(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076049
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】水中油型化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/92 20060101AFI20230525BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20230525BHJP
A61K 8/06 20060101ALI20230525BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20230525BHJP
A61Q 5/00 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
A61K8/92
A61K8/49
A61K8/06
A61Q19/00
A61Q5/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189211
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000001959
【氏名又は名称】株式会社 資生堂
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100120617
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】武知 美和
(72)【発明者】
【氏名】奥山 裕介
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 育浩
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC072
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC172
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC532
4C083AC851
4C083AC852
4C083AD022
4C083AD042
4C083AD072
4C083AD092
4C083AD112
4C083AD152
4C083AD242
4C083AD352
4C083BB12
4C083BB13
4C083CC02
4C083CC31
4C083DD33
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】本発明によれば、使用感に優れた油性粒子を含んでなる水中油型化粧料を提供する。
【解決手段】(A)平均粒子径が50μm~10mmである油性粒子であって、(A1)固形油分と(A2)液状油分とを含んでなる油性粒子、(B)特定の構造を有する環状カルボキサミド誘導体またはその塩、および(C)水を含んでなる水中油型化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)平均粒子径が50μm~10mmである油性粒子であって、(A1)固形油分と(A2)液状油分とを含んでなる油性粒子、
(B)式(1)で表される環状カルボキサミド誘導体またはその塩
【化1】
(式中、
R
1は、水酸基で置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、または水素原子であり、
Xは、-CH
2-または-N(R
2)-であり、ここで、R
2は、水酸基で置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、または水素原子であり、かつ
nは、1~3の整数である)、および
(C)水
を含んでなる、水中油型化粧料。
【請求項2】
(B)成分の式(1)において、
R1が、炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、
Xが、-CH2-または-NH-であり、かつ
nが、1である、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
(B)成分が、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノンである、請求項1または2に記載の化粧料。
【請求項4】
(B)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、0.01~5質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧料
【請求項5】
(A1)成分が、50℃以上の融点を有する固形油分から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項6】
(A1)成分の配合量が、(A1)成分と(A2)成分の合計の配合量に対して、5~50質量%である、請求項1~5のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項7】
(A2)成分の配合量が、(A1)成分と(A2)成分の合計の配合量に対して、50~95質量%である、請求項1~6のいずれか一項に記載の化粧料。
