(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076037
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】滑走路の積雪深計測方法及び計測装置
(51)【国際特許分類】
G01W 1/14 20060101AFI20230525BHJP
【FI】
G01W1/14 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189184
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】592070579
【氏名又は名称】山田技研株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087169
【弁理士】
【氏名又は名称】平崎 彦治
(72)【発明者】
【氏名】山田 忠幸
(57)【要約】
【課題】 空港の滑走路の積雪深さを計測する方法の提供。
【解決手段】 降雪が連続する間の融解熱量を連続測定して積雪深さに置き換え、
熱量計測盤A、B、Cを滑走路面9にフラットに埋め込み、地熱を含めて降雪の融解熱量を測定し、積雪深を熱量で計測するに当たり、滑走路に埋設する複数の熱量計測盤A、B、Cの表面を夫々異なる温度に保ち、熱量計測盤の表面温度を0℃に保つ熱量を間接的に求めた値が降雪を融解する熱量とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空港の滑走路の積雪深さを計測する方法において、降雪が連続する間の融解熱量を連続測定して積雪深さに置き換え、熱量計測盤を滑走路面にフラットに埋め込み、地熱を含めて降雪の融解熱量を測定し、積雪深を熱量で計測するに当たり、滑走路に埋設する複数の熱量計測盤の表面を夫々異なる温度に保ち、熱量計測盤の表面温度を0℃に保つ熱量を間接的に求めた値が降雪を融解する熱量としたことを特徴とする滑走路の積雪深さを計測する方法。
【請求項2】
風/放射/輻射/蒸発による気象観測装置の値を利用してリアルタイムに求め、温度の異なる複数の熱量計測盤の計測値から風/放射/輻射/蒸発による熱量値を差し引いた値を積雪の融解熱量とした請求項1記載の滑走路の積雪深さを計測する方法。
【請求項3】
空港敷地内であって航空機の離着陸に支障が生じない場所に、気象観測器・レーザ積雪深計・熱量計測盤で得た値を基に、滑走路の複数個所に埋設する熱量計測盤の測定値を補正するようにした請求項1、又は請求項2記載の滑走路の積雪深さを計測する方法。
【請求項4】
上記熱量計測盤を構成する構造材を滑走路の路盤と同様な熱伝達率の材料を用い、その材料の垂直熱伝達量を測定する為の測温体を所定間隔に配して垂直方向の熱伝達量を求めるようにした請求項1、請求項2,又は請求項3記載の滑走路の積雪深さを計測する方法。
【請求項5】
所定の幅と長さを有す滑走路の中で、降雪の強弱や路盤の蓄熱状況の違いによって積雪深が場所によって微妙に異なることから、積雪状況が異なる場所を同時に測定して滑走路全体としての積雪深を求める為に、複数の観測点を設定した請求項1、請求項2、請求項3、又は請求項4記載の滑走路の積雪深さを計測する方法。
【請求項6】
空港の滑走路の積雪深さを計測する計測装置において、降雪が連続する間の融解熱量を連続測定して積雪深さに置き換えることが出来る構造とし、熱量計測盤を滑走路面にフラットに埋め込み、地熱を含めて降雪の融解熱量を測定することが出来るように構成し、熱量計測盤を構成する構造材を滑走路の路盤と同様な熱伝達率の材料を用い、その材料の垂直熱伝達量を測定する為の測温体を所定間隔に配して垂直方向に配置したことを特徴とする滑走路の積雪深さを計測する計測装置。
【請求項7】
