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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076085
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】開閉装置
(51)【国際特許分類】
   E06B 9/17 20060101AFI20230525BHJP
   E06B 9/13 20060101ALI20230525BHJP
   E06B 9/15 20060101ALI20230525BHJP
   E06B 5/16 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
E06B9/17 M
E06B9/13 D
E06B9/15 Z
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189268
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000239714
【氏名又は名称】文化シヤッター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141243
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 靖夫
(72)【発明者】
【氏名】岩田 保
(72)【発明者】
【氏名】小林 諒平
(72)【発明者】
【氏名】大橋 利幸
(72)【発明者】
【氏名】高井 邦治
(72)【発明者】
【氏名】岡田 秀正
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239CA06
2E239CA42
2E239CA69
(57)【要約】
【課題】開閉装置によって区画された範囲からの延焼を抑制可能な開閉装置を提供する
【解決手段】建物の出入り口や建物内部の通路に設けられた開口部を開閉する開閉体を備えた開閉装置であって、開閉体は、耐火断熱性を有する耐火断熱部材を含んで構成され、開口部を閉鎖状態としたときに、耐火断熱部材が、該開閉体により区画される前面側の空間と後面側の空間との間を遮蔽するように配置される構成とした。
【選択図】図2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部を開閉する開閉体を備えた開閉装置であって、
前記開閉体は、耐火断熱性を有する耐火断熱部材を含んで構成され、
前記開口部を閉鎖状態としたときに、前記耐火断熱部材が、該開閉体により区画される前面側の空間と後面側の空間との間を遮蔽するように配置されることを特徴とする開閉装置。
【請求項2】
前記耐火断熱部材は、前記開閉体として形成されたことを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項3】
前記耐火断熱部材は、前記開閉体の前面と後面の両方、又はそのいずれか一方を覆うように設けられたことを特徴とする請求項1に記載の開閉装置。
【請求項4】
前記耐火断熱部材は、耐火断熱シートであることを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の開閉装置。
【請求項5】
前記耐火断熱部材は、発泡断熱シートで構成されたことを特徴とする請求項1乃至請求項3いずれかに記載の開閉装置。
【請求項6】
前記耐火断熱部材は、耐火断熱シートと発泡断熱シートとを重ねて構成されたことを特徴とする請求項2に記載の開閉装置。
【請求項7】
前記発泡断熱シートに重ねて設けられ、該発泡断熱シートを保護する保護部材を備えることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の開閉装置。












【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉装置に関し、特に、開閉体により区画される防火区画の防火性能を向上可能な開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、開閉装置の一つとして、スラットと呼ばれる長尺な金属板を複数連結し、防火区画を形成するための開閉体として防火機能が備えたシャッターカーテンを有するスラット式のシャッター装置が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-115511号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シャッターカーテンを構成するスラット等のシャッター装置を構成する部材は、多くが金属材料で構成されるため、スラット等からの放射熱により防火区画外へと延焼させる虞がある。
そこで本発明は、上記課題を解決するため、開閉装置によって区画された範囲からの延焼を抑制可能な開閉装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための開閉装置の構成として、建物の出入り口や建物内部の通路に設けられた開口部を開閉する開閉体を備えた開閉装置であって、開閉体は、耐火断熱性を有する耐火断熱部材を含んで構成され、開口部を閉鎖状態としたときに、耐火断熱部材が、該開閉体により区画される前面側の空間と後面側の空間との間を遮蔽するように配置される構成とした。
