(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076019
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】コミュニケーション支援具及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
G09F 7/04 20060101AFI20230525BHJP
G09B 21/00 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
G09F7/04 D
G09B21/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189158
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】521511070
【氏名又は名称】辛島 理一
(74)【代理人】
【識別番号】100156959
【弁理士】
【氏名又は名称】原 信海
(72)【発明者】
【氏名】辛島 理一
(57)【要約】
【課題】 使用者それぞれに応じることができ、また使用者の意識が不十分な場合であっても、第三者に使用者の意思を十分に伝えることができるコミュニケーション支援具、及びその使用方法を提供する。
【解決手段】 本体1と、相異なる複数の文言が予め表記された第1プレート21,21,…、使用者の意思を示すための第1意思表示片31,31,…及び第2意思表示片32,32,…を用いる。各第1プレート21,21,…、第1意思表示片31,31,…及び第2意思表示片32,32,…は本体1に着脱自在に構成してある。そして、所要の第1プレート21,21,…を本体1の適宜位置に配設し、所要の第1意思表示片31,31,…又は第2意思表示片32,32,…を、使用者の要求に該当する文言が表記された1又は複数の第1プレート21,21,…上又はその近傍に配設する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の本体に表された相異なる複数の文言にて、使用者の意思を第三者に伝えるように構成してなるコミュニケーション支援具であって、
相異なる複数の文言が予め表記された複数の第1プレートと、
使用者の意思を示すための複数の意思表示片と
を備え、
前記本体と、各第1プレート及び各意思表示片とは互いに着脱自在に構成してある
ことを特徴とするコミュニケーション支援具。
【請求項2】
更に、任意の文言を表記可能になした1又は複数の第2プレートを具備する請求項1記載のコミュニケーション支援具。
【請求項3】
前記意思表示片は少なくとも、適宜の色彩になされた複数の第1意思表示片と、それとは異なる色彩になされた複数の第2意思表示片とを具備する請求項1又は2記載のコミュニケーション支援具。
【請求項4】
1つの第1プレートに、相互に関連する複数の文言が表記してある請求項1から3のいずれかに記載のコミュニケーション支援具。
【請求項5】
所定の文言は、他の文言とは異なる色彩で表記してある請求項1から4のいずれかに記載のコミュニケーション支援具。
【請求項6】
板状の本体に相異なる複数の文言が表され、使用者の意思を第三者に伝えるように構成してなるコミュニケーション支援具を使用する方法であって、
相異なる複数の文言が予め表記された複数の第1プレート、及び使用者の意思を示すための複数の意思表示片であって、前記本体に着脱自在に構成された各第1プレート及び各意思表示片と、各第1プレート及び各意思表示片が着脱自在に構成された本体とを用い、
所要の第1プレートを本体の適宜位置に配設し、
所要の意思表示片を、該当する文言が表記された第1プレート上又はその近傍に配設する
ことを特徴とするコミュニケーション支援具の使用方法。
【請求項7】
所要の第1プレートを本体の適宜位置に、当該文言の意味に応じたグループに分けて配設する請求項6記載のコミュニケーション支援具の使用方法。
【請求項8】
更に、任意の文言を表記することができる1又は複数の第2プレートを用い、第1プレートに表記されていない所要の文言を当該第2プレートに表記し、その第2プレートを本体の適宜位置に配設する請求項6又は7記載のコミュニケーション支援具の使用方法。
【請求項9】
前記意思表示片として少なくとも、適宜の色彩になされた複数の第1意思表示片、及びそれとは異なる色彩になされた複数の第2意思表示片を用い、使用者の意思の強弱に応じた色彩の第1意思表示片又は第2意思表示片を選択し、選択した第1意思表示片又は第2意思表示片を該当する文言が表記された第1プレート上又はその近傍に配設する請求項6又は7記載のコミュニケーション支援具の使用方法。
