(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023075975
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】小屋裏収納装置
(51)【国際特許分類】
E04F 19/08 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
E04F19/08 103B
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189088
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】505226334
【氏名又は名称】城間 博行
(74)【代理人】
【識別番号】100101409
【弁理士】
【氏名又は名称】葛西 泰二
(74)【代理人】
【氏名又は名称】葛西 さやか
(72)【発明者】
【氏名】城間 博行
(57)【要約】
【課題】 より簡潔な構成で手軽に荷物を上げ下ろしできる小屋裏収納装置を提供する。
【解決手段】小屋裏収納装置1は、屋根と天井との間の、いわゆる小屋裏の空間を収納部として使用できるようにするものであり、廊下又は部屋の天井裏に構築される。小屋裏収納装置1は、開口部12の長辺部分から外方に離間した位置において小屋裏5の床面15に立設される支柱21と、支柱21から開口部12の上方まで伸びるアーム22と、アーム22の先端部に設けられる滑車23と、滑車23に掛けられる索体24と、索体24の一方端に取り付けられる荷台25と、索体24の他方端に取り付けられ、索体24を巻き取るための巻取装置26とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天井に設けられた開口部に連通する小屋裏に収納部を有する小屋裏収納装置であって、
前記開口部から離間した位置において前記小屋裏の床面に立設される支柱と、
前記支柱から前記開口部の上方まで伸びるアームと、
前記アームに設けられる滑車と、
前記滑車に掛けられる索体と、
前記索体の一方端に取り付けられる荷台と、
前記索体の他方端に取り付けられ、前記索体を巻き取るための巻取装置とを備える、小屋裏収納装置。
【請求項2】
前記アームにおける前記滑車の位置が、前記開口部の中心部に設定されている、請求項1記載の小屋裏収納装置。
【請求項3】
矩形形状に形成された前記開口部に、ヒンジを介して開閉自在に取り付けられる蓋体と、
前記蓋体に取り付けられ、伸縮自在に構成される梯子体とを備え、
前記支柱は、前記開口部の長辺側の位置に設置される、請求項1又は請求項2記載の小屋裏収納装置。
【請求項4】
前記支柱の取付構造は、
前記支柱を挿入するベースプレートと、
前記床面を構成する床材の裏側に設けられる補強材と、
前記ベースプレートと前記補強材とを締結する締結具とを備える、請求項1から請求項3のいずれかに記載の小屋裏収納装置。
【請求項5】
前記アームは、前記支柱との取付部付近に設けられる回転機構を備え、
鉛直方向に延びる回転軸を中心として、水平方向に回転可能に構成されている、請求項1から請求項4のいずれかに記載の小屋裏収納装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は小屋裏収納装置に関し、特に小屋裏に荷物を吊り上げて収納する小屋裏収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、天井と屋根の間にある空間、すなわち小屋裏を収納空間として活用する技術が知られている。このような小屋裏収納装置としては、例えば、天井に開口部を設けて、この開口部において開閉自在に取り付けた蓋板を設け、この蓋板の小屋裏側に伸縮自在な梯子を取り付けたものが知られている。荷物を上げ下ろしする際には、蓋板を開くと共に梯子を伸長させ、梯子を昇降することで、荷物を上げ下ろしすることができる。
【0003】
この小屋裏収納装置において、便宜を図るため様々な提案がなされてきた。例えば、特許文献1では、複数本の丸型のパイプを接ぎ合わせてリフト支柱を形成し、このリフト支柱に荷物の上げ下ろしをするための荷受け台を取り付け、滑車(車)を介して紐体を引き上げて荷物を天井裏まで運び上げることが提案されている。
【0004】
又、特許文献2では、梯子に傾斜レールを設けると共に小屋裏の床面に水平レールを設け、これらのレールに沿って昇降可能な荷台をワイヤで引き上げることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭60-137026号公報
