のとおり上記構成を備えるため実施の形態2に係る設計検証プログラムは、汎用の
【産業上の利用可能性】
【0045】
本開示技術に係る設計検証装置10は、例えばLSI開発の検証の場面で支援装置として用いることができ、産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0046】
10 設計検証装置、12 入力処理部、14 優先レベル優先度算出部、16 検証順位算出部、18 出力処理部、102 プロセッサ、104 メモリ、106 ディスプレイ。