【請求項10】
前記意思表示片として少なくとも、適宜の色彩になされた複数の第1意思表示片、及びそれとは異なる色彩になされた複数の第2意思表示片を用い、使用者の意思の強弱に応じた色彩の第1意思表示片又は第2意思表示片を選択し、選択した第1意思表示片又は第2意思表示片を該当する文言が表記された第2プレート上又はその近傍に配設する請求項8記載のコミュニケーション支援具の使用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、お年寄り又は障害者、或いは外国人等、他人とコミュニケーションを取る力が低下した者、又は他人若しくは言語が異なる他人とコミュニケーションを取る力が低い者とのコミュニケーションを支援するためのコミュニケーション支援具、及び当該コミュニケーション支援具を使用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
お年寄り又は障害者、或いは外国人等、他人とコミュニケーションを取る力が低下した者、又は他人若しくは言語が異なる他人とコミュニケーションを取る力が低い者とのコミュニケーションを支援するためのコミュニケーション支援具が開発されている。そのようなコミュニケーション支援具として、後記する特許文献には次のようなものが掲載されている。
【0003】
図6は従来のコミュニケーション支援具の一例を説明する説明図であり、介護人と、少なくとも言葉を発生することが困難な被介護人との間の意思疎通をはかることができるように構成されている。
【0004】
すなわち、コミュニケーション支援具は、厚紙又は板等の材料を長方形に成形してなる板状の本体50を備えている。横長になした本体50の中央より左側半分の領域には、人体全身の表側を模した第1人体
図71、及び人体全身の背側を模した第2人体
図72が横方向へ並べて表してある。一方、当該本体50の中央より右側半分の領域には、「いたい」「かゆい」「だるい」「くるしい」といった症状を示す第1文言61,61,…、及び「みず」「たべる」「おしっこ」といった要求を示す第2文言62,62,…がそれぞれ日本語と英語とで表してある。
【0005】
このようなコミュニケーション支援具にあっては、少なくとも言葉を発生することが困難な被介護者が、本体50に表された第1人体
図71及び/又は第2人体
図72の該当部位を指差すと共に、該当する第1文言61を指差すことによって、症状とその部位とを介護者に伝える。一方、被介護者は、本体50に表された第2文言62,62,…の中から該当する第2文言62を指差すことによって、本人が必要とする要求を介護者に伝える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような従来のコミュニケーション支援具にあっては、第1文言61,61,…及び第2文言62,62,…が予め定められている一方、被介護者の症状及び/又は要求は、被介護者毎に異なるため、被介護者それぞれに応じた適切なコミュニケーション支援具を提供することは困難であった。また、被介護者が睡眠中である場合、又は被介護者の症状が急変した場合等、被介護者の意識が不十分な場合にあっては、コミュニケーション支援具を使用することができないため、介護者とコミュニケーションを取ることができない。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであって、被介護者といった使用者それぞれに応じたコミュニケーションを支援することができ、また使用者の意識が不十分な場合であっても、介護者といった第三者に使用者の意思を十分に伝えることができるコミュニケーション支援具、及び当該コミュニケーション支援具を使用する方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)本発明に係るコミュニケーション支援具は、板状の本体に表された相異なる複数の文言にて、使用者の意思を第三者に伝えるように構成してなるコミュニケーション支援具であって、相異なる複数の文言が予め表記された複数の第1プレートと、使用者の意思を示すための複数の意思表示片とを備え、前記本体と、各第1プレート及び各意思表示片とは互いに着脱自在に構成してあることを特徴とする。
【0010】
本発明のコミュニケーション支援具にあっては、板状の本体に表された相異なる複数の文言にて、使用者の意思を第三者に伝えるように構成してある。具体的には、相異なる複数の文言が予め表記された複数の第1プレートと、使用者の意思を示すための複数の意思表示片とを備え、前記本体と、各第1プレート及び各意思表示片とは互いに着脱自在に構成してある。