空港敷地内であって航空機の離着陸に支障が生じない場所に、滑走路の複数個所に埋設する熱量計測盤の測定値を補正する為に、気象観測器・レーザ積雪深計・熱量計測盤を別に設けた請求項6記載の滑走路の積雪深さを計測する計測装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は飛行場における滑走路に積もる積雪の深さを計測する方法及び計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
積雪は一般道路に限らず飛行場の滑走路においても発生し、航空機の離着陸に障害を起こす。その為に、雪が基準値を越えて積もった場合には除雪しなくてはならない。
国の通達による滑走路の除雪開始基準は、原則として滑走路、誘導路及びエプロンの積雪が5cm以上になったとき、又は5cm以上積もると判断されるときに開始するものとしている。ただし、雪質や気象特性、運航状況等を考慮し決定することができると規定している。(国空安保第782号)
【0003】
これにより、離発着時は滑走路や誘導路及びエプロンの積雪深5cm以下に保つように管理することが必要とされているが、適切な測定器が存在しない。
そこで、広大な滑走路の積雪深測定を人為的に行うことになり、しかし、積雪5cm未満をミリ単位で手際よく測定することは困難であり、従来から行っている人為観測値の測定分解単位1cmが限界である。さらに、観測点数も限られてしまう。
【0004】
国内の積雪地域の中で最も離発着回数の多い新千歳空港では、平成 28年度の旅客数(国内線と国際線の合計数)は2154万5032人と最多であり、次点の函館空港の旅客数(174万3699人)の 12倍以上となっており、道内空港全体の旅客数(2728万349人)の約8割を占めている。
また、平成29年7月時点の就航路線数でも、新千歳空港は、全81路線のうち46路線(56.8%)を占めており、北海道の重要な玄関口となっている。
【0005】
平成29年3月には、同空港における日中(7時から21時55分)の 1時間当たりの発着回数の目標値を32回から42回に拡大しており、除雪後は分単位での積雪変化の把握が必要となっている。
この様な状況は、人や物資の航空機による移動が益々増える傾向にある中で、積雪深測定は国内や国際的にも空港が抱える重要な課題となっている。
また、滑走路面に設置する観測装置は離着陸時の航空機車輪の重量に耐える必要がある。
【0006】
ところで、従来から路面の融雪に関する技術は色々知られている。
例えば、特許第2840919号に係る「降雪融解熱量及び凍結防止熱量の連続計測制御一体化装置、及び凍結防止制御方法」は、路面の融雪や凍結防止を行う為の制御装置であって、融雪並びに凍結防止設備へ必要最小限のエネルギーを供給するように制御し、又誤動作を生じることなく信頼性の高い降雪融解熱量及び凍結防止熱量の連続計測制御一体化装置である。
すなわち、降雪、積雪並びに凍結状態を感知する為の熱量計測部を有し、該熱量計測部は降雪を受ける受雪盤と該受雪盤の周囲には雪粒子を感知するセンサー、積雪を感知するセンサー、それに水分を感知するセンサーを備え、又受雪盤は路面想定材からなる疑似路面を構成し、内部には電気発熱体と温度センサーを埋設し、受雪盤の表面は無雪状態が保たれるように降雪の融解熱量を演算し、又表面温度が-0℃になるように電気発熱体に電力を供給している。
【0007】
特許第4092494号に係る「路面センサー及び路面の監視制御方法」は、降雪量及び凍結量を単位時間内での融雪必要熱量と凍結防止必要熱量を計測し、路面の乾燥・湿潤・積雪・積雪深・温度の分布状態を非接触で計測し、計測した上記熱量と路面状態を組合せることで道路融雪の自動制御を行う為のセンサーであって、路面状態を逐次計測して無駄なエネルギーを費やすことなく、融雪を行うと共に凍結防止することが出来る。
センサー部は、回転往復運動を行う回転台に、基準光照射/反射光受光器、空間反射受光器、比接触路温計測器、比接触積雪深計測器、路面撮像器、融雪/凍結熱量計測模擬路面、降雪強度計測器、及び水分感知器を備えている。
【0008】
特開2001-248108号に係る「道路および空港滑走路の積雪・凍結防止装置」は、降雪量の多い地域の道路および空港滑走路に積もる雪または氷を自動的に融かし、排水する積雪・凍結防止装置である。