【特許文献2】特開平9-112022号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、屋根裏において屋根材がむき出しになっている構造の場合、梁に滑車等を取り付けるタイプの昇降装置も考えられるが建物の信頼性の観点からは望ましくない。又、屋根裏に更に天井、壁等が設けられ屋根材が被覆されていて、梁に滑車等を取り付けることができない構造もある。
【0007】
特許文献1及び特許文献2は、梁に滑車等を取り付けるタイプのものではないが、以下の点で課題がある。
【0008】
まず、特許文献1では、上述のとおりリフト支柱を、複数本の丸型のパイプを接ぎ合わせて準備するようになっており手間がかかる。又、特許文献2では、傾斜レールや水平レールを設けるなど大掛かりな設備を用いるようになっており仕組みが複雑であった。
【0009】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、より簡潔な構成で手軽に荷物を上げ下ろしできる小屋裏収納装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、天井に設けられた開口部に連通する小屋裏に収納部を有する小屋裏収納装置であって、開口部から離間した位置において小屋裏の床面に立設される支柱と、支柱から開口部の上方まで伸びるアームと、アームに設けられる滑車と、滑車に掛けられる索体と、索体の一方端に取り付けられる荷台と、索体の他方端に取り付けられ、索体を巻き取るための巻取装置とを備えるものである。
【0011】
このように構成すると、小屋裏空間に昇降機能を集約させることができる。
【0012】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の構成において、アームにおける滑車の位置が、開口部の中心部に設定されているものである。
【0013】
このように構成すると、荷物が昇降時に開口部の中心部を通る。
【0014】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の構成において、矩形形状に形成された開口部に、ヒンジを介して開閉自在に取り付けられる蓋体と、蓋体に取り付けられ、伸縮自在に構成される梯子体とを備え、支柱は、開口部の長辺側の位置に設置されるものである。
【0015】
このように構成すると、アームの長さを抑制することができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の構成において、支柱の取付構造は、支柱を挿入するベースプレートと、床面を構成する床材の裏側に設けられる補強材と、ベースプレートと補強材とを締結する締結具とを備えるものである。
【0017】
このように構成すると、既存の小屋裏収納の設計に適用しやすい構造となる。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の構成において、アームは、支柱との取付部付近に設けられる回転機構を備え、鉛直方向に延びる回転軸を中心として、水平方向に回転可能に構成されているものである。
【0019】
このように構成すると、不使用時にはアームを回転させ、収納状態とできる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、請求項1記載の発明は、小屋裏空間に昇降機能を集約させることができるので、より簡潔な構成で手軽に荷物を昇降させることができる。
【0021】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明の効果に加えて、荷物が昇降時に開口部の中心部を通るので、荷物が揺動しても、開口部に引っかかることを抑制することができる。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1又は請求項2記載の発明の効果に加えて、アームの長さを抑制することができるので、コンパクト化を図れる。
【0023】
請求項4記載の発明は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の発明の効果に加えて、既存の小屋裏収納の設計に適用しやすい構造となるので、汎用性の向上を図れる。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の発明の効果に加えて、不使用時にはアームを回転させ、収納状態とできるので、不使用時に邪魔にならない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】この発明の第1の実施の形態による小屋裏収納装置の正面図である。
【
図2】
図1で示した小屋裏収納装置の平面図である。
【
図3】この発明の第2の実施の形態による小屋裏収納装置の正面図であって、第1の実施の形態による