【0011】
使用者は、前記各第1プレートから所要の文言が表記された第1プレートを選択し、選択した第1プレートを本体の適宜位置に配設する。そして、使用者は、自身の要求に対応する文言が表示された1又は複数の第1プレート上又はその近傍に、意思表示片を配設する。
【0012】
このように、使用者は自身の要求の内容を本体上に予め示しておくことができるため、使用者の意識が不十分な場合であっても、第三者に当該使用者の意思を十分に伝えることができる。一方、使用者が、複数の第1プレートから所要の文言が表記された第1プレートを選択するため、当該使用者に応じた適切なコミュニケーション支援具を提供することができる。
【0013】
(2)本発明に係るコミュニケーション支援具は、更に、任意の文言を表記可能になした1又は複数の第2プレートを具備することを特徴とする。
【0014】
本発明のコミュニケーション支援具にあっては、更に、任意の文言を表記可能になした1又は複数の第2プレートを具備するため、様々な使用者の要求に更に対応することができ、使用者それぞれに応じたより適切なコミュニケーション支援具を提供することができる。
【0015】
(3)本発明に係るコミュニケーション支援具は、前記意思表示片は少なくとも、適宜の色彩になされた複数の第1意思表示片と、それとは異なる色彩になされた複数の第2意思表示片とを具備することを特徴とする。
【0016】
本発明のコミュニケーション支援具にあっては、前記意思表示片は少なくとも、適宜の色彩になされた複数の第1意思表示片と、それとは異なる色彩になされた複数の第2意思表示片とを具備する。例えば、第1意思表示片を青色に、第2意思表示片を赤色になしておき、使用者の意思が強い場合、第2意思表示片を該当する文言が表記された第1プレート上又はその近傍に配設する一方、使用者の意思が弱い場合、第1意思表示片を該当する文言が表記された第1プレート上又はその近傍に配設する。
【0017】
これによって、使用者の意思の強弱を第三者に伝えることができるため、第三者は当該使用者の意思に沿った対応を取ることができる。
【0018】
(4)本発明に係るコミュニケーション支援具は、1つの第1プレートに、相互に関連する複数の文言が表記してあることを特徴とする。
【0019】
本発明のコミュニケーション支援具にあっては、1つの第1プレートに、相互に関連する複数の文言が表記してある。例えば、「はやく」「ゆっくり」の各文言、「1」~「10」の各数字、「月」~「日」の各文言、「昨日」「今日」「明日」の各文言、「今月」「来月」「月」の各文言、又は、「あたま」「お腹」「手」「足」「体中」の各文言はそれぞれ相互に関連するため1つの第1プレートに表記することができる。
【0020】
これによって、当該第1プレートの配置を変更する場合であっても、それら文言がばらばらになる事なく、纏めて配置変更することができるため好適である。
【0021】
(5)本発明に係るコミュニケーション支援具は、所定の文言は、他の文言とは異なる色彩で表記してあることを特徴とする。
【0022】
本発明のコミュニケーション支援具にあっては、所定の文言は、他の文言とは異なる色彩で表記してある。例えば、「救急車」「今すぐに」「絶対に」「危険」等、緊急性・切迫度が高い文言については、赤色というように第三者に対して緊急性・切迫性を強調し得る色彩で表記してある。これによって、本体を視認した第三者にあっては、一目で、緊急性・切迫度が高い事案が使用者に発生したことを認識することができ、可及的速やかに当該事案に対処することができる。
【0023】
(6)本発明に係るコミュニケーション支援具の使用方法は、板状の本体に相異なる複数の文言が表され、使用者の意思を第三者に伝えるように構成してなるコミュニケーション支援具を使用する方法であって、相異なる複数の文言が予め表記された複数の第1プレート、及び使用者の意思を示すための複数の意思表示片であって、前記本体に着脱自在に構成された各第1プレート及び各意思表示片と、各第1プレート及び各意思表示片が着脱自在に構成された本体とを用い、所要の第1プレートを本体の適宜位置に配設し、所要の意思表示片を、該当する文言が表記された第1プレート上又はその近傍に配設することを特徴とする。
【0024】
本発明のコミュニケーション支援具の使用方法にあっては、板状の本体に相異なる複数の文言が表され、使用者の意思を第三者に伝えるように構成してなるコミュニケーション支援具を使用する場合、相異なる複数の文言が予め表記された複数の第1プレート、及び使用者の意思を示すための複数の意思表示片であって、前記本体に着脱自在に構成された各第1プレート及び各意思表示片と、各第1プレート及び各意思表示片が着脱自在に構成された本体とを用いる。そして、所要の第1プレートを本体の適宜位置に配設し、所要の意思表示片を、該当する文言が表記された第1プレート上又はその近傍に配設する。