本構成によれば、開閉装置によって区画された範囲からの延焼を抑制することができ、防火区画の防火性能を向上させることができる。
また、耐火断熱部材は、前記開閉体として形成されたり、開閉体の前面と後面の両方、又はそのいずれか一方を覆うように設けられても良い。
また、耐火断熱部材は、耐火断熱シートで構成したり、発泡断熱シートで構成したり、発泡断熱塗料で構成したり、耐火断熱シートと発泡断熱シートとを重ねて構成したりしても良い。
また、耐火断熱部材に発泡断熱シートや発泡断熱塗料で構成する場合、露出する表面に保護部材を備えように構成すると良い。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明に係る開閉装置の平面図である。
図2】シャッターカーテン、巻取り機構の縦断面図及びスラットの縦断面図及び部分拡大図である。
図3】シート状のシャッターカーテンの他の構成を示す図である。
図4】シート状のシャッターカーテンの他の構成を示す図である。
図5】ガイドレールに耐火断熱性能を設けた場合の図である。
図6】スラット式のシャッターカーテンで構成された開閉装置の平面図である。
図7】スラット式のシャッターカーテン、巻取り機構の縦断面図及びスラットの縦断面図である。
図8】耐火断熱部材の他の設置形態を示す図である。
図9】耐火断熱部材の他の設置形態を示す概略図である。
図10】耐火断熱ユニットの他の設置形態を示す概略図である。
図11】耐火断熱ユニットの他の設置形態を示す概略図である。
図12】耐火断熱体の他の設置形態を示す概略図である。
図13】耐火断熱体の他の設置形態を示す図である。
図14】開閉装置の他の形態を示す図である。
図15】開閉装置の他の形態を示す図である。
図16】耐火断熱部材を備えたスラットの縦断面図である。
図17】スラットにおける耐火断熱部材及び保護部材の他の設置形態を示す図である。
図18】パネルカーテンを構成する耐火断熱部材を備えたパネルの縦方向断面図である。
図19】耐火断熱部材を備えたオーバーヘッドスライディングドアのドア構成パネルの縦断面図である。
図20】耐火断熱部材を備えたオーバーヘッドスライディングドアのドア構成パネルの縦断面図である。
図21】耐火断熱部材を備えたオーバーヘッドスライディングドアのドア構成パネルの縦断面図である。
図22】耐火断熱部材を備えたシートカーテンの縦断面図である。
図23】耐火断熱部材を備えたドア扉の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、発明の実施形態を通じて本発明を詳説するが、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明される特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らず、選択的に採用される構成を含むものである。
【0008】
[実施形態1]
図1は、本実施形態に係る開閉装置の平面図、図2は、シャッターカーテン及び巻取り機構の縦断面の模式図である。
図1に示すように、開閉装置としてのシャッター装置10は、構造物躯体11に形成された開口部12に設置される。構造物躯体11とは、例えば住宅やビル、倉庫、工場等の構造物の内外を仕切る外壁や、構造物の内部において内部空間を仕切る内壁等である。開口部12は、構造物躯体11に開設され、内外を連通する空間として形成される。
【0009】
シャッター装置10は、概略、開口部12の幅方向の両側に互いに離間して立設されるガイドレール20;20と、ガイドレール20;20の長手方向に沿って移動し、開口部12を開放又は閉鎖する開閉体としてのシャッターカーテン30と、開口部12及びガイドレール20;20の上方に設けられるシャッターケース84と、シャッターケース84の内部に設けられ、シャッターカーテン30を巻き取る巻取り軸82とを備える。
【0010】
なお、本明細書において幅方向とは、シャッターカーテン30の開閉(上下)方向と直交する方向(左右方向)を示し、「奥行方向」とは、シャッターカーテン30の厚み(前後)方向を意味する。また、「巻取り方向」とは、シャッターカーテン30がガイドレール20に沿って上昇し、開口部12が開放する方向を示し、「繰出し方向」とは、シャッターカーテン30がガイドレール20に沿って降下し、開口部12が閉鎖する方向を示すものとする。
【0011】
図1に示すように、ガイドレール20,20は、構造物躯体11に対して長手方向が垂直となるように、構造物躯体11に一部が埋設された状態で立設される。ガイドレール20;20は、横断面略コ字状の内部構造を有する中空状の部材である。ガイドレール20;20同士は、コ字状の開口が互いに向き合うように配設される。ガイドレール20;20には、後述するシャッターカーテン30の幅方向両端部が挿入される。これにより、シャッターカーテン30の幅方向端部は、ガイドレール20;20によって開閉方向(上下方向)に案内される。
【0012】
図2に示すように、シャッターカーテン30は、シート状の部材により構成された所謂シートカーテンである。シャッターカーテン30は、例えば、耐火断熱シートで構成される。耐火断熱シートとは、シート形状でありながら耐火性と高い断熱制をあわせ持つ単一のシートや複数のシートを重ね併せて構成される。
【0013】