図1に対応した図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、この発明の第1の実施の形態による小屋裏収納装置の正面図であり、
図2は、
図1で示した小屋裏収納装置の平面図である。
【0027】
これらの図を参照して、小屋裏収納装置1は、屋根と天井との間の、いわゆる小屋裏の空間を収納部として使用できるようにするものであり、廊下又は部屋の天井裏に構築される。小屋裏収納装置1は、小屋裏5に連通する開口部12が天井11に設けられる構成である。開口部12は、矩形形状に形成されており、開口部12の短辺部分の内方側付近に設けられるヒンジを介して開閉自在に取り付けられる蓋体13と、蓋体13に取り付けられ、伸縮自在に構成される梯子体14とが設けられる。
【0028】
小屋裏収納装置1は、具体的には、開口部12の長辺部分から外方に離間した位置において小屋裏5の床面15に立設される支柱21と、支柱21から開口部12の上方まで伸びるアーム22と、アーム22の先端部に設けられる滑車23と、滑車23に掛けられる索体24と、索体24の一方端に取り付けられる荷台25と、索体24の他方端に取り付けられ、索体24を巻き取るための巻取装置26とを備える。
【0029】
支柱21は、単管パイプを採用することができ、小屋裏5の天井の高さよりも低い高さに設定されている。支柱21の床面15への取付構造は、支柱21を挿入するベースプレート27と、床面15を構成する床材の裏側に設けられる補強材28と、ベースプレート27と補強材28とを締結する締結具29とを備えるものである。締結具29は、寸切ボルトの両端にナットを止付ける構成となっている。
【0030】
アーム22は、支柱21にアーム22を取り付けるための取付部22aと、鉛直方向に延びる回転軸を有し、取付部22aに設けられる回転機構22bと、回転機構22bによって水平方向に回転可能に取り付けられるアーム本体22cとを備える。
【0031】
滑車23のアーム22における位置は、開口部12の中心部に設定されている。すなわち、滑車23の回転軸が、矩形形状の開口部12の短辺方向の略中央に位置するような位置関係に設定されている。このように構成すると、荷物が昇降時に開口部12の中心部を通るので、荷物が揺動しても、開口部12に引っかかることを抑制することができる。
【0032】
索体24は、天然繊維や合成繊維を撚り合わせてなるロープ等のひも状体や、鋼製のワイヤーロープ、チェーンにより構成される。
【0033】
荷台25は、昇降させる荷物を載置させるものであり、特に限定されないが、索体24に取り付け可能なものであって、ネット状のものや、籠状のもの、板状の土台、パレット等の種々のものを採用することができる。
【0034】
巻取装置26は、アーム22の取り付け位置の下方において支柱21に固定されている。巻取装置26は、索体24を巻きつけるドラムを回転させるためのハンドルを備えており、巻上げ方向にハンドルを回転させることでドラムに索体24を巻き取って荷台25を上昇させることができる。逆に、巻下げ方向にハンドルを回転させることでドラムから索体24を送り出し、荷台25を降下させることができる。巻取装置26には、メカニカルブレーキが内蔵されており、ストッパをオン状態とすると、ハンドルを止めたとき、止めた位置で自動的にブレーキが掛かり、荷台が停止するようになっている。ストッパをオフ状態にするとドラムが空転する状態となる。
【0035】
使用に際しては、まず、廊下又は部屋側から、天井11に設けられた蓋体13を開いて開口部12を露出させ、梯子体14を伸長させる。そして、巻取装置26のハンドルを巻下げ方向に回転させ、荷台25を天井下に降下させる。次に、荷台25に荷物を取り付けたのち、巻取装置26のハンドルを巻き上げ方向に回転させることで荷台25を小屋裏空間まで上昇させ、荷物を取り込む。
【0036】
以上のように構成すると、支柱21、アーム22、滑車23、巻取装置26からなる昇降機能は、小屋裏空間に集約される。使用時には、索体24を介して取り付けられた荷台25を降下させるだけでよい。小屋裏収納装置1の基本的構成である蓋体13及び梯子体14には特に付加的な構成を追加しなくてもよい。
【0037】
これにより、より簡潔な構成で手軽に荷物を昇降させることができる。又、梁を使わない構成となるため、信頼性の高い小屋裏収納装置1となる。
【0038】
支柱21は、開口部12の長辺部分から外方に離間した位置に立設されるので、短辺部分の外方に設置した場合と比べると、アームの長さを抑制することができる。このため、アームのコンパクト化を図れる。
【0039】
又、支柱の取付構造は、支柱を挿入するベースプレート27と、床面15を構成する床材の裏側に設けられる補強材28と、ベースプレート27と補強材28とを締結する締結具29とを備えるものである。
【0040】
