(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023076160
(43)【公開日】2023-06-01
(54)【発明の名称】感知視野確認装置および感知視野確認方法
(51)【国際特許分類】
G08B 17/00 20060101AFI20230525BHJP
G08B 17/12 20060101ALI20230525BHJP
【FI】
G08B17/00 K
G08B17/12 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021189397
(22)【出願日】2021-11-22
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古谷 聡司
【テーマコード(参考)】
5C085
5G405
【Fターム(参考)】
5C085AA11
5C085AB01
5C085BA36
5C085CA30
5C085FA23
5G405AB05
5G405CA13
5G405CA55
5G405EA41
5G405FA17
(57)【要約】
【課題】感知視野から漏れる監視対象領域がないように異常感知器を設置したり、設置された異常感知器の感知視野を確認したり、感知視野を記録した資料を作成することが容易な、感知視野確認装置および感知視野確認方法を提供することを課題とする。
【解決手段】異常感知器の設置位置又は設置予定位置に配置される支持部と、前記支持部に支持され、異常感知器の感知視野に対応する感知視野画像を取得するカメラ部と、を備える異常感知器の感知視野確認装置を提供する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
異常感知器の設置位置又は設置予定位置に配置される支持部と、
前記支持部に支持され、異常感知器の感知視野に対応する感知視野画像を取得するカメラ部と、を備えることを特徴とする異常感知器の感知視野確認装置。
【請求項2】
前記支持部は、既設の異常感知器に篏合する嵌合部を備え、
前記嵌合部を異常感知器に篏合することで、前記カメラ部の視野が既設の異常感知器の感知視野と略一致することを特徴とする請求項1に記載された異常感知器の感知視野確認装置。
【請求項3】
前記カメラ部の前方にカバーを有し、
前記カバーには、前記感知視野に相当する大きさの開口が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載された異常感知器の感知視野確認装置。
【請求項4】
前記異常感知器の種類に応じて前記カバーが交換可能であることを特徴とする請求項3に記載された異常感知器の感知視野確認装置。
【請求項5】
前記カメラ部を前記異常感知器の位置まで持ち上げる長尺部を設けたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載された異常感知器の感知視野確認装置。
【請求項6】
カメラ部を有した感知視野確認装置を異常感知器の前に位置合わせし、前記カメラ部で撮影した画像により前記異常感知器の感知視野を確認することを特徴とする異常感知器の感知視野確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炎感知器等の異常感知器において、感知領域を画定する感知視野を確認するための感知視野確認装置および感知視野確認方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
炎から放射される赤外線を感知する炎感知器は、天井や壁等に取り付けられて所定の領域を監視する。炎感知器は、監視すべき監視対象領域を感知視野Vに収めるように設置しなければならない。例えば、複数の炎感知器1を建物2の天井21に設置して床22の方向を監視する場合には、
図1のように感知視野Vが重なるようにして、感知領域から漏れる監視領域がないように炎感知器1を設置する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
炎感知器の感知領域を確認するために、特許文献1では、炎感知器1の位置にレーザポインタを有した確認装置を設置し、斜めに傾けたレーザポインタを回転させる。レーザポインタの傾きは炎感知器1の視野角の方向に調整する。レーザ光線が通る円錐の内側が感知視野Vであり、床22に描かれた円の内側が感知領域となる。そして、複数の感知領域により、監視すべき監視対象領域を監視できるか確認する。しかしながら、レーザポインタによる光は外縁のみを表示するため、障害物があって外縁をうまく描けない場合等にどこまでが感知視野Vに含まれるのか分かりにくかった。