道路および空港滑走路の表面層の下側に高周波電磁波発生装置を備えた金属箱から構成される発熱層を敷設し、路面上に積もる雪または氷を自動的に融かし、排水することが出来る。
【特許文献1】特許第2840919号に係る「降雪融解熱量及び凍結防止熱量の連続計測制御一体化装置、及び凍結防止制御方法」
【特許文献2】特許第4092494号に係る「路面センサー及び路面の監視制御方法」
【特許文献3】特開2001-248108号に係る「道路および空港滑走路の積雪・凍結防止装置」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、これら従来技術は主として一般道路を対象としたものであり、空港の滑走路にそのまま使うには問題がある。
路肩にポールを起立し、ポール上端に積雪の観測部を設ける構造とするならば、滑走路を走行する航空機の翼が接触する虞がある。また、滑走路面にフラットに埋設して積雪深を測定する方法として、光学的積雪深計や静電容量式、及び放射線減衰式が考えられるが、これらの方法に共通するのは測定に要する電子回路の発熱量で測定部の積雪が融けるといった欠点がある。
そこで、本発明が解決しようとする課題はこれら問題点であって、滑走路面に雪を積もらせることなく積雪深さを求めることが出来るようにした滑走路の積雪深計測方法及び計測装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る滑走路の積雪深計測方法及び計測装置は、滑走路面に雪を積もらせずに積雪深さを求めることが出来るように構成している。
地表面に降る降雪の密度は概ね0.1であり、地表の積雪5cm程度では圧密は生じない為、融解熱量から積雪深さを求める方法が考えられる。
但し、降雪密度は気温により微妙に異なるため、高精度を求める場合は補正係数を用いる。
【0011】
積雪1cmは密度0.1で求めると氷厚み値は1mmであり1平方メートル当たりに要する融解熱量は333kJであることから、降雪が継続する間に融解熱量を連続測定すると積雪深さに置き換えられる。
これを実現する為、特許第2840919号の技術を応用した熱量計測盤を滑走路面にフラットに埋め込み、地熱を含めて降雪の融解熱量を測定することが出来るように構成している。
【0012】
そこで、熱量計測盤を構成する構造材を滑走路の路盤と同様な熱伝達率の材料を用い、その材料の垂直熱伝達量を測定する為の測温体を所定間隔に配し、垂直方向の熱伝達量を求めることが出来るように構成している。
積雪深を熱量で計測するに当たり、複数の熱量計測盤を用いる特許第4208199号に係る「路面の凍結防止方法及び路面センサー」の技術を応用し、滑走路に埋設する複数の熱量計測盤の表面を夫々異なる温度に保つ。例えば1℃・3℃・5℃に保つ熱量値を用いて、熱量計測盤の表面温度を0℃に保つ熱量を間接的に求めた値が降雪を融解する熱量の真値に近いことを判明した。
但し、各々の温度に保つ時に生じる気象の影響、風/放射/蒸発による熱量の値を同時に求める必要があり、その為に空港敷地内の気象観測値を用いる。
【0013】
(測定個所の複数化)
空港では滑走路面に残留する路盤熱(地熱)で融解する分が測定誤差を生む。例えば、滑走路面下に地下鉄や道路のアンダーパス、並びに、水路などの路盤熱の不均一性が生じる部分では、昼の太陽熱を滑走路面が吸収蓄熱する度合や地下空間を吹き抜ける風で熱が奪われる等にて異なり、さらに、場所によっては滑走路盤の地下から熱を受け続けている場合がある。
【0014】
延長2~3km・幅45~60mの滑走路の中で、異なる降雪の強弱や路盤の蓄熱状況の違いによって積雪深は場所によって微妙に異なる。
この様に積雪状況が異なる場所を同時に測定して滑走路全体としての積雪深を求める必要がある。
路盤熱の多くは昼の太陽熱を滑走路面が吸収蓄熱している場合や、地盤そのものが地下から熱を受け続けている場合があり、これらの滑走路路盤の熱特性を理解して複数の観測点を設定する必要がある。