これにより、新規に家屋を建築する時だけでなく、蓋体13及び梯子体14のような基本的構成を備える既存の小屋裏収納の設計にも適用しやすい構造となるので、汎用性の向上を図れる。すなわち、蓋体13及び梯子体14のような基本的構成を備える既存の小屋裏収納に対して、小屋裏収納装置1を構築するには、例えば、ベースプレート27の取り付け位置の小屋裏5の床面15をいったん剥がして、補強材28を、床面15を構成する床材の裏側に固定したのち、床面15を戻して、ベースプレート27を配置し、締結具29によってベースプレート27と補強材28とを締結する。
【0041】
又、アーム22は、上述のとおり、取付部22aに設けられる回転機構22bが設けられており、鉛直方向に延びる回転軸を中心として、水平方向に回転可能に構成されている。
【0042】
特に
図2を参照して、このように構成した効果を以下説明する。アーム22は、回転機構22bにより、矢印R1方向又は矢印R2方向に、水平方向に回転する。これにより、不使用時にはアームを回転させ、収納状態とできるので、不使用時に邪魔にならない。
【0043】
図3は、この発明の第2の実施の形態による小屋裏収納装置の正面図であって、第1の実施の形態による
図1に対応した図である。
【0044】
同図を参照して、第2の実施の形態による小屋裏収納装置1は、第1の実施の形態による小屋裏収納装置1において、滑車の数を1つ増やして巻取装置を床に設置した構成に相当する。尚、他の構成要素は第1の実施の形態による小屋裏収納装置1と同様であるため、ここでの説明は繰り返さない。
【0045】
より具体的には、図示するように、小屋裏収納装置1では、アーム22の根本側下部にブラケット31が装着され、ブラケット31に設けられた取り付け具に根本滑車32が取り付けられている。又、巻取装置33は、床面15に設置されており、滑車23に掛けられた索体24の他方端は、巻取装置33を経由して、巻取装置26に取り付けられている。
【0046】
巻取装置33には引張力(滑車までの距離で影響)が定格で定められていることがあり、アーム22の先端に設けられる滑車23までの距離が長い場合は、このように、巻取装置33との間の位置に補助的に滑車を増設し(すなわち、根本滑車32を設け)、引張力を調節すればよい。
【0047】
尚、上記の各実施の形態では特定の構造の小屋裏収納装置について説明したがこれに限られない。例えば、小屋裏収納装置は、天井に開口部が設けられ、これに蓋体及び梯子体が設置される構成であることについて説明したが、これに限られない。小屋裏収納装置1は、ロフト等の小屋裏収納において構築されるものであってもよい。例えば、ロフトの床面と、部屋や廊下の床面とに高低差があり梯子体等で行き来するような構造の場合、ロフトの端部であって、部屋や廊下側の床面に支柱やアーム等を設置すればよい。
【0048】
又、上記の各実施の形態では、支柱が、開口部の長辺部分から外方に離間した位置において小屋裏の床面に立設される構成について説明したが、これに限られない。例えば、支柱は、開口部の短辺部分から外方に離間した位置に設けてもよい。又、開口部は矩形形状でなくてもよく、例えば、円形状や多角形形状であってもよい。
【0049】
更に、上記の各実施の形態では、滑車と開口部との位置関係が、滑車の回転軸が、矩形形状の開口部の短辺方向の略中央に位置するような位置関係に設定されている構成について説明した。しかしながら、これに限られず、滑車が開口部の上方の領域に納まるような位置関係に設定してもよいし、滑車の荷台側の索体の吊り下げ位置が、矩形形状の開口部の短辺方向及び長辺方向の略中央になるような位置関係に設定してもよい。
【0050】
更に、上記の各実施の形態では、巻取装置は、手動式であったが電動式であってもかまわない。又、巻き上げに小型ホイストを採用してもよいし、吊り上げた荷物を水平移動できるガイドレールが設けられていてもよい。
【0051】
更に、上記の各実施の形態では、支柱が、床面に固定される構成について説明したが、支柱が床面に対して脱着可能に構成されていてもよい。これにより、不使用時に支柱やアーム等を別の場所に収納しておくことができる。
【0052】
更に、上記の各実施の形態では、支柱の取付構造として特定のものを説明したが、これには限られない。
【0053】
更に、上記の各実施の形態では、アームが回転機構を備えることについて説明したが、回転機構は省略してもよい。又、支柱が回転可能となっていてもよい。更に、支柱とアームとが脱着可能になっていてもよい。
【符号の説明】
【0054】
1…小屋裏収納装置
11…天井
12…開口部
13…蓋体
14…梯子体
15…床面
21…支柱
22…アーム
22b…回転機構
23…滑車
24…索体
25…荷台
26…巻取装置
27…ベースプレート
28…補強材
29…締結具
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。