シャッターカーテン30は、シャッターケース14の内部に収容された図外の巻き取り機構によって、巻き取り、繰り出し可能とされる。なお、シャッターカーテン30の巻き取り、繰り出しは、例えば、モーターの駆動により巻取り軸82を回転させて行うように構成したり、巻取り軸82をコイルばね等の付勢手段により回転させて巻き取るようにした手動式の巻取り機構によって行うように構成したりすれば良く、適宜選択すればよい。
【0014】
このように、耐火断熱性を有するシート状のシャッターカーテン30を用いることで、金属製のスラット等で構成されるシャッターカーテンのように、スラット等からの放射熱により区画外への延焼を抑えることができる。なお、シート状のシャッターカーテン30の素材は、耐火断熱シートに限定されない。
【0015】
図3は、シート状のシャッターカーテンの他の構成を示す図である。例えば、シート状のシャッターカーテン30の素材として、発泡シートを用いることができる。
発泡シートとは、シート表面のコーティング剤が高温時に発泡、膨張することで断熱層を形成可能に構成されたものである。前述のように、発泡シートは、その表面のコーティング剤が機能することから、シャッターカーテン30を構成する場合には、図3に示すように、発泡シートの両面を保護シートで挟みこむ積層構造とすると良い。
【0016】
保護シート42は、シャッターカーテン30として巻き取ったときに、発泡シート同士の接触を防ぐための部材である。保護シート42は、例えば、発泡シートの全面を覆うべく、発泡シートと同程度の大きさの矩形状に形成して、発泡シートに重ねて接着剤等の固定手段により一体化させることができる。
【0017】
保護シート42は、例えば、耐火性を有する通気性の高い網目状のメッシュやフィルム等のシート状の部材で構成すると良い。通気性の高い網目状とは、発泡シートの機能を妨げない網目の大きさをいう。なお、保護シート42は、シャッターカーテン30として巻き取ったときに、発泡シートの損傷を防ぐ強さと、巻き取り時の変形に追従可能な柔軟性を有することが好ましい。
【0018】
また、保護シート42は、必ずしも発泡シートの全面を覆うように設けることに限定されず、例えば、保護シート42を所定幅の帯状とし、この帯状の保護シート42をシャッターカーテン30の幅方向に所定の間隔で、シャッターカーテン30の開閉方向の一端から他端に達するように設けても良い。
【0019】
また、保護シート42は、発泡シートの両面に設けることに限定されず、一方の面にのみ設けるようにしてもよい。
【0020】
このようにシャッターカーテン30を耐火断熱シートに代えて構成しても、区画外への延焼を抑えることができる。
【0021】
図4は、シート状のシャッターカーテンの他の構成を示す図である。図4に示すように、シート状のシャッターカーテン30は、耐火断熱シートと発泡シートとを重ねて一枚のシャッターカーテン30として構成しても良い。
【0022】
以上説明したように、シャッター装置が耐火断熱性能を有することにより、火災発生時の延焼防止や避難を容易化することができる。
【0023】
また、シャッターカーテン30を巻き取る巻取り軸82を耐火断熱シートで覆うことにより、火災の熱による巻き取り軸の変形を抑制し、炎や熱を遮る効果を向上させることができる。
【0024】
図5は、ガイドレールに耐火断熱性能を設けた場合の図である。図5(a)は、図1に示すように、構造物躯体11に形成された開口部12にガイドレール20;20が設けられた場合、図5(b)は、構造物躯体11の壁面にガイドレール20;20が設けられた場合、図5(c)は、開口部12を形成する構造物躯体11にガイドレール20;20が埋設して設けられた場合をそれぞれ示している。
前述の耐火断熱性能を有する耐火断熱シートは、例えば、図5の各図に示すように、ガイドレール20;20にも設けると良い。具体的には、シャッターカーテンを30が上下するガイド部22を含む構造物躯体11から露出する外側表面全体、若しくは一部を覆うように設けると良い。なお、ガイドレール20;20の表面に設けられる耐火断熱シートは、シャッターカーテン30を構成する耐火断熱シートと同じものである必要はない。
【0025】
好ましくは、耐火断熱シートは、シャッターカーテン30が、ガイドレール20;20に設けられた耐火断熱シートに一部若しくは、全部に接触するように設けられると良い。
【0026】
このように、ガイドレール20;20に耐火断熱シートを設けることにより、火災の熱が一般的に鋼を素材として形成されたガイドレール20;20を介してシャッターカーテン30や熱の伝導を抑えることができ、火災による延焼を防止することができる。
【0027】
なお、耐火断熱シートに代えて、ガイドレール20;20に、発泡シートや発泡塗料を塗布するようにしても良い。発泡塗料とは、熱により発泡する断熱性能を有する塗料である。
このように、発泡シートや発泡塗料をガイドレール20;20のガイド部22に設けることにより、ガイドレール20;20と、シャッターカーテン30との隙間が発泡シートや発泡塗料の発泡により塞がれるため、区画された範囲を超えた熱の対流を抑制することができる。
【0028】
さらには、断熱性能のないマグサ部や座板部にも同様の手段を用いることで、火災による炎や熱を遮る効果を向上させることができる。
【0029】
前述の技術は、シャッターカーテン30としてシート状のものとして説明したが、スラット式のシャッターカーテン30にも適用することができる。
【0030】