【0015】
(航空機車輪の耐荷重性)
次に、離着陸時の航空機の重量に耐える構造について次の様に検討した。
熱量計測器としての精度と航空機荷重を考慮して約1/11で検討する。
乗客数約500人のジャンボジェット機の場合、燃料を満載した離陸時の総重量は約400トンに及び、それを空気圧1200~1400kPaのタイヤ18本で支えている。そこで滑走路表面に掛かる航空機重量は1平方センチメートル当たり概ね12~14kgになり、1/11の荷重は約909倍の11~13トンになる。
1/11のコンクリート圧縮荷重は1900t以上あり、タイヤ荷重の100倍を超えるので、航空機荷重による破壊は生じない。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る滑走路の積雪深さ計測方法は、滑走路面に雪を積もらせることなく積雪深さを求めることが出来る。すなわち、降雪の融解熱量から積雪深さが求められる。
その為に、滑走路に熱量計測盤を滑走路面にフラットに埋め込み、地熱を含めて降雪の融解熱量を測定することで積雪深さを正確に知ることが出来る。
【0017】
熱量計測盤は滑走路面にフラットに埋め込まれていることで、航空機の離着陸に支障を来すことはない。そして、長い滑走路には複数個の熱量計測盤が埋め込まれていることで、長い滑走路であっても正確に計測出来る。また、熱量計測盤上にジャンボ航空機が載っても破壊することはない。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】滑走路とは別の場所に設置され、滑走路に設けた熱量計測盤の計測値を補正するための装置。
【
図4】(a)はレーザ積雪深さ計測値を示すグラフ、(b)は熱量計測積雪深さ値を示すグラフ。
【
図5】滑走路面に3個1組として熱量計測盤を埋め込んだ滑走路の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(滑走路盤埋設用熱量計測盤の構造)
図1、
図2は本発明に係る熱量計測盤を示す実施例であり、
図1は平面図、
図2は縦断面図を示している。
そして、同図において、0は融雪面板、1、2,3,4は測温体、5はヒータ、6はコンクリート、7はボルト、8は円筒樹脂、9は滑走路面、10は滑走路盤をそれぞれ表している。
【0020】
直径(例えば、直径32.7cm前後、面積約1/11平方メートル)の金属製の融雪面板0の内側中心部に測温体1を取付け、次に複数のヒータ5,5・・・を接着し、円筒樹脂8の上部に上記融雪面板0を固定する。
次に、円筒樹脂8の中心部には、垂直方向(上下方向)に所定の間隔(例えば、5cm)毎に、測温体2,測温体3,測温体4を配置し、該円筒樹脂8の側面にボルト7,7・・を取り付けてコンクリート6を充填する。
【0021】
滑走路に埋設する場合は、滑走路面9と融雪面板0の高さを合わせて設置する。
滑走路面9と同じ高さになる融雪面板0は、金属板の下部に取り付けた電気発熱体と小型の温度測定器、並びに金属板から下方5cm毎に測温体を固定し、該円筒樹脂8の内部にコンクリートが充填される。
融雪熱源となる複数のヒータ5,5・・・の形状は小さく、航空機の点荷重に耐える方法とし、発生熱は熱伝導率の良い融雪面板0で面的に均一分散する方法としたことで、熱量で求める積雪深測定の精度向上を図っている。
次に、融雪面板0の下方5cm毎に配置した測温体1,2,3,4は充填したコンクリートの温度を測定し、滑走路盤10の熱移動量を求める。
【0022】
(量計測盤の耐荷重性)
滑走路面9なる表面を、該滑走路面9同等な放射率を有する塗装を施した金属板を備え、面積約1/11平方メートルで、高さ17~20cmの円筒樹脂8にコンクリート6を充填し、熱量計測盤は滑走路面9に埋め込み、滑走路盤10に密着した状態で設置するので、航空機の輪荷重に対して100倍を超える圧縮破壊強度があり、十分耐えるものである。
【0023】
(熱量計測盤の降雪融解能力w/平方メートル)