【請求項8】
(D)水溶性増粘剤をさらに含んでなる、請求項1~7のいずれか一項に記載の化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型化粧料に関する。より詳細には、目視可能な大きさの油性粒子を含んでなる水中油型化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
平均粒子径が50μm~10mmという大きな油性粒子を水相に分散させた水中油型乳化化粧料が知られている。このような大きな油性粒子が配合された化粧料は、目視可能な大きさの油性粒子が分散しているために視覚的に斬新で美しいばかりでなく、肌に適用した際にみずみずしく、さっぱりした感触があり、時間をおくとしっとりした感触になるといった従来になかった使用感が得られる。また、大きな油性粒子に分解性の油溶性成分を保持すれば当該油溶性成分の分解を抑制できるという効果も有する。
例えば、特許文献1には、常温で固体の油性成分を含む平均粒子径が100μm以上の油性粒子が水性媒体中に分散されたカプセル含有化粧料が開示されている。
【0003】
一方、環状カルボキサミド誘導体は、抗しわ効果や色素沈着抑制効果があることが知られており、化粧料等に配合することが提案されている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2018/212223
【特許文献2】国際公開2011/040496
【発明の概要】
【0005】
本発明者らの検討によると、環状カルボキサミド誘導体を化粧料に配合した場合に、使用感の低下が起こることがわかってきた。
そのような中、本発明者らは、驚くべきことに、環状カルボキサミド誘導体を大きな油性粒子と組み合わせることで、使用感の低下を抑制できることを発見した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1](A)平均粒子径が50μm~10mmである油性粒子であって、(A1)固形油分と(A2)液状油分とを含んでなる油性粒子、
(B)式(1)で表される環状カルボキサミド誘導体またはその塩
【化1】
(式中、
R
1は、水酸基で置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、または水素原子であり、
Xは、-CH
2-または-N(R
2)-であり、ここで、R
2は、水酸基で置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、または水素原子であり、かつ
nは、1~3の整数である)、および
(C)水
を含んでなる、水中油型化粧料。
[2](B)成分の式(1)において、
R
1が、炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、
Xが、-CH
2-または-NH-であり、かつ
nが、1である、[1]に記載の化粧料。
[3](B)成分が、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノンである、[1]または[2]に記載の化粧料。
[4](B)成分の配合量が、化粧料の総量に対して、0.01~5質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載の化粧料
[5](A1)成分が、50℃以上の融点を有する固形油分から選択される、[1]~[4]のいずれかに記載の化粧料。
[6](A1)成分の配合量が、(A1)成分と(A2)成分の合計の配合量に対して、5~50質量%である、[1]~[5]のいずれかに記載の化粧料。
[7](A2)成分の配合量が、(A1)成分と(A2)成分の合計の配合量に対して、50~95質量%である、[1]~[6]のいずれかに記載の化粧料。
[8](D)水溶性増粘剤をさらに含んでなる、[1]~[7]のいずれかに記載の化粧料。
【0007】
本発明によれば、使用感に優れた化粧料を提供することができる。特に、なじみがよく、塗布中のフィット感がよく、さらに塗布後のべたつきを抑制することができる。
【発明の具体的説明】
【0008】
[水中油型化粧料]
本発明は、(A)平均粒子径が50μm~10mmである油性粒子であって、(A1)固形油分と(A2)液状油分とを含んでなる油性粒子、(B)特定の構造を有する環状カルボキサミド誘導体またはその塩、および(C)水を含んでなる水中油型化粧料(以下、化粧料と称することがある)に関するものである。
【0009】
(A)油性粒子
本発明による化粧料は、(A)平均粒子径が50μm~10mmである油性粒子であって、(A1)固形油分(以下、(A1)成分と称することがある。以下の成分についても同様である)と(A2)液状油分とを含んでなる油性粒子を含んでなる。
油性粒子は水相中に分散されており、油性粒子は、(A2)成分を含む内層の周囲を、(A1)成分が被覆した(外層)カプセル構造を有すると考えられる。また、外層をなす固形油分が結晶化することにより、適度な堅さとなって独特の使用感を生じさせる。
油性粒子の平均粒子径は50μm~10mmであり、好ましくは100μm~1.5mmであり、より好ましくは100μm~1mmである。油性粒子の粒子径は、顕微鏡を用いて測定することができる。
油性粒子の配合量は、化粧料総量に対して、好ましくは0.1~15質量%であり、より好ましくは0.3~10質量%である。