図6は、スラット式のシャッターカーテン30で構成された開閉装置の平面図、図7は、シャッターカーテン、巻取り機構の縦断面図及びスラット31の縦断面図である。
図6に示すように、開閉装置としてのスラット式シャッター装置(以下単にシャッター装置ともいう場合がある。)10は、開口部12に設置される。構造物躯体11とは、例えば住宅やビル、倉庫、工場等の構造物の内外を仕切る外壁や、構造物の内部において内部空間を仕切る内壁等である。開口部12は、構造物躯体11に開設され、内外を連通する空間として形成される。
【0031】
シャッター装置10は、概略、開口部12の幅方向の両側に互いに離間して立設されるガイドレール20;20と、ガイドレール20;20の長手方向に沿って移動し、開口部12を開放又は閉鎖する開閉体としてのシャッターカーテン30と、開口部12及びガイドレール20;20の上方に設けられるシャッターケース14と、シャッターケース14の内部の収容空間に設置される巻取り機構50と、シャッターカーテン30の前面側及び後面側に設けられる耐火断熱部材40とを備える。
【0032】
図6に示すように、ガイドレール20,20は、構造物躯体11に対して長手方向が垂直となるように、構造物躯体11に一部が埋設された状態で立設される。ガイドレール20;20は、横断面略コ字状の内部構造を有する中空状の部材である。ガイドレール20;20同士は、コ字状の開口が互いに向き合うように配設される。ガイドレール20;20には、後述するシャッターカーテン30の幅方向両端部が挿入される。これにより、シャッターカーテン30の幅方向端部は、ガイドレール20;20によって開閉方向(上下方向)に案内される。
【0033】
図7に示すように、シャッターカーテン30は、複数のスラット31により構成される。各スラット31は、例えば、スチール、ステンレス、アルミニウム等等の金属からなり、開口部12の幅方向に沿って延在する板状の部材である。各スラット31における巻取り方向の端部(上端部)と繰出し方向の端部(下端部)には、それぞれ湾曲形状のカール部32;33が形成される。
【0034】
カール部32は、巻取り機構50を構成する円筒状のホイール52の径方向内側に向けて湾曲し、巻取り方向に隣接するスラット31に形成されたカール部33と係合する。カール部33は、ホイール52の径方向内側に湾曲し、繰出し方向に隣接するスラット31に形成されたカール部32と係合する。これにより、互いに隣接するスラット31同士は、それぞれカール部32;33同士が係合することにより回転自在に連結される。
【0035】
巻取り機構50は、シャッターケース14の一部を構成する左右のブラケット15;15と、左右のブラケット15;15間に架設されるシャフト51と、シャフト51の回転と同期して巻取り方向及び繰出し方向に回転自在なホイール52;52と、シャフト51を巻取り方向又は繰出し方向に回転させる図外のモータとを備える。
【0036】
シャフト51は、ガイドレール20;20の幅方向に延在する支柱であって、両端部がブラケット15;15に設けられた図外の保持手段によって、回転自在に支承される。また、シャフト51の一端部の軸周りには、無端状のチェーンやベルト等の連結体55と連結される従動輪53が設けられる。従動輪53は、連結体55を介して図外のモータの出力軸に設けられた駆動輪と連結されており、モータの回転力は、駆動輪、連結体55及び従動輪53を介してシャフト51に伝達される。
【0037】
ホイール52;52は、シャフト51に対して所定の間隔をもって設けられる円筒状の金属部材である。ホイール52;52は、中心部に開設された図外の嵌挿孔を介してシャフト51と嵌め合され、シャフト51を回転中心として自在に回転する。また、ホイール52;52同士は、複数の巻取り部材54により接続される。巻取り部材54は、シャフト51と平行に延在する支柱であって、両端部がホイール52;52の嵌挿孔を中心として円周方向に等間隔に開設された図外の接続孔に嵌め込まれる。
【0038】
なお、巻取り機構50は、モータを有する電動式の巻取り機構50としたが、例えばシャフト51の軸周りに介挿されるコイルばね等の付勢手段を用いた手動式の巻取り機構であっても良い。
【0039】
耐火断熱部材40は、シャッターカーテン30を平面視したときの形状に倣う矩形状に形成され、例えば、シャッターカーテン30の幅方向寸法に対応する一方の一辺側を最も巻取り方向側に位置するスラット31の本体部34の前面側及び後面側に接着剤等の固定手段により固定し、他方の一辺側をシャッターカーテン30の巻取り方向に沿わせることでシャッターカーテン30に取り付けられる。
【0040】
耐火断熱部材40は、前述のようにシャッターカーテン30に取り付けられ、シャッターカーテン30が開口部12を閉鎖したときに、開口部12の前面側及び後面側の全域を覆うように幅方向及び巻取り方向の長さ寸法を設定すると良い。
【0041】
また、耐火断熱部材40;40をシャッターカーテン30に対して取り付けたことにより、耐火断熱部材40;40を巻き取り、繰り出しするための機構を不要とし、シャッターカーテン30の開閉に伴って耐火断熱部材40;40を自動的に配置、収容することができる。
【0042】
耐火断熱部材40;40を接着剤を用いてスラット31に固定する場合、接着剤には、火災時の熱や経年による脱落を防止するために、耐火性及び耐久性を有する接着剤を用いると良い。
【0043】