降雪強度は気象変化によって異なるが、時間降雪10cmの視界は100m以下になる為に離着率は不可能であり、時間降雪が5cm/hでは視界が良くなり離着率が可能となる場合が多い。
そこで、熱量計測盤の最大融雪能力を離着陸が不可能となる10cm/hの降雪強度を対象に次の様に求めた。
【0024】
地表面に降る降雪密度は概ね0.1であり、これを基に1平方メートル当たり1cm積雪に要する融解熱量は333kJであるから、10cm/hの積雪に必要な熱量は3330kJであり、ヒータ容量に換算すると3330kJ/平方メートル÷3600秒=0.925kw/平方メートルになるが、実施例では余裕を含めて1130.8w/平方メートルのヒータ容量としたことで時間降雪12cmに対応する。
熱量計測盤の面積は1/11平方メートルであるから102.8wのヒータ容量を具備した。
ヒーター容量の規模は大きい程、対応できる時間降雪深さは大きくなるが、実用的観点とセンサーへの送電設備のコストを考慮して時間降雪深12cm対応とした。
【0025】
(熱量計測盤の複数化)
熱量計測盤は複数設けることで、様々な状況変化の判断が可能となる。実施例では4つの熱量計測盤A、B、C、Dを用いて滑走路に埋設され、熱量計測盤Aを1℃、熱量計測盤Bを3℃、熱量計測盤Cを5℃に保つ制御を行い、熱量計測盤Dは熱を加えない自然状態における積雪深の基準値としてレーザ距離計で測定する。
【0026】
熱量計測盤は複数設けることで、様々な状況変化の判断が可能となり、実施例では4つの熱量計測盤A、B、C、Dを用い、一つは積雪5cmを確認するもので、電熱を加えずレーザ距離計で自然積雪深を測定し、5cmを超えた時点でヒータで溶かし、積雪ゼロで通電を停止する制御を行った。残り3つの熱量計測盤は、異なる温度1℃・3℃・5℃を保つ熱量を計測した。
この3つの異なる温度毎の測定結果を用いて融解熱量を求め、0℃熱量とする。
各々の温度を保つ熱量計測盤A,B,Cと、熱を加えない熱量計測盤D、並びに熱量計測盤Dの中心部にはレーザ光が当たるレーザ距離測定点Eを設けている。
【0027】
(熱量計測盤・レーザ積雪深・気象観測器の組合せ)
滑走路の積雪深さを測定する場合、風/放射/蒸発による熱量値をリアルタイムに計算して補正する方法において、雪密度の違いは積雪深さに影響を与える。過去の研究資料を利用して気温による降雪密度の補正は考えられるが、それは統計的資料でありリアルタイム測定では精密性が欠ける。
精密性を重視する場合は、実態測定値が有ればリアルタイムに精度補正が可能となる。
【0028】
そこで、
図3に示すように、空港敷地内であって航空機の離着陸に支障が生じない場所に測定装置を設置する。
同図において、Eはレーザ計測点、Fはカメラ、Gは照明、Hはレーザ積雪深計、Iは積雪5cm線、JはECU、Kは支持柱、Lは気象センサをそれぞれ表わしている。
気象観測器・レーザ積雪深計・熱量計測盤A,B,C,Dで得た値を基に、滑走路に複数個所埋設するA,B,Cの熱量計測盤の測定値を補正する方法を用いる。この方法を採用していることで、精度の高い測定が可能となっている。
【0029】
図4は、レーザ光で測定した熱量計測盤Dの積雪深と熱量計測盤A,B,Cの熱量から積雪深を求めたグラフであり、熱量計測盤Dは49mm・熱量計測盤Aは51mm・熱量計測盤Bは46mm・熱量計測盤Cは51mmの値になった。
【0030】
その積雪深は、風/放射/蒸発による熱量値である測定時間毎の平均値、Aは340w/平方メートル・Bは380w/平方メートル・Cは500w/平方メートルを差引いた値である。
この様に、自然状態にある熱量計測盤Dの積雪深と熱量計測盤A,B,Cの供給熱量から求めた積雪深が目視観測1cm毎の値より精度よく計測出来るこが分った。
そして、
図5は滑走路面を模した図面であり、3つの熱量計測盤A,B,Cを一組として複数個所に設置した場合を表している。
【符号の説明】
【0031】
0 融雪面板
1 測温体
2 測温体
3 測温体
4 測温体
5 ヒータ
6 コンクリート
7 ボルト
8 円筒樹脂
9 滑走路面