油性粒子は、例えば、融点を超える温度に調整し液状とされた、(A1)固形油分および(A2)液状油分を、10~1500rpmでの撹拌下、融点を越える温度に調整された水性溶媒に導入して混合物とし、当該撹拌下で、混合物を室温に冷却することによって形成することができる。
【0010】
(A1)固形油分
(A)油性粒子は、(A1)固形油分を含んでなる。本発明において、「固形油分」は、常温(25℃)で固体または半固体の油分を意味する。
(A1)固形油分としては、例えば、固形パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、ビースワックス、バリコワックス、ポリエチレンワックス、シリコンワックス、高級アルコール(例えば、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール等)、バチルアルコール、カルナウバロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、ホホバロウ、ラノリン、セラックロウ、鯨ロウ、モクロウ、高級脂肪酸(例えば、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等)、エステル油(例えば、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸デキストリン等)、カカオ脂、硬化ヒマシ油、硬化油、水添パーム油、パーム油、硬化ヤシ油、ポリエチレン、ワセリン、各種の水添動植物油脂、脂肪酸モノカルボン酸ラノリンアルコールエステル等が挙げられる。
(A1)固形油分の融点は、高温での安定性の観点から、好ましくは50℃以上であり、より好ましくは55℃以上であり、さらに好ましくは65℃以上である。また、粒子形成性や分散性の観点から、融点は85℃以下であることが好ましい。より好ましい(A)固形油分としては、水添ホホバ油(融点:68℃)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル(融点:66℃)、ステアリルアルコール(融点:52~62℃)やベヘニルアルコール(融点:68℃)等の炭素数16以上、好ましくは炭素数18以上の高級アルコール、マイクロクリスタリンワックス(融点:80℃)、セレシン(融点:68~75℃)、ポリエチレンワックス(融点:80℃)、バチルアルコール(融点:70℃)、カルナウバロウ(融点:83℃)、キャンデリラロウ(融点:71℃)、硬化ヒマシ油(融点:84℃)、ステアリン酸(融点:58~63℃)、ベヘニン酸(融点:69~80℃)、12-ヒドロキシステアリン酸(融点:70℃)等が挙げられる。
【0011】
(A1)成分は、1種または2種以上を配合することができる。本発明の組成物における(A1)成分の配合量は、(A1)成分と(A2)成分の合計の配合量に対して、好ましくは5~50質量%であり、より好ましくは10~40質量%である。この範囲とすることで、油性粒子の安定性を良好にすることができ、また油性粒子が適度な固さをもたせ、肌なじみ等の使用性を良好にすることができる。
【0012】
(A2)液状油分
(A)油性粒子は、(A2)液状油分を含んでなる。本発明において、「液状油分」は、常温(25℃)で液体の油分を意味する。
(A2)液状油分としては、例えば、
アマニ油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、アボカド油、サザンカ油、ヒマシ油、サフラワー油、キョウニン油、シナモン油、ホホバ油、ブドウ油、アルモンド油、ナタネ油、ゴマ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、米胚芽油、米ヌカ油、綿実油、大豆油、落花生油、茶実油、月見草油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、ヤシ油、パーム油、パーム核油等の油脂オクタン酸セチル等のオクタン酸エステル、トリ-2-エチルヘキサエン酸グリセリン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル等のイソオクタン酸エステル、ラウリン酸ヘキシル等のラウリン酸エステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル等のミリスチン酸エステル、パルミチン酸オクチル等のパルミチン酸エステル、ステアリン酸イソセチル等のステアリン酸エステル、イソステアリン酸イソプロピル、ジイソステアリン酸グリセリル等のイソステアリン酸エステル、イソパルミチン酸オクチル等のイソパルミチン酸エステル、オレイン酸イソデシル等のオレイン酸エステル、アジピン酸ジイソプロピル等のアジピン酸ジエステル、セバシン酸ジエチル等のセバシン酸ジエステル、リンゴ酸ジイソステアリル等のリンゴ酸ジイソステアリル等のエステル油、
流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、スクワレン、プリスタン、パラフィン、イソパラフィン、ワセリン、水添ポリデセン等の炭化水素油、