以下、上記構成からなるシャッター装置の動作について説明する。図7(a)に示すように、シャッターカーテン30が開口部12を開放した状態(全開状態)から、図外の操作盤を操作によりモータが駆動制御され、シャフト51が繰出し方向に回転すると、シャフト51の回転に対応してホイール52が回転し、ホイール52の外周面に、積層されたシャッターカーテン30が耐火断熱部材40;40とともに順次繰出されることとなる。そして、図7(b)に示すように、ホイール52の繰出し方向への回転が継続し、開口部12の全域がシャッターカーテン30により閉鎖(全閉状態)されるとともに、耐火断熱部材40;40がシャッターカーテン30の前面側及び後面側に配置される。
【0044】
また、図7(b)に示すシャッターカーテン30が開口部12を閉鎖した状態(全閉状態)から、モータが逆方向に駆動制御され、シャフト51が巻取り方向に回転すると、シャフト51の回転に対応してホイール52が回転し、シャッターカーテン30は、耐火断熱部材40;40とともに徐々にホイール52の外周面に沿って巻き取られながら開口部12を開放する。そして、図7(a)に示すように、ホイール52による巻取り方向への回転が継続し、ホイール52の周長分以上のシャッターカーテン30が巻き取られると、2周目以降に巻き取られるシャッターカーテン30は、1周目の回転において耐火断熱部材40;40とともに巻き取られたシャッターカーテン30上に耐火断熱部材40;40とともに積層されながら巻き取られ、開口部12の全域が開放(全開状態)される。
【0045】
このように耐火断熱部材40をシャッター装置に設けることにより、シャッター装置に耐火断熱性を付与することができ、スラット31から火災発生時の延焼防止や避難を容易化することができる。なお、シャッターカーテン30に併設する耐火断熱部材40は、前面側及び後面側の両方に限定されず、前面側や後面側の一方であっても良い。
【0046】
図8は、耐火断熱部材40の他の設置形態を示す図である。また、シャッターカーテン30に耐火断熱部材40を直接的に接するように設けるものとして説明したが、図8に示すように、シャッターカーテン30と耐火断熱部材40との間に前述の保護シート42を介在させるようにしても良い。
【0047】
このように、保護シート42を介在させることにより、スラット式のシャッターカーテンを30を巻き取る時のスラット31同士の干渉に伴う耐火断熱部材40の損傷を回避することができる。
【0048】
なお、本実施形態では、シャッターカーテン30をスラット式として説明したが、シャッターカーテン30の構成は、パネル式、シート式等、シャッター装置において開閉体が巻き取り構造を有するものであれば適用できる。また、耐火断熱部材40は、耐火断熱シートに代えて、発泡シートを用いても良い。
【0049】
図9は、耐火断熱部材40の他の設置形態を示す概略図である。図9に示すように、耐火断熱部材40は、例えば、巻き取り装置を含む耐火断熱ユニット80として構成することができる。なお、以下の説明では、前述の耐火断熱シートや発泡シートのみのもの、耐火断熱シートや発泡シートに保護シート42を組み合わせたもの、耐火断熱シートに発泡シートを組み合わせたもの、耐火断熱シートに発泡シートに保護シート42を組み合わせたもの等、耐火断熱シートに付随して設けられるものを総称し、耐火断熱体Aという。
耐火断熱ユニット80は、耐火断熱体Aと、耐火断熱体Aを巻き取る巻取り軸82と、巻取り軸82を回転自在に支持する図外の軸受けと、巻取り軸82が耐火断熱体Aを巻き取る方向に巻取り軸に付勢力を付与する図外の巻取りばねと、これらを収容するケース84とで構成することができる。
【0050】
耐火断熱体Aは、例えば、シャッター装置10が設けられた開口部12の全域を被覆可能な矩形状に形成され、巻取りばねの付勢力により巻取り軸82に巻き取られた状態でケース84内に収容可能とされる。
【0051】
図9に示すように、耐火断熱ユニット80は、例えば、シャッターケース14内において、シャッターカーテン30を挟んで前面側及び後面側に配置することができる。前面側及び後面側の各耐火断熱ユニット80は、耐火断熱体Aの巻取り軸82が、シャッターカーテン30の巻取り機構50のシャフト51の軸線と平行になるようにシャッターケース14内に固定される。巻取り軸82に巻き取られた状態の耐火断熱体Aは、前面側及び後面側の各耐火断熱ユニット80から引き出される。この引き出された一辺側(以下、引き出し端という)は、座板35の前面側及び後面側に図外の固定手段により固定することで、シャッター装置10の一部として組み込まれる。
【0052】
以下、耐火断熱ユニット80として構成したときの動作について説明する。図9(b)に示すように、開口部が開放された状態から図9(a)に示すように、シャッターカーテン30によって開口部を閉鎖する場合、シャッターカーテン30を繰り出すことで、耐火断熱体Aが巻取り軸82から引き出され、シャッターカーテン30の前面側及び後面側に耐火断熱機能を有する耐火断熱体Aを配置することができる。
また、図9(a)に示すように、シャッターカーテン30が開口部を閉鎖した状態から図9(b)に示すように開口部を開放する場合、シャッターカーテン30を巻取り軸82に巻き取ることで、座板35による耐火断熱体Aへの牽引が開放され、耐火断熱体Aは、巻取りばねの付勢力によってたるむことなく巻取り軸82に巻き取られる。
【0053】