【0005】
さらに、
図2に示すように屋外で建物2の全体を炎感知器1で監視する場合、地面3や建物2の壁面等には確認装置のレーザポインタで円を描くことができる。しかし、空中に感知視野Vの外縁がある場合には円を描くことができない。そのため、このような場合には、感知視野Vを確認することが難しかった。また、建物2の所有者等に感知視野Vや感知領域の分かりやすい資料を提供することができれば、顧客への高いレベルのサービスとなる。しかしこのような資料を作成することも難しかった。これらのことは、感知視野を有する炎感知器1以外の異常感知器についても同様である。
【0006】
本発明は、感知視野Vから漏れる監視対象領域がないように異常感知器を設置したり、設置された異常感知器の感知視野Vを確認したり、感知視野Vを記録した資料を作成することが容易な、感知視野確認装置および感知視野確認方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態における感知視野確認装置は、異常感知器の設置位置又は設置予定位置に配置される支持部と、前記支持部に支持され、異常感知器の感知視野に対応する画像を取得するカメラ部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0008】
カメラ部により異常感知器の感知視野に対応する画像を取得することによって、容易に感知視野Vの情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】建物の天井に複数の炎感知器を設置する際の感知視野を示す図。
【
図2】屋外から建物を監視する炎感知器の感知視野を示す図。
【
図3】実施例1における感知視野確認装置の前面図。
【
図4】実施例1における感知視野確認装置の側面図。
【
図6】炎感知器に取り付けられた実施例1における感知視野確認装置の前面図。
【
図8】
図2の炎感知器に感知視野確認装置を用いて得た画像。
【
図9】実施例2における感知視野確認装置の前面図。
【
図10】実施例3における感知視野確認装置の前面図。
【
図11】実施例3における感知視野確認装置の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本願においては、異常感知器の感知視野Vがある方向を前方と記載し、その反対方向を後方と記載する。感知視野確認装置は異常感知器に取り付けた状態で前方、後方と記載する。
【実施例0011】
図3、4に実施例1における感知視野確認装置5を示す。
図3は前面図、
図4は側面図である。点線は隠れている構造を示す。感知視野確認装置5において、支持部51の前方にはカメラ部52が支持されている。そして、カメラ部52は、前方と周囲をゴム製のカバー54により覆われる。カバー54の内面はカメラ部52の外周に沿った形状であり、カメラ部52に被せることによりカバー54を所定位置に固定することができる。そして、カバー54を所定位置に固定した状態で、カバー54の開口541がカメラ部52の前方に位置する。支持部51は、異常感知器である炎感知器1の設置位置又は設置予定位置に配置されて、感知視野Vを確認することができる。
【0012】
感知視野Vを確認する際には、カバー54の開口541を通してカメラ部52から撮影を行う。
図4に示した開口541の前方から延びる一点鎖線の内側は、感知視野Vに相当するカメラ部52の視野V1の領域であり、この領域内にある物を撮影することができる。視野V1の外側の領域はカバー54により遮光されており、撮影することはできない。カメラ部52は被写界深度が深いものを用いて開口541の輪郭が写りやすいようにしている。
【0013】
ここで、感知視野Vを確認する実施形態の炎感知器1の前面図を
図5に示す。炎感知器1は、外周面12が前方からみて略正方形であり、前面に炎感知センサー11を備えている。炎感知器1では炎感知センサー11として3つの赤外線センサーを並べて配置しており、炎感知センサー11は一方に長い形状となっている。
【0014】
一方、感知視野確認装置5において、支持部51の後方には、嵌合部53が設けられている。実施例1の嵌合部53では、十字状の板における4つの端部から、後方に嵌合脚531が突出している。嵌合脚531は、感知視野Vを確認する炎感知器1の外周面12に合わせた形状である。そして、感知視野Vを確認する際に感知視野確認装置5を炎感知器1に取り付けるとき、嵌合部53の嵌合脚531は、