ジメチルポリシロキサン(ジメチコン)、メチルフェニルポリシロキサン(フェニルメチコン)、メチルハイドロジェンポリシロキサン等の鎖状シリコーン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状シリコーン、アミノ変性シリコーン油、ポリエーテル変性シリコーン油、カルボキシ変性シリコーン油、アルキル変性シリコーン油、アンモニウム塩変性シリコーン油、フッ素変性シリコーン油の変性シリコーンを含むシリコーン油等が挙げられる。
これらのうち、トリ-2-エチルヘキサエン酸グリセリン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル等の極性油分は、油性粒子の存在による肌なじみのよさと共に、しっとり感を付与できるため、好ましい。また、シリコーン油は、油性粒子の存在による肌なじみのよさと共に、しっとり感やすべすべ感を付与できるため、好ましい。
【0013】
(A2)成分は、1種または2種以上を配合することができる。本発明の組成物における(A2)成分の配合量は、(A1)成分と(A2)成分の合計の配合量に対して、好ましくは50~95質量%であり、より好ましくは60~90質量%である。この範囲とすることで、油性粒子の安定性を良好にすることができ、また油性粒子が適度な固さをもたせ、肌なじみ等の使用性を良好にすることができる。
【0014】
(A)油性粒子は、(A1)および(A2)の必須成分に加えて、他の成分を本発明の効果を阻害しない範囲で含有することもできる。油性粒子に配合できる他の成分としては、例えば、油溶性増粘剤、保湿剤、油溶性薬剤(例えば、油溶性ビタミン類、油溶性植物抽出物等)、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調製剤、防腐剤、色素、染料、界面活性剤、粉末成分等が挙げられる。
【0015】
(B)環状カルボキサミド誘導体またはその塩
本発明による化粧料は、式(1)で表される環状カルボキサミド誘導体またはその塩を含んでなる。
【化2】
式中、
R
1は、水酸基で置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、または水素原子であり、
Xは、-CH
2-または-N(R
2)-であり、ここで、R
2は、水酸基で置換されていてもよい炭素数1~6の炭化水素基、または水素原子であり、かつ
nは、1~3の整数である。
上記の炭化水素基は、特に限定されず、例えば、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキルアルキル基、ハロアルキル基、アルコキシアルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基であってよく、好ましくはアルキル基である。
【0016】
好ましい形態において、(B)成分の式(1)において、
R
1が、炭素数1~3のヒドロキシアルキル基であり、
Xが、-CH
2-または-NH-であり、かつ
nが、1である。
式(1)で表される環状カルボキサミド誘導体の具体例としては、例えば、以下が挙げられる。
【化3】
(B)成分は、最も好ましくは、1-(2-ヒドロキシエチル)-2-イミダゾリジノンである。
【0017】
(B)成分は、式(1)で表される環状カルボキサミド誘導体の塩であってもよい。塩の種類は、薬理学的に許容される塩であれば特に限定されず、無機塩であっても有機塩であってもよい。無機塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、臭化水素酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等が挙げられる。有機塩としては、例えば、酢酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、トリエタノールアミン塩、アミノ酸塩等が挙げられる。
【0018】
(B)成分は、1種または2種以上を配合することができる。(B)成分の配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは0.01~5質量%であり、より好ましくは0.5~3質量%である。この配合量範囲で(A)油性粒子と組み合わせることで、(B)成分由来の、塗布中のなじみのよさ、塗布後のフィット感、および塗布後のべたつきをより改善することができる。
【0019】
(C)水
本発明による化粧料は、(C)水を含んでなる。水としては、化粧品、医薬部外品等に使用される水を使用することができ、例えば、精製水、イオン交換水、水道水等を使用することができる。
水の配合量は、本発明による化粧料の総量に対して、好ましくは50~85質量%であり、より好ましくは60~80質量%である。
【0020】
(D)水溶性増粘剤
本発明による化粧料は、(D)水溶性増粘剤をさらに含むことができる。(D)成分を含むことで、分散物の安定性をさらに向上させることができる。