【0025】
これによって、使用者は自身の要求の内容を本体上に予め示しておくことができるため、使用者の意識が不十分な場合であっても、第三者に当該使用者の意思を十分に伝えることができる。一方、使用者が、複数の第1プレートから所要の文言が表記された第1プレートを選択するため、当該使用者に応じた適切なコミュニケーション支援具を提供することができる。
【0026】
(7)本発明に係るコミュニケーション支援具の使用方法は、所要の第1プレートを本体の適宜位置に、当該文言の意味に応じたグループに分けて配設することを特徴とする。
【0027】
本発明のコミュニケーション支援具の使用方法にあっては、所要の第1プレートを本体の適宜位置に、当該文言の意味に応じたグループに分けて、即ち、相互に関連する内容毎にグループ分けして配設する。
【0028】
これによって、使用者にあっては自身の意思を迅速に、また正確に示すことができるとともに、第三者にあっても、本体を視認することによって、使用者が示した意思を迅速に、また正確に把握することができる。
【0029】
(8)本発明に係るコミュニケーション支援具の使用方法は、更に、任意の文言を表記することができる1又は複数の第2プレートを用い、第1プレートに表記されていない所要の文言を当該第2プレートに表記し、その第2プレートを本体の適宜位置に配設することを特徴とする。
【0030】
本発明のコミュニケーション支援具の使用方法にあっては、更に、任意の文言を表記することができる1又は複数の第2プレートを用い、第1プレートに表記されていない所要の文言を当該第2プレートに表記し、その第2プレートを本体の適宜位置に配設するのである。このように、任意の文言を表記することができる1又は複数の第2プレートを用いることによって、様々な使用者の要求それぞれに更に対応することができ、使用者それぞれに応じたより適切なコミュニケーションを支援することができる。
【0031】
(9)本発明に係るコミュニケーション支援具の使用方法は、前記(6)又は(7)において、前記意思表示片として少なくとも、適宜の色彩になされた複数の第1意思表示片、及びそれとは異なる色彩になされた複数の第2意思表示片を用い、使用者の意思の強弱に応じた色彩の第1意思表示片又は第2意思表示片を選択し、選択した第1意思表示片又は第2意思表示片を該当する文言が表記された第1プレート上又はその近傍に配設することを特徴とする。
【0032】
本発明のコミュニケーション支援具の使用方法にあっては、前記(6)又は(7)において、前記意思表示片として少なくとも、適宜の色彩になされた複数の第1意思表示片、及びそれとは異なる色彩になされた複数の第2意思表示片を用いる。そして、使用者の意思の強弱に応じた色彩の第1意思表示片又は第2意思表示片を選択し、選択した第1意思表示片又は第2意思表示片を該当する文言が表記された第1プレート上又はその近傍に配設するのである。
【0033】
これによって、使用者の意思の強弱を第三者に伝えることができるため、第三者は当該使用者の意思に沿った対応を取ることができる。
【0034】
(10)本発明に係るコミュニケーション支援具の使用方法は、前記(8)において、前記意思表示片として少なくとも、適宜の色彩になされた複数の第1意思表示片、及びそれとは異なる色彩になされた複数の第2意思表示片を用い、使用者の意思の強弱に応じた色彩の第1意思表示片又は第2意思表示片を選択し、選択した第1意思表示片又は第2意思表示片を該当する文言が表記された第2プレート上又はその近傍に配設することを特徴とする。
【0035】
本発明のコミュニケーション支援具の使用方法にあっては、前記(8)において、前記意思表示片として少なくとも、適宜の色彩になされた複数の第1意思表示片、及びそれとは異なる色彩になされた複数の第2意思表示片を用い、使用者の意思の強弱に応じた色彩の第1意思表示片又は第2意思表示片を選択し、選択した第1意思表示片又は第2意思表示片を該当する文言が表記された第2プレート上又はその近傍に配設する。
【0036】
これによって、第2プレートを用いる場合であっても、前同様、使用者の意思の強弱を第三者に伝えることができるため、第三者は当該使用者の意思に沿った対応を取ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明に係るコミュニケーション支援具を構成する本体を示す正面図である。
【
図2】本発明に係るコミュニケーション支援具を構成する本体を示す背面図である。
【