図5に示した異常感知器である炎感知器1の外周面12に当接する。さらに、炎感知器1の前面に感知視野確認装置5の嵌合底532が当接することにより、感知視野確認装置5が炎感知器1の前方に位置合わせされる。
【0015】
感知視野確認装置5は、
図6に示すように、嵌合部53で炎感知器1を囲うようにして位置決めされる。このとき、
図5に示した炎感知器1の炎感知センサー11の前方にカメラ部52が位置する。カメラ部52は、炎感知器1の感知視野Vに対応する画像である感知視野画像61を取得する。カメラ部52に取り付けられたカバー54の開口541により、カメラ部52の視野V1が定まる。嵌合部53は、支持部51に着脱可能であり、炎感知器1の異なる製品に対応した嵌合部53と交換することができる。
【0016】
図7に2種類のカバー54、55を示す。
図7(a)に示したカバー54の開口541よりも
図7(b)のカバー55の開口551の方が小さく形成されている。前述のように、カバー54はゴム製であってカメラ部52から取り外しでき、交換可能である。
図7(a)は、
図3、4、6に示した感知視野確認装置5におけるカバー54である。これを
図7(b)のカバー55に交換することによって、視野V1の角度を狭くすることができる。開口541、開口551は、炎感知器1の感知視野Vに相当する大きさとなるようにする。
【0017】
炎感知器1は、製品により感知視野Vの角度が定まっているが、このように異なった開口を有するカバーに交換可能とすることにより、感知視野確認装置5を炎感知器1の異なる製品や他の異常感知器に対応させることができる。
【0018】
感知視野確認装置5を用いる際には、炎感知器1の感知視野Vの角度に合わせたカバー54をカメラ部52に取り付け、炎感知器1に合わせた嵌合部53を支持部51に取り付けておく。そして、感知視野確認装置5の嵌合部53を、上記のように嵌合脚531と嵌合底532で炎感知器1に篏合することで、カメラ部52の視野V1が炎感知器1の感知視野Vと略一致する。カメラ部52の視野V1が前方へ拡がる角度と炎感知器1の感知視野Vの前方に拡がる角度が同じであっても、カメラ部52が炎感知器1の前方に設置されているために、カメラ部52の視野V1は炎感知器1の感知視野Vより少し小さくなる。しかし、少し小さくなることによって、炎感知器1の感知視野Vの外側が感知視野画像61として表示されることはなく、問題は生じない。
【0019】
撮影は、炎感知器1に感知視野確認装置5を位置決めした状態で行う。カメラ部52により撮影された画像6は、Bluetooth(登録商標)によりスマートフォン(図示せず)に送信される。
図8に、スマートフォンに表示された画像6を示す。
図8は、
図2に示した柱4に感知視野確認装置5を設置して建物2を撮影した時の画像6である。画像6において建物2が写った円内の領域は、感知視野画像61である。そして、円の外側の黒い領域は、カバー54により遮光された遮光領域画像62である。実施例1では被写界深度が深いレンズのカメラ部52を用いているが、カバー54の開口541がカメラ部52に近いため感知視野画像61と遮光領域画像62の境目にフォーカスが合わないこともあり得る。しかし、感知視野Vを確認することは可能である。
【0020】
炎感知器1を設置したり既設の炎感知器1を点検したりするために炎感知器1の感知視野Vを確認する場合には、炎感知器1に感知視野確認装置5を位置決めした状態で撮影を行う。作業者は、
図8に示すようにスマートフォンに表示された感知視野Vの画像6を確認しながら、炎感知器1の取り付け位置を調整することができる。このように作業者は、感知視野確認方法として、カメラ部52を有した感知視野確認装置5を異常感知器である炎感知器1の前に位置合わせし、カメラ部52で撮影した画像6により炎感知器1の感知視野Vを確認する。
実施例2の感知視野確認装置7では、実施例1における感知視野確認装置5の支持部51に相当する支持部71の両側部が、支持アーム75の先端部近傍に設けた軸76により回転可能に軸支されている。支持アーム75は略U字形状を有しており、中心部が長尺部77の一端に接続している。長尺部77の他端近傍は作業者が手で感知視野確認装置7を持ち上げる部分であり、他端から少し離れた位置にスマートフォンのホルダー78を設けている。