(D)成分としては、例えば、アラビアゴム、トラガカントガム、ガラクタン、キャロブガム、グァーガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(褐藻エキス)等の植物系高分子;デキストラン、サクシノグルカン、プルラン、キサンタンガム等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子;メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)等のビニル系高分子;疎水変性ポリエーテルウレタン等のポリオキシエチレン系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等のアクリル系高分子、ポリエチレンイミン、カチオンポリマー、ベントナイト、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ラポナイト、ヘクトライト、無水ケイ酸等の無機系水溶性高分子等を挙げることができる。
【0021】
これらのうち、アクリル系高分子が好ましく、界面活性を有しており、巨大粒子の凝集合一化を防止する作用を兼ね備えるために、アクリル酸メタクリル酸アルキル共重合体(アルキル変性カルボキシビニルポリマー)とも呼ばれ、好ましくは、(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-30))クロスポリマーである。(アクリレーツ/アクリル酸アルキル(C10-C30))クロスポリマーは市販品を用いてもよく、「CARBOPOL 1342」、「Pemulen TR-1 Polymeric Emulsifier」、「Pemulen TR-2 Polymeric Emulsifier」(Lubrizol Advanced Materials,Inc.製)を挙げることができる。
アクリル系高分子として、例えば、(アクリル酸ナトリウム/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)コポリマー、(ジメチルアクリルアミド/アクリロイルジメチルタウリンナトリウム)クロスポリマー等を用いることもできる。
【0022】
(D)成分は、1種または2種以上を配合することができる。(D)成分の配合量は、化粧料の総量に対して、好ましくは0.001~5質量%であり、より好ましくは0.1~2.5質量%である。
【0023】
本発明による化粧料は、上記以外の他の成分を本発明の効果を阻害しない範囲で、化粧料に通常用いられる成分を配合することができる。これらの成分としては、例えば、油溶性増粘剤、保湿剤、水溶性薬剤(例えば、アルブチン、アスコルビン酸グルコシド、トラネキサム酸、4-メトキシサリチル酸塩等)、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調製剤、防腐剤、色素、染料、界面活性剤、粉末成分等が挙げられる。また、(A1)成分および(A2)成分とは別に、油分を配合することもできる。本発明による化粧料は、一般に(A)成分を他の原料と配合することによって調製されるが、その他の成分に、(A1)成分および(A2)成分とは別の油分を含んでいてもよい。
【0024】
本発明による化粧料は、独特の外観及び使用感を有する化粧料基剤として使用するのに適している。当該基剤を使用した化粧料としては、例えば、水性化粧料、ジェル状化粧料、乳化化粧料等の形態が挙げられる。具体的な用途としては、化粧水、ジェル、乳液、クリーム、パック等のフェーシャル、ボディまたはヘア用の化粧料として用いることができる。
【実施例0025】
以下の例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。配合量は特記しない限り、総量に対する質量%で示す。
【0026】
[実施例1~6および比較例1~6]
表1に示される配合で、実施例1~6および比較例1~6の化粧料を調製した。
油性粒子は、水性溶媒を70℃に加熱し、プロペラミキサーを用いて250rpmで撹拌を行いつつ、70℃で溶融した(A1)および(A2)成分を送液ポンプを用いて、20m/minの速度で水性溶媒相内部に、同相の下部から注入した。注入終了後、撹拌速度を150rpmに減速し、室温まで冷却した後、水酸化カリウムを添加することにより形成させた。
なお、比較例1~6は(A)油性粒子を含まない。
【表1】
【0027】
上記で調製した化粧料を、専門パネル10名が肌に塗布して、塗布中の「なじみのよさ」、塗布後の「べたつきのなさ」、および塗布中の「フィット感」について評価した。各専門パネルの評価をもとに、以下の基準に従って判定した。得られた結果は表1のとおりである。
「なじみのよさ」
A:パネル10名中9名以上がなじみがよいと回答した。
B:パネル10名中6名以上8名以下がなじみがよいと回答した。
C:パネル10名中3名以上5名以下がなじみがよいと回答した。
D:パネル10名中2名以下がなじみがよいと回答した。
[べたつきのなさ]
A:パネル10名中9名以上がべたつきがないと回答した。
B:パネル10名中6名以上8名以下がべたつきがないと回答した。
C:パネル10名中3名以上5名以下がべたつきがないと回答した。
D:パネル10名中2名以下がべたつきがないと回答した。
[フィット感]
A:パネル10名中9名以上がフィット感があると回答した。
B:パネル10名中6名以上8名以下がフィット感があると回答した。
C:パネル10名中3名以上5名以下がフィット感があると回答した。
D:パネル10名中2名以下がフィット感があると回答した。
【0028】
[油性粒子の粒子径]
上記で調製された実施例1~6の化粧料3gを55mmφのシャーレに広げ、上部よりスケールと共にデジタルカメラで画像を取り込み、代表50個の粒子の粒子径をスケールから読み取り、粒子径の範囲および平均値を算出した。