図3】本発明に係るコミュニケーション支援具を構成する他の要素である第1プレート、第2プレート及び意思表示片を説明する説明図である。
【
図4】
図1から
図3に示したコミュニケーション支援具の使用方法を説明する説明図である。
【
図5】
図1から
図3に示したコミュニケーション支援具の使用方法の手順を示すフローチャートである。
【
図6】従来のコミュニケーション支援具の一例を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明に係るコミュニケーション支援具及びその使用方法を図面に基づいて詳述する。
なお、本実施の形態で説明するコミュニケーション支援具及びその使用方法は、本発明の趣旨を説明する一例であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲での変形や改造を含むことはいうまでもない。
【0039】
図1及び
図2は、本発明に係るコミュニケーション支援具を構成する本体1を示す正面図及び背面図であり、
図3は本発明に係るコミュニケーション支援具を構成する他の要素である第1プレート21、第2プレート22及び意思表示片30を説明する説明図である。本発明に係るコミュニケーション支援具にあっては、前記本体1、所要の文言が予め記載された複数の第1プレート21,21,…、任意の文言を記載可能な複数の第2プレート22,22,…、及び使用者の意思を表示すための意思表示片30,30,…を具備して構成してある。
【0040】
図1及び
図2に示した如く、板状の本体1は、第1プレート21,21,…、第2プレート22,22,…及び意思表示片30,30,…に応じてそれらを着脱自在に支持できる材料で構成してある。例えば、第1プレート21,21,…、第2プレート22,22,…及び意思表示片30,30,…が磁石を設けて形成されている場合、本体1は強磁性体の材料を用いて構成され、また、それらの裏面に面ファスナの雄又は雌が設けられている場合、本体1は基板の表面に面ファスナの雌又は雄を設けて構成され、一方、ピン止めすべくフック又は貫通孔等がそれらに設けられている場合、本体1はコルク板と言った比較的柔らかい木製板材にて構成され、又は基板の表面に前記木製板材を設けて構成される。
【0041】
以後、本形態では、第1プレート21,21,…、第2プレート22,22,…及び意思表示片30,30,…に磁石が設けられているとして、本体1、第1プレート21,21,…、第2プレート22,22,…及び意思表示片30,30,…について詳述する。
【0042】
かかる場合、本体1は磁性体の材料を用いて形成された、例えばホワイトボードによって構成することができる。この本体1の裏面には、自立可能とすべく幅広U字状の自立用アーム12が所定角度まで開閉可能に取り付けてある。また、本体1の上縁部であって本体1の裏面側には、本体1を吊下げるためのフック部11,11がそれぞれ本体1の両縁近傍の位置に取り付けられている。本体1は自立用アーム12を開させることによって自立させ、又は両フック部11,11に紐部材を挿通させ、当該紐部材を壁等に取り付けたフック部材等に掛け回すことによって、若しくは両フック部11,11を壁等に取り付けたフック部材等に係合させることによって本体1を吊り下げ、当該本体1を縦姿勢に保持することができる。
【0043】
なお、本発明に係る本体1にあっては、自立用アーム12又はフック部11,11のいずれか一方だけ具備する構成になしてもよいし、いずれも具備しない構成になしてもよい。後者の場合、本体1を適宜の物に立て掛けることによって、当該本体1を縦姿勢に保持することができる。
【0044】
一方、本体1をホワイトボードで構成した場合、対応する筆記具を用いて本体1の表面に文字・図形等を記載することができる。
【0045】
ところで、第1プレート21,21,…及び第2プレート22,22,…は粉状磁性体を樹脂材に混入させてなり、可撓性を有する基板の表面を適当な樹脂又は紙材で被覆して印字可能になして構成してあり、
図3に示したように、第1プレート21,21,…には、使用頻度が高いと思われる複数の文言が各別に予め表記してある。
【0046】