図10は、耐火断熱ユニット80の他の設置形態を示す概略図である。耐火断熱ユニット80は、必ずしもシャッターケース14内に収容されることが必須ではなく、例えば、図10に示すように、シャッターケース14の下面等に取り付けるようにしても良い。
【0054】
図11は、耐火断熱ユニット80の他の設置形態を示す概略図である。
シャッターカーテン30の前面側及び後面側に耐火断熱体Aを設ける場合、2つの耐火断熱ユニット80をシャッターカーテン30の前面側及び後面側に設けたが、例えば、図11に示すように、一つの耐火断熱ユニット80により耐火断熱体Aをシャッターカーテン30の前面側及び後面側に設けることもできる。
この場合、座板35の下側に、座板35の幅方向に沿って延長するローラ86を回転自在に座板35に設け、耐火断熱ユニット80から引き出された耐火断熱体Aをローラ86を経由して、耐火断熱体Aの引き出し端部をシャッターケース14の下面に取り付ければ良い。
このように構成しても、シャッターカーテン30の巻き取り、繰り出しに連動して、耐火断熱体Aをたるませることなく、巻き取り、引き出しをすることができる。
【0055】
図12は、耐火断熱体Aの他の設置形態を示す概略図である。図12(a)に示すように、座板35を中空の箱状とし、内部に、耐火断熱体Aと、耐火断熱体Aを巻き取る巻取り軸82と、巻取り軸82を回転自在に支持する図外の軸受けと、巻取り軸82が耐火断熱体Aを巻き取る方向に巻取り軸に付勢力を付与する図外の巻取りばねを設けることで耐火断熱ユニット80が構成される。言い換えると、前述の一つの耐火断熱ユニット80が板状の座板35に代えてスラット31の下端に取り付けられたものと言うこともできる。このとき、耐火断熱体Aの引き出し端部は、シャッターケース14の下面等に図外の固定手段により固定されれば良い。なお、図12(a)では、シャッターカーテン30の後面側に耐火断熱体Aを設けるものとして例示したが、前面側であっても良い。
【0056】
また、図12(b)に示すように、中空箱状の座板35の中に2つの耐火断熱ユニット80を収容し、シャッターカーテン30の前面側と後面側に耐火断熱体Aを設けるようにしても良い。
図12(a),(b)に示すように、耐火断熱ユニット80を構成しても、シャッターカーテン30の巻き取り、繰り出しに連動して、耐火断熱体Aをたるませることなく、巻き取り、引き出しをすることができる。
【0057】
図13は、耐火断熱体Aの他の設置形態を示す図である。前述の実施形態では、耐火断熱体Aを一枚のシート状とし、巻取り軸82で巻き取り、繰り出し可能に構成したが、これに限定されず、例えば、図13に示すように蛇腹折りによって折り畳み可能に形成しても良い。
【0058】
図13に示すように、耐火断熱体Aを蛇腹折りによって形成することにより、折り重ねられた方向に伸縮が可能とされる。この場合、例えば、座板35の形状を上方開口の箱型とし、この中に蛇腹折りによって折りたたまれた耐火断熱体Aを収容する。そして、一番下に位置する折り片を座板35に接着などにより固定し、一番上に位置する折り片をシャッターケース14の下面に接着などにより固定すれば良い。
【0059】
蛇腹折りでは、一番下の折り片と一番上の折り片とが離間することで、折り重ね方向に伸長し、一番下の折り片と一番上の折り片とが近接することで、折り重ね方向に収縮する。したがって、図13(b)に示すようにシャッターカーテン30を巻き取り、開口部12が開放された状態からシャッターカーテン30を繰り出すことで、座板35がシャッターケース14から徐々に離間する。この離間に連動して耐火断熱体Aが展開されて伸長する。そして、図13(a)に示すように、シャッターカーテン30が開口部12を完全に閉鎖すると、シャッターカーテン30の前面側及び後面側の全域が耐火断熱体Aによって覆われることとなる。
【0060】
また、図13(a)に示すようにシャッターカーテン30を繰り出し、開口部12が閉鎖された状態からシャッターカーテン30を巻き取ることで、座板35がシャッターケース14に徐々に近接する。この近接に連動して耐火断熱体Aがシャッターカーテン30が折り畳まれて徐々に収縮する。そして、図13(b)に示すように、シャッターカーテン30が巻き取られ、開口部12が完全に開放されると、耐火断熱体Aが最も折り畳まれた状態となって座板35に収容される。
【0061】
このように、耐火断熱体Aを蛇腹折りによって折り畳み可能とすることにより、耐火断熱体Aを巻き取る巻取り機構等を不要とすることができ、シャッター装置10に対して簡単に耐火断熱体Aを設けることができる。
なお、構造として伸縮機能が得られる耐火断熱体Aの形態は、蛇腹折りに限定されず、例えば、パンタグラフやハニカムのように伸縮を可能とする構造を有するように耐火断熱体Aを形成しても良い。
【0062】
上記実施形態では、スラット式等の巻き取り可能に構成された金属を含むシャッターカーテン30に、耐火断熱機能を付与するために、シャッターカーテン30の前面側や後面側等を一つの耐火断熱体Aにより全域を覆うように、耐火断熱体A構成したが、これに限定されない。
【0063】
図14は、シャッター装置10の他の形態を示す図である。図14に示すシャッター装置10は、例えば、シャッターカーテン30の全域を覆う耐火断熱体Aと、シャッターカーテン30の全域を覆う耐火断熱体Aとシャッターカーテン30との間において開口部12を形成する各側壁12B;12Bを覆う耐火断熱体A;Aとを備えるように構成しても良い。
【0064】