使用頻度が高いと思われる文言としては、例えば、主体を特定するための文言である「私」「あなた」「介護者」等、場所を特定するための文言である「トイレ」「お風呂」「病院」「銀行」「郵便局」「警察」等、目的を特定するための文言である「食事」「散髪」「買い物」「医者」「お薬」「カギ」「カード」「通帳」「書類」「救急車」「外出」等、住居内のライフラインを特定するための文言である「電気」「水道」「ガス」を表記することができる。また、身体の部位を特定するための文言である「あたま」「お腹」「手」「足」「体中」等、身体の状態を特定するための文言である「ケガした」「熱がある」「いたい」、「吐き気」「目まい」「苦しい」等、身体の状態の程度を特定するための文言である「強く」「弱く」等、周囲環境を特定するための文言である「暑い」「寒い」等を表記することもできる。更に、数を特定するための文言である「1」~「10」、曜日を特定するための文言である「月」~「日」、時を特定するための文言である「昨日」「今日」「明日」、「今週」「来週」「今月」「来月」「月」等、動作を特定するための文言である「行く」「呼ぶ」「入院」「連絡して」「探して」「調べて」「お話し」「読んで」「見せて」「書いて」等、使用者の反応を特定するための文言である「聞こえない」「わからない」等、動作に対する要求の程度を特定するための文言である「急がない」「今すぐに」「絶対に」「はやく」「ゆっくり」等を表記することができる。加えて、状態の切迫度を特定するための文言である「危険」等も表記することができる。
【0047】
ここで、相互に関連する複数の文言にあっては、それらを1つの第1プレート21に表記すると、後述する如く、本体1における第1プレート21の配置を変更する場合であっても、それら文言がばらばらになる事なく、纏めて配置変更することができるため好適である。
図3に示した例では、「電気」「水道」「ガス」各文言を1つの第1プレート21に表記してある。同様に、「はやく」「ゆっくり」の各文言、「1」~「10」の各数字、「月」~「日」の各文言、「今月」「来月」「月」の各文言、「あたま」「お腹」「手」「足」「体中」の各文言、「ケガした」「熱がある」「いたい」の各文言、「吐き気」「目まい」「苦しい」の各文言、「読んで」「見せて」「書いて」の各文言、「急がない」「今すぐに」の各文言、「強く」「弱く」の各文言、「暑い」「寒い」の各文言もそれぞれ1つの第1プレート21,21,…に表記してある。
【0048】
更に、
図3に示した如く、これら第1プレート21,21,…に表記された文言の内、「救急車」「今すぐに」「絶対に」「危険」等、緊急性・切迫度が高い文言については、赤色というように第三者に対して緊急性・切迫性を強調し得る色彩で表記すると好適である。これによって、後述する如く本発明に係るコミュニケーション支援具を視認した第三者にあっては、一目で、緊急性・切迫度が高い事案が使用者に発生したことを認識することができ、可及的速やかに当該事案に対処することができる。
【0049】
一方、
図3に示したように、その表面に何も記載されていない複数の第2プレート22,22,…が具備されており、各第2プレート22,22,…には、前述した第1プレート21,21,…には含まれない文言であって、使用者にとって必要な文言を、適宜の筆記具を用いて表記し得るようになっている。
【0050】
また、
図3に示したように、本発明に係るコミュニケーション支援具にあっては、使用者の意思を表示すための複数の意思表示片30,30,…が具備されている。
【0051】
意思表示片30,30,…としては市販のカラーマグネットを適用することができるが、これに限られないことは言うまでもない。そして、意思表示片30,30,…として、その表面が所定の色彩になされた第1意思表示片31,31,…と、これとは異なる色彩になされた第2意思表示片32,32,…とを設けておく。なお、その表面が更に他の色彩になされた第3意思表示片、第4意思表示片、…を設けておいてもよい。
【0052】
意思表示片30,30,…の色彩は使用者の意思の強弱に応じて定めてある。例えば、当該事案に対する使用者の意思が強い場合は「赤色」、当該事案に対する使用者の意思がそれ程強くない場合は「青色」というように定めることができる。
【0053】
これによって、使用者は当該事案に対する自身の意思の程度を、第三者に十分に伝えることができる。
【0054】
次に、本発明に係るコミュニケーション支援具の使用方法について説明する。
【0055】
図4は、
図1から
図3に示したコミュニケーション支援具の使用方法を説明する説明図であり、また
図5は、
図1から
図3に示したコミュニケーション支援具の使用方法の手順を示すフローチャートである。なお、
図4中、
図1から
図3に示した部分に対応する部分には同じ番号が付してある。
【0056】