この場合、シャッターカーテン30の後面側の全域を覆う耐火断熱体Aは、例えば、開口部12の天井から床面に達するように形成すると良い。そして、この耐火断熱体Aを巻き取り、繰り出す耐火断熱ユニット80Aは、例えば、シャッターケース14においてシャッターカーテン30により区画される空間に面するケースパネル14Aの天井の近傍、好ましくは、開口部12の天井壁12Aに接するように耐火断熱ユニット80Aのケース84をに取り付けると良い。
【0065】
また、側壁12Bを覆う耐火断熱体Aは、例えば、シャッターケース14において床面に対向するケースパネル14Bから床面に達するように形成すると良い。そして、この耐火断熱体Aを巻き取り、繰り出す耐火断熱ユニット80Bは、例えば、床面に対向するケースパネル14Bに取り付けると良い。
【0066】
各耐火断熱ユニット80A;80Bの耐火断熱体Aの繰り出し端には、床面に接地する座板85が設けられる。座板85は、シャッターカーテン30の座板35と図外の連結手段により結合される。これにより、耐火断熱ユニット80A;80Bの耐火断熱体Aは、シャッターカーテン30の開閉動作に連動して繰り出し、巻き取りがなされる。
【0067】
このように耐火断熱ユニット80A;80Bをシャッター装置10に設けることにより、開口部12に立体的な遮熱空間を形成することができ、開閉装置によって区画された範囲からの延焼を抑制し、防火区画の防火性能を向上させることができる。また、既存のシャッター装置10にも適用することも容易となる。
【0068】
例えば、図14では、シャッターカーテン30の全域を一つの耐火断熱体Aにより覆うように、耐火断熱ユニット80Aをシャッターケース14のケースパネル14Aに取り付けるものとして説明したがこれに限定されない。
【0069】
図15は、シャッター装置10の他の形態を示す図である。例えば、図15(a)に示すように、開口部12の幅方向長さ寸法よりも短い幅寸法で形成された耐火断熱体Aを有する耐火断熱ユニット80を幅方向に配列してシャッターカーテン30の全域を覆うように設けるようにしても良い。
この場合、隣接する耐火断熱ユニット80同士の間に隙間が生じないように、図15(b),(c)示すように千鳥状に配置すると良い。
【0070】
そして、各耐火断熱ユニット80の耐火断熱体Aに設けられた座板85を連結手段により連結するとともに、シャッターカーテン30の座板35に連結することにより、シャッターカーテン30の開閉動作に同期させて全ての耐火断熱ユニット80の耐火断熱体Aを繰り出し、巻き取りすることができる。
なお、図14に示すように、側壁12Bを覆うように耐火断熱ユニット80を設けても良く、適宜選択的に設ければ良い。
【0071】
図16は、スラット31の縦断面図である。例えば、図16に示すようにスラット式のシャッターカーテン30を構成するスラット31のひとつひとつに、耐火断熱機能を付与するように構成しても良い。
【0072】
図16に示すように、各スラット31は、平坦面として形成された本体部34の前面31A及び後面31Bに耐火断熱部材40及び保護部材42を備える。耐火断熱部材40には、例えば、発泡性耐火シートや発泡性塗料等を利用することができる。ここでは、耐火断熱部材40が、発泡性耐火シートとして説明する。耐火断熱部材40は、例えば、幅寸法がスラット31と同程度に、上下寸法がスラット31のカール部32;33の間の本体部34の上下寸法よりも短い帯状に形成される。
【0073】
耐火断熱部材40は、火災時の熱により所定の温度(例えば、約250°程度)に達することで、発泡を開始し、炭化層を形成する。この炭化層が断熱層として機能し、スラット31の温度上昇を抑制可能とされる。
【0074】
保護部材42は、例えば、メッシュ状のシートやフィルム等からなり、スラット31の前面31A及び後面31Bに設けられた耐火断熱部材40を覆うように耐火断熱部材40に重ねて設けられる。保護部材42は、例えば、幅寸法が耐火断熱部材40と同程度、或いはスラット31の両端部からはみ出さないように長く設定され、上下寸法が耐火断熱部材40の上下寸法よりも長い一方長尺の帯状とされる。
【0075】
保護部材42の素材には、耐火断熱部材40の作用温度よりも高い温度に耐えうるものが好ましい。また、メッシュの大きさは、シャッターカーテン30の開閉動作によりホイール52に巻き上げられたときに、耐火断熱部材40の損傷を回避するとともに、火災時の熱に耐えうる耐火性を有するものが好ましい。このように、耐火断熱部材40に保護部材42を重ねて設けることにより、シャッターカーテン30を巻き取り、繰り出しに伴うスラット31同士の干渉に際し、耐火断熱部材40の損傷を予防できる。
【0076】
なお、保護部材42は、メッシュ状に限定されず、メッシュ状の開口のないシートやフィルムにより耐火断熱部材40を保護するようにしても良い。
【0077】
耐火断熱部材40及び保護部材42は、例えば、接着剤等の固定手段によりスラット31に固定される。接着剤には、火災時の熱によりスラット31から脱落しないように、耐火性を有する接着剤を用いることが好ましい。
【0078】
図17は、スラット31における耐火断熱部材40及び保護部材42の他の設置形態を示す図である。耐火断熱部材40及び保護部材42は、例えば、図17(a)に示すように、前面側のみとしても良く、また、図17(b)に示すように、後面側のみとしても良い。
【0079】