図4に示したように、本体1が縦姿勢に保持されており、使用者又は第三者はこの本体1の表面に、例えば、主体を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、場所を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、目的を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、住居内のライフラインを特定するための文言が表記された第1プレート21、動作を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、身体の部位を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、動作に対する要求の程度を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、身体の部位を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、身体の状態を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、身体の状態の程度を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、周囲環境を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、動作に対する要求の程度を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、使用者の反応を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、状態の切迫度を特定するための文言が表記された第1プレート21、数を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…、曜日を特定するための文言が表記された複数の第1プレート21,21,…を、それぞれグループ分けして配置し、磁着させる。
【0057】
これら第1プレート21,21,…は、
図3に示した全第1プレート21,21,…から使用者の要求に応じた文言が表記してある所要の第1プレート21,21,…を選択し(ステップS1)、選択した第1プレート21,21,…を本体1に磁着させてある(ステップS2)。
【0058】
使用者は、選択した第1プレート21,21,…で十分であるか否かを判断し(ステップS3)、十分でない場合、即ち使用者に必要な文言が表記された第1プレート21,21,…が存在しない場合、使用者又は第三者は、1又は複数の第2プレート22,22,…に当該必要な文言を表記し(ステップS5)、必要な文言が表記された第2プレート22(22,…)を前記各グループの内の対応するグループの位置に、又は、対応するグループが無い場合は新たなグループとして本体1の適宜の位置に磁着させる(ステップS6)。
【0059】
このように、使用者が必要とする文言が表記された複数の第1プレート21,21,…を、相互に関連する内容毎にグループ分けして本体1上に配設することによって、使用者にあっては自身の意思を迅速に、また正確に示すことができるとともに、第三者にあっても、本体1を視認することによって、使用者が示した意思を迅速に、また正確に把握することができる。
【0060】
また、本体1上には、使用者の要求に応じて選択された第1プレート21,21,…が配置され、一方、使用者に必要な文言が表記された第1プレート21,21,…が存在しない場合、使用者又は第三者は、1又は複数の第2プレート22(22,…)に当該必要な文言を表記して、それを本体1上に配設することができるため、使用者それぞれに応じたコミュニケーションを支援することができる。
【0061】
一方、本体1の前記第1プレート21,21,…が磁着された部分から離れた適宜領域に、第1意思表示片31,31,…、及び/又は第2意思表示片32,32,…が磁着させてある。
【0062】
そして、使用者は、自身の意思の強弱に応じて第1意思表示片31,31,…、又は第2意思表示片32,32,…を選択し、自身の要求に対応する文言が表示された第1プレート21,21,…上又はその近傍に、選択した第1意思表示片31,31,…、又は第2意思表示片32,32,…を磁着させる(ステップS8)。
【0063】
このように、使用者は、自身の要求の内容及びその強弱を本体1上に予め示しておくことができるため、使用者の意識が不十分な場合であっても、第三者に当該使用者の意思を十分に伝えることができる。
【0064】
更に、色彩が異なる第1意思表示片31,31,…、又は第2意思表示片32,32,…を用いることによって、使用者の意思の強弱を第三者に伝えることができるため、第三者は当該使用者の意思に沿った対応を取ることができる。
【符号の説明】
【0065】
1 本体
21 第1プレート
22 第2プレート
31 第1意思表示片
32 第2意思表示片