なお、耐火断熱部材40は、前述のシャッターカーテン30を複数のスラット31により構成されるシャッターカーテン30に限定されず、平板状の複数のパネルを組み合わせたパネルカーテンや不燃性樹脂等のシートから構成されるシートカーテン等でも良い。
【0080】
図18は、パネルカーテンを構成するパネルの縦方向断面図である。パネルカーテンを構成するパネル60に耐火断熱部材40を設ける場合、例えば、図18(a)に示すように、パネル61の前面及び後面に直接的に耐火断熱部材40を接着し、パネル61の巻き上げ時のパネル同士の干渉から耐火断熱部材40を保護するように、パネル60に接着固定された耐火断熱部材40に重ねて保護部材42を接着固定すれば良い。また、図18(b)に示すように、耐火断熱部材40や保護部材42の取り付けは、パネル61の前面、或いは後面の一方であっても良い。
なお、ここでいう耐火断熱部材40とは、耐火断熱シート、発泡性耐火シートや発泡性塗料などが挙げられる。
【0081】
また、開閉装置の形態として、複数のスラットで構成されたシャッターカーテン30や複数のパネルで構成されたパネルカーテン等の開閉体を開口部の上方に設けたシャッターケース内に収容するものに限らず、開閉体を上部後方へスライドさせながら収納するようにしたオーバーヘッドスライディングドア式のものであっても良い。
【0082】
図19乃至図21は、耐火断熱部材40を備えたオーバーヘッドスライディングドアのドア構成パネルの縦断面図である。オーバーヘッドスライディングドアは、例えば、パネルカーテンのように、幅方向に沿って一方長尺の矩形状に形成されたドア構成パネル71を複数連結して構成される。このようなドア構成パネル71は、例えば、図19,20に示すように、幅方向に延長する上下枠72;73の間に、一方の面が意匠面として略平面状に形成されたパネル板74の他方の面に幅方向に延長する中間枠76が設けられる。ドア構成パネル71は、上下枠72;73や中間枠76を露出させた状態で形成される。
【0083】
このように一方の面が意匠面として形成されている場合、意匠面が前面として屋外を向き、後面が屋内側とされる。この場合、耐火断熱部材40は、後面に設ければ良い。そして、図19に示すように、後面の凹凸が単純な場合、耐火断熱部材40は、例えば、上下枠72;73の間において後面の中間枠76にと取り付ければ良い。
【0084】
また、図20に示すように、上下枠72;73から互いに対向するように延長する折返片72A;73Aを有する場合には、パネル板74と耐火断熱部材40との間に中空部Sを有するように、耐火断熱部材40を折返片72A;73Aに架橋するように取り付けても良い。
【0085】
また、図21に示すように、ドア構成パネル71におけるパネル板74の後面の凹凸が複雑な場合には、耐火断熱部材40としての発泡性耐火塗料をドア構成パネル71の後面に塗布すれば良い。
【0086】
図22は、シートカーテンの縦断面図である。また、耐火断熱部材40は、シートカーテンを開閉体とするシャッター装置にも適用することができる。シートカーテンを構成するシート81に耐火断熱部材40を設ける場合、例えば、図22(a)に示すように、シート81の前面及び後面に直接的に耐火断熱部材40を接着し、シート81の巻き上げ時のシート同士の干渉から耐火断熱部材40を保護するように、シート81に接着固定された耐火断熱部材40に重ねて保護部材42を接着固定すれば良い。また、図22(b)に示すように、耐火断熱部材40や保護部材42の取り付けは、シート81の前面、或いは後面の一方であっても良い。
【0087】
図23は、耐火断熱部材40を備えたドア扉の縦断面図である。
開閉装置における開閉体は、シャッターカーテンやパネルカーテンに限定されず、開閉装置としてのドア扉やパーティション等にも耐火断熱部材40を設けても良い。
例えば、防火ドアには、防火区画を形成するための防火機能が備わっているが、一般に金属製であるため、火災時に、ドア扉からの放射熱により区画外のエリアを延焼させる虞がある。
このような場合であっても、ドア扉91のドア面93に耐火断熱部材40を、ドア面全域を覆うように前面側及び後面側のドア表面に設けると良い。ドア扉91に耐火断熱部材40を設ける場合、例えば、図23(a)に示すように、ドア扉91のドア面93の前面及び後面に直接的に耐火断熱部材40を接着するとともに、耐火断熱部材40に重ねて保護部材42を接着固定すれば良い。また、図23(b)に示すように、耐火断熱部材40や保護部材42の取り付けは、パネル61の前面、或いは後面の一方であっても良い。
ここでいう耐火断熱部材40には、前述の耐火断熱シート、発泡性耐火シートや発泡性塗料などを利用することができる。
【0088】
以上説明したように、開口部を開放、閉鎖する開閉装置に設けられる開閉体に耐火断熱部材40を設け、開閉体が開口部を閉鎖したときに、該開閉体により区画される前面側の空間と後面側の空間との間を遮蔽するように耐火断熱部材40が配置されることにより、開閉体に起因する火災の延焼を抑制することができる。
【符号の説明】
【0089】
10 シャッター装置、12 開口部、14 シャッターケース、
20 ガイドレール、30 シャッターカーテン、31 スラット、
40 耐火断熱部材、42 保護部材、44 断熱材。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図18
図19
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